○椎名国務
大臣 割賦販売法案について提案の理由及びその概要を御
説明申し上げます。
わが国における割賦販売がここ数年来急速な発展を遂げておりますことは、皆様御承知の
通りでありますが、このように割賦販売が国民経済上かなりの地歩を占めるようになりましたのは、それが一般消費者にとっては消費支出の合理化を通じて生活水準の向上に役立つとともに、
生産業者にとっては国内における商品市場を拡大し、大量
生産による
生産費の切り下げを可能とするからでありまして、このような制度は今後もますます発展していくものと
考えられるのであります。
しかしながら、割賦販売は長期間にわたる継続契約であるため、割賦販売業者と購入者との間に紛争が生じやすい等種々の問題がありますので、今後割賦販売の健全かつ合理的な発達をはかっていくためには、一般の購入者の保護、割賦販売業者の確保、その他割賦販売の健全化について必要な措置を講ずる必要があるものと
考えられます。これが本法案を提案するに至った理由であります。
次に本案の概要について申し上げますと、第一に、一般の購入者を保護するため、割賦販売業者に対して現金価格、割賦販売価格等を明示する義務及び割賦販売契約の基本的な内容を記載した書面を購入者に交付する義務を課するとともに、契約の解除、損害賠償等に関して購入者を不当に不利な立場に置く契約条項は無効とすることにしております。
第二に、割賦販売業者の債権の確保をはかるため、割賦販売された商品の所有権は、その代金が完済されるまでは割賦販売業者に留保されたものと推定することとしております。
第三に、割賦販売の健全な発達をはかるため、必要があるときは、主務
大臣は、商品ごとに頭金の割合と賦払い期間とについて標準を定めてこれを公示し、それに著しく違反して割賦販売が行なわれ、割賦販売の健全な発達に著しい支障が生ずるようなときは、その割賦販売業者に対して販売条件の改善を勧告することができるようにして、割賦販売の健全化をはかることとしております。
第四に、商品の引き渡しに先だって購入者から代金を受領する前払い式割賦販売は、登録を受け、営業保証金を供託した者でなければ業として営んではならないこととし、登録を受けることができる者を資力、信用のある者に限ることによって、一般の購入者の保護をはかることとしております。
第五に、信販会社、チケット発行団体等の割賦購入あっせん業者の歩行する証票が大量に転々流通すること及びその
目的外使用により不健全金融が行なわれることを防止するため、それを譲り受け、あるいは資金の融通に関して提供させることを業として行なうことを禁止することとしております。
第六に、割賦購入あっせんは、登録を受け、営業保証金を供託した者でなければ業として営んではならないこととし、登録を受けることができる者を資力、信用のある者に限ることによって加盟小売店の保護をはかることとしております。
本法案の内容は、おおむね以上の
通りであります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げます。
次に、
鉱工業技術研究組合法案につきまして、その提案理由及び概要を御
説明申し上げます。
世界的な技術革新と貿易自由化の進展に即応しつつ、当面せる
国民所得倍増計画を達成するためには、産業構造を高度化し、
生産能率の向上をはかることが必須の要件であり、そのためには、その
基礎となる鉱工業技術を大いに振興しなければならないことは、あらためて申し上げるまでもない
ところであります。
わが国産業界においても、近年、国産技術を創造するための自主的試験研究体制を確立しようとする機運が次第に高まってきているのでありますが、
基礎研究から大規模な工業化への一貫した試験研究の展開とか、多数部門の技術の総合化を必要とする試験研究の遂行等につきましては、一事業者の力のみをもってしては実施困難な場合が少なくないのでありまして、これらについては事業者が協同して研究する体制をとることが有効適切な方策であると
考えられるのであります。
しかるに、現在協同研究体がとり得る組織としてあげることができる公益法人、
中小企業等協同組合、会社、任意団体等は、いずれも協同研究を推進するための組織といたしましては、適切といえない場合が多いのであります。
そこで、協同研究のために最も適した組織として新たに鉱工業技術研究組合という制度を設け、産業界における鉱工業技術の協同研究の推進をはかり、もって技術水準の向上に寄与しようとするのが、本
法律案の主眼とする
ところであります。
この
法律案の内容につきましては、御審議のつど詳細に御
説明申し上げたいと存じますが、ここにその概略を述べさせていただきますならば、鉱工業技術研究組合の組織としての著しい特質は次の諸点であります。
第一は、試験研究を主たる
目的とする性格上、非出資の組合とし、組合の運営に要する費用は原則として組合員に対する賦課金によることとした点であります。
第二は、本制度の乱用を避けるため、実質的には一企業の研究所と異ならないよう擬装的な組合あるいは休眠組合を排除し得るよう規定を整備した点であります。
第三は、事業年度ごとの剰余金の分配を禁じ、組合の非営利性を明確にするとともに、事業遂行の
基礎を自壊させることのないよう配慮した点であります。
その他につきましては、本組合が試験研究に関する相互扶助組織でありますので、必要に応じ、類似の性格を有する
中小企業等協同組合に関する規定を準用することとしております。
次に本
法律案におきましては、組合の結成及びその行なう試験研究の促進をはかるための税制上の特別措置を置くこととしており、その内容につきましては租税特別措置法の一部を改正する
法律案において御審議を願うこととなっております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
次に、
機械類賦払信用保険臨時措置法案について、提案の理由及びその概要を御
説明申し上げます。
わが国の国民経済上、
中小企業がきわめて重要な地位を占めており、今後の
わが国経済の健全な発展をはかるためには、
中小企業の設備の近代化を強力に推進する必要があることは、論を待たない
ところであります。
最近、設備機械につきまして、主として
中小企業に対する割賦販売が徐々に増加しておりますことは、ただいま申し上げました
中小企業の設備の近代化という面から、きわめて注目に値することと存じます。しかしながら、割賦販売の相手方は主として
中小企業でありますので、割賦販売に伴う信用危険が大きく、設備機械の製造業者等が割賦販売を一段と積極化するには、なお相当の困難がある実情にあります。
他方、そのような設備機械の
供給の任に当たります
わが国の機械工業は、国民経済の高度成長をになう産業として、
所得倍増計画におきましても今後画期的な発展を期待されておりますが、現状におきましてはその国際競争力ははなはだ弱体であり、今後の貿易自由化に対処して、早急に
生産規模を高めてコスト引き下げをはかる必要があり、特に工作機械等の設備機械につきましては、割賦販売によって国内市場を積極的に拡大すると同時に、市場の安定をはかる必要が痛感されております。
かように
中小企業の設備の近代化を推進するという面と、設備機械の市場の拡大と安定をはかってその国際競争力を強化するという二つの要請にあわせこたえるためには、設備機械の割賦販売を今後大いに促進することが必要であると存ずるものでありますが、このためには割賦販売取引について
政府による信用保険制度を確立することが何よりも肝要であり、これが本法案を提案するに至った理由でございます。
次に本法案の概要について申し上げます。
第一に、保険契約の形式でございますが、これは原則として設備機械類の製造業者を相手方として、会計年度ごとに、国が包括保険契約の形の信用保険契約を結ぶことといたしております。包括保険契約の形をとりましたのは、その会計年暦内にその製造業者が割賦販売をする特定の設備機械は、すべて保険契約の対象となりますので、危険が分散されて保険料の低減をはかることができるわけでございます。
第二に保険契約の内容でございますが、この保険契約を締結いたしますと、製造業者は設備機械類を割賦販売した場合に、その割賦販売代金が不払いとなったときの損失を、国から填補されることになります。この損失に対する国からの填補の割合は、百分の五十となっております。
第三に、保険事業の健全な運営をはかるため、特定の場合には、
政府は保険契約を締結してはならないこととするとともに、保険金の支払いを受けた製造業者等には、代金回収に
努力する義務を課し、回収金は
政府が填補した損害の割合に応じて
政府に納付させ、また製造業者等が
法律または契約の条項に違反した場合には保険金の不払いまたは返還等の措置をとることができることとしております。
第四に、本法案による信用保険事業を運営する方式でございますが、その能率的、合理的運営をはかるため、国が一般会計からの繰入金等をもって特別会計を設置し、この特別会計をもって独立採算制による事業の運営をすることとしております。なお、ただいま申し上げました特別会計につきましては、別途機械類賦払信用保険特別会計法案を提出いたしております。
本法案の内容はおおむね以上の
通りであります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
〔加藤(清)
委員「こんな状態で慎
重審議ができるか」と呼ぶ〕