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中村(重)
委員 それでは、
大臣が見えぬようでありますから、
政務次官並びに
松尾局長にお尋ねをいたしますが、
割賦販売法案について先日来の
質疑に対する
大臣並びに
松尾局長の
答弁を聞いておりますと、この
割賦販売法案の
法制定に伴って
割賦販売が
伸びてくる、この事実に対して特に耳をおおうというような感じがしてなりません。健全な
発展を期待するんだ、しかし特に成長というものをこの
法律によって求めようとは
考えていないんだ、こういうことであります。なるほど、現在の
割賦販売というものによりまして、いろいろ
販売者側と
購入者側との間に
トラブルが起こっておる。その
取引の
秩序を公正にするということ
自体は私
どもも否定はいたしません。しかし、現在
割賦販売が
世界各国ともに
伸びてきておる。特に
日本がそうした諸国と比較いたしまして
割賦販売が近年非常に
伸びてきておる。この
法制定によって、特に
伸びが期待され、その
伸びが単に
取引秩序を公正にするということによって、また違った面からの
弊害が起こってこないということであるならば、一応この
取引秩序法というものを
制定をして、その次に政策的なものを
考えるのだということはわかります。しかし、この
法制定というものがより
割賦販売の
伸びということになりまして、違った面からのいろいろな
弊害を生じてくるということ、これは何人も否定することのできない事実だと思うのであります。その面に対する
政府の
考え方がここではっきりしていない、非常に積極的に取り組んでいこうというような意欲が示されていない、こう思うのであります。私
どもは、この
法案の
審議にあたっては、先日も申し上げましたが、現在の時点のみによってこれを
審議していくということはとうていできません。次に起こってくる
弊害にはどう対処していくのか、その
弊害というのは、具体的に申し上げれば、これは先日も繰り返して申し上げた
通りでありますが、大
企業と
中小企業の
関係というものは当然生じて参りますし、それから大
企業のいわゆる
系列化に伴って、その
系列化によって大
企業から保護されていく
中小企業と申しますか
小売商は、この
割賦販売法案による
一つの
有利性というものは起こってくるでありましょう。しかし、そういう保護されるというような
立場にないものは、この
法律制定によって
割賦販売が
伸びて参りますならば、その
圧迫が当然起こって参ります。そういうものに対してどう対処していこうとするのか、その点を明らかにすることがこの
法律案の
審議にあたって絶対に必要である、このように
考えるのであります。その面が
大臣並びに
松尾局長の
答弁を聞いていましても、
日本はまだそこまでいっていないので非常に困難であるとか、将来は
考えようというような積極的なものを
一つも見出せない、こういうように
考えるのであります。従いまして、
一つもっとはっきり
政府の
態度を明らかにしてもらいたい。そういうことでこの
法案の
審議の
促進をはかるように、私は
政府自体が取り組んでいかなければならないんだ、このように
考えるわけであります。
所得倍増計画というものによって
設備投資が非常に盛んに行なわれてきている。
設備投資の面だけ申し上げますと、すでにもう十年の後に予想されておったような
設備投資が生じてきている。この
設備投資が勢い
大量生産という形になることは間違いございません。その
大量生産されたものは当然
大量販売という形に
発展して参ります。そのためには
マスコミによる
ところの
宣伝というものが当然起こってくる。そうなりますと、必然的に
割賦販売というようなものが
業者によって大きく期待され、利用されていくということは間違いないわけであります。そのような場合には、
消費者はそうした
マスコミの
宣伝によって——先日も
通産大臣は買いたい、買いたいという一念からこれを買うのだということを言っておりましたし、
労働白書を見ましても、実際の収入と比較すると無理な
購入をやっているという事実は、否定できないというようなことを明らかにいたしておりましたが、すでに
政府自身が
割賦販売による
ところの
弊害と申しますか、いわゆる
消費者の
オーバー消費というものを認めておる。こういうことでありますので、そうした面に対して、いわゆる
消費者大衆と大
企業と
中小企業者との
関係がどうなっていくのか、この
法律の
制定にあたってそのような
見通し、これに対処する
態度、そういう点を明らかにしてもらいたいと思うのであります。