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中村(重)
委員 法律は朝令暮改というわけにはいかないのです。今そういうことは起こってこないだろう、それで実際やってみたところが、二、三カ月しますと、今通産省がお考えになっておられることとはだいぶん違ってきた。
取引秩序というものは非常によくなってきた、弊害は少なくなった、こういうことは認めるが、違った
意味においての弊害が非常に起こってきた。これが経済上、あるいは
中小企業と大
企業、
消費者、そういった社会政策的な大きな問題点になる。こういうようなことが起こってくるということになりますと、今直ちにそれでは
法律を変えようというような、そう簡単にも参ることではございません。そういうところの問題が非常に大きいのではなかろうか。
それから私の
質問に対して松尾局長は、耐久性のある商品の指定、これは政令で
定める、現在行なわれておる
割賦販売、いわゆる月賦で売られておる品物は、大体指定するのだとおっしゃった。ところが
割賦販売がここでずっと推進されて参りますと、現在は
割賦販売を
中小企業等は行なっていない。いないけれども、そういう
割賦販売がずうっと伸びて参りますと、
消費者がみんなどうしても
割賦販売に引きずられていく。こういうことになって参りますと、
割賦販売をやらなければ成り立たない。ところがなかなか改定ができないということになって参りますと、その面からも問題になってくる。たとえばガラスの例をとりますと、割れるガラスよりも割れない旭ガラスの方が耐久性がある。そういうことで、こういうものを耐久性があるとして指定するということになってくると、これはまた
中小企業が圧迫されるという形が出てくるというように、そう弊害がないと言えるほど簡単ではありません。お役所が考えておるように商売人はそうのんきではない。そういうことを私どもは小
委員会でもつぶさに掘り下げて、修正するところは修正していかなければならない、このように考えておるのですが、通産省としてもその点は十分お考えになって、小
委員会ではほんとうにまる裸になって、これから先
法律を作り上げていくのだ、こういう気持で取り組んでいただきたいと考えておるわけであります。
なお、
所有権の
留保の問題なんですが、この点も罰則というところまで及ぼして参ります、こういうことで大臣の意向を伺っておきたいと思います。
所有権の
留保の推定というのは、的根拠からいたしましても、
現実の面からいたしましても、非常に無理だろうと思うのです。先ほども
信用保険の問題でいろいろと議論がございましたが、無理だからそういうことになるのです。欧米諸国の中で
所有権留保の推定をやっておるのはイギリスが
一つあるわけですが、このイギリスの例を見ましても、これは賃貸
契約になっておるのです。ところがこれでは賃貸
契約という形をとろうとしておりません。物を売った、その売った品物の
所有権は、まだ
販売者側にあるということであるならば、その間は賃貸
契約で使用料とかなんとかいう形式でなければ、法的におかしいと思う。
業者が希望するからというので、
所有権の
留保の推定という形にしておるのですが、これはかえって悪い結果を生むのではないかと私は思う。時間の
関係もありますので一問一答的なことをやめまして、
意見を申し上げて御答弁を伺うのでありますが、
所有権の
留保の推定は
販売者側が心理的にこれを利用するのです。安心感を持つのです。
所有権留保の推定があるから物を売っても大丈夫だというので、あまり
信用調査等もしないでじゃんじゃん物を売っていく、そういうことで
購入者側と問題を起こす。トラブルはかえって起こってくる。ついには力と力の対決なんです。そういうことが起こって参ります。いわゆる自力救済の問題とか、家宅侵入の問題とかなんとか、そういうことが起こって参りますから、そういう無理な
所有権の
留保の推定ということをやらないで、物を売ったら、担保の形式をとって、遅滞したならば直ちに解約をする、そうして物を返還させるというようなそういう形式にしておかなければこれは非常に問題が起こる。これは心理的にはどうしても買った方が、借りておるのだ、自分のものではないという心理的な効果をねらうということで、結果は逆である。むしろ私が今申し上げたように、
業者自体、
販売者側の心理的な
関係というものにかえって問題を起こしてくる。
現実には非常に無理だ、法的にも非常にあいまいだ、こういうように私は考えるのでありますが、そういう点を前から問題にしておりますから十分研究しておられると思いますが、どうなんですか。