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八木(一)
委員 非常にさわやかないい御
答弁で、それ以上
質問しにくいのですが、 (発言する者あり)実は先ほど
委員長の方から紙が回って参りまして、耳が痛いからもう少し低い声で頼むということでございます。私もその要望に従いまして低い声でやっているのですが、不規則発言がありますと、
厚生大臣に聞いていただくために耳が痛いくらいの声を出さなければなりませんので、どうか不規則発言の方は
一つ御遠慮をお願いしたいと思います。
それで実は
厚生大臣、これは大事なことです。
厚生大臣は私の実感からしてもっと働きたいと言われる、それはまあ当然です。私も
政治的には欲ばりですから、七十才くらいまでやりたいという気を起こすかもしれません。あるいは八十、九十までやりたいという気を起こすかもしれませんが、それは個人々々のことであって、それで
政治家というものは——これは少し横道にそれますけれ
ども、かなり大事な点で緊張しておりますので、精神的には老衰する
程度は一般のレベルよりは非常におそい。若い気持をお持ちの方が、
古井大臣を初め、ここにおられるすべての方がそうでこれは特異例であって、
政治に関して六十以上の人が引退しろなどということは言っておりません。生産点の、農業に従事し、商業に従事し、工業に従事する、そういう生産
段階においては、若い、
ほんとうに精神はつらつとし、心身はつらつとした人たちに働く機会を与えるためには、古い人はやはり互譲の精神をもってそれを譲らなければならないという時代が総合的にくるわけです。
古井さんのように、特別にいつまでたっても若いはつらつとした精神を持ち、ファイトを持っておられる方を基準にしてものを
考えられると間違います。大臣自体、自分ではなしに一般の標準で
考えてこの問題を判定していただかなければならないと思います。それはまあしかし十分に
質問者の
意見も反映して
考えられると言われておりますから、その点は今申し上げましたこともつけ加えて十分に検討して、この
委員会じゅうに結論を出していただきたいと思いますが、それは将来の問題であります。現在の問題はさらに見のがすことができないわけです。今の
日本の賃金の
状況を見れば、アメリカの九分の一、西独、イギリスの四分の一、三分の一というような状態であります。その賃金をもらっている人はまだいい方で、半失業者はたくさんいます。
生活保護を受けている人もたくさんいる。その
生活保護の基準は、憲法の各条章に合わないような基準であり、下着を二年に三枚であるというような、非文化的な基準であるというような状態であります。戦争でさんざん苦労しました。戦後もさんざん苦労しました。年とった人が、これは
法律を犯してでありますが、イモを一生懸命買い込んでかついで回らなわればならぬ時代もあったわけです。ずいぶんからだをいためております。その中の裕福な人はいためておりませんけれ
ども、一般の大衆はこの戦争中、戦後の状態、それから今まで、
日本の経済が蓄積が少なかった。貧困であった、しかもその配分が非常に不公平であった、構造が二重構造であった、そういうようなことで、大衆は非常に疲れている。ですから、非常に残念ながら老衰が早いわけです。気の毒な生活をした人は、楽な生活をした人よりも残念ながら寿命が短いわけです。そうすると老齢
年金をもらうときに、おそい開始
年令にすると、比較的気の毒でなかった人がもらうチャンスが多い。気の毒で、一番国として上げなければならぬと
考える人がもらえないチャンスが多い。これは生き死にの問題であります。そうでなくて生き延びるとしましても、早くもらわなければ、腰が曲がって全然動けなくなったら——せめて
年金をもらって、たまには東京から、伊豆半島というところは金持ちはゴルフの棒をかついでいくけれ
ども、私は一回も行ったことがないという人が、その金で南の緑の海を見、温泉に浸るというようなことが一回でもできるためには、
ほんとうに腰が曲って動けなくなる前に上げなけなばならない。そういう点から
考えましたならば、将来の問題についても私は確信を持っておりますが、現在の時点で
考えたら、どうしても六十から開始しなければならない。
政府の方が
拠出年金と無
拠出年金を関連させておられますので、
両方一度に解決することが最上の道だと私
どもは
考えておりますけれ
ども、少なくとも将来の問題については御検討になって、今直ちに御即答ができないとしても、現在の老人の問題についてはこれは
論議の余地がないと思います。
厚生大臣も早くから上げるべきであるということを確信を持っておられるわけであります。それが大蔵省その他のわけのわからない、不届きなとんでもない連中のためにできない。そういう連中に対して、ここにおられる
厚生省の方も与野党も一致団結して、そのようなわからずや
どもを吹っ飛ばして、
ほんとうに六十から開始ができるように推退をしたいと思う。その点についての
厚生大臣の御決意を伺いたい。