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1961-04-04 第38回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月四日(火曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       有馬 英治君    岡崎 英城君       小沢 辰男君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    首藤 新八君       中垣 國男君    野田 武夫君       濱田 正信君    林   博君       岡田 利春君    小林 ちづ君       中嶋 英夫君    西村 力弥君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      大堀  弘君  委員外出席者         通商産業技官         (公益事業局技         術長)     高村 善博君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第二二号)  計量法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び計量法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題として審査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 航空機工業振興法について、まず御質問いたしたいと思います。  先日日本航空機工業株式会社の専務に参考人に来てもらっていろいろ伺いましたが、さらにあらためて政府側にお伺いしたいのですが、三十四年六月日本航空機株式会社が設立せられましてから、今日までどのように計画に従って実績を積んできたか、現況はどういうようになっておるか。そういう点につきまして簡単でけっこうでございますから、当初の計画と比較しながら説明していただきたいと思います。
  4. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えいたします。  当初の計画通りほぼ順調に製作、設計は進んでおりまして、三十六年度の終わりに試作一号機が組み立てを完了して飛行試験に入り、同時に荷重試験機もできまして荷重試験に入ると同時に、三十六年度末までに、さらに試作二号機とそれから疲労試験機組み立てを完了する、こういうふうに考えておりまして、当初の計画通りほぼ順調に進んでおります。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 大量にという言葉が当たるかどうか知りませんが、大量生産に入って輸出段階へ持っていくのには、何年先の見通しなのですか。
  6. 佐橋滋

    佐橋政府委員 量産体制に入るのは三十八年からと考えておりますが、現在のいろいろの技術進歩によりまして試作機が完了して、飛行試験を実施する段階になりますと、大量生産体制をとることが可能になりますので、準備は今年度から量産準備もあわせて計画をして参りたい、こういうふうに考えております。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、大体中型ジェット輸送機は、外国へ輸出するのは三十八年以後なんですね。そうしますと、その時期になってはたして予定通り、最初この法律を作って日本航空機株式会社を設立せしめたときに考えていたような輸出ができるかどうか、その後の各国における航空機技術進歩等々から考えて、もうすでに古いものになるのではないか、こういうような気もするのですが、輸出について自信がありますか。
  8. 佐橋滋

    佐橋政府委員 現在世界各国でいろいろ同種飛行機が設計されておりますが、それらは詳細に調査はいたしておりますが、決して現在日本計画しておりますYS−11は、これら同種飛行機に対しまして遜色のあるものではなくて、十分輸出は可能だと考えております。  輸出が可能だと申しますのは、現在中型といいますか、中距離及び短距離の飛行機に使っておりますDC−3という飛行機が圧倒的に多いわけですが、これが二千機以上就航いたしておるわけであります。大体これが代替が三十八年から四十年度にわたって行なわれ、この何%かを日本YS−11で代替するといたしましても十分輸出の見込みがある、こういうふうに考えているわけであります。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 技術的にまたコスト的にといいますか、金額的にジェット輸送機国外市場の獲得を争う場合において、今言ったように当初の計画通り自信を持っておられるか、こういうことなんです。
  10. 佐橋滋

    佐橋政府委員 海外の、たとえばDC−4あるいはコンベアフレンド・シップバイカウントというような同種飛行機につきまして、いろいろ詳細な検討を加えまして、計算をした結果でも十二分に太刀打ちできる、こういうように確信いたしております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 今読み上げられたような機種の金額と、こちらの輸出できる金額とにらみ合わせて、どうですか。
  12. 佐橋滋

    佐橋政府委員 価格自身につきましては、御承知のようにDC−3、DC−4というような飛行機は、もう現在製作をいたしておりませんので、現在市場に出ておるのは中古の値段でありまして、これは参考とするには当たらないわけでありまして、コンベアだとか、あるいはバイカウントフレンド・シップというような現在製作をいたしております飛行機と、いわゆる積載量といいますか、搭乗収容人員だとかいうようなもので換算をいたしますと、価格的にも十二分に太刀打ちできる、こういうふうに確信いたしております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 今度の改正は、日本航空機製造株式会社債務に対して、政府予算範囲内においてこれを保証するというのでありますが、政府債務を負担してやるというもう一つ前に、本法第十四条の規定による国の出資及び民間出資、ことに民間出資の方がウエートが大きくなると思うのですが、そういう増資ということは考えられないかどうか。増資という格好をとらずに、債権債務という格好で、量産体制に入る資金源をつかもうというのは、どういうところにその意図があるのですか。
  14. 佐橋滋

    佐橋政府委員 御承知のように日本航空機製造会社に対しては政府が五割以上の出資をいたしておりまして、初年度民間二億、政府三億、三十五年度には民間が六億、政府が七億五千万、本年度民間が大体八億、政府が十億、こういうふうに出資を予定しておるわけでありまして、当会社に対する民間及び政府出資は、試作機が完了するまでの金を調達するという点で出資をいたしておりまして、量産体制に入ればその部分は当然この航空機会社借入金でまかなう、こういうふうに考えておりますので、政府債務保証を今度お願いするわけでありますが、その分について増資ということは考えておりません。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣にお伺いいたしますが、こういう特殊法人について、政府出資民間出資会社を設立しているわけですが、こういうような場合に、政府債務保証するというような行き方がいいのか、あるいは民間出資等をふやしていく、あるいはその中において政府出資もふやすという、出資金ウエートを置くのがいいのか、借入金ウエートを置くのがいいのか、こういう特殊法人については、どういうことが基本的に望ましいと考えておられるでしょうか。
  16. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まあできることならば出資金でまかなうことも私はいいと思います。いいと思いますが、いよいよ量産体制に入るということで、これは別途の資金として借入金で将来は行こう、さしあたり民間でまかなう範囲というものは、力の及ぶ限度というものがどうも全体の三分の二くらいしかいかない、あとの三分の一は、どうすればいいかといったようなことで、結局政府出資に応ずるのでなしに、債務保証をすれば必要な資金が調達できるというので、この方法に出たのでございます。別にどの金をどうしなければならぬというような理論上の根拠があるわけではありませんけれども、大体において民間資力限度というものからいたしまして、あと借入金でいく。借入金をする上においてはこの会社担保力がございませんから、担保力がなければ金融ベースに乗りがたい、こういう事情でございましたので、政府保証さえしてくれれば金融機関は喜んで融資する、こういう便宜の手段に出たにすぎぬわけであります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 現在日本航空機製造株式会社借入金幾らくらいありますか。
  18. 佐橋滋

    佐橋政府委員 現在航空機製造会社出資金で一切の処理をまかなっておりますので、借入金はほとんどありません。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 この債務保証する限度は毎年予算のときにきまる、こういう格好ですが、先日参考人の意見を聞いておると、本年は三億だ、しかしピーク時には百二十億くらいになるというふうなことを言っておりましたが、毎年々々予算できめるのだからということで野放しにできないと思うのです。これは「当分の間」となっておるが、その「当分の間」というのは、一体どの程度期間を考えておるのかということと、その限度をどの程度まで考えておるのかということをお伺いしたいと思います。
  20. 佐橋滋

    佐橋政府委員 先般中島参考人の言いました、最盛期といいますかピーク時には百二十億くらいの残高ができると申しましたのは、量産ピークに達したときの場合でありまして、その百二十億というものを全部政府債務保証でいくということは全然考えておらないわけであります。現在われわれが考えておりますのは、四十五年度までに大体百五十機くらいの生産を了するというふうに考えておりまして、政府債務保証ピーク時に、どのくらいになるかということについては、まだ検討を加えておりません。「当分の間」というように規定いたしましたのは、当会社は、試作機ができ、飛行試験を完了して所期の通り飛行機であるということが現実に立証されれば、当然国内及び国外から注文がある、こういうふうに確信をいたしております。飛行機は御承知のように大部分注文生産でありますので、注文生産が可能になる段階には、当然金融機関もこれについての金融をいたしてくれますので、政府債務保証は要らないということになるわけであります。ここで「当分の間」といいましたのは、二、三年からせいぜい三、四年というぐらいに考えておるわけであります。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 これはあらかじめ期限金額限度というものを定める必要があるのではないか、こういう感じがするのです。何となれば、法律政府予算範囲内で保証することができる、期間は当分の間、こういうことならば、いわば白紙委任状を渡すようなものです。その白紙委任状によって、金額は本年度は三億だというが、来年度は何ぼかかるかわからない、あるいは期限をどう書き変えるかわからない、こういうことであるので、少なくとも保証債務国家が負う場合にはその限度を明らかにする必要がある。そうでなくて、今申しましたような白紙委任状を渡してしまう。少なくともこれは国民血税から出る、あるいはまた大衆から集めた財政投融資資金から出る、こういうような国民の金であります。従ってこれを野放しに白紙委任のような格好で、法律で単なる抽象的規定でいくということについては、いささか疑問を持っておりますが、限度並びに期間を定めるということについては、いかがでございますか。
  22. 佐橋滋

    佐橋政府委員 現在いろいろの法律で、こういった特殊法人等に対する政府債務保証規定がありますが、これはいずれも債務保証限度というものは、法には規定していないわけであります。ただいま先生の御指摘になりましたように、毎年国会の御承認を得て、その年のいわゆる限度をきめていただくわけでありまして、従って政府が恣意的に保証限度をふくらましていくということはないわけでありますので、これはほかの法律立法例にならいまして、限度を示しておらないわけであります。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣にお伺いしますが、局長の答弁では、今までの例が全部こうだから、その前例にならってやった、こう言うのです。今までがどうであったか知りませんが、そういう白紙委任に等しいような抽象的な法律のきめ方——なるほど毎年予算というものは細まれる、その範囲においてだ、こういうことですが、期間限度も定めないというような、野放しの保証債務というものがあり得るかということを考えた場合、今までがそうであったとしても、私はそういうことこそ改めるべきであって、この際限度期間を明らかにする、そういうように改めるべきと考えますが、大臣政治的な立場から、どう考えますか。
  24. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ごもっともな点もございますが、今度の第三条の二において、「国会議決を経た金額範囲内において」と、こういう重大な制約を設けておりまするので、従って、その債務限度については、おのずから制約がございまして、勝手にこれを広げるということは、不可能な状況になっております。大体がこの種の特殊法人といたしましては、日本航空機工業というものが今日非常に振わない段階にありますので、これを育成していこうという建前でございますから、この程度助成措置は、やはりやむを得ざるものと私は考えております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 今までがそういった立法例であるから、そうするということについては、私は賛成をしかねるわけです。悪いものがあれば改めていくべきです。大体今までのそういった白紙委任に等しいようなきめ方、これ自体私はよくないと思っております。少なくとも国民の金、国民血税、これを無条件に——条件国会議決だ、こうおっしゃるだろうが、これとて一括して予算を通すか通さぬかというだけできまるわけです。そういうような包括的な決定ということのみに依存をして、そのあとは全部無期限限度なしに保証債務国家が負うというような行き方については、私は大きな疑問を持っております。その点について、今まではそうであったかもしれませんが、今後この種の法律については、十分考えていく必要がある、こう考えますが、大臣に重ねてお伺いします。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そういう考え方も、私はよくわかるのでございます。大体めどのないことを始めておるわけではございませんが、とにかくこれが一人前になって、国際的に競争力を持つというところまで育成しなければならぬのでございます。それをあらかじめ限度あるいは期限を定めるということが、せっかくこういった重大な使命を持って生まれた企業機能を、むしろみずから弱めて、制約するというようなことになって、そういう点ではいかがなものであるかと私は思うのであります。しかしきめないからといって、これを甘やかして、無制限助成を加えていくという趣旨では、もちろんございません。国会の厳密な御審議によらなければなりませんし、また監督の衝に当たる私どもといたしましても、十分に厳正な態度をもって監督行政を行なっていかなければならぬということは、もちろんのことでございますけれども、どうも事柄の性質上、あまりはっきりした限度制約を設けることはどうかと思うのであります。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 政府のとられる態度に対しまして、独占企業あるいは大企業保護というか、援助、これが中小企業その他一般国民に対しての保護等と比べて、政府は大きく独占企業とか大企業援助しておられる。そこをわれわれは常に批判してきたわけです。これはもちろんそのための特殊法人であろうけれども、これも一つ独占企業体なんです。しかもこれに関与している民間会社は、いわゆる一流会社、大企業ばかりなんです。それに対して政府が無期限の、そして無制限保証債務を負うということ、そういうことに対して、政治あり方として、池田さんの言う政治の姿勢を正すという上から言っても、私は、今までの例が当分の間云々となっているので、その立法例にならったんだということだけでは、承服ができかねます。今後の立法に対する考え方と、なお今回のこの保証債務について、局長の言う三年ないし五年、この間における借入金めどといいますか、それがどの程度になるかという資料をちょうだいしたいと思いますが、いかがですか。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 もちろん、その資料は喜んでお出しいたします。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 それから、今後の立法あり方、そういったことについてはどうですか。
  30. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その問題は、さっき申し上げたように、あまり窮屈な制約を加えるということが、かえってこの特殊会社機能を縮めてしまうということになりはしないか。でございますから、そう無制限な長い期間でもございませんし、また保証債務の額にしても、これは大体常識的に考えられる限度というものはあるのでございますから、それを明確に立法するということについては、ものにもよると思いますが、この際は、私はかえって機能を阻害することになりはしないかということを考えるわけでございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣と私とは、若干見解が違いますので、これ以上質問してもむだだと思うので申しませんが、少なくとも法律上として見た場合は無期限、無限度です。それを政府保証しようというのがこの法律改正なんです。従って、国民の利益という上に立ちました場合に、私は納得できないものがあります。今後の立法あり方政治あり方としては、この種のものについては、少なくとも期限限度くらいは考えるべきじゃないか。そうでなければ、法律上は無制限保証債務を負う、こういうことです。この法律から限度が出てくるかといえば、出てきません。予算のときに国会議決と言うが、これは総括的な、全部まとめた問題であって、おそらく予算審議において、この問題をとらえて、金額を云々するというようなことは、深く掘り下げられないと思います。そうするとわれわれが言っておる大企業独占、大企業擁護援助の政策をとっておると言わざるを得ないと思うのです。  なおもう一つ申し上げたい点は、先ほど大臣は、日本航空機製造株式会社担保がない、従って債務保証をする必要があるんだ、こうおっしゃった。ところが、これに入っておりますところの民間企業は、先ほど来申し上げておるように、新三菱重工等日本一流中の一流会社が多いのであります。少なくとも自分たちの仕事に付随する航空機製造並びに技術の向上、こういうことであるならば、それぞれの会社連帯保証をすればいいと思うのです。連帯保証で、金は出ると思います。三菱にしたって川崎航空機にしたって、あるいは新明和にいたしましても、それらが連帯保証をすれば、金が出ると思う。あえて政府がこの種の無期限保証債務を負う必要もない、このように考えますが、どうでしょう。
  32. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 背後の財閥関係は、それは確かに相当の資力信用もあるわけでございますが、その財閥の中の個々の企業というものは独立採算制をとっておって、なかなか保証なんかもそう判こを押さない、きわめて冷酷といえば冷酷な関係にあると私は思っております。それで、飛行機部門は、いずれもみな赤字であります。そういうような関係で、大きな財閥で作られておるんだから、ほかの十分な資力信用があるところが応援をすればいいじゃないかということは、私は財閥に入ったことはありませんからよくわかりませんが、その点は非常にそろばん高くできておって、銀行はまた、三菱に属するとかいうことではなしに、飛行機なら飛行機部門というものを、もう冷酷に厳密に見詰めて、そして信用があるかないかということを判定してやっておる。そういうような関係でございますから、自然こういうことになるのでありまして、そのことがいいか悪いかということは、今ここで論じてみたところで仕方がない、実際のあり方は、そういうふうにまことに冷厳なものであるというふうに考えますので、その点は、どうも政府保証というものは、必要にして最小限度のものである、こう考えております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 最後に確かめておきたいと思うのですが、この会社は、いわゆる量産体制に入って——局長が言ったように、私は若干の疑義を持っておりますが、予定通り輸出ができる、採算ベースに合うというところまでくると、独立するんでしょう。独立というか、政府の手から離れていくという考え方じゃないですか。そうするならば、それは、結局は現在日本航空機製造株式会社を構成しておるというか、入っておるところの大きなこれら航空機関係会社のものになってしまうんですよ。またこういう格好でなくおのおのがやりなさいといえば、三菱であろうが川崎であろうが、ジェット機の輸送機くらいの生産には取りかかるのです。それを調整の意味もあって、私はこの法律ができたと思う。この会社ができたと思う。それに対して政府が、出資は当分の間、これはやむを得ぬとしても、債務までもそう多くするというようなことについては、私はなお疑問があるということだけを申し上げておきたいと思います。それと、将来この会社独立採算制がとれるようになったときのあり方、どう考えておられますか。
  34. 佐橋滋

    佐橋政府委員 この会社が、今後注文を受けて、独立採算がとれるようになりますれば、政府からの債務保証とかなんとかということは、もうなくなるわけでありまして、ただ現在までに出資しました政府出資分だけが残る、こういう形になるわけであります。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば連合審査で今問題になっている新技術開発事業団法とか、あるいはいろいろなそういう法律がありますが、損をするかしないか、これは国家的見地からだといえばそれまでのことなんだが、そういうときに政府は育ててやる、債務保証してやる、出資金も出してやろう、そうして、それが経済ベースに来る、企業化に成功する、そうすると一企業会社として利潤独占していく、これが今までのあり方なのです。そうでないとは言わせません。この法律にしたってそうなんです。新技術開発事業団法にいたしましても、結局は企業になるまでは政府がめんどうを見よう、金を入れてやろう、企業になってからは、採算ベースに合うようになってからは、その委託を受けたところが自分のところの企業として利潤を上げていくわけです。そのときに保証した保証債務は打ち切ります、あるいは作った設備は年賦償還で回収しますといっても、もうそのこと自体独占企業体を作ること、その利潤を擁護すること、こういうことに政府が援護しておるということが私はいえると思う。今日この程度のことはやむを得ないといえばそれまでだと思うのですが、あまりにも無制限援助というようなことは、これが少なくも国民の税金である、大衆の金であるという立場から考えて、私はもっと慎重にやってもらいたい、こういうことを申し上げておきます。大臣どうですか。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ごもっともでございます。独占企業体がその独占の地位を乱用するというようなことは、これは特殊会社であろうと何であろうと、絶対に避けなければならぬと思います。その点は十分に監督いたします。ただし、こういったようなことによって、日本に一度しかれた近代的な航空機産業が再び花が咲くということになることは、一般のそこに働く人々のみならず、国の産業として、機械産業振興の上において非常に有意義なことであるということも認めていかなきゃならぬと思うのであります。さればこそ、これを育成助長するわけでございまするから、今お話しの独占乱用というようなことにつきましては、厳正な態度をもって、これを取り締まることにいたしたいと思います。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 航空機工業振興法案についての最後のお尋ねをいたします。三条の二、今度追加せられる条文ですが、先ほど言っておられたけれども、「国会議決を経た金額」は、結局予算において議決をする、こういう意味なのですね。それとも本年度限度幾ら幾ら保証しますということを独立案件として出されるのですか、いかがですか。
  38. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えいたします。これは独立案件ではなくて、予算総則にその年の債務保証限度をうたうわけであります。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、やはり先ほど来私が言っておるように、一括的な議決ということになって、これは条文の上での国会議決というだけで、一括して予算審議の中に入ってしまう。これは、今さらこれをどうしようとは現在私は申しませんが、こういうような場合は、少なくとも独立案件として議決を得るようにでもする方がいいんじゃないか、このようにすら考えておることを申し上げておきます。
  40. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。独立採算ベースに乗る段階では、国内の航空路線は、どの程度に網が張られるか、それは見込みはどうつけておられるか。  それから第二点は債務保証独立採算段階にいけば消えるというが、消えるという根拠は何か。それからそういう場合には債務保証が消えるばかりでなく、政府出資から絶縁する、こういうことを当然に考えなければならぬ。そういう私企業の独創性というか、創意工夫というか、そういうものを生かすためには、やはり完全なる民間企業に移すということが常にとられておる方針なんでありまして、そういうことを当然考えなければならぬと思うがどうか。そういう場合に政府出資金の価値というものはどういう計算をされるものか。そのままの金として計算されるのか、それだけの基礎的積み上げをした資金としての価値というものは、どういう方法で算定されるのか。これはやはり政府の持ち株を、全部その会社に譲渡ずるという方式になるのじゃなかろうかと思うのですが、そのときの政府出資金の価値というものは、五億なら五億というそのままではない、こういう工合に私たちは思うのです。そういう場合の算定の方法はどうするのか、こういう点について一つお尋ねいたします。
  41. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えいたします。  この中型輸送機の国内に使われる問題でありますが、これは運輸省が詳細に路線の拡充を計画いたしておりまして、私の方はその詳細なのはいただいておりませんが、現在までの国内の幹線及びローカル線の乗客の増と申しますのは、大体五カ年計画では幹線は二〇%、ローカル線は二五%ずつ毎年伸び率がある。現実の伸び率はその計画よりもはるかに上回った三〇%ないし四〇%以上の伸びを示しておりまして、国内の路線が相当広範囲に拡充されるというふうに承っておるわけであります。当会社独立採算制になりましたといいますか、信用ができまして、政府債務保証のやっかいにならないと言いました場合には、先ほど申しましたように出資は一応残りまして、その出資に伴うといいますか、配当その他が受けられる、国に返ってくるというふうに考えておりまして、その後、この会社が非常に大きくなって参りました場合には、場合によりますと民間政府の株を買い取るというようなこともあろうかと思いますが、現在の段階では、そこまでは考えておらないわけであります。
  42. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大臣どうですか。やはり普通のやり方としては軌道に乗るならば完全に民間に移すという、こういう方法を考えていないのですか。それは今の段階では考えていないとおっしゃるけれども、そういうことは既定の方針として肯定せざるを得ないのではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  43. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 とにかく飛行機産業日本に再び育成しようということでございますから、その目的が十分に果たされて、もはや政府関係しなくともよろしいという段階になれば、お話のようにこれを特殊会社たる性格を廃止して、政府の持ち株もこれを民間に払い下げるなり、あるいは政府一つの資産として残すなり、とにかく特殊会社という機構をやめてしまうということも考え得る問題でございます。しかしながらただいまのところは、その問題については何も政府としては具体的な意見は持っておらない、将来考える問題だと思います。
  44. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではもう一つですが、この航空機製造産業を軍事的な面から絶縁する、そういうような配慮はあるのかないのか。これは絶縁すると言ってみても始まらぬのですが、何かそういう完全な平和的な意味における輸送機生産だということに、きちんと限界をつける、そういう何か配慮があるのかどうか。私はこの法案は全然研究しておりませんので、そんな思いつき的質問で失礼ですが、御配慮があるかどうか伺いたい。
  45. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは普通の輸送機でございますから、将来の軍事的な配慮が伴っておるべきはずのものでも、もちろんございません。私ども直接の担当でございますが、そういう問題については何らそういう方面から指示を受けるとか、あるいは相談をかけられるということはございません。     —————————————
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは引き続いて計量法の改正について御質問いたしたいと思います。  まず今回の改正の第一点は、第十一回国際度量衡総会においてきめられた線に従っての単位の改正というか、基礎になるものの改正、こういうことであろうと思うのですが、われわれしろうとにはもう一つわかりにくい点もあるので、これは実際見た方が早いかと思うのですが、たとえば今までの長さの単位はメートル原器であったのを光の波長によってきめる、こういうことになるのですが、簡単にしろうとにわかるようにこの光波の関係とか、あるいはケルビン等を、技術的といいますか、そういう面について、どういうことで計量の単位の基礎になるのか、こういう点についてちょっとわかりやすく説明をしてもらいたいと思います。
  47. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えいたします。  従来のメートルの定義は、御承知のようにフランスに白金イリジウムで作りましたメートル原器というものがあるわけでありまして、各国はその親原器を写して一国に一つずつの原器を持っております。今度の改正と申しますのは、その従来のメートル原器というものはいかに精巧なものでありましても、人工のものでありますので、長い年月の間には材質その他の変化も考えられ、あるいは破損の危険もあるわけでありまして、今度そのメートル原器を廃止いたしまして、光の波長で一メートルというものを定義しようというふうに変わったわけであります。この光の波長によってメートルを定義するということは、その装置さえ持てば世界じゅういかなるところでも、いかなる時期にでも一メートルという長さが現出できるわけであります。  ただいま先生が簡単にわかりやすくということでありますが、光の波長と申しましても、光は色その他によってそれぞれ波長が違うわけでありまして、特定の光をまずきめたわけであります。それがクリプトン八六の原子から発する光、これはダイダイ色の光でありまして、この光を、ある一定の装置の中で刺激を与えますと、発するわけでありまして、だいだい色のわかりやすい光でありますが、この光をプリズムで取り出しまして、それを光の干渉という現象を用いまして、ガラスを何枚か合わしたのに投射させることによって、しまが出るわけでありまして、そのしまをはかっていわゆるクリプトン八六の原子、その場合に発する光でも、正確に言いますと、法案に書いてありますように、2p10から5d5の間の遷移に対応するということがありますが、御承知のように、原子は原子核のまわりを電子が回っておるわけでありますが、これは一定の軌道の上を回るわけでありまして、むやみやたらに勝手に回っておるわけではありませんので、刺激を与えますと、電子が一つの軌跡からもう一つの軌跡に移る。そのある特定の軌跡を、そこに法律でうたってあるわけでありますが、そこで発する光を、今言いましたような光の干渉の現象を利用いたしまして波長をはかる。その百六十五万七百六十三・七三倍というものが一メートル、こういうふうに定義づけられたわけであります。  続いてケルビン度でありますが、ケルビン度と申しますのは、現在もケルビン度——絶対温度という名前で学者その他の間では、常時用いられておる言葉でありますが、従来の摂氏度と申しますのは、御承知のように、氷点と沸点の間を百等分に目盛りしてあるのが現在の摂氏でありますが、氷点と申しますのは、厳格に申しますと、水は三つの形に変わるわけでありまして、いわゆる水蒸気とそれから水と氷、こういうふうになるわけでありまして、氷点と申しますのは、水と氷が同時に、同じ時刻、同じ場所で平衡して存在しておる時点を氷点と申すのであります。それから沸点と申しますのは、水と水蒸気が同時、同場所において平衡して存在する状態を沸点といっておるわけであります。今度その目盛りをもっと厳格に定義づけるために、水と水蒸気と氷という水の三形態が同時に、同時刻、同じ場所に平衡して存在する温度があるわけであります。それを水の三重点というのであります。これは一定の装置で現示できるのでありまして、現在中央計量検定所においてはこの装置が完備いたしておるわけであります。この水の三重点と申します点が現在の摂氏度で申しますと零度よりやや高い、〇・〇一度に相当するわけであります。これを上限といたしまして、下限は、現在人知あるいは科学をもって考え得る最低の温度と申しますのは、現在の摂氏でいうマイナス二七三・一五度というのが、いわゆる最低温度でありまして、これが絶対温度の零度、ケルビン度の零度ということになっておるわけであります。これは現在のいかなる科学的な方法をもっても現示のできない理論的な最低点であります。温度は御承知のように、底があって天井のないものでありまして、最低温度はあっても最高温度というものは何千万度でもあるわけであります。この最低温度といいますのは、あらゆる分子といいますか、原子といいますか、そういうものの活動が停止する時点、これにはものの変化も何もないというのがマイナス二七三・一五度であります。この理論的に計算し得る度とそれから先ほど申しました水の三重点との間を熱力学的に計算してはかると、従来の氷点と沸点との間を百度に結んだのと同じ目盛りで計算ができるわけであります。従来通り摂氏度につきましても使用を認めますので、実際の使用面については何ら支障あるいは変化はこないわけであります。ただ非常に科学が進歩し、技術進歩しますと、機械その他でもミクロン単位ではかるようになりますので、定義自身は国際的にきめられましたこういった非常にわかりにくいあれでありますが、厳格な定義を採用いたしたい、こういうふうに考えたわけであります。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで委員長にお願いをしておきたいのですが、百聞は一見にしかずといいますから、当委員会として今の説明による長さの単位の算出等々必要な実際を見たいと思います。従いましてそのような視察ということを一つ考えていただきたいと思います。
  49. 中川俊思

    中川委員長 承知しました。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 それからもう一点の改正は、計量器の使用にあたっての制限なんです。計量法の七十八条から八十二条まで、これに現在制限規定があります。その上へ持ってきて、おもに、ますとか、はかりですが、そういうのはさらに政令による制限を加えよう、こういう改正のように理解するわけなんですが、そうした場合に政令によって指定せられたものとそうでないものとの間に、法律上における制限限度が違ってくるわけです。法律によって制限をし、なおその中から指定したものを政令で指定をして制限を加える、これはなるほど計量器は厳密にする必要はあろうと思うのですが、その間のはかりとか、ます等々について法律上の取り扱い上に不公平が出てくるという点もあり得ると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  51. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えいたします。現在法律に計量器の使用制限をうたってありますが、今度改正をいたそうと考えておりますのは、計量器は御承知のように非常に種々複雑な計量器が次から次へと発生をいたしておるわけでありまして、法律によって計量器の使用制限をするということは、事実上不可能になって参ったわけでありまして、今後発生するいろいろの——発生するといいますか製作される計量器についての使用制限を、政令に譲ることにいたしたわけであります。と申しますのは、たとえば現在の法律でやりますのは、たとえばますならますというものは、水平にしてはからなければ、ますの正確な計量はできないわけでありますので、ますは水平にしてはかれとか、あるいは看貫、秤量器の場合、たとえば大ていの秤量器にはついておりますが、ゼロ調整と申しまして、目盛りがかりにゼロよりもよけい振っておれば、上にあるつまみでゼロのところにまっすぐに直してはからなければ、正確にはかることができないというような、ほとんど全部の計量器に通ずる点だけを法律にうたいまして、新しく製作されます種々の計量器につきましては、その計量器の使用方法に従って使ってもらわなければ、計量器の正確な使用といいますか計量ができませんので、各種複雑な計量器について、こういうふうに使えというのは政令でうたいたい、こういうように考えたわけでありまして、これによりましてのいろいろの罰則その他の点につきましては、政令の分も法律にうたいました分も全然同一の扱いであります。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、計量器そのもの及びその使用方法等について、政令でなお詳細に指定しよう、そういうことなんですね。
  53. 佐橋滋

    佐橋政府委員 仰せの通りであります。大ていの計量器にはどういうふうに使用しろというのが大体標示してありますが、その標示のように使えとかいうようなことを詳細に指定するわけであります。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことによって計量器行政において取り扱いの不公平、法律上の不公平、こういうようなものは出てこないんですか。
  55. 佐橋滋

    佐橋政府委員 法律上の不公平は出て参りません。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 さらにもう一点の改正は、仏馬力を当分の間存続せしめるということなんですが、工率単位である仏馬力は三十六年の本年末まで、こういうことになっておるのを、今度は「当分の間」と改正せられるわけです。昭和三十五年十月二十二日付の日本学術会議の答申といいますか、これに「馬力は、世界の主な国がこれを使用しなくなるまで存続することが適当である」という意味の答申が出ております。従ってこの「当分の間」ということは、学術会議の言った、世界のおもな国がこれを使用しなくなるまでと理解してよろしいのでございましょうか。
  57. 佐橋滋

    佐橋政府委員 御質問の通り、世界の主要な国が仏馬力の使用を廃止するという時期まで、こういうふうに考えております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 その世界のおもな国ということは、範囲がばく然としておりますが、これは輸出等の関係から見て内燃機取引のある諸外国、こういうように解していいですか。
  59. 佐橋滋

    佐橋政府委員 今度当分の間使用することを許しましたのは、一にかかって内燃機関の取引上の問題が主でありますので、主要な取引相手国が、仏馬力を使用しなくなったというのが重要な時期だ、こういうふうに考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 その点は理解いたしました。  そこでお尋ねをいたしたいのですが、この改正法案とは直接関係はないのでありますが、少なくとも私が当委員会に来てから計量法が改正せられたのは三回あったと思います。そのつど私は計量行政の一元化ということで、現在電気に対する計量が、いまだに明治四十三年ですかにきめられた電気測定法によってやられておるという点を指摘いたしまして、早く計量行政の統一をはかれということを、何回か言って参ったと思うのです。現在電気関係法律は、かつてこの委員会で私が指摘いたしましたように、基本それ自体が暫定法であります。そうしてまたその暫定法によって、ポツダム政令によって一度効力を失った、死んだところの公益事業令が復活する、規定が復活するということで、日進月歩の中にあって一番目ざましい進歩発展を続けておる電気が、法律の基礎という上からいえば一番おくれておる、こういう点につきまして、かつてこの委員会で質問をいたしたこともありますが、その後一体当局としてはどのような動きをしておるのか、何回申し上げたら統一をし、新しい基礎的な電気事業法というようなものが作れるのか、まずこの点から、これは大臣にお伺いいたします。
  61. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 今の御指摘の通り、電気事業が一片の政令に似たようなものでやっているということは、確かに変態でございます。でございますから権威ある電気事業法を制定することにつきましては、研究中でございまして、できるだけ早く結論を得たいという段階でございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、この前も私申しましたが、電気の基礎になっているのは臨時措置法なんです。この臨時措置法ができて、それによって旧公益事業令の一部分を復活せしめて、すでに十年近くたっているわけなんです。この間何ら法制度については進んでいないわけです。従って機会あるごとにこの点を私指摘してきたと思うのです。まずこの基本的な法律もさることながら、この電気の単位の測定、これも先ほど来申し上げているように、計量法が委員会において問題になるたびごとに、——電気測定法が明治四十三年に作られて以来そのままになっておる。しかも計量法という法律があって、その他のものはすべて光から音に至るまで計量法においてその単位がきめられ、計量行政の一元化がなされている。しかも今計量法において改正されようとしているのは、佐橋局長が申された答弁の通り、なお一そう政令でもって使用方法まで厳格な指導なり規定をしようとしておられる。電気は明らかに商品であります。物であります。大きな取引の対象であります。その取引の対象である、しかも現在の経済あるいは新生活においては、一日として欠くことのできない電気の取引の単位が、明治四十三年、私の生まれる以前の法律のままで、なおほっておかれるというところに、何か特別の理由があるのでしょうか。単位を統一し、その取り扱いを計量法によって一元化することに対して、何か大きな支障があるのですか、まずその点をお伺いいたします。
  63. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいま田中先生から御指摘がございましたように、現在電気の計量に関しましては、電気測定法が基本になっておりますが、これは明治四十三年の非常に古い法律でございまして、御指摘のように現実に不備な点があることは私どもも認めている次第でございます。現在計量法が施行になりましてから、これが計量に関する一般法規として、電気測定関係だけは別の法律になっておりますが、いずれも計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保しようという目的におきまして共通でございまして、できる限り統一的な法制のもとに規制をするということが望ましい形ではないかと私どもも考えているわけでございます。ただいずれも非常に長い歴史のある制度でございまして、単位の方につきましては比較的簡単に統一的に処置ができるのではないかと思いますが、単位の施行に関する検定の問題等につきましては、この方法等につきまして別個な実施が行なわれて参りましたために、統一しました場合に、検定関係でなかなか問題があるわけであります。しかしながら私どもといたしましては、できるだけ計量法に統一をいたしまして、一本の法規として運用いたしていきますように、現在事務当局におきまして両法の内容について検討を続けております。私どもできるだけ早くそういう方向へ持っていきたいと考えております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 春日遅々という言葉がありますが、昭和三十年の改正のとき、三十三年の改正のとき及びメートル法に統一したときのあの法律が出たとき、私の記憶だけでも少なくとも過去三回にわたって、この点を強く要望したと思っております。目下検討中という答弁は、六年前も同じなんです。一体何年検討したら、はっきりしたところの態度が出るのですか。
  65. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいま申し上げましたようにいろいろと問題がございますので、できるだけ早く御趣旨に沿うように持っていきたいと思います。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 いろいろと事情があるといって、どんな事情なんですか。検定の方法といって、それがそれほど法律を直し、計量行政の統一をするのに数年を要するような重要な問題、課題、障害があるのですか。もう一度お尋ねします。それでは日をきめましょう。いつまでに統一できますか。これは一つ大臣にも答弁していただきましょう。
  67. 大堀弘

    ○大堀政府委員 現在行なっております検定の方法が違っておるわけでございます。検定する機関の体系も違っておりますし、検定そのものの方法あるいは基準器の使用の方法、こういった点において違いがございますので、これは私どもとしましては計量法に統一していただいてけっこうなわけでありますが、統一いたします場合には、計量法自身にも相当基本的に直さなければならぬ面が出て参ります。何と申しましても単位に関する、社会生活の基盤に関する問題でもございますので、その点は慎重に検討いたしたいと思っております。できるだけ早く準備をいたしまして、法案を作成するように努力いたしたいと思います。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣どうですか。一体いつになったらできますか、五年来申し上げておるのですがね。
  69. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これはできるだけ早急に実施すべきものであることは間違いございませんが、なかなか従来の伝統、歴史がありまして複雑なようでございます。私どもも勉強いたしまして、できるだけこの問題は早く解決を促進したいと考えております。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 片方は明治四十三年の制定です。そして第七条に「電気ノ取引二使用スル電気計器ハ検定ヲ受クヘシ」とだけなっている。ところが計量法でいう他の一般の計量器は、まず製造において認可の規定がある。十三条それから三十五条、四十七条によって修理から販売、そして登録、すべてについて法律によって規定せられておるわけです。大臣、よろしいですか。一般の計量器は今言ったように、製造だけでなく修理から販売等々に至るまですべて許可制度がとられておる。ところが電気は、先ほど申し上げた第七条で「検定ヲ受クヘシ」とだけなっているわけです。ここに法律上の大きな扱いが違っております。しかも電気は先ほど来申し上げておるように、産業の発展とか、あるいはまた日常生活に欠くことのできない大きなものであり、金額的にも大きく取引せられておるものです。それをはかるところの電気の方の計器が、こういうような状態でよろしいでしょうか。一方は先ほど来言っているようにいろいろの点において許可、登録等が必要なんです。  たとえば定額灯を例にとってみましたならば、取引はその定額灯をつけている何ワットの電球ということになるのです。ところがその電球自体がはたして検定を受けておりますか。そうするならば、取引の基礎は電気に関する限り計量法的なあるいは計量器としての厳格な監督等がないままに取引せられているということなんです。これをもっと言いかえるならば、何年前からこれを申し上げているにかかわらず、はっきりきめられないところに、いろいろ複雑な問題があろうと思う。その一つは、いつか私が申しましたように、百ボルトの電流を送るといっておりながら、それが今日、常にそのままいっていない点もあろうと思います。その点をごまかすためです。少なくとも電気に関する限り正常な取引はなされていない、これは私はっきり申し上げていいと思います。公益事業局長どうです、今申しましたたとえば定額灯の電球の問題あるいはリミッターの問題等は、いわゆる電流制限器等はそれ自体が取引の単位なんですよ。ところがその電球なりリミッター自体は、はたして何ボルト使うか、こういうことについてはっきりした基礎的な検定を受けていますか。市販されているところの電球と電気会社が持ってくる定額灯は、それをつける。ところが電気会社としての何はあるのか知りませんが、一般にワットならワットについて電流の使用ということについてのはっきりした基準ができていますか、無検定で使われているじゃありませんか。それで公正な取引ができている、こういうように言えますか、いかがです。
  71. 大堀弘

    ○大堀政府委員 定額電灯の電球は計器ではございませんので、検定ということになっておりません。リミッターはいろいろな危険防止のためのものでございますので幅がございまして、従って計器としては取り扱っておりませんので検定はいたしておりません。電気用品としての一般的な取り締まりを受けまして、規格において十分性能に狂いのないようにいたしておりますけれども、電気計器の検定という形では検定いたしておりません。しかしながら電気測定法は先生の御指摘の通り非常に不備でございますので、これを整備いたさなければならぬと考えておりまして、実は独立の電気測定法を作ろうということで立案をいたしたわけでございますが、計量法と統一してやるべきではないかという御意見によって、一応統一して出す体系として現在検討いたしておるわけでございます。できるだけ御趣旨に沿って、早急に案を作りまして御審議をいただくようにいたしたいと思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 電球はあなたが今おっしゃったように計量器として扱っていない、従って検定も受けていない。ところが定額灯の場合は、それが一戸月幾らという取引の基礎になっているのと違いますか。そうでしょう。そうなると、需用家との取引の間にあって、定額灯に一例をとれば少なくとも単位はないと思う。計量器に基づくところの売買はできていないということ、しかもいっかあなたに私が強く申し上げたように、現在の電気の供給規程は一方的にきめられておる、基礎はない。でたらめもはなはだしい取引が行なわれているといって過言ではないと思う。また先ほど来言っているように、計量法には製造から販売、修理等々に至るまで全部許可等の必要なことをきめている。一方にはそんなものはないのですよ。ここにはっきりとした同じ取引の上において、電気と他の一般のものとの間に、法律の上における取り扱いが異なっておる。法の上に平等な取り扱いを受けていない。言いかえるならば独占企業である電力会社に有利になっておる。少なくともでたらめだ、こう言わなくてはならぬと思います。これは大臣にはっきりとお伺いいたしますが、こういう点を一体いつ直されるか。それを今直ちに直して、この改正とともに改正せよとは私は申しません。だがしかし私は少なくとも過去三回、四回にわたって同じことを申し上げてきました。もうこれ以上申し上げることもむだだと思います。従っていつするかということをはっきり出して下さい。出すまでは当法律改正案に賛成することはできません。
  73. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 電気の計量問題については全く御指摘の通りでございまして、電球もさることながら、いなかの電灯会社なんかでは、夕方電気がついてもホタルの光くらいなもので、電気計量の問題は全く焦眉の急に迫られておる問題だと私は思います。今いつごろという答えをしろ、こうおっしゃいますが、できるだけ早くこれはやることにいたしまして、少なくとも次の通常国会くらいまでには結論を一つ出したい。これには単独でやる方法と、計量一本でやるのと両方ございますので、一本でやるということになりますと、現在の計量法を直さなければならぬということは、先ほど局長から申し上げたようなわけでございまして、そういうことになると、またもう少しおそくなります。いずれにしましても、次の通常国会を目途にして出すことにいたしたいと思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 今おっしゃったように、なるほどまず電気測定法自体改正する、そうして計量法と同じような水準において扱うように持っていく。そうしておいて、次に計量法の中に入れてしまって計量行政の一元化をはかる、こういう行き方もあろうと思うし、一挙に電気測定法を廃止して、計量法の中にその規定を入れるという方法もあろうと思います。しかしそれが一段階を経ていくか、一足飛びにいくかということは、私ここで注文をつけようとは思っておりませんが、少なくとも計量行政の一元化という上に立って、すみやかにまず電気の測定、電気の売買取引における基礎をはっきりしてもらうということ、そのことを強く要望するとともに、今申されたように、少なくとも次の国会においては現実の問題として出てくるようにしてもらわなくてはならぬと思います。これは三十年私申し上げてきた通りであります。  たとえばもう一つ申し上げておきます。先ほど申し上げておったように、一方においてはそういった法律において大きな規定がある。ところが電気測定器なら認可、許可制度、すなわち権利義務に関する一切は勅令に委任なんです。戦時中以前の亡霊である勅令の委任の規定がまだ残っておるのです。それが、一体相手は何かといえば、日進月歩中でも一番長足の進歩を遂げておる、また日々発展しておる電気に対して四十三年の法律で、勅令に委任するという規定が残っておる。こういうのは法律の体裁からいっても早く直さなければいかぬということは大臣よくわかると思います。しかもこういうことでこのままほうってあるということは、これは独占企業中の電気会社を、ますます横暴にせしめるもとになっておるのです。これははっきり言えると思う。同時に先ほど来言っておるところの旧公益事業令というようなものが、今ごろのこのこ顔を出しておるということ自体がおかしい。このこと自体も電気業界の独占をますます強化し、その独占力の横暴さをますます助長するもとになっておる。従って測定法だけでなく、電気についての一貫した基本的な法律体系を整備せられることを強く望んでおきます。でなければ公益事業局に申し上げておきますが、電気用品取締法なんというのを出されるそうですが、基礎があいまいであって、そんなことだけで電力行政、電気行政はやっていけませんよ。大臣が少なくとも次の通常国会までには、こういうことですから、本日は了承しましょう。しかしこんな方法でほうっておったら、ますます電気会社が横暴になっていくという現実は認めていかなければ、しようがないということになります。またこの法律とは直接関係がないので、まだあなたとの間に懸案になっておる電気供給規程の問題等も残っておりますが、それは一ぺんゆっくりとあなたの意見を聞くことにいたしまして、この電気測定法のことについて、きょうは一つげたを預けておいて終わりたいと思います。
  75. 中川俊思

    中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明五日水曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時九分散会