○中村国務大臣
お尋ねの点につきまして、私の承知しておりまする範囲のことを申し上げて、お答えといたしたいと思います。
大体、オリンピックの選手村をどこにするかという最初の当時、結局朝霞のキャンプ・ドレークか、あるいは明治神宮に接したワシントン。ハイツか、この二カ所以外にはあるまいということでございましたが、ワシントン・ハイツの方は
駐留軍の住宅が一ぱいにありますので、これを日本の手で移転をしてでなければ受けることは不可能である。そういたしますと、移転費が概算をしましても、八十億円くらいかかりそうである。そういう経費の捻出は非常に困難であります。そうだとすれば、朝霞のキャンプ・ドレーク以外にはないだろうということになりまして、これは現在の組織
委員会の構成されまする前に、
内閣総理大臣を会長とするオリンピック招致準備
委員会というのができまして、私もその当時
委員をしておったのでありますが、国際オリンピック
委員会、IOCに対して日本の具体的な回答書を
提出することになりました。このころ準備
委員会の
事務局が中心になりまして、相当の打診をいたしました。大体間違いなく返還を受けられる模様であるということで、朝霞のキャンプ・ドレークの地域を選手村にする、こういうことでIOCに対して回答書を送ったのでございます。その結果、招致の運動といいますか、要請をいたした結果、次期オリンピック大会は東京で開催するということにIOCで決定をされましたので、自来選手村は朝霞のキャンプ・ドレークにするということで進行をしてきておったようであります。
今回、はからずも、合同
委員会の施設小
委員会というごく
部分的な席上であったようでございますが、今御指摘のように、また新聞紙上報道されたような、回答があったようでございます。
そこで問題は、朝霞を選手村にするということで諸般の輸送計画を立て、道路計画を進めておる。これが一体どうなるかということについて、大へんなショックを受けており、世間も心配をしておるのでございます。ただ、今度の回答の中にもございますように、桃手地区というのは返してよろしい、こういうことでありまして、この桃手地区の坪数は約十万坪でございます。ローマの選手村の地域は、選手村及び選手の共同施設といったような施設がやはり十万坪以内でございまして、今回米軍側が返却してよろしいというのは、ちょうどその内外の面積に当たるわけでございます。ただ、組織
委員会としましては、オリンピック大会を盛大に、また最も有効に開催をするのには、選手村のほかに相当
規模の選手の予備運動場を必要とするというようなことで、朝霞が大
規模に返却を受けられるものという予定の上に立って、いろいろな予備運動場等の企画をしておったわけでございます。今度の回答といいますか、この間新聞紙上に発表されたことが、もし動かないものといたしますと、選手村の建設には支障ございませんが、予備運動場を作るということに支障があるということになろうかと思うのであります。そこで、これらの点につきましては、まだこの間の新聞に出ましたA地区、B地区という、B地区の方は射的場の跡でございまして、松林になっておる地域でございますから、かりに永久返還は受けられなくても、
考えようによっては、ここで相当な予備運動場施設だけはできるのではないか。一時
使用は認めてもよいということでございますから、予備運動場の設営はできるのではないか。実は私自身としては、個人的にはそう
考えております。しかし、できるならば、可能な限り大
規模なものにして、選手の訓練、予備運動等に遺憾のないようにしたいという希望から言いますと、さらにこれは折衝を続けまして、もっと広範囲の返還を受ける方がいい、受けなければなるまいというような組織
委員会の意向に今なっておるようでございます。
従いまして、けさの新聞を私も見まして、東京都は計画はその
通り進めるのだということを各建設
事務所に通達をするというような記事が出ておりました。多分これは、主催団体であります東京都といたしましては、こういうようなことで何か選手村がだめになっちゃったのではないか、あるいはオリンピックはだめじゃないかというような印象を新聞報道によって世間に与えておる。従って、
事業の
遂行上非常な支障が起こる危険性がありますので、その危険性を排除するためには、そういった通達を明らかに出しまして、やはり選手村の朝霞ということは曲げないのだということを明らかにしたいということではないかと私は思うのであります。いずれにいたしましても、ローマの選手村以上の地域の返還は確かに明示されておるのでございますから、おそらく東京都としては、八十億も百億もかかるワシントン・ハイツの移転
措置を講じて、移転跡地を使うということよりは、やはり金がかからないで、選手村の建設ができる朝霞を維持していきたい、この気持には、東京都としても組織
委員会としても変わりはないだろう、こう推察しております。
従って、今後の折衝を続けた結果、どうなるかはわかりませんが、今のオリンピック開催を目標としての選手輸送計画あるいは道路整備計画というものには何ら変化を来たさないでいくべきものである、こう私自身も心得ておるような次第でございます。