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1961-05-17 第38回国会 衆議院 商工委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十七日(水曜日)    午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       岡崎 英城君    小沢 辰男君       神田  博君    亀岡 高夫君       齋藤 憲三君    笹本 一雄君       首藤 新八君    田中 榮一君       田中 龍夫君    濱田 正信君       岡田 利春君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中嶋 英夫君       中村 重光君    渡邊 惣藏君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         通商産業政務次         官       砂原  格君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         中小企業庁長官 小山 雄二君         建設技官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         労働事務官         (職業安定局雇         用安定課長)  木村 四郎君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月十七日  委員原田憲君、加藤清二君、山崎始男君及び大  矢省三辞任につき、その補欠として亀岡高夫  君、北山愛郎君、西村力弥君及び春日一幸君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員亀岡高夫君及び北山愛郎辞任につき、そ  の補欠として原田憲君及び加藤清二君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一九四号)  自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一九四号)  自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一九五号)  商工会組織等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一八〇号)      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長代理 これより会議開きます。  都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職務を行ないます。  昨日本委員会に付託になりました小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、両案を一括議題として審査に入ります。
  3. 内田常雄

    内田委員長代理 まず趣旨説明を聴取することといたします。通商産業政務次官砂原格君。
  4. 砂原格

    砂原政府委員 ただいま議題となりました小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  本案は、小型自動車等機械関係事業振興に関する制度をさしあたりさらに一年間存続させることを内容とするものであります。  本案につきましても、自転車競技法の場合と同様に、今後この制度をどうするかにつきましては、小型自動車競走制度全体について御提案をいたす際に、その一環としてその中に織り込むのが適当と考えておりますので、この際は、とりあえず現行制度をさらに一年間だけ延長いたす法律案を提出いたしまして、御審議いただくことにいたした次第でございます。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。  次に、自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  本案は、自転車等機械関係事業振興をはかるため日本自転車振興会が、競輪施行者から売上金の一部の交付を受けてこれらの事業振興に関する事業を行なうという現行制度を、さしあたりさらに一年間存続させることを内容とするものであります。  現行制度は、昭和三十二年の第二十六国会において成立しました改正法律に基づいて定められ、昭和三十五年の第三十五国会に一部改正されたものでありまして、この資金の交付及び支出の方法に関する制度については、今後さらに検討を加える必要があるという見地から、施行の日から四年を経過する日、すなわち昭和三十六年十月一日以後においては、別に法律で定めるところによるとされております。  従いまして、昭和三十六年九月三十日までに、この制度をいかにするかについての立法措置をいたさねばならないのでありますが、競輪等公営競技全体につきまして根本的に検討を加えるため、昭和三十五年十二月二十八日施行総理府設置法の一部を改正する法律に基づき総理府公営競技調査会を設けまして、競馬、競輪小型自動車競走及びモーターボート競走に関する現行制度検討を加え、関係諸問題を調査審議している次第でありますので、自転車等機械関係事業振興に関する制度を今後どうするかにつきましては、この公営競技調査会結論を待って、競輪制度全体について御提案いたす際に、その一環としてその中に織り込むことが適当と考えております。  ところで、公営競技調査会は、当初の予定よりおくれ昨年末の第三十七国会において設置がきまりましたため、その結論に従った立法措置を今国会中にとることがきわめて困難な見通しにあります。  従いまして公営競技調査会結論が提出され次第すみやかに立法措置を講ずることとし、この際は、さしあたり現行制度をさらに一年間だけ延長いたす法律案を提出いたしまして、御審議いただくことにいたした次第でございます。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  5. 内田常雄

    内田委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 この際議事進行につきまして委員長並びに各委員希望を述べておきます。  と申しますのは、当委員会におきましては、本国会冒頭理事会において法案提案説明、あるいは採決の場合は必ず大臣が来席し、大臣提案説明をする、そういうことの原則を立てました。今国会中すべての法案大臣から提案をされたのであります。ところが本日予算委員会等々の関係で、大臣がどうしても出られないということで、特に異例中の異例として、ただいま政務次官からの提案説明を聴取したわけであります。しかしこれが前例となって、今まで守られてきたところの当委員会の申し合わせがくずれることのないよう、今後提案説明大臣がする、こういう原則を堅持していくように運営していっていただきたい、こう思います。
  7. 内田常雄

    内田委員長代理 委員長においても原則として田中君の発言を了承いたしております。きょうはこれにて御了承願います。      ————◇—————
  8. 内田常雄

    内田委員長代理 前会に引き続き商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし審査を進めます。田中武夫君。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 商工会法改正について若干の質問をいたしますが、その前にきのう私が資料提出を求めておりました点につきまして、その後の調査及び企業庁としてどのような措置を講ずるか、これをまず長官から御説明願いたい、このように思います。
  10. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 昨日田中委員から御指摘になりましたような事実、すなわち経営改善普及員給与の一部の不当使用と申しますか、そういうような事実につきましては、実は私どもの方といたしましても所管の通産局東京通産局でございますけれども、そういううわさがあるということを耳にいたしておりまして、大へん遺憾なことであると存じまして現在調査をいたしております。これは事の性質上なかなか確証をつかみにくいわけでございまして、いまだ確証をつかむところにまで至っておりません。今後とも調査を進めて参ります。そうしてそういう事実が判明いたしました場合には、その是正のための厳重な措置をとるつもりでございます。  なお、今後こういう事態が生ずることが絶対ないようにという考え方を持ちまして、中小企業庁長官の名前をもちまして各通商産業局長、各都道府県知事及び全国商工会連合会都道府県商工会連合会会長あて通牒を出しまして、その通牒趣旨を申し上げますと、小規模事業指導費補助金運用についてということでありますが、その補助金のうち、普及員人件費につきましては、普及員の所腐する商工会商工会議所普及員に支給する給与の一部を回収して、別の用途に使うという事実があるといううわさがあるが、このような事実があるとしますと小規模事業指導費補助金交付要綱それからさらには補助金適正化に関する法律の違反にもなることは明瞭でありますから、万一こういう事実が発見された場合には、補助金は返さすことはもちろん、その他厳重な処分が行なわれることになるわけですから、管下商工会に対して上記の趣旨の徹底をはかって、こういう事実の絶対ないように補助金運用指導には万遺憾なきを期せられたい、こういう趣旨でありますが、そういう趣旨通牒を出すことといたしまして、なお具体的の問題につきましては、先ほど申しましたように引き続き調査を進めて、こういうことのないように万全の処置をとっていただきたい、こう考えておる次第でございます。
  11. 内田常雄

    内田委員長代理 田中君に申し上げますが、田中君の質問に関連して、本日ここに内閣法制局第三部長吉國一郎君が出席されておりますので、申し上げておきます。   〔内田委員長代理退席委員長着席
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 今の長官答弁でございますが、事の性質上一日や二日でその実態がつかめない、こういうことについては了承いたします。しかし企業庁としても、そういう事実があるということをうわさに聞いておられる。この上に立って、なおこの問題は会計検査の問題とも関連をすると思いますので、厳重な追及と今後の指導を望みたいと思います。こういうことがもしあるとするならば、たとえば実際は一万五千円しかもらっていないのに二万円の給料をもらうという格好になって、所得税等についてもいろいろ複雑な問題が起こるのじゃないか、このように考えますので、十分の監督、指導を望みたいと思います。  なお、現にそういうことをやっておると思われるところに対しましては、徹底的に事実の究明をやってもらいまして、後日その点が判明いたしましたときには明らかにしていただきたい。明らかにする方法は、いろいろ関係もあるだろうが、委員会でするとか、あるいは書面で出すとかいうことも含めて検討してもらいたい、このように思います。その点よろしいですか。
  13. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 御趣旨方向に沿いまして善処いたしたいと思いますが、なおたとえば事実が判明した場合の、外に対する表わし方、これは一々の関係にも及びますから、そこら辺は御相談いたしまして、適当な方法で御報告申し上げます。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 長官にお尋ねしたいのですが、この商工会法が成立いたしまして一年たちますが、いわゆる初年度において最初できるであろうと予想しておった全国商工会の数と、実際にできたのとはどの程度違うのか。商工会法ができまして一年間の経過、運営、ことに最初予想しておった設立の数と実際できた数、そういう点について簡単でよろしいですから、言っていただきたい。
  15. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 本年二月末で千六百五十四の商工会ができました。三月の集計は、実は各府県の集計がおくれまして、これに五十追加して約千七百できておるはずであります。私が昨年現行法審議の際に申し上げました見込みは千六百ないし八百と申し上げたと思いますが、こまかくいって千八百くらいと予想しておったわけでありますが、それに比べますと百ばかり少ない、こういう進行状況であります。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 二月末で千六百五十四だ、こうおっしゃったのですが、この千六百五十四のすべてがこの法律による商工会であって、そしていわゆる事務補助員等が出されているというか、もらえたという商工会はないですか。
  17. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 千六百五十四のうちに、補助対象として取り上げられた商工会の数は千四百八十四でございます。補助対象にならなかったと申しますのは、補助対象となる商工会資格要件はいろいろ補助要綱できめてございますが、ほかの要件はみな果たすのでありますが、たとえば二月になってできた、普及員も大体見当をつけておるが、まだ雇えないというようなことで、実質的に補助を受ける対象にならなかったというものがございますので、主としてそういう理由から、千六百五十四のうち千四百八十四ですから、約百二、三十は三十五年度補助を受けるに至らなかった、こういうことになっております。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 三十五年度の当初予算を組んだとき、補助対象となる商工会を、大体幾らと推定しておられたか。それと実際の間において何ぼの開きがあるか。その点をお側いします。
  19. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 三十五年度予算積算におきましては、商工会の数はきめておらなくて、普及員の数だとか、いろいろな設備の数だとか、事務分量、それできめておりまして、商工会の数は面接きめておりませんけれども、そのとき予算積算士、たとえば及普員の数その他をはじきますもととして考えておりました商工会の数は、千五百であります。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 千五百で千四百八十四ならば、数の上においてはそう多くの開きはなかったと思うのですが、予算上の補助金と実際に支出した補助金との間に八千万円の差があったというように聞いておりますが、当初予算実施予算、これについて一つ説明願いたいと思います。
  21. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 三十五年度予算は、小規模事業対策費で、端数がございますが、四億三百万円でございます。それに対しまして、使い残しました金は一億二千六百万円、そういうことになっております。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 僕は八千万円と聞いておったけれども、それより多い一億二千万円、これだけ使い残した。この一億二千万円の残った予算、これは本年度流用することになっておりますか。
  23. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 これはわれわれといたしましても、本年度内に流用できるものはできるだけ流用し、また繰り越しできるものは繰り越しするという方向で、大蔵省とせっかく交渉したわけでございますが、この残しました金の中身は、大部分改善普及員人件費的なものに対する補助でありまして、それがほとんど大部分でありまして、普通の国の予算でいいますと、人件費流用というものは全然許されない。物件費の方は比較的流用を認める。それと同じ趣旨におきまして、補助金の中でも人件費的なものを動かすということは、従来の大蔵省予算配分運用上、それは非常に厳格にやっておるわけでありまして、そういうようなところから、実はそれを流用し切るものはほとんどし切ったわけでありますが、中身がそういうものを対象とした金でありますので、流用し切ったあとにこれだけ残った、こういうことでございます。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 内容人件費的なものであるということから流用ができなくて大蔵省に取り上げられた、そういうことですね。当初予算が四億三百万円で、そのうち一億二千万円、四分の一強、この金を予算から大蔵省に取り上げられた、こういうことになると、四億三百万円の予算をつけました、この予算自体が少ないということを、われわれは当時言ったわけです。きのうも話が出ておりましたが、ロッキード一機にも当たらない金額である、こう申し上げておった。それが一億二百万円ですか、それを大蔵省に返してしまったということなら中身は三億円ということになる。これは人件費がおもなる部分であったからということで、大蔵省との折衝上やむを得なかった、こういうような御答弁だと思うのですが、それではそのとられたやつに見合うだけの予算が本年度はとってありますか。本年度予算と三十五年度の当初予算並びに実施予算との関係等について一つ説明願うとともに、そのことによって本年度予算によって、商工会運営に差しつかえないという予算的な措置ができているかどうかお伺いいたします。
  25. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 相当多額の使い残しが出ましてはなはだ遺憾なわけでありますが、三十五年度予算積算いたします場合には、初めてそういう仕組みを作ってこれにあるいは人を集めて補助していく、こういうことでありますので、初めから九カ月の予算を見ておったわけであります。十二カ月でなくて九カ月分の予算を見ておったわけであります。それでその経費の中には県を対象にするもの、商工会議所対象にするもの、商工会対象にするもの、あるいは中小企業庁あるいは通産省の経費といろいろございますけれども、主体は商工会及び商工会議所経費に対する補助でありますが、九カ月動くだろうということを予想しておりましたところが、商工会議所につきましては、これは商工会議所はできておりますから比較的早かったのですが、それでも七カ月半しか動かなかった普及員を見つけてきてそれを働かしていく期間というものは七カ月半だった、それから商工会に至りましては平均五カ月ちょっとということでありまして、全体に設立がおくれた。設立いたしまして普及員を見つけてきて、それを働かす体制にするのにひまがかかったということが、この使い残しを相当たくさん作った根本的な原因なわけであります。  来年度につきましては、今度は従来から続いている人、これは使い残し分も含めて去年たとえば改善普及員二千四百人計上した分は十二カ月分見ているわけです。これは極端にいえば四月から使っていけるわけであります。それから新しく増員になる分は九カ月見ております。これもしかしながら商工会商工会議所等もだいぶなれてきましたので、去年のように十二カ月のうら半分も動かぬということは絶対ないつもりでありまして、三十五年度から引き続きのものは十二カ月、新規の分は九カ月見ておりますので、これは三十五年度初め考えましたかまえのまま、それを三十六年度に引き延ばした予算積算されておりますとともに、それを使い残しのないように十分こなしていくということは、そういう努力ももちろんいたしますが、大体消化していけるのじゃないか、予算もそういう含みでできておるということでございます。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 昨日の小林委員質問にも、そういう点に触れておられたと思うのですが、補助金現実商工会なり商工会議所に渡るのがおそ過ぎる、こういうことがいわれておる。現に私も聞いたのですが、大体一年分一括して七月ごろに渡すのじゃないですか。実際はどういうふうになっておりますか。それが入ってくるのがおそくなって、ために金融上の問題等も金繰りの面が出てくる、こういうことになる。そこであるいは県まで行って、県で一時それを流用しておるのではないか、こういうようなことすら考えられるのですが、実際の補助金の出し方、その時期等についてはどうなっておるか。それから実際にもらう方の商工会等におきましては、給料は毎月払わなければならぬ、こういうようなことで一年分一括できないのなら三カ月ごとか何かにして、おそくならないように現実に手に入るような方法を考えてもらいたい、こういうことを言っておるのですが、実際の運営はどういうことになっておりますか。
  27. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 三十五年度初年度でございますので、商工会ができまして普及員が配置されて、そういう小規模事業指導対策のかまえができるつど補助金を出していったわけであります。商工会ができて普及員が配置できないのに補助するわけにはいきませんから、三十五年度はそういうかまえができた分から逐次補助をしていく、ただかまえができた分からといっても、毎日々々一々はできませんので、ある程度まとめてできたものから補助をするということにいたしまして、実は三十五年度一番初めに手をつけた商工会、九月に締め切った一番初めの分は十月に初めて金を出す、その次の分は十月に締め切って十一月に金を出すというようにやっていったわけであります。三十六年度は、今年増加分がありますけれども、大体平年度になりますから、今度は予算大蔵省からもらう、四半期別なりある程度の配付見込みがございますけれども、今度は四半期別、これは大蔵省と相談しまして、年少なくとも二回くらいに配付できるような体制をとりたいと思います。三十五年度は何分初年度でございましたので、昨日も申しましたが、多少補助金ということを、国の税金の金を使うということに対して多少補助を受ける方がルーズな考えを持たれては困るというようなこともありましたので、手続等も多少めんどうくさくしたということもございますが、初年度のことでございますので、できたつど配分していくという方法をとったわけであります。今年度からは四半期あるいは年二期くらいの方法で配分していく、こういうことにしております。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長に申し上げたいと思うのですが、国会法の四十九条は御承知の通りであります。今回会議冒頭にあたって定足数をわれわれは申し入れて、少なくとも開会のときには過半数の構成員はおったはずなんですが、それからわずか十分か十五分の間にこの状態であります。従いまして四十九条の規定によりまして、これ以上委員会は続けていくことは大きな疑問がございますので、私の質問は本日はこの程度にして保留をいたしまして、委員長の方において委員会運営について御善処なされるよう要望いたします。
  29. 中川俊思

    中川委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  30. 中川俊思

    中川委員長 速記を始めて。田中武夫君。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは質問を続けますが、途中で定足数を欠いた場合はいつでもやめますから、そのつもりで委員各位一つ詰まらぬ質問でもいてもらわぬと続けられませんので、まずそう申し上げておきます。  そこで中小企業、ことに小規模事業の問題につきまして、若干関係したことをお伺いいたしたいと思うのですが、まず第一は、労働省雇用安定課長が見えておりますのでお伺いいたしますが、小規模事業者には今日一つの大きな悩みとして求人難というのがあるわけです。これは大企業に比べてその労働条件の劣悪さ、あるいは福祉厚生施設の悪さ等々が大きな原因をなしておるのと同時に、心理的にやはり大きなところへいきたい、こういう気持から小規模事業者には人が集まってこない。そこでこれをどうしていくかということが雇用安定の上から、あるいは中小企業小規模事業者一つの大きな問題だろうと思うのです。ところが聞くところによると、来年度から労働省中学卒業生就職の問題について、従来と違った方法をやられるとか聞いておるのです。今までは大体中学卒業者職業安定所で管理というたら少し大げさになりますが、職業安定所を通じなければ就職できなかった。こういうふうにしてある程度のコントロールをやっておった。ところが今度は聞くところによると、まず本人の希望をとってその希望に従って配置していくんだ、これはけっこうなことだと思うのですが、そうするなら大企業へ集中してしまって、ますます中小企業小規模事業者には就職希望者がなくなるということになるのですが、そういう点についてはどのような措置を考えておられるのか、三十七年度から方法を変えると言われているが、それはどういう内容なのか、ねらいはどこにあるのか、そういうことをお伺いいたします。
  32. 木村四郎

    木村説明員 お答えいたします。  最近経済状況の好転に伴いまして非常に求人が多くなって参っております。しかしその求人内容をつぶさに検討してみますると、新規学校卒業者、中でも中学校卒業者というふうな若い労働力というものを非常に欲しておりまして、その点につきましては非常に求人難の様相を呈しておるわけでございます。三十六年三月の中学校卒業生の場合は、求職者の数に対しまして求人が三倍、高等学校でさえ求職者に対しまして求人数が二倍という状況を呈しておるわけでございます。しかしながら一面、中高年令層はやはり失業のまま、相当の人数が安定所の窓口に滞留しておるというふうなことでございます。若い者に非常に集中しておるという事実でございます。中小企業におきましては、特にこの若い者を要求しておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、やはり大企業の方が労働条件がいい、あるいはまた将来に対する希望が持てるというふうな観点から、若い青少年は中小企業をきらって大企業に流れていくというふうな傾向は争えない事実でございます。われわれといたしましては、この中小企業の労務を充足する一つの手段といたしまして、集団求人方式というものを採用いたしまして、地域あるいは業種の団体に加盟しておる中小企業者に労働条件というものを協定していただきまして、その団体の協力によって労働条件を維持し、これを順守していくというぶうなことによって働きやすい場所を作っていただいて、そこに青少年を送り込むというふうな、この集団求人方式を採用しておるわけでございます。従来まではこれを第三次産業部面につきまして指導して参ったのでありますが、昨年度あたりからこれを第二次産業部面にも強力に推進していくというふうな方法をとっておるわけでございます。  それから問題の中心の、本年度から何か特別な方策を講ずるのではないかというふうな御質問でありましたけれども、実は昨年度あたりから求人と求職とのバランスが非常にくずれておる。そのために求人者が求職者の奪い合いをする、こういう事実が顕著になってきたわけでございます。それで東京の求人者が新潟に行ったり、福島県に行ったり、その他各県に行きまして、各求人者がその供給地に行きまして、お互いに奪い合いの状況を呈する。これではむだな努力でもあるし、またそこにいろいろの摩擦も生ずるということで、他県に就職する、また他県から人を集めようというふうな求人求職につきましては、労働省におきまして全国的な労働市場の観点から見ました需給調整というものをはかる必要があるということに考え至りまして、全国的な需給調整会議というものを持ちまして、そこで調整をとって、円滑な需給調整をはかっていくという方針も、昨年からとったわけでございます。これはつまり地域的な偏在を是正する。新潟県だけに求人者が殺到すれば、そこだけが殺到率が非常に高くなって、むだな摩擦が起きる。また一方目を翻せば、たとえば宮崎県その他の県においては案外それほどの殺到率は呈していない、そういったような、全国的な需要と供給との関係を見まして、地域的にその偏在を是正して、調整をはかっていくというふうな考え方をとってやったわけでございます。それまでは各県、各安定所間の連絡によりまして、この需給調整が行なわれておったわけでございますけれども、昨年度から本省がいわゆる音頭をとりまして、各県の持ち寄った求人と求職との数字をにらみ合わせまして、その地域的偏在を是正して、むだな摩擦を起こさないというふうな観点から、そういった全国的な需給調整を行なっておるわけでございます。それで昨年あたりは、その全国的にやる場合でも、一定数以上の求人——そうでなければ非常に事務が輻湊しますので、大体十人以上他県から求めようとする求人者について、全国的な需給調整を事務的にやったわけでございますが、中小企業者に言わせれば、これは大企業だけに充足をはかるための会議じゃなかったかというふうなことがあったわけでございます。われわれの考えておるところとは違ったわけでございまして、今年度からはそういった誤解を払拭するために、その人数に制限なく、一人でも他県から求めようとするような、他県にまたがる求人と求職との調整は、すべて本省の需給調整会議でやるというような方針に変えましたので、かえって昨年よりは本年の方がその気分的な問題においても中小企業者に不利であるというふうなことはない、かように考えておるわけでございます。  それから中小企業の充足をどういうふうにするかという問題でありまするが、何といってもこれはまあ求人条件を上げなければならない。上げるためには集団求人方式などをとっておるわけでございまするが、そういったような方法でやはり求人の条件を上げていって、働きやすいような職場を造成して学卒者を向けていくというふうな方向に、われわれは一そう努力していきたい、かように考えておるわけです。  以上簡単に状況だけ御説明申し上げます。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 それではいわゆる全国をにらんで本省の方で調整していこう、こういうことであって、決して中小企業の人が心配をしているような人の配置ではない、こうおっしゃるわけですね。
  34. 木村四郎

    木村説明員 その通りでございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 ところが何だか私の聞いたところでは、所管の職業安定所関係者が寄ってくれということで、何か本省からも見えたとか言っておったんですが、来年度からこういう方針でやるのだという説明を聞いてあぜんとした、こういうふうにわれわれは聞いたわけです。そうすればますますわれわれのところには人が来なくなるのですが、どうですか、こういう話を聞いたのです。来年度と聞いたのですが、本年度とおっしゃっています。それはどちらかわかりませんが、特に実際面において今までとどういう点が違っておるか、そういう点を心配しておりますので、私ではなしに、この委員会を通じて中小企業の人、小規模の事業主に対して、求人について安心できるように、一つわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  36. 木村四郎

    木村説明員 お答え申し上げます。需給調整要領というものを作成いたしまして、各道府県に対しまして指導しておるわけでございます。これはまあ昨年度から一応需給調整要領というものを作ったわけでございますが、本年度またそれを訂正いたしまして新らしく指示をいたしたわけでございます。  その訂正いたしました要点を申し上げますると、まず第一点は、求人の充足というふうな点にだけ安定所の職員が頭を走らせますると、人間というものを物扱いにしては困る。適正な配置といっても、求人が多いので、お前はそっちに行け、お前はここに行けというふうに、いかにも品物のように昔の動員態勢のような配置の仕方になりやすい。これは非常に遺憾なことであって、やはりあくまでも人間の個人の職業選択の自由を尊重して、本人の能力に適したようなところに本人を差し向けるというような、安定法の第一条の基本精神を忘れてはいけないということを第一点に、頂門の一針として指導したわけでございます。それが何か誤解を受けまして、希望したところに優先的に向けるのだ、それが大企業にみな希望するから中小企業に行かないじゃないかというふうに誤解されたように思います。そうではなくしてもっと深い、個人の自由を尊重してやりなさい、品物扱いをしてはいけないというふうな基本的な考え方を示したわけでございます。  それから具体的に入りますると、需給調整会議は第一回は一応八月ごろから始めるわけでございまするけれども、その前に一応求人者及び求職者関係から、最終的にはわかりませんけれども大体の見通しを産業別に数字をつかみまして、それを媒介にしまして八月ごろに第一回の会議を開いて、そうして見当をつけようじゃないかということで、動向調査ということをさせるように指導いたしております。これは最終的な数字はもちろんなかなかまとまらぬと思いますが、大体の傾向を把握するために、需給調整の資料とするために動向調査というものをするようにいたしております。それから第三点は、学校との連携を緊密にする。何か学校の先生方が勝手に職業紹介をする。安定所も安定所で紹介するということでは、これは業務が輻湊していたずらに求人者及び求職者に混乱を来たしますので、もっと緊密な連絡をとって——まあ今までもやっておるわけなんでございますが、さらに緊密な連絡をとってこれをやらなければならないということを、まず第三点として指導したわけでございます。  それから第四点といたしましては、学卒者は絶対的に数字というものはきまっておりまして、若い者だけではとうてい充足ができない。そうして一方を見ますと、三十五才以上というふうな中高年令層が安定所の窓口にはたまっている。しかもその中高年令層向きの職種というものも研究してみれば相当ある。ですから、求人が申し込まれた場合に、そう職種が中高年令層向けの職種であるというふうな場合には、努めてこの中高年令層を雇うように指導しなさいというふうに指導したということ。  それから求人難々々々という叫び声におどかされて非常に求人難ノイローゼにかかっておるような状態でもありまして、そのために水増し求人というものが非常に行なわれているようである。この水増し求人を是正するために、ほんとうに必要量の求人というものを安定所がよくその事業主と相談をして適正な求人数というものを把握するように指導する。こういうふうな点も指導していくように示達したわけでございます。  それから、求人者が、まだ選考期日も始まらない前に勝手に他府県におもむいて戸別訪問をしたり、あるいは学校に行ったりするような抜けがけ的な求人開拓はしないで、一応正規のルートを通してやっていってもらうというふうに求人者を指導してもらう。こういうふうな点につきまして指導したわけでございまして、特にわれわれはむしろ中小企業の充足を今後どうするかということが、われわれに課せられた大きな問題ではないかと思っております。むしろ大企業の方はほうっておいても人は行く、中小企業にいかにして適正な労務を充足していくか。この点についてわれわれは今後技術的にいろいろ検討しなければならないというふうに考えておりまして、この中小企業に不利なような方法は全然とっておりません。むしろこれを推進していくというふうな考え方で、われわれ対処していきたいと思っております。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 新しく学校を出る、ことに中学卒業者の人格をとうとんで、今までのような形式的な充足ということでなく、個性を生かす、こういう点についてはわれわれも賛成ですが、求人の開拓といいますか、PR、たとえば一地方に一つのまとまった産業がある。そこで協同組合とかいろいろな組織を持っておる。そういうところが中心になって、一商社、一工場でなく、そういう組織が、あるいは商工会議所ないしは商工会も含むだろうと思うんですが、今まで遠隔の土地といいますか、そういうところへ行っていわゆる求人のPRをやっておったらしい。それが来年からできなくなるというような解釈をしておったようですが、その点はどうなんです。
  38. 木村四郎

    木村説明員 ただいま申し上げました中にも触れておったわけでありますが、中学校卒業者の選考は一応一月一日からやるというふうな申し合わせになっておるわけでございます。ところがそれ以前に、もう八月、九月ごろからどんどん出かけられていきまして、戸別訪問をしたり何かせられますと、われわれの考えておる適正な需給調整ということもなかなか困難でもありますし、また求人者自体も非常に摩擦を起こしましてお困まりになりまして、むだな努力をいたしますので、まあ一応安定所にまかしておいてくれないか。そうして適当なときに行ってもらうように御指示をいたしますというふうなことで、絶対にいけないのだということは申していないはずなんです。しかもこれは求人者が個々別々に行くのではなくして、そういった法律に基づくような団体の代表者がちゃんと正規のルートを通して安定所、県を通して、その承認を得てPRをするというふうなことは、一つの時期が来ますならば、私はやっていただいた方がけっこうだと思っております。そういった関係で、少し強く誤解して響いたのではないか、かように思っておりますが、この点につきましては誤解のないように、今後よく指導して参りたいと思います。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 大体わかりました。だいぶ誤解もしておるではないかと思いますが、全然そういうことができないというように心配しておったようです。それは禁止しておるのではないが、やはり一つの統制といいますか、ルートをつけてやれ、こういうことですね。
  40. 木村四郎

    木村説明員 そうです。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 といたしましても、結局は人情で大企業へ人が寄ると思うのです。そこで労働省としては、一つ中小企業求人難ということを解消するいろいろな点について考えてもらわなければならぬ。同時にそれを根本的に解決することは、やはり労働条件の向上だと思うのです。そこで最低賃金の問題とか、あるいは福祉厚生施設等の問題が出てくると思うのですが、それらの点について労働省はどういう考えでおられるか。  それから中小企業庁長官にお伺いしますが、お聞きのような状態である。中小企業の総合的な指導をしておられる長官でございますから、そういう求人難ということが今大きな問題になっておる、これはやはり中小企業の体質改善をやらなくちゃならないのじゃないか、こういうことにも考えます。従って、そのためにどのように企業庁として考えておられるか、これは中小企業の体質改善ということがまず前提になるのじゃないか、こう思うわけです。
  42. 木村四郎

    木村説明員 基本的には今御指摘のように中小企業の体質改善というふうなことが非常に大きな問題になると思いますが、われわれといたしましては、一応労働省といたしまして、昨年訓令をもちまして労働省内に中小企業労働対策連絡室というものを設けまして、各基準局とか安定局とかその他の関係局の職員が集まりまして、そして基本的な中小企業の労使関係の問題、労務充足の問題、労働条件の問題、そういったものを解決するためにどうしたらいいかというようなことをお互いに研究、連絡し合っております。それから都道府県につきましては、地方の基準局とか都道府県とかその他の関係機関が集まりまして、都道府県の労働対策協議会を作らせる。それからまた公共職業安定所や労働基準監督署その他の現地機関からなるところの中小企業対策地区連絡推進会議というようなものを開催いたしまして、総合的にその対策を検討し、調整をとっていくというふうな基本的な方針をまず打ち出す。それによって労働条件を向上させていこうじゃないかというような問題。  第二点は、これは具体的になりますが、いわゆる集団求人方式の採用ということで、産業別、地域別の団体の労働条件の協定を作っていただきまして、その団体の保障のもとに労働条件を高め、それを維持していくというふうな方式をとってもらって労務充足を容易ならしめていくというふうな点。それから労働省といたしましては、中小企業退職金共済法という法律ができまして、あれを大いに推進いたします。ところがなかなか入りにくいという点もありましたので、本年度改正いたしましてだいぶ入りやすくなったわけでありまして、これで中小企業に退職金制度というものを作らして、そうして充足をはかっていくというふうな考え方。それから失業保険関係も、失業保険事務組合というものを作りまして、小さな一人、二人の従業者の事業場にも失業保険制度を徹底するように推進いたしまして、その面においても労働条件を向上さしていこうというふうなことで、いろいろその労働条件の向上についてやっておるのでございますが、一面労働条件だけの問題でなく、また自分のむすこはレッテルのいい会社に就職させたいという父兄の指導、教育というものも必要じゃないかというふうな感じも持っております。そういうものは学校の先生方ともよく相談をいたしまして、必ずしも大企業のレッテルだけで子供の就職は考えてはならないのだ、中小企業でもりっぱに成功しておる例があるからということで、家庭の父兄をいろいろ指導、啓蒙していくというふうな点も必要であるというふうに考えておるわけであります。そういうふうなことで推進しておるわけでございますが、一方におきまして、最近中小企業者もそう若い者を求めようと思っても、絶対数が不足なんだからいろいろ新しい方法を考えなければならない。たとえばこの間池袋で牛乳屋が配達だけを受け持つ一つの会社を作りまして、配達は配達会社がやる、あとは牛乳屋は注文だけをやるというふうなことによって、労働者の節約、それから労働条件——会社になりますれば寄宿舎をこしらえまして、そしてそこに寝泊まりしますので、一軒一軒分散されますと、ことによると二階あたりに家族と一緒になって寝泊まりするというふうなことで、労働者もいやがります。一つの寄宿舎に入れられますと、労働者も非常に喜ぶ。そしてまた一面、各事業所ごとに労働者がおるよりも、一定のまとまったところにおいて配達でもすれば、労働の節約になるという観点から、そういう配達会社などを作っておる例もありまして、そういうふうに労働力の節約のために創意工夫をこらすというようなことも、いろいろお知恵を借りまして研究してみたい、かように考えておるわけでございます。
  43. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 中小企業の問題で、人の問題は先ほど来だんだんお話のありましたように、実は非常にむずかしい問題でありますとともに、即効薬といいますか、直接右から左に事柄を解決するような手というものはなかなかとりにくい。ことに中学卒業者のことしの状況等は特殊の事情がございまして、非常にお手上げのような格好にあるわけであります。中小企業の立場からいいまして、中小企業のかまえの方をしっかりして、そういう求人、あるいは雇用の安定という面がスムーズにいくようにということをまずもって考えなければいけないことは御指摘の通りでありますけれども、どうしても中小企業労働条件、労働環境というものをよくしていくということが必要なわけであります。中小企業の問題で、大企業と比べます場合に、いわゆる格差問題として言われます生産性の格差、それから賃金の格差ということが一つのとらえどころとしていろいろ議論されますが、労働条件の問題につきましては、たとえば最賃法等、これは労働省も普及計画を作ってやっておられますが、われわれの立場としましても、労働条件がよくなる方法としてそういうものが漸次普及していく、徹底していくということをむしろ期待するわけであります。企業の競争も、中小企業といえども、詰まってくると労働条件を悪くして競争するということでは、とうてい生産性は伸ばせないのでありまして、やはり労働条件の方はよくして、能率で競争するということにしてもらわなければ困るわけであります。従って生産性を上げるために、今お話のありましたように体質を改善し、生産性を飛躍的に上げていくということが企業の立場としてはぜひとも大事なことでありまして、従来の中小企業対策もみんなそれをねらっておるわけでありますけれども、従来とかく不十分な点がなきにしもあらずということでありまして、ことに先年度からもそうですが、今年度あたりから設備改善等をてことする中小企業の体質改善を飛躍的に進めていこうということで設備近代化資金、あるいは財政投融資の増強ということを通じまして、その方向指導、育成をして参りたい、こういうように考えておるわけであります。  それからもう一つ労働環境の問題でありますが、これまた求人難等とも関連しまして、企業として当然考えなければいかぬことですが、従来とかく等閑視されておった。これが求人難等とも関連しまして、このままではやり切れないということで、そういう気運が非常に起こっております。従って、たとえば共同施設の補助金だとか、今年度から住宅金融公庫の資金の配分だとか、それから厚生年金の還元融資の金の配分だとか、そういうことにつきまして、従来は極端にいいますと大企業しか貸さない、そういうことになっておりましたのを、関係各省ともいろいろ御相談しまして、中小企業に確実に流れるようにするというような仕組みをいろいろ考えまして、労働環境の整備をはかっていくという方向で努力して、相待ちまして、生産性の向上を通じて中小企業全体がうまくいくようにという方向で努力いたしたいと思っております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 要は中小企業の方へ、進んで人がいく、こういう環境を作り出す必要があると思うのです。中小企業中小企業として、大企業に比べて味のあるといいますか、いいところもあると思うのです。ところがそれが出せないのが現在の中小企業だと思います。それにはいろいろな施策を通じ、指導を通じて、むしろ子供の方から進んでいく、親も進んで出すというような環境を作ってもらいたい。そのためには、賃金の問題、あるいは労働環境の問題、あるいは職場の雰囲気の問題、いろいろあろうと思います。今も話が出ましたが、厚生年金の還元融資、あるいは住宅金融公庫の融資にいたしましても、それぞれの条件がついているわけです。従って、実際は今長官みずからも認められたように、それは大企業ばかりに回って中小企業には行っていない。先ほど労働省の話にもあったように、寄宿舎の問題等も今悩みの一つなんです。従って、今長官が言われたような厚生年金の還元融資、あるいはまた住宅金融公庫の融資等が十分中小企業の方へ、しかもそれが労働条件の改善という方向へ向けられるように努めてもらいたい、このように思うわけであります。  そこで住宅局長にお伺いするのですが、住宅金融公庫の金融対象といいますか、これが耐火九十坪以上、寄宿舎の場合こういうことになっているのです。九十坪ということになると、小さなところでは坪数が多過ぎる。そこで九十坪という基準を下げてもらいたいというような意見があるわけです。それでは二、三一緒になって九十坪のものを建てたらどうか、こういうようにわれわれも指導するのですが、どうもやはりよそさんの従業員と同じ屋根の下では困る、ここに一つの封建性があると私は思うのですが、そういうのが実態なんです。そうすると、やはり小さなところでも独立の寄宿舎を持つことができるという方向を考えてもらうために、この九十坪の基準を下げるというようなことを望んでおるのですが、そういう点について住宅局長としてどうお考えになりますか。
  45. 稗田治

    ○稗田政府委員 ただいまお尋ねの九十坪という基準でござまいすが、産業労働者住宅資金融通法では、別にそういう規模を指定しておるわけではないわけでございます。ただ公庫が従来貸付の要領としまして内規のようなものを作っておりまして、それで産業労働者住宅には今の寮のような形をとりました。特に寮の場合と個人のものと、一世帯ごとに入るものとございますが、特に寮の場合に望ましい適正規模ということを考えておったわけでございます。大体寮になりますと、廊下でございますとか、階段、そういうものに面積をとられまして、なお食堂、談話室というようなものを考えますと、大体二十人ぐらい収容できる寮が一番望ましいということで、一人当たり四・五坪というようなことから、大体九十坪ぐらいが適正規模じゃないかというようなことを内規として、扱っておったわけでございます。しかし、今御説のように、この九十坪というようなことも、望ましい基準でございますので、これは今までも弾力的に内規を運用しておったわけでございますが、三十六年度からは特に、この中小企業関係に十分産業労働者住宅の制度を利用していただこうというので、特別に戸数も七千戸というように中小企業向けに確保してあるわけでございます。従いまして、利用状況も、従来とは中小企業の利用状況が変わってくるわけでございます。そこで、今の九十坪の基準にいたしましても、公庫の方に私の方で再検討を命じまして、適正規模ということはあるけれども、運用にあたってはもっと下がるように考えたらどうだということで、ただいま検討させておるところでございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 金融公庫の貸付基準を検討さしておる、こういうことですから、それを実現するようにやってもらいたい、この一語に尽きると思うのですが、今申しましたような実情でございますので、これは考えたらどうかという程度でなしに、ぜひ下げろ、こういうようにして、小さなところでも独立の寄宿舎が持てるように、そういう方法を住宅局としても金融公庫を通じてやってもらいたい。従って、基準を下げろ、こういうように強く指導してもらいたいと思います。同時に、先ほど中小企業長官もこの点触れられたのですから、小さなところでも独立の寄宿舎ができる、こういうような方向中小企業庁としても努めてもらいたいし、また労働省としても、これは労働者の環境改善という意味において十分な配慮を願いたい、このように思うわけでございます。
  47. 稗田治

    ○稗田政府委員 そのように公庫の方と十分打ち合わせをいたします。
  48. 松平忠久

    ○松平委員 関連。今、住宅局長の言われた七千軒とか中小企業に確保しているというのだけれども、その利用状況はどういうふうになっていますか。
  49. 稗田治

    ○稗田政府委員 産業労働者住宅でございますが、昨年は一万二千戸ございましたけれども、本年度は一万四千戸ということにいたしまして、契約総額も四十五億から五十二億というように引き上げたわけでございます。そこで、従来は大企業中小企業というようなワクを別にきめずに、公平に扱っておったわけでございます。で、三十六年度におきましては一万四千戸を七千戸、七千戸に二通りに分けまして、そして中小企業向けには、融資条件は従来通り、金利につきましては六分五厘、それから耐火構造のものは六割融資、木造のものにつきましては五割五分の融資というようにいたしまして、大企業向けには、融資率は全部五割、それから金利でございますけれども、これを七分というようによけい負担していただこうというように改めたわけでございます。
  50. 松平忠久

    ○松平委員 非常に適切な改め方だと思うのでず。従来、われわれの聞いているところによると、産業労務者の住宅資金というものは、大きいところに流れてしまって中小企業に来ないというのです。それは、貸付条件がやはり小さいところでは、大きいところのような工合にうまくいかないということがあるし、また公庫自体の考えも、大きいところなら回収がきわめて容易だ、中小企業の方は回収が困難だというような見方もあって、ともすると窓口において区別をして考えたがるということがありまして、中小企業の方へ及んでこなかった。そこで、これがやはり今おっしゃったような工合に改めなければならぬような一つ原因だったろうと思うのですが、私の希望としては、貸付条件というようなものも、結局相手方の信用度によるわけですけれども、住宅資金は長期の資金なので、中小企業の返還能力に対して公庫自体が非常に不安がる。そこで、何らかの方法でこの不安を解消してやるようなことも考えられないことはない。集団的にやるならばその市町村の議決によって債務保証をしてやるとか、そういったことも考えなければならぬではなかろうか。やろうと思えばこういうふうにできるのです。しかし、そこまで行かずに、あなたの方で中小企業については貸付条件をこの上とも緩和すると同時に、窓口の公庫自体の職員に中小企業者の労務対策の一環として理解を持ってもらう、そういう訓練を公庫にしていただく必要があるだろうと思うのです。この点について一つ御所見を承りたいと思います。
  51. 稗田治

    ○稗田政府委員 産業労働者住宅の融資条件でございますが、建設省といたしましては、中小企業の方々ができるだけ利用できるように融資条件をもう少しよくするということが、予算要求の態度だったわけでございます。国の財政上の関係もございまして、今回は中小企業の方は従来通り、大企業の方は融資条件を辛くするという結果に終わったわけでございますけれども、なお、中小企業の方が今後とも産業労働者住宅の資金を利用できやすいように十分検討してもらいたいと思っております。
  52. 松平忠久

    ○松平委員 今のお話、大企業の方を上げて中小企業の方は据え置きみたいになったというのですけれども、もっと中小企業を緩和するような御努力をこの上ともお願いしたいと思うのです。同時に、今のは住宅金融公庫の問題ですが、住宅公団による産業労務者の施策というものもあるではなかろうかと思うのですが、それはどうなっておりますか。
  53. 稗田治

    ○稗田政府委員 住宅公団の方におきまして、分譲住宅というのを建設いたしまして、二十カ年で月賦償還していただくということでやっておるわけでございます。その戸数は昨年は一万戸でございましたけれども、本年度は一万一千戸ということで行なっております。このうち、アパートを建てまして一般の人から公募して分譲する、普通分譲と申しておりますが、それと特定分譲と二通りございます。一般分譲は実際はごくわずかな、一年間に三、四百戸程度しか行なっていないわけでございます。他は全部特定分譲ということで、産業労働者住宅と同じように、会社、事業場等に敷地を提供させまして、そこで建て上がったものを割賦払いをしていただくということを行なっておるわけでございます。住宅公団の制度におきましても、制度といたしましては今の特定分譲という形でございますけれども、同じように中小企業を優先的に扱おうというので、金融公庫の産業労働者住宅のワクを設けたと同じような趣旨で公団の方の取り扱い要領をきめまして、現在申し込み等を処理しておるところでございます。
  54. 松平忠久

    ○松平委員 中小企業庁長官に伺いたいのですが、今のような住宅政策というものがずっとあるわけです。これは実際をいうと、末端の中小企業者は知っておる者も知らぬ者もあるわけです。そこでそういった者に対するPRというか、あるいは指導は建設省とあなた方の方で連絡して周知徹底する、あるいはこれを利用するというような積極的な意図に基づいて何らかやっておられますか。
  55. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 今いろいろお話がございましたようなわけで、住宅金融公庫の産労住宅も従来はワクがなかったわけであります。そこでお話の通り自然に大企業がとっていくという結果になっておったわけでございますので、ことしからそういうワクを作っていただいたわけであります。  それから厚生年金の還元融資の場合も、ことしから初めて中小企業の分として、はっきりしたワクを設けてやっていただくことになりましたので、その趣旨関係の地方の団体その他に流してございます。それとともに、住宅金融公庫の方はそうでもないのですが、ことに厚生年金の還元融資のものは初めてのことでありまして、やり方をばらばらにやっておるのではなかなか使いにくいということもありますので、中央会が中心になりまして地方別、府県別にどういう仕組みを作っていくかということもいろいろ検討しておりまして、その成案を得ますれば、大体県ごとにこういうまとまった方式でその金を借りて、住宅なりあるいは会館なりを建てていくという方式でやるように指導していきたいと思います。
  56. 松平忠久

    ○松平委員 厚生年金の場合は今までだと府県が対象になって、そして府県がまた貸しするような格好でやっておったのです。そこに府県会の議決を要するとか何とかいうめんどうくさい手続が要るし、そこから汚職の問題も出てくるわけですが今回の場合はどういう仕組みになっているのですか。融資の対象先は府県を通じてか、あるいは産業の従事者などに直接貸すようになっておりますか。どっちですか。
  57. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 お話の通りでありまして、従来みんな県に流して、県がまた貸ししておった。今度は厚生年金福祉事業団というものを作りまして、大部分の金はそこから直接貸す。県に回るものもございます。今資料を持っておりませんのでその金額その他は何でしたらあとで申し上げますが、県に流す部分でも、中小企業のワクをある程度設けてもらっておりますが、大体は年金福祉事業団の方から中小企業が借りるという方を利用したいと思っております。そのためには事業団が全国一本なものですから、従って受け入れ体制の方もまとまって話をしなければいかぬということで、今検討いたしております。
  58. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 関連。ただいま厚生年金の住宅のための還元融資について御質問がありまして長官からお答えになりましたが、実は社会労働委員会の政府提案法案では、従来通りの起債方式によるということで、厚生年金福祉事業団が直接中小企業を相手にした住宅融資は、一応従来通りの転貸方式によることとしてある。従って厚生年金福祉事業法案ではこれがいかないようになっておる。従ってただいま中小企業庁長官の御答弁はそういう希望を表明されたと思うのですけれども、本委員会としても中小企業の住宅事情その他の福利厚生事業を考えますと、この点は特に厚生年金福祉事業団の取り扱いになるように、ぜひ中小企業庁長官の方でも、それぞれの所管のところへ申し入れをしていただいて、それができるような善処を要望したいと思います。
  59. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 お話の通り、厚生年金福祉事業団から借りる分は、会館だとか、休養施設だとか——中小企業個々の住宅とかいうことでなくて、まとまった施設が中心になっております。われわれとしましても、住宅等もまとまって大きなアパートを作るというようなものにはこれを使わしてもらいたいという希望を持っておるわけでありまして、そこは今後われわれの希望を厚生省その他とも相談いたしまして、だんだん対象を広げるように努力していきたいと思います。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 これから商工会法改正の具体的な点に入っていきたいと思うのですが、今回の改正趣旨は、都道府県並びに全国連合会を作ろうということで、そのことに関連する改正でございます。  そこでまずお伺いいたしたいのですが、本法の五十五条の八、それの二項に全国連合会のなすべき事業が出ております。それの三号に、前項、すなわち都道府県連合会ができる事業、やる事業のうち、一号から四号まで、六号及び八号ということになっておりまして、特に五号、すなわち「商工業に関する技術又は技能の普及又は検定を行なうこと。」こういうことが抜けておるわけです。これで今までならば、全国連合会というのは技能検定といったようなことはできないと思うのですが、きのうの質問等で答弁を聞きまた解釈を聞きますと、二項一号の「都道府県連合会の組織又は事業について指導又は連絡を行なう」という「事業」の中に含まれておる、こういうことですが、なぜ一号から四号、そして六号及び八号ということにして、なぜ五号を除いたのかお伺いいたします。
  61. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 技能の普及または検定の仕事は会議所でもやっておりますが、商工会議所の方でも大体そういうことを直接やるのは個々の商工会議所がやって、それの指導、たとえば検定の指導ということを日本商工会議所がやるという建て方になっておるわけであります。商工会の場合も単位の商工会は数も非常にたくさんあるし、また検定というような権威ある仕事をある程度の広さの地域でやっていかなければいけませんので、そういう仕事には向かないだろうということで、単位の商工会にはこういう仕事を掲げてないわけであります。ただ都道府県連合会ともなれば、そういう仕事をやって、なるべく検定等で、土地柄そういう会議所等でやっている仕事の恩恵を受けられないといいますか、その仕事を利用できないような人に利用してもらうような心持で、連合会の仕事として技術または技能の普及また検定という仕事を掲げたわけであります。それでこの場合全国の連合会は、そういう都道府県の連合会がやる仕事を指導すればいいのでなかろうか。実際問題としてはどこかの県等でやるそのときに全国連合会が共催というか、一緒になってやる場合もあろうかと思いますが、都道府県の連合会が主体になって、全国の連合会がそれを応援してやるという建前でよかろうじゃあるまいかということにいたしまして、全国連合会の仕事の一号に「都道府県連合会の組織又は事業について指導又は連絡を行なうこと。」とございますので、それで当然読んでいけるという考え方をとりまして、実質的及び形式的な法文上の考え方から、第五号を全国連合会の方に引っ張ることをやめた、出さなかった、こういうことであります。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもわかったようなわからぬような答弁ですがね。全国連合会はこの技能の検定なんかできるのですか、できないのですか。
  63. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 こういう仕事は法律の建前からいいまして、一々書かなければやれないかどうかという点につきましては、おそらく「前各号に掲げるもののほか、全国連合会の目的を達成するために必要な事業」でやれるだろうと思います。やれるだろうと思いますが、今の検定等の仕事は、的に都道府県の連合会が主体になってやらして、それを全国的に、あるいはその個々の都道府県のものを指導し応援するというような立場で全国連合会がやることがいいんじゃないかという形を実質的に考えておるものですから、そういう実態から、それを法文上表わす場合には、五号は特別に全国連の方に掲げなくても一号の、一般的な指導または連絡で読める、こういう考え方をとったわけであります。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもおかしい。やろうと思ったらできるということは、もちろん法律違反でないことならできるんですよ。ところが特に技能検定の問題と、たとえばこの四号の展示会、共進会といったような催し等、特に区別して法文の上で書いておるのはどういうわけなんですか。
  65. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 一つはこういうことであろうかと思います。展示会、共進会等は地方別にやるのもあるし、全国連の方も独自の立場で全国的にやるのもあろうかということで掲げておるわけでありますが、技能の検定、たとえば商工会議所等が従来からやっておりますそろばんとか計算尺の検定という仕事は、検定の効果が一般的になるという意味で、できるだけ全国的に統一的に、全国的な基準等でやるのがよかろう。しかし全国的にやるといいましても、都道府県連合会のそれぞれの準備態勢その他の点もありますから 形式的な主体は都道府県の連合会がやるが、それを全国の連合会が、やり方の中身全国的な基準で指導しという形でやるのがよかろうという考え方、展示会の方は、それぞれ一つ一つ違う展示会が地方的にもあり、全国的にもある、こういう考え方からいたしまして、展示会の方は引っ張る。ここのところは検定そのものでなくて、指導をやるという考え方で整備してきたわけであります。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 そうでしょう。結局技能検定等は府県連合会がやるのを、全国連合会は指導する、こういう立場でやるのでしょう。展示会等は主催をしてやる。従って技能検定等は、全国連合会は単独では行なわれないのだ、行なわないのがいいのだという趣旨で、こういう法文ができたのと違うんですか。二項一号によって当然できるのだ、こういう法文解釈が出るとするならば、あえて一号から四号まで、六号及び八号云々という規定も要らないと思うんです。それ一本で同じことがやれるという解釈になると思うんです。  法制局の方に伺いますが、特に一号から四号、六号及び八号と、これだけは別に、二項三号に掲げておりながら五号だけをはずしておるということに、法律上からいってどういう取り扱いの違いがありますか。
  67. 吉國一郎

    吉國政府委員 このような特殊の法人につきまして、その専業の目的として商工会組織等に関する法律第五十五条の八のような規定を設けます場合に、ここにたとえば第一項におきまして第耳石から第八号までに具体的に列挙しております事項は、法としてこういうような事業を行なうことが都道府県連合会としての建前であるということを鮮明いたしまして、一号から八号までは具体的に列挙をする。それで九号としてその八号までのほかに、都道府県連合会の目的を達成するために必要と認められるような事業がある場合には、そういうものも行ない得るものだというような立て方をいたしております。従いましてこの第二項の第一号、第二号、第三号に具体的に掲げてございますが、この第一号の「都道府県連合会の組織又は事業について指導又は連絡を行なう」ということ。第二号の意見を総合して、公表し、などということ。それから第三号に第一項の第一号から第四号まで、第六号及び八号として具体的に掲げてございます事業は、全国連合会が当然行なう事業として法が予定していること。これに対しまして第四号は、全国連合会の目的を達成するために具体的に必要が生じる場合にはその必要な事業を行なうこともあるということを、いわば解明したということに考えるべきであろうと思いますので、この第三号で特に前項第五号あるいは全項第七号の事業が掲げられておりませんのは、それはいわば全国連合会としては本来行なう建前の事業には入っていない。しかし場合によれば第四号によって「全国連合会の目的を達成するために必要」であるという具体的な事情が生じた場合には行なうことがあるかもしれない。しかしあくまで法の当初所期した建前としては、第三号にございますように、第一項の第五号及び第七号の事業は、七号は第二号と重複いたします関係で落したわけでございます。第五号の事業は、全国連合会の本来の事業として法が予定しておるものではないというふうに解釈すべきだと思います。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 結局は一号から八号まで並んでおる事業の中で五号だけがまま子扱いになっておる。こういうことだけは法律上確かですね。
  69. 吉國一郎

    吉國政府委員 五号が他の一号から四号まで、六号、八号と違うことは確かでございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 そんなことじゃない。違った立て方になっておるかどうかということです。
  71. 吉國一郎

    吉國政府委員 違う立て方になっておることは、まさに田中委員の仰せられる通りでございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 そうするとなぜ五号だけを抜いたか、こういうことになるのですが、それは今長官が言ったように、そういう技能検定というようなものは都道府県が中心でやるべきで、それを全国指導すればいいんだ、こういう考え方だと思う。あくまでそういうことになったのは、聞くところによると商工会議所等からの圧力によってそうさせられたのだというような——真実かどうかは知りませんが聞いております。大体商工会法それ自体が、作るときから商工会議所の鼻息を伺い、へっぴり腰で出してきたことは事実なのです。ここではっきりと、全国的な技能検定等もできる、こういうように明記する気持はないか、どうですか。
  73. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 五号の仕事に関して、都道府県連合会と全国連合会、そういう違った形で規定された、これは事実でございます。ただ今お話しのように商工会議所等の主張あるいは圧力によってそうなったかという問題でございますが、実はざっくばらんに申し上げますと、特に珠算の検定について商工会議所が長い間、何十年もかかってつちかって仕事をやってきたわけであります。これも各地の商工会議所が主体になっている。それから日本商工会議所はそれを指導するという立場、名前は共催という形をとっておりますが、これを全国的にやって、ソロバンに関してはほかに珠算連盟とか商業高等学校という団体等でもやっておりますけれども、この商工会議所系統の珠算の検定は非常に権威を持っておるわけであります。新しくたとえば珠算等について商工会系統でやられる場合には、従来やっている制度、やり方に混乱が起こるとか、あるいは受験する、これを利用する人に混乱を与えるとかいうような見方が一部にあるわけでありまして、そういう点から全国商工会がやることは反対だという意味ではなくて、商工会連合会として都道府県全国に限らず、ソロバンの検定をやるときには、既存の制度にあまり混乱を起こさぬようにやってくれという意味で反対といいますか意見があったのであります。ただ商工会議所は都会地がおもであります。郡部の方においてそういう機会に恵まれない層も確かにあるのであります。そうするといなかの方の人はソロバンを受けようと思ったら、一々町へ出てこなければならぬということもあります。ソロバン検定をやるといたしますれば、具体的なやり方はいろいろ相談をして摩擦、矛盾、重複その他がないようにやるというつもりでございます。そういう話し合いのもとに、それでは商工会議所と同じように商工会の方もそれをやる建前にする。しこうして都道府県連合会が主催主体になってやる。それを全国連合会が全国的に指導するという建前にしようということにいたしましたのがこの案でございます。商工会制度そのものについて、商工会方面の一部に現行法律案のときにある意味の雑音があったようにお感じになっておるかもしれませんが、それは主として大都市の問題でございまして、珠算その他の個別的なことについては、従来商工会議所が多年やって相当実績を上げておりますので、そういう意味から多少神経質になるという面はございますけれども、今申しましたようなラインで考え方を整備して、それで話し合いをつけまして、それに基づいて条文を整理した、こういうことになっております。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 歴史的な経過からいって商工会議所の方が古い歴史を持っている。こういうことは事実です。だがしかし、われわれとしては、商工会議所商工会も法の上には平等であり、同列の組織である。このように考えておるわけです。そこで商工会議所がやることは全部商工会もやるのだ、こういう立て方がいい、商工会議所の条文と、ここでいうこういう条文の立て方において何ら変わりがない、こういうことでありまするが、どうもすっきりしない点があります。従いまして特に五号を入れていないがやれるのだ、こういうことの確認、さらに五号も、いわゆる一号から四号、六号、八号と書かず、一号から八号までというように直すかどうか。これはまた別の話としてできるのだということの確認だけはしておきたいと思うのです。それでいいのですね。
  75. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 立て方は、日本商工会議所の方の立て方と同じような立て方をしておるわけであります。しこうして実際の検定等の仕事のやり方は都道府県連合会が主体になって主催して、全国連合会が全国的にそれを指導するという形でやりたいと思いますが、必要とありますれば、そういう必要が起こった場合には全国的に連合会自身が主体として表へ出てくるということはでき得ると思います。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 もう時間もおそくなりましたし、一時十分からわが方も代議士会をやるそうですからもう一点だけ尋ねておきたいと思うのですが、それは五十五条の十七の三とほかにもも一つ全国のものがあったと思うが、商工会を作るときに、商工会法審議のときに員外役員の問題については、いろいろと議論があったことは御承知の通りです。そこで単位商工会では員外役員は十分の一にしてある。ところが五十五条の十七の二項で都道府県連合会、四項で全国連合会ですか、これは五分の一ということになっております。これは単位商工会と連合会であるから、特に連合会の方は幅を広げる必要があるのだ、こういうことをおっしゃると思うのですが、なぜ特別な員外役員のワクを広げたのか、及びその単位商工会と同じようにするならばなぜいけないのか、われわれはあくまでその組織の構成者をもって運営することが一番望ましい。従いまして員外役員ということにはできるだけ規制をしていきたい。十分の一ということにしても専務理事を一人置けるということになるわけで、員外はそういう専門家一人おればいいじゃないか、こういうように考えるのですが、あえて五分の一にせられた理由を伺いたい。
  77. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 昨日もこの点については小林委員の御質問にお答えいたしましたが、単位商工会と違う点がいろいろ考えられますが、運営管理の面で違う点は、単位商工会よりは、指導業務、個々の業者に対する指導と違って、商工業者に対する指導は、いわゆる改善普及員がやるわけでございますが、それと違って、多少指導業務が、高級になるというと変でございますが、そういう感じの仕事に連合会の方はなろうかという点が一点であります。それからもう一つは、連合会となりますと対外的な連絡、折衝といいますか、中小企業関係だけとりましても、商工会議所系統それから中央会系統その他との対外的連絡、折衝というような仕事も相当分量が多くなりはせんかということがございます。そういう場合に間接の構成員である小規模事業者、商工業者が、しかもおそらく連合会ができます場所は、事務所を置きます場所は、都道府県庁所在地ということになるでありましょうから、少し離れたそこに適当な人が必ずあればいいわけですけれども、大体商工会は郡部にあるわけですから、そういう離れたところで、もっぱらこういう仕事に当たってもらうという手数をわずらわし切れるかどうかという点が、単位商工会とは多少違うのではないかという意味におきまして、単位の場合で十分の一以内を五分の一といたしたわけであります。ただ具体的に二十人おりまして五分の一だと最高四人とういことになりますけれども、しからばぜひ四人でなければいかぬかといいますと、実はわれわれも必ずしも確信はないわけでありまして、あるいは一人、二人、場合によっては三人ぐらい必要な場合があるのではないか。しかしそういうことを考えて六分の一、七分の一というのははなはだ何でありますし、五分の一以内のわけですから、五分一ということに規定して、必要以上にこういうものを置く必要はもちろんないわけでありまして、そういう場合には行政指導その他で必要限度にとどめさすという指導もできるわけでありますから、十分の一に対して五分の一、こうやったわけで、五分の一に絶対自信を持っているわけでは実はないのであります。きのう大臣からそういう趣旨のお話を申し上げたわけでありますが、そういう考え方からいたしまして数を少しふやしたということであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 この改正案で問題となるところは、先ほど申しました全国連合会の事業都道府県連合会及び全国連合会の役員の点であろうと思います。この点につきましては質問を通じて明らかにする、こういっても、考えていることが違うのだからこれはやむを得ない。そこであらためてこれをどう取り扱うかということは与党の諸君とも相談してみたい、このように思いまして、時間の関係もありますので、一応質問はこの程度にとどめたいと思います。
  79. 中川俊思

    中川委員長 本案に対しましては、他に御質疑の通告がございませんので、本案に対する質疑を一応終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は一応終局しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日木曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時十四分散会