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木村説明員 お答えいたします。
最近
経済状況の好転に伴いまして非常に
求人が多くなって参っております。しかしその
求人内容をつぶさに
検討してみますると、
新規学校卒業者、中でも
中学校卒業者というふうな若い
労働力というものを非常に欲しておりまして、その点につきましては非常に
求人難の様相を呈しておるわけでございます。三十六年三月の中学校卒業生の場合は、求職者の数に対しまして
求人が三倍、高等学校でさえ求職者に対しまして
求人数が二倍という状況を呈しておるわけでございます。しかしながら一面、中高年令層はやはり失業のまま、相当の人数が安定所の窓口に滞留しておるというふうなことでございます。若い者に非常に集中しておるという事実でございます。
中小企業におきましては、特にこの若い者を要求しておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、やはり大
企業の方が
労働条件がいい、あるいはまた将来に対する
希望が持てるというふうな観点から、若い青少年は
中小企業をきらって大
企業に流れていくというふうな傾向は争えない事実でございます。われわれといたしましては、この
中小企業の労務を充足する
一つの手段といたしまして、集団
求人方式というものを採用いたしまして、地域あるいは業種の団体に加盟しておる
中小企業者に
労働条件というものを協定していただきまして、その団体の協力によって
労働条件を維持し、これを順守していくというぶうなことによって働きやすい場所を作っていただいて、そこに青少年を送り込むというふうな、この集団
求人方式を採用しておるわけでございます。従来まではこれを第三次産業部面につきまして
指導して参ったのでありますが、昨
年度あたりからこれを第二次産業部面にも強力に推進していくというふうな
方法をとっておるわけでございます。
それから問題の中心の、本
年度から何か特別な方策を講ずるのではないかというふうな御
質問でありましたけれども、実は昨
年度あたりから
求人と求職とのバランスが非常にくずれておる。そのために
求人者が求職者の奪い合いをする、こういう事実が顕著になってきたわけでございます。それで東京の
求人者が新潟に行ったり、福島県に行ったり、その他各県に行きまして、各
求人者がその供給地に行きまして、お互いに奪い合いの状況を呈する。これではむだな努力でもあるし、またそこにいろいろの摩擦も生ずるということで、他県に
就職する、また他県から人を集めようというふうな
求人求職につきましては、
労働省におきまして
全国的な労働市場の観点から見ました需給調整というものをはかる必要があるということに考え至りまして、
全国的な需給調整
会議というものを持ちまして、そこで調整をとって、円滑な需給調整をはかっていくという方針も、昨年からとったわけでございます。これはつまり地域的な偏在を是正する。新潟県だけに
求人者が殺到すれば、そこだけが殺到率が非常に高くなって、むだな摩擦が起きる。また一方目を翻せば、たとえば宮崎県その他の県においては案外それほどの殺到率は呈していない、そういったような、
全国的な需要と供給との
関係を見まして、地域的にその偏在を是正して、調整をはかっていくというふうな考え方をとってやったわけでございます。それまでは各県、各安定所間の連絡によりまして、この需給調整が行なわれておったわけでございますけれども、昨
年度から本省がいわゆる音頭をとりまして、各県の持ち寄った
求人と求職との数字をにらみ合わせまして、その地域的偏在を是正して、むだな摩擦を起こさないというふうな観点から、そういった
全国的な需給調整を行なっておるわけでございます。それで昨年あたりは、その
全国的にやる場合でも、一定数以上の
求人——そうでなければ非常に事務が輻湊しますので、大体十人以上他県から求めようとする
求人者について、
全国的な需給調整を事務的にやったわけでございますが、
中小企業者に言わせれば、これは大
企業だけに充足をはかるための
会議じゃなかったかというふうなことがあったわけでございます。われわれの考えておるところとは違ったわけでございまして、今
年度からはそういった誤解を払拭するために、その人数に制限なく、一人でも他県から求めようとするような、他県にまたがる
求人と求職との調整は、すべて本省の需給調整
会議でやるというような方針に変えましたので、かえって昨年よりは本年の方がその気分的な問題においても
中小企業者に不利であるというふうなことはない、かように考えておるわけでございます。
それから
中小企業の充足をどういうふうにするかという問題でありまするが、何といってもこれはまあ
求人条件を上げなければならない。上げるためには集団
求人方式などをとっておるわけでございまするが、そういったような
方法でやはり
求人の条件を上げていって、働きやすいような職場を造成して学卒者を向けていくというふうな
方向に、われわれは一そう努力していきたい、かように考えておるわけです。
以上簡単に状況だけ御
説明申し上げます。