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堀説明員 ダムがありますと、一定の雨が降って参りましても、それを自然に
ダムが調節してくれまして、たとえ満水になっても、川がじかに流すよりも、より少ない水を流すというのが普通でございます。一定量では大体そういうことになっておりますが、非常な豪雨になって参りますと、
ダムがあるためにかえって水が走ると申しますか、上流に降った雨が直ちにその区間だけを急に飛び越えまして、
ダムのとびらを
操作せぬでも急に
ダムが溢流するという現象を起こすことがあるわけであります。おそらく今回はそういう形で、
ダムの
操作そのものが間違ったということでなしに、異常な洪水波が直ちに下流に届いた、それは
ダムを設置した場合と設置せぬ場合では、逆に
ダムを設置したために悪い結果を起こす、そういう悪い結果が現われたのではないかと想像されます。従いまして、
発電所その他、あるいは
農業用水も同じことでございますけれ
ども、そういう場合を避けるためには、やはり満水をさせない、いつも
ダムの上をあけておくということが必要なのでございますけれ
ども、
ダムの上をあけておくためには、築造費が非常にかかるわけであります。その築造費を国なり何なりが洪水調節用として負担をせぬ限りにおいては、
農業用水も同じでありますが、そういう一つの目的を持った
ダムではまかない切れないという問題が起こるわけであります。この問題は、やはり
ダムの構造、設計あるいは
管理という問題とからみまして、今後研究をしていかなければならないというふうに考えておるわけであります。