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秋山政府委員 先々週の土曜日、
ニイプマン工室から
事故が起きまして、まことに残念なことでございます。御
承知のように一昨年来
火薬の
事故が非常に頻発いたしました。私
どもといたしましても何らかそれに対する
対策を根本的に考えざるを得ないということで、前の
通常国会におきまして根本的な法律の改正をいたしました。この二月一日から効力を
発生、実施いたしております。ところが今回のこの
ニイプマンの
事故は非常に
特異性のある
事故でございます。と申しますのは、
ニイプマンと申しますのは
ダイナマイトを成型して押し出す、成型と同時に包装をいたします自動的な
機械でございます。現に世界の進んだ各国では全部採用されておる
最新式の
機械でございます。
日本にはこれは合計十一台ございます。そのうちの二台が
延岡の
工場に据え付けられております。その一台が先日
爆発したものでございますが、こういういわば最近代的な
機械が
機械自体として
事故を起こしたという例は従来なかったわけであります。いずれも
工員のミスであるというようなことで起こった
事故が大
部分であります。それだけに私
どもといたしまして、実はこれは根本的に
検討しなければいかぬということで、ただいま東大の
火薬学教室の応援を求めまして
機械の
調査を進めております。
爆発いたしました
機械を復元いたしまして
——まだ復元できておりませんが、厳密な
調査をし、技術的な
検討をしておる最中でございます。従いまして、確かに
調査中ということで断定的な
原因をまだ申し上げられる段階ではないわけでございますが、当時の
状況、
機械の
破壊状態等から、どこに
事故が起こったかということだけははっきりいたしております。要するに
スクリューを二本使いまして、ちょうど
肉ひき機械のような構造でございます。練りました
ダイナマイトの
原料を押し出して成型する、その
スクリュー部分に何らかの異常が起こって
爆発事故を起こしたという、この事実だけははっきりいたしております。なぜそういう
スクリュー部分に
爆発を起こしたかという、その
原因が実は問題でございます。ごく概括的に申し上げますと、せっかく最近代的な
機械を使いながら、あるいは使っておったからであったかもしれません、それを使用する側の
工員の教育といいますか、要するに完全に
近代的機械を使いこなすだけの訓練に、やや欠くるところあったのではないかという
感じがしておるのでございます。これはつまり
安全装置の問題でございます。もちろん中に装入いたしまする
薬そのもの、ことにその
原料の
精製等からずっと系統的に調べてこないと、
原因は的確につかむわけには参らぬと思いますが、さしあたり数日間の
調査だけで判明いたしました点は、どうやら
安全装置の使い方がやや粗略であったかのような
感じがいたしております。この
機械は
日本に入りましてすでに六年余りでございまして、他の九台も何の
事故なしに使われてきておったのでございます。この
旭化成の二台は約三年、三十三年から何ら故障なしに使われておった
機械でございます。御
承知のように本年はちょっと冬の気温が違いましたので、例年から見まして
温度が低かったということで、暖かいといわれております
南九州でも、かなり
温度の下がった日もあったようでございますが、それらと
関係があるのじゃないか。つまり室温といいますか、薬がある固さ、ある粘度で順調に動いておるときは何ら問題はない。それが
温度の
変化等で固さが強くなる、その場合には
梓通の
温度であれば
安全装置が完全に働き得るものが、固くなったために
安全装置が動かずに
事故を起こしたというような想像もあり得るかと思うのであります。いずれもまだこれは推定の
原因でございまして、これだと断定して申し上げるわけにはいかないのでございますが、最近代的な
機械に
事故が起こったということで、私
ども実はちょっとショックを受けておるのでございます。徹底的に
原因を究明したいと考えております。