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石田国務大臣 私は
島本君のお話が間違いだと思っているわけではありません。ただ
失業対策事業の
取り扱いというものは、平均年令が非常に高いわけでありまして、高い層については、これはやはり現状のような
制度の中で、その
条件を
向上していくという
取り扱いより仕方がないだろうと思います。しかし、より若い層に対しましては、まず定着を防ぎ、さらにその
増加を防いで、
一般的な
雇用の中に吸収していくような
努力をしていきたい。そのためには、今度きわめて試験的ではありますが、この
失業対策事業の対象の
日雇い労務者に対する職業訓練も、本年から実施をいたして参ります。明年度はこれをもっとふやして参りたい。逆に申しますと、ここの中に多くを収容するのではなくて——ここの中以外にはもう仕方がなくなってきた年令層の
人たちは、これは仕方がありません、
先ほど申したような方針でいきますが、それ以外の
人たちはなるべく他の商い
賃金水準が期待できる方への
雇用を伸ばしたい、こういう
考えであります。そこで
先ほど、五人家族で一人しか働けないのであるから、八千円か九千円だから食えないじゃないか、そういう推定が出て参りますけれ
ども、これは今の
生活保護と違いますところは、実際は他の家族がそれぞれ相当な
労働をいたしております。収入も上げております。その場合は、
生活保護のように差し引かれることがないわけでありまして、積み重なっていくわけであります。
一般的な
雇用もかなり多いのであります。こういうものの数字については、あとで
事務当局から
説明をいたさせます。
それから
給付額と
保険経済の関係、これは
先ほどの御質問にお答えを申し上げるのを忘れたわけでありますが、これはやはり、今なるほど
保険経済は余裕がありますが、余裕があるからといって、その
条件緩和によって、その余裕というものが、どういう工合に動いていくかということをもあわせて
考えなければなりません。これはやはり
事務当局から、そういう数字的なものはお聞きいただきたいと存じます。
それから
中高年層の就職の問題、それから臨時工、社外工の問題。臨時工、社外工の問題は、私はその原因は
一つは
日本経済の底の浅さにあると思います。しかしもう
一つは、やはり経営者が景気変動の犠牲をここに求める。そういういわゆる経営者の何と申しますか、安逸といいますか、そういうものが私は裏にあると思います。これは私は経営者の正しい態度とは決して思わないのでありまして、この臨時工、社外工の問題につきまして、われわれが真剣に取り組む時期がもう来たのだ、つまり
日本経済の底の浅さということばかりを、もう弁解の事例にしておる時代ではなくなった。
日本経済は相当な復興を示し、また将来も約束されておるのであるから、こういう問題について特に
考えていかなければならぬ時代がきたように思います。
それからもう
一つ、この臨時工、社外工の問題について注意しなければならぬ問題は、この臨時工、社外工の給料だけは規模別
賃金格差がないということです。ほかの常用
雇用の場合は、しばしば問題になりますように、規模別
賃金格差がございますが、臨時工、社外工の場合は、大企業においても
中小企業においてもほとんど同じであります。場合によっては、大企業の方が少ないときがある。これはどういうことかというと、ここでこの
金額がもう
最低線であって、これ以下のものは問題にならないから、そういうことに私はなるのだと思います。しかし
雇用が
伸び、安定し、いわゆる
完全雇用というものに近づいていくに従って、
雇用条件が不安定である場合は、それだけ逆に高くなければならないというのが、
労働保護という立場から見ると、私は理論的な格拠ではないか、そういう問題をあわせまして臨時工、社外工の問題は、私はもう本格的
検討を加える時期にきたように思うのであります。
それから
中高年層の問題、これは私が前年二度目の就任をいたしました直後におきまして、日経連その他を招いて、まず第一に
中高年層の適職の
検討を開始いたしました。これは結論が出まして、約百二十種目について、これは
中高年層で十分代替し得るばかりでなく、中には
中高年層の方がよろしい場合がある。そこで、まず政府関係機関に対しまして、先般その代表者を招致して協力を求めました。さらにその次には財政投融資にからんで、いわゆる政府資金を利用しておる
産業にこれを普及していきたいと思っております。まず隗より始めよでありまして、そこで始める。引き続いて
民間企業全体に呼びかけて参るつもりでおるのであります。そういう行政指導と宣伝によってそういう効果をあげていくことを第一段階として期待しているのでありますが、しかしそれによって所期の成果がおさめられない場合におきましては、私
どもはただいま申しましたように、百二十種目というようなものについては、若年層のあっせん等を安定所に依頼された場合、これと一緒にむしろ中高年令の
一定割合をくっつけるというような
方法をも将来は
考えなければならない、こういうふうに
考えておる次第であります。