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1961-07-26 第38回国会 衆議院 災害対策協議会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月二十六日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席協議委員    委員長 辻  寛一君    理事 秋山 利恭君 理事 遠藤 三郎君    理事 首藤 新八君 理事 中野 四郎君    理事 下平 正一君 理事 中島  巖君       小川 平二君    大森 玉木君       川野 芳滿君    北澤 直吉君       久保田藤磨君    佐藤虎次郎君       野田 武夫君    増田甲子七君       宮澤 胤勇君    岡本 隆一君       勝澤 芳雄君    北山 愛郎君  協議委員以外の出席者         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林政務次官  中野 文門君         農林省大臣官房         長       昌谷  孝君         農林省農林経済         局長      坂村 吉正君         農林省農地局参         事官      堀  直治君         農林省振興局農         産課長     石川  里君         農林省蚕糸局繭         糸課長     藤本 仁平君         農林省林野庁指         導部治山課長  手束 羔一君     ————————————— 七月二十六日  協議委員久保田藤磨君及び増田甲子七君辞任に  つき、その補欠として内田常雄君及び柳谷清三  郎君が協議委員となった。     ————————————— 協議事項  災害対策に関する事項      ————◇—————
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより災害対策協議会を開会いたします。  前会に引き続き集中豪雨等による災害対策について議事を進めます。  本日は農林省に対する質疑を行ないます。     —————————————
  3. 辻寛一

    辻委員長 この際、新農林政務次官に就任されました中馬辰猪君、中野文門君から、それぞれごあいさつがあります。中馬農林政務次官
  4. 中馬辰猪

    中馬説明員 昨日付をもちまして農林省政務次官を仰せつかりました。微力短才ではございますけれども皆様方の御協力を得まして、大過なく仕事をさしてもらいたいと考えております。万事よろしくお願いをいたします。(拍手
  5. 辻寛一

  6. 中野文門

    中野説明員 参議院議員中野文門でございます。このたび農林政務次官を拝命いたしました。未熟者でございますが、何とぞ今後とも御指導、御援助を御願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)     —————————————
  7. 辻寛一

    辻委員長 発言を求められておりますので、順次これを許します。大森玉木君。
  8. 大森玉木

    大森協議委員 私は、今度起こりました災害について質問をいたしたいと思うのであります。  これまでの災害によりますると、大体大きな災害は、基準がありまして救済されておるのであります。しかし、小額災害に対しましては、十万円以下は云々ということで、これが補助対象にもなってないということで地方民は非常に困っておる。さらに、この小さな災害がそのままに捨てられてあるために、今度は大きな災害になっておる実例が多いのであります。でありますから、どうしても小額災害を取り上げ、どこまでが限度になるか。それは、小額災害と申しましても、大体千円か二千円のものはどうなるということになるでありましょうが、しかし、どこまでが取り上げられるか。これは各省にまたがる問題だと思うのであります。きょうは農林省だけだそうでありますから、小額災害に対しましての大体のお考え方を、農林省にお尋ねいたしておきたいのであります。特に補助に対しまする農林省考え方はいかがであるかを承っておきたい。
  9. 中馬辰猪

    中馬説明員 ただいまの大森委員の御質問お答えをいたします。  農地等の小災害と申しますのは、ただいままでのところでは、三万円以上十万円以下ということに予定をいたしております。なお、これらについての災害復旧等に対する国の助成でございますけれども、今回は、地元負担を軽減するために地方公共団体が行なう農地等小規模災害復旧事業のうち、農地に関するものは当該経費の百分の五十、それから、農林水産業施設にかかわるものは百分の六十五に相当する地方起債を認めまして、その元利償還金については、百分の七十一・五に相当する額を国において元利補給をいたし、また、百分の二十八・五に相当する額は地方交付税基準財政需要額に算入することにして、農村省と大蔵省、自治省との間において話がついております。
  10. 大森玉木

    大森協議委員 ただいまの御説明で大体わかりましたが、村における小額災害でありまするから、村などでは、多いところは何十カ所というような小さなものがある。これを一つにまとめて、そして大体今のお話ではそういうふうに承ったのでありまするが、その起債対象になる主体は、あるいは村なり町なり市なりがなるのでありますか、個人対象になるのでありますか、この点を伺いたいと思います。
  11. 昌谷孝

    昌谷説明員 小災害に対しましての基本的な対策は、ただいま政務次官からお答え申し上げた通りであります。運用の問題につきましては、現在の暫定措置法で十万円以上を処理しております場合と同じように考えております。運用上は、御指摘のような点についても相当善処できると思います。
  12. 大森玉木

    大森協議委員 私の質問はこれでよろしいです。
  13. 宮澤胤勇

    宮澤協議委員 ちょっと関連して。今の百分の五十と百分の六十ですか、これは伊勢湾台風特別立法では幾らになっておりますか。
  14. 昌谷孝

    昌谷説明員 その点につきましては、伊勢湾台風の際の前例と同様であります。農地について百分の五十、農業用施設について百分の六十五まで起債を認めております。
  15. 辻寛一

  16. 中島巖

    中島(巖)協議委員 きょうは農林大臣の河野さんに来てもらいまして、政府基本的態度をお伺いいたしたいと思ったのでありますが、御都合で御出席できないようでありますので、就任早々政務次官にお尋ねしても御無理かと思いますけれども、本日で農林関係の分を終わりますので、お尋ねをいたしたいと思います。  ただいま政務次官答弁の中で、十万円以下の小災害に対する、かつての伊勢湾台風と同じような特例措置をする、こういうことを言われたのでありますが、それによって政府の今次災害に対する対策の一片がうかがわれるのでありますけれども政府といたしましては、この前の二十日でありましたかの答弁に、大平官房長官特別立法を設ける、こういう言明はしたわけであります。しかしながら、その特別立法内容も、あるいは自治省関係起債措置であるとか、あるいは交付税の増額であるとかいうようなことだけの特別立法では、とうてい今度の災害は救うわけにはいかない。すなわち、災害復旧基本法であるところの公共土木施設国庫負担法、並びに本日これから問題になるだろうと思いますけれども農林水産業施設災害復旧に関する国の補助の、昭和二十五年に発令した特別措置法、この二つの親法特例を設けぬ限りは、今回の災害復旧はとうていおぼつかない、そして、伊勢湾台風に比較いたしますと、おそらく私の想像では範囲が非常に狭くて、災害の額も四分の一程度であろうと思うわけであります。しかしながら、この天龍沿岸筋にこうむった被害というものは、私も長く建設委員として、伊勢湾台風も、九州の諫早の災害も、また狩野川の災害も、いずれも視察いたしたのでありますけれども、この残酷な災害の深さというものは、これらより以上ではなかろうかと私は考えておるのであります。そこで、限られたわずかの部分でありますけれども、この深刻な災害に対しましてやはり国は同じような立法措置をとるべきである。すなわち、具体的に申し上げれば、ただいま申し上げたような災害基本法伊勢湾台風のような特例を出すべきである。さらに、今や台風季に入りまして、今後もこういうような災害が起こるわけであります。この特例法は、これから起こる災害にも対処できるような、いわゆる法の公平な立場から、これらの立法適用できるような法案をこの際作るべきである、こういうように私は考えるのでありますが、政府はどういう方針でおるか、この点を政務次官にお尋ねしたい。
  17. 中馬辰猪

    中馬説明員 ただいまの中島先生の御質問につきましては、先般官房長官が、もし必要あれば特別立法を講ずるというお答えをいたしておりますし、ただいま農林省におきましても鋭意関係者が努力いたしまして、個々災害の規模、内容等について査定、調査をいたしておる最中であります。大体、農地につきましては、八月の上旬には査定が終わろうかと思っております。林野関係につきましては、若干不便なところが多うございまして、山の中に入っていかなければなりませんので、多少おくれると思いますけれども、いずれにしても農地林野等査定が終わりましたならば、農林省におきましてはその内容等をよく調べまして、またあらためて御相談を申し上げたいと考えております。先般の官房長官の言明いたしました趣旨にのっとりまして、私どもといたしましても鋭意その方向に進めて参りたいと考えておりますが、まだ結果につきましては、個々内容等についてわかっておりませんので、今しばらく御勘弁を願いたいと思います。
  18. 中島巖

    中島(巖)協議委員 実は、十八日から始める協議会を、内閣の改造その他の都合で二日延ばして、二十日から始めたわけですが、それ以前に、社会党の災害対策といたしましては、農林省災害関係担当官、それから建設省災害関係担当官などに来てもらいまして、いろいろ事情方針を聞いたわけです。その当時は、両担当官とも特別立法には全然触れずに、現行法によってできるだけの処置をすると——これは、官僚としてはこれ以上の答弁はできぬだろうから当然だと思いますけれども、非常に見込みがなかったのでありますが、この協議会を重ねるに従って、今政務次官からお話しのありましたように、政府態度特別立法を設置せねばならぬ、こういうような方向に向かれたわけです。そこで、私考えますに、災害に対して、いわゆる何と申しますか、動くところの官庁が、現在政府の中にないわけです。そういうような関係で、お互いに各省の顔色を見ておって、早急になかなか態度が決定できない、これはごもっともだと思うのです。ところが、この災害関係の国から出す金の一番大きなウエートを占めておるのは、何といっても建設省農林省なんです。従いまして、この建設省農林省のトップ・クラスにおいて、早くその方針をきめて、閣議に諮って、事務官僚の方に政府の意思として流していただかぬと、実は私の方でも、百町歩、百十町歩というような耕地が、ほとんど連続的に天龍川の災害で流れておるのだけれども、そういうような方針がわからぬことが第一でありますし、もう立ち上がる気力も何もなくなっておるという状態でありますので、早急に一つ方針を立てていただきたい、こういうふうに考えるわけでありますが、それに対しての政務次官の御所信をお伺いしたいと思います。
  19. 中馬辰猪

    中馬説明員 ただいまの御質問あるいは御要望等につきましては、私どもも全く同様でありまして、準備至り次第、政府部内の意見をまとめるように努力いたしたいと考えております。  なお、大臣は、東久邇さんの葬式のために欠席をいたしておりますが、ただいまの御質問等につきましては、十分に事務当局大臣とも相談をいたしまして、早急に結論を出すようにいたしたいと考えております。
  20. 下平正一

    下平協議委員 先ほどの大森委員宮澤委員、今の中島さんの御質問に関連して、ちょっと疑問に思いますので、お伺いしますが、農地等の小災害については百分の五十、施設は百分の六十五、これを七一・五は元利、それから二八・五は特別交付税、こういうことできめて、これは伊勢湾台風と同様だ、こういう御答弁までありしたが、御承知通り伊勢湾台風のときの起債特例法の第三条は、そのほかにもう一点あったはずであります。要するに、被害激甚地区については、たしか百分の九十ということにしておるはずであります。従って、伊勢湾台風同様の措置農地小災害にとるという御答弁は、当然、被害激甚地については、農地施設、その他暫定法に示す補助率というものは、一律に百分の九十に上がるのだ、起債を行なって、起債元利返還全額国で行なうのだ、こういうふうに解釈してよろしいかどうか、確認しておきたいと思います。御答弁をいただきます。
  21. 昌谷孝

    昌谷説明員 先ほど私お答え申し上げましたのが、やや不正確でありました。百分の五十あるいは百分の六十五が基本線になっております点においては、伊勢湾台風の場合と今回とろうとしておる措置と同様という趣旨お答え申し上げたのでございます。そこで、さきの中島先生の御質問で話題になりましたように、十万円以上の災害について、激甚地について補助率特例その他が講ぜられるようになりますれば、小災害についても、それに準じて、当然また考えなければならぬ。私が先ほどお答え申し上げましたのは、一応現行暫定措置法のベースに合わせて小災害を対処する場合の基準を申し上げたわけであります。従って、さにら激甚地区に高率適用するかどうかという問題は、十万円以上の災害の取り扱いをどうするかという問題をおきめいただくときに、同時に決定していきたいというふうに考えております。
  22. 下平正一

    下平協議委員 そうすると、暫定法適用になる農地災害の十万円以上について、激甚地指定の百分の九十を適用するか。百分の九十というのは、もちろん伊勢湾台風の例でありますけれども、要するに、一言にして言えば、高率補助適用するかどうかということは、まだ農林省当局としては確定をしていないということなんですね。  もう一点ですが、もしかりに十万円以上の災害に本法の高率補助というものが適用されるとするならば、小災害についても、激甚地指定政令基準に合うところについては当然百分の五十、百分の六十五、その他を百分の九十にする、こういうふうに理解をしていいかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。
  23. 昌谷孝

    昌谷説明員 大体御趣旨通りでけっこうでございます。十万円以上につきましては、先ほど政務次官からお答えいたしましたように、目下災害査定を急いでおります。その結果を持ち寄りませんと、関係各省の間で具体的相談が煮詰まりませんので、その材料整をえた上で決定いたしたいということでございます。そういたしますれば、十万円以下の小災害につきましても、権衝をとって処置をしていくことは当然と存じております。大体農林省方針としては、御指摘通りで御了承いただいてけっこうでございます。
  24. 下平正一

    下平協議委員 小災害についてはもっとお聞きをしたいのでありまするが、関連でありますので、ほかの委員質問の中で、不足の点はお許しをいただきたいと思います。特に申し上げたいことは、百分の五十ないし百分の六十五の救済だけでは、今次の災害は特に激甚地区が多いのでありまして、傷が深いわけであります。従って、伊勢湾台風と同様の措置ということになりますれば、激甚地指定における一般法も、小災害についても当然百分の九十を適用していただだかなければ、伊勢湾台風同様の措置とは言えませんので、その点はぜひお考えをいただきたい、こう思います。以上です。
  25. 中島巖

    中島(巖)協議委員 そこで、さらに、基本的の問題について政務次官にお尋ねしたいと思うのです。  いわゆる建設省関係公共土木施設国庫負担法の方は、かりに現行法であっても、地元負担に対しては一〇〇%の起債が認められて、そして、その償還の場合は、基準財政需要額に含めて国で九五%負担をするのでありますから、この公共土木災害国庫負担法の改正ということは、これは大きな災害であるから、国の負担を大きくするのは当然であるけれども、現在の激甚地帯下伊那の町村はほとんど赤字財政のところばかりでありますから、結局、起債で多くもらうか、国庫負担で多くもらうかということであって、あまり変わりはないのです。この十万円以下の小災害をどう扱うかということが一番問題になるわけであります。しかしながら、農林省関係は、対象地方公共団体のみならず、農協であるとか、個人であるとか、いわゆる一般のものが対象になるわけでありまして、従って、災害対策特例法ということは、ほとんど農林省関係にその大部分が占められてくるといっても過言でないと私は思う。  そこで、具体的な問題に移りまして、たとえば今回の災害に対して、伊勢湾台風のときのようないわゆる特例法を設けるとすれば、全般的に設けるかどうか、かりに特例法政府方針で設けるということにきまれば、農林省考えとしましては、伊勢湾台風と同じような各種特例法を出すお考えであるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思うわけであります。
  26. 中馬辰猪

    中馬説明員 ただいま、御承知通り建設省関係の場合はいわゆる公共施設でありますが、これが農林省の場合は、私物といいますか、個人施設農地等でございますので、若干趣を異にいたすことはやむを得ないと思いますが、ただ、農林省の場合は、起債のかわりに公庫融資というものを認めております。この公庫融資を八 〇%程度認めることにいたしております。しかし、これは利率が年五分五厘でございまして、起債よりも利子としては安いのではないかと考えております。  なお、あとの御質問は、もう少し具体的にいろいろ検討してみないと、ちょっと今のところお答えができない次第であります。
  27. 中島巖

    中島(巖)協議委員 これは逆の見方で、農地局の方やそれから繭糸課長も見えておられますから、お伺いいたしますが、かりに政府がこの基本法に対するところの特例法を出さぬとした場合には、ほかの方法——農地農業用施設、あるいはこの間から問題になっておるような共同利用施設、これは現行法では二〇%しか補助対象にならないわけでありますけれども、何かはかの方法で、別の法律救済をする道があるのかどうか、この点について農地局長並びに繭糸課長からお答えを願いたいと思います。
  28. 昌谷孝

    昌谷説明員 農地局蚕糸局からも参事官課長が参っておりますから、お話の細部については、それぞれ専門家お答えいたします。  概括的に申し上げますと、前回前例通り特例お願いすれば、今回の災害の場合にも十分対処していけるかどうかという点について、目下具体的に検討中でございます。たとえば共同利用施設の場合につきまして申し上げますと、御指摘のように、現行法では二割の補助ができることになっております。それを前回前例によりますれば、一般的に引き上げて、激甚地には九割まで補助ができるような特例が認められたと記憶いたしております。今回の災害の場合にやはり同じような措置で十分乗り切れるものかどうか、あるいはもっと別の角度で申しますと、被害を受けました農業協同組合なら農業協同組合、あるいは連合会の将来にわたります経営の見通しを立て、一つ再建計画とでもいうものを立てることが、むしろ肝要ではなかろうかと実は考え蚕糸局とも寄り寄り相談をいたし、その結果が、前回前例通り特例というようなことでお願いすることが一番よいという結論を得れば、そういうふうにお願いをするつもりでおります。また、その検討の結果が、今回の事情にもっとよりよく適合した援助の仕方の方が好ましいということでございますれば、そういった前例に必ずしもとらわれない、むしろ、今回の災害に最も適した措置お願いいたさなければならぬ場合も起こるのではなかろうかというふうに頭で考えながら、目下具体的な対策検討中である、そういう段階でございます。
  29. 堀直治

    堀説明員 農地関係災害につきましては、ただいまの現行法におきましても高率補助規定がございます。長野県のようなああいう大災害地帯につきまして、ただいま査定をやっておりますけれども、概算で検討いたしておりますところによりますと、大体九割以上の補助率に相当するのではないかと見られております。これは査定をしっかりやりませんと、九割何分という数字は出ませんけれども、大体そういう考え方になっておりますので、暫定法特例法を作りましても、その点については、九割以上になる場合には九割以上にするような規定をこの前も入れていただいたわけでありまして、大体被害激甚地については、そういうようなことで高率補助適用だけで救えるのじゃなかろうか。なお、前年災の規定も入っておりますので、三十四年災に被害のあったところにつきましても、同様なことが言えると思います。ただ、小災害につきましては、先ほども質問のありましたように、特別法ができませんと、九割という規定は入らないというふうなことになっております。現在の法律適用されるのはそういったことになっております。
  30. 藤本仁平

    藤本説明員 ただいま官房長から御説明申し上げたことでおおむね要を尽くしておるわけでございますが、蚕糸局といたしましては、天龍社のあの下伊那などにおける非常に重要な地位ということを考えまして、従来果たしてきた機能が、災害を受けたことによってひびが入らないようにするのにはどうしたらいいかということに観点をしぼりまして、その善後策現地側の人々と一緒に考えていきたい、こういうふうに思っております。ことに、今回の災害は、従来の災害と非常に趣を異にする点がございまして、たとえば在庫品被害でありますとか、あるいは相当大きな工場を運営しておる、その工場自身が壊滅的な打撃を受けたわけでありまして、その再建が可能になるまでの間に、一種の休業状態に伴う損害でございますとか、目に見えないことがたくさんありますので、結局、ただ単なる施設復旧という観点だけでは処理し切れない部分が、相当たくさん残るのではなかろうかと思います。そういう意味では、かつて行なわれました農協整備促進というような仕事がありましたけれども、そういうような観点をも取り入れまして、若干の長期的な計画を立てて、そして、どういうふうにしたらもとの機能を回復することができるかというような計画性を持ちまして、それに必要な対策お願いすることにいたしたいと考えております。
  31. 中島巖

    中島(巖)協議委員 今の農地局の方の答弁並びに繭糸課長答弁に対して再質問するわけでありますが、確かに農地局の方が先ほど言われたように、現行法においても高率補助規定があって、そして、奥地林道だとか農業施設においては、あなたのおっしゃるように、九割以上になる場合もあるでしょう。しかしながら、たとえば天龍沿岸災害復旧耕地事業をやる場合において、農業施設があまりないというような場合においては、一番最高に持っていっても九割にしかならぬ。また、林道関係におきましても、奥地林道は別として、一般林道最高補助が七割五分までしかなっておらぬ。従って、全体から見ると、あなたの言うようなことにあるいはなるかもしらぬし、ある品目においてはおっしゃるような例も出てくるけれども、ある品目においては、ただいま言った一般林道であるとか、農地だけの災害復旧であるとか、こういう場合においては、とうてい、どんなそろばん立てたって、九割なんということにはならぬ。従って、やはり公平な——私は、伊勢湾台風のあの立法措置というものは、これはいろいろ議論はありましたけれども、とにかく恒久立法にしてもいい立法ではないかと思うのです。これはあと政務次官にもお尋ねしますけれども、そういうような公平な、いつの災害でも、激甚な、深刻な災害に対しては適用できるような法律を今回こしらえて、これは恒久立法としては無理でありましょうけれども、すでに台風季も迫っておるのだから、あとでそういうような場所がまたできても、直ちにそれを適用するような立法措置をとることこそ、今次の災害を救う道であり、また政府の施策である、こういうように考えておるわけですが、今の具体的な問題についてのお考え、それから繭糸課長に対しては、また重ねて質問するようでありますが、共同利用施設に対する——伊勢湾台風のときには、普通は五割、激甚地は九割という特例法が出たわけでありますけれども、かりに今度特例法を出さぬとすれば、この再建を具体的にどういう方法でできる方法があるか、これを具体的に、何法によれば何割出せるのだ、こういうような御答弁を願いたいと思います。再質問いたします。
  32. 堀直治

    堀説明員 中島委員の御指摘通りでございまして、具体的に査定が終わりませんと、どこでどういうふうな——被害が大きいにかかわらず、比較的補助率が上がらないとかいうようなことがわからないわけでございます。そういうような点を調べまして、善処をしたいというふうに考えております。
  33. 藤本仁平

    藤本説明員 ただいまのところ、例の暫定措置法による二割補助という法律があるだけでございまして、あとは、今回の災害が非常に特殊な条件がたくさん重なっておりますので、被害の実態をもう少しよくはつきりつかみました上で、どういう対策を講ずることがこの際最も適切であるかということを逐次固めて参りたいと思うのでありますが、実は被害内容につきましても、災害直後に現地側からもたらされました数字がついこの間また修正されまして、だいぶ正確度を加えて参ったわけであります。そういうものを材料にいたしました上で、できるだけ近い機会に具体策という形で政府対策の内応を固めるようにしたいわけであります。そういう程度でございます。
  34. 中島巖

    中島(巖)協議委員 政務次官にお尋ねしますが、私が申し上げるまでもなく、御承知のように、前国会において農業基本法を中心にして与野党で相当激烈な論議がされて、そして政府案が、ああいう状態で強行成立をされたわけであります。農業基本法の中にも、強くこの農村の共同利用施設というようなことをうたってある、そして政府としては、この農業基本法を忠実に裏づけしてやれるかやれぬかという、これが一番最初の試金石である、こういうように思うわけです。従いまして、今の天龍社共同利用施設などに対する特例法態度そのものによって、農業基本法が生きるか生きぬか、こういうことで、僕らも非常な注目をしておるわけであります。それと同時に、この農業の災害復旧に対する特例法というものは、これは一に池田内閣の農業政策に対する熱意がどれだけあるかということのバロメーターになるものだ、こういうようにわれわれも考えておるわけであります。そこで、政務次官に具体的な問題としてお尋ねいたしたいことは、ただいまの質疑の経過によっておわかりだと思いますが、伊勢湾台風立法措置というものは、それはいろいろな非難はあるけれども、私は、非常に基本的なモデル的なケースである、こういうふうに考えているわけです。従って、今回の災害にあれと同じような法案を作って、そして特例法をこしらえて——本年度において今後発生するとわれわれは予想しているのですが、それらの災害にもこれが適用できるような、周部的な災害であっても、広範な災害であっても、公平に適用できるような立法措置を講ずべきである、こういうように考えるのでありますが、政府の意見がまとまっておらぬというならば、政務次官個人の意見でもお聞かせ願いたいと思うわけです。
  35. 中馬辰猪

    中馬説明員 先ほどから御質問がございました天龍社の問題でございますけれども、これは特に被害が甚大でございまして、少々の国の援助等ではなかなか復旧、立ち上がりが困難かと思われます。そこで、農林省におきましては、先ほど来事務当局お答えいたしておりましたけれども、私どももまた、二割とか、そういう率にこだわらずに、一応災害復旧についてはできるだけのことをする、さらにまた、これが再建につきましては、承れば、繭を仕入れておいてそのまま製品化する前に流失をしたということでありますから、これらに対する将来の融資その他の問題、あれこれ考え合わせて適切なる手段を講じて、要は、国の助成によって、いつからどれくらいの補助をすれば立ち上がりができるかということをよく検討して、これは責任を持って善処いたしたいと考えております。  なお、災害特例法の問題でありますが、先般の国会に災害基本法を提出いたしたのでありますけれども、これが審議未了と相なったのであります。そこで、政府においては、ただいまの特例法を恒久化するということについてはまだ結論が出ておりませんので、一政務次官お答えする段階ではないと思いますけれども、ただ、私どもとしては、個人の立場でありますけれども特例法というものをぜひ恒久化したいものだ、願わくば政府部内の意見を統一して成案し得るように——私も実は鹿児島県でありまして、年々そういう中島先生の御要望を政府に繰り返して参った一人でありますから、部内におきましても鋭意その方向に努力させてもらいたいと考えております。
  36. 中島巖

    中島(巖)協議委員 災害常襲地帯政務次官が出られたのだから、今度は常日ごろの御意見通りに大いに引っぱっていってもらいたいと思います。  それから下伊那天龍沿岸農地復旧事業ですが、これも地元ではやはり立ち上がる力がないわけであります。そこで、私は、知事に対しましても、県営でやれ、こういうことを言っておるわけであります。この間河野農林大臣に対しまして、農地改良事業を国営で各所でやっておるじゃないか、従って、ああいうような大規模な農地災害に対しては、国営でやったらどうだ、こういうことを質問したところが、農林大臣も、現地を見さして研究します、こういう答弁だったわけです。しかし、考えてみると、伊勢湾台風みたいに、農業施設であろうと、あるいは農地の改良であろうと、九割補助が出るということになると、県営でやった場合は、地元負担の一割がほとんど八〇%まで起債がきく、こういうようになってくれば、そろばん勘定では、あるいは国労でやるより県営でやった方がいいじゃないか、こういうそろばん勘定が出てくるわけであります。そこでお尋ねしたい具体的な問題は、こういうような大災害について災害復旧を国営でやった場合があるかどうか、あるいは国営でやるとすれば何かの法に抵触するのであるかどうか、この二つの点と、それからいま一点は、これらは国として、県営でやるべく指導すべきものである、こういうように考えるのであるが、農林省としての御方針はどうか、この三つの点に対して、農地局長でけっこうでありますから、御答弁願います。
  37. 堀直治

    堀説明員 災害復旧を国営でやる場合の例でございますが、農用公共施設と申しますか、この施設につきましては、現在国が施行している工事につきましては、当然これは国営で直轄工事でやっております。また、これに準ずるものと申しますか、十津川、紀の川のせきの合口の事業がございます。これは各せきが流れてしまいまして、これを合口させたわけでありますが、これも国営でやる計画を持っておりましたものでありますから、これを国営の災害事業として直轄でやった例はございます。ただし、農地につきましてはまだ国営でやったことはございません。山梨県の災害であるか、各所の大きな災害につきましては、県営で農地災害をやっていただいた例は各県にございます。それから法律的には、現在の災害復旧法は補助法律でございまして、直轄でやる法律規定はございません。ただ、手続といたしましては、土地改良法の中に、国で直轄でやる場合の手続だけはございます。補助その他については、これは特別な予算措置でやっているだけでございます。  それから、農林省といたしましては、農地災害につきましては、県営で施行するように指導いたしたいというふうに考えております。
  38. 中島巖

    中島(巖)協議委員 他に質問者もありますので、私はこれでもって質問をやめますけれども、重ねて要望することは、これは公共土木の災害と違いまして、どうしても農民自体に負担のかかることであるから、農林省は早く腹をきめて、そして伊勢湾台風に準ずるところの特例法を出してもらいたいということが一点と、それから長野県に対して、地元の災害地では、とうてい復旧に立ち上がる力がなくておるのだから、これを県営でやるように国として指導してもらいたい、この二点を希望いたしまして、私の質問を終わります。
  39. 下平正一

    下平協議委員 関連して二点ほどお伺いしたい。今の共同利用施設の点でありますが、最近農業の共同化あるいは協業化等々のあれによりまして、共同利用施設というものがかなりふえているわけであります。そこで、現行法を改正して、この際やはり、共同利用施設災害補助率二〇%、これを他のものと大体匹敵するような形で五〇%ぐらいに暫定法の中で引き上げることが妥当ではないか、こういうことについての考え方一つお伺いいたしたいと思います。  それから農協災害については、特に長野県下の下伊那農協は三十幾つありますけれども、ほとんど壊滅的な打撃でありますので、先ほど御答弁のありました単なる災害復旧という形でなしに、その農協再建させるという形で、災害復旧プラス再建をさせるという考え方で強くやっていただきたいと思うのです。これは御承知のように、昭和三十四年災のときには、三十四年十一月に切れる整備法を二カ年延長してこれを適用せいという意見もあったわけであります。しかし、その整備法の延長でなしに、衆議院としては、御承知のように特別の決議をしてあるわけであります。三十四年の災害では、この種の災害を受けた農協については、行政措置その他万般の措置を講じて、再建できるような措置政府においても十分考慮しなければいかぬという決議をいたしてあります。あの決議の趣旨を十分生かして、災害復旧プラス再建という方法で進んでいただきたいと思うのです。とりあえず、暫定措置法の中の二〇%を五〇%に上げるお考えがあるかどうか、もう一つは、今次の災害によって、農協の事務所、あるいは農林水産業者の組織している団体が所有している共同利用施設等もかなりの被害を受けておりますので、この際そういうところまで、農協災害共同利用施設災害について幅を広げるお考えがあるかどうか、この二つについて、お伺いをいたしたいと存じます。
  40. 昌谷孝

    昌谷説明員 お答えいたします。  共同利用施設災害を受けました場合の復旧は、現行法では二割で、これは制定当時の経過としては、農地あるいは農業用施設の改良工事の場合に、国が現に援助しております援助のしぶりと、共同利用施設を新規に設けます場合の国の援助のしぶりと、その援助のしぶりが、御承知のように、おのずから段差と申しますか、取り扱いを異にいたしております。そういった、本質的にと申しますか、本来そういった施設の新設、復旧の際の国の援助の仕方の差が災害復旧の場合にも反映をして、そういう扱いになっておったものと私どもは理解をいたしております。共同利用施設と一口に申しましても、御承知のように、非常に千差万別でございまして、必ずしも全部が全部二割ではうまくないと言えるわけのものでもないと思います。従いまして、やはり状況、あるいはその共同利用施設が具体的に果たしておりました役割なり、将来に果たすべき役割なりを十分見きわめました上で、それぞれについて見当をつけて参りませんと、一律に現在の二割を不満としてかさ上げをするというふうな議論では、なかなか一般の方々の御了解を得がたいのではなかろうかというふうに私は考えております。共同利用施設と申しますか、当然それを運営いたしております母体になります農業協同組合あるいは組織体があるわけでありまして、単に施設災害を受けました以前の状態に復するに必要な援助だけをすれば、それであとは自力でどんどん発展が可能な場合もございましょうと思いますが、今回の場合のように、施設被害だけでなしに、相当手広く被害を受けております場合には、従来の行政措置等でやっておりますように、まだ償還未済の債務の償還条件あるいは金利等の条件の緩和でありますとか、そういった旧債の処理の問題でありますとか、あるいは再建のために国からの援助補助金以外に必要といたします新規の借入金等についての貸付条件、あるいは償還の見通しの問題、そういったことを、ほんとうにその施設が十分の機能が果たしていけるように御相談をし、私どもはこれなら大丈夫だという安心のいけるところまで見きわめて対策を講ずるのが、すべき筋合いのものだろうと思います。そのために、先ほど来、ただ二割の補助率を何割にすればいいというふうに、今の段階では、それだけで事が——何と申しますか、見通しが立てられるというふうには、ちょっとまだ私ども考えられませんので、もう少し全体を見て、再建計画を地元とも御相談をした上で、諸般の対策を同時にとりたいというふうに申し上げておるわけであります。
  41. 辻寛一

    辻委員長 遠藤三郎君。
  42. 遠藤三郎

    ○遠藤協議委員 私は、特に農林省に対して事あらためて質問をしようというふうに考えておるわけではございません。といいますのは、わが自由民主党は災害対策要綱というものを作って農林省にこれを示したのでありますが、自来、農林省との問に再三にわたって打ち合わせをし、農林省の諸君がまじめに、しかも、全力を尽くして災害対策の衝に当たっておられる。そのことに対して、むしろ敬意を表したいと私は思うのであります。ただしかし、特に御注意を願いたいことは、都会方面では、ややもするとレジャー・ブームだとかなんとかいって、日曜には鈴なり満員電車でもって海水浴に出かける、あるいは温泉場に押しかけていく、そういうような状況が都会方面には見られますけれども、農村の方面は実に深刻なのであります。ことに、今度の災害を受けた地帯の農民は、もう死ぬか生きるかのせとぎわに立っておる。私は狩野川の沿線に住んでおるのでありますけれども、沿線の農民の諸君は、毎晩十二時とか一時まで寄り集まっては寄り合いをして、そうして、どうして立ち上がっていくかということを真剣に心配をしておるのであります。どうかそういう農村の気持を一刻も忘れないように、深刻な気持で、ほんとに真剣にこの問題に取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思うのであります。大体伊勢湾台風のときの災害対策に準じて今度の災害対策をやるという基本方針を自民党としてきめまして、農林省の諸君もこれを了承してくれておるはずであります。従って、伊勢湾台風の例によって補助率なんかを順次きめて参りまして、それには現地調査をやってしまったあとでなければ完全な結論は出ませんけれども、その結論によって伊勢湾台風の場合の法規でもって当てはめていきますと、今度の災害の特殊事情によって修正をしなければならぬところが出てくると思う。そういう修正をして、一日も早くこの協議会で必要な立法をやり遂げなくちゃならぬ、こう思っておるわけであります。でありますから、一日も早く調査を完了し、そうして特別立法を一日も早く完成したい。その意味で、とりあえず、現在の段階でどの程度の特別法を作っていけばいいかということについて、今お答えいただかなくてもいいのでありますから、順次一つ資料を出していただきたい。そのことを政務次官お願いをしておきたいのであります。これは一わたり各省をやりまして、そのあと委員会で項目ごとに立法を要するかどうかというような点についての検討をして参ります。しかも、それは伊勢湾台風に準じてやって参ります。伊勢湾台風に準ずるのですけれども、今回の災害の特殊事情によって、それ以上にいかなければならぬところもあるし、それ以下に引っ込めなければならぬところもあると思います。政治は生きたものでありまして、その具体的な事情に合うようにやっていきたいと思うのでありますから、順次一つ出していただきたい。そうして、その検討を進めていきたいと思います。  そこで、一般論としてはそうでありますが、特に、私は、一言農林省当局お願いをしておきたいのであります。補助率その他については、同僚の委員からいろいろ質問がありました。ああいうことだと私は思います。ただ、一つの大きな問題は、前の年の災害で受益者負担をし、ようやく災害復旧ができた、しかも、その負担金に対して償還期がきておる、これから償還しなければならぬというそのときに、重ねて災害にあった、こういう人たちの窮状というものは深刻であります。今までの借金の償還ができないことはもちろんであります。従って、償還の見込みがないから、これからまた借金をして災害復旧するというような意欲がなくなってしまう。ぼう然としておるのであります。これは伊勢湾台風のときにもこの問題は出てこなかった。今度の災害の場合は、これは特殊事情だと私は思う。何回も何回も重ねてきまして、二十二号台風なんかのあの傷がまだいえていない。いよいよ償還期になって、これから償還をしようと思っておったやさきに、重ねての災害であります。今度またそういうような状況でもって非常に困っておる。従って、この問題については、伊勢湾台風のときになかった問題でありますから、これは特別に政府が奮発をしなければならぬ問題にぶつかっておるわけであります。私どもは、許されるならば、この前の災害でもって農民が借金をしょってしまっておる、しかも、また災害でもって借金をしてやらなければならぬような人たちに対しては、棒引きにしてもらいたいのであります。さもなければ、この人たちはルンペンになってしまう。もう災害復旧の能力がなくなってしまっておる、意欲をなくしておられる。ほうっておけば、農民のルンペンができるのであります。ところが、この問題は、われわれも自民党として、勇敢にこれをやれというふうなことを要綱には書きましたけれども、なかなかこれは財政当局の方も非常に強い抵抗をするでありましょう。農林省はおそらくこういうふうにやってやりたいというような情熱に燃えるのであります。しかし、大蔵省はなかなか言うことを聞かないだろうと思う。これはなかなか問題があります。私は、きょう河野農林大臣が来たならば、これを農林大臣に頼んでおきたいと思った、閣内における有力な閣僚でありますから……。これはよほど政府がふんどしを締めて、そうして財政当局に迫らなければなかなか実現はむずかしい。しかし、やろうと思えば手はあると私は思う。窮すれば通ずるということがあるのであります。幾らでも手はあると思う。どうか一つお帰りになったら中馬政務次官から農林大臣によくお話し願って、閣内で強硬にこれをやっていただきたい。農民を守るのは農林大臣以外にはないのであります。でありますから、農林大臣の責任においてこれを救っていただきますように、強硬にやっていただくことを一つあなたから農林大臣によくお願いをしていただきたい。私ども全力を尽くして応援をします。さもなければ、非常に困っておる、窮境に立っておる農民を救う道がないのであります。そのことをお願いいたします。私は答弁は要りません。以上お願いをしまして、私の質問を終わります。
  43. 辻寛一

    辻委員長 岡本隆一君。
  44. 岡本隆一

    ○岡本(隆)協議委員 私は、先般本院から派遣をされまして災害地を見て参りましたが、農林水産関係では、愛知用水公団につきまして、その復旧についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、もともと農林関係のことにうとうございますので、愛知用水公団も音には聞いておりましたが、しかしながら、見たこともなかったのです。今度災害が起こりまして初めて見せていただいたわけでございますけれども、どうも設計が不備であったというのか、あまり作り方が粗雑であったためにこの災害が起こったのである、用水のみを考えて、治水というものをあまり配慮に入れてなかったということが、私は今度のこの災害の原因であると思うのです。従って、今度復旧される場合には、よほど根本的な改良復旧をやらなければ、今度災害が起こった部分についても同様でございますし、その他の部分にも再び同様の災害が起こるであろう、こういうふうに思うのでございますが、それじゃ、どういう点が不備であると考えておるかと申しますと、まず第一に、側溝がないということ、道路だって側溝があるのです。用水路に側溝がないということは、たとえていえば、平地あるいは傾斜地を流れておる部分で、多少谷になっておるような部分を流れておる場合に、その部分に側溝がなければ周囲の水は全部入ってくる。つまり、それが傾斜地の部分の排水路になっておる。しかも、愛知用水というものは先ぼそりになっておるのです。低い所ほど狭くなっておる。雨が降った、だから自然に流れてくる水が入ってくるというときには、もちろん取り入れ口を遮断されるでしょう。遮断をされたら、細長い自然のため池になっておる。そこへ周囲の水が流れ込んで参りましたら、勢い、これはあふれざるを得ないということになってくるわけです。今度は、それでは余水吐きがある、余水吐きの数が、承りますと、わずかに十八だというのです。百二十キロにもわたる長い水路に対して十八ぐらいの余水吐きを作って、それでものの役に立つかどうかということです。今度は、それじゃ、平地の、あるいは少しこれをぐっと盛り上げて、決壊いたしましたところはちょうど盛り上げられて高くされた。高くされたところであふれますと、そのまたおりたところ、その一番おりたところにやはり側溝がないのです。だから、その水はずっと周辺へ流れていくより仕方がない、こういうことになっておりまして、設計そのものに、流入してきた水をどう吐いていくかということの配慮が全然ないわけであります。ことに集中豪雨ともなれば、相当大量の水が一時出水としてその用水路の中に入ってくる、それをどう処理するかという点についての配慮が全然欠けておったことが今度の決壊の原因になっておると私は思う。だから、今度復旧されるにつきましては、そういう点について——今度は通水前のなにでしたから、まだましでございますけれども、通水後でありますと、一カ所決壊いたしますと、全域の水が同じところに全部集まって流れて参りますから、これは相当大量の出水になって周辺に災害を及ぼしてくると思いますので、そういう点について、農林省としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、農地局の方から御答弁をいただきたいと思います。
  45. 堀直治

    堀説明員 ただいま愛知用水の工事についての御質問がございましたのですが、愛知用水について、排水についての考慮、計画が全然なかったわけではございませんでしたけれども、愛知用水がちょうどできたばかりと申しますか、まだ芝も十分根がついてない、ようやく通水を急いで、その直前だったということが一つと、それから、もう一つ、山を切ったところとか、あるいは盛ったところの土も十分に落ちついてなかった、そこへ集中豪雨がきたということが重なりまして、水路の中に土砂くずれその他が起こりまして、その土砂くずれが思いがけないところに起こりました関係上、余水吐きその他が数が少なかったものでございますから、各所に浴流してああいう災害を起こしたのでございまして、このたびの豪雨の経験にかんがみまして、この復旧につきましては、当然改良工事をやらなければならないことは御指摘通りでございます。ただいま御指摘を受けましたような点について十分検討いたしまして、単なる復旧ではなしに、将来再びそういう災害を起こさないような工事をやるように、大蔵当局その他とも折衝中でございます。そういうことを繰り返さぬようにいたしたいと思っておりますから、御了承を願います。
  46. 岡本隆一

    ○岡本(隆)協議委員 土砂くずれの起こったのは、まだ土が落ちつかなかったからだというふうなことでございますけれども、現地を私見て参りましたが、幾ら土が落ちついても、あの構造では起こります。私は建設関係仕事は全くしろうとです。しろうとの私が見ても、これはどうかなと実は思って、他の同僚の諸君にも聞いてみたのです。あれはもともと相当念を入れた設計をしたのだけれども、何か世銀の融資を受けるのに、世銀の方から、もっとアロケーションするのに、あと金がかかっては困るからというようなことで、相当抑制されて、設計が縮小されてああいうことになったのだということも聞いておるのです。そういうことがあったのか、なかったのかは存じませんけれども、しかしながら、今おっしゃるように、単に落ちついてないからというふうなものでなしに、あの崩壊の原因は設計の不備である、こういう結論を持っていらっしゃるのかどうかということが、私は、将来の復興方針への大きな問題だと思いますが、そういう認識をお持ちになっていらっしゃるかどうかということが第一点です。  その次は、復興について今大蔵省とお話し合い中だということでありますが、それでは、どういう点の改良復旧を要求しておられるのか、その内容一つ説明願いたいと思います。
  47. 堀直治

    堀説明員 設計の不備と正面切って言われますと、私の方といたしましては、計画をいたしましたいろいろな条件がございます。従いまして、そういう諸条件を勘案した上で、たとえば、集中豪雨にいたしましても、雨量の計算その他の基準がございまして、どういう程度の雨に対して十分であるというようなことになっておりますので、そういう点については、計画そのものが悪かったということではなかったはずだったのでございますけれども、今回の豪雨の経験に徴しますと、どうしてもそれでは足りない。御指摘のように、どうもあの計画ではまだ足りなかったというふうな再認識の上に立って、今度のような雨がありましても大丈夫な計画に直そうということで、計画を立てておるわけでございます。大蔵省の方に対しましても、そういうことで計画を立てまして、きょうから実は現地で農林省と大蔵省と立ち会いで、一々現場について私の方の計画説明を申し上げまして、予算の査定を受けるようにやっておるわけであります。具体的には数が非常にたくさんになっておりまして、御指摘のようなものも中にはあるようにも聞いております。あるいはまた、非常な山くずれがございまして、山がもろに動いてきたというような面もあると聞いております。いろいろ数がたくさんあるものでございますから、事情一つ一つ聞いて御説明ができないと思います。御了承願います。
  48. 岡本隆一

    ○岡本(隆)協議委員 それでは、具体的に、今度崩壊した常滑市の部分についてどうされるのかということを伺えぱ、ほかの点もある程度おぼろげにわかると思うのですが、それをお話し願いたい。  その次には、たとえば、常滑のところには隧道がございます。隧道から出てきたところに、今度は逆に周囲から少し盛り上げた水路があって、そこのところがこわれている。二百メートルほどそれがありまして、その向こうでは、今度は、少し高いところの傾斜地から、谷のようになってそこに入っていっておりますね。そうして、その高くなっておる部分には全然別溝がございません。だから、谷の部分へ、高いところからの水が全部その水路へ入って参ります。それからその部分については、余水吐きが一つもございません。それから隧道の入口については、ずっと傾斜地のところを切り落として、そうして、すぽんとそのまま隧道になっておる。そういたしますと、高い傾斜地に対して、少し切り込んで隧道が作ってありますから、隧道の入口のところは、ちょうど屋根の谷のようなものです。屋根の接触したところの谷のようなものです。だから、そこのところは、当然もう集水される場所になって参ります。そこへどんどん流れ込んで参りますから、そこは土砂くずれが起こります。起これば、そこは隧道が封鎖される。そうすると、これならもう災害が起こってもあたりまえだとしろうとの私にも思えるのです。だから、もしそこを、あらかじめパラペットのようなものでも作って、周囲からの水が入ってこないように、少しまっすぐに、隧道部分の上の部分をまっすぐ通り抜けるように、パラペットのようなものでも作って水の流れてくるのを防止するとか、あるいはその谷の部分をコンクリートで固めておくとか、石積みをするとか、何かそういうふうな保護措置が講じてなければ、当然土砂くずれが起こるのはわかり切っておる。まるで子供が砂遊びで作っている細工のようなことをして、それが、しかも三百六十億もかけたところの愛知用水だということになりますと、これは少し設計が粗漏であったという非難を私がしても、ちっとも間違いじゃないと思うのです。それが予算的な理由でもって制約されたということなら、そういうような制約を加えた者こそ、それはけしからぬと思うのです。それは三百六十億もかけて、そうして通水直前にああいうことになる、しかも、その復興に莫大な金がかかるということなら、もう十億か二十億予算をつけておけば、そうすれば今度の災害は起こらないのです。そういうようなことで設計ができるのです。そうでしょう。もし側溝を作る、そういうようなことに対して、もう十億か二十億の問題なんです。それを、わずかな金を惜しむために、ちょっとでも安い方がいいというようなことで、ただ何でも頭を押えればいいのだというようなことで、事業に対する無理解というものが今日の災害の原因を起こしておるとするならば、それを堂々と、設計が不備だった、だからこういうことになったのだということを、あなたの口から言いにくければ、委員会でこんなにやられたのだ、頭を下げざるを得なかったのだということをあなたははっきりとお認めになって、その上で、将来の問題として、どうしても災害を防ぐためにはこれをやらなければならぬのだという、かたい信念と覚悟をもって予算要求に当たってもらわなければならないと思う。せっかく莫大な国費をかげながら、今度愛知用水がいよいよ通水を終わって、そうしていよいよ周囲は水田として開発され、あるいはまた、片一方では工業用水にどんどん利用を始める、そういう段階になって集中豪雨を受けた。それから後に、今度はたんぼは干上がり、工業は全部用水がないためにストップを食ったというような場合に、目に見えない大きな生産上の損害というものが起こってくる。だから、そういう損害が予想されるについては、やはりそれだけの復旧——今度これだけ弱体ぶりを暴露したという限りにおいては、よほどしっかりした復興方針を立てていただきたい、私はこう思うのでございますけれども、これは一つ政務次官から、それについての御見解を承りたいと思います。
  49. 中馬辰猪

    中馬説明員 御指摘のございます通り、今回の愛知用水公団の堤防破壊等に関しましては、まことに私ども残念しごくに考えております。これを完成しておったのか、あるいは完成していないのかという法律上のいろいろの取り扱いについては疑義がございますけれども、要するに、一応完成して、通水式を待つ段階にあったことは事実であります。従って、今後再びかようなことがないように、極力、大臣相談いたしまして、検討を加えたいと考えております。もし再びかようなことが生ずるとすれば、これはゆゆしき問題でございますから、一つ厳重に調査をして、万一にもかようなことがないようにいたしたいと考えております。
  50. 堀直治

    堀説明員 御指摘の常滑隧道の口でございます。私も、こまかいところは全部知っておりませんが、常滑隧道のところだけは承知いたしております。これは土砂くずれが起こった部分は、当然暗渠で巻き立てまして、その先を延長するという形であります。それから先の部分をどこまで暗渠で延ばしたらいいかということが、今技術的な問題になっておるようでありますが、これを現地で検討しようという段階になっております。石垣あるいは水抜き孔その他につきましては、御指摘のようなことにつきましてはやる予定になっておりますから、できるだけ措置をして、今後災害が起こらぬようにしたいと思います。
  51. 岡本隆一

    ○岡本(隆)協議委員 側溝を予定しておられるのかどうか、これは大きな問題です。側溝は必ず作っていただかなければ、将来また大きな災害発生の原因が起こると思いますので、側溝に対する計画を立てていただくこと。その次には、今の水抜き孔とおっしゃるのは、高いところを通っておる場合に、周囲の水を下を通させるというふうななにだろうと思うのですが、そういたしますと、そこのところは、今までは自然に広く流れておったものが、堰堤でもって囲われて一カ所へ水を集められて、ごぽんと抜けてくるということになるわけでありますから、相当の量の水が、一カ所に集約されて排出されるわけです。そういたしますと、今度はその水抜き孔の出たところ、そこの部分に対する補強工作というものに入るのがあたりまえです。その辺に一斉に大量の水が集約されて流れてくるために、いろいろな被害を受けるという形になっておりますから、現地の人たちも、こういうものを作ったときには、これを一定の排水路までつないでおいてもらいたい、水を抜きっぱなしでほっぽらかされておくと、その辺へ相当の面積から集まった水が、一本の短い水道といいますか、そこを通ってすぽんと抜けてくるから非常に迷惑するということでございますので、そういう点の配慮も、もちろんしていただきたいと思うのです。従って、そういう高い盛り土をして、そこに水路を通しておるという場合には、当然、余水吐きを作ると同時に側溝を作っておいて、その側溝を一定の水路に導いていくという配慮がなければ、周囲にいろいろな被害を与える原因になると思いますので、そういう点も、水路が谷を通るときには、もちろん、みずから保護するための側溝も必要でございます。今度は、水路が高く盛り上げられておる部分については、他に迷惑をかけないための側溝が当然なくてはならないわけで、そういうものが全然配慮されておらないということが、非常に設計上の不備であると私は痛感いたしましたので、こういうことを申し上げる次第でございますけれども、この点は、特にそういう配慮を全域にわたって——今度は常滑で災害が起こったから常滑だけだということでは、またほかのところに起こってからそこをやるということになりますから、そういうことでなしに、全域についてそういう改良復旧をやっていただくことが必要であると思いますので、それを特にお願いいたしたい。  それから、もう一つお願いいたしておきたいことは、今後こういう水路を作られるときには、今後もあり得ることでありますので、開発計画としてもこういうものを作られる必要があると思うのです。こういう場合には、単に利水だけを目的としたものはお作りにならない方がいいと思う。高いところがら水を流していくのに、低いところへだんだん先細りになって落ちているというふうなことでありますと、結局は、雨が降ればぴしゃりと締める、しかしながら、締めてもそこへ集まった水は吐け口がない。だから、そういう場合には、普通の川なら先が太くなりますけれども、先が太くならなくても、せめて同じくらいでもって末端までいって、末端は海かあるいは適当な水路へ落として、それでもってそれが非常のときの多少なりの排水の一助にもなるというふうな形のものを計画なさる必要があると思うのであります。そういう点につきましては、費用が一割増しになるのか三割増しになるのか存じません。しかしながら、その程度の経費の増額で済むなら、やはり計画としては、あわせて治水ということも考えながらやっていくという総合計画を立てていただくようにお願いして、私の質問を終わります。
  52. 下平正一

    下平協議委員 関連をして、二、三御質問をいたしたいと思います。  災害といいますと、橋が流れてしまった、耕地がつぶれてしまった、道路がこわれた、要するに、被害がぱっと表へ出てくる陽性的な面は、だれにでも目がつきます。また、これに対する対策等も、いろいろな面でかなり手が打たれているわけでありますが、事農林災害になりますと、実はそういった陽性的な面のほかに、農民個人々々あるいは農業協同組合というようなものが、非常な被害を受け、その復旧のために大へん努力をしているわけであります。そういう面についての対策といいますか、取り上げ方といいますか、それが、私は、若干災害のときには不足しておるような気がしているわけであります。たとえてみますと、今度の災害の特徴は、かなり湛水があります。あるいは田畑の流失もあります。おそらく数万町歩に及ぶのではないかと思っているわけです。水が引いてしまえば、これはみなからになるわけであります。あるいは堤防がくずれ、田畑の流失があっても、若干の手直しをすればもと通り復旧しますが、その間に行なわれている農民個人々々あるいは農協等の努力といいますか、負担といいますか、こういう面が非常に大きいわけであります。私は、現在の立法体系の中ではそういう災害は救うことができないんだ、法律の建前がそうだということで一がいに片づけてしまうわけにはいかない、大きな問題じゃないかと思っているわけです。たとえば冠水を受けたところでも、行ってみますと、稲は三日、四日で腐ってしまっております。水の引くのを待って、また田植えをしなければならぬ。田植えをするといってみたところで、もう今日の段階へくれば、苗しろなんかは、幾ら県に予備苗しろがあっても、あるものじゃない。四方八方手をつけまして、この間滋賀県へ行って参りましたら、岡山県まで行って稲を仕入れてきているわけであります。そして、反当たりで三千円から四千円の経費をかけて、また田植えをやっているわけであります。それでも田植えの済んだ人はいいのであります。これも常識的に考えてみれば、私どもの方の信州でもそうでありますが、土用を過ぎてから稲をいじくるなんというのは常識外のことであります。しかし、それでも農民は、水につかっているところをやむを得ないが、一たん水が引いて黒土が出てくれば、これは百姓根性で、幾ら経費がかかっても手前の苗を植えたいという心理であります。莫大な金をかけてくるのであります。これがはたして実るかといえば、実るか実らぬかわからぬわけであります。そして、実らぬ、あるいは収穫皆無だというので、農災法の適用を受けてみても、わずかに反当たり七千円か八千円しか受けられぬ、こういう状態である。あるいはまた、時期が時期でありますので、すでに予約を申し込んでおります。予約申し込みの際、前渡金の二千円ずつをもらっておる。予約金はもらってしまった、収穫は皆無だ、農災法は七、八千円しか補償してもらえない、こういう状態の中に、今実際の被害地の農民の皆さんはいると思うわけであります。従って、採算を度外視しても、一切のことを度外視しても、とにかく稲を植えよう、畑に何か植えようという気持で動いているわけであります。こういうものに対する経費というものは、個人的に見ても、農協等の団体から見ても、非常に莫大なものでありますが、これらについてのあたたかい思いやりというものがないのではないか、対策が行なわれていないのではないかという気がして仕方がないわけであります。これでは私はほんとうの農民の政治、農政というものじゃないと思うのです。今、日本の農政をささえているものは、私は率直に言って、土地を愛し、採算を度外視しても、手前の土地で物を作り上げようという農民魂であると思います。これが日本の農業をささえている一番の柱であります。災害のときのこういう農民魂、農民の行なっている努力というものに対して、何らかの措置を講じてやるということが、私はどうしても必要だと思います。具体的に私は調べてみますと、大体一反歩当たり、冠水して稲がいけなくなってしまったという場合に、その稲を植えるためには、三、四千円くらいの費用がかかっております。もちろん、これは個人負担ができませんので、農協なりあるいは地方公共団体では、なけなしの金をはたいてやっておりますけれども、見て回りました六カ町村あたりくらいは、一カ町村平均三百万円くらいの負担になっているのです。苗代金だとか、もみの代金だとか、あるいは輸送費などが莫大にかさんでいるのです。あるいはまた、一番悩みの種になっているのは、この時期になってこういう災害を受ければ、当然の結果として、病虫害の発生が予想されることでありまして、これに対する病虫害予防措置等もかなりの金額になっているのです。こういうものに対する農林省あるいは政府対策というものについて、私は、もし法律がなかったら法律を作ってもよろしいと思う。何らかこういった稲の隠れた災害負担、陰性の部面というものを救済する面を大きく取り上げる必要があるのではないか、こういうふうに考えております。いろいろの例がありましょうが、一つの例といたしまして、たとえば、これらの苗の補植に必要な経費、特に莫大な経費のかかる運搬費、あるいは苗を買い入れる金、病虫害の予防費用、こういうものに対して何らかの救助あるいは助成の措置をお考えになっているかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  53. 中馬辰猪

    中馬説明員 たとえば西日本水害の昭和二十八年の際のときの苗の運搬代に対する補助、あるいは農機具が流失した場合に対する補助、そういう点については、前例もございますし、また、当然のことでありますから、目下省内で各部局においてまとめております。まとまり次第、大蔵省に対しては交渉いたしたいと考えております。
  54. 下平正一

    下平協議委員 いずれ、こまかい問題は、この委員会が明日以後小委員会に入りますので、そこでもう少し具体的に対策等について要望もいたしたいと思いますので、大まかに、今からそれらの問題点等について、十分あたたかい農林省当局としての考え方をまとめておいていただきたい、こういうことを要望しておきます。  それからもう一つ、こうした農家の救済というものは、単なる当面のそういった措置だけでなしに、資材とかあるいは資金とか、いろいろな面にわたって総合的、体系的に再生産の形というもののめんどうをやはり見てやらなければいかぬと思うのです。長期にわたる被害農家の再生産計画、それに必要な所要の資金措置、あるいは資材の給与、補助金、助成、こういうもの等についても十分な対策を練っていただくように、これもいずれ小委員会で私どもの意見を申し上げたいと思いますが、被害農家の長期の再建計画に十分なるあたたかい措置を与えてやる、こういう点についても、あらかじめ御考慮をしていただきたいことをお願いいたしておきたい。以上であります。
  55. 辻寛一

    辻委員長 他に御発言がなければ、農林省関係に対する質疑はひとまず終了いたします。  本日はこの程度にとどめ、明二十七日は午前十時より本協議会を開会し、自治省、厚生省、労働省等の関係当局に対する質疑を行ないます。  これにて散会いたします。    午後零時九分散会