運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-04-20 第38回国会 衆議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月二十日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 山中日露史君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       大倉 三郎君    大沢 雄一君       金丸  信君    二階堂 進君       廣瀬 正雄君    岡本 隆一君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       三鍋 義三君    三宅 正一君       田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設政務次官  田村  元君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    吉兼 三郎君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 四月二十日  委員山口好一君辞任につき、その補欠として大  高康君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十五日  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八二号)(予) 同日  主要地方道飯田下呂線国道編入に関する請願  (増田甲子七君紹介)(第二六七二号)  最上川流域直轄改良工事施行に関する請願(  牧野寛索紹介)(第二七二五号)  県道中上左沢線及び月山沢中上線主要県道指  定に関する請願牧野寛索紹介)(第二七二  六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八二号)(予)  公共用地取得に関する特別措置法案内閣提  出第一七九号)  防災建築街造成法案内閣提出第一三六号)  公共施設整備に関連する市街地改造に関す  る法律案内閣提出第五九号)(予)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  去る十五日予備審査のため付託になりました建築基準法の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。
  3. 加藤高藏

    加藤委員長 提案理由説明を聴取いたします。  田村建設政務次官
  4. 田村元

    田村政府委員 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  御承知の通り建築基準法は、建築物敷地構造、設備及び用途に関する最低の水準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護をはかり、もって公共の福祉の増進に資することを目的として昭和二士五年に制定され、数次の改正を経て今日に至っております。しかしながら、近年における人口の著しい都市集中に伴う市街地における建築物の密集と自動車交通激増等社会情勢の変化に伴い種々実情に沿わない面も生じて参りましたので、今回同法施行の実績に徴して慎重なる検討を加え、所要改正をいたそうとするものであります。  今回の改正の主要な事項は、次の通りであります。  第一に、市街地整備改善をはかるため、建築物に関する制限特例を設けたことであります。  すなわち、建設大臣都市計画市街地整備改善をはかるため必要があると認める場合において、防災建築街区、住宅改良地区その他建築物及びその敷地整備が行なわれる地区または街区について指定する特定街区におきましては、建築物延べ面積敷地面積に対する割合、高さ及び壁面の位置についてその街区の整備を主眼とする規制を行ない、そのかわりに従来実施しております建築物の建蔽率、高さ等に関する制限規定適用しないこととし、その街区の整備改善に関する制限合理化をはかることといたしました。  第二に、自動車車庫及び自動車修理工場に関する規定整備したことであります。  自家用の自動車等を格納する小規模自動車車庫に対する防火上の構造制限の一部を緩和し、また、自動車修理工場につきましては、自動車交通の発達に伴い、同業地域内に建築できる規模の限度を若干引き上げることといたしました。  第三に、特殊建築物防火に関する規定整備したことであります。  すなわち最近の災害例にかんがみ、キャバレー等の用に供する建築物または自動車修理工場の用に供する建築物一定規模以上のものについて、防火上の構造制限を強化することといたしました。  第四に、違反防止措置を強化したことであります。  法令に違反することが明らかな工事中の建築物について確実に工事を中止させるため、一定の場合に工事従事者に対しても作業の停止を命ずることができることとし、違反防止措置に遺憾なきを期することといたしました。  第五に、建築協定に関する規定整備したことであります。  すなわち、住宅地としての環境または商店街としての利便を高度に維持増進するためには、現行協定事項のみでは不十分でありますので、建築物用途についての基準を協定することができることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でございますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。      ————◇—————
  5. 加藤高藏

    加藤委員長 次に、公共用地取得に関する特別措置法案議題といたします。  政府当局より補足説明をいたしたい旨の申し出がありますので、これを許します。  關盛計画局長
  6. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま議題となりました公共用地取得に関する特別措置法案につきまして、逐条説明を申し上げます。  第一条は、この法律目的を定めたものでございます。公共用地取得に関する特別措置として土地収用法特例その他所要事項規定することによりまして、公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する事業を円滑に遂行できるようにするとともに、あわせてこれらの事業に必要な土地等取得に伴う損失の適正な補償を確保することを目的としております。  第二条は、この法律規定する特別措置適用を受ける事業について定めたものでありまして、現行法土地等収用または使用することができることとされている事業のうち、特に緊急かつ重要なものを本条の各号に限定して列挙し、さらにこれらのうちから個々の事業について具体的に建設大臣認定いたしましたものについてのみ特別措置適用を受けることといたしており、この法律におきましては、便宜上これらの適用事業特定公共事業と称しております。  第一号には、現在公共投資において最も重点を置かれております道路法による道路のうち特に重要性の高いものを掲げております。  第二号は、目下その建設を急がれております東海道新幹線その他日本国有鉄道の主要な幹線を取り上げたものであります。  第三号は、国際空港に限って掲げたものであります。  第四号は、大都市における交通の混雑がすでに飽和状態に達している現状にかんがみ、その緩和を目的とする主要な道路鉄道等交通施設を取り上げたものであります。  第五号では、大都市の区域内における電話に対する著しい需給の逼迫を緩和するための主要な施設及び全国主要地を結ぶ通信網整備のため必要な主要施設について規定しております。  第六号では、国土保全のためその影響するところの大きい治水施設と、上水、工業用水灌漑用水等の不足を緊急に緩和するための大規模利水施設を取り上げております。  第七号は、今後ますます激増することが予想される嘱力需要を充足させるために必要な発送変電施設で主要なものを掲げたのであります。  第八号は、以上の各事業施行するにあたりまして欠くことのできない工業用施設等規定したものであります。  第三条は、第一項におきまして、特定公共事業認定を受けようとする起業者に、その事業について地元住民等協力を得るために、これらの者に対して、事前にPRを行なうべき義務を課したものでございます。また第二項では、この事業用地収得について関係地方公共団体の長の協力義務規定しております。  第四条は、特定公共事業認定申請について規定したものでありまして、現行土地収用法による事業認定申請の場合とほぼ同様でありますが、新たに前条の規定によって行なった説明等経過説明書添付させることとしております。また、添付書類のうち行政機関等意見書添付につきましては、現行土地収用法において、相当な期間を経過しても得られなかったときに免責しておりますのを、三週間を経過しても得られなかったときに免責するものといたしまして、期限を明確にしております。  第五条におきましては、特定公共事業認定申請する場合の手数料について規定いたしております。  第六条におきましては、特定公共事業認定申請書の欠陥の補正及び却下につきまして、現行土地収用法とほぼ同様の規定を置いております。  第七条は、特定公共事業認定要件についての規定でございますが、現行土地収用法による事業認定要件よりも、その認定要件が加重されておりまして、単なる公益性の判断にとどまらず、その事業公共性の高いものであり、かつ緊急性を有するものであるかどうかを判断することとしております。また、建設大臣認定するにあたりましては、慎重を期するため、新たに建設省に置くことといたしました公共用地審議会の議を経なければならないことといたしております。  第八条は、特定公共事業認定手続につきまして、土地収用法規定を準用したものであります。  第九条は、市町村長が行なうべきものとされております特定公共事業認定申請書縦覧等手続を怠ったときには、都道府県知事がかわってその手続を行なうことができる旨を定めたものであります。  第十条は、建設大臣特定公共事業認定をした後の手続及びその効力につきまして規定しております。  第十一条は、建設大臣特定公共事業認定を拒否したときには起業者に通知する旨を規定したものであります。  第十二条は、特定公共事業認定土地収用法による事業認定との関係規定したものでありまして、第一項におきましては、特定公共事業認定があったときは、土地収用法による事業認定があったものとみなして、あらためて土地収用法による事業認定は要しないことといたしております。また、第二項におきましては、土地収用法による事業認定効力を失ったときには、特定公共事業認定効力を失うこととしております。  第十三条は、現行土地収用法におきまして、事業認定の告示があった日から三年以内に土地細目公告申請をしなかったときには事業認定が失効する旨を定めておりますが、特定公共事業につきましては、緊急に施行する必要があることにかんがみまして、この有効期間を一年に短縮したものであります。  第十四条は、現行土地収用法におきまして、あっせん継続中の場合には、一定期間土地細目公告申請ができない建前となっているのでありますが、特定公共事業につきましては、事業認定有効期限が迫ってきたときには、あっせん継続中であっても土地細目公告申請ができることを定めたものであります。  第十五条におきましては、特定公共事業にかかる土地調書または物件調書の作成のための立ち入りが拒まれ、または妨げられた場合の起業者免責について規定しております。  第十六条は、現行土地収用法におきまして、土地細目公告があった日から一年以内に裁決申請をしなかったときは土地細目公告が失効する旨を定めておりますが、特定公共事業につきましては、緊急に施行する必要があることにかんがみ、この有効期間を六カ月に短縮したものであります。  第十七条は、第十五条の規定により免責された場合におきまして、裁決申請書記載事項につきましても、同様の免責規定を置いたものであります。  第十八条は、市町村長が行なうべきものとされております特定公共事業にかかる裁決申請井縦覧等手続を怠ったときには、都道府県知事がかわってその手続を行なうことができる旨を定めたものであります。  第十九条は、特定公共事業にかかる裁決を却下する場合の土地収用法の読みかえ規定であります。  第二十条及び第二十一条におきましては、緊急裁決について規定しております。すなわち、第二十条は、特定公共事業にかかる収用または使用裁決が遅延することによりまして下業施行に支障を及ぼすことのないよう、そのおそれがあるときには損失補償に関する事項でまだ審理を尽くしていないものがある場合であっても、緊急裁決をすることができる旨を規程したものであります。  また、第二十一条におきましては、緊急裁決をいたします場合には、損失補償をすべきものと認められる限りは審理を尽くしていないものについても概算見積もりによる仮補償金を定めなければならない旨を規定しております。  第二十二条におきましては、緊急裁決にかかる土地にある物件につきまして、その所有者側から物件収用請求を認めることといたしております。  第二十三条は、緊急裁決にかかる土地に居住している者が移転するに際して仮住居を必要とするときには、収用委員会に対して仮住居提供要求を認める制度規定したものであります。  第二十四条は、前二条に規定いたしました物件収用請求及び仮住居提供要求をする期限等を定めたものであります。  第二十五条におきましては、被補償者権利保護に万全を期するため、緊急裁決をするときには、あらかじめ、収用後または使用後においても補償金額を適正に算定できるように必要な調査をすることを収用委員会義務づけております。  第二十六条は、緊急裁決をしようとする場合におきまして、起業者損失補償義務履行を確保するため、収用委員会が必要と認めるときには、起業者担保提供する義務を課することとした規定であります。  第二十七条は、収用または使用効果発生等につきましては、緊急裁決において定められた仮補償金が、現行土地収用法による裁決にかかる補償金と同様の性質を持つものとみなした規定であります。  第二十八条は、第二十六条に規定する担保供託方法について規定しております。  第二十九条は、第二十三条に規定する仮住居提供に関し所要事項を定めたものであります。  第三十条におきましては、補償金額等を確定させる補償裁決遅滞なく行なうべきこと及びその効果について規定しております。  第三十一条は、残地収用または使用にかわる収用の場合における補償額算定の時期を定めたものであります。  第三十二条は、担保物権目的となっていた土地等に対する補償として仮補償金を受けている場合に、被補償者補償金にかえて現物給付要求をするときは、抵当権者等の同意を要する旨を規定したものであります。  第三十三条は、補償裁決で定められた補償金額緊急裁決で定められた仮補償金の額とに差額があるとき等におきましては、利息を付して清算すべき旨を規定しております。  第三十四条では、補償裁決におきましては、清算金等の額及び補償裁決で定められた事項履行期限をあわせて定めるべき旨を規定し、また起業者義務履行遅滞の場合の過怠金を定めることができる旨を規定しております。  第三十五条は、担保物権目的物収用され、または使用された場合には、清算金に対しても物上代位を認める旨を定めたものであります。  第三十六条は、補償裁決で定められた現物給付と被補償者が支払うべき清算金及び利息の支払いとの間に、同時履行の抗弁を認めたものであります。  第三十七条は、補償裁決に対して訴えの提起がないときにおきましては、その裁決債務名義といたしまして、清算金等に関して強制執行ができることとした規定であります。  第三十八条におきましては、収用委員会が、特定公共事業にかかる被補償者要求に基づき、建物または建物賃借権をもって損失補償すべき旨の裁決ができる制度を創設しております。  第三十九条では、すでに土地収用法による事業認定を受けている事業または都市計画事業について特定公共事業認定を受けようとする場合の手続または特定公共事業認定を受けた場合における事業認定等有効期間等につきましての特例を設けております。  第四十条におきましては、都市計画事業であって特定公共事業となったものについての収用裁決につきまして都市計画法特例を設け、裁決事項のすべてを収用委員会裁決により定めるものといたしております。  第四十一条では、特定公共事業につきましては、緊急裁決制度を設けたことにかんがみまして、現行土地収用法緊急使用規定適用しないこととしております。  第四十二条におきましては、物件の逆収用請求にかかる裁決に関して訴願することができるものとし、また、緊急裁決において仮補償金その他未確定とされた事項については、まだ収用委員会審理が継続しておりますので損失補償に関する訴を提起することができない旨を規定しております。  第四十三条及び第四十四条は、この法律またはこの法律に基づく命令の規定による期間の計算及び通知の方法並びに手続承継等につきまして、土地収用法該当規定を準用することといたしております。  第四十五条は、この法律の諸規定が、土地のみならず、借地権等権利建物等物件あるいは土石砂れき収用または使用につきましても準用されることを定めたものであります。  第四十六条は、特定公共事業に必要な土地等提供する者から現物給付要求があり、かつ、その要求が妥当であるときには、事業施行者にその要求の実視の努力義務を課した規定であります。  第四十七条は、いわゆる生活再建対策について所要事項を定めたものでございます。  すなわち、特定公共事業に関する限り、土地等提供によって生活の基礎を失うこととなる者は、土地もしくは建物取得、職業の紹介指導等またはやむを得ず環境不良の土地に転居した場合の環境整備に関する措置あっせん都道府県知事申し出ることができるものとしております。また、都道府県知事は、その申し出が妥当であるときには、関係者協議の上生活再建計画を作成するものとし、事業施行者にはこれに基づく現物給付等実施義務を、また、国及び地方公共団体にはその計画実施努力義務を、それぞれ課することといたしております。  第四十八条及び第四十九条は、さきにも申し上げました公共用地審議会につきまして所要事項を定めたものでございまして、その任務の重要性にかんがみ、委員任命方法には特に留意し、内閣の承認を得ることといたしております。  第五十条は、この法律実施に関する必要事項を政令に委任する規定であります。  附則の第一項は、この法律施行期日に関する規定であります。  第二項では、公共用地審議会設置に関連して建設省設置法の一部を改正し、特に本年度中に限り、同審議会において公共用地収得に伴う損失補償基準その他公共用地収得制度に関する重要事項調査審議等ができるように規定しております。  以上、公共用地取得に関する特別措置法案につきまして、条を追って御説明申し上げた次第であります。      ————◇—————
  7. 加藤高藏

    加藤委員長 次に、防災建築街造成法案及び公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律案の両案を一括議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。  石川次夫君。
  8. 石川次夫

    石川委員 市街地改造法防災街区の造成法に非常に密接な関係のある記事が、昨日の各新聞に一せいに出ておりまして、このことについて緊急に一つ建設大臣の所見を伺っておきたいと思います。  これは御存じだと思いますけれども、東京産業集中と、それに伴う交通住宅が非常に難渋をきわめておるということに対処いたしまして、東京都が中心となって首都圏整備計画というものを練り直さなければならぬ、十年計画でその計画を練り直すというこの考え方は、われわれとしても非常に賛成であります。非常に短かい目でこの計画をその場つなぎでやっていくということについては、われわれとしても相当批判を持っておった次第でございますから、このこと自体についてはわれわれとして、もろ手をあげて賛成いたします。ただ、この内容について、いろいろいわれておりますけれども、すでに二十六日から副知事が、アメリカ、西ドイツあるいはスイスなどの金融機関打診をいたしまして、外債募集についての具体的な交渉を始めるという記事が載っているわけであります。これについて、建設省の方に何か御相談があったかどうかということを伺いたい。
  9. 中村梅吉

    中村国務大臣 私も実は新聞記事を見まして、東京都の鈴木副知事が外遊をされるにあたりまして、今御指摘のような外債打診をされるということを見たのでございますが、まだ建設省の方には、東京都からは具体的に何らの協議もございません。私の方から至急に、折を見て、その考え方等を確かめてみたいと思っておりましたやさきでございまして、まだ事情を存じていないような次第でございます。
  10. 石川次夫

    石川委員 これは各新聞に出ておりますけれども、朝日新聞によりますと、知事の話といたしまして、「いろんな方面から外債募集をすべきだという声があり、私も募集すべきだと思う。政府外債募集については積極的だし、保証も得られると思う。」というような記事が出ておるわけです。これはしかし、建設省に何らの話もなしにこういう意見が堂々と発表されるということについては、私、問題があると思います。この点について建設大臣の御意見を伺いたい。
  11. 中村梅吉

    中村国務大臣 それだけの記事が各紙に載るようなことから見まして、多分、副知事知事が、何か機会のあった際にそういった考え方を明らかにしたんだと思います。建設省としましては、もちろんこの東京都の道路事情あるいは地下鉄その他促進をされることには異存はないわけで、主として東京都内東京都が有力団体でございますし、東京都が中心実施機関になっておりますので、そのこと自体には私ども異存はございません。そこまで公表されるについては、こちらよりも、むしろ外債等の面接の関係のあります大蔵省には、多分、内々話をしておるのではないかと思います。まだ私の方でもその程度の段階でございまして、至急実情を確かめたいと思っておりますような次第でございます。
  12. 石川次夫

    石川委員 大蔵省の方に話があったかどうか知りませんけれども、肝心な建設省の方と密接な関係がなしにこういう意見が公表されるということは、今後悪い前例となるのではないかというような気がいたしますので、その点は厳重に御交渉願いたい。  それから、外債募集されればということで、今お話があったような地下鉄あるいは高速道路ということについて、東京都が、自分のことでありますから、緊急に対策を立てたいという気持はわかります。そのための外債募集という気持もわかりますが、この中に港湾埋め立て事業ということが書いてあるわけです。港湾埋め立て事業をやるとかやらぬとかということは、東京自体の問題というよりは、これは建設省としても重大な問題になる。従って、この港湾埋め立てを前提とするような外債募集ということになると、これはゆゆしい問題になる、われわれとしてはこう考えざるを得ないわけであります。ということは、この市街地改造法にも密接な関係があるわけでございますが、東京都の人口集中に対処するための対策として、その一環として市街地改造法案というものが出ておりますが、この市街地改造法だけで解決のできる問題ではございません。従って、これに対しましては、どういうふうにするかという根本的な対策を、この委員会としても、あるいはまた建設省としても、十分に、緊急に検討しなければならぬ。こう考えるわけなんで、その一つとしては、一口に遷都という言葉が使われておりますが、東京都を移さなければならぬという意見も、最近は熾烈に出ておる。ところが一方では、東京湾を埋め立てるという案も、産業会議あたりでもって提案されておるわけです。この二つの案は同時には成り立たない、こう常識的にも考えられる。  そうすると、外債募集をして埋め立てすることを前提とするという考え方を、東京都が東京都だけの立場でもってきめてしまうということについては、非常に大きな問題があとに残されるのじゃないか、こう考えるわけです。従って、外債募集するといたしましても、そのこと自体についても、大蔵省だけとの交渉じゃなくて、根本的には建設省との了解、十分なる連絡というものがあってしかるべきだと思うのでございます。その外債募集の前提条件として港湾埋め立てということが入りますと、これは内閣としても、またわれわれとしても、おいそれと納得はできない。十分に検討を要する問題がたくさん残されておるというふうに考えるわけでございますけれども、この点について一つ建設大臣意見を伺いたいと思います。
  13. 中村梅吉

    中村国務大臣 私も注意して新聞の報道するところを読みました。その中に港湾埋め立てということがありましたが、実は東京湾の埋め立てにつきましては、世間にもいろいろな議論があります。私どもの基本的な考え方を率直に申し上げますと、御承知の通り東京への過度の人口集中ということについては、いかにして過度の人口集中を排除して、東京を正常な都市として建設をはかっていくかということで、首都圏整備法がしかれて以来、重大な懸案として事業を続けてきておる次第でございます。従いまして、私の考えを率直に申しますと、東京湾を埋め立てるということは、経済効果の上からは相当の価値があるかもしれませんが、東京湾を埋め立てることによって過度の集中を一そう強くするような傾向の埋め立て開発は、私どもは実は考え方としては反対でございます。もし、東京湾を埋め立てるとするならば、東京港という重要な港湾整備いたしまして、港湾としての整備を十分にはかる。また同時に、その港湾整備に伴いまして、港湾に必要な施設の用地を埋め立てるということであるならば、これは意味はわかるのでございますが、東京に近接したところへ大規模埋め立てをいたしまして、過度の人口集中をさらに強めるような行き方には、われわれとしては考え方としては反対の考えを持っておるわけでございます。もし、東京湾を経済効果を見ながら開発をするとするならば、東京の既成市街地と離れたところ、たとえて申しますれば千葉の五井のようなところが埋め立てられて、そして別の市街地として、あるいは別の工場地帯として生まれていくならば、これはいいと思うのでありますが、東京の既成市街地に近接したところに、さらに過度の人口集中を招くような開発は、現状においてすべきではないのじゃないか。実は、かような考え方を持っておるわけでございます、従いまして、今後東京都が、東京港の埋め立て開発等をはかろうとする場合におきましては、われわれ建設省及び首都圏の整備委員会等といたしましては、この考え方に立ちまして、東京都と十分に意見の調整をはかって参りたい、こう考えておるような次第でございます。
  14. 石川次夫

    石川委員 今の大臣の御意見を伺いまして、われわれとしても共鳴するところが多いわけでございます。東京湾を埋め立てますと、過度の集中をさらに醸成をするという結果になるということは、われわれ非常に懸念をいたしております。経済効果の点は別といたしましても、この点だけからいっても、どうもこの計画については非常にわれわれは疑問を感じておるわけです。百キロあるいは百マイル以上のところに人口集中して、しかも、その人口が、何らかの要件でもって東京集中するという前提なしの、そういう分散計画を立てなければ、東京はこれ以上人口がふえ、車がふえるということになったのでは、市街地改造法程度の法案ではどうしても根本的な解決ができない、こう考えざるを得ない。港湾埋め立てるということを前提として、鈴木副知事が外国へ行きまして、外債募集を交渉するということについては、厳重な警告というよりは、絶対にそういう前提でやってもらっては困るという意思表示を、当然建設省としては行なうべきではないか、こう考えるわけです。  それと、あと一つ確かめたいのは、外債募集について大蔵省の方とは交渉があったかもしれぬというふうな御答弁がありましたけれども、もしそうだとすると、これまた非常におかしいことではないか。いろんな内容を含めて外債募集をやっているのだろうと思います。ただ単純に、東京都が困るから外債募集してくるのだということで大蔵省と話をしているのじゃないと思うのです。おそらくはその前提として、内容についていろいろと折衝をしていると思う。そういう内容について、大蔵省が一人でのみ込んで、自分の独断でそういう了解を与えるということになりますと、建設省の存在いずこにありや、こういうことにもなりかねないと思うのです。こういう点については、一つ大蔵省の方とも厳重に折衝をして、場合によっては大蔵省の担当者を呼んで、ここで一つ究明をしなければならぬ、こう考えるわけなんです。この点について、建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  15. 中村梅吉

    中村国務大臣 その記事の様子から見ましても、多分、外債募集してくるというのではなくて、機運を打診してこようという程度に私も受け取ったのであります。そういう機運があるのか、可能性があるかないかというようなことを打診をしてきて、その上で具体的に関係各省と東京都は協議すればいい、というような考え方ではないかと思うのであります。  しかし、いずれにいたしましても、ただいま御指摘のありましたように、われわれの方としましては重要な関連がありますので、とくと連絡をとりまして、意のあるところを確かめてみたい。そうして、もしその考え方にあやまちがあるならば、是正をさせるように善処いたしたいと思っております。
  16. 加藤高藏

    加藤委員長 岡本隆一君。
  17. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この前に引き続いて、市街地改造法案についてお尋ねいたして参りたいと思います。前会は、この法案の総論的な事柄について、第一章についてお尋ねいたしましたので、きょうは各論的な問題について、第二章、ことに第二節からお尋ねしてみたいと思います。  第二節の事業計画及び管理処分計画のところでございますけれども、もう一度、局長の方から、この計画の設定、それからそれの進め方というふうなものについて、具体的にわかりやすく説明をしていただきたいのです。
  18. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、前会にお手元に市街地改造事業手続一覧という印刷物をお配りいたしておきました。これがお手元にありましたら、これによって、この法律の主要な事項に触れまして御説明申し上げました方がおわかりがいいかと思います。  ただいまお手元にございます段取りにつきましては、市街地改造事業実施にあたりましては、この法律の第三条、第四条の規定によりまして市街地改造に関する都市計画の決定が行なわれまして、それから第五条の規定による市街地改造事業についての都市計画事業決定が行なわれるというところまでが、大体においてこの第一章の関係でございます。  それで、第二章の第二節の十八条以下が事業計画の決定、認可及び公告からずっと順序を経て移るわけでございまして、十八条が、ただいまの都市計画事業決定で定められましたものについて、具体的に事業実施に関する細目を定めていくのが事業計画の決定、こういうことになるわけでございます。従って、事業計画におきましては、施行者でありますとか、あるいは年度割でありますとか、設計とか財政計画、こういったようなことがそのおもなる内容でございます。すなわち十九条にそのような規定を掲げておるわけでございまして、それを二十条の規定によって事業計画公告する。その公告がありましたときに、第二十一条の規定によって、施行地区内の土地の所有者、その他の関係権利者が、新しくできますところの建物を譲り受ける、あるいは賃借りをしたいという希望を申し出ることができるようになるわけでございます。その場合に、第二十一条にありますように、事業計画公告の日から三十日以内に、施行者から、「当該土地、借地権又は建築物の対償に代えて、」でありますからして、従前の関係権利の価額に対応するものでございますが、譲り受ける内容は施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有持ち分、すなわち新しくでき上がりますところの建築物の占用地と、それから廊下、階段等というふうな共用部分及びその建物が乗っかっております敷地の共有持ち分、これだけを一括して譲り受ける。それからまた、その一部について賃借りをするという希望を申し出る、というのが二十一条の第二項に書いてあるわけでございます。  このようにして、譲り受け希望なり、賃借り希望の申し出がありますと、そこで、第二十三条によって、施行者が管理処分計画というものを定めるわけでございます。この管理処分計画は、希望者の範囲がこのようにしてわかりますので、第二十三条各号に列記しております現実にその人たちが入る建物の各人持ちの配置設計、それから建物の概算額、あるいは賃借りする人の部屋、それから第七号におきましては、さらに従前の関係権利者以外の人に譲り渡すところの保留床の部分を合わせて管理処分計画の内容として定める。そしてそれを、手続上は第二十九条の規定によって縦覧をする、こういう形になっていくわけでございます。  その重要な管理処分計画がどのような基準で作らるべきかということは、法律の第二十四条、第二十五条というところが、このおもなる管理処分計画の基本となるところでございます。市街地改造事業によってでき上がりますところの建物は、二十四条にありますように、「災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善する」、そして、この建築施設の合理的利用をはかるように定めるということが基準でございまして、第二十五条以下には、それぞれ譲り受け希望者なり、賃借り希望者の申し出によって建物を与える内容を定めまして、特に二十五条第二項におきましては、従前の施行地区内に関係権利者の持っておりました建物なり土地等の位置あるいは環境、利用状況に照応する新建築物に床面積なりあるいは階層別の部分を与えるということを規定いたしたのでございまして、お互いに関係権利者相互間の不均衡のないようにも定めなければならないということが、二十五条の二項に書いてあるわけでございます。  そのようにいたしまして、関係権利者に与えらるべき管理処分計画ができますと、それを縦覧をいたしまして、そして、その一定の縦覧期間中に意見が出てきた場合におきましては、第二十九条の二項なり、三項によりまして、審査委員意見を聞きまして処理をいたしまして、そして最後に、三十条によりまして、管理処分計画が定まりますとそれを公告、通知をする。このことによって、譲り受け権者、賃借り権者の地位というものは確定をする。こういうことが第二節の事項の内容でございます。
  19. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、この事業計画を決定するのにあたりまして、大体一区画一工区ということが出ておりますが、その施行地区、工区というふうなものの規模は、面積と事業金額でどの程度のものを考えておられるか。
  20. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお話は、実は第一車の部分になるわけでございまして、第一章の第三条と第四条が要するに市街地改造事業を行なうべき区域の範囲を決定する要件になっております。従って、これらを通覧いたしましてごらんの通りに、第四条第二号におきまして、「公共施設整備によって生ずる空間の有効な利用及び建築物相互間の開放性の確保を考慮して、」建築物がその区域にふさわしい高度利用形態となるような用途構成なり階層を持ったものでなければならないということで、建築物の質、高さを一応書いてございます。  お尋ねの点に直接該当しておりますのは三号で、「前号の高度利用形態に適合した適正な街区が形成されるように定められること。」、こういうことになっております。すでに都市計画で、重要な公共施設としての道路というものの都市計画が先に定められておるわけでございますから、その道路と接続いたします奥行きはどのくらいの街区であるかというお尋ねに帰するわけでございまして、街区と申しておりますのは、区画街路でもって仕切られましたところの一つの街区です。ですから、奥行き四十メートルないし五十メートル、こういうものが一つの標準的な街区の奥行きだ、こういうふうに都市計画上、設計の基準に用いております。もとより、これは地形の関係とか、あるいはまた場所によりまして、五十メートル、四十メートルというものが前後をして、短縮する場合もあると思いますけれども、要するに、区画街路によって仕切られた一つの街区というものを考えておるわけでございます。それが第三条の各号列記の要件を具備しておるところについてでなければならないことはもとよりでございますが、そのような要件の部分について、都市計画市街地改造事業を決定いたす。そうすれば事業計画がその範囲において行なわれる。こういう形になるというふうに御理解願いたいと思います。
  21. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 相当まとまった事業になってくると思いますが、その財源、それは各施行者によって違って参りますけれども、施行者別に、国でやる場合にはどうなる、府県でやる場合にはどうなる、あるいは市町村でやる場合にはどうなるというふうな点について、もう少し詳しく御説明願いたい。
  22. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この事業は、現実には地方公共団体、三十六年度で考えておりますのは、大都市の存する府県なり、それから五大市関係が多いと思います。これらが事業実施いたします場合には、公共施設整備がまずその内容の根幹になっておりますので、所要道路整備費からまず金を出す。これが国費として出ますので、この分が施行者の直接の収入になるわけでございます。  そこで、この事業の要点は、先ほど譲り受け権のところで申し上げましたように、でき上がった土地建物関係権利者に給付いたしますので、その過程におきましては、当然その関係権利者は新しい建造物の中に入るということになりますので、権利取得するときに、まず補償金を払うというやり方でなくて、譲り受け権を設定するというやり方をとっております。従って、個人との間におきましては、でき上がった経費を見込みまして、買い取りの場合の時価の補償金の額と清算する、こういうやり方になっております。そして、この事業を、今の体制において考えておりますのは、裏宅地の土地というものは、でき上がったあとにおいては前面の土地になる、道路に面する土地になるわけでございますから、この事業実施する直前の価額よりは、この事業実施した後においては、評価でもって評価益というものが考えられるわけでございます。時価の差額というものが考えられる。従って、その市街地改造事業実施するときに評価されたものと、実施後における土地の評価差額というものが、裏宅地に存する家屋その他の権利の買収費の額とほぼ同様である、こういうときには、この事業はその他の補助金なしに一応事業ができる、こういう形になるわけでございます。すなわち道路の前面、道路用地となるところにつきましては、これは全部買収をしてしまいますから、そこで、裏宅地の部分につきましては、これは建前といたしまして譲り受け権を全部設定するという場合には、建前上一応現金は要らないことになります。かりに必要があったといたしましても、それは運転資金である。その運転資金につきましては、別途準備をすることはあとから申し上げますが、前面の用地は全部買い上げてしまう。今度、裏の方につきましては、一応市街地改造事業実施するときに、用地を評価いたしました価額と、それから改造事業実施後における、土地等の評価の間におきましては、必ず評価の差額というものがあるわけでございます。その差額が家屋その他の物件を購入した経費を上回っている場合におきましては、特別の引き当て財源というものは要らないということになるわけでございます。そこで、当面の運転資金というものは、道路整備の財源、それと、住宅部分につきましては、中高層の融資、それからまた事務所、店舗その他の部分を建築する場合におきましては、地方債を準備いたしておりまして、それによってこの事業の達成に必要な資金を確保する。従って、現在のところ、そういう形でこの事業実施することによって、緊急に整備を必要とするところは、いずれも繁華街の、しかもその町なら町に限られた特定の場所しかないというところでございますので、そのような資金繰りと引き当て財源の考え方でこの事業実施していこう、こういう考え方でございます。
  23. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 以前に色刷りの図をいただきました。この図について見て参りますと、この公共用地として使用される部分の土地取得費というものは、建物及び土地代金、除却費、そういうふうなものを含めたもの全部が一応国のなにとして認められていくわけですか。
  24. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この道路用地となるところに存します土地はもとより、それから家屋につきましても、この法律によって、ほかへ引っ越しをしていくということが建前になっておりませんので、この人たちは、ここに残ることが建前でございます。従って、その権利は、請求があれば全部買い上げるということになっております。この法律の条文では、十四条の第二項に、「前項の規定により土地又は権利収用される場合において、権原により当該土地又は当該権利目的である土地建築物を所有する者は、その建築物収用請求することができる。」、こういうことで、これは道路用地になるところですが、その道路用地になるところにおいて、権原によって建物を持っている人は一般の土地収用法の原則にかかわらないで、これを買ってくれと言ったときには、全部買わなければならないということにいたしまして、この用地取得、並びに建物は一切買い上げる。こういうことで、その経費支弁は道路の経費から出す、こういうことになるわけでございます。
  25. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 事業全体といたしますと、この事業を行なうための土地の造成費というものは、すべての土地の買収価額・プラス家屋の買収価額・プラス除却費、整地費、こういうことになってくる。そうして、その中から、公共用地として使われる部分については、それだけ全部国の費用で差し引く。そうすると、残った建物、今度新たに改造地区として造成された土地の費用、こういうことになって参りますね。計算の上ではそうなるでしょう。
  26. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねの通りでございまして、もう少しわかりやすくするために、今用意いたしてきております印刷物をちょっとお配り申し上げてみたいと思っております。  お手元に「施設建築物建築費引き当て財源内訳」というのが行っていると思います。そこで、その下に書いてあります土地という欄に、a´、b´、c´、それから施設建築物にa、b、cと、こうなっております。その横に意味を書いてございます。aと書いてありますのは道路関係権利者分の建築費、つまり道路敷地となった部分で、そこにおった権利者に必要な経費。それから、bは裏宅地関係権利者分の建築費。cは保留分の関係分の建築費。建物の方を分けますとこの三つの種類に分かれる、こういうことになるわけでございます。cは、関係権利者ではない、この事業実施するために、新たに施行者が積み上げる部分でございます。  それから、土地につきましても、a´は道路関係分の土地の価額、b´は裏宅地関係分の土地の価額、c´が保留分の関係分の土地の価額、こういうことになるわけでございます。  充当の方式をその次に書いてございます。aの費用というのは、道路整備費の一部、つまり道路関係権利者の土地建物等の対償、それにかえまして、代物弁済で土地建物を給付するわけでございますから、道路整備費のうちの一部——これは道路整備費のうちでも、舗装でもって道路を最後に作るという舗装費はこういうところへ入れてはいけませんから、その意味で用地取得と、先ほど岡本先生がお話しになりました権利取得する金と、それから清掃費、そこまでを言っておるわけで、改築費の舗装費とか、あとの部分、工事費に相当する部分は入れないという意味で、一部と申しておるわけでございます。これが道路関係権利者の土地建物の対償の部分に充てられるということになるわけでございます。  その次は、cの費用でございます。cはこの仕事の関係権利者でない人に充てらるべきものでございますから、この事業の方から申しますと、cは施行者が新しく別途に資金を準備いたしまして建物を継ぎ足すわけでございます。もう一つは、継ぎ足すためには、その下の土地を買わなければ上に建物が継ぎ足せませんので、この人にはcの費用として建物の部分と土地を売るという格好になるわけでございます。つまり、保留分の売却代金がcの費用に充てられる。  bの費用、これが裏宅地関係権利者分でございます。これは(a´+c´)の金額を充当することができる。つまり、道路整備の表宅地の部分と、それから、先ほど申しました保留床を施行者が建てますので、その関係で、その部分を引き当てにbの費用を捻出することができる、こういう意味でございます。  理由1(a+a´)のうちaの建築費を差引き、a´の価額に相当する道路整備費が施行者の手元に残っている。  2cの保留分の建築物を売却する場合にも、c´の土地と併せて売却するのであるから、c´の価額に相当する売却代金が施行者の収入となる。従って、(a´+c´)の金額がbの費用に充当されることとなる。  こういうわけで、土地に関しては直接現金支出はない。こういう建前で一応計算をいたしまして、現実に引き当て財源はどういうところから見れるか、こういうことで計算いたしますと、こういう形になるわけでございます。  (注)として「土地所有者及び借地権者が全部譲受け希望をし、地区内に残るものと仮定した場合には、譲渡(売却)する土地の買収代金は、代物弁済による建前上、関係権利者に支払うことを要しないから、施行者がいわば無償で取得した土地を譲渡(売却)するものと考えることができる。」。ですから、つまり財源の引き当て方法を一応考えたわけでございます。  しかし、仕事を現実に施行者がやるときには現金が要るわけでございます。その現実に要る資金の資金繰りというものは、道路整備費の金と、中高層等の融資の金と、地方債のいわゆる準公営企業債を投入する。こういう三つの操作でやっていきたい。こういう考え方でございます。
  27. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 もう一つよくのみ込めないです。私がさっき言ったこの色刷りの図でいきますなら、全体の土地取得に要した費用から道路該当分に要した費用を全部差し引いた残りの分が、あとの建物建設するのに要する、つまり改造された街区に必要な土地取得代金ということになるわけですね。
  28. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 そういうことです。
  29. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、その土地は、階層別に積み重ねますから、坪単価は落ちて参りますけれども、積み重ねないという場合においては非常に高価な土地代についているわけですね。間違いありませんね。——そうでしょう。高層建築を作るんでしょう。高層建築を作りますから、一坪の土地は幾坪にも、五階にすれば五坪に通用しているわけです。それから、共用面積も空地のままに置かれておる。しかしながら、現実においては、その土地は通風、採光その他に必要な土地でありますから、それも五階に対する必要な共用面積として通用しているわけです。従って、たとえば具体的に坪単価五万円の土地が一千坪といたしますと、その買収費が五千万円かかりますね。それから、街路の分は残されておりますから、その分が全部負担されておるとすれば、その五千万円と、裏地にたくさん密集しておったところの家の買収費、それがかりに坪単価二万五千円として、かりに五千坪のところに延べ二千坪建っておるとするならば五千万円ですか、そうすると、その土地の造成費は一億五千万円ということになってくるわけじゃないですか。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 局長から申し上げました点、ちょっと補足してお答え申し上げたいと思います。大体、先生がお話しになりました考え方でよろしいのじゃないかと思います。改造前の裏宅地の地価というものは、いわゆるクリアランスをやることによりまして要したところの経費、つまり既存建物買い取り費、それから除却したあとの宅地の造成費、そういうふうな経費がかかるわけでございます。それが結局、従前の土地の買収にプラス経費になるわけであります。従って、新たに土地を処分する場合におきましては、そういった損失的な経費が加算されるのでございます。加算されたものが新たな宅地のコストになる。そのコストが、新たな宅地の時価でございますか、環境整備される等によりまして評価されるであろう特価との見合いということになりますね。それがこの事業の収支採算の一つのポイントになるのであります。  それから、御指摘の、改造されました宅地を平面的に使うのではございませんで、立体的に使いますので、土地の持ち分というものがそれぞれの階層によって配分されるわけでございます。でありますから、わかりやすくいえば、裏宅地を一人の人が持っておる、地主が一人である。こう仮定した場合、かりに三千坪の土地があるという場合に、道路側の人に一千坪の土地を売る。それから、高層利用をすることによりまして保留分が出ます。保留分の人の持ち分として一千坪売る。結果としては、三千坪の裏宅地の地主さんが二千坪の土地を売却したことになります。道路側の人と、それから保留分に相当する分。残りの一千坪が、大体従前と同じような床面積のものが、そこに立体的な利用によりまして確保できる。といいますことは、二千坪の土地を裏宅地の地主が売ることによりまして、その売却代金がその地主さんの建築費に充当される、こういう考え方になろうかと思うのでございます。
  31. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはもう一ぺん、委員会でなしによく御説明を聞かないと私たち了解しにくいかと思うのです。  ここで、誤解か知りませんが、こういう不審が出てくるのです。つまり、一区画の面積について、今おっしゃるように、その道路収用された部分の土地及び家屋の所有権者が、表の道路側に新しくできたところに入居する権利がある。その分を金を払わなくていいのだということであるとするなら、その分だけ結局裏の土地の所有者は食い込まれることになるわけです。従って、施行者の方は、裏の居住者の犠牲において道路敷地を獲律するということになる。だから、そういう点がないということをはっきりしていただかなければならぬ。それはやはり公共用地として国なり、都道府県なり、その他の道路を作るのだから、その道路分の土地取得するための経費として差し引いていかなければ、裏の所有者は非常に大きな犠牲を払うわけです。だから、そういう犠牲がないということをまず確認しておいていただかなければならないことと、その次には、それにしても、クリアランスをやるのには建物の買収費、除却費その他相当経費がかかる。そうして、それによって初めてその土地だけができるのです。その上に、今度新たに建設費が乗っかってくるわけです。従来は木造の建物、今度の建物は鉄筋コンクリートの建物ですから、建設費の単価が相当違ってきます。だから、新たに造成された土地が、建物の買収費及び除却費を含んだところの相当高価につく土地になっておるのに加えて、今度新たに建てられた建物が非常に高くついておる。だから、従前の、クリアランスをしなければならないという裏通りに住んでおる人たちが入居するための買収費あるいは借り賃は、手に合わないような高いものになりはしないかという心配があるわけです。そういうようなおそれをなからしめるために、その事業をやる者あるいはやらせる者がそれだけの責任を負うという責任体制を、はっきりしておいていただかないと、なるほど公共用地ができ、町が美しくなった反面において、居住者が非常に大きな犠牲を払ったり、あるいは入ろうにも入れないような高い家賃や取得費になっていくために、あなた方はきれいになりますよ、きれいなところに住まわしてあげますよ、というふうな意味においてできた法律案が、結局は、きれいなところへは別な裕福な人が入ってきて、以前に住んでおった人たちは、みな荷物を持って、他のところへ転出していかなければならないというふうな心配ができはしないか。こういうことを私たちは懸念しておりますので、その辺のことを、よくわかりやすく、そういうことはないのだということを、よく私たちに説明していただきたいと思うのです。
  32. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま御指摘のありました二点につきましてお答え申し上げます。  まず最初の点は、道路側の者が裏宅地の方へ割り込んでくる、こういう形になるわけですが、その際に、裏宅地の者がただで自分らの土地を彼らに提供するということはないわけです。これは先生もおわかりのことだと思いますけれども、つまり、道路側の者を裏宅地に収容するわけでございますが、その際に、道路側の権利者には裏宅地の土地を共有持ち分という形で、相当にそれを買い取ってもらうという形になる。その費用は、買収費として道路費の方から出ているわけです。ですから、買い取ってもらいますから、そこに損得はないと一応割り切れるわけであります。裏側の犠牲において云々ということはないわけです。  それから第二点の、裏側の者が——これは裏側に限りません。この事業をやることによりまして、関係権利者が高いものをつかまされるじゃないかという心配、これは一見考えられる点でございますといいますことは、先ほどお話のございましたように、この事業がかなり経費のかかる事業である。現在ある建物を、しかもそれを買い取って、こわして、そして清掃して作り直すという再開発事業でございますので、そういうロス的な、損失的な経費がかかる。起業者という立場から施行者が採算を立てます場合に、そういう諸経費を見込んだ考え方で新たな土地を処分する場合、坪当たりどのくらいになるかということになるわけです。そこで、その法律の建前が原価主義の建前をとっていますれば、御指摘のように、原価は高くついたのだから、改造後の宅地が原価からいって坪五万円かかった、だから、あなた方は一つ五万円で買い取ってくれ、こういう考え方になると思う。しかし、時価は近傍類地その他からいって四万円であるという場合、結局一万円の分だけ高いものをつかまされたという場合があるわけですが、法律の建前がそういう考え方をとっておりませんので、処分する場合もあくまでも時価でとる、買い取る場合も特価で買い取る。でありますから、売る場合も時価で売る。時価と時価という考え方である。従って、非常に割高な費用がかかって、処分価額が特価よりも非常に高くなるという場合もなきにしもあらずでありますが、そういう地区を、しかもやらなければならぬ場合におきましては、その赤字分は当然公共団体である施行者がかぶる、権利者にそれを転稼させない、という法律の建前になっております。でありますから、御指摘のような点はないと思います。  ただ、別な意味におきまして、非常に零細な権利者がございます。そういう零細な権利者が、はたして従前と同じような環境土地建物を確保できるかどうかという点は、これは個々の場合によっていろいろ問題があろうかと思います。そういうものにつきましては、個々の権利者についての低利融資なり、長期融資という点については考えていかなければならぬというふうに考えております。
  33. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 時価と時価とで交換していく、こういうことになって参りますと、従前の土地使用者と新たにできた建物とは相当条件が違っておりますから、使用面積というものが必ずしも一致いたしませんね。空閑地、建物が建っておらない土地というものが共有になっておりますから、相当違ってはおりますが、使用するところの畳の枚数といいますか、坪数というものは大体同じくらいにならなければ、うそだと思う。そこで、それらについての実質的な居住部分というものが同じである。そうすると、実質的な居住部分が同じであれば、結局は実質的な居住部分についての坪単価というものが大体同じで交換されるのが時価主義だと思うのです。そうすると、結局従前の人の土地部分だけは時価でもって交換される。今度新たに建設する部分の費用というものだけは、新たな荷物となっておっかぶさってくるということが考えられるわけなのですが、その点はどうでしょうか。
  34. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 実質上の床面積ということになりますと、従前木造の建物十坪、しかも、相当ボロ家であることを仮定した場合、そういうものと鉄筋コンクリートの十坪というものが等価で交換されるということになりますと、これはちょっと問題じゃないかと思います。やはり、かかった新しい構造建物の時価というものがおのずから出て、それによって給付することにならなければおかしいじゃないか。そこで、非常に持ち出しが要るというような零細な権利者が出てくると思いますが、それはまた別な方途でもって救済の方法を考えていきたいと思うわけでございます。  それから、先ほど私ちょっと申し落としましたが、裏宅地の改造前・後の地価が非常に違うわけでございます。改造前ならば、現道に面した表宅地からさらに二、三問裏の地域でございますので、地価が改造後よりは非常に安い。改造すれば、新たな街路に面した土地として、少なくとも従前の現道に面した地価程度までは再評価できるわけでございます。その再評価の差額、差益というものが出てきますので、これが損失的な家屋の買い取りとか、敷地造成費とか、そういうものに見合うというふうに考えていってよろしいのじゃないかと私は思います。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕
  35. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはこの法案の管理処分計画、それから譲渡価額の算定基準と非常に密接な、いわばそれらの内容を示す問題なのですね。また、そのことが関係住民にとって非常に大きな利害関係がございますので、もっと具体的な形で御説明願って、私たちがのみ込んでおらないといけないと思うので、明日、何か一つサンプルを設定していただいて、あるいは青山かどこかで、この法律ではないけれども、これに該当するような形でできたということも聞いておりますから、そういうところではどういうことでもって計算されていったかということを、実例あるいは想定されたところの一つの計画について、具体的な御説明をお願いしたいと思う。  ただ一つ、あなたが今おっしゃる、裏側にあったのが表に面するから、今度新たに高くなってもいいじゃないかという御意見のようでありますが、従来裏におる人は、裏でなければ住めない人であり、自分の経済状態に見合って裏に住むことをやむを得ないとしている人たちです。そういう人たちが、今度新たに表の街路使用部分がはつ(削)られた、自然的に表に面するようになった。それの三階なり四階なり五階なりに住まわせられることになって、表に面しているから土地の値上がりがあったとしてもやむを得ぬぞ、というようなことがあっても、その人たちは、自分の意思に反して、うんと高い、毎日階段をどんどん登らなければならないところに押し上げられた。それでもって、お前、表に面するようになって通風採光もよくなったから、それだけ高くなってもしようがないぞと言われたところで、それらの人たちは、それだけの説明では納得できないと思うのです。だから、そういう点は、明日もう一度、具体的な想定計画を作っていただいて、できましたらそこへ大きな図でも張って、それについて具体的にわかりやすく説明していただきたい。今度私たちが関係住民から説明を求められても、君たちはちっとも損はしていないのだ、君たちに迷惑かけずに改造計画というものがやっていけるのだ、ということを私たちが説明できるように、一つあなた方から解説をしていただきたいと思いますので、その点お願いしたいと思います。
  36. 石川次夫

    石川委員 関連して。今盛んに具体的な問題について質疑応答があったわけですが、どうも、聞いていればいるほど混乱してしまいまして、私の頭が弱いのかどうか知りませんが、非常にわかりにくい。具体的な説明をします場合に、この図面で言いますと、道路にかかった家がこのうち三軒と仮定しまして、借地と、借家と、自分の土地建物に住んでいる。また、裏宅地の方で新しい建物に移るのが、借地と、借家と、自分の土地建物という三軒になっている。こういう三軒が、新しいうちに移った場合にどういう計算になるかということを、具体的な数字を出して御説明を願えると、非常にわかりいいのじゃないかと思うのです。それができないくらいなら、とてもあとの施行はできないと思うので、具体的な数字でわかりやすく説明してもらいたい。  もう一つは、この店は除去しなければならないということで、休業になりますね、その休業補償の具体的な措置ということです。  この二つをわかりやすく数字で説明願いたい。そうでないと、幾ら聞いても、ちょっとわかりにくいと思うのです。
  37. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 いろいろお話がございましたが、最初にちょっとお断わりしておかなければならぬと思いますのは、ただいまの資料の問題につきましては、内容的に御説明申し上げますが、この仕事は、関係権利者の従前の環境と見合ってどのようなことになるかという、側々の生活の本拠の実体の移り変わりについての論争が、今ここで御質問の中心になったわけでございます。本来この仕事は、公共施設整備市街地の高度利用をはかる都市計画事業としての新しい市街地改造事業でございます。そういう一つの大きな旗を立てまして仕事を進めていくわけでございますから、そのような場所におきましては、関係権利者の権利も非常に錯綜しておりますと同時に、また、このような事業を行なわなければならない地域における関係住民というのは、その地域に居住するということについて、その土地以外の部分には住めないという、その土地の必要性を痛感しておられる方々の地域でございます。しかも、非常に密集しておる。こういう公益的な立場で困難な仕事を実施するわけでございますが、それだけに、関係権利者の権利を、いかに従前の形を尊重して新しい町作りに移し変えをするかということに重点があるわけでございます。従いまして、その立て方で規律をいたしておりますので、結果として、従前の関係権利者の権利に相応した補償金の額に見合った建築物等を給付するという格好と、各個人の補償対策が現物補償という形で講ぜられる。こういうところを結果としてねらっておるのが、実はみそなんでございます。  そこで、今の石川先生のお尋ねの点も含めまして、内容的に、当面の前面におる人が新しいところにどういうふうに移るか、その価額はどうなっておるかということにつきましては、この計画を現実に現地に即して立てませんと、個々の場所ではお示しはなかなか困難だと思っております。そこで、岡本先生のお尋ねのように、この事業の従前の関係権利者と、また新しくできる関係権利者を、一つのグループとして考えまして、個々の特色を持った個々人という考え方でなしに、全体としてのこの事業関係住民の方々に説明するなり、また住民の損得というものを理解させる上において、どのような概算的なものになるかという見通しをお示ししなければいけないわけであります。これにつきましても、この地点のものであるということになりますと、やはりその数字が固定化いたしましても、またそのことによって論争を起こしますので、われわれの方で調べましたあるモデル的な地区ということで、必要な資料を、目でわかるような範囲内に調製いたしまして、御説明を申し上げなければならぬと思っておりますので、そのような準備をいたしたいと思っております。  石川先生のお尋ねの休業補償の問題、これはできるだけ営業を続けながら、この市街地改造事業ででき上がる建物に移ってもらう、こういうやり方が、工事の段取りとして一番必要なことだとわれわれ考えております。現実に今、事業施行予定の地区関係公共団体において準備をいたしておりますのは、裏宅地の方の人たちなんかは、割方、住宅等があります場合におきましては、仮住居という一つのものを作りまして、東京の場合でございますと放射四号線内に一つの集団的な建造物を作っておりますが、そういうところにしばらく移ってもらって、裏側から逐次建築物をやっていく。裏の人は早く新しい建築物に入れる。前の人はおくれるけれども、現実に営業を閉鎖するということはなるべく少なくて済む。しかしながら、真に営業を閉鎖しました間におきましては、もとより休業補償金を支払うということになりますけれども、事実上の営業とか居住につきましては、改造事業を片方に進めながら、そして新しくでき上がる建物に移りやすいような段取りにしていく。こういう段取りの工夫を、工事実施について考慮しながらやっていくということを考えたいと思っております。これは場所等につきましても、そういうもよりの場所等も考えられるところもございますので、そういう万全の注意を払って進めていくという考え方でございます。
  38. 山中日露史

    ○山中(日)委員 ただいまの岡本委員の質問に関連いたしまして、二、三お尋ねいたしたいのであります。  第一は、今度の法律のみそというのは、従来の土地収用法と違いまして、土地を失なった者あるいは借地権を失なった者に対しては、金でなしに、施設建築物の一部を譲与することによって、被害者の損害をできるだけ軽くしていく、こういうことが今度の法律の特色だと思うのです。その場合に問題になりますのは、土地の所有権者と、その土地を借りてその土地の上に建物を所有しているいわゆる借地権者、この両方ともが施設した建築物の譲渡を請求することができるようになっておるわけです。その場合に、施設建築物のその部分に対して、土地所有権者の申し出の個所と、それから、従来土地貸借権者が貸借しておった場所を要求する。その個所というのが競合する場合があるんです。そういう競合した場合に、一体土地所有権者の申し出と、賃借権者の申し出に対して、どういうふうに調整していくか。こういう点をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  39. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 お尋ねの通り、所有権者も借地権者も、一個の建築物の床面積と土地の共有部分を譲り受ける請求権を持っております。従って、その配分の問題につきましては、管理処分計画におきまして規律すべき重要な事項でございまして、従前の権利者間の相互に不均衡のないようにしなければいかぬということでございます。この三十五条の第二項にありますように、それが一つの相互間における原則でございますが、その場合において考慮すべき問題は、やはり土地なり、その当該地域内のいわゆる利用状況が根本になるという考え方で、法律の条文ができておるわけでございます。従って、土地を利用しておる人、借地権を持って営業をやっておる人、これの現実の姿が営業をやっておるという利用状況であり、位置である。それにふさわしい場所をまた新しい建物でもらうべきだ、こういう形でございます。やはり従前の土地の所有権者は、土地は持っておりますけれども、現実にはその土地の利用というものは、借地権を設定いたしておりまして、一種のそこ地という形になっておるわけでございます。まず土地の所有権者としては、土地を貸し与えておるという形の利用でございますから、同一目的のために当該土地の部分に全面的に借地権を設定しておったという場合におきましては、新しくでき上がる建物に余裕のない場合におきましては、従前の借地権者の方の土地の利用状況が、店舗等につきましてはまず優先をする、こういう考え方になろうと思います。現実の運用といたしましては、譲り受け権者の要望をできるだけ聞きたいという形でいたしておりますけれども、せり合ってきたときには、そういう形に法律の条文がなると思います。
  40. 山中日露史

    ○山中(日)委員 私も大体そういうような考え方でいいと思うんです。ただ、御承知のように、土地の所有者は、借地権を設定してしまいますと土地の所有権の機能というのはほとんど発揮できません。特にこういう法律施行されまして、その土地の代償として建物の譲渡を受けることができるということになりますと、土地の所有者というのは、このときとばかり自分の失う不動産にかわって、施設物の不動産を取得するということができるということになりますと、その不動産の一部を強く要求するということが出てくると思うのです。そういったことから、この調整というのは非常にむずかしくなってくるんじゃないかと思いますので、お尋ねしたんですが、この調整をするのは審査委員でできるんですか。
  41. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この管理処分計画は、施行者がその案を定めまして、そして審査委員の同意を得なければならない、こういうことになっております。従って、その審査委員自身が相当な人を選ぶことになっておりますので、適正な管理処分計画ができることを審査委員制度によって確保しよう、こういう考え方でございます。
  42. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうすると、その審査委員の裁定というのではなくて、施行者が同意を得てやるということだけのことで、審査委員はそのことに関しては決定権はないわけなんですな。つまり、そういう場合には、利用関係から見て借地権者にその場所を与うべきだ、こういうことについての審査委員の決定権というものはないわけですか。
  43. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 決定するのは施行者が決定するわけでございますが、審査委員の同意がなければ決定はできない、こういうことになっております。
  44. 山中日露史

    ○山中(日)委員 それからもう一つは、物上代位の問題であります。この物上代位関係は、この法律だけでなしに、いろいろなこういった関係法律には出てくる問題です。特に今度の場合は、担保物権の対象となっておりました土地あるいは建物が消滅した場合には、従来でありますと、その消滅した対償、つまり金に担保物権物上代位するということで済んだと思うのですけれども、今度は、その金のかわりに施設物の不動産を取得するということになりますと、抵当権者は、新しい施設物に対して抵当権は全然及ばないのかどうか。この法律を見ますと、この担保権利者の権利は、この施設物の二部を要求することのできる権利に対して及ぶという書き方になっているのですが、この三十二条の「給付を受ける権利」に抵当権が及ぶというのは、一体どういうことを意味するのですか。
  45. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは、今お尋ねのように、施行者が関係権利者に給付すべき建物の譲り受け権というものが新しく設定されるわけでございますから、従前の関係権利者の権利が契約または収用によりまして消滅いたします。その物件に存しておりました担保物権というものが、三十一条の三項によって消滅をする。そのときに、しかしながら譲り受け権という債権を新たに関係権利者が収得をいたしますので、その譲り受け権というこの法律による債権に物上代位をしている、こういうわけでございます。それが三十二条の規定でございます。
  46. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そこがわからない。従来のように、土地がなくなって、そのかわりに金がくる、そのくる金に対して優先的に権利を行なうというのならばわかるのですけれども、建物を譲り受ける権利に抵当権が及ぶというのは、一体どういうことなのか、その不動産そのものには抵当権は及ばないが、譲り受ける権利に抵当権が移るというのはどういうことか。金でもない。対償を請求する。その金銭給付を受ける権利について抵当権が優先的に他の債権者を排除して弁済を受けるというのなら、話はわかるのですけれども、その施設の二部を譲り受ける権利に抵当権が及ぶというのは、どういうことを意味するのか。それがわからないのです。
  47. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは要するに、譲り受け権という債権でございますから債権といいましても、抵当権に入っておった家屋が焼けた場合に債権者が火災保険金に物上代位をすると同じように、施行者から一定構造建物を給付してもらう一定期限までの請求権、それに担保権が及んでいるというのでありまして、これはそのこと自体で御理解を願いたいと思うのです。なぜ、こういうことにしたかということについての説明を申し上げなければならぬかとも思いますけれども、それがおかしいという意味なのでございますか。
  48. 山中日露史

    ○山中(日)委員 聞く理由は、もう一ぺんあとで大事なことは聞きますけれども、今聞きたいのは、ただ、その給付を受ける権利に抵当権が物上代位するというだけでは、抵当権者は、何によって、どういうことでその抵当権の満足を得ることができるのか、いわば弁済を受けることができるのか。そこがわからない。  なぜ、私がこういうことを聞くかというと、こういうことなんです。つまり、今度の法律では、市街地改造によって従来の建物はなくなるわけです。そうすると、原則からいえば、担保物権は消滅したわけですから、抵当権も消滅してしまう。ところが、今度の法律では、そのかわりに別な建物がまたくるわけです。けれども、その建物には抵当権は及ばないわけだ。ところで、この法律から見ますと、建物の所有者、つまり賃借権者が施設物の一部を譲り受ける権利があるわけですが、その抵当権の方を弁済しないと、結局譲り受けの申し出は撤回したものとみなすということになっている。ですから、建物担保に入れて、そして土地を借りておった人が、この法律によって施設物の一部を譲り受ける場合には、とにかく前の建物はなくなってしまったのですから、抵当権者は、債権の弁済期限が当然到来します。そうすると、その施設施行者から受ける金を優先的に持っていってしまう。それを払わないというと、今度は施設物譲り受けを要求する。その譲り受け権者は撤回したものとみなされますから、結局金は一ぺんに債権者に取られてしまうし、また建物には自分は、はいれない。こういう結果になることを私はおそれるわけなんです。ですから、私の考えでは、そういう場合には、やはり新しい建物にも抵当権が及ぶということになれば、抵当権者も、弁済期はまだ先にあれば、その新しい施設物の担保に基づいて債権は保存されるであろうし、また債務者は、譲り受けた施設物に抵当権がつくことによって、順次弁済期までに弁済していけばいい。こういうことで、両方いいんじゃないか。それが今度の法律でぷつっと切ってしまいますから、結局債権者は金の弁済を受ける、それを払ってしまわないと、譲り受け希望者は譲り受けを撤回したとみなすことになる。こういうことになりますと、結局そうした債務者が、借金は一ぺんに払ってしまわなければ施設物の権利はないということになるおそれがあると思う。その点を聞いているわけなんです。
  49. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この三十一条の第三項の規定の、契約等によって収得されたときにも担保物権が消滅するというのが、民法の特則でございまして、そのかわりに、今御質問のような、三十二条によって譲り受け権にいわゆる物上代位をしていくという形にいたしたのでございます。これは、この事業実施ということから見まして、施行者の立場からいきますと、どうしてもそういう担保物権に基づく権利が行使されるということがないようにするためには、施行者が担保物権を全部消していかなければならない。こういう形になることが、まず一つあると思うのです。それからまた、担保権者の側から考えましても、スムーズにこの仕事が進んでいくということによって、また同時に、この事業は、従前の土地、家屋等よりはもっと安定したところの、堅固な、市街地改造事業による建築物ができるわけでございますから、担保価値といたしましては相当なものになるわけでございますから、担保権者の調整との関係におきましても、この事業実施する直前にこういうことを清掃するよりは、むしろ新しくでき上がったときに合意を成立せしめる方がいいのではないかということで、物上代位という制度をとりまして、管理処分計画を、最後に始末をいたしますときに、担保権者と譲り受け権者の合意というところに持っていったわけでございます。  そこで、この全体の考え方といたしましては、新しくでき上がる建物の部分を譲り受ける権利物上代位しておりました担保物権の消滅に関する合意が、関係権利者間において話がととのいますれば、この法律のように、譲り受け権を持っておる人が新建築物の部分に入居するわけでございます。権利取得するわけでございます。しかし、合意が成立しないということを今お尋ねがあったわけでございますが、この場合におきましては、御説のように、申し出の撤回があったものだということになります。これは、通常の場合におきましては、先ほど申しましたように、譲り受け権者が収得するところの建物は、市街地改造事業によって、従前よりはもっと担保価値のりっぱなものができ上がりますので、担保権者、いわゆる債権者の立場からいえば、担保の価値については十分であろう。だから、合意が成立することが当然であろう。こういう考え方で、これができておるわけでございますが、万が一にも、そういう合意が得られないという場合におきましては、その部分は施行者が処分できる保留部分ということになるわけでございます。譲り受け権者がなくなるわけでございますから。工事完了後において譲り受け権者のない部分ができるわけでございますから、これは施行者のものになるわけです。そこで、管理処分計画の際にも、そういう譲り受け権者が、この仕事の完了の直前に譲り受け権を喪失するということになってくるような場合におきましては、施行者が収得する部分を譲り受けるか、あるいは賃貸するようにするか、このいずれかの方法をとりまして、従前の関係権利者が、担保権を新しい建物に設定する合意が得られなかった場合における地位を確保するようにしたい。その保留部分は、既存のいずれの関係権利者についても影響のない部分でございますので、施行者がそういう人に賃貸または譲渡できるという形に省令の基準を作ることによって解決をする。こういうふうにわれわれ考えておるわけであります。
  50. 山中日露史

    ○山中(日)委員 合意ができればまことにけっこうなんですが、もしかりに、道路側に店舗を帳っておって、自分が建物を所有しておって、その建物担保にしてお金を借りて営業をしておった人が、今度はこの法律のために担保権者の担保権を消滅させなければならぬ、払わなければならぬ。そうすると、その場所でまた引き続いて商売をしようと思っても、今度それを払わなければ、そこへはいれない。保留部分なんて、どこへ行くかわからないでしょう。三階へ行くかどこへ行くか、わからないと思います。従って、そういう場合に、その人はこの法律によって、従来ならば三年先に弁済期のある貸し金が、担保物権の消滅によって弁済期が到来して、その対償としてくる金から弁済を受ける。債権者はすぐ金が入った方がいいですから、必ずそれに強い権利を主張してきますよ。また、施行者はその金を供託するでしょう。供託金から持っていってしまう。そうしますと、結局その人は、入居することはできないということになるので、給付を受ける権利というものがどういう権利なのか。担保権者が物上代位をする、その譲り受け希望者が施設建築物の二部に対する権利物上代位をするという意味がはっきりしないから、こういう場合に困るのです。つまり、私の言うのは、この新しい建設物に抵当権がそのまま移っていくという考え方なら、これはよく理解ができるのです。またもう一つは、抵当権は消滅してしまったのだから、話し合いがつかなければだめなんだと言ってしまえばそれまでなんですが、ただそこに中間に、その譲渡申出者の申し出る給付を受ける権利に抵当権者が物上代位をするというから、一体どういう抵当権者がその権利収得するのか。そこが理解できないから、むずかしくなっておると思うんですよ。そこを一つ説明してもらいたいと思います。
  51. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは、賃借人の場合と明らかに違っております。ですから、抵当権というものは、従前の対象物に乗っかっておった抵当権の客体が、土地等取得によって施行者が取得しますから、こわされていくわけでございますから、全然違った形になってしまいますので、これは消滅させるということで譲り受け権に物上代位をして抵当権が乗っかっていくという形になったわけでございます。  そこで、今御心配の点は、四十一条の条文の場所でございまして、これは、この建築施設整備事業というのが完了いたしました場合において、その工事の完了の公告の日までにその抵当権者と、それから新たな建物取得することになる譲り受け権者が、その債権債務について履行期の到来したものについて消してくるか、あるいはまた新しい建築物担保物権を設定するということの合意に、取得の行為をかからしめておるわけでございます。ですから、合意がなければ撤回したものとみなして、施行者はお金を供託することによって、そのお金が担保権者の債権の担保になる、こういう形に始末したのでございます。今お尋ねの点は、そのような従前の譲り受け権者は、保留床と言っておったって、とんでもないところかもしれないというお話でございますが、これはもうすでに工事完了の直前の段階までの話でございまして、もうその管理処分計画で、譲り受け権者である担保権者、いわゆる担保物権を設定されておる人であっても、その譲り受け権者の譲り受け部分というものはきまっておるわけでございます。従って、その人がその部分を取得することができなくなっても、商売なら商売している部分に、一階なら一階にその床面積が入っておるわけですから、ほかの人にそれが行きようがないわけでございます。ですから、その部分は、施行者からさらに譲り受ける経済力のある人であれば譲り受けられるし、それからまた、譲り受けられない人は、それを施行者が賃貸しする。こういう方式をとることによって、従前の譲り受け権者の地位を場所的に明らかに確保してあげるようにしたい、またできる。こういうわけでございます。
  52. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、結局こういうことですか。その債務者は、結局新しくできた建物の一部を譲り受ける申し出ができる権利があるわけですが、その権利に抵当権者が物上代位をするということは、言いえれば、結局その新しい施設物には抵当権は及ばないのだ。ただ、その給付を受ける権利となりますと、結局金ということになるのじゃないですか。貸し金は、対償金に抵当権が代位して、その譲り受ける金から抵当権者は優先弁済を受けるということになってしまう。そうでもないということになれば、その譲り受け申し出権者が新しい建物を譲り受けをする権利に抵当権が代位するということだけでは、何のことかわからないのですよ。実際にどういうことなのか。つまり、家が焼けて、保険に入っておった金が入る、それはわかるのです。そうではなしに、その新しい建物を譲り受ける譲利に抵当権者が物上代位するということは、結果的にどういうことをいうのか。金で弁済を受けるということでなければ、建物にも抵当権が及ばないんだということになれば、一体それでは何だということになるのです。それがはっきりしませんから、先ほど申し上げたように、保留分は別としても、結局その人は金を払わなければ、その新しい施設には、はいれないという結果になるわけです。そうなるでしょう。そうなると、私は非常に困ったことになるのじゃないかと思う。給付を受ける権利に代位するということは、一体何をいうのか。これがはっきりしませんと、大へんです。
  53. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 物上代位しておるのは、譲り受け権に物上代位しておるわけでございますが、これのもとになっておりました債権債務の契約におきまして、債権の弁済期限建築物の完成途上において到来をしたという場合におきましては、その債権者は優先弁済を受けるという形になるわけでございます。換価をいたしますれば、譲り受け権はいつでも換価できるわけでございますから、優先弁済を受ける。こういう形になるわけでございますから、そういう意味におきまして、この物上代位というものは、あたかも火災保険金の代位と実質上は変わらないというふうに考えるべきものだと思います。それで、合意が成立するという場合は、今度新しくできる建物にさらに担保権を設定する、こういう合意であります、ですから、従前の建物に存しておった担保物権というものは、一応権利取得によって消滅せしめるという形をとっておるわけでございます。
  54. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、結局は先ほど聞いたように、物上代位というのは火災保険金のように、その担保物権の消滅にかわってくる金銭的な給付にその抵当債権が代位して、それから優先弁済を受けるということであって、そのことを給付を受ける権利、こういうふうに結局解釈していいわけですね。
  55. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ちょっと補足して申し上げます、担保物権の処置につきまして立法上いろいろ問題がございまして、考え方が二つあったのでございます。  一つは、いろいろ御指摘がございましたように、これらの担保権者と債務者とだけの問題にして、施行者が土地を買い取る場合に、そういう担保が入っている場合は債務の弁済をしなさい、弁済して更地にしてから、債権者と土地収用または買収によって契約する土地施行者が取得するという考え方、一応これは素朴な考え方でございます。この考え方につきましては、そういう前提でこの法律を立てますと、非常に債務者が過酷な経済的負担を、この事業のために一時的に負わなければならない。従って、どっちみち等価交換で新しい建物なり不動産をもらうことになるのに、まだ債務の履行期が到来していない前において、そういう借金を返さなければならないという経済的な負担をしいられる。そのことが、ひいてはこの事業の円滑な実施上問題があるということにつきまして、いろいろ意見があります。担保権者も保護しなければならない、債務者も何とか保護しなければならないということから、担保権者としましては、普通の債務者が土地建物を売り払う場合ではなくて、この事業によって新しく不動産をもらうわけでありますから、要するに担保価値としては変わらないのだから、この事業の着手前において、一次的なそういう紛争を起こさないように、うまく両者の権利が調整されて、この事業に乗っかっていくような方法はないものだろうかということが、まず考えられたわけであります。  そういう乗っけていく場合の方法としまして、先ほど先生からお話のありました、この事業によって施設建築物を譲り受け権者が取得する場合に、それに担保権者が物上代位してくれれば、ストレートに担保権が乗り移っていっていいのじゃないか、そういう制度も考えていっていいのじゃないかということが、まず考えられるわけであります。これは、常識的には非常にわかりがいいのであって、けっこうなことなんでございますけれども、民法、その他法務省の民事局の意見等も十分、中で検討してもらったのでございますが、やはり立法技術上、新たな施設建築物に従前の土地建物にある担保権がストレートに乗り移っていくということは、非常にむずかしい。たとえて申しますと、共同抵当に入っていると、順位の問題がございまして、そういう調整が立法技術上非常にむずかしいということに、結論としてなったのでございます。  そこで、両者の折衷案みたいな考え方で、現在の制度が生まれてきたわけであります。折衷案でありますから、非常に中途半端であるという御批判もあろうかと思いますけれども、こういう制度を設けない場合よりは、こういうことによってつないでいきますと、建物ができ上がりますと、担保権者としても、すでに譲り受け権者が建物をもらうということが目に見えているという場合には、債務の履行期がきている場合は別ですが、きていない場合は、あなたのもらう新しい建物に抵当権を新たに設定しましょうという話し合いも容易に行なわれることでありましょうし、事実上そういうふうな問題がうまく片づいていくのじゃないか。こういうことでいこうじゃないか、というのが現在の制度でございます。   〔瀬戸山委員長代理退席、委員長着席〕 確かに不満な点もあろうかと思いますが、いろいろ立法技術士の問題がありまして、その辺に妥協したのが事実なんでございます。
  56. 山中日露史

    ○山中(日)委員 御苦心のほどはよく了解できましたが、結局は先ほど申し上げたように、新しく施設を譲り受けようという人は非常に迷惑をこうむることになりはせぬか、ということを非常に心配してお尋ねしておるわけなんです。これは議論になりますから、これでやめます。  私の考えは、今度の法律は今までにない、こういった金銭給付にかえて当然物上代位ができるということが、従来の収用法とは違った観念できておりますから、お話しの通り、民法の原則は、抵当物権が消滅すれば一時消滅する、それにかわるべきものに物上代位するという原則は生かしていいと思うのですが、金銭給付でない、対償にかえて物を渡すという場合には、特別法として、その場合においては新しい施設物に対して抵当権が及ぶというふうにすることによって、抵当権者もいいし、それから債務者も助かる。こういうふうになるのじゃないかと考えておりますが、この点は議論になりますから、この程度にしておきます。  それからもう一点は、第十三条の規定です。これは結局、計画を立てたその土地の中にじゃま物があってはいけないから、そういうじゃま物を建ててはいかぬ、建てる場合は許可を得ろ、こういう趣旨の規定であります。この障害になるおそれがないのに許可をしなかったという場合に、それに対して異議の申し立てができるのかどうか。その点がこの法律で、はっきりしておらないのです。つまり、許可を得なければならぬということになっておる。ところが、それを許可しないという場合に、申請した者を救う道はないわけなんですね。それはどうなっていますか。
  57. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 この建築行為等の制限に関する規定事項につきましてのお尋ねでございますが、十三条の第一項の不許可の決定に対しましては、この法律によらないで、訴願法による訴願をすることができるということにいたしておるわけであります。この異議申し立ての制度につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、不許可の決定に対する異議の申し立てを認めておらない制度につきましては、昨年制定されました住宅地区改良法の例もありましたので、これはむしろ訴願にやった方が適当じゃないか、こういうことで、訴願によってその場合の措置を解決するという形にいたしたわけであります。
  58. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、私はますます疑問になるのです。第六十三条によりますと、その障害物を除けという除去命令が出たときはそれに対して異議の申し立てができることになっておって、命令が出る前に許可してくれと願ったけれども許可しなかった場合は、異議の申し立てができなくて、訴願の方に回してしまう。そして、除去命令が出たときに異議の申し立てができるのだというのは、私はおかしな規定だと思うのです。しかも、これは異議の申し立てという手続を経ないで、いきなり訴願に持っていけるのかどうかということも問題ですし、かりに訴願に持っていくとしても、この法律の建前からいけば、六十三条では障害物を除けという命令が出たときに異議の申し立てができる。その前に、ここへ建てることを許可してくれといったのに対して不許可のときには異議の申し立てができないで、それを除けというときに異議の申し立てができるというのは、ちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  59. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 除けといったような直接的な行為を命ずるような場合には、この裁定につきましてはやはり異議の申し立てという制度をまず直接とらした方が現地の人に対してはいいのじゃないか。こういうことで、異議の申し立てを追加いたしておるわけでございます。
  60. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、その計画された土地の中に、障害にならないと思ってある一つの臨時のものを建てようといって許可を求めたときに、これに対して不許可にした。それに対して、異議の申し立てということがすぐできないで、そのままになっておって今度それがじゃまになるから除けといって命令が出たときに、初めて異議の申し立てができる。こういうのはおかしいじゃないですか。つまり、臨時のものを障害になりはしないから建てよう、そのときには、計画された土地の中ですから、必ず許可を得なければならぬ。これはそうだと思うのです。これを許可しないといったときには、もう訴願の方に持っていってしまって、そして、今度はじゃまになるから、その建っているやつを取り除けといったときに初めて異議の申し立てができるということは、おかしくないですか。
  61. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これはいろいろな立て方があるのかと思いますけれども、この六十三条の場合におきましては、建築制限の違反でありますとか、あるいは物件の移転命令、こういうふうな面接的な場合につきましての関係の裁定を受けた人に対するいわゆる救済の道といたしまして、そういう場合には一応そういうことを命じたところへ文句を言うというのが一番直接的じゃないか、まず文句を言わす機会を与えて、それから上級庁が、訴願法によって、訴願の裁決をする段取りを講じさせた方が、一般的にはいいわけになっておりますから、そういうやり方をとる方が、この事業の性質から見ましても、また住宅地区改良法の例によりましても、適当であろう、こういうことで、この案ができておるわけでございます。
  62. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、すぐ訴願ができるということは、どこにあるのですか。普通は、そういう異議の申し立てをして却下されて、それに対して訴願をするというのが順序なんですが、これがいきなり訴願できるという法律規定が、何かあるのですか。十三条第一項の不許可に対して直ちに訴願ができるというのは、何かそういう規定があるのですか。
  63. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは、訴願法の規定によりまして訴願をできる、この点は法制局とも十分打ち合わせの上で、この立法をいたしておる次第でございます。
  64. 山中日露史

    ○山中(日)委員 一応この程度にしておきます。
  65. 加藤高藏

    加藤委員長 本日はこれにて散会いたします。   午後一時十一分散会