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古川協議委員 私は、ちょうど十五日から
大阪におりまして、
台風のありました十六日も
大阪におりまして、その後、十七、十八と
大阪の
被害状況を実際に見て参ったのでありますが。先ほど来、
大阪副知事、奈良県知事その他から
被害状況について御
報告がありましたが、私がじかに目で見た実情は、もう少し深刻なものもありますので、それを少し敷衍をすると同時に、
大阪の実情ではありますけれども、
被害地の共通の問題もたくさんございます。それにつきまして、一、二の点につきましては政府のお考えをただしておきたいとともに、その他の問題もたくさんありまするが、これは私の希望として申し上げて、政府でもお考えを願うと同時に、また、本委員会におきましても結論を出していただきたい、かように考えておるのでございます。
今次
台風の特徴は、先ほど来各県知事からお話のありました
通りに、
台風そのものが非常にきつかったにもかかわらず、
被害はそれほどでもなかった。これは第一に、気象の予報が非常に正確であったということ、それから
台風が
大阪、
和歌山を通過した時刻が昼であった、それからそのほかに、先ほど
警察庁から住民が非常に協力したと言われましたが、一つは、
関係府県庁並びに市町村の役所が、非常に
対策として徹底した
対策をとられた、これはこれ以上の
対策はなかった、客観的な条件からいって、だれがこの任に当たってもこれ以上の
対策はなかった、こう私は考えておるわけであります。
それから今次の
台風の特徴は、割合雨が少なかったので、
大阪の
防潮堤を突破して入った
浸水は別といたしまして、
河川その他の
被害が比較的少なくて、
住宅その他農産物あるいは商品等の
被害は多かったけれども、
河川とか
土木関係の
被害が非常に少なかった、こういうことであろうと思います。
もう一つは、
大阪は、御
承知の
通りに、四分の一は
浸水をいたしておりましたが、従来は伝染病が非常にはやった。ところが、今日までのところは、この点につきましても、幸いにしてその激しいところの徴候を見ておりません。先ほど来
大阪副知事から
説明申し上げましたが、
土木関係は
大阪においては二十億という程度でありますが、
住宅関係が非常に大きい。個人の
住宅関係で三百七十二億円、学校
関係で、公立の学校だけで三十二億円、そのほかに私立の学校でも
相当あると思います。そのほか、公共用の役所とか公共用の建物が二十八億円、四百三十億円というものは建物の
被害であります。先ほど来、学校の
関係につきましては文部省の方からも御
報告があり、農林省からも御
報告がありましたが、これは古い
調査であると思いますが、だんだんと
調査の結果、
被害がふえております。農産物につきましても、
大阪におきましても七十億円に達しておる。
大阪の農産物の
被害は、水稲がまず十九億くらいあります。それから果実の
被害が非常に大きい。果実が十七億五千万、これはカキ、ミカンというものもありますが、特に
大阪は御
承知の
通りにブドウの産地である。山梨県と
大阪の堅下、柏原
市内、旧村別で言いますと、堅下、堅上、国分というような三つの村は全くブドウで生活している。そのブドウは、農林省の
報告のように、果実が落ちたとかあるいは傷ついたとか、そういうなまやさしいものじゃない。ブドウだなそのものが全くぺちゃんこになってしまって、そしてもうどうにもしようがない。これは、今度の
災害が、公共の建物、公共
土木事業その他の
災害もありますけれども、個人
災害が非常に大きい。
家屋についてもしかり。また、農産物あるいは商品についても、農産物につきまして、
大阪はただいま申し上げております
通りに、水稲で十九億円、果実で十七億五千万円、そのほかに、最近家畜の奨励で、
大阪においては養鶏が非常に盛んでありますが、との鶏がみんな死んでしまった。この養鶏の
被害が非常に大きいのであります。
大阪において畜産の
被害が九億五千万円ということは、おそらく皆さん方はびっくりされるだろうと思いますが、実際において、鶏は、どういうものですか、あの強い風に当たりますとショックを受けたのか、死んでしまった、その
被害が非常に多いのであります。
風速についても、先ほど知事から、
大阪府の
報告の
資料をもとにして五十メートルというようなことを申されましたが、これは測候所とか、そういうような測候の公の
機関のあるところの
風速であって、私の方のいなか登美丘町というところに国際電信の放送所があります。そこの測候によりますと、
風速六十六メートル、養う
被害のない家はほとんど一軒もありません。屋根のかわらの落ちていないというような家は一つもございません。建物も非常にきれいに見えておるけれども、昔の、よく注意して念を入れた建物は、比較的
被害が少ないのでございますが、近代的な建物で、見かけのいい建物でも、この
台風にかかっては一番ひどい目にあっておる。ことに大きい学校であるとか、あるいは特に屋内体操場であるとか、中には屋根のかわらが全部はがれてしまって、屋根の上であっちへ固まったりこっちへ固まったりしておる。あるいはまた屋根が全体が飛んでしまっておる、こういう状態であります。そして、木の電柱が倒れておるのは、もちろんめずらしくありません。私はこの目で見たのでありますが、八尾
市内で、鉄筋コンクリートの電柱が、二十本近くが一本も残らず風のために折れております。ただ二つに折れる場合が想像せられるのでありますが、その中に一本だけ三つに折れておる。これはよほど風が強くなければ折れぬ。
大阪府の
報告の写真の中にも入っておりませんけれども、この例を一つ聞いていただきましても、いかにひどかったかということは、私は想像していただけるだろうと思う。私たちは外から見て知らなかった。折れているのを初めて見ましたが、これはコンクリートの中に細い無筋がたくさん入っておる。二十本近くが一本残らず二つに折れております。しかも、その中の一本は三つに折れておる。これは、よほど
風速が強くなければこのようなことは起こり得ない、こういう実情であります。従って、今度の
台風につきましては、今申し上げておりますように、
大阪府だけで申し上げても、
家屋の損害が四百二十億円をこしておる、こういう状態であります。今度の
台風被害につきましては、先ほど申し上げました
通りに、あらかじめ予報が非常に正確であった。私は、ちょうど十二時ごろにはいなかにおりまして、
大阪市内の十二時半の会合に自動車でかけつけたのですが、その自動車の中でラジオを聞いておりますと、
台風はもう間もなく来ると言っておるけれども、あらしの前の静けさと申しますか、外は平穏であった。私は、あるいは予報が間違うのじゃないかと思っておりましたけれども、時刻になりますと、正確に
台風が来ました。また、
台風が済んでから、私は、
大阪の御堂筋から上本町二丁目の
大阪の医師会館に行って、それから上本町を通って堺に出たのでありますが、その間の
道路のわきのいわゆる商店街の広告塔であるとか、そういう出っぱったものがあって、全部自動車がなかなか通れない、こっぱみじんにそういうものが落ちておりました。そして、商店の
被害というものは、従来の水につかった
被害は
浸水したときの
被害でありましたが、今度の
被害はそうじゃなくて、雨は少なかったけれども、屋根がふっ飛んでいる。従って、吹き込んで品物がいたんでしまった、水に浸ってだめになった。これが
大阪の
商工業関係者の
被害でございます。あくる日町を歩きますと、ちょうど大掃除の当日のように、
道路のわきに畳が全部ほしてある。今まで水害があった場合には、
浸水地の畳がほしてあるのを見ましたけれども、全部至るところで畳が道一ぱいにほしてあるところは、私は見たことがない。今度の場合は、いなかへ行きましても、
大阪の町へ行きましても、全部畳が、全く大掃除のときに畳をほしてあるがごとくに並べておりました。こういう状態でございましたが、これは先ほど来申し上げておりまする
通りに、今度の
被害というものは、個人的な
被害が非常に大きくて、農作物につきましても、この点は一つぜひとも皆さん方に御認識を願いたい。
全国的に見ますると、すでにわせを収穫したところはたくさんあります。ところが、
大阪を
中心とする
近畿は、作物がおくてが多い。これが今一番大事なときです。昔から、二百十日、二百二十日は
台風のあるときだと、子供のときから私たちは聞かされておりました。けれども、実際は二百十日よりも二百二十日の方が実はこわい。二百十日の
台風は大した損害は受けないけれども、二百二十日の
台風がこわかった。ところが、これが十六日でございます。従って、一番最悪の場合に風が吹いた。私は、もともと百姓でございまするが、さっそくあくる日、行って稲の穂を握ってみた。見ますると、風のあくる日の稲はすでに白みを帯びておる。これはすぐあくる日でありましたから、まだ幾分青みを帯びておったけれども、今日ではもう白穂になっておるのじゃないか。おそらく、水稲の
被害というものは、奈良県にしても、
和歌山県にしても、その他の県にしても、私は、現在の
報告よりもますますふえてくるものと見ております。こういうような
被害の状態でございます。
今度の場合は、先ほど申し上げておりまする
通りに、予報も非常に正確であった。
関係当局においての
対策も十分であった。そういう点については申し分がないけれども、ただ一つ遺憾なことは、
大阪の
防潮堤の不完全なための
大阪の
浸水であります。これだけは、あらかじめできることをしなかったために、こういう
被害が起きた。今度の場合は、さしあたりどうしてもやってもらわなくちゃならぬことは、これはだれも異議がない。今までのように五億や十億の
工事の継ぎ足しではだめだ。これは思い切って完成してもらわなければ、ことしでももう一回
台風がありますると、このおそれがある。また、本年度からこの
工事をやってもらわないと来年に間に合いません。従って、この委員会においても、また、
政府当局においても、
大阪の
防潮堤の問題だけは、来年の
被害をこうむらないように、一挙に一つこれを完成してもらいたい。これはぜひともお願いいたしたい。
その他の点につきましては、先ほど来申し上げておりまする
通りに、個人的ないろいろな問題がありますので、それに応じたような一つ
対策を講じてもらいたいのですが、ただ、
災害救助法の適用を
相当見ております。御
承知のように、
災害救助法は市町村を単位といたしておりまして、一定のある
数字によって適用されるわけでありまするが、
災害救助法を適用されていない町村におきましても、個人的には
救助法を適用される地域以上の損害を受けておるところもあります。従って、今度の
災害の性質から考えましても、
災害救助法の適用のある地域はもちろんのこと、その
地区外においても、個人的な
災害を救済するというような方法をぜひとも一つ講じていただきたい、かように感ずるわけであります。政府のいろいろの
対策も出ておりまして、
通産省の方でもいろいろな資材の
関係で出ておりまするが、実はこれは、関東では割合にトタンぶきの屋根が多いけれども、関西ではトタンぶきの屋根が非常に少なくて、かわらの屋根が多い。スレートの需給の
関係は大体いいような
通産省のなにが出ておりまするけれども、
大阪においてはかわらがほしい。かわらは淡路、泉州、
三重あるいは愛知で産するのでありますが、
淡路島及び泉州は、
災害でもう全くだめなんです。ちょうど十七日に、天井の突っ込んだ屋内体操場で、ある会合がありまして、
警察署長が出て参りました。かわらは一枚大体相場が二十円くらいのものだ、ところが、町では六十円だというので、
警察署長が中に入って三十円に売らせておる。かわらはとても急には間に合わないのでありまするが、トタンは間に合いそうです。私が二日目に回ってみますと、一時的にトタンを張ってその場をしのいでおるような状態であります。学校などにおきましても、文部省の
報告は少し実際と違うように思うのです。とにかく、こんな
被害があったのに、学校の先生が、校長以下おったというのだが、よくもおられたと思うほどガラス窓がめちゃめちゃ、になっている。風の力だけでガラス窓が割れておる。物が当たってガラスがこわれるのは想像されることでありますが、風の力だけでガラスが割れておる。鉄筋コンクリートの建物は、建物そのものは
被害を受けておりませんけれども、風でガラスが割れておる。私も、ちょうど弟の嫁が
大阪の国立病院に入っておるので、帰りがけにちょっと病院を見舞ってきましたが、国立病院のガラスも、風だけの力でその病室のガラスが割れておって、ゆうべは廊下で寝た、こう言っておりましたが、そのくらいとにかく激しかったわけであります。それで、建設大臣がおられませんので
河川局長にお願いをいたしますが、この
大阪の
防潮堤の問題ですが、これは地盤の沈下と
防潮堤のかさ上げの問題と関連をいたしております。
大阪は、御
承知の
通り、工業用水法が適用されておる。しかしながら、この工業用水法というものは、工業用水の立場から、利用の
関係から制定されておりまする
関係上、
地下水くみ上げの規制が少しなまぬるい。また、
大阪にはビルが盛んに建ち、そのビルが
地下水をくみ上げる。この
地下水の制限をもっと徹底的にやってもらうということが、
災害防止上絶対必要なんです。それと同時に、先ほどちょっと申し上げましたように、この
大阪の
防潮堤のかさ上げだけは絶体絶命のもので、ぜひとも一つ今年度から速急に着手してもらって、来年の
災害の起こるような季節までには完成をしてもらいたい。これについて
河川局長はその決心をしていただけるか、その点について一つお伺いいたしたい。