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1961-05-11 第38回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十一日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       遠藤 三郎君    小沢 辰男君       神田  博君    菅  太郎君       笹本 一雄君    首藤 新八君       中垣 國男君    濱田 正信君       林   博君  早稻田柳右エ門君       岡田 利春君    加藤 清二君       小林 ちづ君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         経済企画政務次         官       江藤  智君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上林 英男君         通商産業政務次         官       始関 伊平君         通商産業事務官         (大臣官房長) 樋詰 誠明君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君  委員外出席者         議     員 二階堂 進君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         通商産業事務官         (企業局次長) 伊藤 三郎君         通商産業事務官         (企業局商務課         長)      齋藤 太一君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月十日  物価値上げ反対等に関する請願外十件(川上貫  一君紹介)(第三八〇〇号)  同外十三件(志賀義雄紹介)(第三八〇一  号)  同外十一件(谷口善太郎紹介)(第三八〇二  号)  同(河野密紹介)(第三九七六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三九七七号)  公共料金値上げ反対に関する請願伊藤卯四  郎君紹介)(第三八九三号)  同外一件(春日一幸紹介)(第三八九四号)  同(鈴木義男紹介)(第三八九五号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三九七二号)  公共料金等物価抑制に関する請願多賀谷真  稔君紹介)(第三九三一号)  同外二十一件(飛鳥田一雄紹介)(第三九七  三号)  同外一件(多賀谷真稔紹介)(第三九七四  号)  同(山花秀雄紹介)(第三九七五号)  黒又川第三発電所着工促進に関する請願田中  角榮紹介)(第三九三二号)  公共料金値上げ反対に関する請願羽田武嗣郎  君紹介)(第三九六八号)  中小企業振興基本法制定に関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第三九七〇号)  商工会連合会組織法制化に関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第三九七一号)  物価政策等に関する請願多賀谷真稔紹介)  (第三九七八号)  同(永井勝次郎紹介)(第三九七九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  離島振興法の一部を改正する法律案綱島正興  君外七名提出衆法第三二号)  割賦販売法案内閣提出第四〇号)  機械類賦払信用保険臨時措置法案内閣提出第  七二号)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  綱島正興君外七名提出離島振興法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本案に対しましては別に質疑通告がございません。  この際、本案予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定によりまして、内閣において御意見があればこれを許可いたします。経済企画庁政務次官江藤智君。
  3. 江藤智

    江藤政府委員 本法案趣旨につきましては、別に異存はございません。
  4. 中川俊思

    中川委員長 これより本案討論に付するわけでありますが、討論通告がありませんので、これを行なわないで直ちに本案を採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、本案を採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 中川俊思

    中川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書等の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  8. 中川俊思

    中川委員長 この際岡田利春君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。岡田利春君。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 聞くところによりますと、政府は十三日ごろに昭和三十六年度の補正予算国会提出する、こういうお話を聞いておるわけですが、この補正予算の中で、特に過般来当委員会並びに本会議で決議されました炭鉱保安に関する予算措置が含まれてないように、新聞談話等の発表で見られるのであります。そこで炭鉱保安の問題は非常に緊急を要する問題でありますし、しかも本件は党首会談等も開催して、池田総理並びに通産大臣、各関係大臣が早急にこの点の万全の対策をとる、こういうことが再三再四繰り返されて言明されておるわけです。従って、初めにまず、これら炭鉱保安に関する当初通産省要求の三十六億だと思いますが、これらの予算補正予算に組まれておるかどうか。あるいは組まれていないとすれば一体どういうことになっておるのか、大臣から御答弁を願いたいと思います。
  10. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この問題はきわめて重要な問題として、われわれも最も近い機会対策の施策を具現したい、こう考えておったのであります。しかるに今回提出しようとしておる特別会計補正予算につきましては、御承知の通り人事院勧告に基づいてベース・アップを国鉄においてやることになりまして、その所要額が約二百億近いものになるわけであります。これを補正をせずにスタートするということによって、せっかく値上げした収入がほとんど半分方そっちの方に流れるということでは全然計画が挫折してしまう、こういうことでこれを補正していこう、こういうのでございまして、その内容は私はまだつまびらかにしませんけれども一般予算の方からは一文も入っこない。国鉄特別会計の中のやり繰り、あっちからこっちからいろいろかき集めて、そうしてこの欠陥を補正しよう、こういうのであります。一般予算補正はこの際はどうしてもできない、こういう考え方であるのであります。  そこでどうしてもわれわれとしては災害の問題、それから運賃石炭にかぶる問題、こういったような問題については、一体どうすればいいのかという問題に当面逢着したのでございますが、災害の問題についてはこれは融資と、それから補助金、それでいこうということになっているのであります。必ずしも三十六億一文も切っちゃいかぬ、こういう性質のものでもございません。適当に考えて何としても必要最小限度のものはまかなっていかなければならぬ、こう考えておるわけでありますが、さしあたりの問題といたしましては、まず予備金支出によってやる。予備金支出によってまずまかなって参りまして、そして将来予算補正等機会において、この全体の締めくくりをする。それから一方においては政府関係金融機関から適当額融資をする、こういったような考え方で、何べんにも分けて問題の処理をしよう、こういう考え方でございます。  それで、今回大蔵省と話のついておりますのは四億程度でございますが、決してこの問題はこんなところでとどまるべきものではない。今後今申し上げたような手順によって適宜この問題を実現する、こういうことになっております。何しろ問題が緊急な問題でもありますから、オール・オア・ナッシングということで、いつまでも粘るということよりも、まず手をつけなければならぬものから実現して参る、こういう考え方でいきたいと考えます。  それから石炭運賃の問題については、これはまだ折衝中でございますが、いずれにしても、政府関係方面残らずこれは何とかしなければならぬという、そういう気持にもなってくれておりますから、これをどういう形で実現するかという問題だと思うのであります。今後あくまで努力いたしたいと考えております。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、ただいま大臣が言われた四億というのは、いわゆる予備金から支出する金額が四億、こういうことでございますか。
  12. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これはきのうの夕方とりあえずこういうふうになったという報告を受けておりまして、きょうまだそう詳しく内容説明を聴取しておりませんが、融資も多少入っているのじゃないかと思います。いずれあとで御説明申し上げます。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうすると、それは別にしておいても、融資の問題についてはどういう措置がとられておるのですか。大体融資の場合は、おもに施設の改善、こういう面に振り向けられるということが、その内容になっておるわけですね。従ってこの融資に対して、通産省としては当面どういう措置をとられておるのか、内容によっては特に現実に予算措置をしなければ手をつけることができないという問題でないと私は思うのです。そういう点で、どういう措置を今までとられておるのか、この点いかがですか。
  14. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 問題としては人員を強化する、保安要員をふやすという問題、それから保安施設充実等につきましては、ものによってはあくまで補助金でいくべきものであるというものと、それから融資でいこうというものがございます。そこで一部予備金による補助、一部は融資によってまかなう、こういうことでございます。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 それで、これは大臣に聞いても若干無理じゃなかろうかと思いますので、質問はこの程度でやめますけれども、問題は、なるほど補正予算提出されなかった理由は明らかになったわけなんですが、どうも融資の問題についても、その後さっぱり具体的に進んでないという工合に私は聞いているわけです。大体通産省要求内容を見ても、あるいはわれわれが要望した内容からいっても、当面現行の融資体制の中でも、ある程度早急に処置のとれる面もあるのじゃないか、このように私ども考えますし、特に低利融資の場合にはこれは当然検討して、これに対するはっきりした方針を出さなければなかなかむずかしいと思う。しかしいずれにしても相当時間も経過しているわけですから、予算措置の伴わないものについては積極的に実施をしていく。それから今言われておる四億程度の金ではございますけれども、この点も積極的に推進してもらわなければ、非常に時期を逸してしまうのではなかろうか、このように私どもは心配いたしておるわけであります。補正予算の問題は、わが党でさらに予算委員会の中でやることにいたしまして、そういう点を特に通産大臣として配慮願いたいと思います。  それから私は質問しなかったのでありますが、大臣から親切に石炭及び金属鉱物鉄道運賃の問題について御答弁をいただいたのでありますが、これは大体折衝過程として、この差を政府公共負担をするという建前に立っておるのか、あるいは現在の鉄道会計の中で消化をするという建前に立っておるのか、どちらの方に力点が置かれておるのでありましょうか。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私どものねらいとしては、膨大な国鉄予算でありますから、この程度のことはあと締めくくりはいかようともすることにして、これはもう一つ現実的に従来の運賃を据え置きに願いたいということを、あくまで言おうとしておるのであります。そのチャンス及びその他との関連等があって、なかなかデリケートな問題でありますので、しばらくの間……。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はこれで質問を終わりますけれども、この結論は今月一ぱいくらいに出る見込みでございますか。
  18. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私は出したいと思います。      ————◇—————
  19. 中川俊思

    中川委員長 次に割賦販売法案及び機械類賦払信用保険臨時措置法案の両案を一括して審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。中村重光君。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 大臣がおいでですから、昨日の始関政務次官答弁関連をしてお尋ねをしておきたいと思うのです。  割賦販売法の第九条と第十条には、指定商品ごと割賦販売価格に対する賦払金の標準であるとか、あるいは頭金の問題であるとか、こうしたことを告示をするというようなことになっておるのであります。これは大臣より、取引秩序を健全にしていくということが本法案立法趣旨である、このような答弁であったのでありますが、この第九条、第十条ともにそのような考え方から制定されているのか、その点を伺います。
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘通り、これは秩序維持のための法規でございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 私ども割賦販売法制定された結果として、先般来よりいろいろ大臣質疑をいたしましたように、大企業中小企業との関係、いわゆる中小企業を大企業が圧迫をするというような形が、販売面においてあるいは資金面において生じてくるのではないか、また本法制定によって特に消費者が買いやすくなる、そういうことからオーバー消費になる危険性があるのだということを強く指摘してきたのであります。昨日も始関政務次官に私はそのことを質問したのでありますが、政務次官はそうしたオーバー消費に対しては、頭金であるとかあるいは賦払い期間であるとか、そういうことによってこれを調節するのだという意味答弁があったのであります。そうなって参りますと、それは単なる取引秩序ではなくて、政策的な運営という形になってくる、このように考えるわけであります。始関政務次官答弁取引秩序という範囲内における答弁ということになれば、私はそうならないと思うのでありますが、大臣の御見解を伺ってみたいと思います。
  23. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 この法律が将来施行された模様によって、頭金の問題であるとか、あるいは賦払い期間問題等に関していろいろな弊害を除去するために、必要な場合にはそういう手心を加えることもあり得ると思うのであります。とにかくこの制度を打ち出したただいまの立法態度考え方は、あくまで取引秩序を正すということにあるのであります。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 大臣のただいまの答弁と、昨日の政務次官答弁とは食い違っておると思います。政務次官はこの法律によってそうした景気過熱に対するところの調節、あるいはオーバー消費ということによってそれを手かげんしていくのだ、操作していくのだというような、全くこの法を政策的に運用するというような答弁であったのであります。ただいまの大臣答弁は、あくまで取引秩序をこれによってよくしていくのだ、その結果によって将来は考えることもある。こういうようなことでは食い違っておると思う。従来通産省はこの割賦法というのは、あくまで取引秩序を公正にしていくのだといことで一貫してきたのであります。決して政策的にこの法を運用しない、こうした態度であったと思うのであります。私どもは、取引秩序を公正にしていくというような交通整理的なものでは不完全である、一面においてはそういうことは成功するかもしれませんけれども、むしろこの法の制定によって大きな弊害がかもし出されるであろう、そのことがむしろ問題ではないか、従って政策法的な性格を持って、内容もそうした形において改めていかなければならないのじゃないか、こういうことを強く要求してきたのであります。しかし大臣答弁はただいまの答弁と同じようなことで終始しておるわけであります。政務次官答弁はそうではない。そうなって参りますと何だかこの法律には隠れみのがあるような感じがしてなりません。各条文によって質問しておる中にも、そのような感じを強く受けるのでございますが、大臣のもっと明確な考え方というものを、この際明らかにしてほしいのであります。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 法律そのもの建前は、あくまで秩序法規であるのでありますが、ただ将来この割賦のために景気が過熱する——他理由から景気過熱ということがありますけれども割賦販売というものがそれを助長するというような場合でありますとか、あるいはまた消費過剰というような情勢がこのために起こってくるという場合には、各国の例を見ましてもだんだん経済がいろいろな形において成長していく、割賦販売という問題を中心にしてやはり各国においていろいろな状況が次々と出てきて、これに対する対策がまたそのときどきの必要性によってとられておるのでございますから、おそらく始関政務次官もそういったような各国の例もあるので、割賦販売制度というものがあるために消費過剰現象を来たす、あるいは景気過熱現象を来たすというような場合には、適当にまたこの運用について手心を加えなければならぬことになるかもしれぬ、こういうことを申し上げたのだろうと思うのであります。ただいまのところでは淡々としてとにかく現に行なわれておる割賦販売というものの弊害を除去する、あくまでも正しい姿にこれを持っていく、どっちかというと消費者の方が立場が弱いのですから、消費者保護というものに重点を置かれておるのでありますが、そういう意味においてこめ正しい姿を守っていく、こういうのでございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 取引秩序を公正にするというような一面からのみ、この法が必要であるとするならば、それは大臣答弁通りであります。しかし私どもはそういうことでは不完全であるということで質問もし、指摘もして参っておるのでありますが、昨日の政務次官答弁というような形で、ただ通産省景気が非常に過熱してきた、あるいはオーバー消費というような形、あるいはもっとこれをたくさん売っていかなければならぬのだ、オーバー消費をむしろ促進していかなければならないのだ、そういったようなことからだけこの法を拡大解釈をしてきたり、適当に運用するというような形になって参りますと、今大臣答弁されたような取引を公正にする、取引秩序をよくしていくんだというような方向でなくて、むしろ弊害を助長していくといったような結果が起こってくるということを警戒するわけであります。従ってその点を私は指摘したわけであります。まだ本法審議に対しましては、小委員会等におきまして詳細に質疑をしてみたいと考えております。  続いて具体的な質疑をしたいのでありますが、大臣よりもむしろ事務当局でよろしいと思います。  昨日書面交付の問題に対しまして所有権留保推定のことに対して書面交付する中に、この点を明らかにするようになっていないということは大きな問題であるとして、私はこの点をただしたのであります。この点に対しては松尾局長より、そうすることが親切であるならば、そういうこともやらなくてはならないであろうというような意味答弁があったのでありますが、次の所有権留保推定ということが刑事罰にまで発展をするというような内容を持っておりますだけに、この点は非常に重要な条文となってくるわけであります。従いまして私はこの点を特に重視いたしまして質問をいたしたのであります。しかしなおこのことに対しましては小委員会等におきまして詳しくただしてみたい、このように考えておるのであります。  なおこの書面交付は単なる訓示規定であって、強行規定になっていない。書面交付をしなくとも処罰する規定がない、こういうことになっておるのでありますが、そういうことは必要がないのだ、強行規定は必要がないのだというような考え方の上に立っておられるのであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  27. 伊藤三郎

    伊藤説明員 強行規定にはなっておりませんが、必ず絶対必要でないというわけではございませんけれども、一応そこまで法律規定するのは少しひど過ぎるのではないか、現在の段階では今の案の程度でいいのではないかというふうな考え方であります。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの答弁も非常にあいまいでありますが、必要がないというのではないのだ、そういうことでは私ども審議にあたって非常に迷惑をいたします。こういう法律ですから、取引秩序を公正にしていく、こういうことでなければならぬというならば、もっと信念を持った答弁ができるようなことでなければならぬ、そういう権威のある法案を作ってもらわなければならぬ、このように考えるのであります。なおこの割賦販売というものが従来いろいろ問題をかもしてきた、こういうことから遅滞をした場合の催告といったようなことが明らかになっているのでありますが、一回の遅滞の場合でありましても、十五日以上の支払い催促に応じなければ割賦支払い権利を失う、こういうことであります。このことはいろいろ問題が出てくるわけであります。たとえば農村地帯におきましては、必ずしも平均して毎月の収入があるわけでもございません。あるいは病気その他によって支払いがおくれていくということもありましょう。あるいは寒冷地におきましてもそのようなことがいろいろと起こってくるわけであります。それは第三十一条にいうところの契約によってその支払い方法をきめるんだ、こういうことになろうかとは思うのでありますが、そのいずれかの方法をその契約の中に明らかにするといたしましても、一回の支払いでも十五日の期間を置いた催告をやる、それに応じなければ賦払い権利喪失をする、こういうことになっておるのでありまして、この点は非常に問題が起こってくるのではないか、むしろ販売者側購入者側との間に物議をかもしてくるということが生じてくるのではなかろうか、とのような感じがするのでありますが、まずその点に対して考え方を聞かしていただきたいと思います。
  29. 伊藤三郎

    伊藤説明員 ただいまお説のように、買い手立場から考えますと、あるいは酷であるというような場合も考えられないことはございません。ただ売り手の方の立場がございますし、民法の判例では大体三日くらいというようなのが相当ございます。そういう点から考えまして、売り手買い手両方立場を判断いたしまして、十五日程度というのが適当ではないかというように考えて、こういう規定をしたわけであります。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 十五日という期間を限ったというようなこと、それに対してはいろいろ考え方というものがあるわけでありますが、十五日間の期間を置いた催告をやる、ところがその十五日を過ぎて支払いがなかったならば、今度は販売者側はこれによってもうすでに契約を解除されるとか、あるいは賦払い期間権利というものは、もうこれで終了するのだという意思表示をしないで、自動的にこの権利喪失してくるということになって参りますと、そこに問題が起こるわけであります。一応催告をする、その期間に払わないという場合はもうこれによって契約は解除されるのだ、そういう通告をする、いわゆる意思表示をする、それによって販売者購入者割賦賦払い契約というものの権利が、ここで喪失をするというようなことにしなければならないのじゃなかろうか、そのことが明らかになっていないわけであります。そういう点はこれでいいというようなお考えになっておるのであるかどうか、まずその点を明らかにしてほしいというわけであります。諸外国の例を見ましてもこのようなことではありません。販売者側意思表示というものがここで明らかになって、意思表示が行なわれて後に、そのような解約というものが成立をするということになっておるのであります。現実もそうであります。諸外国の例を見てもそうであります。この法案だけがどうして自動的にそのようないわゆる解消というような形になるのかどうか、その点を明らかにしてほしいというのであります。
  31. 伊藤三郎

    伊藤説明員 十五日以上の期間を定めて、その支払い書面催告をするということにいたしまして、単に口頭で催告をするというような程度ではなく、ちゃんとはっきりした形で書面催告をするというふうに規定をいたしました。その結果支払いがない場合に契約の解除ができるというふうなことであります。支払いがなければ当然契約が解消するということではございません。催告をして、そして支払いがないときに初めて解除の措置を販売業者がとり得るということで、当然解消というわけではございません。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまのあとのことは明らかになっておりません。再度の催告をしなければならないとかそういうことは御答弁だけであります。法文の上にどこにも明らかでありません。十五日の期間を置いてこれを催告しなければならない、こういうわけであります。それで払わなかった場合あるいは一部払った場合、再度の催告の必要もない、あるいは契約を解約されるということに対しては、もう十五日の期間を過ぎたならば、一方的に販売者側の意思によってこの契約の解除をされる、あと所有権留保推定というものがありますが、極端にいったら十六日目にはこの品物をとりに行ったってかまわない、こういう形になります。だからそういうことではこの法としては非常に問題を生じてくるのじゃないか、その期間が過ぎたならば、再度契約はこれによって解約されるという意思表示をする、通告をする、何かこの点を明らかにしておかなければならないのだというわけであります。答弁あとでよろしゅうございます。一応私の質問を中断いたします。
  33. 中川俊思

    中川委員長 田中武夫君。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 政府に申し入れをいたしておりました関係上、大蔵大臣わんざわざ来ていただいて待たして大へん失礼いたしました。  そこで大蔵大臣も御承知と思いますが、機械類賦払信用保険臨時措置法というのが当委員会審議をしております。この保険法に関連をいたしまして、特別会計法案が大蔵大臣の所管として出ておるわけでございます。そこでこのことについてお伺いいたしたいのですが、先日この機械賦払信用保険法につきまして、椎名通産大臣と佐橋政府委員とに対しまして、本法の目的及び適用の範囲等について尋ねましたところが、若干答弁のニュアンスが違っております。特に最高百五十億、本年度二億円かの金を出して特別会計を作り、この保険に対して国が援助しよう、こういうことですが、大臣はこの保険法に対しましてどのような認識からそういう予算を出し、あるいは特別会計を置く、こういうことになされましたか。大蔵大臣としてこの機械類賦払信用保険法の認識をどう考えておられますか、どういう考え方でありますか伺いたい。
  35. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 こういう制度を作って賦払い販売に伴う危険をカバーするということによって、まずやはり中小企業の近代化が促進されるということでございます。中小企業は御承知の通り今までみな中古品の機械を入れておったり何かして、ほんとうの近代化としては必要な機械が買えなかったというような状況でございますので、この賦払いを促進させるということによって中小企業の近代化が進むということ。もう一つはこういうふうに需要が拡大することによって一方日本の機械工業が振興される。できるだけ日本の機械工業が、一つの会社が多種多様なものをやって、高コストの機械を作るのでなくて専門化することが好ましい。そして大量生産ができることがいい、コストが下がって国際競争力がつく、そういう方向へ持っていきたいと多年私どもは考えておったのですが、これが市場が拡大されない限りはなかなかできないというときでございますので、中小企業の近代化とあわせて機械工業の振興というものが一緒に行なわれるためには、この制度は非常にいいと私どもは考えて、予算措置もしたということでございまして、目的は二つあろうと思っております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 目的は中小企業の設備の近代化と機械工業の振興、この二つがあろうと思います。こういうことでありますが、信用保険法の第三条三項二号には「及び」という言葉でつないであるわけです。そこで大臣は特別会計運営にあたり、あるいは予算の設定にあたって、ウエートをどちらに多く置かれたのですか。中小企業の設備近代化ということが主たる目的であるのか、あとの機械工業の振興ということが主たる目的であるのか、それを伺いたいと思います。
  37. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私どものとっておる経済成長政策から見て、これは両方とも比重をつけられないのではないかと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 本委員会で前に椎名通産大臣及び政府委員に対して、この法案並びに同時に今審議しておりますのに割賦販売法案があります。この二つの割賦という販売形式についての法律は、三十四年、三十五年、本年とものすごい設備投資が行なわれて、それがようやく今生産段階に入ってきた。ところが設備投資並びに生産に見合うだけの賃金が出されていない。そこでこの二つの割賦法案は、設備投資からくる過剰生産を救済するための法律案ではなかろうかとわれわれは言っているわけです。現に国民総生産と設備投資の割合を見ましたら、三十三年、四年、五年、六年と逐次国民総生産に対する設備投資の比率が上がってきております。三十三年では一五・八%、それが三十四年では一七・三%、三十五年では二〇%、三十六年度はまだわかりませんが二〇%以上であろうと推定せられております。そこで大蔵大臣としては、こういう国民総生産と設備投資の割合がどの程度であるのが国民生活について必要なバランスであるのか、何%くらいがいいのか。だんだん二割以上になっている。これは設備投資の行き過ぎではなかろうか。しかも設備投資によって多量に生産されてくるものに対する有効需要が伴わない、そこで割賦という方法によって生産過剰になることを救おうとして、いわゆる消費ブームを助長しようというところに法案としてのねらいがある、このように見ておるわけです。従いましてこの信用保険法が、中小企業の設備近代化のためであるということなら意義はわかる。しかし一方も同じように見る。しかも機械を賦払いで買った場合は、中小企業のみでなく大企業についても保険をつけてやるんだという考え方は、まさに大企業あるいは設備投資の行き過ぎに対する保護立法ではなかろうかと考えておるわけなんですが、大蔵大臣立場からはどうお考えになりますか。
  39. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 日本の設備投資の意欲は非常に強く、ことに最近の動向は大企業の設備投資意欲というのではなくて、中小企業の段階にこの意欲が移ってきている。各中小企業がここで自分の合理化をやりたいという意欲が、特に最近強くなってきているということが、今の一つの特徴と見ていいと思います。従ってそういう情勢下において、中小企業がなるたけ割賦販売というようなことで、中古品を買わないで新しい機械で合理化をやりたいという意欲が非常に強うございますので、こういう割賦販売制度というものを、もっと使う方の立場の利益になるように法的措置を講じてくれというのは、むしろ中小企業の側の今の要望ではないかと考えております。そこでだんだん要望に沿うという意味から、この法案は非常に適当だと考えております。かたがたそういう中小企業の要望に沿って、こういう制度を作るとしますと、やはり保険料の問題が起こりますし、大企業へ売るものだけは取りはぐれがないから保険の対象にしないというふうにすれば、あぶないところだけの保険ということになって、保険料が上がりますし、この保険料が売り値に響いてくるということでございますので、保険は分散して対象を広げるということが中小企業から見ても利益なことでございますから、こういう制度をやる。この制度ができることによって、さっき話しましたような、一方メーカー側の設備投資にいたしましても、多種の機械を作るというふうな方向へ広がっていくか、そうでなくして、できるだけ自分のところで最も得意とする機械専門メーカーになっていくという方向に育てられていくかというものも、やはりこういう制度によって方向が分かれていく問題でございますから、これは今のメーカーのオーバー・プロダクションを解決する方法だというふうに考えるのはどうかと思うのです。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣が二つ言われた前段の中小企業の要望にこたえ、この近代化を促進するためのということは、われわれとしても賛成であり、了承しておるわけです。ところが、しかしながらと言われたあとがいけない。国が金を出してやる。これは私はあくまで中小企業が買った場合にのみめんどうを見る、大企業はめんどうを見なくていいんじゃないか、このように考えているわけです。通産大臣中小企業の設備近代化ということに重点を置かれて説明されました。局長は今の大蔵大臣と同じように二つをパラレルに考えて説明された。そこに若干ニュアンスが違っておるわけです。三人の間で一応打ち合わせていただいて、はっきりした回答を出していただきたいと思います。
  41. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御承知の通り法律の第二条に、「中小企業の近代化に資し、かつ、機械工業の振興上特に」云々と書いてありまして、二つの要請にこたえる法律であるということは、私がかつて提案理由を御説明申し上げたときにも明確にそのことを申し上げておるのであります。ただ運用上の問題になりますというと、その置かれた状況、時代、そういったようなものによって、おのずからどっちの方によけいウエートが置かれるかというようなことは、そのときそのときの客観的情勢によって、運用の重点というものは変わるのじゃないか。実は法律運用の一つの一般原則としてさように心得ておるわけでございまして、私はどっちかといったならば今日ば中小企業の近代化というようなことが大事だという頭があったので、ついニュアンスの違いがそこに出てきたのじゃないか、かように考えております。今御両所の御了解を得ましたのであらためて申し上げます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業の設備の近代化を促進する意味において、中小企業が工作機械等を分割して買う場合に保険をつけてやろう、そういうことによって買いやすくしてやり、あるいは売りやすくしてやる。そして中小企業の設備近代化が促進される。これはよく了解しておるわけです。そのことが日本の機械工業の発展のためになるのだ。これなら理解するのです。ところが大企業がメーカーからあるいはいわゆる法文でいうなら三条の一項のカッコの中に入る業者から買った場合も保険になる。ここのところを私は問題にしている。大企業が買った場合にも保険の対象になるのだ。なぜかというと、中小企業の場合には危険性が大きいので保険料その他が高くなる。だから大企業を入れるのだ。こういう説明なのです。そうすると大企業が買った場合も保険料の対象にするということは、法律の精神からではなくて、保険料金の関係から入れるのだ。こういうことなのですが、なお第二条には「中小企業の設備の近代化に資し、かつ、機械工業の振興」云々となっている。「かつ」となっている。それから三条の三項二号では「中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興」となっている。法律上「かつ」ということと「及び」ということは、どのように違うのですか。
  43. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 私たちが法案を作りましたときには、両方を兼ね備えるという意味で、「かつ」もあるいは「及び」も同じだ、かように考えております。  それから、この法案では先ほど大臣説明いたしましたように、中小企業の設備の近代化に資するということ、それから機械工業の振興に役立つという両目的を兼ねたわけで、一つの機械が大企業のみに使われるというものは、全然本法案の対象といたしておらないわけであります。主として中小企業に使われるもの、これを同時に大企業が使う、買う。大企業は御承知のように普通の場合は当然即金で買う事態が多いとは思いますが、この法案によりまして割賦の対象を受けるという場合に、これを排除する必要はないじゃないか。その効果が、排除しないことによって中小企業の連中が機械を買う場合の保険料なり、料率の低下なり、危険の分散に役立つという意味において、大企業を排除するほどの必要はない。むしろ入れた方が適当ではないか、こう考えておるわけであります。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 まず私の質問の一点の方から申し上げますが、大企業を入れた方が保険料とか保険運営のためにいい。従って本法から排除する必要がないから入れる。こういう御答弁ですから、このことについてはまた後に論議したいと思います。本法の精神はあくまでも中小企業の設備近代化ということがまず看板でなくてはならぬ。そういう点から疑問を持っております。それから次の法律用語としての「かつ」と「及び」です。このことについてはあすにでも法制局に来てもらってもっとやりたい。私の解釈としては、「かつ」というのは原因と結果の関係が出てくる。それから「及び」というのは法律的には並べて二つの条件というように読むべきではなかろうか、こう思うわけです。その定義と保険契約の条件のところで字句を変えたのはなぜ変えたのか、一定する必要はなかろうか、こういうように考えるので、局長において答弁できるならけっこうですが、何でしたら法制局の方へ答弁を譲りたい、こういうように考えております。従ってこれはあす法制局の方から来てもらってこの問題を取り上げたい、このようにして次に進みます。  大蔵大臣の時間の関係もあるだろうから、大蔵大臣にまず御質問いたしますが、本年度はこの保険の特別会計として二億円が計上せられております。ここにはいろいろ回収金だとか保険料率だとか、がたがた書いてあるのですが、結局この二億円の特別会計によってとれほどの機械購入に対して保険がつけられるか。いわゆる特別会計の内容はどういうことになっておりますか。
  45. 田代一正

    ○田代説明員 御説明いたします。積算の根拠は、実際に割賦販売になる売り上げが六百億ぐらいになったら、そのうち半分ぐらいが保険に入ってくるだろうということで、大体三百億ぐらい保険の対象となっているということで考えております。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 二億円の金が結局は六百億円に相当する機械の購入に対して刺激になる。しかし保険のカバーするのは半分だから三百億円だ……。
  47. 田代一正

    ○田代説明員 そういう意味じゃございません。加入率と申しまして機械全体で六百億ぐらい割賦で売られる予想があるだろう、その中で半分ぐらいはこの保険に入ってくることになるでしょう、こういうことなんです。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると三百億がこの保険によって刺激せられる購入である、こういうふうに考えておられるわけですね。そうして三百億円という推定との関連及び本法でいう包括信用保険が二億円で、三百億円のやつがまかなえるのかどうか、それはどういう計算のもとに二億円とし、三百億円と推定したか、その推定の基礎を示していただきたい。
  49. 田代一正

    ○田代説明員 それは保険の経理と申しますのは、一方に保塗料収入というものがございます。保険料収入をどういう工合に押えるかということが一つのポイントでございます。  一方支出の面におきましては、どれだけ危険率があるかということで考える。同時に経費率ということを考える。この二つから押えて、そこでさらに補填するものといたしまして、その基金二億円なら二億円の運用益というものが収入金になる。ですから保険料収入分と運用益というものが収入金になりまして、一方支出に、保険料支払金は危険率を予想したものでございます。それと経費というものがバランスをするということから、逆に保険金が幾らだったらいいかという問題にもなるかと思います。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ保険料収入をどの程度に考えているのか、いわゆる信用保険法案による保険料率は第六条で政令で定める、ところでまだ政令はできていない、法律は通っていない、大体幾らぐらいにしよう、こういう目安がなければ保険料収入の算定ができない。だからそれは政令はできていないが保険料率をきめる上に立って、本年度の特別会計において保険料収入額を幾らに考えておりますか。
  51. 田代一正

    ○田代説明員 保険料は現在のところでは年率一%ぐらいの保険料を考えております。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 一%として保険料収入は幾らですか。
  53. 田代一正

    ○田代説明員 保険料収入は四千五百万、その四千五百万の積算の内訳はさっき申しました六百億、このうちの加入率が二分の一、それに対しまして頭金が控除いたしますから、頭金率が二割でありますから実際に保険にかかるのは八〇%とということになります。八〇%をかけましてさらに填補率を五〇%かけまして、さらに年の中途に、当初から出発いたしませんので十二分の九をかけまして、それに保険料率、これは年率一%でございますが、計算をいたしまして〇・五%かけますと、四千五百万ということになります。  それから次に利子収人がございます。これは七百六十万でございますが、資金運用部に二億のうち一億九千万ばかり予託する。それは六%の金利で回りまして八カ月ぐらい置いておけるだろうという計算をいたしますと、これが七百六十万という計算でございます。それから一般会計の繰入額が二億、それからあと収入が一応目の子で十万円見当と見ております。これは保険料の返納金収入がありますのでこれが十万くらいであります。そういうことで歳入が二億五千二百七十万であります。歳出はさっき申しました保険金収入が千五百八十七万五千円、これは保険金額百二十億円かける十二分の九かける事故率の〇・五%、責任未経過分としまして二分の一かける十二分の九ということで、それから十万円ばかり繰り越しがあるという計算で千五百八十七万五千円、こういう工合に見ております。それから事務取扱い費は特別会計の俸給その他で七百六十万、以上の残額二億二千九百万を予備費に持ってきたいということでございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 今説明になった特別会計における保険料率約一%、それから事故率あるいはその他の基礎になったものは、先ほどの答弁によれば、中小企業だけの購入に対して深礎をするとするならば危険率も高くなる、従って保険率も高くしなければいけないし、運営がうまくいかないから大企業も入れる、こうなっておるのですが、あなたの計算で、保険の契約を結ぶというか、対象になる購入者が、これは中小企業信用保険法の一千万円で線を引いてもよろしい、いわゆる大企業が何%、中小企業が何%、大企業をゼロとして中小企業ばかりを対象にした場合に、この特別会計の内容がどのように変わるか、一つ計算をしてみて下さい。
  55. 田代一正

    ○田代説明員 特に問題は事故率と危険率の問題だろうと思いますが、割賦方式は一般に現在でも行なわれているわけです。その危険率をいろいろ調べておりますと〇・五%になります。それを今度は中小企業が中心になる、中小企業に使う機械というものを対象にする。もちろん結果的には大企業も入るかもしれませんけれども、そういうことになりますと、それを一応倍に見まして一%ということにしたわけです。そういうことでもって今度の中小企業が中心になるということに対する見解をここで示しておるわけであります。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 私が申し上げておるのは、この保険の対象に大企業が購入したものを入れることはおかしいじゃないか、これが基礎なんです。それに対して大臣及び政府委員は、中小企業のみにすると保険料率も高くなる、事故率も高くなる、従って特別会計運営上支障があるので、大企業を対象にしたという。あなたが出されておる三十六年度の特別会計の収入支出は大企業を対象こした上に立ってやられておる。従ってその基礎は、購入の対象になるのは中小企業が何%くらい、大企業が幾らくらいと見て立てられたのか。なお中小企業のみにそれを限定した場合は、特別会計の内容がどのように変わり、保険料率を幾らくらいにしなければいけないのか、その点を聞いておるわけです。
  57. 田代一正

    ○田代説明員 今のお話は、確たる数的な根拠をもってやったのかどうか、こういうことになると思いますが、実は割賦販売のいき方が、ごく最近のものでございますので、物によっては危険率の見方が非常にむずかしい問題になっております。従いまして私どもとしましては最近あります例を見ながら、しかもある程度推定を加えてやって参るわけであります。事故率の問題は、保険会計全般的にそういう問題があるわけでありますが、私どもといたしましては、そうした実情を見ながら、ある程度推定を加えまして考えたわけであります。確定的にこうであるというには、そういう事実もございませんし、またデータもないというのが現状でございます。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで計算をさせるのは少し無理かもわかりませんので、こういうことにいたします。要は信用保険法第二条の定義にいうところの「中小企業の設備の近代化に資し、かつ、機械工業の振興上特に」云々というこの法の精神からいって、中小企業の購入にのみ限定しても法律的には成り立つと私は思うのです。ところが大企業のも入れるということは、保険料率、事故率等々の関係から特別会計の運営、保険運営に支障がある、こういうことのようでありますので、今申しておりますように大企業を除いて中小企業のみを対象とした場合に、保険料率を今の計算では一%だと言われるが、それが何%になり、それから特別会計においてどのように変わってくるかという計算を、あす出していただきたい。そこで大企業の購入を対象としていいのか、それを省くべきであるか。私は省くべきであるという主張をしておるわけなんです。ところが特別会計運営上ということで大企業を入れるのだけれども、入れなかった場合にはどういう結果になるのか、それを一応見せていただきたい。その上で考えたいと思います。この点、大蔵省になりますかあるいは重工業局になりますか知りませんが、あすまでに出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  59. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 今のは非常にむずかしい資料でございまして、ただいま田代主計官の方から説明がありましたように、現在機械関係につきましては、最近若干ずつ賦払いという方法が行なわれておるわけでありまして、これを今度初めて、そのリスクを排除して、一つ大いに販売を伸ばしていこうと考えてこの制度を作っておりますので、いわゆるその見通しになるわけでございまして、先生の御納得のいくような資料ができるかどうかは疑問でありますが、あすじゅうに資料をお届けいたします。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 その資料を見せてもらって、中小企業だけに限定をしていけるかどうか、そのことを検討した上で法案の取り扱いを考えたい、このように考えます。  次に大蔵大臣への質問に進んでいきたいと思います。大臣も御承知と思いますが、最近一流銀行と百貨店が提携いたしましてクレジット・カードといいますか、預金をした者が、その預金のカードを持っていけば百貨店等で買いものができて、そして銀行がそれに払うという格好のものがあるのですが、これは一応割賦販売に大きな関係があると思います。すなわち消費者金融の一つのケースだと思うのです。銀行は大蔵大臣が監督しておられるのですが、そういうようなことは望ましいかどうか。なお銀行法第一条の、銀行の業務の中にはっきりとそれが入るかどうか、御説明願いたいと思います。
  61. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その点の実情をよく知りませんので、銀行局から申し上げます。
  62. 大月高

    ○大月説明員 最近銀行の間におきまして、消費者金融という名目で、今お話しのありましたような金融の方式をとっておることは事実でありますが、実態といたしましては積極的に消費者に金融をつけるということではなしに、むしろ預金を預かりまして、その預金の範囲内において百貨店その他において買いものができる。その支払いをカードによりまして銀行がすでに受けております預金の中から落としていく、こういう制度でございます。そういう意味では、一般に消費者金融と言われておりますように積極的に融資をしていくということとは若干違うわけでございまして、御存じのように、最近証券界の攻勢と申しますか、資本市場が次第に発達して、銀行の業務といたしまして何らか新しい分野に進出をしたい、こういうようなことから、預金獲得に便のために有利な制度として、今のような制度を考え出しておる、こういうことでございます。従いまして、ただいま消費者金融という点から積極的な意味はないというように考えておりますが、将来の方向といたしましては、次第に産業金融及び消費者金融にも銀行は進出していくべきものだ、大勢としてはそういうように考えております。すでに先進国の銀行におきましては、それぞれ消費者金融にも相当の重点を置いてやっております。ただ、最近の経済情勢のもとにおきまして、これを政府として積極的にやれというように奨励すべきかという問題につきましては、まだその時期ではないと考えておるわけでございまして、逐次いろいろな試みをやっておるうちに適正なる、しかも消費者及び産業界に、非常に便利な制度が自然に発達してくるだろう、まだその萌芽の段階であろう、こういうように考えております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 そのクレジット・カードによる物品の売買、これが大銀行と大百貨店の間に結ばれておる。そういうところから、百貨店の割賦販売との関係もあろうし、小売商の保護という立場からも検討が必要だ、こう思います。それはそれとして、銀行法第一条には、銀行の行なうべき業務が書いてあります。第一号の方には、「預金ノ受入ト金銭ノ貸付又ハ手形ノ割引トヲ併セ為スコト」二号に「為替取引ヲ為スコト」となっている。クレジット・カードということは、甲という者が銀行へ預金する。これは銀行側からいえば預金の受け入れですから、これはけっこうです。ところが、今度出すのは乙という百貨店が出すわけなんです。そうすると、クレジット・カードの持つ役割、手形的な役割、いわゆる第三者に対する支払いということになるのです。クレジットの性格はいかなるものであるか、及びそういうやり方は手形と解さなければ一条の銀行業務との間に抵触をしないかと考えますが、その点いかがですか。
  64. 大月高

    ○大月説明員 先ほど御説明申し上げましたように、この制度は本来の意味消費者金融ではなくして、預金を獲得するための一つの新しい考え方、こういうように考えておるわけでございます。従いまして、法律で申しますれば、一般の顧客から預金を受けるという一条の、預金受け入れをなすこと、こういうことに該当いたしておるわけでございます。で、その預金の払い戻しをいたしますにつきまして、百貨店から呈示がある、その呈示があるのは、本人の代理人として引き出してくるわけでございまして、その証票は本人が幾ら買いものをしたということの裏づけになる、そういう意味で、それが本来の有価証券ではございませんし、転々流通するものでもない、特定の契約をいたしました銀行と百貨店と、それから本人との間の関係を証明するものでございます。そういう意味では銀行法第一条の一号に該当する業務であって何ら問題ない、こういうふうに解釈いたしております。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 預金の受け入れば預金者と銀行との間の法律関係です。それを預金者の指定した第三者に支払う、こういう法律関係だと思うのです。それは銀行に預金を持っているものが小切手等を出して指定の人に支払わす、こういうのと同じ法律関係が出てくると思う。そうするならば、クレジット・カードは法律上いかなる性格のものであるか。銀行法第一条から見れば、これは手形、こういう観念で考えていかねばならない。このように考える。そうするならば、商法の規定によって、手形には要式行為としてこれこれを記入せにや成立しないという規定があります。第一条の預金の受け入れの中に入るというような受け入れだけでは——払い出しの関係は銀行と預金者との関係である。それを預金者が指定した特定の第三者に支払うということでしょう。そうすると、そのクレジット・カードは小切手と同様の役割を果たしている。そうするならば、クレジット・カードは小切手であるという解釈の上に立って、商法の小切手の項に関する要式行為として発行せられなければならないと思いますが、いかがですか。そうでなければ銀行法第一条と抵触する、このように考えますが、いかがですか。
  66. 大月高

    ○大月説明員 先ほど御説明申し上げましたように、この法律関係は、特定の銀行と百貨店と預金者との間の契約に基づくものでありまして、第三者に転々流通するものではございません。手形は有価証券でございまして、第三者に裏書きをもって譲渡すべきものでございます。そういう意味におきまして、このクレジット・カード自体は有価証券でもなければ小切手でもない、商法の適用を受けないものである、こういうように考えるわけでございます。  次に、預金をいたしますれば当然引き出しという行為が、すでにその裏に考えられておるわけでございまして、たとえば、当座預金でございますと、小切手の格好でこれは引き出せる、こういう預金でございます。普通の預金は通帳でもって引き出すか、あるいは定期の証書でもって引き出すか、いろいろな形があるに従いまして預金の形態はきまっている。今回の場合におきましては、その証票を呈示するということは、幾ら買い物をしたかという単なる証拠物件でございまして、その呈示を受けて預金を落としていくというのは、その代理人といたしまして落としていくわけでございますから、普通の預金者が、たとえば小使さんをお使いにやっておろしてもかまわない、そういうことと同じようにわれわれは考えているわけでございまして、新たなる信用を供与することではなくして、預金のある範囲でその預金から落としていく、そこにこの問題としての性格があると思います。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、クレジット・カードという形式の預金は、預金者が銀行へ金を預ける。それを出す場合、あなたの言われたように、当座の場合は小切手、そうでない場合はその通帳を持っていって本人が出すわけです。それを特定の第三者が出すということは、それでは預金の引き出しの関係においては、百貨店はその預金者の代理人ということになります。従って、クレジット・カードはそういう代理行為ということをも含めた契約になる、こういうことになるのですか。
  68. 大月高

    ○大月説明員 クレジット・カードはよって預金するのではないわけでございまして、預金は一般の普通の預金をいたしておるわけでございます。その引き出しをいたしますときに、クレジット・カードを呈示することによって、クレジット・カードあるいはそれを見せられた結果、記帳をしたその記帳を証票として見せるわけでございまして、そういう意味から申しますれば、単なる預金の引き出しになる、こういうことでございます。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、普通預金をする、その預金の通帳を百貨店へ見せて買いものをして、そこでカードに書く、そのカードをもって金を出す、こういうことです。預金をした、この関係は預金者と銀行との関係である、払い出しは本人に対してなされなければならぬわけです。そうでなければいかぬわけです。それを百貨店が出すということは、本人の代理人ということで出すわけです。従って、そういうクレジット・カードによる預金というのがあるのかどうか知りませんが、あるいはそうでなかったら、百貨店で買いものをしたときに代理契約ができた、こう解釈するのですか。
  70. 大月高

    ○大月説明員 先ほど御説明申し上げましたように、三者の契約があるわけでございますので、特定のクレジット・カードを呈示して買いものをした人は、その場で現金で払わないで、百貨店で記帳する。その記帳したものを銀行へ持参いたしまして、そこで呈示して払いを受ける、こういうことでございますので、仰せのように三者の契約の中には代理行為を含んでおる、こういうように考えております。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 それではその契約はいわゆる三者を当事者とする契約だ、こういうことですね。あなたの解釈は、銀行法第一条第一項第一号の預金の受け入れの中に、そういう三者契約をも含んでおる、こういうことなんですか。
  72. 大月高

    ○大月説明員 使用人ないし第三者をして引き出しをせしめる、その場合にこういうような格好ならば、代理権を使用するということにしておきましょう、こういう約束だけでございますので、三者契約であるか二者契約であるか、そういう問題と別個に預金の引き出し権限をどういう格好で与えるかという民法上の問題かと思います。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 さっきあなたは、当事者が三人、三者契約だとおっしゃった。今またちょっと違ったような解釈です。この問題は、今の信用保険法案ではなしに、割賦法案のときに、もう一度あなたと法制局に来てもらって掘り下げていきたいと思います。  次に大蔵大臣質問を続けていきたいのですが、この特別会計法案の十三条一項に、この特別会計は一時借入金ができるという規定があるわけです。この一時借入金はどこから借りるのですか。十二条では、余裕金ができたときには資金運用部へ預託するとなっておる。そういう関係から見ると資金運用部から借りるという考え方なんですか、それはどういうことなんですか。十三条の一時借入金はどこから借りるのですか。
  74. 田代一正

    ○田代説明員 一時借入金は、特別会計の場合におきましては、原則としまして国庫余裕金を借りるという考え方でございます。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 大蔵大臣も御承知と思いますが、今、科学技術特別委員会において原子力損害賠償法案及びこれに基づく補償契約法案が出ていますね。これは一つの損害に対して国家が補償するという点においては、この信用保険法と同じ態度をとっておるわけです。ところが信用保険法の場合は特別会計ができておる。原子力損害賠償補償契約の方では、これは特別会計になっていないわけです。そしてこれは特別会計であるから、この所管は大蔵大臣である。ところが科学技術特別委員会でやっておる損害賠償補償契約の方は科学技術庁長官の主管になっている。同じように国が一つの損害に対して補償し、保険をしようという態度の上に立った場合に、この両案の扱いが違うのはどういうわけですか。——ちょっと待って下さい。同じ趣旨法律が出ておる、それに対して大蔵省の態度が違うのですよ。なぜ違うか。これは大臣でなくてはだめですよ。——大臣がわからなければあなたでもいい。
  76. 田代一正

    ○田代説明員 今仰せられました前段の方は、実は私の担当でないものですから詳しくは知らないのですが、この機械賦払いにつきましては、御承知のように一般会計負担でやるという考え方もあり得るわけでございますが、何分にもこういった新規の仕事で、しかも責任を明確にするという上からいきまして、明確に通産大臣所管の特別会計ということにいたした方が非常に効果的であるということで、こういうふうにいたしたわけであります。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 新しいということなら原子力損害の賠償の方がよほど新しいのですよ。原子力損害賠償法案及び賠償補償契約法案というのを今現に隣でやっております。同じように損害に対し国が補償し保険をしようという立場をとっておって、別な扱いをしておることは納得がいかない。私は特別会計を置くということに反対をしておるわけではありません。この両法案関連において大蔵省の態度を明確にしてもらうまで、質問を保留いたします。
  78. 中川俊思

    中川委員長 田中君に申し上げますが、さっきの字句の問題で、法制局の第三部長が見えておりますから、もし御質問があれば……。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 ありますが、その前に、大蔵大臣、どうです、国が同じ立場をとっておりながら、二つの法律の国の扱い方が大蔵省として違うのですよ。その点はどうなんですか。
  80. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、あれをきめるときに、災害の認定ということが一方は非常にむずかしい問題で、科学技術庁長官が全責任を持ってやることがいいという論議でやったと記憶しておりますが、この二つをなぜ明確に区別しなければならぬかという理由について、ちょっと今私の考えははっきりしておりませんので、あとからお答えします。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは大蔵大臣に対する質問を保留いたしまして、法制局に質問いたします。  機械類賦払信用保険法第二条定義のところに、「中小企業の設備の近代化に資し、かつ、機械工業の振興上」云々、ここに「かつ」というのがある。同じ趣旨のことで三条三項二号に「中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興」とあって、こちらは「及び」になっております。第二条の定義では「かつ」となり、保険契約の場合には「及び」となっておる。この「及び」と「かつ」とはどう違うのか、またここで「かつ」と「及び」と使い分けをした理由はどこにあるか。
  82. 吉國一郎

    吉國政府委員 第二条の第一項で「かつ」を使っておりますのは、第二条の規定の仕方といたしまして、中小企業の設備の近代化に資するということと、それから機械工業の振興上特に生産の合理化を促進する必要があるという二つの要件を同時に充足するということを表わすために「かつ」ということを使ったのでありまして、この「かつ」という使い方は法令上は非常に例が多うございますが、二つ以上の要件を同時に充足しなければならない場合に、その甲の要件に該当すると同時にまた乙の要件にも該当するというような言い方のときに「かつ」という使い方をしております。従いまして、その意味内容といたしましては、この第二条の第一項に二つの要件があがっておりますのと、第三条の第三項第二号におきまして、中小企業の設備の近代化とそれから機械工業の振興ということを二つ並列さしてあがっておりますのと、意味においては同じであるというふうに考えております。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこの「かつ」というのと「及び」というのは、法律上同意義だとおっしゃるのですか。
  84. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど申しましたように、「かつ」を使います場合には、動詞で一定の事実を表現いたしまして、その動詞を二つ以上つなぐ場合に「かつ」というのを用い、名詞を並べますときには「及び」でつなげるのが、通常の例でございますが、もちろん場合によりまして、要件の規定でないような場合には「及び」が動詞をつなぐように使われる場合もございますが、「かつ」は必ず動詞のつなぎとして使われるというふうに考えております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、定義の方では「近代化に資し、」と「資し」という字を使っておるから動詞である。一方「近代化」といっているから、これは名詞である。「近代化」というのは名詞であり、「資し」というのは動詞である、そういうことになるのですか。
  86. 吉國一郎

    吉國政府委員 この法律の場合はそういうことでございます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律のことを聞いておるのではない。一般的に法律用語として「かつ」と「及び」はどう違うか。しかも二条と三条三項二号において同じ趣旨のことでありながら、字句が違っているのは特別に事由があるのか。
  88. 吉國一郎

    吉國政府委員 この第一条の目的の後半の方に、第三条第三項第二号と同じような文言が規定してございますが、この場合あるいは第三条第三項第二号の場合には「中小企業の設備の近代化」という抽象名詞と、それから「機械工業の振興」という抽象名詞、その二つをあげまして、その両方に役立つという意味で「資する」ということを書いたわけでございます。第二条第一項の方は「中小企業の設備の近代化に資」するというのが一つの要件であると同時に、他の要件といたしまして「機械工業の振興上特に生産の合理化を促進する必要がある」という要件、この二つを動詞的に使ってそれをつないだために「かつ」を用いたわけでございます。先ほど来申しておりますように「及び」は通常、名詞を二つ以上つなぐ場合に用いますし、「かつ」は動詞を二つ以上連結する場合に用いるのが通常の用法でございます。「かつ」の用法は、たとえばこの商工委員会関係法律で申しますと、私的独占禁止法の第二十四条の三、これは不況に対処するための共同行為の規定でございますが、その第一項第一号に、「当該商品の価格がその平均生産費を下り、且つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあること。」とあります。この場合は、商品の価格が平均生産費を下っておるという要件が一つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあるという要件、この二つの要件を動詞で現わしまして、それをつないでおりますために、「且つ」という文字を使ったわけでございます。それからこれも商工委員会関係法律でありますが、工業用水法の第三条第二項におきまして、これは工業用水に充てるための井戸による地下水の採取の許可の規定でございますが、その許可の基準を規定したところでも同様に動詞を二つ並べまして、それをつなぐのに「かつ」を用いておりますが、このように「かつ」は厳密に申しますならば、中止形をさらに動詞につなぐ場合に用いるというのが立法技術上の通例の用法でございます。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 要は一方は動詞をつなぐ場合、一方は名詞をつなぐ場合であって、法律上の解釈としては同じである、こういうことなんですね。
  90. 吉國一郎

    吉國政府委員 さようでございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、三条三項二号、これも結局中小企業の設備近代化という要件と、機械工業の振興という要件、この要件を二つ兼ねなければ保険契約を結んではならないという解釈になるのですが、それでよろしいですか。
  92. 吉國一郎

    吉國政府委員 第三条第三項第二号の解釈は、今おっしゃった通りでございます。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、いわゆる保険契約締結の要件は、中小企業設備の近代化という一つの要件、もう一つは機械工業の振興という要件、この二つを兼ね備えなければ締結をしてはいけない。そうすると大企業の設備を更新する場合はこの保険契約の対象とならぬ、こういうことがはっきりと法制局の法律上の解釈として出ましたが、通産省はいかがですか。
  94. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 三条三項二号でありますが、中小企業の設備の近代化に資する……。(田中(武)委員「資すると言ったら動詞になるから、かつと言わなければいかんのやぜ」と呼ぶ)設備の近代化に資し、それが大企業に資した場合はこれは除外するということではなくて、中小企業の設備の近代化に資するものが大企業の設備の近代化に資することもあり得るわけでありまして、そういう意味で法自体としては、中小企業の設備の近代化に資し、同時に機械工業の振興に資する機械を得る場合に、この保険契約の対象にするわけでありまして、それが中小企業の近代化に資して、同時に大企業にも資するのは除外するという意味ではない、私どもはさように考えております。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどからの法制局の答弁はお聞きの通りなんです。いわゆる信用保険締結の要件は、三条三項二号によって、一つの要件は中小企業の設備近代化、さらにも一つの要件は、機械工業の振興、この二つの要件を兼ね備えたときでなければ、信用保険を締結してはならない、これが法律趣旨なのです。そういうように今法制局は答弁したのです。そうすると法律上の解釈において法制局と通産省とは解釈が違う。その点どうですか。
  96. 吉國一郎

    吉國政府委員 第三条第三項の保険契約の締結の要件は、第三条の第一項にございますように、これは政府が会計年度ごとに包括的な保険契約を締結するわけでございますが、その包括的な保険契約を締結いたします場合の要件として、第三条第三項は第一号と第二号の二つの要件を掲げておるわけであります。第二号は、先ほど申し上げましたように、当該保険契約を締結しても、中小企業の設備の近代化ということと、もう一つは機械工業の振興という、その二つのことに資すると認められない場合はいけないといっているわけでございますので、これをもって直ちに個々の保険関係が、大企業の設備の近代化に云々というようなことまで参るわけではございません。これは包括契約の締結の段階におきまする要件といたしまして、第三項の規定が設けられておると私どもは考えておりますので、通産省と法制局の間でも意見の食い違いはないと考えております。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと詭弁のようにも聞えますが、要は保険契約を締結するということ、その保険契約の締結によって包括信用保険として具体的なものが入ってくるわけなんです。ところが信用保険契約の締結の要件はこの二つなのです。そうするならば対象もここから出てこなければいけないと思うのです。この点についてあなたの方の言うことと私の言うことは、いつまでたっても平行線だと思う。法制局としてそういう詭弁的な解釈でよろしいですか。保険契約の締結はなるほど包括信用保険なのです。しかしその大前提の上に立って具体的な事実が発生するんですよ。ところが大前提と違った具体的事実が発生してもいいとあなたは解釈されるのですか。それで法律解釈ですか。
  98. 吉國一郎

    吉國政府委員 これは包括保険契約の締結の要件でございますので、一ぺん第三条第一項の、会計年度ごとに、政府は機械類の製造業者または販売業者と機械類賦払信用保険の保険契約を締結いたしますと、その保険契約に基づいて、一定の要件に該当する限りは個々の保険関係が発生するわけでございます。政府といたしましては、会計年度ごとに保険契約を締結するに際しまして、第三項の第一号及び第二号の要件を頭に置いて、そのような要件に該当するようにということで契約を締結するわけでございます。明らかに第三項の要件に契約締結の当時該当しないようなものについて、契約を締結するということはもちろんございませんが、これは将来の個々の保険関係の発生を予測する問題でございますので、かりにある特定の保険関係において、第三条の第三項、たとえば第一号の要件であるとか第二号の要件であるとかいうものについて該当しないものがあったといたしましても、その保険契約自体は別に効力に影響はないわけでございますが、政府といたしましては第三条第三項の規定があるということを念頭に置きまして、いやしくも第一号なり第二号に背馳することがないように契約を締結するというのが第三条第三項の趣旨であろうと思いますので、先ほど私が第二号について中小企業の設備の近代化と機械工業の振興という二つの抽象的な事実に資すると認められない場合はいけないということから、大企業の近代化にもかりに役立つようなものが万一あったとしても、それは第三条第三項に直ちに違反するものではないというふうにとれるように申し上げましたのは、今申し上げたような趣旨でございます。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく保険契約の締結、この事実によって具体的な保険関係が発生するんですよ。そうでしょう。その契約の原則に違った具体的事実が発生した場合に、この契約の効力が大前提である契約の前提と違ったものが出てきたときに、これが有効であるという解釈が出てきますか。
  100. 吉國一郎

    吉國政府委員 この保険の行政執行当局としての通産省が、第三条の第三項の各号に個々のケースとして——個個のケースで各号に該当しない場合といえば二号の場合しかございませんが、そういうような契約を締結することは、この法律を誠実に執行する政府の機関としてあり得ないと思いますけれども、かりに予測が非常に狂いまして、ある個々のケースで第三条第三項の第二号の趣旨に反するではないかというような保険関係が生じたといたしましても、契約そのものの効力に影響はないというふうに法律的には考えられます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 私は大前提となるべき保険契約が無効だとは言ってないのです。その包括信用保険契約の締結には二つの要件が必要である。そのことによって、成立した保険契約の締結によって具体的に以後に起こるべきいろいろの事実に対して保険義務を負うわけなんです。その中にこの保険契約趣旨に反した具体的なものが出た場合、保険者としての政府はこれに対して責任を持つべきかどうかということを言っているのです。私はそういうことがあったからといって、この契約が無効であるとは言っていない。そういうものには政府としていわゆる締結をする大前提、大原則に違反する具体的事実に対しては保険義務はない、こういう言い方なんです。
  102. 吉國一郎

    吉國政府委員 先ほど申しましたように第三条の第三項に違反するような事態が生ずるような包括保険契約の締結は行なわれないであろうと思いますが、万々一そういうことが起こったといたしますならば、その保険関係法律的には有効に生じまして、従いまして保険者としての政府の責任は法律上存在すると言わざるを得ないと思います。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 包括信用保険を締結するときには二つの要件がある。その契約に基づいて自然発生的に次々に起こってくる具体的な事実に対して保険義務を負うわけです。その具体的事実の中に、この保険契約締結の趣旨、要件に違うものが起きたときには、保険者の義務は免れないとあなたは言っておる。私はそういうものではないと思う。しかもあなたはそういうことは万々ないと思うと答弁している。ところが佐橋局長あるいは通産大臣は、頭から大企業の購入にも保険の対象になると言っておるのです。ここはだいぶ食い違っております。これはちょっと意見調整をして下さい。
  104. 吉國一郎

    吉國政府委員 私が三条三項に違反するような契約は万々ないと申し上げましたのは、一号、二号の要件に「次に掲げる場合には、第一項の保険契約を締結してはならない。」というのが、生じてくることはないと申したのでございまして、先ほど来通産省重工業局長から答弁申し上げておりますのは、第二号の解釈として中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興のその二つの要件に資すると認められない場合というのは、およそ大企業の設備の近代化にも役立つというようなものは、この振興に資すると認められない場合ではないということを申したわけでございまして、私が今この第三条第三項の要件に該当しないようなものは生じ得ないと申しましたのは、第三条の第一項の保険契約を締結すべき当事者としての政府、これは具体的にいえば通商産業省、通商産業省が、第三条第三項の第一号の保険契約を締結する場合の要件にはまらないようなものを、初めから予測して締結するということはあり得ない、その見込みが違って、万が一生じた場合でも保険関係は存続するということを申したわけでありまして、通産省と法制局との間に何らそごするところはないと、私どもは考えております。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも僕にはよくわからないのですが、要は中小企業の設備近代化と機械工業の振興とは二つ同列における要件である。これはあなたが言われた通りなんですね。間違いないでしょう。この二つの要件がなければ、包括信用保険は締結できないというのです。ところが通産省は頭からそうでなくして、大企業の買い得る機械にしても、賦払いの場合は保険の対象になると言っているわけです。ところが保険契約の締結それ自体は二つの要件のうち一つあればいいということではなく、二つ相兼ねなくてはならないというのがあなたの答弁でしょう。二つの要件が備わっていない場合は保険契約は結ばれない、こう言ったらあなたは包括保険だからそういう趣旨さえあればいいと言う。それじゃ保険契約の締結に従うところの自然発生的に出てくる具体的な事実の中で、その前提となるべき契約締結の趣旨に反する、すなわち法に反するものが出たらどうかと言ったら、あなたはそれは保険義務を負うと言う。そうなるともとに戻って、この二つの要件の一つだけ備わっていたらどらかというと、あなたは二つが要件である、一つを欠く場合には成立しないと言う、その間の事情はどうです。
  106. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 三条の一項にありますように、政令で定める機械類の区分ごとに包括契約を結ぶわけでありまして、包括契約を結ぶ場合には、三項の一、二号に該当しなければならぬわけであります。そこで、包括契約が結ばれた場合に、個々の契約が三項二号の中小企業の設備の近代化でない、中堅企業といいますか、あるいは大企業というものに売られてもこの契約は有効である、こういうように考えております。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもそこのところが僕にはよくわからぬのですが、ともかく二つとも相備えなくては保険契約の締結の要件にならないのです。あなたの答弁は最初からどっちか一つあればいい、大企業が買う場合でも機械工業の振興に資したらいいんだというふうに解釈せられる。法制局の言っているのはそうではなくて、中小企業の設備近代化と機械工業の両方は同列における要件である。その上に立って契約を締結するんだ。しかし、おそらくそういうことはないと思うが、具体的にたまたまこの要件に違うものが出てきても、政府の保険義務はあるのだと言うのです。あなたの方は初めから中小企業だけでなく大企業も入れるのだと言う、片方はそうでないと言うのです。
  108. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 たとえば金属工作機械の場合、Aというメーカーが十二尺旋盤から三尺旋盤まで作っている場合の十二尺旋盤は、明らかに大企業しか買わないという場合には、これは問題にしないわけでありまして、大体三尺旋盤が中小企業の設備の近代化に役立つと同時に、機械工業の専門化といいますか、というものに役立つという場合に、その機種についてそのメーカーと契約を結ぶわけでありまして、たまたまその三尺旋盤が中小企業以外の連中に売られる場合でも、その個々の保険契約というものは当然有効である、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 私はそうでないと言うておるのです。従ってこれは意見が平行です。従って法制局と通産省と私との間に、もう少し具体的な問題について、こういう討論会形式じゃなしに、意見の調整をしてみたい、このように考えます。きょうは……。
  110. 中川俊思

    中川委員長 田中君にちょっと申し上げますが、先ほど大蔵省に対して質問を留保されましたが、その問題について法規課長が見えて発言の通告をされておりますから……。
  111. 上林英男

    ○上林政府委員 御質問の御趣旨が、原子力の損害補償につきましては一般会計で経理をしており、本件については特別会計を設けて経理をするということになっておるが、その差異はどうであるかという、こういう御趣旨かと伺いましたが、御存じのように財政法におきましては、予算につきましては総予算主義と申しますか、予算単一の主義をとっておりまして、できる限り一般会計で経理をするのが建前になっております。ただ、財政法十三条によりまして、いろいろ場合が書いてございますが、その場合に該当いたしますときには法律をもちまして特別会計で経理をする、こういうことになっております。本件の場合におきましては、この保険会計は、その対象その他は相当数が多うございます。一般会計におきまして経理をいたしますよりも、この特別会計におきまして経理をいたしました方が円滑に経理ができる、こう考えられるわけでございますので、財政法十三条の規定によりまして、特別会計で経理をすることにいたしたわけであります。原子力損害補償の場合におきましては、その事がらの性質から申しまして、事故というものが、これはあってはならないと考えられるほど、まずないと考えるわけでございます。従いまして、そういうふうな観点から、特に特別会計で区分経理をするまでのことは必要はない、こういうふうに考えられるわけでございます。一般会計におきまして補償事業あるいは保険事業について経理をいたしております例といたしましては、たとえば機械の、設備輸出の損失補償法に基づきます損失補償契約の場合には、一般会計で経理をいたしております。これは外国為替レートの変動に基づきまする為替差損の補償をいたしておりますが、為替レートというものは、国によりますけれども、原則としてそうたびたび変わるものではございません。特に特別会計をもって経理するまでのことはない、こういうことで、その場合に一般会計で経理をいたしておるわけでございます。そういうような事情で、この本件保険事業につきましては、他の政府が行なっております保険事業と同じように、事がらの性質から申しまして、特別会計で経理することが適当である、こういうふうに考えたわけでございます。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 特別会計にしたのとせぬのとの違いは、今あなたの答弁によると二点出てきましたね。一つは契約する相手がこの法案の場合は多数である。一方は多数でない。もう一つの要素は、事故の発生があらかじめ予想せられる、一方はまあなかろうという、この二つによって扱いを変えた、こういうことなんです。そこでお伺いいたしますが、この信用保険法によっても、包括信用保険を締結する数はそう多くはありません。指定せられた機械を作っていくところだけなんです。そして政府契約しようというだけです。現在原子力の方は、なるほど数はうんと少ない。しかし将来できてくるその数においては私は変わりないと思う。具体的な対象を取り上げた場合は、機械の場合よりか、むしろ災害保険の補償の方がものすごく数が多くなる。しかし契約をする特定の相手としては、この保険法によるやつもそう多くないのです。従って対象となるものの数の違いということによる区別はないと思う。  もう一点は予測の問題なんです。機械の場合は相当事故が発生するであろうとあらかじめ予測せられておる。そうなんですか、一方の場合は絶対に起こらないという確信の上に立っておられますか。その点も、結局認識だけの問題だと思う。もし絶対に起こらないというなら、何のために賠償契約が必要なのか、保険が必要なのかということなんです。あなたの言われた、分けた二つの要点はこの両案についてあまり関係はない、私はこう思います。
  113. 上林英男

    ○上林政府委員 私が今申しましたのは、基本的には、一般会計で区分経理するのがよろしいか、あるいは特別会計で経理するのがよろしいかという判断の問題でございます。その場合の判断のときに、あるいは対象の数とか事故の回数とか、従いまして特別会計で、たとえば保険金を何ぼ払うとか、あるいは保険料収入と保険金とのバランスをとって参りますためには、もちろん特別会計で経理をいたします方がよりやりやすいわけであります。そういうような観点、いろいろ考えまして、一般会計で経理するのが正しいか、特別会計で経理した方がより円滑に行ない得るかという判断のもとに、これは今申しましたような理由から特別会計で経理する方がよろしい、こういう結論を得ましたので、特別会計で経理するということにいたしたいと考えておるわけであります。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 要は、大蔵省の主観の上に立って、特別会計を設けるのがいいか悪いかによってきめました、そういう答弁ですね。ただそれをきめる一つのファクターとして、事故の数とかあるいは契約の相手方の数が一つの対象といいますか、その主観をきめるウエートであった、こういうような答弁であった。ところが私は、原子力とこの保険とにおいては、数とか事故の予測などという点においては、あまり変わりないんじゃないか、こう言っておる。結局残るのは、大蔵省の主観によってきめました——それならそれでけっこうです。
  115. 上林英男

    ○上林政府委員 今申し上げましたのは、別に大蔵省が独断できめたわけでございませんで、財政法十三条に、先ほど申しましたように、特別会計を設けます例といたしまして規定がございます。それを読み上げますと、財政法十三条二項でございますが、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」先ほど申しましたように、一般会計で経理いたしますのが原則でございます。しかしながら、今申しましたこの条文に当てはまりまして、特別会計で経理をいたしました方が、より能率的な経理ができ得るという場合には、法律をもって御審議をいただきまして、それによって経理をする、こういう建前になっておるわけでございます。この機械類賦払信用保険事業こつきましては、先ほどから申しておりますような理由から、その特別会計で経理することがより必要である、こう考えましたので、御審議をお願い申し上げておるわけであります。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 今読まれた財政法十三条ですかの要件からいえば、私は変わりないと思う。必要な場合ということに対する認識が、大蔵省の主観に立っておる、これだけのことですよ。その一つ一つの要件で両方比べてみましょうか。まず一つの要件から言って下さい。それを比べてみましょう。残るのは必要な場合しか残りませんよ。
  117. 上林英男

    ○上林政府委員 十三条の運営は、たしかに大蔵省が運営をいたすわけであります。そこで大蔵省はもちろん各省と御相談の上判断いたしまして、特別会計法を——これは法律をもって規定いたします場合に限り特別会計を置くことになっておりますので、特別会計法を別途御審議をお願いいたしておるわけでございます。そういう結果になるわけであります。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 だから財政法十三条の要件が三つ三つ出て、その他必要な場合となっている、その掲げられた要件は、この両案、賠償補償契約法とそれからこの信用保険法と比べた場合、変わってこない。一番最後のその他必要と認めた場合というところだけが変わってくるだけですよ。従って、そこは大蔵省の主観、解釈によって定められたのじゃないか。そうですと言えばそれでいいのですよ。そうだろう。それが悪いとかいいとか言っていないのだ。そうかと言っているだけですよ。違うというならまた聞かなければならぬ。
  119. 上林英男

    ○上林政府委員 十三条の二項につきましては法律で特別会計を設置する要件がきめられておるわけであります。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 その要件が両案一つも変わらないというのです。
  121. 上林英男

    ○上林政府委員 この要件についてちょっとでも触れておれば全部特別会計を設置することになるのかというと、そうではございません。それはこの趣旨に従いまして、特別会計で経理をした方がより能率的、効率的にできるかという判断が加えられるのは当然でございます。その判断に基づいていたしたわけであります。この規定に従いまして特別会計法は国会に御審議をお願い申し上げている次第であります。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、つべこべ言わなくてもいいんだ。結局は、設けた方がいいか悪いかは大蔵省の都合によってきめました、そうなるのですよ。要件を一つ一つ当たっていったら変わらないのです。一番最後のその他必要と認めた場合、こういうことなんです。それは、大蔵省なり政府として処理していくのに、特別会計の方が便利であると考えたから特別会計にし、一方ではそうでないと思ったから一般会計にしました、それでいいのじゃないですか。
  123. 上林英男

    ○上林政府委員 それはいろいろ言い方がございますので、私どもの考えておりますのは先ほどから申し上げました通りでございます。そこのところは先ほどの御答弁で御容赦願います。
  124. 中川俊思

    中川委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 中川俊思

    中川委員長 速記を初めて。  本日はこの程度にととめ、次会は明十二日金曜日午前十時より開会することとし、散会いたします。午後一時九分散会      ————◇—————