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1961-02-08 第38回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月八日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 山本 猛夫君    理事 大石 武一君 理事 永山 忠則君    理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君    理事 小林  進君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       加藤鐐五郎君    櫻内 義雄君       澁谷 直藏君    田口長治郎君       田中 正巳君    中山 マサ君       早川  崇君    福田 繁芳君       松山千惠子君    赤松  勇君       淺沼 享子君    大原  亨君       河野  正君    五島 虎雄君       島本 虎三君    田邊  誠君       中村 英男君    吉村 吉雄君       井堀 繁雄君    本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 古井 喜實君  出席政府委員         厚生政務次官  安藤  覺君         厚生事務官         (大臣官房官房         長)      高田 浩運君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  森本  潔君         厚生事務官         (年金局長)  小山進次郎君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局次長) 黒木 利克君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任の件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 山本猛夫

    山本委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑を許します。井村重雄君。
  3. 井村重雄

    井村委員 私は現在非常に問題になっておる医療費の問題をめぐり医療制度、また社会保険診療その他関連した社会福祉問題等について逐次お尋ねを申し上げたいと思います。  御存じ通り昨年の病院ストという問題から発足して、医療の問題が非常に国民関心を高めておるわけであります。また各種の新聞論説において、医療費の問題について非常な関心を払って論説を繰り返されておるのであります。従来ややもすればこの医療の問題というのはある程度専門的にわたるために、国民実情をよく知っていないという点があったのでありますが、今回いろいろなストというふうな問題で、国民はある程度今さら驚いたことであろう。われわれの従来の社会通念からすれば、白衣の天使とか言われた者がピケを張って実力行使をやる、あるいは知識人である医師会が全国的な実力行為をやるというふうなことは、ある程度憂うべき現象であり、またそれだけにこの問題が解明されずに今日まで積み重ねられた結果、もはやこれを根本的に解決せなきゃならぬという実情が迫ってきたんじゃないかと私は存じているわけであります。  厚生大臣新聞記者会見で、制限診療はやめるとか、あるいは中央医療協議会を改組するとかいうふうなことをよく言っておられるのでありまするが、さようにこの問題に取っ組むだけの真意を持っておられるとすれば非常にけっこうなことでありますけれども、ただときたま、医師会実力行使をやるというふうなことは、国民を敵にしてそういうことは何の足しにもならぬじゃないか、かえって医者収入が減って損じゃないか、無意味だというふうに非常にこれを嘲笑的に扱っておられる場面もあるのですが、こういう点も、私はこういう際であるからお慎みを願いたいと心からお願いを申し上げるわけであります。  そこで、現在の厚生行政というものについてまずお尋ねしたいのでありますが、その本質とかその任務ということについて、大臣はまずどういう厚生行政というものの本貫的な考え方を持っておられるかをお尋ね申し上げます。
  4. 古井喜實

    古井国務大臣 昨今医療問題が全国民の大きな関心事になってきた事実は、医療問題がある意、味ではこれから一歩改善、前進する段階にきたことを示しておるような気もするのであります。問題が起こっておりますことは、これはお互いに処理に苦労をしなきゃならぬ点もありますけれども、しかしぶつかった機会ごとにやはり改善したり、これを先に進めていくための広い場面考えていくには、その意味ではよいことだとも思うのであります。何とかこういう際に、今お話しのように、たまってきておりました問題を本格的に一つ一つでも取り組んでいって解決していきたいものだというような気がしておるのであります。  厚生行政全般につきましては、だいぶんこのほどまでに全体が広がりもし進んでもきまして、そろそろ体系づけを考えるような段階じゃないかと思いますので、全体的な立場から体系考えたり、さらに計画的に将来の進展を考えたり、そういうことをしなければならぬ時期になったように思いますので、これを一生懸命知恵をしぼって考えてみたいと思っておるところであります。
  5. 井村重雄

    井村委員 私は、今日の日本社会保険というものの発展過程は、現在のいずれの国でもそうでありましょうが、最初はプーア・ロー、救貧政策というふうな考え方で発展的な道をたどってきたと思うのです。ところが今日ではそうではなくて、これは一つ社会保障——当然国民の、疾病から守っていただくという一つの権利だというふうな考え方であるならば、私は、もはや今日はプーア・ロー的な考え方保険行政を推し進める時期ではないのじゃないかと思う。そうした場合において、私ども今日のこの社会保険状況を見ていると、多少厚生当局が戦後怠慢になったのじゃないか。一つ一つ、ただその事態その事態に現われた社会政策的なものを付録的にくっつけていった。御存じ通り、こういうことをこの場所で繰り返す必要はないのですけれども社会保険の数を見ましても非常にたくさんある。もう共済組合のごときは諸官庁それぞれ持っておる。こういうふうな非常に大きな乱立した社会保険に、何らの一貫性統一性もない。自然発生的に要求されたものがそのつどそのつど加えられていって、だんだんに官僚的な事務が非常に多くなってきた。ことに日本保険行政は、今なお貧民救済的な、あるいは慈恵的なにおいが非常に強い。これが大体担当医師にある程度の犠牲をしいておるのじゃないかというにおいが非常にするわけであります。また医師自体もそういうことを強くはだに感ずるのじゃないかと私は思うのであります。この間において、現在の厚生当局としてはどういう考えを持っておられるか。やはりそういう考え方かどうか、あるいは近代国家として社会保障としてこれをお互いにうまく運営しなければならぬというお考えなのか、もう一度御答弁をお願い申し上げます。
  6. 古井喜實

    古井国務大臣 お話しのように、今までできるものから一つずつこしらえ上げていったような格好でありまして、今の社会保険にいたしましても一つ一つと、できるものからやっていったような格好でありまして、全体をながめて一つ体系から出ておるという経過でもなかったように思うのであります。振り返って全部をながめてみると、乱雑にもなっておるし不均衡にもなっておるし、このままでいいのかどうか、これは大きに問題だと思うのであります。この点は全体としてながめまして、たとえば組合健保、これはあの通り状況である。政府管掌になっているとだいぶ弱いものになってくる。日雇いになってくるとひどい。国保は赤字すれすれくらいな立場でやっとこさやっておるという状況である。給付内容もそれぞれによって違うのはあの通りでありまして、組合健保になれば、本人十割のみならず、家族も十割給付をやっておるところが大部分になっておるというようなわけであります。国保になると、本人家族もせいぜい五割、こういうことでありまして、ふだん収入の少ない、弱い立場の人は、医療保障においてもまた劣った扱いしか受けておらぬ、こういうことで、全体として均衡がとれてない点があるように思うのであります。この問題は、事柄が簡単じゃありませんから、たやすく一日二日でどうこうというわけにはいきませんけれども、ほうっておくわけにはいかぬ問題だと私思うのであります。少しじっくり腰を落ちつけて、本格的にこれに取り組んでいくべきものだと私も強く思っておるところであります。
  7. 井村重雄

    井村委員 大体実情はよく御承知しておられるようでありますが、私は、くどくど申すようでありますけれども、この委員会を通じて社会保険実態というものを、われわればかりでなしに国民もよく知っていただきたいと思うのであります。今申したように、健康保険には、組合管掌政府管掌船員保険日雇い共済組合国保生活保護公費治療、もう月末になった場合に、何十種類の請求書、伝票、付箋が出る。いかに複雑な事務を負わされておるか。医師家族総あげで月末に請求書を書いておるこの状況をよく一つ見てもらいたい。診療以外に、この事務の複雑ということがいかほど圧迫しているかという点も見てもらいたい。  その上、私がこの社会保険を通じて言いたいことは、いわゆる治療指針とか療養指導とか、あるいは審査、あるいは監査等々、いろいろ監督を受ける面が非常に多い。私は、医療というものの本質は、人間疾病感を訴えたときに、自由に医者を訪問して、自由な診療を受けて、満足して帰るということが一番であるし、医者としてもまた、ほんとうに人間的な誇りを持った診療を与えるということが本質であろうと思う。そこに治療指針療養指導、あるいは査定を受けるのではないか、監査を受けるのじゃないかということで戦々きょうきょうとし、軌道をばずれはすまいか、査定を受けはすまいかというふうな、おそるべき——まるで後にスパイがおってこれを監視しておるというふうな状況国民医療を与えるということは、私は現在の日本医療一つの悲劇だと思うんです。こういう点に一つ根本を置いていただきたいということが私の願うところでありまして、もはや診療を受けに行く被保険者も、また保険者であるあなた方も、医者はもとより、これはどうにかせねばならないという段階に来ておることだけは明らかである。私は、この実態をよく把握して努力していただきたいことを重ねてお願い申し上げます。  次に、保険者団体と、医療担当しておる医師団体とはどういう関係であるべきだというふうに大臣解釈しておられますか。
  8. 古井喜實

    古井国務大臣 この保険者というものと医療担当する医師との関係あるいは保険者と被保険者との関係、今日の保険制度では保険者というものが、いわば実際の中心的のような立場に立っているのが今日の現状のように思うのであります。これにはいろいろ問題があると思うのであります。やはりこの医療の中心問題は、一つには病気にかかってなおそうという患者と、それをなおす責任立場に立っているお医者さんであると思うのであります。この患者とお医者さんという二つのものが、何といってもこれが医療の中心的な立場の人だと思うのであります。それが保険という形式、ワクにかけられますために、ほかの方がむしろ中心のような格好になっているうらみがあるのではないかと思うのであります。社会保険でありますから、それは全部取っ払ってしまうわけにはいきますまいけれども、どうもそこのところは度が過ぎているようなうらみがあると私も思っておるのであります。一方医療は一日一日進歩する。医学医術が進歩する。日進月歩でありますが、その進む医学医術の恩恵を保険を通しては十分国民が受けることができないような欠陥もあるような気もするのであります。またお医者さんが十分腕をふるって病気をなおすことが問題なんですから、十分腕をふるってなおしてもらわなければならぬ。ふるえるのかふるえないのか、そこらにもやはり割り切れぬ問題が確かにあると思うのであります。保険ということではありながら、しかしそういう一面の欠陥、弱点の方をもう少し改善していくようなことができないものか、これは一つの大きな問題だと思います。たとえば制限診療が撤廃できないとか、差額徴収の問題がどうかとか、あるいはさらに進んで現物給付という方式を改めて、治療内容は一切お医者さんにまかせて、医療費に対して、公で、ある保証をするというようなことはどうかとか、そういう根本的なところを、右にせよ左にせよ、一ぺん衆知を尽くして結論を出さなければならぬ問題が残っていると思う。そこをやってみると、さっき言ったような問題に対する回答もおのずから出てくるのではないか、その辺を根本的に一ぺん詰めてみたいものだという気持が、これも私実は頭から抜け切らぬ問題でありまして、取り組んでみたいものだと思っているところであります。
  9. 井村重雄

    井村委員 医療の経費とか経済問題をめぐって、保険者団体医療担当している医師団体とがある程度対立するということはあり得ることなんだが、ただこの二つ団体があまりにも利益団体として対立していくということは非常に悲しいことだと思うのです。私ども解釈では、保険者団体もまた医者団体も、これはせんじ詰めれば、国民に最高の医療をサービスするという責任団体であって、経費問題とか経済問題とかということは第二であるべきだと思う。そこで厚生省も強力な一つ保険者でありますが、やはり厚生省当局としては、保険者という立場をある程度捨てて、中立的な立場に立ってこの両者をコントロールしていくということが厚生行政の第一義ではないか。ややもすれば今日までのこの医療問題をめぐる紛争は、言い過ぎであるかもしれぬけれども厚生省当局では、保険者団体の方に過分に力をかして、かえって紛争の中に巻き込まれているというふうなきらいはないかどうか、この点は、大臣はよくこの問題を見きわめていただきたい。人間というものは、好ききらいはあります。もし今日この二つ団体を、新聞紙上にあるがごとく圧力団体と見るならば、大衆背景にしている保険者団体にくみすべきか、あるいは少数の人間の入っておる医師会というものを、ある程度嫌悪的に見るべきかということはおのずから違いがあるでしょうけれども、やはり厚生当局としては、厳に中立的な態度を守ってよく両者を説得して、お互いにこの問題を解決していかなければならぬ。どうかすると、あなた方が医療費をあまり上げないという功をあせる結果、いわゆる大衆背景とした保険者団体をみずから背中におんぶして医師会に食いついて、かかっていくということが、この問題を大きくしていく結果ではないか。私は、重ねては申しませんが、この点の中立性を守っていただきたいと思うのであります。  そこで次に、今朝の新聞もその通りでありますが、中央社会保険医療協議会を改組したいというふうな御意見も出ておって、踏み切られたようでありますが、第一にお尋ねしたいことは、今回一〇%の値上げ予算を獲得されたけれども、まだその配分に関しては決定しておらない。できれば中央社会保険医療協議会にかけてこれをやりたい、その答申によっては、自分としてはこだわらないというふうに、中央社会保険医療協議会答申に全くげたを預けられたような形でありますが、一体中央社会保険医療協議会というものは、そういう権威があるのか、その答申がなければ今後絶対医療費に関する予算厚生大臣が組む権限がないのか、また執行する権限もないのか、まだこうした改組の方針について一つ意見を承りたいと思います。
  10. 古井喜實

    古井国務大臣 この医療費引き上げの幅をどう考えたらよいか、またその場合にその方法論方式をどういうふうにしたらよいかという問題は、これは井村さんも百も御承知のように、とにもかくにも今の法律建前としては、中央社会保険医療協議会というものに諮問をしなければならぬことになっておるのであります。意見を聞かなければならぬことになっておるのであります。これは、やはり役所の独断というようなことはよくないのだろうと思うのであります。  そこで今回の医療費引き上げにつきましても、できることならば、この予算を組みます前にこの医療協議会を開きまして、そして意見を問うて、それをもとにして、幅にしても、方法にしても、予算を組む順序をとるのが一番よかったと思うのであります。そうできないものかと思いまして、医療協議会を再開しなければなりませんから、医師会の方が参加しておりませんので、参加してもらって、開いてできないものかと思って、去年の暮れ以来極力努力はしてみたわけであります。私は、やはり医師会関係の人が加わらない医療協議会を開くことは好まないのであります。よくないと思っておるのであります。なるほど数からいいますと、医師会が加わらぬでも、法律の上では会議を開く定足数は満たせるわけでありますけれども、しかしこの医療の問題について一番大きな役割を持っておる医師会が参加しない場所でもって開くというのはおもしろくない、そこで極力入ってもらいたい、しかしこの予算の前にはそこまでの運びに至りませんので、あらかじめ協議会に諮った上で予算を組むということは事実おいてできなかったのであります。そこで、それならばその順序を踏めないから医療費引き上げ予算を見送るか。予算を作る時期もあることでありますし、見送るか、こういうふうに考えますと、協議会にかけてという順序を踏めないから延ばすということになりますと、一年見送らなければならぬ。しかしこれはどう考えても、引き上げの問題を一年見送るということは適当でない。何とかこの場合の予算に組んでおきたい。そういたしますと、予算を掲げた後ではありますけれども医療協議会に諮る問題は、そのあと協議会に諮って、そこの意見を十分たたかなければならぬ。そういう順序考えるほかはないというのが今度の場合の考え結論があったのであります。そこで、事前にかけることもできないでおりますし、やはり法律もかけろ、こういうことになっているし、事前にも事後にもかけないでいいというわけにはいきませんし、法の建前からいってもいきませんし、それから一方またそういうことが起こりますと、関係団体の方で、医療協議会にも諮らぬで全部厚生省だけできめてしまった、これではなかなか承知するわけのものではありません。そこでどうしてもこれは医療協議会に諮って、その意見も十分聞いて、尊重して今後を処理しなければならぬと思うので、この問題が残っているわけであります。  そこで何とか医療協議会を開きたいと思いますけれども、いろいろの状況考えますと、もうすでに過去一年半以上のあの実績に見られるように、原因や責任がどこにあるかということは別にいたしまして、あの医療協議会というのが簡単に動き得ない実情にあるのであります。   〔委員長退席柳谷委員長代理着席〕 何とかこれを一つ動ける機構考えてみなければならぬのではないか。そうしてその関係の方々も、その場においお互い自分考え方を主張し、論じ合い、そうして合理的な結論を出す、そういう共通の場を、ここでやはり寝ているものを起こさなければならぬと思うのであります。その意味で、従来のものでは動かないという、実績がもうその通りでありますから、考え直してみて、関係者の方が快く上ってこられる土俵にこれを作り直し、そこで意見を十分尽くして、そして結論を出すということにしたいと思いますので、この場合の問題としては、やはりあの共通の場といいますか土俵と申しますか、これを作り直す問題を一ぺん考えるべきではないか、それ以外に適切な方法が私には考えられぬのであります。またここで、このたびは何とかかんとか、そうしないで乗り切るにいたしましても、将来もう値上げの問題の起こるたびにきょうと同じことを繰り返すにきまっておるのであります。動かない機構を置いておいて、そのままほっておくというのは、私はどうも無責任だと思うのであります。将来のためにも、やはりこの機会考えてみるのがいいのではないか、少しでも改善するために努力してみるのがいいのではないか、こういうふうに今回のためのみならず、将来のためにもそう思いますので、改善案を検討してみたい。それも役所で勝手に考えましたのでは、権威のある原案ができるかどうかわかりませんので、あらゆる関係の方がお入りになったり、学識経験の方が加わっておいでになったりする社会保障制度審議会で論じていただいて、公正ないい意見をわれわれにアドバイスしていただきたい、こういうことで、今のような態度をとったわけであります。
  11. 井村重雄

    井村委員 御意図はよく了解できますが、御存じのように、従来の中央社会保険医療協議会というものの、支払う側、支払われる側、中立というもののこの員数を見ますと、一番重要な役割を演じている医師発言権というものはほとんどない。こういうところから私は大きな対立を生んで、機能が麻痺してきたのではないかと思うのですから、今回この種のものを改組されるにあたっては、十分医師救済規定ということも考えていただかなければならぬ。こうした場合において、常に医師は正しい発言であっても、敗北者としてこの医療協議会から去らねばならぬというようなことは、一つよく考えて、公平妥当なる権威ある協議会を作っていただきたいと思うのであります。今回社会保障制度審議会へ申し込まれたという大臣の決意に対しては、今後われわれは見て参りたいと思うのであります。御存じ通り今年度の予算を見ましても、話は余談でありますけれども農林省予算というものは非常に莫大な額に達しておる。農林省は必死に農民を保護するという建前をとっておる。先般の石田労働大臣の話を見ましても、三池炭鉱離職者大臣みずからが責任をもってこれを何したいということを言っておられる。厚生省はもう少しやはり中立的な立場で、あたたかく医師を見守ってやるという愛情が私はなければならぬと思うのです。救済される、より場がないとすれば、やはりそういうような問題が起きるのです。私はこれは医師側建前にばかり立って言っているのではないのです。国民医療という大きな建前から申し上げておるのですから、どうぞ、この点をよろしくお願い申し上げます。
  12. 大石武一

    大石委員 井村さんの発言の途中でありますが、ちょっと今大臣の御発言でわからない点がありますので、医療協議会についての関連質問をいたしたいと思います。  事あらためてお聞きするようでありますが、中央社会保険医療協満会構成というのはどうなっているのでございましょうか。大臣の御解釈について今お伺いしているのですから、大臣のお考えを承りたいと思います。
  13. 古井喜實

    古井国務大臣 それでは正確でなかったらあとで補ってもらうことにいたしまして、大体今の医療協議会は御承知のように四者構成と称するものだそうでありまして、一方では保険者、それからもう一つは被保険者事業主、それからもう一つ医療担当者、いま一つ公益代表委員、この四者構成という考え方でできておりますので、それが現状だろうと思っております。
  14. 大石武一

    大石委員 次にその協議会権限はどういうことでございましょうか。
  15. 古井喜實

    古井国務大臣 これも正確でなかったら補ってもらいますけれども一つには診療報酬をきめるについての諮問を受けて審議する問題、それから社会保険診療のということになりますか、これは指導監督大綱という二つ任務があるようでありまして、ちょっと言い方が正確かどうか知りませんが、二つ任務だと思っております。
  16. 大石武一

    大石委員 そうすると目的は、権限報酬諮問に対する審議と、それから診療指導監督大綱をやるのだ、こういうことでございますが、その報酬諮問に対する審議というものは、おそらく審議の結果答申が出ると思いますが、その答申は、厚生省に決定的なものであるか、それとも要するに、ただ参考として聞くだけなんですか、そこのところはどうですか。
  17. 古井喜實

    古井国務大臣 つまり法律的に申しますと、必ず諮問はしなければならぬ、意見は聞かなければならぬ、その出た意見に拘束されるかどうかということになると、法律的にはその通りにしばられるということにはなっていないと思います。しかし諮問をして意見を問うのでありますから、これを無視するという態度諮問をするという制度の建前からいって一つの問題だと思いますが、法的の点とそれから政治的と申しますか、この点の両面があろうかと思うのであります。
  18. 大石武一

    大石委員 それから診療指導監督大綱ということでありますが、診療ということは、これは患者を見たり診察したりいろいろな治療をしたりすることだと思うのでありますが、そのような医療行為が中心だと思いますが、そういうことに対する監督と申しますと、はたして保険者とか、被保険者とか、公益代表というものは十分な能力があるものでしょうか、どんなものでしょうか。ちょっともう一ぺんお聞きしたいと思います。
  19. 古井喜實

    古井国務大臣 これは大綱でありまして、つまりいわば方針的なものでありまして、それをもとにしての実際の指導とか監督とか、それはこの機構自体がやるのではないと思うのであります。大綱の点だけだろうと思うのであります。大綱をきめますときには、やはり社会保険立場から関係者の方、この関係者をどことどことが一番適当かどうかは、これはいろいろ議論があるかもしれぬと思いますけれども、いろいろの関係の人が加わって大綱はきめる。その関係の人というものの範囲は、見方はありましてもこれはやっぱり一つ考え方で、その考え方をとって今の制度ができているのだ、そういうふうに思うわけであります。
  20. 大石武一

    大石委員 ちょっと今の御答弁では具体的なことはよくわかりませんが、大綱ということは基本的なこと、憲法と違いますが、憲法のようなものをきめるのだろうと思うのです。その場合に、原案は一体だれが作るのか。厚生省がそれを提示して、それを相談して協議会でするのか、協議会そのもので大綱原案を作って、大綱をそこで諮るのか、一体どういう組織になっているのですか、そこのところは……。
  21. 古井喜實

    古井国務大臣 これは私は両方あると思うのであります。厚生省の方から具体案を示して、そうしてそれに対しての意見を問うということもできましょうし、それからまず原案などというものである影響を与えないで、協議会の方で問題、事柄だけ出して、それに対する原案というものは出さないで自由に論じてもらって、それを得た上で、厚生省の方で、これは諮問答申を得るのですから、最後的な態度をきめるということも、両方がこれはできるわけのものだろうと思います。建前上思うのであります。
  22. 大石武一

    大石委員 理屈を言うようですが、一体議題を出さないで、そうして勝手に結論だけ作って政府に何か答申するということはあるのですか、そういうことは……。
  23. 古井喜實

    古井国務大臣 それは大石さん、そういう場合もあるのじゃないかと思うのですよ。ある問題に対して回答案というものの原案を出して、それを論じてもらう場合も、問題だけ出して自由に論じてもらって、ある一つ意見をまとめて問題に対する回答を出してもらう、これは両方あってもいいのじゃないでしょうか。
  24. 大石武一

    大石委員 これは普通のわれわれの会合ならばそういうことはありますけれども、ちょっと公式な機関ではおかしいかと思いますが、これはどちらでもよい。ただ問題は政府で原案を出して、それを大綱をきめてもらうという場合に、おそらくはただ診療報酬を何ぼにしようとか、あるいはどの薬をどう使うとか、どういう手当をしていいとかいけないとかということは相当多いだろうと思います。そういうことがはたして保険者なり、被保険者なり、公益代表、つまり医学の専門家なら別ですが、そういう人にはたしてその政府の諮問が妥当であるかどうかということが、一体判断できますかどうか。もし判断できないというならば、おそらくはそこにおる医療担当代表の発言によって私は決定されると思いますが、そこのところ一体常識から推して、はたして全然専門知識のない者が、厚生省がいろいろな医学のことを諮問されたって、どういう答申を出すのですか、そこのところをちょっとお聞きしたい。
  25. 古井喜實

    古井国務大臣 純然たる医療内容というふうな問題になりますと、これはほんとうの専門家の意見が一番重要なものだろうと思うのです。ところが今の診療報酬などにいたしましても、それに対して経費の負担とかというふうなものも関連してくるわけです。経済的な面なども関連してくる、そういう問題もあるのです。そうすれば、そういう面もあるならば、負担する側というか、支払い側というか、そういうものも、診療内容のことはわからぬにしても、そういう面が関連しておるならば、その面において関与する、意見を述べるということも全然成り立たないことじゃないだろうと私は思うのでありますが、その点はそういう面もあるのですからそう思うのです。
  26. 大石武一

    大石委員 今の答弁ですと、これっぽっちの権限ですべてのものをカバーしているようなお話でありますけれども、それもおかしいけれども、きょうはこれだけにしておきます。その場合に、厚生省のお役人がその保険者か何かの一員として協議会構成会の構成メンバーに入っておりませんか、どうでしょうか。
  27. 古井喜實

    古井国務大臣 政府管掌の例の健康保険保険者というふうな立場厚生省の方にありますので、その意味で今日は保険者というような立場委員に、いい悪いというのは別の問題ですが、今日の現状はそういう立場で入っておるのであります。
  28. 大石武一

    大石委員 そしてその構成メンバーの一人か何人か知らぬけれども、入っている場合に、発言しますか、しませんか。そういう点、おかしいけれども、決議の中に入りますか、入りませんか。
  29. 古井喜實

    古井国務大臣 これは入っている以上は発言もするでしょうし、決議に加わるということに、入っている以上はなるだろうと思います。
  30. 大石武一

    大石委員 そうすると、この医療協議会というものは、厚生省だけの独断の考えではいけないから、衆知を集めて正しい判断をしようという考えでその協議会は作られたと思うのです。そこの中に提案者の政府が入って発言をして決定に加わるということは、正しい世論を聞くという目的にはちょっとはずれると私は思うのですが、その点についてはどうお考えになるか。それでよろしいと思うかどうか、やはり直した方がいいと考えるか、そこのところをお聞きしたい。
  31. 古井喜實

    古井国務大臣 これは大きい一問題だと私も思います。ただ今日はどうなっておるかということならば、さっき申した通りになっております。
  32. 大石武一

    大石委員 それから協議会は四者構成ですが、そのうちの一つが入らない場合、たとえば保険者団体が入らない場合とか、あるいは公益代表が入らない場合とか、医療担当者が入らないとかいう場合には、四分の一ですから、おそらく決定は過半数できまると思いますが、その場合は、数では過半数できめ得るけれども、四者構成というふうに法律で基礎づけられるのですから、そのうちの一つが入らないときは、十分な決定の権限なり能力があるのですか。
  33. 古井喜實

    古井国務大臣 これはさっき申しましたところにも関連をいたしますけれども法律の上では必要な数さえとれば開けないわけではありますまいけれども、しかし事柄として、四者構成になっておるのに一つが全然欠けてしまっておる、こういうことである場合に開くことがよいことかどうか、これは大きい問題だと思うのであります。そう思いますから、今度の場合も数は足りましても、医師会の方からの代表の方が欠けておるから開くのはよくない、こういうことで、それじゃ開けないといってきておるようなことであります。
  34. 大石武一

    大石委員 大臣の御答弁では、法律では四者構成になっておるけれども、三者だけの構成でも十分権限はあるのだ、効力が発揮できるという御意見でありますが、保険局長の御意見はどうでしょうか。
  35. 森本潔

    ○森本政府委員 法律の規定を見ますと、四者のうちの一者を欠いた場合には協議会構成ができないとか、そういう意味の規定はないわけでございます。しかしながら、これの運営といたしましては、四者をもって構成した立法趣旨からいたしますと、これは適当じゃないという解釈でございます。
  36. 大石武一

    大石委員 そうすると、去年厚生大臣は就任当初に、カナマイシンという薬品の使用を中央社会保険医療協議会に諮って、これを保険医療に取り入れられました。非常にけっこうなことだと思いますが、その場合には法律的には異議はないからというので、三者構成だけでそれを決定なすったわけですな。
  37. 古井喜實

    古井国務大臣 カナマイシンのときの問題は、私が決定しましたことは、とにかくもうあの医療協議会が寝てしまって、機能を失っておる。動けるものであるのにかけないというならいけまいけれども、動けないことになってしまっておるものにかけないのは、かけ得ないのじゃないか。それで片方はだれしも異論のない問題でもありますし、事柄にはだれも異論はないし、一刻も早くといって時期を待っておる者もたくさんありますし、何もマイナス面はなし、一方動けないという手続上の問題がある。動けるのにかけないのなら悪いかもしれませんけれども、動けないものにかけないのは仕方がないじゃないか。まあちょっと乱暴といえば乱暴だったかもしれませんけれども、それだから医療協議会はとにかくとして、一月から使おうじゃないか、これを私としてはきめてしまったのでありまして、その他の点は私は十分わからぬのであります。大ざっぱな話であります。
  38. 大石武一

    大石委員 私は厚生大臣がそのような処置をとられたことを非常にほめておるのです。ヒューマニズムはすべてのつまらない法律に優先すると思いますから、けっこうでありますけれども厚生大臣はそのとき医療協議会にかけたのですか、かけないのですか、そこのところを一言だけ聞きたい。
  39. 森本潔

    ○森本政府委員 カナマイシンの採用につきましては、諮問をいたしております。医療協議会諮問をいたしました。
  40. 大石武一

    大石委員 諮問をしたというのは、つまりあなたは、こんなものは諮りたくないのだけれども、形だけは諮問しようということでしたわけなんですな。
  41. 森本潔

    ○森本政府委員 先ほども申しましたように、四者構成の中の一を欠く場合には、諮問するということは非常に不適当な場合だと思います。前回の場合におきましては、四者構成の中で療養担当者の側でございますが、これが一人もおらぬという場合ではなくて、たしか六名のうち二名はおられたと思うのでございますが、数字が若干違っておるかもしれませんが、そういうことで、完全に六人のうち六人とも欠いておるという状態とはやや異なっておる。しかし必ずしも正しいとは思いません。しかし四者のうち一者を完全に欠いておるという状態とはやや違っておるということでございます。なお法律を読みますと、厚生大臣治療指針を定めようとするときには諮問しなければならぬという規定でございますので、やはりそういう読み方をする方が適当であろうと考えます。
  42. 大石武一

    大石委員 そうすると、非常に重要な問題に関しては、たとい不適当であってもなんでも、やっぱり法律はかける立場になっておるのだからかけたのだ、そういうことにしてやっていきたいという御意見のようでありますが、けっこうであります。  もう一つ聞きたいのは、さっき大臣は何べんも言われしまたが、三十六年度の予算については医療協議会に相談をしたいと思ったが、構成がうまくないからできなかった。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 といって、ほっておけば三十六年度は値上げできない。やむを得ずやったという話でありますが、これは中央医療協議会には一体厚生医療予算を相談しなければならないのでしょうか。そうなってくると社会保障制度審議会との差別はどうなってくるでしょう。
  43. 古井喜實

    古井国務大臣 予算を相談するのじゃありませんが、診療報酬を改正することの是非、また改正するとすればどういう内容かということを諮問するのでありまして、その意見をもとにして予算予算で組む、こういうことでありまして、諮問するというのはそういうことなんであります。
  44. 井村重雄

    井村委員 それでは次にお尋ねしますが、現在の社会保険診療というものはきわめて完全なものと考えておられるかどうか。また現在の診療費そのものはきわめて妥当な額だと考えておられますか、どうですか。
  45. 古井喜實

    古井国務大臣 今の社会保険診療内容が完全無欠か、これはそうは思いません。改善すべき点が多々あると思うのであります。医療費が十分か不十分か、無理があるかないか、この点は無理があると思うのであります。問題はその無理の程度なんであります。そこで無理の程度でありますので、その点についてはいろんな算定方式から、無理な程度をはじき出してみることはできると思うのであります。私どもは手の届く材料で、この程度の無理があるということを推算してはじき出してみたのが、とにかくあの総医療費に対して一〇%引き上げということであったのであります。もちろん別の方法や角度からしてはじき出すこともできると思うのであります。(「そんなものはどんぶりや、つかみじゃないか」と呼ぶ者あり)あの一〇%というのは何もどんぶりや、つかみではないのでありまして、それで昭和二十七年の、御案内のように三月の実態調査がありますね。(「そんな古いものを出すと池田さんに怒られるよ」と呼ぶ者あり)医業の実態調査は、これ以上の新しいものはよくても悪くてもないのですから、これをもとにして、そしてこれに対してその後の賃金だとか物価だとかの生計費の上昇率だとか、あるいは従業員数あるいは患者数の変化とか、そういうことを加味して、そうして今日の診療所における収入支出というものを測定するとどういうふうに不足が起こるか、これで出たのがならして一〇%、こういうことになったのであります。それ以外に私どもには資料もありませんし、またそういう根拠のもとにこの数字を出しまして、予算を組んだわけであります。しかしこれはまた別の根拠から必要の幅を算定する道もあるいはあるかもしれません。そういうことは医療協議会を開きさえすれば、もっとこういう算定方式があるのじゃないか、そうすれば幅が一〇%じゃなくて、一五%あるいは二〇%必要だということになるのじゃないかということになるかもしれませんけれども、そこは医療協議会を開くことができなかったので、そこでわれわれの手における資料をもとにして積算をして出したものを予算に組んだ、こういうことになるわけであります。医療協議会でまた審議してもらいたいと思うわけもそこにあるのであります。
  46. 井村重雄

    井村委員 基礎計算の統計は昭和二十七年のものだと言われるが、その二十七年の統計の基礎資料に非常に誤りがあると思うのです。戦後非常にゆがめられているものを基礎計算に出して、これを今日に援用していくというところに私は間違いがあると思うのです。それから日本医師会が四原則の申し入れをしたのはかなり前で、これは中山厚生大臣の時代でありますから、相当事務当局なりが用意できるはずなのである。それを一つも用意をしないで、近い基礎がないから二十七年にたよったということは、つかみ計算と言われても私は仕方がないと思うのです。ただ残念なことは、日本医師会が申し入れたときに、日本医師会は八百数十億で事足れりという計算であるにもかかわらず、厚生当局は三円値上げすれば千三百四十億が国庫負担で必要だとぴんと答えておられるんです。こういうところにおそらく考え違いがありはせぬか。なぜもう少しこれらを歩み寄って、ほんとうに話し合って、お前の数字が間違ってないか、こちらの数字が間違ってないかどうか。まず日本医師会が八百二十九億で足りると言うが、千二百四十億要るという膨大な数字をぱちっと出して医師会の頭をたたくというふうな考え方。その程度の数字を出されるならば、なぜ当初予算で大蔵省へ診療費に関して請求しなかったか。何もしていないんです。大蔵省の一次査定のときに診療費の値上げに対する何らの請求をしていない。一次査定が済んでからようやく積み上げて持っていった。それならばなぜ最初から数字で争ったか。私はここでどちらがいいかどうかは数字で争いません。一つのものの考え方に誤りがあると思うのです。今厚生大臣は一〇%の値上がりと言われたが、おそらく健康保険では昨年の十月からのベース・アップでことしの六月までいけば、べース・アップによる自然増収の相当の保険料が含み予算としてあるはずです。ただ困るのは国民健康保険が困る。しかも、かつてあなた方はこういうことをやられている。保険経済が赤字だから千分の六十を千分の六十五にされた。二年余にして百八十億、二百億近くの黒字が出てきたわけです。それで取り過ぎたというので、また千分の六十三に下げられている。今回の公務員その他民間給与ベースの引き上げで相当のなにが出てきている。そういうことをもう少し考えて、なぜ大蔵省へ対して第一次予算を、たといつかみであろうと、これを請求するだけの親切がなかったか。数字で片一方をたたいておいて、そういう一次査定のときはゼロだというふうな考え方に、私はあなた方の下親切なあれがあるのではないか。これはあえて大臣に申し上げているのではないのです。こういう点を私は考えてほしい。しかもたしか保険局長の言であったと思うが、目下作業中だけれども診療所と病院とはある程度の差額をつけなければならぬというようなことを突如として発表されておられる。私は、こういうふうなことの是非はとにかくとして、その真意を解しかねるものがあると思うのです。現在政府管掌の法定積立金をめぐる剰余金がいかほどありますか、組合管掌の剰余金が現在どれほどありますか、これもあわせてお聞きいたしたいと思います。
  47. 森本潔

    ○森本政府委員 いろいろ御指摘がございまして、ちょっとこの機会医療費の改定の事務的なことを申し上げておきます。実は今お話がございましたように、昨年九月に中山大臣から医療費改定の作業を進めるようにという命令を受けたのでございますが、当時私たちの予想といたしまして、あるいは資料等から考えますと、第一使える資料は何だろうかということでありますが、これは先ほど大臣から申し上げましたように、結局昭和二十七年三月の医業実態調査、これを基礎にする以外には方法がなかろうということになりました。そしてこれをどういうように修正をして使うかという問題でございますが、この方法論についてもいろいろ問題がございますが、結局これをいろいろ修正をしてやるにしても、ともかく四、五カ月はかかるだろう、九月から始めまして、今になればことしでございますが、一月の終わりまでかかるだろうという見込みで実はスタートしたわけでございます。そうして一生懸命、実は係員等も徹夜をして、病人が出るような作業をさせまして、今日に及んだわけであります。作業をなまけておるとか、怠っておるとか、そういう事態は毛頭ありません。鋭意やらしたのでございます。ことに情勢上、昭和三十六年度の予算一つ組みたいということで、さらに一月ばかりのスピード・アップをやったわけでございます。それが、初めて作業の数字が出ます時期というのが、年を越しまして、はっきり覚えておりませんが、一月の五日か六日か、あのころに大体の数字がまとまった、こういう状況でございますので、その辺の事情を御了承願いたいと思います。  それから、この数字について医師会の方で一律三円単価を値上げすれば、数字は不正確かもしれませんが、八百億の医療費値上げになるという数字が出まして、私もこれは別に発表する気持はございませんが、白書から、一律に三円値上げすればどういうことになるだろうということで一応試算いたしてみますと、結局大ざっぱな見方をしますと、昭和三十六年度におきますところの医療費総額が約四千億でございます。これを一律に、おっしゃる通り文字通り一律に三割上げますと、これは今の四千億の三割でありますので、三四の千二百億円上がるということになるわけでございます。一応上げる方法はまた別でございますが、ほんとうの文字通り一律三円値上げということになれば、そういうことになります。あるいはその上げる方法につきましても、薬価を除くとか、衛生材を除くとかいろいろありしょうが、文字通り一律三円ならこういうことでございますという意味で出したわけであります。別に他意があったわけでも何でもございません。  それから、その次に保険料の伸びとか、いろいろな伸びがあって、予算の組み方もそう無理がないんじゃないかという問題でございます。大体最近におきますところの保険料の増収の伸びでございますが、例年の例によりますと、四、五%の伸びでございます。それに対しまして、医療費の伸びが、たとえば政府管掌を例にとりますと、四%程度の伸びでありまして、大体パラレルに参っております。日雇いでございますとか、あるいは国保に参りますと、その保険料の伸びに比べて医療費の伸びが非常に多いという実情でございまして、保険料の伸びも、こういう時世でございますから悪くはございませんが、医療費の伸びの方が今でもやはり大きいというような状況でございますので、その辺の事情も御了承願いたいと思います。  それから積立金の話が出ましたが、これは政府管掌健康保険におきましては、昭和三十五年度末の見込みが二百十五億の見込みでございます。これは大体政府管掌の支払い額の二月半分くらいになるんじゃないかと思うのでございます。それから組合管掌の方もございますが、これが法定準備金として持っておりますのが、大体百六十四億と考えております。なおこれは間違いがございましたらあとで訂正さしていただきますが、百六十四億じゃなかったかと存じております。
  48. 井村重雄

    井村委員 組合管掌の剰余金がかなり莫大なもので、直接医療費の支払いの面よりはいろいろな面へ投資されておるということを聞き及んでおるのでありまして、私はそういう百六十四億や二百億の剰余金ではないと存じております。これは数千億ありはしないかという考えを持っておりますが、ここにやはり将来の健康保険運営の一つの盲点があると存ずるから、これは正確に政府管掌の剰余金——法定積立金、これはやむを得ませんよ。それから共済組合等に関する法定積立金及びその他の自然増収による剰余金等を一つ書類をもって御回答をいただきたいと存じます。  それから、よく厚生省当局が、医者収入が戦後十年の間に非常に伸びておるんじゃないかと言うのでありますが、これは支払い基金を根拠にして言われたことであるのか、また実態調査に基づいて言われたのであるか、この点を一つお答えいただきたいと思います。
  49. 森本潔

    ○森本政府委員 これは二つの見方で考えられると思います。一つは、一番大ざっぱな見方でございますが、支払い基金その他国保の連合会を通じて払う額というものが大体つかめます。基金を通じて支払いますので、その額が大体わかります。それに対しまして、現在の医療機関の数でございますとか、あるいは医師の数とか、これで割りますと、大体の大ざっぱな見当が出る。そういう見方をしますと、やはりここ五、六年の間に、経費、純収入は別でありますが、総収入としては相当上がっておるという見方が一つできるのでございます。  それからなお今回、先ほど申しました昭和三十五年の実態調査を基礎にして医療費の算定をしたわけでありますが、その際に収入の見積もりを推定してみましたが、やはりその面から見ましても、昭和三十三年あるいはその前後に比べますと、相当の収入が予想されるわけであります。
  50. 井村重雄

    井村委員 これは非常に重要な問題で、医師が非常な搾取行為をやっているというふうな印象を社会に与えるということは非常にまずいことでありまして、なるほど医師収入が、あなた方の目から見れば倍になったとか、あるいは一・五倍になったというふうにとれますけれども、戦後十年の間に、社会保険の被保険者が非常に急速に伸びて、全国民のほとんどが、支払い基金なりあるいは国保連合会を通じて支払いがなされておるから、いわゆる戦前、戦後直後の医師収入と比べれば非常に多いのだという点を明瞭にしておいてもらいたい。  いま一つ、第二の点は、これは非常に一部分の統計でありますけれども、昭和三十五年では、公的病院及び法人組織の病院の収入が、社会保険国保を通じて大体四八%となっておる。基金その他を通じて、支払いは非常に大きいけれども、国立病院、大学病院、その他国保病院、いろいろな公立病院で、これがすぐ歳入の面へ返ってくるのです。国の病院であれば、基金から支払った病院の収入は、即国の歳入になるのです。これが大体四八・六%。地域的にへんぴなところは三〇%くらいの程度でありますが、これが公的診療機関である。だから、単に支払い基金の支払い額をつかみにして、医師収入が戦後数倍になっておるから非常に純利益があるだろうという見方は、よく考えていただかなければならぬ。こういうふうな点の数字の発表についも、私は十分慎重な態度をとってもらわないと、医師は依然として困った階級からの搾取階級であるというふうな印象を与えるということは、私は非常に困るという点を御注意申し上げておきます。  さてそこで、医療費の、先ほどの一〇%が妥当か三円が妥当かということについては、私はあえてこだわりません。医療費値上げというのはなかなかむずかしい問題でありますが、今日常識的に御判断をいただきたいことは、医療費値上げは、即そのまま医者のまるもうけだというふうな印象を与えてはならぬということであります。病院ストの起きたゆえんは、やはり今日の医療従業員等が、民間のその他のいんしん産業あるいは公務員との収入ベースに非常に大きな開きがあるというところに病院ストが起きた原因があることを考えれば、これが即医者のまるもうけだというふうな考え方は、私は十分考えていただきたいと思うのであります。と同時に、もう一つ医療費値上げというものは、単なる経済行為のみならず、私は学問に対する再投資だと思う。けさの新聞を見れば、御存じ通り、英国でも近代医療設備をやるために、あの完璧な保障制度をやはり一部国民の負担にしなければならぬというふうな問題が新聞紙上に報ぜられておる。英国の二年前、三年前にやった社会保障のあの近代設備をもってしてさえも、今日時代おくれだから医療制度を進歩させなければならぬ、医療内容を向上させなければならぬ、国民がこれに対する再投資をするのだ。国家全体の保険医療株式会社という名前があるならば、その進歩のために、犠牲は犠牲だけれども、われわれは幾分これに増資の肩持ちをしなければならぬというふうな考え方もこの際必要であると思う。私どもは学問の進歩を忘れてはならない。あなた方は単に経済的に医者が三円高い、一円高い、五十銭で負けろというふうなことについて——それは単に診療部門に払うのだけれども、この診療の発展の裏に、基礎医学に従事している学究あるいは将来ある生徒がどれほど勉強しているか。その学問に対するある程度の国家全体の投資だという考えを、私はこの際幾分思い起こしてほしいのです。医師会としても、納得がいき、合理的なものであるならば、決してそういう無理押しをして患者から搾取するというふうな非時代的な考えは持っていないと思うのです。お互いにそこに親切な合理的な話し合いと納得がないからやはりこういう問題が起きるのです。だからその点も私はよく考えてもらいたいのです。  いま一つの重要な点は、現在の社会保険診療というのは決して社会保障制度ではない。これは強硬なる官僚統制です。私は特に国民保険について申しますが、戦時中軍の圧迫で、農村の国民健康保険単価八銭で契約されました、その観念がいまだにこの保険を貫いておる。たとえばわれわれが一剤のみを投じた場合において、その内服は二・九点ではありませんか。それが二剤をやった場合には二・三点です。ということは、二剤をやること、すでにそれは医療手段ではないのだ、これはぜいたく診療だという観点で縛っておる。こういう点も考えなければならぬ。たとえば今日入院料は四二・六点、四百二十六円です。医者が朝晩診察して薬を与えて、看護婦が大小便をとり、洗たくをしてやり、電話を聞いてやり、娯楽設備をいろいろした。冬のときには朝晩湯たんぽを入れ、暖房設備をしてやって、どうです。ここの表にありますが、入院一日が一番高いところで六〇・三点、六百円です。今日冷や飯を握ったような弁当を持っていく中学生の修学旅行の一泊の宿泊料が六百円です。こういうことで医療をやれるかどうか。これで医者は金をとっておるとかいうふうな考え方一つ変えてやってほしいと私は思う。しかも今日地方の自治体の病院は、都道府県では一二・六%の赤字を出している。市町村立病院は二七%の赤字を出して一般財源を食っているのです。こういうことを見のがして、単に民間医師の要求する診療費が意外に不当であるとかいうことは、私は十分考えてほしいと思うのです。こういうふうに病院ストが繰り返されると、ほんとうに日本医療体制は乱れるのですから、十分注意していただきたいと思います。  さらに国民健康保険について一言申し上げたい。国民健康保険は現在、制度自体が非常に無理であります。ということは、日銭をかせげる階級を全部他の保険に連れていって、農村ではもはや母子家庭とかあるいはわずか三反歩しか持たない百姓とか老人のみがおるとかいうふうなものだけが被保険者に残されておる。今日、日雇い労働者といえば非常に貧しいようですけれども、農村では日雇いが一番裕福な階級であるということさえもいわれておる。これは二重加入ということを法律で全部禁止された結果、全部零細者のみが残ったのですから、国民健康保険というものは無理です。これは社会保障の一環として大幅に、ほとんど国庫負担をしてやらなければならない。今日世帯主だけ結核と精神病を七割国庫負担にしましたけれども国保を重圧するものは長期の結核と精神病であります。これは全世帯に及ぼすべきものだと私は考えます。このことをお考え願いたいと思います。  もう一つ、看護婦の養成機関について何かお考えがありますか。今日民間、公的病院を問わず看護婦が非常に不足しておりまして、日赤あるいは国立病院等では養成機関を持っておりますけれども、民間の看護婦養成機関について厚生省は十分に考えないと、行き詰まる時期が来ると思いますので、その点についてのお考えを承りたいと思います。
  51. 古井喜實

    古井国務大臣 いろいろな問題に触れてお尋ねになりまして、特に最後に国保の問題がありましたが、さっきのお話のあったような、実際片方に保険の名におい組合管掌のようないろいろな寮ができたり家族まで十割給付をやったりしておるというところもあるし、一方では国保のように平素の収入も少なければ、医療もまた低い五割給付で、しかもそれも負担がたまらないというような、セクションが対立しておるというのはいかにも割り切れぬように思うのであります。やはりこれは全体を見直すべき時期に来たと思います。これは初め申し上げましたこれからの根本問題の一つであると思います。ただ国の方で出す方だけ出して、片一方を余裕があり過ぎてもほっておくということではわれわれの責任も尽くせないので、合理的に全体を考えていくものは考えてもらう、こういうことに行くべきものだと思いますので、これは大いに考えていかなければならない大事な点であると思います。  看護婦の養成機関の問題は、今までもずいぶんそちこちからも御意見を伺いますが、今日の現状については私は十分判断できませんけれども、整っていない。民間の養成機関についてもいろいろ問題があります。やりたいとおっしゃっておるところもあるが、なかなかできないというようなことがあるようであります。今日の実情また実際に臨んでおる態度事務当局の方から申し上げたいと思います。
  52. 黒木利克

    ○黒木説明員 看護婦の需給計画について数字的に申し上げますと、昭和三十五年度現在で医療法に基づきましてどれくらいの看護婦が要るかという計算をいたしますと十六万四千五百九十九人であります。ところが現在就業しておる、看護婦とか看護人とか准看護婦とか准看護人の総数は全国で十五万九千八十五人であります。従って三十五年度現在で必要数に対しては九六・七%であります。ただしこれは看護婦が四、准看護婦四、その他准看護人が二というような比率で計算いたしますとこうなります。しかもこれは全国的な数字でありまして、地域的には非常に過不足が多いのでございます。そこで今後のバランスをどうするかというので、昭和四十一年までのいろいろ計画をいたしておりますが、大体現在看護婦の養成施設が二百十二あります。これを昭和四十一年までに二百七十四にふやす。それから准看護婦の養成施設が五百六十六であります。ところが毎年の卒業生が一万三千人余りございます。そこで現在の段階では准看護婦が非常に足りなくて、この不足数で申しますと、約三〇%くらい足りない。そこで准看の養成を急ぐわけでございますが、しかしこのままの体制で三十九年になりますと、今度は准看が余ってくる。正看と准看とがフィフティ・フィフティというようなことになります。そういうことで昭和四十一年までの計算をいたしておりますが、ただ四十一年以後になりまして、今度は准看の数が非常に多くなるというような問題も起こりまして、再検討しなくちゃならぬ問題もあると思いますが、大体今のような計画でございます。
  53. 井村重雄

    井村委員 大体今のところ看護婦の補充が九六・何%であって、将来もうまくいくというのでありますが、数字の上ではそうなるかもしれませんけれども、現在基準看護に示しておる一類看護、二類看護というような、こういう数字を押しつけられて病院監視をやられても、決してその人を得ないのであります。しかもことしのような、中学卒業生をあらゆる面の産業で奪い合っているような状況では、とうてい養成はできないでしょう。やはりわれわれが看護婦に対する将来の待遇、身分の保障というようなことを考えてやらねばならぬと思っておるのでありますが、厚生省の方ではどうか看護婦の養成という問題について、いま一応実地についた計画をやっていただきたいと思うのであります。  次に、私は新しく一つ提案をするのでありますが、こういうことは成り立つか成り立たないかわかりませんけれども、私は戦時中から社会保険関係を研究しておったものでありますが、保険医の共済制度というものを考える時期ではないか。たとえばいろいろな職業は、もし不幸にして主人がなくなるとか、あるいは農業においては働き手がなくなっても、どうにか婦女子でやっていけるというけれども医師に関する場合には、担当医師が死んだ場合においては、家族は明日から生活に困る。また年いった老後の保障がないというようなところにやはり医師としての不安がある。そこで、たとえば私がその当時折衝した八銭の問題のときには、こういう八銭という安い医療ではやれない、医者の実入りは一点について七銭にしてもらって、残りの一銭とそれから政府の方においてもう一銭めんどうを見て、一点について二銭くらい積み立てて将来の保険医の共済制度にしたらどうか。もし今日の国民感情で保険料の単価を上げるということが、医者というものはブルジョア階級であるという観念がなおとれていないときに、国民感情を刺激するというならば、医者の老後と、医者が学問をしてきた、また社会保険に貢献したことに報いるというような考え方から、何ほどかのものを一点単価にして積み立てて、共済制度あるいは退職金制度を設けていくというような考え方が、この際考慮されないかどうか。そうすれば上げた単価即これが明日からの医者収入じゃないというような観念もあるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  54. 古井喜實

    古井国務大臣 保険医の老後の問題についての共済制度はどうかという点でありますが、これは実は率直な話が私自身きょうまで十分考えておらないのでありまして、それで事務当局の方ではだんだん研究していることもあるようでありますが、大きに考えてみるべき問題だと思うのであります。公的な医療機関に勤めている人は、それはそれなりの共済制度があるのでありましょう。民間の開業医の方、これは確かに研究問題だと思いますので、よく研究さしていただきたいと思います。
  55. 山本猛夫

    山本委員長 井村君にお願いいたしますが、厚生大臣の都合がありますので、結論をお急ぎいただきたい。
  56. 井村重雄

    井村委員 行かれてもけっこうです。  私は最後に社会福祉問題について一、二簡単にお問いしたいのですが、社会福祉の施設に従事しておる者は、御存じのように現員現給で、収容者の措置費という名前によって給与が与えられております。昨年ベースが少し上がったのでありますけれども、公営のものと民営のものとの間に非常に大きな待遇の差がある。今日ともすると養老院あたりでは、私営の養老院は、養老年金というものは一部実施されても非常に数が少ない。そこで非常に皮肉なことには、お互いに給料を確保するためにスカウトをして定員を満たすというふうなことさえ行なっておるのでありまして、こういう点についても一つ御研究を願いたい。  それから今日養老院その他救護施設等は非常に建物が老朽しておるのであります。これを改築する場合には国庫が二分の一の補助、県が四分の一の補助、残り二分の一——半分の半分ですが、自己負担しなければならぬ。営利事業を営んでおらないで、養老院等でどうして地元負担というものができますか。これは今まで有力者から御寄付を仰いでおるけれども、今日建物改装等にはたいてい鉄筋とかあるいはブロック建築等でやるのでありますが、たとえば五百万円の改装工事をやると半額の二百五十万が国、二百五十万円の半額が県、残り半額は地元負担、自己負担である。こういうものには耐え得ない。そこで今度福祉事業団というものができるのでありますが、こういう点も一つ御考慮をいただきたいと思います。待遇の改善等も考えていただきたい。こういう数字は申し上げなくても、非常に大きな開きがある。増俸などというものは幾ら年数を重ねても余地がない。収容者の措置費が職員の給料になる。そういうことをもう少しよく考えてもらいたい。  もう一つは民間の保育所の保母であります。これは非常に問題になっておりまして、これもやはり待遇の問題でありますが、考えていただきたい。もう一つ目を通していただきたいことは、民間の寺とかそういうところでやっておる保育所は残念ながら衛生設備が完備しておらない。よく子供の赤痢やトラホーム患者を出しております。宗教団体がこういう保育所をやってくれることはけっこうでありますが、そういう医療施設については十分な指導をお願いしたい。この二点のお答えをいただきます。
  57. 古井喜實

    古井国務大臣 社会福祉施設に勤めておる人の待遇の問題でありますが、これは大へん待遇が悪いということが実情でありますので、今年度の補正で一般のベースがアップしたときに、一一・九という同じような引き上げをする方針をとったのでありますけれども、土台が安いのですからそのもとを直すために今度の予算でまた七・五%の引き上げをやろう、こういうことも企てておるわけでありまして、いっときにはいきませんけれども、そういう方向で努力してきておるところであります。  それから養老院などの建物を設ける場合の経費の負担の問題であります。お話の辺もあろうかと思います。福祉事業団もそういう方面に活用される考えでありますので、お含み願いたいと思います。  それから保育所のことは、これも十分にいっておりませんので、従事しておる人の待遇の問題はさっき申し上げた通りでありますが、今度少しでも改善したいと考えておる点は、措置費もあまり十分でありませんが、今度もう少し改善してみようということで、まるで大きに変わったというほどにはいきませんが、漸進的ではありますけれども改善の道を歩いていく努力をしておるときでありますので、今後もやりたいと思いますから御了承願いたいと思います。
  58. 井村重雄

    井村委員 これで私の質問を終わりたいと存じますが、私が先ほどから終始一貫して御要望申し上げておることは、やはり国民を愛する親切な政治をやってもらいたいということであります。どうか医療の問題、社会保険診療でも、先ほど申しましたように、ほとんど医者というものは悪いことをするもの、患者というものは野放しにしておけばぜいたく診療を希望するもの、わがままを言うものというふうな二つの根本の建前で、今日の社会保険診療というものは非常に罰則を伴うた、きびしい監視制度である。一点、半点といえどもおろそかにしない。経過録には、もしも注射があればその注射をした理由まで詳しく経過録に書かなければこれをやらない。査定するということでも、常に査定する。監視だけが罰則ではないのです。査定ということにおいても監視しておる。この官僚統制という戦前、戦時中のにおいというものを払拭するように、私は真に国民を愛するという意味医療制度を確立してほしい。単に医者の金が安いとか、医者収入が少ないというふうな、こういう小さな問題としてこの問題を私は見てもらいたくないと思うのです。聞くところによれば、大臣は池田総理に非常に信任されておる閣僚の一人だと聞いておるのです。ここに私は、社会保障制度というものの根本精神は国民を愛する政治だという考えを持って——この保険診療というものが、かつて医師の自殺を出したいかにきびしきものであるか。常に人を信用しない、罰則を伴うものであるかという点に根本的に——中央医療協議会の改組、保険診療制度の改正、また保険の統合ということに十分私は考慮を払ってほしいのであります。しかもあなた方ごらんになられたかどうか知りませんが、ここに二月号の週刊新潮があります。ここに北大の中谷宇吉郎教授が批判をしておるのであります。やはりいろいろ世間には正しい見方があるのであります。しかし私の聞くところによると、この論文発表に対して、何かしら厚生省としては不愉快な意見を漏らされたように聞いておるのです。あなた方の都合のいいようなことばかりの記事を出して、都合の悪い記事には耳をおおうというがごとき態度であってはならぬ。私はこの発表に対して抗議を申し込んだ人たちがおられるとは、そんな非常識なことをされた方がおられるとは思いませんけれども、もし正しい言論、こういう学者の意見に対して、これを抑圧するがごときことがあったら、これは私は大へんな問題だと思うのです。国民意見の聞くべきものは聞く、愛をもってやってもらいたいということを最後に申し上げて私の質問を終わります。
  59. 森本潔

    ○森本政府委員 先ほど御質問がございました数字、一分間ほどでございますから申し上げます。健康保険組合の積立金の状況でございます。昭和三十四年度末の決算で、法定準備金、これは診療報酬の支払いに充てる準備金でございますが、これが百四十六億、百六十四億と申し上げたのは間違いでございまして、百四十六億であります。それから別途積立金、これは福祉施設、休養施設等の特定の目的のために、建設の目的のために積み立てたものでありますがこれは百四十一億、それからその他の不動産、動産の財産でございますが、時価百七十四億というような一応の数字になっております。
  60. 山本猛夫

    山本委員長 滝井義高君。
  61. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣が午後に社会保障制度審議会に出られるそうですから、一時までやるそうです。それで切りが悪くなるかと思いますけれども、少し突っ込んで質問をしたいと思うのです。  まず大局論ですが、昨年十一月二十日に選挙が終わりまして、十二月七日に池田内閣が組閣をされて、第二次池田内閣が発足をしたわけです。で、いよいよ三十六年度のこの予算というものは、いわば国の顔を表わしておるわけです。別な言葉で言えば池田さんの顔です。われわれは、四十過ぎたら一つ自分の顔に責任を持ちなさいという言葉でいわれておりますが、それと同じです。やはり一国の予算を組むからには、池田さんはその顔である予算に対して責任を持たなければならぬ。一面、この池田さんの予算で表わす顔は、池田さんだけの顔ではない。それは下村さんの顔も少しはあるのだ。池田、下村の顔なんだということがいわれておりますが、厚生行政は、これは今政党政治ですから、自由民主党が選挙に公約をしたそのままの姿が出てこなければならぬと思うのです。それは代表する古井さんの顔でなければならぬ。そこには古井さんの魂が、この自由民主党の政党政治として古井さんの顔に魂が躍動してきておらなければならぬ予算だと思うのです。で、池田さんが顔として約束をしたものは、少なくともことしの予算では三つの柱を立てますということを明らかに選挙で公約をいたしました。自由民主党の代議士の出されておる選挙公約を、私ひまなときちょっと見てみました。そっくりそのままやはり書いておるのです。今度の選挙では三つの大きなかなえの柱を立てた、それは公共投資と減税と社会保障をやる、この三つのどれが短くてもどれが長くてもだめなんだ、この三つに、いわばかなえを支える三本の均等の長さを持ち、均等の大きさの柱がなければならぬ、これが私の選挙公約でございます。と言って演説をしておる自由民主党の代議士が多い。また選挙公報にそう書いておる人も多いのです。今度の予算は、名実ともにその三本の柱が均等のものになったかどうかということです。少なくともその三本の柱の一つは、古井厚生大臣がになっておるわけです。まず一つあなたの顔が、池田さんの主張通りの額面通りに受け取れる顔になっているのかどうか、それをまずあなたの所見を私は聞かしておいていただきたいと思うのです。
  62. 古井喜實

    古井国務大臣 社会保障関係は、ただ一池田内閣の政策というだけのものではありません。これは近代政治の大きな共通の課題でありますから、ひとり池田内閣の問題ではないと思うのでありますが、とにかくこれを池田内閣が取り上げて一つの大きな柱にして、腰を入れていこうと言ったことは正しいと思っておるのであります。事実相当に内閣、党全体としてこの方面には今度の予算にあたっても力点を置いて力を入れたわけであります。ごらんになればまだ不十分だという見方もそれはあるだろうと思いますけれども、それから私どももまたこれで済んだものだとはむろん思っておりませんし、またこの際もうこれで十分だとばかりも思っておりませんけれども、とにもかくにもこの際いくところまでの努力はしてあるつもりでありますので、見方はありましょうけれども、この公約はともかく果たしておる、私はそういうふうに思っております。
  63. 滝井義高

    ○滝井委員 一兆九千五百二十七億の予算の中で、六百億以上ふえたのはなるほど三本の柱です。これは減税が六百二十八億で一三%ちょっとですね。社会保障が六百三十六億、一三%ちょっとです。公共事業が六百八十六億。しかしこれは公共事業費、災害の経費が九十三億去年に比べ削られてきておるのです。従ってこの九十三億というものが埋められた格好になりますから、九十三億を六百八十六億に足しますと、七百八十億になって、一六・六%程度になるのです。   〔委員長退席柳谷委員長代理着席〕  一兆円の道路の予算だったのですが、これは二兆一千億になった。日本の請負師の力ではとてもこの道路の予算は消化できないだろうという声が、最近は起こり始めているくらいなんです。それくらいに公共投資にはよけい力を入れたわけです。そして減税と社会保障というものが相対的に非常に低くなっている。それはどうして低くなっておるか。なるほど額面的に見ると、今まで池田さんもよく言われるように、六百三十六億なんて増加した例が過去にあるか、せいぜい百億か二百億じゃないか、それはその通りです。しかし逆に、一体過去に四千六百九十九億も使える金があったことがあるかということなんです。税の自然増が三千八百三十一億、減税が六百二十八億、第二次補正予算が二百億の三十七年以降に使うものをどけますと二百四十億、この三つを足してごらんなさい。四千六百九十九億です。この四千六百九十九億の財源の中から六百三十六億の社会保障が増加をして、その中であなたの答弁によれば二百八十億程度が自然増であるということです。そうすると三百億ちょっとです。四千六百億も使う金がある中で、三百億かそこらくらいのものが政策費にとれたからといって、これはいばる価値はない。だれかが言いましたよ、日本は経済が成長すれば貧乏も成長する。そうですよ。過去十五年間、日本の経済は絶えず九%か一〇%伸びてきましたが、伸びてきた中で一体日本の貧乏人の生活が、相対的に他のものと比較して同じようによくなっていったかというと、よくなっていっていない。これは生活保護その他であなた御存じ通り——私の担当生活保護ではありませんから、小林さん、年金は八木さん等が担当します。私は別の機会でこの問題を科学的に御質問したいと思うのですが、した例はないのです。そうしますと、あなたの三本の足で、公共事業の足は大根足のように大きくなったけれども、他の二つの足はカヤの柱みたいに小さく、竹の柱みたいに小さいのです。内容は別の機会にいろいろ質問しますが、具体的に証明できると思うのです。そういう予算ですが、しからばあなたは一体ことしの厚生省予算で、社会保障のどこに重点を置かれたのですか。古井さんが厚生大臣になって、自分としては古井厚生行政としてここに重点を置いたのだ、思いつきじゃなくて、これは古井厚生行政としての特徴的な重点なんだ、自分が池田さんに請われてやる重点はここにあるのだということがなければならぬ。私は歴代の厚生大臣にいつもこれを質問する。それを明確に答え切ったのは、失礼な言い分ですけれども参議院の堀木さんだけなんです。堀木さんは、私は皆保険の基礎的条件を整備する、これだけだとはっきり言った。そうしてそれに向かって全力を注いだ。あの堀木さんの答弁は、確かに一つの展開を示していったのです。それをここで答弁したことで展開を示したかどうか知らぬが、実際にしていった、それに向かって努力していった。一体あなたのことしの予算で重点的に今後おやりになるものは何なんですか。たくさんあります。厚生行政は、われわれが集団的に陳情したときに、あなたは何と問題は多く残されておるかと、自分大臣になって驚いたと悲鳴をあげられました。悲鳴というか、真実を語られました。その何と残されておる問題が多い厚生行政の中で、一体何をあなたが政治生命をかけ、自由民主党の輿望を代表しておやりになるのかということです。これを一つお聞きさしていただきたいと思うのです。そこから古井さんの顔がはっきり浮かんでくるだろうと思うのです。
  64. 古井喜實

    古井国務大臣 お話の最後のお尋ねの前に、社会保障の経費もしょぼしょぼしたものだというふうな意味のお話でありますけれども、これは見方もいろいろありましょうが、この予算全体の伸びから申しましても、前年度に比べて二四・四%だと思います。社会保障関係は三四・七五%伸びておるはずでありまして、予算全体の伸びよりぐっと社会保障の方が伸びておるのであります。  それからまた自然増だ、新規経費だというお話がありますが、自然増といえども、頭を去年出しておってことし実行段階に入っておるもの、これはゼロのように考え社会保障としては意味がないように考えることは大間違いであります。決して新規経費だけが社会保障で、あと関係ないものだというものじゃないのであります。そういうわけで、やはり六百三十六億という増加したものは、ことごとくこれは社会保障の拡充の経費であるのでありますからして、それは誤解のないように御了解を願っておきたいと思うのであります。  それからその次に、厚生行政に対して一体何を重点にお前はやろうとしておるのかというお話であります。この予算でどこに重点を置いたのだというお話であります。私は率直なところ、今までたまってきておる、いわばこじれてめんどうになってしまってたまっておる問題が厚生省にはたくさんありまして、まず第一期には積もり積もって未解決に残っておる問題を解決したい、そうしなければそれから次の前向きの厚生行政がやれない、こういうことを初めから申しておるのであります。ところが今までのむずかしい、厄介な懸案というものが、御承知のようになかなかたやすく解決できないのであります。今はいわば懸案的なものの解決、それも一時でなしに将来の基礎になるような解決をしようということで、正直なとこころ精一ぱいであります。今度の予算におきましても、やりたいこともたくさんありますが、とにかく懸案の解決ということが私の第一期の考え方でありまして、それが精一ぱいであります。これも十分によう解決しないでおるような状況であります。この予算は、ことに私も予算がある段階に行ったときに厚生省の仕事を引き受けたようなわけでありまして、ことしの予算にこれを根本から変えてということは、私としてはできない、できるいとまもなかったことは、御了承願っておきたいと思います。  これから先の問題には、夢と言われるかもしれぬけれども、描いておる問題はたくさんございます。医療保障の問題についても、さっき以来話にも出ましたような問題を解決したいという気がいたしております。医療保障だけが全部でもありません。そのほかにもありますし、それよりも、全体を体系的に考えて見直し、整備をし、計画的に前進さしていく、そのもとを立てて、来年の予算はその第一歩という意味のもので厚生予算を組みたいものだと私は思っております。つまり体系的な整備、計画的な前進、そこから前向きの仕事は始めなければならぬという考え方を持っておるところであります。大体のところは今のようなことであります。
  65. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣の目的とするところは、懸案事項の解決と全体的な体系的、計画的な前進を今後は仕事の上にやっていきたい、こういうことです。そうしますと、今池田内閣が経済政策の中心に置いておるものは所得倍増計画です。これは三十三年度を基準年度にして、目標を昭和四十五年に置いておるわけです。私は今から六、七年前から、鳩山内閣の新長期経済計画のときも指摘をしましたし、今度も池田内閣が所得倍増計画を作ろうというような動きを示したときから指摘をしてきた。あなたの前の中山さん、その前の大臣の時代にも指摘をした。渡邊さんのときにも、どの大臣も、私が指摘をするたびごとにお約束をいただくんです。今度はあなたは道理を通すということを主眼とされている大臣です。池田さんはうそを言わない大臣です。そのうそを言わないという総理大臣のもとにおいて、筋を通す大臣ですから、おそらくあなたに相当なものが受け継いでこられておると思いますが、一体所得倍増計画に見合う社会保障の長期計画というものはどういう形で現在できているか。厚生省でもおそらく構想がおできになっていると思います。これは昨年八月作るというお約束をいただいているのです。これは依然として自由民主党の内閣が続いて参っております。従って与党の自由民主党の内閣ですから、閣僚はかわってもその政策というものは受け継がれておらなければならぬと思うのです。一つきょうは社会保障の長期計画——今計画的に全体的、体系的に今後社会保障行政を前進させたい、厚生省の行政を前進させたいということを、私が質問する前にみずから言われたわけです。歴代の厚生大臣はもうそれの着手を命じたはずです。渡邊さんが直ちに命じたはずです。それはできているはずです。それを一つここで古井厚生大臣の口を通じて御披露願いたいと思います。というのは、そういうことは今大臣が言ったように、予算に重点を置くというわけにはいかなかった、予算というものは大体途中でできかかっておったから、こういう御発言もあったのです。一つ大臣の口を通じて所得倍増計画に見合う社会保障の長期計画、これはもう約束しているのですから、やっておるはずです。これを一つ構想を御発表願いたい。
  66. 古井喜實

    古井国務大臣 前に渡邊厚生大臣の時代に、長期計画を立てたい、こういうことで着手をされたようであります。しかし事柄が困難なせいでありますか、まだそれが確立されるというところまでには至っていないのであります。そこで私は、今のままに行き当たりばったりでやっておったのではもういかぬ段階にきたから、全体的に考えて、計画的に今後進めることにこれから取り組まなければならぬ、こういうふうに申しておるわけであります。で、経済の長期計画を立てます半面として、やはり社会保障の長期計画もあるべきだと思うのであります。これは密接な半面だと私は思うのであります。社会保障の長期計画も大事な一面だと思うのであります。と申しますのは、経済成長政策でこれが成果をあげて伸びていくというときに、それは伸びる方面はぐんぐん伸びましょう。そこで伸びない方面、伸びない産業とか伸びない地域とかをどうして伸ばすかというところに力が入れられるはずであります。そうしなければ格差の縮小ということはできないですから、伸びない方面に力を入れられることには当然なりましょうけれども、それにいたしましても、自由主義の経済の建前をとっております以上は、いかに努力をしましても、所得の格差というものがなくなってしまうはずはないのであります。そうすればその格差をどうして縮めるかといえば、伸びる方面の所得を伸びない方面に振りかえる、所得の振りかえということが必要になってくる。つまりこれが社会保障任務になってくると思うのであります。これによって所得の格差を縮めていくということをどうしてもしなければならぬのでありまして、格差を縮めたいために伸びる方を押えるということはいけないですから、伸びる方はぐんぐん伸ばす。伸びない方も一生懸命伸ばすが、そこに残る格差を縮めていくのは所得の振りかえである社会保障であるということになると思いますから、どうしてもこれは経済の成長政策と関連して、こっちの計画、考え方もなければならぬと思うのであります。そういうものはさっき申し上げたように、これからの問題でありまして、私は力も努力も足らぬわけでありましょうけれども、とにもかくにもさっき申し上げたように、昨今までたまっておる懸案の解決で汗をかいておるのであります。これから今の問題に本格的に取り組まなければ責任を果たせない、こういうふうに思っておるところであります。
  67. 滝井義高

    ○滝井委員 歴代の大臣いつもそうおっしゃったのです。でもずいぶん長い間われわれ野党、社会党はだまされ続けてきました。いつも厚生行政は行き当たりばったりなんです。そのときそのとき波のままにゆれて厚生行政の絵をかいておった。だからこういう状態になるのです。三本の柱を立てられても、あなた自身は、私が今指摘するまでもなく、結局今のことで白状したのですよ、ないのです。長期計画がないから波のままにしておって、予算面では少しふえたような格好をして、それで三本の柱の一つ、公共投資と対等の立場にいったのだということになる。しかしそれは今のあなたのお言葉ではっきりしてきた。いっていない。古井さんは国民所得の倍増計画全部をお読みになったと思います。御勉強家ですからお読みになったと思うのです。ぐずぐずしておると、これはきまってしまうのです。倍増計画はきまってしまう。この倍増計画の中には社会保障はどうなっていますか。古井さんがわからなければだれかわかっているはずです。池田内閣が金科玉条として出してきている所得倍増計画では社会保障はどうなっていますか、官房長。私は実は予算委員会でやるつもりでしたけれども、そこまで古井さんが言われるから、どうなっていますか。
  68. 高田浩運

    ○高田政府委員 その作成につきましては厚生省も一応参加をいたしまして、協力してできたものでございます。数字については現在手元に資料を持ち合わせておりませんので、後日お答えいたします。
  69. 滝井義高

    ○滝井委員 それならば、昭和四十五年の目標年次には一体どういうことになるのです。社会保障国民所得のどの程度の財政を確保することができるのですか。大臣、こういうところが抜けておるのです。これは私は鳩山内閣のときにもやったのですよ。鳩山内閣のときにも、新長期計画の中においてどの程度のものを占めるかということ、当時の厚生大臣できなかったじゃないですか。しかし堂々と国民所得の倍増計画の中には、厚生省の今振りかえ所得が幾らだということが書かれているのですよ。ワクをはめられてしまっておるのですよ。それはあなた方が計画を出さないからこういうことになる。よその経済企画庁あたりで勝手にワクをはめられちゃって、あとからそのワクを破ろうとしたってもうだめですよ。だから、これはこういうようにどうも厚生省が大事なポイントで不勉強だからだめです。懸案事項でうき身をやつしておって、一番大事な池田内閣の一枚看板である経済政策の中における社会保障をどうするのか、振りかえ所得をやるといのは再分配政策をどうするのかということです。経済政策と社会保障政策とを今後どういう形で日本は推し進めていこうというのか、その大事な観点に立つときに、それがまだわからぬ、懸案事項に忙殺されておってわからぬということでは、事態はどんどん進んでしまっている。厚生行政はおくれてしまっているじゃないですか。幾らなんです。
  70. 古井喜實

    古井国務大臣 それだから、今の社会保障自体の長期計画がないものには、全体の、ただ経済成長の割り振りでもってきまるから、長期計画が要るということになることはあなたのおっしゃる通りであって、このプロパーの基礎がないものには、幾らこの中に割り込むべきものか、どれだけを占めなければならぬかということは、基礎がないものにはただ割り振りになってしまうのであります。その基礎があるのかないのかといいますと、きょうまで社会保障の面としての長期計画が立っておりませんから、その基礎に基づいた所得の配分ということは、十分今日の計画に入り込むことはできないのであります。けれども、これはこの計画が立ちますれば、この全体の長期計画といものも、それをもとにして幾らでも理由のある限りは是正をすることもできるのでありますし、問題は、それでもう勝負がついてしまって動きがつかぬようにお考えになる必要は少しもない。基礎を作っていきさえすれば、それをもとにしていかようにでもこれはできるのです。悪いことじゃないのですから、よくする以上は直すことはできるのですから、問題は社会保障自体の長期計画を作るという問題であるので、できているのは社会保障の長期計画じゃないのであります。経済成長の長期計画なのでありますから、これは今後の問題として残っておる。こういうふうに申し上げておるのであります。  それからことしの予算にしましても、まるでなっておらぬようなお話でありますけれども、しかしかりに体系的な整備というふうなことでやらなくたって、一つ一つ意味のあることならば、それが実現されておれば、それも無意味じゃないのであります。ただそれが全体として体系が十分整っていないから均衡もとれないし、必要の方面に力が入らぬでむだが起こることもあるということでありまして、今日までは、とにかく馬車馬のように、一つでも二つでもよいことを実現していくというふうな姿で来たことでありますから、体系的整理ということを申すのでありますけれども、今日の予算にしても、今日までやってきたことはそれなりの意味は十分持っているのであります。積極的に考えると、今後よりよくという意味で、大きいさっきのような面があるということを申し上げておるのであります。それしか実際的にやりようがないのであります。
  71. 滝井義高

    ○滝井委員 少なくとも池田内閣が国民所得の倍増計画というものを打ち立てて、これが問題になり出したのは、もう夏ごろから問題になっておるわけなのです。月給二倍論その他が出てきたときから問題になっておる。そのときから、こういうものが出てきたら、厚生省は当然それに対応した準備をしなければならぬ。たとえば小山さんのところの年金だって、昭和九十年になったら三兆五、六千万円もの金がたまる。こういうことになれば、一体その金をどういう工合に使うかということは計画的に当然考えられなければならないのじゃないですか。なぜならば、自主運用をさせてくれという主張をしてきている。自主運用をするのに、どこにその金を使うかわからぬで自主運用なんて言えぬはずですよ。そうでしょう。従って当然この計画で振りかえ所得が幾ら割り当てられるかということなんです。それはあなたの方の厚生白書にも書いてあるはずです。今度出た年次計画の報告書、われわれ議員に報告した厚生白書の中に書いてないですか。りっぱに書いてある。パーセントまで書いてあるはずなのです。あの。パーセントでいいのですか。大臣、厚生白書をお読みになったでしょう。それに書いてあるでしょう。
  72. 古井喜實

    古井国務大臣 それで、今も申すように、この厚生白書にしてもいろいろな計画とまではいかないけれども、いろいろな将来の展望などについても書いております。けれどもそういう程度のものではだめなんで、がっちりした長期計画というものを固めなければ、厚生白書に書いてある展望のような程度で、今の長期経済計画の中にこれだけの部分ということを言うには根拠が弱い。もっとがっちりした、つまり社会保障の長期計画を固めなければ、やはり経済長期計画にはっきりこの社会保障関係をぶち込んで、そういうふうに確定するというわけにいかぬと私は思うのであります。それが今後の問題に残ってきておるわけであります。ただ一応の展望とか気づきとか、そういうことじゃだめなのであります。これから固めたいというのはそういう程度のものを言っているのじゃないのであります。もっとしっかりしたものをという意味で申し上げているのです。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、国民所得の倍増計画をお作りになるときは厚生省もお入りになっているということを官房長はおっしゃっているわけです。厚生省のベテランが所得倍増計画にお入りになっておって、そうして振りかえ所得というものが、これはもうここに——私は予算委員会でいずれ機会があったらやらしてもらいますが、大臣、今これをお持ちですか。これの三十六ページをごらんになると、基準年次が四千六百三十六億、そうして目標年次が一兆五千八百二十億、こう表になって出ておるのです。これは四十五年になった国民所得の七%なんですよ。そのことは厚生白書にも堂々と書いてある。従ってこれは当然、厚生省のどの方が出ておるか知らぬけれども、その所得倍増計画をお作りになるときの委員は、そういうことを了承してお帰りになっておるはずなんですよ。全然これを了承しておらぬ、こんなものはだめだとあなたは言うのなら、私は予算委員会に行って、こんなものは企画庁に消させますよ。こんなものはいつでも変更できるだめなものだと言うなら変更させますよ。それならば、いずれ近く予算委員会に行かしてもらいますから、これをやるつもりですから……。ところが厚生省もお入りになってこれを一兆五千八百二十億、七%です。厚生白書は何と書いている。池田さんに怒られるかもしれぬけれども、七%ぐらいじゃそれはヨーロッパ諸国の、日本の年に直せば昭和二十九年の程度なんだ、こういうことなんですよ。従って日本は、社会保障で言えば世界で二十何番だというのを出したら、逆鱗に触れて中山女史が厚生大臣をやめさせられた。ところがこれは七%なんだ。厚生白書にもお書きになっておるし、実際に所得倍増計画も七%と出てきたのですよ。しかもそれは西欧諸国の昭和二十九年に当たるのでしょう。それは了承してお書きになっておる。われわれに配付したあなた方の厚生白書にお書きになっておる。これは一つの既成事実になったのですよ。それは計画の立て方によってどうにも変更ができるとおっしゃるなら——さいぜんおっしゃったのだから、これは私はきょうはいただいておきます。そうして経済企画庁なり池田総理に迫ります。迫りますが、こういうことだからいけないのですよ。やはりもう少し、今大臣が言われるように、がっちり固めた数字でなければいかぬ。その通りなんです。なぜそれでは早く作らなかったかということです。大臣、今からお作りになる。今からお作りになると、へますると一年ぐらいかかりますよ。たとえば今後における社会保険というものをどういう工合に倍増計画の中に乗せていくのか。あるいは社会福祉政策というものをどういうふうに乗せていくのか。あるいは所得保障国民年金をどういう工合にするのか。そしてそのたまってくる積立金−何兆とたまってくるのですから、これを一体どういう工合に十年の後にはするのか。さいぜんから質問が出ておりましたが、健康保険だって金はどんどん余っておりますよ。積立金が二百億も出ておる。失業保険が驚くなかれ九百億もできたのです。これは労働省の所管ですけれども、出てきた。こういう社会保険関係の経費の積立金が出てきておるのですから、こういうものをどう一体するのかということを今考えなければ、大蔵省はあるいは経済企画庁は、所得倍増計画の中で振りかえ所得をくれませんよ。金がたまりよるがやる必要はない。そうするとじり貧じゃないですか。私はここを言いたいのです。そしてあなた方の——大臣がお読みになっていないようですから言いますが、ILOの社会保障の最低基準条約に達するためには二兆円ですよね。これは厚生白書にお書きになっている。これでも国民所得の九%から一割程度ですよ。池田さんが予算委員会で得意になって、西ドイツ、フランス、イタリアと外国の例をすぐお引きになるのですけれども、外国の例と比べてごらんなさい。九%、一割。今から十年先に西欧がそういう状態になりますか。こういうばかばかしい振りかえ所得を堂々と国民所得の倍増計画として、池田内閣の三本の柱の一つとして、将来の展望として出してきておることがナンセンスなんです。これをまただまって持って帰っておる厚生省もナンセンスなんです。ここは一つ古井さんのいわゆる顔を表わすところなんですよ。所得倍増計画における古井厚生大臣の顔はどこに表われるか。三十五ページの「社会保障の充実と社会福祉の向上」という第四章にあなたの顔は表われるのです。ところがそれがこの形なんです。これでは幾らわれわれがここで言ったってだめなんです。むしろ自由民主党の社会保障に対する根本的なものの考え方を書き直してもらわなければいかぬ、今のような考え方では。これはもうあなた方役人はいいです。政党政治ですから大臣とわれわれとの間の話できめていきます。大臣どうですか。こういう形の所得倍増計画がきめられている、これをあなたは今後堂々と打破して修正をしていくという御言明がここでできますか。
  74. 古井喜實

    古井国務大臣 今の長期経済計画にどういう数字を載せているかということは、社会保障の点については、こっちもがっちりした長期計画がないのでありますから、従ってそれをもとにしたものが載っているわけじゃないのであります。ないものは載りようがないのであります。そこでがっちりしたもとができれば、それに基づいてこの長期計画に対してどう手直しを将来していくべきか、ないものにはどうしようもない。でありますから、これはすべて今後の問題になるのであります。その辺がいかにもたよりないから、私も長期計画ということを言っておるのであります。おそらくは長期計画が七%というのは、審議会の答申で七・五%ということを書いておったのが大体の基礎になっているのじゃないかと思うのです。その程度ではどうも満足できない、しかしそれには基礎を持たなければいかぬ、こういうことで、そこがたよりないからしっかりした長期計画を何とかこっちも持って、それをもとにして向こうの計画を是正すべきものがあれば是正するということでいきたいということを申しておるのであります。それが金科玉条というか、もう動きがつかぬようなもののようにお考えになることも私はないと思うのであります。きょうの段階ではそれ以上の基礎がない、資料がないからそういうことになってくるのだと私は思うのであります。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 現実はやむを得ません。従って今度は一つ間違いなくお約束をしていただきたいのは、あなたの時代に必ず社会保障の長期計画、所得倍増計画に見合うしっかりしたケースの長期の社会保障計画をお立てになる、これは言明できますね。大臣の命というものは、いつも言うけれども、せいぜい一年なんです。六月改造があるとまたやられるかもしれません。しかし今度は相当あなたは嘱望されておるようだから、そうもなかろうと思うけれども、これは種をまけばいいのです。そしてまいた種ははえさせればいいのです。われわれだって社会保障の長期計画は賛成なんです。その上に立って他の制度を一体どうするかということを考えたらいいのだ。私はあとでいろいろお聞きしますけれども、まず総括論についてあなたの方とわれわれの方と意見の一致がなければ、行き当たりばったりでは処置ない。ここで何回議論をし、何回勉強してきて政府に迫ったところで、やりますやりますと言うだけで、大臣がかわったら、いや私は今なったばかりで前の予算には責任が持てませんということでは政党政治じゃない。それでは自由民主党は投げ出して社会党にやらしてくれたらいい、そうはいかぬでしょう。そうはいかぬから、それじゃあなたがおやりになるなら前の大臣を引き継いでおやりになればいい。あなたはおやりになるかならぬかわからぬけれども、種を一つまく。必ずまくと御言明できますか。
  76. 古井喜實

    古井国務大臣 私は社会保障の長期計画がほしいということを言ったのは、あなたに問い詰められて言ったのじゃないので、私の方から言い出しておるのでありまして、そういうものをぜひ一つ作り上げることを一生懸命やってみたい、ただあやふやなものを一日や二日で作ったってどうにもなりはしない、そんなものは意味ないのであります。やはり作る以上はそれだけの根拠あり価値のあるものを作らなければだめでありますから、そう一日や二日でできるものじゃございません。それから厚生省の中の者だけで作って、それで満足なものというわけにもいきませんし、そういうこともありますので、どういうふうにしてそれを固めたらいいかということをいろいろ考えておるところなんであります。社会保障制度審議会の方でも、総合調整の問題を今年度一ぱいかかってという計画も持ってやっていただいておる。私は今年度一ぱいは少し待ち遠しいような気がしておる。この辺についても、もう少しあの審議会との関係考えてみなければならぬようにも思っておる。そういうことはやはり、周倒に議を尽くすところは尽くし、それだけまたしっかりしたものを作らなければならぬから、あしたできるかあさってできるか、そんなあやふやなものじゃどうにもならぬ。作ってみたい、精一ぱい努力してみたいと考えておるのがきょうの私の考えであります。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣よく社会保障制度審議会とか何とか審議会とか言われますけれども、それは諮問機関なんですよ。われわれ国会はそれは関知するところではないのです。これは行政の面のベースですから。国会に言われるときには、政党政治ですから、当然自由民主党がそういうものを作るという方針をきめれば、それで今度はそれを作る努力をされたらいい。だからそこは努力してみたいというのじゃなく、自分がぜひそれを作る、そして作ることに向かっていく、こういうことがやはりはっきり前提になって、よりよきものを作る努力をする、こういうことでなければならぬ。それはあすできるか、あさってできるかわかりませんよ。作るという方針をきめなければ話にならない。社会保障制度審議会に聞きましょう、どこどこの審議会に聞きましょうということだけでは、一体政党政治はどこにあるか。やはり政党政治はオリエンティルンク——指南力を持たなければならぬ。これは自由民主党の政府に欠けているでしょう。だからあっちに行ったりこっちに行ったり、行き当たりばったりでちっとも厚生行政の方針というものが出てこない。歴代の内閣の大臣に出てこない。私はここで七、八年やっていますけれども出てこない。それができないのですよ。だから与党から野党と同じような質問が出る。あんなことは党の政調会でやったらいい、けんけんごうごうとやって、悪かったら与党の議員が直せばいい。われわれ野党は直す力がないからここでやるのです。そこが本末転倒の点だと思います。だからあまり諮問機関にたよるのじゃなくて、——これはあとでも言いたいのですが、あなたの方の基本方針をお出しになる、それがないところに問題がある。基本方針をお出しになったら、それが間違っておるか正しいかお聞きになればよろしい。それでなければ政党政治というものはだめです。これは青二才の私が大先輩の古井先生に言うのは失礼だけれども、ぜひ作っていただきたい。私はそういう気がして仕方がないから言うのですけれども、どうかぜひお作りになる努力をしていただきたい、そうして社会保障が長期の展望に立つと、これはどうも今の厚生省機構が問題なんです。あの機構ではもう社会保障の長期計画ができても、実施できるだけの力がいろいろ見てもない。厚生行政における医療行政と保険行政関係を見ても、ちっともうまくいかない。たとえばこの法律で公的医療報酬というものは、医療審議会で調査し審議することができるのです。ところが今まで診療報酬の問題について医療審議会をやったことがあるかどうか。病院を監督するところは一体どこだというと医務局なんです。ところが今度は保険局が、今言った中央社会保険医療協議会に長期の案を作って意見を聞いたり審議をお願いしてやっておる。医務局はまるでつんぼさじきです。病院に看護婦を何人置かなければいかぬ、施設はこうしなければいかぬ、何坪としなければいかぬ、一人当たりの坪数はどれくらいだ、こうおきめになっておる。医務局につんぼさじきです。たった一つをとってみてもこういうことがそもそも矛盾しておる。それからさいぜんも言われましたが、社会保険の組織を見てごらんなさい。もう複雑怪奇です。わかりはしない。専門家以外はわからぬ状態です。だからこういう行政機構をこの際相当にメスを入れて抜本的な改正をやらなければならぬという状態が、長期計画があるなしにかかわらず、きておるということです。長期計画の観点に立ち、長期の展望に立てばますますそういう状態がはっきりしておるということです。この点あなたはどうお考えになりますか。
  78. 古井喜實

    古井国務大臣 私が考えておるようなことはあなたもお考えになっているので、大へん心強いのでありますが、この行政機構の問題にいたしましても、これは厚生省だけではありませんが、大体産業の近代化からいっても、行政機構は老廃化しておると私は思う。これはもう、ぐんぐん直していく方がほんとうはいいんだと思うのです。そういうことは私は閣議で言ったこともある。予算編成方針をきめるときに、私自身が言い出して言ったこともある。これはおっしゃるまでもなしに、考えることは十分考えてみております。ただ、大きな声を出して、やるんだやるんだということを言ったってできるものじゃない。黙っておったって実行すればいいんだ。実行することが第一であります。大体私は実行から先にいったらいいと思うのであります。それからものを言ったらいいと思うくらいに思っておるのであります。きょうまで大体そういうつもりで、ただ口先でしゃべくっておるだけでなしに、やらなければならぬことは、すべてむずかしくたってやっおるつもりであります。取り組んできているつもりでございます。そういうふうにいきたいと思いますので、それと対応してどうするこうするということは口でしゃべくりたい、こういうふうなつもりでおります。長期計画にしましても、口で大声出したところで、それでできるものじゃない。やはり問題は、事実それを作るということなんだからして、それはもうめいめいの考え方の問題でありますから、大いにやってみようというのですから、これはその意味で御了解願っておきたいと思います。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣にお尋ねしますが、今の行政機構の問題で出ましたから、もう時間がありませんから、公的医療機関のことはあとで具体論としてやります。  医療審議会というのがあるのです。これは医療法にはっきりあるのです。そこで公的医療機関の診療報酬を調査審議する権限がある。これを大臣一度くらいお開きになってやる意思はございませんか。これは調査審議する権限があるのです。今までこれを活用したことがあるかというと、ないのです。ないとこの前言明があった。法律できまっているのですから、何も中央社会保険医療協議会ばかりが診療報酬をやるところじゃないのです。医療審議会という堂々たるりっぱな機関があるのです。これと中央社会保険医療協議会との関係をどうするかということです。
  80. 古井喜實

    古井国務大臣 きょうの診療報酬の問題は、社会保険関係診療報酬ということが実際問題としてぶつかっておるのでありますから、これを審議する場としましては、やはり本筋は中央社会保険医療協議会だと思うのです。問題は、社会保険診療報酬をどうするかということがきょうの実際問題ですから、協議会の方が本筋だと私は思います。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 その通りです。健康保険に関する限りはそうですが、今ストライキが起こっておるのはどこに起こっておるか。公的医療機関に起こっております。これも今日の問題なんです。それは何で起こったのか。やはりそれは診療報酬に関連をして起こってきておる。あるいは十九日ですか、十六日ですか、全国一斉のストがある。これだってやはり同じです。病院の診療報酬というものは、中央社会保険医療協議会だけじゃない。今までそれを見落としているのです。大臣もそういう錯覚に陥っているだけなんです。これは病院というものの診療報酬をきめるということになれば対等なんです。医療協議会よりか範囲が広いのです。公的医療機関というもの診療報酬はどうあるべきかということは、単なる社会保険だけじゃない。生活保護だって何だってみんな言えるわけですから、範囲は広いのです。だから、それを一回も開かぬでそのままにしておくところに問題があるのです。これは医務局の所管です。医務局は一体何をぼやぼやしておったのだということなんです。大臣はそれが本筋だと言うけれども、そればかりじゃないのです。診療報酬というものが問題になっているのは、何も社会保険だけじゃないからです。制限診療だって問題になっておる。あるいは事務の簡素化だって問題になっておる。あるいは負担の問題だって問題になっておる。また、医療従業員の給与が安いということも問題になっておる。そうすると、それは社会保険という小さな局限されたものでなくて、日本における医療報酬を一体どうするかということが問題なんです。むしろ今はその方が問題なんです。だから大臣の今の見方は、森を見て山を見ない。木を見て森を見ていない。たとえば、今大臣社会保障制度審議会に行かれるということですから、私は参考のために一言言っておきたい。今の段階医療協議会を改組したらこの問題が解決すると思ったら大間違いです。それだけでは絶対に解決しません。それだけで今の十九日の一斉休診あるいは日赤の病院ストもやむと思ったら大間違いです。絶対にやまぬです。それは、じゃどうすればいいんだ。これはまず医療実態調査をやることです。実態調査をやらなければいかぬ。天下に日本医療の状態をガラス張りに示すことです。むしろその調査機関をお作りになることです。われわれ国会も小委員会を作ったからやるでしょう。医療協議会はその次でいいんです。そのためにはどういうことをやるかというと、売手と買手の側を両方とも調査することです。売る方というのは病院、診療所です。病院、診療所の実態を調査する。買手側というのは、国民の経済状態で、それを調査する。それから保険者内容を全部洗うこと、これです。これを四者でやることです。これを四者でやることがまず第一です。これがガラス張りの中に出てくれば、それがはっきりしてくるんですよ。それが今ないのです。だから医療協議会を改組したって実態がわからぬ。昭和二十七年の三月なんというのはだめだということで、三十三年の十月からあれはもめたのです。二十七年の三月調査はだめだ、信頼がないということです。われわれだってこれを理論的に撃破するだけの力を持っておる。そういうものを基礎にしたものではだめです。だからこれをまずガラス張りでやれというわけです。これをちょっと精力をかけてやって、みんなが資料を一緒に出してくれれば、もう国立はあなたの傘下にあるんですからすぐわかる。それから健康保険の病院も森本さんの所管になっておるからすぐわかる。日赤、済生会も今スト中だから、その帳簿を全部公開させたらわかる。これは社会局の太宰さんのところでできます。国立病院は医務局でできる。健康保険関係の病院は森本さんのところでできる。済生会、日赤その他は相談すれば太宰さんのところでできる。それから健康保険の病院の内容健保連から出てくる。それから医師会は私的医療機関のものを出す。その出したもので今度はお互い実態調査をやったらいい。と同時に、会計を洗うことです。健康保険組合の会計をやり、政府の会計をやる。もうすでに二百億とか、相当莫大な積立金ができているようですから、それを全部洗いざらい出して、同時に薬にも無理があるから、この薬も洗うわけです。そうしてみんなのものを持ち寄った資料の中から、一体日本医療の状態はどうなければならぬかということをやるわけです。これが先決問題です。これならば国民が納得します。幾ら上げるかについて、医師会だって、この実態では一円しか上げる必要はないということなら納得してくる。そしてまた保険経済も立ち得るというものも出るのです。一体今八百万人もの人が加入している健康保険に幾ら国が出しておるかというと、ことしたった八億しか出さぬじゃないですか。五億去年出して、ことし対策費として三億しか出しておらぬ。一体これを社会保障と言えるかどうか。二十人か二十二、三人の零細な企業が集まって政府管掌組合を作って、そこでやっているものを社会保障といいながら、政府は事務費のほかに医療費についてはわずかに八億しかことし出していないということです。こんなものでは国民は納得しない。だから、それを出してみてやるということです。一体今の医療というものは日本の経済から見たらどうか。医療の技術料をどう評価するかということは、みんなの出した資料の中から必然的に出てくる。それをやらない。これをおやりになることがもう何よりも先決です。それは国会もおそらくそういうことをやるでしょう。しかし、保険者に対しても、被保険者の経済状態に対しても、あるいは医療機関に対しても、どのものについても公平な実態調査をやるだけの機関を作ることが先決です。これをお作りになってからその次に、さて診療報酬をどうしようかというなら、医療協議会におかけになったらいい。医療協議会を改組する。こういう二段がまえでいかなければだめです。医療協議会を幾ら改組したって、それでいくと思ったら大間違いです。私は今からたいこ判を押しておく。それは私の十年の経験と勘が教えてくれる。私が今まで言ったことは間違っていなかったと思っています。私が一本化すると言ったら一本化の方向になってきたし、間違っていないと思います。だから大臣どうですか、これであなたがちゃんと腹をきめておやりになる。そのためには全部にメスを入れることです。事業主の経理についてもメスを入れることです。だからこういう点について、これをあなたが国民的な規模において調査機関をお作りになって、まずこれを始めることですよ。それが七月までに完成をすれば、それから先はどうするかということがはっきりしてくると思う。
  82. 古井喜實

    古井国務大臣 まず初めの診療報酬の問題でありますが、医療審議会でやったらいいじゃないかという御意見、これはそれもそうでありましょうけれども、それにしても、実際問題として社会保険関係診療報酬の問題を抜きにしてほかのことだけ審議したって仕方がない。ところで、社会保険の方の関係はやはり医療協議会という場で審議するのが本筋だと思う。それを抜きにして審議しても、実際問題としてしょうがないと私は思う。悪いというのじゃありませんよ。無意味というのじゃありませんけれども、やはりその点は協議会の方はどうでもいいというわけにいかない。今の片一方の方の医療審議会でやったらいい、こう簡単にはいかないと思うのであります。少なくとも見合って考えなければいかぬので、全部がそこで解決できるとは私は思わぬ。そういうふうでありますから、依然として問題は残ると思うのであります。それから協議会の改組だけでものがいくかいかぬか、それはそれだけでいくとは私も思っておりません。思っておりませんけれども、あなたのおっしゃる実態調査をしますについても、民間医療機関の実態調査がなぜ今日できないでおるのか、医師会が協力してくれないからであります。これは医療協議会が動かぬという問題と共通しているのであります。そうでありましょう。なるほど公的の医療機関の実態調査はできましょうけれども、民間の医療機関の実態調査ができない。医師会が協力しないから今日もできないでおるのであります。これはやはり今の医療協議会が動かないという問題と共通している点があるのであります。医療協議会のことを言っておりますのも、みな共通の場に出て、お互いに主張すべきことは主張し、みんなで一つ結論を出すようなそういう共通の場を作り直さなければいかぬじゃないか、そういう方向になってこないと、実態調査も片手落ちになってしまうのであります。問題は私はこれは共通だと思うのであります。もとは共通な点があると思うのであります。しかし、さればといって実態調査をすることが無用だと言っているのじゃない。これも大きに必要だと思います。ただ実態調査がお医者さんの協力を得られないために片手落ちのものをやる、それだけでよいかという点は残ると思います。のみならず、問題を解決するにはやはり共通に話し合う場ができなければいけないし、あなたのおっしゃるような実態調査の資料も整わなければいかぬし、その上にやはり医療費をきめていくルールというものが確立されなければいかぬと思うのであります。どういうルールに従って医療費を算定し、あるいは引き上げていくか。このルールというものがなしに何ぼ上げろ、いやそれは多過ぎるのと言ったって、これはめいめいの考えが対立してしまうだけであります。共通の場と共通のルール、こういうものを考えなければいかぬ。それにまたルールを実際に適用して診療報酬などを引き上げたりしますときに資料が要る。これは滝井さんのおっしゃるような資料が整わなければならぬ。これも必要であります。おっしゃる方面のことも必要だと思いますが、まだそれだけでは済まぬと私は思っております。まだ足らぬものがある。一つで全部が解決できるような、そんなたやすいものではない。そういう意味医療協議会をもっと気持よく、穏やかに話し合える共通の場にするということも無意味だと思いません。あなたのおっしゃる調査も無意味だと思いません。しかしそのほかにもつとある。それもこれも全部だんだん考えていかなければならぬというふうに思うのであります。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣は少し私の意のあるところの理解が不足していると思います。共通の場と共通のルールを作るためには、今医療協議会を先に改組することはいけないということです。医療協議会の改組には賛成です。私は二年前からこれを唱えているのです。これでは動かぬぞと三十三年から唱えている。今私自身も試案を持っていますが、今の段階共通の場を作ろうとするならば、医師会関係の病院の実態調査も、診療所の実態調査もやりますよ、そのかわりに被保険者の負担能力についての調査もやりますよ、同時に保険者の、特にここで今与党の井村委員からも指摘のありました健康保険組合の財政の調査も問題なんです。これについての実態調査もやりますぞということなんです。同時に事業主の負担能力について、今折半方式になっているけれども、どんどんもうかっており、株の配当も多くなっているから、それを折半でなくて、もう少しやってもらわなければならぬかもしれませんぞ。あるいは国も八億では少ないじゃないか、国も一割くらい出してもいいじゃないか。一割出せば百三十億です。国民健康保険、それから政府管掌で千三百億程度でしょう。そうすると一割で百億です。百億出したって悪くない。社会党はどこまでも百億出すべきだ、最低一割出さなければいかぬという主張です。こういうことをやれば医師会も納得してみんな出てきます。資料をみんな出し合って、実態調査をやりなさい。それが共通の場です。そこから共通のルールが出てくる。この共通のルールと共通の場ができたら、次の段階法律にのっとって医療協議会の改組という問題になっていけばすぐできる。それを私は言いたい。  大臣お急ぎのようですから、これ以上議論しません。午後は、財政的な問題もありますから、もう少し突っ込んで議論をやって日本の前進をはかりたいと思います。
  84. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 この際二時半まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後三時十五分附議
  85. 山本猛夫

    山本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について質疑を継続いたします。滝井義高君。
  86. 滝井義高

    ○滝井委員 午前中、三十六年度予算社会保障予算との関係、あるいは所得倍増計画における社会保障の長期計画が必要であるというような点を御質問いたしましたのですが、これから少し当面の問題に入ってみたいと思うのです。根本的な問題はまだありますが、時間の関係がありますから、当面の問題を少し見解をお聞かせ願いたいと思います。  現在御存じ通り、昨年以来起こっておりました病院ストです。これが依然として解決をせずに継続しておるということです。一方においては同じような範疇に所属をするところの私的医療機関を中心とする日本医師会というものが、今年以来ぽつぽつと一斉休診を地域的に行なっておるということです。しかもその一斉休診の頻度もだんだんとひんぱんになって、しかもその規模が全国的な規模になりつつある。二月十九日には全国一斉の休診が始まるという情勢が出ております。特に目立つのは、京都では四月一日から保険医の総辞退が名実ともに効力を発生するという、こういう事態になってきたわけです。私はいつか指摘したことがある。この医療ストの問題は、へまをすると古井厚生行政の命を取るばかりでなくて、池田内閣の命取りになるということを私は言ったのですが、そういう様相がだんだん出てきつつある。これを一体どういう工合に解決しようとするのか。もはや火がついてぼやになっているわけです。早急にこれを消さなければいかぬ、こういう事態だと思うのです。一体病院ストをどういう工合に厚生省監督官庁としては収束せしめていくのか、あるいはそれとは幾分違った様相を呈している一斉休診というものをどういう工合に収束せしめる方策なのか、これの何か根本的な考え方の方向でもお考えになっておるならば、お示しを願いたいと思います。
  87. 古井喜實

    古井国務大臣 病院ストにいたしましても、また昨今の医師会の一斉休診にいたしましても、医療機関という大事なものの中の問題でありますので、穏やかに、患者にも心配させぬように、国民にも心配させないようにおさまってくれればと願っておるわけではありますが、しかしこれが押えつけてやめさせるということのできるものでもありませんし、そういうことをすべきものでもありませんし、禁ぜられている行動でもないのであります。でありますからこれをなくしてしまう、そういう強圧的な策はとるわけにはいかぬと思うのであります。やはり原因に対して対策を講じて、そしておのずからこういうことが解消していくように努力するべきものだろうと思うのであります。でありますから、病院ストの問題に対しても、病院経営に、やはり今の時勢に合わないような姿が残っているじゃないか、病院経営の合理化をはかる策を講じてみようではないか、これはもう百も御承知のことであります。三月一ぱいには、あの作りました懇談会も、これに対しての意見を出してくれることになっております。  それからもう一つは、病院スト関係してというわけではありませんけれども、やはり実際問題は医療費引き上げということ、経営が苦しい、従って待遇が悪くなるということにもつながっておりましょうから、医療費の問題も解決してみたい、こういう策をもって臨んでおるわけであります。  医師会の方の問題は、医師会の方でも十分考えておられるように、患者に心配をかけない、そういう限界の中で、ということでありますし、そうに相違ないと思っております。これも根本的に言えば、ああいうふうに実力行動的に主張をしていかれるほかはないような姿になっておる原因も考えなければならぬので、一つの同じ土俵の上で穏やかに立場を主張する、話し合う、合理的な結論を出すというようなことにできますならば、それによって主張も合理的に解決がつくということになりますならば、ああいうふうな一斉休診なども必要がなくなってくるだろうと思います。原因に対して対策を講じていきたい、こういう考え方でおるのでありまして、きょう午前の話にも出ておりました医療協議会の改選の問題などにつきましても、そういう点を考慮してのことでありまして、そういうふうな行き方をしたいと思っておるところであります。
  88. 滝井義高

    ○滝井委員 病院ストなり一斉休診に対しては、そのよって起こる原因を考えて、それに対して対策を講じていく、こういうことでございました。そこでその原因の一つ一つについて少し大臣の見解を尋ねてみたいのですが、病院ストの原因というものは、労働省なり厚生省の見解というものは五つあったのでございます。一つは、病院の労働条件、特に給与が劣悪であるということ、二番目は、病院の経営管理がまずい、それから三番目は、診療報酬が適正でない、四番目は、医療制度がもう古くて現在の新しい皆保険に耐え得ない状態になっている、それから五番目は、労使関係が未熟である、労使関係が非近代的な状態である、これを直さなければならぬ、こういうことなんです。これは、五つを当てはめてみると、大体ストの起こった原因でもあるし、医師会の一斉休診の原因にも大体これは当てはまりそうです。そのほか制限診療などという問題も別にあります。事務が複雑だとか甲乙二表を一本化せよという問題もありますが、それらのものは、どちらかに含めれば含まれると思うのです。そこで、今大臣からも言われました病院の経営管理をよくするために、昨年以来、病院経営管理改善委員会、十五人かなんかで構成をして、その委員を任命されたわけですが、これは三月一ぱいにならなければ結論が出ない、こういうことになりますと、病院経営管理をどういう工合にするかということについての具体案というものは、四月か五月か六月か七月くらいにならぬと、ちょっと具体的な政策の上に上がってこないということになるのですが、そう理解して差しつかえございませんか。
  89. 古井喜實

    古井国務大臣 あの懇談会としましては、三月ということに一応区切りをしているのでありますけれども、しかしそれを待たなくても、この管理経営の改善のために、厚生省だけの分野で、まあ指導と申しますか、そういうことができることもなきにしもあらずでありますから、これは、やって差しつかえないことは待つまでもなしにやっていきたいと思うのであります。現にそういう省内の態勢も整えてきておるところでありまして、それは、それを待つまでもないことであります。けれども、あの懇談会が、取りまとめて、こういうふうにという意見を出して下さるのは、ちょっとこれも無理はありましたけれども、だらだらしておったってしようがないということで、一応三月と切っておるわけです。残ることはまたそのときの話です。そういうわけであります。
  90. 滝井義高

    ○滝井委員 厚生省でもおやりになっておるということですが、現在の日本の病院の経営管理上における一番の欠陥は一体何なんですか。こういうストの起こる原因の一つとして出てきている病院の運営管理上の欠陥、急所ですね、大臣のいわゆる急所、これは一体どこなんですか。
  91. 黒木利克

    ○黒木説明員 ただいま懇談会で審議をいたしております第一の問題は、経営の組織と申しますか、特に医療法では施設の開設者と管理者がございますが、経営の責任がどちらにあるのか、施設にまかしてあるという格好でございます。従って近代的な労使関係から参りまして一体経営の責任者はだれなのかということになりますと、いろいろ問題があるようでございます。そこで経営の責任者をどうするか、また経営の方針をだれがどうしてきめるのか、それから経営の仕組み、組織というものをどうするかというのが第一の問題でございます。  次には、そういう組織ができた場合に、そういう組織でどのように施設を管理していったらいいか、管理につきましては、狭い意味の経営の管理と、それから診療の管理、看護の管理というものがあるのでありますが、それぞれの組織がおのおの一つのユニットを作りまして、その間の調整を経営の責任者がやっていくわけでありますが、それぞれの分野におけるそういう管理というものを、どのような仕組みでどのようにやっていったらいいのか、この中にはもちろん人事管理とか、あるいは施設の管理とかいうものも含まれて参るわけでありますが、そういう問題が次に出てくるわけであります。  それから今度はその細目でございますが、たとえばそういう中で人事管理というものについて、近代的な労働立法というものをどういうふうに適用していったらいいか、そのために職員をどういうふうに訓練していったらいいかというような問題になるかと思います。  そういう問題を一々今分析をされまして、大体二月一ぱいには、それぞれの分析の結果の結論を取りまとめていただくという段取りで御審議を進めていただいておる次第でございます。
  92. 滝井義高

    ○滝井委員 今言われたような病院の経営の組織、開設者あるいは管理者の問題、それから病院管理、診療管理、看護管理というようなものから、人事管理から施設の管理まで広範なものをやるということになると、医療法の根本的な、抜本的な改正を必要とするのでありまして、これは、私はかつて指摘しましたが、今の医療法は占領直後にできたもので、今の経済立法である国民健康保険法、健康保険法とマッチしていない。また医師法とも、うまく合っていない。医師とは何ぞや、医業とは何ぞや、こう詰めてくると何が何やらさっぱりわからない。医療というものは医者でなければ行なっちゃいかぬというかと思うと、病院では医者でなくても行なえることになっておるというように、なかなか問題が多いのですよ。そうすると、今次長さんが言われたようなことになりますと、とても、これは健康保険法の改正から、国民健康保険法の改正から、医療法から、医師法から、全般的な改正がこれにつながってくる大改正になる。これは同時に厚生省機構の改革につながる。従って大臣が期待されるように、三月までに結論を出しても、今度の病院ストの解決にはこれでは間に合わぬのです。今の御説明でもはっきりしてきた。これは医療法その他を改正しなければ実質上行政に移されぬわけですから、そうしますと第一の原因の中の一つである病院の経営管理がまずいということで、これをよくしようということの努力はわかりますが、スト解決のための一つの対策にはならぬ、こうなる。従って私は、病院の経営管理の問題はとりあえず立法を必要とせずに、当面何を一体急所としてやらなければならぬか。恒久的なものとしては今のようなものでいいのです。当面一体何を病院の経営管理の問題としてはやらなければならぬのか、こういう問題ですね。今の現状の人事の中でどういうところを押えたらいいのかということですよ。私はそれを聞きたいのです。
  93. 黒木利克

    ○黒木説明員 ただいま申しましたことを現行の法律なり制度なりのもとでどの程度改善ができるかというのが、懇談会のお仕事でございます。法令なり制度の根本にさかのぼる問題は、医療制度調査会の方でいろいろ部会をお開きになりまして御審議を願っておるわけでありますが、懇談会の方へわれわれが御期待申し上げておるのは、現行制度、現行法のもとでどの程度一体改善ができるかということをお願いしておる次第でございます。
  94. 滝井義高

    ○滝井委員 それでわかるのです。それで厚生省としては、当面ストを解決しなければならぬという責任があるのだから、一体厚生省としてなし得る急所はどこかと私はお尋ねしておるわけですよ。懇談会から出るのを待って——それではなかなか時間がかかるでしょうから、予算もやがて三月の終わりまでには通るのですから、それまでには何とかしなければ、七月まで待っておればますます命取りになるということなんです。その前に手を打つ方法は何かありませんか。なければないでけっこうです。
  95. 黒木利克

    ○黒木説明員 懇談会の今の御意見では、第一は労使慣行について非常にまだ未熟な点がある。従って管理者側にもあるいは組合側につきましても、健全な労使慣行をこの機会に速急に確立できるようにいろいろ勉強してもらおう、またそういう意味のサービスをいろいろしようという点が一つ。それからもう一つは、少なくとも人間関係におきまして、特に医療機関におきましては、患者医師あるいは医師医療関係の補助者というものの間の人間関係というものを確立する必要がある。そういう意味で、とりあえず従来続けております管理の研修会等を、人間関係を中心にした研修会に切りかえましてやっておるのでございます。   〔委員長退席柳谷委員長代理着席〕 その他近代的な労働立法になじむように、先ほど申しましたように、経営の責任者がはっきりしない場合には、少なくとも経営者の一つのグループと申しますか、開設者も管理者も、あるいは事務長まで含めて一つのグループとして責任を持つようにして、団体交渉なりあるいは団体協約なり保安協定の締結に当たるようにというような指導をしておるのでございます。要するに現在の法令制度のもとにおきましても、お互いがもう少し成熟をいたしまして、近代的な人間関係が確立できるような、それがある程度ストの予防にもなるのじゃないかということを考えまして、そういう点を指導の眼目にいたしておりますし、また懇談会におかれましても、そういう方向で御審議を願っておるのでございます。
  96. 滝井義高

    ○滝井委員 具体的に、それならば日赤ですね。今ストの一番中心的な全国的規模を持っているのは日赤です。これは公的医療機関の典型的なものです。医療法における典型的なものです。このストを一体あなた方が御解決をしようとするときにはどうするかということです。これは厚生省の先輩の葛西さんが実権を握っています。これは一番あなた方が話しやすい人です。これに一体どうあなた方が——あの非近代的な日赤の経営といっていいと私は思うのです。それをやられようとする場合にどこが解決の急所かということです。
  97. 黒木利克

    ○黒木説明員 日赤の方におかれましては、仄聞しますと、理事会をお開きになりまして、各日赤の傘下の病院が独立会計でやっておりますが、黒字のところも赤字のところもある。それをガラガラ計算するという御意見もありますが、それは現状では無理である。しかし黒字の病院が赤字の病院に対して何らかの援助をするということは、お互い日赤の傘下にあるのですからやるべきではなかろうかというようなことで、ガラガラ計算を一元的に運営する段階までは至りませんが、何らか各独立会計としてそれぞれやっておるけれども、黒字と赤字のところがお互い助け合うような態勢を一つ作っていこう。と同時に日赤本社も責任をやはり自覚をして、そういう責任体制もだんだんとっていこうというような方向でいろいろ役員会等を開かれて御相談をなさっておるようでございます。われわれの方もそれについては賛成でございまして、何らかそういう意味の改革を進めていってほしいということで、いろいろ相談にあずかっておる次第でございます。
  98. 滝井義高

    ○滝井委員 日赤というものが存在をして、全国的な規模でわれわれは行なわれておると思ったら、病院だけは独立採算制で、それぞれもうかっておるところは待遇をよくし、もうからぬところはそうでもない。しかし、見ると、給与体系は一本だ。それは国家公務員に準ずる形になっておると思う。健康保険も、船員保険の中央病院は盛んにストをおやりになっておる。これは太宰さんの所管ですが、そういうものについてやはり何か、これはあなた方は積極的に病院の運営管理が非近代的で、労使関係が未熟ならばこうすべきであるという主張を、監督官庁ですからとることができるはずなのです。ところが、それを放置されておるところに問題があるわけです。一体何をしておるのだ、われわれとしてみればこう言わなければならぬ。それでいたずらに何か委員会を作ってその結論を待ってからというのでは、もう火災は全焼ですよ。ぼやどころではない。燃えてなくなってしまっておる。委員会ができたときにはもう病院はだめになる。こういう形になる。やはりしろうとの大臣を助けて医務局長なり社会局長——所管は社会局長ですから、社会局長なりが、すみやかに急所を大臣に教えなければいかぬですよ。内助の功を立ててもらわないと、いたずらに大臣を奔命に疲れしめるだけだ。もう少し、今のような高遠な理想はいいです。高遠な理想は一つゆっくるやっていただいて、早く火を消す具体的な緊急な当面の対策はやはり出してもらいたいと思う。それがどうも今のような抽象論では工合が悪い。  次は医療制度です。今、病院の経営管理改善の問題は同時に労使関係の問題にも関連しましたから、これで原因の二つは、今のようなことをもう少し積極的に当面の対策を考えて、具体的な手を打つ方針を考えてもらえれば何とかなると思うのです。もう一つ、根本的な皆保険制度医療制度関係です。大臣、実は臨時医療制度調査会というのが、これは御存じ通り、ことしの三月三十一日になったら、あの法律はなくなる。時限立法ですから。これはわれわれは新聞、雑誌で見る程度ですが、医療とは何ぞやということをまだ秋ごろにやっておったので、なかなか医療制度の根本的な結論は出ないと思うのです。しかしこれもやはり将来の展望としては出さなければならぬ。ところが法律はもう期限がきた、こうなる。これはどうされるのですか。もう一、二年もお延ばしになるのですか、どうするのですか。
  99. 古井喜實

    古井国務大臣 まだ審議が、お話のように、序の口と言っては悪いけれども、結末の辺までなかなかきておりませんから、これはやはり期限を延長しまして続けてやっていくようにしたいという考えでおります。
  100. 滝井義高

    ○滝井委員 医療制度調査会の現況、どういうことをやっておるか聞きたいのですが、これは時間がありませんから、また機会をあらためて聞かしてもらいましょう。  そうしますと、病院ストの原因で病院の経営管理がまずいということ、労使関係が未熟であり、しかも医療制度がもう古くさくなっている、陳腐であるというようなことが出て、臨時医療制度調査会と病院経営管理改善懇談会ができたわけです。そうするとこれは問題によっては両者同じことをやることになるわけです。この両者関係というものは一体どうなるのです。病院経営管理改善懇談会の結論医療制度調査会の結論とが必ずしも一致しない。相当の隔たりが出てくるのじゃないかという感じもするのです。と申しますのは、それは構成が非常に違っておるからです。性格的に見ても非常に違っておる。片一方、経営管理の方の人は現場のいわゆる実力者と申しますか、そういう者です。それから一方の方は現場の実力者もいらっしゃるけれども、経済学者や何かも入れておる。これは必ずしも一致しないと私は思うのですがね。この調整は一体どうされるつもりなのかということです。
  101. 黒木利克

    ○黒木説明員 先ほど申し上げましたように、懇談会の方は現行の法令なり制度のもとにおいて、当面どのように病院の運営を改善していったらいいか、経営を改めていったらいいか、その方向なりあるいは方法を御審議願うわけでございますが、制度調査会の方は現行法にとらわれませんで、やはり制度の基本に通じます問題についてお取り上げを願うわけでございます。従って次元が違うと申しますか、懇談会の方は当面の、しかも現行制度のもとにおいての対策であり、一方は根本的な、制度の根本に触れる対策であります。ただ懇談会の方でいろいろ現行制度のもとではこういうふうな改善が限度だけれども、こういう点についてはあるいはもっと根本的な考慮というものが必要であろうというような、ある程度の意見というものは、調査会の先生方のためにお伝えになるような機会はあろうかと思いますが、大体懇談会、調査会の関係はそのように律しております。
  102. 滝井義高

    ○滝井委員 あなたの気持としてはそうかもしれませんけれども、病院の経営組織の開設者、管理者をどうするか、たとえば今開設者は医者でなくても開設できる。医者でなければ開設できぬというようにするという意見もある。もし病院経営管理懇談会が開設者というものは医者でなければだめだ、こういうことになることにすると今の法律とは違ってくるわけです。たとえば弁護士なんかは、弁護士でなければ弁護士事務所は持てないことになっておる。ところが今医療が混乱したのは、医者以外の者がどんどん病院や診療所を作る、金もうけでやろうとするところに混乱があるのです。だから昔に返れという意見もある。そうでなく病院はだれでも自由に経営してもいいじゃないかという意見もあるのです。従って医療法は開設者と管理者と二つのものを作って、管理者というものを医者に置いたわけです。そしてそれに保険医療というものがきたために労使関係はますます混乱してきたというのが現状でしょう。そういう根本的な問題を今討議するところははらんでおるわけです。これはやはり急所なんです。病院の運営管理における急所はここにあると思う。これをどうやるかによって、今後の医療機関の形態はずいぶん違ってくると思うのです。ところがその急所のところを一方は論議させるわけだ。医療制度だってここがやはりもとなんです。だれが一体医療の運営の主体になるか。主体的な条件の確立ができずして客観情勢に対応はできない。そうすると医療制度調査会だってやはりここが急所になる。どっちもやはり急所は論議するのです。そうすると前のものとあとのものが食い違いが出てくるというおそれもある。こういう点にやはり厚生行政というものは相当気を配っておかないと、今の狂瀾怒濤のような厚生行政を乗り切っていくためには、よほど慎重な配慮をしておかぬと大へんな問題になるというのです。なぜかというと、病院経営管理改善懇談会の方にはどうですか、医師会代表というのは入っておらぬでしょう。片一方は医師会代表のようなものは相当おるのです。ここなんです。これは結局今甲乙二表が問題になり、さらにあとで質問しますが、あなたの方は、甲表は病院は一六%、診療所は六%くらいでというような、厚生省の案を出してきたりしておる。これとこれは関連してくるのです。つながってくるのです。今こういう非常に微妙な心理的な作用が行なわれておるときですから、こういうものの取扱い、こういうものの関係は、よほど慎重にやっておかないと、これは大へんなことになる。なぜならば病院の経常管理改善懇談会の方が先に結論を出すからなんです。片一方の方は法律を延長していつになるかわからないから、先に結論を出した方が既成事実として先行していく可能性が強いのです。特に当面の問題を処理しようとする段階においてはなおそうです。こういう点は私はこれ以上はここでは申しませんが、よほど大臣も注意しておいていただきたい。こういう底流があるということです。これは委員人間的な任命の仕方にも底流があるのですよ。それだけの注意をしておきます。  そこで次はもう一つの原因である、一番中心になるわけですが、病院における労働条件が悪い、それから診療報酬が適正でないということです。これはうらはらの関係ですよ。病院における労働条件が悪いということは、診療報酬が適正でないから悪いということにもなりますし、これはたての両面を形成しているわけです。一体この二つの条件を改定をするために、一つ方法として、厚生省医療費改定の考えを持ってきておるわけです。医療費改定の厚生省の基本的な方針は一体どういうことなのかということなんです。医療協議会にお諮りになるのもけっこうです。しかし政党政治だし、古井厚生行政という固有名詞をつけられる厚生行政ですから、今の古井さんの厚生行政としては、医療費改定の基本的な方針としては、このスト、一斉休診を前にして厚生省は一体どういう基本方針をお立てになるかということであります。この医療費改定の基本方針をお聞かせ願いたい。
  103. 古井喜實

    古井国務大臣 医療費の問題はむろん今お話のように病院ストともつながっておるわけでありまして、その面を否定することは実際問題としてできないと思うのでございます。しかしスト解決の対策としてだけ考えて出しておるのではないのであります。スト関係があろうがなかろうが、今日の医療費に無理がある、こういうところからきておるのでありますから、あながちスト対策だけで割り切ってしまうわけにはいかぬと思うのであります。そこで医療費に無理があるかないか、これは診療機関の経営が成り立つか成り立たぬかという、今日の現状を見てみなければならぬと思うので、今日の医療費のもとで経営が成り立つか、成り立たねかを、午前も申しましたような基礎で考えてみると、全体的にいって、総体ひっくるめて、この際一〇%は総医療費に対して補てんしなければ無理だ、こういうことを一応積算したわけであります。そこで今度は総医療費に対して一〇%といたしました場合に、どういう方法で、実際的にこれを診療報酬の形に当てはめて具体化したらいいかということになるわけでありますが、これにつきましてはやはり一方には何といっても点数単価という形になるのでありましょうけれども、点数表というものは医学的に見て合理的なものでなければならぬという面も重要に思いますし、同時にこの引き上げによって、改正によって、なるべく多数の診療機関に満足を与えるという面も考えなければならぬことであります。そこで医学上の見地、また診療所として経営が成り立っていくためにどうすることが必要かという診療所の経営という面、こういうことを考慮して一番適切な方法をこの際として見出すことが方法論になってくるのだと思うのであります。これにつきましては、医療協議会は今まで満足に動いておりませんけれども、筋として医療協議会で論じてもらうことがよいことだと思うのであります。法律的にも論じてもらわなければならないししますので、そこで医療協議会で、まだ一ぺんも諮っておりませんから、論じてもらって適切な結論を出したい、こういう考え方でおるのであります。これはもう技術的な、専門的な面もあるし、医療協議会で論じてもらって結論を出したい、こういう考え方でおるのであります。厚生官僚の独善、独走もうまくなかろう、こういうわけでおるのであります。
  104. 滝井義高

    ○滝井委員 医療費改定の基本方針は、経営が成り立つかどうか、厚生省としては全体的にいって一〇%補てんしたら経営が成り立つ、こういう形になってきたわけですね。一〇%財源を補てんするんだが、点数でやるか、単価でやるか、点数は合理的なものでなければならぬ、医療機関に満足を与えるようなものにしなければいかぬ、適正な方法を見出すためには医療協議会にかけよう、こういうことになったわけであります。経営が成り立つようにしなければいかぬ、成り立つためには一〇%で大体いいだろう、このくらいなければ無理だ、そのためには医療協議会にかける、一〇%、医療協議会、大体煮詰めてみるとこれが基本方針です。  そこで次々にお尋ねしていきますが、改定の時期はいつからでございますか。
  105. 古井喜實

    古井国務大臣 改定の時期はなるべく年度初めからという希望を持っておったのであります。しかしその後だんだん検討してみますと、踏まなければならぬ手続の問題もありますし、それから事務的準備の問題もありますし、そこでもうあらためて申すまでもなしに、きょうの計画としては七月の初めから引き上げをしたい、こういうことに考えておるのであります。
  106. 滝井義高

    ○滝井委員 七月の初めから医療費を改定する、医療費のワクは一〇%だ、こういうことがきまったら、中央社会保険医療協議会がやるところはもう大して実はないですな。と申しますのは、一〇%という数字が出るためには根拠がなければ出ないはずです。一〇%の数字が出るためには一つその根拠をお示し願わなければいかぬことになる。昭和三十二年九月に、社会保険医療診療報酬の算定方法並びに点数及び単価策定方針の概要というものをお作りになったのです。これは八・五%医療費を上げる基礎です。これを一つ厚生省はお出し願いたいと思うのです。点数単価はどうするかということは別ですよ。日本医療経営を合理的にするためには一〇%で適当だ、無理のないところ一〇%だといって予算をおとりになったのです。従って、このおとりになったこれをお出し願いたい。これをまず御説明願いたい、これと同じ方式でおやりになっているはずですから。これは大臣が無理ならば局長でよろしいです。これは昭和二十七年三月調査を基礎にしてできたものですから、これをずっと述べたものでしょう。物価、人件費その他を基礎にして訂正されたわけですから、これを一つ国会にお出し願いたい。そしてできれば概要だけでも御説明になっていただけばなおいいのですが、これがもしないということになると、一〇%の合理性はないわけです。その診療報酬の額をきめるのはどこがきめるんだというと、今大臣医療協議会に諮ってきめるんだとおっしゃる。一〇%のワクというものは、積み上げの上でそれが一〇%にならなければ大臣の期待に反するわけです。だから大臣としては一〇%になるためには逆算をして、これははっきり出てきておるはずですね。一〇%というものは下から積み上げて出てきたのだから、従ってそれをずっと下に持っていってみると、大体単価が十円ならば点数はどういうことになる、点数と単価を変えればどういうことになる、あるいは点数だけを変えればどういうことになる、単価を変えればどういうことになると、いろいろ出てきておるはずですね。出てきておらなければ一〇%というものは出てこない。積み上げた結果が総医療費として一〇%、約四千億の総医療費なら、四月一日からやるとすれば四百億の金が要りますぞ、しかし七月だから二百八十五、六億でございます。こうなっているのですから、大臣、一体どういう算定のものでこうなったのか。これは大臣の御理解の程度でけっこうです。専門的なことはあとで資料を速急にこれと同じものを出していただく。これは同じものをお作りになっておるはずです。二十七年の三月調査が全部出て、それから改善案が出たのですから、二十七年三月と、この改善案、それから今度の改善案をお出しいただけば、これは正しいか正しくないか、合理的であるか合理的でないかということははっきりしてくるわけです。こまかい点はよろしいです。そこで大臣としては、常勤の医師が二十七年三月には二千六百七十三円十三銭だったものが、改善案で三十二年の九月には七千百五十三円五十一銭になった。今度一体幾らになるのか。これくらいのところは大臣もお考えになって一割ということをやっておるはずだと思うのです。そこらのことは知っておかないと、医師会の会長あたりとテレビの討論をやるときに太刀打ちできないことになるのですから、ここだけは一つ知ってもらいたいと思うのです。どの程度になりますか。ただ、そんな七千百五十三円五十一銭という必要はないです。たとえば約九千円、約一万二千円、これでいいです。
  107. 古井喜實

    古井国務大臣 局長から詳しいことは御説明申し上げますけれども、まず先に申し上げておきたいと思いますのは、あの一〇%というものは一つの基礎をもって出したものであります。それはあと事務当局から御説明申し上げます。  そこで、本来ならば、今までにも申し上げましたように、医療協議会というものを先に開いて、幅も内容方法もそこで意見を明らかにしてもらった上で、これを元にして予算を組みたかったのであります。けれども医療協議会を開いてからといっておると、あの通りの事情で今度の予算には間に合わぬようになる。そこで厚生省当局の方で算出した基礎におい予算は一応掲げていこうじゃないか、そうしなければ一年おくれてしまう。しかしあと医療協議会にはかけなければならぬ。医療協議会を全然抜きにしてということは、建前からいってもできないと思いますし、事柄としてもすべきものではないと思いますので、医療協議会にはかけなければならぬ。医療協議会審議をされた結果、われわれとしてはこの際一〇%と思っておるけれども、もしどうしても一〇%では不十分なんだという結論が出れば、この御意見にも耳を傾けなければならぬのではないか。方法論についても、まだ審議をわずらわしていないのですから、十分審議をしてもらって、一律引き上げるという方式で簡単明瞭にいって、それでもういいのか、あるいは点数にも合理化をする必要があるのか、その辺も審議をしてもらって、その結果には大いに耳を傾けて、最後的にきめる、こういう順序をとらなければならぬと思うのでありますから、一〇%はもうきまっておるのではないか、こういう算出の基礎はあるから、それでもうおしまいじゃないか、こうはいかないのであります。これは医療協議会審議してもらう面が大いにある、こういうふうに考えておるのでありますから、審議を待って、考えるべき点は考える、こういうことになると思います。内容につきまして、取りまとめて局長から御説明いたします。
  108. 滝井義高

    ○滝井委員 時間がございませんから、資料をあとで出して下さい。この二十七年三月の調査と同じ資料を……。これは医療協議会にかける前にお出しになったのですよ。八・五%上げるときにも、こういう具体的な内容というものは、医療協議会にかける前に、厚生省保険局の案として出てきたのです。今度の案だって一〇%でけっこうです。それが適切であるか不適切であるかは、これはゆっくりわれわれも検討させてもらいますから、それはけっこうです。今大臣、この七千百五十三円がどれくらいになるかまだ聞かれていないようですから、それはあとでけっこうですから、速急に資料を出して下さい。  大臣は非常に医療協議会を過重に今度は評価されておるようなんです。今まではそうじゃなかった。ほとんど厚生省がこういうものをお作りになって出していたのです。厚生省は点数も何もみな作っておるのですよ。全部作ったのです。そういう例はないのですよ。今あなたの言われるような医療協議会の取扱いをしたことはないのです。今まで厚生省が点数も単価もみな作って国会に出し、医療協議会にお出しになったのです。そうして医療協議会は、過去においてその出したものを一回も決定したことはないのです。たとえば昭和二十六年の谷口弥三郎氏が医師会長のときも、一円五十銭を上げるのは、あれは医療協議会で決定していないのです。今度の甲乙二表を決定するのも医療協議会では決定していないのです。三十三年も決定していないのです。そういう歴史的な経過があることはお知り願っておきたいと思うのです。しかしとにかくこういうものは出さなければいけないのです。政府ですから、政府がやはり原案を示さなければいけないのです。そうしてこれが不適正であった場合に、これが今度は大臣に尋ねたいところです。今大臣は、とりあえず自分の方の計算の基礎によれば一〇%がいいんだ、しかし医療協議会が一〇%ではいかぬと言えば、それはいつでも変えます。こういうことなんですから、いわんや国会が一〇%ではいかぬということになったら、それを変えることになるだろうと思うのですよ。国会のことは当然です。それでは医療協議会が一〇%ではいかぬということになると、補正予算を組みますね。ここだけ一つはっきりしておいてもらえば、あと事務的なことですから……。
  109. 古井喜實

    古井国務大臣 国会のことは申すまでもない、国会独自の権限でおやりになることは、それでもう成り立ちますから、申し上げるまでもありません。それから医療協議会の方は、審議の結果、もしどうしてもこういう根拠で不十分だということになりますれば、これに対する財政措置というものを、もっともだ、こういうことになれば考えなければならぬと私は思います。
  110. 滝井義高

    ○滝井委員 それでわかりました。当然財政措置を考えるということは、その大半は補正予算によらなければならぬことになると思うのです。あとで財政の方も少しお尋ねします。  そうすると、甲乙二表の一本化というものは、すでに国会の最南方針として議決されておるわけですね。これはいつおやりになるのですか。甲乙二表の一本化というものは、国会は与野党を通じて最高方針として議決をしています。これは一体いつおやりになるのですか。
  111. 古井喜實

    古井国務大臣 甲乙一本化は、これは一本化という考え方共通しておるのでありますけれども、百も御承知のように、乙表を中心の一本化か、甲表を中心の一本化かというところには、同じ一本化という言葉でもずいぶん考え方が違うのでありますから、実際問題でこれはたやすいことと思いません。けれども点数表の問題でありますから、こういうことこそ医療協議会というものは十分審議して、点数表が一つ二つかという問題ですから、一つにするという意見が固まりまして、それが答申になるなら大いに尊重したいと思うのであります。  なお従来医療協議会というものをそう重んじてないのではないかとおっしゃるが、それがよいことかどうかということも考えてみなければならない。何のために医療協議会を設けているのか、医療協議会自体まずいところがあって、軽んぜざるを得ないというのだったら、医療協議会改善するように考える、そうでないなら大いに尊重して活用すべきである、右か左かだと私は思うのであります。でありますから私は尊重してやるべきものだという考えも一方持ちますと同時に、それだからまた医療協議会というもののあり方がきょうの姿でどうも実績上思わしくない、こう思いますので、何とかこれをよい姿にしなければならぬ、こういうふうにも思いますので、両方、重んずるということと改善するということと、一貫して考えているわけであります。
  112. 滝井義高

    ○滝井委員 三十三年以来三十四、三十五、三十六と、足かけ四年間機能を停止しているのですね。政府は労働組合には法律を守れ守れとおっしゃるけれども、一年に二回は開かなければならぬと書いてあるその法律を、政府は守らないのですよ。それを打開し切らないのです。守らないが、同時に打開もし切らなかったというわけですね。あなたも御就任になってからまだ足かけ三カ月か四カ月ですから御無理かと思いますけれども、政府はそれをやってこなかった。医療協議会が機能を停止しておるならば、医療審議会というのがあるのだから、それを一ぺん活用してみることも、知恵を出したらよかったのです。私が指摘したのだから。そういうこともおやりにならない。公的医療機関にストライキが起こっているのだが、公的医療機関の診療報酬はどういう程度がいいかおやりになったらいい、そこから突破の糸口が出てくる。それもやらなかった。医療協議会をどうするかでもめてきた、じんぜん日を送ってきた、こういうことです。そういうことは困るので、今度は大臣一つ勇断をもってそこらの糸口をすみやかに開いていただきたいと思うのです。甲乙二表を一本化せいというのは、これは最近決定したものではないのです。おととしの十一月に決定したものです。それをやらないのです。そして医療協議会医療協議会といっている。国会の意思と医療協議会の意思といずれが大事ですか。国会の意思の方が大事でしょう。国権の最高機関の国会が十一月に議決をしたものを、一年以上もじんぜんと日を過ごしている。一体大臣監督の総大将として何をしておったかといわなければならない。じんぜん日を過ごしていた、こういうことが問題なんですよ。そして医療協議会結論ばかり待っておるということでは、それは行政にならぬです。国民の代表の府である国会が一本化しなさい、すみやかに一本化せいと言っている、それをやらないのです。こういう状態でサボっておるのです。またサボっておるものをほんとうは責任を追及しなければならないのです。これは太宰さんが保険局長のときやったのですが、今まで何をしておったのですか。森本さんはどういう努力をしたのですか。一本化のためにどういう案を国会に出したのですか。言ってごらんなさい。
  113. 森本潔

    ○森本政府委員 私は当時社労で議論したと存じております。それでお話がございましたように、一本化の案を作って実施しようと思いますと、これは医療協議会諮問をしなければ実施ができないという性質のものでございます。そして役所におきますところの検討といたしましては、いろいろの考え方を検討いたしておりますが、それを実行に移すという段階になりますと医療協議会諮問をしまして実施に当たるということになっております。従いまして一応役所の研究は研究でございますが、表へ何らかの形で出すということは、ただいま医療協議会が御承知のような動きでございますので、出す運びに至っていなかった、こういう実情でございます。
  114. 滝井義高

    ○滝井委員 それならば三十三年の甲乙二表は医療協議会にかけましたか。
  115. 森本潔

    ○森本政府委員 もちろんかかっております。答申もいただいております。
  116. 滝井義高

    ○滝井委員 かかってないでしょう。かかってないはずです。甲乙二表はかかりましたか。点数を違えるということが医療協議会にかかったですか。かかってないでしょう。
  117. 森本潔

    ○森本政府委員 これにつきましては御存じのように当時どのくらい日子を要しましたか、約半年近い日子を要しまして医療協議会諮問をして御審議を願った、そして答申をいただいたということでございます。
  118. 滝井義高

    ○滝井委員 甲表と乙表がかかっていないのです。それじゃそれは水かけ論になりますから、あとでそのかかった記録を一つ出して下さい。それでけっこうですから……。
  119. 古井喜實

    古井国務大臣 今の問題について、過去の点についてのお尋ねもありますが、私はとにかく医療協議会にそういう種類の問題はかけてきめるならきめたいと思いますので、過去にかけたか、かけなかったか知りませんけれども、今後の問題としてはかけないで独断できめるという行き方はよくない、こう思っておりますから、協議会を活用したいと思うのであります。  それからもう一つ、一本化ということは確かに正しい考え方だと思うのであります。ところで一本化を、具体的にきょう甲乙二表あるものを考えるとするとどういうことになるのか。乙表に一本化するのか、甲表で一本化するか、チャンポンにしてあいのこで一本化するのか。一本化という言葉は簡単でありますけれども、実にこれはむずかしい問題だと思うのであります。これはお考えもどういうお考えか知らぬけれども、乙表中心の一本化か、甲表中心の一本化か、いろいろ考え方の対立もあると思う。こういう種類の重大なことは役所の独断などできめるのはよくないと私は思うののであります。今までがどういう行き方であろうと、やはり医療協議会というものをよくして、かけてきめるべきものだ、今後の問題としてはそう思っております。
  120. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣の気持としてはよくわかるのです。やはり現在というものは過去の連続としての現在があるわけです。そして、過去と現在を十分かみしめて将来への展望が出てくるわけですよ。ところが過去はそういうことをやっていないわけなんですね。あなた自身もやらなかったのです。たとえばカナマイシンについても、いいと思ったからやったんでしょう。政治はここなんです。こだわって、医療協議会を開かなければどうにもならぬというなら、一体国会の意思はどうなんだ、こうなる。医療協議会と国会とどっちが大事だと私は開き直らなければならぬ。国会の方が大事です。国権の最高機関が議決したものをやらないで、医療協議会が開くまで待つというならば、何のためにあなたはやったか、人間の命が大事だからカナマイシンをやりました、こういうことが出てくるじゃないか。だから議論をすればこの問題は私の方が勝ちです。あなたはこういうことをやっておって、法律を無視したのだから、それ以上は言わないけれども、やはり国会が議決したことは忠実に実行しなければいけないのですよ。あれだけもめてやっておるのですから、それをのほほんと自分たちの気に食わぬことなら国会が何をやろうとやらぬのだというのはけしからぬ。そういう態度なら森本保険局長責任を追及しなければならぬ。医療協議会が開かれぬのはだれの責任か、あなたたちの責任じゃないか、そうでしょう。それだけの力がないから開かれない。そうすると二重の責任を負ってきているわけでしょう。それをやらせられない大臣の政治責任もある、行政上の責任がある。法律はちゃんと六カ月は一回開くことになっているのだから、開かないならば開かせるように何とか対策を講じなければならぬ。これはしばらく大臣のお手並みを拝見さしていただきます。ぜひ一つ早く開いて、あれを改組されたならば——改組するといったって簡単にいかぬですよ。法律を国会に出さなければならぬのだから、そう簡単に右から左にいくというわけにはいかぬのです。そうむずかしい要素があるから、なかなか簡単にはいかぬ。当面の間に合わぬ。それならばやはり次善の策を考えなければならぬという問題が政治的に出てくるわけです。そこに私が午前中に言った打開の道もあるということなんです。  それから予算の問題についてですが、医療費を一〇%お引き上げになる、この程度なら無理がなかろう、こういうことをおきめになったわけですね。この一〇%の根拠はあとで資料で出していただきます。その資料をわれわれ見てからゆっくりまた質問をさしていただきますが、一〇%のお金というものは一体幾らになって、予算上どういうように配分されるのですか。
  121. 森本潔

    ○森本政府委員 それでは申し上げます。最初に医療費引き上げに伴いますところの医療費の増額分でございますが、これは保険関係におきまして二百十七億、保険以外の制度におきまして三十七億でございます。
  122. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると保険が二百十七億と保険以外が三十七億、二百五十四億ですか。
  123. 森本潔

    ○森本政府委員 そうです。
  124. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると一〇%引き上げのために医療関係でとっておる予算は二百五十四億ですね。間違いありませんね。
  125. 森本潔

    ○森本政府委員 申し上げますが、今申し上げましたのは医療費引き上げに伴います医療費の増額分でございまして、これは予算の積算の基礎にはなりますが、予算の上に現われて参りますのは具体的には国庫負担の額が現われてくるわけでございます。これを申し上げますと、国民健康保険におきまして三十九億、それから政府管掌健康保険におきまして三億、弱小健康保険組合に対しまして一億五千万、日雇い労働者健康保険におきまして二億、ちょっと端数がございますが、略して二億と申しておきます。船員保険におきまして五千万、合計いたしまして保険関係の国庫負担額が四十六億でございます。それから保険関係以外の他の制度でございます。約十近くございますが、生活保護、以下結核予防、精神衛生、これらの国庫補助または負担額の総計が二十八億、こういう数字になっております。これが予算に出ております国庫負担または補助額の経費でございます。
  126. 滝井義高

    ○滝井委員 保険関係が四十六億と生活保護その他が二十八億、七十四億ですね。そうしますと、国保の三十九億の中には当然五分の調整交付金分と二割の国庫負担分が入るわけですね。それを除きますと、幾らになりますか。
  127. 森本潔

    ○森本政府委員 三十九億のうち二十四億が現行制度によりますところの国庫負担分、残りの十五億が、医療費増徴に伴いますところの特別の補助金という額で、十五億計上されております。  なお、先ほど申し上げました数字の中で、日雇い健康保険の一億五千万という数字が法律上当然負担になりまして、それに五千万ついて二億という数字が出ておるわけでございます。その他はいずれも予算補助の性質のものでございます。
  128. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと国民健康保険においては七月一日から厚生省通り、やり方その他は別として、一割上げると大体三十九億の金が必要になる。それで三十九億だけ政府が持つことになる。そのうち二割と、五分の調整交付金も入るのですか、これが入って二十四億、そうしますとあとの十五億は各市町村にどういう工合に配分するのですか。
  129. 森本潔

    ○森本政府委員 この十五億でございますが、これは大体ただいまのところ被保険者に均等に補助するのがいいのじゃないか、一応かような考え方をしております。
  130. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣御存じ通り国民健康保険というものは今までこういう補助の形態をとったことはないのですね。医療費の二割をべたにやって、それから財政の強弱によって五分の調整交付金をやるわけです。そうすると、健康保険組合にはべたにやらずに、弱小の組合について一億五千万円おやりになるわけです。こういう理論ですよ。そうすると、なぜそれじゃ弱小に十五億おつけになるのですか。五分の調整交付金を六分か七分にされたらいいじゃないですか。国民健康保険よりか、財政のいいところには、弱小と強いやっと区別したのです。ところが国民健康保険だって、東京都の国保、名古屋の国保——名古屋はまた最近できますが、大阪の国保と、それから北海道のいなかの国保とはずいぶん違いますよ。たとえば保険料だって、全国平均が三千五、六百円なのに、北海道のごときは五千円納めています。こういうところにもべたでやる、こういう政策はないのです。しかも健康保険には、財政の豊かな健康保険については弱小組合だけおやりになるという政策をおとりになる。この政策だけでも一貫性がないじゃないですか。弱小の市町村に十五億をおつけになるという政策をおとりになるなら話はわかる。
  131. 森本潔

    ○森本政府委員 お話のような考え方もあると思いますが、健康保険について、一般の財政の丈夫な組合に対して特に補助する必要はないということは、御了解願えると思います。従いまして、弱小の組合だけにしてあります。それから国民健康保険につきましても、お話のように、財政のいい市町村、悪い市町村、いろいろございます。それに対しましては一応二割の負担金、これは平等でございますが、五分の調整交付金によって、財政状況に応じて操作いたしておるわけでございます。従いまして、そういう意味の財政の強弱に応ずる操作というものは、五分の調整交付金でいたしておりますので、一応足りるのじゃないか。そういたしますと、今回の十五億を財政調整交付金に使うか、あるいは被保険者に平等に使うかというのは、また別の見地から見てもいいと思うのであります。今回の医療費引き上げは、各市町村共通に行なわれるので、そういう見地から見ても平等でいいじゃないだろうかというような考えでございます。一応そういう考えでございます。
  132. 滝井義高

    ○滝井委員 だんだんはっきりしてきました。そうすると、一割上げると二百五十四億。二百五十四億の中で、患者負担は幾らあるか。患者負担と保険者負担……。
  133. 森本潔

    ○森本政府委員 患者負担でございますが、一括して申しますと、保険関係で六十四億五千万、それから保険以外の制度におきまして、これは全部の制度にあるわけじゃありませんが、生活保護、結核予防等若干の制度がございますが、これは十一億三千万という数字、これが患者負担、それから保険負担でございますが、これが保険関係の制度全部に通じまして百六億五千万、これが保険負担でございます。それから保険以外の制度におきましては、地方費負担というものがございますが、これが合わせまして九億でございます。
  134. 滝井義高

    ○滝井委員 厚生省は一人で保険者負担を百六億五千万円、それから患者負担六十四億五千万円とおきめになっておるようですが、こういうことは勝手におきめになっていいですか。医療協議会に諮らなくていいですか。大臣どうですか。
  135. 古井喜實

    古井国務大臣 これは診療報酬自体の問題ではなくて、これが引き上げになるために起こる団体の負担とか、それに対する財政対策あるいは患者負担とかいう問題でありますので、これは診療報酬自体の問題とは別の、その結果に対する財政対策の問題でありますから、かけなくてもよいという考えを持っております。
  136. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣一ぺん医療協議会の速記録をお読みになってみるといいですよ。医療協議会が点数、単価をきめる場合には、何を論議の基礎にしてこういうものをきめるかということですよ。簡単な悪い言葉ですけれども、一番わかりやすく言うと、売り手と買い手がおります。そうすると医療を売るのは医療機関です。売り手はこれを一体だれが負担するかということを一番心配します。それから医療を買う側も、これは保険者自身が負担するのです。被保険者の利益を代表する者は被保険者が負担するのを論議するのです。だからあの法律を見ますと。利益を代表する者です。医師の利益を代表する者、被保険者の利益を代表する者になっております。利益代表です。そうすると、自分が負担をするというようなことでは大変です。ここですよ。だからその点数と単価をどういう工合に上げるかということは、その負担が一体どこにいくかによって、その額は密接な関係を持つのですよ。だから医療協議会ではこれを重要な資料として論議の対象になるわけなんです。だからこれはなるほど医療協議会にはそのことはかけなくてもいいけれども、これが論議の一番の基礎になるのです。ここが土台ですよ。医療協議会の議論を通じてそこが土台になって、そして単価をどうするか、点数をどうするかという結論に到達するのです。だから実質的にはそれはかけなくてもいいけれども、そのかけ方の政府の意向を聞いてこれが論議になるわけです。だからこれは実質的にはかけたと同じ形になります。結果を承認するかしないかということは、同時にその前提を必要とするのですよ。そうしますと、患者負担がとにかく六十四億、しかも保険者負担が百六億。一体国はわずかに七十四億しか出さないのですか。いいですか。大臣、少なくとも日本社会保障をおれがやるのだ、こうやってまかり出て参ったのです。そうして四千七百億の自然増があるのですよ。健康保険政府管掌には一体どういう層が入っておるか、八百万からことしは多分九百万の被保険者になりますよ。百万ふえます。去年よりか百万も被保険者がふえて、しかもそれは二十二、三人の零細企業の労働者ですよ。所得倍増計画にはなかなかすぐに乗らない層です。この層は減税の恩典にも浴さない層です。そういう減税の恩典に浴することが少ない、しかも九百万もの中小企業の労働者が入っておる政府管掌健康保険に、一体国は幾ら出すのですか。たった三億じゃないですか。昨年度の五億を合わせてもたった八億じゃないですか。九百万もの零細な企業の労働者が入っている、命の綱と頼む保険にたった八億出して、これで池田内閣が所得倍増をやる、社会保障をやると言えますか。あなたは道理を主張する方だから、私はこれを開き直るのです。こう言うのです。道理を通そうとするなら大臣ここですよ。政府管掌健康保険の一割ぐらい負担することは当然ですよ。社会保障を前進せしめるためには、ここに少し金を入れなければ日本社会保障は前進しないのです。これを一割負担せぬで、たった八億、これで医療費の解決をやって、あと患者がやるとか保険が負担するといっても、保険だってこれは患者のものですよ。患者事業主がやったものです。これがたまっておるだけです。こういうものはもっと家族の負担分を減らすためにこの二百億の積立金というものは使わなければならぬ。家族は五割負担しておるのです。現在の日本医療内容を一ぺん古井さんお聞きになるといいですよ。一体今日本医療の受診率がどういうところで頭打ちになり、どういうところで伸びつつあるかということを御研究になってみるといい。受診率が頭打ちになっておるのは、本人、被保険者自身はもう頭打ちなんです。被保険者はいわゆる初診料の百円と入院した場合の三十円を出すだけだからどんどん行っている。ところが健康保険家族が飢えておる。国民健康保険の全被保険者が飢えているのです。ここなんです。国民健康保険の被保険者健康保険家族のために金をとらなければいかぬです。この負担をさせたのでは日本医療というものはあってもなきがごときものに等しくなるのです。しかも五割負担させて、その上に一割上げたものを負担させる、こういうばかな政治はない。社会党は、もしあなたがこういう案を通そうというならば今度は断固として反対します。それは焦土戦術です。こういうやり方をするならば社会保障ではない。あなたは今からでもおそくはありません。ほんとうにあなたが道理を通そうという大臣なら——かつて池田さんが大蔵大臣のとき何と言ったか、おれの目の黒い間は健康保険の三十億の補助金は絶対削らぬと言ったのです。その池田さんが今総理大臣、大蔵大臣より上になってきた。だからこれに一割とったって、政府管掌健康保険は千億そこそこですから、百億出る。百億出れば何のことはない。百億とれぬとは言わせません。零細な企業に集まっている労働者のために百億の金を国が出さぬというようなばかなことはない。これだけ日本の生産に寄与し、所得倍増の下積みになってしし営営として血と汗を流して働いている労働者のために、百億の金を社会保障のために国が出せぬということはない。あなたは筋を通す大臣として申し上げるのですが、どうですか、ここらあたりで一つ筋を通して、今からでもおそくはないからあなたが池田さんに患者負担はいかぬと談判して下さい。方法は私が教えます。出せる方法はあるのです。これは補正予算でけっこうですから、あなたさえ賛成してくれればいい。あなたがやらなければわれわれがやります。健康保険法の改正が出ますから、そのときに健康保険はお産の給付の改正を出します。国民健康保険は精神病と結核について七割の給付をやる改正を出しますから、そのときに健康保険については一割の国庫負担をやる、国民健康保険については二割を三割に増加する、そして三分とか五分の調整交付金を出す、これだけやれば問題は簡単に解決します。これが通らぬというなら、あなたは厚生大臣をおやめになった方がいい。率直に申します。これが目ですよ。これを通さないで、あなたが六百三十六億の金を取ったと言っていばったってだめです。これをやれるなら、私はあなたに平身低頭します。古井厚生行政の前に、社会党はひざまずきます。しかしこれをやらずして、所得倍増計画の中において零細化が促進される農民や中小企業から、年金や国民健康保険の金を取り上げていく、そういう政策はないじゃないですか。この点は、道理を言うあなたの声を一つ聞かせてもらいたいのです。
  137. 古井喜實

    古井国務大臣 今お話を伺っていると、私の伺うところでは、二つが一緒くたになってしまったようなところがあるような気がするのであります。今のお話は、国保では結核、精神病の給付率の引き上げの問題、政府管掌保険では家族に対する給付率の引き上げの問題なんです。家族の五割をもっと上げるということなら金を出さなければならぬ。給付率を上げるということなら、それに対応して金を出さなければならぬ。今の問題は医療費引き上げに伴ってのその財政対策の問題でありますから、そのためには国庫負担といいましても、掛金とか保険金を増徴することにでもなるならば負担を増します。それは困るからそういうことをしないで済むように、政府管掌だって保険引き上げはやらないのです。とにかくやらないで済むのです。ですからもし増徴するのならもっと政府から金を出して増徴させないようにしなければなりませんけれども、それはとにもかくにも増徴しないで済むのでありますから、これの対策であと残っているのは患者負担です。もともとの患者負担、家族の五割負担、そんなものはどうするかということです。これは給付率の引き上げの問題であって、きょうの制度を改善していく問題になってきて、ちょうど国保の五割を七割に上げるとか、これはその問題になるのじゃないでしょうか。ですから政府管掌家族給付率を引き上げるとか国保給付率を引き上げるというのは、今後大いにやりたい問題なんです。そのために国から金を出す必要があるなら、当然引き上げる費用を出さなければならぬ。それは大いに今後の問題だと思いますが、きょうのは医療費引き上げに伴った財政対策の問題であります。そのために保険料や掛金を増徴しなければならぬかどうか、それは政府管掌ではしないで済ませるのです。まあ金はたくさん上げた方がいいでしょうけれども、この程度に済ましておるわけでありまして、この点はそういうふうに御了承願いたいと思うのであります。
  138. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣は誤解しておる。今度一割医療費改定をして引き上げますと、五割負担分でけっこうなんですよ。五割負担に当たるところの分の中に一割増があるわけですから。一円上げれば五十銭は保険が持つのです。五十銭は患者が持つのです。その五十銭の負担というものが積もり積もって六十四億五千万円になるのです。ここをいっているのです。私はその六十四億五千万円というものを国が持ちなさいと言っているのです。国が持つためにはどうするか。健康保険にたった八億はけちくさい。八百万も九百万もの零細な企業の労働者が大部分入っている健康保険に、国が事務費とたった八億の金ではけちくさいじゃないかというのです。これは道理が通るのです。ずっとふえる情勢にあったのです。しかも二百億の積立金ができておる。そういうものをこの医療費の改定の中に、今の御意見では相当回すことになる。われわれがもらっておったもとの資料とだいぶ違います。たとえば政府管掌保険では五十五億くらい保険者が出すことになっておる。それは積立金を取りくずすほかに金がない。あるいは保険料の自然増をくずすことになる。そういう金があるならば、その分は家族給付費の五割給付を六割給付か七割給付にしなさい、これで家族の恩典が出る。そして国が八億を一割にしたら、これで百億ぐらいの金は出ますから、それで一つ患者負担をカバーしなさいと言っておる。その百億の金を国が出さないとは言わせませんぞと言っている。あなたの方が出さないならば、ここに与党の良識のある議員がたくさんおられますから、健康保険の改正が出たら私は修正をやります。われわれから出されて大臣がおたおたするより、前もってここで切り出したらどうかと言っている。幾らでも私は対策を持っている。金を出さなくてもできる方法は、たとえば本年度の自然増収が健康保険だけでも百万人政府管掌で被保険者がふえます。これだけで百八十億の金が増加する。こういうものがあるのですから、医療費の改定というものは患者負担でなくてもできる。あなたがやらなければ私がやってみせる。そして一割国庫負担をおやりなさい、これがどうしてできませんかというのです。そこらを十分考えになってもらわなければ困る。たった八億の金で天下に名をとどろかした古井大臣が、おめおめと下がることはないじゃないですか。そこなんです。国民健康保険だってそうでしょう。あなた方の案は幾らになるのですか、国民健康保険とそれから政府管掌健康保険日雇い健康保険、この患者の負担を言って下さい。
  139. 森本潔

    ○森本政府委員 患者の負担から申しますと、国民健康保険四十六億五千万円、政府管掌十億五千万円、健康保険組合六億、日雇い労働者健康保険一億、これが患者負担でございます。それから保険負担でございますが、国民健康保険が九億五千万円、それから政府管掌健康保険が五十六億、それから健康保険組合が三十六億五千万円、それから日雇いの方は三億、これは借入金でございます。以上でございます。
  140. 古井喜實

    古井国務大臣 さっきの話でありますが、政府管掌ならば家族患者負担、それから国保本人並びに家族患者負担、これは医療費が引き上がれば負担がふえるわけです。それをふやすまいとするのは、つまり給付率をそれだけ引き上げるということになるわけですね。そうしなければ五割負担するということになれば、五割がふえてしまうわけですから。それを診療報酬が上がっても現状通りということにするということは、給付率、本人の負担率を下げる、こういうことでしょう。でありますから、これは結局給付率の改定の問題になってくるのです。そこまでやりさえすれば非常にけっこうでありますし、のみならず今度値上がりをする分だけ、それだけの部分の給付率の引き上げでなしに、国保だってもっと大きい太い線で給付率を引き上げたらよいじゃないか。政府管掌家族だって問題があるじゃないか、そういう意味で、その点は給付率の引き上げという問題として考えるのが私は筋じゃないかと思います。さらばといって、上がった分だけを給付率を変えるというのは、絶対成り立たぬということで申しておるのじゃありませんよ。そういうふうに考えるべきで、医療費の今の引き上げという、その狭いわずかの問題として考えるのよりも、もっと根本的な問題として考える方がよいじゃないか、こういう意味で私は申し上げているのです。滝井さんは、それは百も御承知でおっしゃっておることでありましょうけれども、すぐの医療費引き上げという問題として考えたらいいかどうか、やはりこれは問題はあると思うのです。
  141. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣、その議論でいきますと、十五億円の国民健康保険における配分というものは、それはその議論は通らぬことになるんですよ。これは被保険者に一人ずつ均等に配分するとおっしゃっていることでありますから、そうでしょう。だからそれだったら十五億だって百億だって結論は同じですよ。百億を出したら均等に配分したらいい。被保険者に向かって均等にやったらいいのですよ。あなた方が十五億やるとおっしゃるから、私はそうおやりなさいと、かえってこう言うわけですよ。そうでなければ私はもう改定をしなさいと言うんです。だから私が十五億というのは五分の調整交付金でやるのかと言うのはそこなんです。そうじゃないのだ、五分というものは、弱いところにはもういっておるのだから、十五億は強いところも弱いところもみな均等にやります。被保険者一人当たりにやりますというなら同じことじゃないか。百億の政府管掌保険をおとりになって、被保険者に均等に政府がお出しになったら同じことなんですよ。(古井国務大臣「それは違う」と呼ぶ)いや、それは違わぬですよ。理論としては同じことですよ。いろいろやり方、テクニックはありますよ。それはやり方のテクニックにおいて、あるいは給付率の改定になるかもしれないし、あるいは初診料の撤廃の形でいくかもしれないし、いろいろ方法はあると思います。方法はあるけれども、財政的な技術としては同じですよ。たとえば五千万円を日雇い船員保険におつけになっておる、こういうものだって同じです。船員保険に五千万円おつけになっておる、これは健康保険と一体どこが違うか。あるいは八億を健康保険におつけになっておる、それはただ財政計算でガラガラに入れていくだけのことです。それは積立金になるのです。医療費の改定といって、保険料でまかなえるのだから、案外八億というものは積立金になってしまうのですよ。だからそういう理屈を言えば、その通りになるのです。そうすると八億は給付率を改定することになる。ところがそれは、自分の方で今まで三十億毎年お入れになったのです。三十二年と三十三年ですか、三十億お入れになった。そうしたらいつの間にか黒字になったから十億に減らして、おととしから五億に減らして、去年も五億にして、今年また財政対策費として三億つけているけれども、財政対策費として三億つけたって、保険に二百億の積み立てがあるのだから、それは理論的に言うと積み立てをする金にやったのと同じことになるのですよ。だから大臣、それは今のような技術論になるといろいろ方法があると思います。余った金は給付率の改定でもいいのですよ。積立金でもいいのですよ。余った金があればそれはどうでもいいが、当面現実に五割の中に一円上がれば五十銭患者負担をしなければならない。その総額が六十四億になる。これを患者負担させることは困る、こういうことです。保険者の金だってこれは患者保険料の蓄積ですから、これは患者の自由に、給付率の改定か何か、本人の入院の三十円を撤廃するか何かに使ってもらいたい。これは被保険者の声ですよ。その民の声を無視して厚生省はやらなかった。それで六五を六三に引き下げる政策をとった。被保険者団体はあれを入院費か初診料にしてくれという要望だった。それを強引に料率の引き下げにお使いになった。だからこれは議論になりますけれども、とにかく国民健康保険政府管掌における国庫負担というものは、増額をしてもらわなければとてもこの問題は解決しませんよ。簡単に七十四億出してそれであと医療協議会を改組したらこの問題は解決するという浅い認識ではだめだということです。これははっきり申し上げておきます。  それから大臣は、中央医療協議会というものを改組されるお気持になったわけですね。大臣には大臣のやはり腹案がなくちゃならぬと思います。一体中央医療協議会を改組せられる、——大臣は非常に中央医療協議会を重視されている。私もそれは重視することは賛成です。重視すればするほどやはり白紙で諮問機関に諮問をすることも一つ方法かもしれぬが、出てきた答申に対して今度はあなたがものさしを当てる。取捨選択をする権限というものはあなたにあるわけです。従って取捨選択をする場合、あなたは一体改組にあたってどういう基本的な考えを持っているか、これをまずお伺いしたい。基本的なあなたの改組に対する考え答申が出た場合のものさし、今まで四者構成で失敗したのだけれども、一体どういう基本的な考えを持っているか。委員の数とか構成とかいろいろあると思いますけれども、基本的なあなたのお考えを聞きたい。
  142. 古井喜實

    古井国務大臣 社会保障制度審議会という権威のある機関に意見を聞くのでありまして、そこで十分自由に論議して最善の結論を出して下さいとお願いしておるのであって、私の方はこういう考えでありますゆえ、持ってきてもこのものさしに合わなければだめですよ、こういうふうに初めから出てしまっては、せっかく十分自由に論じてよい結論を出してやろうと制度審議会が考えておられるとすれば、私はうまくないと思う。やはり自由に論じてもらってこれが一番よいという意見を出してもらって、それまでにこっちがどうのこうの言わないで、これを尊重して考えることがよいと思うのです。ただ願うところは、何にせよ、今までの医療協議会はあの通りにいわばえんこしてしまって、まるで動かない。動かないものではしかたがないから、円滑に動くようなものにしてもらいたい。それでなければ意味がないのですから、それは希望いたします。その動くようにするにはどういう案が最善であるのかということは、これはもう各方面の人があそこには入っておいでになるのだし、達識の人ばかりの集まりでありますので、私どもが一方的にどうのこうのと言うよりも、まず十分論議してもらってよい意見を出してもらう、これを拝見して、尊重して考えるというのが一番よいことであります。
  143. 滝井義高

    ○滝井委員 医療費の一〇%をおきめになるときは、予算編成に藉口して一〇%が無理のないところだ、こうおきめになったわけです。これは何と言ったって一つの既成事実です。これは大臣がどう抗弁されようと一つの既成事実を作っちゃったんです。世間は一割が妥当だという見方になっちゃったわけですね。大臣もまた一割ならば大体反対がないようだ、こうおっしゃっておるわけです。与党には一五%という意見もありました。しかしとにかく一割というこういう大事なポイントは大臣が急所を押えたのですから、今度はその急所を押えたあと、かけるところの構想について大臣がしかも国会で言えぬというのはおかしいことです。それじゃ古井厚生行政というものはないのであって、審議会の意見を聞いて行政を何でもかでもやられたらいい。あなた独自の持ち味というものはなくなってしまった。こういう天下分け目の状態になったときには、やはり政治家が自分——われわれのいなか言葉で言えば、炭鉱地帯だからでしょう、ボタをかぶると言いますが、泥をかぶるという気持がなくて、あなた御自身のオリエンティがなくてだれが出してくるか、出てきたものに対するあなたの判断がないじゃありませんか。(古井国務大臣「それじゃ独裁だ」と呼ぶ)独裁ではないですよ。自分意見を言うことはあたりまえではないですか。意見が出てきて、出てきたものを判断して変えることも自由なんだから、そういうばかなことはない。それだから物事がきまらないのですよ。それならばお聞きしますが、大臣は大体今までどういう点に欠点があるとお考えになりましたか、医療協議会欠陥一つ御指摘願いたい。
  144. 古井喜實

    古井国務大臣 医療協議会のどこが欠陥かということは、私は繰り返し言っておることは、どこに原因や責任があるかは別にして、この医療協議会というものが動かぬじゃないか、この事実、これはもう欠陥以上、動かぬことが一番大きな欠陥である。だからこの動かぬという事実を前にして、動くようにということを言っているのでありまして、要するに動かぬということが何よりも最大の欠陥であります。動かぬことが一番何よりも悪いことであります。でありますから、動くようにということを申しております。それから今の、動いておるけれどもああいうまずい点があるというのなら、動いているけれどもまずい点が欠陥でしょう。それ以上に、寝てしまって動かぬということが根本的なあれなんですから、いいの悪いのより、とにかく動くようにしてもらいたい、こういうことに私は思うのであります。(「原因は」と呼ぶ者あり)原因につきましては、人によっていろいろ見方がありますけれども、それは見方の問題であって、どういう見方であろうが、動かぬものを動くようにしてもらいたい、これだけのことじゃありませんか。要するに、それが私は何よりだと思うのであります。それから今の問題に、どういう問題に取り組むかということは、私は自分の判断と自分の決心で取り組んでおりますよ。たとえば改組、医療協議会の改組というやっかい、めんどうな問題に取り組むか取り組まぬか、これは私の決心で問題を取り上げて取り組んでおります。しかしその場合にどういう案を作るかということは、知恵を出す、より以上の人があるなら、その知恵を十分聞いて、私どもの至らぬ考えだけでなしに、その意見を十分聞いた上で最善の結論を出す、これが私は一番あたりまえな、すなおな道だと思うのであります。これはもうあたりまえな、すなおな道を私は歩いておるつもりで、問題を、どれを取り上げる、またどう進めていくということは、これは私十分考えておるのでありますから、そこは滝井さん、お前の考えをはっきりして諮問しろ、そういう場合もありましょう、事柄によっては。しかし今の問題は今申したような行き方をすることが一番よい、こういうふうに思いますので、そのようにいたしておるわけであります。
  145. 滝井義高

    ○滝井委員 じゃ、どういう理論的根拠で社会保障制度審議会におかけになったんですか。
  146. 古井喜實

    古井国務大臣 ちょっと局長から……。
  147. 森本潔

    ○森本政府委員 事務的なことでございますから、私から……。
  148. 滝井義高

    ○滝井委員 事務的なことかね、これが。
  149. 森本潔

    ○森本政府委員 法律解釈の問題でありますから・…。
  150. 滝井義高

    ○滝井委員 何を言っているか、法律解釈じゃないですよ。政治的な高度な判断に基づいてやったと言っているんじゃないか。役人に教えられてやるのですか、これは大臣だ。
  151. 古井喜實

    古井国務大臣 それでは私が申しましょう。社会保険に関する重要な一つの問題だと思います。それでありますから、社会保障制度審議会にかけることは、あの審議会の権限から見ても、決して適しないものではないし、また社会保障制度審議会のあの構成から見ましても、各方面の人がこれほど顔をそろえておいでになる審議会というのもたくさんはありませんし、一番権威あるものだと思いますからあれにかけたのであります。社会保険審議——いよいよ立法をいたしますという段取りになりますれば、その法律の案についても、かけなければなりますまいけれども、案を立てるもとを、どこでその考えを、原案の知恵を出していただくかということはどこが最善か、また制度の上でも少しも支障はないし、適しておる、こういうふうに考えてこの制度審議会にかけることにしたのであります。
  152. 滝井義高

    ○滝井委員 それでいいですよ。だからそういう工合に、大臣が政治的にはっきり判断されておるのだから、事務的手続じゃないはずです。それを事務手続というように言って大臣を先のけてやるところに問題があるのですよ。そういう点も大臣一つしっかりしてもらわなければ困る。あなたの政治的判断で、社会保障制度審議会がよろしいと言ったら、それはあなたの判断でしょう。私はそこを言っている。だから今度はそれと同じように、医療協議会を改組しなければならぬとあなたがお考えになったならば、あなたの改組しなければならぬという理論的な根拠がなくちゃならぬでしょう。それを国会に表明できぬはずはないです。なぜ改組しなければならぬかと私は聞いておるわけです。これは動かぬから改組する。じゃどういう原因で動かないのか、その動かない原因をはっきりしてもらったらいい。それをわれわれも検討する。与党だって検討する権限があるのですよ、国会ですから。それをあなたが答弁しないというならば、私は今後あなたの答弁は求めません。総理大臣にかわりに来てもらう。動かないという原因があるはずだ。われわれも寛容と忍耐の、話し合いの政治を行なうと言って、野党にも何にも言わずに勝手にやっていく。こういう大事な問題については野党の意見も聞かなければならぬ。野党の意見は何かというと国会の質疑応答以外にない。与党と野党の意見に開きがあれば、これを埋めるところはどこかと言えば、国会の委員会以外にないのですよ。そうしてその意見がまとまらないときにどこでやるかと言えば、解散をして、国民の中でこれをまとめる以外にない。これは当然のことです。それを諮問委員会の方に行ってはいろいろのことを言うけれども、ここでは言わぬということはない。諮問委員会にかけるにしても、理論的な根拠がなければかけられぬはずです。その理論的根拠があるでしょう。その改組理由がどこにあるかということをわれわれに納得さしてもらわなければ困る。社会保障制度審議会を納得さしただけで問題が片づくと思ったら大間違いだ。国会の中でも、野党第一党のわれわれなり、民社党なり共産党を納得させることが必要なんです。だから、それを私は大臣に尋ねている。何も自分意見を述べたからといって、社会保障制度審議会は決して怒りも何もしないですよ。八木さんのようなりっぱな、心臓の強い人がいてどんどんやるのですから、大臣意見を述べたぐらいで、あそこの大内先生や何かがへこたれることはありません。堂々と述べますよ。その証拠には、資金運用部のあの問題だって見てごらんなさいよ。大臣の方は年金審議会におかけになった。社会保障制度審議会にも出した。その他資金運刑部審議会にも出してきた。社会保障制度審議会は堂々と意見を出しているじゃないですか。古井さんが、自分はこういう考えでこの改組をやりますと言うたところで、私としてはこういう方向がいいんじゃないかと個人的にも思っておりますと言っても、何も自民党の全体の意見でもないし、厚生省全体の意向でもない。古井個人として大体こういう点を考えております。これでどうして悪いのですか。こういう大事な問題についてざっくばらんに意見を言わないところに問題がある。私どもを見てごらんなさい。皆言っておりますよ。責任があるとかないとかという問題があるかもしれないが、それをやらないところに問題があるのです。今までやらなかった。しんねりむっつりでもってやらなかった。だから、いつかあなたがおっしゃっておった。医師会が何か取引をすることは許さぬということをあなたもおっしゃっておった。そうですよ。取引することはおそらくだれも許さぬと思うのですよ。だからここであなたが改組しなければならない理由を述べて、そうして方向としてはこういう方向ならばまとまるだろうという見通しをある程度あなたがお持ちになることも、一つ方法ですよ。私見でもいいですよ。私見を言ったからといって、何もそれがすべてのものじゃないのですから。われわれだってあなたの意見を聞きたい。聞いたら、われわれの党だって——あなたが改組すれば、今度は、どう改組するかという討議が始まる。どこでも討議が始まることがいい。国民的な討議が始まって、その中で社会保障制度審議会に反映をしていかなければうそなんです。それをあなたがからの中に閉じこもって何も言わぬ。出てきたものでやるのだ。その出てきたものできめるならいいけれども、今度それを大幅に変えてしまったということになると、ますます天下に醜をさらすことになる。あなたのものさしとしておるところを言う方がいい。しかし、それをあなたは言われぬというならば、これ以上私は言わせる権限がありませんから言いませんが、一体動がない原因はどこにありましたかということなんです。
  153. 古井喜實

    古井国務大臣 それで、この席で私がことさら言うのを避けておるかのようにあるいはお受け取りになっておるかもしれませんが、そうじゃないのであります。先ほども社会保障制度審議会にも行きまして、要するに困ったことは、今日の問題としては、原因や責任はとにかくとして、医療協議会が動かぬという事実が目の前にあるのだ、これを何とか円滑に動かせるようにしたいのである、その原因や責任については人によっていろいろ見方もありましょうけれども、動かぬという目の前の事実があるのだから、これをもとにして円滑に動くように一つしたいと思いますから、よい案を考えて下さいませんかと言って、ここで申したと同じことを言って帰ったのであります。それで、諮問の趣旨はわかった、こういうことで帰ってきたのでありまして、それから先、それじゃなぜ動かぬかという原因の問題は、あそこでは一つも触れたのじゃありません。社会保障制度審議会でも触れたのじゃありません。これはまた人によっていろいろ見方がある問題だと思います。それは見方によっていろいろあるが、非常にむずかしい問題でありまして、少なくとも私がきょうまで動かぬから開けないと言っておるのは、医師会の参加がないところでは開けない、こういうことを言っておるのであります。この医師会という医療に対して大きな役割を持っておる人々を抜いて、数が足らぬからといってあの機構を動かすことは私はおもしろくない。それではなぜ医師会が入らないのかということになると、またさかのぼれば、医師会には医師会としての機構に対する考え方もあるでしょう。これは医師会が入られないということのわけとしてさかのぼれば、機構に対する見方があるでしょう。そこに行くだろうと思うのです。事柄は、それなら機構のどこがまずいから医師会が入らないかということで、これは医師会がどう考えられるかという問題になります。というわけで、そう一口に動かないわけがどこだということを、これだと、すぐ、直接的には医師会が入ってくれないと私は開けないと言っておる。それではなぜ入られないかという原因にまたさかのぼらなければならない。こういうわけで、要するに動かぬというところが問題だということを私は申し上げておるのであります。でありますから、これはあとは結局、はたして何が悪いのかということでありますが、こういうふうなことはいろいろめいめいの見方で考えてみるほかはないのじゃないか、これは私は率直にそう思っておるのであります。要するに動くようにしたい、こういうふうに思うのであります。
  154. 滝井義高

    ○滝井委員 医療費を一円上げれば総医療費四百二十億だ。厚生省の資料に出ておるのを見ると四百二十億くらいになっておる。社会医療全体で一円上げれば四百二十億ですね。四百二十億の金をどうするかということは、やはり一国の予算編成の根本をゆるがす問題ですよ。そういう大きな問題が今厚生省の一保険局を中心にやられておるというところに、やはり一つの問題があるのですよ。これはやはり一つの大きな原因として考えなければならぬ問題だと私は思うのです。二円上げればそれは八百億、医師会のいうように三円上げれば、厚生省の計算ではないけれども、千二百億、千二百億の財源を一体どうひねり出すか、こういうことは大へんな大問題ですよ。ところが、それが厚生省保険局の一角でこうやられている。こういうあり方がいいかどうかということ、これは再検討しなければならぬ一つの大きな理由じゃないかと思います。これは大臣お認めになるでしょう。こういう点はどうですか。
  155. 古井喜實

    古井国務大臣 それで、そういうふうに厚生省の中の一部局というものが案を立てたまま、それがそのままでその通りにきまってしまうというものでは、各方面の納得がいかぬ。そこで、今の医療協議会のごときところで十分論議をしてもらわなければならぬ。これを尊重してきめることがよいということになるのであります。また、保険局とおっしゃったところからいうならば、あるいはおっしゃっている意味は、医療協議会の中に保険者という立場保険局長医療課長が入っているということであるのかないのか知りませんが、いろいろそれは問題はあると思います。だから、そこらをどう改革したらいいか、これは改善案内容の問題になってくると思うのであります。
  156. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣は少し勘違いしている。私が言うのは、一国の予算編成の根本をゆるがすような問題になったということは、厚生省保険局的な視野では、この問題を論議しても、もうあまりに荷は重くなり過ぎたということを言っているのです。一国の予算編成の根本をゆるがす問題になってきた、へまをすると池田内閣の命取りにもなりかねないという大きな要素を、この三円上げるということははらんでいる。あるいは、十八円四十六銭が科学的なものだとおっしゃっているのですから、これは厚生省保険局の視野ではなくて、もっと日本的な視野で、国家財政全体の視野でものを見なければならぬことになってきはしませんか。これが改組の大きな原因になっているのではないか、こういうことを言っているのですが、そのことはあなたはそうお認めになりませんか。
  157. 古井喜實

    古井国務大臣 今の医療費の問題は、国政全体の上で、あるいは国民生活の上で、非常に大きな広い視野で見なければならぬ、これはその通り、そういう段階にきておりますよ。しかし、それと医療協議会とのつながりをあなたがどういう意味でおっしゃっているか。実は私はその点をつかんでおらないのであります。それだから、医療協議会はどこに欠陥が起こり、どうしなければならぬのかという点が、おっしゃる意味を私はつかみかねるので、その辺をもう少し伺わないと、避ける意味じゃないが、それがどうつながっているか、意味をつかみかねるのです。
  158. 滝井義高

    ○滝井委員 私が申し上げるのは、たとえば簡単に言うと、医療協議会なら医療協議会で三円値上げよろしいと決定をしても、あまりにも比重が重くなったので、これはもう少し高めたところの機関でやらなければいかぬ状態が出ておりませんかということです。たとえばあなたが、社会保険審議会のようなところでは工合が悪い、やはりあなたの所管の外になった内閣の社会保障制度審議会にこれはかけなければならぬという気持になっている、そのことが、これは具体的に今の医療費を三円上げた場合には千二百億ですぞと、厚生省保険局の視野でものを見るならばこれは解決できないような大きな重荷になっている。これは予算編成の根本をゆるがす。だから、そういう点でも医療協議会を改組しなければならぬというような原因になりませんか、こう私の方が指摘しているわけです。あなたが言われないから……。
  159. 古井喜實

    古井国務大臣 なるほど、保険局と医療協議会と一緒くたに聞いておったものですから、保険局の議論になり、医療協議会の方の議論になるということで、その縦書きがわからなかったのでありますけれども、あなたの今の御質問でいけば、保険局の方は抜きにして、切り離して、医療協議会の問題だけにしてもいいわけです。医療協議会というもののオクターブを上げるということ、これは一つの問題です。保険局とどうからむか知りませんけれども。そこで、すべては社会保障制度審議会で周到に論議をしていただくものと思っておりますが、やはり考えてみますと、医療費の問題がこの紛糾しますのは、一つには、あの土俵というものが何かまずさがあるということもありましょうけれども、さらに、医療費をきめていくルールというものが確立しておらぬということもあるのではないかと思うのです。そこで、そのルールをきめる機構は何だ、これが今のあの協議会そのものでよいのか、もっとオクターブの高い、あるいは面の変わったものがよいのかということですが、ルールをきめるということは、またそのための機構ということも大事な問題だと思うのですよ。それからそのきまったルールをもとにして、ルールを当てはめて、実際的に医療費を今度は何ぼ上げなければならぬという、それを当てはめて実際的に処理していく機構も、今日は医療協議会でありますけれども、これも考えて工合のいい土俵にしなければならぬ。さらにまた、資料はなるべく定期的に、あるいは常時に整えておかぬというと、正確な資料に基づいてルールを適用するということに不十分な点が起こる。そういう資料を集めるスタンディングな機構ということも問題になるかもしらぬ。それでありますから、医療協議会機構も大事ですけれども、ただ医療協議会とだけ私は思わぬのです。ですから社会保障制度審議会にも幅を広げて諮問をしておるのであります。単一の機構でよいのかもしれないし、あるいは二つ機構の方がもっとよいのかもしれないし、含めて幅を広げて諮問をいたしております。そしてまたその趣意を先ほども言ったように広く考えて、よい意見一つ立てていただけないかといってお願いをしてきたのであります。オクターブを上げるか幅を広げるか、まあ言い方はいろいろありましょうけれども、そういうふうに考えておるのであります。
  160. 滝井義高

    ○滝井委員 だんだん大臣考えがわかってきた。私はそういうことを大臣に質問をしているのです。ものさしというのはそういうことですよ。たとえば今言ったように、オクターブを上げるということも一つ方法です。それから一本ではできない場合には二本、三本のものもひっくるめて一つ考えてみてくれ、こういうことは、やはり大臣がその欠陥考えて、一つのものさしをおのずから大臣の大脳の中に形成しつつあることがはっきりわかってくるわけです。私が大臣に聞かしてもらいたいというのは、そういうところなんですよ。これは独裁でも何でもないのです。こういうところで大臣の気持が私もわかってくるわけです。一ついい構想が浮かんだ。オクターブを上げるということと、それから一本でなくて、単調じゃなくて、少し複数的なものでもいいです。こういうようなものの考え方がわかってくると、われわれも討議がしやすくなるのです。  もうちょっと入りまして、今のこの構成の中におい——たとえば国保連合会を例にとります。国保連合会は保険者代表と被保険者代表で入れるわけです。ところがこの国保連合会のAという幹部は、保険者代表で入るわけです。Bという幹部は、今度は被保険者代表で入る、こういうことがあり得るわけですよ。四者構成になっておるけれども、実際にそういう形が出てくるわけですね。それから保険局長政府管掌保険者として入っているのですよ。同時に保険局長は、たとえば三十二年の医療協議会なんかの厚生省の原案をお作りになった主任官ですよ。そして原案の作成者であると同時に保険者であり、監督者ですよ。そして保険局長は家に帰ると何になるかというと、被保険者になるのですよ。四足のわらじをはくのですね。出ては保険局長となり、入っては保険者代表となるわけです。家に帰ったら被保険者人間というものはせんじ詰めたら一体落ち行く先はどこかというと、被保険者立場になるのです。まあ売手と買手、こういう形になる。こういう矛盾が現在の人的構成の中に出てきているのですよ。こういうことについての大臣のお考えはどうかということです。これはいろいろ諮問しても、今すぐに医療協議会を再開しなければならぬという場合もあり得るかもしりませんから、やはりそういう点の欠陥についても十分腹におさめておく必要があるのですよ。そして保険局長だけならいいですが、今度は医療課長がまたもう一人入ってくるのです。だからそれはむしろその立案の補助的な役割が重要になるのですが、入り方としては保険者として入るのですよ。こういうところに、今あなたが僕にそれじゃ独裁だと言われた、それが出てくるのですよ。監督権、後にはマホメットのような姿になるのですね。右手にはコーラン、左手には劔、こういうマホメット的な形では困る。やはりコーランならコーランを両手で握っておくという形でないと、民主政治のもとにおける政党政治というものはなかなか行なわれにくいことになるのです。ここに、さいぜん与党さんの方から官僚独善という言葉が出た。これはあなたの同僚の与党さんから出たのですよ。社会党のわれわれから出たのではない。官僚独善がそういうところに現われてくるのですね。こういう欠陥については、滝井義高が独裁ではなくして、私はお互いにひざをまじえて真摯な気持で自分の思っていることを討議してみるということも大事だと思う。それを私は言いたいのです。独裁でも何でもない。お互いに勉強して、日本社会保障のためにお互いの胸の中を吐露すれば、欠陥もわかってくるし、大臣の気持もわかってくる。それを言っているのです。幾分口は悪いし声も大きいが、これは生まれつきでしょうがないのですから、それは御心配なく聞いてもらいたい。その点大臣どうですか。国保連合会の人がある場合には保険者であり、ある場合には被保険者である、こういうふうに入ってくる場合があり得るわけですけれども、こういう人的な構成について大臣はどうお考えになるか、これは今改組されるというけれども、現実に今あるのですから、そういう大臣の批判をお聞かせ願っておきたいと思います。
  161. 古井喜實

    古井国務大臣 今の構成にもそれなりのわけがあってできておるものだろうと思うのでありますが、同時に反面判り切れないなあという感じを抱く人のあるのも無理はないと思うのであります。その辺はあれほど各方面の多数の人が社会保障制度審議会にはお集まりになっておるのですから、これは私などが申し上げるまでもなく十分わかっておいでになる方の御審議でありますし、社会党の方からも八木さんなどのような練達の人もお入りになっておるというわけで、そういうことは十分おわかりになっておる方が審議されるのですから、そこにそつはないというふうに私は思うのであります。ちょうど審議会は意見を述べるには適当な機構だと私は思っております。
  162. 滝井義高

    ○滝井委員 もう一つ国民健康保険法と健康保険法が改正されたのです。そうして保険医療機関というものが出てきたのです。これは私は保険医療機関の御説明をこの前したと思うのですが、今診療報酬を受け取るのは保険医療機関が受け取るのです。たとえば古井喜實という医師がおって、その古井喜實という医師が受け取るのではないのです。保険古井医院、古井病院という保険医療機関が診療報酬を受け取ることになっておるのです。そこに保険医療機関の利益を代表するものがいない。療養を担当する機関の代表がいない。すでに健康保険法というものは三、四年前に改正されてしまいました。ところが収支計算をやる一番中心の保険医療機関々代表する者がいない。一体この欠陥というものは今後補っていくのかということです。保険医療機関の代表がいない。医師の利益を代表する者はおるのです。しかし今の日本健康保険法では、保険医というものは歯車にしかすぎない。療養を担当するのは医者ではないのです。診療に従事するだけです。すなわち保険医療機関の歯車になってしまったのです。その歯車の利益を代表するものはおるけれども、全体の病院の利益の代表者がいない。これが今の医療協議会です。従って経済立法である健康保険法なり国民健康保険法と社会保険審査会法並びに中央社会保険医療協議会法ですか、ちょっと法律の名前ははっきりしませんが、その法律とはもはや時代的につり合わなくなっておる。そういう法律上の欠陥が出てきた。だから保険医療機関というものが非常に大事になってきたのだが、この処置を一体どうするかというのです。これは大臣、実は一番大事なところです。いわゆる労使関係がはっきりしない、医療機関の経営管理がうまくいかないというのは、ここに大きな欠陥があるのです。この保険医療機関というものを、診療報酬を決定する場合においては、大臣は今後どうするかということです。
  163. 古井喜實

    古井国務大臣 やはりこの協議会構成をどうするかという問題の中において、今の点もむろん、どういう結論になるにせよ、審議会の方で十分論議の上、きまるものだと思うのであります。
  164. 滝井義高

    ○滝井委員 非常にこれは専門的になっておるので、社会保障制度審議会委員の皆さん方が、失礼な言い分だけれども、そういうところまで練達した実際家がおられるかどうかということが問題になってくるのです。だから私は、今書いたいのは、こういう非常に複雑な専門的なものが、あそこで十分こなして満足なものが出てくるかどうかということに一つの危惧もあるわけです。これを分析すればするほどまだまだ幾らもあるでしょう。分析すると、今のあの法律は非常に古いのですから、幾らでもある。今私は、おもな点を二つ三つあげてみて、大臣の今後の参考になれば非常にいいと思って言っているわけです。それから大臣考え方も少し引き出してきておるから、引き出せると思って言っておるのですが、それは保険局の森本さんあたりがやはり考えていないことはない。私眼光紙背に徹するわけじゃないけれども、この改組の方向その他について十分お考えになっておると思うのです。しかし、きょうは大臣も言おうとしておりませんから、言いませんけれども、こういう非常に専門的な要素を含んで、しかもその一円引き上げるということは、国家の予算編成の根本をゆるがすような大問題ですから、十分の一つ大田もお考えになって、構想に構想を練り、原稿に朱をもって埋めるというくらいの構想で、一つりっぱなものをお作りになって、そうして日本のこの診療報酬がほんとうにルールができて決定できるようにしてもらいたいことを、一応お願いいたしておきます。  それから、数字をあげると時間がまた一時間以上になりますから、簡単に最後に結論だけをお聞かせ願いたいと思うのです。それはいわゆる年金の積立金の運用の問題です。これは国民年金の今後の運命を決定する大きな問題です。これの構想は一体どうなったのか。もう予算審議も始まっておるのですから、大蔵大臣その他とお話し合いになった結論が出ておると思うのです。その国民年金あるいは厚生年金の積立金の運用の問題の最終的な結論一つ御報告を願いたいと思うのです。
  165. 古井喜實

    古井国務大臣 国民年金の積立金は、あの資金の性格からいいまして、将来を誤らぬように考えなければならぬものだと私も強く思っておるのであります。あの農村の人や、それから康生年金にも入らぬような零細専業の関係者の人から集めた金でありまして、その金がどう使われるか、行方がどうなるかということは、実に大事な問題だと思うのであります。そこで、積立金の使途がおのずから限定されなければならぬ。やはり福利施設とか、身近な施設事業などの方面において使うことを重く考え国民生活に広げても直結する、またそれに密着した基盤を整備する、その辺までは余裕があればいってもいいでしょうけれども、基幹産業とか輸出振興などの方面には、この金は使ってはならぬ、そう思うのです。やはり使途をおのずから限定して考えなければならぬ、またその使途をどうきめるかという手続も十分慎重にしまして、ただほかの資金とごっちゃまぜでわけがわからぬような使い方をされては困るので、この使途はこういうふうにということを明確に他の資金と区分をして、内容の使途別も明らかにしておかなければならぬ、そうしてその状況国民によくわかるようにしなければならぬ、こういうふうな考え方を持っております。この点については、政府の部内でも考え方一つの食い違いもなく一致しておるのであります。今その事務的な仕上げをその考えのもとにしておるという状況でありまして、基本の考え方は今申したようなことであるのであります。現にことしの財政投融資の計画をごらんいただいても、たとえば使途についても、基幹産業や輸出振興には一文も振り向けておりません。また国民生活に関係するという範囲内においても、直接に国民生活の向上改善に直結しておるという方面に大部分を振り向けておるのであります。七割五分の程度は直接国民生活の改善向上につながっておるという方面に向けておるのであります。二割五分はその基盤になっておる、たとえば道路とか通信施設とかそういう方面でありますけれども、これも国民生活と切っても切れない関係にある面であります。また国民生活に直結しておるという中でも、福利厚生施設とかそういう方面に特に考慮を払うことにしたいと考えますので、例の年金福祉事業団などまで設けまして、この金が身近なそういう施設に振り向けられるように活用されるよう配慮をしておる、こういうことであります。
  166. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、国民年金の資金運用部に今年回せるのは三百億くらいですか、それから厚生年金が多分千四十億くらい回せたと思うのです。そういうものは一切基幹産業や輸出振興のためには使っていない、そしてその七割五分というものは国民生活の向上のために使われ、二割五分が道路、通信等に用いられておる。そうしますと、いわゆる自主運用できるものは一体どういうことになったであろうかということです。問題は、金にはしるしがついていないものですから、資金運用部に投入されれば、その七割五分というものが国民生活の向上に使われたと言ったって、それは年金か何かわからぬことになるわけです。ことしの予算は、あなたの言われる通り、確かに三つくらいの大きなものに分けられております。問題は、あなたが大蔵省に頭を下げずに、主管官庁としてどの程度の金をあなたのイエスということがなければ出せないものかどうかというその範囲に幾らのものが入ったかというところが大事なところだと思うのです。そこで厚生省がことし使われておるものは国民年金、厚生年金積立金全部で三百三十五億程度です。それが全部の二割五分に当たると思うのです。それは一応できた。そして残りのものは資金運用部にいって、それは国民生活の向上に使われるという明細をはっきりさせる、こうなったわけです。今の御説明はそういうことなんでしょう。そうしますと、三百三十五億の、あなたの所管にくる還元融資の使い方が問題なんです。これをわれわれが聞いたところでは、自治庁に九十五億ですか、地方起債が五十億ですか、今私資料を探さなければならぬが、時間がかかりますからあれですが、その程度のものが自治庁にとられているという傾向があるのじゃないかという感じがするのですよ。そこらの関係はどうなっておるのです。二割五分に当たる三百三十五億のあなたが自由になる還元融資、それから自治省の起債に行く分と、それから自治省のひもがつく分と二つあると思うのですよ。何といいますか、地方自治体を通してまた貸しをする分、そういうものがあると思うのです。そういう関係は最終的に大蔵省なり自治省との折衝はどういう形で結論を得たのかということです。問題は二つある。残りの七側五分というものはやはり依然としてあなたが相当の発言権を持っておられるかどうかということと、それから二割五分の方の内輪における自治省なりあなたとの関係はどうなったのか、こういう二つの問題が出てきておるわけです。
  167. 古井喜實

    古井国務大臣 この資金全体つまり厚生年金と国民年金の積立金合わせてそれに共済組合関係のものを入れますと千四百四十億にたしかなっていると思いますが、この国民年金、それから厚生年金の積立金、七割五分だ、二割五分だでなしに全体の使途、その中の二割五分、七割五分という振り分け、そのことも全体について厚生大臣として発言権を持つのであります。しかしその中のたとえば七割五分なら七割五分というものは、自分で使途ははっきりしますけれども、別々に他の資金と区別して運用するよりも、はっきりしておきさえすれば一緒に運用した方が経費、手数が少ないということになりますので、はっきりさえしておれば、これは他の資金と一緒に運用するということを認めて差しつかえないのですから、明確にさえしておけばそれは許すわけであります。しかし全体の使途についての発言権は持つわけであります。それから二割五分、三百三十五億にたしかなるのだと思いますけれども、その二割五分、これが例の厚生年金の還元融資、それから国民年金の特別融資と称するものになるわけでありますが、その中で地方債という形で運用する分が三十六年度はたしか百九十七億になっているのじゃないかと思っております。たしかそうなっているのじゃないか。数字が間違っておったら訂正しますけれども、普通の地方債の形で運用しますものが百九十七億だとたしか言っていました。その残りが厚生省で運用するというか、その部分になるのであります。けれどもいずれにしましても全体的に使途をどれだけをどうする、こういうことは勝手に大蔵省だけでやらせるわけのものじゃないのでありまして、その点もお含みを願いたいと思います。
  168. 滝井義高

    ○滝井委員 私が今言いたいのは、百九十七億というものが、あなたの方で一生懸命に、われわれもだいぶ加勢しましたけれども、自主運営をやるのだといって、三百三十五億というものが還元融資のワクの中であなたの自由になるものだと思っておったのです。岸総理ともここで私はやったのです。厚生省の還元融資は必ずふやします。なるほどそれは去年百十五億か百五億でしょう。それに比べたら百九十七億にしたって幾分ふえています。しかしあれだけ努力した割にふえていないということになるわけです。そういう点についてやっぱり自治省にこれが行くということについて問題があると思うのですよ。これは自治行とあなたとの間に相当の手合わせがあっておるはずです。手合わせという言葉が悪かったら何ですが、相当あるはずです。自治省の権限が百九十七億については強くなってきている。これはあなたたちは工合が悪いということが出てきているはずです。そういう点は率直に申し上げまして一番初めに帰るのですが、やはりこういう年金の資金をおとりになったならば、還元融資をおとりになったならば、一体どういうところにこれを計画的に使っていくか、これが率直にいって厚生省にないのです。だからこういう形になってくるのです。さて資金を三百億厚生省にやるからどこに具体的に使うのだというと、さあその具体的な使う計画がない、長期計画がないからです。この内容については私は少し勉強していますから機会をあらためて、きょうはもう時間が五時半までということですからやめますけれども、こういう点に関連をしてぜひ計画を作っていただきたいのです。そうしないと、一般の税金でやるようなことをこの還元融資でどんどんやったら、出した労働者はたまったものではない、あるいは中小企業、農民の皆さんはたまったものではない。やっぱりこれは社会福祉と限定された方面に持っていかないと工合が悪い。これでどんどん学校を建てたり、どんどん住宅を建てることもいいけれども、高級住宅でも建てていくということでは困るのですね。だからそのためにはやはり住宅はどういう工合に計画して、三カ年計画にはこれだけの金が二割五分ときまったら入ってくるのだから、こういう計画を立てる、それから病院についても、国費で建てる病院というものは医療金融公庫の病院とは別なもので建てるわけですから、医療金融公庫はどういう方向へ進める、この医療金融公庫にもこの金が幾分入っていくのですから。それからこっちの、その残った部面における地方公共団体の作る病院その他に金がいくわけですから、あるいは会社の病院にもいくわけです。その病院は一体どういう工合の計画が建てるという、この計画がないと、予算をとったってさあどうしようという配分の問題で大蔵省にちゃっとやられてしまう。ここなんですよ、長期計画を必要とするというのは。もうすでに年金の拠出制がことしの四月から始まる。そして年間に三百億をこえるところの保険料が政府も一緒に加えたら集まってくる。千億をこえる厚生年金が集まってくる。その中の二割五分をとるのですから、だんだんふえていくのです。だからその点についての計画というものをどうしても立てておかぬと、予算編成期になってばたばたと一夜づけのものを作ったって、大蔵省にやられてしまう。だからやはり七割五分というものは向こうへ置かなければならぬという、こういう形になる。私はこういう点をきょうは指摘だけしておきます。いずれこまかい内容については機会をあらためて、大蔵省にも来てもらって、ここ数年における財政投融資の動きその他を少し勉強していますから、質問させていただきます。そういう点について、大臣どうですか。
  169. 古井喜實

    古井国務大臣 私は、あなたもむろんそうですけれども国民年金を育てていくということは容易でないと思っているのです。ことしはまだ届出段階ですけれども、来年度からはいよいよ金を徴収しなければならぬという段階にくる。これには実際頭を痛めているのです。どうして育てるか。これについては資金というものの行方もはっきりしなければいかぬし、また実際身近な方面にこの資金が活用されるようにしなければ、この制度を守り育てていく上にも重大な影響がある、こう思いますので、実はしつこくしつこく私は大蔵省にもやかましく言い、得心のいくまでこれは固めておきたい、こういうふうに思っておることでありますから、この点をお答え申し上げておきます。
  170. 滝井義高

    ○滝井委員 一つ資料要求をしておきます。保険局長さん、われわれがちょっと新聞その他で見た負担関係とはだいぶ違っておりますから、さいぜん御答弁いただいた一割引き上げた場合の医療費の各保険別の負担区分、それを一つあすでもさっそく出してもらいたいと思います。      ————◇—————
  171. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 この際お諮りいたします。医療に関する小委員八木一男君より小委員辞任の申し出があります。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、辞任を許可することに決しました。  次に、小委員補欠選任につきまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「提議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、中村英男君を小委員に指名いたします。  なお、今後の小委員辞任の許可及び小委員に欠員を生じた場合の補欠選任につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 柳谷清三郎

    ○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会