○井堀
委員 橋本参考人にはなはだ失礼なお尋ねをするようになるかもしれませんが、
日本のこういう
労使関係、ことに公益事業に対しましては、御案内かもしれませんが、労調法、
労働関係法という法律で、雇い主側、
経営者といいますか、そういうものに対してもきびしい義務を
要求しておられるのです。それから、もちろん
政府にも
要求しております。そういう公益事業に対してはいろいろ特段の配慮が払われた法律があるわけです。その中でもいっておるのでありますが
労働協約を結ぶことをこの法律は当事者に勧めておる。またそれを指導する機関もあるわけであります。ことに
労働省な
ども局を設けてその指導に当たっておるわけでありますし、また
病院関係には
厚生省という行政的な指導あるいは監督をする機関もあるわけでありますから、直接的には
労働省であるかもしれませんが、
厚生省も
政府としての規定がなされておるわけであります。詳しいことを申し上げられませんけれ
ども、その規定の中で、こういうところには
合理的な
労働協約を結んで、すなわち、今まで質問の中で明らかにされましたような問題は、お互いに正規の機関、すなわち
労使関係というものが話し合いをちゃんとしていくような場所をまず作る。それから内容についても十分話し合うということを前々からこの法律は規定しておるわけであります。その場合に、
病院の経営にも問題があることはたびたび言われておりますから、そこから改めていかなければならぬかもしれません。しかしそういうことを言っておる間に、善意の第三者である
国民、
患者は非常な迷惑を受けておるわけであります。
両方の言い分の中にも出ておるようでありますが、
組合の私
どもにお示し下さいました資料の中にも言語道断だと思われるようなものがございます。たとえば
病院ストで
組合側は四つばかりあげております。なぜ問題がこじれておるかという中に、先ほどの方も言っておりましたが、
ストに対するピケの問題で、そのピケがいいか悪いかについては私
ども問題があると思うのであります。しかしそのことは
組合側からいえば、
争議行為を推進していくためには、ピケを張るということは当然の主張になるかもしれません。また
病院側の方はそれに対する対抗策があったといたしましても、おのずから法治国でありますから、規定された範囲内のものしかやれないのでありましょうけれ
ども、しかし他の
ストライキと非常に事情が違いますのは、そのピケ・ラインにひっかかって、精神的にも、それから
患者といたしましては生命にも
関係するような場合がたまたまあるわけでありますから、そういう全く善意の第三者に重大な影響を与える行為となって現われるわけであります。でありますから、
労働組合の
団結権を主張する
立場あるいは罷業権を行使する
立場から言いますならば、ピケは合法的であったといたしましても、
患者の
立場にとりましては生命の問題でありまして、こういうところに私は公益事業のもとにおける紛争というものの非常に困難な
事態が発生する
一つの大きないい例だと思うのであります。でありますから、こういう
事態を発生しないようにまずすることを
労働関係調整法は強く規定しておるわけであります。その以前の問題もここには
一緒に論じられておりますが、私はどうしてもこういう問題を
解決するためには当事者同士の誠意と努力は言うまでもありません。しかしこの場合にはこういう
関係をずうっと探っていきますると、労調法にも言っておりますように、私は
政府にも重大な責任があると思う。それは
労働省あるいは
厚生省であるか、ともかく
政府にも責任があることは、労調法の第三条できびしく規定しておりますから、私
どもは
政府にもこのことを要請する所存であります。しかしその
前提はあくまで当事者の誠意と努力に期待しておることを私はこの機会に強調しておきたいと思うのであります。先ほど
橋本さんの御答弁を伺っておりますと、なるほど
病院協会というものがそういう直接の問題についてどれだけ強い発言ができるかについては私も疑問を持っておるのでありますが、きょうはせっかく
病院側でおいでになっておりますから、あなたを通じて当事者に訴えるいい機会だと思いますからお尋ねをしておるのであります。
それからさらに第五条、第四条には、それぞれこういう問題が発生した場合の措置を規定しておるわけであります。これは労調法八条には、公益事業として
医療機関が指定されております。これはもうごらんになったかと思いますけれ
ども、今までのお話を伺っておりますと、何か第三者のような軽いお気持で御答弁なさっておいでになるわけでありますが、あなた
自身は直接経営をなさっておいでにならなくても、
病院協会という
立場からいきましても、私はこういう問題に対してはもっと強い責任をおとりいただかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。それは私が考えるのじゃなくて、今申し上げました
労働関係調整法の中にそのことは厳に規定してある。特に労調法第二条の中で、さっきお答えいただきましたが、
労働協約の問題について、
組合側の方でも熱心に
要求されたようでありまして、相手側の
経営者側の方でのれんに腕押しだというような感じを私は今受けました。これではならぬのじゃないか、試みに読んでみますけれ
ども、第二条には「常に
労働関係」、
労使関係のことですが、「
労働関係の調整を図るための正規の機関の設置及びその
運営に関する事項を定めるやうに、」そうしてそれは
労働協約、こう書いてある。でありますから、私は
病院には
労働協約を、
労働組合ができると同時に
組合側も
要求されるでありましょう。
経営者の方は、
労働組合の
組織あるとなしにかかわらず、
組織が行なわれた場合には受けて立つ用意がなければならぬ。また
労働組合は、先ほどお話がありましたように
組織が
前提になるのでございましょうから、今日
労働者が
労働組合を持たないということは、これは確かに時代おくれでありますから、その
組織のために
労働組合が積極的な努力を今なさっている最中だというふうに伺っております。まだここまで手が届かぬというふうに伺えるのでありますが、私はぜひこの法律の精神を生かしてもらいたい。いやしくも
労働組合ができた以上は、この
労働協約によって
事態を最大限にやはり
解決していく。しかし
労使関係の
意見の調整というものはここだけではできないということはこの法律も予定しております。そうして第三条では、
政府がこの
関係を指導せよということ、指導するということを規定しておるわけであります。これは私
どもはあとで
労働省や
厚生省に強く警告を発する所存でありますが、その前に当事者の
関係というものが非常に重大だと思いまするので、お尋ねしてみたのですが、今のお答えで大体想像がつきます。こういうことは私はいけないのじゃないか、ぜひ
一つ橋本さんにはそれぞれの
病院の
経営者の当事者、責任者に対して、ぜひ協約のいいものを作られるように
一つ御指導いただきたい。それから
労働組合の方でも、ぜひ
一つここにあげられておるような問題は、私はおそらくそういう協約を結ばれれば全部解消できるものだと思うのであります。中には
経済要求な
どもありますが、これもお伺いすればいいのでありますが、時間の
関係で御迷惑だと思いますから省きますが、ぜひ
一つそういう点にお心をお使いいただくようにお願いを私の方はしながら、次のお尋ねを
一つしてみようと思うのであります。
それは、それ以前の問題がここに
一つ、
二つあるようでありますが、よい機会でありますから
一つ御両所にお尋ねしてみたいと思います。何か
組合の言っている言葉は、このまま読んでみますと、一は
経営者側に責任があるという見出しで、回答を出してもらえない。二番目には不法な圧迫が加えられている。三番目には暴力団を雇ってピケ破りをやり、傷害事件まで起こっている。四番目には右翼団体や警察官まで
経営者側の
立場に立って
労働組合を圧迫しておるというふうに書いてありますが、これなんかは言うまでもなく前時代的なできごとでありまして、これはそれぞれの事実があったからでありましょうけれ
ども、こういうことがあってはもちろんならぬのでありまして、
労働者の当然の権利というよりは、むしろこういう
病院などで
患者のために十分な奉仕をしていただく、すなわち公益事業としての
目的を達するためには、
労働者の人格、ことに
近代社会にありましては
組織的な人格がこれは基本的なものになっておるわけでありますから、
経営者側の方でもこういうような事柄は何かのはずみで起こったものとしか私
どもはとれないのであります。しかし事実があったということはまことに遺憾なことだと思うのであります。こういう点についても、
病院協会はそういうことをなさる機関じゃないかもしれませんが、しかし
病院という限りには、その建物でありますとか、
設備でありますとか、
医療器具、薬品、それに医師といったものと切り離すことのできない、あるいはそれ以上に重要な要素である
従業員との
関係がこのようなことでありましては、われわれは安心して
病院などというものにたよれないということになるわけであります。非常に意外に私
どもは思っておるわけであります。こういう前時代的な
労使関係なんというものはすみやかに解消をすべき事柄である。現に先ほど申しましたように、労調法第八条には、公益事業に対してはこれこれのことと、非常にきびしく規定してあるわけであります。ですからこういう点についてきょうはお尋ねするのが私
どもの役目でありましたけれ
ども、一々お尋ねすると大へん時間がかかりそうに思いましたから、端折って私の方から先に
意見を申し上げて、これに対する御両所の
見解を伺っておきまして、われわれもまた考えていきたい。