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1961-05-30 第38回国会 衆議院 社会労働委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君    理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       小沢 辰男君    亀岡 高夫君       櫻内 義雄君    澁谷 直藏君       田中 正巳君    中山 マサ君       服部 安司君    松浦周太郎君       松山千惠子君    赤松  勇君       淺沼 享子君    大原  亨君       河野  正君    島本 虎三君       田中織之進君    田邊  誠君       中村 英男君    吉村 吉雄君       山中 吾郎君    井堀 繁雄君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 古井 喜實君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         厚生政務次官  安藤  覺君         厚生事務官         (大臣官房長) 高田 浩運君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (児童局長)  大山  正君         厚生事務官         (年金局長)  小山進次郎君         労働事務官         (労政局長)  冨樫 總一君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局次長) 山本浅太郎君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 五月三十日  委員五島虎雄君、中村英男君及び井堀繁雄君辞  任につき、その補欠として山中吾郎君、田中織  之進君及び佐々木良作君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員田中織之進君、山中吾郎君及び佐々木良作  君辞任につき、その補欠として中村英男君、五  島虎雄君及び井堀繁雄君が議長指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 五月二十五日  未帰還者の引揚促進等に関する陳情書  (第八  四六号)  最低賃金制度確立に関する陳情書  (第八四七号)  失業対策事業改善に関する陳情書  (第八四八号)  国民年金法の一部改正に関する陳情書  (第八四九号)  同(第八五〇  号)  国民年金制度改善に関する陳情書  (第八五一号)  同(第八五二号)  国民健康保険国庫負担増額に関する陳情書  (第八五三号)  同(第九〇五号)  同  (第九九一号)  同(第九九二  号)  小児まひ予防対策確立に関する陳情書  (第八五四号)  小児まひ予防接種費全額国庫負担に関する陳情  書(第  八五五号)  国立明石病院改築に関する陳情書  (第九〇一号)  全額国庫負担による医療費引上げに関する陳情  書(第九〇二  号)  国民健康保険療養給付費国庫負担増額に関する  陳情書  (第九〇三号)  同(第九九  三号)  国民健康保険療養給付費国庫負担増額等に関す  る陳情書(第九〇  四号)  緊急失業対策法改正等に関する陳情書  (第九〇六号)  石炭合理化に伴う炭鉱労働者生活安定確保等  に関する陳情書  (第九〇七号)  港湾労働者の雇用安定に関する法律案成立促進  に関する陳情書外一件  (第九四四号)  同  (第  九四五号)  消息不明未帰還者調査等に関する陳情書  (第九八九号)  沖繩からの帰省者国民年金法適用に関する陳  情書  (第九九〇号)  小児まひ生ワクチン国内生産促進等に関する  陳情書(第一〇二  四号)  小児まひ予防接種費全額国庫負担等に関する陳  情書外九件  (第一〇二五号)  国民健康保険給付率引上げ等に関する陳情書  外九件  (第一〇二六号)  愛媛県の観光事業振興対策確立に関する陳情書  (第一〇三三号)  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一  部を改正する法律案に関する陳情書  (第一〇五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  国民年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一七号)  通算年金通則法案内閣提出第一四八号)  通算年金制度を創設するための関係法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一四九号)  年金福祉事業団法案内閣提出第一三三号)  児童扶養手当法案内閣提出第一三九号)  国民年金法案八木一男君外十四名提出衆法  第四号)  国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との  調整等に関する法律案八木一男君外十四名提  出、衆法第五号)  国民年金積立金の運用に関する法律案八木  一男君外十四名提出衆法第九号)  労働関係基本施策に関する件(日本国有鉄道  における労働問題)  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件(  医療機関における労働争議に関する問題)  厚生関係基本施策に関する件(青森県及び岩  手県における火災による被災者の救助に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。  建設委員会において審査中の水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案について、建設委員会連合審査開会申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本猛夫

    山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 山本猛夫

    山本委員長 労働関係基本施策に関する件、特に日本国有鉄道における労働問題について調査を進めます。  質疑を許します。吉村吉雄君。
  5. 吉村吉雄

    吉村委員 国鉄熊本管理局関係の問題について、この前の場面から引き続いてやっていきたいと思います。  この前熊本操車場照明の問題につきまして、実は安全衛生規則百九十五条あるいは八十九条、こういった問題で労働省側見解を求めて、一体操車場というのは作業面なのか、通路なのかということで、少し問題が明らかにならないままで終わっているわけです。そういう明らかでないところに紛争原因がありますから、従って監督官庁としての労働省としては、あるいは基準監督局長として、国鉄内にあるところの操車場あるいは構内、こういったものの照明をどういう考え方で規制をし、これを指導しているのか、こういうことについてまず労働省側見解を承っておきたいと思うのです。
  6. 大島靖

    大島政府委員 御指摘安全衛生規則百九十五条の規定は、御承知通り、常時労働者を使用する場所作業面において必要な照度規定をいたしております。この規定はもっぱら労働衛生見地からする規定でございまして、従って作業面と申しますのは、始終労働者が注視しているような作業面をさすわけです。その作業面における照度を適当なものにして労働者衛生保持していく、こういう規定になっておるわけであります。従って、操車場等におきましても、たとえば操車指令盤でありますとか、そういう注視をいたす場所については適用がございましょうが、全般的に安全の見地から照度規定する、こういう規定ではないと解釈いたしております。
  7. 吉村吉雄

    吉村委員 この操車場照明の問題は、相当長いこと国鉄労使の間で紛争原因になっているわけです。今問題になっておる熊本操車場につきましても、現地労働基準監督署に対しまして現地調査の要請が行なわれ、現地調査をするということを約束いたしたのでありますけれども国鉄当局の方から、照明問題については責任を持って処理したい、労使紛争当時でもあるので、現地調査については若干待ってくれという話があって、そしてそのままになっておった、こういう状態であるわけですが、私どもの調べた範囲によりますと、現地における基準監督署の方では、熊本駅の構内の現在までの傷害の実情から見て、傷害が非常に高いところについては管理あるいは監督を強化するという意味で、この操車場を特別の職場指定をして、それで管理監督あるいは指導、こういうものに当たることになっておるはずです。名前は今ちょっと記憶しておりませんけれども、過去において傷害が非常に多いという場所については、労働省として特別の指導なり監督なりを行なっているということは十分御承知かと思うのですが、熊本構内もそういうところに該出しておった。ところが、指定をされたのは三十四年だと思いますけれども、その後二年にわたって、監督署の方からは現地に対するところの指導なり特別の助言なりが全然行なわれていない、こういう状態で、現地実態調査を行なってくれということに対しては、先ほど言うたような事情でこれまた行なわれていない、こういうような状態から問題がだんだんと拡大していったわけです。  そのことについてはあとで十分究明していきたいと思いますけれども、今おっしゃられたところの作業面あるいは通路、こういうことについていろいろ解釈上の相違があると思うのですけれども、だとしますならば、作業場作業面の問題について非常に解釈相違する。とするならば、国鉄構内あるいは操車場については大体どの程度照明が必要であるかということについては、当然労働省の方から明確な指示なり監督なりが行なわれているものと思うのです。この現地状態については、本省の方にもすでに現地から報告があったと思いますけれども、これらについて報告があったか、あるいはその報告に対してどういう指示なり指導なりを与えておるか、こういうことについてお伺いしておきたいと思います。   〔委員長退席大石委員長代理着席
  8. 大島靖

    大島政府委員 安全の見地からいたします照度につきましては基準法安全衛生規則の中にも、たとえば港湾作業とか、あるいは特殊通路とか、あるいは電気関係のスイッチの問題とか、そういう問題については安全上からいたします特別の照度規定をいたしております。その他につきましては、一般的にやはり安全保持のための照度をそれぞれの具体的な場所において適当に保持していくべきだと存じております。従って、国鉄操車場における安全上の照度の適切な保持というものにつきましても、やはりそういった方面専門家の御意見、たとえば照明学会でありますとか、そういう学者経験者、そういった方々の適切な御意見によって安全適切な照度保持していくのがよろしかろう、かように考えております。
  9. 吉村吉雄

    吉村委員 もう少し具体的に、問題をそらさないで答弁してもらいたのです。僕の方で質問をしていますのは、熊本操車場照明の問題について、お宅の方の現地基準監督署とそれから組合側との間で、非常に照明が悪くて傷害が多い、こういうことで話をしまして、お宅の方としては、現地照明度というものはきわめて感心できないという注意まで与えたというふうに私どもとしては聞いているのです。これは仄聞をしている範囲ですから、確信を持ってどうこうというわけではありません。しかし労使間の紛争が、労働省管理なり指導なり監督なりの不十分さから起こるとするならば、それは非常に重要問題だと思うのですよ。しかも労働省として、特別に障害が多いということで特別職場指定をしておきながら、何らの指導もない、こういうことは監督官庁としては許しがたい行為ではないか、このように考えるわけです。従って熊本におけるところの構内操車場照明状態が、安全衛生規則上の観点から見て、あるいは労働省として安全を確保するという観点から見て、妥当なような照度であったのかどうかということについては、現地からもいろいろ報告が来ているはずだというふうに考えますから、その点については本省としては連絡があったのか、さらに、連絡があったとするならば、どういう指示なり指導なりを行なっているか、こういうことを具体的に一つ答弁をしてもらいたいと思うわけです。
  10. 大島靖

    大島政府委員 熊本操車場照度につきましては、去る三月に監督調査をいたしまして、照度の点につきましては、各所によって照度が違いますが〇・四ルクスから十三ルクスまでの各場所における照度報告が参っております。なお、告発も出ておりますので、検察庁とその取り扱いについて打ち合わせをいたしておる状況であります。
  11. 吉村吉雄

    吉村委員 〇・四ルクスから十三ルクスまで、その場所々々によって相違があったという報告だというのですけれども一体労働省としては、あれほどの車を扱っている危険な作業場であって、特別な指定をしておるという職場において、この程度照明度で妥当という判断をされるのかどうかということはどうなんですか。
  12. 大島靖

    大島政府委員 一般的に申しまして、私が先ほど申し上げましたように、やはり学者専門家意見を聞くべきものだと思います。と同時に、操車場と申しましても各場所によって非常に照度が違うものでありますから、その場所々々における操業の状況と相対的に考慮すべきものだと考えます。従って照度の測定はいたしておりますが、なおそういった照度の適切さについては関係方面と十分連絡いたしまして、さらに調査研究いたさなければならない、かように考えております。
  13. 吉村吉雄

    吉村委員 時間もあれなので、この問題にばかり時間をとりたくない気持なんですが、私はここで強く労働省の方に要望しておきたいのは、そういうようなことで、もう何年にもわたってやるべきことをやっていない、指導が的確でないというところから、傷害もいつまでたっても少なくならぬ。あなたの方としては形式的に、特別にこの職場については安全管理を強化しなければならないということを言っておっても、実質の面については何らの指導も行なっていない。今の答弁を聞いてみると、これから十分調査して云々というふうに言われるわけですけれども労使の問題というのは、その原因を排除していくという心がまえがなくては紛争解決しないと思うのです。起こった紛争について、やったのが悪いからといって処分をしていく、これだけでは本質的な解決にならない。だからそういう原因をなくしていくために基準法その他の法律があるわけです。それを管理するところの労働基準局長が、労働基準法が施行されて十何年も過ぎてから、今言ったような問題、こればかりじゃないと思うのですが、なお調査をして云々というあり方では、ほんとうの意味での安全を確保したり、あるいは正しい意味労使関係を維持するということにはなっていかないと思うのです。これ以上は水かけ論になりそうなので言いませんけれども、そういうこまかい問題についてきちっとした、このくらいの照明なりこのくらいの設備なりが必要だということを明確にし、その基準に基づいて労使関係というものが、新しい慣行として、平和な慣行が築かれていく、こういうことになると思いますが、そういう基準についてはお宅の方の仕事の分野なんですから、早急にしかも詳細にわたってやってもらわなければ困るというふうに、特にこの問題については要望しておきます。  国鉄当局の方に関連して伺っておきますけれども、御承知だと思いますが、熊本構内は、基準法に基づいての労働安全衛生委員会というものが設置されて、そして昭和三十三年にこの熊本の駅の照明の問題が労使双方安全委員会の中で取り上げられて、これを明るくする、こういう結論が出ているはずだと思うのです。それが全然手をつけられていない、こういう状態のように私どもは承っているわけです。この安全衛生委員会については、御承知のように、ほかの協定、協約と競合する場合は、事は人命上あるいは傷害に関する問題だけに、最も重点が置かれて実施をしていくという建前がとられていかなければならないと思いますし、またとっておるものだと思います。ところが熊本の場合には、三十三年にそういう結論が出て以降、三年にもわたってそれらが実施されていない。そういう状態について本社としては一体知っておったのかどうか、あるいは適切な指導なり指示を与えておったのかどうか、こういうことについてお伺いしておきたいと思うわけであります。
  14. 中村卓

    中村説明員 その問題につきましては、実は本社といたしましてはあまり的確な報告は得ていないように感じております。実はこの前申し上げましたように、熊本照度につきましては、ただいま基準局長さんの方からもお話がありましたが、われわれの方の調べでは最低が〇・二ルクスということでありまして、鉄道施設照明基準というものにははっきり合致しておるわけであります。従ってわれわれの方といたしましては、本社として特に金を出してこれ以上にしなくても、現地である程度局長権限なり支社長権限工事でもって、もし必要があればやれるのではないか、こういうように考えておりまして、これにつきましては御承知通り現地支社長なりあるいは管理局長がある程度そういうものについての工事経費の予算を持っておりますので、そういう点で必要があれば解決ができてくるのではないかと考えておる次第であります。
  15. 吉村吉雄

    吉村委員 なるほど国鉄当局機構上から言えば、支社なり管理局で適切に措置するということはあり得ると思います。ただ問題は、この場所で問題にする以上は、地方のことを云々ということでその人たちに聞いてみても始まらないわけで、総括的な責任本社の方で負わなければならないと思うのです。私がこの問題を特に重点を置いて取り上げておるのは、これが発端になって大きな闘争が行なわれ、そうしてだれも好んでいない、お宅でも涙をのんで云々ということをよく言われますけれども大量処分というものが行なわれているわけです。だから、その起こった現象について議論をするよりも、なぜその問題が起きたかということをお互いに究明していかないと、いつまでたってもこの労使関係というものは安定をしない、こういう立場から言っているわけですから、従って、そういうような問題をできるだけ事前解決をするという目的を持って設置をされた多くの委員会、この場合には労働安全衛生委員会、こういうものが現地にあるわけですから、当局を代表する者と組合を代表する者とがお互いに相談し合って、これではいけないからこれをこうしようということについて話がまとまったものについては、これを実施していくという建前をとらない限りは、一方ばかりを責められても話にならぬじゃないかと思うのです。当然これは、この闘争の経緯あるいは国鉄当局の行なった処分、こういうものから見て、その経過を振り返ってみますると、本社の方に対してもこのことについて詳細な報告があったはずだと私は考えざるを得ない。今のように支社なり管理局だけで問題を処理しているという、そういう簡単な性質のものではない、こういうふうに私は考えるわけです。そこは責任のがれをしないで、どういう事情でそういうような委員会結論なりなんなりというものが実施をでき得なかったのか、一つ明らかにしてもらえないと困ると思うのです。
  16. 中村卓

    中村説明員 実は、この問題につきましては、もちろんこういう本社でも地方から情報なり報告なりとったわけでございますけれども、ただいま先生の御質問になりました点につきましては、遺憾ながらただいままでのところあまりはっきりした事情をつかんでおりません。従いまして、われわれといたしましては、ただいまもお話がございましたし、前々からもいろいろと考えておりましたので、さらに現地に一回よく照会をいたしまして、適切な対策を考えたいというふうに考えております。
  17. 吉村吉雄

    吉村委員 これはお宅の方も参加して作られた熊本労働安全衛生委員会資料、これは安全衛生委員会機構なり構成上から見ますと、この記録は、組合側がとるということになっていないはずです。これは全部当局側の方で資料を作って、結論もまた記録をする、こういうふうになっているはずなんですから、これには二通りはないと私は思うのです。そこにちゃんと、下りホーム上部照明灯を取りつける云々、そういうことが何回となく行なわれておるのです。そういうものを本社の方が全然知らなかった、それが原因をして大きな闘争になった、そうして、大量の処分というものが行なわれている、こういうことについては、私は全く一方的な片手落ちのやり方じゃないかと思うのです。そういう本質的な原因があって、その原因を排除するための努力をしなかったということがもし原因だとするならば、当然国鉄当局機構上から見ても、支社なりあるいは局長なり現場長に対して、なぜそういうことを事前に的確に報告をしなかったかという責任追及は、同時に行なわれなければならない性質のものだと私は考えるのです。そういう点については一体どういうふうに考えますか。
  18. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお話のありました安全衛生委員会熊本駅の委員会結論というのは、実は私も見てはおりませんけれども、そういう結論の出たことについては、本社の担当の部局にはちゃんとわかっておるはずだと思います。ただ、たまたま私どもが今ここでその資料なりそれについての説明なりを聞いておらないために、そのことについてお答えができないことは申しわけないと思いますが、その点は中村理事からお答え申し上げましたように、よく調べてみたいと思います。ただ、いろいろ作業環境そのほかについて改善しなければならないことは、まだ国鉄の部内にはたくさんあると思います。それらのものは順を追ってできるだけ早くやるというつもりでおるのでございますけれども、こういうような問題については、個々職員が勝手に解釈を下して、これは法律違反だからとかなんとかいうようなことを勝手に言うべきものではないのでありまして、いわんやそういうようなことを理由にして、法律で禁止されておるような違法な行為をやるということがあれば、その違法な行為をやったということは、これは処分をしないわけには参りません。そういうわけで、今度の熊本関係者処分ということも行なわれたのでございまして、基準法に違反しておるかどうかというような問題を個々職員が勝手に解釈をして、そうして解釈するだけならばまだよろしいかと思いますけれども法律で禁止されておるようないわゆる違法な争議行為のようなことをやった、そのことが悪いから処分した、こういういきさつでございます。それで、今御指摘のありましたような委員会で何かきめたというような事柄については、多分本社関係部局には詳細な報告が来ておるはずだと思いますので、そういう点は、ただいまこの手元に資料を持っておりませんから、よくまた調べましてしかるべく措置をいたしたい、そういうふうに考えております。
  19. 吉村吉雄

    吉村委員 今の副総裁答弁の中に、勝手に職員がそういうことを判断をして、禁ぜられている不法な行為云々という言葉がありましたけれども、それはそれであとから話していきますが、私がここで強調しておきたいのは、こういう大きな闘争行為にまで発展をするのには、原因というものがあると言うのです。しかもきのうきょうに始まった問題じゃないのですよ。この記録を見ると、昭和三十三年なんですよ。三十三年の労働安全衛生委員会で取り上げられ、三十四年の労働安全衛生委員会で取り上げられ、それがそのまま放任をされているというところに紛争原因があるのだ。それはあなた方が知らないと言っても、多分関係の方には連絡があったろうという話でありますが、そういうことでは私は責任ある答弁というふうにはいかぬと思うのですよ。これは国鉄ばかりじゃないけれども、国家企業の中の最大の欠陥となるのはそういうところにある。本来報告をして、本社なら本社指示を得て、改めるものは改めていかなければならないにもかかわらず、そういうものを自分たちのところであたためておいて、そうして報告も満足にしない、改善もしない、上に言えば文句を言われるからということで自分で処理しようとする、処理ができなくて大きな紛争に発展する、こういう例は私は非常に多いと思うのです。   〔大石委員長代理退席、永山委員長代理着席〕 ですから、このことを機会としまして、国鉄責任者の方としては、現地報告なり皆さん方に話をする内容と現地の実態というものはどういうふうに相違をしてくるのか、紛争原因はどこにあるのか、そういうことを十分に考えないと、一方的な処分をすれば何でもおさまるという考え方にあなた方がなってしまう、こういうふうに私は考えるので、この点は十分注意をして、そうして国鉄の企業の運営に当たってもらう、同時に、その根本になる労使関係のあり方等についても当たってもらうようにしていただきたい、こう思います。  そこで、私としましては、この安全衛生委員会なりできめられたものが実施をされないで、そうして今どういうふうな状態になっているかといいますと、二月一ぱいこの交渉が行なわれて、三月の三日に、何ら話が進まないということで、自然発生的に順法の闘争といいますか、内部の法規を守る、こういうような運動に入っていった。これを一般に政府なりあるいは国鉄当局の方では違法な行為云々というふうに言うわけでありますけれども、これは結果として、自然発生的にそういうふうになるという場面もあるわけなんです。そうしてその結果は、照明の問題はどうなったのかといいますと、その後において照明の改善、新たな設置、こういうことが行なわれているということは、一体どこに原因があるのかというふうに私はこの際強調しないわけにいかない。そうして騒がなければいつまでたってもやってくれない。そういうことが何回も何回も累積しているから、結局のところ、自然発生的にそういう行動が行なわれる。そうしてそういう行動が行なわれると、あわを食って今度は照明の設備をするとかあるいは改善をするとか、こういう姿になっておる。それは結果的にお宅の方の国鉄当局なら国鉄当局が、今までの設備が不完備であったということを端的に示しておるというふうに言わなければならないと思うのですよ。こういうところに問題があると思うのです。三月三日にそういう形になって、そうしてその後はどういうふうになっておるかといいますと、私の知る限りでは、相当当局でも本腰を入れて、照明の問題について、現在までの間に、あるいは現在も、これを改善するための努力をしているということは、みずからがやはり今までの状態ではまずかったということを知ればこそ、そういう措置をとらざるを得なくなっているのじゃないかと思うのです。それで、紛争が起きる前にやるべきことをやっておけば紛争が起きないで済む。紛争が起こってどうにもこうにもならなくなってからやるという状態がいろいろな問題について行なわれているというところに問題の本質があるというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども、こういうことについて一体国鉄当局はどう考えますか。
  20. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今の御質問の中に、騒がなければ作業の設備も改善されないじゃないか、そういうことじゃいけないじゃないかというお言葉がありましたが、それはまことにごもっともだ、その通りだと思うのです。ただ国鉄全体の作業管理その他を見ますと、確かにまだまだ改善しなければならないところがたくさんあるということは私の方も承知いたしておりまするし、また下部の方からそういう意見が上申されてくる場合もしばしばございます。そういうものに対しては、できるだけすみやかにそれぞれに対応した措置を講じていくつもりでおるのでございますけれども、何分にも非常に膨大な範囲にわたっておりますので、一ぺんにすべてを解決するというわけにはなかなか参らない面もございますので、できるだけ今後とも一そう努力をいたしまして、紛争が起こってからそういう問題を解決するというような御批判を受けないように、なお一そう今後戒めて参りたいというふうに考えております。ただしかし、そういう場合にも、やはり正常の順序を踏んで問題の解決紛争原因の除去ということをやって参りたいのでございまして、そのための手段に、いろいろ名目はございましょうが、実際上正常な業務の運営を阻害する、いわゆる違法な行為として禁止されておるというような事柄が起こりました場合には、まことに残念でございますけれども、やはりそれに対応した責任を明らかにするという意味処分はしなければならぬ場合も出てくるのでありますが、もとよりこういうことは望ましいことではございませんので、できるだけそういうような事態をなくするように、今後とも一そう努力をして参りたい、かように存じております。
  21. 吉村吉雄

    吉村委員 そういうような紛争が起こってから、結局労働者側の要求したことをあとから改善をするというようなことをやっているからいかぬ。今度の場合も、それはいかぬといいながらも、熊本構内の問題については、結局紛争が大きくなって表面化してから、照明の問題について改善をしている。こういう事例なんですから、私は、どうせそうしなければならないものであるならば、もっともっと早くやるべきであった、こういうふうに考えまするし、十分手続をとってというふうに今副総裁は言われましたけれども、一体その正常な手続というのはどのくらいまでやればいいのかという問題もあると思うのですよ。この場合私が例をあげているのは、三年も前から安全衛生委員会でも取り上げられて、そうして毎年団体交渉でも同じことを繰り返しておる。そうしてそれの改善をするといっていながら、全然それをやっていない。しかも今聞くところによりますと、関係の向きには報告があったかもしれぬけれども、私は知りませんでした、こういう状態であるから、結局約束したことをやってくれないということになれば、早くやってもらいたいという気持が自然に高まってくるのは当然だと思うのですよ。そういう場合に、やった者を、職員行為そのものはいかぬじゃないかということでその部分だけを追及して、そうしてそういうことについて一方の責任者であるところの管理局長なり現場長なり、あるいは支社長というものが、本社に対するところの適切な措置あるいは指導要請、こういうものについて十分やっていないのにもかかわらず、それらについては何らの措置もしない。こういうようなことでは、その処分といっても、かりにあなた方の言い分を聞いたとしても、はなはだ一方的な処分ということになる。これでは職員全体は、絶対に問題の本質的な改善というふうにながめませんし、当然それは抜本的な解決策ではない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。ですから、あなた方が筋道を立てて云々と言われるのであるならば、該当しているところの現場長なり、あるいは局長なり、それから当の責任者なり、そういう人たちに対しても、その十分に果たしていないところの責任を当然追及していかなければならぬはずだと私は思う。ところが、労働組合の側にだけそういう追及の手を伸ばしてきて、一方には全然何らの措置もしない。はなはだしい言い方をすると、処分をたくさんやった者が栄転するかのごとき印象すら与えるような人事すら行なわれている。これでは本質的な解決にはならぬ。私が熊本構内照明の問題を取り上げて言うているのは、そういう問題がたくさん現場にはある、紛争原因というものはそういうことが原因なんだということを強く指摘したいから申し上げているわけなんで、このことは、理由として筋を通すならば通すらしく、一方的にならないようにきちっとやってもらいたいということを特に強く要望をしておきたいと思うのです。  この闘争の結果起こった現象についてなお明らかにしていただたきたい点があるわけですけれども、それは、停職三カ月かの処分通告を受けている松野君という人と中山君という人がいると思うのですが、この人たちからは国鉄の方にも実情調査の申請者が出されて、現在裁判にも出ていると思うのですけれども、ほとんど職場集会なり何なりにも参加していない。しかも本人たちは仮眠の時間中であった。こういうような状態であるのにもかかわらず、全然そこに参加していない人たちに停職三カ月という極刑をもって報いている。これは非常に間違っているというふうに思うのですけれども、あなたの方としてもいろいろその実情を調べられた点があると思うのです。私の知っている範囲では、仮眠時間中でもあって、職場集会にも参加していない。そういうような人たちに対して、今まで例がないところの停職三カ月というような処分の通告をするということはきわめて過酷でもあり、あるいは事実誤認の疑いもある。こういうふうに考えますけれども国鉄当局としては一体どういうふうに報告を受けて、どういうふうに対処しようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 中村卓

    中村説明員 御承知のように、大体、特に停職以下の処分につきましては管理局長に権限が委任されているわけでございます。それで、こういう問題があって組合の方から仮処分の訴えが出ているという報告は聞いております。こちらといたしましても、一応現地管理局にいろいろ注意を促しまして、十分実情は調べさしたわけでございますけれども当局の方としては、一応自分たちの調べでは間違いない、一応今の段階ではやむを得ない、裁判の進行を待って考えようというふうに考えております。
  23. 吉村吉雄

    吉村委員 その処分の問題については、今のお話では、現地報告をまるのみにしてやっているということだと思うのです。今までの行政処分、日鉄法によるところの処分と今回の春闘におけるところの処分の中で非常に相違している点は何かといいますと、意識的に行なっているのかあるいは無意識的かどうかは知りませんけれども、事実誤認が非常に多いということと、処分通告の内容が非常に過酷である、大量にわたっている、それから組合の一般的な活動家というものにこの処分重点が向けられておるということです。ですから、この前の委員会でも議論をされておりましたように、郵政省においては新婚旅行に行っておる者が処分をされたり、そういうような事例すら起こっておる。私は国鉄の今までの処分の中でこのような例は非常に珍しいというふうに思うのです。仮眠時間中に、しかも自分の仕事が終わって、同僚がいないから、はてどうしたんだろうといって現場をのぞいてきた、そしてすぐ戻ってきたというだけで停職三カ月の処分なんということは、今までにそういう例はあるはずがない。私はそういう点から見て、今回の処分というものが政府全般の統一的な方針に基づいて、労働組合を分断するという政策が流れているというふうに思いますけれども、これは皆さんの方でこれに対して抗弁をするでしょうから、まあやりとりだけになってしまうと思うのです。しかし現実の問題として、このことは実際に参加も何もしていない。仮眠時間というのは、当然その人が、与えられた権利として、就業規則上なり何なり許された、眠ってもいいという時間なんですから、自由な時間といえば自由な時間です。拘束時間には違いないけれども職場集会にも参加をしていないというのを、こういう事実誤認でもって、単なる地方報告に基づいて三カ月というような処分通告をするということについては、賢明な国鉄当局であるとするならば、これは私の言うている通りなんですから、このことが裁判ざたになって争われて、あなた方が財訴になるというようなことのないうちに、この問題については撤回をするということが最も賢明な策ではないかというふうに私は考えておるわけなんですけれども、この今回の処分のあり方については、そういう問題が非常に多いわけですから、従って今私が申し上げたような趣旨で、国鉄当局としてこれをできるだけ早急に、自発的に撤回をするなり何なりする、こういうような気持がないかどうかを一つ伺っておきたいと思うのです。
  24. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 せんだって来、今回の春闘処分の問題について、いろいろ事実誤認というようなこともあったのではないか、あるいは従来と比較して非常に過酷であったのではないか、いろいろなお尋ねが出ておるわけでございますが、国鉄の場合につきましては、これは、私どもの方は懲戒の基準に関する協約というようなものもできておりまして、日鉄法でもって処分をいたします場合には、本人にはいろいろ弁明をする機会も与えられておりまするし、また他の者がこれを弁護する機会も与えられております。従いまして弁明、弁護というような方法もございますので、はなはだしい事実誤認というようなことはそれによって大部分回避できておるのではないかというふうに考えておるのでございますけれども、本件、ただいま御指摘になりました事柄は、先ほど中村務理事から申し上げましたように、現在裁判に係属しておるということでございまして、国鉄当局側が裁判にかかってもなお処分を撤回せずにおるというのには、やはりそれだけの理由があって争っておるのであろうと私は思うのでございます。しかし根本的な考え方といたしまして、もし明白に事実に誤りがありました場合には取り消しをいたすのにやぶさかではございません。しかしこの事柄につきましてはおそらく——今回は私どももそういうような事実の誤認ということがあってはならないということ厳重に下部の機関にも連絡をいたしまして、慎重の上にも慎重を期するように、なおよく取り調べるようにということは申してございますので、万一間違いがあったということであれば、その場合には当然訂正しなければならない処分であるというふうに考えております。
  25. 吉村吉雄

    吉村委員 裁判ではっきりすれば、それはもう事は簡単になるわけです。私は今までの国鉄処分通告の中でこういうような事例はなかったと思うのですよ。大体闘争の現場に参加もしない。お宅の方では参加をしたというふうに言うているかもしれないけれども、直ちに懲戒基準に関する協約に基づいての手続をしないで、そうして本人から現場長に対して事情を上申をするというような措置がとられたということは、よくよくの事例だといわなければならぬと私は思うのですよ。そういうようなことから考えてみて、この処分の内容というのは明らかに誤認というものが非常に多い。従来組合の活動をやっておったとか、あるいは分会の仕事をやっておったとかいうことだけで、おそらく職場大会には参加しておったのだろう、こういう推測のもとに行なわれたのが、この処分の内容じゃないかと思うわけです。国鉄が大企業であるだけに、そういうものが裁判ざたになって、そうしてああだ、こうだといって騒がれるというようなことは、決していい状態じゃないのですから、むしろこのような特例的な問題でもあるので、特に国鉄当局は自発的にこういったことについては十分調査をして、撤回をする。こういうことの方がより賢明な策じゃないかというふうに申し上げて、最後にこれは忠告をしておきたいと思うのです。  さらに、処分の問題については、もっといろいろ言わなければならない点、明らかにしなければならない点があるわけなんですけれど、今回のこの春闘全般にわたっての処分の問題については、いわば三月三十一日の大闘争をするという寸前において、いろいろな問題が現地地方にあった。これを何とかとどめなければならないということで、予防的な立場に立って、非常に過酷な処分というものが行なわれておる。この前も私が指摘をしましたように、現地の支部の役員、分会の役員が、公労法の十八条の適用によって解雇を通告されるというような例も非常に珍しい例でありますし、今指摘をしましたように、分会の活動家、分会の役員であったということだけで、仮眠時間中であったにもかかわらず、停職三カ月というような過酷な処分をしているということは、やはり一貫したところの大最処分というものを意図的に行なおうという気持がある。従って、そういう意図を受けて、下部の責任者なり何なりというものは動いていきますから、今申し上げたような問題が、国鉄ばかりではなしに、全逓なりあるいは電通などにも起こっている、こういうふうに言わざるを得ないというふうに私は考えるわけです。特に国鉄は大企業でもありますし、いろいろな現場の作業実態というものは、皆さんが机の上で見ているようなわけにいかない多くの問題がひそんでおる。ですから、労使の問題というのは、何か問題が起きてから処分をすれば解決するのだという考え方は捨ててもらわなければ困る。冒頭に私が指摘をしましたのは、公労法が施行されてから十何年になるけれども、公労法の目的を達したかどうかという質問をしましたら、労政局長は、遺憾ながら公労法施行の目的を達する状態になっていない。その原因は一体どこにあるのかということを考えてみますと、問題の本質的な解決をしようという努力をしないで、問題が起きると処分をする、あるいはその処分のあり方等について、本来労働組合運動としてあなた方がやるならば公労法以外に適用でき得ないはずであったにもかかわらず、ここ三、四年来というものはこれに日鉄法を加えて、そうして組合の運動を抑圧しようとする。こういう意図が入って、きた段階になりますと、ますます問題を紛糾させている、こういう状態に相なってきたのではないかというふうに言わざるを得ないと思うのです。これは幾ら抗弁をされましても、歴史がそれを物語っていると思うのです。従来は組合の一つの行為に対しては、公労法以外の適用はなかった。ところが、ここ三、四年というものは、日鉄法も全部これに加えて、そうして現場の活動出家、現場の組合員というものを日鉄法で処分をする、こういうものをずっとこの三、四年になってから採用をしておる。このごろになって、この春闘で特徴的に見られるのは、さらに現場の指導者、組合の役員という人たちにまで公労法の十八条によるところの解雇というものを適用しようとしている。この考え方というものは、一貫して、処分によって労使関係というものを処理しようとする権力乱用の思想というものがその中にひそんでおる。これでは、いつまでたっても労使関係というものは安定もしないし、労使関係が安定をしないということは、労働所の生産意欲というものも増大をしない、こういう原因になっていくと思いますから、こういう点については十分留意をして、そうして問題の本質を解決する、こういう建前で事に当たってもらわなければいけないと思うのです。何回も国会の場ではこの種の問題は取り上げられて同じようなやりとりが続いたと思うのでありますけれども、私は同じやりとりを何回もすることは好みません。従って、一つの議論が行なわれて、一つの応答が行なわれた場合には、その応答を土台にして一歩前進をする、そういう一つの収穫というものを得なければ何の価値もないものといわなければならぬと思うわけです。今あなた方がうなづきながら聞いておるということを見まして、誠意を持って——私の申し上げているのは、紛争というものは押えることによって決して抑圧できるものでもないし、これをなくするわけにもいかない。紛争原因というものをやはりあなた方がほんとうに真剣になってこれを刈り取っていく、こういう努力をしていくという気持がなくては、かえって紛争を拡大するだけだということを強く指摘をしておきたいと思うのです。特に先ほど申し上げましたように、労働省労働省で、問題の紛争になるようなものをそのままにしておく、しかも現地で問題が起こって本省の方に対して指示なり何なりが行なわれているのにもかかわらず、これに対して明確な指示を行なっていない、そういうようなことで紛争が起きますと、経営者との間に——私は事実を見ていないから申し上げられませんけれども、何かいいかげんに話し合って、そうして弥縫的に問題をそらしてしまう、こういうようなことをやっておったのでは、労働省が本来の意味での労使関係を安定させていくという目的を、果たすわけにはいかぬのじゃないか。たくさんの問題が現地であるとするならば、それに基づいて基準を明確に与え、指導を明確にして、そのことを中心にして紛争が起きないようにしていくというのが労働省に与えられた任務であるはずだと思うのです。そういうこともしないで、紛争が起こると大量処分、こういうことをやっておったのでは、いつまでたっても日本の労使関係は安定をしないし、絶対に処分だけで問題の解決はしない。処分をすればするほど労働者の力、労働者の抵抗心というものは高まっていって、いつかはあなた方のやっている道というものは間違いであったということを、何かの現象を通じてあなた方は見せられると思う。そういうようなことでなしに、あなた方が今まで私が申し上げたようなことを十分考えられて、問題の紛争原因を排除していく、こういうために全面的に努力していただかなければならない、こういうこと々強く指摘して、この処分の問題について、まだたくさんありますけれども、一応私の質問を終わることにします。
  26. 永山忠則

    ○永山委員長代理 滝井義高君。
  27. 滝井義高

    ○滝井委員 今吉村君から操車場照明度の問題でいろいろ御質問がございました。先日、私関連してちょっと質問しておいたのですが、さいぜんから吾孫子総裁なり基準局長の御答弁を聞かしていただいておりましたが、どうもはっきりしない。吾孫子さんは、違反をお認めになるようなならないような、あいまいもこたる御答弁をされている。しかし現実にその操車場の問題をめぐって、公労法違反として首を切ったりなんかしていることは事実です。従ってこれはあいまいである答弁ならば、首を切った者のその首切りを撤回してもらわなければならぬと思うのです。  そこで私は、もう少し吾孫子さんと基準局長に詰めていろいろお答えしてもらわなければならぬことになったわけですが、まず第一に、労働安全衛生規則の百九十五条の関係基準法四十三条、この関係です。一体国鉄操車場というものは、労働安全衛生規則百九十五条にいう労働者を常時就業させるいわゆる場所ですね、場所作業面というのがあとにありますが、とにかく労働者を常時就業させる場所であるかどうかということです。これは基準局長吾孫子総裁の両方の見解を同時にお聞きしたい。
  28. 大島靖

    大島政府委員 安全衛生規則百九十五条には、労働者を常時就業させる場所作業面においてこれこれの照度保持すべし、こういう規定になっております。ただいま御質問労働者を常時就業させる場所作業面でございますが、その場所についての規定はきわめて常識的に読むべきものと考えますから、従って労働者が常時就業しておればその場所に該当いたす、ただ百九十五条はその場所における作業面規定ではございますが、そういうふうに解釈いたしております。
  29. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、作業面というのは、さいぜんのあなたの御答弁では、労働者が始終注視している、こういうことなんですね。われわれが仕事のときに注視する面ですから、それは非常に小さい面になるわけです。それは究極に詰めていくと点になるわけです。ある面では非常に狭い面です。広い面ではないわけですね。ところが、この安全衛生規則の百九十五条のただし書きのところをごらんになると、感光材料を取り扱う作業場は除いたわけですね、この限りでない、こういう場合には、作業場となった感光材料なんかを扱うところだったら全部暗くなければならぬわけです。感光材料を凝視しながらやる面だけは見てない。この場合は全部見た。そうしますと、国鉄操車場というものは、ちょうど感光材料を扱うその作業場の逆なんです。それは全面的にわたってぱっとあかりを明るくしておかないと、汽車の切りかえあるいは連結というようなものがうまくいっておるかどうかはわからないわけです。従って、もしあなたがこの百九十五条は操平場に適用しないというならば、一体操車場は何を適用するか、こうなる。国鉄だからといって、労働基準法なり労働安全衛生規則の治外法権にあるはずはない。そうすると、あなたの方で百九十五条は操市場に適用しないならば、操市場は一体基準法あるいは労働安全衛生規則のどの法文を適用するのか、こういうことを逆に問わざるを得ない。
  30. 大島靖

    大島政府委員 百九十五条のただし書きは、今申しましたような作業面について適切な衛生上の照度を保つべき規定の例外を規定いたしております。それは、たとえば感光材料を取り扱う、すなわち暗室のようなところ、それから坑内、そういうふうな衛生上の照度を保つことが特殊に困難な場合における例外を規定しておるわけであります。ただ、ただいま御質問にありました操車場全般の照度の問題といたしましては、安全上の問題を御指摘になっておるわけでございますが、安全上の照度の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、安全基準の編において、たとえば通路でありますとか港湾作業でありますとか、あるいは電気作業のスイッチとか、こういうふうな特殊な場合における安全上の照度規定をいたしておるのであります。それ以外には一般的な安全上の照度基準については、場所によって非常に違いますし、作業によって各種各様でありますので、一律に規定することは困難でございますので、その規定はございませんで、今言った特殊な場合における安全上の照度基準を規則の中で規定しておるわけでございます。
  31. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、国鉄操車場というのは坑内などの特殊な場所に当たるわけですか。
  32. 大島靖

    大島政府委員 衛生上の照度につきましては、操車場の中でもこの作業面に咳当するところはあり得ると思います。たとえばさっき申しましたように操車の指令をいたしますところにおきまして、指令盤のごときもの、こういうものについては百九十五条の適用はあると思います。ただ、操車場全般につきましては、これは衛生上の問題と申しますよりもむしろ安全上の問題でございますので、その点ではこの関係ではないと解釈いたしております。
  33. 滝井義高

    ○滝井委員 特殊のものではないと解するわけですね。そこをはっきりして下さい。この操車場というものは、労働基準法なり労働安全衛生規則の治外法権に当たるものかどうかというこれです。あなたの所管の外にある。これはあなたの方の基準局ではいかんともしがたいものであるかどうかということです。われわれが勉強した限りでは、あなたの方のこの前の夜の答弁では、八十九条の通路だという見解を表明したのです。そんなばかなことはない。だからあなたなり労働大臣なりを呼んでくれ、こうなったわけです。僕らはとてもあれは通路なんというものではないと考えております。操車場は八十九条には該当しない。そうしますとやはり百九十五条あるいは基準法の四十三条でいかざるを得ないじゃないか。だからその二つのもの以外に何か操車場照度の問題その他を規制するものがあれば教えて下さい、こういうことなんです。治外法権にあるのかどうかということです。
  34. 大島靖

    大島政府委員 先ほど来申し上げておりますように、百九十五条は衛生上の照度でございます。従って操車場の中で百九十五条の所定のような作業面、たとえば今申しましたような操車指令盤とか、そういうところについては百九十五条の適用がございます。それからその他の全般的な問題といたしましては、今申しましたように特殊の安全上の照明基準に該当いたしますような場合、たとえば通路がございますれば、通路にはその通路の安全照明基準適用にたるわけであります。しかし操車場全部が通路というわけでもございません。そういうふうな該当の場合については安全衛生規則適用があるわけでございます。その他のものにつきましては、たとえば一般の事務所でありますとか一般の工場の建物、そういうものと同じ扱いで、特殊の規定はいたしておりません。
  35. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。そういたしますと、その操車場操車指令盤みたようなものは、これはもう明らかに百九十五条になる。通路等は八十九条、その他のものは一般の工場とか事務所の規定と同じである。  そこで、あなたの方でいろいろお調べになっておると思うのですが、私のところにも門司の操車場全部を調べたのがここにあります。これは全部門司の基準監督署が調べてくれたのです。零ルクスから二ルクスぐらいの——われわれはこれを粗なる作業場だと思っていたのですが、ところがどうもそういうものも一がいにこれは該当しない、あるいは該当するところも今の答弁ではあることになるわけですね。あなたの方の御調査で、操車場で百九十五条違反の個所が相当あると思うのですが、全部お調べになっておるはずですから、どことどこあたりが違反ですか、お知らせ願いたい。
  36. 大島靖

    大島政府委員 先ほど来申し上げておりますように、百九十正条は御承知通り衛生基準を別に規定しておりまして、衛生上の照度基準なんです。従って操車場の中でこの条文が適用になりますのは、さっき申しましたような操車指令盤でございますとか、そういうところの照度につきましては基準以上の照度保持されておるものと思っております。ただ、一般的な操車場全般にわたる問題としては、これは安全上の問題であります。従ってこれは先ほど申しましたように、学者とか専門家の適切な御意見によって安全上適切な照度を保つべきものと考えます。従って国鉄において設けられておると承知しております照明委員会学者とか専門家委員会でありますとか、あるいは照明学会照度基準でありますとか、こういう専門的な意見も参酌し、なおかつ、先ほど来お話のありました労使安全衛生委員会、こういうところで労使が、これは両者共通の問題でございますから慎重に御研究いただいて、適切な安全基準保持していただきたいと考えております。
  37. 滝井義高

    ○滝井委員 労使双方が安全上の基準を話し合って定めてくれ、こういうことを労働省がおっしゃるわけですが、そうしますと今度は吾孫子さんにならざるを得ないのですが三十六年の二月二十七日、春闘に入る前に団体交渉で操車場照明を改善するための措置を具体的に組合が要求をして、その回答をしてくれということを要求しておるのです。ところが、労働基準法の違反でないと反論するだけで、何ら具体的な回答をしていないのです。そこで組合は非常に立腹をして、それならばわれわれは明らかに労働基準法違反なんだから、そういうところで仕事をすることはできませんと、こういうことを言っておるのですよ。これは明らかに組合基準法の違反だという見解をとってきておるわけです。労働基準法に違反する労働契約は、労働基準法第十三条で無効です。従って労働基準法違反の労働を強制する業務命令に服する義務はない。組合はそういう見解をとったわけです。  それから同時にこれは労働本省から出しておるのですが、これはなかなか奥歯にもののはさまったような言い方をしておるのですが、「追って、同規定についての違反の成否はとにかく」、これは労働安全衛生法百九十五条あるいは労働基準法四十三条の違反のことです。「違反の成否はとにかく、上記の箇所を、含め、国鉄の諸現場においては、特に安全、衛生等の部面から考え、少からず適当なる改善措置を講ずることが好ましいと考えられる事項があるかに思料いたしますので、そうした点に関しては、こんご随時監督実施するほか、鉄道管理局等に対しても会合の機会を求めるなど適時、適切なる改善措置を促がす方針であるので、併せてこの旨御了知下さい。」というのが、佐賀労働基準局長の松原勲君から門司地本執行委員長の岩崎熊雄氏にあてた——つまり操車場全般についてはこういう規定は該当しないと解されよ、という本省からの趣旨を門司地方本部の委員長に回答したときの文なんです。だから成否はとにかくとして、国鉄の現場では安全衛生上不適当な個所が多いということを指摘しておるわけです。これは暗黙に——まあこういうような争いのあるところだから、操車場は違反であるということは言いにくい。それは今までの各基準局が門司地方本部に出した資料をずっと見てみましたが、この門司労働基準監督署は現場に照度計を持って行って全部はかっておるのです。従って門司操車場及び同機関区内の照度調査を行なったところ、労働基準法基準にははるかに満たず、また基準法よりさらに低く定められている鉄道照明基準にさえ遠く及ばないことが判明した。なお、この結果は別紙の通りというのが、さいぜんの一つ一つの個所を全部照度計ではかったところなんです。こういうように門司は現場まで見に行って、割にきちっとしたものを出そうとしているわけです。しかしなお、粗な作業場であるかどうかという——この粗な作業場というのは二十ルクスですから、百九十五条の粗な作業場であるかどうかについては、これは本社に照会してみましょう、こう出ているのです。ところが、その他の基準監督署は、闘争に巻き込まれたくない、国鉄構内照明基準法に該当するかどうか研究の余地がある等の理由で、調査を断わったのです。しかし長崎の基準監督局は組合申し入れでその後立ち会い検査を行なったが、あまり構内が暗いために照度計の目盛りが読めずに、調査ができなかった、こういう事実があるわけです。そこで組合は、二月二十七日の団体交渉の席上で、とにかくこういうところでは仕事ができません。これは民間であるならば労災法の十九条で、そんな暗い場所で働いておったときには、これは事業主の責任なんですから、給付の制限になるんです。そうすると、これは両面から、基準監督署責任が追及されるし、そういう仕事場で働かした事業主の責任が追及されることになる。ただ、国鉄が大企業であり、あるいは準国家的な企業であるので、これをあなたの基準局の方が知らぬ顔をしておるというわけにはいかぬと思うのです。すでに操車場で多くの身体障害者が出たことは、国鉄の長い傷害の歴史がこれを示している。国鉄傷害史を、ごらんになると、操車場において手や足を切断された例が実に多いのです。だから、労働組合としては、そういうところで働くことはできませんと、春闘の一番大きなスローガンに掲げて拒否をしたわけでしょう。いわゆる期待可能性の理論から言えば、そんな暗い場所で働く必要は当然ないんです。働く必要がないので拒否をしたら、それをちょんと首にしたんですからね。さいぜん吾孫子さんは、そういう暗いのはなるほど直さなければいけませんと、こうおっしゃった。直さなければいかぬということはおわかりになっておるのに、労働者が拒否をしたら首を切るという法はないでしょう。だから、吾孫子さんの方で、この照明は間違っておらぬ、あくまでもわれわれは過去から現在から未来永劫にこの暗さでいくのだ、こうおっしゃるならば、今そうおっしゃって下さい。そうすれば、私たちは徹底的に、これは基準局長にはお気の毒だが、つるし上げても基準法違反と言わさざるを得ないわけです。どうですか、吾孫子さんの方は、今の暗いままでずっとお行きになるつもりなのか、あるいは間違っておると思ってお直しになるつもりなのか、どちらです。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄作業場というものは、もちろん基準法のらち外ではございませんので、基準監督署なり基準局から始終監督を受けているわけであります。それで、ここが悪いと言われたところは直すように努力をいたしておるわけでございますが、問題になりました熊本構内照明度基準法違反であるかどうかというような問題は、これは終局的には労働省基準局長が最後の有権解釈をなさるお立場であられますので、国鉄職員や何かが勝手に、これは違反であるとか違反でないとかいうことを解釈すべきものではないというふうに私ども考えておるわけでございます。この具体的な事態が起こりました際に、組合側から、これは労働基準法違反だから、その違反の状態を改善しない限り作業をやらないのだ、こういう申し入れがあったことは事実でございます。それに対して、当時、現場の管理者であります駅長は、構内照明の問題については今後も改善については努力をする、しかしとにかく仕事は仕事で一つやって下さいということを述べております。と申しますのは、国鉄構内の現場の明るさというものは、なるほどいわゆる戸外でありますから暗うございますけれども、長年の間にだんだん照明具等も整備いたしまして、昔に比べれば最近はよほどよくなっておるはずでございます。その同じ構内で何十年も前から仕事をしておるのでありまして、それがいきなりその日に限って基準法違反だから仕事をやめるのだというようなことを言われることは、これは常識から考えましても無理な話ではないかと私は考えます。それに対して管理者である駅長が再三にわたって、構内作業環境の改善ということには自分も今後も努力をするつもりであるから、とにかく諸君は業務命令に従って仕事をしなさいということを勧告いたしておりますのに、それを拒否して仕事をしなかった、職場の放棄をした、その結果多数の列車がとまりあるいは遅延するというような結果になったのでございまして、そういうことは許されないからというので処分をしたのが実情でございます。それで、このことが基準法違反であるかないかということは、国鉄が勝手に解釈できる問題ではございませんので、これは基準局長から御意見のありました通りであると考えておりまするけれども、私どもといたしましては、もちろん作業環境というものは少しでもよいものにすることが必要であるというふうに考えておりますので、今後も作業環境の改善のためには、なお一そう努力をいたして参りたい、そういうふうに考えております。
  39. 滝井義高

    ○滝井委員 吾孫子さんは、どうも組合がその日になって突然作業を拒否したようなことを言われるけれども、さいぜん吉村君も言われておったし、あるいは門司関係組合意見を聞いてみても、組合は今日まで繰り返し照度を上げるように絶えず当局に要求をしてきているのですよ。しかもわざわざ基準監督男にまで依頼をして、そうして照度を見て下さいと言って要求をしておるのですから、これは当然組合が言う前に、経営者の側が言わなければならぬのですよ。作業場照度責任は経営者の責任なんで、労働者責任じゃない。ところが、経営者側が、暗いからと言って仕事をやめて、列車がとまったからけしからぬとおっしゃるならば、それじゃ暗い場面で労働者がけがをしてかたわになったときには、あなた方元の通りにして戻しますか。どうです。元の健康なからだにして返しますか。
  40. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 構内における傷害事故の防止ということには絶えず努力をしてきておりますけれども、不幸にしてまだそういう事故が絶無にはなっておりません。そういう事故が発生いたしました場合に、元のからだにして返せとおっしゃられましても、それは現在そういうことは不可能でございますが、それに対しては国鉄として、その自後の生活の援助、保障というようなことについては、できる限りの努力をいたしております。
  41. 滝井義高

    ○滝井委員 いいですか、自分が法律に違反をしておいて、そうして片一方には法律を守れ、守らなければ首だぞ、しかしお前らがけがをしたときには、まあまあ元の通りにすることはできぬから金で解決しようという、これが資本主義の根性です。そういう根性で国鉄職員をあなた方が扱っているところに問題があると思うのです。これは結局、国鉄の列車が大事であって、物が大事であって、国鉄職員がその次になっているということです。人間第一の精神が国鉄に欠けている。そういう意味で、基準局長、これは当然労働基準法五十五条違反じゃないですか。だからあなたの方は国鉄の汽車がとまってもやむを得ぬですよ。直すまでは夜間の作業はとめたければいかぬ。そのくらいの強い態度で臨まないと私はいかぬと思うのです。これは、あなたの方は何か話がまとまったような工合で、百九十五条が操車場には適用しないというような解釈をしているけれども、立法者の、われわれ国会の意思はそうじゃないです。だからあなたの方が勝手にそんな解釈をして全国に通達をすれば、裁判をしているものは一体どうなるかということです。こういう点からいったって、現地の官庁はなかなかよう裁断を下し得なかったんですが、それをあなたの方がこういうことだということで勝手にお流しになることも、これは問題だと思う。こういう紛争があって、はかってみたところが、照度計の目盛りも読めぬというようなまっ暗な中ですよ。そんな中で一体人間に汽車を動かさしていいかどうかということです。これは常識ですよ。法律以前の問題ですよ。これは直すと言われておるんだが、もう首を切られた者は、直すだけでは間に合わない。だから、それならば一つ基準局長吾孫子さんに言って首切りを撤回させるべきです。そういうことでやった者の首を切っているんですからね。門司で言えば、竹村俊夫、牛島辰良という二人の人の首を公労法違反で切っている。そういう、私たちの方もこれは直さなければなりませんぞというようなものが団体交渉で出て、それに現地当局側責任者が答弁ができずに、中央に解釈を求めて、国鉄側もくるだろうし、現地基準監督署も求めてきている。こういうような何かあいまいもこたる問題を労働者が強く要求して、だめだと言われて、やめたら直ちに首を切るということはけしからぬと思うのです。それならばちょっと待て、この解釈基準局も入れて話し合ってみよう、このくらいの答弁組合にすべきです。そうして君らの汽車をとめるのを待って下さい、就業拒否を待って下さい、こういうのが、もし国鉄がほんとうに労使一体となって列車の運行をやろうとするだけの民主的な雅量があるならば、それをやるべきだと思う。ところがそれをやってないから、基準監督署といういわば基準局長の方に迷惑が及んできたわけです。あなたは結局そば迷惑を食ったんです。しかしこれは監督官庁だからやむを得ぬそば迷惑だ。それだから私は吾孫子さんに強く要求せざるを得ない。こういう杉でやった首切りというものは、法治国家においては許されぬと思う。あなたの方がまず第一に違反しているんですから。それは幾ら通路であろうと、一般の作業場であろうと、照度計の目盛りが見えぬようなものは、だれが考えても基準法違反ですよ。これはもう基準局長認めるでしょうね。照度計がまっ暗で見えぬというようなところが、もし操車場で違反でないとあなたが言えるならば、それを私は承っておきたいと思います。
  42. 大島靖

    大島政府委員 基準法五十五条の規定は、安全衛生規則等に規定いたしておりますことに違反がありました場合、これに変更を命じたりする規定でございます。問題の百九十五条につきましては、もう再三繰り返して恐縮しごくなんでありますが、衛生基準の編に規定されておりまして、従って労働衛生見地からする照度保持、それは作業面における照度保持、こういう規定でございますので、操車場の中でもそういう規定に適合いたしますところにつきましてはこの規定適用があると思います。ただ操車場の全般についての安全の基準というものについては、さっき申しましたように、特殊の規定はいたしておりません。従ってやはり専門家学者の御意見によって適切な安全基準保持するということに、これは労使一体となって今後努力していただきたい、かように考えます。
  43. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、吾孫子さん、今御答弁通り、やはり労使双方学者その他の意見も聞いてやってくれ——あなたの方は学者意見を聞いたのが鉄道照明基準だと思うのです。ところが、この鉄道照明基準にもし操車場が合致しておっても、これは労働基準法の立場から、あるいは労働安全衛生規則の立場からいうと、鉄道照明基準ではどうにもならぬ点があるわけです。あるいは鉄道照明基準より低いところがあるのです。だからこういう点でもうしばらく検討してくれ、こういうことなんですから、これは当然あの照明では足らない、だから私たちは仕事ができないという労働者を首切ることは不当です。これから研究をして下さい、労使双方仲よく研究して下さいというものを、労働者側の、それはいけませんと就労を拒否した者を首を切るということはいかぬ。これはあまり極刑です。それはもっと具体的な話し合いが内容まで突っ込まれて行なわれた上で、なお労働者側が無理押しをしたというなら、これはやむを得ないのですよ。ところが、当局者側の方が違反でない違反でないと言って、ちっとも誠意を示さなかったのですから、その罪はむしろあなたの側にあるのです、われわれ第三者から客観的に見れば……。どうです。吾孫子さん、この問題は一つ、私はきょうはこれ以上言いませんが検討してもらいたいのです。首切りもひっくるめて検討してもらいたいと思うのです。これは人間一人の命ですから、それを首切るのですから、あやまちは改めるにはばかってはならぬと思うのです。だから一つそれをあなたの方が、照明その他の問題も労使双方で十分操車場についてやる、その場合には基準局の意見も一つ聞こう、こういう形でやりましょう、そういうものに関連して首を切ったり停職にした者についてはある程度検討してみよう、これだけの寛大さがあなたにあれば、私これでやめます。
  44. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 熊本にいたしましても門司にいたしましても、基準法違反ということにはならない、こういう御解釈であるというふうに基準局長の御説明は私は承ったのでありますが、しかし作業環境というものは少しでもよりよいものにすることが望ましいのでございますから、私どもといたしましては、今後なお一そう作業環境の改善ということについては十分努力をいたして参りたいと思っております。ただこのことと処分との関係は、先ほども申し上げたのでございますけれども、たとえば熊本の場合、組合側が単に構内の設備をよくしろ、照明度を明るくしろという要求だけをされておったのならば、そのことで処分なんかもちろんいたしませんので、それに対しては、駅長も、そういう作業環境の改善には自分も努力します。だけれども仕事はやって下さい、こう言ったのに対して、それを拒否して職場離脱をやって仕事をしなかった、そっちの方の事実を処罰したというわけでございます。それで、ただしその事実に誤認があったということでございますれば、もちろん処分を改めなければいけないと思いますけれども、この点は、ただいままでいろいろ調べましたところでは、そういう誤認はなかったというふうに考えておるのでございますけれども、なお一そうよく取り調べを慎重にいたしたい、かように考えております。
  45. 滝井義高

    ○滝井委員 あなたは労働基準法なり労働安全衛生規則の違反でないと、こういう操車場を割り切っていらっしゃるけれども、さいぜんの答弁のように、操車場の中には百九十五条適用場所もあるのですよ。それから八十九条の適用場所もあるのです。あるいは一般の工場なんかに適用する基準法なり労働安全衛生規則、これを適用する場所もあるのです。だから、それが確実に違反でないということを基準局長が割り切れるかどうか、もしそれであるならば、私はここに一つ全部この地図を出しますから、これで、どこが違反でない、どこが違反しているということを指摘してもらいたいと思う。これは一つ一つ門司でははかってみている。これを全般的に達観してみれば必ずしも基準法に合っていないのです。だからこそあんなあいまいな答弁になってきた。粗なる作業場であるかどうかということだけが問題になった。これは粗なる作業場でないと断定すればあるいはそうではないかもしれませんが、しかしこれは常時作業しているし、われわれの常識からすればこれは粗なる作業場ですよ。こんなふうに全部調べてみておるのですが、それならば一つ一つについて私は基準局長に見てもらわなければならぬ。これは現場を一つ調べれば、どこでも大体同じ条件ですから、わかるのです。一番条件の悪いのは長崎です。長崎基準監督署の調べたところでは、もう照度計の目盛りが読めない。門司は一つ一つの点について全部調べたのですから、この一つ一つについてもし吾孫子さんががんばるなら、門司の基準監督署長をここに参考人として呼んで、なんなら一つやってもらいますよ。あなたの方で断じて違反がないと断定できない。私もここらあたりは選挙のときに全部回ったから知っているが、暗いのです。だから、そうあなたの方もがんばらずに、あやまちは直していいのです。こういう暗い作業場国鉄が持っていることも現実なんですから、あなたの方でがんばるというなら、まだ会期がありますから、僕らもがんばって、現地の門司の基準監督署長にここに来てもらって、この地図ははかってもらったのですから、一つ一つの場所で違反しているかどうか、もし違反しておったら吾孫子さん、あなたの辞表をもらいますよ。とにかくあなたの部下を二人、これによって首を切ったのだから、作業場基準法違反でないとあなたが確信をお持ちならば、二人の労働者が泣くか、あなたが泣くか、これは運命をかけなければそんな断言はできないはずです。だから、あなたが一歩も引かぬ、おれの方は労働基準法違反でない、こういう立場であなたががんばるならば、二人は泣き寝入りしなければならぬのだから、二人の命を助けるためには基準監督署長を呼んで、この作業場に一つの違反もなかったということを私たちは証明してもらわなければならぬ。もし違反があるということになれば、今度はあなたの首が飛びますよ。これだけのことをはっきりしなければならぬ。人を罰するからには、みずからの身を清潔にしておかなければならぬ。みずからが正しい道を歩んでおかなければ、最高責任者としてそういうことはできないはずです。あなたから、おれの方は一つも基準法違反がない、少なくとも門司については違反がないという御答弁さえいただけば、私はそれを信頼して、現地基準監督署長をここに呼んでもらいます。そして基準監督署長が、一つも労働基準法の違反がございませんという証言をすればわれわれは負けです。そんなことを裁判に待つ必要はない。これらは事実問題だから、そのときはそのときの行政処分に従って泣き寝入りさせます。どうですか、ここであなたの最終的な見解だけ聞いて質問をやめます。
  46. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 安全衛生規則百九十五条の解釈については、基準局長から先ほど御説明があった通りでございまして、私も別にそれと違った解釈をしておるわけではございません。  それから門司の構内お話でございますが、これにつきましては、私ども基準局の監督を受けておりまして、今まで基準監督署の方から、基準法違反であるという御指摘を受けたということは、また聞いておりません。
  47. 滝井義高

    ○滝井委員 ではごめんどうでしょうが、門司の基準監督署の所長を、参考人としてぜひお呼び願いたいと思います。
  48. 永山忠則

    ○永山委員長代理 理事会で相談いたします。  次は大原君。
  49. 大原亨

    ○大原委員 時間がないから簡潔に答えて下さい。  今回の春闘の処分で、吾孫子さんは先般の委員会におきまして、公労法による処分と日鉄法による処分——公労法は組織上の行動に対して処分するのだ、それから日鉄法は個々行為に対する責任を追及するのだという答弁をされましたが、それは間違いありませんか。
  50. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の申し上げたのは、ただいまのお尋ねのままでございますと少し不正確であるのでございます。  公労法で処分をいたしました者の中には、組織上の責任を追及するという意味合いで公労法で処分をいたした者もございますし、またそれらの行為が十七条違反であるということのゆえに、公労法を適用した者も相当あるわけでございます。日本国有鉄道法によります処分の方は、それらの職員行為国鉄の定める就業規則その他法令に違反するような行為があったということが理由で処分をされておるのでございます。
  51. 大原亨

    ○大原委員 だから僕はそのことを質問していた。公労法十七条にある罷業、怠業行為その他というのは組織的な行動でしょう。だから十七条の処分というのは組織上の行動の責任を追及したのだ。こういうふうにあなたはこの前も言った。そうでしょう。
  52. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法十七条の規定は、今列挙なさいましたようなもの、その他業務の正常な運営を阻害する行為、そういうことをしてはならないと書いてございます。
  53. 大原亨

    ○大原委員 だからその他というのは例示をしたものに準ずるそういう行為なんですよ。法律解釈はだれだってそうなんです。そうすると公労法は団結権と団体交渉権と団体行動権を保障した憲法に基づいて一般労働法の特別法として出ておるのです。その団体行動権についての規制をここでしたわけです。そうでしょう。
  54. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法の解釈について私が申し上げておりますことは、特別に新しいことは何もないのでございます。ただ専門家でございませんから、この条文の御解釈労政局長にお尋ねいただきたいと思います。
  55. 大原亨

    ○大原委員 では労政局長に尋ねます。公労法についての解釈やあるいは三公社五現業が実際にやる行動について、その適、不適について行政上の判断をする機関は労働主管省であります。従ってあなたはこの前もいろいろ言いましたけれども、あなたの御答弁と全逓、電通その他の答弁との間に食い違いがあったわけですが、十七条については、私がただいま吾孫子さんに質問いたしましたように、そういうふうに解釈いたしておるのでしょう、いかがでしょう。違っておれば違っておる理由を一つ聞かせて下さい。
  56. 冨樫總一

    ○冨樫政府委員 公労法に規定されておりますのは、法の性質上、当然労使関係という領域におけるもろもろの活動を規制しておるわけであります。その労使関係の領域かどうかということは、健全なる社会通念で律するということになるわけであります。
  57. 大原亨

    ○大原委員 それではっきりしました。  公労法は労使関係についての規律なんです。労働者が団体を作って労働組合で団結する団結権を保障されておるわけですが、そういう労使の間における関係なんです。「職員及びその組合は、」こういうのはそれらの問題を含んだ概念です。十七条は十八条の関係においてそうなるのです。だから私が、あなたはこういう御答弁をなさったでしょうといった点について是認されてもいいわけですが、いかがでしょうか。
  58. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今労政局長がおっしゃいましたように、労使関係に関連するこれらの行為をいっておるのだということでございますので、組織上の責任にのみ限定してこれを適用するというふうに私が前に申し上げたのではないかというお尋ねでございますけれども、そたは必ずしもこの十七条に該当する事項のすべてが組織上の責任であるとは断定できない、最後の判断はこれは常識によるべきことであるかもしれませんけれども、やはり個々の行動を見ました場合に、それらの行動が必ずしも組織上の責任であると言い切れないようなものも、この十七条に該当するものがあるというふうに私は考えております。
  59. 大原亨

    ○大原委員 労使関係について公労法は規定し、十七条、十八条はその労使関係についてのそういう制限を設けているのだ。あなたはそうではないというのですか。
  60. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 労使関係について規定されておるのだということを否定しているのではございません。ただ組織上の責任のみがこの十七条に属するんだということにはならないと言っておるのであります。
  61. 大原亨

    ○大原委員 何をあなたは言っているんですか。私が労使関係というのは、労働者と使用者との労働関係なんですよ。これは労使対等の原則に基づいているのですよ。憲法に基づいて労働三法があるのです。そしてそれに基づいて特別法ができているのです。その特別法を含めての労使関係なんです。労使関係以外の問題があるなどという、あなたの方のは労働省見解と違うのじゃないですか。いかがですか。
  62. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私は違っておらないと思っております。
  63. 大原亨

    ○大原委員 違わない理由を答弁して下さい。
  64. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 違わない理由とおっしゃいましても、むしろそれこそ労政局長にお尋ねいただきたいと思うのでございますが……。
  65. 大原亨

    ○大原委員 あなたは前のときには、公労法はいわゆる労使関係、組織上の問題について問題があった場合に、十八条で処分が行なわれるのだ。だからそれに対して労政局長は、公労法は労使関係を規律いたしております。こう言ったのです。労使関係以外でもあなたはあるようなことを言うから、そういう御答弁ですから、それはおかしいじゃないかと私は言っているのですよ。だからあなたが答弁しなければいかぬですよ。
  66. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 十七条というものが労使関係以外の事柄に適用される場合はないということは、もう仰せの通りであると思います。
  67. 大原亨

    ○大原委員 それで、きょうはこれから具体的な問題に入っていこうと思ったのですが、時間がないから保留いたしておきます。公労法の十七条二項を今度はILO八十七号条約に関係して設定いたしますね。それは今までの公労法の立法の趣旨をずっと論議をしていきますと、特に今回の春闘の処分等においては大問題である。たとえば私が指摘しようと思ったのは、広島の動力市の第二支部の坂井君の処分どもそうです。事実をまるっきり誤認しておる。労働法の趣旨に反しておるものを公労法で処分しておる。こういう具体的な問題を各方面から私は検討したいと思います。しかしながら、遺憾ながら時間がありません。公労法の十七条の二項について、大体あなたが発案をされたというように聞いておりますが、今までの法律ではなかなかうまくないから十七条二項を設けられた。関連法規と称して、団結権、組織上の問題を他の法律をもって労使関係処分していこう、こういう考えでやられた、こういうことはきわめて明確なんです。だから私どもは、そういうことは絶対に団結権の侵害である、こういう建前です。これはあなたが発案されたということについては言い過ぎかもしれません。しかしながら、この問題はきわめて重大な問題であって、私は動力車労組の第二支部の処分問題を含めまして、後に一つ機会を得まして徹底的に議論をしたい、こういうふうに思います。  それから公労法十七条に関連しまして、これは労使関係規定いたしておるのですから、使用者側には法律を守る、公労法を順守する責任があるわけです。これは議論のむし返しになりますけれども、本質的な問題ですから、いつもこの問題は論議しなければいけない。今日まで仲裁裁定を当局は完全実施していない。これは重大なる立法上の問題だと思う。法の趣旨の問題だ。  もう一つの点を指摘するならば、たとえば国民のための国鉄総裁は、国鉄労働者の基本的な人権を尊重しなければならぬ。その中において初めて国民のための国鉄ができるのだけれども、新東海道幹線の汚職なんかの問題にいたしましても、一課長補佐がやったんじゃないのです。課長補佐だけではできない。これは部内からのいろんな意見を、私はきょうは具体的なものを持ってきましたが、時間がありませんから申し上げません。そういうことなんかにつきましても、そういうことを重ねていて、そうして二千億円も金を使う新東海道幹線の問題、そういう問題等を含めて、今の基準法の問題、当局が使用者としての責任を果たさない、特に全労法だけに限定するならば、仲裁裁定を実行しない。一度実行しなかったらずっとその後まで被害が及ぶのです。このことは労使対等の原則に反するのみならず、団結権保障の精神に反しておる。十七条、十八条の立法の精神にも反しておるわけです。だから罷業権を禁止したということは、絶対的な禁止条項ではないわけです。相対的なんです。私の意見を全般的に言えば。皆さんがそういう点について理論的な根拠を固めてもらうために全部を言っておくけれども、そういう点について私は徹底的に追究しなければ、労使関係は正常化していかない。韓国みたいになっちまう。政治が乱れておるのです。当局が一方的なことをやっておいてから、労働者法律を守れ、そういうことはない。だから処分等においては、改むべき点は虚心たんかいに改むべきだ。  私はこまかな理論闘争をしたいと思ったけれども、時間がございませんから、問題点だけを指摘しておきまして保留をいたしておきます。
  68. 永山忠則

    ○永山委員長代理 小林進君。
  69. 小林進

    ○小林(進)委員 私も、実はこの国鉄の不当労働行為の問題については、一口ばかり時間をお借りいたしまして徹底的にやりたいのでございます。それば吾孫子総裁も御存じの通り、例の天下に名をなした新潟のストの不当労働行為の問題で、あなたや総裁に出ていただいて丁々発止の議論をしたことは御存じのはずでございます。私はあの問題はあれでほこをおさめたわけではないのでありまして、自来も時折新潟の現場の中を私は私なりに調査をしたわけでございます。ところが当局は、御承知のように河村現職員局長をトップに立てまして、あそこで第二組合をお作りになった。自来新潟の国鉄労働組合は、この経営者側の分裂をそのままモデルにしたような三つも四つも組合ができて、今も苦悶しておることはあなたも御承知通りだ。私はそういう問題も兼ねて、実は去年の暮れもわが社会党の国会議員を中心にして数名、新潟の国鉄労働組合のその現場の中へ入って、あなた方が、と言っちゃあなたはお気に召さぬかもしれませんけれども当局側の不当労働行為の実情を調査をいたして参りました。直江津の駅にも行きました。それから長岡の操車場にも参りました。東三条駅にも参りました。こうして私どもは全部現地を見てきた。その中で、いわゆる職制と称する現場長あるいは総括助役、そういった人たちが、すなわち第二組合、あなた方のお気に召している第二組合組合員を勧誘していられるという事実も見て参りましたし、いわゆるあなた方のお気に食わない第一組合員であるからということで、昇給をストップせられておるという事実も見て参りました。それから第一組合の掲示板を、いわゆる助役や駅長が一生懸命それをほうり出しておる、あるいは掲示を拒否したりして争いをしているという現場を見て参りました。これくらい当局が労働組合に介入しているという明らかなる事実を現わしているところはない。私はこの問題はああやって今公労委にも提訴されている問題でありますから、公労委の調停やら裁定を見ながら私ども国会で一つ取り上げなければならないと思って、その時期を見ていたのであります。ようやくそ時期がきたと思って、実はこの問題を私はあなたと対決をして大いにやるつもりだった。ところがいま一つ医療の不当労働行為の問題で実は警備局長も来ておられまするし、残念ながら時間がない。そういうわけで、まことに残念でありますけれどもきょうはやりません。そんなわけで、あらためて一つあなた方に私どもは事実を例示してお尋ねをしたいことがたくさんありまするが、それはそれとして、ああやって国鉄職員が三つも四つも分かれていることは、営業上から見ても決して成績は上がっていないと私は判断する。同時に、サービス・ステーションである駅へおりても不愉快であります。おそらく新潟鉄道管理局管内ほど乗客としておりて不愉快な感じを与えられるところはないと思う。これだけでも営業成績から見てあなた方は間違っておる。営業成績から見ても、乗客に対するサービスという観点から見ても間違っているのですから、どうかこれはこの際あなた方も反省をしていただいて、また私は近い将来にあなた方と対決しなければならぬと思いますが、それまでの間にも、組合も反省するようなところがあったら反省すればいいが、当局も一つ反省するところは反省していただいて、どうかそういう不当なる労働行為や不当なる組合の干渉等はやめて、さすがに国会の社会労働委員会で一応問題にしただけ形が変わったという何らかの姿を私どもは見せていただきたいと思います。時間がありませんから、これだけで私は終わらしていただきます。      ————◇—————
  70. 永山忠則

    ○永山委員長代理 厚生関係及び労働関係基本施策に関する件、特に医療関係における労働争議に関する問題について調査を進めます。  質疑を許します。田中織之進君。
  71. 田中織之進

    ○田中(織)委員 時間がありませんので、簡潔に私の質問を申し上げたいと思いますから、警備局長並びに医務局長労政局長からそれぞれお答えをいただきたいと思います。  本件、特に十仁病院の争議の問題でありますが、前回本委員会で取り上げて以来、むしろ問題がいろいろな方面に派生をして、ますます泥沼争議の様相を呈しておりますので、重ねて取り上げていただいたわけでありますが、そのときに警察庁当局が私の質問に対しましてお答えになられたうちで、この争議と——警察の私どもは不当干渉と見ておるのでありますが、きっかけになった四月十七日の病院側の暴力団と組合側との間の寮の占有に関する紛争の際以来、十数名の警官が、その問題の寮に、木幡組という会社側の雇った、俗に暴力団といっている者とともにおったということは、これは私どもどうしても通常の争議には考えられない問題なのでありますが、局長も前回は、そういうことがあったとは常識的に考えられない、こういう答弁があったわけでありますが、私が指摘しましたように、この事実関係がございます。  それからさらにこのことが、その後組合側がとりました現状不変更に関する仮処分の際に、裁判所側からもいわゆる従業員の居住権保護の見地から警察側に何がしかの連絡があったというふうに私は聞いておるのであります。前回、考えられないと言われていた事実が現実に私はあるように伺っておるのでありますが、この問題がことさらにこの争議に対する警察の関与ということにとられるきっかけになっておるのでありますから、事実関係を明らかにしていただきたいと思います。
  72. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 前回の委員会におきまして、お尋ねに対して私が考えられないとお答えをしたわけでありますが、事実そういうことがございましたので、これは深くおわびをして訂正をいたします。  四月十七日にあの事件が起こりましたあと、病院側からは、その応援の労組等を含めまして、その建物に対する警備が必要だというようなことで要請があり、かたがた組合側の方は、あそこに木幡工務店の者がおりますために非常な危険を感じており、その保護をしてもらいたいというような御要望が両方からあり、そこで十七、十八、十九、二十日は九名の者が制服で夜そこにおりまして、寝泊まりという言葉は適当かどうかわかりませんけれども、階下の一室にマットレスがありまして、そこに拳銃も制帽もつけたまま交互にころがって仮眠をしたという状態においておったのでございます。二十一日から二十五日は二名ずつでございまして、自今五月八日まで一名ずつおったということでございます。これはこの前お答えしました通り、実は労使双方の争議等の際に、その一方の管理いたします建物を借用してそこにいるなどということは、これは御心配のように介入というような疑問を受けることもございますので、そういうことは原則としてあり得ない、そういうことでお答えをいたしたわけでございます。この場合には建物の入口が一つしかございません。その入口で入る入らぬというような争いもあったようでございまして、その後そこに制服が、今申しましたように中におりまして、門の出入、入口の出入等について居住者の出入が問題ないようにする、あるいは弁護士等が見えたときにこれが阻止されないようにするというようなことでは役割を果たしたように聞いておるのでございます。前回の答弁が違っておりましたので、つつしんでおわびをいたします。
  73. 田中織之進

    ○田中(織)委員 このことが通例の労働争議の場合の警察としての中立的立場から見て、妥当であるかどうかということについては、後ほど労政局長見解を伺いたいと思うのでありますが、現状は、これは病院側の要請からということで警察が動くということ自体が私は問題だと思う。現にこの寮には、前回も申し上げたように、まだ寝泊まりしている従業員がなわばしごで出入しなければならない、もしなわばしごで出入をしなくて階下の入口を通るとすると、やはり木幡組の者が二、三名いまだに下にたむろしておりまして、看護婦さんたちの組合員の乳をさわったり、あるいはもっとわいせつなことをやらせなければ、何を持ち出すかわからぬということで、身体検査をやらせなければ通さないのだ、こういうような事実が現実にまだ繰り返されておるという点から見ても、やはりこの病院の経営者のとっている態度というものも私は問題だと思うのですが、そういう意味で、病院側の要請に基づいて警察がとった処置は私はきわめて適切でないばかりか、これは警察の労働争議に対する干渉だとわれわれは断定せざるを得ない事実なんであります。この問題については、現状に基づいて私は十分警察当局としても反省をしてもらいたい。  そこで当日の事件について、この間も申し上げましたように、被害調書がとれなかったというような関係があるのでありますが、国会で問題が取り上げられそうになるというようなことで、理事会の日程が組まれまして以来、それは警察で取り調べに協力するということで調書ができ上がったはずであります。その後数日間は警察が寝泊まりしなければならぬような状況にあったわけでありますから、私はかなり緊迫した情勢の中で起こった暴力行為だと思うのであります。その問題に対する警察の取り調べはその後どういうようになったか、一説に聞くと書類送致をしたというようなことも言われておるのであります。この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  74. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 この点につきましてはせんだってもお尋ねがありましてお答えした通りでございます。結果から申しますと、警察の調べが済みまして五月の十六日に検察庁に送致をしてございます。検察庁側の調べが進んでおることと思います。その後に警察官をそこに置かなければならぬほど緊迫した状態であるのに、なぜ手ぬるかったかというお尋ねと思います。もちろん御存じのように、警察官がそこに配置されましたのはその事件のありました日の晩からでございます。その事件のありましたときに警察がすでに現場にいたということではないわけでございます。そこで最初の警察官が参りましたときには若干トラブルの状態があったようでございますけれども、いわゆる傷害事件というようなものが起こっておる状態ではないようでございまして、直ちにそこにおりました関係の者を警察に同行いたしまして調べ、引き続き被害者側から御協力を得ようということでその取り調べをばかりましたけれども、御協力が得られなかった。五月六日以降被害者側の協力を得て、十日を前後といたしまして関係者を再度取り調べました結果、検察庁に送った、こういうのが実態でございます。
  75. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は取り調べの問題に当たっても、木幡組というのは一種のやくざというか、工務店という名称ではありますけれども、これはやはり十仁病院の経営上起こるトラブルに対して力をもって威圧するために常雇いで雇われている者なんです。われわれがあとで調べたところによると、正常な、争議の起こらぬときでも、手術の問題から不祥なことが起こりそうなときに暴力団が出てくるというのがこの病院の通常のことであるということも耳にしているのです。この点は後ほど医務局長にもお答えをいただきたいと思いますが、それよりも重要な問題は、二十三日でありましたか国会でこの問題を取り上げてから、二十四日の午後になりまして警察官と木幡組とによって、現在争議団の本部になっている組合員の寮の背後のあき室から何物かを持ち去ろうとした事件が起こった。あとで調べてみると、どうもそれが盗聴器のレコーダーらしい。現在御承知のように、二十六日の夜八時半に愛宕署が捜査令状を発しまして、現在盗聴のマイクが二個押収されておるわけです。それは二十四日に国会で問題になった。私どもは木幡組の関係と警察官であるということについては確実な証拠はつかんでいません。しかし一一〇番に通知をして、愛宕署から滑川君外三人の警官が来ている目の前で、部屋からどうもレコーダーらしいものを持って逃げるのを取り押えることをしなかった。たまたまその組合員がそれを新橋駅まで追っかけたけれども、多分警官の身分証明書であろう、そういうものを提示してホームへ逃げ去ったということから、どうも警察の関係ではないかということも疑いを持っておるのでありますが、現在に至るまでその盗聴器の本体は出ませんけれども、二十五日の午後になりまして、会議等をやる看護婦さんの寄宿舎の二階の天井の通気孔の上に盗聴マイク二個がついておることが発見され、私も事実見て参りました。二十七日の各新聞がいずれもその写真を載せておるわけであります。たまたまちょうど社労の開かれておるときで、こういう問題が発生しているということを同僚に連絡しながら現場へ参りましたところ、警視庁の公安から佐藤警部補という人が来て、盗聴マイクのあることは確認をいたしました。それから写真も十数枚とられたようであります。ところが不可解なことに、二十六日の午前三時半ころに何者かがこの盗聴マイクを盗み去ろうとして従業員から騒がれた事件がございます。そうすると、二十六日の午前になりまして、警視庁の公安の佐藤警部補並びに愛宕署から数回にわたって、この盗聴マイクのことについての聞き取り書を作らしてくれということで組合責任者の出席を求めたのでありますが、組合側が断わったそうであります。そうしますと、夜の八時半になりまして、愛宕署が夜間に捜査令状に基づいて約四十名の警官を動員してこのマイクを押収しておる。盗聴器をつけるというようなことは住居侵入であり、人権侵害であるから犯人を捜査するのだという名目でありますけれども、前日に警視庁の公安から参りまして現場の確認もしておりますし、従業員の方には、このマイクを何者がつけたかということについての調べが進展するまでの間は持ち去ってはならないということを私ども指導いたしてあったものを、特に警察が四十名からの警官を動員して、夜間にこれを押収していくという態度は私どもはどうも理解ができないのであります。一体この盗聴マイクは何者が施設したものであるか。新聞に出た病院の副院長の談話によりますと、病院側でつけたものでは絶対ない。それから梅沢院長は、これは警察の指図によってつけたものであるということを関係者に話をしておるのであります。いずれ取り調べの段階で宣誓をさしてやれば事実がはっきりすると思うのでありますが、私どもはどうも撤収の状況から見て、いまだにこれが何者によってつけられたかわからないと思うのです。そういうことも捜査当局が明らかにしないところから見て、三十数名の争議であるにもかかわらず半年以上続くこと自体が私ども理解できないのでありますが、それに対して、盗聴器まで数個つけて組合員の動静を探るというような形で、この争議に警察が必要以上に深入りしているところにわれわれ釈然とすることのできない問題がある。争議の本質的な労働条件の改善の問題よりも、盗聴器をつけて起居についての一々の発言をレコードする、これは人権侵害もはなはだしいことで、断じて許すべきことじゃない。もし争議の経過について何らかの情報をキャッチするという形で警察が敷設するということになれば、これはスパイ政治の極悪なるものであって、断じてわれわれ容認することはできないと思う。天下の新聞——紙や二紙でなく、ほとんど全部の大新聞が取り上げておる事実でありますが、その後警視庁の方からも警察庁の方からも本件については何らの発表がない。私はますます疑惑を深くするわけであります。この際この問題について真相を明らかにしてもらいたい。
  76. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 お答えをいたします前に、私の感じといたしまして、どうも最初から警察が全く病院と一緒になってつけたのだという前提でのお尋ねでございまして、はなはだ私ども心外にたえないのでございます。最初の、そもそも警察に関係するというその御指摘の中で、二十四日の晩にその八畳の中からかぎをかけ、くぎを打っております。八畳の間というのに暴力団らしい者が入ってきておるという一一〇番がありまして、警察官がそこにおもむいたのでございます。ところが警察官が窓側のはしごから、中に暴力団がいるということでございますから、そこに登ってみましたところが、そこに寝床が敷いて、二人寝られる状態のようではあったようでございますけれども、人間はおりません。そこでそのことを訴えのありました組合人たちに、今人はおらないではないかということを言っておったのでございます。そうこうしておりますと、ほぼ最初のときから一時間くらいたったかと思いますけれども、そこに、初めにそこから出ていったと思われる人が帰ってきたようでございます。そこでその窓ぎわで争いがあったというのでございます。これが九時半ごろのことだと思います。そこで、入っておりましたのは木幡工務店の従業員ともう一人それの親戚で、何かその当日から病院に入った者といわれておりますけれども、その二名が一度そこに入って、それから何かそばでも食いにいくということで表に出て、また帰ってきたというときに、二度目にぶつかったというのが実態のようでございます。そこで、そこに二人の者が入っておるということが非常に危険を感ずるという組合側の主張でもあり、一応その日はどちらもそこに入らないということにすべきであるという現場の収拾の判断といたしまして、出先の警察官といたしましては、そこにいた二人に、ここに入らないように、今晩はここから立ち去った方がいいじゃないかということを話し、その者は自分一存ではいかないということで、木幡工務店主に了解を求め、木幡工務店主が院長にさらに了解を求めるということでありましたけれども、院長側としては、自分の建物に管理上の用心のために置くのに何が悪いのだ、そこを立ちのく必要はないという強い主張であったようであります。しかしながら、問題は夜中にそこでさらに争いが続くという状態は現場収拾として工合が悪いという考え方で、現場警察官がさらに説得をいたしまして、ともあれ、それではその部屋を表側から窓にくぎづけをして、どちらもその部屋に入らないようにして、今晩のところは収拾するということで両方納得をいたしまして、そうやったのでございます。そこでくぎを打ちましたのが午前一時五分ころと聞いておるのでございます。ところがその日に、ただいまお尋ねの三人の者のうち一人が録音機らしいものを持っていったというような話は全然どなたからもありません。翌日になりましてから、お話がいろいろございまして、お世話をしておると思われる王長徳という方があるそうですが、この方が警察に言いましたのでは、十一時半ころに制服警察官がうろちょろして逃げたということを言ったそうであります。あるいはこの間ここに出席されました野尻委員長は、午前一時ころに私服の警察官、しかもその服装もそういうのですけれども、これが新橋駅に行くのに、あとをつけてみて、そして警察官が何か手帳らしいものを出すのでのぞき込んでみたので、確実だといわれるのですけれども、それが横須賀線に乗ったのを見たというのでございます。しかしながら、これはいずれもそこから物を持ち出すとか、持ち出さないとかいう最初の話がございました九時半から実に三時間ないし四時間を経たあとのことでございまして、しかもそれが翌日になって、そういうことがあったということを初めて警察が聞くような状態であったわけでございます。従って警察といたしましては、そういう際に、そこに警察がいたことも全くございませんし、警察がその際に物を持ち出したというようなことは全くないのでございます。そうらしいというのは、従来から警察がぐるになっておるという前提で考えられることと、それから今のように十一時半といい、あるいは一時といい、制服といい、私服といい、そういう方が物を持っていったということを関係者が言われる、そういうことから実は出てきたことと思うのでございます。  次に、一体それではなぜこのマイクを——令状をとり、しかも夜間に来たのは何事であるかということでございますが、これについても説明によって御理解をいただきたいと思うのでございますけれども、実は最初に盗聴器が発見されたというのは、王長徳という方から、署長に電話があったそうでございます。さらに組合側からもそういう電話があり、そうして警察官が五名現場に行ったのでございます。ところが組合側は、証拠隠滅に暴力団が押しかけてきてとっていかれることを警察に防いでもらう意味で、お前たちに見てもらう趣旨ではない、こういうことを言って、中に入れません。そこで王長徳という人から、しかし、まあ公安の方にも見てもらったらよかろうという口添えがあったそうでございまして、そこで中に入って、その現場の写真をとるようにいたしたのでございます。写真をとって帰りまして、事柄は、だれがそこに仕組んだかということになりますが、もし外部の者でありますれば、住居侵入ということも成り立つわけであります。そこで第一に訴えのございました組合側からは話がございましたが、御存じのように、まず被害調書と申しますか、こういうことがあったということを調書にとりまして、それから必要があれば捜索その他の令状の手続をするということになるわけでございます。なるほどここは組合側としては、そこに設置されたものを発見したという話はありましたけれども、被害調書というようなものについて協力をいただくことは、何回もその後御連絡をしましたけれども、拒否をされておりまするし、またさっそくに院長を呼びまして、院長から話を聞きましたが、院長も、全然わしは知らぬということ以上に出ておりません。そこで自後の関係者につきまして、そこに実は発見されました日の前から——十六日からでございますから、ほとんど八日ほど前から、ここに二人ずつ泊り込んでおったようでございまして、その関係者等から今事情を聞いておるところでございます。なかなかこの方の協力も得られません。ことに院長は自分の管理する建物であると主張しておりますから、その管理する建物に何者かがそういうものを仕かけたということであれば、院長が被害者ということになります。その方の調書も、これも院長としては、そういうことには協力しないという態度でおられるようでございまして、従って、いれずの側からも実は被害を受けたという必要な書面が参りません。そこで組合側から聞きました事情あるいはとった写真等をつけまして、検察庁を通じ裁判所にもお話ししましたが、実はその程度ではなかなか令状はむずかしいということでございましたけれども、しかしながら事柄は再々警察がこれに関連しておるというようなことでもございますので、警察といたしましては、できるだけこれを公式に、正式の手続によって明らかにしたい、通常でございますれば、自分の家にそういうものを仕かけてあるということの訴えがございまして、その者が任意提出ということになる、令状など要らないわけでございます。ところがどちら側もそういうことになりませんので、やむを得ず事情お話しして、裁判所から令状をとったのでございます。そんないきさつでございますので、検察庁にも、裁判所にも説明をするのになかなか時間を要しまして、六時半ころにやっと令状をちょうだいした。しかも夜間のそういうことでございますから、夜間やってもいいという令状をいただいて、それから現場におもむきましたのが八時半ということになるわけでございます。先ほど来申しますように、なかなか現場における双方の協力も得られませんままに、事柄が大きくなることをおそれて、必要な警備を同時に後方からつけたわけでございますが、警察といたしましてはこれがどういうことでかけられたものか捜査をいたすことには努力をいたしたい。ことにそういうことで警察が疑惑を受けるというのはまことに心外の至りでございます。そういうことで、ただいままで呼び出しをかけましてもなかなか出ません。正式な呼出状も出しておりまして、関係者の取り調べをやって参りたい。同時にまた押収いたしましたマイクにつきましては、その製造業者その他につきまして、これがいつごろ販売されて、どういう経路のものかということも調べておりますけれども、非常に特色のもるものでもございませんので、この方もまだ十分な見通しがつかないという状態であるわけでございます。
  77. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そのことはよくわかります。ところで、今局長の述べられた点で、二十四日に盗聴器の本体を持ち出したのではないかと考えられる問題の侵入者があったときには、一一〇番の連絡で愛宕署から滑川外二名の警官がかけつけて、従業員が騒ぐ中に、何物かを持った者が、おそらくテープレコーダーではないかというものを持った者が逃げて、新橋駅の改札を通ったということの事実は、愛宕署から故意に上に上げないのじゃないか。問題は、それから九時半、十時ころから十二時過ぎまでの約二時間くらいですが、愛宕署で当の滑川君たちが、十人ばかりと組合側は言っているのでありますが、私服の者もあるわけですが、そういう諸君が病院へ入って出てこないのです。そこで組合やその付近に集まったヤジウマたちが、これは何か盗聴器、そのときはまだ盗聴器であるかどうかということははっきりわからぬ、多分そういうようなもので、どう処理するかということを警察と病院側で相談をしたのじゃないか。そういうことで、大きな声で表から、病院で何で話をしているんだということをどなりちらかされて、初めて警察の諸君が出てきたのです。そこで今、局長が言われたように、一軒おいて隣のビルにおられるアジア製粉の社長の王長徳というものが入って、それでちょうど裏の高速道路の作業場からかけていたはしごを王長徳君が預かる。これは警察と病院側、組合側の三者の話し合いで、くぎづけするという形で、二十五日になったのです。二十五日に、たまたま私が、その盗聴器が見つかったという話を、何か女の子たちが昼寝をしているときに見ましたら、天井の金網の上に光るものがあるので、金網をつついてみたら、ぼたんと落ちてきたのがこの写真に出ているマイクです。私も見ております。そこへ見にいったときに、警視庁の公安課の佐藤警部補が写真班を連れてきておられるわけなんです。従ってもし調書を取られるというようなことで協力を得るということであるならば、その当時の事情から、国会でもすでに問題になっていることなんで、私らにもこれを確認してもらいたいという関係者からの連絡があって——われわれも見ておるのですから、何も真夜中に四十名からの警官を動員して押収しなければならない、これはどうしても私どもは理解されないのです。しかも一体何者が必要があって盗聴器を置いたかということです。今度の問題については、病院が考えられることである、その次は警察。そういう組合会議組合員の起居についてのことを必要とするものは、別に新聞社でもなければテレビ会社でもないと思うのです。問題は、やはりそこに限られてくるわけなんですから、この取り扱いの問題を通じての愛宕署及び警視庁の取り扱いの点から見て、よくあるところの警察の情報活動のためにつけた盗聴器だ、そういうことについてあなたは心外だと言われるけれども、われわれにはそういうような疑いを持たざるを得ない状況があるわけなんです。現に愛宕署の間瀬署長が、私には否定されましたけれども、この争議が始まった本年の一月から多分先月の半ばごろまでだったと思うのですが、私らはやはり警視庁の警官ではないか、あるいは公安調庁の者ではないかと思うのでありますが、病院の組合の事務所と真向かいになったところに、屈強な男が手術を受けたように、仮装の包帯をして、三カ月も病院が一室を提供して、外を絶えず見ていた。私も今言われた王長徳君たちと一緒に、あの男ですよ、どうもくさいと思われるのは、こう道路から大きな声で言ったら、とにかくドアを締めて出る。それから間瀬署長に、そういう形は卑劣じゃないかと言ったら、絶対にそういうことはないと言いましたけれども、それから一両日の間に、その男は姿を消したのです。  まだ私らの取り調べの段階ですけれども、この争議にまつわるもう一つの不可解な事件があるわけです。これは私ども、人の名誉にも関する問題になりますし、この争議団に対する警察の問題ではなくて、もっと大きな政治問題に発展する一つの事実が介在しているのじゃないかという疑いが十分あります。その問題を今私らは取り調べ中でりますけれども、どう考えても、当初にしても七十名足らず、現在は三十数名のこの争議が、どうしてこういうように長期化しているか、また病院ストの問題で、院長なり組合長が参考人として国会に呼ばれて、それぞれやはり事情を述べるというようなことも、私はこの種の小さい規模の争議ではおそらく初めてじゃないかと思う。それであらゆる組合と経営者側との折衝の過程には、そのつど警察が出ている。この間も私は質問を申し上げたのですが、十九日に病院側が解雇したというのですね。そのことがすぐ愛宕警察に通知をされて、二十日に女の子たちが就労しようとしたら、午前九時までに、愛宕署員たちが木幡組と一緒に、就労しようとした解雇された六人を表にほうり出しているという事件があった。そういうことで、病院側から解雇したものが就労するからということの事前連絡は間瀬署長も認めております。この問題について、これは私がただ単に争議団の立場に立って言うのではなくして、どう考えてみても、常識では考えられない事態だと私は思うのです。これは労働争議で、思想運動や何かではない。そういう点から見て、所轄の愛宕署を中心とする警察の動きの問題についても、重要な問題については警察本庁の方に報告を上げないという関係で、こういうことについて委員長も問題の重大性を考えられて、時間をかけてわれわれに質疑を許されているわけですから、私はそれだけにこの問題は軽視するわけにはいかないと思うのです。  そういう観点に立って、盗聴マイクの問題については、これはどうしても警察なり公安調在庁の関係の者ではないか、あるいは一歩下がっても、病院側の者ではないか。一説によると、現在ある病院の中にもつけている。患者の手術の結果うまくいくやらいかぬやらよくわからぬ。目っかちを目っかちでないような手術をする。うまくいけばいいけれども、十万に近い金を払って手術した結果、ろくな結果が得られないということになれば、病院へねじ込んでくる、そのときの用心棒が木幡組と違いますか。だからこの間も組合長が、これは記録に残っておりますけれども組合長の言うところでは私財五十億。病院の中で、幾らはやりの美容整形外科の病院かもしれませんけれども、国税庁の査察の結果によると、莫大な利潤をもうけている。この間までは内科のお医者さんも産婦人科のお医者さんもおりましたが、現在はそれぞれすぐ隣のところで独立して開業しております。  私は医務局長に伺いたいのは、こういう美容を主とする整形外科で、院長は医学博士でしょう。しかしこれが通常の病院として、社会保険関係一つ扱っている病院でないものが、病院として認められるのかどうか。また医務局長は、医療行政の立場から、病院ストの解決の問題について頭を悩まされているだろうと思うのですが、あなたたちも新聞ではたびたびこの争議のことも聞かれると思うのでありますが、一体このことについて医療行政をあずかる立場から、病院長を厚生省に出てきてもらって、争議の解決について何らかの勧奨をする行政官としてのとり得る処置があると私は思うのです。それから労政局長も、先ほど私の申し上げていること、また過日の委員会の両当事者の参考意見の陳述に書かれておると思うのです。先ほど三輪局長が認められたような形で、病院側の要請があったからということで、現に裁判所が現状維持ということで女の子たちの居住を認めている寮に、警察官が少なくとも最初の三日なり四日なりは、九名の制服警官にしろ、階上には女の子が寝ている、階下には木幡組が詰めかけている、その中間地帯かどうかしりませんけれども、警官が寝泊まりするというのは、あの熾烈をきわめた三池の争議でもそういうことはありませんよ。そんなに身近にまで警察がこの十仁病院の争議の中に入っていかなければならぬということについては、私はその理由が理解できないのです。そういう観点に立って局長はこの事態を考えられませんか。
  78. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 お言葉にありますように、そういう町の病院のストに警察がそれまで介入しなければならぬのは理解できないとおっしゃる、全くその通りでございまして、私たちは全くそのことに介入するつもりはございません。また今のお言葉の中で、病院側の要請によってというようなこともございましたが、先ほど答弁いたしましたのは、病院側の要請もございます。また組合側は木幡組がそばにおるということで、身辺を保護してくれという要求がありまして、これは両方の要求があったのでございます。  なお詳しくそのことについて申し上げますならば、四月の十七日、それから十八日に病院からは二度要請書が出ておりますが、労組側も十七日に寮の事件に対します抗議文を提出いたした際に、警察官を派遣をして、そしてこの暴力団から自分たちを守ってくれという要求がございました。それから十八日も同様な要請がございましたし、それから十八日には東京医労連の宇田川書記長が見えまして、寮に対する警備を強化してくれという要求がございました。二十日には現場の警察官に対しまして、この暴力団がいるから便所にもいけないという旨の申し出もございました。同様なことは二十六日、五月十日——五月十日には野尻委員長から、都労委に出席をしなければならぬというので、身辺警護方の要請があったのでございます。そういうことで、組合側の方も、そこに警察がおりまして、今のようなトラブルを将来にわたって避けるということについては、当時そういうところにいてもらっては困るというお話は何らなかったのでございます。また先ほど私答弁したのがあるいはお耳にとまらなかったのかとも思いますけれども、十時十五分でございましたか、最初に一一〇番で警察官が到着したわけでございます。今のお言葉でございますと、そのときに一人何かレコーダーらしいものを持っていった、こういうことであったということでございますが、実は私も最初のうちはそうであろうと考えたのでございます。その後詳しく事情を聞きますというと、王長徳という方の言われるには、制服警察官が十一時半ごろに逃げた、野尻委員長は、翌日の午前一時ごろに私服の警察官らしい者が行ったので、あとをつけていったところが新橋で、こういう状況であった。先ほど申したようなことでございます。従いましてお言葉のように、そこから逃げ出した、それを追っていったところが新橋に行ったというような時間的な経過ではないのでございます。そういう点も、私どもの足りない点は多々あろうと思います。お言葉にございますように一生懸命やるつもりでございますから、どうか事態をそういう意味で先生方におかれましてもごらんをいただいて、御批判をいただくようにお願いをいたしたいと思います。今後私どもの努力はお言葉によりましてますます注意してやるようにいたします。
  79. 川上六馬

    ○川上政府委員 美容を目的にしておる整形その他医療行為をやっておりまして、医療法に照らしまして一応適法になっておる限りは、取り消すというような問題はなかなかむずかしいと思います。私どもとしましてもかねてから、病院でございますからなるべく平和的に話し合って解決してもらいたい、そして労組側との話し合いで解決できなければ労働委員会にあっせんを申し出て、そうして平和裏に妥結するようにということを始終言っておるわけでありまして、先日もこの委員会での両方の言い分も非常に食い違っておりまして、かなり感情的に対立しているような状態を見まして、まことに遺憾に思っておるわけでございます。ただいま先生のお話もございますように、労働省などと一つ相談をいたしまして、なるべく早く解決するように私どももいたしたいと思います。
  80. 田中織之進

    ○田中(織)委員 なお伺いたいと思いますが、時間の関係もありますので私最後の一問で終わりますけれども、今までの経過の問題から考えましても、私はいわば争議団の一挙手一投足に警察が出てくるという感じを実は率直に持っておる。そういう点はやはり総評の本部の所在地の愛宕警察として、警視庁の中でもこういう労働争議がめったに起こったことのない地区の警察なら、多少の行き過ぎなり取り違えたようなこともあるかもしれないと思いますけれども、昔から愛宕警察といえば労働関係では相当腕ききの警察官諸君もおるわけなのですから、まるきり今度の争議の問題については、私どもは警察の立ち入りがどう考えてもオーバーだ。そういう観点に立って、今まですでに告訴されている問題でもあるし、調査関係のものもあると思うのですが、やってもらわなければいかぬ。ことに先ほどから私申し上げた盗聴器の問題については、これはあたかも病院長は、自分がつけたのではないかと言えば病院長は被害者だ。私はこの盗聴器はつける必要があったかという観点から見ると、これは捜査のABCだと思う。その観点から見れば、犯人と思われるものが二つに限られるのです。あるいはこの事件を種に、何か菅生事件みたいなああいうものと取り組もうという者があれば、第三の容疑者として出てくるかもしれません。しかし私は二つに限られると思うのです。その意味でこの点は、捜査方針というものをはっきり立てられて、国会の方へ警察当局から報告することを私は最後に要求いたしまして、質問を終わります。
  81. 永山忠則

    ○永山委員長代理 暫時休憩いたします。    午後二時八分休憩      ————◇—————    午後三時十五分開議
  82. 山本猛夫

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、厚生大臣より、青森県、岩手県における火災の被害状況及び救助実施状況について発言を求められております。これを許します。古井厚生大臣。
  83. 古井喜實

    ○古井国務大臣 岩手、青森両県下における大火の状況につきまして御報告申し上げます。  このたびの岩手、青森の災害は予想以上に大きな災害でありまして、被災地区及び被災状況を申し上げますと、岩手県におきましては一市二町二村、全焼八百十九世帯であります。宮古市と、二町と申しましたのは田老町、岩泉町、二村と申しましたのは田野畑村と普代村であります。青森県は一市、八戸市でありまして、全焼が六百世帯でございます。  このような大きな被害を見ましたことは、まことに同情にたえないところでありまして、罹災民の方々に対して心からお見舞を申し上げる次第であります。  この対策につきましては、さっそくにこの関係地区に災害救助法を発動いたしました。そしてこの救助費の国庫負担分につきまして、岩手県一千百万円、青森県八百万円を概算で交付する手配にいたしております。状況によりまして現地には臨時の保育所も開設する考え方でおります。厚生省の本省から今日じゅうに現地職員を派遣いたします。日赤本社、また被災県の日赤の支部におきまして、被服、寝具その他生活必需品を現地に急送いたしました。CAC救援物資の輸送につきましてただいま手配中でございます。  これがただいままでの状況と手配の状況でございます。      ————◇—————
  84. 山本猛夫

    山本委員長 内閣提出国民年金法の一部を改正する法律案通算年金通則法案通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案年金福祉事業団法案児童扶養手当法案八木一男君外十四名提出国民年金法案国民年金法の施行及び国民年金と他の年金との調整等に関する法律案国民年金積立金の運用に関する法律案、以上八案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を許します。八木一男
  85. 八木一男

    八木(一)委員 ただいま御報告のありました災害地の方々に対しまして、心から御同情を申し上げます。その処置が万全であることを希望いたすわけでございます。その問題について御質問をしたいと思うわけでございますが、議題に従って年金法の方の御質問に移ります。後に時間がございましたならば、災害問題について同僚委員から、あるいは私から質問をする場をぜひ委員長において作っていただきたいと思います。  先日までごくわずか重要問題についての大まかな質問をいたして参ったわけでございますが、それにつきまして、かなり委員会が何回も休憩をされましたので、まだ完了をいたしておりませんから、この問題について続けて御質問をいたしたいと思います。  きょうは物価変動に伴う年金の問題について、まず最初に御質問をいたしたいと思うわけでございますが、政府の国民年金法については、第四条に「保険料の負担を伴うこの法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。」第二項として保険料の調整が書いてございます。これで物価変動に対する措置が大体済んでいるように政府側では説明をされているわけでございますが、はなはだ不明確な規定でございまして、国民のこの問題に対する不安は解消しておらないのみか、その不安が非常に増大しているような状態にございます。御承知のように、残念ながら戦前、戦中、戦後の貨幣価値の変動をわれわれが経験をいたしておりまするので、今までに貯蓄その他の方法で老後並びに不慮の問題について対処するべく自分で営々としてそのような準備をせられた方が、その長年の苦労が無に帰して、あと非常に困っておられるというような状態が多いわけであります。そのような状態でございまするので、このような年金につきましても、貨幣価値の変動に対する対処がしっかりとできておりませんと、年金自体の金額が不十分である、あるいはまた組み立てが社会保障的にできていないということに加えまして、このような貨幣価値の変動に対する対処がしっかりしていないということで、年金に対する期待が薄れ、あるいは不信が高まり、そしてほんとうの年金法の状態について協力が生まれないという状態になるわけです。そのような状態でございますから、この規定について明確にすべきだということが、この前の年金法が通りまする国会において大いに議論されました。この規定が非常に不十分であるということが私どもには明らかになったわけであります。今次の改正において、このような重大な問題について当然もっとはっきりさして、国民に安心を与え、理解を深めるべきであると考えまするのに、そのようなことが措置をせられなかった。このような改正案が出てきておらないという点について非常に満足できないわけでございまして、その意味で厚生省の怠慢な態度に対して非常に心外にたえない。厚生大臣のこの問題に対する御所見を伺いたいと思います。
  86. 古井喜實

    ○古井国務大臣 今回の改正は御承知のようにさっぱりした問題だけを処理しておるのでありまして、そこであらゆる問題をみな片づけてしまったというわけではないのであります。でありますから、毎々申し上げますように、仕上げていきますには、まだまだ今後何回も何回も手直しをして、改善して、整備していかなければならぬと思っております。
  87. 八木一男

    八木(一)委員 非常におだやかな、形式的にもののわかった御答弁のようですけれども、そうではないのであります。この問題は直ちに予算をどうとかいう問題じゃなしに、そういうふうに国民の方に安心をしてもらって、それでこれをほんとうに堅実に進めていこうという考えであれば、即座に踏み切れる問題なんです。将来の貨幣価値の変動という問題は将来の問題だ。ことしの大蔵省交渉などは断じて必要がない。大蔵省なんか何回行ってもだめです。ほんとうにやる気だったら、厚生省だけでやって閣議は通る。そういう、ほんとうにやる気にならなければいけない問題をほったらかしておるということはいけないと思う。この条文では国民は非常に不安に思っておるという点についての厚生大臣のはっきりとした御答弁をいただきたい。
  88. 古井喜實

    ○古井国務大臣 文言よりも、実際の問題を実質的に片をつけることがより大事だと思うのであります。のみならず、物価の変動とかいうようなことで手直しをするというふうなあたりまえのこと以上に、経済の成長の速度に応じてもっと実質的に内容を引き上げる問題も残っておるのであります。物価変動程度のことの手直しということ以上の問題もまだまだあるのであります。そういうことでありますから、潔癖に申しますれば、せめて文句だけでもということにもなるかもしれませんけれども、やはり中身の裏づけを持っておって、やっぱり条文の手直しが必要ならばこれもする。こういうふうにしたいと思うのでありますが、今の、実質的に三千五百円もらうというような話でなしに、もっと気のきいた話にしなければならぬのですから、これは済んだとは申しませんけれども、今後またよく考えていきたいと思うのであります。
  89. 八木一男

    八木(一)委員 年金について熱心に取り組まれる意図を持っておられるように見えておりますので、非常に激励的な質問をたまたましておりましたけれども、厚生大臣、今の御答弁は非常に重大な内容を含んでいるんですよ。これはその点で厚生大臣に対する信頼を一ぺんにひっくり返さなければならぬような内容ですが、そういう意味でおっしゃったのかどうかわからないのでもう一回聞きますから、間違いは正していただかなければなりません。中身のいろいろな準備ができてからでなければできないということは、今のところではしないということなんですか。貨幣価値の変動に対して年金改定をしないということですか。そうだったら重大ですよ。今は明晰な頭がぼんやりせられてそういう言い回しをせられたと思いますが、その点についてもう一回お考えになって、はっきりおっしゃって下さい。
  90. 古井喜實

    ○古井国務大臣 今回の改正ではしなかったというのであります。そこで私としては、年金にしましても、たとえば十年後どの辺に目標を置くかということを今検討しているということは前にも申し上げたのであります。そういう実質問題とにらみ合わせて必要な法の整備をやっていくことが今後の問題になるのではなかろうか。さっさ申し上げたのは、今回の改正には入れなかったということを申し上げたのであります。
  91. 八木一男

    八木(一)委員 大へん大事な問題ですから、もし言い間違えられたら、あとでさっぱりと違う答弁をしていただきたいと思う。政府にとっても自民党にとっても社会党にとっも、あらゆる国会関係者、あらゆる問題が非常な迷惑をこうむりますから、普通の言葉じりであいまいなことになったら大へんなことになりますから……。この法律の条文には、厚生大臣のおっしゃった十年ということは一つも書いてないんですよ。この不十分きわまるものであっても、十年後に著しい変動があったら改定しなければならぬ。この政府の条文自体が、十年とか十五年とか二十年とか、長期計画という問題には関係ない。だから、そんなものと十年計画で年金の基本的な金額を引き上げる問題とは、別な問題としてお考えにならなければなりません。厚生大臣、年金額を経済成長によってふやすという問題と貨幣価値の問題とは、こんがらがってきてはいけないのです。貨幣価値の変動の問題に対して年金額を変えなければならないという問題と、経済成長によって年金額を増大する問題は、往々にしてこれはこんがらがって考えられがちでございますけれども、それは明らかに区別して考えなければならない問題であります。この政府の法律案の第四条ですら、それはそういうことじゃないのです。ですから、長期計画であるとかなんとかと関係ないのです。そうが、問題でおありになろうと思いますいう聰明な厚生大臣から、間違いになると国民は非常に心配しますから、もう一回御答弁願います。
  92. 古井喜實

    ○古井国務大臣 八木さんのようなすっきりした方がおわかりにならぬはずはないので、別な問題であることは何も断わるまでもないはっきりしたところでありまして、そういうことも今後の問題としては一方に考えているということを申し上げたわけであります。
  93. 八木一男

    八木(一)委員 それでやや安心しました。経済成長で年金額を増大するということは、厚生大臣は非常に積極的にお約束をなさった。この問題と貨幣価値変動の問題に対処する問題は別問題で、当然それは法律規定によって対処しなければならないということになるわけであります。その通りと理解しますが、それについて、それでよろしゅうございましたらそのままでけっこうでございますが、もう一回確認しておきたい。
  94. 古井喜實

    ○古井国務大臣 大へん綿密にだめ押しをされますけれども、二つの問題であるし、貨幣価値の変動、物価の変動に伴うものは、この条文に直接関係する問題であります。それはこの条文の問題であります。
  95. 八木一男

    八木(一)委員 非常に明快な御答弁をいただいて、その御答弁の態度については満足であります。内容についてはまだ満足でありません。内容というのは、御答弁の内容じゃなくて条文の内容であります。その条文は、これは貨幣価値の変動その他生活水準の変動を主として作った条文であることは、読んで字のごとくでありますが、この前の年金法で貨幣価値の変動のことが非常に大問題になったわけであります。そこでその当時の厚生大臣の坂田道太君なり、政府委員は同じく小山君でありましたが、それぞれから、これで貨幣価値の変動に対して十分にやるのだ、ほかの生活事情ということはそれ以上に積極的にやるのだという御答弁があったのですが、それはそれで、そういうふうにやられたというのはいいのです。いいのですけれども、それを条文に明確に書いておかなければ、国民が心配で心配でたまらぬわけです。前にさんざん貯金をしたけれども、二十年、三十年たって郵便年金をもらってみたら、それをもらいに行く車代の役にも立たぬ。何十年の努力と期待が一ぺんに貨幣価値の変動で踏みにじられて、泣くに泣かれないというようなところから、このような大事なすべての年金制度等に対しても重大な不信感が国民間にあるわけです。その不信感を取り去るためには、はっきりと明確に規定をする必要がある。その点でこの規定が非常に不明確なのです。だからそれを明確にせるられる必要があろうと思いますが、それについての厚生大臣の御見解を伺いたい。
  96. 古井喜實

    ○古井国務大臣 私も、実はおっしゃる意味を技術的に明確にする問題は、それなら非常に違った形で、また実質的にも違った効果が伴うようにどう表現したらいいか、この辺は今すぐ即答もできませんが、こういう現在の条文ではいかにもまずいということでありますれば、これは改正の必要もありましょう。八木さんなどはもう十分御研究済みでしょうけれども、私一個としては確たる結論にまで達しておりませんので、これはよく研究して結論を出したいと思うのであります。
  97. 八木一男

    八木(一)委員 後半に対して大へんすなおな、率直な御答弁をいただいてけっこうであります。実は政府の方で私どもの不満なのは、貨幣価値の変動ということが言葉として載っておらないのです。大臣の説明にはあったのですが、法律では「その他の諸事情」となっているのです。「生活水準」という言葉が書いてありますから、「生活水準」ということが貨幣価値に間接的に影響がありますから、それで読めないこともないし、「その他」に入らないこともないので、そういう意味ですということを坂田さん、小山さん、あるいは岸総理大臣もおっしゃったわけでありますが、もちろんほかのものをつけ加えていただいてかまわないのですが、貨幣価値の変動により、その割合に応じて変えるというようなはっきりした明文を入れておくことが、一番国民が安心することになろうと思うのです。  実は私どもの作りました法案で、こういうことを御参考にしていただきたいと思いますが、このように書いてあるわけであります。今度私どもで出しました国民年金法案の、本法の第八条であります。「厚生大臣は、生計費又は消費者物価の水準が、」これは法律上考えまして貨幣価値というより物価の方でした方がいいという結論に達しましてこういうふうにしたのですが、「生計費又は消費者物価の水準が、年金の額の決定又は改定の基礎となった当時の生計費又は消費者物価の水準に比して百分の十以上増減したときその他必要があると認めるときは、国民年金審議会の意見を聞いて、年金の額の変更に関し必要な手続をとらなければならない。」という条文になっておるわけであります。百分の十以上の増減があったときには必ずその手続をとらなければならない。ただし百分の七とか六でも、厚生大臣が、これは変えなければいかぬと思われたときには、もちろんその手続をとらるべきだということになっておるわけであります。生計費と消費者物価の両方を押えて、どちらかが百分の十以上の増減があったときはというわけであります。私どもは百分の一でもしたかったのでありますが、百分の一だと、消費者物価の変動がちょっとあってもやらなければならないということを義務づければ、これはまた手続上非常にめんどうくさいことになりますので、百分の十に押えたのですが、百分の十以下であっても、そういう状態が生まれたときには、当然厚生大臣が認定されて改定の手続をとらなければならないということをうたったのであります。このようにしていただくことで一番よいのではないかと私どもは考えるわけであります。  それで、それに対応して現行法の第四条の非常に不満な点は、「その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」とある点です。この「著しい」という言葉が非常に不満です「著しい」というのは、人間の認定によりますから幾らでもできるわけであります。物価が倍にならなければ著しくないのだというような、どうかしているような、キじるしみたいな厚生大臣も出てこないとも限らない。りっぱな厚生大臣ばかりだったら一割、二割上がっても必要だと思われるでしょうが、りっぱな人でも途中で気違いになることもあるかもしれませんから、そういうような認定がぐしゃぐしゃになるような「著しい」という言葉では困る。そこでやはり幅をきちんと定めておかないと心配になるわけです。  それからもう一つ、これは私どもの方の国民年金審議会というものは非常に民主的な構成でやっておりますから、貨幣価値の変動の割合に応じてやるという結論になると思いますが、これを厚生大臣だけでやられたり、それほど民主的でない、公正でない審議会にかけてやられたら、それがほんとうの割合に応じてやられないおそれもある。それを割合に応じてやられるような措置を委員会の構成でやるか、法律の条文でやるか——われわれがこんなことを言っておりますと、そんなことを言うならば、政府の方で考えたらもっとすっきりさせるという御議論をされるかもしれませんが、それは明確になればなるほどけっこうだと思いますが、そういうふうなことを考えていただく必要があると思います。そうでないと心配がある。貨幣価値がどんどん下がり物価が上がってきて、五割も上がった、もっと極端な場合だと倍にまで上がった、そうなれば年金額を倍にしないといけないわけですが、倍にしなければならないように世の中の状況が変化したときに、二割か三割を上げてそれでお茶を濁すということが今までの行政では行なわれた。それでは実質的に貨幣価値の変動を通じて収奪が行なわれるということになる。そういうことの必配があるということです。そういうふうに割合に応じてできるようないろいろ措置をとっていただきたい。これを今度「著しい」というようなことで非常に怠慢に行なわれて、その間でこの対象者が損をするようなことのないように、従ってそういうような心配をすることがないようにしていただく必要がある。そういう意味の考え方を持っておるわけでありますが、厚生大臣は私どもの考えておることについてどのようにお考えになりますか。
  98. 古井喜實

    ○古井国務大臣 さすがに八木さんは、年金のみならずでありましょうが、年金についてよく御研究でありまして、お書きになっておる条文も至って具体的で精密であるように思います。そこで将来、この現行法を大幅に改正するという機会があれば、大いに参考に供してみたいと思います。問題は、実際誠実にこの現行法を運用することができますれば、実際問題としてはそれとあまり距離がないかもしれませんので、そういう運用には十分に考えていきたいと思いますが、大幅な改正というようなときには、よく参考にして研究したいものだと思います。
  99. 八木一男

    八木(一)委員 もう一回質問の中で確認をしておきたいと思いますが、厚生大臣は池田内閣の責任において、それから将来——われわれは続かせたくないのでありますが、自民党内閣の続く限り、貨幣価値の変動の割合に応じて年金額を改定するという考え方をはっきりと持っておられて、それを公約なさる、それを条文上はっきりさせることについては、至急の機会においてそれをなさる意図がある、こういうふうに確認をいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  100. 古井喜實

    ○古井国務大臣 そういう考え方を持って、書かれた条文を大いに参考にして考えてみたい、こういうわけであります。
  101. 八木一男

    八木(一)委員 改正については、われわれは即時変えていただきたいと思いますが、厚生大臣の御答弁では、改正をするように考えてみたいということであります。それでその運用については、厚生省の責任において、内閣の責任において、貨幣価値の変動の割合に応じてその年金額を改定するという意図で運用されるということを確認されたものと認めたいと思いますが、それはそれでよろしゅうございますか。
  102. 古井喜實

    ○古井国務大臣 つまりあなたでおっしゃれば百分の十、一割の変動とお考えになっているようですが、とにもかくにも大きな変動がありました場合に、ずっとほっておいていいというふうにはどうも私も考えかねる、そうは思いませんもので、ですから大幅な変動があるときは大きに考えてみるべきものだろうと思うのであります。ただしあなたの条文を見ましても、大幅な変動があったときは考えてみろということでありますけれど、何割考えろということを書いてない。十割上がったら十割上げろということはあなたの条文にも書いてない。つまり変更に関して必要な手続をとれというだけであって、ですから問題は運用だと思うのです。その辺はよく参考にいたしたいと思います。
  103. 八木一男

    八木(一)委員 私ども国民年金審議会については、非常に民主的な運営ができる構成にしたものを作っているわけであります。そこで私どもは自信があるわけでございますが、今の政府の方にはそれだけ民主的な構成のそういうものがないわけであります。従ってそういうものを整備されるまでは、おもに諮問をされるとしても、厚生大臣なり政府の権限でそういうことを行政的に運用されることになる。ですからそういう運用される責任者に伺っているわけであります。結局そういうことは望ましくないけれど、たとえばことし中に消費者物価が一つ一つの、たとえばカブラが上がった、一つ上がったのじゃない、全体の水準が一割ぽんと上がったというときには、これは年金額は、やはり国民年金以後熱心に協力して保険料を納めて期待を持つ人に対して、対処してすぐ上げる分は、これはその間に起こった分だけにとどまりますけれども、そのように上がったときには、年金額をその割合において改定をするという方針でなければならないと思います。条文については今度用意をされておりませんから、変だ厚生大臣になったときそういうようにならないように、きちっと条文で縛っていただくことを進めていただきたいと思いますが、少なくともそれができるまでの、あるいは民主的なそれができるまでの厚生大臣、政府としては、そのような貨幣価値のある程度の変動が起こったとき——一万分の一起こったときにすぐやれと言われて本事務的に無理ですが、とにかく常識的にある程度の変動が起こったときに改定する。その改定の方法は、この貨幣価値の変動の割合に応じて逆に変動する、逆比例ですね。貨幣価値が半分になれば倍にしなければなりません。ですから諸物価の変動の割合に応じてこれを変更するというような行政方針でなければならないと思います。それについてのはっきりとした御決意、御見解を伺っておきたいわけです。
  104. 古井喜實

    ○古井国務大臣 ある程度の変動というような言葉では、ごもっともですとは申せません。あなたが二度も三度も繰り返されたある程度の変動じゃだめです。大幅な、大きな変動ということでなければいけないと思いますけれども、しかしそういう場合には御趣旨はごもっとも千万だと思います。
  105. 八木一男

    八木(一)委員 その大幅とある程度の差でありますが、とにかく大幅では困ると思うのです。ある程度というのは、事務的にそれで行政機構がむちゃくちゃに損失をするような——たとえば百分の一以下の変動くらいでこれをやればごちゃごちゃになるだけです。そういうことはわれわれも政治を知っていますからわかるけれども、とにかくそういうことで貨幣価値の変動が起こったから年金について国民が不安に思うという程度のものができたときば、対処をする。程度は人によって主観的に少しずつの違いはありますけれども、おのずから帰着するところがあると思う。大幅とか著しいという言葉じゃ困る。これは年金額を変える必要がある。正常は頭を持ち、年金に熱心な人であり、国民のことを思う人であるならば、当然思うような程度、そして事務的に可能なような程度になれば当然改定するということでなければならないと思うのです。そういうような意味で大臣もおっしゃっておられるのだろうと思いますけれども、その点についてもう一度……。
  106. 古井喜實

    ○古井国務大臣 年金額は安いと思っておりますので、上げる理由がもしあればなるべく上げたいものだくらいに思っております。この運用につきましては、そう上げたくないという考えでおるわけじゃないのですから、御趣旨と距離がないように思っておりますから、御安心願いたいと思います。
  107. 八木一男

    八木(一)委員 それからもう一つ、内容のきちっとした法案にするということ、具体的にはそういうようにする考え方がおありなんですから、これは条文ではっきりさせることをできるだけ至急にされた方がよいと思うのです。実際にしなければならないことであるし、そして実際にすることでありますから、それならばいいことをしますよ、心配は要りませんよということをはっきり約束した方が、国民が安心をする。国民年金に対する信頼を高めるということだけではなしに、国民にちょっとでも不安を与えないということが、年金制度以外においても、すべての政治の要諦だろうと思う。こっちはもちろん政治はわかっている。わかっているからやるんだ。当然どの内閣になってもそういうことはやるべきだからやるでしょう。しかし国民の中には、やらないんじゃないか、前に貨幣価値の変動で貯金がゼロになった経験があるから心配だということがある以上は、やっぱりそれをはっきりしておいてあげた方がいいと思う。たとえば家庭の主婦が外出をする、どうしても必要で外出をするときに、子供が、おかあさんが帰ってこないと晩御飯が作れないから、おなかがすくから困ると言っている。そのときにおかあさんは、何時に帰ってきて必ず御飯を作ってあげるからおとなしく待っていらっしゃいよと言った方が、ほんとうに帰ってきて作るつもりでも、わからないでおっぽり出して、その間三時間でも、子供に御飯が食べられるかしらと心配をさせるよりもずっといいと思うのです。同じするのですから、いいことをするのですから、それをはっきりと国民に示した方がいい政治になる。そういう点で、そういう法文にはっきり明記することを具体的に進めるように積極的にやっていただきたいと思います。それについてもう一回お答えを願いたい。
  108. 古井喜實

    ○古井国務大臣 条文をずっとこう書き直しますときなどは、そういったように書いたかどうか、必ずしもその通りに書かなかったかもわからぬのであります。また大幅に条文に手を入れるというときに、それまで置いておかなければならぬというものとも思いません。機会があれば大いにあなたの案を参考にして研究をしなければならない、こう思っておるのであります。
  109. 八木一男

    八木(一)委員 私どもは即時条文を変えられることを要求している。要求をするだけでなしに、この事態で変えようと思ってこの法案を提出しているわけであります。われわれはわれわれでそれに邁進をしますが、同じような気持を持っておられる政府として、猛烈に勇敢に邁進をしていただきたいと思います。  それではこの問題をちょっと区切りにしまして、福祉年金の総体的な観念的な点についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  福祉年金が去年る三月三日から始まりましたけれども、ただですからもらった人は喜んでおられる。支給を受けた人も喜んでおられるし関係者も喜んでおられる。それは非常にけっこうなんですが、全体的に猛烈に不十分であるという点が言えます。その不十分であるということは、もうこれは世の中の通り言葉になっておりますが、それ以上に、それと同様に考えなければならないことは、不十分だけではなくてアンバランス、社会保障の精神から、非常にバランスがとられていないと思う。それについて厚生大臣はどうお考えになるかということを伺おうと思っていたのですが、この間から具体的に示せとよく言われますから、時間の節約上最初に具体的に示すことにいたします。と申しますのは、障害と母子、老齢のバランスがはずれております。お年寄りに福祉年金を差し上げるということが非常に大きな問題であり、私どももたくさん差し上げたい、早く差し上げるように、政府にそうなってもらいたいという考えについては猛烈に熱烈なるものを持っておりますけれども、それと同程度以上に、やはり社会保障は、所得保障は所得保障の必要な人に厚みをかけなければならない。全部に十分なものを上げられるような状態に至急持っていかなければならないけれども、何らかの限度がある場合には、まず必要の度に応じて差し上げなければならない。人間の作ることだから、何かで区切りをつけなければならないから、境目でいささかの不公平が起こることも物理的にやむを得ないことがございますけれども、極力そこをこまかく配慮をいたしまして、そしてそのような実際の不公平——形式的不公平であって、実際的に不公平の起こらないように、特に厚みをかけた年金の支給ということをやらなければならないのじゃないか。その点で、障害と母子と老齢という比重が非常に政府の案はバランスがはずれていると思います。はっきり申しますと、政府の障害福祉年金は二級障害については出ないわけです。従って片足のない、片手のないという人には出ません。ところが片足がない状態というものは、ずいぶんと労働条件としては惑いわけです。悪いわけでありますから、いい仕事を見つけることができにくい。だから普通の仕事ができにくいわけであります。生まれつき財産家に生まれた子息であれば、これは別でありますけれども、そうでない人にとっては非常にやりにくいわけです。それで結婚をして子供を生む。結局そのような不自由な状態で、その人がたとえば二十五才であれば、あと何十年間その人は生きていなければならないし、奥さんを養わなければならないし、子供が二十才ぐらいになるまでは子供の世話をしなければならないという状態にあります。ですから、そういう状態の人は二、三人、三、四人分の生活をささえなければならない。ところが肉体条件で非常に労働条件がない、所得能力がないという状態にあります。そうなると、数人の生活をささえるのに一つも所得保障がない。その人が一級であった場合に初めてもらえますけれども、一級であった場合にたった千五百円、ほかの人の一人半分しかないわけです。老齢の人の。ところがその人は数人を養わなければならない立場にある。しかもその人は老齢な人と違って、何十年とそういう状態で暮らさなければならない状態にある。そうなれば、障害者の一級障害の金額はもっとふえなければバランスがとれておらないわけであります。また二級障害に出なければバランスがとれておらないと思います。ましてや一級障害の内科障害に支給がないというのは、全くお話にならない、そういう状態にあります。  また次に遺族の関係、母子家庭の場合もそうであります。この母子家庭の場合には多子加算というものがありますから、人数が大ぜいのときには少しずつそれに応じて支給金額はふえるようになっております。なっておりますが、ふえる金額は年に二千四百円、月に二百円であります。しかしどんな小さい子供でも、子供の全生活が二百円で済まされるものではないわけであります。そんなことは非常識なことで、ないわけであります。従って子供の多い家庭では、それだけ非常に母子家庭は困る、年金によって助かる率が減ってくるということになるわけであります。そういうことであります。  そういうようなことを考えると、やはり老齢の場合と少しバランスが失しているわけです。年金の本命はやはり老齢でありますから、老齢を大事にすることはいいわけでございます。老齢の方は五十万の世帯の人まで、息子さんが五十万円の収入のある人まで老齢福祉年金を差し上げる、これはいいことであります。悪いことじゃありません。五十万円が七十万円になっても、百万円になっても差し上げたいと思う。思うけれども、五十万円のお年寄りの人に福祉年金があるのならば、二級障害になぜないか、三級障害になぜないか、障害者の十四万円、十五万円、十六万円の人になぜつかないか、母子家庭の十五万円の収入しかない人になぜつかないかという問題がございます。そういう点が非常にアンバランスであります。  私はこういう問題について、非常に作られるときにいろいろ熱心にやられたけれども、いろいろの政治的配慮があって作られたのじゃないかという邪推すらしなければならない状態にあります。と申しますのは、お年寄りというのは一般の家庭にあって、その息子さんなら息子さんはりっぱな地位を持っているし、お嫁さんは婦人会の役員をやっている。うちは五十万円の収入があるから、うちの年寄りに千円がこなくても何とか生活はしておるのだけれども、政府の方から年金が出てうちのお父さん、お母さんは喜んでいらっしゃる。ですから自民党内閣も、社会党の方は社会保障に不熱心でとんでもない内閣だと言っておるけれども、少しはやってくれるらしいということを感じられるであろう。ところが障害者はそれだけ数が多くないし、足が不自由であったら、ほかに自分の感想を診えにいくことができないし、目の悪い人はそういう新聞記事を読むことができない、そういううがった考え方で、もしこれが間違ったら失礼でございますが、そういうようなところが幾分影響したのではないかというように邪推をしなければならないような内容になっておるわけであります。この邪推がほんとうでなくて、そういうことでなければ非常にしあわせであります。またここにおられる与党の方や、また厚生大臣、政府関係の方はそういう気持は断じてないと思うのでありますけれども、全体としてはやはりそういうことが影響したのではないか。そうでなければ、当然障害者なりにも一つと多くの配分があるべきである。老齢者に、五十万以上でもあげなければならないということは、断じて大事でありますから、そういう大事なことをして、した以上はもっと予算をふやす、障害年金、福祉年金をふやさなければならぬという意見が当然出てき、また政府としてもそういうことをやろうという趣旨が現われてこなければならないと思います。その点が改正案に盛られておらないことを非常に残念に思いますが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
  110. 古井喜實

    ○古井国務大臣 お話がごもっともでないというふうには思いません。今度の改正にどれだけのものを取り上げるかという取り上げ方の問題であると思うのでありまして、きっぱりした、はっきりしたものを今度は取り上げたのですから、きめをこまかく、すみからすみまでというところまでは今度の改正はいったわけでもありません。ですから、お話の辺はやはり今後の問題であろうと思います。大いに傾聴して伺っておるところであります。
  111. 八木一男

    八木(一)委員 種類別、対象別のことを今申し上げました。その点についてそう当然お考えになったと思います。今度の対象にならないことは非常に遺憾でありますが、われわれはそれを直すような法案を出しておりますので、与党の皆様方にはどうか御賛成になって、わが党案が通るように御協力願いたいと思うわけであります。政府側の方もそれに対して暗躍されないで、日本社会党案が通過するように間接的に御努力をお願いいたしたいと思うわけであります。  そういうわけで、そういうことは種類別のことでございますが、各所にいろいろなことがあるわけでございます。たとえば政府の年金額は、老齢福祉年金、母子福祉年金、障害福祉年金について、障害に第一級しかありませんから、全部その対象者については一律の金額であります。ところがその一律でいいのかどうか、所得制限がある以上、それが一段階であっていいものであるかどうか、これは非常に疑問であります。所得制限でこれ以上の人には上げない、これ以下の人には上げるということになれば、どこかの線の引き方によって公平、不公平が起こる。次にそれを推し進めていくと、一律でいいというものではなしに、その所得が一番少ないところにはもっと多く上げなければならないということが当然考えられるわけであります。ただ政府の年金が千円というような低い基準でありますから、それを片一方に寄せると片一方が半端な数になるという御心配があると思いますが、当然千円はしなければならないと思って、たとえば五十万円の老人のところに千円はしなければならないと思われたならば、十五万円の老人のところにはより以上の二千円、三千円というものを上げなければならないということになってこなければならないと思います。それが正しい道でありますから、全体の社会保障費のことなどに関連せずに当然主張をされて、大蔵省はのまなければならない。のまない大蔵省であれば、政府の政策を知らない大蔵省であるということで閣議で規制ができて、実現できるべき性質のものであろうと思う。そういうような収入の少ない対象者にはたくさん上げるというようなことについてどうお考えになりますか。
  112. 古井喜實

    ○古井国務大臣 ごもっともなように思いますが、現行法はなぜこういうふうになっておるのか、そういう辺もありますので、あなたには及ばぬかもしれぬけれども、専門的に詳しい局長の方から答弁させたいと思います。
  113. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 所得制限をきめたならば、その所得制限に近い者に全額やる場合と、所得制限をちょっとこえた者が全然もらえない場合とで非常に違いができるではないかというような御議論は、それは御議論として確かにあると思います。ただ問題は、これはいつものことでございますけれども八木先生のお考えの中には、年金というものに、公的扶助でやろうとする仕事まで一切やめられてしまうに近いほどの非常に大きな役割を負わしてしまうというお考え方があるようでありますけれども、現在の制度の分担からいいますと、年金の分担し得るところはあるところまで、それ以上きめのこまかい扱いというものは、どうしても公的扶助という制度をそれぞれの必要に応じて扱っていかなくちゃならぬ、こういうことになるわけであります。これは八木先生、常にそれはいかぬと言っておられることでありますが、同時にこれは現在の制度論からしますと、幾らおっしゃられてもやめるわけにいかぬという分担なのであります。そういう考えを持ちますと、所得制限というものをあまりに低い線にきめるということはどうしても考え直しをしなくちゃいかぬという問題があるわけでございます。それでただいまお言葉にありましたが、実は私五人世帯で五十万という所得制限を決して高いとは思いません。この程度基準でありますと、大都市のサラリーマンでどうやら生活をしているという人の家庭におる老人は、大部分福祉年金が受けられないという程度の制限になっておるわけであります。そういう意味合いにおきましても、この問題は社会保障制度審議会でも言っておられるように、元来福祉年金の所得制限というのは非常に高いところに引くべきであって、あまり低いところに引いてはいかぬという、やはりそういう御意見に従って調整をはかっていくようにしたいわけであります。相当高いところに所得制限の線が引かれるということになりますれば、これはその前後で非常に差ができるという問題はおのずから出てこない。こういうようなことで、この問題は方向としては何とか所得制限に感じられる無理を少しでも減らしていきたい。特に本人所得の制限に引かれているような線はぜひ一つ上げていくように各方面にお願いをしたい、こういう考え方でいるわけでございます。
  114. 八木一男

    八木(一)委員 小山君は、古井厚生大臣に私が質問したときの趣旨を少し取り違えられている。私は所得制限はできるだけ撤廃をしてたくさん上げるようになった方がいいという意見です。ただしそこにやっぱりバランスがある。さっき言った、障害や母子が政府の年金では、必要の程度が多いのに、その程度が薄くされているという問題、それから今度は所得制限というのはない方がいいけれども、今のところ無拠出のもので財政的な限度があるので、ある程度所得制限をしなければならないというわけです。それはなるたけ所得制限は少なくした力がいいです。所得制限は少なくした方がいいけれども、そこにやはり所得制限というものを片方に置いたのだったら、結局たくさん早く全部上げたいけれども金が足りないから、これ以上の収入の方はしばらく待っていただきたいという思想からきているわけです。それともう一つの関連で、金額が千円、千五百円でいいかどうかという問題は非常に重大な問題であります。これは二千円、三千円、四千円、五千円というものができれば、その方がいいわけです。そうなれば二つが要素である。二つが要素であって、所得制限というものがあり、金額はたくさん上げたいけれども、今やむを得ず所得制限をしなければならないという問題がある。金額はたくさん上げたいけれども、ある程度にとどめなければならぬという問題があるときには、これは関連して考える必要があるのではないか。だから所得制限を一段階にしないで二段階なり三段階にして、ほんとうはお年寄りにはとにかく四千円、五千円上げた方がいいのです。けれどもそれは全部上げられないから、非常に所得制限の低い方にはたとえば三千円、四千円でもこれはこのままにしておく。それから上の方にはふわっと上げる。そういうような考え方があっていいんじゃないか、これは確かにあっていいと思います。  社会保障制度審議会の年金に関する答申は、再々申し上げているように、あの年金の答申に関する限り実に不完全であり、社会保障制度審議会の勧告の中では最も不成績のものです。それは政府も御存じなんです。御存じだから、社会保障制度審議会自体じゃない、少し政府の方が進歩しているところがある。今のたたかれ続けている現行法でも、制度審議会の答申よりいいところがある。それはもう小山さん十分御承知通り。だからあのような不成績なもののときに社会保障制度審議会を援用なされる。その前の医療勧告のようなりっぱなものはてんでその通りやられないで、不成績のものだけ援用なされるというような使い分けをなさらずに、そういうことなんです。それは小山さん十分御承知なんです。だからこんなところに社会保障制度審議会を援用なさると、私あの経過を全部知っておりますから、一々同じことを申し上げなければならないから、厚生大臣も年金に関する限りは、あの年金の答申は今後援用なさらない方が審議促進にいいと思います。医療勧告やその他の勧告は、社会保障制度審議会は九十九点九分くらいいいんですけれども、あれだけはどうも、その中の非常に熱心な構成分子がいないときにポッとやられたから、実をいうと不十分なんです。そういうことですから、それは申し添えておきますけれども、今のような段階的な所得制限ということを考える必要があると思う。  小山さんは、さっき厚生大臣に質問したときのほかの点をちょっと取り違えて答弁しておられたのですが、そうじゃない意味で、今の質問の点で厚生大臣から、これはもう小山さんうんと言っていられます。うんと言わないと小山さんの権威は失墜をしますから、そういうような考え方について積極的な御答弁を願いたいと思う。
  115. 古井喜實

    ○古井国務大臣 小山君の方が詳しいようですし、それから考え違いをしておったとおっしゃるが、ほんとうのところを一つ答弁さしていただきたいと思います。
  116. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 八木先生のお考え、これはかなり従来の平凡な常識的な考えをだいぶ抜いた新しいお考えだと思います。そういうお考えに対して、やはり旧套になじんだ考えで終始してどうこう申し上げるのも大へんいかがかと思いますので、そこいらのところはよく一つ研究さしていただきたいと思います。
  117. 八木一男

    八木(一)委員 今二つ申し上げましたが、そのほかに全般的に所得制限が非常にきびしい。このきびしい点は、一般的にふわっと考えられるきびしさで、これは全部きびしいと思いますが、僕は五十万円のところのきびしいのよりは、たとえばほかの老令福祉年金の本人の所得制限十三万円、あるいは母子福祉年金の十三万円の所得制限、あるいは障害年金の十三万円の所得制限、これが非常にきびしいと思う。全部きびしいけれども、一番きびしい点はその点にあると思う。その点については断じて画していただかなければ、これは非常に問題になろうかと思う。ちょっとの違いでもらえる人ともらえない人とが出るという場合も、五十万円のところであれば、五十万円の人と五十万一円の人が、片一方はもらえて片一方はもらえない、これは不公平であります。不公平でありますけれども、その世帯に五十万円という所得がある以上は、これは不公平といっても致命的な不公平とは言えないわけです。ところが十三万円の人と十三万一円の人で、障害者とか母子家庭とか老人で自分が働いている、そういうところでもらえるかもらえないかということは、非常に重大なことになってくるわけです。これは非常にきびしいので大幅に引き上げていただく必要があろうかと思います。その点については、十三万円というものは政府が作られたときに判定技術上のことを考えられて、そうして地方税法の負担にたえるものとたえないものという点を限界点にして構成されたわけです。ところが今度地方税法が変わりまして、十三万円というものは十五万円に変わったわけです。ですから政府側のやり方としても当然それは変えられなければ、いろいろの所得調査をされるというときに非常な不便がある。当然地方税法でそういうふうに変わったという点は、関連して同じようにそういうふうな人たちに差し上げるという状態に経済状態がなっているわけです。そういうことを考えられて、これは十五万円じゃ少ない、二十万円くらいまでにしなければいけないわけですが、少なくとも即時十五万円までにはこの所得制限を改定せられなければ筋が通らないし、世の中が困ると思うのです。厚生大臣、断じてこれは勇敢に直ちに実施するという御返事をいただかなければ、厚生大臣の政治的手腕はゼロということになる。政治的手腕は百パーセントおありの大臣ですから、カナマイシンと同じように、これは断じてやるという御返事を一つお願いしたい。
  118. 古井喜實

    ○古井国務大臣 所得制限の点は、私も御趣旨ごもっとも千万だと思うのであります。早く実現したいものだという趣旨においてはあなたと変わらぬわけでありますから、これはごもっともに、私は同感の意を表するのであります。
  119. 八木一男

    八木(一)委員 今度の修正で、それが与党の方々のいろいろの御努力によって実現するように、厚生大臣はこれについて一両日最大の努力をされて実現をされるお約束を願いたいと思います。
  120. 古井喜實

    ○古井国務大臣 この修正のことは、これは国会の方でなされることでありますから、政府案を出しておって自分で修正するというわけのものではありませんから、これはちょっと御質問が飛び過ぎているのではないかと思われます。
  121. 八木一男

    八木(一)委員 急速にそれが実現するように、最大の御努力を厚生大臣としてなさるということを一つ御答弁いただきたい。
  122. 古井喜實

    ○古井国務大臣 つまり修正とかなんとかということになると話がめんどうになる、私どもの触れ得る問題かどうかわかりません。とにかくそういう問題が早く解決がつくように努力をしたいと思います。
  123. 八木一男

    八木(一)委員 次に、今のことともに、今のことよりももっと大事じゃないかと思う問題があるわけです。というのは、何といいますか、家族がそういう所得保障を要する人であって、たとえば母子家庭で子供が多い、それから障害者で子供が多い、家族が多い、そういうような人たち、老人の場合もそうですが、そういうような人たちは実際非常に生活に困っておられる。生活に困っておられる人に、ちょっとの差でその福祉年金がいかないということは非常に痛いことなんです。そこで、現在の法律では、たとえば十三万円の収入と認定をされるときに、そういうような扶養家族のあるときにはそこから一万五千円だけ差し引いて認定をされるという、これは乏しいけれども制度としてはいい制度があるわけであります。この制度の一万五千円というものを三万円なり四万円なりに控除を拡大せられるということは、実際に家族が多くて、障害者とか老齢者とか母親とかが一家の主軸にならなければならない家庭においては、そういうものを拡大することによって、十三万円をちょっとオーバーしている収入がある方にこのような福祉年金がいくということは非常によいことではないか、あたたかいことではないか、具体的に一番困った人に、年金がもうちょっとでもらえる困った人にいくという方法は一番いいことではないか、さっきのことと同様以上に、そういう点は、何といいますか、具体的な問題を処理するときによい方法ではないかと思う。先ほどの問題とあわせて、この問題について最大の御努力を願いたいと思うのです。これについても厚生大臣は断じて即時やるという積極的な御答弁をぜひいただきたいと思います。これはぜひお願いします。積極的に何が何でもやってみせる勢いでやるという御答弁を一ついただきたいと思います。
  124. 古井喜實

    ○古井国務大臣 あなたにお願いすると言われたのでは全く困るのであります。痛み入ってしまうのでありますが、よく研究させていただきたいと思います。
  125. 八木一男

    八木(一)委員 これについては非常に事務的に権威者である小山さんもおられることですし、至急に委員会が終わったら御検討になって、これは聰明な厚生大臣であったらそれがいいということはすぐおわかりでしょうし、実はもうわかっておられるのではないかと思うのです。そういうことで、それが至急実現するように厚生大臣としての最大な御努力をなさるということを一つはっきりと御答弁下さって、そのような対象者が、厚生大臣の政治に対する前向きの姿勢に、非常に喜ばれるような御答弁を積極的に願いたいと思います。
  126. 古井喜實

    ○古井国務大臣 よいことであります以上は、一也懸命やりたいと思います。
  127. 八木一男

    八木(一)委員 次に所得制限にかかりましたから……。今一番所得制限の中で不合理だと思われる点は、どういう点でございましょうか。一つ厚生大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  128. 古井喜實

    ○古井国務大臣 これはくろうとの八木さんにお教えを請わなければならぬのでありまして、また一つ具体的にお示しになってお尋ねをいただけば仕合わせだと思います。
  129. 八木一男

    八木(一)委員 実は厚生大臣に何回も申し上げておりますので、すぐこの問題だけはそちらからおっしゃっていただけると思って申し上げたのですが、それでは具体的に申し上げますと、前から何回も申し上げておる配偶者所得制限の問題であります。所得制限というものはない方がいい。あらゆる老人、母子家庭、障害者全部に差し上げた方がいいのです。それがあるのは結局財政の点があるので、理由をつけて、このくらい収入がおありなのだからしばらくがまんしていただきたいということで、所得制限がついておるわけであります。それは最小限度二つの理由しか成り立たないと思うのです。一つは、これは老齢者なりほかのそういう人たちに対する所得保障だから、その人自体が所得能力があって現在所得のある方は、ある程度までの方はもうすぐ実現するからしばらくがまんしていただきたいという理屈であります。もう一つは、その人でなくても、御家族がかなりりっぱな仕事で働いておられて相当の収入がおありになる、当然それは同じように老齢年金、福祉年金を差し上げたいのだけれども、お家の幕らしがある程度豊かなので、豊かとはいえないにしてもある程度の生活なので、まあしばらく全体のためにお持ちを願いたいという、所得制限と一応いいますが、政府の方の法案のでき方は所得制限という言葉はきっちり当たりません。それは実は扶養義務の人は何とかという、むずかしい、ややこしい、天下の難解の文章が書いてありますので、ちょっと見られてわかる方はないくらいの難解な書き方でありますが、そういうふうに俗にいえば世帯所得制限、それが五十万ということになっておるわけであります。そういうふうなこともある程度過渡的には説明がつくと思います。ところが配偶者所得制限というもう一つよけいなものをつけられた、これはもう全く理屈に合わない。実例をあげますと、おじいさんが七十二才である、普通なら仕事はやめたいのです。ところがむすこさん夫妻が全部死んでしまった、だからそういう生活費をかせいでくれる人がいない、しかも小さい孫を残しておる、それにあとおばあさんだというわけで、おじいさんが一生懸命働いて二十万ほどの収入をあげた、そのときにおじいさんの方は、自分が働いて所得能力があり、十三万円をこえているからこないということはいたし方がございませんけれども、そのおばあさんに老齢福祉年金をくれないというふうに今の政府案はなっております。同じ老婦人の場合でも、自分の御主人のおじいさんがいる、むすこさんもしっかりしておって、むすこさんは月に四万円ぐらい収入を上げて、和気あいあいの家庭で親孝行をされている、そういう幸福なおばあさんと、むすこ夫妻が死んで悲しみにひたり切って、むすこ夫妻の遺児である孫をおばあさんが背負わなければならない、おじいさんが、食えないからということで、腰を伸ばしながら働いて二十万円の収入をあげておる、そういう気の毒なおばあさんにやらないで、幸福なおばあさんにくる、これは全くおかしい。配偶者所得制限というようなものは、年金の所得制限の概念としては成り立たないと思う。ところが政府案にはその成り立たないものが鎮座ましましておる。こういうふうな夾雑物は直ちにおやめになることがいいので、それについての厚生大臣のお考えをお伺いたい。
  130. 古井喜實

    ○古井国務大臣 お話はどうも大へんごもっともなお話のように伺っておるのであります。
  131. 八木一男

    八木(一)委員 ちょっと御答弁中にわき見をしまして、全部聞えないで恐縮でございました。ごもっともだと思いますというような御返事だったと思いますが、ごもっともとすぐおっしゃっていただけるような不合理なものなんです。不合理なものはやはりすぐやめる必要がある。善は急げということがあるわけです。これをすぐやめるために最大の御努力をなさるかどうか、それについての御答弁をいただきたいと思います。
  132. 古井喜實

    ○古井国務大臣 できる限りの努力をいたします。
  133. 八木一男

    八木(一)委員 まだ質問がございますけれども、一般質問もありますし、同僚の御質問もありますので、私も少しくたびれましたので、一時中止をいたしまして、また後の機会にさせていただきたいと思います。
  134. 山本猛夫

    山本委員長 小林進君。
  135. 小林進

    ○小林(進)委員 きょうは質問する予定ではなくて準備をいたして参らなかったのでございますが、重複するかもしれませんが、その点はあしからずお願いいたします。  拠出年金の適格者が一体わが日本に総数どれくらいおるかお聞かせを願いたい。
  136. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 これは時々刻々動いておりますので若干違いは出ると思いますが、昨年の八月現在で各市町村について調べたところによりますと、当時の状態で強制加入の該当者と思われる者が推定二千万人、それから任意加入を希望すると思われます者が二百八十万程度だったと思います。任意加入の方はちょっと数字が違っておるかもしれませんか、大体その近所でございました。
  137. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは強制加入は満二十才から満五十才までですか、五十才から任意になりますか。
  138. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 そうです。
  139. 小林進

    ○小林(進)委員 そうすると満二十才から満四十九才までの総人口数を一つお知らせ願いたいのであります。
  140. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんので、至急取り寄せまして後ほどお答えいたしたいと思います。
  141. 小林進

    ○小林(進)委員 実は私は、その満二十才から満四十九才までの年令層の中に強制に該当する人たちが幾ら、任意に該当する者が幾らかという比率をお聞きしたかったのですから、そういうお気持で早急にその数字をお知らせ願いたいと思います。  その数字がわからないと、どうも次の質問を展開するわけにはいかないのでありまするが、現在お持ちでないということでありまするから、次へ進みたいと思います。  今のお話では、強制加入が推定二千万人と仰せになりましたが、その中で現在までに手続を完了いたしましたものが一体どれくらいおるか、お聞かせを願いたいのであります。
  142. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 四月末日までに手続を終えましたものが千七百四十万でございます。
  143. 小林進

    ○小林(進)委員 その千七百四十万人というのは四月末までに加入の手続をしたのですね。これは印紙を張って、第一回目の金額を納めるのは七月末日まででございますか、七月の末日までといたしまして、そのスタンプの進行状態を、もう五月も終わるのでありまするから、それを一つお知らせを願いたいのであります。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
  144. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 ただいまもお話がありましたように、保険料を納付いたします期限は七月でございますので、そこで正式にきまるわけでありますが、できるだけ仕事を早く進めていきたいというので、現在各市町村を通じまして少し早目に印紙の売り渡しをいたしております。それで四月一ぱいの状況は、私どもの手元にわかっておりますのでは、大体市町村で印紙を引き取りましたのが十億足らずでございまして、この十億足らずの印紙のうち現実にどれだけが登録を終えました被保険者にわたっているかどうかというのはまだつかんでおりませんけれども、その後さらに印紙の引き取りの数もふえておりまするから、大体逐次渡りつつある、かように考えております。問題はこの印紙が一体いつごろ一回転してくれるかということでございまして、それを今注意深く見守っておる、こういう状況でございます。
  145. 小林進

    ○小林(進)委員 それではちょうど小山さんに教えていただくような格好になったのでございまするが、あなたは専門家でございまするから、お教え下さってけっこうでございます。私は謙虚な気持でお尋ねしたいと思うのでありますが、四月末日までに、概算二千万名を予定せられている中で一千七百四十万人の手続が済んだとおっしゃるのですが、そうすると一割五分といいますか、二割弱の未加入者がまだあるということになります。この未加入者は将来どうなるのでございますか、その処置をお聞かせ願いたいと思います。
  146. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 ただいま先生仰せのように、まだ二割近い未加入者があることになると思います。これらの人々のうちには、とにかくもう少し情勢を見た上で態度をきめたいといういわば意識的な未加入者と、もう一つは、この種の仕事をする場合にいつも出てくる人々でありますが、およそなかなか行政のルートに乗りがたいというような人と、両方あるわけであります。この後段の部類に入ります人々は、これは国民健康保険をやります場合でも、どの市町村でも非常に苦労する人々でありまして、都市の規模が大きくなればなるほどこの数が多くなって、この処理はちょっと尋常一様なことではいかぬという人々で、これは相当長期に逐次把握していくということをしなくちゃいかぬと思います。それで、前段の人々がいわば国民年金について起きてきている特殊の未加入者であるわけでございまして、これらの人人につきましては昨年度以来いろいろと説得をして入ってもらうようにしている、こういうことでございますけれども、これらの人々にもいろいろな考えがあって、もう少し情勢を見定めたいというようなことでなお加入をしてもらってないという人々が相当あるわけでございます。幸いにして今年度に入りましてから、そういう態度をとった方々のうちある程度の人々が逐次加入してくれております。そういうことでございまするので、今後根気よく説得を続けていきまして、何とかここ二、三カ月のうちに気持よく入ってもらう方向で、先生方からも御注意をいただいておりましたし、私どももそうはしたくないと思っておりましたように、強権力を振りかざしてしゃにむに取り込むというようなことでたく、いろいろのいきさつはあったけれども、まあやっぱしそれじゃそういうことで入ろうかという、そういう状態で入ってもらうようにいたしたい、こういう努力をしておりまするので、いずれ逐次入ってくれて、そう遠くないうちにこのギャップは著しく詰まってくる、かように考えている次第でございます。
  147. 小林進

    ○小林(進)委員 私は将来の見通しの問題ですから、そう思い切ったことも言われませんが、スタンプ方式といいますか、現実に金を納める段階に至りますと、この数字はもっと大きくなってくるのではないかということを懸念をしているわけです。それは懸念ですから当たらないかもしれませんけれども、その問題はまたそのときの問題としても、現在やはり三百万——私はこの二千万という数字は、まだあとでお示しいただくことになっておりますけれども、私はこの数字はいま少しふえるんじゃないかというふうに考えているのでございますが、それは別にしても、まだ三百万前後の未加入者がともかくいる。その未加入が、お話によれば、様子を見て入るからという、態度を分明にしない層と、確信派というか、断じて入らないという信念に燃えて入らない層と、二口に分けることができる。当面、さしあたりこういう問題に対して、先ほどからもお話がありましたが、PR活動も十分におやりにならない、四十年の老後を保障するために今出す百円の金が四十年後にどうなるのか価値判断もつかないような、そういう金を出す側の身になってみれば、これは私は容易じゃないと思うのでありまして、あなたのお話のように、喜んで出せるようなときまで待ちたいとおっしゃったけれども、なかなかこれは喜んで出せる性質のものじゃないと私は思っておる。けれども、こういう制度をおやりになってきたからには、今すぐそういう意味で強制や権力を用いていただくことは私は反対であります。絶対反対でありまするし、やっていただいちゃ困ると思いますけれども、しかし将来いずれかの時点においてこれを解決をして下さらなければ、これはいやでも権力の前に屈服して出した者はたまりません。喜んで出した者はそれでよろしゅうございましようけれども、しかしそれは法の制度としてはけじめがつかないことになりまするから、それを一体考えておいでになるかどうか。将来ずっと先へいっても入らない者は必ず残るのですから、これは残るなといっても残る。そのままやむを得ず放任をしておおきになるのか。法の命ずるままに、それは懇切丁寧に説得工作は続けながらも、最後のどたんばへいったら国家権力の発動で、どうしても強制をするという考えでおいでになるのかどうか。私はそれを承っておきたいのであります。
  148. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 大へんむずかしい問題でございますけれども、少なくとも昨年以来の状況としては、私はまだその時期までに達していない、こういうような気持で仕事を進めて参ったのであります。現に、尊敬すべき最大野党がこれに対して非常に強い批判的なお考えを持ち、そういう考え方を持っておられる。そうだとすれば、国民の間にそう簡単にこれに入るわけにはいかぬじゃないかという気持があることについては、これはやはり仕事をする側においても十分考えなくちゃいかぬ。従いまして、まずそういうようなすべての問題が一応一段落をしまして、いろいろ議論はあったけれども、まあ現状においてはこのくらいかという気持を国民の大部分の人々が自然に持つ状態まで今の態度は続けて参りたい、そういう状態が一通り来るようになりしましたならば、そこでやはりけじめをつけることはしなくちゃいかぬ。しかし、それには十分手段を尽くし、日にちをかけるということは続けて参りたい。従って、単純にことしの七月になったらしゃにむに問題を強権力で片づけるというような気持は今のところ持つべきじゃない、こういう気持で現在仕事を進めておる、こういう事情でございます。
  149. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、この法律で強制をおきめになったならば、これはことしになるか来年になるか、再来年になるかは、期限は別として、いつかは権力の発動を見なくちゃならないと思っておるのでありまするが、そういうようなことの無理じいをしないためにも、今度の改正を目途にして強制ということをいま一度考え直してごらんになったらどうかということを実は申し上げたいのであります。外国の立法例は私は不勉強でわかりませんが、一体先進国の英国あたりはこういうふうな強制制度を用いられておるのかどうか。また、私はあわせてお聞かせ願いたいと思うのでありまするが、これは年金制度ではございませんけれども、医療の問題、国民健康保険に関する限りは、英国あたりは皆保険制度を用いながらも強制はしていない、していないから、これは国保に関する限りは今でも一割程度は国保に入っていない英国の国民がいる。これはブルジョア階級がお入りにならないで、私設で自分たちだけの健康組合を持って、そしてぜいたくな医療を楽しみながら治療や保険を受けているということも私どもは聞いているのであります。しかしそれは健康保険の問題でありまして、この年金の問題ではございません。私は年金にも何かこういう強制制度を用いないで実施している先進国の例があるのではないかと想像するのでありますが、その点も一つあわせてお聞かせ願いたいと思うのであります。
  150. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 現在日本が置かれておりまするような状態で、勇敢に全国民的な年金制度に踏み切るかどうかといったような問題については、おそらく外国であるとするならば、これは相当慎重論と申しますか、そういう議論はあり得たであろうと思います。しかし、それはとにかくとして、およそやります以上はこれは完全な強制実施でございまして、いやな者は入らぬというような形を残しておくということはやっている国はございません。イギリスももちろんこれは完全な強制でございまして、イギリスの退職年金制度からはずされておりますのは、日本でいいますと、国家公務員その他のああいう特別のより給付内容のよい年金制度に入っている者は入らなくていいという意味のはずれ方でございまするから、日本流にいえば全部入っている、こういうことになるのでございます。
  151. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは、これは強制加入の問題は次にあらためて別の角度から質問をさせていただくことにいたしまして、現在行なわれているスタンプ方式で七月末までに市町村役場に届け出するという手続の具体的の方法を、そこで一つわかりやすくお話し願いたいと思います。
  152. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 スタンプ方式を順序を追って申し上げますと、先ほど申し上げましたように、印紙を都道府県の社会保険出張所から市町村の事務担当者が受け取って帰りましてから、市町村ではそれを個々の被保険者に渡す手段を講ずるわけでございます。この渡し方は、市町村の状況によりまして、いろいろございます。市町村の職員個々に回り、あるいは部落単位等のところに回って、そこで一括して渡し、そのときにあわせて検認をしていく、こういうような方法をとるものも一つございます。また適当な組織等に委託をいたしまして、その組織の代表者が自分の担当しておりまするグループの人々の分を取りまとめて一括して購入して帰り、そこで手帳に張って、それを一括して検認を受ける、こういうのもございます。それから非常に規模の小さい村に多い例でございますが、そういうようなところでは、村役場に出向きまして、そこで印紙を購入してあわせて検認を受ける、いろいろなやり方が現在あるわけでございます。ごく大まかに申し上げますと、そういうような方法で仕事は進められておる、こういう事情でございます。
  153. 小林進

    ○小林(進)委員 その村役場が、保険出張所から相当額の印紙を購入されるわけですが、その購入される金は一体どこから出るのでありますか、お聞かせ願いたいと思います。
  154. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 これは二色ございまして、一つは、市町村の予算等に印紙購入の代金を組んでいる場合に見受けられるのでありますけれども、あらかじめ前金でその印紙を買い取っていくという方法が一つございます。それからもう一つは、そういう方法でなく、印紙だけを受け取って代金はあとで支払いをする、こういうような方法もございます。そのいずれによるかは、それぞれの市町村の事情により、それぞれの市町村の希望に応じてやっておりますけれども、違いは、前金の場合は手数料が高く、あと金払いの場合には手数料が低くなっている、こういう違いがあるわけでございます。
  155. 小林進

    ○小林(進)委員 今私ちょっと話をしておりまして、全部の御答弁を聞かなかったのでございますが、村役場が前金で印紙を買うという場合には、これは町村の大小によって金額が違うでしょうけれども、相当の金だと思うのですが、そういう金を何か厚生省の方では、それは役場で立てかえておけというふうに指示をされたのでございますか、あるいはこの金を使っておけというふうに別ワクの前渡金のようなものをあっせんされたのかどうか、その点をいま少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  156. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 先ほど申し上げましたように、前金にするかあるいはあと金にするかは市町村の選択にまかせております。従って前金の場合の金について特に別途の融資をするというようなことは現在いたしておりません。ただ市町村がこれを買います場合には、先ほど例示的に申し上げたように、そのために一カ月分程度の予算を予算上組んで、それを行ないまする市町村と、それをしないで、あらかじめ被保険者から保険料に該当する分を一部受け取りまして、それで印紙を購入するというやり方をするものと、二つあるようでございます。
  157. 小林進

    ○小林(進)委員 このやり方に対して、具体的に苦情の来たことはございませんか。
  158. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 私どもが耳にしておりますところでは、手数料の多寡については、これはいろいろ注文があるようであります。もう少しほしいという注文はあるようでありますが、今の問題につきましては、特にこれで非常に困るといったような話を耳にしたことはございません。
  159. 小林進

    ○小林(進)委員 印紙の手数料は一人幾らでありますか。全額十何億円とおっしゃいましたか、そのうちの七割くらい大体の一般数字でお出しになって、あとの三割は実績に基づいて渡すと言われましたが、合計十何億ですか、それは一人当たり幾らの手数料になるかということもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  160. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 ただいま小林先生がおっしゃったのは、市町村交付金の方のことでございまして、これは市町村で国民年金の仕事をやってもらいます場合に必要な費用を国から出す分でございます。今年度の予算では、被保険者一人当たり九十円という単価で組んであるわけでございます。それからただいまの手数料の問題は、これと別に、実際に印紙を取り扱った量に応じて支払いをする、こういうものでございまして、前金払いの場合には、取り扱った印紙代金の三%、それからあと金払いの場合は一・五%、こういう金額になっております。
  161. 小林進

    ○小林(進)委員 なるほどずいぶんきめのこまかい分配方法をおやりになったものと思うのでございまするが、その問題について、印紙を購入して検認をするというまでの責任は、一体市町村の理事者に責任を分担せられておるのか、その中の国民年金の係の課長といいまするか主任といいまするか、その人たちにその市町村における最終の責任を負わせられているのか、責任の帰属をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  162. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 国民年金の仕事を行なうことは、もちろんこれは全部市町村長に機関委任事務として委託しておるわけでございますが、この印紙の取り扱いの仕事は、機関委任の仕事としてでなく、市町村との間に契約に基づいて委託をするという団体委任の仕事として取り扱っているわけであります。市町村自体の問題として考えました場合は、もちろん最終的には市町村の理事者の責任に帰属する問題でございまして、それが取り扱いをしている人々だけの責任だという仕組みにはなっていないのであります。
  163. 小林進

    ○小林(進)委員 市町村における国民年金の専任の職員というものは国家公務員じゃなかったですか、違いますか。国家公務員じゃなくて、それでは一般の市町村の地方公務員であって、ただ年金業務だけを国家が委託をしている、こういうことですか。この身分関係を明らかにお聞かせを願いたいのであります。
  164. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 先生仰せのように、市町村で国民年金の仕事をやっております人々は、これは市町村の職員、つまり地方公務員でございます。それでこの地方公務員は法律によりまして、市町村長に国が委任をいたしました仕事を市町村の内部で受け持ってやってくれている、こういう関係になっているわけであります。
  165. 小林進

    ○小林(進)委員 これは将来の年金業務を円滑に推進をしていくという意味から、今おっしゃったようなシステムがいいのか、あるいは労働基準局あたりは一本になっておりまするし、職安行政も、仕事だけは各府県首長の監督を受けるということになっていて、身分は国家公務員だという形で行なわれておるのでございますが、この年金業務の円満なる遂行のためには、そういうシステムじゃなくて、やはり身分関係は国家公務員として一本の線に系統立てた方がよろしいのではないかというふうに考えられるのでございますが、この点はいかようにお考えになりましょうか、一つお聞かせを願いたいと思います。
  166. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 実は先生のような御意見が、この制度をいろいろ論議しております当時において相当強く出て参っておったのであります。また国の側においては、そういったような考え方を持つ者も相当おったわけであります。ところがいろいろ地方団体と相談をして参っておりまする段階におきまして、市町村側から、やはりこの国民年金の仕事は、福祉年金はもちろんのこと、拠出年金といえども、市町村で固有の仕事として取り扱っている仕事とはもちろんのこと、ほかの委任されておる仕事との関係においても非常に関係が深い、従ってなるべく市町村に仕事をまかせて頼むという仕組みをとってほしい、こういう非常に強い希望がありまして、それももっともなことであり、特に国民健康保険との関連を考えてみますと、やはりそれがよろしいだろうということでお願いをする、こういうことになったわけであります。従って職員の問題につきましても、これは実を申しますと、仕事を頼みながら事務費は非常に少ないといって評判が悪いところがあるわけであります。これはぜひそういう迷惑をかけないようにしていかなければいかぬと思いますが、仕事を市町村に頼み、市町村の職員にそれを処理してもらうというこの方式は、今後続けて参ることが一番実情にもかなうし、いいのではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  167. 小林進

    ○小林(進)委員 最近の話でございまするが、国民年金の加入の成績が上がらないということで、これは加入の勧誘の問題か、あるいは金銭の徴収の問題か、そのいずれかは聞き落としましたけれども、ともかく実績の上がらないものに対しては、厚生省からこれを処罰といいまするか、処分をするというふうな通達をお出しになって、末端の年金を扱っておりまする市町村長、理事者はもちろん、係員が非常に驚いたといいまするか、おそれ入ったといいますか、大げさにいえば恐怖心を持った、こういう話を二、三私どもは耳にしたことがあるのでございます。そういう通達をお出しになったことがあったのかどうか、少し具体的にお聞かせを願いたいと思うのであります。
  168. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 結論から申し上げますと、そういったような通達を出した事実はございません。また、あれかなといって思い当たるようなこともないのでございまして、私どもと市町村との関係は、これは先生方もそばでごらんいただいておわかり願えると思いますが、それほど厚生省側がいばってというような関係ではないのでありまして、むしろ実際の問題としては、よく事情を知ってもらって、むずかしくはあるだろうけれども一つ将来のために一緒にこの仕事をやってくれないかと、絶えずほぼ同等の立場において話し合っているというような関係でございますので、おそらく今のお話は何か間違いじゃないかというふうな気がいたします。
  169. 小林進

    ○小林(進)委員 厚生省の力で——厚生省といえばあなたの局なんでございますが、実績が進まないということで、先ほどもお話し申し上げました交付金で相当締めつけるという手をお用いになったことは事実であります。これは御承知でございましょう。一般のそれは、該当者の人員に基づいて相当額をおやりになって、あとの三割程度は実績に基づいて残額を支給する。その実績が上がらないところに金をやらないということは、これは私は無理からぬと思いますから、その方法のいい悪いは申し上げませんけれども、そういうやり方で、受け取る末端の市町村では非常にあわてたりうろたえたりしておることは事実であります。それはあなたの方からは強制的におやりになったのではないけれども、受ける方では相当痛手を感じたということだけは事実であります。そうして効果が現われてきたことも事実でありますが、それは別といたしまして、そういうふうに、市町村の末端の機関がやらなければ、どうもおそろしいというか、何か仕返しがある、おしかりを受けるというふうな、精神的に苦痛を受けるような手段をお用いになっているものがあったらお聞かせ願いたいと思います。それからいま一つ、あなたの方と市町村との間にいわゆるクッションがあるのではないか。あなた方になりかわって、市町村の実績を監視、監督をする、あるいは実績の上がるように奨励をするという中間の機関があるかないか、あわせてこれもお聞かせ願いたいと思います。
  170. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 私どもと市町村との中間には、県に国民年金課というのがございまして、これはそれぞれの都道府県における国民年金の仕事を担当しておりますから、直接市町村と接触をして、連絡をし、あるいは指導監督をするという仕事はここでしているわけでございます。それから先生仰せの前段のやつは、どうもあまりそういう感じのものはないのでありますが、しいてあげますならば、ことしから集まった金の一部を還元いたしまして低利資金を各市町村を通じて融資したいと考えております。その場合に条件の一つといたしまして、国民年令の適用の実績なりあるいは保険料の徴収の実績がある程度以上であるということは要求をいたしております。ちょうど厚生年金の還元融資の場合に保険料の納入実績を問題にするのと同じように問題にしております。あるいはそういうことを問題にされて、今までは、こんな評判の悪いと——えてしてそういうふうな問題が起こるのはそういう市町村でございますが、ほうっておいた、いよいよ金を借りたいと思って行ってみたところが、そういう条件があってこれは痛いというようなところで、何かえらくきついことをしているというふうな受け取り方をしたのかもしれませんけれども、あるとすれば、そんなものだと思います。
  171. 小林進

    ○小林(進)委員 やはり市町村の理事者が、自己の信念に基づいて、この拠出年金は強制すべきじゃないということで、サボタージュをしたわけではございませんが、積極的に動かなかった、そのために成績が上がらないというような、そういう市町村へ今おっしゃった県の年金課の職員が乗り込んでいって、直接その市町村の年金係を督励して、それと県の年金課の職員が一緒になって、またたくまに実績を上げた。こういうようなところも全国的なケースの中には二、三あるのでありまするが、そういう県の国民年金課がそれほどまでに積極的に動かなければならない強制力を、一体厚生省はお持ちになっておるのかどうか、あるいは動かすように特別の指令をお出しになったのかどうか、そういう点もこの際明らかにしておきたいと思うのであります。
  172. 小山進次郎

    ○小山(進)政府委員 そのことでございますならば、私は当然あったと思います。現にそれは都道府県だけでなく、私ども自身が大きい市に出向きまして、その責任者に会って、しっかりやってもらわなければ困ると厳談をしたこともございます。そうしてこの種の仕事は、市町村の規模で申しますならば、国民健康保険でも、これを軌道に乗せるためには当事者が相当の努力をしなければならぬわけであります。いわんや国民年金のように、しかも先ほど来いろいろ御指摘があったように、なお国民の一部に釈然としない空気がある、そういう状態において仕事を進めていくという場合には、当事者としてはよほどそこは決心してかからなければならぬ。こういう事情でございますので、これは繰り返し申し上げましたように、あったわけでございます。この点は私はやはり一つの制度がきまり、行なわれるということになりました以上は、任務のある人間としては当然だ、むしろそれをしないということは国民に申しわけないことになる、こういう気持で参ったわけでございます。
  173. 小林進

    ○小林(進)委員 大臣もお見えになりましたから、私はこの際大臣に一つ御意見を承っておきたいと思うのでございまするが、先ほどからの局長お話で、なるべく強制は避けて、国民が喜んで加入するような形まで残部のものを説得してかかりたいというお話がございました。私はその言葉にこだわるわけではございませんけれども、今日この国民の拠出年金に、ほんとうにこれに理解を持って、喜んで加入する者が一体どれだけあるかということに対して、非常に疑いを持つのであります。この疑いを持っておりまするところへ、だれかれといって名前をあげますと皆さん方からにらまれますから、私は名前をあげるわけにはいきませんけれども、少なくとも数十名の町村長が私のところへ見えました。それは決して裕福な町じゃない。主として農村地帯の零細農を控えた零細商業農村地帯の町村と考えていただければよろしいのでありますが、その諸君が参りまして、これは一様に年金問題に対して非常にこぼしておりました。その理由は何かといえば、われわれの町村において、町民税、村民税、いわゆる住民税だけでも、あらゆる手段、方法を講じて、それを取り上げるのが七割、七割の成績を上げるにほとんど精力を使い果たす。けれども、それでは貧乏な町村財政をまかなうわけに参りませんから、なおかつ全知全能を傾けてその納税成績が八割なり九割に上がるようにわれわれは努めておる。そういう貧乏な市町村へ、今度この国民年金が一つ強制加入で、またわれわれの責任でこれを集めるように命令をせられている。今お聞きいたしましたら、そういうふうな処罰までも設けるというふうに強制した覚えはないと局長はお答えになりました。それはそうだろうと思うけれども、受ける側には相当強い圧力を感ずる程度の強制力でこの金を集める、加入者をふやす、こういうことを言われておる。こっちの方に力を入れれば、今まで心血をそそいできた住民税があっぷあっぷしてしまう。七割の成績が六割か五割に落ちてしまう危険性がある、といって、こっちの方だけ一生懸命にやっていれば年金の方の成績が上がらない。全く苦労が多過ぎて私どもはほとほと困っております。返上できるものなら返上させていただきたいし、むしろほんとうにおやりになるならば、われわれの手を離れて、国みずからがやっていただきたい、こういうような切実な話がきておるのでございまするが、これに対して、厚生大臣もおそらくそれくらいのお話は私はお聞きになっておるのじゃないかと思うのでありまするが、大臣がお聞きになっていないとすれば、もはや大臣はあまり上へ上がり過ぎて、人民とのつながりを失われて、実に悲しむべき現象であると言わなければならぬのであります。お聞きになっておるとするならば、それほど鋭敏な大臣のおつむでありますから、感ずるところもわれわれより強いと思うのでありますが、その所見をお伺いしたいと思うのであります。
  174. 古井喜實

    ○古井国務大臣 昨今国会の方に専念しておりますので、かけ違ったせいか、何人か集まったそういう集団的なお話までは伺う機会はないのでありまするが、およそ察しはつくのであります。それは町村の当局がどんなに苦労しているか、第一線の人の苦労はよくわかります。私は町村に勤めたことはございませんけれども、県の第一線で何年か働いてみて、東京で勝手ほうだいにやっているのと違って、実際に第一線で働く者の苦労というものは格別であるということはよく知っている。身をもって感じているのであります。そこで、御苦労千万だと思います。町村税も徴収しなければならぬ、保険税もとらなければならぬ、保険税の方も医療費も上がってくる。さもなくたって利用度がふえておりますから、保険税も増徴しなければならぬようなことも起こる。これをとるのは容易なこっちゃない。加えて年金の掛金を徴収するということでありますから、それは並大ていの苦労じゃないと思うのであります。しかし、それだからといって返上するなんという考えは誤っていると思う。町村という、自治体を経営して、みんなのためになる仕事をやっていくために町村税をとっているのですから、町村の事業活動のために必要なことでありますから、こういうことは労苦が多いからいやだとかなんという町村があったら、考えが間違っていると私は思います。それからこの社会保障の諸制度はすべて国民のための制度でありますから、仕事をやるのが厄介だからといって、ごめんこうむる式の考え方は遺憾ながら私は賛成できません。そういう考え方は公僕としてどうかと私は思うのであります。その上に、国民年金はよく話をしてみれば、容易なこっちゃないとみな言うのであります。私ども現に、こういうことじゃないか、何が悪いんだと言えば、納める方だって、なるほどいいことじゃないかということで、もっとたくさん金額がもらえればさらによいでしょうけれども、悪いことは一つもない、こういうわけでわかってくれるのでありますから、そこには理解、納得を得る努力しをしつつ掛金を集めますならば、この無理も少なかろうし、おのずから楽しみも出てくるというわけのものでありますから、その辺の理解をよくしてもらって、当局にもそれからまた払う方の国民一般の方にも、双方ともによく理解してもらって、円滑に運営して育てていくようにぜひしたいものだと思うのであります。影響力があられる小林さんなどは、大いにその辺を啓蒙していただいて、だれのためでもない、国民のためでありますから、御指導をいただきますように厚くお願いを申し上げておきます。
  175. 小林進

    ○小林(進)委員 私は大臣に、町村長が年金の仕事をめんどうくさがって、返上できるものなら返上さしてくれというふうに言っているということを申し上げたのではございません。私が申し上げておるのは、大臣が前段におっしゃったように、町村長は町民税もとらなければならない、保険税もとらなければならない、年金もとらなければならないということになりますと、その地方における零細住民の生活状態がわかるから、とることがなかなか困難だ、こういうことを言っておるのでございまして、私もこれは金があればこの年金制度が悪いなんということは考えたことがございません。大臣のおっしゃる通り非常にいいと思います、しかもそのいいということは、パチンコをやったり、マージャンで使うよりはそっちで使った方がいい。あるいは百円のジョッキ一ぱい飲むよりはそっちの方へ出した方がいい。そういう意味においてこれは確かにいいと私は思っておりますが、しかし貧乏で、その日の晩のかてにも困るという、子供の学費にも困る、きょうもPTAの袋へ金を入れて学校へ持っていかなければならない、それじゃ子供を休ませよう、そういう切実に追い詰められている家庭からこの金を一体今どうしてもとらなければならない、それほど緊急性があるかどうかということを、非常に町長さんあたりが迷っているということを申し上げたのでありまして、それは大臣も地方長官をおやりになったり、地方の行政にもタッチされたから、おれはわかるとおっしゃるけれども、大臣のおわかりになっているのは、その地方へ行っても村長、町長あるいはその土地の上流階級の諸君と話し合って、晩はゆかたでも着て一ぱい飲んで、さばさばした気持でお休みになるという地方民情の知り方なんです。けれどもわれわれ社会党というのは、どこの市町村へ行きましても、そういう方々とのおつき合いのまことにない方でございまして、今まで働いてきたという地下たびで、わらじばきで、汗だらけの手ぬぐいで集まってくる諸君とその日その日の生活に直面した話し合いをしているのがわれわれでありまするから、この年金が一体どう響くかというその響き方は、私どもにはさらに切実なんであります。従って今ここで国民がやはり医療の保険税で相当手一ぱい出しているところへ、また国民年金を取り上げるということはなかなか忍びがたいという、そういう気持で町村長が言っておるのでありますから、この点は一つ大臣もよく理解をしていただかなければならないと思うのであります。ただ私が申し上げたいのは、できればこの拠出年金だけ実は延期してもらえないかというのが私の願いなんです。というのは、社会保障を相当窓口をお開きになりました。私どもこの通常国会でも半分以上は、大臣を前にいたしまして、そして同僚の滝井君等を先陣にして論陣を張って参りましたのは医療の問題であります。国民健康保険の問題であります。この四月を期して皆保険という表面だけは整えたものの、内面は何にもできていない。大臣はこれでいいとおっしゃるかもしれませんが、私はできていないのだ。そっちも食い散らかし、こっちも食い散らかし、あまり間口を開き過ぎて、国民だけがどうも金を取り上げられて、喜びよりも苦しみをむしろ倍加せられるような形の社会保障制度が今日本に現われているのではないか。だからこれは識者の中にも、せめて国保だけでも完全なものにして、一つ一つりっぱに仕上げていったらいいじゃないか。まだ二割の補助金と五分の調整金くらいで、ほとんど国民が金を持っていかなければ医者にかかれないというような現状の中、せめて英国くらいに病気のときには一銭の金も要らなくて、すぱっと治療ができる。自分でそのときに支払う金は補綴の料金かめがねの代金くらいでよろしいのだ。あとは病気のときにはもう心配は要らない。皆保険をまずきちっと仕上げておいて、これができたから次はこれでいこうという、こういう形にして下さった方が、今日のわが日本の社会保障制度の進み方としては、まともな行き方ではないか。せめて社会党の原案くらいの国民年金をきちっとおやり下さるならば、また今苦しんでも先が楽しみだから賛成しようかということにもなりますけれども、お宅さんの方の年金は、今も苦しければ先へ行っても楽しみがないという、まことに四十年たった先にボロ棺おけの中に入れられるような、こういうばらばらの年金をお出しになるというならば、これは引っ込めて、今私が申し上げるように国保だけでもきちっとおやりになるのが私は賢明なる厚生大臣としておとりになる手段ではないかと思うのでございますが、この点いかがでございましょう、一つお伺いいたしたいと思います。
  176. 古井喜實

    ○古井国務大臣 小林さんはやはり政治家でありますから大局的にものをお考えになっておることがありありわかりまして、大いにその点は敬服するのであります。つまりいわば貧乏世帯に子供を二人いっときに育てるようなものでありまして、国保つまり皆保険、この医療保障をまだ完成しておらぬものを育て上げなければならぬというところに持っていって、もう一人の子供を育てなければならぬのですから楽ではありません。それなら子供を一人にしておいたらいいじゃないかという御意見のようでもありますけれども、しかしいずれはしなければならぬことであるし、一日でも早く始めた方が早く年金がもらえるということでありますから、苦労であっても二人の子供を育てていった方が早く成果を得られる、こういうことでありますから、そこは考えようであります。同時に、けちくさい内容だとおっしゃるけれども、ものは見ようでありまして、社会党の案はなるほどりっぱなようにも見えますけれども、これを実行するときに一体何千億という国費の負担をするかという税金の問題も考えてみなければならぬ。その方が、その子供の方がよほど荷物が大きいと思います。こういうわけでありますから、ここは大局的に分別をして、ことに今になってもう農村方面では一〇〇%程度届出をしてしまっているというときに至ってまで、まだ延期だなんということをおっしゃるのは、政治家として少し分別がなさ過ぎるのではないか。私はもう大ていで、この辺で、ここまで現に生まれてしまった子供ですから、殺せなんてそんなことを言わぬで、健全に育て上げることに小林さん方が先に立って協力していただくことを国民のために切望するわけであります。
  177. 小林進

    ○小林(進)委員 せっかく生んだ子供だから一つ健全にこれを認知をして、そしてりっぱに育てることに協力をせいという大臣のお言葉でございます。私どもは貧乏人の子だくさんよりも、やはり自分の柄に沿うて、一人くらいにしておいて秀才教育でもした方がむしろよかろうと思うのでありまするけれども、大臣は何でも、不義の子でも三つの子でも、とにかくできたのだから、この事実をどうしても確認せいという、まことに裏返していえばいささかたけだけしい御議論になるのでございまするが、私はできたものを全部認めない、殺してしまえというのではございません。そのできた子供は認めますが、そのできた子供の中の拠出年金だけはしばらく日の目を見ないようにしておいて、片方の無拠出だけの方をいま少し手入れをいたしまして、そうして一つこれを秀才教育ではございませんが、完全なものに仕上げた方が国民は喜びます。喜びまするし、わが日本の現状に即応しておるのではないか、私はこれを申し上げたいのでございまして、昨年の三月ごろからですか実施をせられました福祉年金ではございまするけれども、これは私どもが想像をしておりましたよりは、若干素朴な国民の喜びが深いようであります。これは非常にけっこうでございましたが、しかしだんだん国民の意識が高まって、国民の権利というものが芽ばえてきますると、私はこのままではやはり済まされないと思うのであります。少なくともわれわれが言うように、六十才以上二千円、障害年金ならば三千円平均、四千円くらい欲しい、またやるべきだと思いますので、一つこの福祉年金をこの際早急に改正をされて、こっちの方で一つ力をぐんとお入れになるという、そういう改正案をお出しになるお考えがないかどうか。これを完成する間しばらく拠出年金の方だけは、これは生きたのを殺せではなく、待った、そうしてこっちの方、だけを力を入れる。私どもは率直にいって、どう考えても物価も値上がりしてきておりますから、老令福祉年金七十才以上を千円、これはあめ玉代にもならない。考えようによっては国民を小ばかにした金です。でありますから、これはやはり拠出年金六十五才だとおっしゃるならば、私ども六十才をお譲りして六十五才でもいいけれども、少なくとも六十五才二千円、これは今日の経済情勢から見て、二千円なんていう金は決して驚くべき金ではない。障害年金だって一号症、二号症、三号症くらいに分けて、四千円、三千円、二千円くらいずつ三段階に分けて、もっと内部疾患あるいは精神疾患の方々をこの点で一つめんどうを見ていく。母子年金だって十八才の高等学校の子供くらいまで含めて、親子二人くらいで人生の荒波をこぎわけていくのでありますから、月に三千円くらいの金をくれる、こういうふうに早急に一つ大臣おやりになっていただくわけにはいかないかどうか。これをおやりになるというならば、私どもは片方の拠出年金の方を一歩も二歩もお譲りして、そうして大臣に御協調申し上げてもよろしゅうございますが、この福祉年金改正の問題について、私は大臣の御見解を承っ  ておきたいと思います。
  178. 古井喜實

    ○古井国務大臣 福祉年金ももっと高いものにしたい、これはだれしも思うはずであります。同時に拠出制の方も前々申し上げますように、三十年、四十年たったあとにもらいますその時期までに、きょう入った人でも現実にもらう時期までにはもっと高い二万円や、あるいはもっともの金額をもらえるように、経済の成長に伴ってこれも改善しなければならぬというわけで、両方していきたいものだと思うのであります。でありますから、もう生まれたわけですから、法律もちゃんとできて生まれたわけですから、すくすくとりっぱに育つように御協力のほどをお願い申し上げます。
  179. 小林進

    ○小林(進)委員 約束の時間も参りましたから、私はきょうはそうそう引き延ばし戦術をやるわけじゃありません。あしたもまたやることにいたしますが、たまたま今大臣のお言葉で、二十代の諸君が四十年過ぎて六十代になれば、それは二万円も三万円もやりたいと思う、修正をしていくのだからというお話がございましたが、私はこの答弁は実は前回から聞いておりまして、それは私はその通りだと思う。そこにはうそがないと思いますけれども、しかしここで大臣に考えていただかなければならぬのは、日本の過去の、いわゆる経済の動向なんです。これを考えていただくと、現在金を出す国民の側からはなかなか説明を了承しがたい。それはそうでしょう。大臣だってわれわれだってそうだ、学生時代は五十銭のギザ玉一つあったときには大したものです。そのときには生命保険の千円も入っておけば、将来はもうりっぱに暮らせると思って、血の出るような五十銭、一円——その一円は今の幾らに該当しますか、二千円か三千円に該当する。当時はそれほど価値のある金を投じて千円の生命保険に入った。その生命保険の証書は、満期がきても、もらったって何にもなりません。はな紙にもならないという現状です。そういうことが明治年代から何回も繰り返されてきておる。現実に終戦後だってそうです。終戦後でも生命保険で、五十万円あるいは百万円の生命保険に入ったとする。当時終戦後はもうインフレのときで——百万も入っておけば、晩年はもう大丈夫だと思って、当時の金で二万円を出して五十万円の生命保険に入った。十五年前の話です。現実にあった。十五年前の二万円という金は、今日のもはや十万円以上の金ですよ。十五年前の金は、終戦直後の昭和二十二年か二十三年の金は……。その金を二万円を出して五十万円の生命保険に入って、この五十万円がくれば、代議士などというやくざ商売ではございませんけれども、不安定な商売は……(発言する者あり)だからやくざ商売ではない、不安定だ、こう言っておる。不安定な商売をしておりましても何とかいくだろうというので、当時の二万円という金は生活費に直せば、今日の十万円ですから、まず二カ月か三カ月の生活費に値する金を払っておる。ところが依然としてその五十万円の契約金は動かない。そうすると、これは生命保険ばかではないのです。わかりやすい例としてお話を申し上げるのであって、この掛金の二万円が十万円にスライドしたら、こっちの方も五倍の五十万円の契約金が二百五十万円になってこなければなりません。大臣は、そのスライドというのは、そのとき二百五十万円にするよ、こういう意味におっしゃるだろうと私は善意に解釈しておるが、しかし実際の面において財源の問題、予算の問題、そうして国自体が権力を握って、しかも今日の政治というものは一番信頼できない、その場限りの答弁で逃げておるというのが政治の実情でございますから、それを国民に、そういう掛金が五倍になったときには受け取り分の方もちゃんと五倍にスライドするのだということで信用せいと言ったところで、過去の実績と今日の現実の両においては国民が納得しません。そこに大きな不安定があると思うのでございます。もう時間もきましたからこれできょうの分は私はやめまするけれども、そういうことも考えて、この年金問題を実施する面においてはまだまだ不十分な点が幾つもあると思いますので、今申し上げましたこの点、そういう拠出する金額と受け取り高とが常に間違いなくスライドしていくということを一体大臣は国民に確約を与えることができるか、御所見を承っておきたいと思います。
  180. 古井喜實

    ○古井国務大臣 お忙しい小林さんにまた新しい質問を誘発してはいけませんから、あまりたくさんなことは申し上げませんが、過去のお話は、不幸な戦争という、戦時経済、その後の敗戦後のインフレ、経済的混乱ということを経過したという特殊な事情があったことも考えておかなければなりません。だから戦争のない世の中というものを作り上げることを前提に考えなければなりませんし、それからまた今後十年後には所得倍増計画という計画も実施しようという目標も立っておるのであります。経済を倍に十年でしようということでありましたときに、年金を一体今のままで置いていいはずは絶対にないと私は思います。あたりまえのことであります。そこで、ただ物価が上がるということでスライドしたという程度ではなしに、経済の積極的な成長ということに伴って改定して、積極的に改定してずっと引き上げるのはあたりまえ千万である、私はそう確信しておるのであります。でありますから十年で所得倍増、四十年たったらどれくらいになるのかと考えますれば、三千五百円だなんと思っておる方がよっぽどおかしいということでありますから、水をささぬように一つよい工合にこれに御協力を願いたい。切にお願い申し上げる次第であります。
  181. 小林進

    ○小林(進)委員 きょうのところは質問をこれで打ち切ります。
  182. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後五時三十四分休憩      ————◇—————    午後六時一分開議
  183. 山本猛夫

    山本委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件、特に青森県、岩手県における火災による被災者の救助に関する問題について調査を進めます。  先ほど厚生大臣から、ただいま議題となりました本問題に関しての御発言がございましたが、なお二、三の点につきまして委員長から総括的にお導ねを申し上げます。時間も迫っておりますので、かいつまんで要点だけをお尋ねいたします。  衣食住関係の救援等についての状況を、ただいま大臣の手元に集まっております程度の情報でけっこうでございますから、お知らせをいただきます。
  184. 古井喜實

    ○古井国務大臣 それではごく近い時間までの実情を局長が受けておるようでありますから、かわって局長から今の状況を申し上げたいと思います。
  185. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいままでに私ども入手したところによりますと、災害地において避難所を設けまして、それに罹災者の人たちを収容する、それからたき出しをいたす、救護班を派遣をするというようなことは、すでにやっておるわけであります。なお焼けました家の関係につきましては、さしあたりは避難所へ収容しておるということでございますが、場合によってはその必要の程度によって応急仮設住宅を建てるというような措置もいたすわけでございますが、何せただいまのところは、昨日の災害でございますので、さしあたり罹災者の収容、たき出し、救護というところにおそらく最善を尽くしておる段階であろうと思います。さような状況であると思います。
  186. 山本猛夫

    山本委員長 もう一つお尋ねいたします。たとえば田老鉱山のごときは、ほとんど全滅状態でございますことは御承知通りでありますが、こういう場合に、労働力という労働力全部をあげて災害復旧にかかっているようでございまして、幼児などにはかかわっておられないというような現地の混乱した状況のように伝えられておりますが、この方面に関しまして、臨時の保育所というようなものの急設等はお考えになっておりますか。あるいはその措置を講ぜられましたかどうか、お尋ねいたします。
  187. 古井喜實

    ○古井国務大臣 状況状況でありますので、臨時の保育所を設けてもらって、そこでただいまのような事態に応じたいという考えで、そういうふうな連絡をいたしておるところであります。
  188. 山本猛夫

    山本委員長 日赤病院等の派遣に関しまして、お聞き及びのことがございましたならばお答え願います。
  189. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 先ほど申し上げましたように、日赤からは救援物資といたしましてさしあたり手持ちのはだ着、毛布、日用品等を青森、岩手両県に急送いたした次第でございます。あとの情勢を見ながら必要に応じて次の手を打って参ることにいたしたいと思います。
  190. 山本猛夫

    山本委員長 委員長からの総括的なお尋ねはこの程度でとどめまして、質疑を許します。山中吾郎君。
  191. 山中吾郎

    山中(吾)委員 岩手及び青森の罹災について、委員長質問とダブらない点をお聞きいたしたいと思うのです。大体今度山火事によって罹災を受けた宮古、田老、岩泉、普代、田野畑村、この辺は昨年の津波の関係で疲弊をしたところでありますし、それから全国の市町村の所得水準からいうと最低の、非常に貧困な町村ばかりであります。そういう関係から、救助法の適用をする場合に画一的に今までの基準で救助の対策をとられた場合には非常に不公平な点が出ることを心配しておるわけであります。たとえば住宅関係につきましても、応急住宅の場合については、罹災戸数の中の三分の一が自力復旧の不能なものということで、今までは大体三分の一を考えておる。ところがここの住民などはほとんど、大体七、八割が自力更生不能というような状況だと思うので、その点、今までのようにただ三分の一を割り当てるというようなことでなしに、ぜひ実態に即して対策を立ててあげたい。その点について厚生大臣の御意見をお聞きいたしておきたいと思います。
  192. 古井喜實

    ○古井国務大臣 御案内のように救助法を発動いたしますと、あれに伴って普通ならば町村で負担すべきものを県で負担するというような道もございますし、現在の法律を最大限度に通用して、そしてできるだけのことをしなければならぬと思うのであります。  なお町村の財源等につきましては、これは私の所管ではございませんけれども、特別交付税などを考えましてこの処置に対する財源補てんという道もあると私は思いますし、そのあたりを最善を期したいという考えでおるところであります。  なお局長から御答弁申し上げます。
  193. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 御指摘通り、今回災害の起きました地方は、ふだんでもあまり豊かでない地方でございますので、この災害によりまして相当痛手をこうむったと思います。私どもの方で今日当面できますことは、災害救助法を適用いたしました関係上、災害救助、応急救助に必要な経費は大体府県で持つということになっておりますが、そこで県がいろいろやります場合に、御指摘の仮設住宅の問題がありまして、これもただいまのところは大体一応のものさしが罹災戸数の三〇%ということになっております。これは一応の基準でございまして、その災害の実情を見、土地の実情というものを見定めまして、それの実情に合わせるような措置はとるだけのゆとりは持っておりますので、その限度においてできるだけのことをいたしたい、私どもかように考えております。
  194. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次にお聞きいたしたいのですが、今度の罹災の場合に、学校の罹災が非常に多い。そういう関係で、児童保護について特に大臣の御考慮を願いたいと思うのです。大体この地域は罹災がなくても、ちょっと不漁になりますと欠食児童の出るところでありまして、平常の年においても、少し不景気になる、それから不漁になりますと、この沿岸地域の子供たちは、弁当を持っていかない子供が多い。この地域の文教上からいっても、絶えず特別の考慮を払う地域でありますので、こういう関係において、児童の学用品その他については、そういう特別の事情があるということを御認識願いまして、特別の御配慮をお願いいたしたい、こう思うのであります。
  195. 古井喜實

    ○古井国務大臣 文部省と関連もございますが、私の方からもよくその辺を協議いたして、最善を期したいと思います。
  196. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それから田老地区については罹災が大体五百戸、四百九十五戸ですが、集団住宅地域でありまして、とりあえず罹災者を各学校に収容しておるわけなんですが、応急の措置としてテント張りなどをするということをしてやらないと、分散した罹災でないものですから、いわゆる応急住宅の前のテント張りで何か方法を考えてやる必要がある。地元のそういう要望があるのでありますが、この点厚生省において対処できればぜひしていただきたい。可能であるか、また配慮願えるか、お聞きいたしたいと思います。
  197. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 まずさしあたりは、学校というようなものが避難所あたりにすぐ使われます。そのほかにお寺とか、大きな旅館とか、そういう学校以外のところが使えますならば、学校は教育という問題がございますので、可能な限り早くそれは本来の姿に戻して、ほかの方に収容した方がいいと思いますが、それが不可能の場合に、今度は教育の問題とのからみ合いということが出てくると思います。仮設住宅を建てるには、やはり若干の期日も要るわけでありますから、その間に何か考えなければならぬことも起こってきますが、大体季節も暖かくなって参りますので、お尋ねのようなテントでもって分散するということも、あるいは一つの考え方であろうと思いますから、それなり、あるいは親戚なりへ一時疎開みたいな形をとるというようなことも考えられますが、いろいろ手を打ちまして、そういう方々の救助にできるだけの力をいたしたい、かように思っております。
  198. 山中吾郎

    山中(吾)委員 お調べ願いたいと思うのですが、田老町の場合には学校も全焼ですし、それから労務者住宅も全焼なわけですから、ずっと離れた村の学校に収容している格好で、そのままいつまでも置くわけにはいかない。そういう関係でありますから、至急調査されまして、応急に住む場所を、とにかくテント張りでも何でもいいから与えていただかないと、おそらく半月前後で矛盾が現われてくると思いますので、その点ぜひ御配慮願いたいと思うのであります。  とりあえず私としては質問はそれだけですが、非常に貧乏な地域であるということと、それから、そういう狭い、平地の非常に少ないところに、学校を含んで全部が全焼しておるというような場所があるのですから、特別の配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 山本猛夫

    山本委員長 次会は明三十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十六分散会