○吉村
委員 数年前から今日のような事態といいますか、
技能者が
不足するであろうということは予見をしたけれ
ども、
経済の
発展が予想以上に早かったために今のような問題が起きたのだということでございますが、少し数字上の問題から
考えてみますと、
言葉通りに受け取るわけにはいかぬと思うのです。もちろん予測の問題でありますから、きちっとその
通りになるような予測は困難ではあったと思うのですけれ
ども、しかし今日のように八十何万かの
技能労働者が
不足しておるという事態は、数年前から予見をして
施策が行なわれておったとすれば、かりに
経済の
発展が予想以上に進んだとしても、こういう困難は生じなかったというふうに私としては
考えるわけです。最も
不足しておることは、各省間のいろいろな
政策についての
措置なり何なりというものが不十分であって、各個ばらばらにそれぞれの
考え方に基づいて
政策というものが推し進められている。そういう結果から
労働省なら
労働省の
雇用対策なり何なりというものがおくれてしまうので、こういうふうになるのではないかと思うのです。言いかえてみますると、それは計画的な年次計画に基づいたいろいろな
施策というものが行なわれていないというところに基因するのではないかというふうに
考えます。しかしこのことを今言ってもしようがないわけですけれ
ども、たとえば現存の池田内閣の
政策の中心をなしている所得倍増計画の中では、十カ年間に二百四十三万人の
労働力の移動が行なわれるというふうに書いてあるわけですけれ
ども、それを十年後の姿として受け取るだけでは非常に不安な気持がわれわれとしてはあるわけです。それを一年ごとに、年次的にどういう産業にどのような
労働力が配置されるのかということがきちっとわかっておって初めて
政府の
政策に対して国民も納得もし、協力もでき得るというように思うのですけれ
ども、今まで私が調べた範囲では、そういう
雇用問題等につきましても、年次計画というものは明確に立てられていないのではないか、このように
考えられるわけです。今
労働省が本気になってやっていこうとする、この
職業訓練なり、あるいは事業内の職業再教育というものを見ましても、年間十三万程度でもってやっていく、こういうお話でありますけれ
ども、この程度のことで十年間に二百五十万に上るところの
労働力の産業間の移動というものが実際に年次的にやっていけるのかどうか、非常に不安なしとしないのでありますけれ
ども、こういう年次計画というものがあるならば、
一つ示してもらいたいし、その計画があるとするならば、それは
政府全体の規模の中で樹立されたものかどうか、こういうことについてお答えを願いたいと思うわけです。