○井堀
委員 大へん時間も詰まっておりますので、ごく簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。
わが党は、本法案の意図するものについて重大な関心を持っておるのでありますが、またそれがためにいろいろな疑問をも持っておるのであります。でありますから、その疑問を何とか明らかにして、この事業団の将来について希望もあり、また意見もございますので、時間をごく短く、質問と意見を織りまぜてお尋ねをいたしていきたいと思うのであります。
この法案に対するわれわれの期待は、言うまでもなく、日本の雇用政策が、あらゆる政策に優先して取り上げられなければならない諸情勢の中にあると思うのであります。しかしこの法案全体を検討してみますると、単に従来からありました労働者の
福祉事業団あるいは鉱山離職者の臨時
措置法による
援護会の仕事を受け継ぐという、きわめて限られた
範囲のものになっておるようにも受け取れるのであります。しかしまたこの法案の目的とするところ、すなわち事業団の目的とするところ、あるいは事業
内容などを拝見してみますると、必ずしもその限定して考えられない節があるのであります。このことは本法案に対してわれわれが重大なる関心を持ちます
一つの
理由であります。
そこでごく簡単に順序を追ってお尋ねして参りますが、第一に事業団の
範囲についてお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。十九条にあげられております十項目に業務の
範囲並びに
内容が列挙され、またそれに対する簡単な
説明書もついておるようではありますが、その条文なり
説明を拝見いたし、また
提案理由などを総合して判断をいたしてみますと、たとえば一項、二項、三項、四項は、明らかにこれは職業訓練法に基づく事項と職業安定法にかかる問題とが同時に取り上げられておるようであります。そこでこの事業団は一条の目的を達するために、たとえば総合訓練所及び中央職業訓練所の設置及び
運営を委託しておるようであります。そしてその次に、事業所内の職業訓練の援助を行なうというきわめて重大な事柄が同時に並べられておるのでありますが、この設置及び
運営については私
どもわかるのであります。しかし中央訓練所はすでにあるのでありますけれ
ども、総合訓練所などの設置を行ないます場合には、その位置とか規模とか
内容などについては、ただ単に機械的にそういう設備を設けるということでなくて、少なくとも雇用政策全体に対する相当の政策的な判断なり企画なりというものが前提にならなければ、その設置の問題は定まってこないのではないか。さらに事業所内の職業訓練を援助するというのでありますが、この団体がもし民間の事業所内における職業訓練の援助を与えるというならば、どういう
内容のものかは政令に譲られるのかどうかわかりませんが、業務方法書も明らかにされておりませんので、この点はぜひこの機会に明瞭にしてもらわなければならぬと思うのであります。時間がありませんから、ついでに並べていきますから、続けて御答弁を願います。
第二の問題もきわめて私たちにとって多くの疑問を持つのでありますが、それは職業安定所の指示に従って職業訓練を受ける人々に
手当を
支給するという簡単な書き方であり、また
説明もごく簡単にしておるのでありますが、この
手当を
支給するということは、ただ単に機械的な銀行の窓口のような業務をやるというのでありますならば理解ができるのであります。しかしこの条文なり
説明から判断をいたしますると、必ずしもそういう機械的な金銭
事務を扱うのではないようにとられます。それは一体どういう
内容のものであるか。
第三は宿泊所の設置及び通常でありますが、この宿泊所の設置というのは、公共職業訓練を受ける者の付属的な
施設だけを考えておるのであるか、あるいは、将来雇用政策全体の中から見て、ある
程度の企画なり、またその企画に基づいてそういう者の
施設を、事業団独自の業務方法書のごとき制限は受けるでありましょうが、そういう
範囲で規定をしておるものであるかどうか。
第四の移転就職者に対する宿舎の設置及び
運営ということは、機械的に文字の上だけで判断すると格別問題はありませんけれ
ども、広い
地域における職業紹介の活動というものは、
提案理由で
説明されておりますように、今日の労働力の移動に対する大きな役割をここに期待しておるものと判断するのでありますが、そうであるといたしますならば、その宿泊所の設置とは、先ほどの
関係であります非常に総合的な雇用政策と結びつかないでこういうものが計画されるものではないと思うのですが、その辺の見解はどうか。
それから五番目の簡易宿泊所、託児所、給食
施設の問題は、
説明によりますると日雇い労働者に限定しているかにとれますが、あるいは日雇い労働者を中心とするものであるが、一般にもこれを拡大できるというふうに判断すべきものであるかどうか。この点が明らかでありませんから、この点を明らかにしてもらいたい。
六番目の移転就職者の移転に要する
費用を
支給するという言葉でありますが、
支給という言葉だけではわれわれは納得できないのでありまして、これも政策的な意図と結びついて
費用の支弁が行なわれるということになりまするならば、そのあとに出てきまする事業計画その他を事業団が作るが、これは労働
大臣の認可、許可を受ける手続をとるようになっております。そういうことになりまするとこの
費用の
内容についての裁量は政策と結びついてくるものではないか。結びつかなければ
意味をなさぬのではないか。全く機械的な取り扱いをするというのであれば、銀行でも、その他の適当な機関がたくさんあるはずであるが、少なくとも事業団にこれを委託するというからには政策との兼ね合わせが必ずあるに違いないと思いまして、この辺の
関係を明らかにしてもらいたい。
第七番目はもっと重要な意義を持つものと思うのであります。これは再就職しようとする者に対する必要な知識、技能を修得させるというのでありますから再訓練であります。だからこういう
関係というものは、この法案の持つ重大な意義をつかさどる仕事の
一つだと私は思うのであります。この一項だけを取り上げてみましても、私は十分な
説明を伺わなければにわかに賛否を決することのできない
内容のものであるとも判断できるのであります。
第八の問題は、これまた問題があると思うのであります。必要な資金の貸付を職業安定所の紹介によって行なうのでありますが、この資金の貸付も前々項六項と同じように機械的な資金の取次をやるというのでないことは
説明でも明らかになっております。ここにも政策があります。次に新しいことでありますが、身元の保証をするということになっておる。この身元の保証は事業団が法人として身元保証するということが可能であろうかどうか。でないとするならば
理事長とか
理事とかいうような人々が保証するのであろうかというようなことについては、保証を受けようとする方からいいますならばかなりいろいろな要求が盛り込まれるに違いない。その要求を満たすことなくしては保証の意義をなさぬのであります。そういう
意味からいきますならば、法人が保証をするということは
意味をなさぬのではないか、
意味をなすとするならば、もっと高い広い責任を事業団がとるという結果になるのではないか。もしも
理事長がその団体の代表者という形で保証をする場合においては、法律的ないろいろな問題が生じてくると思うのであります。そういうものの規定がこの中には現われておりません。
第九の適応性その他職業の安定に関する調査研究でありますが、またその
資料の整備を行なうというので、こういう事業をやらなければならない、またやらせたいというわれわれの希望もありますが、そういたしますならば、これに必要なる経費なり事業団の構成なりというものについては、相当多くの人的な整備やあるいは
予算的な裏打ちが必要になってくるのではないか。しかしこれは将来のものであるとするならば、将来そういう意図であるならば、どういう
内容でどのくらいの期間にこういうものをやろうとするのであるか。これは
政府の雇用政策に対する
一つの見通しを知る上に非常に重要だと思いますので、これらの点についてお答えをいただきたいと思うのであります。
あとまた次に続けたいと思いますが、時間の都合上簡単にお尋ねをいたします。