○木村(行)
政府委員 刃物だけについて申し上げますと、刀剣類は、すでに現行法でも、御
案内の
通り刃渡り十五センチメートルをこえる、それ以上の刀、剣、やり、なぎなた、そういうものであります。それともう
一つは、あいくちでございます。このあいくちは、刃渡りにかかわらず刀剣類の定義の中に入っております。それ以外に五・五センチメートルをこえる刃渡りを持った飛び出しナイフ、この三つが刀剣類の概念に入っております。この三つの刀剣類につきましては所持を
原則として
禁止いたしております。それ以外に、今度あいくち類似の刃物というのがございまして、これは二十二条で、業務その他正当の理由のない場合には携帯してはならないという携帯
禁止の
規定がございます。これがいわゆる刃物の
関係の現行法における定義でございます。
今回規制を新たにいたしたいと思います刃物は、第一点は、飛び出しナイフの中で刃渡り五・五センチ以下のもの、これは現行法では所持が自由になっております。しかし、最近の数年間の
状況を見ますと、所持が自由になっておりますところの五・五センチメートル以下の刃渡りを持った飛び出しナイフによる暴力あるいは粗暴な犯罪に使われているのが、法で規制いたしておりますところの刃渡り五・五センチメートルをこえる飛び出しナイフの二倍ないし三倍近くになっておりまして、そういう
関係がありますので、飛び出しナイフのうちで五・五センチメートル以下の刃渡りを持ったナイフについても、
原則としてこれを所持
禁止の対象に加えたい、これが第一点であります。ただその中で、御
案内の
通り、現在飛び出しナイフは岐阜の関市でほとんで作られておりますけれ
ども、この関市で、すでに生産しておる飛び出しナイフの中でも、一応ボタンを押しますと飛び出しますけれ
ども、固定装置がなくて戻ってくる、また峰の先端部がまるみを帯びておる、また刃先が直線でありまして、刃先がくぼんだり、あるいは
一つのふくらみを持っておるというようなものでないものを生産いたされておりますが、こういうふうなものにつきましては、五・五センチメートル以下のものにつきましては、これを犯罪に供用いたすにしてもあまり威力もありませんし、またそれほど、それをもって脅迫するという場合にも、あまり威迫感を感じません。また、かたがた、一面鉛筆削り用にも使われまする
関係もありまして、若干の社会的効用もありますので、そういう類の
条件を満たしたような飛び出しナイフにつきましては、今度の法
改正におきましても所持を自由にいたしたい、こういうことでございます。
それから現行法二十二条で、あいくちに類似する刃物は、
先ほども申し上げましたような業務その他正当な理由がない場合には携帯してはならない、
禁止いたされておりますが、これも最近の
状況を見ますと、なた、あるいはのみ、切り出しナイフ、その他あいくち類似以外の刃物で、凶悪犯あるいは粗暴犯に使われておりますところの率が非常に多うございますので、そういう
関係もありますので、あいくち類似の刃物にかえまして、
先ほど田中委員から御指摘のありましたように、刀剣類と同じような殺傷力を持ちますところの刃物につきまして、正当の理由のない場合は携帯してはならないというふうにいたしたいと思うのであります。
先ほど御指摘のように刃体六センチメートルをこえる刃物
——刃体と申しますと、さやの部分を除きましたいわゆる刃渡りの部分と、それからあごまちの部分両方含めまして、刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物につきましては、やはり殺傷力を持っておりますので、これらにつきましては業務その他正当の理由のない場合は携帯を
禁止いたしたいと思うのでございます。ただこれには例外を、政令あるいは
法律でいろいろ
条件をつけまして、ただいま
田中委員から御指摘のありましたように、肥後守のような、あるいはポケット・ナイフのような折り畳み式のナイフで、それが刃体を立てましてももとに戻る、すなわち固定装置のないもの、あるいははさみのようなもので、先端の著しく鋭利でないようなもの、これらにつきましては六センチでなしに、刃体八センチまでは携帯自由にいたすべきではないか、と申しますのは、社会的効用がありますし、それから比較的身近に携帯する必要度も高うございますので、そういう意味合いにおいて、ただいま申し上げたようなものにつきましては、そういう
条件があれば自由にいたしたい。それからくだものナイフあるいは切り出しナイフにつきましても、そういうような
一定の
条件を付しまして携帯の自由を認めたい。大まかに申し上げてそういう
状況でございます。
それから補償その他
業者に与える打撃の問題につきましては、確かにこれは非常に大きな問題でございまして、刃物を持たない運動の展開にあたりましても、この運動はもともと民間から盛り上がりまして、ついで中央青少年問題協議会で取り上げ、あるいは各地方の青少年問題協議会で取り上げまして、広範な民間
団体が協力して展開された運動でありますけれ
ども、間々この運動の行き過ぎもあるやに思われる、これらの面においても、われわれ
関係のあります警察といたしましても、行き過ぎのないように、それぞれ
関係団体と密接に
連絡をいたさせております。ただ今度新たに法規制によって、たとえば五・五センチメートル以下の刃渡りの飛び出しナイフにつきましても、規制を受けますと、これは結果において国内向けについての販売ができない状態になりますし、その他二十二条の
改正によりましても、若干影響があるやに思われるのでありまして、こういう問題につきましては現在の法理論からいいますと、これを直接補償するということは
制度的に無理かと思いますけれ
ども、できるだけその
業者の受ける損害を少なくするというような
方法につきましては、通産省御当局ともいろいろ
連絡して、密接にタイアップしておるわけであります。