○伊藤(卯)
委員 私も今失業の保険給付金の九十億円で新しい工業を興されるなどとは
考えておりません。ただ、失業者に保険給付としてやったのでは
生産化したものではない。そこでそういう金も炭鉱地区の新たな工業を興すために投入をする。さらに
国家もこれに
国家資金を相当加えて投入いたしていく。民間もこれに対して
一つ協力しろ。こういう
一つのポンプの迎え水としてその熱意を示すところに、初めて産炭地区における新たな工業の建設がやれるという、その熱意をそういう点の一端として示すべきであるという
意味において私は言っておるのです。だから、そういう点等に政府がどれだけ熱意を持つかどうかという問題が、結局建設に対する指導をするかどうかという点にかかってくる、こういう点を私は言っておるわけです。この点は
一つ大臣も肝に銘じておいてもらいたい、こう思います。
それから、先日この
委員会で石炭問題について八名でしたかの参考人の方方に出席をしてもらって、いろいろ意見を聞き、私ども
質問をしました。そのとき参考人からこういう意見が出ております。これは炭労の野口という副
委員長でございましたが、三十八年度までに在籍一人当たり二十六、七トン、石炭単価は千二百円引き下げる、こういうことで合理化が強行されてくるということになれば、その結果は炭鉱に働く
労働者の一人当たりの賃金が五千円下がるということになる、こういう意見を発表されております。この
目的を達成すれば、失業者はたくさん出る。そして結果においては、炭鉱
労働者は一人当たり五千円の収入が能率と比例して下がる、こういうことで、私は炭鉱
労働者の協力的な意欲は起こってこないと思う。だから、こういう点において、この参考人が述べられておるようなことがその
通りになるのかどうか。いやそうじゃないのだ、この
目的が達成されればこういうように賃金、待遇はよくなるのだ、失業者の問題はこういうようにして解決されるのだ、こういうこと等が明らかにされなければ、炭鉱労働組合がこの政府が指示しておる石炭の当初
目的達成の成果を上げることはできないと私は思うので、こういう点について、この野口参考人の意見、あるいは今申し上げるような私の意見等について、
一つはっきりした政府側の見解を聞かしてもらいたい。
それから、
日本の石炭は欧州各国より高いということが報告書などでもいわれておるが、大体
イギリスは国営、フランスは公社、西ドイツは民営でございますが、ここらの国々と比べて、一カロリー当たりの
日本の石炭というものは、どのくらい高いのかという問題、これを
一つお聞かせ願いたい。なるほど能率は
日本の現在の能率より二倍上がっております。しかし労働賃金は
日本の炭鉱
労働者より四倍、これらの欧州の国々の労働賃金は高い、こういう数字が出ている。こういう点について、これらの多くの複雑な問題を解決するために、政府はどのような
考え方をもってこれを指導しようとしておられるか、これをお聞かせ願いたい。