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1961-02-28 第38回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十八日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       神田  博君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    首藤 新八君       田中 榮一君    林   博君       原田  憲君  早稻田柳右エ門君       加藤 清二君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中村 重光君       西村 力弥君    松井  誠君       伊藤卯四郎君    大矢 省三君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通 商 産 業         政 務 次 官 砂原  格君         通商産業事務官         (重工業局長) 佐橋  滋君         通商産業事務官         (鉱山局長)  伊藤 繁樹君         工業技術院長  後藤 以紀君  委員外出席者         内閣審議官   西  謙一君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         通商産業技官         (地質調査所         長)      兼子  勝君         自治事務官   小野寺 昇君         参  考  人         (石油資源開発         株式会社常務取         締役)     岡田 秀男君         参  考  人         (帝国石油株式         会社社長)   岸本勘太郎君         参  考  人         (全国石油鉱業         労働組合委員         長)      伊藤 誠光君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として松  井誠君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員松井誠辞任につき、その補欠として久保  田豊君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第七一号)  機械類賦払信用保険臨時措置法案内閣提出第  七二号) 同月二十四日  公共料金等物価抑制に関する請願外一件(谷  口善太郎紹介)(第八三二号)  同外一件(永井勝次郎紹介)(第八三三号)  公共料金改訂に関する請願山中貞則君紹  介)(第九六二号)  電気料金改訂に関する試験(山中貞則紹介)  (第九六三号)  離島振興法恒久立法化に関する請願山中貞  則君紹介)(第九六四号)  南九州工業開発促進に関する請願池田清志  君紹介)(第九六五号)  は本委員会に付託された。 二月二十四日  石炭鉱業危機打開に関する陳情書  (第二六〇号)  石炭産業振興対策確立に関する陳情書  (第二六  一号)  同(第二六二号)  中小企業育成振興に関する陳情書  (第二六三号)  中小企業業種別振興臨時措置法による業種別指  定に医薬品販売業を指定の陳情書  (第二六四号)  商工会連合会組織法制化に関する陳情書  (第二六五号)  海外投資及び長期信用供与対策強化に関する陳  情書  (第二六六  号)  石油資源開発第二次五箇年計画樹立に関する陳  情書(第二九一  号)  消費物価安定に関する陳情書  (第二九二号)  産業立地条件整備対策確立に関する陳情書  (第二九三号)  国土開発促進に関する陳情書  (第二九五号)  同(第三九四  号)  小規模事業対策予算増額に関する陳情書  (第三四三号)  小規模事業対策予算増額等に関する陳情書  (第三四四号)  同  (第三四五号)  日朝直接貿易促進に関する陳情書  (第三四八号)  九州電力株式会社電気料金値上げ反対に関す  る陳情書(第三四  九号)  北海道の電気料金引下げに関する陳情書)  (第三五〇号)  池田内閣経済施策に関する陳情書  (第三五一号)  近畿広域圏総合開発等に関する陳情書  (第三五九号)  国土総合開発に関する陳情書  (第三  六〇号)  公共料金引上げ中止に関する陳情書  (第三八五号)  九州地方開発公庫設置に関する陳情書  (第三九九号)  工業立地政策確立に関する陳情書  (第四一八号)  国立石炭総合研究所設置に関する陳情書  (第四一九号)  地籍調査事業推進に関する陳情書  (第四二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  割賦販売法案内閣提出第四〇号)  鉱工業技術研究組合法案内閣提出第六六号)  機械類賦払信用保険臨時措置法案内閣提出第  七二号)  通商産業基本施策に関する件  鉱業に関する件      ――――◇―――――
  2. 中川俊思

    中川委員長 これより会議を開きます。  鉱業に関する件について調査を進めます。  本件に関し石油資源開発に関する問題については、石油資源開発株式会社常務取締役岡田秀明君、帝国石油株式会社社長岸本勘太郎君及び全国石油鉱業労働組合執行委員長伊藤誠光君の三君に参考人として本委員会に御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川俊思

    中川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本件に関し、質疑の通告がありますので、順次これを許します。齋藤憲三
  4. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 去る二月七日の当委員会において通産大臣から通商産業政策の重点について御説明があったのであります。私もこれを拝聴いたし、またその速記録をも拝見いたしたのでございますが、広範多岐にわたる通産行政に対するところの大体の骨子の御説明であったのでありまして、私もこれに対しては大体賛成を表しておる一人であります。ただわが国総合エネルギー問題に対しましては、最後の石炭対策にちょっと触れられただけで、一言もそれに言及しておられないのであります。きょう私はここに貴重な時間をいただいて御質問申し上げようとしておるのは、その総合エネルギー対策の小の石油及び天然ガスについて御質問申し上げたいと思っておるのでありますが、その前に政務次官一つお伺いしておきたいのは、今後十カ年のわが国エネルギーに対する通産当局いわゆる大臣のお考えは、昭和三十四年十一月二十六日付で時の総理大臣から経済審議会に対し、国民所得倍増目標とする長期経済計画いかんとの諮問を行なったのに対して、昨年十一月一日に経済審議会から総理大臣に対し答申を行なった国民所得倍増計画中にあるエネルギー小委員会報告と大体同じ考えに基づいて今後行なわれるのかどうか。これは経済企画庁の国民所得倍増計画中に書いてあるいわゆる総合エネルギー対策と同じなのでありますが、これに基づいて通産行政として今後十カ年間の総合エネルギー対策を遂行していかれるのであるかどうか、これを一つ前もってお伺いしておきたいと思うのであります。
  5. 砂原格

    砂原政府委員 ただいまの御質問通りに、そういう方針で進んでいくことにいたしております。細部にわたっては、いろいろまだ検討を加えなければならないものがあると思うのでございますが、御意見通りに進んでいきます。
  6. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私はしろうとでよくわからぬのですが、所得倍増計画という大きな目的を達成する総合エネルギー対策といたしましては、あの答申書に書いてあるぐらいの規模で行なうこうが最小限度だ、そう私は考えて、あのエネルギー小委員会報告には賛成を表しておる一員であります。  エネルギー小委員会報告中にどういうことが書いてあるかというと、将来のエネルギー需給というところに、昭和四十五年度のエネルギー需給計画という項があるのです。私が読みましたのは、経済審議会から出ております答申書で、それで今御質問申し上げておるのですが、その昭和四十五年度のエネルギー需給計画という項に、こういうことが書いてある。石油供給については、大幅な需要増加に対応して、原油九千万キロリットル、製品六百九十万キロリットルを輸入することとする、昭和四十五年までにはこれだけの輸入量になる、それから国産原油生産は百五十万キロリットルにまで持っていく、こういうふうに書いてあるのでございますが、この百五十万キロリットルというものは、石炭換算いたしますと、大体二百十四万トンになる。このくらい大きな構想をもって国内石油開発をやっていくという。さらに、天然ガス化学工業用都市ガス用発電用需要等を見込んで、昭和四十五年には二十億五千三百万立米生産をしたい。これは石炭換算にいたしますと、これまた三百三十四万トンに相当するのでありますが、これはどういう計算基礎として、昭和四十五年度までに国内石油を百五十万キロリットルに持っていき、天然ガスを二十億立米までの増産に持っていくという計算をされたのか、また、この計算に対して通産省としては今後どういう操作をしていかれるのであるか、これを大体でけっこうでありますから、お伺いいたしたいと思います。
  7. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 長期エネルギー計画におきましては、できるだけ低廉なエネルギー供給するということが主眼でございますけれども、同町に国際収支の問題を全然度外視するわけにも参りません。従って、天然ガスにつきましては、現在一応七億立方メートルほどの生産を上げておりますけれども、これは相当埋蔵量も豊富でございますので、この需要を確保することによりまして、一応二十億立方メートル程度までの増産をするということで、国際収支の問題もあわせて解決したいという趣旨でございます。
  8. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 それはわかるのですが、ただ私のお伺いしたいと思いますことはやはり答申書の中に、天然ガス及び国産原油設備資金として、十年間に一千三百億円を必要とするということを考えておる、こういうことがあるのです。ですから、国産原油昭和四十五年度までに百五十万キロリットルまで持っていく、それから天然ガスは二十億立米までに増産をするというと、そういうものに対するところ設備投資は十年間に一千三百億円を必要とする、こういう操作をしておるのでありますが、これは私はよくわからぬのですが、設備資金として十年間に一千三百億円を必要とすると書いてあるのですが、一体設備資金というのはどういうことを意味するのか、これはどなたでもいいですが、一つ説明願いたい。
  9. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 ただいまお話のように、三十六-四十五年度で、千二百八十億という大よその資金所要額が計上されておりますが、これは、開発経費はもちろんでございますが、それに伴います探鉱経費も含まれておるのでございます。
  10. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 そうしますと、一年割りにいたしまして百三十億円というがごとき巨額の費用を見込まなければ、十年後に国産原油百五十万キロリットル及び天然ガス二十億立方メートルというものの供給はできない。一体昭和三十六年度に、この国内原油及び天然ガス開発に対して、どれだけの予算措置をしておられますか、これを一つ説明を願いたい。
  11. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 ただいまの齋藤先生の御質問は、民間の投資額は別として、政府予算としては、天然ガス開発にどの程度予算措置を講じておるかという御質問でございますが、天然ガスにつきましては、従前から天然ガス探鉱費補助をいたしておりますがこれは本年度の予算といたしましては二千七百六十六万六千円でございます。われわれれとしてはできるだけ増額したいということで努力をいたしましたけれども、諸般の事情で前年通りというふうになったのであります。それから鉱山局予算ではございませんけれども、地質調査所に千五百二十万円の基礎調査経費を計上いたしておるわけであります。一応直接の予算措置といたしましては、ただいま申し上げた通りでございます。
  12. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 ただいま鉱山局長の御説明でございますが、十年後に国産原油百五十万キロリットル、それから天然ガスを二十億立米増産しようというのに対して、国家予算措置は、わずかに天然ガスに対する助成金二千七百万円、それから構造性ガス調査に千二百万円という微々たるものであります。しかも私の記憶によりますれば、天然ガス開発助成金は、昭和三十年、三十一年ごろの予算は三千万円くらいついておった。それが大増産目標にし、世界エネルギー態勢固体エネルギーから流体エネルギーに変わりつつあって、しかも今化学工業原料とともに天然ガスが大きな地歩を占めておるというときに、わずか政府予算が三千万円や四千万円でもって、この大増産計画ができると思っておられるのか、思っておられないのか。これは思っておられないと私は思うのでありますが、こういうところに、私は所得倍増計画の、いわゆる作文的欠陥というものが多少現われてきているのではないかと思うのですが、こういう点に対しまして、大臣代理として政務次官はどうお考えになりますか。
  13. 砂原格

    砂原政府委員 齋藤先生の御質問は、この予算程度では、真の所得倍増計画はできないのではないかという御趣旨でございますが、私たちの方としても相当額予算を要求いたしまして、大蔵省とも内交渉を始めましたが、今回はまことに残念ながら、その目的を達成することができなかったのであります。今後はもちろん、所得倍増目的が達成できるように、こうした面の商工予算増額に懸命の努力を重ねていきたいと考えております。
  14. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 通産大臣、それから政務次官は、御就任後日も浅いのでありますから、私はあえて責任を追及しようということを考えておるのではない。しかし通産行政に携わっておるところの人々の頭脳的な欠陥がここへ出てきているのじゃないかと思うわけです。というのは、昭和三十六年度の予算要求に、天然ガス開発に対する大きな予算要求をしてないのです。初めからおりている。私の知っておりまする範囲内におきましては、天然ガス開発助成金がわずかに四千五百万円程度要求されただけで、あとは要求してない。のっけから天然ガス開発ということを通産省考えておらない。そして質問をするというと、お説ごもっともだ、これは場当たり答弁というものであって、決して責任のある答弁ということには私はならないと思う。私は、国会に席を持っておる限りにおいては、国会のたびに天然ガス開発というものを、世界大勢におくれないように今日本がやらなければならぬということを、何回となく政府当局に要求した。そのときの速記録を見るというと、お説ごもっとも、お説ごもっとも、必ず必ずやります、やりますと言って、出てくるというとさっぱりやってない。私が落選をする前に、三千万円の予算要求くらいのものが、今度また出てくるというと二千七百万円に予算が減る。一体こういうことで――口ではやるやると言っていながら実態を現わさない行政というものは、これはわれわれが尊重するに足りない行政であって、やるならやると言明したら、必ずやるということで責任が果たされるのであって、私は通産当局に対してこの点は重大なる警告を発しておきたいと思うのであります。  私は、ただいままであらかじめ御質問申し上げた前提に立って、これからいろいろ細部に渡って御質問を申し上げるのでありますが、私はもちろんこの道の専門家でもないし、またきわめて未熟な知識しか持っておりませんから、用語上の誤りとかあるいは計算上の数字の遣いというものはずいぶんあると思いますから、こういうことは手きびしく訂正していただきたい。そうしてただいま申し上げた通りに、長い御答弁は要りません。簡単にして明瞭な、しかしながら責任ある答弁をしてもらいたい。幾ら質問しても、お説ごもっともでもって、答弁だけはずるずるやっておって、あとでは何もやらないのじゃ、査問したって価値はない。やると言ったら必ずやるというふうに、責任を持って一つ答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  私がいろいろ御質問を申し上げる焦点は、あらかじめここでしぼってお話を申し上げておく方が、御答弁をなさるのに都合がいいと思いますから、私が今質問をする目的を申し上げておきたいと思うのであります。  私の御質問申し上げる、第一の目標は、わが国可燃性天然ガス開発に対し必要な埋蔵基本調査をどうしてやるかという問題、いいですか、鉱山局長、忘れないようによく覚えておいて下さい。それから第二番目は、これに伴う必要な立法的処置、たとえば可燃性天然ガス開発目的とする法律を制定する考えがあるかどうか。それから第三番目は、国内石油開発に対し、国内石油開発第二次五カ年計画を策定する用意があるかどうか。第四は、石油資源開発株式会社法改訂し、さらに国策的な機関として、石油並びに天然ガス探鉱に専念するような機構に改革する意思があるかどうか。そういうものに対して今後通産行政としては、従来よりも重点的な施策として考えて、昭和三十七年度からは予算に対する大増額計画する御意図があるかどうか。大体この五つの目標に対して御答弁をお伺いしたいと思うのでありますが、その前提として一つ私がお伺いいたしたいのは、わが国の可然性天然ガス埋蔵量であります。この埋蔵量調査というものは、まだ的確に行なわれていないからやむを得ないと思うのでありますが、通産省調査によって発表されたところによりますと、大体日本の可然性天然ガス埋蔵量は千二百億立米発表されておる。ところ天然ガス協会発表いたしました数字によりますと四千六百億立米であると書いてある。最近地質調査所でいろいろな観点から調査された結果発表されたのは六千億立米あると書いてある。六千億立米ということになりますと、これは膨大な埋蔵量であります。従いまして、私はこれに対して通産当局は大体どのくらいの埋蔵量と今考えるのが適当であるか、これを一つお伺いいたしたいと思うのであります。
  15. 兼子勝

    兼子説明員 ただいまの齋藤先生天然ガス埋蔵量調査のことについてお答え申し上げます。  齋藤先生がおっしゃいましたように、全国的な埋蔵量調査は、実は正確にはまだ行なわれていないのであります。この前の、たとえば石炭埋蔵量調査、ああいったものは、法律に基づいて埋蔵量調査というものはちゃんと行なわれておるのでありますが、天然ガスにつきましては、そういった法律に基づいたものは行なわれておらないのであります。従いまして算定基準によりまして、いろいろ違ってくるのでありまして、千二百億あるいは四千六百五十億といったような数字は、算定基準によっていろいろ違ってくるのであります。ただ天然ガスにつきましては、特に最近年間四〇%も増加しておりますので、埋蔵量はどんどんふえていることは事実なのでありまして、はなはだ私の方として残念ながら、私ども技術官庁におきましては、こういったものをできるだけ正確に把握して、そうして正式に発表したい、こういうふうに思っておるのでありまして、実はただいまの数字が異なりますのも、そういったところに出ております。政府としては、もつと正式な発表を行ないたいと思っておりますが、まだそういった方面に、お金も足りませんで手が伸びておらないのが現状であります。
  16. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私は、天然ガス埋蔵量というものがちょっぴりしたものなら、どんな数字が現われてきても気にかけない。しかし帝石さん帝石さんが発表されました一九六〇年の「内外石油情報」の末尾の方に、通産省産業合理化審議会エネルギー部会答申の中に、天然ガスとして千二百億立米石炭換算一億七千万トン、こういうふうな数字が一応出ておるわけであります。それから、この天然ガス協会の「天然ガス」という一九五九年の雑誌に、いろいろ詳細な論文が載っておりまして、これは鉱業経済研究所代表取締役足立さんと、天然ガス鉱業会専務理事伊藤さんが書かれたものでありますが、これによりますと、四千六百億立米埋蔵量がある。そうしますと、石油換算いたしまして四億六千万キロリットルでございます。四億六千万キロリットルの天然ガスがあるのですよ。それからこれを石炭換算をいたしますと、六億五千万トンになるのです。ところが最近のいろいろな海底油田とか、あるいは見附の凝灰岩地層から出てきた天然ガスの状況から換算、推定すると、地質調査所では、これを今度は六千億立米以上だという発表をいたしておる。そうしますと、今度は石油換算しますと六億キロリットル、石炭換算いたしまして八億五千万トン、こういう膨大の国家資源というものが今日見込まれるようになったので、私は気にいたしておるのであります。ある人から言わせると、新たに発見されたところのいわゆるグリーン・タフ、凝灰岩地層に埋蔵されている天然ガスというものを見込むと、日本天然ガス埋蔵量というものは兆という数字をもって表わすようになるのではないかということがいわれておる。ところが、世界大勢を見ると、今総合エネルギーの重大な要素として天然ガス開発というものは、全世界であらゆる努力を惜しみなく洗いでやっている。アメリカに対しても、ソ連にいたしましても、フランスにしても、イタリア、ドイツ、ベネズエラにいたしましても、その他あらゆる世界天然ガス埋蔵国家は力を尽くして、これを一つの原動力として、国家繁栄の根底となさんとして総合エネルギー対策を立てておる。日本もこれだけの天然ガスがあるということが見込まれているにかかわらず、予算措置を見ればわずかに数千万円だ。一体そんな通産行政が世の中にあるかというのだ。私は与党ですから、あまり攻撃はしたくないのですけれども、突貫的にこれを解剖してみれば、こんなピントはずれ通産行政というものは私はないと考えている。  まあ、あまり攻撃はやりませんが、そこでもう一つ地質調査所長に伺っておきたいのは、今ここに呪われておりまするところ天然ガス埋蔵というものは、おそらく私は油性ガスとそれから水溶性ガスと、大体これに限られたところ調査だと思うのです。昭和三十五年度の天然ガスは、大体六億七千立米くらい使うだろうという統計が出ている。そのうち五億一千万立米はいわゆる石油性ガス水溶性ガス、これは三十四年ですが、一億七千万立米炭田ガスだと書いてある。ところ可燃性天然ガスという中には、炭田ガスが含まれている。この炭田ガス日本においてどのくらい埋蔵されているかという点は、私の非常に興味を持っておるところでありますが、地質調査所の金原さん以下が表わされました「天然ガス」という本がある。この「天然ガス」という本を見ると、コールマインガスだけで推定埋蔵量が七千二百億立米と着いてある。これはさっき地質調査所長が言われたように、日本石炭埋蔵量というものを国家法律的に調べた結果、日本石炭埋蔵量というものは二百億トンという数字が出ておる。この石炭二百億トンに含まれておるところのいわゆる炭鉱ガスが大体一トンに対して平均三十六立米、そうすると七千二百億立米という推定埋蔵量考えられるということになる。炭鉱石炭と一緒に共存しておるいわゆるコールマインガスが七千二百億立米でありますから、今般にわたるところの炭層の天然ガスといったらば、一体これに何倍するか、何十倍するか想像がつかない。そうすると日本可燃性天然ガス全体としての埋蔵量というものは一体どのくらいになるか、地質調査所長はっきり御答弁を願いたい。
  17. 兼子勝

    兼子説明員 ただいまの御質問に対してお答え申します。  炭鉱のいわゆる炭田ガスにつきましては、石炭一トン採堀いたしますのに三十六立方メートルガスが出るという計算になっておりまして、従いまして実際は石炭一トンとるものよりも、その石炭が堆積しておりました地層からはもっとガスが出るはずであります、具体的に申し上げますと、常磐あたりもいわゆる石炭に随伴するガスと申しますよりも、ややむずかしくなりますが、石炭の推積した地層がガスの母層を打っておるというので、これ以上になるものと推定されるのであります。それからいま一ついわゆる石油と一緒に出るガス、それから石油を伴わないガス、水と一緒に出るガス、それから最近ここ一、二年のうちに発見されました構造性ガスといわれるもの、これが非常に大きゅうございまして、実は私自身がまだ推定がつかないというふうにお答え申し上げたいと思います。ただ非常に大きいことは事実であってどんどんふえていくというので、はっきりした埋蔵量はお答え申し上げられないと私は思っております、非常に大きいけれども、ここで数字をあげてやるということは非常にむずかしいと思っております。もう少し調査を要すると思います。
  18. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 石炭一トンに対して平均三十六立米コールマインガスが含まれておるということになると、石炭合理化対策といものもこの可燃性天然ガスを度外視してはないと思う。もしそれだけの三十六立米という生ガスを――メタンガスですから値段はどのくらいするかわかりませんけれども、生ガス立米十円と換算いたしますと、三十六立米は三百六十円であります。三百六十円というものは石炭の値段に比較いたしますと、これは相当なウエートを持って参ります。その他炭層以外に含まれているいわゆる炭田地帯に埋蔵されているところ天然ガス開発を行なって、これを有用に用いるということを度外視して、いわゆる石炭地帯の合理化というものはなかなか考えられないのではないか。そういうところに私は通産行政石炭対策に対する大きな欠陥があるんじゃないか、こう考えている。だからむしろこの炭田地帯における石炭埋蔵量に伴うところのいわゆる可燃性天然ガスというものの調査を徹底的にやって、そこからこの天然ガス石炭を併用する道を切り開いていく、そこに将来の石炭の利用価値を高める方法というものがあるんじゃないか、これは一つ通産大臣もよく御研究を願いたいと思うのであります。石炭二百億トンに埋蔵されておるところ可燃性天然ガスは七千二百億立米あるという。そうしますと、石油換算いたしまして、七億トン、石炭換算いたして十三億トンあるということになる。その他炭層にはどれだけの天然ガスが含まれておるかということは、これは調査をしておりませんからわからない。今地質調査所長の話を聞きますと、おそらく石炭そのものに含まれている。天然ガスよりも、炭田地帯にあるところ天然ガスの方が大きいだろうということになりますと、これは日本のごとき資源の欠之しております国にとりましては重大問題だ。これを今まで一つも手をかけてないというごとき間の抜けたことはないと思うのでありますが、これはまあ将来の問題として、一つよく御検討をお願いいたしたいと思うのであります。  それからもう一つお聞きしておきたいのは、四十五年には二十億立米まで天然ガスを持っていく。これは持っていけるでしょう、とにかくたくさん埋蔵量があるのですから。四千六百億立米だとかあるいは六千億立米だとか、それはたくさん埋蔵量があるのでありますから、金をかけて掘さくしていけば、何も昭和四十五年に二十億立米なんてけちくさい数字を出す必要はないと思う。五十億立米でも百億立米でも日本は使えることになるわけです。ところ昭和四十五年に二十億立米供給する、その二十億立米というものを毎年安定して供給するに、一体どのくらい金がかかるのですか、これは鉱山局長、どのくらいかかるのですか。
  19. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 先ほど申し上げましたように、二十億立米まで生産を上げる経費は千二百八十億円ということでございますけれども、そのピーク時でございます四十五年の二十億立米、これまでの累積の金額でございますのでその二十億立米の、生産維持だけの資金が幾らかはちょっと今はっきりしておりません。
  20. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私の質問はそういう質問じゃないのです。これは経済審議会からの答申は、四十五年までには百五十万キロリッターの国内石油、二十億立米天然ガス供給増産までに必要な金が千二百八十億円かかるというのですよ。それはそれでいいんだ。しかし私の今質問しているのは二十億立米という天然ガスを毎年安定して供給するという、その安定感を保つには、いわゆる探鉱費として一年間何ぼうかかるかということです。
  21. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 先ほど政務次官からお話し申し上げましたように、小委員会報告は一応の計数を計上したものでございまして、この実施につきましては、さらに細部についていろいろ計数的に検討しなければならない問題がございますので、数字は必ずしも、先生の今のお尋ねの点につきましては的確にお答えを申しかねますが、一応常識としては一立米二円程度探鉱費を必要とするものと考えております。
  22. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 そうすると、毎年二十億立米を安定した形において供給するということになれば、探鉱していかなければならない。一本の井戸を掘って、それが永久に寿命があるというものじゃない。やはりだんだんと減衰していく。だからそれを補充するために常に探鉱していかなければならない。それが鉱業界の通説として、大体一立米一円五十銭から二円です。そうすると二十億立米を常に供給するためには、それの探鉱費が三十億円から四十億円必要だというのですね。そこに天然ガスというものに対して国家の大きな施策がなければ、紙の上では、昭和四十五年に二十億立米を安定した形において供給して、総合エネルギー対策の一翼をになわせるんだと書いても、それに対する徹底した施策を行なわずして、どうして――一体地下から自然に天然ガスが出てくるのですかそういう点に対しては、昭和三十六年度は、通産省予算的に一つ努力をしていないと私は思うんだが、この点は一体通産大臣はどうお考えになっているか。
  23. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 天然ガス探鉱補助として、きわめて少ない経費で恥かしいのですが、二千七百万円程度ございますが、今言われたようなきわめて重要な資源として、今後この探鉱には相当の努力をする必要があると思いますので、十分努力をいたして参りたいと考えております。
  24. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私はこの「欧州視察報告」という、帝国石油株式会社社長岸本勘太郎先生の報告書を拝読したのでありますが、これによりますと、日本は地下に天然ガスを四千億立米も六千億立米も持っており、しかもその他炭田ガスをたくさん持っておりながら、いかに日本総合エネルギー対策に対する行政欠陥があるかということがよくわかるのでありますが、きょうせっかくここへ参考人としておいでを願っておるのでありますから、――これは膨大な紙数で、私一々これを覚えておりませんが、参考人としておいでを願いました関係上、欧州を視察されて、日本天然ガス対策というものがいかに劣弱なものであるかということを、はっきりここで速記録にとめておいていただきたいと思うのであります。どうか一つ、欧州の、視察された天然ガスの状況と日本の現状、及び日本は将来一体いかにあるべきかということを、簡単にお漏らしを願いたいと思います。
  25. 岸本勘太郎

    ○岸本参考人 先ほどから齋藤先生お話を承っておりまして、これほどよく天然ガスを御研究になっておる方が日本にあるか、知識の広大なことは私よりも上じゃないかと思いました。私の扱っておりますのは、炭田ガスは全然関係がありませんでして、水溶性のガスと構造性のガスというものを扱っておるのであります。日本天然ガス開発は非常に急速に進歩いたしまして、昭和三十年、一億五千万パー・イヤーぐらいであったものがいまでは七億立米以上になっております。五年間に約五倍の増産になっております。でありますから、相当な努力はいたしておるのでありますけれども、極言をいたしますれば、天然ガスというものが新しいものであって、これをよく御理解になる方が少ないせいだと思うのですが、日本では天然ガスの助成、探鉱及び開発に対する補助というものは、従来まではほとんど皆無だったと言ってよいと思っております。営利事業でありますから、やはりそろばんをとってやっていかなければならぬ。当たれば大きいのですけれども、当たるまでは相当金がかかるというような仕事であるものですから、特に新しい仕事であるというために政府の御援助というものがないというと、結局はこれは政府にお払い戻しすることになるのでありますけれども、仕事の進捗というものは非常におくれてくる。何とかして国家的に、公社的なものでもありまして、そうして天然ガスというものの開発をする、探鉱をするというような面にお助けが願えますれば、われわれといたしましては、今もおっしゃいますように、非常に大きな地下資源でありまして、おそらくは日本に残されておる唯一の重大なる地下資源ではないか、こう思っております。先生方のお力添えによりまして、天然ガスという問題を十分御理解の上、一つ全国的に探鉱する、あるいは探鉱する人間に大きな補助を与えて、それをやりっぱなしでなくてもけっこうなんでありますが、十分地下資源の活用ができるようにということをお願いしたいと思います。イタリアに参りましても、フランスに参りましても、パキスタンに参りましても、いずれの国でも天然ガスというものに目をつけまして、極力国が補助をしておる。でき上がったものは民間に渡してしまいますけれども、初め探鉱する、ある程度開発をするという段階は、国が主力をそそいでおるというのが実情でありますので、ぜひともこういう方向に御支援をお願いいたしたいと思います。
  26. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 日本の、特に水溶性ガスが皆無であると目せられる県は、この地質調査所の方々の御調査によりますと、ほとんど数県しかない。大体どの地帯に行ってもガスというものがある。特に最近は、関東地方は構造性ガスの大宝庫であるということがだんだんわかって参りまして、これに対しては大開発を行なわなければならないのだという説が、だんだん濃くなってきておるようであります。  そういうこさいな点に対しましての質問はなるべく避けて、本論に入りたいと思うのでありますが、大体今まで私が御質問申し上げましたことによりまして、日本天然ガスというものは膨大な埋蔵母がある。しかもこれを化学工業の原料に用いることによって、近代的な製品の原料として、海外市場にまで進出する可能性がある。いわゆる所得倍増計画の重大な原料としても、これは将来性を持つものであるというような観点から、先ほど御質問申し上げたのに対して、今後は大いに天然ガス開発をやる、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、一体今まで日本天然ガスというものは、なぜこういうようなうらぶれた姿になっておるかというと、この天然ガスに対するところの国策がないのです。天然ガスが出た場合に天然ガスを一体どうしたらいいかという政策もない。これを国家のために活用すべく作られた立法措置もない。ですから、どの現場を回ってみても、石油をどんどん掘っていくけれども、石油だけはくみ取って、そして石油とともに出てくる天然ガスは空中に散逸させておるというのが現状であります。ところが、私の聞いておるところによりますと、水溶性のガスでありますと、水一トンに対して大体天然ガスが一立方メートル含まれてくるわけです。ところ石油は違うのです。四百メートル底におきまして出てくるところ石油には、石油一トンに対して天然ガスが七立米含まれているわけです。だんだん地下に行って圧力が加わりますと、この石油に競合するところ天然ガスの量というものがふえてくる。今、国内の石油は高い高いといわれておる。だから貿易の自由化が行なわれるならば、日本国内石油というものはとても問題にならないと人は言うておるのですけれども、現場に行ってよくそれを見ていると、石油だけは取るけれども、天然ガスは逃がしておる。その天然ガスが一立米一体どのくらいするかといえば、大体なまガスで七円から十円しておる。ですから、それをこさいに統計的に調べてみると、どのくらいその天然ガスを利用することによって日本国内石油が値下がりしてもいいかということになりますと、一・四になる。今七千円しているところの国内の石油を一・四で割ると五千円になるわけでしょう。ですから、いわゆるバイプロに出てくるところ天然ガスを完全に活用いたしますと、四割は値引きできるというのが、国内石油に対するところの将来の価値づけの根底じゃないか、こう考えている。ところがこの天然ガスに対しては何らの措置を講じておらない。これは私は国家資源というものを空に散逸させる非常に劣悪な態勢だと考えております。ですからこういうことを一切ひっくるめて、今帝石の社長の言われるように、将来日本に残された唯一最大の地下資源ではないかと目せられる、しかも非常に近代的な力を持っているところ天然ガスを、今後通産行政の建前において開発していく上には、ぜひともまず第一にやらなければならぬことは、埋蔵量の基本調査をやらなければいかぬ。しかし埋蔵量の基本調査をやるには、いわゆる公的な機関をもってやらなければいかぬ。他人の所有の鉱業権をどんどん調べていくのでありますから、公的な立場に立ったところ調査を行なう機関の設立をしなければならない。結局は天然ガス埋蔵量基本調査を行なうに必要なるところの公的機関を設立する。そうしてこれに予算をつける。その公的機関が他人の鉱業権の設立されている個所に行って、どんどんボーリングないしは物理探鉱をやって、その地下に埋蔵されておる天然ガスの実態を把握する。このために必要な天然ガス開発臨時措置法あるいは天然ガス開発基本法でもよろしい、何でもいいが、そういう立法措置を必要とすると思うのでありますが、これに対して通産大臣はどうお考えになりますか。
  27. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 天然ガスの活用については、近年とみに活発化して参りまして、一般の経済人もこれに相当のウェートを置いて考えるようになったのでございますが、今日の日本の状況は、これをもっともっと重要視して開発に当たらなければならぬという御意見に対しては全く同感でございます。これを今後開発する手段、方法の問題でありますが、このままでは不十分であるということも御指摘の通りでございます。しからばどういう制度をもってこれに臨むかということにつきましては、よく考究をしてみたいと考えます。
  28. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 鉱山局長に伺いますが、新旧鉱山局長引き継ぎ事項の中に、天然ガス開発臨時措置法に関する件というのはなかったのですか。
  29. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 ございません。
  30. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 これは非常にけしからぬことで、私は、その法的措置がなければ、なかなか天然ガスというがごとき大きな資源開発というものはむずかしいというので、前々から天然ガス開発に関する立法措置を講ぜられたいということを鉱山局に要求して、やりましょうということになった。前鉱山局長はそれを忘れたのじゃないですか。
  31. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 特に法律制定の問題といたしましては、私は引き継ぎを受けておりませんけれども、開発の重要性につきましては十分の引き継ぎを受けておる次第でございます。ただいま齋藤先生から、現状では不十分ではないか、法律制定の必要があるのではないかということの具体的な理由につきましてお話がありましたが、私まだ詳細に存じませんけれども、先生のただいまの御質問の中で、公約機関を設けてボーリングをやる必要があるのではないか、あるいは他人が持っておる鉱業権についても、そこでどんどん試掘をさせる必要があるのではないかという点がございましたので、おそらくそういう点からそういう法律を作る必要があるという御意見ではないかと思います。これは私の感じだけを申し上げましてはなはだ恐縮でございますが、一応地質調査所に、今後さらに予算を充実させることによって、探鉱、いわゆる埋蔵調査で、はっきりした正確な埋蔵量をつかむということが筋ではないかという感じがいたします。  それから他人の鉱業権についてどんどん試掘させる必要があるのではないかという点につきましては、これは現在鉱業法全般の問題の一環として検討されておりまして、現在御承知のように鉱業法におきましては、鉱業権が設定されましてからたしか六カ月だったと思いますが、六カ月以内に着手することを義務づけておるわけでございますが、これは非常に実情に合わない点もございまして、鉱山会社は埋蔵量を掘っていくわけですから、常に将来のことを考えてある程度の予備鉱区を持つ必要があるわけでありますが、予備鉱区は現在の鉱業法の規定では全然否定されておるわけでございます。そういうこともございまして、目下審議会の方でいろいろ御審議になっておりますが、一応鉱業の着手義務はやめて、休眠鉱区の実態を認めますと同時に、必要がある場合にはこれの鉱区を調整する、つまり鉱業権を譲渡するとか、あるいは強制的に租鉱権を設定させるという道を講ずるのがいいのではないかというような審議経過になっておりますので、従って鉱業法全般の改正問題とからみ合わせて、ただいま先生の御意見等は十分考慮していきたいというふうに考えております。
  32. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私の申し上げるのは、核原料物質の探鉱に関するところ法律がある。これはウラン鉱を必要に応じて探鉱する、原子燃料公社が他人の鉱業権、いわゆる試掘権を探鉱したいとするときに、鉱業権者はゆえなくしてこれを拒否することができない。そのかわりこっちからは鉱業権者と土地の所有者の承諾を得て、そして損害はこっちで補償する。だから思う存分にウラン鉱を調査することができる立法処置ができておるのです。そういうふうにしないと天然ガスもできないじゃないかということです。試掘権を持っておる者が、これはおれの鉱区だから調査はお断わりだというと、今は手がつかぬのです。そこにボーリングをして埋蔵量の確認をしたいと思っても、立法処置がなければできない。ゆえなくして公的機関に対してはこれを拒否することができない。埋蔵量がそこに確認された場合、試掘権者にこれを掘れといっても、おれはいやだといえば今の鉱業権では掘れないのです。だからその天然ガスを燃料としてそこに工場を建設したいと思う者が、おれは必要だから掘るという場合に、公的機関が仲に入って天然ガスを掘らせて、出てきた天然ガスに対しては一立米何ぼといって鉱業権者に金をやればいいというように、意欲的に天然ガス開発をやるような立法処置を講じなければならないのではないか、こう思っておるのでありますから、その点も一つこういう事態に直面した重大な職責を帯びておる鉱山局長として、慎重かつ断行という建前でスピーディにやっていただきたい、こう思うのであります。  それからもう一つお伺いをいたしておきたいのは、今度は国内石油資源に関するところ石油資源開発会社の問題でありますが、これは大臣にちょっと念のためにお伺いをいたしておきたいのでありますけれども、昨年の十二月二十一日、社会党の田中委員からも、石油資源開発株式会社のあり方について御質問がございました。私もそのときには関連質問をさせていただいておりますし、さらに政府当局からは、議を練って一日間猶予期間を置いて、翌日委員会において御答弁を願った、石油資源開発会社の今後のあり方についての御答弁が、十二月の二十二日の速記録に載っておるのであります。ですから、重複を避けて私は核心だけを御質問申し上げておきたいと思うのでありますが、元来石油資源開発会社というものは、ここで申すまでもなく、日本の地下に実在するところ石油国家の力によって探鉱したいという意欲に燃えて、石油資源開発株式会社という形でもって、第一次五カ年計画を立てて出発いたしたのであります。三十五年度で終わるんだが、通産大臣及び鉱山局長の立場からごらんになって、この石油資源開発株式会社というものは、設立の趣旨にのっとって成功したか、失敗に終わったか、どっちとお考えになるか、これを一つお伺いしたい。
  33. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 おおむね成功しておる、こう考えております。
  34. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 おおむねではなく、大成功したと考えておらなければならないのではないかと思います。と申しますのは、海底油田の掘さくに成功したということは、私は昭和三十五年度におけるところの十大ニュースの一つじゃないかと思うのです。一体日本海底油田に成功したということは、沖合二千メートルまでいわゆる大陸だなの資源というものが拡張されたということなんです。しかも今まで考えてもみなかったような海底から、大きな油と大きな天然ガスが出てきたという実態は、これを成功と言わずして何が一体成功か。おおむねという言葉は速記録から私はとっていただきたいと思う。  それともう一つ、私は内陸的に一番成功したと考えておりますことは、新潟県の見付において、凝灰岩質から大きな天然ガス及び石油を発見したということであります。一体日本の地質学者は、ここに兼子所長もおりますけれども、石油というものは、新しい第三紀層を主として、ブラックシェルの中に五メートル、十メートルとはさまれておるところの凝灰岩質から油が出るという観念でもって掘っておった。だからその第三紀層の下にあるところのグリーン・タフにボーリングの深度が伸びると、もうここでおしまいだといってやめたものです。ところが絶対に出ないであろうと考えられておってグリーン・タフにそのボーリングを突っ込んでいったところが、いまだかつて見ざるところの大きな構造によって天然ガス及び石油が出たというのが、あの新潟の見付であります。だから、あの天然ガスに火がついたときに、日本の技術では消せなかった。わざわざアメリカから飛行機でもって技師を呼んできて、大騒ぎしてあの天然ガスを消したのです。グリーン・タフというものから天然ガス石油も出ないものだと思っておったところが、パカッと出たでしょう。出たら、グリー・タフというものがある日本の一帯というものは、一体どこです。北海道から青森から秋田から岩手から、ずっとかけてグリーン・タフがあるでしょう。しかも今までの千三百や千四百の深度ではこの実態を見きわめることができない。世界は今どこまで掘っておるかというと、大体四千五百メートル、五千メートルまで掘っておる。四千五百メートル、五千メートルまで試錐をやってあるから、大きな石油天然ガスを見つけている。日本はどこまで掘っておるか。千五百が限度でしょう。たまには三千ぐらいまで掘るけれども、金が続かないからやめてしまう。そういうような大きな油田を発見しておるのです。石油資源開発会社というものが、国内油田開発というものに対しまして私は大成功したのだと思っておるのです。  そこで大蔵省に今度年度予算を要求して、国家の出資十一億円を要求したのに対して、大蔵省はいかなる査定をしたかゼロに査定した。お前のペースでやれ。株式会社だから、石油が出てきたんだから、もうかるのだから、お前の利益の中でもって探鉱してやれ。それならば、石油資源開発会社というものは解体して帝石に返した方がいい。そんなつもりで、石油資源開発会社というものを作ったのじゃない。名前は株式会社でありますけれども、これは国家の力でもって日本資源探鉱していくというところ石油資源開発会社の生命というものがある。それをはき違えて、石油が出てきたからお前もうかるだろうから、お前は勝手にもうかる範囲内においてやれというなら、何も石油資源開発会社なんか作る必要はない。帝石に返したらいい。鉱区も帝石からきたのであるし、人間も帝石から来たのであるから、うやうやしくお返しした方がいい。その方が手っ取り早い。私はそういうことで、石油資源開発会社を作った公的、国家的意思というものは達成されないと思う。これだけの大成功を前提としておるのでありますから、もう株式会社というけちな考え方はやめて、これを公的な機関に改めて、国家がさらに大々的な金を出して、日本全国の石油及び天然ガスの実在を調査するのが、私は今後にあるべきところの姿ではないかと思うが、これに対してその道のエキスパートであるところ通産大臣はいかにお考えになるか、はっきり御答弁をお伺いしたい。
  35. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 海底油田及び見付の油田の発見は、これは確かに大成功だと思います。さて今後日本の埋蔵資源を徹底的に調査するために機構を改革して、そして再出発したらどうかという御意見でございますが、この問題については大体国家の方向がよくわかり、また賛成したいような気もいたしますが、これを具体的に今ここではっきりと、どういう機構でどういう手順でやるというようなことにつきましてはもう少し、この問題は重大な問題でありますから、大いに研究してみたいと思います。
  36. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 岡田参考人答弁をしていただきますのにあわせて、わきょう私の方の新聞を見ましたところが、石油資源開発会社は事業費総額が五十八億円、この内訳も一つ
  37. 岡田秀男

    岡田参考人 私の仕事をさせていただいております石油資源開発株式会社を形を変えまして、探鉱専門の組織に改組したらどうかということにつきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたが、私どもは通産省の驥尾に付して今後も御期待に沿うように努力させていただくという以上のことは、ちょっと申しかねると思うのであります。  来年度の当社の事業規模は、大体目下会社の内部で検討中でございまして、近く通産省の方へ認可申請をいたす段階になっております。まだ確定的なことを申し上げる段階にきておりませんのでございますが、大体会社内部で今まとめかけております段階ということを前提といたしましてお話をさせていただきますならば、来年度の新しい資源を探します探鉱部門の資金といたしましては二十億ないし二十一億くらいの資金量を考え、すでに発見いたしておりますところの油田なり、その油田を開発するという方面には約三十四、五億くらいの金を充ててやりたいと考えておるのでございますが、探鉱費といたしましては大体二十一億くらいでございます。それから開発といたしましては約三十荒、六億の開発資金を予定いたしておるわけでありまして、合計いたしまして先ほど御指摘がございましたように四十七、八億くらいの資金量になる予定で、目下計数の整理をいたしておる段階でございます。
  38. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま齋藤先生からお話がありました石油資源開発株式会社につきましては、全然大蔵省がめんどうを見ていないというお話がございましたが、本年度の予算におきましては、財政投融資で四億円、それから政府保証という格好で五億というようなことでめんどうを見るということに相なっております。   〔委員長退席、中村(幸)委員長代   理着席〕  昨年石油資源に対する出資は、たしか十九億だったと思いますが、それに比べて非常に少ないじゃないかという御指摘があるかもしれませんが、実は先ほどもいろいろ御議論がありましたように、石油資源開発部門が相当成功いたしまして、申川、見附、その他各方面において非常に成功したということでかなり探鉱部門で金が要るだろう、その余裕金がかなり出ますものですから、その金を充てまして、今お話がありましたように、二十一、二億前後の探鉱事業費ということに相なっております。
  39. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 僕が大蔵省が石油資源開発会社を全然めんどうをみない、こう言ったのは、政府出資の第一次査定がゼロだったということなのです。それからわれわれが一生懸命になって、そんなばかなことはないといって、復活要求をして、それでようやくしぶしぶ四億出した。そういうことを言っておるのです。完全に石油資源開発会社設立の認識が違うのです。だから、石油資源開発会社設立当時の速記録をずっと読み返してみると、どういう意図でもってこの国会石油資源開発会社を作ったかということがよくわかる。だから、もうかればもうかるほどそれも探鉱費に入れるし、それから国家の金も、今度はいよいよ石油というものが見つかってきたのだから、去年は十九億見ておったが、ことしは三十億入れてやろう、そうして広範囲にわたって石油探鉱をやろうということでなければ、石油は全国的に見つからないわけでしょう。ドイツの探鉱方法を僕は見てきたのだけれども、ドイツの探鉱方法は二千メートルなら二千メートルの電気探鉱、地震探鉱をやって、有望地帯というところはどんどん全国的にやる。全国的にだあっと探鉱をやって、それを綿密に計算しておいて、十カ年開発計画を立ててやるから、十カ年間に一千万トンという石油が、もう七百万トンにきておるでしょう。これをやろうとして計画したのが日本石油資源開発全社です。岡田専務は通産省の驥尾に付して――冗談じゃない。通産省の驥尾に付してじゃない。国家がいかなる意思をもって石油資源開発会社を作ったかという、その立法の精神に従ってという参考人としての意見陳述をやらなければ価値がないじゃないか。通産省の驥尾に付して――通産省がよたよたなんだから、よたよたに追随していったら、よたよたになってしまうことはきまりきったことじゃないか。大蔵省はいかにも四億出してやった、五億国家の債務保証をしてやる。そんなことはあなた方はしぶしぶ出したのだろう。喜んで出したのではない。これは第一次査定からわれわれは叩頭百ぺんして残念だけれども、金を出してもらわなければ日本石油資源の状態というものがわからないからということで、叩頭百ぺんして――政府出資四億、わずかですよ。私なんか商工部会で十四億要求したのだけれども、四億に削られた。私は何も石油資源開発会社に政府出資をたくさん出してもらって、そのリベートをもらおうなんて考えておるのではない。そんなけちくさい考え方でそんなこと言っておるのではないが、一体日本は外国貿易自由化に踏み切って、そうして石油は四十五年には、さっきも言ったように、九千万キロリットルに及ぶところの輸入をしなければならぬ。これに対処して国内油田のあり方はどうあるべきかということのために、国家の立場からこの調査をしなければならない。しかもさっきお話を申し上げた通り日本国内石油は商い、高いと言われながら、天然ガスというものはそろばんに入れてない。天然ガスを完全に利用するならば、日本石油は外国の石油よりも高くないのです。一・四倍に加算できる。そういう点から言って、国会において石油資源開発会社というものを作ったその精神で五年間捜査して大陸だなを発見し、それから新しい深い層におけるところの含油層を発見した。日本石油というものはわずかに七百万キロリットルしか埋蔵量がないと言われているけれども、今三千メートル、四千メートルの凝灰岩質を掘ることによって、将来世界一の石油国とならんということはだれも否定できなくなってきた。そういうような目的に対して十四億くらいの政府出資を要求したのに、なぜ大蔵省は第一次査定をゼロにするのです。どういう考え方をもってあれをゼロにしたのです。もう一ぺんはっきり伺いたい。
  40. 田代一正

    ○田代説明員 これは先生に申し上げるのではないのですが、予算と申しますのは結果で見ていただかぬと、途中のことで議論されますといろいろ問題があると思いますので、国会に提案いたしました予算の姿で御判断願いたいと思います。これが大蔵省の考え方でございます。
  41. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 結果論としては、いわゆる国会の意思が入ったからそういう結果になったので、あのまま駄っておればゼロになることは当然予想される結果なんです。私はそういうことを言っておるのではない。もう少し大蔵省は――あなた方は第一次の予算査定をするのでしょう。第一次の予算査定を大蔵大臣がやるわけではない。あなた方の観念が間違っていると、残念ながら今国家予算が右左されるという状態なんです。これは残念なんだよ。残念だけれども、国家組織がそうなっているから仕方がない。メイファーズなんだよ。だからそういうところは一ぺん注意してもらいたいんだ。だてや酔狂で、ここで質問しているのじゃないのです。われわれも国家の将来というものを考えて、この地下に埋蔵されている天然ガスを大開発をすれば、イタリアはおろかフランス、ドイツ、そういうものに匹敵するだけの総合エネルギーとしての力が持てる。化学工業原料もつかめるのみならず、国内油田というもののさらに大きな将来性がここに出てきたのだから、これに対してもっと積極的な国家施策をしてもらいたいから、一生懸命になってここでもって質問しておるのですよ。ですからこういう点は一つ大蔵省においても十分にお考えを願って、はたしてその天然ガスというものは世界的どういう地位を占めているか。日本は地質的に見てどれどけの面積に水溶性ガスというものがあるか、炭鉱ガスがあるか、あるいは油性ガスがあるか。一切の可燃性天然ガスとうい大眼目をひっさげて、もう一ぺん国内の事情を再検討してごらんなさい。いや、これはとんでもない失敗をした、もっと金をつけてやればよかった、という結論に達する。それは当然だと私は思うのであります。でありますから、どうか通産省におかれましても、それから大蔵省におかれましても、現実に今われわれの眼前に現われて参りました日本の一切の可燃性天然ガス及び国内石油というものに対して、もう一度御検討を賜わって、将来の所得倍増計画の一環として万違算なきを期していただきたいと思のであります。  特に最後に通産大臣にお願いをしておきたいことは、この前通産大臣の代理として政務次官から御答弁を願いました将来の石油資源開発株式会社のあり方につきましては、今時間がございませんから御質問申し上げませんが、はなはだ微温的だ。そうでなくもっとはっきりとした第二次五カ年計画を立てて遂行するには、こういうふうにしてやるという作業をこれから一つお始めになって、昭和三十五年度で第一次五カ年計画は終わるのでありますから、日本の地下資源というものに対して、将来石油という立場から、もう一段と積極的な施策の行なわれるような体制を確立していただきたい、さようにお願いいたします。  大へん時間を長くやりましたが、これをもって質問を終わります。
  42. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 伊藤卯四郎君。
  43. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 今まで齋藤君が質問されておりましたことに関連をして一点だけちょっと御質問しておきたいと思います。  それは冒頭に齋藤委員から、池田内閣所得倍増計画を成功さすために、日本の産業経済を増強さすために、国内石油天然ガス等を開発せなければならぬ、そのために政府は十カ年計画で一千三百億円を必要としておる、年間に百三十億円を要すると言っておるということについて質問をした。これに対して政府委員政府次官も、これをもっともであると認めておられる。そうしてさらに通産省、大蔵省、これらに予算折衝することについてまことに問題にならなかったという点に対して深く遺憾の意を表しておられたようです。ついては、この十カ年千三百億円、年間百三十億円という石油天然ガス開発のために必要とするこの資金は、政府資金をお出しになるのかどうか。この点を一つ通産大臣から伺っておきたいと思います。
  44. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 一応この程度開発資金を要するだろうという、いわば見当をつけておるのございまして、これを今度年々どういう資金でまかなうかということにつきましては、年次計画でいくのでございますが、ただいまのところはこの点ははっきりきめておりません。
  45. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 一応所得倍増計画の重要な裏づけとして、これはあげられておることだと思うのですが、それについて、石油天然ガス開発に十年間一千三百億円要るというこの膨大なものを、しかも所得倍増計画は三十六年度から始まっておることを政府は明らかにしておる。しかるに今大臣答弁を聞くと、まだこれは検討中だと言われるが、そうすると所得倍増計画というものも検討中ですか。この点を明らかにしてもらわなければならぬ。しかもさらに、さっき齋藤君からも質問しておりました石油天然ガスの国内資源開発は、昨年度より国家資金は三分の一くらいになっておるのじゃないですか。しかも大蔵省はそれですら出したがらなくて、おそらく今年一ぱいだというようなことを言って出しておるようであります。そうするとすでにこの五カ年計画というものは、大蔵省はこれをストップさせようとしておる。そういう行き詰まった状態になっておるところに、この膨大な、年間百三十億という必要資金を出しておられるで、これらの点を一体どういうようにさばこうとしておられるのか、検討中と言われることになるならば、これははたしてやれるのか。これはやり得ないということになってくると、所得倍増計画というものも従っていいかげんなものだとういことになってしまうが、この点もう少しはっきりして下さい。そうでないと今後の通産行政に対するわれわれの審議の上にも重大な関係がありますから、この点をもっと明確に、大臣として責任のある点を一つ明らかにしてもらいたい。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 数字の点につきましては局長からお答えいたします。
  47. 伊藤繁樹

    伊藤政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、所得倍増計画なりその一環でございます燃料小委員会報告は、いわば目標数字を並べたような格好でございまして、これをどう実現していくかということは今後の問題でございます。従いまして、年次別にどの程度の所要資金であるかということはまだはっきりきまっておりません。ただ私どもの考え方といたしましては、この千三百億の中でできるだけ開銀資金なり、北海道東北開発金融公庫の資金なり、あるいは必要によりましては政府資金を使ってこの目標を達成していきたい、そういうふうに考えておる現状でございます。
  48. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 私が今伺っている問題は、政府委員答弁すべき内容のものじゃないはずです。しかも池田内閣所得倍増に伴う産業経済計画の基本的な問題であると思う。それを大臣がお答弁されないで政府委員答弁さすということは、大臣としてこれははなはだ責任のがれじゃないか、こう思う。そこで、三十六年度から出発しておる所得倍増計画を、しかも産業経済の基礎をなすところ石油天然ガス国内開発、これをいまだ検討中と言われるということは、一体所得倍増計画をいつから具体的に組み立てて進行されるのですか、この点もあわせて明らかにしてもらわなければならぬ。そうすると、一体そういう資金をあげられた以上は、石油天然ガス開発の五カ年計画をさらに第二次、第三次といってやろうとされるのかどうか。それから従来の石油資源開発のあの半官半民的なものを、さらに公的なものにしてやろうとされるのかどうか。おそらく資金をあげられる以上は、私はそういう構想もあってのことだろうと思う。構想も何もなくて必要資金をあげられるということは、これは不見識きわまる。だから構想があるはずです。その構想を明らかにして下さい。構想があるなら、いつからこれに着手して、いつからこれを具体化するというおよその計画がなければならぬはずです。これを大臣が明らかにされないということになってくれば、私は池田内閣所得倍増論とか産業経済計画というものは、全く空想的なものだと論ぜざるを得ないから、そのつもりで明らかにして下さい。
  49. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 所得倍増計画は申し上げるまでもなく、三十六年度からスタートして昭和四十五年に十年目を迎える、こういうことでございます。それでさしあたりの現実の問題といたしまして、エネルギー問題はわれわれが当面する重大問題であります。従って、電力の建設あるいは国内外の石油あるいは天然ガス石炭、そういったような問題を総合的に研究いたしまして、現実に把握できる部門から、この計画は具体的に着手しておる次第でございますが、先ほどからたびたび指摘がありましたように、天然ガスに対しての態勢がまだかたまっておらない。われわれとしても大いに反省する必要のあるところでございますが、民間においてもそういう態勢がまだかたまっておらない。だんだん天然ガスの重大性というものを認識して、現にこれを活用しておるところもございますけれども、これは一般化しておらない。そういう点でこれだけがどうも出おくれておるということはこれは認めざるを得ません。従って、小委員会の十カ年間で千三百億、この目標を掲げられたのでございますが、各方面のエキスパートが寄り集まって十分に研究の結果かような結論が出たわけでございますから、われわれはこれを尊重して、今後あるいはこの資金を民間資金にどの部分ゆだねるか、あるいはまた政府資金としてどれくらいのことをしなければならぬか、そしてまたどういう機関で、どういう順序でやるかというようなことにつきましても、まことにおくればせでございますけれども、これを立てて、そして他のエネルギーの部門と同じようにだんだん頭をそろえて開発が進捗しますように努める覚悟でございます。
  50. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 いま一点だけ。天然ガスについて、まだかたまっておらぬということを大臣は言われるが、先ほど岸本参考人からもお話がありましたが、近年に至って天然ガスが五倍にふえてきておる。その五倍というのは石油開発会社五カ年計画を作って、この五カ年間に五倍にふえてきておる。しかもさらにこの天然ガスを原料とするところガス化学工業というのは非常に膨大に発展をしておることを御存じでしょう。さらにまた天然ガスを東京都民に使わすということについて、その計画の進行しておることを御存じでしょう。そうするとかたまっておらぬどころじゃなくて、その需要度がいかに拡大されておるかということは事実上明らかになっておる。もうすでに工業化しておる。だからかたまっておらないということはどういうことを言われるのか、私にはその意味がわからぬのである。私は今ここで理屈詰めで大臣をとっちめてしまおうというのではないが、かたまっておらぬどころじゃなくて、いかにこの需要度が拡大しておるかということは、ひっぱりだこといっていいのですよ。こういう状態になっておる。従って年間百三十億円という膨大な資金を使われるのなら、当然その具体的な計画を立てておるものと私は信じておる。従ってこの会期中でよろしゅうございますから、千三百億を、あるいは年々百三十億をどのように使ってどうしてやろうかという構想を、一つわれわれにお示し願うことを私は要請しておいて、きょうはちょっとおあずけにしておきます。      ――――◇―――――
  51. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。
  52. 松井誠

    松井(誠)委員 私は競輪の行政につきまして、主として重工業局長にお尋ねをいたしたいと思います。  私のお尋ねいたしますことは一見ささいな問題であるようでございますけれども、その中にいろいろな問題を含んでおりまして、少なくとも政治の姿勢を正すという意味で、とうてい黙過できない問題を含んでおります。そこで非常に貴重な時間をさいていだだきましたが、与えられた時間が非常に短うございますので、問題を端的にお尋ねいたしますから、お答えの方もそのような御配慮で、一つお願いをいたしたいと思います。  問題は新潟県にある弥彦村という村に、昨年の暮れに競輪の開催の限度外の申請といいますか、そういうものが通産省から許可になったという問題に端を発しておる問題でございます。御承知のように新潟県は昨年の三月に党派をこえた議員の提案で県営の競輪を廃止いたしました。そして県が従来やっておりました年三回の回数が余ったということをめぐりまして、そのあと新潟県の各町村で限度外の申請あるいは新規の申請という動きが非常に盛んになって参りました。しかし県や県の議会は、今新潟県は地財法の適用を受けた再建団体でありますけれども、競輪が持っておる社会的な害悪というものを痛感をいたしまして、廃止に踏み切った、そういう経過もありますので、そのような限度外あるいは新規の申請については許可をしないでもらいたいということを、通産省並びに自治省に再三申し入れをいたしておったわけなんです。ところが昨年の暮れに、県が知らない間に弥彦村に対して限度外の開催の許可といいますか、承認といいますか、そういうものが与えられたということが最近わかりまして、地元では現在非常に大きな問題になっております。そのことをお尋ねいたしたいのであります。  そこでまず私がお尋ねいたしますのは、その弥彦村の申請から許可と申しますか、に至るまでの簡単な経緯、特に地元の県あるいは自治省などの意見を、どういう経過で、どういう内容をお聞きになったかということに重点を置いて、まずその経過を御説明願いたい。
  53. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 昨年の六月の二十日付をもちまして、弥彦村の小林村長から、上水道事業並びに消防機械化を実施いたしますために、不足財源として四百八十六万円ございまして、この一助として、弥彦の競輪場の使用希望者がありませんので、限度外申請を一回認めてもらえるように、東京通産局を経由して申請があったわけであります。これに対しまして東京通産局ではさっそく新潟県の総務部長に意見を徴しまして、その結果、弥彦村が赤字財政で、この赤字を補てんするためには競輪収入が唯一のものである、それから弥彦村は市町村民税の所得割の税率の引き上げも行なっておる現状でありますので、限度外申請の事情は了解されるが、本県としては競輪廃止の経緯もありますので念のために申し添える、こういう旨の意見の提出があったわけであります。これに伴いまして、本省といたしましても自治省に意見を徴したのであります。自治省の意見も県の意見とほぼ同様でありまして、弥彦村が赤字団体であり、財政規模に対する競輪の収益の比率が非常に高い、今後とも競輪収益に対する依存度を逐次軽減して参りたいとは考えるけれども、現在はこの赤字が続いておって、特に三十四年度につきましては三百六十万円の赤字になっておるという実情の説明と同時に、なお書きで、新潟県議会においても限度外開催に反対の意向があることを参考までに申し添えるという回答がございました。大体これに基づきまして私の方は限度外の許可をしたわけでありますが、従来のいきさつはそういうことであります。
  54. 松井誠

    松井(誠)委員 そういたしますと県はその限度外の開催の申請について賛成の態度であったということになりますか、反対の態度であったということになりますか。
  55. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 非常にデリケートな回答の文句でありまして、弥彦村が赤字財政であって、非常に当弥彦村の苦しい状況は、よくわかるというのですが、それを認めて、ただ県議会が反対の意向であるということを念のために申し添えるという非常にデリケートな回答を寄せられているわけであります。だから県議会は反対の意向であるということは承知しておったわけであります。
  56. 松井誠

    松井(誠)委員 私の承知しておるところでは、表現こそは消極的ではありますけれども、議会は反対だという、それをただ念のために申し添えるということでなくて、県もこれ以上競輪の開催を増助することは、開催者のいかんを問わず否定的な態度をとらざるを得ないことを申し添えますということを、はっきり意思表示をしておったと思いますけれども、その点重ねてお尋ねをいたします。
  57. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 文章の趣旨は、松井先生のただいまお話がありましたような書類をいただいております。
  58. 松井誠

    松井(誠)委員 そうすれば、当然これは単に議会が反対というだけではなくて、県も否定的な態度をとるんだということがおわかりになっておったと思うのです。  それからなおその前後に、県の議会の方から、先ほど申し上げましたように、県が全国にさきがけて競輪廃止を決議したという経過もありまして、県の議会からも、再三再四自治省並びに通産省にそういう申入書が行っておったわけなんです。しかるに昨年の暮れにそのような許可をされたということになりますと、一体この許可をする過程における自治省なりあるいは県なりの意向の比重というものは、どういうようにお考えになっておるのでございましょうか。御承知のように、競輪を開催する市町村を指定するのは自治省であります。あるいはいろいろな書類というものは、県知事を通して通産省に参るということになっている。これは何も形式的なトンネルということではなくて、その中で自治省なりあるいは県知事なりの意見というものを聴取して、それを許可をする上に参考にするという、そういう比重を当然持っておると思うのですけれども、その点、どういうようにお考えになっておりますか。
  59. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在の自転車競技法の建前から参りますと、都道府県及び指定されました市町村は、競輪施行については同等の権利を持っていると、私のところでは考えているわけであります。それでこの限度外申請の場合には、財政上の理由だとかいう特別な場合に許可をするわけでありまして、県について、あるいは自治省について意見を求めますのは、財政上その施行団体が赤字財政で困っているのかどうかといったようなことを聞くのでありまして、これは、われわれの方は、自治省及び府県、市町村の意見というものは参考意見というふうに考えております。
  60. 松井誠

    松井(誠)委員 そうしますと、許可をする基準といたしましては、その自治団体の財政上必要であるかどうかという点について参考までに意見を聞くのだということでごさいますね。――そうしますと、かりに赤字であっても、しかしその赤字を競輪による収入によって補うことは不適当なんだという意向を自治省なりあるいは県なりが持っておりましても、つまり地方財政の面においてそのような考え方を自治省なり県が持っておりましても、そういうことは考慮するに値しないというようにお考えになります。
  61. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 競輪を実施するかどうかということは、その施行に当たります自治体の首長が諸般の情勢を判断した上で決定すべきものだと私の方では考えているわけであります。それで先ほど申しました県の意見書も非常に表現がデリケートでありまして、否定的な態度をとらざるを得ないことを申し添えますというような文章でありまして、これを全然無視するというわけではないが、先ほども申しましたように一応参考意見というふうにわれわれの方は考えているわけであります。
  62. 松井誠

    松井(誠)委員 その県の消極的な表現というものが実は問題になりまして、その後これはもうおそらくお手元にあると思いますけれども、昨年の十月にはあらためて県の方からこれは別の申請に対する意見書でございますけれども、そのときには表現が変わりまして、県としてもせっかく競輪廃止に踏み切った経緯にかんがみ、これ以上競輪の回数を増加することは開催者のいかんを問わず反対であることを申し添えますというように表現が変わって参っております。このことも通産省ではおわかりであったと思うわけです。それにもかかわらず、このような自治体の意向を無視いたしまして許可をするということには、それだけの積極的な理由がなければならないと思います。そこでこのような地元の反対意見にもかかわらず許可をしなければならなかったという、何か積極的な理由があるならばお教えをいただきたいと思いますか。
  63. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 先ほども答弁いたしましたように競輪の何といいますか施行にあたりましては、府県も市町村も同列の権限がある、こういうふうに法律上の建前もなっておるわけでありまして、これを実施するかどうかということは、主たるところはあくまでも自治体の首長である町村長が決定すべきものだと、こういうふうに考えておるわけであります。現にたとえば大阪府は競輪を廃止いたしておりますが、大阪市は実施いたしております。京都の場合は京都市はやめておりますが、京都府は競輪を実施いたしております。兵庫県につきましても、県は廃止を決定しておりますが、明石市、その他の市はやっておるわけであります。それでそれぞれの施行者は同じような権利関係に立つわけでありまして、その首長がどうしても権限に基づいてやりたいというのをあえて私の方は否定するつもりはないわけであります。それで弥彦村につきましては一回の許可を与えますときに、関係方面と十分連絡の上円滑に話し合いがついた場合に実施していただくように、再三申し入れをいたしておるわけであります。現在話がついたということで県を経由して東京通産局の方に、開催の届け出が出ておりますので、その後児も開催をお認めになったものだと私の力は考えておったわけであります。
  64. 松井誠

    松井(誠)委員 今のはちょっと重要な問題だと思うんですけれども、実は二十五日の朝日新聞の地方版にも同じような趣旨のことが出ておるわけです。県内でめんどうを起こさないよう注意してほしいと申し送った、つまりそのような条件といいますか、希望といいますか、そういうものをつけて許可をしたということには間違いはないのですか。
  65. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 県の中にある市町村でありますので、関係方面、結局施行者が一つの競輪場を使うのに、弥彦村も使えば、県も使い、そのほかのところも使っておりますので、施行者同士の間で話がつくということが条件であります。こういった非常にデリケートな答申もありますので、関係方面と十分連絡をとって意見の調整のできたところで、実施をしてもらいたいということを再三申し入れをしたわけです。
  66. 松井誠

    松井(誠)委員 ところが県では、もう新聞でもしょっちゅう談話は出ておりますけれども、副知事は非常に青天へきれきだ、そしてこのようなやり方はふんまんやる方ない、そういう言葉を使っておるわけです。あるいは県議会も最近この事情がわかりまして、今非常に問題になっておる。そういたしますと、許可をしたときは、あるいはそういう条件なり希望なりでやられたかもしれませんけれども、その条件が満たされないということになるわけでございますけれども、そういうように考えてよろしゅうございますか。
  67. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 私の方が今も申しましたように関係方面と十分協調した上でということを申しましたのは、われわれの方の意見といいますか、やはり決定をすること自体は自治体の首長が決定されるのでありまして、そのための参考意見として、不必要なトラブルを起こさないようにということを繰り返し申し入れたわけであります。
  68. 松井誠

    松井(誠)委員 一体通産省は許可をするときに申請があれば、必ず許可しなければならないというものではなくて、自由裁量の範囲が非常に広いのだと思う。そこでどういうときには許可をし、どういうときには許可をしないかというときに、そういう自由裁量の基準というものはどういうところに置かれているのか、それを基本的にお尋ねしたい。
  69. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 御承知のように自転車競技法には、一つの競輪場で年に何回開催することができる、月に何回ということがきまっておるわけでありまして、一つの競輪場では年十二回が限度になっておるわけでありまして、この限度以内におきまして競輪場を施行者が使用する場合には、財政上の理由が主たる要件になっておりまして、借用希望者がないときと、それから通産省の省令で指示しております限度回数を越えていないということの場合に、ただいま申しましたように財政上の見地から赤字を補てんするためにやむを得ないと認めた場合には許可することになっております。
  70. 松井誠

    松井(誠)委員 何か一競輪場当たり年十二回という回数がある。そのうち三回あけてある。そのうち一回はよそへ行きましたけれども、二回あいている。その二回というのは申請があればやればいいのだという、そういう非常に機械的な事務的な考え方で、この競輪行政はやっていいのだろうかどうだろうかということも、私は根本的に疑問に思う。御承知のように競輪というものは、社会的に非常にいろいろな問題が起きている。そうして昨年でございましたか公営競技調査会というものができまして、その結論を待って根本的な検討をしようという、そういう段階にあるわけでございます。そういたしますと、そのような現在の特殊な状況、あるいは競輪というものの持っておる、そういう本来のいろいろな問題、そういうものを考えるときに、十二回のうちの回数があいたからやればいいのだという、そういうように機械的にこの行政考えていいものでございましょうか。私はその点もう少し高い広い立場からそのことをお考えいただかなければならないのじゃないかと思いますけれども、その点あらためてお伺いいたします。
  71. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 競輪自体についての存廃の問題は、この前の特別国会で総理府の設置法を改正いたしまして、公営競技全般にわたって検討していただくことに相なっておるわけでありまして、まあ競輪自身が機械工業の振興あるいは地方の財政に寄与したという点は明らかにありますが、同町に今先先から仰せられましたように、非常に社会悪として論議の対象になっておりますので、われわれとは別個に非常に高い大乗的な見地に立って公営競技全般にわたっての議論をしていただきますことになったわけでありまして、その結論が出ますまでは従来の要領によってやるのが、われわれ事務局の態度だ、こういうふうに私どもは考えております。
  72. 松井誠

    松井(誠)委員 その結論が出ますまでは、競輪の存続をすべきだとか廃止をすべきだとか、そういう具体的な方向で行政をやっていただくようにということを私は申し上げるつもりはございません。しかし少なくとも存続か廃止かということについて中立的な立場、従って現状維持という立場、そういう立場で行政をやっていかれるというのがほんとうだと思いますけれども、その点いかがですか。
  73. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在の法律が実施されておりまして、これに対しての結論が出ない限り、私の方の事務局といたしましては、現在法律に認められておる範囲内において、施行者の方から申請があった場合、先ほどの条件を満たした場合には許可するのが当然じゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  74. 松井誠

    松井(誠)委員 時間がございませんので、その次に参りますが、十二回の回数というその限度内でやる操作であれば、決して現状を変更したことにはならないのだ、私はそういう御気持があるのじゃないかと思う。しかし、これは決してそういうことではなくて、実質的には競輪をふやしておる行政をやっておられるということを私は申し上げたい。言うまでもなく、県が廃止をいたしましたのは、何も通産省意見によって廃止したわけではございません。従って、十二回が九回になったということは、調査会が根本的な結論を出すまでは、その九回そのものを維持するということが、現状維持というふうに考えなければならないと思う。ところが九回という回数を弥彦のあれで一回ふやしたということは、いわば積極的に競輪の回数をふやすのだ、そういうことに協力したといわれても仕方がないと思う。競輪の会社的影響というものからくる世論に水をかける、そういう問題はまたあとで別に申し上げますけれども、少なくとも存廃については中立的な立場から行政をされるとしても、減ったなら減ったままでいくというのがほんとうの姿であって、十三回の回数のワクの中でなら、それを越えなければ、ふやしたことにならないのだというのは、非常に機械的な考え方だと思いますが、その点いかがでしょう。
  75. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 競輪につきまして限度を示しておりますのは、御承知のように二十二年に競輪法ができまして、各地方の団体が非常に苦しかったために、施行団体に指定してもらいたいとうい要請が非常に強かったのと、同町に競輪場の建設を非常に要望されておりましたときに、競輪場をふやすことはいかにも感心いたしませんので、現在ある競輪場を最も合理的に使用することによりまして、一部の施行者が独占的に使用するとういような弊害をやめて、これを利用したい人がなるべく広く有効に利用できるようにとういことと、競輪場の新設を押えるとうい意味におきまして、従来ありました競輪場につきまして、最も有効に利用のできるように、限度とういものを示したわけでありまして、一応法の建前からいきましても、一競輪場、年十二回、月一回とういのを原則といたしまして、各施行者に適当に割り振ったわけでございます。この場合、ほかの施行者が使わないとうい場合には、そのあきは使ってもよろしいとういことを認めておるわけでありまして、今先生の言われましたように、一応新潟市あるいは弥彦村というふうに六回、三回というふうにわけてあり致すが、新潟市がやらなかった場合に、それだけのあきを使ってもいいことになっておりますので、押えるという方向で考えれば、先生の御意見もごもっともかと思いますが、現状はまだわれわれの方としては、公営競技調査会でその方向が出ない限りは、その権限の範囲内において、要請があった場合認めるのは、行政上の措置としてはおかしくないのではないか、こういうふうに考えております。
  76. 松井誠

    松井(誠)委員 私は先ほど申し上げましたように、減ったままでおくというのが、むしろ調査会が結論を出すまで通産省がとるべき正しい態度だと思う。このような方法を繰り返されますと、いわゆる県は廃止をしたけれども、その県内の市町村が肩がわりをして開催するという風潮が、全国的に出てくると思う。私は最近の全国的な情勢は知りませんけれども、たとえば群馬県でも、今度廃止するということを言っている。しかしそれがどっちみち自分が廃止しても県内の市町村に肩がわりをして開催されるならば、自分だけがやめてもしょうがないじゃないかということで、都道府県が廃止をするということ、そういうことに踏み切ることに、こういう方法自体が水をかけることになりはしないか、そういうことまでお考えになっているかどうか、その点……。
  77. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 三十五年度には、限度外申請というのが全国で四十件あったわけでありまして、ただいまの松井先生のお話の中にありますように、それぞれの施行者がみずからの判断においてやるべきであるかないかということを自主的にきめることになっておるわけでありまして、かりに県がおやめになるという場合に、県内の施行団体に指定されておる市町村も、同じようにおやめになるというのならば、それでけっこうでありますが、ほかの例では、県がやめた場合でも、県内の市町村については、その自主的な判断にまかせておるのが現状でありまして、今度のように、県がやめたから県の中にある市町村もやめるべきではなかろうかというような意見がありましたのは、今回のケースが初めてであります。
  78. 松井誠

    松井(誠)委員 私の申し上げますのは、県がやめた場合に、県下の市町村が現状のままでやること自体をどうしろと言うのじゃない。そうじゃなくて、県がやめた分を肩がわりして、回数をふやして開催するということでは何もならないのではないかということを申し上げたわけです。  最後に、私は大臣にお伺いしたいと思います。私は今行政上の問題としていろいろ伺いましたけれども、実はこれは単なる行政の問題というよりも、私が冒頭に申し上げましたように、政治の姿勢を正すという意味で黙過し得ない問題を含んでおると思います。一つは、私はここで競輪というものの一般的なことは申し上げませんけれども、しかし競輪が競馬などと違って、非常に社会的に害悪を流す度合いが大きいということ、従ってそれを廃止するというのが圧倒的な世論であることは、これは昨年八月の雑誌「都市問題」というものにも詳しい資料が載っておりますけれども、そのような世論に一種の挑戦をするような形で政治をやるということが、一体いいのかどうか。それからまた、実はこれは二十五日の地元の新潟日報という新聞に、このようなことまでいわれておるわけであります。これは新潟日報のコラムですけれども、つまり中間にある県の立場が無視されたということに関連して、「その間に妙な政治力が働き、手心が加えられたとあっては汚職の発生もかんぐられる。公明な取り扱いとはいわれまい」これは、そのような疑惑を一般の県民が持ち始めたということの一つの現われだと思います。その真偽のほどはともあれ、このような県の意向を無視して行なうという異例な方法、しかもその内容が、今国民の世論で廃止に向かおうというそのときに、その世論に水をかけるような、そして実質的には回数を一回ふやすというような、そういう行政のやり方が、政治の姿勢を正すという看板をあげておられる池田内閣行政のやり方としてはいいものかどうか、そういうことを一つ大臣にお伺いしたいと思います。
  79. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 競輪が特に公営競技の中で、いわめる社会悪をかもし出しておるという一般の意見がありますことは十分承知しております。ただ、しかし、それにもかかわらず競輪場が存在しておるという現実も、これは無視できません。そこで、この問題はいろいろな角度から十分に研究して、これに対する終局の態度をきめる必要がありますので、総理府の設置法を改正いたしまして、これに関する根本的な調査研究をしてもらいまして、それに基づいて公正妥当な判断を下したい、今こういう態度をとっておるのであります。でありますから、その結論が出て、それに基づいて裁断を下すまでは、現状を維持する、こういう考え方に立たざるを得ないのであります。しかし、やめてあきが出たのをふさぐということは、世論に対する挑戦ではないかといったようなお話がありましたが、制度のワク内において、制度が存在しておる以上はそのワク内において、これを事務的に実施して参るということは、また当然のことでございまして、それらの問題を、今特に挑戦というような御批判は当たらないものだと思うのであります。この問題につきましては、十分に調査会において厳密な検討を加えていただきまして、その上で結論を出したい、かように考えております。
  80. 松井誠

    松井(誠)委員 私がさっきから再三申し上げておりますのは、このやり方は決して現状維持じゃないんだということ、自然に減ったものを積極的に一回ふやしたということ、そういうことを申し上げておるわけなのでございますが、それはまあそれといたしまして、どうも十二回の回数のワクの中でだけ操作をすれば、それで事務当局としては事足りるんだという話を伺っておりますと、競輪というものに対するそういう道徳的な価値判断というものが全く欠けておる、そういうことで一体行政というものはいいものだろうかということが、依然として疑惑として残るわけです。  そこで最後に、事務当局に一つお伺いをいたしたいと思いますが、少なくとも先ほどの御答弁一つ明らかになったことは、地元とのいろいろなめんどうというものを起こさないように、そういうことで許可をした、従って許可をする当時にはもうめんどうは起きないものだ、そういうことで許可をした、ところが最近これが非常に問題になっておるということは、いわば事志と違ったという結果に私はなると思う。そういたしますと、そのようなあやまちというものを改めるのに、決してだれにも遠慮は要るまいと私は思う。しかしそうかといって、許可が法律的に違法だというわけには参りませんでしょうから、従ってもうすでに既得権となった弥彦村のこれを取り消すということは、法律的にはできないでございましょう。従って私はそのことを要求するつもりはございませんけれども、少なくともこの許可を弥彦村が積極的に自主的に辞退をするように、そういう行政上の指導はできないか、あるいは少なくとも、辞退しなくても、これは三月の十九日から六日間やろうということでありますので、それを事実上弥彦村が取りやめるということで、せめてものこの世論の憤激をやわらげる、そして通産省が、事後ではあるけれども、政治の姿勢を正すのには真剣なんだそういう印象を与えるそういう方法をおとりになる意向があるかどうか、その点をお伺いいたします。
  81. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 弥彦村に一回の限度外の許可を与えておりますので、弥彦村がその権利の範囲内において実施をするかしないかは、あくまでも弥彦村の村長の決心にかかわるものだと思いますので、弥彦村の村長がやめるということであれば、私の方としてはいささかも、一回権限を与えたからやるべきであるということはありません。一応基準が示されておる範囲内において、やらないところもありましょうし、やるところもあるわけでありまして、これはあくまでも弥彦の村長が決定すべき問題かと思っております。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 松井委員質問に関連して一、二お伺いいたしたいのですが、大臣にお伺いいたします。  大臣は公営競技調査会ができたいきさつを御存じでしょうか。当委員会におきまして、過去二年あるいは三年にわたって競輪その他の公営競技が問題になって参ったわけなんです。ところがその一つの終着として公営競技調査会ができた。そこで基本的な問題について根本的に結論を出そう、それも本年の九月三十日までに結論を出すんだ、そういうことになっておる。従って私たちは、一応調査会の結論待ち、こういう気持でおったわけなんです。従って通産省におかれてもその態度で臨んでいただきたい、このように思っておるわけなんです。先ほど来の局長の御答弁は、これは事務官として当然なことであって、これは事務上のことであって、それはとやかく申しません。しかし通産大臣は、その事務的な上に政治的配慮を加えるべきだと思うのです。まず先ほど来松井委員の示しておりますいろいろな、県あるいは県議会当局から、このことについての陳情書なり申し入れ書が出ております。これは大臣あてになっておる。大臣はそれをごらんになったかどうか。しかも、そのごらんになって、なおかつ仕事は局長がしたといっても、許可名は大臣である。その大臣が許可をしたことによって、先ほど来松井委員が申しておりますように新潟県議会においては大きな紛争が起きておる。地元の新聞がこれを大々的に取り上げるような問題になっておる。それならばその責任はあなたにあると言わざるを得ないのです。私は、この種の公営競技については、今は静観をして待つというときである、従ってそこに波紋を起こしてもらいたくなかった。波紋を起こすならば、もっともっと強い世論も出てくる、あるいはわれわれも言いたいこともたくさんある。一応そういうことは、われわれもこの前の特別国会で九月三十日として認めたから、九月三十日までは一応黙って見ておろう、こういう態度だったわけです。それをなおかつあなたの方から問題を起こすということなら、先ほど松井委員が言ったように世論に対する挑戦である、同町にあなたの政治的の感覧は間違っておる、こう言わざるを得ないのですが、どうですか。
  83. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 県からの陳情書は実は私見ておりませんでした。しかし、あくまで責任は私がとるべきものである、かように考えております。
  84. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 役所の仕事の中で、こういった問題につきまして大臣までの決裁をとらずに、局長限りに内部委任をされておりますので、ただいま大臣答弁のように大臣には見せておりません。問題の重要なことはよくわかりますが、局長限りで処置しております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん通産省の仕事の範囲のうちで、その組織法によってまかされた点について、局長が代理としての処理をしていくことはわかります。しかしあて名は通産大臣である。しかも一応これに許可を与えるならば、何らかの問題が起こるであろうということは予見できるわけです。許可は大臣名でやるわけなんで、結局は大臣の判を押されたはずなんです。そのときに局長は、そういうようないきさつ等も大臣に言わなかったか。それじゃ新潟県における紛争の原因を作ったという責めは、全部局長が負う、こういうことですか。
  86. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 大臣の決裁を受けておりませんので、この問題につきましては、先ほども申しましたように、いきさつがいろいろとありますので、施行者である弥彦村については、問題を起こさないように関係各方面と十分連絡をやってくれということについて再三念を押しておきましたので、これがこういうことで問題になりました責任は、局長にあると思います。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、さっき僕は一番先に聞いたですね、公営競技調査会のできたいきさつ、及び公営競技に対してわれわれが今とっておる態度、こういうことについてどう考えておられますか。同時に、局長が事務をとるにしても、法律上は通産大臣の許可だ。だからあなたが組織法上委任しておったとしても、その責任は、あなたは知らなくても当然法律上とるべきなんです。そうでしょう。局長が私が責任をとりますと言って事が済む問題じゃない。むしろこれは政治上の問題だ。事務上の問題じゃない。許可を与えるならば、何らかの紛争が起きることは明らかです。これを契機にこの種のいろいろな問題が出てくることはわかっておるのです。われわれの手元にもたくさん資料はあります。しかし一応そういうようにきまったから九月三十日まで静観しようという態度をわれわれはとっておるのに、あなた方の方がそうやるのなら、当委員会でも競輪だけで一カ月くらい続けるだけの資料があるのですよ。あなたは一体この問題に対して、局長から十分聞かなくて、局長が許可をやっておる、いわゆる大臣認可をとってなかったとしても、あなたは今初めて聞いたとしても、どう思われますか。
  88. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 先ほども申し上げましたように、外部に対してはあくまで通産大臣責任を負うべきものである、かように考えております。  それから地元においていろいろな深刻な紛争がかもされつつあるということはまことに遺憾でございます。よくこの件は調査いたしたいと思います。いずれにしましても、今回の問題のみならず、この競輪というものは、非常に広範に社会悪の原因をなしておるということについてやかましい論議になっておることも承知しております。それであればこそ公営競技調査会というものが設置されたものと思うのであります。この調査会がすみやかに機能を発揮して、これらの問題に関するあらゆる角度からの検討を終了してもらいたい、かように期待しておる次第であります。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 期待でなくて僕は一歩進めてもらいたいと思う。あなたの方で許可したことによって-あとで新聞をごらんになってもいいと思いますが、松井委員が先ほど来るる述べておりますように、新潟県において大きな問題となり、県議会においてもこれが大きな紛争の種になっているこれに対して一歩進めて、その紛争をなくするように通産大臣として動いてもらいたいと思う。私は局長の答弁の限りにおいてこの問題が法律違反だとは申しません。事務官としてはもっともなことだと思うのです。しかし事務ではなくて政治の問題としてどういうふうに解決していくかということなんです。従って政治の問題として一つどういうふうに解決していくかということをお伺いいたします。
  90. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 よく事情を調査いたしまして善処したいと思います。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 まだ善処では足りないけれども、この程度にしておきましょう。  ついでですから、ここでちょっとこの競輪の問題について、根本的なことを簡単に二、三お尋ねします。  最近公営競技調査会のメンバーがきまったようですが、これはどういうような方法によっておきめになりましたか。
  92. 西謙一

    ○西説明員 各省の意見を参考にしまして、総理府内で相談して決定しました。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは公営競技調査会のできたいきさつは御存じでしょう。そのいきさつから見てこのメンバーは適当と思いますか。
  94. 西謙一

    ○西説明員 利害関係のない公平な第三者であって、学識経験のある者、こういう基準から選びまして、大体その基準に該当しており、適当であると存じます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 政府は、あえて池田内閣に限りませんが、何かというと調査会とか審議会を設ける。そのメンバーはあらかじめ結論のわかったような人を任命する。メンバーを任命すれば結論がわかる、いつもそういうやり方なんです。そうしてこの種のいろいろな調査会、審議会について議事の内容を明らかにせよと言っても今まではやらない。どうですか、公営競技調査会の会議録を今後公開するということについて、どういう意見を持っておられますか、われわれとしては公開を望みます。
  96. 西謙一

    ○西説明員 それは委員会の中で、議事方法なり何なりを検討した結果、委員として公開するかしないかをきめると考えられます。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 われわれが議事録を要求すれば出しますか。
  98. 西謙一

    ○西説明員 その場合も会長及び委員会に諮った上で、公開すべきかどうかをこちらの方で聞いて処理すべきではないか、こういうふうに考えます。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 これはこちらで要求するのは、また要求する方法によって要求しますが、それはそれでよろしい。  そこで九月三十日までに結論を出す、こういうことで法律できまっておるわけです。大体発足というか、第一回はいつごろに持ち、それはやってみないとわからぬと思うが、大体何回くらいで結論が出るという予想を立てられておりますか。
  100. 西謙一

    ○西説明員 おそくも三月の中ごろには第一回が開ける見通しでございますが、そのあと何回くらいやるかは、委員の方々がどのくらいの詳しさでやるかということによってきまると思います。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで通産省にお伺いするのですが、通産省の提出予定法案の中に自伝単競技法とオートバイの競技法の改正というのが予定せられておる。まだ出てきておりませんが、これの機械振興費が九月三十日までということになっておって、公営競技調査会の結論としりを合わせておるわけです。従ってこれの改正ということは、調査会の結論が出るまでは出てこないのかどうか、私は調査会の結論が出るまでそういうものはさわるべきでない、こういう観点を持っておるのですが、いかがですか。
  102. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 御承知のようにこの前、機械関係の振興費の延長をお願いいたしましたときに、一年延長をお願いいたしましたわけありますが、そのときに公営競技調査会が同時に国会に提案をされるというふうに、われわれの方は承知しておったわけありますが、実際問題は、御承知のように競輪の振興資金に関する部面が第三十五国会において改正をせられたわけでありますが、今の公営競技調査会は、同国会においては国会を通過いたしませんで、次の三十六国会も審議未了となりました。昨年の終わりの第三十七回の特別国会においてようやく成立を見たわけでありまして、この間約五カ月間、審議が結局おくれたことになるわけであります。それで振興資金の規定は、御承知の通りにことしの九月三十日まででありますので、同調査会がこれから発足をいたしまして審議をされるわけでありますが、審議の状況によりましては、九月三十日当時にはたして国会が現存するかどうかもわかりませんので、その状況いかんによっては競輪法、小型自動車競走法について、何らかの措置を講じなければならぬのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 今いった去年の七月ですか、臨時国会において自転車競技法と小型自動車競走法ですか、これの改正をわれわれは認めた。あのときは石井大臣だったですが、あのときのいきさつと、最後の石井通産大臣答弁は御承知でしょうね。従って、しりはあくまで合わすんだ、こういうことになっておったんですから、われわれはその観点に立って態度をきめておりますので、そういう点だけ申し上げておきます。      ――――◇―――――
  104. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次に割賦販売法案鉱工業技術研究組合法案機械類賦払信用保険臨時措置法案の三法案を一括して議題とし、審査に入ります。     ―――――――――――――
  105. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 まず順次趣旨説明を聴取することにいたします。  通産大臣椎名悦三郎君。
  106. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 割賦販売法案について提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  わが国における割賦販売がここ数年来急速な発展を遂げておりますことは、皆様御承知の通りでありますが、このように割賦販売が国民経済上かなりの地歩を占めるようになりましたのは、それが一般消費者にとっては消費支出の合理化を通じて生活水準の向上に役立つとともに、生産業者にとっては国内における商品市場を拡大し、大量生産による生産費の切り下げを可能とするからでありまして、このような制度は今後もますます発展していくものと考えられるのであります。  しかしながら、割賦販売は長期間にわたる継続契約であるため、割賦販売業者と購入者との間に紛争が生じやすい等種々の問題がありますので、今後割賦販売の健全かつ合理的な発達をはかっていくためには、一般の購入者の保護、割賦販売業者の確保、その他割賦販売の健全化について必要な措置を講ずる必要があるものと考えられます。これが本法案を提案するに至った理由であります。  次に本案の概要について申し上げますと、第一に、一般の購入者を保護するため、割賦販売業者に対して現金価格、割賦販売価格等を明示する義務及び割賦販売契約の基本的な内容を記載した書面を購入者に交付する義務を課するとともに、契約の解除、損害賠償等に関して購入者を不当に不利な立場に置く契約条項は無効とすることにしております。  第二に、割賦販売業者の債権の確保をはかるため、割賦販売された商品の所有権は、その代金が完済されるまでは割賦販売業者に留保されたものと推定することとしております。  第三に、割賦販売の健全な発達をはかるため、必要があるときは、主務大臣は、商品ごとに頭金の割合と賦払い期間とについて標準を定めてこれを公示し、それに著しく違反して割賦販売が行なわれ、割賦販売の健全な発達に著しい支障が生ずるようなときは、その割賦販売業者に対して販売条件の改善を勧告することができるようにして、割賦販売の健全化をはかることとしております。  第四に、商品の引き渡しに先だって購入者から代金を受領する前払い式割賦販売は、登録を受け、営業保証金を供託した者でなければ業として営んではならないこととし、登録を受けることができる者を資力、信用のある者に限ることによって、一般の購入者の保護をはかることとしております。  第五に、信販会社、チケット発行団体等の割賦購入あっせん業者の歩行する証票が大量に転々流通すること及びその目的外使用により不健全金融が行なわれることを防止するため、それを譲り受け、あるいは資金の融通に関して提供させることを業として行なうことを禁止することとしております。  第六に、割賦購入あっせんは、登録を受け、営業保証金を供託した者でなければ業として営んではならないこととし、登録を受けることができる者を資力、信用のある者に限ることによって加盟小売店の保護をはかることとしております。  本法案の内容は、おおむね以上の通りであります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げます。  次に、鉱工業技術研究組合法案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  世界的な技術革新と貿易自由化の進展に即応しつつ、当面せる国民所得倍増計画を達成するためには、産業構造を高度化し、生産能率の向上をはかることが必須の要件であり、そのためには、その基礎となる鉱工業技術を大いに振興しなければならないことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。  わが国産業界においても、近年、国産技術を創造するための自主的試験研究体制を確立しようとする機運が次第に高まってきているのでありますが、基礎研究から大規模な工業化への一貫した試験研究の展開とか、多数部門の技術の総合化を必要とする試験研究の遂行等につきましては、一事業者の力のみをもってしては実施困難な場合が少なくないのでありまして、これらについては事業者が協同して研究する体制をとることが有効適切な方策であると考えられるのであります。  しかるに、現在協同研究体がとり得る組織としてあげることができる公益法人、中小企業等協同組合、会社、任意団体等は、いずれも協同研究を推進するための組織といたしましては、適切といえない場合が多いのであります。  そこで、協同研究のために最も適した組織として新たに鉱工業技術研究組合という制度を設け、産業界における鉱工業技術の協同研究の推進をはかり、もって技術水準の向上に寄与しようとするのが、本法律案の主眼とするところであります。  この法律案の内容につきましては、御審議のつど詳細に御説明申し上げたいと存じますが、ここにその概略を述べさせていただきますならば、鉱工業技術研究組合の組織としての著しい特質は次の諸点であります。  第一は、試験研究を主たる目的とする性格上、非出資の組合とし、組合の運営に要する費用は原則として組合員に対する賦課金によることとした点であります。  第二は、本制度の乱用を避けるため、実質的には一企業の研究所と異ならないよう擬装的な組合あるいは休眠組合を排除し得るよう規定を整備した点であります。  第三は、事業年度ごとの剰余金の分配を禁じ、組合の非営利性を明確にするとともに、事業遂行の基礎を自壊させることのないよう配慮した点であります。  その他につきましては、本組合が試験研究に関する相互扶助組織でありますので、必要に応じ、類似の性格を有する中小企業等協同組合に関する規定を準用することとしております。  次に本法律案におきましては、組合の結成及びその行なう試験研究の促進をはかるための税制上の特別措置を置くこととしており、その内容につきましては租税特別措置法の一部を改正する法律案において御審議を願うこととなっております。  以上がこの法律案の提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。  次に、機械類賦払信用保険臨時措置法案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  わが国の国民経済上、中小企業がきわめて重要な地位を占めており、今後のわが国経済の健全な発展をはかるためには、中小企業の設備の近代化を強力に推進する必要があることは、論を待たないところであります。  最近、設備機械につきまして、主として中小企業に対する割賦販売が徐々に増加しておりますことは、ただいま申し上げました中小企業の設備の近代化という面から、きわめて注目に値することと存じます。しかしながら、割賦販売の相手方は主として中小企業でありますので、割賦販売に伴う信用危険が大きく、設備機械の製造業者等が割賦販売を一段と積極化するには、なお相当の困難がある実情にあります。  他方、そのような設備機械の供給の任に当たりますわが国の機械工業は、国民経済の高度成長をになう産業として、所得倍増計画におきましても今後画期的な発展を期待されておりますが、現状におきましてはその国際競争力ははなはだ弱体であり、今後の貿易自由化に対処して、早急に生産規模を高めてコスト引き下げをはかる必要があり、特に工作機械等の設備機械につきましては、割賦販売によって国内市場を積極的に拡大すると同時に、市場の安定をはかる必要が痛感されております。  かように中小企業の設備の近代化を推進するという面と、設備機械の市場の拡大と安定をはかってその国際競争力を強化するという二つの要請にあわせこたえるためには、設備機械の割賦販売を今後大いに促進することが必要であると存ずるものでありますが、このためには割賦販売取引について政府による信用保険制度を確立することが何よりも肝要であり、これが本法案を提案するに至った理由でございます。  次に本法案の概要について申し上げます。  第一に、保険契約の形式でございますが、これは原則として設備機械類の製造業者を相手方として、会計年度ごとに、国が包括保険契約の形の信用保険契約を結ぶことといたしております。包括保険契約の形をとりましたのは、その会計年暦内にその製造業者が割賦販売をする特定の設備機械は、すべて保険契約の対象となりますので、危険が分散されて保険料の低減をはかることができるわけでございます。  第二に保険契約の内容でございますが、この保険契約を締結いたしますと、製造業者は設備機械類を割賦販売した場合に、その割賦販売代金が不払いとなったときの損失を、国から填補されることになります。この損失に対する国からの填補の割合は、百分の五十となっております。  第三に、保険事業の健全な運営をはかるため、特定の場合には、政府は保険契約を締結してはならないこととするとともに、保険金の支払いを受けた製造業者等には、代金回収に努力する義務を課し、回収金は政府が填補した損害の割合に応じて政府に納付させ、また製造業者等が法律または契約の条項に違反した場合には保険金の不払いまたは返還等の措置をとることができることとしております。  第四に、本法案による信用保険事業を運営する方式でございますが、その能率的、合理的運営をはかるため、国が一般会計からの繰入金等をもって特別会計を設置し、この特別会計をもって独立採算制による事業の運営をすることとしております。なお、ただいま申し上げました特別会計につきましては、別途機械類賦払信用保険特別会計法案を提出いたしております。  本法案の内容はおおむね以上の通りであります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。   〔加藤(清)委員「こんな状態で慎   重審議ができるか」と呼ぶ〕
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行について。本日の委員会の運営を見ておりまして、今後の委員会の運営に関して若干委員長において――きょうは代理でございますが、委員長において考えてもらわねばならぬ問題が二、三ありますので、この際特に発言をいたしまして、今後の運営のために考えていただきたいと思います。  そのまず第一点は、ただいま加藤委員からも言われておるように、法案の提案のときには、少なくとも委員の半数以上は出ておる、構成をしておるという状態においてやっていただきたい。ことにこの割賦法案はわが党におきましては、今日御承知のような消費ブームと言われるこういう中にあって、一つの重要法案である、こういうように考えまして、本会議趣旨説明を要求をしたいような法案でございます。それをこのような中において説明をしていただいても、徹底を欠くおそれがあります。従いまして今後法案の説明に当たりましては、少なくとも半数以上の委員がおるということを建前にしてもらいたい。  さらにもう一点は、本日の当初の問題でございまするが、参考人をあらかじめ用意しておいて、その日になってから参考人を、いわば裁判所における在廷証人というような、ああいう格好でやることは、前にもそういうことがあって、われわれから苦情を言ったはずでございます。今後そういうような運営をしてもらいたくない。  さらに発言及び質問の順序は、あらかじめ定めた通りにやってもらいたい。それが途中から変わるということは、何のためにあらかじめ発言順序をきめておるのかわからぬ。  以上の三点を申し上げて、今後委員会の運営に十分気をつけてもらいたい。そうでなければわれわれは協力できないということを宣言しておきます。
  108. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ただいま田中委員から発言がありました件につきましては、委員長におきまして今後慎重に処置して参りたいと存じます。  本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる三月三日金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会