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1961-08-18 第38回国会 衆議院 災害対策協議会建設小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年八月十八日(金曜日)   午前十時五十分開議  出席小委員   小委員長 遠藤 三郎君       小川 平二君    木村 公平君       石川 次夫君    中島  巖君       横路 節雄君  小委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮崎  仁君         建設省計画局技         術参事官    奥田 教朝君         建設省河川局次         長       鮎川 幸雄君         建設省住宅局住         宅建設課長   尚   明君     ————————————— 八月十八日  小委員木村守江君同月十一日協議委員辞任につ  き、その補欠として内藤隆君が協議委員長の指  名で小委員に選任された。 同日  小委員山中日露史君及び岡本隆一君同日協議委  員辞任につき、その補欠として石川次夫君及び  横路節雄君が協議委員長の指名で小委員に選任  された。     ————————————— 協議事項  災害対策に関する事項      ————◇—————
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより災害対策協議会建設小委員会を開会いたします。  きょうは大蔵省事務当局が見えておりますから、なお問題点を究明したいと思いますので、質疑のある方は御発言を願います。
  3. 木村公平

    木村(公)小委員 大蔵省当局に対しまして、若干の質疑をいたしたいと思います。  それは、当委員会公共土木関係でございますが、大体委員会において結論を得ました考え方といたしましては、今回の災害、すなわち、昭和三十六年六月、七月、八月に生じたる集中豪雨による災害に際しましては、政令激甚地というものをきめまして、その激甚地に対しましては、国庫負担法比率を左のようにきめたいという思想でございます。左のようにきめたいと申しますのは、一は、当該地方公共団体昭和三十六年度標準税収入の二分の一に相当する額までの額については十分の八、二は、当該地方公共団体昭和三十六年度標準税収入の二分の一をこえ、標準税収入に達するまでの額については十分の九、三は、当該地方公共団体昭和三十六年度標準税収入をこえる額に相当する額については十分の十と、かような比率をもって国庫負担法規定によるところの負担率を上げたいというのが、当委員会考え方でございます。念のために申し上げますが、この考え方は、当委員会において反対者は一人もありませんでしたので、一致せる意見でございます。さらに、前項規定する災害に関し、国が施行する災害復旧事業事業費に対する地方公共団体負担割合は、前項規定により国が負担すべき割合を除いた割合とすることということも、取りきめたのでございますが、大蔵当局にお伺いいたしたいのは、現行法のいわゆる国庫負担法規定するところの比率よりもこのように高率に引き上げた場合に、今度の災害については、およそ予算上どの程度の補正を必要とするかということを、まずもって伺っておきたいと存じます。
  4. 宮崎仁

    宮崎説明員 お答えを申し上げます。  ただいまお述べになりました特例法案要綱の問題は、前回伊勢湾台風において制定せられました特例法案と同様の内容のものであります。ここに書いてございますように、こういった特例法を作るといたしますと、それによって、政令被害激甚地というのが指定されるわけでございます。これが伊勢湾と全く同様の指定基準をとると考えました場合におきましても、個々公共団体ごとの、特に市町村ごと被害額というものが決定いたしませんと、どの程度の増額になるかということは計算できないわけでございます。ただ、これは私見でございますので、その程度のこととしてお聞き願いたいのでございますが、私の推計として考えておりますのは、今回の六、七月豪雨、これは北海道災害などまで入っておると思いますが、ちょっと数字はあるいは間違っておるかもしれませんが、六、七月豪雨として大蔵省に現在まで集計になっております被害報告は、公共土木関係で四百六十四億円ということに相なっております。この四百六十億円という被害報告額に対しまして現地査定が行なわれるわけでございます。また、申請段階で若干数字が変わるという場合もございます。過去の実例等考えまして、かりにこの七割程度ということに考えますと、大体三百二十億くらいの数字になろうかと思います。あとは、ではどのくらいの分が激甚地指定になるだろうということでございます。これは先ほど申しましたように、市町村被害査定額というものが確定しませんと、はっきりしたことは言えないわけでございますが、建設省等が出された府県別数字などから判断いたしますと、大体二、三割程度がなるのじゃなかろうかと思われます。かりに二割といたしますと、六十四億ということに相なります。そのうち、今度はこの特例法により国庫負担率引き上げになるわけでありますが、その割合がどのくらいかということが問題でございます。通常は、こういった国庫負担法超過累進率国費率と申しますが、国の負担率の平均というものは、おおむね七割程度であります。この特例法ができますと、これは最低八割でございますから、大体最低八五%から九割近くになる。かりに大ざっぱに九割といたしますと、二割くらい上がるということになりますから、結局、国庫負担増としては十数億ということではないか、こういうふうに考えております。もちろん、これは査定が進んで参りませんと、はっきりしたことは申し上げられないのでありまして、ダイジェストに二十億か三十億か、大きく見てもそんな程度かと思います。
  5. 木村公平

    木村(公)小委員 ただいまの御説明によりますと、各府県で出て参りました災害報告がおよそ四百六十四億だ。しかし、それは六、七月、おそらく七月の初旬までの分かと思いますので、あるいはこの中に北海道新潟は含まれておらないかもしれないと私も考えられます。もしもそれらを含めますと、数字はもう少し上がると思いますが、いずれにしましても、査定をいたし、さらに負担率増加だけを計算いたした場合には、二十億を大きく上回ることはあるまいと思います。さすれば、国家財政から見まして、二十億という数字はけだしそう莫大な負担率増加ということは言い得ないということを、まず前提に申し上げてみたいと思います。  そこで、次に、補助率引き上げた場合と、今度は公共土木施設補助災害復旧事業に関する地元負担軽減のため、起債ワクを拡げる、この考え方は当委員会にもございます。それから自由民主党並び社会党災害対策委員会においても、活溌に議論されたところでございますが、その議論の終結の考え方は、初年度地元負担額の一〇〇%、次年度以降も七〇%以上に相当する起債ワクを与えたいということが一つ連年災害、すなわち、三年以上連年災害を受けたるところ、及び新規災害地でも激甚地に対しては、当該地方公共団体財政収支全般状況を考慮して、次年度以降分について地元負担額の一〇〇%に相当する起債ワクを与える、こういう措置をとるのでございますが、さらに元利償還金の九五%は基準財政需要額に算定されるということが、当委員会における結論でございました。  そこで、大蔵当局にお伺いいたしたいのは、国庫負担率を先ほど申しましたように引き上げるということの国庫予算上の負担額と、起債ワクをただいま申しましたように拡張した場合の国家負担額との相違点、どれほど違うのだ、国の財政面からいった場合には、どれほど起債の方が国家としては負担が軽くて、今のような国庫負担法によるところの既定の負担率を上げた場合には、国家負担はこれだけ多くなるというようなことの、大体の見きわめを、一つこの際承っておきたいと思います。
  6. 宮崎仁

    宮崎説明員 ただいまの御質問の点でございますが、これも査定が確定いたしませんと、個々実例ということは申し上げられないわけでございまして、非常に数字的に申し上げるのはむずかしいわけでございますが、今手元にあるものの試算例でちょっと申し上げてみます。  今回の六、七月豪雨による長野県の公共土木災害は、建設省関係で大体八十億程度のようでありますが、これによって負担率計算をいたしますと、現行法連年災害規定というのが、現行法のうちの特例が適用はなります。連年災害規定によりまして、八六・四%というくらいの数字になるようであります。これに対しまして地方負担が一三・六%あるわけでございますが、これをただいまお読み上げになりました、起債充当率か次年度以降も一〇〇%認めるということにいたしますと、結局、一三・六%のうち、九五%が交付税で行なわれるということになるわけでありますから、実質的には九九・三%が国の負担ということになります。従って、地方負担としては〇・七%程度になるわけであります。それからただいまの前段にお話がありました、特例法規定をかりに適用いたすといたしますと、国の予算負担いたします負担率は九二・九%ということになるようであります。これに対して起債充当率という問題が出て参りますが、これを従来通常やっておりますように、次年度以降は七〇%にいたすということにしますと、実質的な国の負担は九八・一%、結局、実質的な負担としては、現行法起債特別措置をつけた方が高いという形になるわけであります。なお、もし、それでは特例法をしまして、さらに起債も一〇〇%ということにいたしますと、九九・六%くらいになるようであります。その程度のことでありまして、差としては非常に小さいわけでございますが、起債特別措置ということをいたしますと、相当実質的な負担は軽減されるということになります。ただ、ここで申し上げておきますのは、特例法によります国の補助率の問題は、災害復旧事業と同時に支出されるわけでありますから、通常であれば四カ年復旧でありますので、四カ年間に国の負担がふえる。起債に対する交付税措置は、起債元利償還金に対して行なわれますので、据置期間を含めて十三年と思いましたが、その間に逐次交付税交付されていくという形になりますので、年度的な関係では違って参ります。実質的には最終的にそうなる、こういうことでございます。
  7. 木村公平

    木村(公)小委員 御説明を伺っておりますと、先ほどの理事会においても、大蔵当局からそのようなお話があったかと思うのでございますが、結局、国庫負担法を改めまして、特例法を作って、そして、先ほど申しましたような負担率引き上げるという場合と、今の起債を、初年度地元負担額の一〇〇%、次年度以降も七〇%以上に相当する起債ワクを与える、連年災害地及び新規災害地でも激甚地に対しては、地方公共団体財政収支全般を考慮して、次年度以降分について地元負担額の一〇〇%に相当する起債ワクを与えるという考え方、この考え方は、実は率直に申し上げますと、この委員会両方ともやりたいというのです。一方においては国庫負担法を改正して負担率も上げてやりたい、それから起債ワクも広げたい、そのことが災害を救済する捷径であり、その程度政治的考慮を払わないと、おそらく原形復旧に再び終わってしまって、相変わらず、連年災害を受けるところは連年災害を受けるというようなみじめなことになりますので、当委員会といたしましては、ほとんど党派を超越いたしまして、自民党の諸君社会党諸君も、委員長を囲んで、この二つの根本的の問題、これが、先ほど大蔵省からもお話がありましたが、公共事業における憲法でございます。この負担率の問題、起債の問題この両方をやりたいという思想立法措置考えておったところへ、きのうの懇談会において、はからずも、この負担率引き上げということに対しては、多少政府側に異論があるようで、起債ワクの拡大というだけで今度の委員会結論を得てもらえないかというような御希望があるやに承ったのでございますので、われわれはそれを一つ参考といたしまして、今後さらに検討をいたしますけれども、あくまでも大蔵省あるいは政府側の御意見参考でございまして、当委員会は時によっては議員立法でやらなければならないということも考えておりますので、その点は一つ御承知おき願いたいのでございます。  最後にお伺いいたしたいのは、ただいままでで大体わかりましたけれども国庫負担法規定によるところの負担率を前述のごとく引き上げた場合と、先ほども申しましたような、起債ワクをこのように拡大した場合との国の負担は、どの程度違ってくるか、一%違うのか、一%半違うのか、それを金額にすれば、今度の災害がおよそ四百六十四億だ、おそらく新潟北海道というものが入っておらないとすると、もっと上がりますけれども、大体五百億、六百億を上回らない。しかも、査定というものは七割とおっしゃいましたけれども、もっと少ない場合があり得る。そうすると、実質的には三、四百億ということが、査定後における災害実態ということになってくるわけです。それに対して二、三割程度上げるということに結果においてはなるわけですが、その場合と、起債ワクをこれだけ広げて、そうして国が交付税を出す、交付税でまかなうどいう場合と、国の負担の違いはどの程度あるかということも伺っておきたいと思うのです。
  8. 宮崎仁

    宮崎説明員 実質的な国の負担ということで、ただいま起債措置も含めた数字を申し上げたわけでございます。これは長野県の事例でございますので、県によりましてこういう数字は変わって参ります。従って、全体としてどのくらい違うかということになりますと、ちょっとそういった計算がまだできてないわけでございますが、先ほどの数字をもう一ぺん申し上げますので、それから御判断を願いたいと思うのであります。要するに、長野県において、現行法でいって起債特別措置をやった場合に九九・三%、それから特例法でいって起債特別措置をしない場合に九八・一%、それから特例法もやり起債特別措置をしました場合に九九・六%ということでありまして、結局特例法だけという場合と現行法との場合の差が一・二%、これは一・二%現行法起債特別措置の方が有利でございます。従いまして、長野県の場合にかりに七十億といたしますと、この一・二%でございますから、八千四百万円くらい国の負担額が重くなるか軽くなるかの違いがあるわけでございます。さらに、特例法もやり、起債もやるということになりますと、九九・六%でございますから、〇・三%、大体二千万ということになるかと思います。全国的な問題として見ましても、この起債特例措置ということをやりますれば、実質的負担としてはそう変わりないという形になるのではないかと思います。
  9. 木村公平

    木村(公)小委員 そうしますと、実質的に起債ワクを拡大するということと、国庫負担率引き上げるということは、そんなに予算上は変わらない。にもかかわらず、政府のお考えとしては、できれば、負担率引き上げはこの際特別法をもってやってもらわない方が好ましい、起債ワクを拡大されることはもちろんけっこうだけれども負担率引き上げということに対しましては、なるべく一つごかんべん願いたいというようなお考えが、ちらちら見えてきたのでございますが、それでは、負担率を上げるということに対するあなた方の弊害と申しますか、抵抗される論拠はどこにあるのでございますか、それもちょっと伺っておきたいと思います。
  10. 宮崎仁

    宮崎説明員 これは大蔵省事務当局としての意見でございまして、政府意見という形ではございません。建設省ともまだ今折衝段階でございますので、その含みでお聞き取りを願います。  私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、今回の起債特例措置によって、伊勢湾特例法よりも実質的にいいという形の措置がすでに行なわれるということでございます。そういった事態でもありますし、また、この特例法という形でやりますると、今回の場合は伊勢湾のときとは違います。というのは、伊勢湾の際は、あの激甚地という指定基準に該当するものが十九県もあったということなのでありますが、今回はそれが二、三県くらいであろうということでありますので、特例法という措置によるやり方は、災害実態からいいまして、あまり適合しないんじゃないか。むしろ、この起債措置の方が、そういう意味では適当ではないかという判断で、こういった特別措置についてやってみてはどうか、こういう意見を持っているわけでございます。両方やればいいじゃないかという御議論もございますけれども、そうなりますと、これは伊勢湾のときよりもさらにいいという形になるわけでございまして、やはり災害と申しましても、いろいろの際のバランスもございますので、大蔵省といたしましては、起債特例措置によることが今回は適当ではないか、こういうような見解を持っておる次第でございます。
  11. 木村公平

    木村(公)小委員 そこで、次の水防資材関係お尋ねいたしたいのですが、本日は、この委員会には社会党からは予算委員会の最もベテランの委員も来ておられ、さらに、私の隣には大蔵委員長もおられるわけでございますが、この政会で定める地域に発生したものに関して、都道府県または水防管理団体水防のため使用した資材に関する費用政令で定めるものについては、国が予算範囲内でその三分の二を補助することができるものとしたいというのが、この委員会の一致せる意見で、この結論を得たわけでございます。すなわち、激甚地に対しましては、予算範囲内でその三分の二を補助することができるというように特別立法をいたしたいと思っておるのでございます。これは立法によることなく、行政措置で三分の二を補助することができるかできないかの点をお伺いいたしたいと思います。
  12. 宮崎仁

    宮崎説明員 水防資材に関する補助の問題でございますが、災害に対処いたしまして使用した水防資材の補てん、これにつきましては、従来とも予算補助の制度といたしまして、三分の一の補助をいたしております。三分の一というのも予算補助でございますから、これは、補助率引き上げるということは不可能ではございません。三分の二にいたすことも可能であります。
  13. 木村公平

    木村(公)小委員 そういたしますと、その三分の二にすることは、予算措置として大蔵省単独の権限でもってできる。しかし、するしないということは大蔵省の胸三寸にあるのだということになるわけですが、これを立法すれば、もちろん、三分の二を当然大蔵省は承認せざるを得ないのですが、もしも立法しない場合には、大蔵省の裁量によって、三分の二にする必要がないと思えば、現行法によって三分の一にとどまっている。だから、ほんとうに三分の二というものを大蔵省補助するという明確な責任ある御答弁があれば、あえて立法をする必要はないかとも存ずるのでありますが、三分の二を補助するという明確な御答弁がただいま願えますかどうか。
  14. 宮崎仁

    宮崎説明員 この補助率を確定いたしますのは、大蔵省だけでできるというものではございません。これは主務官庁建設省でございまして、建設省の方からただいますでに予算の要求も出ておりまして、御相談をしておる最中であります。その被害調査等につきましても、まだ全部集計が終わったという段階ではございませんので、ただいま御相談をしておるという形であります。私どもとしては、現在までのところとしては、現行の三分の一の補助率で早く措置するということが適当ではないか、こういう意見を持っておりますが、なお折衝中の問題でありますので、今後とも検討はして参ります。ただいまの段階では、三分の二をやるかということでございますが、それはただいま申しましたような状況でありますので、私の意見として申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  15. 木村公平

    木村(公)小委員 次に、堆積土砂及び湛水排除に関する問題についてお尋ねいたしたいのです。堆積土砂の問題につきましては、長野県から出ておられます中島委員等もおられまして、非常に勉強しておられますので、そちらの方から一つお尋ねをいただきたいと思いますが、湛水排水排除の問題は、実は低地帯におります私ども、そういう者の代表でありますので、お尋ねをしておきたいと思います。  この本委員会考え方は、湛水排除事業を施行する場合においては、予算範囲内において、その事業費の十分の九を補助することができる、そのような立法を特に今度はいたしたいと考えておるわけでございます。しかし、その湛水と申しましても、都市湛水農村湛水がございますので、そういう法律を作りまして、補助金交付事務は、政令で別に定める区分に従って、農村湛水排除事業補助金農林大臣がこれをきめる、それから都市湛水排除の施行は建設大臣がこれをやるというようなことを考えておるのでございますが、大蔵省においては湛水排除事業というものの認識がどのようなものであるか存じませんが、私は、身近な例として、岐阜県の例を申し上げますと、今度の集中豪雨によりまして湛水いたしました農村だけで、その水を排水ポンプでもってすみやかに排除しなければならぬ。もしもじんぜんと日をおくらせますれば、稲も腐り、蔬菜は全く枯死する、小動物も全部溺死してしまうというような緊急な状態でありましたので、県当局を初め、地元のあらゆる女子供まで出まして、もうほとんど夜となく昼となく、あらゆる排水機を近県からも借り入れ、既存のものはもちろん百パーセント利用いたしまして、排水に努めたのでありますけれども、なおかつ、十五日あるいは十七日湛水しているところも多かったのでございますが、その水を排除するために要した費用が、岐阜県だけで実に七千六百万円要った。そんな金は当然地元負担すればいいじゃないかということならば、私は、これは政治ではないと思う。水を入れたくて入れたわけでなく、全くの災害によって、連年、しかも、三年も四年も五年もほとんど同じ場所が湛水しておる。そんなところに住んでおるのが悪いというようなことならば、話はまた別でありますが、いやしくも国家国民の生存、国民の繁栄というものを希望するならば、そのような議論は成り立たない。そうすると、災害によって数百町歩、数千町歩の田畑が冠水する、湛水する、あるいは都市湛水をして非常な迷惑を受け、非常な被害を受けた。この被害に対する弁償はまた別の問題でありますが、この被害を少しでも少ないからしめたいというので、水をはくために、あらゆる犠牲を払って、ポンプも借りてくる、ほとんど日当ももらわないで、昼夜を分かたず、子供までが働いた。今、われわれは、国家に対してその労賃を要求しておるわけではないのでございまして、この排水のために、機械排水に要した費用、重油の費用であるとか、電気の費用であるとか、あるいはポンプの借り賃であるとかいうものが、岐阜県だけでも七千数百万円あるのでございますから、愛知県、長野県、三重県等を勘案いたしますれば、非常に大きな数字になるかと思いますけれども、これを国が今まではほとんど顧みない。そうすると、平坦地に住んでおるということそれ自身が、非常な不安になる。低地地帯に住んでおるということそれ自身が、非常な不安になる。低地地帯に住んでおる者は、政府から何ら政治の恩沢を受けることができないということにも考えられるのでございますので、おそらく大蔵省においても御同情の気持はあろうと思いますが、その湛水排除する事業を施行する場合において、事業費の十分の九を補助するというこの小委員会考え方について、どのような御議論を持っていらっしゃるか、これもついでに伺っておきたいと思います。
  16. 宮崎仁

    宮崎説明員 湛水排除の問題につきましては、ただいま御指摘の通り建設大臣の担当する都市部分と、農林大臣の担当する農地の部分とになります。法律そのものの趣旨としては同一でありますけれども、私は、実は農林関係の方は直接担当ではございませんが、あわせて御答弁いたします。  御承知の通り、こういった湛水排除という問題につきましては、通常では予算措置はございません。前例といたしましては、伊勢湾台風長期湛水という問題に対しまして、この小委員会の法案にありますような特別措置法を出しまして措置いたしたわけであります。しかし、今回の事情について見て参りますと、被害を受けた低地地帯という部分につきましては、いわゆる伊勢湾のような、その他の非難に大きな災害があったということではないようでありまして、長雨によって低地に水がたまったという事態があったように思います。結局、建設省関係といたしましては、排水に要したと称する経費につきましても、非常に額がわずかでありまして、そう大きな問題ではないと思います。農地の関係が金額は大きいようであります。農地について考えまする場合、結局、これは相当の湛水があったわけでございますから、補助をすることは、これはいたすべきである、こういうふうに私ども考えております。ただ、その場合に、問題は、そういうことをしなければ農作物が枯死するというような場合の補助の問題でございます。いろいろの前例等との比較において補助率をきめるべきじゃないかと、現在農林省と私の方の担当の間でいろいろ御相談中でございます。たとえば一つの例としては、旱魃の場合に、これは排水ではございませんで、水をかける方の経費の補助をした事例がございます。九州の旱魃とか、あるいは三十三年の利根川下流の旱塩害というような措置がいろいろございます。こういったものは通常二分の一の補助でやっております。そういったものなどもいろいろ考え合わせてやっていくべきではないかというふうに感じております。ここにあります九割の高率補助というところまではいかなくてもいいのじゃないか、今申しました前例等とのバランスで考えるのが適当じゃないかというのが、私どもの方のただいままで検討した結果による意見でございます。
  17. 木村公平

    木村(公)小委員 大体おっしゃることは理解できるのでございますが、災害と申しましても、非常な激甚地と比較的激甚ならざるところが、今度区別されるわけでございます。それともう一つ、ぜひとも大蔵省の頭に深く入れていただきたいのは、激甚地であると同時に、連年災害を受けるという地点、この連年災害という言葉を特に法案においてもしばしばうたっておるのでございますが、連年災害を受ける土地ということは、一面においては天災であると同時に人災であるとも実は言えるわけであります。このことについては、建設省に対してわれわれは今いろいろ陳情もいたし、議論もいたし、要請もいたしておるのでございますけれども、二年も三年も、四回も五回も同じ土地が水をかぶって、そうして稲が枯死する、あるいは植えかえをしなければならない、野菜は全く枯死する、養鶏の名産地であるところの愛知県においても岐阜県においても、多くの種鶏が死んでしまう、こういうようなことが現実に行なわれておる。しかも、その被害を少しでも少なくいたしたい。それは国家の財政にも大きな貢献をすることでもあり、地方の市町村府県に対しましても、一日も早く湛水排除することは府県のためでもあるというような見地から、公共的な犠牲精神をもって、自分のうちのことだけではありません、一生懸命排水をしておる。しかも、連年でございますので、今まで旱魃の場合には二分の一やったのだから、その前例によるといったようなことでなく、特殊の事情があるのだ、三回も四回も五回も——そこに住んでおるその宿命があるわけですが、その宿命に対して、連年々々水をかぶって、全く田畑が流れる場合もある、あるいは稲が全く枯死する場合もあります。本年度集中豪雨におきましても、私の方は稲はおそらく半作であろうと思われる。しかし、半作になった原因はどこにあるかといえば、ほっておけばこれは全く枯死するのであるけれども、一生懸命湛水排除してくれたおかげで、半作で助かっておる。しかし、それでもなおかつ、蔬菜は全滅であります。今日夏場になって一銭の収入もない。日々たとい三百円の金でも入っておった野菜作り専門の農家は、今日一銭の収入もなく、不安な日々の生活を送っておるのが現実の姿でございます。従来の例は二分の一どまりということで、私どもその点の研究はできておりませんが、しかし、伊勢湾台風のときには明らかに九割の補助をいたしておる。しかも、伊勢湾台風の場合には湛水が長かったと申しますけれども農村被害というものは、十日以上つけば、二カ月でも十日でも同じことなんです。十日以上つけばほとんど枯死してしまう。しかも、私の方では十日以上ついたところがたくさんございますので、おそらく実態においては、二カ月つこうと十日つこうと、農村被害においてはほとんど変わりはないということを御考慮いただき、さらにまた、前例がどのような前例があるかわかりませんが、連年災害ということに深く御注目下さいまして、一つ大蔵省議論をまとめていただきたいと思う。ことにあなたは、公共土木の日本一のベテランだともいうお話ですし、あなたを乗り越えては何ともできないという話を聞くと、これは重大な点でございますから、この点は十分御認識をいただいて、私の質疑を終わりたいと思います。
  18. 遠藤三郎

    遠藤委員長 ちょっとお諮りしますが、知事会と都道府県議長会の代表が、今会議を開いている途中で休憩して、陳情に来ております。陳情を許したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 遠藤三郎

    遠藤委員長 それでは暫時休憩して、陳情を許すことにいたします。    午前十一時三十分休憩      ————◇—————    午前十一時三十五分開議
  20. 遠藤三郎

    遠藤委員長 それでは休憩前に引き続いて会議を開きます。中島君。
  21. 中島巖

    中島(巖)小委員 実は先月の十日から協議会が設置されまして、長いこと審議をいたしたわけであります。さらに、今月九日から三小委員会に分かれて、それぞれ大体結論が出たわけでありますけれども、政権を担当いたしておる自民党の方で、政府並びに党の政調会に対して相談するというようなことで待ちまして、今月十日の日には大体において結論が出るのじゃないか、こう期待いたしておったのでありますけれども、十日の自民党政府並びに党の政調会との話し合いによりまして、二、三の問題があって延びたことを、十一日に辻委員長より聞いたのであります。そのときの話によりますと、建設省関係の小委員会で決定した五つの法案に対しては問題はないのだ、各省関係の第三委員会におけるところの特別法案に対しても問題はないのだ、ただ、農林省関係の小委員会におきまして、天災融資法の一部改正、そうして暫定法の恒久立法、つまり、基本法を改正する問題と、自作農創設維持資金の特例法の問題と、この三つの問題だけが調整がとれぬだけで、あとは問題がないのだ、こういうことを私は十一日の理事会において聞いておったわけであります。しかるところ、この十八日に小委員会でそれを調整して協議会を開くということで、そのときは結論を出さずに、十七日の自民党内部におけるところの政府並びに政調会との結論を持ってきょうは出てくる、本日の通知は、午前中小委員会で、午後一時から全体協議会を開く、こういうことになっておりましたので、私は、おそらく、午後一時からの協議会においては、各小委員長の報告があり、そのまま可決になるのである、こういうように考えておったところであります。しかるに、本小委員会を開会するに先だって、大蔵当局宮崎主計官の意見としては、特例法を設置する必要はない、いわゆる現在の法律を高度に利用して、起債の面で補ってその効果を上げる、こういう意見で、ここに宮崎主計官に対してその意見をただしているわけです。これは当小委員会としては結論を決定しているのでありますから、大蔵当局意見を聞くにとどめて、そうして、われわれは、おそらく当小委員会で決定した通りに、三党合同でもって議員提案としてこの立法措置を講ずる、こういうことに対しては、自民党の諸君といえども異存はないと思う。しかし、大蔵当局からそういうような意見が出た以上は、私どもも、大蔵当局意見、根本的の考えをお聞きして、修正すべき部分は修正するにやぶさかでないという態度をとらねばならぬと思う。それで、個々のいろいろな具体的な問題に対しては、建設当局とすでに四十日間にわたって質疑応答を重ねた末でありますから、その必要はないと思います。  そこで、基本的の問題として、当小委員会で決定した五つの特例法とは、すなわち、公共土木施設災害復旧に対する国庫負担法負担率特例法できめるという問題が一つ。それから災害関連事業に対して一二分の一の補助を三分の二に引き上げる、これが一つ。もう一つは、水防資材に対して三分の二の補助をするということ。さらにいま一点は、堆積土砂湛水排除特例法、これは伊勢湾台風と同じでありますから、内容を説明する必要はないと思う。その次が公営住宅法の一部改正、一部の特例法。これは現在三分の二の補助であるのを四分の三の補助引き上げる、そして、滅失戸数に対して、三分の一を認めるのを二分の一認めよという、伊勢湾台風と同じ立法、この五つの法案でありますけれども、これは早くに当委員会において意見が三党とも一致して、先ほど申しました農林水産関係の三つの法案の調整を待っておった、こういう次第でありまして、その間におきまして、自民党は政府並びに政調会と何度か相談されたあげくでありますので、きょうの大蔵事務当局の突然のそういうようなお考えの発表に対して、私は非常に驚きと奇異の念を感じておるわけです。  そこで、大蔵事務当局お尋ねいたします。基本的の問題は、なぜこれらの立法措置でせねばならぬのか、伊勢湾台風に準ずるような特例法をなぜ作ってはいけないのか、この点が第一点それからただいま申しました五つの法案に対して、どういう理由で反対であるかという、五つの法案個々について、大蔵当局の御所見を承りたい。
  22. 宮崎仁

    宮崎説明員 非常に基本的な問題でございますので、私がお答えすることが適当であるかどうか、問題があると思いますが、一応私見として申し上げますので、お聞き取りを願います。  まず、この委員会におきましてお取り上げになりました五つの法律案全体を通ずる問題でございますが、結局、私ども考えといたしましては、災害に対する対策といいますのは、災害はそれぞれみな態様も違いますし、規模も違います。それに適応した最も適当な措置をとっていくということが、基本としていいのじゃないか、こういう考え方を持っておるわけであります。先ほど木村委員の御質問にあたりまして、公共土木施設特例法の問題を相当詳細に申し上げたつもりでございますが、ああいったことによりまして、実質的に負担軽減の措置をはかっていくということが、今回の場合は適当でないか、こういうふうに考えたわけでございます。これにつきましては、いろいろ御議論もあると思いますけれども、私どもといたしましても、決して今回の災害実態というものに対して軽視等というような問題はございません。長野県の事例で申し上げましたように、実際の負担の問題としては相当手厚く見て参る、そういう措置が、現行法律をもとにいたしましてもできるのであるし、また、その方が、こういった問題を緊急に実施していくという点からいけば適当ではないか、こういう判断でございます。  次に、災害関連事業の問題でございますが、これは激甚地指定ということにおきましても、公共土木激甚地と同じものを指定することになっておりまして、法律としては一連のものでありますので、理由としては、今公共土木で申し上げたことと同様でございます。  水防資材につきましても、ただいま木村委員の御質問にあたりまして、私ども考え方を申し上げたつもりでございますが、要するに、現在予算補助の制度としてやっておるのでありますから、こういった制度を活用することによって早急に措置することが、むしろ重要じゃないか。これは補助金を出しまするが、結局、今後の水防に備えまして資材を備蓄するわけでありまして、台風期の九月を控えて早急に実施すべき段階になっておりますので、法律の制定を待ってというようなことではなく、予算措置をする方が適当ではないか、こういうふうに事務的に判断をいたしておるわけでございます。  排土排水の問題につきましても、ただいま木村委員の御質問に申し上げましたけれども、結局、今回の災害の態様という点と、過去の前例という点から見まして、また、この事業がすでに大体のものは行なわれてしまっておるわけでありまして、それを補助金で補てんをするわけでありますから、やるならばできるだけ早い方がいいのじゃないか、こういう点からしまして、現在の予算制度を活用してやっていくということが適当ではないか、こういう判断でございます。  公営住宅の問題につきましては、何分にも、今回の被害が滅失戸数千五百戸程度でありまして、伊勢湾台風当時の四万五千戸というようなものとは非常に大きな違いでございます。この千五百戸程度の滅失戸数というものは、従来の例を見ておりましても特に大きいということはいえないと思います。予算的に見ましても、現在公営住宅の予算として、既定予算の中に千戸の留保ワクを持っております。これをもって処置ができるという程度のものでもございますので、これについて特例法を制定するということは適当ではないんじゃないか、こういったようなそれぞれの理由を持っております。  全体の考え方につきましては、もちろん、私どもも、災害直後からいろいろ各省ともお打ち合わせをいたしておりまして、別に今日ただいまこういう意見になったわけではございません。従来からいろいろそういったことで、それぞれこの協議会におきましても、厚生等小委員会の方には私ども出席をいたしまして、そういう議論もいたしております。この小委員会には本日初めて出ておりますので、そういう点では連絡が悪かったという点もあるかと思います。そういう点がございましたならばおわびをいたしておきます。
  23. 中島巖

    中島(巖)小委員 宮崎主計官の御意見は、先ほど木村委員からの質問と、それからただいま私の質問に対する答弁、こういうものから総合して、基本的なお考えは、伊勢湾台風よりは非常に被害の地域が狭かったから、伊勢湾台風のような特例法は作らずによいのじゃないかというのが一点と、いま一つは、財政法十六条ですか、その財政措置においてできるのじゃないか、従って、起債であるとかあるいは法律をこしらえないでも、高率補助ができるのであるから、それで救えるのじゃないか、こういう御意見だと思います。高率補助にしても起債にしても、おそらくこれは一〇〇%近いところの——特に建設関係公共土木施設国庫負担法はそういう建前になっておるから、一〇〇%近い国庫負担になるということは、幾らかでもこの法律を扱っておる者ならわかるわけである。しかしながら、反面、伊勢湾台風においてこういうはっきりした特例法を出しておる。それからいま一つは、これは根本的にあなたと私の考えの違うところでありまするけれども、いかに被害の区域が大きくても小さくても、その深度がより以上に深刻な場所に対しては、同じ国家が同じ救いの手を延べなければいけない、これが私の原則論なのです。従いまして、公共土木被害から見ますれば、おそらく伊勢湾台風の四分の一もしくは三分の一の額でありましょう。伊勢湾台風のときには公共土木は千二百億以上になったと思います。今度は四百数十億といいますが、査定の結果は三百億台になるだろうと思います。しかし、その内容においては、実に伊勢湾なんかと比較にならないところの激甚地があるわけなんです。そういうところに対しては、やはりこの特例法を出して適用すべきだと思うのであります。そして、いわゆる財政措置でやるというようなあいまいの態度でなくして、はっきりと特例法でうたい出すことによって、被害地の各市町村はそれを目当てに立ち上がることができるのです。従って、かりにあなたのおっしゃる通り、財政措置によってできるにいたしましても、特例法をはっきりと打ち出すことがいいと思う。特例法をはっきり打ち出すには、結局あなたのお考えでは、臨時国会が始まらねばできぬじゃないか、それよりは、財政措置なら今すぐからでもできる、こういうようなお考えのように私は拝察しますけれども、今ここで協議会でもって、三党でもって特例法をはっきりきめたとすれば、これは臨時国会が始まれば、劈頭、質疑応答なしで、委員長報告ですぐ可決して、参議院に回し、二、三日で成立するのでありますから、もうその予定でもつて各地方公共団体は仕事が進めていける、こういうように考えます。かりに百歩譲って、あなたのおっしゃる通り、財政措置でできるといたしましても、やはりこの際特例法を出して、そして、災害復旧に対するところの各地方公共団体の目標をはっきりすべきことが、すなわち政治である、こういうようにわれわれは考えておるわけなんです。たとえば水防資材の今の問題でも、木村委員の質問に対しまして、三分の二を出すというようなことはここでは言えぬけれども財政措置でそれはできるのだ、こういうようなお話でありますけれども、当委員会で、結論を、三分の二出すという法律をこしらえるということをきめてしまえば、各地方公共団体はそれに向かってそういうような処置をとっていく。また、国庫負担法においてもその通りである。それが政治というものです。従って、私は、この際、国の支出する額においては、国庫補助の高率でやるか、あるいは地方債の名目において国が見るかで、結論においては、国から出す金におそらくあまり違いはないだろうと思うけれども、結局政治というものは、被災を受けたところの災害民が、勇気をふるって立ち上がれるような政策を立てねばいけない。ここに問題点があるのです。従いまして、あなたのおっしゃることもよくわかりますけれども、私は、当委員会において、今まできめた既定方針をはっきりと打ち出して、そして、この際、災害民が勇気を持って立ち上がるような方法をとることが政治だ、こういうように考えるわけでありますけれども特別立法をなぜこしらえてはいけないか、財政的にも、その他どういう障害があるか、こういう点について、お考えがあれば承りたい。
  24. 宮崎仁

    宮崎説明員 結局、災害に関する特例法制定の問題は、私ども事務的な問題としてお答えをいたしますれば、財政負担増加の問題であります。現在の公共土木施設災害国庫負担法というような法律の内容を見て参りましても、地方の財政負担を軽減するという措置をとるために、超過部分国庫負担率がきめられておるわけであります。現在の制度は、私は、非常によくできておる、こういうように感じておるわけであります。これになぜ特例法を作るかという問題になるかと思います。現在までのところで調べて参りますと、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法特例法ができましたのは、二十八年のあの大災害伊勢湾台風のあの大災害、二回であります。その際に、こういった特例法が問題になりましたのは、私どもが承知します範囲では、結局、全国的に非常な大きな災害の規模であった。そして、私どもが今この三十六年についてとってはどうかというようなことを申し上げております特別の行政措置というようなことでは、地方負担全体の問題としてまかない切れぬのじゃないかということが、結局理由ではないかと思います。つまり、三十六年のこの起債による措置ということは、結局、後年度における交付税増加を意味するわけであります。それが先ほど申しました程度数字でありますと、国の財政の伸びなり地方の財政の伸びという点から見て、ほとんど問題にするに足らない額であろうかと思いますけれども伊勢湾台風のような非常に大きな被害ということになりますと、結局、その問題は、交付税率の問題にまで響く、そういったものをそれではそちらで直さなければできないというようなことになって参りますと、むしろ、それでは、国の負担率特例法によって引き上げていくということの方が妥当ではないか、こういう判断が出るかと思います。そういうふうに私ども特例法の問題というものを理解してきているわけであります。  それでは、一つ市町村であっても、被害状況は非常に激甚であって、伊勢湾台風でやられたときと同じような状況になっているものを、なぜ同じような措置で救ってやらないかという御指摘がございます。まことにごもっともな御指摘だと思います。しかし、この問題につきましては、結局、それは、今回の災害よりももっと小さな、三十五年あるいはそれ以前におきましても同種の問題があったわけであります。たとえば三十三年の狩野川台風の静岡県の災害であるとか、あるいは三十二年におきます西九州豪雨、諫早の災害、こういうものは、その地域としますと非常に激甚な災害でありまして、それぞれ千人以上の死者を出すというような問題であったわけであります。しかし、事地方財政負担の問題として考えて参りますと、私が前段に申し上げたような措置によってカバーできますので、そういうことでやっていくことが適当だ、こういう判断において、当時公共土木国庫負担特例法というものはなかったという事態でございます。そういう見解からいたしますと、今回の災害の態様は、確かに長野県の南部あるいはその他の地域におきまして、集中的に相当深度の深い災害があったことは、私ども十分承知しているわけでございます。それについてのこういった地方財政上の問題については、前例等から見ましても、今のようなことで、起債措置することになれば十分措置することができるのだから、それが適当ではないか、こういうような判断を持ったわけであります。ただ、農地小災害のようなものになりますと、これは従来ですとあまりうまい措置ができておりません。こういうものについては、やはりこの際特例法を提案して、そして措置をするとか、対策としての内容によりまして、そういった考え方もそれぞれ変わってくるかと思いますが、公共土木国庫負担法などでいきますれば、私は、そういったような考え方で対処していくというのが、従来の考えでもあるし、また、それで十分に効果を果たしていくのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  25. 中島巖

    中島(巖)小委員 あなたと議論しておっても、平行線をたどっておって尽きないように思いますので、一応私の考え方を申し上げたいと思います。  今宮崎主計官が言われた公共土木災害国庫負担法は、これはあなたのおっしゃる通り、私も完璧に近い法律だと思っております。たとえばわれわれの不満とするところは、原形復旧にとどめるというようなはっきりした文句、ああいうものは直さなければいかぬというような考えも持っておりますけれども、それ以外はあなたと同じような考えを持っております。しかし、これはあくまでわが国におけるところの過去の災害を見て、そして、バランスのとれた上に立った法案である。従って、その場合において、そういうような予想外の被害激甚な災害に対しては、やはり適当な特例法を設けるということが最も適切な方法だと思うのです。そういうような意味合いにおいて、今回も特例法を設けるべきである、こういうふうに考えるわけであります。それから、あなたのおっしゃる通り伊勢湾台風のときは十数県に及びましたけれども、今回はわずか三県であって、そして、北海道あるいは新潟災害が発生した。その後ふえたかもしれませんけれども、七十五市町村がいわゆる被害激甚地の指定を受けるわけなんです。これはあなたは広範な財政支出になるとおっしゃいますけれども、いわゆる政令によって指定する地域というものがありますから、従って、伊勢湾台風と同じような被害を受けたところだけが、激甚地として政令で指定されるのでありますから、それ以上の財政負担になるような県はきわめて少ない、こういうように私は了解いたしておるわけであります。従いまして、大蔵当局政治的視野に立って、伊勢湾台風並みの立法措置に踏み切っていただきたい。ことに、被害民が、衆議院でもってそれがきまったということによって、ふるい立って災害復旧に当たる、こういうような政治的意味も考慮の中に入れていただきたい。こういうことを切に要望いたしまして、あなたと平行線上の議論をいたしたところで仕立がありませんから、これをもって私の質問は終わります。
  26. 横路節雄

    横路委員 公共土木についての災害復旧について、起債特例でやると言いますが、どういうことを考えておられるわけですか。それをちょっとお答えいただきたい。
  27. 宮崎仁

    宮崎説明員 公共土木施設に対する制度といたしましては、現行国庫負担法による超過累進率によりまして国が負担をいたすわけでありますが、その残りの地方負担分につきましては、起債措置をいたすことになるわけであります。その起債通常の制度は、災害発生の初年度地元負担額の一〇〇%、次年度以降は七〇%程度ということで措置をして参っておるわけであります。今回の災害状況にかんがみまして、特に被害の激甚なものにつきましては、次年度以降も一〇〇%の起債を認めていくということをしたい、これが特別の措置になるわけであります。この起債につきましては、地方交付税法の規定によりまして、その元利償還金の九五%に相当する額が、普通交付税の算定基準となる基準財政需要額として算入されることになっておるわけであります。従いまして、簡単に申しますれば、交付税でそのめんどうを見ていく、こういう形になるわけであります。そういう点から見まして、次年度以降の起債充当率一〇〇%ということでやって参りますれば、地方の実質負担分という点は非常に軽減される、こういうことでございます。
  28. 横路節雄

    横路委員 そこで、激甚地の指定というのは、県で指定するわけですか。それとも町村ごとに指定するわけですか。先ほどのお話ですと、伊勢湾台風のときには十九件激甚地の指定があった。今回は二、三件くらいにとどまるのではないかと言われたが、県で指定するわけですか。市町村ごとに指定するわけですか。どうなんですか。
  29. 宮崎仁

    宮崎説明員 先ほど二、三件とか十九件とか申しましたのは、伊勢湾台風特例法と同様の特例法国庫負担率の指定として申し上げたわけであります。この起債の方で言っております激甚地という概念は、どういう基準でとるかという点まではまだきまっておりません。しかし、当然特例法で問題になったようなところは激甚地として措置して参る、こういうことになると私は考えます。
  30. 横路節雄

    横路委員 激甚地の指定についてはまだきまっていない、しかし、前の特例法に準じてやるだろう、こういうのですが、私の聞いているのは、実は今度の公共土木災害についての特徴は、私は北海道でございますが、非常に地方費の負担の河川がひどくやられたわけです。国費河川ではないわけです。国費河川も、もちろん石狩川でひどくやられましたが、実際には市町村でやられているのは全部地方費負担分なんですね。そこで、それぞれの町村によって大して違わぬわけです。そこで、今あなたの方から私がぜひ聞いておきたいと思うのは、激甚地指定について県で指定してしまう、こういうことになると、それは何々県、何々県というところできまってしまえば、市町村で地方費負担の河川災害が特にひどいという場合に、入らない場合が起きてくる。だから、激甚地の指定についてまだきまってないということで、こういう答弁をされたのならば、今あなたの、これは特例法でなくて、起債について特例によってやられるのです。初年度一〇〇%、次年度七〇%、三年度七〇%を全部一〇〇%でやるから、大丈夫なんです、こういうお話をわれわれ承っても、その激甚地の指定についてはまだきまっていないでは、一体ここで何の議論をしているのか、わけがわからぬということになる。今回の災害の特徴は、明らかにいわゆる地方費負担の河川災害というものが非常に多いわけです。そこで、激甚地の指定はどうなっているのか、ここできまってない話をいかにもきまったように話をされても、われわれとしては了解に苦しむわけです。その点、先ほどから中島委員お話もございましたように、やはり私どもは、当然公共土木については別途特例法をもってやるのが正しい、ぜひこれでやらなければならぬ、あなたの方でやらなければ、これは与野党とも委員会で話し合いをして、議員立法をせなければならぬと思っているのです。しかし、あなたの方でそれほど自信があるならば、今回の公共土木災害が、地方費負担の河川災害がひどい、そのために堤防は決壊をする、そのために土砂の流出で田畑が埋まってしまう、橋は全部落ちてしまう、道路はひどく決壊をする、こういう点がありますから、激甚地の指定についてどうするか、その点一つ明らかにしてもらわないと、まだきまっていませんでは、ほとんどきょうが最終的な委員会になるのに、それでは御答弁にならない。どうなっているのですか。
  31. 宮崎仁

    宮崎説明員 私、予算の担当でございます。この起債の問題につきましては、自治省とわれわれの方の理財局であります。直接の担当でございませんので、私として申し上げるわけにはいかないわけでございますが、先ほど申しましたように、特例法の方の指定基準というようなことで該当するようなところが、この起債激甚地指定で落ちるということはない、こういうふうに私は考えておるわけであります。そういたしますと、大体同じような考え方でいくということになるのではないか。ただ、起債の問題でございますから、これにつきましてはきちっとした制度が今までにきまったということにはなっておりませんけれども、その運用は、そういうような考え方でいくもの、こういうふうに考えておるわけであります。
  32. 横路節雄

    横路委員 今のところははっきりしておいてもらわないと、あとでまた臨時国会が開かれたときに、やはりきょうの議論をもとにして発展しますから、激甚地の指定については、先ほどから何べんも繰り返しているように、今回の公共土木災害は、地方費負担の河川が荒れたわけですから、そこで、市町村ごとにやるわけですか、それとも都道府県でやるわけですか、その点はっきりしていないと、たとえば長野県が入った、何県は入った、これではいけません。かりに北海道が落ちてしまった、こうなると、そこの当該の市町村は河川災害がひどいわけです。そうすると、あなたがせっかくそう説明をしても、適用されない。それならば、今ここで委員会でやっているように、特例法でやる以外にない。ですから、その点は、今回の公共土木災害の特徴にかんがみて、激甚地の指定を市町村ごとにやるんだ、こういうことですか。その点はっきりしておいてもらわないと……。
  33. 宮崎仁

    宮崎説明員 起債は、それぞれ事業の施行主体について認めることになっておりますので、県の行なう工事については県単位、市町村が行なう工事については市町村ごと起債を認めるわけであります。従いまして、そのそれぞれの公共団体ごと激甚地という考え方をとっているわけです。つまり、市町村ももちろん対象といたすわけであります。ただ、今のお話でございますが、北海道につきましては、これは私どもが受けておる報告で見ますと、このいわゆる災害特例法の対象にはならぬのかもしらぬ、こういうふうに今のところ判断しております。ただ、そのうちの市町村ということになりますると、これは現在のところ市町村別はつまびらかでございませんので、それは入るものもあると思います。いずれにしても、北海道公共土木負担法における特例がございまして、最低八割ということになっておりますので、他の公共団体に比べれば、だいぶその点は違うのじゃないかとは思っております。運用としては、今言いましたように、各市町村それぞれ事業主体の起債を認めます。それぞれに判断する、こういうことになっております。
  34. 横路節雄

    横路委員 宮崎さん、あなた、最後の方を言わなければ、私これで質問を終わろうと思ったのですが、北海道は他府県に比べて補助率についての特例を認めて、北海道のそういう地方負担分の災害については八割の国庫負担だから、今のあなたの話を聞いていると、まあ、いいじゃないかというように聞こえますよ。ほかの方は七割だ、初年度は一〇〇%で、あとは七割ずつだ、ちゃんと北海道に関しては特別に補助率で八割見ているのだ、だから、まあまあ八割見てやればいいのではないかというように聞こえますけれども、今あなたの前段の話で、さらに、北海道については激甚地の指定にはおそらくならないだろう、こういう話ですね。そうしておいて、最後に後段にきて、市町村の地方費負担については八割負担だからいいだろう、こういうことになると大問題ですよ。こまかな町村別については私は別に申し上げませんが、たとえば、町村によっては四割、五億の災害が生ずる、一カ町村に二割ということになる一億ですが、私この間行って調べてきましたが、そういうところの一年間の村の財政は六千万ぐらい、二割の負担ということになると一億ぐらい起債にしろ償還していかなければならない。そういう意味で、特例でなくて、起債でいいのだというあなたの説明はどうもしごくあいまいです。その点、北海道はどうなんですか。今あなたがそういう話をしましたから、八割でいいのじゃないか、こういくのですか。それとも、今回の全国的な災害の中で、あなたの考える、今までの例からいって一〇〇%なお見るというんですか。その点はどうなんです。
  35. 宮崎仁

    宮崎説明員 ちょっと言い過ぎました点がございましたのでおわび申し上げます。もちろん、北海道市町村の問題につきましても、全国と同様に起債特例措置としては平等に考えていくわけでございます。従いまして、この激甚地指定基準がまだ現在明確にきまっていない点はまことに申しわけないのですが、それがはっきりいたしますれば、それによりまして措置をしていく、こういうことになるわけであります。
  36. 中島巖

    中島(巖)小委員 それに関連してちょっとお尋ねしますが、今度の特例法が出るとどういうふうになるかというようなことを、建設省で私ども調べさせたんです。そうすると、私の県なんかは大体九五%、九八%、九九%というようなところは非常に多い。遠藤さんのことを言うとおかしいが、例の狩野川の被害にあったあれらの市町村を見ると九〇何%、こういうふうな数字になっている。それは別として、今あなたは、特例法を設けずに、起債の財政措置でもってできるじゃないか、こういうお話があった。そうすると、起債初年度一〇〇%、次年度大体七〇%、それを一〇〇%に処置をする、こうおつしやったわけです。全般に、いかなるところへでも次年度一〇〇%処置をするというのであるから、全部にせぬとしたら、それはどういうところを指定してやるのか、このはっきりした数字をあなたがおっしゃらぬ限りは、納得してあなたの方に踏み切って研究してみようという気になれぬわけなんだ。その点を一つ明確に御説明願いたい。
  37. 宮崎仁

    宮崎説明員 先ほど申し上げました通り、私担当の当局でございませんので、責任を持ってということになると、どうも申し上げかねるわけでございますが、この特例法で問題になっている指定基準に該当するようなところは、起債の方の措置としても当然なるだろう、こういうことを私は申し上げておるわけです。それで、ここに、地方財政収支の問題全般の状況を考慮してということが書いてございますが、これは起債でございますから、そういう団体があるかどうかは問題でございまするが、非常に富裕であって、借金しなくても一般財源に十分余裕があるというような団体がかりにあるとしますと、それはまた問題が違ってくるかと思います。しかし、災害のことでございますから、こういった基準に該当するところは、原則通りに一〇〇%認めていくという措置がとられることと考えております。
  38. 中島巖

    中島(巖)小委員 それで、結局、災害地方公共団体が、専門家のあなたでさえそうはっきりした答弁ができずに、あいまいでおるものを、災害市町村はそんなことはわかりっこない。従って、これは特例法でずばりきめてしまった方がずっといいじゃないですか。そういうふうに私は考えるわけですが、いかがですか。
  39. 宮崎仁

    宮崎説明員 私が申し上げておりますのは、そういう行政措置によってやっていく方が妥当だと言っておりますのは、この指定基準というものが、伊勢湾と同様なことを今お考えであります。これでもって常に問題になりますのは、政令でいざきめるとなりますと、ボーダー・ライン・ケースが常に議論になるわけであります。今回かりにこの特例法という問題が制定された場合において、その政令が同じものでいいのかどうかということは、また議論が出るのじゃないか、こういうふうに私ども感じるわけです。しかし、もちろん、これはこの委員会でそういうふうにおきめ願っておるのであれば、それできまると思いますが、起債の問題としていたします場合には、むしろ、そういう点がそれぞれの、実情に応じて相当裁量ができるという点がいいのじゃないか。たとえば、そういった基準には該当しなくても——この特例法の基準でありますが、これに該当しなくても、ほかの事情があってかわいそうだというような場合にはやれるというような考え方もあり得るかと思います。この制度のどちらがいいかということになりますと、これは御判断の問題もあると思いますが、私どもは、この起債特別措置という形が実情にも合っておるし、非常にいい制度ではないかと考えておるわけであります。
  40. 石川次夫

    石川委員 宮崎主計官に伺います。実は、最近地方財政のことは非常に不勉強で、非常にしろうとっぽい質問になって笑われるかもしれませんが、以前私が茨城の県議会におりましたときは、基準財政需要額の中には、この起債の元利償還は認めないということで、これは不合理ではないかということで再三陳情をやったことがある。今のお話だと、元利償還は交付税でもって基準財政需要額一本で補てんするのだというお話がありましたが、起債に関する元利償還全般について、基準財政需要額の中に入れるというふうに最近変更になったのかどうか。それとも、災害に関するものだけ認めるということになっているのかどうかということをまず第一点として伺いたい。ということは、起債そのものを認めてもらうということよりは、起債の償還が財政力の弱い地方財政にとっては非常な負担になるわけで、これは相当長期にわたって償還しなければならぬという場合に、起債を認めてもらったけれども、償還が非常に困る、財政負担の圧迫になるわけで、その点が画然としていないというと、起債を認めてもらったということだけでは解決にはならない。これは御理解いただけると思う。従って、その点について非常にしろうとの質問で恐縮ですけれども基準財政需要額の中にこの元利償還の分が認められるようになったのかどうかという点がまず第一です。  それから、あと一つは、基準財政需要額と基準財政収入額との差額については交付税でもってまかなうということになっているはずです。しかし、それも私が昔知っている知識では、これは八割くらいを認めるということなんで、この差額について一〇〇%交付税で満たすということになっておらない、こう理解しておるのです。この点も最近変更になったのかどうか、よくわかりませんけれども、そうなりますと、やはり——私、実は災害視察でもって島根県の方へ行って参りましたが、ほとんど財政規模の一年間の予算の十年間分くらいの災害を受けたというふうな例が非常に多いわけなんです。それで、これは島根県あたりはあまり問題にされておらぬようでありますけれども、そういうところにあってすらも、一つの村について見ると、十年間分くらいの予算を食ってしまうのだ、非常に青くなって、何とかしてもらいたいという切なる陳情を受けて参りました。そういったところからいいますと、基準財政需要額と収入額との差額が全額認められるということなら、この負担起債負担しても大して問題にならないという結果にはなりますけれども、それが八割とか七割程度交付税によるところの負担で、あとの二割が地元の完全な負担だということになりますと、相当な負担という結果になるわけです。その点は一体どういうふうになっているのか、この二点を一つ説明を願いたい。
  41. 宮崎仁

    宮崎説明員 交付税制度におきます起債の元利償還に対する措置でございますが、災害復旧に関する起債につきましては、交付税法第十何条の——ちょっと条文をはっきりいたしておりませんが、規定におきまして、起債元利償還金一円につき九十五銭ということで基準財政需要額に算入することになっております。これは災害復旧起債だけの制度であります。それ以外にどういう措置があるかと申しますと、緩慢災害と申しまして、たとえば、地すべりとか地盤変動とか、そういうものにつきましての起債元利償還金の五七%を交付税に算入する。それから、単独災害と申しまして、国が補助金を出さない災害がございます。これについては、原則として二八・五%を算入する。県の単独事業につきましては、本年度から制度が変わりまして、最高五七%まで上げるようになっております。一般の公共事業起債につきましては、これはいろいろこまかい制度がございまして、それぞれある程度交付税計算に入ってくるようになっておりますけれども、原則としては、交付税算入という問題には必ずしも入らないというふうに御理解願っていいかと思います。これは申し上げますと、直轄事業債はどうか、それから、事業の種類によってどうということで、あるいはその団体の特性によりまして、三十二年度以前と以後と違うという、非常にこまかい制度になっております。私も実は地方財政の専門でございませんので、その辺は詳しくは承知しておりません。  そこで、第二の御質問でございますが、交付税制度というのは、それではそういった財政需要額について完全に補てんができるのかどうかという御質問だと思います。現行交付税制度は、御承知のように、基準財政需要額と基準財政収入額とを算定いたしましてその差額を交付するという原則になっております。全国的にその差額を集計いたしました額が、交付税の率によって計算された財源二八・八%ですかに必ずしも一致いたしません。一致しない場合におきましては、調整率ということでその差額を調整いたすことになっておりますが、この調整率と申しますのは、〇・何%というふうに非常にわずかなものでありまして、現在では、ほとんどそれが完全補てんである、こう考えていただいていいかと思います。ただいまお話の、基準財政需要額というものは、一〇〇%交付税でくれるのかどうかという問題があるかと思いますが、これは制度上、基準財政収入額というものは、その団体の法定普通税の標準税率による収入額の、府県においては八割、市町村においては七割というように、それぞれ低目に見積もった額を収入といたします。また、需要額については、国の補助金とか、そういった特定財源を引いたものを基準財政需要額としております。そして、制度としては、基準財政収入額に今の交付税というものを加えますれば、結局基準財政需要額もまかなえる、こういう建前でございます。その団体の自己の財源、交付税と合計して基準財政需要額をまかなえる、こういう制度でございますから、たとえば、今の議論になっております災害起債の元利償還によりまして財政需要がふえますれば、基準財政収入額にもし変更ないとしますと、交付税がそれだけふえる、こういう形になるわけでございます。
  42. 石川次夫

    石川委員 私が県議会におりましたのは、だいぶ以前の地方財政の苦しいときで、調整というようなことで基準財政収入額と需要額の差があった時代ですから、最近はだいぶ変わっているということや、今の御説明で大体了解しました。  それから、きょらは建設省の方がほとんでお見えになっておらぬようなんですが、中島先生の方から先ほどお話がありましたように、ここにある原案というものは、大体与野党一致でもって特別法で作ろうという方針になっておったのであります。私もこれは当然スムーズに通るものだという期待を持って臨んできたのでありますが、今のお話だと、特別法を作ること自体に大蔵省に相当異論があるということになると、今までやったことが一頓挫を来たしてしまうといっても過言ではないと思います。この点は、委員長は、政府・与党の間にどう処理されるお考えなのか。われわれとしては、もちろん立法の権限を持っているのですから、これはあくまでも与野党一致で、特別法でもって措置することが妥当であるという満場一致の結論をもってここに来たわけで、これで持っていきたい、こう考えるし、また、この意見委員長としては尊重されるという期待を持っておるわけなんです。この点について、一つ委員長の所見をお述べ願いたいと思います。
  43. 遠藤三郎

    遠藤委員長 小委員会で出した大体の結論の原案のようなものは、これは政府の案ではなくて小委員会の案でありまして、これは全体の意向を集約したものだと私は思います。従って、これを政府にのませるように努力しよう、こういうことであります。  他に御質疑はありませんか。——それでは、委員会はこの程度にとどめまして、次会は公報をもってお知らせすることにいたし、本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御意見はありませんか。——それでは、本日はこれをもって散会いたします。   午後零時二十七分散会