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1961-07-21 第38回国会 衆議院 災害対策協議会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月二十一日(金曜日)    午前十時二十七分開議  出席協議委員   委員長辻  寛一君    理事 秋山 利恭君 理事 遠藤 三郎君    理事 木村 公平君 理事 首藤 新八君    理事 中野 四郎君 理事 下平 正一君    理事 中島  巖君       小川 平二君    大森 玉木君       金子 一平君    川野 芳滿君       瀬戸山三男君    宮澤 胤勇君       加藤 清二君    久保 三郎君       五島 虎雄君    玉置 一徳君  協議委員外出席者         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 齋藤  昇君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         大蔵省理財局長 宮川新一郎君         厚生省大臣官房         長       高田 浩運君         厚生省公衆衛生         局長      尾村 偉久君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 金光 克己君         農林省農地局参         事官      堀  直治君         通商産業省企業         局次長     伊藤 三郎君         通商産業省公益         事業局長    樋詰 誠明君         中小企業庁振興         部長      川島 一郎君         運輸省大臣官房         長       広瀬 真一君         運輸省鉄道監督         局長      岡本  悟君         気象庁長官   和達 清夫君         労働省大臣官房         長       村上 茂利君         建設省河川局長 山内 一郎君         建設省道路局長 高野  務君         自治省財政局財         政課長     松島 五郎君         自治省財政局理         財課長     茨木  広君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君     ————————————— 七月二十一日  理事佐藤虎次郎理事辞任につき、その補欠と  して秋山利恭君が理事に当選した。     ————————————— 協議事項  理事辞任及び補欠選任の件  災害対策に関する事項      ————◇—————
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより災害対策協議会を開会いたします。  この際、お諮りいたします。  佐藤虎次郎君より理事辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任については委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議がなければ、秋山利恭君を理事に指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 辻寛一

    辻委員長 災害対策に関する事項について議事を進めます。発言を求められておりますので、順次これを許します。木村公平君。
  5. 木村公平

    木村(公)協議委員 私は、まず初めに、建設省関係の、政治的な問題でなく、主として事務上の問題について、当局にお尋ねをいたしたいと存じます。非常にこまかな問題にわたりますので、恐縮でございますが、いろいろ御教示をいただきたいと存ずる次第でございます。  まず、河川局長が御出席でございますので、河川局長にお伺いいたしたいのでございますが、昨今、非常に水田をつぶしまして宅地が造成される風潮が多いということは、御承知通りでございます。さらにまた、政府といたしましても、所得倍増見地から、農村工場等を誘致する、そうして農村の次三男対策にも資するというような考え方を持っておることをも、御承知かと存ずるのでございます。はたしてしからば、いよいよ将来水田宅地に変わるということが多くなろうかと存じます。そこで、現在私どもしろうととして心配をいたしますのは、水田というものが、実はため池働きをしておるわけなんです。雨が降ると、一応は水田に水をためるという働きをしておる、遊水池の働きをしておるのでありますが、これを宅地にする、あるいは道路にするというようなことに変更いたした場合には、排水量が違ってくると思うわけです。従来の排水量が減殺されるわけなんですが、これに対して、中小河川あるいは大河川等排水量宅地造成あるいは道路新設というようなことと考え合わせて、河川局においては、ことに日本におけるベテランであるところの河川局長さんにおいては、このような問題について、たとえば排水路の拡張であるとか、あるいは排水路新設であるとか、排水池の増強であるとかいうようなことを、ため池働きをいたすところの水田が失われれば失われるほど、考えざるを得ないと存ずるのでございますが、基本的の考えはいかがでございましょうか。
  6. 山内一郎

    山内説明員 水田宅地とか工場敷地にした場合に、その辺に降りました雨が、どういうふうに川に集まって、それが海へ流れていくか、こういうのは程度の問題かと思われますが、やはり小さい部分をつかまえて考えてみますと、水田がある程度用水作用をやっておる。従って、それが宅地になりました場合には、降った雨がすぐ排水路に集まってしまう、こういうことは確かであると思われます。ただ、大きい河川考える場合には、やはり水源から河口までの広い範囲でございますので、下流地帯水田が一部宅地になった場合に、はたしてその計画洪水量がどの程度変わるものであるか、こういう点については、さらに検討したいと思いますが、大きな河川についてはそう大したことないのじゃないか、ただ、局地的に考えた場合には、やはり相当影響があるように思われます。
  7. 木村公平

    木村(公)協議委員 ただいまの局長さんの御答弁、大体それで承服できるわけでございますが、私の特に申し上げたいのは、中小河川の問題で、大河川は、おそらく水田宅地に変更されても、影響を受けることはありますまい。水源から海までほとんど水田等にわずらわされることなく流出いたしまするから、そういうことはあり得ないと存ずるのでございますけれども、問題は、中小河川、あるいはその排水のための江と称する一番小さい河川といいますか、排水路でございますが、そういう悪水路、排水路、あるいは用水路というようなものが、水田がつぶされて、宅地工場道路というような水田以外のものに転用された場合に、しかも、その例は非常に多く、このごろは水田が目に見えてつぶされていく、このような非常に急激なる変化があるときに、中小河川だけは昔のまま変貌することなく、昔のままのイデオロギーでもって、あのままの護岸でよかろう、あのままの川の幅でよかろうというようなことは、しろうとのわれわれにとってもはなはだしく疑問でございます。しかも、今度の災害特徴は、中小河川の破堤、溢水あるいは流出というようなことが原因でございますので、これが一番大きな原因だといわれておるのでございますから、大河川よりも、中小河川補助河川が、水田宅地その他に転用されたときに、どのような影響を受けるかということにつきましては、十分今後一つ研究をいただきまして、これの抜本的方策をお立てをいただかないと、災害復旧ということはなかなか困難でもあろうし、災害というものの防止ということもなかなかむずかしいのではあるまいか。今度の特徴中小河川被害が多かったということは、先刻御承知通りであります。しかも、中小河川被害の根底をなすものはいろいろありましょうけれども、私どもの見方をもっていたしますれば、ため池作用をしておるところの水田が、突如として宅地に転用される、大工場の土地に転用される、あるいは高い道路に転用される。そのようなことがあなた方の御存じないうちに——道路局関係かもしれません、あるいは計画局関係かもしれません、あるいは他の関係かもしれませんが、他の関係から、そういうようなことが日々大きな変貌を遂げつつある。そのときに、中小河川だけは、千古変わらない昔のままの姿をもってこれを放置しておかれるということがありますれば、おそらくこれは災害に対して大きな影響があるものと想像されますので、この点を一つ十分御研究をいただいて、そうして、これが対策を樹立していただきたいと存ずる次第でございます。  それから、その次に、お尋ねいたしたいと存じますのは、いわゆる平坦地排水々々と申しますけれども、いわゆる排水には都市排水農村排水とがあるわけでございますが、今や、地方に行きましては、町村が合併をいたし、あるいは都市がだんだん大きくなりまして、都市農村との区別がつきにくい。ことに排水の面におきましては、都市排水農村排水というような区別がなかなかつけにくいような状態であるということは否定できないと存じますが、しかも、この機械排水でありまするポンプ排水排水機新設する場合にいたしましても、あるいはこれを管理する場合にいたしましても、大部分負担農村にかかっておる。受ける水は都市の悪水である。しこうして、その排水機負担経費農村にかけられておるというような実情が現在ありますことは、御承知のことかと存じます。従いまして、都市排水とは何であるか、農村排水とは何であるかという既往の観念をもう超越して、あらためて別の定義づけをいたさなければならぬことになっておるのではあるまいか。従来のように、これはたんぼの中にあるから、農村排水として農民諸君負担排水機を作りなさい、これは町にあるから、下水路として建設省がめんどうを見ようといったようなイージー・ゴーイングな考え方では、とうてい今では間尺に合わないと私は思う。町村は合併されておる、都市はどんどん広大な地域を要求して、農村と合併していく状態です。そのときに出てくる水というものは、大部分工場水です。工業用水です。あるいは普通の住民が使う水というものが、下水を通ってどんどんと河口に向かって流出をする。そして、それを排水するところは農村部であるから、農村が金を持ちなさい、負担を持ちなさいといったようなことは、一つの大きな矛盾であると私は思いますが、この機会に、これは一つ抜本的にお変えいただかなければならぬと思うのでございます。もちろん、このことは、最終的には大臣の決意を要することであろうかと思いますが、事務的に一つ局長から、この点についてお考えを伺っておきたいと存じます。
  8. 山内一郎

    山内説明員 今回各地に非常な災害がございまして、その災害一つの大きな特色で、低地帯が冠水のために非常に被害を受けた、こういう地帯が発生をいたしております。こういう非常な事態にかんがみまして、今後の河川事業のあり方の問題をどうするか、現在いろいろ検討をいたしておりますが、やはり河川事業でやれる範囲低地帯ポンプ排水といいますか、これをどしどし今後積極的にやるべきである、こういうことで、現在被害の非常にひどかったところについて調査をいたしております。いろいろ排水考えて参りますと、農地に降った雨がやはり川に入り、都市内のものが下水に入りまして、それがまた川に入っていく。従って、川の方の排水をよくすれば、その付近の低地帯排水がよくなるのではないか、こういうような見地から、大河川に入り込みます支川のそういう地帯排水、こういうことも今後積極的に取り上げて参りたい、こういうふうに考えます。
  9. 木村公平

    木村(公)協議委員 次に、その河川中小河川だけでなく、大河川も含めました、いわゆる河川の根本的な問題になろうかと存ずるのでございますけれども、先般も当委員会においてそんな話が出ておりましたが、たとえば例を天竜川にとりましても、天竜川河床は非常に高くなって、高いところは十五メートルも河床がある。従って、堤防をよほどかさ上げしても、とてもこれまた間尺に合わないというような状態である。それで、一番大事なことは、その十五メートルにも及ぶところの河床を低くする。低くするためには、浚渫をしなければならぬということに相なるのでありましょうけれども浚渫をしたいけれども、その浚渫をした残土の持って行きどころがない。残土の持って行きどころがあれば、浚渫も国は考えておるけれども、なかなか残土処分方法がないから、急にはできないというような御答弁が、河川局長からあったようでございますが、そういうところもありましょうけれども残土の処置は十分できるにもかかわらず、浚渫が遅々としておくれておるというようなところも、私は、大河川においても中小河川においても間々見受けるのでございますが、いわゆる河川改修事業の一環といたしまして、河川浚渫ということは、今日最も急を要する。どこの川を見ましても、もうほとんど河床が非常に高くなりまして、それがために堤防に大きな影響を与える、あるいは河床が高くなるために、堤防が低くなって温水をするとか、破堤をするとかいうようなことになる。その上、天竜川のごとき、十五メートルも河床が上がってしまったのでは、おそらく人家というものは、河床の下にあるにきまったものでありますから、そうすると、破堤をすると同時に、人家が流失する、田畑が流失するということになりますれば、上流水源部において砂防工事をもっと徹底的にやる。砂防工事といえば、われわれが伺っておるところによりますと、大体五カ年計画で四千億、しかも、河川局河川関係が四千億でありますが、砂防関係はその六分の一の七百億くらいであると伺っておる。この砂防ということをおろそかにして、そうして、河床が高くなったことを嘆くというようなことでは、これはナンセンスで、一番問題は、まず砂防ということを一番初めにやらなければ、浚渫をどれだけいたしましてもまた砂がたまるということは、言うまでもないことだと私は思う。  先日も、何か天竜川の何々ダムのことが出て、あれが砂が一ぱいになっちゃって、四万何キロの電力を出すものが、今や一万キロくらいの出力しか出なくなった。それは埋まってしまったからだ。従って、あれがあるがために、下流の方がだんだん埋まっていって、そうして、今や十五メートルくらいの水位があるというようなお話があったのでございますが、私どもは、一方において水源地に近く多目的ダムを作るということは、国家的の要求だと考えておる。それと同時に、多目的ダムを作るということは、洪水を防止するためにも絶対に必要だということをわれわれは確信をいたしておるのでありますが、他方において砂防よろしきを得ないためにこのような事態が起きますと、議論が混淆してしまうんです。ダムを作ったから川底が高くなって、ダムというものは何か有害だけのように誤解をされるおそれがある。一体、天竜川ダムというものが、ほとんど用をなさないまでに埋まった原因はどこにあるかといえば、その上流砂防工事よろしきを得ないから、三十年後にダムが埋まってしまう、埋まったから、下流がまた埋まったということなのですが、原因はどこにあるかといえば、中部電力だとか長野県とか、そんな問題じゃない。国家の機関であるところのあなた方が、国家要請に基づく一番抜本塞源的な砂防工事というものに対する認識というものが、いまだ必ずしも満点じゃないということをも意味すると私は思う。一方において、われわれが多目的ダムを作るということは、洪水を防止する一つの重要なことだということをわれわれは声明もしておる。それからこの委員会においても取り上げておる。自民党委員会においても取り上げておる。他方において、同じ委員の口から、あんなダムがあるから、河床が高くなってしまうのだ、あんなダムはつぶしてしまえという議論が出てきますと、何か混淆して、ダムというものは、いかなるダムでも悪作用をするという誤解をされることを私はおそれる。だから、あのダムというものが有害だとするなら、なぜ有害だ、それは、一番もとの水源部砂防建設省が怠っているから、三十年間に十数メートルも砂が流出して埋まったということになるのでありますから、ここにおいていよいよ砂防というものの必要性が痛感されるわけでございます。  伝え聞くところによりますと、砂防というものは、工事原簿というものがありまして、山の中に行きますと、山の中の土木出張所あたり工事原簿というものを持っておりまして、ここの工事をやったということをノートにつけておるわけです。それをあなた方に提出して、今まで名簿に載っておるものには予算づけをするけれども名簿に載っておらない、原簿に載っておらないと、不意に災害等砂防の必要があったときには、新規要求をしてもなかなか認めてもらえない。大体、砂防というものは、原簿ができておって、砂防をしておるという個所原簿に載っておるそうです。ところが、載っておらないようなところに不意の災害がきたような場合には、新規事業にいたしましても、あるいは災害としての予算要求をいたした場合にも、そうした名簿に載っておらぬからというので、間々あと回しになる、あるいは放置されることになる心配があるということを伺っておるのでございますが、この点についても、一つどういうような方法でもって砂防をやっておられるのか。道路の方は、五カ年間で二兆一千億の予算をとにかく皆様方の努力で獲得した。ところが、河川の方は四千億だ。しかも、一番大事な砂防予算というものは、五カ年間で七百億だというようなことが事実だとするなら、これまた河川局長としては、黙っておれないはずだと思うのです。しかも、そういう僅少な予算よりありませんので、やむを得ず、砂防工事については原簿というものを作って、そうして工事名をそこにつけておいて、それ以外の新しくできたような工事は、災害によろうと何によろうとなるべくキャンセルする、なるべくこれは受け付けないようにするといったような思想では、抜本塞源的な砂防なんというものは、私はできるものではないと思うのですが、この点についてもひとまずお考えを承っておきたいと思う次第でございます。
  10. 山内一郎

    山内説明員 河床がだんだん上がっていろいろな影響を生ずるというお話から、砂防必要性につきまして、いろいろ御指摘を受けましたが、御指摘通りであります。従来から破防事業というものも考えて、四千億のワクの中では、従来よりも率を上げてやっているのでございますが、しかし、それではなお足りないということは、今回の災害で十分わかったわけでございます。従って、今後そういう予算の面についてもいろいろ検討して参りたいと思いますが、治水事業十カ年計画をできるだけ促進してやるとか、そういう場合に、砂防の促進についても重点的に考えて参りたいと思っております。ただ、ただいまのお話の中で、一度計画がきまったものはその通りやる、しかし、これは、非常な災害を受けない場合にはそういうことで私はいいと思いますが、非常に山が荒れまして、従来の計画ではとてもいけないという場合には、今回の災害でも考えておりますが、緊急砂防事業計画のない地点に新しくとりあえず実施する、なお、でき得るならば、三十四年にやりましたような特殊緊急砂防というような事業を興しまして、計画的にさしあたりの手当だけは完了してしまう。こういうようなつもりで、その事態々々に即応して参りたい、こういうふうに考えております。
  11. 木村公平

    木村(公)協議委員 次に、やはり河川局長さんにお尋ねいたしたいのでございますが、これは大蔵省の所管であろうかと思いますけれども、今度の災害というものは、伊勢湾台風に準ずるということを自民党災害対策委員会において決定いたしましたことは、あなたも御出席でございますから、御承知かと思います。さらにまた、この協議会において立法措置もいたすということは、議運が満場一致をもってこれを申し合わせておるというので、今この委員会はその準備に多忙でございますが、それにつけて一つぜひともお伺いしておきたいのは、予備金支出交付税等国庫支出金の繰り上げ交付つなぎ融資応急措置を迅速にやるべしということを、われわれは口がすっぱくなるほどあなた方に申し上げておいたのでございますが、聞くところによりますと、予備金は八十六億ある。だから、八十六億あるから大丈夫だろうというので、こまかい支出計画がまだ立っておらないように聞いておるのでございますが、あなた方の建設省の今度の河川災害に関しては、どのくらいの予備金が充当されておるかということを伺っておきたい。  それから交付税等国庫支出金の繰り上げ交付でございますが、これは先般自治省が多少やりました。私は岐阜県でございますが、岐阜県は四億五千万円ほど交付金を繰り上げ交付をもらっておるように伺っております。これもその程度のことではこれはとうてい間尺に合うことではありませんが、あなた方の関係分はどういうことになっておるか。それからつなぎ融資は、たとえば東海財務局を通じて八億用意してあるというのでありますが、八億ということの基準もわからない。八億くらいの金でつなぎ融資というものはとうていできるように思われませんが、できないとすれば、次の問題は、災害国会をすみやかに開いて、ここで補正予算を組まなければならぬということなんですが、大臣あたり答弁を聞いておると、まだ金はある、従って、準備を完了してから災害国会を開けばよろしい、今は決して金に困っておるようなことはないのだ、あなた方に御迷惑をかけるようなことはないと言っておりますが、河川局に関する限り、お金に対して困っておるようなことがあるかないかということを伺っておきたいと思います。
  12. 山内一郎

    山内説明員 ただいまいろいろ災害復旧について全力をあげてやっておりますが、直轄災害につきましては、さっそく予備金がなければどういう手も打つことができない、こういうので、予備金から四億二千六百万円、これを現在支出をいたしまして、応急手当を極力全力をあげて実施している最中でございます。補助災害につきましては、さしあたりわれわれの方といたしましては、査定を急ぐ、それから査定の前に実施をする必要がある超緊急といいますか、そういう個所につきまして、工法指導ということをやりまして、逐次その実施に移していく、そういう段階でございます。従って、まだ予備金から補助災害については金を出すという段階には至っておりません。従って、まだ出ておりませんが、今後査定が完了し、復旧作業が盛んになるにつれまして、相当な予備金が要るわけでございます。しかし、現在どのくらい要るかということは、ほかの省との関係がございますが、建設省といたしましては、今回の災害で六十億か七十億、そういう程度要るのじゃないかと思っておりますが、今のところは予備金で十分である、こういう状況でございます。  なお、交付税とかつなぎ融資の点につきましては、私の方も間接的に応援するという立場でございまして、その二点につきまして、県とか市町村からまだ、こういうように建設省も応援してくれ、こういうお話はございません。そういうお話があれば、極力大蔵あたりといろいろ折衝してやりたい、こういうように考えております。
  13. 木村公平

    木村(公)協議委員 次は、いつも問題になりまする年度別災害復旧進捗率三・五・二の問題であますが、きのう水田大蔵大臣が、まだその点について勉強が足りないので、質問がありましても、あまりよく答えておられなかったようであります。そういう必要があれば、必ずしも三・五・二の比率にはとらわれませんという程度の御答弁でありましたが、これはもっとそれよりももう少し進んでおるので、自民党災害対策委員会では、満場一致、三・五・二というような進捗率というものは無視しょう。事実上初年度に五、の仕事ができれば五でもいいではないか。五・三・二でもいいし、五・二・三でもいい。あなたのお考え方では、もう三・五・二ということが御不満であるならば、できるだけおやりになってよろしいのだ、初年度はできるだけ五でも十でもおやり下さい、しかし、実際問題としては、三以上はできませんというお考え方のようでございますが、大体、従来のあなた方の御経験、われわれの体験によってもそのようでありますけれども、今回の災害というものは、時期が非常に悪かった。六月下旬から七月の初旬にかけた災害でございまして、洪水期に入っておる。従って、いわゆる三・五・二という今までの比率でもって人心を安定させることができない。事実上は、できるだけやっても初年度は三しかできないかもしれないけれども、人心安定のために、三・五・二というこの比率は無視するという党のきめ方に対して、われわれは賛意を表せざるを得ないわけです。従って、きょうは、建設大臣にもこのことはだめ押しをするつもりでございますけれども、あなたが一番主要ないすにおられますから、三・五・二の比率というものにこだわることなく、今度の災害復旧はやるのだということを、一つここで言明ということができなければ、あなたのお考えとして述べていただきたいと思います。
  14. 山内一郎

    山内説明員 従来ずっと三・五・二ということでやって参っておりましたが、それ以前は、二十八年災害でございますか、非常に長くかかりまして、七年か八年かかったように記憶しております。それを逐次改善をいたしまして、三・五・二の制度が今とられまして実施をいたしております。これは全国の一年間の全部の進捗率、こういうふうにわれわれは考えております。今回も大災害でございますので、重要な個所とか、どうしても全力をあげまして引き続いてやらざるを得ない個所とか、中途半端で予算の建前上切るわけにいかない、こういうような点は三にはこだわらない、こういう方針で私たちはやりたいと考えております。
  15. 木村公平

    木村(公)協議委員 それから次は、災害激甚地、これは立法いたしまして、激甚地を指定することになるかと思うのでございますが・激甚地あるいはまた連年災害地域、毎年々々三年も五年も災害をこうむっておる地域については、原形復旧ではもちろんいけない。ことにこういう洪水期に当たっておるのだから、一定計画を立てて適切な改良復旧を行なわなければならぬということは、これは申すまでもないと存じます。原則としては原形復旧だ、災害復旧というものは原形復旧だ、しかしながら、ある程度の関連の工事は認めるというのが、従来のあなた方のお考えであったのでございますが、今度の災害を契機にいたしまして、原形復旧というものを原則にしてはいけないのだ、現に災害をこうむっておるような地域あるいは激甚地に指定されたような地域においては、原形復旧ではいけないのだ、原則が改良復旧でなければいけないのだということを、われわれは痛切に感じておるのでございます。昨日も、四班に分かれて当委員会から視察をお願いした方々の御報告に接したのでございますが、一班から四班までの委員の方々の御報告の中にありますことは、結局、かつて被害を受けた、それが復旧ができておるところはいいけれども復旧がまだできておらないところは、もちろん今度の災害にかかっておる。それからそれに関連しておるところの弱い地所が一様にやられておるという事例が、ほとんどどなたからも御報告があった。私の方も、私どもの体験から考えましても、破堤をいたしたところは原形復旧をする。しかしながら、その上流下流、これがもう非常に脆弱になっておる。そうして、使いものにならないほどの堤防であるという場合でも、原則として原形復旧であるから、原則論からいけば、五十メートル破堤をすれば五十メートルを直せばよろしい、百メートル破堤をすれば百メートル直すことによって建設省の責任は済むのだ。そこで、もうちょっと上流、せめてもう三十メートル上流の危険地域を補修してやる、あるいは五十メートル下流まで手を伸ばして、少々金は要るけれども、ここに補強をしてやれば、この次の洪水期でも大丈夫だと思いながらも、残念ながら、原形復旧ということが予算面においても原則になっておる、そこで、関連工事ができない、改良工事ができないということが、従来のまことに情けない実情であったことは、局長も御承知通りでございますので、今度の災害につきましては、激甚地並びに連年災害をこうむっておるような地域については、原形復旧が原則害ない、改良復旧こそ原則であって、原形復旧というものは原則にあらずということを、私どもももちろん大蔵省に強く言うて、予算面の措置をいたさなければならぬと存じますが、あなた方技術者からお考えになった考え方をもこの際承っておきたいと存じます。
  16. 山内一郎

    山内説明員 非常な災害を受けましたいわゆる激甚の河川、それから毎年その付近がやられる、こういうような個所につきましては、ただいま御指摘のありましたように、これは改良計画で、改良復旧でやりたい、今回は特に強く考えておる次第でございます。ただ、その場合、従来の災害関連事業とかそういうことで参りますと、関連費と復旧費の割合が一対一とか、あるいは関連費の全体のワクというものがある程度制約を受けている、こういう点で、もう少しやればよかったというような個所もあると思われます。そういうことはまことに残念なことでございますので、そういう点は今回是正をいたしまして、御指摘通り、極力改良復旧でやるという考えでおります。
  17. 木村公平

    木村(公)協議委員 ただいまの問題に関連いたしておるのでございますが、できるだけ一つ改良復旧をやる、そのために予算措置も一つ考えるというわけでございましょうが、それに関連して一番国会が危惧を抱きましたのは、既定事業の削減または繰り延べ等の措置をとってもらったのでは、災害復旧、改良復旧を行なってもらっても、結局ある地域にとっては何にもならない、角をためて牛を殺すようなことになる。従って、災害復旧が改良復旧を原則としておる場合においても、既定事業の削減または繰り延べ等の措置だけはとらないようにしてもらいたい、五カ年計画というものがあれば、五カ年計画予算に食い込まないような措置をおとり願いたい、そのための予算を別ワクとしておとりを願いたいということは、これはおそらく砂防工事においても、河川改修工事においても、災害復旧工事においても、すべて災害に関連するところの工事において、このことが要望されるのでございます。このことに対しましては、われわれの委員会においてもすでに大体の申し合わせをしておりますが、河川局長のお考え——なかなかこれは河川局長だけの単独のお考えでもっては言明ができがたいと思いますけれども、お考え方も承れれば承っておきたいと存じます。
  18. 山内一郎

    山内説明員 大災害を受けましたところの工事を促進するために、既定計画をその地域に回すとか、あるいは繰り延べてどこかに回すとか、従来そういうこともあったように記憶いたしております。しかし、われわれとしては、決してそういうことはやりたくなくて、災害復旧災害復旧である、今後災害を当然受けそうなところの改良計画を促進する、こういう両建でいきませんと、なかなかこういう禍根は断つわけにいかないと思います。ただ、これは財政全般の問題でございますので、われわれとしては、大蔵当局へ強くそういう点は主張したい、こういうふうに考えております。
  19. 木村公平

    木村(公)協議委員 今回の災害特徴でありますところは、小災害が非常に多いわけであります。この小災害復旧の年度は、大体四年であったかと思うのでございますが、これを二年に改める、二年をもって復旧を完成するということは、これまた災害地域万人の要求であると考えるのでございます。この点についても一つ考え方を伺っておきたいと存じます。  それから補助河川と直轄河川災害でございますが、補助河川災害というものは、直轄河川災害に比べまして、どうしても復旧が手おくれになるきらいがある。これは原因はいろいろあります。ありますけれども、結論としまして、どうしても直轄河川のごとく早くいかない。たとえば今度の災害に見ましても、あなたの方の直轄河川には、治水課の査定官がいち早くここへ行って、そうして、その場で査定をして、直ちに翌日請負に付するというような、非常に迅速な措置がとられておる。ところが、補助河川となりますと、防災課の査定官がまず県庁へ行って、県庁の係官と相談をして、そうして現地を見て、一ぺんこちらへ帰ってから、もう一ぺん相談をし直して、査定基準をきめるというようなことで、直轄のようにすみやかにいかない、工事が手おくれになるきらいがある。そして、委員会等におきましても、補助河川をできるだけ多く直轄河川に組み入れてくれないか、中小河川というものを直轄河川にできるだけ多く組み入れてもらいたいという要望が出てきたことは、当然でございます。しかしながら、いたずらに直轄河川にこれを編入いたしましても、予算面においてこれを措置いたさなかったならば何にもならない。だから、予算面においては、当委員会が中心になって努力をしていただくより道がないと思うのでございますが、イデオロギーとして、思想として、補助河川というものは、やはり県庁と協議の結果復旧に乗り出さなければならぬから、どうしても隔靴掻痒の感があって、手おくれの気がする。この事実だけはお認めを願って、できるならば補助河川というものを政府直轄の河川に組み入れたいのだ、一つ予算の面については委員会にお願いするけれども、その思想は大賛成であるというあなたのお考え方を伺っておきたいと存じます。
  20. 山内一郎

    山内説明員 小災害の場合につきましては、自治、大蔵関係で起債の面の特別な措置を今協議しておりますが、そういう面で二カ年復旧ということを私ども極力主張しておるわけでございます。  なお、直轄区域を拡大するという問題でございますが、今回の災害をいろいろ現在調査をしておりますが、大体見当つきましたところでは、直轄区域の堤防は完備しているけれども、その支川の準用河川中小河川といいますか、そこから切れまして、大きなはんらんを来たしておる、こういうような事態もございます。そこまで手が回らなかったというよりも、やはり直轄区域に入れまして一緒に考えてやるべきである、こういうような基本的な考え方から、現在調査をいたしておりまして、その結果、極力直轄の方に入れまして、あわせて仕事なり同じような一つの目で見ていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 木村公平

    木村(公)協議委員 次に、低地域の河川の治水対策についてお伺いをいたしたいのでございますが、海抜ゼロ・メートルあるいは海抜三メートル、五メートルという低地地域におきましては、冠水した場合には、自然排水ということがなかなか困難であります。どうしても機械力によって、排水ポンプによってこれを排水しなければならぬ。しかも、その排水ポンプというものは、御承知通り、べらぼうに高い。大へんなものです。今かりに一千馬力の排水ポンプを持っておる、これを倍の二千馬力にしなければとうてい完全な排水ができないとした場合に、一千馬力を増強するために地元の苦しみというものは、これは筆舌に尽くし得ないものです。ただ、住んでおるところが平野部に住んでおるというこの運命のために、自然に流れてくる水を、山岳部では自然排水を手をこまねいて見ておられるからいいけれども、低地地域は、これを排水ポンプをもって、莫大な金をかけて、その住民が非常な負担をもって排水しなければならぬとするならば、国家はこのようなものを黙って見ておられていいものかどうか。平野に住んでおるというその運命のために、いつまでもこの過重な排水負担をしなければならぬ。しかも、排水負担というようなものは容易ならぬものです。農村においては、一反歩について三千円もとられておるところがある。三千円も一反歩についてとられるというようなことは、悪政と申しますか、涙のない政治だと言わなければならない。おそらく今後は、農村だけでは負担力がありませんから、都市も持てということになりますれば、私は大問題になってくると思う。そのような民の声が出てくる前に、この機会に、政府は率先して、平坦部に住んでおるということだけで、機械排水によらなければ生きていけないという、この現状をすみやかにとらえて——それを国家が手をこまねいて黙って見ておるということはとにかく政治ではないと思う。これは全額国庫負担をもって排水機を設置するとか、あるいは排水機の経費を持つとか、このことも、もうぼつぼつ御研究を願っておかなければならない時期が到来したのではないかと思うのでございますが、御見解を伺っておきたいと思います。  それから堤防の強化でございますけれども堤防というものは、全国どこでもあるものではありませんので、なかなかこれの理解がむずかしいのです。しかしながら、私の方の例を引いてはまことに恐縮でございますけれども、われわれは川の下におる。ただ一本の堤防によって水を遮断しておる。それで生きていける。一たびその堤防が切れましたならば、一切の人命を失うのみならず、すべての家屋は流失する、あるいは屋根の上まで水がつくというような低地帯というものが全国にどのくらいあるかということも御統計はおとりになっておるのでございましょうが、私どもはそういう濃尾平野というところに住んでおる。愛知県、岐阜県の南部の者はそういうところに宿命的に住んでおるわけであります。しかも、これは一本の堤防によって生命がささえられておる。何も知らないから、そんなところで嬉々として遊んでおりますけれども、一たび思いをここにいたして、あの脆弱な堤防、漏水あるいはくずれ落ちておるような、あぶない、すでに老朽化した堤防を心ある者が見たら、ぞっとせざるを得ない。この間も治水課長はごらんになったという話を聞いております。あなたにも現地を十分見ていただきまして、この堤防の強化という問題に対しましては、これはほんとうの命がけの問題でありますから、一つ十分な御検討をいただいて、そうして実現方をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  22. 山内一郎

    山内説明員 低地帯は、今回非常に湛水による災害がございまして、これを河川事業の立場からどういうふうに取り上げたらいいかということも、いろいろ今研究をいたしておる段階でございますが、排水ポンプの設置ということがやはり最も必要であろうと思われます。しかし、これも農地関係とか都市関係との関係はございますが、河川事業で取り上げていける、排水ポンプは積極的に取り上げて参りたい、こういうふうになりますと、その事業は県の事業というふうになります。従って、その管理は原則として県ということになりまして、農民にかかる負担は相当軽減されるのではないかというふうに考えております。  なお、堤防の強化の問題でございますが、今回の災害で、特に木曾三川はやっと水防で持った、こういう状態でございます。あの地帯は、堤防がもし切れた場合にはどのような被害になるか、非常に激甚な、言葉には言えないようなことになると思いますが、そういう低地帯堤防強化、そういう重要な河川堤防の強化につきましては、なお今後一そう積極的にやって参りたい、こういうふうに考えております。
  23. 木村公平

    木村(公)協議委員 大体河川局長さんに対する質疑はこれで終わりますが、関連質問がまだ二人、三人あるそうでありますから、それが終わりましたあとで、続いて、今日おいでをいただきました国鉄の新幹線総局長さんに伺いたいと思います。
  24. 五島虎雄

    ○五島協議委員 ちょっと関連をいたしまして、今木村委員低地帯の問題で質問をされたわけですけれども、私も今回衆議院から派遣されて、長野県や岐阜県、石川県の方に調査、見舞に行ったのでありますが、かねて岐阜県の三大河川の相集まるところ、あのデルタ地域、ゼロ・メートル以下の地域は、きのう、われわれの団長である佐藤虎次郎委員からもわれわれに報告になったところでありますけれども、この付近は五カ年間連続して水害をこうむっておる。われわれがしろうと目に見ましても、これは大へんなところである。ところが、これは岐阜県のみならず、愛知、三重、そうしてまた、関東、茨城県の方面でも、ポンプで排水しなければなかなか排水することができないということであります。これは河川局とは関係はないのですけれども、われわれの兵庫県の尼崎市におけるところのあの低地帯、あれがもしも台風、高潮などで堤防が切れた場合の被害ははかることができない。ところが、今局長から答弁があったところでは、極力堤防を強化することによって河川のはんらんを防ぎたいということです。ところが、このデルタ地帯は、三大河川の中に小河川が無数に、五つくらいあって、そうして、これは好むと好まざるとにかかわらず、上流関係で農業用水となり、その水は下流のデルタ地帯に集中される。しかも、その集中された水が排水できない。従って、普通の天候のときならば、これはポンプ程度でいいけれども、今回のような四百、五百、六百ミリの集中の雨になると、内水によって家畜、農産物あるいは人命にまで被害を及ぼして、そして一週間以上の湛水、浸水になってしまう。こういうようなことについては、これは一つの大きな社会問題であり、国家としても、これは何らかの方法をもって、科学を動員してこれを抜本的に排除しなければならぬ。ところが、日ごろ、あの付近一帯には、一千二百馬力ですかのポンプ場が七カ所程度ある。ところが、そのポンプ場の総能力を発揮いたしましても、百五十ミリから二百ミリの降雨にはたえるのだが、二百五十ミリ以上の雨が集中的に降れば、排水の能力がないということであって、従って、低地帯に住む者の義務と責任によって、災害はいたし方がないというように放置しなければならない。そうすると、これは現在の科学をもっても放置しなければならないのか、あるいは科学力をもってこれを排除することができるのかというような、限度の問題があろうと思います。そうすると、限度内においてはともかく、限度以上降った場合はもういたし方がないということで、科学的にもほうるということになると、その付近一帯に住む人は、居住不適格というようなことにもなりゃしないか。私は特に岐阜県を視察いたしましたし、今は岐阜県の木村公平さんのところだと思いますから、特にそれを中心として質問いたしますが、これは、全国にこういう問題が散在していると思う。そうすると、これは農業用水があるから農業用水で湛水するんだとか、川があるから湛水するんだとか、そのよってくるところの水は一体どこからくるのだ、町の人口がふえたから、そこで、農民だけがこれの水門のモーターの施設費を分担しなければならぬ、こういう不公平なことはありはせぬ、工場だって上流にたくさんできているじゃないか、こういうような問題が地元としては常時起きているだろうということは推測するに余りあるものがあるわけです。そこで、中を流れている川の水面が三大河川よりも低いから排水できないということは理の当然でありますが、上と下——下流の町の住民は、上流の人には、水をよこすなといっている。それから上流の人は、下流の人に、いや、好んで水を流すわけではないが、あふれる水は仕方がなくてということで、町長たちがお互いに、いたし方がない、いたし方がないということで今日まで日を送ってきている。今後とも、これをゆるがせにしておると、常にこういう問題は起きてくるだろうと思う。従って、河川局として、こういうような小河川の問題についての根本的な対策というものが必要ではなかろうかと、しろうと目に見てきたわけですけれども、こういう問題の抜本的解決方法はございませんか。
  25. 山内一郎

    山内説明員 低地帯に大河川が通っておりまして、それに中小河川の支川があるというような地域の問題についてだと思いますが、大河川は、堤防を強化して排水をすれば海へ流れていってしまう。その場合に、大河川の水位が高いときに、中小河川の支川の水は、はけ口がないために、そこであふれてしまう、こういうことになると思います。従って、そういう場合にいろいろ方法を講じておりますが、今回のようなああいう豪雨につきましては、やはり、その入っております支川の中小河川といいますか、その川の水を、まず大河川の水位が高いときにもはかせるような排水ポンプを作る、そういたしますと、中小河川の水位は下がりますので、そこで、農地とか工場排水がその川に入ってくる、そういう程度まで排水ポンプを作れば、その辺の湛水地帯は今度のようなことには決してならないのではないか、そういうように考えて現在調査をいたしております。しかし、従来あまりその方面の河川事業はやっておりませんでしたが、今後大いにやりたい、こういうように考えております。
  26. 遠藤三郎

    ○遠藤協議委員 ただいま木村委員からの質問に対して、建設省当局としては一応の回答がありましたが、二、三の重要な点について、木村委員の質問に関連をして、もう少し建設省の態度をはっきりさしていた、だきたい、その点を申し上げてみたいと思うのであります。  第一は、堤防が最近非常に弱くなってきておる。これに対して、建設省としては、できるだけこれを強化していくという御答弁でありましたが、私の見るところでは、堤防の寿命がきてしまっておって、この次にもう一度今回程度洪水が出て参りますと決壊するだろうというようなところがたくさん出ておるのではないか。堤防の寿命が尽きておる、そういう感じのするところが非常に多いように思うのであります。それらの地帯の住民は戦々きょうきょうとしておる。ところが治水十カ年計画では、そういう問題についてあまりはっきりした数字を出して検討しておらないのではないかと私は思う。この点は、治水十カ年計画を改定して、抜本的に堤防の補強をやる。今まで堤防の形だけできておるから、それで安心だということでなくして、寿命がきておるような堤防を根こそぎ直していくという強い態度を一つ建設省はとっていただきたい。それには、大蔵省予算関係もありますが、これはもう絶対絶命の問題である。でありますから、治水十カ年計画を、必要があれば改定をして、はっきりした態度でこの問題に取り組んでいただきたいと思うのですけれども建設省のお考えはどうであるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  27. 山内一郎

    山内説明員 全国の大体の堤防は、土で自然の地盤の上に盛り土をいたしまして、護岸を作るとか芝を張るとか、こういう状況でございます。従って、その年限が参りますと、長い間の雨にたたかれまして弱って参ります。これも確かでございますが、それにつきまして、わずかでございますが、維持工事というのをやっております。これは全国的に考えまして非常にわずかでございますし、治水十カ年計画の中にも入っていることは入っておりますが、わずかしか入っておりません。従って、ただいま先生から御指摘がございましたように、やはりそちらの方面にも力を注がなければいけないのじゃないか、こういうふうには考えております。従って、もし十カ年計画が改定されるというような場合に、あるいはその前におきましても、来年度予算要求のときに、特にそういう点を考えてやって参りたいと考えております。
  28. 遠藤三郎

    ○遠藤協議委員 それから、災害復旧の三・五・二の復旧比率の問題であります。これに対して、木村委員の質問に対して、建設省としては、まあ、ああいう答弁以外にはできないのじゃないかと思うのですが、この問題には非常に重要な問題が含まれている。それは、私ども考えは、あるいは全国民の考えといっても差しつかえないかと思うのですけれども、三・五・二というような三カ年計画では、もうなまぬるいのであります。今後の災害に対しては五・五の二カ年計画くらいでもって完成する、そういう原則をきめてやっていただきたい。これは災害地の住民のひとしく熱望しておるところであります。しかし、こういう議論をいたしますと、金がないという議論がすぐあとへついてきます。しかし、この期に及んで、もう金がないじゃ済まないのであります。幸い所得倍増計画が進んで剰余金等もだんだん出てくるようでありますし、そういう金は、こういう根本策に大胆率直に使っていく、こういう態度を政府としては示していただきたいと私は思う。建設省にこういうことを言ってもなかなか通らないと思うのでありますけれども、これは政府全体として、責任のある態度でもってこれに臨んでいただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。これは建設省河川局長の御答弁は要らないのでありますが、そういうことを協議会できちっと考えておるというその心持で、この問題に対処していただきたいと思うのであります。  それから、改良復旧の問題でありますが、木村委員の質問に対する建設省答弁としては、まあ、ああいうことだろうと思うのです。しかし、改良復旧の問題は大きく予算につながる問題でありまして、まあ、原形復旧一対改良復旧一とか何とかいう予算の制約を受けて参りますから、建設省としては、必要なところはどんどん改良復旧をやっていきたいという意欲を持っておることは十分私ども知っておるのでありますが、予算関係で縛られて、それもなかなかできない。もう少し改良復旧をやれば、これはあと心配ないというような場合でも、金がないから原形復旧にしておくというような場合が非常に多いのであります。これははなはだ遺憾である。でありますから、今度の災害査定については、改良復旧をこれだけやるのだということを大きく出して、そうして大蔵省と折衝していただきたいし、政府自体も、この問題についての決意を明らかにしなければいかぬと私は思うのであります。また、大蔵大臣でも来たら、あるいは総理大臣でも来たら、私はそれをはっきりお願いをしたいと思っておるわけでありますけれども、この問題は、おざなりの問題として、今までも改良復旧をやってきましたというようなことで済まされる問題ではないのであります。今までも確かに重要な突堤については改良復旧もあわせてやりました。しかし、それはスズメの涙程度であります。いわばごまかしなんであります。ごまかしじゃ済まない段階にきておるわけで、そのことを一つ頭の中に入れておいていただきたいと思います。  第三点は、降雨量の問題でありますが、大体河川の改良計画というものは、三百ミリないし六百ミリ程度の降雨量を予定して立っておるというふうに私は了解しておる。ところが今回のように七百ミリとか千ミリの雨が降って参りますと、何ともしょうがない。私は先年狩野川の災害にぶつかって、あの後、政府もずいぶん力を入れて相当りっぱに復旧をして参りましたけれども、まだ同じように、あるいはこの前よりもさらに三尺ないし四尺程度水の高さが高くなって参りました。もう何ともならぬ、どうすることもできないという感じであります。そこで、今後の問題としては、三百ミリとか六百ミリ程度の降雨量を予定しないで、もっと七百ミリとかあるいは千ミリ程度の降雨量を予想して、河川の根本的な改良の方針を立て直す必要があるのではないか。これまた河川改修の十カ年計画につながるものでありますけれども、その十カ年計画の大きな改定をして、そして万人が安心のできるような治水の根本計画を立てたらどうだ、このことを私は思います。しかし、この問題は、大きな予算の問題ではありますけれども建設省自体に熱意がないと、これはできないのであります。この間作ったばかりだから、それを改定することは困るというような、その場のがれの考え方で参りますと問題は解決しない。新しい事態に即応するような治水十カ年計画の改定と勇敢に取り組んでいくんだ、そのことが必要だと私は思うのですけれども、この点についての建設省の意向はどうでありますか、伺っておきたいと思います。
  29. 山内一郎

    山内説明員 河川計画をどういうふうに考えるかという問題でございますが、まず、計画を作ります前に、従来どのくらいの雨が降ったであろうかという実績を克明に調査いたします。これは古い資料があれば非常にいいのでございますが、それによりまして計画を作る。従って、過去のような降雨があった場合には、その計画で十分である、大体そういう見当で河川改修というものをやっております。ところが、ただいまお話がございましたように、その計画を上回るような雨量が今回降ってしまった、こういう場合には、現在調査いたしておりますが、今の計画ではたして十分かどうか、これは本川と支川の関係やいろいろございますので、ある支川だけやられましても、本川は大丈夫というような場合もございます。その逆の場合もあり、本川は従来通りでありますが、今回は支川に非常に降ってきた、こういういろいろな場合がございますから、流城全体を考えまして、新しい事態計画の変更をする、そうして次の事態に対処する、こういう考え方でやって参っております。ただ、予算はそれ以上に高くなりますが、そういう事態を防ぐというのが先決でございますので、そういうつもりでやっております。
  30. 遠藤三郎

    ○遠藤協議委員 最後に、私は、関連してお願いしておきたいのですけれども木村委員の質問に対して、予備金その他予算については心配がないという趣旨の話がありました。私は、今度の災害は、建設省関係だけでも六、七十億、さらにまた、農林その他の各省の関係を合わせますと、今日持っている予備金ではとうていまかないきれないと思う。従って、新しい予算をつけることになりますと、臨時国会でこれをやらなければならない。そこで、私は、はっきりさせていただきたいことは、第一は、現在の災害の大体の復旧の費用を算定していただきたい。そうして、それに対して予備金でまかなえるものが幾らあるということを明らかにしていただきたい。なお、足りない分はどのくらいあって、どの程度の金額は補正予算でやらなければならぬ、その点を明らかにしていただいて、補正予算でこれを処理するといたしますならば、臨時国会をいつ開くか、いつ開いて補正予算をきめるかということについての政府の責任ある答弁をお願いしたい。しかし、これは建設省にお願いしても無理でありますから、委員長の方から、この次の協議会ではっきり政府の言明をお願いしたい。そのことをお願いして、私の関連質問を終わります。
  31. 辻寛一

    辻委員長 了承しました。
  32. 木村公平

    木村(公)協議委員 私は、引き続いて運輸大臣並びに国鉄の技術陣の最高峰であります新幹線総局長に主としてお尋ねをいたしたいと存ずるのでございます。  それはほかでもございませんが、今度の災害によりまして、濃尾平野の一部分は大へんな冠水をいたしたわけでございます。十数日も冠水をいたしている地域があったのでございますが、多いところは四メートルも水がついたわけでございます。たまたま四メートル水がつきましたところは岐阜県の羽島市の桑原というところでありまして、かつては、そこに羽島駅というものが作られると予定されて世間にやかましかった地点でございます。四メートルといいますと、今、水が引いたあとを視察してみますと、電信柱にわらが引っかかっている。もしも、あそこに東海道の新幹線の駅ができたといたしますと、おそらく駅の屋根の上まで水がつきまして、大へんな犠牲者があろうかと思いますし、第一、運行は全く不可能であって、世界に誇るべき東海道の新幹線が、おそらく十日も十五日も、あの水位から考えますと運転を休止いたさなければならぬということにならざるを得ないわけであります。それから大体四キロほど北方に路線が変更されたのでありますが、そこはどんな程度であるかというと、そこが二メートル浸水をいたしている。そこで、ぜひとも総局長に伺っておきたいのは、おそらく、このような雨はもうなかろうとおっしゃればそれきりでございますが、もしもこのような集中豪雨があって二メートルも浸水した場合には、今の路線を御決定になって、はたしてそれで列車の運行ができるかどうか、あるいはそこに駅をお作りになっても、事務もできますまいし、おそらく、人が退避することもできますまいと思うのでありますが、そのようなことを除くためには、道はそうたくさんはないと思います。第一は、いかにして排水するかという問題です。今度の水の原因はどこにあるかということは建設省に伺うべきところでありますけれども、東海道の新幹線をお作りになる当面の責任者であります運輸大臣あるいは国鉄の総局長に、なぜ今度の水であなた方の路線の近くの地域で四メートルあるいは二メートルの浸水がきたか、水つきになったかということの原因をここで一つ御説明を願いたい。その原因を除去しなければ、おそらく、またあなた方が路線をお作りになっても、これからそのような水がきた場合に排水方法がないわけでありますから、なぜ水がきたか、また、この水をいかにして排水するか、排水ということは建設省のことで、われわれの知ったことじゃないということでは、とうていわれわれは承服するわけにはいかない。人命に関する問題であります。世界に誇るべき東海道の新幹線が、水つきのために十日も運行できないというようなことが予測できるにもかかわらず、もしもそのような路線が決定され、そのようなところに汽車が走るとするならば、これは監督の責任者であるところの運輸大臣あるいは国鉄総裁の一大責任といわざるを得ない。通れないということを承知の上で通そうということだったら大へんなことだと思う。通そうと思うなら、いかにして水が入ったかということの御研究の報告をここでいただきたい。なぜ水が入ったか、そのくらいのことはあなた方御研究になっておるはずだと思います。どこの川が切れてどういう水が出たか、これをいかにして排水すべきであるか、排水することができれば、そこがゼロ・メートル地帯であろうと、海抜一メートルの地帯であろうと、路線として適当であるとはいえないけれども、承服はできます。水が一たびくれば動けないというようなことがわかっているところを通すことはできないはずです。今度四メートルの水がついた、それから、今度あなた方が四キロ北方にお作りになったところの路線は二メートルの水つきであります。なぜ水がついたか、どこの堤防が破堤して、どういう水がついたのか、どうしてこれを排水するかということの御調査の結果を、まず承っておきたいと思います。
  33. 大石重成

    ○大石説明員 ただいま先生からお話がございました、最初に予定しておった桑原地区は、確かに四メートルの水があったように私現地から聞いております。また、経過地でございますところの、特にただいま御指摘のございました羽島——実は国鉄といたしましては駅名ははっきりいたしておりませんが、いわゆる羽島駅の所在地の地点の御指摘だと存じます。ここも詳細は、私は違っているかもしれませんが、ただいま現地からいろいろ聞いておりますことは、主として湛水の水であったということで、一部に二メートルに近い湛水が五日間ほどあったというふうに聞いております。その水をどうしたら全体がはけるかということは、ちょっと私聞いておりますところでは、下の方の水のはけが悪いので、その水がたまったというふうに現地から報告を受けております。それで、汽車が通れないということで、お言葉を返すようで非常に恐縮でございますけれども、ちょうどその地点は、汽車の線路の高さが地上から約六メートル余りあるところでございますので、今回の出水の状態、また、水のはけ方の工合を十分調査いたしまして、また非常に大きな被害を一これは私ども参考にすると言っては非常に地元の方に恐縮でございますけれども、とうとい体験といたしまして、私たちが作ります線路のためにその水害が助長されないように、どこをどういうふうに線路を通したならば水のはけが妨げられないかというようなことを十分考慮いたしまして、また、これと並行しております名神高速道路の構造その他につきましても十分関連を持ちまして、私どもといたしましては新幹線の鉄道ができましたために水害を助長することのないように、十分考慮すべきであると考えております。
  34. 木村公平

    木村(公)協議委員 ただいまの総局長の御答弁、まことに親切な御答弁で恐縮でございますけれども、総局長は国鉄の技術陣の最高峰だと私どもは理解をいたしております。その総局長が、今度の水は下流の水はけが悪かったから冠水したのだ、五日間湛水したのだろうというような、そういうばかげた現地報告をだれがしたのか知りませんが、しろうとのような御答弁は、これはまことにわれわれを侮辱するもので、これはもちろん下流排水機の馬力が弱くて、もっとこれを倍くらいに増強することも大事であります。増強することによって湛水の時間を短縮することもできましょうが、なぜ水が入ったかということが一番の問題だ。はけることも大事だが、なぜ水が入ったか、水が入りましたのは境川という川が破堤したのだ。なぜ破堤したかといえば、長良川の水位が高くて水がはけない、そのうらに堤防が脆弱だったから破堤したのです。そこで、長良川と境川との合流点に強力な排水機を作ることによって、先ほどの河川局長の説明のように、長良の水位が高くならない前に境川の水を落とすということが技術陣の一致した意見である。その報告も聞いておられない。そうすると、路線は作ったけれども、いつ水が入るかわからないということになる。五日間湛水したというが、事実は十日以上浸水しておるんですよ。桑原はなるほど一週間で水が引きましたけれども、もう少し大垣方面に寄ったところは十日以上浸水しております。しかも、あなた方の新幹線の通る路線は、ひとり岐阜県だけではない。愛知県においても湛水地帯、いわゆるゼロ・メートル地帯を選定されておる。しかも、その地点において、今度は二メートル以上の浸水が十数日湛水しておった。それは水はけが悪く、水が落ちていかなかったためであり、水が入ってきたのは堤防の決壊である。しかも、決壊の原因は、長良に落とすところの排水機がなかったから境川が破堤したことは、専門家のひとしく認めておるところであり、ことに、これは河川局の治水課長が認めておる。その河川の専門家の意見も聞かないで、ただ、おれの方は汽車さえ通せばいいということではならないと思う。汽車をお通しになることはけっこうですが、もしもお通しになって、また三メートル、四メートル、場合によってはそれ以上の大きな水がきたときには、運行が不可能になるおそれがありはしないかということを私は心配する。運行が不可能になるということは、その汽車に乗っておる人の生命がなくなるとか、あるいは危害を感ずるとかいうような問題ではなくて、世界に恥をかくということです。この新幹線は世界的な路線であるという非常な誇りをわれわれは持っておる。それが水浸しのために運行が停止される、人命に危険を及ぼす、乗っておるお客は外人がほとんどであるということになった場合に、世界に恥をかくのは日本の国鉄の技術陣です。せめてこういう水がきた場合には、どこからこの水がきたか、どうして十何日も湛水しておったかということをお考えになってしかるべきだ。それを、これから線路を敷こうという技術陣の最高峰であるところの大石総局長が、このくらいの御報告でもって満足だということは、私はまことに奇怪千万だと思います。もっと事実を御研究になることがよろしいと思います。水の多いときにはどのくらいきたか、伊勢湾台風のときはどのくらいきたか、今度の集中豪雨のときにはどういう雨が降って、どのくらい水がきたかということをもっと調べて、湛水五日間という報告に満足することなく、建設省と協力の上で計画をお立てにならないと、六メートルの土盛りをするから大丈夫だろうと言うけれども、六メートル以上の水がこないとは保証できない地帯です。現に、天竜川は、ところによっては十五メートルも水位が上がっているところがあるというのです。六メートル以上の水がくるかもしれないという危険があることは、しろうとでも痛感することです。それを、六メートルの土盛りをするから大丈夫だというようなことでは、われわれは承服できない。承服できませんから、そこで、これを高架にするとか、路線を変更するとか、そういうことができないなら、水はけをよくするとか、建設省と協力して排水機を増強するとか、あるいは破堤しないように、あそこに直接水が入るならば、堤防の強化を建設省と協力してやるとか、とにかく、あそこは特別の低湿地帯ですから、そのことは御承知の上で御計画になっておる。しかも、この東海道新幹線の路線の決定は、鉄道建設審議会の知ったことではない。鉄道建設審議会にはこれはかけておりません。あなた方技術者の責任において、あなた方におまかせしたことなんです。あなた方の責任において運輸大臣が判を押していらっしゃる以上は、運輸大臣の責任もある。これは大丈夫だということで路線決定をされた。鉄道建設審議会の関知したことではございません。あとから報告を受けて、何も知らないで承認しただけです。それが、もしも運行不可能になる、あるいは生命を脅かされるというような危険があると知りながらも、なおかつ、その路線というものを固執されるとするならば、事は重大でございます。私は、路線の変更をしなさい、そういうようなことを言っておるのではございません。万策尽きれば、路線の変更もやむを得ないけれども、路線の変更ができないとすれば、次善の策として、六メートルで安心という工合に私はいかない。現に木曾山系の水位をお調べいただきたい。そうしてあのゼロ・メートル地帯をお調べ願いたい。そうして今度の降雨量をお調べ願いたい。これ以上の、かりに六メートル以上の水が出た場合には、運行停止である、あるいは乗客がひょっとしたら全部流れるかもしらぬ。このようなことが万一にも予想されながら、この路線にどこまでも固執するということであれば、それは偏狭である、あるいは無責任である、あるいはこれは面子ばかりにこだわるところの好ましからざる態度だと考えざるを得ないのでありますから、もしも路線の変更ができないとするならば、運輸大臣の責任においてこれを高架にして、絶対に千ミリの降雨量があっても大丈夫、万全を期しておるという確信ある御答弁をいただきたい。そうでなければ、このようなあぶない路線に対して、愛知県の一部分岐阜県の一部分、滋賀県の一部分のものは、おそらく非常な民心の安定を欠かざるを得ないと思うのでございます。  ちょうど御出席でございますから、高野道路局長にも同じような質問を申し上げたい。  東海道の新幹線に並行して、いわゆる名神国道、弾丸道路が今や着々と工事を進めつつありますが、この地帯もやはり海抜二メートルの地帯である。そうして非常にその土壌ば脆弱で、もとは沼、だったのです。そこを通る。だから、その工法といたしましては、コンクリートぐいを打つとかいうような方法をもっておやりになっておるそうです。しかし、そういうような方法でおやりになっても、なおかつ浸水の危険がございますから、これまた路線の変更ができないとするならば、高架にするとか、あるいは八メートル、九メートル上を通すとか何とかという方法をお考えにならないと、これはまた非常な大きな責任問題が惹起される心配があると思います。というのは、先般申しましたように、国道二十一号線、岐阜と大垣の間の鶉というところ、日置江というところが二十日間も湛水しておる。それならかさ上げすればいいじゃないかという御答弁があったのでありますが、かさ上げすれば、上流の水が下流に流れませんから、上流承知するわけはない。そうすると、あの道はかさ上げができないとすると、永久に湛水をする、水浸しで、大きな水の場合には、二十日も二十五日も交通途絶である。トラックも通らない、自動車も通らない、人馬も通らないということになり、全く遮断される。しかも、国道二十一号線は、またの言葉でいいますれば一級国道です。日本の誇る一級国道のわずか二キロほどの地帯でありますけれども、それが二十日間も通れない。それがために全部迂回して、自動車のガソリン代だけでも大へんなことです。視察にこられた諸君も、絶対に私のそばへこられない。岐阜まで行けるけれども、それ以上は行けない。とうとう私の地帯は衆議院の先生方に見ていた、だくことができなかったような状態。それも国道二十一号線を湛水地帯にわざわざ作ったからです。だから、あの路線を今さら変更せよというようなことは、申してもとうてい不可能なことであるとするならば、第二の策としてかさ上げをする、それもできない。できないとすれば、水がはけないから大騒動になる。これもできないとするならば、第二の二十一号道を作るということをお考えにならないと、地元民としては承服することができないと思うのでございますが、この点にも触れて、運輸大臣、総局長道路局長から御答弁いただきたいのであります。
  35. 斎藤昇

    ○齋藤国務大臣 私は、このたび、はからずも運輸大臣を拝命いたしました。まことに不敏、ふつつかなものでございまするが、何とぞ先生方の御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。  先般の集中豪雨に際しましても、国鉄が各所で不通の事態を見ました。ただいまでは全通をするように相なっておりますが、豪雨あるいはその他の災害でひんぴんと不通個所を生じますることはきわめて遺憾に存じております。今後できるだけかようなことを少なくいたしまするように、国鉄当局にも指導いたしたい、かように思っております。  ただいま木村先生の御質問の点は、まことにごもっともでございまして、私は隣県でございまするので、木曾、長良、揖斐沿岸の水害につきましては、格別関心を深く持っている次第でございます。おっしゃる通り、新幹線が万一にも水害のために不通になるようなことになりますると、全く日本の国鉄の技術水準を世界に疑われるという御心配、私もさように痛感をいたしておるのでございます。あの地帯の水害、ことに、湛水をどうして除去していくかということは、ただ国鉄の面から見ただけでなしに、当該地方といたしましても、古くからの問題であり、ことに、最近の降雨の状態等から考えまして、建設当局において抜本的な策を講じていただかなければならぬ事態一つであると私は考えております。そこに新幹線を通そうというわけでありますから、従って、まずもってああいう災害が起こらないような抜本的な事柄を考える。おそらく治山の問題もありましょうし、それから河川排水の問題もございましょう。これら三位一体となって抜本的なことを考えませんと、あの地方の住民はいつも困るわけでありますから、それが先決であると存じます。幸い、そこに新幹線を通そうというわけでありますから、私も運輸大臣といたしまして、特に建設当局と十分その点につきましては自信の持てるような対策を立てていただくように協力いたしたい、かように思っております。しかしながら、それにはおのずから限度があるかもわかりません。そういうような策を講じましても、なお、万一ということもございましょうから、そういう場合に耐え得るような路線の建設、これをどういうようにしたらいいか。私はしろうとでございますけれども、しかし、技術陣営の意見、経験等をも広く聞きまして、そうして御心配のないような建設をやって参りたい、かように考えておるわけでございます。今日この点を取り上げていただきましたことは、新幹線建設上非常にいい御発言をいただいたのでありますから、幸い運輸省も国鉄当局もこの点を銘記いたしまして、単にあの地帯だけでなしに、他の地帯につきましても、そういう心配がないかどうかをさらに再検討いたすようにいたしたい、かように存じております。
  36. 辻寛一

    辻委員長 木村君にちょっと申し上げますが、運輸大臣はやむを得ない用事で退席の時間が迫っておりますので、特に大臣に御質問があれば……。よろしゅうございますか。
  37. 五島虎雄

    ○五島協議委員 私、木村委員の質問と直接関連はございませんが、大臣がお帰りだそうですから、特に運輸省関係として関連の質問をいたします。  運輸大臣が来ておられるので、この際ちょっと聞いておきたいと思いますが、風水害が起こるにあたって、最初、国民が活動するのは、気象庁の活動から入ってくると思う。気象庁の活動がなければ、梅雨前線がどこまできているのか、あるいは台風がどこからきているのか、どこを通るのかということは、全然国民は無知です。そこで、台風の進路とか、あるいは梅雨前線の進路とか範囲とかいうような問題について、常に災害に関しては、災害を受けた復旧の問題も、もちろんこれはすみやかに対策しなければならぬし、今後抜本的な解決のためにわれわれは努力しなければならぬと思いますけれども、水や空気のような非常に災害の関連として重要な問題は、気象庁の活動ではなかろうか。従って、気象庁のもろもろの施設が完備するということは、国民に対する水防活動の気がまえとか、そういう問題に万全を尽くされるところの一つの大きな要因をなすと思います。ところが、現在は、レーダーの発達の中から気象庁では優秀なレーダーを設置されまして、そうして台風の発生、進路を遅滞なく国民に知らしめていく活動がとられておるわけです。従って、この気象庁の報告を見ましても、今回の梅雨前線の集中豪雨に対するところの状況報告等々は、可能な限りにおいて、十分その努力の跡が見られると私たちは思います。ところが、今回の災害は風を伴わなかった。もしもこれに風を伴った集中豪雨がきたならば、今回の数倍の被害になっているのじゃないかと思われるわけです。そのときは、電線も切れるでしょうし、電話の連絡もできなくなるでしょうし、あるいは長野に見られるごとく、NHKの放送局も、しばらくその機能を停止せざるを得なかったというような状態になるかもしれません。そういうようなことにかんがみて、われわれが各地域を視察し、ことにこれは重要だなと感じたことは、レーダーの設置をもう少し完備する必要はなかろうか、今日の設備状況で気象庁の活動が完全にして十分であるかどうかということを考えてきたわけです。ある県の気象関係の方の話によれば、非常にまだ不十分である、しかも、年々歳々予算はそこはかとなく拡大されていっているでしょうけれども、このレーダーの設置の問題についてはなお半分に満たない。そうすると、これらの完備があった場合は、災害が大は小にしてのがれることができるかもしれないし、小は無災害でのがれる場合もあるでしょう。そうすると、大体これを必要とするというようにわれわれが思ったことは、各都道府県のそれらの設備、あるいは小探知機ですか、それらの拡充を急がなければならぬのじゃないかというように考えられます。従って、気象庁長官もここにおいでを願っておるわけですけれども、新任の運輸大臣として、齋藤大臣がどういうようにこの問題についてお考えになっておるだろうか。たとえば、各都道府県における探知機というのは、そう大きな性能は要らない。百キロ程度のものを用意すればいいのじゃないか。それをもう少し個所の密度をふやして気象の観測をしなければ、台風の速度が、もしも一時間五十キロとか百キロとか二百キロとか、猛烈なスピードで進行するというような場合は、その県におけるレーダーはそれを探知することができない。探知したときは、もうすでに台風は隣の県にきているとか、自分の県を襲っているとかいうような状況になるのだということを聞きました。もちろん、私は気象学については全然しろうとです。しかし、そういうような説明を聞けば、それが非常に必要なことのように思われます。運輸省としては、毎年その予算要求しておられるだろうと思う。災害というものに対しては、かつての戦争以上の戦いを人類はしなければならない。従って、こういうようなことから完備しながら、治山、治水その他各般の諸施策を完全にやらなければ、国民として平和な生活が営まれないと思う。従って、気象庁の活動の状況は、非常に努力されているとは思いますけれども、こういう今日の設備で十分なりやいなや、この点について伺います。
  38. 斎藤昇

    ○齋藤国務大臣 五島委員からまことに適切な御質問を伺いまして、感謝をいたしております。災害の事前予防、水防と災害関係は申し上げるまでもない次第でございまして、しかも、その一番のもとは気象観測であることは申し上げるまでもございません。私どもも、一昨年の伊勢湾台風で特にこの気象観測につきまして、政府関係当局を非常に責めておったわけでございます。私は、はからずも、今度そういった方の主任大臣を担当いたすことに相なりましたが、当時からもうすでに再三、各先生から気象観測の設備の拡充、充実を言われておるわけで、われわれもそれを言った一人でございます。今日の気象観測の諸設備は、私は、地域的にも十分でない、かように考えております。ことに日本は、御承知のように、非常に地形が複雑であります。台風は進路を急に変更もいたします。こういう複雑な地形で、常時台風の襲撃を受ける日本といたしましては、この観測設備の網をもっとこまかくする必要があろうと、しろうと的にも考えておりますが、さらに専門家の意見も十分徴しまして、そうして、気象観測の充実にうんと一つ予算をつけるようにいたしたい、かように存じます。その節は、各先生方の格段の御支援をお願いいたしたいと思います。
  39. 五島虎雄

    ○五島協議委員 ただいまの質問に対する齋藤大臣の決意のほどはわかりました。ところが、一面聞くところによると、気象庁は非常に遠慮深くて、どれだけレーダーが必要なのだ、設備が必要なのだということがあっても、国会においてはあまり要求がないというようなことも聞いているわけです。私は、そんなことはないと思っておる。今齋藤大臣が言われましたような決意で、これを拡充するために努力されているというように考えます。従って、今後それらの点については与野党ともに努力していきたいと思いますから、これを完備する方向に今後努力していただきたいと思います。  気象庁長官が来られましたから、気象庁長官考え方も、あわせてこの際聞いておきたいと思います。どうぞ一つ
  40. 和達清夫

    和達説明員 ただいまはわが国の気象事業について非常に御理解のある御激励をいただきまして、まことにありがたく存じます。気象庁におきましては、気象学の発達と近来の施設の進歩におくれないように、万全を尽くしてその施設の充実に努めております。しかるに、一方、わが国におきましては、社会の発達とともに、災害は年々むしろふえておるような傾向にございますので、ますます気象事業の重要性を痛感して、全力を尽くしておる次第でございます。ただいま施設について理解あるお言葉をいただきまして、まことにありがとうございましたが、私は、この機会をおかりいたしまして、施設は人間が動かすものでございますので、どうか技術者というものが必要であるということをお願いいたしたいと思う次第でございます。  ただいまレーダーのお話が出ました。近来の予報におきましては、レーダーは非常に重要な役目をいたすようになりました。梅雨前線の予報あるいは注意報、警報を出すにいたしましても、ほんとうを申しますと、雨が降らないうちにそういうものを出すのが一番よろしいのでありますが、現代の気象学におきましてはなかなかそれが困難でございますので、しばしば大雨が降り出したところから注意報、警報が出ておることがあるのであります。そのためには、レーダーをもって今降り出したということを見ることが大切でございまして、私どもも鋭意その設置に努め、本年度予算に計上されたものを加えまして、すでに九カ所わが国でレーダーをつけました。この九カ所のレーダーは、広い範囲を見るものでありまして、そして大体、日本の半分よりもう少しはこれで見られるようになりましたが、本年度さらに数カ所要求いたしまして、一応この大きな目から見たレーダー網というものを完成いたしたいと思っておる次第であります。何分にも、レーダーというものも最近の技術のものでございまして、日進月歩で、その使い方につきましても日進月歩でございますので、各県とかあるいはこまかい点におきましては、一応その全体計画を作りまして、そしてその中心設備をよくし、連絡をよくして、その活用に現段階では最も力を入れまして、そしてその技術の向上を待ちまして、今度はこまかいレーダー網を設置いたしたいと思っております。もちろん、レーダー以外にも山の方に自動の雨量計を二百カ所つけておりますが、これも大雨に対してはまだ不足であります。また、台風のときの高潮に対しましても、自動的に高潮の様子が予報者の手元に刻々わかるようにする設備もいたさねばなりません。風速計も近代的に改良いたそうと、昨年度から予算をいただきまして、やっております。その他台風の研究も、二年ばかり前から、特別に研究所で力を入れておる。特に本年からは、集中豪雨、集中豪雪というものを、これは実に学問的にむずかしいのでありますけれども研究所をあげましてその研究もいたしたいと思っております。そういうようなことでいろいろ考えておりますが、先生の御激励によりまして、私ども、できる限り今後も努力いたしたいと思います。どうかよろしく。
  41. 五島虎雄

    ○五島協議委員 関連質問はこれで終わります。
  42. 大石重成

    ○大石説明員 先ほど御説明いたしましたことが、少し言葉が足りませんで、まことに恐縮でございます。羽島駅付近のみ限定いたして御説明を申し上げましたが、先生のお話のように、羽島付近から安八、大垣にわたりまして水につかりまして、この間につきましては、今秋の御説明が足りなかったのでございますけれども、今まで考えておりました以上に、今回の非常にとうとい体験を無にしないように、あるいは線路の高さが低ければこれを上げる、また、あるいは水はけのために、高架と申しますか、橋梁の幅とスパン、こういったものにつきまして不十分であります点は十分考慮いたしまして、再びかようなことのないように、また、少なくとも鉄道ができましたために水害が助長されるようなことのないようにいたす考えでおります。  また、堤防が切れたときにはどうするかというようなお話でございましたが、これは、私たちといたしましては、十分堤防の切れない——切れたときに、いかなるものに対してもというようなことは、なかなかいろいろな点におきまして構造上困難の場合もございますので、これは私たちといたしましても、十分水害のもとを直すようなことは、鉄道も被害者の一人といたしまして真剣にお願いをいたしまして、さようなことのないように、また、今回程度あるいはこれ以上のことが参りましても、高架その他の点につきまして、鉄道線路のために水がせきとめられまして今までのようなことのないように、もっと大きな被害が出ないようにということは、現地の方の御意見なり、また、その道の権威者によります建設省の専門家の方の御意見も、十分聴取いたしまして万全を期したい、かように存じます。
  43. 高野務

    ○高野説明員 お答えいたします。  私は、伊勢湾台風の当時におきまして、木曾、長良、揖斐の三川を担当しておりましたので、濃尾平野における道路計画と水との関係が非常に重要であるということは、だれにも増して痛感しておる者の一人でございます。名神高速自動車国道につきましては、路面の高さの点につきましては、道路の横断その他の構造物の関係上、高さは私は心配はないと思います。ただ心配いたしておりますのは、将来にわたりましても木曾、長良、揖斐の三川は死守されるでございましょうが、万一のこともございます。また、小河川のはんらん、また異常豪雨による湛水、これは予想されることでございますので、この湛水をどう処理するかという問題が非常に重要であるわけでございまして、私は、名神自動車国道、この湛水の原因になる水をせきとめる原因にならないように、さらに今後十分な注意をしなければならないと思っております。従いまして、避溢橋、暗渠また高架の延長等は、今回の経験にかんがみまして、さらに十分検討するつもりでございます。  次に、これは再三御指摘を受けまして遺憾の意を表しておるのでございますが、一級国道二十一号線でございます。ことしもまた岐阜市の日置江と鶉の間約二キロの間におきまして、一メートル五十程度湛水して没したわけでございます。約二十日間は一級国道が交通不能でございました。岐阜から大垣の間は、県道によりまして迂回しているという現状でございまして、まことに遺憾でございます。この前にも申し上げたことでございますが、これを道路だけで除去する方法といたしましては、かさ上げ等もあるわけでございますが、かさ上げにつきましては、湛水の場合の横断排水の問題がございまして、これも非常に困難な点がございます。従いまして、どういうふうに今後改築していくかということは、さらに検討して参るのでございますが、幸いに岐阜と大垣の間、現在計画いたしまして着工しております岐大線という道路がございます。これは県道でやっておりますが、将来二十一号線のバイパスとも考えられる線でございます。この地点は、今度の災害におきましてもほとんど湛水がない地帯を選んでございますので、この道路を今後さらに促進して参りまして、国道のバイパスとして使うというふうな方法もあるということで、今回研究中でございます。
  44. 辻寛一

    辻委員長 五島虎雄君。
  45. 五島虎雄

    ○五島協議委員 私は厚生関係、それから労働関係について、短時間に質問をいたしておきたいと思います。災害をこうむったところの建設関係、農林関係については、きのうから、各大臣に対して同僚議員からいろいろの点にわたって質問が行なわれましたけれども、この際、厚生関係、労働関係の問題について一通り質問することによって、政府の態度を明らかにしておきたいと思う。  それで、厚生関係としては、災害が発生するとともに活動しなければなりませんし、それからまた、災害が終わって、その自後の活動も継続して行なわなければならないし、それに、被害をこうむった国民の諸階層に対してもろもろの施策が行なわれなければなりませんから、厚生省の活動としては、これはまた非常に御苦労だと思います。そこで、厚生省関係から被害の状況等々の文書が出ておるわけであって、また、今後の対策の面についても、こうしたい、ああしたい、これをこうしたいというようなことが、大体われわれの手元に報告が行なわれておるわけですけれども、しかし、それの今後の対策を見ますると、ほとんどが現在の法律をすみやかにこの災害に適用していきたいということだ、そのように、私はこの報告を見て今後の対策を理解したわけです。ところが、昭和三十四災の伊勢湾台風においては、厚生関係で七つの法律が特別立法として行なわれておるわけです。しかも、今回の梅雨前線の災害は、伊勢湾台風に準ずべきものとしてわれわれは取っ組んでおる。そうして、国民の諸階層に対するところの厚生関係の行政の全からんことを期待しているわけです。そうすると、特別に立法された昭和三十四年のあの施策によるところの配慮が、厚生省では行なわれないのかどうかということです。言いかえるならば、特別立法をもって昭和三十四災並みの施策を講ずべきであろうとわれわれは思う。そういうような観点から、官房長が来ておられますから、官房長にこの考え方、今日までどういうように対処されて、そうして今後、私が言うような特別施策を行なう気持があるのか。これは新しく就任された厚生大臣に聞くのが至当であろうと思うし、また、これから質問するところの労働省関係としても、労働大臣に聞くのが至当であろうと思いますけれども大臣はお見えにならないというようなことで、特に官房長にその考え方を聞いておきたいと思います。
  46. 高田浩運

    ○高田説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がありましたように、厚生省関係は、とりあえずの災害の救助の問題、あるいは防疫その他の伝染病関係の防遏の問題、ないし生活の援護等を含めたいわゆる福祉対策の問題、非常に各般にわたっておりまして、今度の災害が発生いたしましたにつきましては、これら各方面にわたって、中央、地方あわせて全力を尽くして対策を講じて参ったことは、今までたびたびの機会に申し上げた通りでございます。ただいまお話しのありました特別立法を中心にしたいろいろな問題につきましては、まず第一段としては、私どもは、現行法の運用を十分にいたしまして、現行法をできるだけ活用して、これで万全を尽くすということ、これが第一段に講じなければならない点だと思いますし、それらの点につきましては、たとえば水道の復旧等について、予算的な措置によってできる分については手早くそれらの措置を講ずるということでいきたいと考えております。これが第一段でございます。  それから第二に、この前、伊勢湾台風のときに講じましたもろもろの特別立法のうちには、すでに恒久的な立法等によりまして、その必要を生じない面もございます。たとえば、それは母子福祉資金の貸付に関する法律によります据置期間の延長の問題でありますとか、あるいは償還猶予の問題でありますとかいうのはその例でございますが、これらはすでに恒久立法のうちに入っておりますので、これはその法律を十分活用して万全を期する、こういうふうな考え方でいくべきものだという考え方に基づいて、処理をいたしておる次第でございます。  それから、そういうような既存の立法の活用によってもどうしても不十分である。これについて特別立法をどう考えるかということについては、この前の例と今度の例とを比べてみて、どういう状況になっているか、その他全般の状況を考えて、これは考慮しなければならない点だと思います。そういう観点から考えまして、私ども検討しなければならないと考えておりますのは、災害救助法の関係の問題が一つございます。これらの問題については、具体的に災害の規模、それからそのほかの対策とにらみ合わせて、目下検討中でございます。十分御趣旨をくんで万全の措置をとりたい、かように考えておるのでございます。そのほか、一々の点につきましては、時間の関係もございますので、あらためて御質問によってお答えいたしたいと思います。
  47. 五島虎雄

    ○五島協議委員 万全の措置を講じたいということは、次に開かれる臨時国会までにその準備をするということに解釈してよろしいでしょうか。そうすると、そういうような解釈をするならば、われわれは、八月上旬までには臨時国会を開いて、災害の面だけについてすみやかに国民にこたえるべき国会を召集し、どうしてもこれが万全の措置を講じなければならないと主張しておるわけですけれども、何か——これは官房長に言うわけではないけれども、九月の中旬ごろになるだろう、各省が、たとえば建設、農林、各般にわたって、査定等々の事務が、あるいは予算措置が八月上旬には間に合いそうにない、こういうようなことで、きのうの総理大臣と原副議長との国会召集に当たる話し合いの中に、大体九月中旬になるだろというような予想の報道がなされておるわけです。われわれは、今回の災害にあたって、すみやかにもろもろの案件を解決し、国民の杞憂を排除してやらなければならない。そうしてまた、秋の降水季あるいは台風季といいますか、これらの問題に対しましても、十分これに応ずる対策が必要であろうと思う。従って、こういうような問題については、国民が納得するような対策のために厚生省も十分努力してもらいたいし、これらの問題についての特別な立法関係をすみやかに検討されて、努力をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、ただいま答弁の中にありましたように、災害救助法の一部の考慮の問題についても考えなければならないというように言われたわけですけれども、ただいまの気象庁長官あるいは運輸大臣に、私は気象の設備を拡大しないかというようなことを——官房長もお聞きになったように、その設備の拡充によって、その災害の行方、方向あるいは襲来の状況というようなものを完備しなければならないというように申し上げたわけですけれども災害救助法の中において、地方公共団体に無線通信施設を整備する必要はなかろうか、これがあるのじゃないか。あるいは有線電話等々は、風にも、あるいは今回の雨にも各地で断線しております。それからまた、雨が降る、湛水する、あるいは台風によって防潮堤が決壊する、こういうような場合の舟艇やヘリコプター等も、各地方団体に用意させておく必要はなかろうか。災害救助法の面でこれを考えておく必要があろうと思います。われわれは三十四災当時からこれを主張し続けてきているわけですが、今回も自民党とよく相談をして、こういうものを完備するようにわれわれは主張していきたいと思いますけれども、あなたの考え方を聞かせていただきたいと思います。
  48. 高田浩運

    ○高田説明員 臨時国会の問題は、私からお答え申し上げる筋ではないと思いますが、特別立法の問題については、私ども関係では、二つに分けて考えなければならないと思うのです。  一つは、すでに起こり、救助等を行ないましたもの、たとえば災害救助法等によって措置を行ないましたことについては、これは結局補助の問題でございますので、いわばこれは県と国との間の、あるいは市町村との間のいわゆる金の精算関係でございますから、直接の第一線の救助とは関係のない跡始末の問題になるわけでございます。  それから第二に、施設の復旧の問題については、これは直接関係がございますが、幸いにして、私どもが得ております今までの情報によりますと、医療機関でありますとか、あるいは社会福祉施設、児童福祉施設といったものについてはきわめて軽微の状況でございまして、これについては特別の立法を必要としないというふうに現在は考えておるということを、御承知おきをいただきたいと思います。  それから、お尋ねのありました災害救助法による救助の実施に伴います器材整備の問題でございます。舟艇でありますとか、あるいは濾水器でありますとかいったものについては、従来とも、これは今までの御意見の次第もあってかと思いますが、府県に整備をさせ、これに対して必要な補助をするというような措置をとっておるのであります。御引例の無線施設でありますとか、あるいはヘリコプターでありますとか、これは確かに、あった方が救助が万全にいくことは申すまでもないのでございます。これを救助法の対象として整備をしていくかどうかということについては、十分一つ研究をさせていた、たきたいと思います。
  49. 五島虎雄

    ○五島協議委員 それらの対策については、官房長の十分研究するということを信頼しながら、期待いたしております。  それからもう一点は、今回の広い範囲に受けた被災、国民の多くの人々が被災されているわけですけれども、被災の中に、いろいろの形、姿があるだろうと思います。生活の根拠をなくし、生活の方途をなくした人々がたくさん出ていると思われます。そういう人々に対するところの生活保障的な、たとえば生活保護といえば語弊があるかもしれませんけれども、生活保護に準ずるところの生活保障的な考え方を厚生省はお待ちですか。
  50. 高田浩運

    ○高田説明員 今御質問の生活保障という意味がちょっと私もとりかねる次第でございますが、従来、御承知のように、私どもの方としては、さしあたっての救助につきましては、災害救助法を活用して十分の措置をとっていきたい。それから自後のいわば立ち上がりでありますとか、そういった関係につきましては、世帯更生資金であるとか、あるいは母子福祉資金の活用をしていく。それからどうしても生活が立ち行かないという者につきましては、これは生活保護法を活用してやっていく。一応従来そういう行政の立て方になっておりまして、これを実際の災害の実情に合うように運用していくということが最も必要なことであるし、私たちもそういうように特に気をつけてやらなければならぬと思います。それより以上にそういった生活の保護でありますとか、あるいは救助でありますとか、そういった面でさらに措置をとるかどうかということにつきましては、これは従来行なっております。それらの施策との関連において、必要に応じて検討していかなければならぬと思いますが、さらに、そういった生活の援護あるいは救助以外の意味を持った、お言葉通りに解釈をしまして保障という意味を含めた何らかの措置ということになりますと、よほど私どもの方としても研究しなければ、これは軽々に結論を出せない問題じゃなかろうか、そういうふうな感じがいたすのであります。あるいは御質問の趣旨を取り違えた返事かと思いますが、一応お答え申し上げます。
  51. 五島虎雄

    ○五島協議委員 ただいまの答弁で的ははずれていないのです。しかし、たとえば立ち上がり資金にしても、いろいろ施策がありますけれども、それは各法の中で行なわれるわけでありまして、母子なら母子、社会福祉施設関係なら社会福祉施設関係としていろいろあるわけですけれども、すべてこれはある一定の限度しか貸してくれない、資金の額も少ない、そしてこれはいずれか返さなければならない。だから、被災をされた方々でも、ある期間を経過すればみずからの力で立ち上がる人もある。もちろん、みんな立ち上がっていくだろうと思う。しかし、ある一定の期間はどんなにそういう意思があっても意欲があっても、生活の方途を見失った人々がたくさんあるだろうと思う。ですから、災害に関しては、生活保護と同様の考え方をして、何らか政府の施策の中に銘打って、生活保障というような表現の仕方でそういう人たちをしばらく政府の力で見てやる、そうしてその生活の指導とか立ち上がり資金というようなものもそれに加味することによって完全に立ち上がっていく、こういうようにわれわれは考えておる。こういうようなことなんですけれども、これは官房長、私は大臣にあらためて聞いていきたいのです。ですから、これはやめます。  それから次に、さいぜんちょっと触れましたけれども災害対策はわれわれ人類の自然との戦い、人類始まって以来の連続的な歴史の問題で、人間の苦闘の図でありましょうが、しかし、いかに今日のように文明が発達し、文化が向上しても、それを超越するところの自然の脅威というものは年々歳々襲ってきている。アメリカにも、全世界に襲ってきつつある。従って、これに対する万全の措置を講じなければならないとともに、従来放置されていたというのは、この災害を受けた国民は、死のうと、家が流れようと焼けようと、あるいは倒壊してしまおうと、けがをしようと、国民個人の被害については国は何も見ていない。ですから、今回の死亡や負傷やあるいは床上浸水、流失、倒壊があったり、あるいは長野県の大鹿村などではまだ遺体が土の中に埋まっている、あるいは神戸や横浜のごとく造成の不適当と思われるような——思われるようなという表現をいたしておきますが、思われるようなところに、宅地が少ないものですから、無理に宅地を造成することによって、はからざる災害をその付近の民衆が受けてしまう、そうして尊い命が消えていく。そうして死んでしまった人に対しては、総理大臣の帰朝報告のあいさつの中に、お気の毒にたえませんという言葉あるのみで終わらなければならないということは、何か一本のくぎが国民に対する施策上抜けているんじゃないかというように思われる。従って、この災害というものは個人の受くべきことは、自然の試練なんですから個人が受けなければならぬのだろうけれども、現在のように、社会が発達し完全なる国家である限りにおいては、国家がその地域々々の人々にこれの災害復旧の努力をまかせないように、そうして国自身が、国のどこを襲うかわからない災害のためには、恒久的にわれわれは何らかの対策がここに必要じゃなかろうかと思われるわけです。従って、従来からわれわれは、災害援護法という法律を作りながら、政府にも要求し、自民党にも話をし合ってきたわけです。災害を受ける、悲惨である、人口の少ないところでも河川のはんらんを見、都市部においては多くの命、家屋、財産が流失する、こういうことになるわけですから、今度はこれを人的にとらえて、そういう災害を受けた人々に対する施策は何かないか、いろいろ援護の手を差し伸べる法律はもろもろありますけれども、しかし、それは一定の限度内における法律の適用範囲でしかない。そこで、今回死亡された方についてのたとえば見舞金というようなことをあれすれば、兵庫県は三千円だそうです。長野県は一万円だそうです。岐阜県は二千円だということをちょっと見ました。もっと多いかもしれません。県はお見舞をやっておる、国は何もない、総理は、お気の毒だ、こういうようなことですから、そこで、これはやはりこういうことを考えていくのは厚生省の担当ではないかと思う。従って、どういうところの国民が——北海道の人でも、あるいは九州鹿児島の人でも、災害を受けられた国民に対しては、何らかの意思を国民全体が表わさなければならない。国民全体がやるということは、政府がやらなければならないということになる。だから、災害というのは、局地的な災害であろうとも、より広範囲災害であろうとも、国民が受ける被害として考えなければ、これを解決する何もないと思う。でなければ、局地的に予算を奪い合ったり何かということにばかりうき身をやつさなければならぬ現象は、これはけしからぬ現象である。従って、政府はやはり国民全体に社会性を発動することによって、こういうような抜けたところ、また足らざるところを補う考えはないかということを聞いておきます。官房長、説明がしにくかったら、この際はいいですけれどもね。
  52. 高田浩運

    ○高田説明員 人間の一生と災害との関係は、今お話しの通りでございまして、災害を受けた人たちに対して、友人なり隣人なり、あるいは見知らぬ人が、いろいろな気持から同情申し上げあるいはお見舞を申し上げる、これはまことにうるわしいりっぱなことでございます。それを拡充して、あるいは組織化して、国自体がそういう措置を行政のルールに乗っけてやったらどうかという点が一つと、それからそれらのものに対して、救助なり援護なりというものが万全にいくように十分の措置がとられるように国としては配慮すべきではないか、御趣旨はその二つの点を含めてのことだと思うのでございます。後者の、援護の万全を期するという点につきましては、先ほど来申し上げております救助法あるいは生活、保護法あるいは各種の貸付金、これらについて、あるいは資金のワクの増大等を含めて、行政上の配慮を十分していく、これは私ども従来努めておることでもございますし、さらに、そういう制度だけでは足らないで、さらにプラスの何らかの制度を考えなくちゃいかぬではないかという点は、確かにこれは一つの問題点だと思う、十分に一つ検討をいたしたいと思います。それらの直接の援護のほかに、まあいわば見舞い的なものをという、そういう気持を表わす何らかの措置を行政上のルールに乗っけてやるということにつきましては、これは厚生省として従来やっております仕事の範疇と隣合わせではありますけれども、ちょっと今これらについて私ども見解を申し述べる用意をいたしておりませんので、十分一つ研究させていただきたいと思います。
  53. 五島虎雄

    ○五島協議委員 厚生関係で終末処理の問題、例をあげますと、長野県の飯田市の下水道の糞尿処理と、それから下水道の整備とか、水洗便所、これはモデル・ケースになっているそうで、非常に完全な設備が行なわれていた。ところが、その文化的施設は、一朝事ある場合には最も非文化的になる、こういうようなことで、今回の災害では停電をしたので、その機能がなくなって、汚物処理場に汚物がいろいろ水とともに流れ込んで、そうして水洗便所の機能が発揮できなくなって、市民全体が非常に困ってしまっている。これを復旧するのには並み大ていのことではないという陳情があった。で、われわれも見てきた。こういうようなことに対しては特別の考慮をしなければ、市民全体が文化的施設にたよっておるのに、最も非文明の姿に陥れられる。従って、従来の補助的な考え方でこれがすみやかに回復することができるかどうかというように考えられますが、これは担当の方から説明をしてもらいたいと思います。
  54. 金光克己

    ○金光説明員 お答え申し上げます。  飯田市の屎尿処理場が今回の水害で埋没されまして、まことに残念なことに思いますが、先ほどお話しの通り、飯田市の処理場は、中都市の処理場といたしましては、全国に先がけて作ったものでございます。そういう意味におきましても、ほんとうに今回の復旧につきましては極力努力いたしたいと考えておるわけでございます。処理場につきまして、水洗便所が電気がとまって非常に困ったというお話でございますが、これは水道でも同じことでございますが、こういう問題が起きまして、非常に困るわけでございますが、そういう場合、応急処置といたしましては、処理場が、水洗便所が電気がとまって屎尿の処理ができないという場合につきましては、清掃法に基づきまして、急遽くみ取り処理をやる、そういうケースにつきましては、清掃法に基づきまして処理をするということにいたしております。この復旧につきまして、現在の法律でやれるかどうかということでございますが、この点につきましては、総括的に先ほど官房長からお答え申し上げた通りでありまして、極力この糞尿処理の問題につきましては努力いたして参りたいと思っております。
  55. 五島虎雄

    ○五島協議委員 それでは、大臣も来ておられませんし、厚生関係についてのその他の質問については他日にいたします。  次に、労働省の村上さん来ておられますか。——村上官房長が御就任になったわけですけれども、この災害に伴うところの労働関係について、二点質問をいたしておきたいと思います。  かねて労働の面におけるところの災害の処理という問題が、これはやはり人的問題として現われて参ります。それで、災害を受けて、たとえば工場がつぶれてしまって、働く人々が、その働く意思があるにもかかわらず、仕事ができないという場合が一点想定されます。それから、工場はあるけれども、労働者自身が災害を受けて、どうしても出勤できないという場合がある。それから、その働く人々も元気であり、家も被害を受けていない、工場も完全であるけれども、その交通する道路あるいは交通の便が途絶したということで働き得ない場合の三つが大体想定されると思うのです。そういう人々に対するところの賃金の保障の問題等については万全に行なわれておりますか。昭和三十四年の伊勢湾台風のときには、特別立法をこさえて、そうしていろいろこれに対処いたしました。それからまた、失業対策事業の問題につきましても、日雇いの労働者諸君に対しては別途に十分特別に考えるというような施策が行なわれましたけれども、これと同様の施策を今回は行なわれますか。
  56. 村上茂利

    ○村上説明員 災害を受けました事業場の態様と労働者の関係を幾つかに区分されまして御質問がございましたが、今回の災害によりまして工場が流失してしまったというようなケースも若干あるようでございまして、そういった場合にここにとりあえずは休業の状態が生ずるわけでございます。それからまた、労働者自身が災害のために通勤できなくなった、そこで労働者の側の責めに帰すると申しますか、労働者側の理由によるところの休業という事態が発生いたします。この点につきましては主として労働基準局の関係になるわけでございますが、あの災害が起こりました直後、関係地方労働基準局に連絡をいたしまして、そのような休業の際には、労働基準法上は休業補償を支払わなくともよいという法の解釈になる場合でありましても、今後継続使用するという状態であるならば、何とか一つ休業補償と同等あるいは従来もらっておったところの賃金を支払うというような措置ができないかということを、監督署が個別に事業主に連絡をいたしまして、幸いに、そのような工場が埋没あるいは流失してしまいまして、事業再開が困難であるという数は少のうございますので、個別に連絡指導いたしました結果、私どもの得ております情報では、かなり理解ある態度をとっておりまして、平均賃金の六割相当のものを出しておる事業場が多いようでございます。それは事業場が流失または埋没したというようなケースでございますが、労働者が自分の家が水害にあった、そこで通勤できないという場合につきましても、同様な指導監督を事業主に行なった結果、これも、私ども聞いております情報では、比較的好意ある処置をとっておるように聞いております。ただ、今後の問題といたしまして、工場がなくなってしまったという場合には、事業再開が困難であるわけであります。今のところ、埋没した施設の掘り起こしとか、その他の仕事をやっておるようでございますが、どうしても再開のめどがつかぬということになりますれば、現在の休業状態がさらに労働者解雇という問題に発展してくるわけでございます。その点につきましては、失業保険金の支給という問題がございますので、労働省としましては、関係府県のそのような状態を絶えず連絡いたしまして、そのような事態が発生した場合にとるべき措置を目下準備しておるような次第でございます。なお、失業対策事業に従事いたします日雇い労働者につきましても、前の伊勢湾台風のときに特別措置を講じた例があるのでございますが、現在のところ、復旧作業等がございまして、仕事に従事しておるというのが大部分のような状態でございます。不幸中の幸いと申しますか、そういった特別措置が必要であるという声は、まだ関係府県から届いておらぬ、いろいろ聞いておるわけでございますが、十分私ども具体的な例を聞いておらぬというのが現状でございます。また、失業者が発生した場合には、従来同様、失業対策事業実施しておらない市町村であっても、新しく失業対策事業実施する、あるいは失業対策事業実施しておった市町村につきましては、事業の規模を拡大するという措置を購じたいと思いまして、関係府県に連絡をとっておるところでございますが、不幸中の幸いと申しますか、ただいままでのところ、その大規模なワクの増額要求等はあまり出ておらぬような状況でございます。しかし、私どもといたしましては、府県の事情が、今後諸般の経済情勢と関連いたしまして、どのように推移するかもわかりません。その点十分注意をいたしまして、善処いたしたいと存じます。そのような状況でございます。
  57. 五島虎雄

    ○五島協議委員 大体概略はわかりました。そうすると、今度は具体的な例で申しますが、長野県における農業協同組合が作っている天竜社——御存じでしょう、天竜社という、これは共同利用の製糸工場ですが、これが砂によって埋まってしまって、全然使いものにならないじゃないか、従って、これを復旧しなければならない、あるいは新しく建設しなければならないから、従って、農業関係の面でこれに対するところの復旧補助等々の問題がきのうから問題になっているわけです。ところが、ここでは二百数十名の女工さん、工員がおられるわけですが、全然使いものにならないものですから、復旧ができるものかできないものか、政府の方途が明らかでないものですから、理事者側としても方途に迷っておられるのじゃないか。従って、こういうような工員の人々には、それが何カ月したら機械が動くかということが目下のところわからないような状態、もうぼう然自失して、五メートルも八メートルも砂が軒下まできているわけですから、全然仕事が手につかない。そうすると、こういう失業保険の問題については、六カ月、七カ月、あるいは九カ月の期限が切られているわけです。そうすると、この人々を天竜社自身が解雇をするかしないかということは、これは別問題と思うのですけれども、農業協同組合の共同施設ですし、そして下伊那一郡の農業協同組合がやっておるわけで、そして優秀な工場だったそうですから、理事者としても工員を解雇する意思はまあないと私どもは思っておる。そうすると、解雇したら失業保険が始まるわけですけれども、解雇しないままでも、これは工場がなくなったのと同じですが、こういう人々は、工場が復興するまで、仕事に従事できるまで特別に失業保険の問題等々が考慮されていくように対処できるかどうかということについて質問いたします。
  58. 村上茂利

    ○村上説明員 ただいま御指摘の問題につきまして、私詳細に存じませんが、そのようなケースを失業保険の問題としてどう扱うかということについては、特別立法をいたしまして措置した例がございます。つまり、これは失業と認定いたしまして失業保険金を支払った場合に、後に至りまして、被保険者期間の長短によりまして、失業保険金を支給する期間が三カ月であるとか六カ月であるとか、そういうふうに給付期間が違って参りますので、途中保険金をもらいますと、それが中断されてしまいます。それをどうつなぐかという問題もございまして、これは運用だけでは参らないというので、かつて伊勢湾台風のときには特別立法をいたしたわけでございます。この点は、そういう理論的な問題と実際上の問題、これは失業保険金の支給という問題のみならず、事業再開のめどがつくかつかぬかということがやはり第一でございます。そういたしませんと、事業主としても、たとえば解雇する形式をとるにいたしましても、なかなかふん切りがつかぬからということじゃなかろうかと存じます。その間に解雇しないとすれば、休業状態になりまして、休業手当をどうするかという問題があろうかと存じます。何分にも私詳しく存じておりませんし、問題は労働基準局の関係と職業安定局の関係、両方にまたがるようでございますので、十分現地の実情を調査いたしまして、適切な処置が講じられ得ますように至急検討してみたいと存じます。
  59. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 関連して。実は同僚の五島君が社会労働の関係でありましたので、私お願いいたしまして、ただいまの質問をしていただいたわけであります。何分にも現地の者でありませんから、若干不備なところがありますので、具体的な例をあげてお尋ねいたしたいと思います。  実は、今回の災害で最も被害のひどい下伊那郡、飯田市、四十数組合によりまして、天竜社という繭を処理する共同利用施設があるわけでございます。この共同利用施設は、鼎町に一カ所と、それからいま一カ所が高森町にあるわけです。約六百人近い工員でございますけれども、高森町及び鼎町の本社工場半々のわけです。ところがただいま申し上げましたように、四十何組合かの共同利用施設でありまして、下伊那郡の産繭は約六十万近いのでありますが、そのうちの五十六、七万、ほとんど九五%はこれへ入っているわけであります。そこで、今回のこの災害によりましてこの市田工場がほとんど埋没してしまって、実はこの工場のことについては、昨日も、農林大臣なんかに対しまして国の補助などについて質問をいたしたわけでありますけれども、これは多条繰糸機なんかを入れてありまして、工場を再開するにはどうしても一年近くかかるけれども、ただいま申し上げましたように、組合から供繭する繭がそれだけあるのでありますから、どうしても二つの工場が必要でありまして、いかなることがありましてもこれは再開するわけであります。そこで問題は、この工場新設するまでは三百人近いところの半数の工員が休業せねばならぬ。この場合に、失業保険を得るためには解雇せねばならぬ。工場は必ず再建する。そして解雇いたしましても六カ月しか失業保険は得られない。ところが、これは八カ月、十カ月くらいはかかるだろう、こう考えておるわけであります。  そこで、以上の事情を説明いたしましてお尋ねする問題点は、かつての伊勢湾台風のときに、失業保険法の一部改正をいたしまして、休んでおる期間は、解雇せずして失業保険を支給した、こういうような例もあるわけでありますが、さらにそれが六カ月以上経過した場合にはどう処置をとったか、そして労働省といたしまして特例法を出す御意思があるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思うわけであります。
  60. 村上茂利

    ○村上説明員 先ほど申し上げましたように、事情をさらに調査いたしまして研究したいと思いますが、立法措置をするかどうかという点につきましても、ただいま御指摘の例以外に他の府県にどのような例があるかということも、私どもといたしましては調査しなければならぬと思いますので、今ここでにわかにどう処置をするということを申し上げることはできないのでありますが、御趣旨はわかりますので、まず一つ現地につきまして、労働基準監督署及び職業安定所相協力いたしまして実情を調査し、またいろいろお考えも伺いまして、検討させていただきたいと存じます。
  61. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 実は私ども災害対策協議会理事会で、来週の火曜日が建設、水曜日が農林、木曜日がその他の省、こういうことになっております。従って、来週の木曜日にこのことをあらためてお尋ねいたしたいと思います。なるべく政府の方でもそれまでにお答えのできるような準備をしていただきたい、かようにお願いいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  62. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 議事進行。委員長にちょっと注意を喚起したいと思いますが、この様子ですと、これは普通からいくと定足数不足なんですよ。成立しないのです。お昼どきの生理的現象ということもあったでございましょうけれども、問題は急を要することであるし、意見は与野党一致しているはずですから、従って、われわれも、与党の委員の質問のときにはちゃんと定足数をそろえて慎重に承り応援をしておるにもかかわらず、とかく与党の方は、今見ると、ほとんどいない。これでは災害復旧に熱意があるなどとは夢にも言えないし、おくびにも出せないことだ。こんな状況では、政府側を叱咤勉励して立法措置をさせようなんといったって、今聞いていると、政府側も立法措置をするかどうかわからぬという。結局、これは委員側の熱意をどう示すかということによって立法措置を左右されると思う。従って、本協議会は、別に与野党が争う問題ではないのだから、野党が質問する場合も、与党側は雅量を持って、慎重に傾聴していただくよう出席方を督励していただきたい。
  63. 辻寛一

    辻委員長 かしこまりました。御発言ごもっともと存じますので、その通り取りはからいます。  午前の会議はこの程度にとどめまして、午後は二時から再開することとし、主として建設、通産関係当局に対して質疑を行ないます。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  64. 辻寛一

    辻委員長 休憩前に引き続き災害対策協議会を再開いたします。  建設大臣がただいま御出席になっておりますので、建設大臣に対する質疑を集約してお願いいたします。宮澤胤勇君。
  65. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 このたびの災害を初めから担当せられておった中村建設大臣が留任せられたということは、やはり現内閣がこの災害対策について熱意を持っておるということで、われわれ、これは非常に好感をもって迎えておるわけであります。従って、建設大臣におかれても、一つその気がまえをもって、どうかこれに善処されることをお願いするわけであります。  そこで、昨日、官房長官に、今度のことに関しまして、三十四年の伊勢湾台風にならって特別立法をするということの政府としての考えを聞きましたところ、特別立法をいたします、必要に応じて特別立法をする用意があるということでありましたから、その点に関しまして、これから当委員会においても、この審議の進行につれてそれぞれ所見を申し上げて、政府と協力して適切なる特別立法を制定して、災害復旧並びに建設の万全を期したいと思います。つきましては、そのときに、もう一つ官房長官に私は言ったのですが、今度の水害の中心は、何といっても天竜水系でありまして、伊勢湾台風という言葉が今日用いられておれば、今度の集中豪雨は天竜水系の災害とさえいわれると思う。その集中豪雨による被害でありますが、その結果災害をうんとひどくしたということは、何といっても、天竜水系におきましては各水力電気のダムというものがある。これが二十年、三十年の間に河床を上、げまして、昨日もお話ししましたが、天竜峡の下においてはっきり十五メートルある。十五メートルとにかく河床が上がったという結果、その上流に対して非常に大きな影響を及ぼしておる。それから、この数年間に復旧その他の改良の事業を行なったものが、河床が上がったために、ほとんどそのための影響でくずれてしまっておるという現実の問題がありますので、この問題を大きく取り上げて、水力発電のダムに対して、最近の科学技術の進歩の見地から、あらためて検討する必要がある。それについては、政府においてその水力ダムに関する調査会を設けてもらいたいと言ったら、官房長官はそれを考慮いたしますということであったが、この対策協議会の間において、政府が意見をまとめて返事をしてもらう、それもよろしいということでありましたから、おそらくこれが政府が建設大臣に御相談になる一番大きな問題だと思いますので、一つその専門家を集めた調査会を急いで開いてもらいたい。ことに、最近は学界方面でも水力ダム影響というものを非常に重大視して、御承知通り新聞雑誌にも出ております。そういうわけですから、建設大臣におかれまして、一つ特に政府と相談をして、早急にその専門家を集めた調査の委員会を作って、水力ダムをどうしていくかということ、たとえば佐久間ダムのような、ああいう奥の天竜峡まで深い所は、それは二十年でも三十年でもいいと思いますが、浅い所はもう水力ダムを作ったらすぐいけない。そういうことですから、この点を一つ、特に官房長官の言明もありましたので、建設大臣におかれて至急御相談の上、当委員会にその経過の御報告を願います。  もう一つ、これはおそらく建設省の所管だろうと思いますが、水力発電の許可というものは、大がい三十年という期限でやっておる。その三十年の期限のきたときに、これを継続することは、県知事が一人で簡単に認可してやっておる。ところが、これは、やはり県知事のこの権限については、少なくとも水力電気に関する何らかの審議会か調査会のようなものに諮問をする、もしくはせめて知事が県議会にでも相談をしてこれをきめるとなれば、そのときに世間の問題となって、この処理ができると思いますので、この点については、一つ建設大臣において御調査を願って、これに対する御意見を次の機会に承りたい。この二つを承りたい。  もう一つは、やはり建設大臣お留守でしたが、農林大臣に私は、治山治水と河川関係——これは、建設大臣かこの間私どもの方においでになったときに、私からもあなたにお話しした。これを一貫した計画でやらないと、農林省は農林省で治山治水をやる、建設省はあとから河川の方をやるということになれば、せっかく河川の改修をやった上からくずれてくれば役に立たなくなる。これは国費の非常な浪費になると思いますので、この点に関しては、治山治水とそれから河川、つまり、農林省と建設省の間に一つの常設の機関を設けて、一貫した一むろん、今でも緊密な連絡はとっておやりになっておるに違いないですが、これに対して一貫した方針を立てて、その計画のもとに治山治水、河川の改修を行なっていくという一つの常設機関を設けて——これも、農林大臣がこれに関しては十分考慮するというお話ですから、農林省と建設省の間のお話になると思います。これは建設大臣において、十分そういう取りきめを進めていかれることがむろん必要だと思いますので、この点も一つお願いをいたしておきます。  それから次に、大蔵大臣から、公共事業の年度割の三・五・二というのを五・五にしてもらいたいということを私がお話ししましたところが、これは事実上五・五にしても工事のできないところもあるのだから、原則としては三・五・二をそのままにしておいて、必要な場所はもう遠慮なく五・五を採用します、こういうことでありますが、大臣がここで言明をされましても、さて、実際の問題になると、なかなかそれが行なわれないようなことがあるかもしれません。今度のこういう緊急の事態に対しては、地元の要望をいれて、工事のできるところ——工事量が多くてできないところはそんなことをしたってしょうがありませんが、できるところは一つ五・五でいくということをしてもらいたいと思います。  今まで私が申し上げた三、四の点について建設大臣の御所見を伺いたい。
  66. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 年度割の三・五・二の問題でございますが、これは一応従来の経験に照らしましてそういうことになっておりますが、ことしの災害のように年度内の早い時期に起こりました場合には、三・五・二でなくても、もっと繰り上げて施工することは可能でもありますし、また同時に、そうすることが、来年の災害を防ぐという意味からも非常に重要だと私は考えております。かような見地から、さして急を要しないような軽微なところは別といたしまして、激甚地帯につきましては、この三・五・二の比率にとらわれることなしに、復旧作業の促進をはかりたい。これについては大蔵省の理解と協力を得たいということを、われわれとしましてはかねがね申し入れをいたしまして、昨日大蔵大臣もその趣旨で答えられたようでございますが、さような角度で私ども全力を注いで参りたいと思うのであります。  前段の三点ほどにわたる点につきましては、他の大臣及び官房長官からすでにお答えがあったようでございますが、同じ線に沿いまして私も努力をして、実現を期したいと思っております。
  67. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それからいろいろな土木事業、公共事業のうち、数カ町村にわたるものは、県もしくは国においてそれぞれ連絡をとってやってもらっておるのでありますが、たとえば私の地元の一つの例を申し上げますと、今度の水害から見て、諏訪湖を相当浚渫して、それから下流の方もやはり相当深く掘っていかなければならぬ。しかし、諏訪湖を浚渫して、深く掘っても、さっきのダムの問題が解決しなければ、下の方でとめておいて上だけ掘ったのでは、災害がもっとひどくなるというようなことで、この問題に関連しますけれども、諏訪湖自体としては、あれを浚渫して、もっと深くして水をためられるようにする、それについては、御承知のように、あの周辺は諏訪市、下諏訪町、岡谷市と三つになっておる。前はこの三つで水利組合のようなものを作っておりましたが、最近はつぶれてしまった。これを新たにこのごろ地元で計画しようとしておりますが、その計画をして組合を作れば、それに対する国庫補助というものはどういう形でございますか、事務当局でもいいですが、一つお伺いしたい。
  68. 山内一郎

    山内説明員 諏訪湖も今回非常にはんらんいたしましたが、その原因一つは、やはり諏訪湖は、流入河川による土砂で非常に埋没しておる、これが原因一つになっておると思います。しかし、それを掘ることも、河川事業としてやれないことはないと思いますが、ただいま先生のおっしゃいましたように、やはり諏訪湖からずっと下流の方を一貫いたしまして、今回の災害にかんがみまして、現在調査をいたしております。その調査の結果に基づきまして、諏訪湖を掘るべきであるということになれば、河川事業で掘る、こういうように考えております。
  69. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それで、いよいよ掘るということになれば、国家補助とか助成ということは、現在の規定でどの程度のことができることになっておりますか、それを伺いたい。
  70. 山内一郎

    山内説明員 掘る目的によって多少変わると思いますが、やはりあれは準用河川になっております。河川事業としてやる場合には中小河川ということになりますので、国の補助は二分の一、こういうふうになります。
  71. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それから次に、住宅の移転についてですが、つまり、将来の災害に用意するために、この地区はもうあぶないから、一つ住宅の移転をしたい、こういうのがありまして、さっき私は、建設省の住宅局長に、どういうふうなのか電話で聞きましたところ、住宅局長から、砂防の指定地区になっておれば、それは住宅公庫で特別な扱いをする、こういうことでありましたが、指定地になっておれば一体どういう工合いな扱いにしておるか。それから移転について、単に二十年、三十年で金を貸してくれたというだけではなかなか困難なので、それに対する助成その他の方法がありますか、伺いたい。
  72. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 宮澤さんが住宅局の方へお確かめになられた点にお答えした要旨は、地すべり地区につきましては、やはり災害と同じ扱いをしまして、住宅金融公庫から住宅建設資金を融資する、こういうことのようでございます。今お話のありましたように、大体、従来の制度から申しますと、こういう災害によって住宅を再建しようという場合には、一戸当たり三十万円——今度少し限度額の引き上げをわれわれ運動いたしまして、三十二万円ということになります。補修をする場合は半額の十六万円、あるいはそのほかに、用地費とか地ならしの経費とかいう分がございますが、大体そういうワクがあるわけでございます。そこで、今度の災害激甚地で非常な山くずれ等がありまして、そこにはもう部落は作れない、あるいは住宅を作ることができない、どうしても住宅なり部落はよそに移転せしめなければ、今後の災害を防止することもできないし、従来のところに居住しようとすると、その復旧に莫大な経費が公共関係で必要であるということのために、他に家屋を移させるとか部落を移させるとか、村作りを変えさせるというような必要のあるところが確かにあると、私も現地を見て感じて参ったのであります。地元の県知事さんもその必要を力説されておりました。これに対して特別の助成をやるとすれば、これはどうしても災害関係の特別立法をする際に織り込んで一項入れないと、従来の制度ではできないのではないかと思っておりますので、さような検討を具体的にやります際に、私どもとしては研究をいたしたいと思っておるわけでございます。
  73. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 よくわかりました。それでは、私どももそのつもりでこの協議会において扱っていきたいと思います。  次に、これは一つの例ですが、御承知通り、小渋川を開発するためにあそこをやっておりますが、そこで十四軒の家が補償をもらって移転することになった。ところが、今度家がつぶれてなくなっちゃった。家がなくなったから補償をもらうことができないだろう、仕方がないから、もとのところにかりに家を作って補償をもらおうかという。そんなばかなこともできないが、こういう場合に対しては、ほかへどうせ移転しなければならぬから移転するとして、従来の補償をそのままもらう、こういうことははかられないものでしょうか、一つ伺いたい。
  74. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この点は、実際問題として一つとくと研究をいたしまして、できるだけ小渋川のダム建設地域のダム・サイトになる上流関係住民の現状も考えて処理するように進めたいと思います。
  75. 宮澤胤勇

    ○宮澤協議委員 それでは一つ研究していただきまして、結論を伺わしていただきたいと思います。  次に、各協議委員からお話のあります小災害の問題であります。小災害の問題は、査定に行きますと、ここに五万円、ここに十万円、ずっと一貫してやれば五十万にも八十万円にもなるものを、間が五十メートル隔たっているからこれは一つだと査定すると、みんな小災害に入ってしまう。従って、現在の市町村においてはとうていその負担に耐え切れない。ですから、今度この小災害に対しても、補償と、それから募債をさしてもらうことをいずれ具体的にすると思いますが、一つ、これについて建設省において、ただ規則にとらわれない目をもって、実際の小河川災害に対しては、一々こまかく申し上げるわけにもいきませんが、善処するようにはからっていただきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  76. 辻寛一

    辻委員長 中島巖君。
  77. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 建設関係は来週一日やることになっていますので、大筋のことのみ質問いたしたいと思います。  その前に、建設大臣が再び建設大臣として池田改造内閣にとどまられたので、この間、地元に御視察に来ていただいて、地元の者は感謝しておると同時に、非常に期待をいたしておるわけでございます。この点を、地元民にかわって申し上げるわけであります。  宮澤委員が官房長官に対しまして、特別立法をするかどうかという点について質問したら、特別立法を考えておるということです。しかし、私は、その前日におきまして、農林省の災害を担当しておるところの官僚並びに建設省災害を担当しておるところの官僚、これらの諸君にわが党の災害対策特別委員会へ来てもらいましていろいろと話したのでありますが、特別立法をするとはなかなか言わぬ。そして財政措置、すなわち、地方財政法によるところの起債であるとか、あるいは補助金の交付であるとかいうことによってまかなえるのではないか、こういうことを言っておるわけであります。従いまして、官房長官が特別立法をすると言ったところで、その範囲が、ただいま申しました起債などの特別立法だけであって、その他の特別立法に触れるのであるかどうかという点について、私は官房長官を追及いたしたわけであります。すなわち、災害復旧の基本法ともいうべきところの公共施設に対する国庫負担法並びに農林漁業施設に対するところの国の補助の暫定法、この二つの基本法に対しまして特別立法を作らない限りは救われない点が数ありますので、一々これらの具体的例を示して官房長官に迫ったのでありますが、それらも考慮しますというような、非常にあいまいな答弁であったわけです。しかし、これらの問題に対しまして知識のない官房長といたしますれば、それ以上の発言もできないものと私は善意に了承いたしたわけでありますが、今日は、再度建設大臣になり、それらの問題も御承知のはずでありますので、建設大臣に対しまして、これらの基本法に対して特別立法をする御意思があるかどうか、この点を第一番にお伺いいたしたいと思うのであります。
  78. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいま御指摘のございました特別立法の点につきましては、私ども考慮を払っておるわけでございますが、今回の災害状態から見て、どういう地域が伊勢湾台風の例にならう場合に該当地域になるか、こういう点は、いろいろ今資料を収集いたしておる段階でございます。そこで、従来災害の際に特別立法いたしまするときは、いつも国会の方と十分超党派的に協議をいたしまして進めて参っておる過去の事例もございますので、われわれとしましては、われわれだけが先走ったり、勝手な制度だけの考えでなしに、できるだけ国会関係と緊密な連絡をとりまして成案を得るように努めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 辻寛一

    辻委員長 ちょっと中島君に申し上げます。実は、今、佐藤通産大臣が来られましたが、余儀ない所用で非常に時間が制限されておりますので、通産大臣に対する質問を先に願いたい。御了承願います。  では、加藤清二君。
  80. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 時間をお急ぎだそうでございますので、私は、この際、通産大臣に簡単に質問を試みたいと存じます。  今度の改造内閣は、戦後最強の内閣だといわれておるようでございます。実力者内閣だといわれているようでございます。これはおそらくや、居残られた優秀な方々とともに、入れかわられましたところの経済閣僚に実力者が入られたからではないかと思います。そのうちの最たるものが通産大臣佐藤さんではないか。幸いなことに、日本経済が非常な進展を見まするときに、実力者のあなたを通産省に迎えたということは、これは通産省のみならず、国民がおそらく期待していることだと思います。野党である私も、歓迎の意を表したいと思うわけでございます。ところが、その実力者というのは、御承知通り、これは過去の実績が実力者と言わせるのか、あるいは今後のあなたの手腕力量が実力者と言わせるのか、これはもうあなたの胸中にあるところであろうと思いまするが、ほんとうに実力者であるとするならば、この際、ちょうど幸か不幸か就任早々発生しましたこの災害に対して、あなたの実力を大いに発揮していただきたいと思うわけでございます。二十八年の十三号台風、三十二年の諫早、三十三年狩野川、三十四年伊勢湾と、こう例年のように続いて参りまして、またまたことしの災害でございます。まあ、これはものにたとうれば、例年見舞ってくるのでございますから、八岐大蛇みたいなものではないか。そこで、ぜひ一つ実力者であるあなたは、この際素戔鳴尊になって、これを退治するだけの覚悟を一つしていただかなければならぬと思います。今度の災害に対して、すでにきのう、きょうと引き続いて、いわゆる実力者といわれる各大臣はそれぞれ所見を述べておられまするが、この際、実力者通産大臣一つ御所見を承りたいと思います。
  81. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま加藤さんから、お話がありましたが、私、今回通産大臣を拝命いたしました。また何かと御厄介になるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま災害対策についての基本方針いかんというお尋ねでございましたが、これは、もう内閣、党をあげて最善を尽くす、あらゆる具体的な方策をそれぞれの省が持っておることと思います。暑い最中に皆様もお集まりでこの特別協議会を開催して御審議を願っておるのも、そういう意味だと思います。私ども災害をこうむられた方々に対して心から御同情申し上げますが、一日も早く、すみやかに平常の状態にこれが復帰し、産業の拡大にさらに馬力をかけ得るよう最善の努力をしたいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
  82. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 一日も早く平常に復帰して産業にいそしむようにしたい、こういう御意見に対しては、満腔の敬意を表したいと思います。その意味におきまして、ほとんどの委員各位は特別立法の必要を痛感していらっしゃるようでございまして、この点は決して与、野党の意見が食い違っておるわけではございません。この災害復旧に関する限りは、与党も野党もなく、一致したところのようでございます。従いまして、でき得べくんば特別立法の措置等々の要求もございますが、この際、それをあなたのおっしゃる通りすみやかに実現するためには、臨時国会を開かなければならないかと思われますが、これについて大臣はいかがお考えでございますか。
  83. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 過去の幾多の災害におきまして、そのつど、特別立法その他の措置で、この災害対策を講じて参りました。今回の災害につきましても、ただいまお話しのような点が必要になるやいなやという点でいろいろ御審議をいただいておるところだと思います。私どもの所管しております範囲内等におきましても、その要ありやいなやという点をただいま検討いたしおりますが、ただいままでのところ、通産省所管の関係におきましては、特別立法につきましては、むしろ消極的なような考え方があるように聞いております。まだ実情は明確にいたしておりませんが、十分御審議をいただきたいと思います。
  84. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 特別立法の必要は通産省側にはないと思うとの御意見でございますが、私は、さにあらずと答えたいのでございます。この際、大臣も経済通でございますので、うろこ一枚ごらんになれば魚の大きさは必然的に推察できるお方と存じますがゆえに、私は、簡単に、かいつまんで要点を申し上、げてみたいと存じます。  まず、第一番に、被害を受けました中小企業、このいわゆるつなぎ資金、あるいは再建に必要な資金、これらは名古屋通産局管内の調査によりましても、なおその直接被害だけで六十億になんなんとしておる。また、災害のおかげで仕事を休んで修理をしなければならないという費用をこれに加えますと、愛知、三重、岐阜、静岡等、この名古屋通産局管内だけでもって百億の余になんなんとしておるのだということは、これはあなたの方の調査ではっきりしておることでございます。さて、これに対する中小企業の特別融資は、はたして現行法によってそれではどのように行なわれようとしていらっしゃるのでございましょうか。
  85. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま名古屋通産局管内の被害等についてのお話がございました。今回の被害は、集中豪雨とでも申しますか、そういう表現が当たる災害だ、かように考えますと、ひとり中小企業ばかりでなく、大企業その他もそれぞれ災害をこうむっておるわけでございます。そういう点について、ただいま申し上げるように心から御同情は申し上げますが、いわゆる機械の設備その他というような長期の資金を必要とするとか、こういうような損害が非常に大きいか、あるいは、いわゆる流失等の動産的な被害が非常に大きいか、そういう点も過去の災害対策の場合についても勘案されておる。そういうところから、いろいろの財政措置等も考えるわけでございます。ただいまさしあたって当方で考えておりますのは、つなぎ融資はもちろんするつもりでおりますが、おそらく、お話しになりました低利融資ということを必要とするかどうか、まず、こういうところに立法措置を必要とするということになるだろうと思います。ただいままで私どもがつかんでおりますところでは、この災害を内容的に見ると、やや過去のものと違っておるのじゃないだろうかというふうに判断をいたしておるわけでございます。そういう点で、まだ結論として、低利融資、公庫その他の金利を特に下げなければならぬかどうか、ただいま検討しておる最中だということを申し上げます。
  86. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 この際、大臣は実態をどのように把握していらっしゃるかは私は存じませんけれども、なるほど、過去の伊勢湾台風あるいは十三号台風等々と比較しました場合に、違う点はございます。位置が違うという点が第一。さきは海岸地帯である、今度は奥地の方である。それから、かぶった水の質が、さきは塩水であったが、今度は淡水である。そういう違いはございますけれども、浸水したために機械が動かなくなった。泥をかぶったために使えなくなった。特にモーターのごときは、参議院の自民党の議員会長でいらっしゃる重宗さんの工場被害をこうむっていらっしゃるからよく御体験のことと存じますけれども、モーターのごときは、一週間も水に浸っておれば、もう間に合わなくなってしまう。機械が間に合わなくなった、工場が使えなくなるということは、これはさきも今も一緒なんです。使えなくなってくれば、勢いそれを求めなければならない。求めるには資金が要る、その資金は、今までの経理、経営からいけばプラス・アルファの過重負担、こういうことになりますので、当然のことながら、金利のめんどうまで、さきの伊勢湾あるいは十三号等々と同等に見られるのが普通ではないか。話に聞くところによりますと、チリ津波その他と同等であるというような意見が一部省内に行なわれていると聞きまするが、もし、それ同等であるとするならば、この際、ここにデータをはっきり出していただきたい。私は、具体的事実をもって皆さんに御了解をいただかなければならぬ、かように思うわけでございます。
  87. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま私が申し上げた答弁が、ややお尋ねの点と食い違っておるようですが、私の申し上げたいのは、なるほど、今の機械が腐損した、あるいは破損したという場合もあるだろうと思いますが、多くの場合に、低利資金を融資するということは、新たに設備をするという設備資金としての場合に普通考えられて参ったものであります。今後その方向で必ず行くという原則ではもちろんございませんで、過去の災害対策の場合に低利資金を融資したのは、設備そのものというように実は考えておるわけであります。それで、いわゆる腐損その他によりまして修理を必要とする、こういうことについての必要な資金まで過去において低利で融資したことは非常にまれだ、こういうように実は理解をいたしておるわけであります。問題は、できるだけ早く手当ができ、修理が可能ででき上がって、そうして操業が開始されるということを期待する、そういう方向で御協力申し上げるのがいいのじゃないか。たとえば、今モーターのお話が出ましたが、名古屋地区の特殊な事情として、織機等が泥水に洗われる、そういうようなものについても、塩水だとかいうものとは違い、あるいは形そのものがこわれたというのとは違いまして、処置が比較的軽微に済んだのではないか、そうすると、一時的な事業の停滞による融資、こういうことになるのじゃないか、そうすると、普通の融資で考える、過去においてはそういう方法をとっておった。もちろん、私必ずそれでやるのだ、かように申しておるわけではございません。国会において十分御審議をいただかなければならないと思いますが、過去の災害対策等の例から見ると、そういう場合においては普通金融で処理しておる。また、今回も、特に過去の災害処理と比べて特別措置をとらなければならないというようには考えられない、かような点を申し上げたわけでございます。
  88. 木村公平

    木村(公)協議委員 ちょうどそれと密着した関連の問題でございますので、新大臣にお伺いしがてら、加藤さんの御了解も得てみたいと思うのであります。実は、私の方の自民党災害対策委員会で、ちょうどあなたの疑問と同じ疑問が出ましたので、いろいろ協議をして、深夜までかかってこれはまとめた案でございますが、今度の中小企業者の災害融資確保のために、まず中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫について、必要資金量を通産省に確保させる、そうして、実情に応じて担保、金利等の貸付条件を緩和する等の特別の措置をとらせる、そうして簡易、迅速に貸付を行なうように措置することが望ましいのではないか、特別立法もけっこうであるけれども、幸い、既存の法律が生かして使えるならば、それでけっこうじゃないかということも一応私の方ではきめたわけです。これもお含みをいただきたい。  それから、地元の貸付について、この際返済不能のような人が私の方でも出ております。そういう方については返済期限の延長——延長期間の問題も議論があったのですが、ときには無期延期でもいいじゃないかというほどの被害激甚の人もあるわけです。そういう被害については、そのような措置をお願いしたらどんなものであろうかということ。それから、その次の問題は、信用保証協会の災害融資に対する保証料の引き下げ、こういう特別措置を特に通産大臣に、実力大臣にお願いして、地方公共団体の措置と相待って、中小企業信用保険公庫においても貸付金を増加する等の措置を購ぜられたらどうか。三番目は、中小企業の近代化資金の貸付については、特に被災者を優遇するように特別の措置をはかることができないか。法律によってもよろしいし、できれば、よらなくてもいいじゃないか。それから四は、災害のため、政府関係の金融機関からの借入金の返済能力を失った者に対しては、履行延期または徴収停止の制度を活用して適切な措置を講ぜられたい。これが、いわば私の方の村でおそくまでやってようようまとめたものですが、これもお含みの上で大臣の御答弁を願いたいと思います。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 それは私も大同小異です。あなたの方とほとんど似ているのです。これは首藤さんあたりがお作りになれば一致するのが当然です。ほとんど似ているのです。ただ問題は、その際に資金ワクを広げるという問題、それをすみやかにやってやるという問題、それから、今度は金利をなるべく緩助してやるという問題、それから、支払い不能に陥った者には、支払い期日が来ているものを延期してやるという問題、この前段の窓口としては中小企業金融公庫、それから商工中金、国民金融公庫、この三行を主体にやるのだが、金利の場合に、それでは先般行なわれた六分五厘というものは現行法ではたしてできるかというと、遺憾ながらこれはできない。従って、特別立法をしなければならないのではないかということです。その次に、例の設備の近代化資金でございます。これはワクを別にふやせば問題はございませんけれども、それをふやさずに、現在あるものを災害者の方へ回す、こういう簡便措置をとられますと、所得倍増、親企業の設備更新、それに伴って子企業、孫企業は、今それをしなければならぬやさきに差し迫っている、非常に需要が多い、その需要が多いのを、まあまあこの程度でしんぼうしてもらいたいというので、首藤先生あたりとも商工委員会で審議した結果、言うなれば九牛の一毛程度をあそこに出してあるわけです。それを今度災害になったからというのでよそに回されたのでは、災害を受けなかった方へまた災害を及ぼすという結果になりかねない。従って、ここに特別立法を考えなければならないのではないか、こう思って大臣にお尋ねしているわけでございます。
  90. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私も、ただいま木村委員の御指摘になった点、また、加藤さんの方も大同少異と言われるその具体的な措置、これは私ども十分理解をいたしております。ただ問題は、最後にお話になりました特別金利措置をとるかとらないか、特別の金利措置をとるならば特別立法が要る。先ほどから申し上げましたのは、前の例においては、ただいま申し上げたような設備そのものに必要な資金なら、特別措置を必要とするが、修理程度では過去においてはやっておらない、こういうことを申し上げて、問題は、実情が私が言う程度で済むのか、さらに、その実情によりましては、積極的に手当を必要とするかということが、今御審議をいただいておる最中だと思います。別に私も固執しておるわけではございません。また、実情そのものから申しますと、大体私どもは、今自民党自身が審議されたその結論による融資ワクを増強し、そして、既存の公庫等を通じてやることで過去の災害対策と同じ措置にもなるし、また、今回もそういう措置が望ましいことではないだろうかという結論だけを実は申し上げたわけであります。もちろん、ただいま皆様で御審議いただいておる最中でありますから、実情が、いや、それより以上に新たなものが出てくるということであれば、もちろん私どももそういうことは考えなければならぬ。しかし、在来の災害復旧対策等から見ると、ただいま申し上げる程度ではないか、こういうように申し上げたわけであります。
  91. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 自民党の政調会も、わが党の政策審議会も、大体意見は一致しているようでございますし、また、大臣もその良識においては一致しているようでございます。ただ問題は、今回起きたところの現状をどのように把握し、どのように認識しているかというところに問題があるようでございます。そこで、今、大臣のおっしゃられました設備の修理には低利は貸さないけれども、設備を改変、新設するというか、いわゆる元通り復旧をするにあたっても、機械を新しく購入しなければならない。建物を建て直さなければならない、こういう問題があるわけです。なぜかならば、泥水で押し流されてしまって、機械がつぶれてしまった。ただ床下浸水とか、床上浸水程度で二、三日たったら引いてしまったというなら問題じゃないと思う。お気の毒ではあるけれども、何も設備を全部更新しなければいけないというところまではいかないと思う。しかし、山から流れてきた土砂をおっかぶっちゃった、何が機械であるのやら、どこが材料であるのやらわからなくなってしまったというようなものは、これはもはや修理をするよりは新しく買いかえた方がかえって安くつく、こういう場合もあり得るわけです。そこで、けさもわざわざ東京まで陳情に来ておられました。来られぬ方々は県庁、市役所、通産局というところに押しかけて見えるわけですけれども、その名古屋通産局の方で御調査いただき、実態を見聞きしていただき、それからできたところの書類をもってしても、ぜひ一つ低金利にしてもらいたい、特別措置をとってもらいたいということがここに出ておるわけでございます。私は、それに従って申し上げておるのであって、これは何もわが党の党利党略とか、加藤清二の作り事とかいうことで申し上げておるのではございませんので、せっかく大物大臣の良識をもって、具体的事実をしっかり把握していただきました後に適当な御決断を願いたい、かように思います。いかがでございましょう。
  92. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておる通りでございまして、今、加藤委員の御指摘になりましたような非常に気の毒な方もおありだろうと思います。ただ、災害の総体として、いかに処置するかということ、個々の具体的な事情でいろいろ処置するということも、不公平な行政には議論があるところだと思います。そこで、総体的なお話をいたしております。しかし、利別に新たに必要はない、かように申し上げておるわけではございませんので、実情に応じて十分考えて参りたいと思います。
  93. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 次に、先ほど自民党の方の政策の御発表の中に、税制とか貿易のシッピングに合わなかった場合の措置等々がうたわれてなかったかと思いますが、これもおそらく意見が一致すると思いますけれども大臣はお急ぎのようでありますので、これは別な委員会で別な事務当局と審議するということにして、次に進みますが、この際、大臣一つぜひ知っておっていただきたい点がございます。それは、工場が集約的に海抜の低いところにできまする結果は、地盤沈下を来たしまして、ゼロ地帯、いや、それ以下の、コンマ以下の地帯というものをあちらにもこちらにも出来させているわけでございます。これは御存じの通りであります。名古屋地帯に例をとりますと、ゼロ以下が一八五・四平方キロもございます。一メートル以下のところになりますと、二百平方キロ以上になっておるのでございます。このことは、何も名古屋地区だけでなくして、岐阜地区にもございまするし、また、新幹線が通ろうとしておる羽島地区にもそういうものがありまするし、京浜工業地帯あるいは阪神工業地帯、みな同断のようでございます。ところで、ここに被害が例年のようにやって参りまするので、このたび、その地区に工場を持ち、その地区に住まいを持っていらっしゃる方々は、いち早く避難をいたしました。従いまして、死者は六、しかし、侵水地帯は八千二百十六世帯、こういう数字を出したわけでございますが、これらの方々がどこへ避難したかと申しますと、何と競輪場なんです。そこでもらって食べようとした乾パンからがが出てきた。これも具体的事実なんです。これは委員長の郷里でございまするから、辻先生もよく御存じのことと存じまするが、これは一体このままに放置していいものか。ほかの地区ならいざ知らず、木曾三川は、揖斐、木曾、長良と、日本でも最も水の豊富な地帯とされている。そこに工場だけの設置を行なわれましたけれども工業用水の誘導ということはほとんど考えられずに、地下水をくみ上げるということにのみウエートが置かれていた過去でございます。これは何も現大臣の責任だと申しておるわけではございません。しかし、工場は、こういうやさきといえども、なお次から次へと造成されている最中でございます。こういう問題に対して、大臣が新しく産業構造を考えられ、その産業構造の調査室までもこのたび新しく設けられたようでございまするが、一体どう対処なさろうとしていらっしゃるのでございましょうか。このいわゆるゼロ以下地帯の住民のみならず、そこの市長、議員等々のひとしく頭を悩ませておる点でございます。
  94. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 新工業都市の建設は、通産省は通産省的な主張を今までしておるようですし、あるいは建設省、あるいは自治省、それぞれの官庁におきましても、新しい工業都市建設の構想を持っております。そういう場合にいつも問題になりますのは、水の問題、あるいは交通、道路、港湾等を一緒にしてのいろいろな問題が多いと思います。お尋ねの点は、ただいま工業用水の確保の問題であるようであります。特に中京地区が近代的な大工業都市になろうとしておる今日でありますから、過去の中小企業が主体の中京地区とは変貌する、そういう際に、河川の水を、支川の水を十分利用する、その点を御指摘になったものと思います。これは当然のことだと思います。今まで自民党政府といたしまして特に考えたものは、愛知用水の完成によって中京地区の工業用水の確保はできるだろう、こういうことを考え、あのような灌漑用水あるいは上水、工業用水との分配等も考えて参ったと思います。しかし、今回は、不幸にして愛知用水が通ったそのやさきに集中豪雨で災害をこうむって、完全通水ができておらないという状況であります。その意味で、復旧作業等も特に力を入れておるわけであります。これが一日も早く完成し、ただいま御指摘になりましたような弊害を生じないように、長期にわたっての工業用水確保にさらに私どもも努力すべきではないか、かように思います。特に、私は、中京地区だけに限って申し上げましたが、これはひとり中京地区だけのごとではありません。ただいま申し上げるような工業用水の確保は、各地において大事な問題であろうと私は痛感いたしております。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 そこで、水の確保のことだけをお答えになったようでございますが、それはまた引き続いて質問するといたしまして、私は、現在ゼロ地帯以下で難渋している人たちをどう始末していただけるか、この人たちにどう救いの手を差し伸べてもらえるかということをお尋ねしたつもりでございます。名古屋としましては、せめてその地区の学校だけは鉄筋コンクリート三階建程度にして、そこへ避難民を集めるような工夫をこらしておられます。ところが、それといえどもまだ十分ではないので、競輪場へ競輪場へと避難をするわけであります。住宅対策等にいたしましては、これは所管が違うかもしれませんけれども、住宅もまた二階建にする、あるいはブロック建にする等々にして、せめて水害からの心配を除去してあげるということが地盤沈下の原因を作った本省の責任ではないか、その費用がどこから出るかは、大蔵大臣をやられたあなたの方がよく御存じだと思いますが、いかがでありましょうか。
  96. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来のお話、私は、通産省所管のことを一通り中心にして申し上げましたが、前回の伊勢湾台風の際に、御指摘のようなコンクリート建の学校その他こういう際に何とか避難する場所にも使えるような学校を作らないかというお話がありましたことは伺っております。しかして、そういう事柄はそれぞれの省において処置をとることだと思いますが、ただいま海面下に工場があるとか、こういうものについて、しからば、これを他に移すという簡単な方法もないわけであります。あるいは防波堤が作られるとか、あるいは地下水の揚水等についても、工業用水を確保することで、より沈下をしないように、こういうような措置をとることがまず第一の方法ではないかと思います。たとえば尼崎地区等においては、そういう措置を従前もとっておられました。だから、一般の工場地帯を救うばかりでなく、海面下に沈下しておるところに対して、海水あるいは洪水等から十分これを守り得るような処置をそれぞれ講ずべきではないか、おそらく、建設省自身にいたしましても、そういう意味でいろいろ研究しておられると思います。私どもも、そういう点は今後とも閣内において協力したい、かように思います。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 その閣内協力の場合に、ぜひ一つ大物、実力者の力を発揮して、ほんとうに地盤沈下の原因を作った元凶をあなたが担当していらっしゃるわけですから、一つぜひ民心を安定させるべく御努力が願いたいと思うわけでございます。  次に私が質問したいと思っておりましたのが、ただいまお話のございました愛知用水でございます。これにつきましては、きのうすでに農林大臣あるいは建設省——そのときは大臣はいなかったのですが、建設省等々からいろいろな答弁がございました。特に、農林大臣からは、これの復旧費に八億五千有余万要るけれども復旧費を農民に負担させるようなことは絶対にさせない、かような確信を持った答弁がございましたが、私ども商工関係からながめてみますと、しからば、それじゃその負担はどこにいくか、はたして飲料用水に負担をかけ得るや、あるいは工業用水負担をかけ得るやとながめてみますと、いかに飲料用水といえども、すでに飲料用水は名古屋の水道料金が一立方米について十円前後、大体それ以下でありますにもかかわらず、愛知用水の水は四十三円前後に相なるわけですが、それ以上負担をかけるということはとうていでき得ることでもございません。しからば、工業用水が四円で安いから、それにひっかぶせたらよいではないかということですが、これがまた、愛知用水の工業用水第二期工事の詳細は、大蔵省の意見によれば五円五十銭程度になってもいいのではないかという御意見のようであります。しかし、工業用水法によるところの水の料金は、五円五十銭以上などというものはほかには類例を見ないわけです。外国はいざ知らず、通産省の統計の中にそのような高いものは見ない。まあまあ、いいところは四円どまり、それ以上工業用水を高くすれば、これはそこから産出されるところの物のコストを上げるだけに、終わって決して産業上よい影響はない。さすれば、この災害から生じたところの費用は、当然のことながら、持つべきところで持っていただかなければならぬ、かように思うわけでございます。特に大蔵関係に経験の深い佐藤大臣に御所見を承りたいと思います。
  98. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の工業用水なり、あるいは飲料用水、上水道ですか、そういう料金は、一応計算をされて出ておることだと思いますが、今後長期にわたってそういうものがどういう結果になるか、それを見るべきであって、六億も災害復旧に要るから、直ちにそれにぶっかけるというわけのものではないと思います。これは長期にわたって結果がどうなるか、それを勘案してきめることだと思います。もちろん、より安くなるように、特に長期にわたっての水の使い方を考えれば、そういう方向も可能ではないかとすら思います。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 災害に対する融資の点に戻りますが、かつての融資対策の時期と今回とは事の変わっている点がございますので、その点だけをお尋ねして大臣の資間は終わりたいと思います。  それはほかでもございませんが、先ほど羅列いたしましたように、過去の災害時には、常に秋口に行なわれたわけなんです。そのときは、時もよかったせいか、設備投資を削減するなどという空気はほとんど起きていなかったときでございます。従いまして、伊勢湾台風のおりにも被害は受けられましたが、当局の施策よろしきと、時の災害対策委員諸君の御尽力によりまして、大企業といわず、中小企業といわず、その復旧費には、満足ではないけれども、大体うまくいったといって感謝されているわけでございます。ところが、このたびはどういうめぐり合わせか、大蔵省それ自体は、御承知通り設備投資一割削減ということを銀行に対してサゼスチョンされたようであります。全銀連またこれを受けて、その対策に乗り出したようでございます。こうなって参りますと、これは設備投資の行き過ぎですね、この増設ムードをある程度緩和させるためのことではあると思いますけれども、その窓口の規制なるがゆえに、そのしわが一体どこへ寄るかといえば、必然的に弱い中小企業のところへ寄りがちなんです。さなきだに、市中銀行の窓口に難渋しておりまする中小企業は、両方からのはさみ撃ちを食うわけなんです。これに対して、全銀連の発表は、中小企業にはしわを寄せないということを看板にうたっていらっしゃるようでございます。しかし、しからばそれじゃ一割削減はどこにしわを寄せられるのか。尋ねるまでもなく、大企業はほとんどがオートメであり、あるいはまた、コンビナートであり、削減のしようがないわけなんです。一割削減といえば、結局、子会社か孫会社だということに相なるではないか。その結果どういうことが生ずるかといえば、この孫会社、子会社はやむなく親企業にその資金の保証なり裏づけなりを依頼しなければならない。こうなって参りますると、ますますこの系列化は強化されて参るわけなんです。私は必ずしもその系列化がいけないと言うているわけではございません。しかしながら、さきに通産省のきめました、各中小企業の総合的な技術開発については、一つの親企業にたよらなければならないというような行き方では、格差は一そう大きく増すばかりであるから、必ずしもそのような方向をたどらないのだということが約束されているわけなんです。しますれば、今日の金融の措置は二律背反、そこへ災害と追い打ちをかけた場合に、大臣、一体どこへしわが寄るとお思いなさいますか。
  100. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 加藤さんは実に巧妙な質問をなさいまして、中小企業に対する災害はどうするかという質問が、いつの間にか設備投資の方にまで話が発展いたしました。けれども関連的に別の問題だからという返事をするつもりはございません。それも相互に関連のあるものだと思います。しかし、一般的に申しますと、中小企業にしわが寄らない、ことに災害復旧の際に、通常の融資と災害復旧融資とが混淆しないように一この点を先ほど木村委員指摘して、実は党から厳重に申し込まれております。私どももしごくさように処置すべきものだ、かように考えております。ただ、災害対策はそういう意味で講じ得ると思うのであります。それは、一つは、三公庫にいたしましても、年度の初めといいますか、上半期における状況におきましては、まだ資金的にはずいぶんあるわけでございますから、この三公庫自身が緊急な支出について先にこれを使う。これは公庫としては、政府の指示によればできることであります。問題はむしろ設備投資で、災害復旧を処理したためにその方がおくれはしないか、こういう心配の方が実は強いのじゃないか。そこで、いずれ適当な時期に、災害復旧融資の金額いかんによっては、総体の資金量をふやすという処置をとらなければならぬのじゃないか。しかし、この際直ちにとらなくても、一応それはもう少し後でよろしいのじゃないか、こういうふうに私ども考えますが、資金はそうしたものじゃないかと思います。ただ、お尋ねの中にありましたように、最近の設備投資が非常に旺盛だ、それを大体一割程度くらい圧縮したらというような話が出て、それぞれ業界そのもので自粛的な具体案をただいま審議している最中だと聞いております。おそらく国内全体としては四兆程度の設備投資が計画されるだろう、一割減らして三兆六千億程度、まず、そのうち通産省関係で見ますと、一兆八千億程度で、この一兆八千億を大体一割程度減らす、千八百億程度減らした案を通産省としては持つ、こういうことであります。その際に、中小企業に対してしわが寄らないためには一体どうしたらいいか。ただいま御指摘になりますように、また加藤さん御自身も御経験なすったことだろうと思いますが、一口に中小企業と申しますが、中小企業の実態は、ただ系列化というだけで簡単に片づくものではないわけであります。もちろん、中小企業は系列化の場合もありましょうし、また、それ自体が自分の分野を持ってしかも大企業になかなかなり得ないものがある。そういうものについての特別な措置もしなければならぬ。だから、中小企業対策というものは、実態を検討すればするほど、実はむずかしいものになるわけであります。そこへ持ってきて災害が起きたとか、あるいは自由化の波が押し寄せるとか、いろいろむずかしい問題があります。そういう意味で、中小企業対策は特に力を入れる必要がございます。しかし、今回のこの委員会で特に問題になります、中小企業の方々がこうむられた災害復旧については、一般の所要資金と区分して災害復旧資金を確保する、しかも大企業と中小企業の間にしわ寄せが起こらないように、むしろ中小企業の弱体な点に思いをいたして、一日も早く復旧するように最大の努力をするということを申し上げます。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)協議委員 今のお言葉通り、ほっておけば、弱いところにしわが寄る。従って、しわの寄らないように防波堤を作る必要があるのですが、その防波堤は、今のあなたの言葉をかりて言えば、区分をする、換言してみれば、ひもつき別ワク融資をする、こういうことです。ひもつき別ワク融資ということになりますと、先ほど木村さんもおっしゃられたように、これはやはり特別立法をした方がより効果的である。それがあなたの区分するという言葉の画竜点睛になるのではないか、かように思うわけでございます。  さて最後に、もう一点だけですが、そういうやさきにあたって、公定歩合の引き上げがまた中小企業を攻められる材料で、それを緩和するところの買いオペはと期待したところ、それは行なわないような空気のようでございますが、一体公定歩合の引き上げが閣議にかかった場合にどうなさるおつもりですか。買いオペは、あなたがかつての大蔵大臣の体験者——すなわち、大物の理由は、かつて大蔵大臣をうまくやり得られたというところにある。従って、あなたなればこそ、私は承っておるのでございます。
  102. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 公定歩合のお尋ねでございますが、これは大蔵省が所管しております。私がとやかく申し上げる筋ではなく、私の方から申せば、金融はたっぷり量があり、適正な金利で、やるときには安い金利であることが望ましい、この希望だけを申し上げておきましてお答えとしたいと思います。
  103. 辻寛一

    辻委員長 中島君。
  104. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 先ほど特別立法について建設大臣から御答弁があったのでありますが、現在の状況においてはそれ以上の御答弁もできかねるかと思いますけれども、昨日の当委員会におきまして、河野農林大臣に対しましても要望しておいたのでありますが、建設並びに農林関係の担当の局長、課長級諸君が、大臣考えがどうあるかということについて、非常に特別立法の措置について迷っておるような様子が私どもにはっきり見えたわけであります。従って、これはトップ・クラスにおきまして、閣議あるいは担当の関係大臣において、早急に一つ意思を統一して下へ流していただきたいと思うのです。当委員会におきましては、自民党の諸君もほとんど全部が、特別立法せねばいけない、そして来週各省の個別の質疑を行なったら、直ちに特別立法に当委員会としてもかかる、こういうような申し合わせを昨日いたしたわけでありますので、当協議会とともに相呼応して政府の方でもそういうように進めるような御処置をしていただきたい、こういうことを重ねてお願いいたす次第であります。今大臣からの御答弁を聞くと、問題は政令によるところの激甚地の指定、こういうように拝察いたしたのでありますが、われわれも同じ考えでありますので、これらについても特段の御考慮をお願いいたしたいと思うわけであります。  それから、私の方の問題になって恐縮でありますが、単刀直入にお尋ねいたしますけれども大臣は、この前の三日のたしか建設委員会協議会において、直轄河川については今度の災害復旧工事を来年の出水期までに完了する、その他の補助河川災害復旧に対しましても、できるだけことし伸ばして大体二カ年くらいで完了したい、こういうようなことを言われたようでありますけれども、今後被災民はそれらに対して非常な関心を持っておりますので、重ねてそれらについてお伺いいたしたいと思うわけであります。
  105. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいまお話しの通り、私どもといたしましては、直轄事業については来年の出水期までには間に合うように復旧及び所要の改良を含めた事業を完了するようにいたしたい。なお、補助事業につきましても、先ほどお話もございましたように、三・五・二の従来の比率もございますが、激甚地帯につきましては、その三・五・二の比率にとらわれることなしに、できるだけ急速に復旧を完了することのできまするように、大蔵当局にも要請し、大体了解を得ております。事務当局にもその線ですみやかなる復旧事業を進めるように督励をいたしておるような次第でございます。
  106. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 それから午前中の質疑応答におきまして、大臣お見えなかったけれども、私が申し上げるまでもありませんが、道路整備五カ年計画は二兆三千億ですか、これでもまだ足りぬというようなわけで、われわれはこれを増額せねばならぬというような考えでおるわけなんです。ところが、治水十カ年計画は、たしか十カ年で九千億程度のものでありまして、非常に額が少ないわけなんです。これくらいな程度ではどうしても間に合わないと思うのですが、午前中におきましても、自民党の諸君からこの点について強い要望があったのですが、治水十カ年計画も策定したばかりではありますけれども、これはこの際思い切って計画の練り直しをしていただかねば、この治水計画は立たないと思うのです。それから、これは私かつての委員会においても何度も申し上げたわけでありますけれども、この災害復旧が原形復旧だ、従って、大幅な改良をやらねばいけないじゃないかというような意見が、午前中自民党の皆さん方からも多数出たわけであります。ところが、これは私が申し上げるまでもありませんけれども、現在の公共土木の国庫負担法においては、原形復旧ということは原則になっておるわけです。そこで、おもしろいことには、午前中に、かつて建設大臣をされておった遠藤三郎君がお見えであると思いますけれども、改良工事というけれども、それは名ばかりのもので、だめなんだ——かつての建設大臣が、三時間はかり前にここではっきりそういうことを言ったわけであります。従いまして、これはやはり国庫負担法を改正しまして、やはり原形復旧を改良工事が大幅にできるような法律の根本改正をすべきものだ、こういうように考えるのですが、この治水十カ年計画、それから原形復旧のこの二つの点について、大臣の御所信を承りたいわけであります。
  107. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 治水十カ年計画は、御承知通り三十五年度からスタートいたしました。私ども、ことにことし起こりました災害の現状等から見まして、直轄部分河川につきましてももっと上流まで、あるいは支流等につきましても直轄部分に拡張をする必要を痛感しておるものも相当ございます。これらを考え、また災害をできるだけ未然に防止するという点から考えまして、どうも今の現状では、三十五年からスタートしました十カ年計画を平均してやっていったのではとうてい間に合わぬような気がいたすのでございます。さような角度から、三十六年度におきましても、かなり繰り上げて先行投資の形に予算編成の際努力いたしまして、そういう傾向になっておりますが、三十七年度予算編成にあたりましては、こういうような緊急かつ国家的に非常に必要度の高い問題でございますから、三十六年度より以上大幅に一つ繰り上げして先行投資をするように財政当局とも協議いたしまして、ぜひ実現いたしたいと思うのでございます。さような方法にいくか、あるいは三十七年度からもう勇ましく長期計画を改定に持ち込むか、どちらの方法でいくかは別といたしまして、内容的には、三十七年度は三十六年度以上大幅に一つ増強して参るように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  原形復旧の問題でございますが、かねがね、原則は原形復旧でございますが、復旧をいたしましても将来の災害をそれでは防ぐことができない、あるいはその他必要な部分につきましては、改良復旧が当然できるようになっております。しかし、先ほど先任建設大臣の遠藤さんからそういうお話があったそうでございますが、従来確かに原則が原形復旧でございますから、非常に窮屈な面が多かったようでございますが、一昨年の伊勢湾台風に照らしまして、伊勢湾台風以来改良復旧ということが非常に高まって参りまして、伊勢湾地域の災害地帯をごらんいただきますとわかりますように、堤防その他でも、まるで従前とは見違えるような改良復旧をしておるようなわけでございます。私どもは、災害に際しましては、将来の災害に備えるということが、単なる復旧だけでなしに、忘れてはならない重要な問題であると思いますから、こういう角度に立って、財政当局の理解も得て、十分に努力して参りたいと思います。なお、所要の法律改正の機会等もございますれば、そういう点もあるいは条文の書き方を改善してもよろしいのかもしれませんが、現在のところ、伊勢湾台風復旧事業以来、大蔵当局もそういう角度になっておりますから、行政運用で大体御期待に沿うようにやっていけるのじゃないか、また、やっていきたいものだと思っておるようなわけでございます。
  108. 中島巖

    ○中島(巖)協議委員 先ほど宮澤委員から泰阜ダムのことについてお話があり、また、昨日も宮澤委員は、大平官房長官に対して、この審議会を設置せよというようなことを質問されておったのでありますけれども、これは河川法にも明らかなごとく、河川管理者が処理のできる問題を処理しないからこういう問題が起こるのでありまして、いわゆる河川管理の怠慢により生じた問題だと思うのです。そこで、この泰阜ダムの問題についてごく簡単に申し上げますが、これは水利使用については、大体三十年でありますけれども、許可期限があるわけであります。その許可期限をなぜ付したのか、この水利使用を永久許可にせずに、三十年間の期限をなぜ切ってあるかというその理由は、河川に構築物、すなわちダムのようなものをこしらえたその後において、河床が上昇するとか、あるいは河川の流れが変わるとか、そういうような河川に変動があって公益の利害を侵すようなことがないかどうか、それを審査するためにこの三十年間の年限を切っておるということは、各法令を見てもはっきりうたってあるわけであります。その三十年間に河床が四十尺も五十尺も上がる。幾たびか災害がきて、川路村なんかは五回も災害救助法が発動されておる。そしてその間、何とかこの門島ダムをとってくれと陳情をしておる。長野県の昭和二十一年当時の物部知事は、この上流の上がっておるところの河床二メートル以上浚渫せよ、次の出水期にいかなる事態が来るかわからぬから、浚渫せよという命令書まで出しておる。そういう事態にあるにもかかわらず、その水利使用権を三十カ年間ノー・ズロースで、何らの制限もつけずに中部電力に与えたという、ここに大きな失敗があって、その失敗によって今日の災害が起きておることは明らかなんです。すなわち、これはいわゆる国家賠償法の第一条によるところの、国または地方公共団体の役人が、公権力の行使にあたって故意または過失によって損害を与えたときには、国家がその損失を賠償せなければならぬことははっきりうたってある。従って、私は、これらの今後の指導方針としては、国家賠償法によって、今回の災害の総額を国を相手取って請求するという指導をとりたいと思っておる。過去においてもそういうことをとりましたけれども、県や建設省が中に入って幾たびか取り消されて、むしろ今回の災害は県や建設省にその責任の一半があるとさえ私は思っておる。そういう場合においては、建設省とか県は、いつも堤防をこしらえてやらぬとかなんとかおどかしては取り下げさしてしまう。それとこれとは別でありますから、そういう場合においては、堤防堤防でこしらえる、この問題はこの問題で圧力をかけない、こういうようなことを大臣から県や下級の者に対しましてよく指導をしていただきたい。私はそういうことであるとはっきり信じておるわけであります。  それから、他に質問者もありますので、言いっぱなしになって、希望いたしておきますれども、次の来週の建設関係の当災害協議会において御返事を願いたいと思うのでありますが、今回の災害で、下伊那だけで流失、全壊が一千戸ほどあったわけでありまして、これは第二種公営住宅を非常に要望しておるのでありますが、これが二百何戸程度くらいの割当しかない。国全体で一千戸くらいの手持ちしかないと聞いておりますけれども、この第二種公営住宅を、何とかこの臨時国会において補正予算でも組んで割当を多くしていただきたいと思うわけであります。  それから第二点といたしましては、今度飯田市に非常な都市災害がありまして、しかも来年度行なわんとする都市計画事業と非常に関連がありますので、今回の都市災害に対しましては、都市計画事業と関連したような施工計画を立てていただきたい。  第三点といたしましては、大臣もヘリコプターに乗っていただいて御視察になって、よくごらんになったわけでありますけれども、今度の災害でもって山が全くしま馬のような状態になっておりますので、とうていこれは二年や三年の災害復旧事業でできるものではありません。ことに下伊那郡は、一郡でもって千八百五十平方キロ、香川県より大きいところの面積を有しておるところでありますから、建設省の直轄砂防事務所を設けて、恒久的にこの山地の崩壊を防止していただくような御処置はできぬものか。  この三点はこの次の委員会におきまして御答弁願うことにいたしまして、他にまだいろいろ質問者もありますので、次の委員会に譲ることにいたしまして、私の質問並びに希望をこれで終わることにいたします。
  109. 辻寛一

    辻委員長 首藤新八君。
  110. 首藤新八

    ○首藤協議委員 私は建設大臣に対して二、三御質問を申し上げたいと思います。  今次の梅雨前線豪雨は、いまだかってないほどに雨量が多かったこと、しかも被害区域が非常に広大であったこと、まことに珍しい大災害でありますが、この問題について、政府も国会も、口を開けば、お気の毒だということをしきりに言うておりますが、単に口だけのお気の毒ではこれは解決しないのであります。この広い範囲被害者は一日も早い救いの手を待っておるのであります。ところが、この予算は、申すまでもなく、臨時国会がなければ解決せぬのでありますが、政府は臨時国会を九月中旬に開くとか、あるいは下旬に開くとかいうことは報道されております。ところが、御承知通り日本災害は、従来の例から見ますと、おおむね九月が一番多いのであります。特に最近までの情勢から考えますと、本年もまた九月に、ないというよりも、あると考えた方が妥当ではないか。もしそういうことになりますれば、この災害のかたがつかぬ間にまた新しい災害が起こる、そうしますと、災害だけが重なって、前の災害に対する対策が非常にぼけてくるおそれがある。また、予算も相当変わった様相を呈してくるおそれもあるわけであります。従って、できる限りすみやかに政府の作業を終わって、そうしてこの臨時国会を一日も早く開く、これは、私は全災害者の一致する希望だと思うのであります。ところが、政府の査定は、これは通産、厚生、農林、建設各省にまたがりますけれども、一番重大な関係を持っておりますのは建設省だと思います。建設省査定が早く済むか済まぬか、これがやはり臨時国会の開会に相当影響すると思いますが、建設大臣は現在のところ、大体いつごろであったならば建設省査定は済む予定でありますか、この点をちょっと伺いたいと思います。
  111. 山内一郎

    山内説明員 ただいま、非常に災害の激甚な地域につきまして緊急査定実施しておりますが、緊急査定の分につきましては、大体八月の中旬から下旬、これによりまして査定は完了いたします。
  112. 首藤新八

    ○首藤協議委員 政府の方では、内閣がかわったということも理由の一つでありますが、建設大臣は幸いに御留任なさった。また、新しく就任された大臣も、経済相もみなりっぱな方ばかりでありますから、必ずしも勉強する必要はないと思います。そういう面から考えて、とにもかくにもすみやかに査定を終了して、予算を計上するということが、この際としては最も好ましいことだと私は思うのであります。今局長からの御答弁を聞くと、八月中旬あるいは下旬だということでありますが、当初私が考えましたように、それでは長過ぎやせぬかという気持がするのです。おそくとも八月中旬には済まして、そして、九月中旬には臨時国会に十分間に合うというような態勢はできないのでありますか。その点をもう一つお答えいただきたいと思います。
  113. 山内一郎

    山内説明員 現在八月中旬ないし下旬の目標でやっておりますが、できるだけ早く、繰り上げて査定が完了するように努力いたしたいと思います。
  114. 首藤新八

    ○首藤協議委員 先ほど申し上げましたように、九月にはまた災害があるかもしれませんよ。その点に重大な関心を持っていただかなければならぬと思うのであります。  そこでもう一点伺いたいと思いますのは、今度の災害は、ところによって、地形によってみな違いますが、私たちが見て、人為的な災害としてどうしてもこの際、抜本的な対策を講ずる必要ありと思いますのは、神戸、横浜、いわゆる住宅難から、第三者が考えて、まことに危険なところに家を作った、いわゆる非常に高いがけに新しい住宅を建設しておる。それがすべてではありませんが、それの被害によって、いわゆる神戸市のごときは、三十九人からの死亡者を出しておるのであります。よって、先般来自民党対策委員会では、まつ先に土地造成の取り締まり法を制定する必要ありということになっておるのでありまするが、これについて建設省はどういう考えを持っておるか。もし建設省がおやりにならなければ、この協議会でも特別立法もしなければならぬと思いまするが、相なるべくならば、政府がこういう法案を作った方がいいと思いますが、どういうお考えでありますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  115. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 全く同感でございますので、私どもも鋭意目下法案作成に努力をいたしておる次第であります。いずれにいたしましても、来たるべき臨時国会には間に合うように十分努力をしまして、傾斜地を利用いたしました宅地造成に対する適切な規制措置を立法上講ずるようにいたしたい、かように考えております。
  116. 首藤新八

    ○首藤協議委員 取り締まり立法を制定するということは了解できましたが、ただ、その立法をした場合に、その対象となるものは、今後新しく造成するものから適用するのか、あるいは今までもうすでにできておる、しかも、それは先般の豪雨で非常に地盤が危険状態になっておる。もう一ぺんあのような雨が降ったら必ず崩壊するであろうという個所が、少なからず実はあるわけであります。従いまして、今後にだけ適用するということになれば、この既設のお粗末千万な宅地造成は、依然として危険にさらされることになるのでありますが、その点はどうですか。
  117. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 今後造成しますについては、もちろん適切な規制を行なって、再び同様の災害の起こらないようにいたしたいと思いますが、すでにできております宅地について、やはり周辺の者あるいは関係者が危険を感じておるような場所で、また、適正な観察をした結果、確かに危険であるというようなものについてはこれを是正させる、手直しをさせるというような道を講じたいという考えで実は立法準備をいたしておるのでありますが、この点は私権等の関係もございますから、立法技術上まことにむずかしい点があるわけでございます。しかしながら、かりにこれは実施がむずかしくても、そういうものに対して適当な指導なり勧告なりをすることによって、万一さようなことが起これば損害賠償の基準にもなりますから、立法技術上可能な限り、そういう点にも触れて参りたいと思っておる次第であります。
  118. 首藤新八

    ○首藤協議委員 先般の災害で崩壊したところの下の方は、今度はりっぱになるだろうという安心感があるが、現在なお非常に不安にかられておるのは、もう一歩で崩壊するかもしれないという、既設の宅地造成の近くに住んでおる者が一番心配しておるわけであります。これは立法上、お説のごとく困難な点があるかと考えますけれども、これをほうっておきますれば、必ず次の災害でまた先般のものを繰り返すというような事態が起こるから、特にこの点は一つ留意してやっていただきたい、こういうことをお願いいたします。  そこで、もう一つの問題であります。先ほど他の同僚議員からも発言がありましたが、名神高速道路あるいは阪神第二国道等々の建設に際して、最近、その周辺の土地よりも二メートルあるいは三メートル、はなはだしいのは五メートルも道路が高く築堤されておる。これがために、今次のような出水が多いと意外な被害をこうむっておるのであります。特に神戸の例を申し上げますれば、御承知通り、神戸は裏が六甲山でありまして、非常な勢いで水が流れてくる。そうして海岸の近くになってきて——第二阪神は海岸からごく近いところにあるのでありますが、ここに三メートルも四メートルも高く道路をこしらえる。これがいわゆるダム堤防みたいになっておる。そこで、この近くの住民は、全く夢にも考えないような二メートル、三メートルの浸水で全部やられてしまった。ここに生産工場もたくさんありますが、二週間から三週間休業せざるを得ない。たとえば、先ほど加藤委員も言われましたが、モーターが浸水する。モーターが浸水すれば、かわかすのに非常な時日を要するのであります。ひどいのになると、全部つけかえなければならない。また、住民は、あの雨は毎晩々々降っていますから、夜になると一切の家財を取りまとめて、そうして近くのところに避難するというようなことを、一週間も実は繰り返しておるのであります。これはその現場の住民からの非常に強い陳情があったから、現場を見にいったのです。なるほど、これを見たら、今後多少でも雨が降ればすぐ被害をこうむる。それで、被害原因は、排水路がまことに不完全だ。私は第二阪神の芦屋の事務所の小林という所長を訪問した。職務怠慢じゃないか、しろうとが見ても、これだけの急勾配で水が流れてくる、そこへこんな高い土手をこしらえた、だれが考えても浸水することは予知できるじゃないか、それにもかかわらず、この広範囲の水を、わずか二尺か三尺の排水路一つ作って、どうしてこれで排水ができるのかということを、強く私は主張いたしました。そうして、所長自身に現場を見るようにということを強く申し入れしてあるのであります。もう一つは、この近くにいわゆる中小河川、天井川がある。これにやはり六甲山から土砂が流れてくる。そこは海岸に近いところまで平地になっておるから、土砂がそこで堆積する。そこで、その天井川の底、河床は、その近くの宅地よりも三メートルも四メートルも高くなっておる。だから、排水の用に使いたいこの川が、どっちかというと、近くに、温水して、川あるがゆえに、かえって、浸水を非常にはなはだしくしているというような事態になっております。そこで、同僚議員の御意見を承っても、直轄河川は大体りっぱにできておる。一たび中小河川にいくと、全くどうも比較にならぬような改修が行なわれておる。この点から見ると、あるいは地方の公共団体は、財政状態その他から、不満足ながらあれ以上できないということでこういうことになっておりはせぬかという心配が実はあるわけでありますが、これは、できるならば、やはり直轄にするということが一番いいと思います。それがどうしても困難であるならば、やはり県なり市がやったものを厳重に指導監督する。そして、直轄河川と同様な危険のないところまで持っていかせるというくらいな監督をしなければならぬと思うのでありますが、今日まではどういう方法でやっておったか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  119. 高野務

    ○高野説明員 道路についてお答えいたします。  道路を築造いたします場合には、低地の道路は、たとえば多少の湛水がございましても交通が確保できますために、近接した水面の高さ、最大値を考慮いたしましてきめておるのでございます。従いまして、多少の盛り土になることはやむを得ないと思います。ただ、この場合、道路を横断する排水を十分にするということは必要でございまして、そういうふうに心がけているわけでございます。ただいまお話しいただきました第二阪神国道につきましては、この道路は、大部分が戦災復興の区画整理でいたしました道路でございます。この個所につきましては、他の沿道の土地よりそう上がっておりません。ただ、芦屋、本山、尼崎等の低地がございます。これは大体海抜プラス・マイナス・ゼロ・メートルくらいのところだと思います。この地区におきましては、橋梁の取りつけ、また、構造物の取りつけ、あるいは多少の湛水のあった場合の道路交通確保という点からいたしまして、プラス一・八メートルくらいまでの盛り土になっているものでございます。また、川の橋の取りつけ等におきましては、またそれ以上の数メートルの盛り土になっているわけでございます。しかしながら、この盛り土が、洪水で、降雨のための出水による横断排水のじゃまにならないようにという心がけは、もちろん私どもしているわけでございまして、横断排水考えているわけでございます。しかしながら、ただいまお話しのような結果が現実にできましたことは、まことに遺憾でございます。今度の体験に基づきまして、まだ工事中でございますので、横断排水路に再改造を加えて差しつかえないと思うのでございますが、さらに今後調査いたしまして、措置をいたしたいと思います。
  120. 首藤新八

    ○首藤協議委員 私が実際に現場を調べた結果は、要するに、排水路がまことに不完全だ。排水路を完全にすれば、少々六甲山から流水があってもさばけると思うのです。これを、しろうとならともかく、くろうとの監督者がどうしてかような排水路を黙認しておるか、この点、私は実は非常に疑問を持っておる。だれが考えても、少々雨が降ったら水がたまるような状態になっている。この点は一つ厳重にあなたの方から指令を出して、浸水しないような適当な対策を講ずるようにしていただきたいと思います。  なお、先ほど申しました中小河川、いわゆる河床がその周辺より高くなっていて、これが非常に被害を甚大にする。あるいはこれは地方公共団体の所管かもしれませんけれども、これまた、一つ河川局の方で特に監視していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 辻寛一

    辻委員長 五島虎雄君。
  122. 五島虎雄

    ○五島協議委員 ただいま首藤委員が、神戸、横浜におけるところの土地造成規制の問題で大臣に質問されました。大臣は、立法技術としては、私権の問題があるから非常にむずかしいけれども、極力立法に努力して、そして今後の災害を排除するつもりだというようなことでありました。そうすると、首藤委員の質問の中で、従来までの問題は一体どうなるだろうというようなことですが、すでに御承知のように、神戸、それから横浜の各市においては、国がこれを規制しないから、危険地域における傾斜地尾地造成の条例を作っておる。ところが、実際の問題としては、条例そのものがやはり法の根拠に基づかざる条例だから、従って、届出制になっている。届出制ということであるから、業者が山を買う、そして、それを宅地として造成する届出をすれば、どんどん工事は進行することができる。ところが、条例があるものだから、条例に従って勧告をする。勧告をするけれども、それが書類上の問題をして、勧告に応ぜずして事業が進行していく。従って、その危険の度合いというものが考慮されないままで、今回の神戸、横浜における災害一つ特徴点が現われているのではないかと考えます。従って、従来二十年、三十年とりっぱな家をこしらえて、安心して生活していたところが、自分の上の山が造成された。従って、神戸あたりでは、神戸も横浜もそうでしょうけれども、その付近一帯の住民が、市に条例に基づいて一つ勧告をしてもらいたい、非常に危険だ、これは集中豪雨のある前に、すでに地元住民が市長に対して陳情をした。署名をしておる。ところが、今回の集中豪雨によってその署名した人々が死んでしまった、こういうようなことになっておる。そこで、横浜においても一家九人全滅というような問題があり、そこここに権利の問題が派生をしてきているんだ。そうすると、国民の立場から見るならば、条例はあっても、その根本法であるところの国の法律が制定されてない。そうすると、国は法の不備を今まで看過していたのじゃないかという、これは国民的立場の中から出てくるのだろうと思うのです。そうすると、司法上の問題として、そこに損害賠償の問題が出てくるわけです。午前中に、私は、生活保障法を作らないかと厚生省に向かって質問をしました。それからまた、何か国民個人の災害について、政府の行政の中で、国民の直接被害の面については、どうしても一本抜けているようだ。命がなくなっても、家屋が倒壊し、あるいは流失しても、それに対する何らの処置も政府はしない。するような法律がない。従って、さいぜん首藤委員も言われましたように、何かお気の毒だというような、一片の追悼の言葉によってそれが濁される、こういうようなことです。しかし、法は遡及することは、なかなか法の体系上むずかしいと思うわけです。ところが、今度は損害賠償というような問題になっても、現実に宅地造成の中から、がけくずれがしてなくなっていった人々、その上で宅地造成している現実の業者は、非常に資本金が小さい。従って、数十名の命がなくなったのですけれども、それに対するところの損害賠償をやったって、そこからの出どころがない。従って、神戸市の建設課では、九回業者に対して勧告したのだ、非常に危険だからこれをこうしなさい、ああしなさいと勧告をして勧告のしつばなし、勧告をして応じないが、これを処罰する罰則がない。そういうような状態の結論として、結局尊い命がなくなり、財産がなくなる、こういうようなことは、今次梅雨前線におけるところの局地的な特異状態であろうと思うのです。従って、今回の梅雨前線のもたらした被害は、長野県、あるいは岐阜県、三重県、兵庫県、神奈川県と、全国にわたって特徴点が現われていると思うのです。従って、私はこの際、首藤委員の質問に関連をしまして、こういうような私的権利の保障というようなものは、一体だれがすればいいのか、中村大臣は法務大臣でもあったのですから、一つこの際、こういう問題についての解決方法をここで教えていただきたいと思うのです。もちろん、その宅地造成によるところのがけくずれ等々は、長野県における大鹿村とかなんとかの山のがけくずれによるところの状況、結論は同じだろうと思うのです。しかし、あれは自然の脅威によるところのがけくずれであり、これは自然プラス・アルファした人災であると言っても過言ではないと思うのです。従って、この場合の被害をこうむった人々に対する補償の問題は、一体だれが責任を持ち、どういうような問題で解決すればいいのかということを聞いておきたいと思うのです。そうして今後こういうことのないように、立法とともに行政措置を十分やっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
  123. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 先ほども申し上げましたように、行政措置といたしましては、私ども、かような特殊豪雨の発生によって非常に惨たんたる災害が起きておりますので、二度とかようなことがありませんように、新しい立法措置も購じて対処していきたいと思うのであります。  私ども、実は神戸、次いで神奈川県下等に起こりましたがけくずれによる災害について深い関心を持ちまして、これはその道の専門家を派遣する必要があると思いましたので、次官と住宅局長を派遣しまして、それぞれ現地についてすみやかな検討を行ない、続いて、これに対処するための立法措置に着手いたしておる次第でございます。兵庫県下の災害の行って見た報告を聞きますと、神戸市の造成した傾斜地に作った宅地は、やはり造成の仕方が堅固で安全にできておりますから、市の造成したところは、同じ豪雨に遭遇してもくずれていない。民間で造成したところは、十分な措置が購じてない、一口に言えば粗雑な造成方法であった。かような結果起こっている災害であるということがわかりましたので、今後こういうことのないように、傾斜地を利用した宅地造成についてのきちんとした基準を作りまして、その基準に即応したのりをとるとか、あるいはこの程度のところは鉄筋コンクリートでやらなければいけないとか、石垣でやる場合においても、排水をこういうようにしなければいけないとかいうような基準を作って、励行させるようにいたしたいと思うのであります。  起こりましたことの損害賠償とか、そういうような問題でございますが、これはまことにむずかしいことだと私は思うのであります。司法的には、十分司法制度上保護されておると思うのでありますが、今お話しのように、民事上の損害賠償というのは、幾ら訴訟で勝ちましても、相手に支払い能力がありませんと、これを取り立てる道がございません。ちょうど何百万、何千万、何億円の現金を貸しましても、借りた人間が資産能力がなくなり、支払い能力がなくなってしまいますと、支払い請求訴訟では勝訴になりましても、それを取り立てる道がないと同じような結果に相なっておると思うのであります。また、かような危険な場所に宅地を無理に造成するという場合には、もちろん民事上、そういうことは危険だから工事をやめてほしいという、工事中止の仮処分を裁判所に出せば、裁判所が適当な技術者の鑑定を受けて、必要と認めれば仮処分をして工事中止もすべき筋合いにもなっておりますが、しかし、民事上の手続ということは、非常に容易なことでないしいたしますので、今後かようなことを繰り返さないように、事前に十分の措置ができるようにいたしたいということで、あらかた法案の要綱もできましたので、目下法制局その他関係方面と連絡をいたしまして成文化に努めておる段階で、最近の機会に国会の御審議をわずらわして、制度的に作っていきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  124. 五島虎雄

    ○五島協議委員 それではもう一点。あらかた法文も完成しておると言われますけれども、臨時国会は、大体きのうの東京新聞の記事を見ましても、午前中にもそういう意味のことを私は申し上げたのですけれども、原副議長が国会召集について総理大臣と協議をした。ところが、総理大臣は、もちろんあたりまえのことでしょうけれども、新閣僚と相談をして召集の期日をきめたい。ところが、原副議長の新聞談話によりますと、ただいま説明がありましたように、査定がおくれる、査定がすみやかにいかない、従って、臨時国会は九月中旬以降になるであろう、こういうようなことです。そうすると、今後災害がないように、法案の完成も近いというようなことですけれども、法律案はできたわ、建設省で持っておるわ、国会は開けないわ、法律とならない、こういうようなことで、そのうちに再び秋の台風季にきて、そうして規制する何らの根本的な法律がないから、そのうちに再び危険な地域がやられてしまう、こういうようなことになってから法律を作って、この間も申しわけない、今度も申しわけない、こういうことではいけないから、従って、われわれはこの災害の問題についての臨時国会をすみやかに開いてもらいたい、こういうように要望をしているわけですが、これは建設大臣が召集されるわけじゃないんです。しかし、大臣としては一人御出席ですから、特に閣内協力としてすみやかなる臨時国会の召集を決議し、召集されるように要望して終わります。
  125. 辻寛一

    辻委員長 玉置一徳君。
  126. 玉置一徳

    ○玉置協議委員 時間の関係で簡単に建設大臣にお伺いしたいと思います。なお、関連して自治省に簡単にお伺いしたいと思います。  今次の災害は、御承知通り、山くずれによります土砂の流出で、中小河川が非常にやられたということと、もう一つは、ゼロ地帯あるいはデルタ地帯の低地域の冠水、浸水による被害だと思うのですが、それに関しましてはすみやかに臨時国会を開いて、特別立法を作れということであり、早期に改良を含めてやっていくというお話でございますので、これには触れません。  そこで、現在の治水計画が、今もあなたからお話しがありましたが、なるべく先食いしてやっていく、こういうお話です。そこで、私はお伺いしたいのですが、現在までの治水計画におきます河川の最高水位というものは、たしか過去の最大の雨量に対しまして、水量に対してプラス・アルファをつけられたものじゃないか、こう思うのです。そうしますと、近来集中豪雨のあれですっかり雨の流れ方と申しますか、一時出水のやり方が、様相が変わってきた。従って、従来のような最高水位でもって、はたして今後、こういうどんどんやって参ります災害を未然に防ぎ得るかどうかということが第一点であります。  それから、現在の治水十カ年計画でもって、はたして直轄河川の直す予定のものをどの程度お直しになるのか。私の方の承知しておりますのでは、たとえば宇治川の支流の木津川の直轄河川におるのですが、今の計画では、三十年以上かかる予定で建設省でやっておいでになります。十カ年計画でわずかに三分の一程度をやるつもりなのか。ましていわんや、今次の災害でもよくわかります中小河川におきましては、私の方のまわりを見ましても、京都府では、今の調子でやっていただきますと、五十年ないし百年かかります。府県会をやっておりましたので、ほぼ推定ができるわけです。こういうような形で、先食い程度のことで済むのかどうか。今次の災害に対してすみやかに手厚い保護を加えることは、皆さんからお話がございましたので省略いたしますが、今後のこういう災害を未然に防ぐために、今の治水計画の先食いだけで済むことかどうか。この際、各委員の方々からも強い要請があるわけであります。このほかに、まだ低水位地帯、ゼロ地帯、デルタ地帯排水という大事業もございます。その他いろいろ万般の問題があるのです。こういう機会に、思い切って道路五カ年計画のような程度の治水十カ年計画を、自民党の方々、党の方ともよく御相談されて、思い切った政策をお立てになるようなお考えがないかどうかということを、一つお伺いしたいと思います。
  127. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 確かに、日本の公共事業は、道路もそういう事情にあるわけでありますが、災害等の点から見ますと、河川関係も非常におくれていることは事実でございます。さようなわけで、私どもも、全力を尽くして促進をはかっていきたいと思うのでありますが、国の事業を遂行いたすにあたりましては、財政との全般的なにらみ合いもいたさなければなりませんので、われわれは、明年度の財政事情等も考えつつ、最大限の主張をし、実現をはかるようにいたしたいと思うのであります。さような角度から先ほども申し上げましたように、ついこの間である三十五年度からスタートいたしました十カ年計画を、財政の事情が許してここで大幅な改定に持ち込めるか、あるいは先食いで、できるだけ大幅な繰り上げ使用をしてもうしばらくやるべきであるか、その点につきましては、必要性は十分御指摘のように痛感いたしておりますが、諸般の点を考慮いたしまして、研究をしたいと思っているわけでございます。
  128. 玉置一徳

    ○玉置協議委員 じゃ河川局長にお伺いしたいのですが、先ほど申しました直轄河川では、治水十カ年計画であなたの御希望されている何%ができる予定であるか、その他中小河川に至っては、十カ年で、まず直さなければいけないと思われるもののどの程度を消化する見込みであるか、見込みを一つお伺いしたい。
  129. 山内一郎

    山内説明員 直轄河川の方は、治水十カ年計画ですが、全体を十五カ年で完成することを目途といたしまして、そのうちの一部を実施一いたしたい、従って、三十五年度から約七割から八割、こういう程度になると思います。それから、中小河川につきましては、必要な個所がたくさんございます。河川数にしておそらく二千近い数がございますが、現在の計画では約三千億ぐらいかかるのではないだろうか、そのうち十カ年では千五、六百、こういう程度しか実施できない、こういうふうに考えております。
  130. 玉置一徳

    ○玉置協議委員 そこで、今の問題につきましては、大臣の方で一つ十分お考えをいただきまして、相なるべくは、こういう時期でもありますので、治水十カ年計画の改定にまで踏み切っていただきますことを心から希望するものであります。  次に、きのう私も、その他の先輩各位からも、農林大臣その他にお話があったのでありますが、重ねて建設大臣にお願いをしたいのは、低水位のゼロ地帯並びにデルタ地帯災害復旧であります。これにつきましては、先般皆さんからお話がありましたから省略いたしますが、これの平時の維持管理であります。きょうまで、十分とは申せませんけれども、直轄河川その他につきましては、堤防の補強その他をやっていただいているわけでありますが、これのデルタ地帯におきましては、堤防の間に位します田畑あるいは市街地でありますが、堤防の補強はできますが、このごろの豪雨は、大体本流の方が先に上がって参りまして、支流の方があと回しになります。従って、樋門を全部閉めますものですから相当長い間の冠水をいたしますので、農産物その他に非常な被害を受けているわけであります。いずれもポンプ・アップをしておりますけれども、その地帯工場もしくは住宅地等がどんどん建設され、造営されますものですから、水が遊んでおるひまがなくて、最終地点にすみやかに到達するようになりつつあります。しかも、それが工場や住宅を除いた、先に建設した農家のものだけでかいておるのがおもだと思います。というような意味で、集水面積が五千町歩、八千町歩ということになりますと、これは内水と申しますか、こういう問題は、建設省一つお取り上げをいただかなければ、とうてい問題の解決はでき得ないのじゃないかということで、この災害がなくてもお願いしょうと思って、段取りをしておったような次第なのでございます。農林省にも、建設省によくお話しをいただくように話をしておったんです。まして、その中に準用河川が入ったり、もちろん町村支弁河川なんかが入っております。こういう問題につきまして、市では市がやりまして、特別交付税自治省の方から交付するというようなことをやっておいでになるのでありますけれども町村では特別交付税もなかなか入れるのがむずかしいというようなことで、きょうまでほっておかれておるような現状であります。私は、むずかしくてもこの問題はでき得るんじゃないか、従って、これを集水面積のいかんにもよりますけれども、五千町歩、八千町歩というような集水面積になりますと、当然建設省所管でもってこれの内水の排水と、それから維持管理も、若干の補助でもって町村にやらすというような道を開いていただき、なおかつ、その問題は、災害の有事の場合に十分排水できるような観点でものを運んでいただくことが絶対に必要じゃないか、こう思うのですが、これにつきまして建設大臣の御所見、並びに自治省の方も関連してお答えをいただきたい。
  131. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 今御指摘の点は、今度の災害にかんがみまして、私ども痛切に考えております一つの項目でございます。御承知通り、ゼロ・メーター前後というような低湿地帯、あるいはそれほど低くなくても、河川堤防堤防にはさまれたようなところ、かような地域は、豪雨あるいは水害の際には、湛水になりますのはやむを得ない地勢になっておるわけであります。この点はやむを得ないといたしまして、本流の方が水が引いて参りましたら、早く同時に引かせる工夫をしなければならない。非常に長期に湛水をしてしまった区域も今度あるわけでございます。そこで、本流に注いでおります中河川あるいは小河川等の出口のところに据え付けるポンプは、従来は農業用排水とかあるいは土地排水でやっておったわけでございますが、これが非常に能力も小さいものでございますから、何とか公共事業としてそういうところに、要所々々に大規模な排水施設を作っていく必要がある。われわれは、これらも新しい項目として実は治水事業費の中で算出をいたしまして、次の年度で予算要求をして努力をいたしたいと思っておるわけでございます。ただ、私どもは、事業省として必要欠くべからざる施策として計上をし、要求いたしましても、国全体を見ております財政当局の理解を得ることのなかなか困難な場合が非常に多いのでございまして、われわれは全力を注ぎますが、一つ皆さんからも、そういう点、財政当局の理解を得て実現することのできますように、御鞭撻いただきたいと思います。
  132. 茨木広

    ○茨木説明員 ただいま御質問のございました内水の問題でございますが、この問題は、今まであまり問題になっていなかったことでございますので、十分な対策がまだきまっていないと思います。災害の応急対策関係でございますと、特別交付税で臨時措置をする場合もございますけれども、御指摘のような問題でございますと、制度的に相当検討いたさなければならぬ問題であろうと思います。関係課もございますし、また、関係省もございますので、よく相談いたしまして検討いたしたいと思います。
  133. 玉置一徳

    ○玉置協議委員 最後に、河川局長にお願いをしておくのでありますが、天井川だけは、でき得れば現在の治水十カ年計画で解消するように一つ御努力をいただきたい。と申しますのは、この様相でありますと、破堤した場合の災害は非常に大きいものだと思いますので、そういうようにお運びをいただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  134. 辻寛一

    辻委員長 他に御発言がなければ、本日はこの程度にし、次会は、来たる二十五日、火、二十六日、水、及び二十七日、木の三日間本協議会を開会し、建設省、農林省、その他運輸、文部、通産、厚生、自治、大蔵等の関係当局にそれぞれ出席を求め、災害対策等について十分検討を加えていただくことにいたしておりますので、御了承を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会