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1961-05-30 第38回国会 衆議院 建設委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)    午前十一時九分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君    理事 中島  巖君       綾部健太郎君    宇野 宗佑君       上村千一郎君    大倉 三郎君       大沢 雄一君    大高  康君       二階堂 進君    前田 義雄君       松田 鐵藏君    山口 好一君       實川 清之君    日野 吉夫君       田中幾三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 五月二十九日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として三  鍋義三君が議長の指名委員に選任された。 同月三十日  委員松田鐵藏君及び兒玉末男辞任につき、そ  の補欠として松浦東介君及び楢崎弥之助君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員松浦東介君及び楢崎弥之助辞任につき、  その補欠として松田鐵藏君及び兒玉末男君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  水資源開発促進法案内閣提出第一九八号)  水資源開発公団法案内閣提出第一九九号)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  この際申し上げますが、去る二十六日の委員会における瀬戸山委員の発言中、不適当と思われる個所がありますので、委員長において適当に処理することにいたします。  水資源開発促進法案並びに水資源開発公団法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇野宗佑君。
  3. 宇野宗佑

    宇野委員 企画庁長官お尋ねいたします。  過般も全般について御質問申し上げまして、その御答弁によって大体概要は承ったのでございますが、なお数点に関し、もう少しくはっきりした御答弁を賜わりたい、こういうふうに思いますので、ごく要点をしぼりまして簡潔に質問いたしたいと思いますので、御答弁もでき得べくんば明瞭にして簡潔なる御答弁を賜わりたい、かように存ずる次第でございます。  まず第一番目は、この促進法でございますが、こうした促進法目的あるいはまた基本計画、こうしたことをながめさしていただきますと、これから水資源を大いに開発して促進しよう、それについては公団を設立して、その業務を運営さしていこうというからには、当然水源地におけるところ水源保全涵養及び用水確保ということもまたこの基本計画の中に織り込まれてなければならない。われわれはさように解釈して御質問申し上げたのでございますけれども、過般の御答弁によりますと、「基本計画には、治山治水及び電源開発について十分の考慮が払われていなければならない。」という項が第四条にあるから、これで一つ御了解賜われないかということでございました。  私は、さらにもう一歩突っ込んでお話しいたしますならば、その水源培養関連する幾つかの事業あるいは付帯する幾つかの事業、これは基本計画の中にも第五条第三号の「その他水資源の総合的な開発」という言葉がございますから、この「開発」の中に当然私は織り込んでいただきたい、こういうふうに思うのでございますが、これに対します御答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
  4. 迫水久常

    迫水国務大臣 お話通り、この水資源開発促進ということの根本は、水源といいますか、水が出てくるもとを確保することでございますので、そういう意味治山治水計画は十分に注意を払わなければいけないということが法律にも書いてあります。しかし、治山治水ということと水資源涵養ということとは、大体同じと思いますけれども、若干のニュアンスが違うような気もするのでありまして、水を使う基本計画を立てます場合には、その水のもとを確保するということまでもその基本計画で考慮しなければならぬことは当然だと思います。ただ、その具体的な計画というものが治山治水の方の基本計画に入るべきものか、あるいはこの当該河川水系開発計画に入れるべきものかというのはそのときの問題だと思うのでありますが、要するに、たとえて言うならば、小河内ダムができます前の上流地域水源涵養治山治水計画と、小河内ダムというものができることが計画が立てられた後におけるその上流地域治山治水あるいは水源涵養考え方とは、当然変わってくるべき筋合いのものでございますので、従って、当該河川水系基本計画を立てます場合には、そういうことを十分に考慮して、あるいはこの基本計画の中に入れるなり、あるいは治山治水に関する基本計画の中に入れるなりして、その点はそごのないように当然配慮していく。抽象的に概念的に申しますならば、そういう問題もこの基本計画の中に入る、こう御解釈下さって間違いないと思います。
  5. 宇野宗佑

    宇野委員 今の御答弁を承りますと、水源地における水源保全涵瀁、そうした付帯あるいは関連事業は当然この基本計画の中に入れなければならない、こういうふうに思う、こういうお答えを賜わりましたので、私もその点につきましては了承いたします。  第二番目でございますが、たとえばある湖を今回の水系指定をなされて、そこに公団ができて、その水を大いに利用しようという場合には、当然その湖の水位というものが低下いたします。低下いたしました場合には、あるいはその沿岸地方の井戸水が枯渇する、伏流水が枯渇してなくなってしまう。これは湖に限らず、あるいは河川すべての問題もそうでございましょう。その場合には、具体的なお話でございますけれども、そこに簡易水道を作ってやろうじゃないかというふうな、いろんな問題が出てこようと思います。こういうのも一応今のこの事業関連する事業と思って差しつかえございませんでしょうか。
  6. 迫水久常

    迫水国務大臣 たとえば淀川水系開発計個を立てますときに、その水源であります琵琶湖の水は、現在では当然滋賀県のその周辺の方も使っておられるわけであります。今度は琵琶湖の水を京都なり大阪なり、下流地帯神戸なりの方ばかりで使うというのでは決してないのであります。たとえば琵琶湖は湖ですが、利根川の場合は湖でなしに、それぞれ上流河川になると思いますが、そういうところ方々がそれによって不利をこうむらないようにすることは当然であるばかりでなしに、その方々の将来のこと、たとえばその地域に新しく工業を起こすような考え方がある場合に、その工業用水がなくなってしまわないようにというような配慮は当然基本計画の中でしなければならない、こう考えております。
  7. 宇野宗佑

    宇野委員 ただいまは基本計画について承ったのでありますが、さすれば、この水資源開発促進法の第一条、「目的」におきましても、「水資源の総合的な開発及び利用合理化促進を図り、もって国民経済成長云々という言葉がございまするので、この条文に書かれております「総合的な開発及び利用合理化」という中には、今申されました通り基本計画水源涵瀁保全、そういうものはあるのでございますから、この中にも当然そうした目的が含まれておるんだというふうに解してよろしゅうございますか。
  8. 迫水久常

    迫水国務大臣 御質問の趣旨を素朴に解釈をいたしまして概念的にお答えをいたしますれば、今御質問通り入っておるものと考えてよろしいとお答えしていいと思います。
  9. 宇野宗佑

    宇野委員 では、続きまして公団法の第二十条についてお伺いいたしたいと思います。  二十条には、前の十九条で主務大臣実施方針をお定めになって、その実施方針に基づいて公団が一実施計画を作成」するとございますが、その際に「関係都道府県知事協議する」という言葉がございます。この「協議する」という言葉の語義について、過般もお尋ね申し上げたのでございますが、もう一度念のためにお伺いしておきたいと思います。私はこの間率直に、たとえば協議に参画しない、こういうふうなことがあったらどうされるんだと申しましたところ大臣の方は、そういう仮定の問題はここであまり触れたくない、しかし極力その方々同意を求めるようにしたいんだ、こういうふうな御答弁のように伺ったのでございますが、もう一度その点を確かめておきたいと思います。「協議する」ということはすなわち、心、まで一般的に協議とは一方的通告をもってする、それを協議と称した時代はございましたけれども、この二十条の協議はそうではなくて、イエスという答えがなかったならば当然協議は成立しないし、協議が成立しなかった場合には、実施計画にも手がつけられない、こういうふうにわれわれは解釈いたしたいと思うのでございまするが、いかがでございましょう。
  10. 迫水久常

    迫水国務大臣 協議というのは相談をしてきめるということでありまして、通告とは決して解釈いたしておりません。相談をしかけた場合に、相手が全然相談に乗らない場合はどうするかという問題は、具体的にはあるかもしれませんが、これをどこまでも追っかけていって相談する。こういうことだと思います。相談がまとまらなければ、話し合いがつかなければ、これは実施には移れない。こう御解釈願ってけっこうだと思います。
  11. 宇野宗佑

    宇野委員 その御答弁よりいたしまするのならば、協議とはすなわち同意同義語である、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  12. 迫水久常

    迫水国務大臣 協議同意というものは、私は同義語ではないと思うのであります。というのは、同意を経なければならないとかりに書きましたら、話し合いも何もしないで、不同意と言われたときには成立しないわけです。協議というのは、両方で話すということなのですから、話し合いをして妥協の成り立つ場合もありましょうし、こっちの言うことが通ることもありましょう。向こうの言うことが通ることもありましょう。両方で妥協することもあると思いますが、同意と書いたら、理由のいかんにかかわらず、不同意向こうが言ったら、それきりになってしまう。こういうことですから、そういうことでなしに、話し合いをして、そうして相談をまとめてやるというのですから、協議ということの方が確かな言葉だと思います。
  13. 宇野宗佑

    宇野委員 今のは言葉の上の解釈で、同意をどう解釈するか、協議をどう解釈するかということでございます。いろいろ解釈はございましょうが、とどのつまり、もう一度だけ念を押すといたしますならば、協議の成立しない場合は、当該計画による事業実施はできませんというのがこの「協議」でございますね。
  14. 迫水久常

    迫水国務大臣 全くその通りでありまして、相談がまとまらなければ仕事はできない、こういうことです。
  15. 宇野宗佑

    宇野委員 実施計画につきます協議につきましては、今の大臣言葉で了承いたしたいと思います。  その前に、実施方針であるとか、あるいは基本計画であるとかいったような場合には、知事意見を聴取しなければならない。意見聴取ということが促進法並びに公団法においてもうたわれておりますが、意見を聴取するというのはただ聞きっぱなしであるのか。それとも、知事さん方の意見を尊重するのか。あるいは今の協議と同様に、意見がノーであったのならば基本計画も立てられないし、実施方針も立てられないのか。この三つの区分につきまして、御所見を伺っておきたいと思います。
  16. 迫水久常

    迫水国務大臣 意見を聞くというのは、形式じゃなくて実質的な意味でありますから、意見を聞いたら、それを尊重するというのは当然だと思います。それをいろいろ気を回して、ただ意見を聞くだけでこっちの勝手にするのじゃないかというように気を回されるのは、民主主義の世の中では全然通用するものじゃなく、意見を聞いたら、必ずそれを尊重する、こう御解釈願いたいと思います。
  17. 宇野宗佑

    宇野委員 以上で終わります。
  18. 加藤高藏

  19. 前田義雄

    前田(義)委員 企画庁長官お尋ねいたしたいと思います。  前会に、宇野委員その他の委員からもお尋ねがあったことでございますが、水資源開発公団法の二十三条の規定の中に「河川法第七条の規定にかかわらず、」云々ということがあるのであります。これは「特定施設」の工事のみについて規定した事項でございまして、公団が水の占用をしようとする場合に、たとい当該特定施設新築、改築に伴い派生的に生ずるような水の占用であっても、従前の通りその地方行政庁許可がなければこれを行なうことができないものと解して差しつかえないかどうか。これは非常に重要な問題であると考えるのでありますが、これについてお答えを願いたいと存ずるのと、さらに公団新築または改築した施設利用して、公団以外のものが水を占用しようとする場合においても同様にこれを解釈していいのか。これについて長官お答えを願いたいと思います。
  20. 迫水久常

    迫水国務大臣 水利権許可につきましては、全く従来と変わりませず、都道府県知事がその権限を行なうことになっております。
  21. 前田義雄

    前田(義)委員 そうしますと、後段にお尋ねをいたしました。この公団以外のものが水を利用するという場合にも全く同様である、こういうふうに了解して差しつかえございませんか。
  22. 迫水久常

    迫水国務大臣 全く同様であると御解釈をして差しつかえございません。
  23. 前田義雄

    前田(義)委員 公団法の第二十一条の「施設管理方針」、または第二十二条の「施設管理規程」を定める場合、主務大臣または公団知事意見を徴し、または知事協議すべきであると考えるのでございますが、これに対する長官のお考えはどうでございますか。
  24. 迫水久常

    迫水国務大臣 その問題は、すなわち公団法第二十一条の「施設管理方針」、それから第二十二条の「施設管理規程」に関するそういうような問題は、実施計画協議する場合に、そういう施設管理の重要問題についても、当然知事協議することになると思います。
  25. 前田義雄

    前田(義)委員 今の御答弁で大体わかるわけですが、要するにこの実施計画を立てるときにそういうような問題は当然含まれる、こういうことでございますか。もう一ぺん……。
  26. 迫水久常

    迫水国務大臣 その通りでございます。
  27. 前田義雄

    前田(義)委員 ただいま「水資源開発公団法案に基づく政令案要旨」の内容を三十一にわたってお知らせいただいておるわけであります。そこで、この内容を直ちに吟味して十分に理解するということは非常に困難な点があるのでございますが、公団法には政令にゆだねるという事項がきわめて多いことは、この間の御答弁からも、また法案内容からもはっきりいたしておる次第でございます。この内容によりましては、あるいは都道府県知事のみならず、または都道府県に非常に関係するものが多いわけでございます。こういうものを政令で定めるにあたりましては、どこまでも都道府県知事意見を十分に聴取すべきである。ただ政令にゆだねるということだけではわれわれはわからないのでありまして、本日政令案要旨というものをお配りにはなっておりますけれども、今見たばかりで内容が十分にわからないのでございますが、十分に聴取すべきである、こういうふうに私ども考えるわけであります。この点について長官のお考え一つお聞かせ願いたいと思います。
  28. 迫水久常

    迫水国務大臣 御質問はきわめてごもっともであると考えます。この法律政令に委譲しております部分も相当に多いのでありますが、この政令をきめます場合には各関係方面意見を十分に聞きまして、当然自治省にも十分相談をしなければならぬと思いますが、私は必要があれば知事会等意見も伺ってきめるべきだと考えております。
  29. 加藤高藏

  30. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 建設大臣お尋ねをしたい事項が相当ございますが、きょうはお見えいただけない模様でございますので、その部分は明日午前の委員会に譲らしていただきたいと思います。  水資源開発促進法治山治水計画との関連について、企画庁長官お尋ねをいたしたいと思います。私ども水資源確保の問題の必要性はわかりますけれども、同時にまた、これは日本の治水計画の過程の中における水資源利用、こういうふうに理解いたしておるのでございますが、そういう理解でいいのでしょうか。
  31. 迫水久常

    迫水国務大臣 御質問を素朴にとるとその通りお答えをしていいように私は思うのですけれども、そのあとでそれをきっかけとしてどういうことを質問されるのかと思うと、簡単にその通りと答えていいのかどうか疑問に思いますが、素朴に考えるとその通りでございます。
  32. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこで、治山治水緊急措置法に基づく治山治水十カ年計画が策定されました。その計画の中で利水計画というものがどの程度のパーセンテージを占めるか、お示し願いたいと思います。
  33. 山内一郎

    山内一郎政府委員 治水十カ年計画の中に洪水調節をやるダム、こういう計画も入っておりますが、このダムとあわせまして利水襲業をやりますが、その利水の分につきましてはこの中に入っておりません。ただ、その関連しております治水関係ダム費用といたしましては、前期八百十億、後期五ヵ年計画九百六十億、合計いたしまして千七百七十億。これは治水分だけでございます。
  34. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私がお尋ねしておりますのは、緊急措置法に基づいた治山治水計画の中で、前期五ヵ年として四千億、後期五ヵ年計画として五千二百億、合わせて九千二百億の治水計画が発表されておりますね。その治水計画の中で利水部分公共投資としてどれくらい見込まれておるのか、こういうことをお尋ねいたしておるわけでございます。
  35. 山内一郎

    山内一郎政府委員 この中には先ほど申し上げましたように利水分費用は含まれておりません。
  36. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、この治水計画の中には多目的ダムが相当あると思うのでございます。この多目的ダム建設費がこの中に含まれてないとするなれは——それは当然治水の問題になっておるが、同時に利水の問題になるわけでございます。従って、そういうふうな部分は、一体どれほどかという私の質問なんでございます。そういたしますと、この治水計画の九千二百億の中にはダム建設費は含まれておらない、こういうことになるのでしょうか。
  37. 山内一郎

    山内一郎政府委員 その点は、洪水調節をやるダム、つまり治水関係多目的ダムは、この九千二百億のうちに先ほど申し上げました千七百七十億入っております。これとあわせまして利水事業——多目的ダムでございますので、洪水調節をやりながら、なお貯留しました水を工業とか上水道に使うその分の金はこの中に入っておりません、こういうことでございます。
  38. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、この開発促進法によるところダム建設の総投資額というものは、どれくらいになるという推定よりできないだろうと思うのでありますが、どれくらいの推定額というものが公共投資として出てくるんですか。
  39. 山内一郎

    山内一郎政府委員 その点につきましては、促進法に基づく審議会によりましていろいろ検討されましてできる問題でございますが、ただ、建設省として公団でやらした方がいいであろうという分は、ただいまはっきりはいたしておりませんが、まあそういう考え方を持っておる事業というものはございます。そういう関係につきましては約一千億程度でございますか、これは実際に促進法で、審議会で検討されないとわかりませんが、ただ建設省としてはそういう希望といいますか、やらした方がいいであろうという考え方を持っておるだけの分について申し上げたのであります。
  40. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この開発促進法のねらいというもの、これは私の考え方が間違いかもしれません、早合点しておるかもしれませんが、政府が出すところ公共投資によるところ治水費用投資額ですね。それに民間投資というものを相当プラスすることによって、利水計画を兼ね合わせてより多くの治水効果を上げていきたい、こういうふうなねらいも一つ含まれているのではないかというふうなことを考えて、そういう前提に立って私はいい着想だというふうに思っておるのでございます。そういうふうな民間資本動員というものが、この開発促進法によってどの程度できるのかということを私はお尋ねいたしたいと思っているのです。それが一千億程度だ、こういうふうな推定なんでしょうか。
  41. 山内一郎

    山内一郎政府委員 この治水十カ年計画に入っております多目的ダムといいますか、それの治水分治水十カ年計画に計上されております。それ以外につきましては、できるだけ借入金をやりまして、この治水十カ年の予算と合わせまして促進をしたい、この分が一千億である。ただいま考えられておるのが一千億程度である、こういうことでございます。
  42. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 その借入金というのは財政投融資からの借入金、こういうふうな意味でありますか。
  43. 曾田忠

    ○曾田政府委員 基本計画に基づきます公団事業資金源といたしましては、国の交付金等によりますほか、借入金あるいは公団債の発行というものを考えております。
  44. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 公団債というものはどういう考え方に基づいて、そしてまたどの程度資金動員というものをお考えになっていらっしゃるのですか。
  45. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。ただいまのところ基本計画は決定しておりません関係上、公団事業内容というものが明確にきまっておりません関係上、公団事業資金がどの程度必要であるかということを、まだ申し上げる段階では私はないと思っております。この公団事業実施いたします場合におきまして、工事着手前に水の利用者が特定しております場合におきましては、工事期間中に各特定されております水の利用者から費用の負担をお願いしまして、その金で工事実施するわけでございますが、今回公団を作りました目的といたしましては、工事着手前に必ずしも水の利用者が特定しておらないという場合におきましても、早急に施設建設を始めなければいけないという、いわゆる先行投資というものが今回の公団の設立の一つの大きな目的となっているわけでございます。従いまして、先行投資をする場合におきましては、先ほど申し上げましたように、水の利用者が特定しておりません関係上、公団資金源といたしましては借入金、あるいは公団債を発行いたしまして、とりあえず工事を行ないまして、利用者が特定いたしましたあとにその償還を受けるという考えでございます。
  46. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 長期経済の十カ年計画を立てておられるその十カ年計画に基づいて、大体水需要というものがどのくらいになり、そうしてそれはどの地域において特に必要なんだ、それに基づけばどの程度施設をやらなければならない、こういう計画が立って初めての開発促進法という構想が出てきたのであろうと思う。そうしますと、それに対するところ資金の導入というものは、公共投資の中でもって治水分として千七百七十億、これは先ほど河川局長がおっしゃいました。その千七百七十億というものは全国の河川に対するところの配分でありますから、そのうちの何割かが指定河川に注がれる分である。そうすると、それに対するところのプラス・アルファをもってどのような施設をやるのだ、こういうことがやはり構想の中になければ、これは経済成長十カ年計画所得倍増計画というものは具体的に図面がかかれたということにならないと思うのです。そういうふうな具体的な点についてどういう構想を持っているか。もちろんあなたの方では、これは審議会にかけなければきまらないことだ。それはその通りです。審議会にかけなければきまらないことではありますが、政府としては大体どういうふうなものを着想として持っているということがなければ、審議会にもがけようがありません。全く白紙で審議会にかけるというものでもないだろう。だから、そういうふうな図面をお教え願いたい。このように思うのでございます。
  47. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。所得倍増計画におきまする水の需要につきまして御説明申し上げますと、たとえば工業用水におきましては、昭和三十三年度の実績が毎日約二千三百九十万トン、それから四十五年度の工業用水の使用目標といたしましては毎日の使用が八千三百万トンというふうな計画がされておりまして、全体の所要事業といたしましては約四千億円程度そういう一応計画になっております。これにつきましては、各地域別に配分を考えなければいかぬと思っているわけでございますが、これは現在私の方で国土総合開発法に基づきます全国計画の案を策定中でございまして、この全国総合開発計画におきまして各地域別の水の需要量等を目下算定中でございます。また、促進法に基づきます各水系ごとの水の需要量、あるいはそれに対応いたします施設事業費というものにつきましては、いろいろ各省におきまして目下案を練っておりますので、これもできるだけ早く、早急に私の方で検討、調整を加えて参りたいと思っております。以上が現況でございます。
  48. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 抽象的でわかりにくいのでございますけれども、もう一度、これはわかりやすい表にしてわれわれにちょうだいいたしたいと思います。今すぐこの場でと言うても、私の考えているようななにとは違っているようですから、もう少しわかりやすい表をいただきたいと思います。  そこで、緊急措置法に基づくところ治水計画というものの中で、利水効果のある河川については、それを拾って利水効果を十分に発揮させていこうというふうななにのようでございますが、それじゃ、治山治水十カ年計画というものがどの程度治水効果をあげ得るものとして策定されておるのか、順序としてそれを尋ねておかぬとなんでございますので、建設大臣にお伺いしたいと思うのでございますが、建設大臣がおられないから、河川局長からお答え願いたい。あるいは次官からでもけっこうでございます。
  49. 山内一郎

    山内一郎政府委員 事業効果のあがらし方の問題ですが、洪水によりましてはんらんするであろうと思われる想定はんらん面積は、治水事業をやらない前で全国で三百十一万ヘクタール、こういうふうに考えられております。これを治水事業をやることによりまして、だんだんはんらんするところをなくしていきたい。これが事業効果でございますが、前期五ヵ年計画が完了しましたあとにおきましては、このうち二六%というものが安全になる。それから後期五ヵ年計画が完了すれば約五四%程度安全になる。こういうふうに考えられております。
  50. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それは面積だけでは少し大まかであると思うのでございます。面積と同時に人口というものもその中に織り込まれなければ、災害にどれだけの人口がおびえなければならないかということが理解しにくいのでございます。そうしますと、その治水効果のあがって安全になるという面積の中に住む人口というものは、どのくらいのパーセンテージになるのでしょうか。わかりませんでしょうか。
  51. 山内一郎

    山内一郎政府委員 人口の調査までこの中にまだいたしておりませんが、いわゆる重要な地域といいますか、人口密度の高いところからやって参りますから、面積からいえば五四%でございますが、人口の点からいけばこの数字をはるかに上回るのではないか、こういうふうに考えております。
  52. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そのことは一応理解はできるのでありますが、御準備がなければやむを得ないといたしまして、今度はそれでは、この治水計画というものは、ちょうだいしておる「建設月報」などを見ていきますと、大体やはり経済効果の大きいところというものを重点に置いて想定されておるわけで、そういうことになって参りますと、一つの川筋でありましても、なるべく経済効果の大きいところからというふうな考え方に立っていきますと、勢い経済効果の薄いものは——たとえば両岸に堤防がございます。それの改修をやっていく場合に、左側には非常に大きな工業地帯がある。だから、経済効果は大きいから、そこはどんどん強化する。右側は比較的そういうふうな大きな施設はない、経済効果は薄いということになって参りますと、左側だけを強化されて、右側のものはそのしわ寄せを受けて、勢い以前よりもより多くの水害に悩まなければならない。片一方が強化されればされるだけ、片一方の方はより多くのしわ寄せを受けてくるという現象が出てくるわけです。だから、その川筋全体を通じて、両岸を通じて行なわなければならないのであって、経済効果の薄いところの右岸の方も、あわせて関連工事として当然行なわれなければならないと思うのでございます。現在の治水対策の中には、少しそういう点に配慮が欠けておるところがあるように思うのでございますが、治水計画というものはどういうふうな基本方針に立っておやりになるのか、一つお伺いしたいと思います。
  53. 山内一郎

    山内一郎政府委員 治水事業をやる基本的な考え方といたしましては、経済効果の高いところからやるべきだと思います。ただ、そこだけ非常に強固にやった場合に、その逆の影響といいますか、かえって、ただいま言われましたようにひどくなってくる。そういうふうな個所がございますれば、経済効果の高いところと一緒にというよりも、多少おくれると思いますけれども、そういうひどい影響が出る前に手当をしたい、こういうふうに考えております。
  54. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 右岸、左岸でありますと、非常によくわかるのです。それがまた、上流、下流になると、直接としてはわかりにくい面もありますが、やっぱりそういう問題が同じように出てくると思うのです。この問題が、今水資源の供給県といいますか、そういうふうなところの団体からの意見として出てきておると思うのでございますけれども治水問題は非常に利害が輻湊する問題であるだけに、従来の日本の治水計画の立て方として、大きな経済効果のある、たとえば東京であるとか大阪であるとか、そういうところを守るのに急であると、勢い逆にそのための被害を受けていく地方が上流に出てくる。緊急十カ年計画というものも十分にそういうことを配慮して、単純な経済効果、単純な、資産を守るという考え方からでないように、今後とも配慮をしていただくことを私は特にお願いしておきたいと思います。そうしますと、現在予想されておる指定河川というものは、四河川ですか、五河川ですか。
  55. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。ただいま考えております河川の水系でございますが、これはまず利根川、淀川、あと木曾川、筑後川、そういうところ考えております。
  56. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それらの河川について、現在でもダムがございます。また、将来より多くのダムを作っていかれると思います。そうしますと、このダムの操作というものが非常に問題になる。治水利水多目的ダムという考え方はこの両方兼ね備えてやっていくのだという考え方でございますけれども、しかしながら、これはしばしば相反する場合があるのです。治水効果をあげようと思えば、ダムをからっぽにして待っておるのが一番いいわけです。だから、大雨が済んだあとはどんどん早く流してしまって、あと、からっぽにしておくというのがダム治水的な使い方です。利水的な使い方からいけば、一たん降った雨はできるだけ長く抱いていなければならない。そして、旱魃のときの用に備えていくというようにしなければならないから、勢い治水利水ということは全く競合するという考え方も成り立つわけです。そうすると、それをどのように調節していくかというのが非常に大きな問題になってくると思うのでございます。従って、ダム建設そのものの中にも、治水効果をあげる、同時に利水効果をあげていく。そうしますと、調節量というものの幅というものをできるだけ多くとらなければならないということになってくる。多くとろうとすると、勢いある程度利水面というものが制約を受けるということになってくるわけです。今度のこの促進法というものは、利水ということをまず第一に考えて、それでもってダム建設というものを考えていかれる。そうすると、その利水治水との調節をどの程度考えていくか。まず第一に利水というものを優先に考えて、ダムの運営を考えていくのか。やはり何を置いても治水が大事だ、だから治水第一で、余った水を利水に回すというお考えなのか。この根本的な考え方というものについて、企画庁長官お尋ねいたしたいと思います。
  57. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、どっちが主でどっちが従だという御質問には、なかなか答えられないのだと思います。具体的にどこの地点にどういうダムを作る、そのダムはどっちが主たる目的であり、どっちが従たる目的であるかということになるのであって、全体的にこの法律はどっちが主たる目的なのかという御質問に、総括的には答えられないのだと思います。従って、基本計画というものを作るというところが大事なのであって、その基本計画を作るときに、どこどこの地点にダムを作る、それはどっちが主たる目的で、どっちが従たる目的か、また別のところに作るダムは逆な目的をもっておるそういうことになる。基本計画の策定ということがきわめて大事で、その場合において、はっきりきめるべき問題だと思います。
  58. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは、企画庁長官としては産業方面のことも相当考えなければならぬから、そういうお答えより出ないかもしれない。しかし、私は何といっても、国を治めるものは水を治めるものだという言葉がある通り、まず治水第一主義でなければならないと思うのです。そして、その治水の方法として、やはり水量調節のためのダムという考え方に立ち、 それに立って、あわせてなるほどこれは利水にも、たまった水はいろいろな方面にも使えるというような考え方に立つべきである。また、そうでなければ、幾ら工業用水が大事だ、水が必要だ、こう言っても、それを誤って、せっかくあるところ施設を水浸しにしてしまったのでは、元も子もなくなってしまうわけでしょう。だから、何をおいても治水第一主義に運営をして、その上に立っての利水施設としての運営だ、利用だ、というふうな考え方に立つ。また、そういうふうな考え方でこの資源開発というものもやっていくのだというふうに理解しなければいけないのではないか、私はこういうふうに思うのでございます。しかしながら、この法律そのものが、これから将来の産業の開発にも、あるいはまた民生の安定、環境衛生の整備にも、水がうんと要るのだ、だから、水資源確保するのだといううたい文句で出ておりますから、その表面に出ておるとえろのうたい文句というものを見ると、ひょっとすると重点が利水に移りばしないかという懸念を持つから、こういうことを、特にこの法案の出てくる基本的な考え方というものについて確認をしておかなければいけない、こう思って、私はお尋ねをしておるわけなんです。もう一度、今のようにあいまいもことしたなにでなしに、基本的な考え方としての御意見を伺いたい。
  59. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は非常に明瞭に答弁をしたつもりなんです。もちろん一つの水系を指定して、それに対するいろいろな計画を立てていく場合に、利根川なら利根川の場合、東京あるいはその周辺に水を供給するということに重点を置き過ぎたために、関東平野全体が水浸しになるというようなだらしのないことをしたら、それは問題にならないと私は思うのです。当然治水というものは、水浸しにならないようにするということは大前提だと思うのです。そうかといって、水浸しにならないことばかり考えてやってはいけないので、どうしても水が必要だから、水が利用できるようなことも十分にその中に取り入れて考えていく。どっちが主と言えとおっしゃるのですが、どうも、どっちが主ということを言えないのじゃないでしょうか。両々相待っていくところによろしきところがあって、結局基本計画を作る場合に、運用の妙は一心に存すという東郷元帥の言葉を、その通りその場合に使ってやっていく以外にはないのではないかと私は思います。
  60. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは具体的にはダム操作の問題で出てくると思うのです。また、現在ダムの操作がまずいと思うのです。だから、ダムの操作についてはもっと研究しなければいけない。同時にまた、ダム操作についての権限を、だれが指導権を強く持つか。ある点、ダムの操作の権限が完全に治水という意味において、はっきり建設省に握られておらない。ある点、利用者側にまかされておる。だから、利用者側は、今後こういうような公団ができますと、公団法にもはっきり書いてあるが、公団知事にかわるような権限を持って川の付属施設としてのダムの運営をやっていく、それを建設大臣が「指揮する」というふうに書かれております。「指揮する」とは書かれておりますが、やはり公団にはまかされると思うのです。まかされた公団というものは、自分の事業の運営なりあるいは水資源確保ということを考えて、それを中心にしてダムの操作を考えていく場合には、治水対策としては、によったら誤りを犯すようなことがあり得ると思うのです。だから、それの指導監督の姿、あるいはそれをどのように動かしていくかというふうなことにおいて、基本的な考え方というものが非常に重要なことになってくると思うのです。だから、私はこの問題を言うわけなんです。現に私の近くのあるダムでも、これは発電用ダムであるだけに 一そうそういう現象が出てきておるのです。ダムの操作というものが、現在非常におろそかにされておる、そして、利用者にゆだねられておる、また、ゆだねられ過ぎておるというふうに私は思うのです。だから、今後公団ができて、多くのダムをほとんど公団が運営しておる、その場合に、それは水資源確保のための機関だから、勢いそういうような方向へ運営が流れていくという危険を生ずるおそれがある、こういうふうに思うから、私はこういうことを特に念を押すわけなんです。それでも、やはり相変わらずどっちともわからぬ、どっちも大事だというふうなお考えに立った運営をやっていかれると言われるのですか。
  61. 迫水久常

    迫水国務大臣 お話を承っておりまして、私もいろいろ新しい知識を得まして、これからこの法律を運営していくのに、私のところの役所は窓口になるので、そういうことについても十分配慮しなければならぬなということを非常にはっきりわからしていただいたことを感謝するわけであります。  ダムの具体的な運営の方法、たとえば今例にお引きになりましたのを私は想像するわけですが、発電会社の電力用のダム、水がどんどん出てきた場合に、あわてて水門をあけてしまって、下の方へ水をどんどん流してしまうというような操作、そういう下手なことをするものがおるから、そこら辺のダムの操作をもう少しよく考えないといかぬ。発電会社だけのことを一考えて、下流の洪水のことなんか考えないでいきなり操作するやつがおるから、もう少し操作を慎重にし正しくしなくてはいかぬ、こういうお話だと思うのであります。非常によくわかりましたから、そういう点はよく研究しまして、ダムの操作の問題をどういうふうに重点を置くかという点については、利水者の立場であるところの各省、あるいは治水者の立場の建設省とよく相談をして、ダムの操作の基準というふうなものを作らなければならぬのじゃないかということを今考えております。
  62. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 操作の基準はもちろん作っていただかなければなりませんし、そういうふうな点においての配慮をしていただかなければなりませんが、ダム操作を、完全なものというと語弊があるかもわかりませんが、ダム操作をうまくやるための施設というものが、現在日本にはなさ過ぎるのではないかと思うのです。台風の警報が気象台から出ます。しかしながら、それは必ずしも予測された方向へはきません。そしてまた、現実に降ってみなければ的確な雨量というものはわかりません。しかしながら、至るところに山の中に雨量計を備えて、暴風警報が出たり風雨警報が強く出た場合に、そこに人を配置して、今日では手軽な無電の施設もあるのですから、水防団員とかそういうふうな人たちが山へ入って、そこでもって雨量を絶えず測定しておる。その測定された雨量が一カ所にだんだん集約されて、この川の集水面積がどれだけ、そうするとここへはどれぐらいの量の水が出る。出た水は何時間でどこのダムへどれだけたまっていくかというふうなことは、電子計算機のある時代でありますから、すぐに計算が出てくると思う。そうすると、それに基づいて、このダムは予備放水して全部からにしても、あとでたまってくるというふうなこともわかるわけなんです。予備放水をどれだけの量やるべきだということをきちっと治水側から指令して、何千トンの予備放水をやれということを出すべきなのです。ところが、現在は、降ってきてたまってこなければわからない。たまってきたから、しょうがない、出す。あるいは降りそうだから、ある程度予備放水しておいた。予備放水しておいたが、どんどんたまってきて、今度あふれそうになったから、また水門をあけてしまうというようなことで、ダム操作そのものに技術的なまずさがあると思う。しかし、それは技術的なまずさというよりも、設備の不足である。設備の不足が、結局貯留し得べき水を流してしまうというようなことも出れば、あるいはまた、相当豊水になってからどんどんダムを開きますために多くの災害が起こったというふうになったりして、結局山林地帯に対するところの降雨量に対する調査、またそれの通報機関、連絡機関、そういうものが十分行なわれておらない。そのことが今日災害をより大きくしておる。なるほど、ある程度それは費用の要ることかもしれません。しかしながら、これから後、日本が水資源開発して、それでもって多くの水をできるだけ有効に使うんだという考え方に立つなれば、そういうふうな機関の常備、ということは、同時に施設を作るだけでなしに、そのダムをいかに運営するかということに対するところの機関として私は非常に重要なものであるというふうに思うのでございますが、現在そういうふうな機関が、はたしてどの程度整備されておるのか、またどういう機構によってそれが運営されておるかということを、これは河川局長からお教え願わなければならぬと思いますが御説明願いたい。
  63. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ダムの操作につきましては、ただいま先生から御指摘のありましたように、上流の雨の降り方をできるだけ早くキャッチしなければいけないということは当然でございます。ただ、ただいまのところいろいろな研究もいたしておりますが、まず雨量計を必要な山の奥に設置いたし、それを早く通報するようなことをやる。それで、雨量計の設置につきましては、できるだけ山の奥の方にやりまして、ロボット式といいますか、直ちにその通報がダムを操作する地点にいく。そういうことが現在着々と整備の段階になって、極力やっておるところであります。今後もなお、そういう点を強化いたしましてやりたいと思っております。そういうふうないろいろなダムの操作で大災害ごとにいろいろ問題が起きておりますが、そのダムのうちに二種類ある。いわゆる多目的ダムといいますか、これはどのくらいの雨がきてもいいようなスペースを洪水期にはとってあるわけであります。それから、いわゆる利水専用のダムにつきましては、そういうスペースはとっておりません。そういう点で、多目的ダム利水専用とは違うと思いますが、いずれにいたしましても、ただいま先生の御指摘のように、雨量の降り方をできるだけキャッチする。それはロボット雨量計その他いろいろなものをさらに強化して、ダムの操作の万全を期したい、こういうふうに考えております。
  64. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ロボットの雨量計というのは、一個どれくらい費用がかかるのでしょうか。それからまた、そういうふうな雨量計からの連絡というものはダム操作を握っておるという機関への連絡というふうなお話でございますが、それは地建の中のどういう機関のところでそれを把握して調整し、指令を出されるか。そういう指揮命令系統といいますか、そういうものをもう少し詳しく御説明願いたい。
  65. 山内一郎

    山内一郎政府委員 ロボット雨量計の一台の値段の問題と、現在の整備の状況は、後ほど資料として提出した一いと思いますが、利根川水系で申し上げますと、いろいろなダムが今後たくさんできて参りまして、それを一元的にコントロールしないといけないという時代になってきたのではないかと思います。ただいまは別々のダム地点にそういう地点を持っておりますが、今後の問題として一元的にやる、そういう方向に進んでおります。
  66. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それではまた明日に……。
  67. 加藤高藏

    加藤委員長 中島巖君。
  68. 中島巖

    ○中島(巖)委員 議事進行について。  委員長お尋ねいたしたいと思うのですが、先ほど私ども理事三名によりまして、参考人として四県知事を招致すること、並びに愛知用水公団の総裁もしくはわかる人を招致すること、こういうことを要求いたしたのでありますが、委員長は、明日の理事会において決定する、こういうように言われたわけであります。ごもっともな話であって、これは了承いたしますけれども、なぜこれらの知事を参考人として招致せねばならぬかという点について申し上げたいと思います。  これは河川法第六条によりまして、地方行政庁の管内にかかる河川の維持管理の規定がはっきり規定されておるわけであります。これに対しまして、今回の公団法の二十三条の各項におきまして特例を設けまして、そして河川法の体系のくずれるような規定が、言い過ぎかもしらぬが、いたしてあるわけであります。  それから第二点といたしまして、依然といたしまして知事がその他の部分河川の維持管理に当たらねばなりませんけれども、水は流れるのでありますから、この関連が非常に大事であるから聞かねばならぬというのが一点と、もう一点、政府で明らかにされましたことは、利根川、淀川、木曾川、筑後川、この四水系を明らかにいたしたわけであります。そこで、この四水系は二府県以上にまたがっておって、水源県と利用県とは利害が対立するような場面も出てくる。これはどうしても当然この関係知事を呼ぶべきである。こういう考でもって、水系ごとに、前段で申し上げた意味も含めて私どもは要求したわけであります。  従いまして、委員長はこれに対してどういうお考えを持っておるか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  69. 加藤高藏

    加藤委員長 御趣旨は十分了解いたしおりますから、明日の理事会において理事諸君の御意見をまとめて善処したいと思います。
  70. 中島巖

    ○中島(巖)委員 委員長の御意見、よくわかりました。そうしますと、明日の委員会において質疑打ち切りということはありませんね。その点お伺いいたしたいと思います。
  71. 加藤高藏

    加藤委員長 そういうことはないと思います。
  72. 中島巖

    ○中島(巖)委員 わかりました。
  73. 加藤高藏

    加藤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会