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川尻参考人 私は、
公団住宅の各
団地でそれぞれに結成をいたしております
自治会が横に
連絡をとりまして作りました
自治会協議会というものの
世話役をいたしておりまする
川尻と申します。その
協議会の
立場から、しばらく御
説明を申し上げたいと思います。
御
承知のように、
住宅難の
解決のために
政府が
住宅公団というものを作られて、相当な
政府予算を回され、あるいは民間の
低利資金を活用して、大いに
住宅問題の
解決に尽くしておられるという御
趣旨はよくわかるのでございますが、われわれ現在その中に居住しておりまする者といたしましては、現実にその
団地の中へ居住いたしてみますと、いろいろな問題があるわけでございます。各
団地におきましては、それぞれ
自分たちの
団地の直接の問題をいろいろ
協議をいたしまして、それをそれぞれ
公団の
営業所並びに担当の
管理主任等に
相談をいたしまして、その
解決に当たってもらう。同時に、御
承知のように、
団地というのはきわめて新しい
日本の
地域社会であろうと存じます。たとえば、一度に千八百戸とか二千戸とかという
戸数ができますと、そこにいろいろな人がどっと入ってくるわけでございます。大学の教授もおるかと思えば、非常に制限ぎりぎりの下級のサラリーマンの方もおられる。お医者さんもおられる。いろいろな
種類の
方々が居住しておられますために、その
居住者の中のお互いの
生活を快適にしていくために必要な
親睦と申しますか、そういうことがやはり非常に大切なものになるわけでございます。その
親睦ということと、それぞれの
団地の
居住者の
共同の利益のための
要求を各方面に御折衝するという、二つの
目的がわれわれの
居住者の
自治会の
活動の
趣旨でございます。
現在、大体
関東周辺に七十何
団地あると思います。その約半数三十五
団地、約二万戸が私
どもの
協議会に参加しておるというのが
実情であろうと存じます。毎日曜、私などは、新しい
団地の
自治会を結成するから来てくれという御招請にあずかりまして、ついこの日曜には草加の
団地、その前の日曜日には、
上野台と申しまして、
東上線で入ります上福岡というところにございますが、そこの
自治会に呼ばれて参りました。というふうに、今も続々結成されておりますので、まだまだ参加してこられると思いますけれ
ども、
現状といたしましては、やはりお
世話役がおられないで、うまくそういうような
自治会ができておらない
団地もございます。しかし、われわれは始終そういう各
団地におじゃまをいたしておりますので、大体いろいろな
団地における
居住者の
方々の御
意見というものは
承知をいたしておるつもりでございます。従いまして、それらの
方々のお
考えというものは、私の申し上げることとさして差はないものと御了承願ってけっこうだと思います。
次に、それでは、この
自治会と
公団と現在どういうような
関係にあるかということを申し上げてみたいと思います。現在この
自治会は月三回、一回は
公団の本所、一回は関東支所、一回は
東京支所という、三回の定例的な会談をいたしておりまして、本所とは全般的な問題についていろいろ御
質問をしたり、御要望をしたりいたしております。各支所に対しましては、各その地域内にあります
団地の
代表者の
方々においでを願いまして、その
団地における
問題点を提出していただきまして、それを支所の責任者にいろいろ御要望したり、御
説明を求めたりしておるというような
状態にございます。
最近の問題といたしましては、私
ども一番心配しておりますのは、固定資産税の問題等でお願いをいたしたことがございます。御
承知のように、自治省の地方の各
地元の自治体に対する通牒と申しますか、そういうようなことで、入居者の家賃に
関係いたします
地元の固定資産税の軽減ということが、
団地ができました当初は行なわれておるわけでありますが、
地元の市町村も財政上でそれほど楽でないところもあると見えまして、なかなか応じないところもあるらしい。これらは、このままでいきますと、なかなか
居住者にも影響をしてくるのではないかというふうに心配をされるところでございまして、やはり将来、私
ども居住者としても大きな問題として
考えていかなければならない
一つのテーマであろうと思います。
そのほか、最近非常に集団的な犯罪と申しますか、そういうようなものがちょいちょい出て参りまして、御
承知のように、
都心から離れました郊外に所在しておりますために、どうも警察力と申しますか、そういうようなものが不足しておりまして、
団地の付近になかなか完全な、いわゆる交番とか駐在所とかいうものがない
団地が一ぱいございます。そういうようなところは、犯罪が行なわれた場合にそれらに対処するような方法もないという
状態に置かれておりまして、これらには大きな関心を持たざるを得ない。しかも、犯罪があった場合に、これを警察に
連絡いたします電話の
設備さえもなかなか現在では不足しておるような
状態でございまして、こういうような問題は、ぜひとも
一つ、今後
団地における
居住者の
生活が安心して営まれるためには
考えていただかなければならない問題ではないかというふうに思っております。
こまかい、いろいろな修理とか改善の問題は、それぞれの時期々々に
公団に対してお願いをしたり、御要望いたしたりいたしまして、
解決をしていただくように努力をいたしておりますが、一番やはり
居住者が切実にお願いをしておりながら、なかなか満たされないでおるというのが、
サービスの方の部門でございまして、それが今日、この
日本住宅公団法の一部を改正する
法律案ということで提出されております。私
どもはこれを俗に第二会社
法案と申しておりますが、この会社で
公団の方が
考えておられます
サービスの部門、すなわち
公団の
事業としては、家を建てられるという方にはどしどし金を回してもよろしいということになっておるようでございますが、実際に入居いたしました者にとっては、そこへ入ってみますと、どうしても何とかしていただかなければならないような切実な問題があるわけでございまして、それらに現在の
公団法においては
資金を回していただくことができないという
現状にあるということを私
ども知るに及びまして、ぜひとも
一つ、
サービスの方に回せるような
資金を何とか獲得していただきたいというふうに
考えておったわけでございます。ばく然と
サービス部門と申すとおわかりにくいと思いますが、今申し上げましたことでおわかりいただきますように、何といっても、電話がかからぬというようなことでは、入っております者がみな勤め人でございますので、会社を休むという
連絡もできない。今夜はおそくなるよという、奥さんに対しての
連絡もできない。
子供が急病になった、あるいは産けづいたというような
状態におきましても、非常に困ることが多いわけでございます。従って、急に郵政省でそういう飛び飛びの郊外の
団地に電話を引くことが不可能であるならば、こういう新しくできまする会社などで、集団電話のようなものをぜひとも一日も早く実現してもらいたい。
それから、たくさんの人を入居させるという
目的から、今できている
住宅公団の建物におきましては、
スペースがどうしても足りないものでございますから、結局少しずついろいろなものがふえて参りますので、物置がないのでございます。それで、
倉庫をぜひとも作らしてほしいという要望が非常に強いわけでございます。
それから、入居者の
方々にだいぶ若い方がふえてこられまして、同時に共かせぎの方などがふえてこられましたので、
託児所の
建設が非常に要望されておるわけであります。
これらのこと等は、何とか一日も早く実現できるようにしてほしいというのが私
どもの要望でございますが、それらを実現するような
意味合いから作られたと思われます今回のこの法の改正に対しては、私
どもはその内容についてはいろいろ
意見もございますが、そういう
サービスの機関ができるということについては、非常に望ましいことだと
考えておるわけでございます。
あまり時間が
たちますとあれでございますので、本日かかっておりますこの改正案につきまして、私
ども居住者といたしましていろいろ検討いたしてみました結果、「
居住者側の希望条件」というものを一応常任
委員会においてきめまして、統一
意見を作り、それを先日
建設委員長のお手元並びに各
委員のお手元にたしかお配り願っておると存じます。それを簡単にこの際
説明さしていただきたいと存じます。
今国会に提出されている
日本住宅公団法一部改正
法律案に関して、本
協議会常任
委員会は検討の結果次の如き統一結論を得、改正に際し条件つき賛成をすることにした。株式会社組織になることは止むを得ないが、あくまでも
居住者の
サービスに専念し、且つ
居住者の
意見を尊重させるため、特に左の三点を条件として強調したい。
(1) その経営に当たり
居住者の意志を反映させる
目的で、
居住者代表(即ち
協議会代表)を経営に参加させるか、その他意志疎通機関を常置すること
お手元に差し上げたものは「参加させるか、若しくわ」というふうになっておると思うのでございますが、この条件を
委員会に出しましたところ、やはり
居住者の協力なくしてこういう経営会社はうまくいくわけがないのだから、それはもう少し
意味を強めてもらいたいという条件がございましたので、そこを訂正しておきたいと思います。
(2) 新会社経営者の
性格は、
居住者への
サービスがその根本主旨であるから営利追及に陥らざるは勿論、
団地を快適にすることに強い情熱を抱く民間人を選任する様に努力すること
これは新しくできます会社が、もうけることを
目的とした、いわゆる辣腕家のような者に経営させることになってしまっては、結局
居住者はまた食いものになるという結果になるので、その
運営が非常に大切であると私
ども考えているわけでございます。
(3) 新会社を急激に増大させ、
日本住宅公団が当然直接担当すべき管理業務まで新会社に移行する様なことは絶対せざること
これは、私
ども居住者としてこういう希望条件をつけます際に、こういう
サービスというものは当然
公団が直接担当すべきではないかという
意見が相当にあったわけでございます。しかし、私
ども、いろいろ検討いたしてみますと、やはりなかなか現在の
公団においてはそこまで手が回らないということが
考えられますので、こういう第二会社のようなものができて、そちらで大いに
サービスをしていただくということに対して御賛成申し上げるわけでございますが、今度でき上がった新会社が、急激に現在行なわれておる管理部門の仕事をどんどん吸収していって、そしてほとんどの管理がみな第二会社の方に行ってしまうというようなことになると、これはまた
居住者にとっては非常に不便なことがたくさん出てくるであろうと思われるからでございます。
詳しいことを申し上げる時間がないので省きますが、私
どもとしては、結局この
法案に対しては、これがほんとうに
居住者のためにプラスになるような会社になってほしいということから、以上の希望条件を申し上げまして、この
法案の通過に際しましては、ぜひ
一つ適当なる附帯決議、その他をお願いをいたしたいというふうに
考えておるわけでございます。
なお、去る三月二日に参議院の
建設委員会では、私
どもの
協議会から事務
局長の小沢君と渉外部長の可児君が
参考人として御
意見を述べさしていただきまして、参議院におきましてはやはり附帯決議をつけていただいておるというような
状態でございます。
最後に、私
ども現在
公団に住まっております者が感じますことを一、二申し上げたいと思います。
今現実に行なわれております新しい
団地の造成は、土地の入手難というようなことからでございましょう、どうもますます郊外の遠い方にばかり持っていかれるというような傾向がありまして、そのために入居者は
都心に通うのに非常に苦労いたしておるというのが
現状でございます。なぜもっと
政府は、
都心部に働く人間の住居を作ることに力を注いでいただけないのだろうかというようなことが痛切に要望されるわけでございます。そういうような観点から申しますと、まだまだ
都心にはずいぶん低い家屋もあり、あき地もたくさんあるように私
ども考えられるのでございまして、中心部における
住宅の増設というものもぜひお
考えを願いたいというふうに
考えておるわけであります。
なお心配されることは、今
公団がお
考えになっておられる、また同時に私
どもの要望として提出されておる、この第二会社で行なわれるだろうと思われる
事業の内容ということだけでは、会社として
運営いたしますにはある
程度の黒字が出なければならない。ところが、
託児所や
倉庫や集団電話というようなことで、はたして黒字が出てうまく
運営されていくだろうか、それらの
事業が継続されていくだろうかというようなことが非常に心配される点でございます。そういうような
意味から、現在大きな
団地でスーパー・マーケットなどは百貨等が経営しておるような
状態でございますが、私
どもは行く行くは、そういうようなものは直接第二会社等が経営していくというようなことによって、やはり適当に仕事を続けていかれるような
運営を
考えていただかなければいけないのではないか、この点にいささか危惧の念を持っておる、わけであります。
以上、大体申し上げまして御参考に供したいと思います。