○井堀
委員 私の申し上げていることが徹底していないようでありますが、時間の都合もありますから、別にそういう問題はそこでけりをつけようとは思いません。もっと大きな問題だと思いますし、
お互いに勉強をしていくべきことだと思います。
そこで次に、ちょっとお尋ねすればわかると思うのでありますが、たとえば
退職金の
制度というものは、それはできるだけ多くの
退職金が差し上げられるということが望ましいことであります。しかしこれは私は限界がくると思う。というのは、元来
社会保障、特にこういう
社会福祉の
事業活動というものは、現在でもそうでありますが、将来もますますそういう傾向が強くなってくることが望ましいと思うのです。たとえば
民間の
篤志家によって、今の
制度でいいまするならば民生
委員の方が、
——こういう
制度というものはさらに内容を
充実していくべきものであると私は判断するのでありますが、この点に対する厚生
大臣の御所見を
一つ伺っておきたいと思います。こういうように、
一つは国民全体の間の相互扶助もしくは友愛の
精神からこういうものが育成されてくるのでありますから、
従業員も高い
給与や名誉や地位を望んでこういう
仕事に従事するということになりますと、こういう
事業というものは決してよくならない。ことに契約者でありまする
民間のこういう
事業をやっておいでになる方というものは、必ずしもそういう名誉やあるいは利害得失の上に立ってこういう
事業をおやりになるということではないはずです。また今後はその地位が安定し経済力がある人は、私財をなげうって貧しい、恵まれない者のためにそういう
事業を積極的に盛んにしていくという態度がなければ、こういう
事業は、いかに
政府や地方の自治体がさか立ちをしても成功するものでないということは、
日本だけではありません、世界の大きな歴史であります。そういう方針がゆがめられないように、こういう
制度を作るときにも配慮が必要だということを言っているのであります。こういうことが悪いなどとは
一つも言っておりません。それがあるから、
厚生省なり
政府の
考え方がこういう
制度の上に現われてきているのではないかということを言っている。
そこで、さっき私は
掛金のことを申し上げたのでありまするが、何か
補助金を出してそういう団体を縛ってみたり、あるいはそれに威圧感を与えるというようなことがごうもありますならば、私は角をためて牛を殺すような、本末を誤る結果になると思うのであります。さっき中小企業の
退職金共済制度の問題がありましたが、そういうものとあわせ
考えてみてもわかるのであります。そういう意味で実はお尋ねをしたのでありますが、時間も大へん貴重な時間であるようでありまするから、多くを申し上げません。そういう問題に対する厚生行政を担当する人の
考え方が非常に大切だと思いましたから、お尋ねを試みたのであります。まるで私のお尋ねとお
考えとが食い違っておるようであります。それをこの際一致させようなどという積極的な欲望を私は持っておりません。しかし国民の前にこういうものを審議するときに明らかにする義務があると思いますから、お尋ねをしたのであります。もし御発言をなさるなら御返事をいただいてもけっこうであります。なければなくてもよろしい。
そこで次にこの
制度の中でもう
一つ伺っておきたいと思うのであります。それは
事業実施自体は
社会福祉事業振興会にこの
仕事をゆだねておるのであります。私はここにも問題があると思うのでありますが、この
振興会法を一読してみますると、こういう
仕事をこれにやらせることが適当かどうかという点に私は多少疑いを持っておる。しかし新しい
制度よりあるものを利用するということには別に反対をいたしません。というのは、たとえばこの
振興会の
事業の中から剰余金が出ましたりあるいは欠損を生ずるということがあるであろうと思いまするけれ
ども、この
事業は長期でしかも継続的にやらなければなりません。
制度として規定した以上は、最後までその約束を守らなければならぬことは申すまでもありませんから、長期にわたって
手当の支給の保障をしていかなければならぬと思うのであります。そうだとすれば、その保障を完全にやろうとすれば、当然この
振興会は、こういう
事業はますます
——現在の
ところでは公のものは七千二百八十一、
民間は五千四百六十六の
事業場で、そこには三万五千九百七十六人の人が従事していると、われわれの手元に資料を
提出しておるようでありますが、この数字はだんだんふえていく傾向、またそれは望ましいことでございます。そういうようなものに対して、安全でかつ確実な
退職金の保障をその
振興会が義務づけられておるわけでございます。当然
振興会は今までの
仕事以外にこの点に対する用意をしなければならぬ。それは具体的には財政上、
精神的にも
負担になると思うのであります。そういう場合にそういう資金を、要するに今の
制度でいいますと、支給されるものの三分の一しか出しておりませんから、三分の二はいつもこの
共済を契約をしておりまする
事業団体に要求してくることになると思うのであります。こういうことがこの
事業に対する重荷になってくる。この辺の
考え方はいかがでありましょうか。
それから、
振興会がもし不足分を生じた、あるいは余裕金を生じた場合においては、そういう資金の運営は今の場合はこの
福祉振興会にまかせる、すなわち
振興会は厚生
大臣の監督と
許可を受けて
事業を運営することになっておるようでありますが、そういうものをこの
振興会に全部負わせることになる、その点の気づかいはないであろうかどうかを
一つ伺っておきます。