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八木(一)
委員 全般的に
制度を作ったときに、その
制度の骨組みを作るのに忙しいからきめが荒っぽい、ざらざらしているという点は今までのこととして、まあ仕方がないと言えますけれども、
改正々々となっているときにやはりきめをこまかくしていかなければなりません。そういう点で一般的に
母子を
重視することは大事ですけれども、奥さんの方が非常に
所得能力があるかもしれません。美空ひばりがお母さんであった場合には、はっきり言えば貧乏な父子よりも
所得保障の
必要性が少ないわけであります。しかしながら一般的に女性は弱い
立場でありますから、
母子を中心に出すことは別に反対でありません。これでよろしい。しかしながらこぼれ落ちた者についても
改正ということについてはすでにきめこまかい配慮があってしかるべきであります。そういう点の配慮が少なかった。これを今
国会中に努力されることをやっていただきたいと思います。
次に
母子自体のことでなく、ほかのことに移ります。
母子と遺児、寡婦、この三つを分けたこと自体についておかしいのであります。
政府の組み立てによると、男の人が
要件に達していた場合に
寡婦年金が支給され、
母子年金は女の人が
所得保障の
保障要件に達していなければ支給されないという奇妙きてれつな組み立て方をしておられます。何も奇妙きてれつな組み立て方をする必要はなくて、男でも女でも死んだならばその遺族にあげる。ただし女の人が死んだ場合に——男の人が
古井さんのように月給を幾らかでも取っておる人であれば、それはやらなくてもよろしい。制限規定、そういうようなものをつけるだけで事は済むじゃないか。遺族を一括して同じような
給付であるということが必要であります。三つ出したことは、
自由民主党の方が
政府より少しましだということにしますから、さっきのは取り消しますけれども、
政府がなまけて金を出しにくいので、
母子と同じように遺児をしない、寡婦をしないというために名前を変えたわけであります。名前がたくさんあるからたくさん
給付を出しておるように
世の中が思うと思ったら大間違いであります。
世の中には目あきがたくさんおります。よくそういうことを検討いたしております。そういう間違いを直ちに正され、少なくとも遺児についても寡婦についても同等な
程度にすべきであります。大体各国の例においても、
政府案においても、遺族について、中心である
母子についていえば、
老齢年金の半額を支給するというのが
基本になりますけれども、
子供が多いときに、それについて加算をするということが
基本になって組み立てられております。その
基本は一応妥当なものと認めてもけっこうでございますけれども、絶対額が少ないのでございますから、この
基本についてもやはり考慮の必要があるのであります。わが党案のごとく、十分とは言えないにしても、相当の
程度に達しておりますときにはこのような比率でまあまあいいと思いますけれども、
老齢年金の絶対額は少ないわけでありますから、その
基本に従って
母子家庭を半額にしたならば、
母子家庭の生活を
保障する十分な額にはならないわけであります。従ってそういう点についても形式的な二対一でなくて、率を上げるということを
考えていただく必要があろうと思います。それはさておきまして、そのまあまあという率の二対一の比率の
母子年金、それに対して、遺児についてはそうではないのです。遺児の場合の気の毒な
程度を
考えていただきたいと思う。お父さんとお母さんが
両方なくなってしまって、みなしごだけがいる場合、その場合と、父親が死んで母親が残っておる場合と、どちらが気の毒な
程度が多いか、それは一目瞭然でございます。精神的にも経済的にも、お母さんは
子供がかわいいから、お母さんが働くのは、気の毒でありますけれども、やはり何らかの収入を得る努力をされるでありましょう。そういうお母さんを持っておる遺児の場合と、そのお母さんもいない遺児の場合と、気の毒な
程度は違います。ところが
政府の今の案では、私どもが遺児だけのものに高くしたらバランスが合うと思いますのに、逆に遺児の方がはるかに低くなっておる、こういうような不合理な組み立て方になっておるわけであります。この点については経過など別にけっこうでございます。
厚生大臣の率直な御
答弁で、これは組み立てとして不合理であるということをお認めいただけると思います。
厚生大臣はベテランの
答弁をなさいますから、いろいろと言質をとられないように苦労をせられておりますけれども、幾ら苦労をせられましても、私は不合理な点は徹底的に追及します。あっさりと不合理なところは不合理であると認めるのが審議を進める道だと思います。不合理だと認めていただきたいと思います。