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1961-03-14 第38回国会 衆議院 商工委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年三月十四日(火曜日) 午前十時三十五分
開議
出席委員
委員長
中川
俊思君
理事
内田 常雄君
理事
小川 平二君
理事
岡本 茂君
理事
中村
幸八君
理事
長谷川四郎
君
理事
板川 正吾君
理事
田中
武夫
君
理事
松平 忠久君 有馬 英治君 遠藤 三郎君 小沢 辰男君 齋藤 憲三君 笹本 一雄君
田中
榮一
君
田中
龍夫君 中垣 國男君 野田
武夫
君
岡田
利春
君
小林
ちづ君
多賀谷真稔
君 中嶋 英夫君
中村
重光君 西村 力弥君
山口シヅエ
君
伊藤卯四郎
君
出席国務大臣
通商産業大臣
椎名悦三郎
君
出席政府委員
通商産業政務次
官
始関
伊平君
通商産業政務次
官
砂原
格君
通商産業鉱務監
督官
(
鉱山保安局長
)
小岩井康朔
君
中小企業庁長官
小山
雄二君
委員外
の
出席者
中小企業金融公
庫理事
江崎 千準君
中小企業信用保
険公庫理事長
山本 茂君
中小企業信用保
険公庫総務部長
伊林初次郎
君 専 門 員 越田 清七君
—————————————
三月十四日
委員久保田豊
君辞任につき、その補欠として山
口シヅエ
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
三月十三日
公共料金等
諸
物価抑制
に関する
請願外
百六十件 (
二宮武夫
君
紹介
)(第一二八八号) 同外一件(
川村継義
君
紹介
)(第一三三八号) 同(
多賀谷真稔
君
紹介
)(第一三三九号) 同(
川上貫一
君
紹介
)(第一四五六号) 同(
志賀義雄
君
紹介
)(第一四五七号) 同外百九十三件(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一四 五八号) 同外二件(
小松幹
君
紹介
)(第一五一〇号) 同外百七十一件(
河野密
君
紹介
)(第一五一一 号) 同外二十二件(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一五一 二号)
物価政策等
に関する
請願外
百二十二件(
赤松勇
君
紹介
)(第一三三四号)
電気料金値上げ反対
に関する
請願
(
二宮武夫
君
紹介
)(第一三三七号) 同外四件(
小松幹
君
紹介
)(第一五〇九号)
公共料金
の
値上げ反対
に関する
請願
(
山花秀雄
君
紹介
)(第一四〇三号) 同外三十件(
川上貫一
君
紹介
)(第一四五九 号) 同外一件(
志賀義雄
君
紹介
)(第一四六〇号) 同外四十五件(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一四六 一号) 同(
砂原格
君
紹介
)(第一四六二号)
公共料金
の
改訂
に関する
請願
(
中馬辰猪
君紹 介)(第一四六三号)
電気料金改訂
に関する
請願
(
中馬辰猪
君
紹介
) (第一四六四号)
離島振興法
の
恒久立法化
に関する
請願
(
中馬辰
猪君
紹介
)(第一四六五号)
物価値上げ反対等
に関する
請願外
二百四十件(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一四六六号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
中小企業金融公庫法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第四一号)
中小企業信用保険公庫法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第四二号)
中小企業信用保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第四三号)
中小企業振興資金助成法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
第一〇一号)
派遣委員
より
報告聴取
————◇—————
中川俊思
1
○
中川委員長
これより
会議
を開きます。 まず、去る十一日
筑豊地区
における
炭鉱災害
の
実情
を
調査
するため、
委員
を派遣いたしましたが、この際、
派遣委員
より
報告
を聴取いたしたいと存じます。
田中榮一
君。
田中榮一
2
○
田中
(榮)
委員
去る三月九日、
福岡
県
田川
郡香春町
上田鉱業
上清炭鉱
において起こりました
炭鉱災害
につきまして、
田中榮一
、
岡田利春
、
大矢省三
の三名は、
商工委員会
から派遣されまして、
現地調査
を行なって参りましたので、
調査
の結果を御
報告
申し上げたいと存じます。 まず
調査
の日程について申し上げますと、三月十一日午前十時十五分羽田を出発し、午後四時ごろ
上清炭鉱
に到着いたしました。直ちに、今回の
災害
で不幸にも死亡されました七十一名の霊に対して花輪を捧げ、
遺家族
の
代表
の方に対して心からお悔やみを申し上げたのであります。続いて、
会社側
から
事故
の
原因
、
事故発生
後の
処置等
について
実情
を聴取した後、
坑内
に入り、
火災事故発生現場
である
コンプレッサー室
を中心に、きわめて詳細な
調査
を行なったのであります。 次に、
社会労働委員会派遣
の
調査団
と協議の結果、昨年九月
出水事故
により六十七名の
犠牲者
を出しました豊州
炭鉱
の
調査
を行なうこととし、
現地調査
、
会社側
並びに
組合側
の
意見聴取
、
遺家族
の
見舞い等
を行なったのであります。
調査
を終わって、
福岡
市に向かったのでありますが、夕食をとりますときはすでに午前一時でありまして、当日の
調査
はきわめて熱心に行なわれたのであります。 翌十二日は、
福岡通産局
において、午前十時から
会議
を始めまして、まず
福岡通産局
、
福岡鉱山保安監督部
、
福岡労働基準監督局等
より詳細な
実情
を聴取いたしました。その間、私は別途
福岡
県
警察本部長
より、
警察側
の
取り調べ
の
内容
を聴取いたしました。続いて
福岡
県
当局
、
福岡県議会当局
、
田川市外関係町村
の
代表
の
方々
より、
鉱山保安
についての御要望を聞き、さらに再度
上田鉱業社長
を招き、
質疑
を重ねたのであります。終始緊迫した空気の中に、真剣な
調査
が続行され、午後六時ごろようやくにして
会議
を終え、おそい昼食をとり、同
夕刻福岡
を出発したのであります。 次に、今回の
事故
の
概要
を簡単に申し上げます。 九日、
上清炭鉱
の第二
水平坑道坑口
から約四百メートル、これが
坑口
でありまして、この
坑口
から約四百メートルずっとトロで下りまして、ここが問題の
コンプレッサー
の部屋であります。この
コンプレッサー室
から出火したのでありますが、七、八メートル
風上
にある百
馬力
の
コンプレッサー室
で食事をしておりました
本田
は、
風上
にいたため
火災
の
発見
がおくれ、十一時三十分ごろ
発見
したときには、すでに
消火
が困難な
程度
に広がっており、煙が多くて
本田
、中田、
津川
の三名が行なった
消火作業
は、十分な効果がなかった由であります。 この
コンプレッサー室
でありますが、これは
コンプレッサー室
といわれておりますが、ちょうど洞窟のようなものでありまして、きわめて足場が悪く、なかなか多数の者がここで
消火
をするということは、現実に困難な
状況
のようでございました。
火災発生
直後、
保安管理者
に
電話連絡
をした由でありますが、
不在
のため
連絡
がとれておりません。さらに
坑内電話
による
連絡
も不成功に終わり、かくして
採掘現場
、この六片、七片、八片、九片、十片、この辺で
採掘
をやっていた
労務者
であります。その
労務者
に
緊急退避
の
連絡
がとれず、
坑内
に閉じ込められた七十一人は、ついに煙のために窒息あるいは
一酸化炭素中毒
によって死亡したものであります。 この
事故
に関して究明すべき点は、第一に
火災発生原因
であります。直接の
原因
は、
コンプレッサー
の
過熱
、それから
モーター
の
過熱
、漏電あるいはたばこの火の不
始末等
によって発火し、
油ぎれ
、ベルトあるいは
スピンドル油等
に引火したのではないかということが一応考えられますが、この点は
鉱山保安監督部
と
警察当局
が緊密な
連絡
のもとに
原因究明
に当たっており、また九大に依頼して
コンプレッサー
、
モーター
の
分解等
をも行なっておりますので、これらの
取り調べ
の結果を待たなければ、当
調査団
で結論を出すことはきわめて困難であります。 次に
間接的原因
、すなわち発火を
火災
に
拡大
せしめた
原因
については、
コンプレッサー室
の
設備
の
不備
を指摘しなければなりません。すなわち
コンプレッサー室
は薄
鉄板
、
しっくい等
の
不燃性物質
でおおった
防火構造
としなければならない
規則
になっておりますけれども、おおわれていた
形跡
はありません。この辺が全部
規則
によりまして、
しっくい
その他によっておおわなくてはならないことになっておるのでありますけれども、これは全然おおわれた
形跡
はありません。従って明らかに
規則
に違反していたということができます。燃えておりますのは
コンプレッサー室
の天井の
木材
であり、直径三十センチ
程度
の
木材
が不完全燃焼してくすぶり、多量の煙を出したのでありますが、
鉄板
でおおってあれば
火災
化しなかったと思われます。さらに
現行規則
に定められている
防火構造
あるいは
耐火構造自体
についても問題があるのではないかと思われます。どの
程度
の
構造
をもってよしとするかは、必ずしも明確でないと思うのであります。 また
コンプレッサー室
には立ち入りを禁止し、
さく囲い
を設けて「立入禁止」の警標を掲げなければならないことと
規則
に定められておりますが、この点も守られていなかったのであります。 また五十
馬力
以下の
コンプレッサー
の
設置個所
、
構造
については
認可申請
の必要がないのでありますが、この点
監督法規
上疑問を持つのであります。 第二に
火災
後の
処置
についてであります。今回の
事故
を大事に導いた致命的ともいうべき
原因
は、
火災発見
がおくれたことにあります。
発見
後
消火弾
を投げ
——消火弾
は二個投げております。
消火弾
を投げ、水をかける等の
作業
を行なった由でありますが、
火災発見
後の
処置
は万事手おくれになったのであります。従って
火災発見
のための
設備
、
人員配置
にも欠けるところがあったといわなければなりません。 さらに
火災発見
後、
コンプレッサー運転係
である
津川
は、
保安管理者
に
電話連絡
したが
不在
のため、
電気係東條
に
連絡
し、
東條
から
保安管理者
にも
電話連絡
したが、すでに
電話
は不通となっております。また十片から
火災現場
に上ってきた沖島が、
坑内電話
によって十片の
ポンプ座
に
連絡
していますが、応答がなく、結局
退避
の
連絡
は有効に行なわれなかったわけであります。 ここで問題となることは
災害発生
時の
連絡系統
であります。これは
保安規程
に定めることになっておりますが、
上清炭鉱
の場合はこの点徹底していなかったようであります。 また
非常ベル
の
設置
は
規則
には定められてはおりませんが、
上清炭鉱
の場合、
非常ベル
の
設置
の必要を痛切に感じたのであります。 以上今回の
事故
の
概要並び
に
問題点
を申し上げましたが、私
たち調査団
に与えられた使命は、今回の
事故
を通じて、今後
鉱山保安
の
あり方
はいかにあるべきかという点を究明することにありと思うのでありまして、われわれ
調査団
一行は、次の点について
意見
の一致を見たのであります。 第一は
鉱山保安監督行政
の
強化
であります。現在の
監督部
の
人員
、
予算
はきわめて不十分であり、
監督
が十分行き届かないと思われます。従いまして
人員
の
増加
、
機構
の
充実
、
予算増加
をはかる必要があります。 さらに
監督官
は単独で
現場
の
監督
に当たるため、
炭鉱
、特に
中小炭鉱
の環境においては徹底した
監督
を行なうことに非常に支障を来たす場合があるようであります。従いまして
監督権限
の
強化
をはかる必要があります。 加えて
監督官
の
待遇
はきわめて悪い
実情
であり、
権限強化
とともに
監督官待遇改善
をはかる必要があります。入坑一時間当たりの手当が八円だそうでございます。 さらに
現行法制下
であっても、
法規違反
に対しては
鉱業権取り消し等
の
罰則適用
について、
監督官庁
は徹底した態度を持すべきであります。
保安法規
の順守のいかんは尊い人命にかかることであり、
労務者
はこの点を切に要望しているのでありますから、
監督官庁
の一そうの奮起を望んでやみません。 第二は、
現行法規
の再
検討
を行なうべきであります。すなわち
非常ベル
の
設置
、
防毒マスク
の携帯を義務づける等、
現行監督法規
を根本的に再
検討
して、
鉱山保安法
による
技術的基準
を
強化
改善し、
鉱山災害防止
の完璧を期すべきであります。
上清炭鉱
は、中の上に位する
炭鉱
であるということでありまして、それ以下の
炭鉱
の
保安設備状況
は、さらに悪いことが想像され、りつ然とするのであります。また
監督行政
の
強化
について、
監督権限強化
はもちろん、通産、
労働
、
警察等
、
監督行政官庁
間の
権限
の
あり方等
についても、根本的に再
検討
し、要すれば、
審議会
を
設置
することによって推進すべきであります。 第三は、
石炭鉱業合理化事業団
による非
能率炭鉱
の
買い上げ
を促進すべきであります。その際
現行
の
買い上げワク
の
拡大
をはかることはもちろん、
買い上げ方法
、
買い上げ基準
をも再
検討
する必要があります。すなわち
買い上げ方法
につきましては、
現行法
では
申請
によることとなっておりますが、
強制買い上げ基準
については、
保安
上きわめて危険な
炭鉱
については、別途
基準
を設けて
強制買い上げ
を行なうよう早急に
検討
を行なうべきであると思います。 第四に、
中小炭鉱
の
保安設備改善
について特別の
措置
を講ずべきであります。すなわち現在
エネルギー革命
の
進行下
にあって、
石炭産業
は徹底した
合理化
を行なう必要に迫られておりますが、
中小炭鉱
の
合理化
は
資金
上きわめて困難な
状況
であり、従って
中小企業設備近代化資金
、
石炭鉱業合理化事業団
の
近代化資金
、あるいは
中小企業金融公庫
の運用については、
中小炭鉱
に対して別
ワク
を設けるとともに、
ワク
の
拡大
をはかる必要があります。さらに
合理化
の途上においては、必然的に生産を主とし、
保安
は従となる傾向がありますので、
鉱山保安設備改善
のための
金融
について、特段の
措置
を講ずべきであります。 以上数点について申し上げましたが、今日
石炭不況
は、
炭鉱
の
保安
をきわめて危険な
状況
に追い込んでいると思うのでありまして、今にして
抜本的対策
を講じなければ、
上清炭鉱災害
以上の
災害
は、きびすを接して跡を絶たないであろうと確信するのであります。国会並びに
政府
は本問題の
解決
について重大なる決意をすべきときにきていると思います。 最後に、十二日
福岡通産局
において
会議
中、
福岡鉱山保安監督部
の
谷課長補佐
が自宅において自殺したとの報に接し、驚愕いたしたのであります。
谷課長補佐
は、三月一、二日
上清炭鉱
の
保安施設
を検査しているのでありますが、検査後
法規違反事項
として
上清炭鉱
に指示した文書には、
コンプレッサー室
について何ら触れていなかったことから、今回の
事件発生
について
責任
を感じたのではないかと思われます。まことにその旺盛なる
責任感
は賞賛に値し、こういう優秀な
監督官
を失ったことはまことに残念であります。心から御冥福を祈る次第であります。 今回の
災害発生
の
責任
を一身に受けて死をもって償うというお気持であったと思われます。私
たち国政
に携わる者はもちろん、
鉱山保安監督行政
に携わる
方々
も、谷氏の死を決してむだにしてはならないと思うのであります。谷氏はきわめてまじめで、勤勉であり、まことに優秀な公務員であったと承っております。なお谷氏の
遺族
は十人もおられる由で、今後の生活も容易ならぬものであろうと察しられます。
通産省
においては、この点について、十分なる配慮をなされるよう切にお願いいたします。なお、豊州
炭鉱
について若干御
報告
しておきたいと思います。 豊州
炭鉱
は昨年九月、同
炭鉱
の上層にあった
古洞
が
坑内火災
を起こしたことによって、
中元寺川河床
に穴をあけ、川の水が
古洞
を通って、豊州
炭鉱
の
坑道
を破り、この
出水事故
によって六十七名の死者を出したのでありますが、その後
古洞
内の
火災
を
消火
するため、約七百万円をもって、表土の取り開け
作業
を行なってきたものであります。しかしながら、この
作業
によって、
古洞
の
火災
はかえってひどくなっており、
付近住民
は恐怖の毎日を送っているのであります。一方
坑道
内に埋没されたままになっている
遺体
の
救出作業
は遅々として進まず、二千メートルの地下に達することは、不可能であろうという
状況判断
もなされておりました。現在の表土取り開け
作業続行
については、何年続行しても
消火
不可能とする
意見
、今後の経費について
地元
の
田川
市は
負担能力
は皆無であるとの陳情、
地元住民
は効果的早急な
消火作業
の実施を迫る声、さらに下流の農民は
乙女井堰
の
復旧
によって
農業用水
の確保をはかるべきであり、そのためには現在の
消火方法
を変えるべきだという声等々、各種の
意見
が交錯しております。
消火方法
を変えるか、
遺体救出
をやめるか、
現地
の
会社側
、
組合
、
遺族
、
付近
の
住民
は、いずれかの決断を迫られた状態に追い込まれております。
組合
も、借入金によって生活している
状況
であります。 以上の
状況
でありますので、
政府
においては、本問題の円満な
解決
のために、早急に適切な
行政指導
並びに
予算措置等
を講ずるよう要望しておきます。 以上をもって私の
報告
を終わりたいと思います。
中川俊思
3
○
中川委員長
以上で
報告
は終わりました。 ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
中川俊思
4
○
中川委員長
速記
を始めて下さい。 本件に関しては、
質疑
の申し出がありますが、これは後日に譲ります。 ————◇—————
中川俊思
5
○
中川委員長
次に、
中小企業金融公庫法
の一部を
改正
する
法律案
、
中小企業信用保険公庫法
の一部を
改正
する
法律案
、
中小企業信用保険法
の一部を
改正
する
法律案
、
中小企業振興資金助成法
の一部を
改正
する
法律案
の四法案を一括して議題とし、
審査
を進めます。
質疑
の通告がありますので、順次これを許可いたします。
小林
ちず君。
小林ちづ
6
○
小林
(ち)
委員
私は、
中小企業金融公庫法
の一部を
改正
する
法律案
に
関係
してお伺いしたいと思います。
提案理由
の御説明によりますと、今度の
改正
の目的は、
中小企業金融公庫
の
業務量
の
増大
に対処するためということでありますが、確かに
中小企業向け貸し出し
は今後
増大
の趨勢にあり、また、
わが国経済
の成長に即応する
意味
で当然であります。そこで、このような
改正案
を準備されます以上、実際の
窓口
の
事務
を
強化
するため
店舗
の増設とか
職員
の
増員
なども当然考慮されていると信じます。新年度には
店舗
をどれだけどこへふやすか、また、
職員
を何名
増員
されますか。特に
職員
は養成に時間がかかる
関係
上その
増員
が急がれると思いますので、その
予算措置
とあわせて方針を明らかにしていただきたいと思います。
小山雄二
7
○
小山
(雄)
政府委員
今回提案いたしまして御審議願っております
中小企業金融公庫法
の
改正
は、
法律
に現われました点では役員二名の
増員
ということになっております。しかし、ただいまお話の通り、実際
貸付
の
事務
に当たります
支店
あるいは
出張所
の
設備
とか、そこに対する
人員
の充員ということが実際の
仕事
を進める上では、ことに大切なことでございますので、今回の
予算
におきましては、そういうことにつきましても配意いたしまして、
支店
は現在十一、
出張所
は二つございますが、今回
支店
ふやしまして、秋田と松本と
松江——
これまであります
支店
の
配置
とからみ合わせまして、割りに穴のあいたところ三つの
支店
を増設いたしますとともに、
出張所
を函館と釧路と二つ増設するということにいたしております。また、
職員
につきましては、現在八百三十七名おりますが、今回百四十六人
増員
いたしまして、
窓口業務
の
充実
に資したいと考えております。なお、確かに専門の
仕事
でありますので、
職員
の
教育
ということに相当時間を必要といたします。それで毎年少しずつ
仕事
の
分量
に応じまして
増員
して、すでに昨年
あたり
の
増員
いたしました
職員
は、すぐもうことし
あたり
、実際一人立ちになって働けるということにいたしております。少しずつ
教育
の期間を見込みまして毎年
増員
しておる、こういう
状況
でございます。
小林ちづ
8
○
小林
(ち)
委員
次に、
改正案
によりますと、
理事
を、現在の四名以内から六名以内に二人
増加
するとのことでありますが、これは、まあ二人くらいの
増加
がよかろうという
意味
か、それともどうしても二人は必要なのか、なぜ二人と限定されたかについて、その根拠をお聞きしたいのであります。 なおこの
理事
には
職員
から登用されるかどうか、
候補者
の
内容
をお知らせいただきたいと思います。
小山雄二
9
○
小山
(雄)
政府委員
理事
は現在四人でございます。
総裁
、副
総裁
を除きまして
理事
四人でございますが、これを今回二人
増員
いたしたいということであります。二人
増員
いたします
理由
といたしましては、
理事
の現在の
分担
が、部の数、
仕事
の分け方等によりまして、一部の
理事
のところに非常に
仕事
が重なってきておるという
関係
もありますので、
仕事別
に分けまして、
代理貸付部
、
中小公庫
では、相当
代理貸付
の
分量
が多いわけでございますが、
代理貸付部
と、
代理貸付
の契約を結んでいるいろいろなたくさんの銀行がございますが、そういうところを監査する
監査部
があります。この二つの部を担任する
理事
を一人
増加
いたしたいということであります。それとともに、
中小公庫
と似たような
金融機関等
におきまして、大体
大阪あたり
の大きな
支店
の
店舗長
は大体
理事
ということにいたしておりますので、
大阪支店担当
の
理事
を一人、こういうことで二人
増員
いたしたわけであります。 なおこの
理事
をどこから充員するかという問題につきましては、まだ今後の問題でありまして、
総裁
その他の
意見
もありますし、それを
監督
いたします
通産省
、大蔵省とも相談いたさなければいけませんが、少なくとも一人は
職員
の中から出るということになろうかと考えております。
小林ちづ
10
○
小林
(ち)
委員
職員数
を調べてみますと、三十四年度から三十五年度の間には百三十人ふえておりまして、三十五年度から三十六年度の間は四十六人ふえております。三十四年度から三十六年度を比較しますと少なくなっているわけは何でしょうか。
小山雄二
11
○
小山
(雄)
政府委員
三十五年度の
増員
は百三十人、今度三十六年度における
増員
は百四十六人で、ふえております。
小林ちづ
12
○
小林
(ち)
委員
聞くところによりますと、当
公庫
の
理事
は
合議制
ということであって、
業務
の
分担
がないそうですが、もしそれが事実としますと、
理事
の
増員
は、かえって、船頭多くして船、山に登るのことわざのように、
業務処理
が妨害されることも考えられ、またその
責任
の所在も一段とはっきりしないものになりはしないか、その点はいかがでしょうか。
小山雄二
13
○
小山
(雄)
政府委員
公庫
の
業務
の全
責任
は
総裁
が負っておるわけであります。これを補佐する
意味
で副
総裁
があります。とともに各般の
仕事
を
分担
して
総裁
を助ける
意味
で
理事
があるわけであります。もちろん
法律
的に、一部の
仕事
については、
理事
は、
総裁
のかわりに、
代理権
といいますか、
代表権
を持つ場合もございますが、そういう建前をとっておるわけです。
合議制
といいましても、多数決でものをきめる、こういう
仕組み
にはなっていないわけでございます。そして
理事
はそれぞれ
仕事
を
分担
いたしまして
総裁
を助けるという
関係
でありまして、現在四人の
理事
がおりますが、一人の
理事
は、
総務部
、
給与関係
を担当いたしております。第二の
理事
は、
業務部
、
融資部
、
代理貸付部
、これらの
仕事
を担当しております。この
代理部
の
仕事
を一つ抜き出して新しい
理事
に持ってもらうということであります。第三の
理事
は、
経理部
、
監査部
、
庶務部
を担当しておりますが、この
監査部
の
仕事
も抜き出しまして新しい
理事
に持ってもらうということであります。第四の
理事
は、
調査部
と
審査部
の
仕事
をやっております。こういうふうな
仕組み
になっております。
小林ちづ
14
○
小林
(ち)
委員
実は私の住んでおります
三重
県にはまだ当
公庫
の
支店
がありません。従って、
みな名古屋支店扱い
となるわけです。もちろん
代理貸し制度
によって、ある
程度
その
機構
の
不備
を補われていますものの、商工中金や
国民公庫
はみな
支店
を県内に持ちながら、同じ
政府系
の
中小企業金融機関
である当
公庫
だけが
支店
がないため、
三重
県における
中小企業金融
の実態や、その
貸し出し計画
を正確に把握することができない不便があるわけであります。それから、これは経験して特に痛感したことですが、一昨年の秋、
伊勢湾台風
で
名古屋
と
三重
県の間の一切の交通が途絶したため、
中小公庫
の
復旧金融
が、ほかの
機関
より、はるかに大きな不便をこうむったという事実があるのであります。この点でも
支店
網の拡充ということは、役員の
増員
以上に急がれるべきではないでしょうか。また最近の銀行預金減で、地方銀行の貸し出し減が中小企業にしわ寄せされる傾向にあるとき、その打開のためにも
当局
のお考えをお伺いしたいと思います。
小山雄二
15
○
小山
(雄)
政府委員
他の中小企業
関係
の
政府
関係
金融
機関
に比較いたしまして、御指摘の通り中小企業
公庫
の
支店
網は非常に少ないわけでございます。これは、国民
金融
公庫
は非常に零細な業者を相手にして小口の融資を広くやっていくということでありますし、なお庶民
金融
公庫
以来相当年月がたっていますので、相当の
支店
を持っております。商工中金もまた非常に古い沿革を持っておりますので、相当の
店舗
網を持っております。
中小公庫
は、何分昭和二十八年に始まりまして、もう足かけ八年になりますが、この
金融
機関
の
店舗
網を整備いたしますには、何といいましても人を集めて養成していくということでありまして、実は
中小公庫
あたり
では、まだ肝心なところには興銀
あたり
から人を借りているということであります。先ほどもお話しいたしましたように、毎年
増員
してそれを
教育
しながら、それと見合って
店舗
網を作っていくというやり方でやってきておるわけであります。今後とも、
代理貸付
と直接
貸付
の利害得失はそれぞれありますけれども、できるだけ
店舗
網をふやして直接
貸付
を多くして、これを利用される
方々
の中小業者の便益に資したいと努力いたしておるわけであります。それから、従って逆に申しますと、その間は代理店を極力利用いたしまして、これは商工中金、
国民公庫
に比べますと、代理店は非常に多くお願いいたしまして、その自分の
支店
網ができますまでの間は、代理店の力を借りまして融資を実行するという考え方に立っておるわけであります。 それから、最近いろんな情勢から、地方銀行その他に対する預金その他が少なくなって、それがいろいろ公社債投資その他に回って、こういう事柄が
中小企業金融
に圧迫を加えやしないかというお話でございます。確かに一月は一般に銀行預金というものは非常に減っておりますが、二月の実績を見ますと、また逆に相当ふえてきております。これはいわゆる金利体系をいろいろ直しつつある過程、あるいは公社債投資等の新しい制度が発足したという
状況
で、まだ全体的に落ちつかない過程にありますので、こういうことの落ちつきをも見る必要があろうかと思いますが、どちらにいたしましても、中小企業
関係
の
資金
源に対する圧迫というようなことが、制度上続くというようなことになりますれば、これに必要な手を打っていかなければならぬと考えております。
小林ちづ
16
○
小林
(ち)
委員
私は直接
名古屋
の
中小企業金融公庫
をお伺いして、当
公庫
の希望を聞いて参りましたのですが、第一、現在大へん人手不足であるから、もっと
増員
してほしいということと、それから第二に、ほんとうに
仕事
のできる者がなくて、人数が多くても
仕事
がはかどらないということ、それから第三に、
支店
をこしらえてから
人員
を集めるのではなく、一、二年前から十分な養成をして、その後
支店
を作ってもらいたい、現在の考え方は反対であるというようなことを申されておりました。それから第四は、官庁出の人は企業精神が欠けているから、やはり普通人を選んでもらいたいという、この四点を希望しておられました。 それから、とにかく役員の質、性格、
内容
というものは一番重大でございまして、私の亡夫
小林
正美が生前関与をしました商工会法案でも、役員条項に最も注目したのでありますが、私もこの一部
改正案
で
中小公庫
が、表現は失礼でございますけれども、古手役員の救済
機関
にならないように、真に
中小企業金融
のサービス
機関
として
充実
されることを希望しながら、私の質問を終わりたいと思います。
中川俊思
17
○
中川委員長
中村
重光君。
中村重光
18
○
中村
(重)
委員
ただいま上程されております四法案に対して、法案の
内容
に対しては反対の意思は持っておりません。その運用のよろしきを得るならば、中小企業の振興に役立つこと大である、このように考えております。しかしながらその
内容
にいろいろ疑点がありますので、一応御質問申し上げてみたいと思うのであります。 ただいま
小林
委員
から
理事
の
増員
の件については
質疑
をしたのでありますが、端的に申し上げて、
支店
を二、三カ所作る、
出張所
をふやす、そういうことが
理事
二名を
増員
する積極的な
理由
になっておる、このように考えるのです。長官よりいろいろ
業務
の
内容
に対しての御説明もあったようでありますが、まずそうした高給取りの役人幹部をふやすよりも、その前に
職員
をもっと
増員
をするということに、第一に重点を置くべきではないか、このように考えるのでありますが、
政府
としては現在の
職員
でもって、意図しておるような
中小企業金融公庫
あるいはその他の
公庫
にいたしましても、十分
事務
の能率を上げていく、サービスを十分に行なっていくことができるというようにお考えになっておるのであるかどうか、まずその点を伺ってみたいと思います。
小山雄二
19
○
小山
(雄)
政府委員
仰せの通り、この
機関
の本来の使命からいって、必要なところに必要な
資金
が適時適切に行くということが本来の目的のわけであります。従って一番大事なところは、それだけの
仕事
をスムーズにやるための人ということになりますが、
職員
の
増員
につきましては、先ほども申し上げましたように、この種の
機関
としては毎年、一年にふやす
分量
はよそに比べれば多過ぎる。よその同種の
機関
からひがまれる
程度
の
増員
は毎年逐次やっております。ただ
金融
という直接の、ことに
審査
等に当たる人の養成というものは、私どもよくわかりませんが、ところによりますとなかなか時間がかかるということでありまして、そういっときに急にふやすというわけにも参らないということでありますので、可能なる限りの
増員
は逐次やっております。それとともに能率を上げます
意味
でいろいろ機械化等も考えまして努力いたしておるわけであります。それにしましても
公庫
の
仕事
は毎年、
資金
の
分量
から申しましても、年とともに非常に著増しておるという現状から、
仕事
を全般的に比較し、全般的にスムーズにいくようにする幹部の
仕事
もだんだん
分量
がふえてくるということであります。今回の
理事
の
増員
も、そういう
職員
の
増員
を足場とする
仕事
の全体のボリュームのふえ方ということを考えまして、どうしても最小限度この
程度
は
増員
したいという
理事
の
増員
とわれわれ考えております。
中村重光
20
○
中村
(重)
委員
この
理事
は普通の一般の
金融
機関
のように、
貸付
担当役員であるとか、あるいは預金担当役員、そういったような形の
業務
分掌をやっておりますか。
小山雄二
21
○
小山
(雄)
政府委員
大体
仕事
を統括する
意味
で本店にいろいろな部を置いております。その部の
仕事
を
分担
して、
総裁
を助ける、こういう
仕事
の
分担
であります。預金は
中小公庫
は扱っておりませんから、そういう部はございませんが、
貸付
の方でも
審査
をする部があります。その部はだれだれ
理事
が担当するとか、それから代理店をたくさん使っておりますから、代理店と
連絡
し、これを
監督
する
仕事
がありますが、そういう
仕事
の部はだれだれ
理事
が担当する、こういう
仕組み
であります。
中村重光
22
○
中村
(重)
委員
理事
の給与はどうなっておりますか。
小山雄二
23
○
小山
(雄)
政府委員
理事
の給与は十二万五千円、これを
予算
では十五カ月分——十二カ月と手当三カ月という計算になっております。
中村重光
24
○
中村
(重)
委員
一切の
業務
の実態を把握いたしておりませんので、これを積極的に、二名の
増員
が不当であるというような
意見
の開陳というものは、私には現在のところできないわけです。いろいろ
質疑
をいたします中から考え方を求めて参りたいと考えておるわけでありますが、ともすると役所は一つの
機構
を作って、そういう高給取りの幹部をふやしていくということには積極的でありますけれども、肝心の実務に当たる
職員
をふやしていくとか、あるいはベース・アップをやるとかいうことに対しては、非常に渋いというような傾向にあることは否定することのできない事実であります。私は現在の
公庫
にいたしましても、あるいは中金にいたしましても、国民
金融
公庫
にいたしましても、
政府
の
機関
というのは、申し込みから
貸付
決定までに非常に長期間を要しておる、しかもその
業務
の
内容
を調べてみますと、融資の際の
調査
担当の
職員
というものは非常に多くの口数をかかえておる。そういうことが遅延の
理由
にもなっておるのではないか。このように考えておるわけであります。そうしたことはまたずっと質問を重ねて参ります。 従たる
事務
所に
総裁
の
権限
を委譲するのだということが、この
改正
の一つの
理由
になっておるようでありますが、どの
程度
に
総裁
の
権限
の委譲をやるのか、また現在どういう点が非常に不便であったのか、そうした点をお尋ねいたします。
小山雄二
25
○
小山
(雄)
政府委員
従来も代理人の
権限
に関する規定があったわけであります。これは
公庫
の
業務
の一部に関して、一切の裁判上または裁判外の行為を
総裁
にかわってやるということになっておったわけであります。これは
法律
の書き方がちょっと古い書き方でございまして、こういう書き方にいたしておりますと、たとえば、大阪の
支店
長が金を貸すときに担保をとる。その登記を登記所に持っていくというようなときに、
業務
の一部に関してということになっておりますので、その登記をする
仕事
について
権限
を持っているのかどうかはっきりしない、ある登記所ではそのままやってくれるけれども、ある登記所では
総裁
の委任状を持ってこいというようなことになるわけであります。そういうようなこともあるわけでありまして、ほかの同種の各
公庫
法は最近書き方を統一いたしまして、ある従たる
事務
所、ある
支店
の
業務
に関しては、全部
権限
を持つという規定になっておりますので、今回それを整備し、各
関係
の
機関
とそろえる
意味
におきまして、また今申しましたような
理由
で、
支店
については全部の
権限
を与えるというようにした方が、
仕事
のやり方の実地にも便利だという
意味
におきまして——「
公庫
の
業務
の一部」ということだけでは、本店の
業務
の一部ということもあって、そこがはっきりしませんので、
支店
については一切の裁判上または裁判外の行為をやれるという規定に
改正
することにいたしたわけでございます。
中村重光
26
○
中村
(重)
委員
ともかくお役所行政の弊を打破するように、対象は非常に金に困っておる人たちだということですから、その点を十分に念頭に置いて、
権限
の委譲にいたしましても、ある一定の——これは申し上げるまでもないことですが、秩序だけは守っていくことは当然でありまして、ともかく大幅の
権限
委譲をして
貸付
の促進をはかっていく、そういうことに一つ御留意を願いたいと思うのであります。 なお先ほど長官が
小林
委員
に答弁をしておられましたように、
貸付
の場合に直貸しより代理貸しというものが約八〇%
程度
ではなかろうかと思うのであります。最近若干直貸しが上昇の傾向にあるようでありますが、依然として代理貸しだ。私どもはこの代理貸しの弊というものを身近かに感じておるのでありますが、代理貸しを改めて、直貸しの方向に積極的に進めていくという考え方は持っておられないのかどうか。
小山雄二
27
○
小山
(雄)
政府委員
先ほど申し上げましたように、事柄の性質といたしましても、全部直貸しをするということにいたしたいわけであります。ただそれがためには、こういう
仕事
になれた人を全部そろえ、また
店舗
を全部そろえるということが必要なわけでありまして、一ぺんにはなかなかそういかないという
実情
でありますので、年々やれる一ぱいには
支店
を設け、人を
充実
するということでやっておりますけれども、何分他の
機関
に比べまして、創立なお日が浅いというようなことから、今年度で約八割、来年度は七割六分くらいということで、毎年五%ずつくらいは代理貸しを減らして、直接貸しにしていくという努力を重ねておるような次第であります。できるだけ直接貸しをふやしていくという努力を、なお一そうやりたいと思います。
中村重光
28
○
中村
(重)
委員
代理貸しを直貸しに改めていかなければならないという
通産省
のお考えのようでありますが、ところで代理貸しの短所といった点について考えておられる点をお聞かせ願いたい。
小山雄二
29
○
小山
(雄)
政府委員
公庫
は本来の目的からいいまして、一般の市中
金融
機関
では借りにくい中小業者に対して、長期の
設備
資金
その他の長期の
資金
を貸していくということでありますとともに、国家の
資金
でありますので、こういう業種には重点を置いて経済のこういう面を伸ばしていこうというような、
公庫
としての
業務
、国の方針を受けた
業務
の融資方針というものがあるわけであります。そういう方針は、簡単に申しますと中小企業の必要なところに必要な金がいくということが、
公庫
の融資方針のねらいであるわけであります。ところが代理貸しですと、いろいろ指導しておりますけれども、必ずしも自分がやるようにはそういう趣旨が生かされにくい場合がある。そういう点が代理貸しの一番いやなところであります。ただ一面からいいますと、
公庫
は預金
業務
等をやっておりませんので、平生から相手の企業がよくわかるという機会が少ないわけでありまして、従って
公庫
に直接申し込む人は、新しいお客さんという場合が相当多い。従って
調査
等にも先ほどもお話がございましたように、多少のひまがかかるという点もなきにしもあらずでありますが、代理貸しの場合は多く預金
業務
を通じ、あるいはその他の貸し出しを通じて取引
関係
にあるところに貸すということでありますので、そういう点は代理貸しの多少便利な点じゃないかということであります。いずれにいたしましても代理貸しというよりも直接貸しで必要なところに必要な金が適時適切にいくことをねらいとして、直接貸しを逐次ふやして参りたいという努力をいたしております。
中村重光
30
○
中村
(重)
委員
御方針はまことにけっこうであります。その通りでなければなりません。ところが現実にはなかなかその通りにはなっていない。年々直貸しもふやしていくのだ。五%
程度
ふやしていくのだ、こう言っております。ところがそういうわずか年々五%、現在昭和三十六年であります。それですら代理貸しはまだ八〇%だ、来年は七五%。
公庫
設置
の根本精神、公共性、社会性ということを考えるならば、そういうような改め方ということでは、これは適当でないと思うのです。もっと積極的におやりにならなければほんとうの精神は生かされないのではないか、このように考えます。なおまたただいま代理貸しの利点だとおっしゃったその代理貸しの利点は即、端的にいって私は弊害になっておると思います。そういう利点がほんとうに生かされていくという指導をおやりになっていない。そのように考えております。私は事実をもってこういうことはどうなのだということを指摘して申し上げてもよろしいのでありますが、時間が大へん長くなりますから、その点はいずれ適当な機会に事実をもってこれを改めるように進言をしたい、このように考えております。なおまた代理貸しのことですが、代理貸しの地域には特殊の場合直貸しをおやりになることはできないのかどうか。
小山雄二
31
○
小山
(雄)
政府委員
直貸しも代理貸しも区域というものはないわけでありまして、
支店
はそれぞれ担当の区域を持っておりまして、その区域に応じて直貸しをやっていくわけでありますし、代理貸しはある銀行を代理店に選ぶということでありますから、直貸しと代理貸しが地域がダブってもいいわけであります。
中村重光
32
○
中村
(重)
委員
地域としては直貸しと代理貸しはダブってもいいのだとおっしゃる。ところが実際はなかなかそうはできないでしょう。具体的な例として申し上げなければピンときませんから一つの例を申します。私の県の長崎県の対馬というところ、これは人口にいたしましても五、六万の人口を持っておる。ここに相互銀行がわずかに一行なのです。それでこの相互銀行一行が銀行自体の
金融
、それからそうした
公庫
の代理貸しあるいは国民
金融
公庫
の代理取り扱い、一切をやっている。このことは私はざっくばらんに申し上げますが、銀行がやはりいろいろなことで感情的になったりするようなことがある。そういう場合に、事業
内容
は案外いいのに、なかなか銀行へ行っても金を貸してもらえない。ほかの地域に行くと、いや対馬はどこどこ銀行の地域ですからと言って、これまた相手にしてくれない。そういうことで非常に困っているという大きな弊害がある。こういうことをどうお考えになりますか。
小山雄二
33
○
小山
(雄)
政府委員
中小公庫
はほかの
金融
機関
に比べて、自分の
店舗
が少ないせいもありますが、代理店は相当たくさん選んでおるつもりであります。代理店の数は六百七十六ありまして、その
支店
、代理店というのはある銀行と、こういうことであります。その銀行の
支店
等入れますと、代理
業務
を扱う
店舗
の数は五千余りあります。そういうことで同種の
機関
に比べまして、相当代理店の手足を延ばしているつもりであります。ただ先ほど地域のことでもお話がありましたが、代理店が断わる、融資等についても相手にしないということが起こります一つのわけは、代理店に
資金
の
ワク
を一応振り当てるわけであります。これは全体の
分量
がきまっておるものですから、その
資金
の
ワク
も
実情
に応じて融通等はやっておりますけれども、
資金
の
ワク
が少ないために、なかなか融資相談等に乗ることを渋って、それは本店に行ってくれ、直接貸しに行ってくれというような場合が、あるいはあるのかと思いますが、
資金
の需要と
資金
の
ワク
の代理店に対する配分ということは、それぞれの情勢において極力
実情
に合うようにやるように指導をやっておるわけでありますが、今後ともそういう点はなお気をつけまして、
実情
に即しない点は直ちに直していくことにいたしたいと思います。
中村重光
34
○
中村
(重)
委員
資金
の
ワク
の問題ではないのです。代理貸しの大きな弊害の一つだと私は見ております。ですから
支店
、
出張所
等をお聞きになる場合に、一つの県に幾つも
支店
、
出張所
を置かれるということは無理でありましょう。しかしながら地域の人が非常に困っておるところ、一般の全国銀行であるとか、その他民間
金融
機関
でもなかなか預金の吸収率であるとか何とかいうことで、相当借り入れ希望がありましても、銀行のベースに乗らないということから、そういう方面に出ることを好まないことがあるわけです。そういう点、人口の密度であるとかいろいろな点を考慮して、
政府
関係
の
金融
機関
が適当な方策を講ずることが私は行き方としては妥当だと思う。そういうことを今後積極的に
調査
をやって、
実情
に即するように乗り出していかれる意思があるかどうか。 それから先ほど地域としてはダブってもいいのだとおっしゃいましたが、その地域の人が直接貸し申し出をしたときに、それに積極的に応ぜられる考えがあると確信していいかどうか、その点を伺います。
小山雄二
35
○
小山
(雄)
政府委員
仰せの通り
中小企業金融
に対して、いろいろな
関係
から市中
金融
機関
はある地域には出さぬとか、そこのところはいろんな
関係
からあまり商売上得意じゃないから
仕事
はしないというようなことがありとすれば、その盲点にこそ
政府
金融
機関
が手を差し伸べるような努力をしなければならないということは仰せの通りであります。先ほど来申し上げましたように、
支店
、
出張所
を一時にふやすことはいろいろな
関係
で無理なわけで、逐次努力をいたしておりますが、現在でも
支店
等の
設置
の要望は非常にたまっておるわけであります。なるべく急ぐところからふやしているわけでありますが、今申されたような場所ありとすれば、いきなり
支店
というわけにもいきますまいが、
出張所
程度
のものでも、そういう穴のあいたところを積極的に
調査
し、穴を埋める
意味
の増設をやっていくという努力はいたしたいと思います。 なお代理店等で受け付けずに本店、
支店
に話を持ち込むことはもちろんけっこうなわけでありまして、個々の融資の
内容
につきましては、それぞれ融資の立場もありましょうけれども大いに来ていただいて、来ていただけない人のために代理貸しをやっているわけでありますが、代理貸しの方でなくて本店、
支店
の方へ来られる方は、もちろん喜んで相談に乗ることは現在もやっているつもりでありますが、今後もやっていくつもりであります。
中村重光
36
○
中村
(重)
委員
質問をずっと進めて参ります。 またもとに戻りまして
理事
のことについて伺います。現在
理事
が四名ですね。今度二名、この二名の
理事
は大体予定をしておられるのではないかと思うのです。どういう方面からか、それがわかっておりましたらお知らせ願いたい。なお四名の
理事
は、どういうところから来ておられる人であるか、出身別を一つお聞かせ願いたい。
小山雄二
37
○
小山
(雄)
政府委員
増員
いたします二名の
理事
につきましては、具体的な人選等はまだ予定いたしておりません。ただ先ほど申しましたように、情勢等を見まして——これは
総裁
が主務大臣の承認を受けて任命するという建前になっておりまして、まだ予定いたしておりませんが、いろいろな
関係
から経歴その他からいって、一人は少なくとも
職員
の中から上がるだろうと考えられる人が一人いるわけです。あとの一人は全然白紙でございます。 なお現在の
理事
の経歴を申しますと、一人の
理事
は
通産省
の出身の人であります。総務、給与その他の総務
関係
の
仕事
をしております。一人の
理事
は商工中金でずっと育った人でありまして、
業務
融資、
代理貸付
のことを担当しております。それから三番目の
理事
は日銀出身の方でありまして、経理、監査、庶務その他を担当しております。第四番目の人は興銀出身の人でありまして、
審査
、
調査
を担当しております。
中村重光
38
○
中村
(重)
委員
あとの二名がまだきまってないということですから、この際、中小企業対策を抜本的に改めていくという考え方から、これは通産大臣に申し上げたいのでありますが、一つさすがにやったというような拍手を、議会から受けられるような人選をおやりになっていただきたいと思うのです。先ほど
小林
委員
も指摘しておりましたように、全く官庁の人事のやりくりのはけ口を、こういうところに見出していこうという考え方が確かにあります。そういう点だけは通産大臣の
権限
の範囲においてはやらぬというくらいの、この際役所の弊を打破するというような考え方で取り組んでいただきたい。もちろん二名に決定をしました場合のあとのことでございますが、こういう場合の人選は十分御留意を願いたいと思うのです。 また代理貸しの問題に戻りますが、代理貸しと直貸しとの計数
関係
、手数料とか、
公庫
の収支の
関係
、そういうものはどう違って参りますか。
小山雄二
39
○
小山
(雄)
政府委員
本年度と来年度、三十五年度と三十六年度の代理貸しと直接貸しの計数をまず申し上げますと、三十五年度の見込み、もうちょっと残っておりますが、その見込みから言いますと、直接貸しが百六十九億、代理貸しが五百九十億、こういう割合であります。来年度の計画は直接貸しが二百二十億、代理貸しが六百十億、こういう割合であります。直接貸しの率が少し上がっております。直接貸しの方は直接自分の計算において貸すわけでありますので、九分の利子を取りまして、その実収利息が
公庫
の経費に回る、あるいは益を出すかどうか、こういう問題になるわけです。直接貸しの方はそういうことです。代理貸しにつきましては、代理店に手数料を払います。そのかわり
事故
が起こりましたときには、代理店に
責任
をある
程度
持ってもらいます。この代理店の手数料は、三百万円以上のものは二五%、三百万円以下のものは二九%、これは実収利息に対する率でありますが、それを代理店に払っておるわけであります。従って九分で貸しますうちから代理店の手数料をそれだけ取られて、その残りが
公庫
の利息収入になる、こういう
関係
になります。ただ、今その収益
関係
が代理貸しと直接貸しがどうなっておるかと言われましたが、これは分けて計算はしてないわけであります。これは
事故
等があった場合に補償
責任
の
関係
等がありますので、その
関係
は計算が詳細にはできにくいと思いますが、そういう建前になっておりまして、要するに平生の
業務
としては直接貸しは利息分はまるまる
公庫
の収入になるが、代理貸しはそれだけ手数料を払う、そのかわり
責任
をとる、こういう
関係
になっております。
中村重光
40
○
中村
(重)
委員
その代理貸しの
事故
があった場合には補償しなければならないということですが、昨三十五年度の
事故
による代理取り扱い銀行の補償と、それからいろいろ手数料を払う、そうした
関係
の資料を一つ御提出願いたいと思います。 なお、代理貸しの場合に、全国銀行と民間中小企業専門
金融
機関
との取り扱い口数並びに融資額、これを一つお示し願いたいと思います。
小山雄二
41
○
小山
(雄)
政府委員
先に申されました方の点は資料を作ります。 それから今の代理店の銀行、金庫、その他別の金額は、今手元に資料がございませんので、これもあとで資料にして出したいと思いますが、先ほど申しましたように、六百七十六の代理店を持っております。そのうち、都市銀行、地方銀行合わせまして全国銀行が八十六、相互銀行が七十一、信用金庫が四百四十八、信用
組合
六十九、それから商工中金と農林中金、これだけで六百七十六の代理店を持っております。これのそれぞれの銀行種別の割合といいますか、代理貸しの実績というものは資料にして提出いたします。
中村重光
42
○
中村
(重)
委員
全国銀行の中小企業に対しての貸し出しの額、それから中小企業専門の
金融
機関
の中小企業に対する貸し出しの金額——これは
公庫
でありませんよ、一般の
貸付
であります。それはわかっておりますか。
小山雄二
43
○
小山
(雄)
政府委員
昨年十二月末で申しますと、全部の
金融
機関
——銀行も
政府
機関
も全部集めました
金融
機関
の貸し出し残高は、十兆三千三百億
程度
になっております。そのうち中小企業向けの貸し出しは四兆七千九百億、パーセントにしまして四六・四%ということになっております。このパーセントは例年ずっと見ておりますと、少しずつ上がってきておるということであります。約四割六分のものが中小企業向けであります。この中小企業向けの中で、各
機関
の
分担
構成といいますか、それを申し上げますと、全国銀行、都市銀行、母方銀行、長期信用銀行、みんな合わせまして、これが中小企業向けのうちの五三・六%という
程度
になっております。それから
政府
機関
の
中小企業金融機関
、商工中金、
中小企業金融公庫
、国民
金融
公庫
、これらを合わせまして九・五%、それから民間の中小企業専門といいますか、相互銀行、信用金庫、信用
組合
、そういう
金融
機関
の
分担
が三六・九%であります。従って、全国銀行五三・六%と、
政府
機関
と民間
機関
を足した中小企業
関係
と考えられます
金融
機関
の担当が、合わせまして四六・四%ということになっております。
中村重光
44
○
中村
(重)
委員
私の調べております統計と、若干違っておるようであります。私がなぜこういう質問をするかといいますと、全国銀行は大企業に対する融資が大幅に伸びているけれども、中小企業に対しては伸び悩みだということなんです。ところが、中小企業専門
金融
機関
というのは、ほとんど中小企業に対する融資だ。ところが
公庫
の取り扱い
ワク
は、全国銀行と中小企業
関係
の専門
金融
機関
とは、大体パーセンテージは同じ
程度
だということに私の調べた資料ではなっておるのであります。そうなりますと、これは私は不合理だと思うのです。全国銀行が大企業向けの融資が多ければ、やはり
公庫
の取り扱いの
ワク
も、これは中小企業専門
金融
機関
を中心に持っていかなければ、どうしても大企業向けの融資が中小企業に食い込んでくるという結果になる。それだけ中小企業の
金融
というものを圧迫するという形に、実際問題としてなろうかと私は思います。そういう点はどうお考えになりますか。
小山雄二
45
○
小山
(雄)
政府委員
仰せの通りでありまして、都市銀行は、大体例年の推移を見ておりますと、中小企業向けの
金融
が減っております。大企業の方は金額的にふえております。ただ地方銀行は、その割合がふえてもおりませんで、大体横すべりになっております。そして中小企業向けの
金融
は、市中銀行の中では、従来から
分量
的には、都市銀行よりは地方銀行が圧倒的に多いわけでありまして、地方銀行は、全体の割合からいいましても、大体横ばいということであります。従って、今仰せの事柄は、都市銀行では確かにそういう傾向はございますが、地方銀行の方が
分量
が多いわけであります。それを総体的に考えますと、必ずしも銀行の融資がだんだん大企業の方に多くなって、中小企業を圧迫して、その補いを
政府
機関
の方でやらなければ穴があくじゃないか——全般的には
政府
機関
の
資金
を年々ふやして参っておるわけでありますけれども、おっしゃるような、極端にそういう現象が出るという形に、銀行の方の中小企業向けは、必ずしもなっていない、こう考えます。
中村重光
46
○
中村
(重)
委員
代理貸しの場合、
ワク
の決定はどういう
基準
でおやりになっているのですか。
小山雄二
47
○
小山
(雄)
政府委員
たくさんの代理店があるわけでありまして、大体が実績を中心として、特に代理店の方の要望、それが大きくふえるというようなときには、こういうことがあるからこれだけふやしてくれというような、もっともな
理由
等も考えて配分している、こういうわけであります。
中村重光
48
○
中村
(重)
委員
もっと
公庫
の社会性それから公共性という点から、意欲的な、意識的な取り組み方をされなければいかぬと思います。全国銀行に融資する場合、いわゆる
ワク
の設定、それから中小企業専門
金融
機関
あるいは中金
関係
、そういう場合に、どういう取り扱いをすることが、中小企業に対する、いわゆる
金融
を緩和することになるのか、そういうようなことを重点に置いて取り組んでいただきたい。希望だというような、そういう消極的なことでは、ほんとうに
公庫
の精神は生かされないのだ、このように私は考えます。なおまた先ほど、直貸しが中心なので、直貸しの申し込みのないものを代理貸しでやっておる、こうおっしゃる。ところが小口
金融
というものは、ほとんど代理貸しでおやりになって、直貸しはやっておらないじゃありませんか。こういうことを考えてみると、おやりになっていることと答弁と違うじゃありませんか。もっとほんとうに積極的な、意欲的な、この
公庫
の設立の本質を踏み違えないような取り組み方をしてもらわなければならぬと思います。今後そういうことについて改められる意思があるかどうか。
小山雄二
49
○
小山
(雄)
政府委員
先ほども申しましたように、
公庫
は、中小企業者が一般市中
金融
機関
で、いろいろな
関係
でなかなか金が借りられないというところに対して、
分量
的にあるいは質的に、これを補完していくというために設けられ、そういう趣旨に沿って
金融
をやるという
機関
であります。従って、ほんとうにそういう
実情
のあるところに、適時適切に金が行くということが目的でありまして、
公庫
のいろいろな制度、これは先ほど申しましたように、
店舗
の
設置
とか、
人員
増加
とか、なかなか一時に行きませんが、いろいろな制度、それから金の貸し方というものを、大体そういう趣旨にのっとるような建前の制度を作り、それに即して
金融
を実行するということでやっており、また十分でないところはそうやりつつある、そういうことでございます。ただ代理貸し等につきましては、今も仰せの通り、代理貸しそのものが、多少やむを得ざる便法ということがあるわけでありますから一その点では、そういう意思が十分貫かれない、またその意思と逆のような現象が現われるということが、必ずしもなきにしもあらずと思いますが、そういう点は、代理店の
監督
その他で、そっちの方へ頭を向けてもらうという努力をしていかなければならぬと思います。仰せの通り、確かにそういう
意味
で十分でない点はありますが、今申しましたように、
公庫
設立の趣旨をあくまで生かすような
金融
を実行していくという努力をいたしたいと思います。
中村重光
50
○
中村
(重)
委員
審議の結果、
理事
二名を
増員
ということに決定されたとしますならば、その一名は代理貸し
関係
を担当するのだというお話でありますが、そういう弊を改めるようにしていただかなければならぬと思います。 それから、代理貸しは非常に大きな弊害があります。その取り扱い銀行の借金の肩がわりというものもあり、それから
金融
ベースに乗らないようなもの、信用
程度
がどうも好ましくない、しかしいろいろな
関係
から断わりにくいというものが、
公庫
の融資ということに、むしろ銀行が積極的に働きかけて、そういうことでやらせようというようなやり方がある。もちろんその事業が将来性があって、育成していくというようなことでありますならば、私は
公庫
金融
の精神に沿うと思います。しかしそういうような方向でなしに、銀行みずからの融資ベースというか、
金融
ベースという点からのみこれを取り扱って、そして
公庫
金融
の実際の精神というものをこわしていくというような点がある。いろいろ実例をもって申し上げると十分おわかり願えると思います。実にでたらめな取り扱い、その代理貸しを悪用するといったような事実を、私は幾つも知るのであります。しかし、その点は適当な機会に申し上げたいと存じます。なおこの点について進めたいと思いますが、
田中
委員
から関連質問がありますから……。
田中武夫
51
○
田中
(武)
委員
先ほど来の
小林
、
中村
両
委員
の質問に関連いたしまして、今の
中小企業金融公庫
の、いわゆる代理貸しと直貸しの問題について、もうちょっとお伺いしたいと思います。長官、済みませんが
中小企業金融公庫法
をあけて下さい。まず、一条を見て下さい。一条には、
中小企業金融公庫法
の目的が明記してあります。後段だけを読みましょう。「一般の
金融
機関
が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」ところが、先ほど来両
委員
が言っておるように、代理貸しが大部分である。今あなたが答弁せられたように、大体七五%、が代理貸しだ、二五%が直貸しだ。直貸しの場合は
金融
公庫
へ行っても、あるいは
出張所
、
支店
へ行っても、これなら手間がかかります。三カ月以上、半年くらいはかかります。これは人手がないから、そういう
調査
に手間が要るのだろう。お宅の取引銀行はどこですか。その銀行を通じて申し込んで下さい、こういうことなんです。取引の
金融
機関
は
金融
ベースに乗るものでないと貸さないのです。いうならば、その
金融
機関
は——いいですか、今までの取引
関係
から、もちろん
調査
をする必要もないから早く
事務
が進みます。しかし、それは自分のところの資本をもっても貸すことのできるようなところを貸すわけです。すなわち、
金融
ベースに乗るところへ、代理店を通じて
中小企業金融公庫
は代理貸しをしておるわけです。その代理貸しの方からは、一条でいうところの、いわゆる
金融
ベースに乗らない困難な中小企業は締め出されておるわけです。そして、今度直貸しを願うと、そういうことで半年くらいかかる。このころ少し早くなって最短距離三カ月というのです。それならば、金を必要とする者が三月も半年も待てるかというのです。そんなのんべんだらりんな
資金
を必要とするのは、中小企業においては少ないと思う。従って、今日の
中小企業金融公庫
は、まず
中小企業金融公庫法
第一条の目的に反した運用がせられておるということです。 次に十九条と二十条を見ていただきたい。十九条には、
中小企業金融公庫
の
業務
が規定してあります。二十条では「主務大臣の認可を受けて、
金融
機関
に対し、その
業務
の一部を委託することができる。」となっている。ところが、この
業務
の一部を委託することができるというその一部が、今日八〇%ないし七五%である。それであって
中小企業金融公庫
は
金融
ベースに乗りがたい中小企業のための
政府
の
金融
機関
であると言えるかどうか。今後この
法律
にのっとっての運用について、どのような気持を持っているか。これは通産大臣に聞きたいと思います。言うならば、一般市中銀行及び相互銀行は、
政府
資金
をもって自分たちの商売をしている、そういうことなんである。しかもそれに対し
政府
機関
の保険までつけてある。
中小企業金融公庫
は
金融
ベースに乗りがたい零細企業のための
金融
機関
でなくて、
金融
機関
のための
金融
機関
であると言わざるを得ないと思う。今読み上げました
法律
等の
関係
において、実際の運営を今後どういうように
法律
の上で持っていくかについて、大臣の答弁を求めます。
椎名悦三郎
52
○椎名国務大臣 中小企業の
金融
機関
としての純粋な立場をとるためには、代理貸しよりも直貸しがよいにきまっております。ただ、実際にこれを運用する上において、なかなか手が回りかねると申しますか、必要な個所にすべて
支店
、
出張所
を設けるごとができないというような
関係
から、さような
状況
になっておるのでございます。しかし、先ほど来長官が申し上げたように、できるだけそれをスピード・アップしまして、そして直接貸しを多くするという方面に努力を払って参りたいと考えております。しかし、普通の
金融
機関
が相手にしにくいようなものに相当力を入れるのだという問題でありますが、これは自分のところでまるまるどうもお相手できない、保証協会あるいは
金融
公庫
の
資金
がうしろにあって、初めて融資し得るのだというようなものも、相当にあるのではないかと思います。しかし、これは代理貸しの直接の担当者の頭の置きどころいかんにもよることと思いますが、すべてそういう方面が七五%によってふさがれているということでもないと私は思います。そういうような傾きになりがちだということは私も認めますが、今後とも代理貸しにつきましては、担当
理事
もふえることでございますから、御指摘の点は十分注意して参りたいと考えております。
田中武夫
53
○
田中
(武)
委員
だんだんとふやしていく、こうして三十六年度の目標といいますか、予定を言われたのが大体七五%、二五%です。六一五と二二〇でしょう。大体七〇%ちょっとと二〇%ちょっとくらいだと思うのです、振り合いは。この
法律
は昭和二十八年にできたのです。昭和二十八年にできたときに、さし
あたり
機構
が十分に確立せられていないから、その
業務
の一部を従来の
金融
機関
に代行せしむるのだ、こういうことが代理貸しの精神でなかったかと思うのです。ところが、今日、十年近く、八年もたって、若干ふえているかは知らないが、依然としてなお暫定的な
措置
がそのままとられているということ。その結果、せっかく作った中小企業のための
金融
機関
が、先ほど言ったように、中小企業のための
金融
機関
でなくなって、
金融
機関
のための
金融
機関
になっている。これははっきり言える。第一条では、先ほども言ったように、一般
金融
機関
では
金融
ベースに乗りがたいものに対して貸してやるというのである。ところが、この代理貸しの場合には、一般
金融
ベースに乗らないものは受け付けないということ、そのこと自体が第一条違反である。だから、先ほど来長官が答弁していることは本末転倒している。特例をもって原則とし、原則が特例になっているということである。そこに法に対する忠実な
機関
運営がなされていない。そのことがはっきり指摘できると思うのですが、いかがですか。この
法律
目的、
業務
から言って、今のやり方でいいと思いますか。そんなら
法律
を変えなさいよ。原則と特例とあべこべにしなさい。
小山雄二
54
○
小山
(雄)
政府委員
御指摘の
法律
一条の趣旨、それから十九条、二十条にあります、
公庫
が
金融
機関
に対して
業務
の一部を委託するという
意味
、御指摘の通りであります。ただ、代理貸しをやります場合に、これはあまり好ましくないけれども、だんだんにふやすので、代理貸しを一ぺんになくするわけにいかぬという
意味
の代理貸しをやります場合に、これも
金融
ベースに乗るものしか代理貸しは貸さぬというわけではないわけであります。代理店もこれは自分の金ではない。多少填補率といいますか、
事故
の起こった場合の負担ということもありますけれども、この
事故
率というのを総平均してみますと、代理店手数料との見合いにおきまして、自分の金を融資するのとは違って、いわゆる
公庫
の金を融資するわけでありまして、
法律
の第一条にあります一般の
金融
機関
で融資することが困難とするという
資金
の融資に当たるのではないかと考えるわけであります。 なお
業務
の一部をやるという趣旨は、さし
あたり
創立早々だから、そういうことをやる趣旨ではないかということで、まさに一般的にはそうでありますが、実は二十八年に始めまして三十年までは全部代理貸しだったわけでございます。三十年になって初めて直接貸しを一部やる手だてといいますか、人その他の手だてができた、それを三十年から五年間にわたってだんだん広げてきたということでありまして、これは先ほど来申しましたように人の
関係
、
店舗
の
関係
等で、急速にはどうしても参らない性質のものでありまして、極力事情の許します限りふやしていく、これは
予算
的に見ましても代理店貸しを減らして、代理店手数料を払わなくてもいい金でもって
支店
を増設するということが、むしろ大蔵省的に見ましても安上がりだという見方もできるわけであります。そういう
意味
の
予算
的な制約というようなものもないわけでありまして、できるだけ人をそろえる段取りさえつく
程度
のふやし方は年々やって参りたい。ただ金額的な
分量
からいいますと、割合が五%ずつくらいしかふえてないということが言えますけれども、人的な割合からいいますと、相当思い切ってふやしているつもりでおるわけであります。なお一そう努力いたしたいと思います。
田中武夫
55
○
田中
(武)
委員
長官、ほんとに一般市中銀行なり
金融
機関
が、あなたが言っているような
金融
ベースに乗りがたいもの、これに対して
中小企業金融公庫
の
資金
を代理貸しの形式で貸しておると思いますか。実際はやってないのですよ。自分のところの取引のあるお得意さんに
政府
の
資金
を使って貸しておる。相互銀行のごときはそれになお歩積み、両建といったような制度をとって、おのれがもうけておる。はっきりしておるわけです。
中小企業金融公庫
は中小企業者の
金融
のためでなく、
金融
機関
のためにあると言っても過言でないわけなんです。しかも御丁寧に、それに対して
政府
の
機関
で
政府
の金で保険までつけてやる、こういうわけです。
金融
機関
は絶対損しませんよ。一体
中小企業金融公庫
をどういうわけで作ったのかという、その
設置
のときの
状況
を、もう一ぺん考えてもらいたいと思うのです。そしてまた、私が今ここであなたに要求いたしたいことは、関連質問ですからこの点はこれ以上は申しませんが、あすまでに——あすまでにといいますか、この法案が通過するまでに、原則と特例、すなわち現在では七五%が代理貸しであり、直貸しが二五%
程度
である。これを将来どのように持っていくか、それは全然代理貸しをゼロにということはできない。少なくとも
法律
の建前からいえば、その比率は逆になるべきじゃないかと思う。直貸しが少なくとも七〇%、八〇%であって、代理貸しの方が少ないのがほんとうなんです。ここ何年間において、そういうような方向に持っていこうとするのか、それは三年でも五年でもけっこうです。一応このパーセンテージを逆になるような、あるいは少なくとも半々以上にするにはいつまでかかるか、一つ計画表といいますか、予定表を、
中小企業金融公庫
ともきょう中に相談して、あした出して下さい。関連ですから終わります。それを出せますか。
小山雄二
56
○
小山
(雄)
政府委員
大蔵省等の
予算
あるいは財政投融資の見通しとも
関係
いたしますから、はっきりした、こまかい数字的なものができるかどうかわかりませんが、大体のめどで何年くらいでこの
程度
に持っていきたいという見通しは申し上げます。
田中武夫
57
○
田中
(武)
委員
努力目標でもよろしい。こういう目標で何年、こういうようにして、こう比率を変えていくのだというので、少なくともこの
法律
の精神にのっとったところに持っていくのには、何年がかりでやるかという努力目標でけっこうですから……。
中村重光
58
○
中村
(重)
委員
ただいま
田中
理事
が質問しましたように、確かに相互銀行だけでなくて、
金融
機関
が歩積みそれから両建という形をとっておることは事実なんです。これはもうゆゆしき問題だと思うのであります。こういう事実に対して通産大臣は、さっそくこれを是正させるように
措置
されるかどうか。
椎名悦三郎
59
○椎名国務大臣 歩積み制度は、一般
金融
機関
にあってもよくないことでございまして、大蔵省の
金融
機関
監督
の一つの指標でもございます。中小企業にこういったようなことが行なわれることは、これはもうもってのほかでございますから、かような点は極力是正するようにいたします。
中村重光
60
○
中村
(重)
委員
なお、この融資等の際担保等をとっておるわけですね。ですから担保と事業
内容
というものと、融資の際にどちらに重点を置かれるか。
小山雄二
61
○
小山
(雄)
政府委員
中小公庫
は、その目的から言いまして融資し得る業種等をきめております。結局中小企業の
合理化
に役立つようなものに貸すのだという建前をとっております。奢侈的、遊興的なところには貸さぬとか、いろいろ原則を立てて、中小企業振興のために貸す。一口に言いますと、そういう建前になっております。金を貸すという場合に、もちろん独立採算でやっておるわけでございますから、明らかに企業の収益性といいますか、そういうものの見込みが立たないものに貸すということはできません。また同じく独立採算でやっておる
金融
の原則から言いまして、担保力の非常に欠けたものに貸すというわけにもいきません。この両者はいずれも
金融
を実行いたします際には重点的に考えますが、もちろん担保の問題は小口の融資等になりますと、担保を免除するとかいろいろ制度がありまして、今どちらが重点かと言われますと、そのことがありますので、なかなか比較はしにくいわけでありますが、どちらかと言いますと、事業の見込みというものを重点に置いて、担保は場合によっては免除したり軽減したりするという
意味
におきましては、前者、事業の見込みを重く見る、こういうことが言えるかと思います。
中村重光
62
○
中村
(重)
委員
物件担保の評価
基準
というものはどこにありますか。
小山雄二
63
○
小山
(雄)
政府委員
私もちょっとよく詳しくは存じませんが、担保はそのときの値打というものが担保力になるわけでありますが、普通
金融
機関
が見ますときには、機械だとか建物だとか土地だとか、いろいろ物によりまして、ある
程度
の掛目というものを考えまして、土地だと何割に見るというようなことをやっておるようでございます。ある
程度
掛目を確実に見てというのが、
金融
の常識でございます。
中村重光
64
○
中村
(重)
委員
私が申し上げるのは、ともかく担保は、たとえば不動産の場合ですと固定資産税の評価であるとか、いろいろなことが評価になっておるのだろうと思うのであります。担保の評価が厳し過ぎて、もう
田中
委員
が指摘されましたように、実際金に困っているという人たちは借り入れができないのです。もう担保を遊ばしておるというような人たちは、金は大して困っていない人たちなんです。困っている人たちが借りられないということは、その担保の評価というものが厳し過ぎる、形式主義になり過ぎる、そういう点があろうと思います。その弊は代理貸しの場合に、特にはなはだしいと思うのであります。その点は一つ十分注意をされて、先ほど長官が答弁されましたように、この
公庫
の設立の精神、趣旨に十分沿っていくように御留意を願いたいと思います。
委員長
から休憩するという御注意がありましたので、一応この問題はこれで終わります。
中川俊思
65
○
中川委員長
暫時休憩いたします。 本
会議
散会後、再開の予定でございます。 午後零時二十二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は
会議
を開くに至らなかった〕