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1961-03-24 第38回国会 衆議院 商工委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年三月二十四日(金曜日) 午前十時五十九分
開議
出席委員
委員長
中川
俊思君
理事
内田 常雄君
理事
小川 平二君
理事
岡本 茂君
理事
中村
幸八君
理事
田中
武夫
君
理事
松平 忠久君 遠藤 三郎君 岡崎
英城
君 小沢 辰男君 海部 俊樹君 神田 博君
佐々木秀世
君 齋藤 憲三君 笹本 一雄君
田中
榮一君
田中
龍夫君 中垣 國男君 林 博君 原田 憲君 早
稻田柳右エ門
君 岡田 利春君 加藤 清二君
中村
重光
君 西村 力弥君
山口シヅエ
君
伊藤卯四郎
君 大矢 省三君
出席国務大臣
通商産業大臣
椎名悦三郎
君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長
佐藤
基君
通商産業政務次
官
始関
伊平君
通商産業事務官
(
重工業局長
) 佐橋 滋君
中小企業庁長官
小山 雄二君
委員外
の
出席者
日本国有鉄道管
財部次長
土井 厚君 専 門 員 越田 清七君
—————————————
三月二十三日
輸出入取引法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第一五三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
連合審査会開会
に関する件
中小企業振興資金助成法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第一〇一号)
機械工業振興臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第一一九号)
輸出入取引法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第一五三号)
派遣委員
より
報告聴取
————◇—————
中川俊思
1
○
中川委員長
これより
会議
を開きます。 まず
連合審査会開会
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
で
審査
中の
鉱工業技術研究組合法案
につきまして、
科学技術振興対策特別委員会
より
連合審査会
を開きたい旨の申し出がありましたので、これを受諾し、
連合審査会
を
開会
することにいたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中川俊思
2
○
中川委員長
御
異議
なしと認め、さよう決定いたしました。 なお、本
連合審査会
の
開会
は来たる二十八日火曜日午後一時
開会
の
予定
であります。 ————◇—————
中川俊思
3
○
中川委員長
次に去る十八日
筑豊地区
における
炭鉱災害
の実情を
調査
するため
委員
を派遣いたしましたが、この際
派遣委員
より
報告
を聴取いたしたいと存じます。
中村重光
君。
中村重光
4
○
中村
(重)
委員
調査団長
の
長谷川委員
が差しつかえがございますので、かわりまして私から御
報告
申し上げます。この
調査団
は、
商工委員会
といたしましては
長谷川委員
と
不肖中村
が、
社会労働委員会
から派遣されました三名の
調査委員
と
一緒
になりまして
合同調査団
を組織いたしまして、
長谷川委員
が
調査団長
として現地の
調査
に当ったのでありますが、ただいまから御
報告
申し上げます
調査報告
は、
調査団
が
意思統一
をいたしましたのを、同行いたしました
藤沼調査員
が取りまとめておりますので、お手元のパンフレットを配付いたしておりませんのはまことに申しわけありませんが、以上取りまとめましたものを私が朗読いたしまして、
調査報告
にかえさせていただきたいと存じます。 去る三月十六日未明、
福岡
県八幡市香月町、
大辻炭砿株式会社大辻炭砿
において
発生
した
炭鉱火災
及び相次ぐ
炭鉱災害
に関する
調査
のため、衆議院より派遣された
合同調査団
の
報告
を申し上げます。 まず
大辻炭砿
の
災害
の
状況
について申し上げます。
災害発生
を見た
大辻炭砿
は、
貝島炭砿株式会社
より分離したものであり、年間二十万トン程度の出炭を見ており、
能率
も月産一人当たり十八トン以上の高
能率
を上げ、
坑内
の
保安状況
も
保安管理
も良好な
炭鉱
であったのであります。
事故
の
発生
は、三月十六日午前一時半ごろ第二巻
卸右
三
半片コンプレッサー室
(
坑口
より約九百三十メートルの
地点
)で
火災
が起こり、これを三月十五日
乙方入坑
の
鉱山労務者
が発見したのであります。この
報告
を受けた
瓜生所長
は
状況
を
判断
し、
入坑
中の
作業員全員
を
坑外
に退避させる一方、二時ごろから、
所長
以下
会社
の
技術首脳陣
が相次いで
消火
のため
入坑
し、
消火作業
に当ったようであります。
関係者
の話を総合いたしますと、四時三十分ごろまでは、
消火
も順調に進み、
坑内
からの
電話連絡
によっても、
消火
は済んだ、お茶をおろしてくれ、
甲方
(七時に
入坑
する
作業員
)の
入坑
を三時間おくらせろという
瓜生所長
よりの
命令
があり、
坑外
にいた
関係者
も事態は順調に進んでいると見て安心しておったところ、五時十分
杉原工作次長
より直ちに
酸素
を発送せよとの
連絡
があり、この
連絡
を
最後
にして
坑内
との
連絡
は切れたのであります。そこで
会社側
は五時二十分ごろ、
貝島炭砿
に
救護隊
の出動を要請する一方、
福岡鉱山保安監督部直方派遣班
に
連絡
をとったのであります。
貝島炭砿
より派遣された
救護隊
約二十名は八時に到着しましたが、到着前に、
大辻炭砿
で編成した
救護隊
一班は、直ちに
入坑
し、
災害現場
に急行したのでありますが、
大根土
第二巻
卸右
一片
付近
で、
罹災者
二名を発見しましたが、
救護隊
の
酸素不足
のため、引き揚げたのであります。引き続き七時二十分ごろ第二回目の
救護隊
が
入坑
し、
右部水平坑道
を探険しましたが、煙が多く探険困難との
報告
があったようであります。 この二個班の侵入により、
左斜卸
よりの
分岐点付近
で通気を
制限
し、煙と
ガス
を押えようとしましたが、勢いが強く
作業
は意のごとく進まず、そのため、新
城下坑
に
扇風機
を設け、煙と
ガス
の排除に努めましたが、
坑内状況悪化
のため、この
扇風機
の運転を一たん中止し、夜十時第一巻
卸坑道
を
粘土等
で
密閉作業
を行なうなど、あらゆる
対策
をとったのであります。その間、
救護隊員
中にも二十名以上の
中毒者
を出すなど、
救援作業
はきわめて困難であったようです。その後
救援本部
は、
遭難者救援
のため種々検討した結果、三月十九日、第一巻卸の
深部地区
を
完全密閉
の上、
左斜卸地区
の
ガス
を排除しつつ、
救護隊
を
遭難地点
に送り込む
基地前進法
という作戦をとり、迂回して
コンプレッサー室
に近づく
作業
を行なったところ、これが成功し、十九日午後より、第一
基地
、第二
基地
、第三
基地
の設定が成功し、二十一日午後七時四十分、二十六名
全員
の
遺体収容
を見たのであります。
災害
の
原因
につきましては、ただいま
福岡鉱山保安監督部
を
中心
にして
調査
に当たっておりますので、その結果を待たなければわかりませんが、
関係者
の話を総合しますと、
坑内
にある
コンプレッサー室
より出火した
火災
が一部
沿層坑道
の
石炭
に延焼し、
不完全燃焼
の際、
発生
した多量の
一酸化炭素
により中毒死したものと推定されます。
災害
当日の午後四時ごろ、
坑口
から百五十メートル
付近
で〇・一%ないし〇・二%の
一酸化炭素
を確認しておりますが、
一酸化炭素
が、〇・〇六%あれば、
防毒面
がないと、三十分も生存が不可能である事例より見ても、
罹災者
は、おそらく
一酸化炭素
の
中毒化
に気づき、五時十分ごろ
酸素
の発送を
電話連絡
後、
遭難
されたものと推定されます。 今回死去された二十六名の
方々
は、
大辻炭砿
の
技術陣
の
最高首脳部
と
労働組合
の
幹部
であり、かねてから
坑内
の
保安施設
、
保安状況
を熟知していた
人たち
であり、従って
消火隊
の大部分が
ベテランぞろい
であったことと、
現場
からの楽観的な
状況報告等
が重なって、
関係者
間に、ある程度の気のゆるみが生じたのではなかろうかと思います。しかし
坑内火災
で
遭難死
は、大てい、
一酸化炭素
による
ガス中毒
が
原因
であります。足の早い煙と
一酸化炭素
の渦がものすごい早さで狭い
坑道
を走り回る。これを逃げ切れる人は、まず、いないというのが、山の常識であります。
遭難
された
方々
の多くが
ガス
・
マスク
なしで
入坑
したのは、この点不用意であったのではないかといわれております。 しからば何故
コンプレッサー室
に出火を見たのか、この点については、
失火説
、モーターの過熱説等明らかでありませんが、
大辻炭砿労働組合
の
幹部
と会見の際、
幹部
の方から、1、
コンプレッサー室
の
構造
に不備があったのではないか。2、
コンプレッサー室設置地点
が一部
沿層坑道
にあったからではないか。3、
コンプレッサー室
にかなりの重圧があり、
上部
にある、「木のなる」木に燃え移ったからではないか(
上部
に
トタン板
が数枚置いてあったようである)等の
意見
があり、さらに、
会社側
より、
遭難
前日、
瓜生所長自身
が、
大辻炭砿
の
保安
について大体自信がある。ただ、早く
コンプレッサー室
の「木のなる」木を「コンクリートのなる」木にかえることだけが気がかりだ、
コンプレッサー室
が一番気がかりだと言っていたと申しておりました。以上
労使双方
の
意見
を総合しても、
コンプレッサー室
の
管理
に不十分な点があったのではないかと推定されます。 なお二月二十日
福岡鉱山保安監督部立花技官
より、
ポンプ座
、
コンプレッサー室
は
防火構造
とし、
消火設備
を補充すべしとの勧告が出されております。しかし、当時の
コンプレッサー室
の
設置個所
及び
構造
がはたして
鉱山保安規則違反
であるかどうかは、同鉱が
乙種指定炭鉱
でありますだけ、にわかに即断できかねるのであります。
大辻炭砿
の
災害状況聴取
後、
福岡
に帰り、
福岡鉱山保安監督官
と会合を持ちました。
鉱山保安監督官
より 1、
保安監督体制強化
のため、
巡回検査
を二名以上でやらしてもらいたい、旅費、手当の
改善
、予算と定員の増加をぜひ実現してもらいたい。 2、
鉱山保安監督官
の
待遇改善
、特に現在、
最高
の
監督官
が五
等級職どまり
であり、きわめて低い
待遇
にあるにかんがみ、すみやかに
給与改善方法
を
考え
てほしい。 3、
監督行政完璧
を期するため、身分の保障と特に一部
悪質鉱業権者等
よりの
暴力等
からの危険を排除してもらいたい。等の点について、強い
要望
がありました。私
たち
は、きわめて悪条件のもとで、身を挺して活躍している
保安督監官
の労をねぎらい、
要望
の実現に努力すると申しておきました。その他
関係者
より
意見
を聴取いたしましたが、以上が
報告
の概要であります。 今回の
大辻炭砿
の
災害
を
調査
して強く感じましたことは、第一に
コスト引き下げ
を急ぐのあまり、ややもすると
保安
を軽視しがちではないかということであります。
石炭鉱業
の
合理化
に名をかりて、
保安
をおろそかにすることは、かえって
合理化
のためマイナスであることを、
関係者
は強く認識すべきであります。 第二に、
人命尊重
の
立場
から、もっと
関係者
は、
鉱山保安
を重要視すべきであります。地上と異なり、地下における
作業
は、その
特殊環境
を
考え
てみても、
保安
については、もっと強い関心と責任を持ってほしいと思います。特に今回の
大辻炭砿
の
災害
は、抗内
火災
に基因しておると推定されており、前回の
上清炭鉱
の
災害原因
をも考慮するとき、
消火
のための
準備
について、
関係者
の
考え方
が十分でなかった印象を受けたことは、まことに残念であります。 第三に、
保安思想
の高揚とともに、
法律
を守る、
法律
を守らせるルールを確立せしめることであり、これがため、必要とするならば、すみやかに
関係法規
の整備をはかるべきであると思いました。
石炭鉱業
は、
わが国経済
にとって
重要産業
であります。そのためには、今回の
災害
を契機として、一段と安定した
石炭鉱業政策
の確立をはかるためにも、すみやかに、
鉱業法
、
鉱山法
及び
石炭鉱業合理化
の
抜本的改正
が必要であると思うのであります。
最後
に、
大辻炭砿
において
遭難
された二十六名の冥福を祈るとともに、
負傷者
の一日も早い全快を祈るものであります。
炭鉱事故
による
遺家族
は、まことに気の毒であります。どうかこれら
遺家族
の援護につきましては特段の御配慮をお願いします。 大体以上私が申し上げましたことによって
状況
は御
判断
願えると思いますが、なお、かいつまんで私から申し上げますと、今回の
災害
につきまして私
ども
が
判断
をいたしましたことは、今回の
遭難
の
災害
の特徴は、
作業
中の者が
遭難
を受けないで、
消火作業
に入った者が
遭難
を受けました。どうしてそういうことになったか。しかも
瓜生所長
以下二十六名という
技術陣
が
遭難
をいたしたのであります。これは二十六名の
人たち
が全然
防毒マスク
をつけて
坑内
に入っておりません。これが最大の
原因
であります。ところが、どうして
防毒マスク
をつけて
坑内
に入らなかったのかということを調べてみますと、
防毒マスク
がわずかに六個しかないということであります。二十六名の
人たち
が
消火作業
に当たった。
炭鉱
の
坑内
で
火災
が
発生
をいたしますと、完全燃焼しておりませんと必ず
ガス
が
発生
することは、
技術陣
であります以上はわかるわけであります。それにもかかわらず
防毒マスク
をつけないで入ったということは、当然危険が予知される以上、これは軽率な
行為
であったということが、
調査
の結果
判断
されたのであります。この点に対して
指揮命令系統
の問題であるとか、あるいは
保安関係
に対する認識の問題が、一応ここで
指摘
されなければならぬと思っております。二十六名中わずか六個の
防毒マスク
をつけたということになりますと、二十名が全然
防毒マスク
をつけないで入らなければならぬことになりますが、一千名ものたくさんいる山において、わずか六個の
防毒マスク
しか用意してないということは、
保安
に対するところの知識というか、
保安
に対する
準備
が全然なされていなかったという点が
指摘
されます。 それから
監督
におきましても、
監督官
の
人たち
と
一緒
になっていろいろと話をいたしました際に、
炭鉱
は
炭塵爆発
であるとかあるいは
ガス爆発
は起こるけれ
ども
、
火災
は非常に少ない。こういうことから
火災
に対する
消火訓練
がなされていなかった。また
監督
も、
火災
に対しての
指示監督
が十分行なわれていなかった。従って
消火器
であるとか、あるいはその他の
器具器材
に対する点検が十分行なわれていなかったということに、
労働組合
であるとかあるいは
保安監督部
であるとか、あるいは
会社側
と話し合いをいたしまして、私
ども
の
判断
としては、一致いたしたのであります。 以上御
報告
申し上げましたことによりまして、今回の
遭難
が、
保安
に対する、いわゆる
火災等
の
発生
をいたしました際にどうするか、こういうようなことに対して日ごろの
訓練
がなされていなかったと同時に、
指揮命令系統
が徹底をしていなかった
——坑内
に入りました二十六名の中には、
瓜生所長
それから
会社側
の
保安関係
の
人たち
、
労働組合
の
保安関係
の
人たち
、すべてが入ってしまっております。そこで
坑外
の
人たち
は、そういう
関係者
すべてが入っておるのであるから、
命令
というものは外から行なわれなかった。すべて
坑内
に入っておる
人たち
から
連絡
があるだろう、
命令
はむしろ
坑内
からなされるであろうというので、外ではただ
坑内
のそういう
連絡
を待つということで、何にも行なっていないということであります。
連絡
がとだえた
あと
で、先ほど
報告
いたしましたような
保安監督部
であるとか、あるいは
貝島炭砿
から
救援隊
を求めて、
消火作業
あるいは
救援作業
に当たったというようなことなのであります。 以上申し上げましたことによりまして、今回の
大辻炭砿
の
災害
の
状況
が御
判断
願えると思うのであります。その他これから先の
措置
をどうするか、
保安関係
であるとか、あるいは
監督行政
の問題であるとか、そのようなことをどうするかということに対しましても、この
報告書
の中にはつづっておりますけれ
ども
、後日
合同審査
があるようでありますので、その
合同審査
の中におきまして、あらゆる角度から
検討審査
を加えることにおきまして、この後の
措置
をここで見出していかなければならぬと
考え
るのであります。 非常にまとまった御
報告
をすることができませんでしたが、以上御
報告
申し上げまして、今回の
合同調査
の結果を御理解願いたいと思うのであります。(拍手)
中川俊思
5
○
中川委員長
以上で
報告
は終わりましたが、もし御
質疑等
がありますれば明日の
社会労働委員会
との
合同審査会
で御
質疑
を願いたいと存じます。 ————◇—————
中川俊思
6
○
中川委員長
次に、
機械工業振興臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として
審査
を進めます。
質疑
の通告がございますので順次これを許します。
田中武夫
君。
田中武夫
7
○
田中
(武)
委員
機械工業振興臨時措置法
の
改正
について質問いたしたいと思うのですが、この
法案
は、御
承知
のように問題は
独占禁止法
との
関係
だと思います。そこで
独占禁止法
との
関連
についてまずお伺いをいたしたいと思うわけですが、今度の
改正
によりまして、まず九条の二を追加するということは、「
規格
の
制限
に関する
命令
」ということになっておるが、実際は
アウトサイダー規制命令
を発することができるように
改正
をしようとしておられると思うのであります。しかもこれの
違反
に対しまして二十一条の二を追加しまして、三十万円以下の罰金という刑をもって臨んでおられます。さらに十二条の二を追加いたしまして「
合併等
の場合の課税の特例」というような見出しになっておりますが、このことにおいて何ら
合併
についての
制限
がございませんから、この論を進めていくならば、いわゆる
トラスト行為
もできるというので
独禁法
の十五条との
関連
も出てくると思うわけでございます。
最初
、
通産省当局
から今国会における
提出予定法案
を聞いた場合には、この
臨時措置法
を廃止いたしまして、別に
恒久立法
として出す、こういう
考え方
があったようであります。従って
名前
は
改正法
になっておりますが、五年の期間を
延長
するということでなく、その
内容
において大きな変更を来たしております。ただ単に
時限立法
の
時限
が来たから延ばすのだ、こういうことでなく
内容
が相当大幅になり、かつそれだけ
独占禁止法
の
分野
に食い入ってくる、こういう
格好
になっておるのでありますが、まず
最初
に
公正取引委員長
にお伺いいたしたいのですが、この
臨時措置法
の
延期
の問題及びその
延期
に
関連
をいたしまして今申し上げたような
アウトサイダー規制命令
、あるいは
トラスト行為
までも含むといったような
改正
について、
通産省
からどのような
連絡
を受け、どのような
協議
をし、そしてそのことに対して同意を与えられたかということをお伺いいたします。 また
通産省当局
の方に対しましては、
最初恒久立法
として
考え
ておったのを、なぜこういう
格好
の
臨時措置法
の
延長
にせなければならなかったのか。これは
独禁法
との
関係
でできなかった、それだけあなたの方はやれなかったと思うのですが、その間の
いきさつ等
をお伺いいたしたいと思います。
佐藤基
8
○
佐藤
(基)
政府委員
機械工業振興臨時措置法
は、
機械工業
の
合理化
を
目的
とするものでありまして、国内的に
所得倍増計画
またこれに伴って
輸出貿易
の
振興
ということは、きわめて必要であります。そのために
機械工業振興臨時措置法
のそろそろ
期限
が切れるというので今度
延長
をすることになったわけであります。この
機械工業振興臨時措置法
の
改正案
につきましては、
お話
の
通り公取
といたしまして
通産省
から
協議
を受けたのであります。そこで
意見調整
の結果、ただいま
提出
になったような案になったのであります。 その
いきさつ
についていろいろの点がありますが、まず御
指摘
のこれを
恒久立法
にするか、
時限法
にするかという問題、この点につきましては、
お話し
の
通り通産省
は初めの
考え
では
恒久立法
にしたいというお
考え
のようであります。しかしながらわれわれ
独占禁止法
の
立場
から申しますと、
独占禁止法
という
法律
を恒久的に除外するということは非常に重大な問題であるので、いろいろ折衝の結果、現在
臨時法
であるならば
臨時法
でいいじゃないかというので、
調整
の結果
期限
延長
することになったのであります。 それから
合併
の点について
お話
がありましたが、
合併
についても
適用除外
という希望があったのでありますけれ
ども
、この
法律
は主として
機械工業
の
製造業
または
加工業
で、
目的
とするところは
中小企業
が
中心
であります。従って
中小企業
における
合併
ということは、
独禁法
で問題にする
一定
の
取引分野
における
競争
を、実質的に
制限
するというような場合が比較的少ない。従って
例外
は要らないのじゃないか。もし
例外
を設けるということになれば、
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
する場合が問題になる、実質的に
制限
するような
合併
は
独禁法
の
建前
から同意しかねる、こういう
立場
であります。 それから九条の二の
規格統一
の問題でありますが、この
規格統一
をする場合には、
前提
として
合理化カルテル
の
実施
があるわけであります。その
合理化カルテル
の
実施
がある場合に、
公取
に
協議
を受けることになります。なお
合理化カルテル
の
実施
につきましてはいろ
ろ制限
もございますので、それらの点をあわせて
考え
まして、
規制命令
を出すときに
協議
しなくても、すでにその
前提
であるところの
合理化カルテル
の
実施
について
協議
を受けるから、そのときに十分
審査
できる、こういうふうに
考え
ております。
始関伊平
9
○
始関政府委員
当初
恒久立法
にしたいということを
考え
、その後
時限立法
に改めました経緯につきましては、ただいま
公取委員長
から
お話し
のあった
通り
であります。
田中武夫
10
○
田中
(武)
委員
これがただ単に
期限
の
延長
、
時限立法
の
期限
がきたから
延長
するというだけでなく、今言ったような点の
改正
がなされて強化せられているわけです。しかも
通産省
は
最初恒久立法
と
考え
られておったように、これは
独禁法等
の
関係
もあって、一応こういう
格好
で出してこられたが、先ほど来も云われておるように、
所得倍増計画
との
関連
があるということなら、
経済長期計画
は十年であります。そうすると、今五年延ばした、五年たてばまた延ばす。結局
臨時措置法
という
名前
において、これを恒久化していこうという
考え方
があるように思いますが、いかがですか。
始関伊平
11
○
始関政府委員
この
法律
は御
承知
のように個々の
機械
の
業種
を取り上げまして、その
近代化
、
合理化
を進めていこう、こういうねらいのものでございまして、現在の
指定業種
は二十一
業種
でございますが、そのうちの三
業種
についてはすでに
目的
を達成いたしまして、今回の
指定
では削除する、こういうことになっておる次第でございまして、この
合理化
、
近代化
を進めていく過程において、ただいま御
指摘
のございましたような
独占禁止法
との
関連
のある事項もあるわけでございますが、この
近代化
、
合理化
を進めるという趣旨から申しますと、一々の
業種
について
一定
の目標に到達ができましたものは、だんだんはずすということでございますから、必ずしも恒久的にやる必要はないと
考え
ております。
田中武夫
12
○
田中
(武)
委員
よく
脱法行為
が問題になるのですが、このことはまさに
政府自体
が
脱法行為
をやっておられると私は
考え
るわけです。それで
本法
の具体的な問題については、
あと
でゆっくりお伺いすることにいたしまして、その
前提
となる
公正取引委員会
との
関係
、
独禁法
の
関係
について質問を続けていきたいと思うのです。 今、
公取委員長
は、
本法
でいう
合併
は
中小企業
であるから、
独禁法
十五条でいうところの、いわゆる
トラスト
、
合併
には当たらないのである、こういうふうに言われました。なるほど私も
中小企業
が対象であろうと
考え
るわけなんです。しかしこの
法律
の中のどこを見ても、
中小企業
に限るということは書いてないわけです。
法律
の
建前
からいけば、このことによる大
企業
の
合併
、いわゆる
取引分野
の
独占
を目ざすところの
合併
もあり得るわけです。そうするなら、まさに
独禁法
十五条との
関係
が出てくるわけなんですが、その点いかがですか。なるほど今は
中小企業
だといっている。われわれも
中小企業
のための
立法
であると理解はいたしております。しかしながら
法律
の中に
中小企業
という言葉は一つも入ってないのです。そうするならば、やはり大
企業
の
合併
もあり得るわけです。そうすると、
独禁法
の十五条との
関係
が出てきますが、その点はいかがですか。
佐藤基
13
○
佐藤
(基)
政府委員
法律
的には
お話
の
通り中小企業
とは書いてない、従って大
企業
も入る、その
通り
であります。大
企業
が入る場合には
例外規定
がないから
独禁法
でいく、こういう
建前
であります。それで十分この
法律
の
目的
は達すると
考え
ております。
田中武夫
14
○
田中
(武)
委員
これは
中小企業
に限られていないわけでしょう。大
企業
の場合は何が入っておるのですか。
独禁法
の十五条の場合には、いわゆる何々の
目的
のためにということで
制限
ができる、こういうわけなんですか。
佐藤基
15
○
佐藤
(基)
政府委員
独禁法
の
例外規定
を全然設けておりませんので、
独禁法
に従って処理する、こういうことになります。
田中武夫
16
○
田中
(武)
委員
十二条の二は
合併
ではあるけれ
ども
、この点は
独禁法
の
例外
にはならない、こういうのですか。この点は課税の問題だけであって、この点については
独禁法
の
例外
の規定になっていない、こういうことですか。
佐藤基
17
○
佐藤
(基)
政府委員
さようでございます。
田中武夫
18
○
田中
(武)
委員
それから今のアウトサイダーのことですが、結局この九条の二は、
アウトサイダー規制命令
を出し得るということでしょう。そうするなら、やはりカルテル強化、いつも問題になる
アウトサイダー規制命令
のことになると思うのです。今
公取委員長
は、
合理化カルテル
が
前提
となっておって、そのときに
協議
を受けるから大丈夫だ、こうおっしゃるのですが、大体、今までのあなた方のやり方に対しまして、われわれは全面的に心服ができないわけです。一応
協議
を受けるから大丈夫だ、まかせておけといっても、今まで
公取
委員会
がやってきたことで、われわれがまかせておけるような状態だったかどうか。そのことを一つ反省していただきたいと思うのです。例をあげますれば幾らもありますが、この前もちょっと申し上げましたが、カルテル
行為
、共同
行為
が出た、ところが
独禁法
の
立場
から
公正取引委員会
が
調査
に乗り出した、そうしたならばそれをやめた、しかしもうすでに値上げなら値上げのことはきまって
実施
せられておるわけです。やめたということは、その値を元に戻したわけではない。それでもあなた方不問に付しておる。こういう例は幾らでもあるわけなんです。そこで、
独禁法
はそういういわゆる排除を
目的
とする場合もあろうと思うのですが、同時に、そうでなくて啓蒙的な役割を果たさなければならない部面も多いと思うのです。そういう点につきまして、この前も申し上げましたが、
公正取引委員会
の態度といいますか決意といいますか、これがはっきりしないので、もう少しはっきりしていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
佐藤基
19
○
佐藤
(基)
政府委員
独禁法
は、御
承知
の
通り
私的
独占
とか不当な取引、不公正取引、こういうものを排除することを
目的
とするのでありますから、今までのいろいろな事件で、そういう事態が起こったという疑いでわれわれの方の
調査
した場合に、その
調査
の過程において結論の出ないうちに、事業者が自粛してそういうことをよしたということになりますと、排除の客体がなくなるわけであります。客体がなくなった場合には
独禁法
の処分を行なうことはできない。しかしながらそれでは
お話し
の
通り
いろいろ問題があるので、われわれといたしましてはこれに
関連
して厳重な警告をする、将来を戒めるということをやっております。 なお
独禁法
に罰則の規定がありまして、この罰則の規定は、ある
独禁法
の違法状態を
発生
した後においてこれを排除したからといって、罰則の
関係
においては排除したということは情状の問題にはなるけれ
ども
、犯罪を構成するかどうかという点においては問題になり得る。それらの点については先般
お話し
しました
通り
、私としても個々のケースに応じて善処していきたい、こう思っております。
田中武夫
20
○
田中
(武)
委員
たとえば新聞の値上げの場合もそうだし、東映ニュースの場合もそうだった。しかし現にそのまま行なわれておる。私はこの前も申しましたが、
独禁法
の八十九条で第三条
違反
、すなわち取引
制限
の
違反
の場合なんかは、その未遂罪をも罰するような規定になっておる。未遂罪を罰するという法意は、結局排除したからそれでいいんだということではないと思うのです。極端に言うなら、物をとった、警察に調べられたから返しました、これで窃盗罪が成立しないと同じような
考え方
をあなたも持っておられるのじゃないか、このように
考え
るからしつこく聞いておるわけなんですが、しかもこのことについての告発権は、九十六条によって
公取
委の専属権になっているわけです。あなたの方がそういう気でなければ絶対にこの
独禁法
というものは守っていけないし、
独禁法
の
目的
が達せられないわけなんです。従ってあなた方がそういうことをやっておるからごらんなさいよ、毎国会出てくる
法案
は、どれもこれもが
独禁法
緩和に
関係
のある
法律
ばかりじゃありませんか。現にこの
法案
がそうであるとともに、この次に当
委員会
で大きな問題になろうはずでありますが、
輸出入取引法
の
改正
がまたそうであります。当
委員会
において毎国会
独禁法
緩和に
関係
のない
法律
が出てこなかったことがありますか。そういうことによってあなた方の方は、毎国会ごとに
公正取引委員会
の
分野
を狭められてくる、いわば
独禁法
を骨抜きにされつつあるということが、まだおわかりにならないのかと思うわけです。あなた方は
独禁法
を完全に
実施
し、これを守っていく上において、どういう決意を持っておられるのか、お伺いいたします。
佐藤基
21
○
佐藤
(基)
政府委員
われわれの
立場
といたしましては、
独禁法
の自由、公正な
競争
というものを促進しまして、民主的な、健全な経済社会を作り、一般消費者の利益を確保するということを念願しておるわけでありますが、今度の
機械工業振興臨時措置法
の
改正
法律案
でもあるように、
独禁法
の自由
競争
原理と他の行政
目的
、国家
目的
との
調整
の問題であるので、
独禁法
さえよければ国がつぶれてもいいというわけでもないので、やはりそこにおのずから大きな国家
目的
から
考え
た
調整
ということが
考え
られる。しかしながら
調整
ということで何でもかんでも
独禁法
のしりを抜かれるということは、われわれの
立場
として国家的の大きな見地から
考え
ても不適当なので、消費者の利益とか
関連
産業の利益ということをあわせて
考え
て、そこに
意見
の
調整
を行なっておるような次第であります。
田中武夫
22
○
田中
(武)
委員
なるほどりっぱなことを言われておるが、実際はあなたの方がしっかりしないから、だんだんとあしたに一城、ゆうべに一城くずされてきておるのが今の姿なんです。 それでは具体的な例で申し上げましょう。先日私が取り上げました大和銀行の株式保有の問題なんですが、ここで問題にいたしまして直後に、その傍系
会社
である敷島不動産の持っておりました株式を売ったそうです。あなたの方は提訴があって
調査
をやっておったと思うのですが、こういうようなケースのときにどういうようにされますか。十一条を見ますと、
関係
のところだけ読みます。「その株式を取得し、又は所有してはならない。」となっておって、九十一条では、「第十条第一項前段の規定に
違反
して株式を取得し、又は所有した者」となっております。だから一回でもいいから持てば——一〇%をこえて持てば即
違反
である、即九十一条による罰則が適用せらるべき性格のものなんです。今度の場合
公正取引委員会
は、この事件処理をどういうふうに今進められておりますか、現状をお伺いいたします。
佐藤基
23
○
佐藤
(基)
政府委員
先般申し上げました
通り
、今月の初めから実現したことに基づきまして
調査
をしておりますので、現在
調査
の段階でありますので、まだ結論まで達しておりません。
田中武夫
24
○
田中
(武)
委員
申し上げておきますが、すでに株式を放したから、株券を放したから不問といたしますというような結論は出さぬでしょうね。
佐藤基
25
○
佐藤
(基)
政府委員
現在
調査
中でありまして、
調査
がまとまったところで、
委員会
にかけて結論を出したいと思っております。
田中武夫
26
○
田中
(武)
委員
公正取引委員会
の性格上、準司法的な
立場
があることをわれわれは理解いたしておりますので、ここでこうしろああしろとは申し上げません。それほ
ども
のわかりの悪いものでないつもりでおりますので申しませんが、あなた方の今のやり口から見て、不問とか何とかいう結論が出されそうに思うわけです。しかし私はそれをどうしろとは言いません。それはあなたの方で準司法的な
立場
からやられることですから申しませんが、常に
独禁法
を守るんだという
立場
に立ってやってもらわなければ、あらゆる面においてそういう面が出てきておる。たとえば組合の申し合わせにより何月何日からこれこれの値段を値上げさしていただきますと紙に書いて張る、それは
独禁法
違反
じゃないかといえば、組合の申し合わせというところだけ消す、そうしてあなた方はこれで排除せられたんだという、ところが、そば代でも散髪代でもみな上がっておる。効果はみな
発生
しておる。それに対して
公正取引委員会
は動かない。動けといったら予算が足りない、人が足りない、こういう。もっと強く、ほんとうに
独禁法
を守るための予算なり人員を確保するように、あなたは努めなければならぬと思う。なるほどあなたもさっき言ったように、日本経済の発展という大乗的見地から見て、もちろん
公取
委として同意し、あるいは
協議
に応ずる、あるいは
適用除外
を認めなければならぬというようなこともあろうと思います。しかし一方振り返った場合に、今日の物価値上げの状態なり、消費者の生活、消費者行政という言葉がこのごろ言われておりますが、その面から見た場合には、さらに
独禁法
、
公正取引委員会
を強化しなければならぬ面も出てきているわけです。そういうことについてあなたは強化の面について検討したことはありませんか、いかがですか。
佐藤基
27
○
佐藤
(基)
政府委員
独禁法
強化の問題でありますが、強化というと具体的にどういう趣旨のことをおっしゃるか、ちょっと理解いたしかねますが、私の方といたしましては
独禁法
がただいま
お話し
のように十分
実施
されておらないというふうな
お話
もありますが、私の方としてはできるだけやっているのであって、
法律
的には現在において別に
改正
するということは
考え
ておりません。
田中武夫
28
○
田中
(武)
委員
この
法律
が成立いたしましてから二回か三回か
改正
せられておると思う。それもやはり抜かれておるわけです。だから
最初
に比べれば弱くなっておる。だからそれをそのまま戻せというわけではないが、強化ということはそういうことを意味するであろうし、現にこの物価値上げの問題に
関連
いたしましてもきめ手がない。この間からこの
委員会
でいろいろ物価の問題も取り上げた。結局は
独禁法
の
立場
から
公取
が何らかの処置をするより手がないのです。経済企画庁といえ
ども
通産省
といえ
ども
、公共料金、しかも許可、認可を必要とするものはともかくとして、それも結局は
通産省
も上げることを許しておるわけなんです。一般的な物価の問題ことに消費者行政という
立場
から、一番表面に立ってやらなければならぬのはあなたの方なんです。現在の法機構ではそうなっておる。そこのところをあなたがぼやっとしておるから、こういうことになるわけなんです。しっかりしていないんだ。(「
調査
中だ」と呼ぶ者あり)
調査
中だとかなんとか言って、結局は不問にしたとかなんとか言って、今まではっきり決を出したことはないじゃないですか。しかも審判例から見ましても、
中小企業
に対しての極端なやつは審判が出ております。しかし大
企業
に対しては、あなた方は弱腰で、何ら今まで一つもやったことがないんだ。それでこうやかましく言っておるわけなんだ。この次に当
委員会
で問題になる
輸出入取引法
も結局は
独禁法
緩和、そのことをたどっていくならば、やっぱり消費者に影響を与えるのです。あなたは与えないと言うが、与えておるのですよ。だからそういう面からの強化を
考え
ていないか、こう言うのですが、現在あなたはそういうことは
考え
ていない。しかも政府は、これは一応審議未了となって、その後撤回というか、出してこないからあきらめたのかもしれませんが、時期あらば
独禁法
それ自体を
改正
しようという動きを、政府は現在持っているのですよ。もう少しあなたがしっかりしてもらわなければ
独禁法
というものは、ますます骨抜きにせられると思う。 そこでちょっと形の変わった
独占
体というものについて申し上げて聞きたいと思うのですが、これは問題は小さいかもわかりません。しかしこれも完全なる
独占
体という
格好
になるので、一つ
意見
を聞きたい。 これは国鉄、運輸省に
関係
があるから
一緒
に聞いてもらいたいと思います。たとえば特急「こだま」でも「つばめ」でもよろしい。あれは停車時間は名古屋で三分、ほかはみな一分、二分です。窓は締まっておる。従って乗客は車内においてその用を足さなければならない。ホームで買い物もできないわけです。そうするなら、「こだま」が走っておる間、「つばめ」が走っておる間は完全に隔離せられたところにいるわけです。ところが実際の状態を見ておりましたら、あれは一列車十二両編成ですから、そのうち食堂車とビュッフェがあるから、それを除くと十両くらいと思いますが、八百人から千人は乗っておると思う。一体弁当の数は何ぼ売っておるのですか。百円と二百円とあるのですが、百円のやつが少なくて二百円のやつが多い。その数が二百ほど。
あと
の人はいやが応でもビュッフェなり食堂車を利用しなければならぬということになるわけです。ところが食堂車に行ってみると、安いものは少ない。結局特別料理、六百円、五百円以上のものを食わされる。これはやはり一つの公正取引の
独占
の形が現われておる。しかも二十一日の例ですが、私が郷里から上京するときに乗った汽車ですが、弁当を売りに来たのは午後六時、弁当は六時に売りに来てお茶を持って来ない。売りに来ない。それを催促したら、ようやくぬるいお茶を持ってきた。弁当を売るならばお茶は当然必要だと思う。なぜ弁当とお茶を
一緒
にやらないか、弁当を買った人が隣におったが、お茶もないから飯が食えない。結局水を飲んで飯を食っておった、こういう状態です。そこで国鉄にお伺いしたいのですが、あれは帝国ホテルとか日本食堂とかがやっておりますが、食堂車に対して特別の権利金か何かを取るのですか。それから、そういう状態は私は確かに一つの公正取引の
独占
を構成しておる。たとえば、物を売りに来るもの、神戸肉を売りに来た。見てみたら神戸のものじゃない。そういうような状態があるのだが、これはどういうふうに
監督
しておるか。同時に、そういう状態も、私は一つのその列車の中においては
独占
体という
格好
を形成しておると思うのですが、
公取
はどう
考え
ますか、お伺いいたします。
土井厚
29
○土井説明員 御
指摘
のありました
最初
の点の、食堂車の営業を、帝国ホテルとか日本食堂とかに承認しております。それに対しましては、国鉄の内部の規定でございます諸般の規定によって行なっておりますが、これに対しましては売り上げから
一定
の歩合を定めて、これを構内営業料金として徴収しております。それから販売品につきましては、これはどういうものを売るかということを許可事項にしております。
田中武夫
30
○
田中
(武)
委員
それから何人乗っておって、弁当を何ぼ売っておるか調べておるか。
土井厚
31
○土井説明員 それはその日の
状況
によって必ずしも同一でないのでありますが、ただいま特急におきましては食堂車、ビュッフェのほかにサンドイッチ、すし、それから百円の弁当を売っております。二百円の弁当は売っておりません。おおむねの売り上げ個数は三百と四百の間でございます。
佐藤基
32
○
佐藤
(基)
政府委員
ただいまの列車食堂の
お話
、私もこれは個人的にだいぶ不平を聞いたことがありますけれ
ども
、これは今申します
通り
国鉄の承認によって、業者が商売するのであります。その承認がいいか悪いか。ことに承認の条件がいいか悪いかということは、今
お話
の
通り
批判の余地はあると思いますが、事実上の
独占
的なものになっておるけれ
ども
、これは承認の結果、そういう状態が生ずるのであって、業者が自発的にやっておるものではないというふうに
考え
ます。従って、承認がいいか悪いか、承認の条件がいいか悪いかということは、十分国鉄当局において研究されることと思います。
田中武夫
33
○
田中
(武)
委員
国鉄ですが、私そういうことで調べたのです。二百円の弁当は今売ってないそうですが、
最初
は売っておうたと思う。買って食ったことがある。そこでいわゆるサンドイッチ等も込めてきょうは何ぼ用意したかと言うと、二百だと言った。八百人以上の人が乗っておる。しかもどの汽車でも昼か夜か必ず列車内で食べなければならぬようになっておる。ところがそういう状態である。もう少し
現場
で、運賃値上げを今こうしてやかましく言っておるが、運賃値上げの前に、そういうことまで、もっと
監督
してもらいたいと思う。その点いかがです。実際はお茶を売りに来ないんだよ。弁当買うたって、お茶がないから食えない。なぜ弁当と同町にお茶を売りに来ないか。現実に私は体験したのですが、六時に弁当を売りに来て、八時にお茶がきた。しかもそれは催促してお茶を持ってきたのです。そういう状態について、あなたは知っておりますか。
土井厚
34
○土井説明員 まことに御迷惑をかけまして申しわけないと存じますが、今後そういうことのないように一そう指導をいたしたいと思います。なお弁当とお茶とを同時に売るようには平生からやかましく言っております。それが励行されていないことは遺憾に存じますので、再び注意を喚起したいと思います。 ————◇—————
中川俊思
35
○
中川委員長
ただいま
通商産業大臣
が御出席になりましたので、この際、
中小企業振興資金助成法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として
審査
を進めます。 本案に対する
質疑
は他にないようでありますので、本案に対する
質疑
を終了するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中川俊思
36
○
中川委員長
御
異議
なしと認め、本案に対する
質疑
は終了いたしました。 引き続き本案を討論に付するわけでありますが、討論の通告がありませんので、これを行なわず、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中川俊思
37
○
中川委員長
御
異議
なしと認め、本案を採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
中川俊思
38
○
中川委員長
起立総員。よって、本案は原案の
通り
可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する
委員会
報告書
の作成等に関しましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中川俊思
39
○
中川委員長
御
異議
なしと認め、さよう決定いたしました。 ————◇—————
中川俊思
40
○
中川委員長
次に、昨日本
委員会
に付託になりました
輸出入取引法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として
審査
に入ります。
中川俊思
41
○
中川委員長
まず趣旨の説明を聴取することにいたします。
通商産業大臣
椎名悦三郎
君。
椎名悦三郎
42
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました
輸出入取引法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その提案理由を御説明いたします。 現行
輸出入取引法
は、昭和二十七年九月輸出取引法として施行され、その後昭和二十八年八月
輸出入取引法
に
改正
され、さらにその後二回の
改正
を経て今日に至っております。その間
輸出入取引法
は、輸出入取引における秩序の確立についての基
本法
として、多大の役割を果たして参ってきたのであります。 しかしながら最近における世界貿易の情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部商品の急激な進出が問題とされ、輸出取引秩序の確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入
競争
の激化が予想され、その
対策
を整備する必要に迫られますとともに、低開発諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資の買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。これらの諸情勢に即応いたしまして、この
改正案
を提案した次第であります。 次に
改正
の主要点につきまして御説明いたします。 第一は、輸出貨物の国内取引に関する生産業者等の協定に対する政府規制の規定の新設であります。 現行
輸出入取引法
におきましては、生産業者等の輸出貨物の国内取引に関する協定につきましては、輸出業者の協定の場合とは異なりまして、アウトサイダーを規制する規定を欠いておりますが、一部仕向地につきましては対日輸入
制限
運動が激しくなる傾向にあり、わが国としても輸出取引秩序の確立のための体制を整備することがますます肝要とされております。従って輸出取引における過当
競争
の
原因
が国内の生産
分野
等に存する場合には、必要に応じ生産業者等の協定につきましてもアウトサイダーを規制することができるようにし、輸出協調体制の確立につき万全を期せんとするものであります。 第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する事項についての需要者等の協定の規定の新設であります。 現行
輸出入取引法
におきましては、相手国の売手
独占
等によるわが国の高値買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同
行為
を行なうことが認められております。しかしながらわが国の輸入取引におきましては、国内の需要者等が輸入取引の
内容
を実質的に左右している場合が多く見られる実情にかんがみまして、輸入業者による共同
行為
によってもなお前述の弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な
制限
のもとにおいてではありますが、需要者等が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると
考え
まして、この点に関する規定を設けました。 第三は、輸出入
調整
に関する輸出業者及び輸入業者の協定の規定の新設であります。 従来低開発諸国との貿易においては外貨資金割当制度によってある程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い政府においてかかる
措置
をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いによりこれら低開発諸国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入の
調整
に関する輸出業者及び輸入業者の協定に関する規定を設けることといたしました。 第四は、貿易連合の制度の創設であります。 中小の貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また、中小貿易商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の
目的
を達成することが困難と
考え
られますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要の規定を設けることといたしました。 右のほか、今回の
改正案
におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合、輸入組合等の事業
内容
を明確にし、非出資組合を非課税法人にすること等若干の
改正
を行なうこととしております。 以上の
改正
によりまして、
関係
業界の協力と相待って、わが国貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
中川俊思
43
○
中川委員長
以上で趣旨の説明は終わりましたが、本案に対する
質疑
は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
中川俊思
44
○
中川委員長
再び
機械工業振興臨時措置法
の一部を
改正
する
法律案
を議題として
審査
を進めます。
質疑
を続行いたします。
田中武夫
君。
田中武夫
45
○
田中
(武)
委員
引き続いて国鉄にお伺いいたしたいのですが、先ほど、売り上げの中から歩合を何%か取っておる、こういうことでありますが、それは一体売上高の何%ということになっておるのか。 それから食堂と車内販売とを同じ業者がやっておる、同じ者がやっておるところに私は問題があると思う。弁当は言いわけ的に安いものを売っておいて、そうしてそれが足らなければ、先ほど言ったように、六時間半という間は外界と遮断をされておる、いやがおうでも食堂なりビュッフェに行って、高いものを食わなければならない、ここに私は不公正な取引があると思う。だから食堂と車内販売を別にする、そうすることによって、私はそういうような弊害がなくなるのではないかと思うのです。 それから一体乗客に対してどの程度の——私がたまたま聞いたときにはサンドイッチ、弁当その他すしを入れて二百だ、こう言っておる。大体どの程度のものを売っておるのかということを、後ほど調べて知らしてもらいたいと思う。 それから帝国ホテルとか日本食堂とかという特定なものにやらしておるから、そこにどうしても
独占
の座にあぐらをかくという状態が起こるのです。大体食堂へ入っても、サービスは過剰なほど親切なところもあるかと思えば、抜かっておるところもある。かと思えば、ともかく安いものはほんの言いわけ的にしか持っていない。そして行ってみると、もう安いのはありませんというので、スペシァル料理、特別料理の六百何ぼですか、あれを食わなければならぬというはめに陥れられるわけです。今日の日雇い等の日給は幾らであるか
考え
てごらんなさい。汽車の中で弁当を食うのに、そういう労働者の一日分の賃金以上のものを食わされておる。しかもそれがいい材料かといえば、決してよくない。これは国鉄があまりにも特定の業者に権利を与え過ぎておると思うのです。そういう点についてどういうように
改正
なり検討を加えようとしておられるのか。 それともう一つは、一度
監督
の
立場
にある人が乗って、どういうことをやっておるか見なさい。そういうことを
要望
いたします。 質問と
要望
を兼ねまして……。
土井厚
46
○土井説明員 食堂車の売り上げに対します国鉄がとっております営業料金は、売り上げの三・五%であります。 それから次に、御
指摘
いただきました食堂車の営業と車内におきます弁当の営業を別にしたらどうかという
お話
でございますが、われわれの方もそういうふうなサービスの仕方も一つのあり方として
考え
られるわけでございまして、三月一日からそういうやり方を、一部の列車において施行しております。 それから特急等におきまして販売しております弁当、サンドイッチ類につきましては、後刻御
報告
いたしたいと思います。 それから日本食堂あるいは帝国ホテルのサービスにつきまして種々の批判を受けております。またいいの悪いのという話がございます。われわれといたしましては、これらの業者を今後も指導いたしまして、旅行者から真に喜ばれるものを安く提供するようにしていきたいと
考え
ております。
田中武夫
47
○
田中
(武)
委員
これ以上は申しませんが、一応そういうような点を検討せられて、現に
監督
の任にある人が、一応隠密的に乗って見てごらんなさい。先ほど言ったように、弁当を六時に売りにきて、お茶をいつまでたっても持ってこないから、八時にしびれを切らして催促したら、ようやく持ってきた。その間にコーヒーは二回売りにきたんです。そういう状態です。だから一ぺんよくごらんになったらいいと思う。それから、なるほど名魔物の車内販売もけっこうですが、わざわざアナウンスで神戸肉のみそづけとやっておる。よくつかまえて見たらそれは大阪製品です。私は兵庫県だから、ちょっと神戸肉の看板をとられたというような感じを受けたんですが、そういうような点もよく検討する必要があると思います。もっと申したいんですが、これはあらためて、運賃でも片づいてゆっくりしたときに、運輸へでも行ったときに申し上げることにして、本題へ戻りたいと思います。国鉄はけっこうです。
遠藤三郎
48
○遠藤
委員
とんでもないところで発言するようですが、今の議論は非常に大事な議論だと思う。これは汽車を利用しておる大衆もみんな同じ感情を持っておると思う。今の車内の問題もさることながら——そういう問題も確かにあると思うのです。同時に、駅の弁当なんかの問題についても非常に弊害があります。何か一駅一店主義とかいいまして、その一店が
独占
の上にあぐらをかいて——運輸省は
監督
しているでしょうけれ
ども
、
監督
なんかそういつでもやれるものではない。ちょっと見にいったときには、いいものを出すかもしらぬけれ
ども
、ちょっと目を離しておると非常に粗雑なものを高く売ったりしておる。しかも非常にサービスが悪い。あれは私は二店主義にしたらいいんじゃないか、
競争
さしたらいいじゃないかと思う。どうしても一店の
独占
を守っておるわけですね。そこに非常に弊害が出てくる。これは私は前々から
考え
ておって、一般の大衆からしょっちゅう小言を受けておったことであります。今
田中
議員の質問は笑いごとじゃないのです。これは、国鉄は国鉄一家とかなんとかいって、
独占
の上にあぐらをかいて、非常に問題を包蔵しておる問題がたくさんあります。ですからこれは一つまじめに取り上げてやっていただきたい。そうして大衆のためにほんとうに奉仕する国鉄だというふうになっていただきたい。ややもすると
独占
の上にあぐらをかいて、とんでもないことをやっておる。もう憤懣にたえないようなことをやっておりますから、特に御注意を願いたいと思う。
中川俊思
49
○
中川委員長
土井さん、何か御発言はないですか。
土井厚
50
○土井説明員 駅におきます弁当の販売店といいますか、調製しておる店が一駅一店の駅も、御説のごとくございます。また二店以上ございます場所もあるわけでございます。はなはだしく多いところは三店以上ございまして、みなが立ちいかないというふうな例の場所もございます。一駅一店という場所も御説の
通り
あるわけでございます。これらが、国鉄の許可に甘えまして、品質の悪いものを出すようなことがないように、弁当につきましては抜き打ち検査その他を特に励行するように、年来指示をしております。また検査は十分に行なっておると思っております。なお至らない点がございましたならば、これを直すことにやぶさかでございませんし、今後ともよりいい、より安い弁当を
調整
し、旅客に喜ばれるようなサービスを提供するように努力をしたいと思います。
田中武夫
51
○
田中
(武)
委員
今遠藤
委員
も言われたが、僕は「こだま」の特急の中のことを言ったけれ
ども
、ホームも同じような状態なんだ。僕は一ぺん、大阪から東京までの各駅の弁当を買ってきて、運輸
委員会
で原価計算をしてみようかと
考え
たことがあるくらいです。だからこういう点を再検討してもらうことを強く
要望
いたしておきます。 本題に戻りますが、
機械工業振興臨時措置法
の
改正
趣旨説明の第一番に、
改正
の
目的
として、
機械工業
は、国民経済の高度成長をになう産業として、
所得倍増計画
中においても、今後の発展が期待される産業である、こういうふうに言っておるわけです。先ほ
ども
ちょっと触れましたが、今五年
延長
ということなんだが、
所得倍増計画
との
関係
を
考え
る場合には、これは一方は十年だ。そうすると、五年たった後にまた五年というような出し方をされるのかどうか。これは当初提案されたときに五年だ。そのときにすでに、
延期
するという腹の上で五年を出してこられたのかどうか。五年という
時限立法
で出してきて、今日これをなお五年延ばす、こういう点については、どういうふうな
関連
があるのか、どういうふうな
いきさつ
があったのか、お伺いしたい。 〔
委員長
退席、内田
委員長
代理着席〕
佐橋滋
52
○佐橋
政府委員
お答えいたします。私の方が初め基
本法
のことを
考え
ておりましたのは、
機械工業
の今後の重要性にかんがみまして、
機械
関係
の憲法と申しますか基礎法みたいなものを作りたい、こういうふうに
考え
ておったのでありますが、その後主税局あるいは
公正取引委員会
と相談の結果五年になったことは、ただいままで御説明があった
通り
でありますが、今後これを延ばすかどうか、五年たったときに延ばすかどうかという問題につきましては、現在、
所得倍増計画
と同時に、貿易自由化の問題を差し迫られておるわけであります。この方の
関係
は、現在の見通しで申しますと、大体ことしの秋には、為替上の理由をもって貿易
制限
ができないという勧告を受けるのではなかろうか。そういたしますと、その後一、二年の間には完全自由化に踏み切らざるを得ないということになっておるわけでありまして、私
たち
が
臨時措置法
を五年としましたのは、この自由化に備えて、早急にあらゆる
措置
をとって
機械工業
の体質
改善
をいたしたい、こう
考え
たのでありまして、一応現在のところは五年で打ち切るというふうに
考え
ておりますが、そのときの
状況
によりまして、自由化の問題、あるいは
機械工業
自身の体質がまだまだ弱体であるといったような場合には、国会において慎重に御審議の上、さらにどういうふうにするかを御決定願いたい、こういうふうに
考え
ております。
田中武夫
53
○
田中
(武)
委員
重工業局で、ことしの二月十五日出された「
機械工業
振興
の方途」、これをちょっと見せてもらったのですが、この中においても、
所得倍増計画
の中における
機械工業
の重要性ということを強調せられておるわけです。それから貿易の自由化ということがありますが、貿易の自由化については、
あと
で
輸出入取引法
を
改正
しようとしておるのではないですか。貿易の自由化に伴う問題はその方でやっていけるのではないかと思うのですが、これはむしろ
所得倍増計画
との
関連
においての方が、ウエートが高いように思うのです。貿易の自由化だけだったら、
輸出入取引法
の方で
考え
られるのではないですか。
佐橋滋
54
○佐橋
政府委員
所得倍増計画
と同じように、貿易の自由化を私の方は重視いたしておるわけであります。貿易の自由化で最も影響を受けるのは、私
たち
は
機械工業
ではないかと思います。と申しますのは、
機械工業
が先進諸国に比べて、技術的にもあるいは製品の面におきましても、まだまだ著しい立ちおくれがありまして、自由化でおそらく日本に殺到してくるのは
機械
製品であろう、こういうふうに私
たち
は
考え
ておるものでありまして、この自由化に対処して、外国の製品と十分に
競争
をしながら、なおかつ
所得倍増計画
に示しておりますような水準にまで上げていくということが、非常に大事だ、こういうふうに
考え
ておりますので、
輸出入取引法
その他ではなくて、
機械工業
を早急に体質
改善
をして、自由
競争
に対し得る形を整えて、所得倍増の線に向かっていきたい、こういうふうに
考え
ておるわけであります。
田中武夫
55
○
田中
(武)
委員
中小企業
の体質
改善
のために、こうおっしゃるのですが、また提案の中にもこの
法律
は過去四年半の
実施
の過程において
中小企業
の本質
改善
に顕著な効果を上げた、こういっておるのです。長くなると困るので、簡単にどのような顕著な効果を上げたか、具体的に言ってもらいたいと思います。
佐橋滋
56
○佐橋
政府委員
現行の
臨時措置法
で、五カ年の間に、
機械
の生産額は三十年度に比べまして、現在三十五年までに約四倍以上の伸展を示しております。同時に、現在の
法律
に
合理化
基本計画がありまして、
合理化
基本計画で所要の目標を明示しておるわけでありますが、ここで現在までに
指定
しております二十一
業種
はほとんどのものが、その目標を達成いたしております。
田中武夫
57
○
田中
(武)
委員
この
法律
が五年前にできましてから、やや違う点もあるが、同じような
目的
のものが、
あと
でたくさん出たわけです。たとえば電子工業
振興
臨時措置法
、それから軽
機械
輸出
振興
法、あるいは
中小企業
業種
別
振興
法何、かみんな同じような、ことに電子工業とこれとは同じような
目的
だと思うんです。
最初
これができたときに、電子工業
振興
法がなかったときには、抵抗器、コンデンサーなんかを、これでいこうという
考え
だった。ところが電子工業を作って、そっちへ持っていった。何だか同じような
目的
の
法律
が二つも三つもあるような感じがするのですが、そういう
関連
する
法律
との
関係
はどうです。
佐橋滋
58
○佐橋
政府委員
田中
先生の御
指摘
の点でありますが、この
法律
に最も似通っておる
法律
は、ただいま御
指摘
の電子工業
振興
法とそれから
中小企業
業種
別
振興
法であります。軽
機械
振興
法はこれはだいぶ性質が違うと思いますが、電子工業
振興
法は、これはこの
法律
ができました当時は、ほとんど日本にはその年産の芽ばえもなかったのでありまして、この
法律
とは多小趣を異にいたしておりまして、きわめて開発助成的な
法律
の
内容
になっておるわけであります。この
法律
と起源も違いますので、電子工業
振興
法にはこの際は触れないというふうに
考え
ておるわけであります。
業種
別
振興
法は
機械工業振興臨時措置法
よりは、はるかに一般的、抽象的でありまして、いわゆる
業種
別に、いろいろの
管理
方式なり経営方式なりというものの勧告をするというような
内容
になっておりまして、その
法律
に比べますと、
機械工業振興臨時措置法
は、より具体的に諸施策を盛り込んでおるのであります。
田中武夫
59
○
田中
(武)
委員
先ほど申しました「
機械工業
振興
の方途」、この中でいろいろと
機械工業
の実情に触れられ、将来に触れられておりますが、この中で、八ページから九ページにかけてですが、
機械工業
の国際
競争
力が劣っている
原因
として(1)から(3)まであげておられるわけです。そのまず第一には「設備が老朽化していること」ということをあげておられるわけなんですね。ところが第二の「生産体制が乱派で、多種少量生産におち入っていること。」第三に「
企業
規模が小さく、量産体制が確立してないこと。」、こういうようにあげておられる。大体(2)と(3)にこの
法律
が
関係
あると思う。 第一にあげられておる設備の老朽化、これにはいわゆる
近代化
助成金があるじゃないか、こうおっしゃるが、その方はちょっとしか
考え
ておられないように思うのです。第一番に取り上げているところよりも、二、三に取り上げたところに力を入れてこの
法律
を出される、こう思っておるのですが、言われる
通り
設備の老朽化ですから、これは
近代化
のために
中小企業
庁にもっと力を入れていただかなければならぬと思うのですが、その点この
法律
だけでなく、設備の
近代化
ということが大事じゃないですか。次には技術者の確保ということが重要だと思うのですが、いかがですか。
佐橋滋
60
○佐橋
政府委員
現在の
機械工業振興臨時措置法
の五条にも、基本計画に定める計画を
実施
するために政府は所要の資金を確保しなければならないという規定が入っておるわけであります。現実の法の施行の問題といたしましては、現在開発銀行に資金のフクをいただきまして、特定金利で、
機械工業
の設備の
近代化
のための諸
措置
を講じております。ただいま
田中
先生の言われました
企業
の体質を上げるための第一の設備の老朽化という点につきまして、政府は決してないがしろにしておるのではなくて、最も大きなウェートを置きまして、三十六年度の予算では開銀七十億、公庫三十億、それにアメリカのエキジムから二年間に約二千五百万ドルというようなことで、設備の老朽化を解消するための諸
措置
は十二分に講じておる、こういうふうに
考え
ております。
田中武夫
61
○
田中
(武)
委員
なるほど、今言われたように開銀で七十億、
中小企業
金融公庫で三十億、合わせ百億、これは過去五年間の合計百十二億に比べるならば、なるほど多いと言えると思うのです。しかしこれだけでも十分に果たせないと思う。今言われたように、外国輸出入銀行からの約九十億、こういうものもあると申しますが、これは金利が今までは六分五厘だったが、ここは金利は未定になっておるけれ
ども
、金利なんかはどうなっているのですか。
佐橋滋
62
○佐橋
政府委員
現在大蔵省と折衝中でありまして、最終的には確定いたしておりませんが、大体金利の問題については、実質七分五厘程度ということで、最近の機会に話の結末が出るのじゃないか、こういうふうに
考え
ております。
田中武夫
63
○
田中
(武)
委員
僕は未定となっておるのは六分五厘より安くなるので未定と書いておると思ったのです。そうするとまた一分上がるのですね。大体の情勢は金利は引き下げられる傾向に向かっておるわけなんです。一分上げるのですか。
佐橋滋
64
○佐橋
政府委員
一分上がる
予定
に
考え
ております。
田中武夫
65
○
田中
(武)
委員
これは今までより安いのが、ことしからの方向だと思うのです。金利は一般的に下がるのですよ。六分五厘が七分五厘になることで大体了承の線に達しておりますというような、そんなのんきなことを言わずに、六分五厘より安くなるように努力してもらわなければ困ると思う。
佐橋滋
66
○佐橋
政府委員
その点につきましては御
指摘
のように大いにがんばったつもりでありますが、財政投融資の資金コストの面、その他からのいろいろの要請もありまして、資金量が飛躍的にふえる機会にということで、大体大蔵省との間では、不満ではありますが現行よりも約一分程度の値上げになる、こういうふうに
考え
ております。
田中武夫
67
○
田中
(武)
委員
通産省
の局長の中でも一番心臓の強い
重工業局長
ですから、大蔵省の言うなりにならずに、もう少しがんばってもらうように一つ希望しておきましょう。この
改正
の新旧対照表をずっと見ておりますと、現行法では「
合理化
基本計画」、こういうようになっておる。ところが今度のではこの「
合理化
」という言葉が全部抜けておる。ただし第一条の
目的
の
合理化
のところだけは入っているが、そのほかは全部抜いて「基本計画」となっている。これは、「
合理化
基本計画」というのを全部抜いて「
振興
基本計画」と書いたところに、何か特別な意味があるわけですか。
目的
の第一条にはやはり「
合理化
」という言葉を使っておる、二条以下はこの
改正案
では「
合理化
」という言葉は、全部抜いています。
改正
のところは大体その
関連
が多いと思うのですが、その点はいかがですか。特に「
合理化
」という言葉を抜いて、「
振興
」とか、あるいは「基本計画」としたというのは、特別の理由があるのですか。
佐橋滋
68
○佐橋
政府委員
現行のは「
合理化
基本計画」というふうになっておりまして、今度の
改正法
では「
振興
基本計画」、こういうふうに改めたわけであります。と申しますのは、基本計画に盛り込みます
内容
が、従来の
法律
よりも範囲が拡大されまして、単に
合理化
ばかりでなく、
所得倍増計画
に見合って、輸出の目標だとかいうことも織り込みました
関係
上、「
合理化
計画」だけでは、やや狭いというふうな感じがいたしましたので、「
振興
」という文字に書きかえたわけであります。
田中武夫
69
○
田中
(武)
委員
そうすると、「
合理化
」から「
振興
」へと一段と飛躍した、こういうことだと思うのです。一条の方はこのままでいいですか。一条は現行法と別に変わりないわけですか。
佐橋滋
70
○佐橋
政府委員
一条の
目的
は非常に一般的にうたっておりまして、
合理化
を促進して
機械工業
の
振興
をはかり、国民経済の発展に寄与する、こういうことでありますので、この一条の
目的
自身をいじる必要はない、こういうふうに
考え
たわけであります。
田中武夫
71
○
田中
(武)
委員
そうすると、法体系からいえば、
合理化
と
振興
ということならば、その
あと
にくるところの基本計画でも「
合理化
」と「
振興
の計画」、こういうことにせぬと、体系上合わないと思うが、違うのですか。
佐橋滋
72
○佐橋
政府委員
基本計画の中には
合理化
と
振興
と両方とも入って、各項目について、政府として審議会の議を経て計画を作るわけでありますので、別々にする必要はない、こう
考え
ております。
田中武夫
73
○
田中
(武)
委員
「
合理化
」というところが全部「
振興
基本計画」、こういうふうに変わっておるので申し上げたのですが、
最後
に
公正取引委員長
にお伺いいたしますが、
本法
の十一条で、通産大臣と
協議
することになっておる。この
協議
の問題で、たしかこの
法案
が五年前に出たときには、「同意」か「
協議
」かで、だいぶ争ったことがあったのですが、過去この
法律
の運営にあたりまして、
公正取引委員会
との
協議
ということはどういうふうになされ、そしてまた
協議
ということで運営の上においてあまり支障はなかったかどうか、それを
公正取引委員長
に聞くと同時に、
通産省
の方へは同じことをお伺いするわけですが、この
協議
の方はどういう観点からなしていったのか、そして過去の具体的例において、
協議
という点において何かトラブルはなかったか、そういうことをお伺いいたします。
佐藤基
74
○
佐藤
(基)
政府委員
この
法律
に基づく
協議
は鍛圧プレスに関するものが一件あっただけであります。しかしその
内容
につきましては、
意見
の
調整
の結果、
協議
に応じております。
田中武夫
75
○
田中
(武)
委員
指定
は十九品目でしたかね。現在はそのうち共同
行為
というところまでいったのは一件だけだ、こういうことですか。
佐橋滋
76
○佐橋
政府委員
現在までこれに類する事項は二件あるわけでございますが、
本法
による指示カルテルで、
公取
と
協議
をしたのは、ただいま
公取委員長
から御説明があったようにプレスだけでありまして、ベアリングの例がありますが、これは
独禁法
による
合理化カルテル
でいっております。
田中武夫
77
○
田中
(武)
委員
それじゃ別に
協議
ということで支障はなかった、これは両方ともお認めになるわけですね。
公正取引委員長
、どうですか。同意まで持っていかれなくてもいいですか。
佐藤基
78
○
佐藤
(基)
政府委員
これはほかの法制との
関係
もありますので、現行法ができたものと思いますが、ただいまのところは、これでけっこうだと思います。
田中武夫
79
○
田中
(武)
委員
ほかの法制との
関係
があると言うけれ
ども
、そこを言っているのですよ。前がこうだからということでなくて、同意してもらわなければならないものがあるというならば、同意でがんばりなさいよ。同意にするということが、先ほど来言っている
公正取引委員会
がしゃんとする一つの根本
原因
にもなるというか、てこ入れにもなるわけです。前が
協議
だから今度も
協議
でけっこうです、こういう態度では弱過ぎると思います。この
法律
だったか、どれだか忘れたが、
公取
の
協議
を同意に修正するということで、この
委員会
で私はがんがんやりおったことが四、五年前にあったと思うのです。そういう点で、先ほど来言っているように、今後も
通産省
から出してくる
法律
の中には、
独禁法
を緩和してその
適用除外
をしていくというような
法律
が多いと思います。いや
通産省
だけではない、運輸省からも出てくる、あるいは厚生省からも出てくる、こういう状態にあって、四面楚歌の中にあっても、きぜんたる態度で
公取
は臨んでいただきたい、そういうことを
要望
いたします。きょうはこの程度にしておきましょう。
内田常雄
80
○内田
委員長
代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十八日、火曜日、午前十時より
開会
の
予定
であります。 なお、明二十五日、土曜日、午前十時から
鉱山保安
に関する問題で、
社会労働委員会
との
連合審査会
を
開会
する
予定
でありますが、この点公報をもってお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後零時二十六分散会 ————◇—————