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1961-02-28 第38回国会 衆議院 社会労働委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年二月二十八日(火曜日) 午前十一時三分開議
出席委員
委員長 山本 猛夫君 理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君 理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君 理事
柳谷清三郎
君 理事 小林 進君 理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君 井村 重雄君 岸本 義廣君 佐伯 宗義君 藏内 修治君 澁谷 直藏君 櫻内 義雄君 福田 繁芳君 淺沼 享子君 大原 亨君 河野 正君 五島 虎雄君 島本 虎三君 田邊 誠君 吉村 吉雄君 井堀 繁雄君
本島百合子
君
出席国務大臣
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
労働政務次官
柴田 榮君
労働事務官
(
労政局長
) 冨樫 總一君
労働基準監督官
(
労働基準局
長) 大島 靖君
労働事務官
(
職業安定局
長) 堀 秀夫君 委員外の出席者 専 門 員 川井 章知君 ――
―――――――――――
二月二十四日
委員赤松勇
君辞任につき、その補欠として松井 政吉君が議長の指名で委員に選任された。 同日
委員松井政吉
君辞任につき、その補欠として赤 松男君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十七日
委員河野正
君辞任につき、その補欠として野原 覺君が議長の指名で委員に選任された。 同日
委員野原覺
君辞任につき、その補欠として河野 正君が議長の指名で委員に選任された。 二月二十四日
雇用促進事業団法案
(
内閣提出
第八〇号) 同月二十五日
国民健康保険法
の一部を改正する
法律案
(内閣 提出第八四号)
健康保険法
及び
船員保険法
の一部を改正する法 律案(
内閣提出
第八五号)
日雇労働者健康保険法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第八六号)
母子福祉資金
の貸付等に関する法律の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
第九二号)(予) 同月二十四日
理容師法
の一部改正に関する請願(大原亨君紹 介)(第八二五号) 同(
廣瀬正雄
君紹介)(第九〇六号) 同(森本靖君紹介)(第九〇七号) 同(
田口長治郎
君紹介)(第九九七号) 同(
永田亮一
君紹介)(第九九八号) 同(
藤本捨助君紹介
)(第九九九号)
緊急失業対策法
の改正に関する請願(
石橋政嗣
君紹介)(第八二六号) 同(
野原正勝
君紹介)(第八二七号) 同(
荒木萬壽夫
君紹介)(第八九六号) 同(
黒金泰美
君紹介)(第八九七号) 同(
小平久雄
君紹介)(第八九八号) 同(
坂田道太
君紹介)(第八九九号) 同外二件(
原健三郎
君紹介)(第九〇〇号) 同(
廣瀬正雄
君紹介)(第九〇一号) 同(
今松治郎
君紹介)(第九三三号) 同(
宇田國榮
君紹介)(第九三四号) 同(
佐藤虎次郎
君紹介)(第九三五号) 同(
櫻内義雄
君紹介)(第九三六号) 同(
正力松太郎
君紹介)(第九三七号) 同(
床次徳二
君紹介)(第九三八号) 同(
冨田健治
君紹介)(第九三九号) 同(
馬場元治
君紹介)(第九四〇号) 同外一件(早川崇君紹介)(第九四一号) 同(
原健三郎
君紹介)(第九四二号) 同(
山口好一
君紹介)(第九四三号) 同(山崎巖君紹介)(第九四四号) 同(
金子一平
君紹介)(第九八四号) 同(
小坂善太郎
君紹介)(第九八五号) 同(
中川俊思君紹介
)(第九八六号) 同(中村幸八君紹介)(第九八七号) 同(
永田亮一
君紹介)(第九八八号) 同(
南條徳男
君紹介)(第九八九号) 同(
増田甲子
七君紹介)(第九九〇号) 同外一件(
八木徹雄
君紹介)(第九九一号) 同(
柳谷清三郎
君紹介)(第九九二号) 同(園田直君紹介)(第九九三号) 同(
小川平二
君外二名紹介)(第一〇二〇号)
戦傷病者
のための
単独法制定
に関する請願(河 本敏夫君紹介)(第八二八号) 同外三件(
井村重雄
君紹介)(第八七二号) 同(伊藤郷一君紹介)(第八七三号) 同(
上村千一郎
君紹介)(第八七四号) 同(
浦野幸男
君紹介)(第八七五号) 同(
江崎真澄
君紹介)(第八七六号) 同(
尾関義一
君紹介)(第八七七号) 同(
大野市郎
君紹介)(第八七八号) 同(
大平正芳
君紹介)(第八七九号) 同(
加藤鐐五郎
君紹介)(第八八〇号) 同(
川村善八郎
君紹介)(第八八一号) 同(
久野忠治
君外一名紹介)(第八八二号) 同(
佐伯宗義
君紹介)(第八八三号) 同(
正力松太郎
君紹介)(第八八四号) 同(
鈴木正吾
君紹介)(第八八五号) 同(砂原格君紹介)(第八八六号) 同(
田口長治郎
君紹介)(第八八七号) 同(辻寛一君紹介)(第八八八号) 同(
原健三郎
君紹介)(第八八九号) 同(
亀岡高夫君
他一名紹介)(第八九〇号) 同(
福永健司
君紹介)(第八九一号) 同(
福家俊一
君紹介)(第八九二号) 同外一件(
藤本捨助君紹介
)(第八九三号) 同(
松浦周太郎
君紹介)(第八九四号) 同(
南條徳男
君紹介)(第八九五号) 同外一件(
千葉三郎
君紹介)(第九五三号) 同(
馬場元治
君紹介)(第九五四号) 同(園田直君紹介)(第九九四号)
業務外せき髄損傷患者
の
単独援護法制定等
に関 する請願(大原亨君紹介)(第八二九号) 墓地、埋葬等に関する法律の一部改正に関する 請願(
荒木萬壽夫
君紹介)(第九〇二号) 同(
櫻内義雄
君紹介)(第九四五号) 同(
千葉三郎
君紹介)(第九四六号) 同(福田一君紹介)(第九四七号) 同(
山口六郎次
君紹介)(第九四八号) 同(
藤本捨助君紹介
)(第一〇〇一号)
社会保険医療
の改善に関する請願(
宇都宮徳馬
君紹介)(第九〇三号)
引揚者給付金等支給法
の一部改正に関する請願 (
久野忠治
君紹介)(第九〇四号) 同(
床次徳二
君紹介)(第九五五号)
拠出制国民年金制度改善
に関する請願(椎熊三 郎君紹介)(第九〇五号)
東北地区ろうあ者更生指導所設置
に関する請願 (
保科善四郎
君紹介)(第九〇八号)
精神薄弱者対策促進強化
に関する請願(保科善 四郎君紹介)(第九〇九号) 同(
中村梅吉
君紹介)(第九四九号) 同(
馬場元治
君紹介)(第九五〇号)
日雇労働者健康保険法
の改善に関する請願(小 沢辰男君紹介)(第九五一号)
職業訓練法
の一部改正に関する請願(
小沢辰男
君紹介)(第九五二号)
国民健康保険
の
改善強化
に関する請願(足鹿覺 君紹介)(第九九五号)
保育所措置費国庫負担完全交付
に関する請願外 四件(
田口誠治
君紹介)(第九九六号)
化粧品店
の
薬用化粧品等取扱い
に関する請願( 野原覺君紹介)(第一〇〇〇号)
清掃法施行令
の一部改正に関する請 願(
浦野幸男
君外二名紹介)(第一〇一四号)
小児マヒ
の
予防対策
に関する請願(
浦野幸男
君 外二名紹介)(第一〇二一号)
拠出制国民年金
被
保険者
の死亡一時金還付に関 する請願(
浦野幸男
君外二名紹介)(第一〇二 二号)
国民健康保険療養給付費国庫負担増額等
に関す る請願(
浦野幸男
君外二名紹介)(第一〇二三 号) は本委員会に付託された。 二月二十四日
全額国庫負担
による
医療費引上げ
に関する陳情 書 (第二四三 号) 同 (第二四四号)
全額国庫負担
による
医療費引上げ等
に関する陳 情書 (第二四五号) 同(第三二六号) 医療法及び
看護基準
の改正等に関する
陳情書
(第二四六号)
医療労働者
の
賃金引上げ
に関する
陳情書
(第二四七号) 病院等の
争議規制反対
に関する
陳情書
(第二四九号)
国民健康保険
の
財政危機打開
に関する
陳情書
( 第二五〇号) 同( 第三二五号) 同(第三七八号)
国民年金法
の一部改正等に関する
陳情書外
三百 三十八件 (第二五一号) 同 (第三一六号)
国民年金法
の一部改正に関する
陳情書
(第 二五二号) 同(第二七八号) 同 (第二七九号) 同( 第三〇九号) 同(第 三一〇号) 同( 第三一一号) 同( 第三一二号) 同 (第三一三号) 同(第三一四号) 同(第 三一五号) 同(第三七六号)
国民健康保険制度
の
整備強化
に関する
陳情書
(第二五三号) 同 (第三七七号)
小児まひ予防接種費全額国庫負担
に関する陳情 書(第二八〇 号) 同( 第二八一号) 同(第四〇八 号)
生活保護基準引上げ等
に関する
陳情書
(第二八三号) 同(第三二七 号)
失業対策事業
の
賃金引上げ
に関する
陳情書
(第二八四号)
簡易水道事業
に対する
国庫補助率引上げ等
に関 する
陳情書
( 第二八五号) 同(第四〇七 号) 雲仙、西海両
国立公園施設整備費国庫補助
に関 する
陳情書
(第二八六 号)
国民年金制度改善
に関する
陳情書
(第三一七号)
小児まひ予防対策確立
に関する
陳情書
(第三一八号) 同(第三一九号) 同 (第三二〇号) 同(第三二一号)
国民健康保険法
の一部改正に関する
陳情書
(第三二二号)
国民健康保険事業
の強化に関する
陳情書
(第三二三号) 同(第三二 四号)
失業対策事業
の
拡大強化
に関する
陳情書
(第三二八号)
失業対策労務者
に対する
石炭手当
及び
期末手当
支給の制度化に関する
陳情書
(第三二九号) 都市の
し尿処理対策確立
に関する
陳情書
(第三三一号) 戦災による
遺族保障
に関する
陳情書
(第三三二号)
婦人保護費予算確保等
に関する
陳情書
(第三三三号)
緊急失業対策法
の改正に関する
陳情書
(第三七二号) 同(第三七三号)
制限診療
の撤廃等に関する
陳情書
(第三七 四号) 同 (第三七五号)
麻薬撲滅対策確立
に関する
陳情書
(第三七九号)
民間社会福祉事業
の
財源措置
に関する
陳情書
(第三八〇号)
中小企業
の
雇用対策確立
に関する
陳情書
(第三八一号)
失業対策事業
の
賃金引上げ等
に関する
陳情書
(第四〇四号)
同和対策事業
に対する
補助率引上げ
に関する陳 情書(第四〇五 号)
国民健康保険療養給付費国庫負担増額
に関する
陳情書
(第四〇 六号)
引揚記念塔
の
建設促進
に関する
陳情書
(第四〇九号) は本委員会に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件
中小企業退職金共済法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第三七号)
失業保険法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第三八号)
雇用促進事業団法案
(
内閣提出
第八〇号)
労働関係
の
基本施策
に関する件 ――――◇―――――
山本猛夫
1
○
山本委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
柴田労働政務次官
より発言を求められておりますので、これを許します。
柴田労働政務次官
。
柴田栄
2
○
柴田
(榮)
政府委員
私は、
柴田榮
でございまするが、このたび
安部清美政務次官
の
病気退任
のあとを受けまして
労働政務次官
を拝命いたしましたが、まことに及ばぬものでございます。しかし
誠心誠意
、
大臣
に密着いたしまして、
労政
のために微力を尽くしたいと存じまするので、
格別皆様方
の御
支援
と御協力を切にお願いいたします。 ————◇—————
山本猛夫
3
○
山本委員長
去る十五日
付託
になりました
中小企業退職金共済法
の一部を
改正
する
法律案
、
失業保険法
の一部を
改正
する
法律案
及び去る二十四日
付託
になりました
雇用促進事業団法案
、この三案を一括して
議題
とし、審査を進めます。
山本猛夫
4
○
山本委員長
まず
提案理由
の説明を求めます。
石田労働大臣
。
石田博英
5
○
石田国務大臣
ただいま議題となりました
中小企業退職金共済法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び内容の大綱を御説明申し上げます。
中小企業退職金共済制度
は、
中小企業
の
従業員
の福祉の増進と
中小企業
の振興に資するため、昭和三十四年十一月に発足したのでありますが、今日までの
普及状況
は、昭和三十六年一月末で企業数が二万二千六百九十七、
従業員数
が二十七万八千百二十三人という実績をあげております。しかしながら、この制度が
中小企業労働福祉対策
の柱の一つとして、今後一そうの
普及発展
をはかるべきものであることにかんがみますとき、
現行制度
には、
中小企業
の実情に照らして若干の改善すべき点があると考えられるのであります。 すなわち、その一といたしまして、
現行制度
では
適用事業
の範囲は、製造業で
常用従業員
数百人、商業または
サービス業
で三十人以下の事業に限られているのでありますが、これをこえる
中小企業
においても
退職金制度
のないところが相当数あるのが実情であります。その二として、
中小企業
においては
短期離職者
が比較的多いのでありますが、これらに対する給付が薄い等のため、比較的
勤続年数
の短い
従業員
を雇用している企業においては、勢い加入を渋りがちという事情があります。そこでこれらの点につきまして改正を行ない、本制度の一そうの
普及発展
をはかりたいと存じまして、この
法律案
を提出した次第であります。 次に、法案の内容について概要を御説明申し上げます。 この法案の要旨は、右に述べた趣旨に基づきまして四点ございます。すなわち第一点は、本制度の
適用事業
の範囲について、
現行制度
では前に述べましたように、
製造業等
が
常用従業員
数百人、商業または
サービス業
が三十人以下でありますのを、
製造業等
では
常用従業員
数二百人、商業または
サービス業
では五十人までが拡大することといたしたことであります。 第二点は、
退職金
の給付額について、
現行制度
では
掛金納付月数
が三年半に達しないと
掛金相当額
とならないのを、
掛金納付月数
二年から
掛金相当額
とし、また
掛金納付月数
五年から五%の
国庫補助
を行なうこととなっているのを、三年から五%の
国庫補助
を行なうことにいたしたことであります。 第三点は、一の企業から他の企業に
従業員
が転職した場合の本
制度適用
上の企業間の期間の通算につきまして、
現行制度
では、
自己都合
で退職した者でない等一定の条件を満たした上にさらに
掛金納付月数
二十四カ月以上の者に限って通算することになっておりますが、この
掛金納付月数
二十四カ月以上の者に限るという条件を削除することにいたしたことであります。 第四点は、
適用事業
の範囲の拡大に伴い、従来
事業主団体等
における自主的な
共同退職金積立事業
に参加していた
事業主
が、本制度へ加入する際、従前の
積立事業
の
引き継ぎ措置
につき便法を講ずることといたしたことであります。 なお、法案の内容につきましては、
学識経験者
及び労使それぞれの
代表者
をもって構成されています
中小企業退職金共済審議会
の答申を十分尊重して作成したものであります。 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。 次に、
失業保険法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
を御説明申し上げます。
日雇失業保険制度
は、
日雇労働者
の失業時における生活の安定をはかることを目的として、昭和二十四年第五回国会における
失業保険法
の一部改正によって創設され、
社会保障政策
並びに
雇用失業対策
の一環としてその機能を果たして参ったところであります。 現行の
日雇失業保険
の
保険金日額
は、昭和三十二年における
失業保険法
の一部改正によって定められたのでありますが、最近における
日雇労働者
の賃金の実情にかんがみ、今般その
保険金日額
の
引き上げ等
を行なうとともに、あわせて
日雇失業保険
と
一般失業保険
との
受給資格
の
調整制度
の改正を行ない、制度の改善をはかることとしたのであります。 以上が、この
法律案
を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。 第一に、
日雇失業保険金
の日額の
引き上げ
についてであります。
現行制度
では、
日雇い失業保険金
の日額は、第一級二百円、第二級百四十円の二段階とされておりますが、現行の日額は、すでに申し上げましたように昭和三十二年に定められたものでありまして、その後現在までに
日雇労働者
の賃金額も相当に上昇しており、現行の二
段階制
をそのままとした場合は、実情にそぐわないうらみがありますので、この際新たに
保険金日額
を一段階設け三
段階制
をとることとし、第一級三百三十円、第二級二百四十円、第三級百七十円とし、
給付内容
の改善をはかることとしたのであります。 第二に、
日雇失業保険
の
保険料日額
の改正についてであります。
保険料日額
につきましては、
保険金日額
の
引き上げ
に伴い、
日雇労働者
の
負担能力
、
保険経済等
を勘案し、現行二
段階制
とされております
保険料日額
を三
段階制
に改め、現行第一級十円、第二級六円の
保険料日額
を第一級十六円、第二級で十二円とし、第三級については従来通り六円といたしたところであります。また、新しい第一級、第二級及び第三級の
保険料日額
の区分は、
日雇労働
被
保険者
に支払われた賃金が四百八十円以上の場合は第一級、二百八十円以上四百八十円未満の場合は第二級、二百八十円未満の場合は第三級といたしたところであります。 なお、
保険料日額
の改正に伴い
日雇労働
被
保険者
及び
事業主
の負担すべき
保険料額
は、それぞれ、第一級については八円、第二級については六円、第三級については三円といたした次第であります。 第三に、
保険金日額
の
算定方法
の改正につきましては、今回の
保険料日額
の三
段階制
の採用に伴い、それぞれ三
段階制
に即応した
算定方法
に改めますとともに、第一級、第二級及び第三級の
保険料
が混同して納付されている場合でありましてその平均額が第二級の
保険料
の額以上であるときは、第二級の
保険金
が受けられることとするよう制度の改善をはかったところであります。 第四は、
日雇失業保険
と
一般失業保険
との
受給資格
の
調整制度
の改善についであります。
現行制度
におきましては、
日雇労働
被
保険者
が二月の各月において十八日以上
同一事業主
に雇用され、その翌月において離職いたしました場合は、その離職の日の属する月の前二月を
一般失業保険
の被
保険者期間
として計算することとしておりますが、これを単に翌月に離職した場合に限らず、その者が
当該同一事業主
に引き続き雇用された後において離職した場合には、その二月を
一般失業保険
の被
保険者期間
として計算することとし、
一般失業保険
の被
保険者
に切りかえられた
日雇労働
被
保険者
が一般の
失業保険金
の支給を受けやすくなるようにし、また、できるだけ
保険料
の掛け捨てがないように制度の改善をはかることとしたところであります。 以上がこの
法律案
の要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。 次に
雇用促進事業団法案
につきまして、その
提案理由
及び内容の概要を説明申し上げます。 最近の雇用、
失業情勢
は、
雇用者
の増加、
労働市場
における
需給状況
の改善、
失業保険受給者
の
減少等
、全般的には改善を見ておりますが、その反面において、
労働力需給
の
アンバランス
が顕著になりつつあることもまた否定し得ないところであります。すなわち、まず経済の発展と
技術革新
の進行に伴い
技能労働力
が
各種産業部門
において著しく不足し、今後もこのような傾向がさらに増大すると見込まれるとともに、
新規労働力
に対する需要がますます高まり、求人難の事態が一部に顕著になってきているのであります。 また、
工業地帯
においては、
労働力
の
需給関係
が逼迫し、未
充足求人
が漸増を見ております反面において、低
開発地域
においては依然として
労働力
過剰の状態にあり、さらに
石炭鉱業等
の例に見られますように、
産業構造
の
変化等
により、特定の地域においては
離職者
が集中的に発生しているのであります。 この結果、全国的には
雇用情勢
の改善を見ております現在におきましても、なお高率の失業の存する地域が依然として見られるのでありますが、
労働者
が移転する際の住宅難、
労働者
の移転のための
費用負担
、
求職者
の技能の不足等により
労働力
の移動が円滑に行なわれがたく、これが
労働力需給
の
アンバランス
をさらに大きくしているのであります。 このような事態に対処し、
離職者
の就職を促進してその生活の安定をはかるとともに
労働力
の有効適切な利用をはかるためには、一面において
労働力過剰地域
における
産業基盤
を育成強化し、新たな
雇用機会
の造出をはかる等の施策を実施するとともに、他面必要な部門に必要な量及び質の
労働力
を充足して、
労働者
の福祉の増進と
国民経済
の発展をはかり、ひいてはさらに一そうの
労働力需要
の喚起を期するという発展的積極的な施策の推進を必要としているのであります。 従って、今後の
雇用政策
は、
労働力
に関する基本的な計画のもとに、訓練の
積極的拡充強化等
の
労働者
の能力の
開発向上
のための施策と、
全国的視野
に立つ
職業紹介体制
の確立、
転職訓練
の
強化拡充
及び
訓練期間
中の生活の支援、宿舎の
整備等労働力
の
流動性促進
のための施策を軸として強力に進められるべきであると信ずるものであります。 かかる見地から、今回、
職業訓練行政機構
の強化、
公共職業安定所等
の
職業安定機能
の
整備拡充
をはかるとともに、これらの
行政機関
の活動と呼応して、きめのこまかい施策を一元的、計画的に実施するため
雇用促進事業団
を設立することといたしたのであります。 次に法案の内容について、その概要を説明申し上げます。 この法案は、
労働者
の技能の習得及び向上、地域間及び産業間の移動の円滑化、その他就職の援助に関し必要な業務を行なうことにより、
労働者
の能力に適応する雇用を促進し、もって
労働者
の福祉の増進と、経済の発展に寄与することを目的として
雇用促進事業団
を設立することとして、その組織、業務、
財務会計等
に関し、必要な事項を定めるとともに、これに伴い
労働福祉事業団
の業務の範囲を改正し、
炭鉱離職者援護会
を解散する等の規定を設けたものであります。 すなわち、第一に
雇用促進事業団
は法人といたしますとともに、その
資本金
は、従来政府の
失業保険特別会計
及び
地方公共団体
から
労働福祉事業団
に対して出資のあった額をもって設立当初の資本額といたしております。役員につきましては、
理事長
、副
理事長
のほか、理事、
監事等所要
の役員を置くものとし、
理事長
、副
理事長
、監事は
労働大臣
が、理事は
労働大臣
の認可を受けて
理事長
がそれぞれ任命することとしております。 第二に
事業団
の行なう業務といたしましては、
総合職業訓練所
及び
中央職業訓練所
の設置及び運営並びに
事業内職業訓練
の援助、
職業訓練
を受ける者に対する手当の支給、
公共職業訓練
を受ける者のための
宿泊施設
の設置及び運営、
移転就職者
のための宿舎の設置及び運営、
簡易宿泊施設
その他の
福祉施設
の設置及び通常、
移転就職
君に対する移転に要する費用の支給、
職業講習
の開催、
就職資金
の貸付、
身元保証
、必要な
調査研究
並びにこれらに附帯する業務を行なうこととし、あわせて、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、国または
地方公共体
の委託を受けて、これらの施設を利用して、
労働者
の福祉の増進をはかるため必要な業務を行なうことができることといたしました。 第三に、
事業団
の
財務会計
及びその監督につきましては、
事業団
の予算、
事業計画
、
資金計画
、財務諸表、
借入金等
について
労働大臣
の認可または承認を受けることを要することとするとともに、
事業団
は
労働大臣
の監督に服し、
労働大臣
は
事業団
に対して監督上必要な命令をすることができることとしております。 第四に、
雇用促進事業団
は、
従前労働福祉事業団
が行なっていた
総合職業訓練所
、
中央職業訓練所等
の
失業保険福祉施設
の設置及び運営に関する業務を引き継ぐとともに、これらの業務に要する資産及び
権利義務
を承継することといたしております。 第五に、
炭鉱離職者臨時措置法
に基づいて、
従前炭鉱離職者援護会
が行なっていた業務につきましては、
促進事業団
が
炭鉱離職者援護会
から引き継ぐとともに、
炭鉱離職者援護会
の有する一切の資産及び
権利義務
を承継することとして、
炭鉱離職者援護会
は
事業団
成立とともに解散することといたしました。 なお、
炭鉱離職者臨時措置法
に基づいて行なう特別の対策としての業務につきましては、その業務の範囲、費用の負担等は従前通りとし、この業務にかかる経理については、他の業務にかかる経理と区分するため、特別の会計を設けて行なうこととし、またその監督については
労働大臣
と通商産業大臣の共管といたしております。 以上がこの法案提案の理由並びにその概要でありますが、御審議の上、何とぞすみやかに可決あらんことをお願い申し上げます。
山本猛夫
6
○
山本委員長
なお、三案についての質疑は後日に譲ることにいたします。 ————◇—————
山本猛夫
7
○
山本委員長
労働関係
の
基本施策
に関する件について調査を進めます。 質疑を許します。
井村重雄
君。
井村重雄
8
○
井村
委員
私は
失業対策事業
関係、これに連なる日雇い労務者の問題、救済問題について、逐次お伺いをいたしたいと存じます。 御存じの通り、この緊急
失業対策事業
の
法案
というものは、
昭和
二十四年の非常に
経済
の混乱した時代、またインフレが急速に進展して、国内の事情が非常に悪い時期に応急に作られたものでありますから、自後十年間の
運営
経験、また私どもが地方自治体におりまして、実際のその概況を見た場合に、はたして適切であるかどうかということについて逐次お伺いをいたしたいと存ずるのであります。これは大体わかったことのようでありますけれども、
失業
救済をするということが
目的
であるけれども、今日ではほとんど固着してしまって、そこにはっきりした
雇用
関係が成立して、ほとんど動かない状態になっている。そこでこの
事業
の上において資材費、事務費、労務費というふうなことで、国と地方自治体とがお互いに相分担をいたして経費を出しておるのでありますが、これによっての
雇用者
と言いますか、仕事に従事しておる者との身分関係がいかがに相なっておりましょうか、まずお伺いをいたします。
石田博英
9
○
石田国務大臣
これは特別職の地方公務員という立場になっておると存じます。
井村重雄
10
○
井村
委員
それではよくいろいろな団体交渉権というふうなもので、あるいは
期末手当
をめぐり、あるいは夏季
手当
をめぐって団体交渉がありますが、それでは地方自治体がその団体交渉に応ぜなければならないという根拠があるのでございましょうか。
堀秀夫
11
○堀
政府委員
失対労務者は、ただいま
大臣
から答弁いたしましたように、特別職の地方公務員になっております。従いまして、法制上は労働組合法の適用があるわけでございます。従いまして、団体交渉権というものは法制的には一応ある、こういう考え方でございます。ただし、たとえば
賃金
決定等の問題につきましては、これは
労働大臣
が緊急失対法の規定により定めるということになっておりまするので、地方自治体の
理事
者側におきましては、その団体交渉の当事者として交渉する余地のない問題も多々あると思いますが、一応法制的にはただいま申し上げましたことによりまして、団体交渉権はある、こういう建前になっております。
井村重雄
12
○
井村
委員
それでは
一般
失業対策事業
に従事しておる者は、おおむね地方自治体の公共
事業
的なものに従事しておるのですが、それ以外に民間請負業者のところへ労働手帳を持って行っている者との関係はどうなっておりますか。
堀秀夫
13
○堀
政府委員
これはその日雇い労務吉が職安に出頭いたしまして、そうして求職の申し込みをするわけですが、これにつきまして、民間の求人、それから公共
事業
の求人あるいは失対
事業
の求人、こういうものとにらみ合わせまして、その適した方向にお世話をする、こういう建前になっております。
井村重雄
14
○
井村
委員
それでは同じ手帳を持っている者でも、
一般
失対
事業
に従事しておる者は、これは地方特別公務員という、はっきり地方自治体との
雇用
関係が成立しておるのでございますね。
堀秀夫
15
○堀
政府委員
その労務者が失対
事業
に就労するという場合におきまして、その
地方公共団体
との間に
雇用
関係が成立する。従いまして就労した場合においては、その関係は地方公務員の特別職になる、こういう考え方でございます。
井村重雄
16
○
井村
委員
よく今日では
失業対策事業
そのものが非常に非能率的であるというふうな非難を受けておる。またこれをめぐっていろいろな不正が行なわれておる、またこの
事業
をやる上において地方自治体そのものが非常に困難を感じておる、手を焼いておるという現状は、あなた方どういうふうに考えておられますか。
堀秀夫
17
○堀
政府委員
失対
事業
はただいま先生御指摘のように、
緊急失業対策法
の制定当時は、
失業
者を一時的に救済する、そして民間
雇用
の方に振り向けていく、こういう大きな建前で制定実施されたところでございますが、現状を見ますと、最近この失対労務者の年令等を見ましても、中高年令層が非常に増加をしております。そして事実上この失対
事業
に滞留するというような傾向が顕著になっていることは、遺憾ながら事実でございます。従いましてそれを反映いたしまして、この失対
事業
が必ずしも能率的に
運営
されておらないという批判をあちらこちらで伺うわけでございます。これはそのような事実はやはり存在する場合が
相当
あるということは、われわれも認識しておるわけでございます。従いまして私どもといたしましては、最近の景気の好調等の情勢等にもかんがみまして、この失対
事業
の就労者をなるべく民間
事業
の求人の方に振り向けていく、民間就労を促進する、こういう建前に立って
運営
をはかって参りたいと考えております。また非常に高年令層の人でありまして、
能力
の乏しいような方につきましては、それに適したような軽易な作業に振り向けていく、こういう建前でいかなければならぬのじゃないか、またそれと並行いたしまして、この失対
事業
の労務管理組織、これにつきましても私どもはあるいは失対
事業
の監察
制度
の刷新、それから失対
事業
の
理事
者につきましては、資材費あるいは事務費等の増額等を行なうことによりましてその能率を合理的に
改善
していくという方向に向けて進めていくべきではなかろうか、また、それと並びまして失対襲業の就労者につきましては、民間就労を促進するという見地から、現在各地におきまして常用化促進
事業
等が個別的に行なわれておるような向きもありますけれども、私どもは三十六年度からはテスト・ケースといたしまして、これにみっちりと
職業訓練
を施しまして、そして民間に
雇用
を促進するという方向をぜひとりたいと考えまして、そのような民間への就労を促進するための
職業訓練
を各地において行ないますように、
予算
も計上しておるわけでございます。
井村重雄
18
○
井村
委員
今の御説明は理論上非常に筋道が立ち、できるだけ有利な民間
事業
の方へやる、
職業訓練
もやろう、非常にけっこうなことであります。また今御説明を受けた
雇用促進事業団
の中へもいろいろその精神が盛り込まれておるのでありますが、しかし現実はそうではないのでありまして、先般私の地方で、いわゆる労働手帳のみを持って、これをあるボスがピンはねをして何千人分の
賃金
を取り上げておる、しかもこれを
監督
する立場である市の役人が恐喝をおそれてこれを見のがしたという意味合いにおいて、背任罪で訴えられておる。しかもそれを調べてみると、百数十万円の貯金を持って非常に豪華な
生活
をしておるというのであります。今まで労働省において、これらの
失業対策事業
の日雇い労務者の労働センサスといいますか、そういう調査を、家族構成、就労日数、住宅の有無、教育の程度、さようなことについて労働センサスをやられたことがございますか、いかがでしょうか。 〔
山本委員長
退席、齋藤(邦)
委員長
代理着席〕
堀秀夫
19
○堀
政府委員
ただいま御指摘の事件は、金沢市において最近発覚した事件であるようにわれわれも拝承しております。これにつきましては、ただいま御指摘のようなボス的な労務者が介在いたしまして、それが
理事
者を脅迫し、そして架空の人員を計上させまして、それを自分のふところに納めておったというような事犯で、セメントの横流し等の事件の捜査に関連して発覚いたしまして、目下調査をされておるところであります。まことに私どもとしては遺憾千万に存ずる次第でございます。これにつきましては、私どもといたしましてはこの失対
事業
に対するところの監察
制度
を徹底的に
強化
いたしまして、そうして今後かりそめにも、ただいま御指摘のような事件のありませんように努力しなければならないと考えております。 それから次に日雇い
労働者
の
生活
実態につきましては、労労省
職業安定局
といたしまして毎年十一月に日雇い
労働者
の
生活
実態調査を実施しております。これは継続して今後においても実施いたします。その調査に基づきまして、ただいま先生の指摘されましたような直雇い
労働者
の
生活
状態、家族構成、収入なり住宅の状態というような点につきましては、
相当
詳細な調査をいたしておるところであります。
井村重雄
20
○
井村
委員
私は重ねて御要望申し上げたいことは、その調査が、実際に即して労働手帳の発行が正しく行なわれておるかどうか、他に仕事を持ち別の職業に従事しておる者が漫然と、そういう遊休労務手帳をかり集めて何十冊か何百冊かを持っておることによってそうした不正が行なわれるのでありますから、これははっきり一つ規制をやらなければならない。一例を申し上げれば、神社の祭礼等で露店で営業をやっておる者が、無職だというので手帳を持っておる。それが常にある者に貸されておるというこの事実をよく調べていただかなければならない。またもう一つは、いかに監察
制度
をやりましても、もはやその地方自治体では
失業対策事業
の
監督
になり手がない。この新聞を見ましても柔道の有段者か、から手術を覚えた者か、あるいは携帯の何か放送ででもすぐ警察に知らせるような設備がなければこわくてやれない。また中にはマージャンとかあるいは酒を飲む場に行ってそのボスに迎合して、ようやく自分の
監督
任務をやっておるという状態であります。おそらくこういう金沢に出た例は氷山の一角で、非常に大きな問題でないか、こうしたところにやはり暴力というものを含まれておる。たとえば
監督
をきびしくすると、その
監督
の留守宅へ行って、留守宅の前であぐらをかいて昼弁当を食うとか、あるいはここの主人はあまりにきびしいから、これじゃ勤まりますかねえというような恐喝、お礼参りのようなことがよくあるのです。こういう点についてもう少しよくやらないと、これは地方自治体が非常に困っているのですから、やはりこういうふうな面から見ても、
監督
強化
のためには事務費というものは
全額国庫負担
で、もう少し
監督
をきびしく正しくやられるようにしなければならぬと思うのであります。 次にお伺いしたいのは特別失対
事業
でありますが、これは非常に円滑に行なわれ、現在でも必要とお考えでございましょうか。
堀秀夫
21
○堀
政府委員
特別失対
事業
につきましては、これは御承知のように三十五年度におきましては
事業
費七十八億円程度でございまして、一日平均一万八千人程度の
失業
者を吸収する
計画
を立てておるわけであります。そしてこの
事業
の三十五年度の実績といたしましては七〇%程度の
計画
が達成せられております。本年度におきまして大体この予定の
計画
が達成される見込みでございます。この特別失対
事業
につきましては、私どもは今後の方針といたしましては、比較的労働
能力
の高い
失業
者をこの
事業
に吸収させまして、
労働力
の保全培養と
事業
の
経済
的効果の
向上
をはかるという基本的な精神に基づいて実施して参りたいと考えております。この
事業
の実施につきまして、たとえば
事業
の施行が時期が片寄ったりあるいは場所がずれたりいたしまして問題点があるような向きも聞いておりますけれども、私どもといたしましては、以上のような考え方によりまして今後ともその効率的な
運営
をはかりたい考えでござまいす。
井村重雄
22
○
井村
委員
この問題は非常に円滑に行なわれ、一面では
一般
失業
対策が三百十円とか今年度三百八十何円というふうな低
賃金
であり、民間
企業
の方に参れば八百円あるいは場所によっては千円とあるのですが、私がはっきり申し上げたいのは、もう少し深く地方の
実情
をお調べになり、地方の
事業
家を調査なされば、働労力は今日
失業
状態にあるようなことでは全然ないのです。労務者は足らないのです。ところが実際においてはこの失対
事業
は、もう少し皆様方厳重に調べていただきたいのですが、決して正しい労務者は吸収しておりません。工事が終わればただ何人かの手帳の印鑑をもらうのです。その印鑑代を建設業者は払っておるのです。たとえば三千万円の公共補助のついた
事業
を私が請け負うとしましょう。ここに五百名なら五両名の手帳を持った労務者を使えという付帯
条件
がついてくる。ところが
労働者
は足りないから、どうしても工事を完了してその金を受け取る場合にはボスに頼んで、判こだけもらってつじつまを合わしてもらわなければならぬという、こういう
実情
が今日あるのです。だからこの
失業対策事業
は、
労働者
を救うという意味においては、私は決してこれは非難いたしません。ただし今日は
実情
が合わないのでございます。むしろこれを野放しにして、優秀なものは全部民間業者へ使わした方がかえっていいのです。手帳のある者をどうしても五百名この
事業
に使わなければならぬが、労務者が足りない、どうしてももう三百労務手帳のナンバーと判こをもらわなければ工事費が受け取れないという場合に、だれかがどこからかこれを集めてきて、印鑑代というものをとってくるのです。これはどうか一つお願い申し上げておきますが、地方自治体及び民間業者に十分な調査、アンケートをとられまして、私の申し上げておることが事実か、あるいはそうではないのだという——こういうかなり大きな
予算
を占めるこれが、そういうゆがめられた形において、むだに浪費されておるならば、名前は
失業
救済
事業
でありますけれども、そうではないのであって、今日
労働力
はもう足りないのです。このためにいかほど
資本金
の弱い、小さな請負業者が困っておるか、地方自治体によっては、これのついた
事業
は受け取り手がなくなっておるという現状に目をつぶらないで、一つよく御監察をしていただきたい、私はかように考えるわけであります。と同時に、先ほど申し上げましたような、毎年十一月にセンサスをやっておるといわれるのですが、一体どの階級の人が、この
失業
救済
事業
というものができてから、何年続けてこれが固着化しているのか、それからどれほどのパーセンテージが民間業者へいっているのか、そういうふうな実態調査を私はぜひ一つやっていただきたいと考えるわけであります。
石田博英
23
○
石田国務大臣
今、
井村
さん御指摘のような事実について、私も仄聞いたしてはおりました。そういう点の
監督
、調査の
強化
はかねがね命じておるところでございますが、しかしこの上ともさらに厳重に調査をいたしたいと存じます。 それから労働センサスの
内容
につきましては、事務当局からお答えをいたさせます。ただ
失業対策事業
全般を考えてみますときに、もとより御指摘のようにそのほとんどが固定化の傾向にあります。これは非常に遺憾なことでありますが、その固定化の結果として、その年令構成が非常に高くなってきておるのであります。そこでその年令構成の非常に高い層——確かに全体としては
労働力
は不足をしておるのでありますが、それに対する
事業
というものは、まだまだ非常にむずかしいのでありますし、その労働の質等によりましては、困難な
事態
もあるわけであります。そこで私どもはこの固定化を何とか破りたい、こういう観点から、先ほど御説明いたさせましたように、年令構成の低いところに対しましては
職業訓練
をやりますと同時に、でき得る限り民間労務へあっせんするようにいたしました。その方が
賃金
も高いわけであります。これを常用
雇用
の方にできるだけ振り向けて、高い
賃金
を獲得できるように指導する方法をとっております。それから年令層の高いところ、それから非常に極度の労働には耐えられないという層に対しては、これはいろいろ御議論もございましょうけもれども、やはり私はこの
制度
について、そういうあたたかい、寛容の目で見る必要のある部分もあることを御了承願いたいと存じます。
井村重雄
24
○
井村
委員
今
大臣
のおっしゃることも私は十分了承できるのであります。金沢のこの不正事件をめぐってのこの問題がどこから発見されたかといえば、いわゆるまじめな労務者の投書であります。いかに彼らがまじめにやろうと思っても、そうしたことに対する恐怖というか非常な圧迫感というか、そういうものとにおるのでありまして、何とかこれを
改正
してくれというふうな投書がむしろ働いておる者自身から出るのでありまして、私どもはまじめな
労働者
がかわいそうだという面では同一でありますから、これは一日も放置できないと思うのであります。そこでお考えをいただきたいのは、やはり年令別あるいはその他従来の経験による
技能
職別といいますか、いろいろなことで、これをある程度類別組織化するというお考えがございませんか。たとえば若い年令層で家族構成の多い五人家族以上の者には日給これだけにする。老齢の者には愛情を持ってやる。これは
生活
保護と同じ程度の考え方だというので、比較的
賃金
が安くても安心して働ける場所を提供するとか、これを一括
失業対策事業
でいかないで、私が労働センサスをやってくれというのは、いろいろ経験、前歴、前職全部を調べて、年令別か何かに区別をして、そうして
賃金
に差額を設けて、そして働ける者、家族を養う者には多くやるという考え方で、もはやこの
失業対策事業
をめぐる原則的な立法を考え直すべき時期に来たんじゃないか。
雇用
に関する基本的な立法を時代に即応して、しかもきょう御提案なされた
雇用促進事業団
の裏づけになるように、また職業安定法ともからみ合わせて、根本的にこの
法律
を時代に即応するように考えなければならぬ時代が来たのではないか。それを前提にして、過去十年の
失業
救済
事業
あるいは現在の特別失対
事業
というものをよく綿密に割り出して、そうなさるお考えはございませんかどうか。
石田博英
25
○
石田国務大臣
御指摘のように、
失業対策事業
はもう十年余の歴史を経過しております。客観的な
経済
条件
も著しく変わってきておるわけであります。それに伴いまして、
一般
的な
雇用情勢
も変わってきておるのでありまして、この
失業対策事業
全体が今までのような考え方だけで、この態勢だけで進む時期ではもうなくなったという点については同感であります。従って私どもは先ほど申しましたように、年令層が高いとかあるいは病弱とかそういうような
条件
の人はこれは仕方がございませんけれども、それ以外の人々についてはでき得る限りこれを常用
雇用
に切りかえる方向、あるいはまた民間の
業務
に行って高い
賃金
をとり得るような方向に指導していきたいということは、これはすでに今次の
予算
措置の中にもテスト・ケースとして組み入れてあるのであります。ただその
賃金
決定の場合において、労働の
能力
だけに基準を置いてきめるというのは、この
制度
の生まれました経過及びその性質から勘案いたしまして、それだけできめることは私はやはりまだ早いのではないかと思います。 それからもう一つは、私ども現に民間へ行くと、高い労働能率を発揮し得られる人は高い
賃金
をとり得る機会があるわけでありまして、中にはなまけ者で、働けるんだけれども重労働はいやだという人もおるでしょうけれども、私どもが行政を行なう目というものは、少数の誤った人に気をとられて多数の善意の人を傷つけるということがあってはならないのでありまして、やはり行政の目としては全体を善意で見ていきたいと思います。そういう目で見て参りますと、やはり今の失対
事業
に残っておる人は民間の労働に耐えられない年令層の人が非常に多いのじゃないか。そういう人たちが労働能率が低いからという
理由
で、現在まで、それも決して高い料金でない現在の保障をさらに切り下げた待遇をすることは非常に困難ではなかろうか。困難であるばかりでなく、この
制度
自体から間違いではなかろうかと思います。先年私が
労働大臣
をやめました直後に問題になりました高年令層の
生活
保護への切り変えというようなことは、
相当
誤解もございましたが、そのときもやはりこういう
制度
自体から来た建前からいきますと、これはもう矛盾がございまして、論議がありましょうとも、やはり既得権を奪うという方法はとるべきでない。ただ家族構成その他から給与の方法は適格基準決定の方法等について検討を加える、そうしてただいま御指摘のように、でき得る限りこれを常用
雇用
、民間有効労働の方へ向けられるように行政上の指導をする。要すればそういう線に沿った
法律
上の
改正
を検討するということは同感でございますので、これから次の
予算
編成までの間に検討を命じたいと思っております。
井村重雄
26
○
井村
委員
私は決して既得権を侵したり、社会全体が保障して行くという考え方を弱めろということではございません。仰せの通り、やはり最小限度の社会通念によって保障をして参らなければなりません。ただ家族構成その他によって、また場合によっては
一般
失対
事業
であるけれども、
相当
働き得る
能力
のある者に対しては、これは何か特別に給与体系を少し改めてやってもらいたいということであります。 それからいま一つ、さきに申し上げた繰り返しでありますけれども、失対
事業
の補助がついて民間
事業
の方へ参るので、これは人数の制限をつけたりひもつきにせない方が、かえって、私がさっき言った能率が上がりまして、喜んでそこへ行くのであります。それを何百人使え、延べ何千人使えというひもつきであるから、わしらのような手帳を持った人間がおるからお前らはこういう請負
事業
ができるのじゃないか、われわれのおかげでこういう
政府
の
予算
をつけた
事業
を請負いできるのじゃないかというので、それが終末のときに判こをもらうとか手帳をもらう、毎日十人を雇わなければ
事業
の完遂の時期まで延べ三百人にならない場合に、最後のどたんばで来ない場合には、最後には労せずしてただ労働手帳のナンバーと印鑑をもらわなければならぬというようなことから、私は特別失対
事業
はそういう数のひもつきじゃなしに、野放しにした方がむしろいいと思うのですが、この問題についてはいかがですか。
堀秀夫
27
○堀
政府委員
この特別失対
事業
の
運営
につきましては、
経済
各省と労働省と連絡をとりまして、協議の上実施さしておるわけでございますが、この
事業
の実施されております趣旨が、なるべく多数の
失業
者を吸収してもらうというところにあるわけでございます。従いましてこの
運営
につきましては、労務者を
雇用
する場合におきまして、その吸収率というものを定めまして実施を願っておるわけでございます。それが現場に参りますると、この業者についてはこの率から換算いたしまして何百人程度というようなことになって現われるわけでございます。ただいまやっておりまする建前は、以上のような趣旨から実施されておるわけでございまするが、要は
失業
者の実質的吸収がはかられればよろしいわけであります。それに応じて
事業
そのものはなるべく努果を上げるように、能率的に
運営
されればまことによろしいわけであります。従いましてその間の調整につきまして、ただいま先生の御指摘のような点がございますので、今後
経済
各省と十分連絡いたしまして
改善
をはかりたいと考えておりますす。
井村重雄
28
○
井村
委員
地方自治体の責任者あるいは工事を現実やっておる者からアンケートをおとりになれば、むしろ野放しにした方がたくさんの
失業
者を自由に吸収できて、商
賃金
で、おそらく
一般
失業
対策へ行く人間ももっと減るだろうと言うだろうということを申し上げておきますから、どうぞ十分な御調査を願います。 次に
中小企業
の職員の確保という問題でございます。これは
大臣
もいろいろ御心配のことでもあり、御存じだと思うのですが、今日
中小企業
の面あるいは
サービス業
者というものが労務者を得られない。今年度あたりはもう各所で中学の新卒の奪い合いがあるということで、人手が不足しておるのでありますが、この大
企業
と
中小企業
との
賃金
格差が非常に大きい、また一面その生産の格差も非常に大きい、こうしたことの原因についていかがなお考えを持っておられますか。
石田博英
29
○
石田国務大臣
賃金
格差その他労働
条件
の規模別格差が存在する根拠というのは、今御指摘のように生産性の差であります。全くほとんど生産性の差と正比例をいたしております。生産性の差はしからば何によって生ずるか。これはもちろんいろいろあげることができると存じます。設備、技術、金融、税法、あるいはまた資材購入の方法等、いろいろあげることができると思いますが、これは労働行政の面から見ますると、やはり安定したよい
労働力
を供給するということと、それからもう一つは労務の配置管理、そういうことについての適切な指導をするということにしぼられてくると存じます。そこで安定したよい
労働力
を供給するということは、やはりまた逆戻りいたしまして
賃金
と労働
条件
の問題に返って参ります。そこで私どもは最低
賃金
法を制定いたしましたのも、あるいはまた今度
改正
をお願いいたします
退職金
共済
制度
をやるのも、
失業
保険あるいは労災保険、健康保険等の社会保険の小規模
事業
者への拡張適用をやっておりますのも、そういう
制度
を通じまして
中小企業
の労働
条件
の
向上
をはかりまして、そうしてそれによっていい、安定した
労働力
を供給しようというところにあるわけであります。それからもう一つ、これは実際上、
中小企業
におきましては就業規則もない、もちろん労働協約というようなものもない、労務管理責任者も存在しない、あるいはまた
労働力
の配置等についての検討もしていないというところが現在非常に多いのであります。従って拘束時間が非常に長い割合に生産労働時間というものが少ない、こういう点についての指導がこれからは一番必要になってくるんじゃないか。私どもは現に各地におきまして自覚された
中小企業
の経営者及び
労働者
が、拘束時間を減らしつつなお生産労働時間を上げておる実例を多く見るのでありまして、そういう実例に基づきました指導をやって参りたいと思います。ただ基本的に
中小企業
の人不足は、確かに現在若年労働層に対しては非常に人不足であります。本年三十六年の三月末卒業者に見ましても、中等学校卒業者で
就職
希望者は三十数万であります。また高等学校系業者で五十数万でありますが、それに対して求人の方がそれぞれ九十万をこえている状況でありますから、非常に困難です。そういう状態の中に必要な
労働力
を確保する唯一の道は、やはり労働
条件
の
向上
以外にないのでありまして、みずから労働
条件
の
向上
ということについて努力反省等をなさらないで、ただ
職業安定局
だけに、
中小企業
にも安い
賃金
をがまんしていただいても無理にでもあっせんしろと言われても、これはできることではございませんよ。ただいま申し上げましたような方針に基づきまして労働
条件
の
向上
をはかり、これによっていい、安定した
労働力
を供給することが、生産性
向上
の労働行政から見た必要面であると考えておる次第であります。
井村重雄
30
○
井村
委員
中小企業
やあるいは小規模
企業
に人が足りない、また今日非常に
サービス業
にも人が足りないというふうな問題は、結局その間に非常に
賃金
の格差がある。従って、いろいろな問題はありましょうが、やはり資本構成が非常に弱いということと、技術水準が非常に低いから、生産性に非常に差があるので
賃金
を上げられない。しかし、これをいつまでもこのままにしておいては、やはりこれは救われないのであります。私は一番先に申し上げたいことは、むしろ思い切って最低
賃金
制というものを大幅に推進して、
相当
無理がかかるかもしれぬけれども、やはりある程度の最低費金制を確保して、大
企業
へ
就職
する者との格差をなくしてやらなければ百の理論を立てても人がいかないというこの問題であります。そういう点で、どうか一つ格段の御配慮を願って、もしそれによって
中小企業
が危殆に瀕するというふうな場合に、どうしてこれを救い上げるかということを考えていただかないと、これは百年河清を待つにひとしいと思います。どうかこの最低
賃金
制という問題は、
政府
においてもあまりこだわらないで、大幅に考えて、まず人を入れる、そこで、
企業
が危殆に瀕した場合にこれをどうしてやるかという問題を、一つ根本的に考えてもらいたい。 もう一つ、私は資本だけではなしに、人の問題だと思うのであります。そこで、一言申し上げたいのは、教育の機会均等ということであります。昔の
中小企業
あるいは
サービス業
その他であれば、のれん分けということがありましたけれども、今日はのれん分けということは望まれません。従って、これをどうするかといえば、教育の機会均等を与えるということであります。私の申し上げることはあるいは少し的はずれかもしれませんが、週休制、あるいは商店であれば早期の一斉閉店制ということをある程度義務づけて、そうして定時制高校その他の教育を受けられる余暇を与えるという、それに対する雇い主の責任体制を作るというふうな、何か立法をなさる御意思はございませんでしょうか。
石田博英
31
○
石田国務大臣
前段の最低
賃金
制の御意見につきましては、与党内から非常に御理解のある御議論が出たことを、私は心強く存じます。ただこの
法律
は実施されまして一年有半でありまして、ただいま対象人員がもう約五十万になったと思います。これは、前に私が労働省におりましたときに行政指導をし、立案をしたものでありますが、当初は十五才で二百円
未満
のものもかなりございました。しかし今日ではもう二百円以下なんというものは最低
賃金
ではないという、私どもの方でも強く指導をいたしておりまして、実質的には二百円をかなり大幅に上回った額で順次決定されつつあるのであります。そこで、この
制度
をさらにもっと高めるように
法律
改正
をすべきだという議論、社会党などからは御承知のように全国一律の十八才八千円という
制度
、御議論がございます。私どもも
地域
的な差というものがなくなっていくということ、これは文化的にも、
生活
費の上からいっても、一つの政治の目標であると考えます。しかし現在の状態で私どもがやりたいと思っておりますことは、この対象人員を急速に増加させるということが一つ、これは三十六年度を初年といたしまして、向こう三カ年間で二百五十万人に適用したいと思っておりますが、この目標は三年を待たずして達成されると思います。二年程度で達成されるだろうと思いますが、一応三年といたしております。それからその最低
賃金
決定の過程におきまして、最低の決定金額を高めるような指導をして参りまして、それによって、
法律
の前進の基礎を作っていきたい。今はなお、先ほど労務管理の点で申し上げましたような認識が
中小企業
経営者の中に多いのが
実情
でありまするので、そういうものがだめになった場合には、だめになったときに別に考えればいいじゃないか、これも一つの御議論でありますけれども、私はやはり漸進的に、
段階
的にいくのが適当であろうと考えております。 それから週休制及び一斉閉店につきましては、今強力に行政指導をしておるところであります。特に一斉閉店の問題につきましては、地方によりまして事情が非常に違います。たとえば観光地等におきましては、他の
一般
の
地域
と違うところがあると思います。それから商店その他については、消費者をならしていくということが必要だろうと存じます。やはり消費者の利益も考えなければなりませんから、消費者をならしていくことが必要だろうと存じます。そこで私は行政上の指導を今強力にやっておるのでありますが、順次消費者及び経営者をならすことによりまして、できるだけ早い将来において週休制及び一斉閉店が全国に行なわれるような
事態
を持ち来たらしたい、こう考えておる次第でございます。 余暇の利用ということにつきましても全く同感でありまして、今回特に厚生年金の還元融資ワクを
中小企業
の労働
条件
向上
のために三十億円計上いたしておるのであります。これは
中小企業
の経営者が同業組合あるいは
地域
組合等によって
従業員
の
福祉施設
を作ります場合に融資することに相なっておる次第であります。
井村重雄
32
○
井村
委員
いろいろお構えもありましょうし、また最低
賃金
制の最低価額を
向上
させること、あるいは
地域
的な差の撤廃にもおのずから順序があることはよく私は了解をいたしておりますけれども、できるだけさようにお願いを申し上げたいと思うのであります。たとえば英国あたりでは、
中小企業
に従事しておる
労働者
は、
賃金
の値上げを希望するよりもむしろ夜間のいろいろな学校へ就学するということに対する時間的の便宜の供与、理解等を非常に望んで、そして将来の地位の
向上
に努力するということに非常に希望を持っておるのであります。これは行政指導もさることながら、できるだけこれらの子弟が働きつつ教育を受けて将来の地位の
向上
に希望を与えるようにやっていただくならば、やはり
中小企業
にも人を得るという原則が成り立つと存ずるのであります。 そこで、
予算
説明のときにちょっと項目で見ましたが、何か労務管理その他に相談員なんというようなものを置いて、労務管理その他について
中小企業
にいろいろ指導していく、これは非常にけっこうでございます。ことに小人数の
企業
では、お互いに紛争が起きたりして組合を作ったり規則を作ったりしたのではあと味が非常に惑うございますから、できるだけお互いに事なきときに自然にこうした問題を解決していくことは非常にけっこうであります。これは労働省関係だけではございませんが、
大臣
に申し上げたいのは、やはり
労働者
が自分の
企業
に対する将来というものに非常に不安を持っております。従って相談員という
施設
を作られました以上は、私はこれは通産省の関係かと存じますが、お互いの
企業
診断というものを労働省並びに通産省あたりが総合的に考えていただいて、
中小企業
の
企業
診断というものに対する強力な組織体系がほしいのであります。小さければ小さいで、その
企業
が安定しておるということを
労働者
がよく理解をしておれば、末長く勤めますよ。いつまでもこれは弱体なんだというふうに思い込んでおるところに、定着性がないのでありまして、この
企業
診断ということについては、単に労務管理だけではなしに、十分そういうふうなものを取り上げて一つ御検討をいただくお考えはございませんか。
石田博英
33
○
石田国務大臣
通産省その他
経済
各省がやっておりまする行政と労働省との関連、これがどうも二元的になっている点は、私もいつも痛感をいたしておる者であります。また、労働省の行政機構自身、地方の末端の行政機構自身、検討を要さなければならぬと思っておる点もございます。特に、やはり所得倍増
計画
にいたしましても、
一般
の
経済
政策は、人を対象として先にまず考えるべきものでありますが、どうもそれが人があと回しになって、物だけが先回りしているような感じを私はいつも持っておるのでありますが、通産省その他との連係を
強化
いたしまして、お説のような効果を上げるような方途を考究したいと存じております。
井村重雄
34
○
井村
委員
最後に。私はもうこれで終わります。 大体、お考えの方向も理解ができました。要は、
経済
成長策を強力に今後進め、また進んで参るのでありますが、人の
アンバランス
等いろいろな問題も出てくると思うのであります。今後後進
地域
の開発その他によって、農民が
相当
農耕から離れて
労働者
になると存ずるのでありまするが、これが再び、
事業
が終わり、あるいはいろいろな変化の過程において、日雇い労務者に転落せないように、これらの農民を
雇用
する場合に、十分その将来を考え——この
雇用促進事業団
の
計画
を見ましても、各所に技術
訓練
という言葉が非常にたくさん出ておりますが、どうか
事業
の推進を先にして人の問題はあとにしないで、この技術指導、技術
訓練
ということを先にして、いたずらに日雇い労務者に純粋な農民を転落せしめないように、十分なる
計画
をお願いするとともに、私が先ほど申し上げた
失業
対策についてのいろいろなお考えもございましょうけれども、これは今日、この
雇用促進事業団
が発足するに際して、十分
雇用
に関して基本的な近代的な立法をなされまして、そうした後進
地域
の開発、工場分散その他についての矛盾のないように、一つ十分
政府
においても御検討をいただきたい。また各省ばらばらの指導については、十分何か斬新なお考えを一つやっていただきたいと思うのです。これらの
法律
を作るという場合において、いろいろな問題もございましょう、また、
失業
者自体も、あるいは改悪だなんて言って早合点をしていろいろな問題を起こしましようけれども、やはり現実に目をおおわないで、勇気を持って一つ改革に進んでいただきたいと希望して、質問を終わります。
石田博英
35
○
石田国務大臣
ただいま農業
労働者
の非農業
産業
への今後の転換の問題でございますが、私どもは、大体
昭和
三十四年度における農業労働人口を千四百五十万程度と、大ざっぱでありますが考えております。
昭和
三十五年から四十五年までの十一年間に、新規学校卒業者で農業に入る人の数が百五、六十万、それから死亡、引退等によって減少いたしまする農業関係の
労働力
が三百五、六十万、そうして二次
産業
、三次
産業
へ転換いたします
労働力
は二百四十万強と考えておるわけであります。そういたしまして、十一年間平均の農業
労働力
の減少数を四十二、三万と見ております。三十三年、三十四年の実績が三十八、九万でございました。そうなって参りますと、農業労働から第二次
産業
、第三次
産業
へ転換いたしまする各年次の数は平均二十万前後、従って、私どもが技術教育、
訓練
等を施す対象人員もそこにめどを置きまして、この
雇用促進事業団
でやります総合
職業訓練
あるいは自治体に委嘱をいたしておりまする
一般
職業訓練
あるいは
企業
内
職業訓練
等を総合いたしまして、おおよそこれらの人員を対象として、とにかくしっかりした技術を与えることによって将来の
雇用
の安定を期そう、これは農業
労働力
移動
の問題に重点を置いて参る所存でございます。全く御指摘の通り、これを行なわないでいきますれば、私は、やはりほんとうの意味の
産業構造
の改革にはならないと思います。もう一つは、臨時工、社外工の問題等につきましては、やはり基準法適用を
強化
いたしまして、この不安定な
雇用
を常用
雇用
に切りかえていく努力もいたしたいと考えております。
齋藤邦吉
36
○齋藤(邦)
委員長
代理 五島虎雄君。
五島虎雄
37
○五島
委員
私は、
大臣
を中心として、労働基準法の問題やあるいは労働時間短縮の問題その他PWの問題等々について質問をしたいと思っておりまして、その用意を若干してきました。ところが、
大臣
はかぜのために出ていくということで、
大臣
に関連しない質問について、若干の時間質問をしておきたいと思います。 まず最初に私は、基準局の方に資料として要望したいのがあります。その一つは、
昭和
三十一年の四月に、基準行政
運営
方針、すなわち是正基準というものの新方針が出ておりますね。それから、同年五月に、それに基づいてかどうかわかりませんが、
監督
基本方針が極秘文書で出ておるらしいのです。それは出ておりますか。そこで、この二つの文書を、ずっと古いことですから、われわれに資料として渡していただきたいと思うのです。それで、次の機会に、これを中心として、現在の労働基準法がいかに
労働者
にとってマイナスになっているか、あるいはそれに基づいて
監督
行政、基準
監督
等々が、
労働者
保護の立場から逆コースをたどっているじゃないか、そういうようなことを中心として聞いてみたいと思います。資料を出して下さい。いいですか。
大島靖
38
○大島
政府委員
ただいま御指摘の具体的な文書について、私どれをさすのか明瞭でないのでありますが、おそらく
昭和
三十二年に労働基準法の臨時調査会の答申がございまして、それに基づきまして、労働基準法
運営
の基本方針を毎年定めておりますが、その文書ではなかろうかと存じますが、調べまして御
提出
いたしたいと思います。
五島虎雄
39
○五島
委員
昭和
三十二年に出された問題じゃなくて、三十一年四月二十七日に新方針として、当時の基準
監督
行政としての職員の心得、気がまえ、それについて
運営
方針が出ておるはずです。それと一カ月前後して極秘文書が出ていると聞いている。なければ仕方がないのですけれども、あると思うのです。ですから大島局長はよく調べて、われわれにすみやかに出して下さい。次の社労
委員会
は三日ですから、それまでに一つお願いしたいと思うのです。 それからもう一つは、ILO八十一号によって
監督
行政に関する条約がすでにわが国では批准をされております。ところが、この八十一号条約、工業及び
商業
における労働
監督
に関する条約によれば、その二十条には、「
監督
機関の
業務
に関する年次
一般
報告を公表しなければならない。」「その年次報告は、当該年度の終了後適当な
期間
内に、いかなる場合にも十二箇月以内に公表しなければならない。」「年次報告の写は、公表後適当な
期間
内に、いかなる場合にも三箇月以内に国際労働事務局長に送付しなければならない。」こう規定しております。ですから、現在でしたら三十四年度分が公表されておらなければならないと思うのです。これは年報式になっているのですから、三十四年度分が公表されておるのならば、それをわれわれの手元に配付してもらえないかということです。
大島靖
40
○大島
政府委員
年間の基準法の
監督
の
実情
につきましては、基準
監督
年報を出しております。これによって全般の基準法運用の
実情
を御了知願うことになっております。なお、ILO関係に対する資料その他の報告については、条約あるいはILOの規定に定まった通りのものをやっておると存じます。その年報につきましてはまた御
提出
申し上げたいと思います。
五島虎雄
41
○五島
委員
その年報はいつまで出ているのですか。
大島靖
42
○大島
政府委員
現在のところ三十三年度までできております。三十四年度の分につきましても間もなく完成すると思います。
五島虎雄
43
○五島
委員
そうすると、三十三年度まで出ているということは、十二カ月以内に公表しなければならない、三カ月以内にILO事務局長に
提出
するということの一年おくれになっているようです。二十四カ月ばかりおくれているのですが、これはILO八十一号の二十条の条文に違反しませんか。
大島靖
44
○大島
政府委員
年度ごとの
監督
年報になっておりまして、そういう関係で年度を経過いたしませんと報告がまとまりませんので、若干のズレはあるかと思いますが、できるだけ早い機会に出すように努めております。
五島虎雄
45
○五島
委員
その年報は毎年国会には
提出
されないのですか。
大島靖
46
○大島
政府委員
現在までのところ特に国会に御送付申し上げてはおらないかとも思いますが、私従来の慣例はちょっと詳細に存じませんが、御
提出
いたしたいと思います。
五島虎雄
47
○五島
委員
それでは、そういうようにして、最新の年報を、ずいぶん高くつくでしょうが、一つ
提出
していただきたいと思います。そういうような事柄に基づいて次の機会に質問をします。 それから、
大臣
がおってもおらなくてもいいけれども、事を非常に急がなければならぬ問題があります。それは昨年末に自民党の
福田
代議士からですか、特別国会の会期中に、当
委員会
において緊急の質問が行なわれました。その緊急の質問は、一地方の問題ではありますが、岩手県の岩手銀行の紛争状態であります。それで問題は、年末に押し詰まったものですから、金融の問題に非常に影響があるのではないか。そこで、労働問題もさることながら、金融問題をいかに解決するかというような問題を中心にして質問が行なわれたわけです。私は、ここで一地方のことを特別に取り上げようとは思いませんでしたけれども、その後の状況を連絡し、調査した結果によりますと、その紛争の状態が、だんだん感情的になっていて悪質になっていく。そうしてだんだん解決の方途を見出せずして、その紛争状態が深刻になっていきつつある。従って、これでは労働基準法の問題にも触れてきますし、職業安定法の問題にも触れてくるような状態が発生してきております。従って、この岩手銀行の紛争状態の問題が、職安法の違反とか、労働基準法の違反になると、これが
一般
的に影響してきやしないかというおそれを持ちます。ですから私は特別に、短時間のうちに、職安局、
労政
局、あるいは
労働基準局
に、できるものならばすみやかに岩手銀行の紛争状態を解決したいという欲望から、若干の質問をしてみたいと思うわけです。 この岩手銀行の紛争状態というものは、各関係当局はすでによく御承知のところであると思うのです。私は、今年二月十二日に同僚の島本代議士、それから大蔵
委員
の堀代議士と三人で現地調査に行きました。そうしてそのときのわれわれの態度としては、あらゆる機関と、ともによく話し合って、できるならばこういうような
一般
に影響の多い金融業における紛争の問題はすみやかに解決しなければならない、こういう基本的な態度で調査に臨んだわけです。県知事に会い、地労委に会い、あるいは基準局長や
監督
局長に会い、検察官に会い、最後には会社側の頭取や副頭取あるいは常務や人事部長と会いました。そうして解決のための要望をしてきた。ところがわれわれが行ったその晩に、地労委が乗り出してあっせんをするということでしたので、われわれは期待して帰ってきたわけです。そのあっせん案の
内容
というものは——会社が団体交渉にどうしても応じないから、話し合いができないで、問題の解決点が見出せないのでおる。組合は一生懸命団体交渉をしようと言っておるけれども、会社は団体交渉を拒否しておる。その
理由
としては、当該組合とのみならば団体交渉をするけれども、上部団体の代表が入るものとは団体交渉をしないということで拒否を続けておる。一方ではじゃんじゃん労働基準法の違反をし、三六協定の違反をするというような状態が現われてきておる。そこで、じゅんじゅんとお互いに話し合って、労働
委員会
があっせんに入ったのですから、従って会社はあっせんに応じなさい、組合もあっせんに応じなさい、そうして話し合いの場をそこで作って問題の解決点を見出しなさいと言って、期待して帰った。帰ったところが、それから二週間もたたないうちに会社は二百名の臨時雇いを雇っておるという。しかも二百名の臨時に雇われた人々の顔ぶれはどういう顔ぶれかというと、よそのうちの女中さんがおる。あるいはどこそこの勤め人の奥さんが、昼は非常にひまだからというようなことで、応援に来て下さいという格好で雇った。子供さんを連れてきてもいいですよということで、子供の手を引っぱってその会社に出勤しておる。それからまた漁業連合会の
役員
であるような人までも引っぱってきて二百名の中に編成しておる。そこで第一組合が非常に憤慨をして、これは何だ、今まで知らない人たちがたくさん職場に来るものだから、これは何だと言ったら、人事部長が組合対策だというようなことを言ったという。ところが、これは職安に聞きますが、職業安定法の二十条によると、労働争議に対する不介入というところで、「公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業又は作業所閉鎖の行われている
事業
所に、
求職者
を
紹介
してはならない。」これが権威ある機関の中立性をうたっているものだと思う。そうすると法の精神としては、争議の状態の起こっているところに職業
紹介
をしてはならないというわけです。ところが今度は三十五条では、文書募集ができるということになっておる。三十六条では御承知のように直接募集ができるということになっておる。ところが、直接募集でやってしまったのじゃないかと思われる節々がある。そうすると三十六条の直接募集で行なわれることが法意に反しないことであるならば、これは問題が非常に大きくなるのじゃないかと思う。この事実は当局としては、何か岩手県の
労政
課あたりから報告が来ていないか。これは
労政
管理にも関係しますが、報告は来ていないか。この問題について一体どういうように解釈すればいいのだ、こういうことが私の疑問です。一つこれについて考え方をお聞きしたいと思います。
堀秀夫
48
○堀
政府委員
職安の問題について御答弁申し上げますが、情報が入りましたので、岩手県職業安定機関に早速連絡いたしまして調査をいたしましたところ、岩手銀行から、その銀行の事務員として職安に対して求人の申し込みがあったそうでございますが、職安といたしましては、県の
労政
当局とも協議の上、現在岩手銀行は争議中でありますので職安法二十条の規定に基づきまして、中立的立場から職業
紹介
はしないということにいたしました。従いまして、職安といたしまして岩手銀行に対して職業
紹介
をいたした事実はないそうでございます。
島本虎三
49
○島本
委員
関連して。今そのような答弁がありましたが、それは会社と言われましたが銀行でしょう。そっちの方面からの直接の
雇用
によるものであろうと思います。今ここに職安局長並びに基準局長がおられますが、当時その場所で、まことに法を侮辱し、皆さんをないがしろにしているような行動があったわけです。そのことは、基準法なんというものは
中小企業
で守っているところなんか一軒もないんだ、銀行だけ守るという
理由
はないのだ、これは法を犯してもけっこうである、罰金を払っても何でもいいんだ、すなわち法にもとる行動をどんどんやれ、こういうようなことを公言しながら、団体交渉を拒否したり、好き勝手なことをやったりしている。こういうようなことで昨年末のこの岩手銀行の争議を長引かせている。それは中にはいろいろな
理由
もあろうかと思いますが、こういう考え方で団体交渉を拒否したり、好き勝手な者を
雇用
してきたのであって、こういう心がまえでは解決するはずがないのです。これは各機関から、あるいは大蔵省の銀行局関係から、そういうことに対していろいろな指導もあっただろうと思われます。しかしながら依然としてそれが行なわれているという現実からいって、一体労働省は何をやっているのか。基準法に対してそういうような意思を発表され、それが公の機関と思われるところにまで発表されておるにもかかわらず、どうしたのですか。こういうような
事態
に対しては、基準法違反といたしまして、その現実の問題に立脚して、もう違反の事実を指摘して送検さえもされておる、こういうような
事態
でも、依然として同じような態度で頑迷に拒否したまま動かないで、法違反を公言し行なっておるということについて、はたして責任者であるところの労働省は一きょうは
大臣
も次官もおられませんが、局長がおられますのでお伺いしますが、そういう公言をしておる実態をこのままに見のがしておいていいものであるかどうか。そういうような実態に対してどのような考えで措置しようとするのか。これを関連してお伺いしたいと思います。
大島靖
50
○大島
政府委員
ただいま御指摘の岩手銀行の争議に関連いたしまして、基準法の関係の各種の問題もございます。昨年の暮れに、この問題につきましては、当
委員会
において、金融
業務
と争議の関係の重要性について特に御指摘をいただきましたが、先般もまた御調査にいらしていただいたわけであります。私どもといたしましても、
労政
局と相談いたしまして、早急にこの問題を解決しなければ非常に困った問題になるということで、調査団がお帰りになりまして早々、岩手県の労働部長、基準局長に対しまして電話を入れまして、早急の解決方の指示をいたしたのであります。なおその後地労委の介入を待ちましても、まだこじれがますます深刻化するような状況でありまして、はなはだ残念に思っております。ただこのケースを考えてみますと、基準法の問題もいろいろございますが、何と申しましても、近代的な労務管理あるいは近代的な労使関係、こういう問題について、労使双方見方によってはいろいろ批判さるべきところもあるかと思うのでありますが、根本的にはやはり近代的な労務管理感覚と申しますか、近代的な労使関係の感覚がどうも足りないのじゃないかというように思われるのであります。今後早急に解決するためには、こういう点の反省を強く求めまして、さらに地元と協力いたしまして早急な解決に努力いたしたいと思います。
島本虎三
51
○島本
委員
もう一つ。そういう決意が表明されましたので、私としてはそれを可及的すみやかに効果ある方法で実施してもらいたいと思います。 なお、法違反の事実があることが明確で、これははっきりした事実に基づいて、岩手の基準
監督
署の署長がその事実に基づいて、もう送検している事実もあるわけです。こういうようなことからして、一方にはその解決のために手を差し伸べながら、他方応じない場合には手をこまぬいて見るだけじゃなく、こういうように厳然として、世論としても法違反の事実が指摘されて、送検されているというこの事実さえもある。こういうような事実のもとに、今言ったように、ただそれをやれやれというのじゃなく、こういうような機関において、自分で責任を持って送検し、なおかつ事実も明確にして、やっているはずでありますから、遠慮しないでばしばしとそれを早く取り上げさせて、解決しない以上は、こういうようなことに対しては、適当なる手段、措置も講ぜられるのであるということを強く申し入れて、今言ったように、早く解決するようにこれを望みたいと思います。その点は、覚悟はよろしゅうございますか。 〔齋藤(邦)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
大島靖
52
○大島
政府委員
先刻申し上げました通り、早急に解決するように関係機関と努力いたしたいと思います。
五島虎雄
53
○五島
委員
それから、職安が争議中であるから求人の申し込みは受けつけない、そういう中立的態度をとられたことはりっぱだと私は思う。ところが現実に、さいぜん述べましたように、二百名の人々が、種々雑多な人が仕事もないのに窓ガラスをふいたり、封筒を書いたりしておる、こういうような
実情
です。子供を引っぱってきて、臨時託児所ができた、こういうような状態が正常な
雇用
関係とみなされるかどうか。それは理屈をつければ、通勤区域以内では臨時雇いですから直接募集はできるのです。そうすると、こういうことが争議中に認められるということは、争議破りという行為を如実に会社がとっておるというように思われても仕方がない。しかも人事部長という労務担当の責任者か、これは組合対策だと言っておる。組合対策だということはどういうところからくるかというと、労働基準法の三十六条、俗に三六協定といわれるものがある。そこで、この組合は第一組合、第二組合、第三組合とか分かれておって、第二組合、第三組合はこの三六協定で居残りをやろうとしておる。ところが第一組合が過半数に達しておる。そこで、それの対策をするために、居残りをさせなければならぬというために、目標は三百名だそうでありますが、二百名も一ぺんに雇って、そうして雇った者が過半数に達する。そうすると、この三六協定というものは過半数に達しさえすれば時間外勤務ができる。そうすると、こういうような紛争がなぜ起きたかということは、いろいろ問題の把握もあるでしょうけれども、現実に、労組法上の権利を行使して、紛争状態が起きておる、そのときにあたって、こういうような
雇用
関係を結ぶということは、非常に異常なことであろうと思うのです。こういうことがもしも許されるものならば、中小零細
企業
の
一般
の組織状況はどうかというと、会社の圧力によって組合もできない状態である。それは
労働者
の立場が非常に弱いからです。しかも一生懸命苦労に苦労して
労働者
が組合を作っても、あらゆる画策をもって組合を分裂状態に陥し入れているということが
一般
の状況じゃないかということは
労政
局の方もよく知っておられるだろうと思う。口に出して言わぬだけだ。そうすると
一般
的に、端的に、百名の
従業員
がおって、五十五名が第一組合員である、そして第二組合に四十五名入った。それで、第一組合が三六協定を拒否してストに入る。こういうような場合には、もう十一名雇いさえすれば、今度は過半数に達するわけです。だから、こういうような岩手銀行のような
事態
を無為に許しておくとするならば、これは
一般
の労働基準法三十六条の協定というものは、
労働者
の意思も何も無視されることになって、三六協定というものは名ばかりになってしまう。こういうように考えるわけです。従って、質の悪いところの経営者が常時その手を使ってくる場合は、労働省はそれに何も関与しないで、ただ単に、職安局は争議の中立性を守ったのだと雷っておればそれでいいし、現実に労働組合の団結権も団体交渉権も、それによっておじゃんになってしまうという状況が現われはしないか。しかも、こういうようなことは労組法上の権別を行使している組合のために対抗されるといって、そうして三十六条協定というものの法意というものを見失われるならば、これは何だか引っぱってきた理屈になりますけれども、これは民法の九十条の公序良俗に反することじゃないか、こういうように思います。それは法の権利を使用者みずからが破ろうとする行為だから、公序良俗に反することになる。これは公の秩序、憲法二十八条の
労働者
の基本権、これを保障している憲法の法意にも反することじゃないか、こういうように思うわけですが、こういう問題について法的違反はありませんか。これは
労政
局でもいいし、職安局でもいいし、基準局でもいいですから、どちらでもいいですから、一つその見解をお述べ願いたい。
大島靖
54
○大島
政府委員
基準法三十六条の法解釈につきましては、事実のいかんによりまして非常にむずかしい解釈の問題を生ずることもあるのでありますが、本件につきまして、これが三十六条違反であるか合法であるかということよりも、私の最も関心を持ちますのは、今五島先生がおっしゃいましたような、こういった異常な状態がなぜ起きるかという点にむしろ関心を持ちたい。それが先ほど申しましたような、何と申しますか、近代的な労使感覚あるいは労務管理感覚、こういうものとの関連ではないかと思うのであります。先ほど申し上げましたように、昨年の暮れに当
委員会
で金融
業務
の重要性に関連いたしまして御指摘もありましたので、今申しましたように強く努力をいたしたいと思います。
五島虎雄
55
○五島
委員
そうすると、これが過半数になった場合には三六協定ができるという解釈であれば、もう労働組合の主張というものは何か力を失うということになるわけです。それで今大島局長が言われた気持はわかりますけれども、問題なのは会社側の立場なのです、三六協定を一体どう考えるか、超過勤務をどう考えるかということについての。そうしてこれは一度超過勤務を結んでしまったということです。私たちが調査に行く前です。それは、会社の重役も何もみな入れてしまって、そして第一組合よりも過半数であるから三六協定が結べるのだといって、時間外をやってしまった。それが労働基準法の違反なりとして第一組合から提訴された。幸い岩手県の労働基準
監督
署はこれを送致してしまっているから、われわれはほめて帰った。ところが、その違反をしているときの団体交渉の席上で頭取が重大なことを言っている。大体おれたちだけ労働基準法を守るということはばからしい、みんな労働基準法は守られていないじゃないか、よそが守っていないのにおれたちだけ労働基準法を守ることはあほらしいじゃないかと言って、団体交渉の席上でテープ・レコーダーにとられてしまった。それを聞いて
労働基準局
、
監督
署も怒ってしまったらしいのですけれども、こういうような概念で労務管理を行ない、こういうような概念で第一組合に対処するということは、
労働大臣
、それを取り巻く帷幄の人たちがいつも労使協調、労使の協力、明るい慣習を作らなければならないということを、岩手銀行の頭取みずから破っているのじゃないか、そういうのをいかに指導するかという問題が労働省の役割じゃないかと僕たちは思う。私が最初資料を求めたのは、こういう違反の
監督
の問題がどこにあるかということを調べたかったから資料として
提出
をお願いしたわけです。こういうようなことはびしびしやってしまわなければいかぬと思う。問題の本質が解決したならば、強権に基づいて罰することはあくまで本旨でないということは私たちもよくわかる。しかしながら、問題の
発展
が悪性の方向に
発展
してきていますから、私はここで特別に岩手銀行の問題を取り上げて質問しようとは思わなかったのだけれども、こういう問題が悪質に
発展
してくるならば、見のがすわけにはいかぬ。その頭取は岩手県の県庁の人事
委員
だったということです。そういうような県の枢機に、重要な役職におられる人々が、労働基準法を守っておったらばからしいじゃないかという、そういうような観念が現在の経営者の風潮であるとするならば、あの是正基準という方針そのもの、考え方そのものが、労働
監督
というものに手を抜いて、あまりにも恩情主義、納得主義だから、こういうような風潮を生んできやしなかったかというふうに思われるわけです。 そこで、この
法律
の問題としてもう一つ聞きますのは、この問題がどうして派生したかというと、さいぜんちょっと触れたように、会社が団体交渉を拒否していた。
福田
代議士は昨年末に、地銀連の思想はどうかということについて一部触れられたようです。ところが組合の思想を云々するべき問題ではない。組合と会社の労働協約の第一条に書いてある。私は読んだのですけれども、団体交渉にあたっては上部団体、すなわち地銀連それから県労評の
代表者
に委任することができる。この第一条を会社が破ってしまった。破ったから団体交渉ができないでおる。従って、私は今日こういう問題を一
地域
の問題として見のがすわけにはいかなくなってきたのです。その後の状況にかんがみて、こういうようにわれわれが行ってほんとうに穏やかに話をして、解決の場所を見つけなさい、こういうように解決しなさいというような強いことを言ってきたにもかかわらず、性質は悪質の方向に
発展
しているのならば、
委員長
、私は
理事
会を開いてもらって、会社側と組合側を当
委員会
に呼んでいろいろ開きただした方がいいんじゃないかと思う。それが
一般
的な一つの警鐘にもなるかもしれぬし、あるいはまた解決の手段をここで見つけることができるかもしれぬ。われわれは争議に介入しようというのでなく、労働基準法や労働組合法や、あるいは職業安定法の問題からいろいろ会社に問い合わせたいことがある。従って
理事
会を開かれて、この岩手銀行関係の関係者をここに呼ぶ、あるいは当
委員会
が衆議院の名をもってもう一度現地調査するなり、そういう方法を見出してもらうように
委員長
に要望します。よろしくお願いします。 今大島局長が言われましたように、いろいろ今までも努力されたでしょう。しかし労働の紛争には、国や県庁としても中立の態度を保持しなければなりませんから、なかなか介入するわけにいきませんでしょう。しかしながらあらゆる問題で外からよく指導、助言、こういうことはできると思う。組合は労働法上の権利を固持しようとしている。ところが会社がこういうように感情的になったということの一つの証左は、会社側と話をしたときに、あれは常務でしたか、その常務という人は第一代の
委員長
だったという、その人が、あのときは会社と組合の話が非常にうまくいったが、近ごろの組合はけしからぬ、なまいきになった、こういうことを労務担当の重役が言う。近ごろの組合はなまいきになったということで労務対策をやろうとしている、これで紛議の解決ができるということはむずかしいと思われる。従ってさいぜん大鵬局長が言われましたように、できるだけ外部からこの問題の解決に努力してもらいたいということを要望します。 ところでもう一度返って、
労政局長
はいろいろ調査の任にも当たるでしょうし、いろいろ指導
監督
もされるでしょうが、こういうような紛争状態における求人がいいと思われますか。
冨樫總一
56
○冨樫
政府委員
お話のように本件は昨年の八月に
賃金
問題が出まして、その本体の
賃金
問題そのものは解決しているのですが、解決の過程に組合が第二、第三とまぜて、あるいは
役員
が転勤を命ぜられたとか、あるいはショップ制の問題とかいったようなことが派生して参りました。われわれ
労政
の観点から見ますと、あまりにも
中小企業
的な問題のこじれ方をしてきている。従ってその間にお話のように、われわれとしては中立の立場をとりつつ解決努力しているのでありますが、双方とも何か感情的あるいは対抗的といったようなことで問題が混乱しているということじゃないかと思います。今月の初めにおきましても、ある機会に県の係長を呼びまして詳細聞いたのであります。さらに足りないところは追加でとっておりますが、ただいまの二百人かの方々の
雇用
という問題も、われわれの面から見ますれば、そのような異常な状態における異常な
雇用
というふうに見られることば否定いたしません。このことが一体基準法の三十六条を合法化するための偽装行為であるかどうかといったような点につきましては、基準局において慎重に判定していただかなければならぬのです。仰せのように問題の本体がやや、というよりは大いに混乱し、惑乱し、あるいは感情的になっているという状態を諦めまして、本体に返ってあるいは説得、あるいは認めるところは認める、悪かったことは悪いといったようなことで、
法律
的に不当労働行為問題も出ておるようでありますが、本体の解決というところに主眼を置きまして、法制的な問題は具体的妥当性のあるような処理をする。そのために、解決を急ぐという原則を持ちながら、あまりにあせって——きわめて遺憾でありますが、地労委のあっせんも一たん失敗したといったような格好にもなっておりますので、そこら辺の緩急を考慮しながら御趣旨の方向に持っていきたいというふうに考えております。
五島虎雄
57
○五島
委員
関連質問があるそうですから、私はこれでやめます。ただ、今まで要望したこと、それからわれわれが疑問に思うこと、そうしてそれが世間
一般
に通用されたら大へんであること、こういうような問題をよく勘案していただいて善処されたいと思います。ですからその後の状況を私たちはよく見守っておきたいと思います。その他の質問は次の機会に譲ります。
山本猛夫
58
○
山本委員長
福田
繁芳
君。
福田繁芳
59
○
福田
(繁)
委員
私は関連質問じゃなくして、
委員長
に議事進行ということで発言を許してもらいたい。従って
政府委員
の諸君は、同僚
委員
から後ほどまだ質問があるというから、私の発言中はたばこでものみながら御一服願いたい。 昨年の暮れに当
委員会
で私は、金融機関の労働争議は重大なる影響を及ぼす、いかに
政府
が
経済
成長を言葉に言い、人心安定を言っても、金融機関の労働争議をこのままにしておいたのではいかぬと思って、大蔵、労働両当局に質問をいたし、同時に勧告いたした。たまたまそれに関連して同僚議員からきょう非常に詳細な質問を伺ったのです。特に島本、五島両代議士は、私の質問に端を発して、遠路盛岡方面まで御視察下さった。これはおそらくわが党が、
委員会
がやらなければいかぬところを、
委員長
自身がなおざりにされたと見るか、御遠慮されたか、社会党の党の御方針に基づいて両君が厳密に御調査なさったことに対しては、同僚諸君に深く私は敬意を表します。そのときに大蔵、労働両当局がおっしゃったところでは、案外事はスムーズに妥結しつつありますので、近きうちに必ずこれは妥結いたします。こういう言葉を聞いたから、私はそれ以上の質問も追及も避け、また現地調査も御遠慮しておったわけなんです。しかるに今聞いてみますれば、意外にも職安法あるいは基準法をじゅうりんするような結果になっておる。実に残念しごくです。そこで私は
委員長
に申し上げるのだが、即刻
理事
会にかけて決定してもらいたい。その節申し上げましたように、あの当時は千葉銀行と岩手銀行とひざ元の東京信用金庫があったわけです。ことに東京信用金庫のごときは、大蔵省
監督
下の全国の信用金庫の中においても、二、三番を争うほどのりっぱな大きな信用金庫です。これが大蔵当局の言葉を裏切って今非常に争議が悪化しておる。私は始終あの山手方面を登院のつど通るのだが、五、六日前までは二、三店舗であったのが、今日全支店になっておる状態をまのあたり見てびっくりしておる。先ほどのお話のように、岩手銀行まで行って調査することもぜひともやりたいが、まずその前提としてひざ元の東京信用金庫の
実情
を調査する。これも岩手銀行のごとくに両
法律
をじゅうりんしておる傾向が多分にある。同時にまた、金融機関の労働争議の実態はどうであるかということを、わが
委員会
において各派の者を網羅して即刻現地調査するということを
委員長
に申し出、勧告をしておいて私の議事進行の発言を終わります。
山本猛夫
60
○
山本委員長
承っておきます。
福田繁芳
61
○
福田
(繁)
委員
承るだけではなくて、ぜひともこれは実行に移してもらいたい。もしあなたが岩手県の出身でなければ、むしろ岩手銀行の方にあの当時私は現地調査を要請するつもりであった。ただ承るところによるとあなたの選挙区であるので、われわれは渦中に入りたくないというので御遠慮していた。東京のひざ元ならば遠慮も要らないのだから、即刻やってもらいたい。
山本猛夫
62
○
山本委員長
大原亨
君。
大原亨
63
○
大原
委員
関連質問で通告しておったのですが、今の議事進行に関連いたしまして、現地調査、並びに本院に参考人を呼ぶ、こういう二つの問題が提起されておりますから私の質問は保留しておくのですが、基準局長の答弁も、
労政局長
の答弁も、事実ははっきりしておるのですが、きわめてあいまいです。その点を明確にしておかなければ争議は円満に解決できない。そういうことについて私はたくさん意見があるけれども、そういう一切の質問は保留いたしておきまして、そうして今両者から、あるいは与野党から提案されました方向に従って、一つ
理事
会において処置されることを要望いたしまして、関連質問は保留いたします。
山本猛夫
64
○
山本委員長
本日はこの程度にとどめ、次会は明後二日午前十時半より開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時七分散会