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1961-03-22 第38回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十二日(水曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       大沢 雄一君    金丸  信君       徳安 實藏君    廣瀬 正雄君       松田 鐵藏君    山口 好一君       岡本 隆一君    栗林 三郎君       三鍋 義三君    三宅 正一君       田中幾三郎君  出席政府委員         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         参  考  人         (日本女子大学         講師)     小川 信子君         参  考  人         (公団住宅自治         会協議会会長) 川尻 連夫君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     挾間  茂君         参  考  人         (日本住宅公団         副総裁)    渡邊喜久造君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月二十二日  委員兒玉末男君及び田中幾三郎辞任につき、  その補欠として島上善五郎君及び玉置一徳君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十一日  県道人吉川内線の二級国道編入に関する請願外  一件(中馬辰猪君紹介)(第一六七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画に関する件  日本住宅公団法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  都市計画に関する件につきまして質疑の通告がありますので、これを許します。  中島厳君。
  3. 中島巖

    中島(巖)委員 今、陳情がありました補助二十四号路線について若干質問をいたしたいと思います。  実は私の手もとにオリンピック関連街路網図というのがあるのです。これによりますと、ただいま問題になり、陳情のありました補助二十四号路線というものは、この計画の中に入っておらぬ。しかるに、すでに実施計画も決定したという話であります。そこで、どういう経路をたどって、どういう必要があって、突如としてこの計画変更をしたのであるか。その間のいきさつを最初計画局長にお尋ねしたいと思うわけであります。
  4. 關盛吉雄

    關盛政委員 ただいま、東京都市計画街路のうち、補助二十四号線の計画についての御質問がございましたが、この路線はつとに都市計画決定が行なわれておりまして、事業化の時期といたしましても、現在の東京東西を結ぶ放射線、特にこの地区を経過するものといたしましては、放射四号線、放射五号線というものが大きな幹線としてあるわけでございますが、この幹線のほかに、その中間地帯通りますところの幹線補助線といたしまして、ただいまお尋ねのありました補助二十四号線につきましてもその事業化を特に必要とする事態になって参りましたので、これの事業決定をすることになりました。この補助二十四号線については、従前計画決定にかかる部分を、一部民地犠牲従前都市計画決定よりは少なくするための部分といたしまして、一部変更のありましたところもございますが、これを三十六年度からの事業といたしまして取り上げるということの必要性にかんがみまして、都市計画決定の一部変更及び事業決定をいたした、こういうのがその経過でございます。従前都市計画決定変更部分が起きましたので、特にこの路線につきましては、東京都市計画審議会におきまして特別委員会を作りまして、いろいろこの路線調査審議いたしました。審議会の中には、地元の区の区長なりあるいは議長も入っておりまして、この路線についていろいろ論議があったわけでございますが、そういう手続をいたしまして、事業決定を三月中旬にいたした、こういう経過になっております。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 これが妥当であるかないかというような議論は、時間がないし、しておるすきもありませんし、本日は住宅公団関係参考人も来ておるので、いずれまた機会を見て質問いたしたいと思います。  事業決定をした以上は、もはや動かす余地はない、こういうように当局としてはお考えであるか。この点をお伺いしたい。
  6. 關盛吉雄

    關盛政委員 この路線につきましては、ただいま申しましたように、つとに戦後都市計画決定が行なわれておったのでございます。しかも、この路線性格というものを、事業決定変更の御議論もありますので、若干敷衍させていただきたいと思いますが、この路線は、要するに先ほどちょっと申し上げましたように、東京都心部東西を結ぶところの重要な放射線を補っておる一つ幹線放射補助線でございまして、今の二十四号線というのは、権田原を通じまして明治神宮外苑通りまして、将来は環状二号線という都心交通ルートに結びまして、南北交通を結び補助号幹線と相並んで、重要な幹線中央部を抜ける放射線の一部となるべき性格を持つ路線でございます。ただいまの事業決定部分は、一部外苑関係につきましては抜けておりますので、直ちにそういう印象を地元にお与えしないかもしれませんけれども、そういう性格のものである。しかも、この放射線の全体としての交通量というものが非常に混雑いたしておりますので、急速に整備をしなければならないということから、この変更路線の方につきましては、民地犠牲が今までの計画に比べまして、個々に被害を受けます方についてはまことにお気の毒でございますけれども、全体としてその二分の一程度犠牲ということになりましたことと、現在の路線変更された部分が既定の街路の区域を拡張するという考え方に立ちまして、このような変更をいたしましたのがつい三月の中旬でございますので、この線に従って事業実施いたしたい、こういうふうに考えておるのが現在の状況でございます。
  7. 中島巖

    中島(巖)委員 いろいろ申し上げる時間がないので、ごく簡単に質問の点について答えだけ出していただけばいいと思うのです。  そこで、これは名目のいかんにかかわらず、オリンピック目的とした道路であるかどうかということが一点。  それから今、局長の答弁によると、どうしてもこの線をやらなければならぬという考えのようであるが、やるとすればいつから着手するのか。  それから、ただいまの陳情にもあったけれども、ほかの線などを研究したことがあるかどうか。  この三点についてお答え願いたいと思います。
  8. 關盛吉雄

    關盛政委員 特にこの路線オリンピックのことを目的として計画されておったのではありません。先ほど申しましたように、全体として東京放射四号、五号線と相並んで、その中間地帯における南北交通を処理するための都市計画街路として計画されておったのでございます。  さらに、この実施の時期等につきましては、昭和三十六年度を事業化の第一年度というふうに考えております。  なお、比較線等につきましては、従前都市計画決定、これは昭和二十二年ごろに全体としての都市計画決定がいたされておるわけでございまして、その事業化につきましていろいろ検討いたした結果、今のような路線として事業化を決定するのが適当ではないかという結論に達しましたので、そのような措置を行なった、こういうことでございます。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 三十六年度事業着手としますと、ことしの四月から事業着手になるわけですね。地元に対する説明会とか、そういうようなものはいつから開く予定であるか。その点をお伺いしたいと思います。
  10. 關盛吉雄

    關盛政委員 この都市計画決定につきましては、すでに御承知通りに、都市計画審議会の場においても十分調査、審議いたしましたし、また先ほど申しましたように、この路線計画並びに事業化につきましてはいろいろ御意見も出ましたので、東京都におきましては都市計画審議会特別委員会を作りまして、この路線計画事業化調査をいたしたのでございます。従いまして、その中には直接の住民方々が必ずしも全部入っておられるわけじゃございませんが、区議会代表者方々なりが委員として入っておられますので、事業化につきましてはこれから十分地元と話をする、こういうことになろうと思います。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 この線のいい悪いというようなことは別問題として、省でも、また都でも、こういうようなことを決定した。それから、地元代表の方もその中へ入っておる。今の局長お話では、そういうように了解したのです。  そこで、おそらく、それを認める認めぬということは別問題として、補償の問題が非常な重大な問題になると思うのです。ここで議論すべき筋合いのものではないと思うけれども、ただ住宅を持っておる者が移動するというような場合においては、普通の補償でいいでしょう。しかし、そこで営業をやっておる者に対する補償などについては、これは単なる直接の補償と、間接補償ということでないといけないと思うのです。(「あとでやれ」と呼ぶ者あり)あと三分しかないから、黙って聞いておってくれ。  そこで、たとえばダムなんかのときの公共補償の場合、五反歩持っておる者が三反歩を取られる場合に、普通の補償では、あとの二反歩でもってその生活が維持できないから、結局直接補償間接補償の二種類に分けまして、そして間接補償というような点を考慮に入れて、すなわち営業権なんかの問題を考慮に入れるというような考え方をしてきておるわけです。この市街地の補償なんかについても、そういうような直接、間接、二段がまえの補償なんかを考えておるかどうか。この点を、計画局長でも、あるいは東京都から見えておればその方々からでもいいが、お聞かせ願いたいと思います。
  12. 木村守江

    木村(守)委員 ただいま中島委員からの御質問でありまするが、陳情委員会が受けました際には、今までの例といたしましては、委員会でその陳情趣旨を検討いたしまして、しかる後にこの委員会議題として論議されたのであって、それが通例だろうと思います。陳情を受けて、即座にこれに対して質疑応答をするというようなことは、委員会として前例のないことでありまして、こういうようなことをいたしますと、今後議事の進行上いろいろ支障を来たす点が多いと存じますので、これは速記をなくしてもらいたい。そして、この問題につきましてはこの程度でやめてもらいたい。あと相談の上善処するのが至当だろうと存じますので、さようお取り計らいのほどを委員長にお願いいたします。
  13. 加藤高藏

    加藤委員長 木村委員からの御発議のようでありますから、あと理事会を開きまして善処したいと思います。  速記をやめて。   〔速記中止
  14. 加藤高藏

    加藤委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  15. 加藤高藏

    加藤委員長 次に、日本住宅公団法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  本日は参考人より意見を聴取することといたします。  御出席参考人を御紹介いたします。日本女子大学講師小川信子君、公団住宅自治会協議会会長川尻連夫君日本住宅公団総裁挾間茂君、日本住宅公団総裁渡邊喜久造君、以上の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人方々には、御多忙のところ本委員会に御出席下され、まことにありがとうございました。本案につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承ることができますれば幸いと存じます。  議事の順序は、まず参考人各位より御意見を承り、御意見開陳が終わった後、委員各位より各参考人質疑を行ないたいと存じます。  なお、時間の都合上参考人各位の御意見開陳は、お一人十分程度にお願いいたします。  それでは、小川参考人からお願いいたします。
  16. 小川信子

    小川参考人 私は、日本女子大学の家政学部の方の住居の方を専攻しておるものでございまして、いろいろと公団関係居住者の側からの調査、それから、建設の方より、むしろ家政学的立場に立ちました住宅の使われ方を中心にした団地状態について、いろいろと考えておりますことを述べさしていただきたいと思います。突然のお話でしたので、参考資料及び私自身非常に時間がなかったものですから、ふだん考えておることにととめさせていただくようになると思いますが、その点御了承をいただきたいと思います。  戦後、住宅難の時代から立ち上がりまして、住宅公団建設団地建設、それから集合住宅建設の動きが最近とみに活発になって参りました。初めはいろいろと問題もあり、私たち自身もずいぶん疑問になる点もございましたけれども皆さんのお骨折りと、その後の皆さんの研究の成果によって、最近の住宅においては、私は現状を見たわけではございませんけれども、承りますと、だいぶヨーロッパ諸国団地集合住宅あり方というものをお手本にして、好ましい形態に発展しつつあるように思うのでございます。  個々住宅建設することと、それから団地集合住宅建設することとの利点と得失のようなものをちょっと申し述べたいと思います。  現在の新しいいわゆる集合住宅というのは、一つの新しいコミュニティ形成の過程における日本では最初試みのようなものではないかと思っておるのでございます。戦前に同潤会のアパートがございましたけれども、それとは違った意味で、今度団地としての建設あり方というものは今までになかったものでございますので、その特徴というものをここではっきりとまだ申し述べることはできませんけれども、当然新しいものに対する試みにはいろいろな問題点が付属して参ると思うのでございます。その特徴は、個々解決しなければならない問題を、団地形成という共同施設という形でもってそれを作り上げることができる。ですから、個々の費やされる資金ないしその他いろいろのエネルギーが、そういう一つのまとまった形でよりよいものになっていくということが特徴ではないかと思うのでございます。私たちの住みます住宅の、住空間と一がいに申しておりますけれども、ある最小限のものから、余裕をかなり持ったぜいたくなものに発展していくと思うのでございますが、公団住宅の場合には、建設戸数その他の関係から、最低限の人間生活におけるスペースにとどめられているのじゃないかと思います。そのために、いろいろと問題が起こってくることは当然でありますけれども個々に持ちたいもの、個個に解決したいものをみな外に出さなければならないような実情になって参りまして、そういう居住者の側からもまた団地の中の共同施設あり方というものが非常に必要になってきているという実情でございます。そういうものをどのようにしたら快適に住むことができるかということを、私たちは当然考えなければならないのでございますけれども個々住宅ゆとりを求められない、必要なスペースが求められないということになって参りますと、それを外に出して、みんなの総意によるもの、みんなの意見を総合したものを建設していかなければならない、そういう設備を整えていかなければならないという方向に当然向かって参るようになっているのでございます。  共同スペースとして解決できるようなものというと、どういうものがあるかと申しますと、具体的に申しますと、集会所児童施設保育施設、小学校、市町村役場出張所警官派出所郵便局電話交換所診療所倉庫車庫、店舗など、団地形成をする場合には、個々住宅の中に必要なものを外に出すこと以外に、今度はある一つ団地としてのその住民に対するサービス機関としての施設というものもそこに必要になって参りますので、今申し上げたようなものが当然必要条件に入って参るものと考えられるのでございます。  今、本法案で問題になっております第三十二条の団地居住者の利便に供する施設というのは、そのようなものをさしているものと思うのでございますけれども、現在公団住宅で行なわれておりますそういう公共スペースというものが、はたして今申し上げましたようなもの、それからわれわれの理想といたしますようなものに建設されつつあるかどうかということを考えます場合に、いろいろと反省していただかなければならないこととか、公団自体の今までの性格からきますいろいろな問題点と一緒にからみまして、経営、それの設備運営がしにくいというような問題などがあると思われるのですけれども現状理想通りには決していっておりません。たとえば、今住民の中から一番要望されておりますものは、私が調査なとしたときに一番出てくる問題ですけれども保育施設ということなのでございます。それから倉庫とか、このごろはだいぶ居住者生活ゆとりができまして自動車をお持ちになる方があるものですから、車庫というような問題が大きくクローズ・アップされております。託児所建設保育施設建設ということは、だいぶ前から声を大きくして唱えられておりますけれども、これが一向に実現されていないということはどういうことかと、私ども常々問題にしておりましたが、公団本来の姿というものが建設事業にあったために、住民のいわゆる福祉のための施設というものになかなか管理運営の手が回らなかった。それが大きな理由じゃないかと思うのでございます。  それで、今回ここに出ております法案でございますが、今言いましたような事業内容が、片方公共福祉のため、片方建設事業という違う面がございますので、別に取り扱った方がいいのじゃないかということを私は常々考えておったのでございます。しかし、ここで問題になるのは、本来ならばメインテナンス、あるいはある団地に付随する施設というものは、公団自身でやっていただくのが一番望ましいのでございますけれども、今まで申しましたような点から、なかなか建設できないということになりますと、住民要求、それから団地自体のいろいろな維持運営の上から早急に必要とされているような現状にありますために、現状のままといたしますとますます混乱をして、なかなか実現されないのではないかというような気がいたしますので、事業体がどのような形態になるか、私自身専門家と違いますのでよくわかりませんけれども、要するに住民福祉のために、それから住民サービスを主とした皆さん意見が反映されたもの、そういうものを早急に作っていただきたい。公共施設運営、それから管理する事業体というものがまずできて、私の念願といたしますのは、少し乱暴な言い方でございますけれども、どういうような事業体でそれを運営しても一応はけっこうですけれども、その施設自身が一日も早くでき上がって、それの運営、それから住民福祉のために働いていただきたい、そのことが先なんでございます。その規模形態というようなものを考えますときに、ちょっとここでは一概に申し上げられないのですけれども住宅団地規模というものはそれぞれ違いますので、団地々々によってケース・バイ・ケースでもってきめられていくと思いますけれども、とにかくある一つの、これから建設される団地でもけっこうだと思いますけれども、どこかでまず試みて、それを基礎として作り上げていっていただきたい。  現在、ひばりケ丘団地という、千七百戸でしたか、大団地ができております。これは私もちょっと調査に当たったことがあるのですが、だいぶロケーションもよく、施設もある程度整ってはおりますけれども、この大団地の中で託児所を必要としておる人口は、子供人口の中で四〇%くらいおりますのに、託児施設というものが一つもないわけであります。集会所がありまして、そこでお母さん方子供たちを集めていらしたり、ヘルパーの方が子供さん方のグループ活動に参加して、いろいろと指導していらっしゃるというような形で、細々とやられているわけでございます。こういう実情を見ましたときに、集会所保育施設ができたらと私どもは思ったのでございますけれども保育室といいましても、保育するということ自体、もう少し違う意味がございまして、教育的な意味もありますし、それから幼児保育の場合は、幼稚園とか保育園とか、文部省なり厚生省なりの各行政官庁とのいろいろな連絡もございますし、とても複雑な問題がからんで参りますので、公団自身の今の事業内容から、そういうものを扱う場合にどういう問題が起きるか、またどういうふうにそれを処理していかれるかということになりますと、なかなか建設を見る機会がないのじゃないかというようなことが考えられるのでございます。具体的に今のような問題が、私自身去年、おととし調査いたしました間に考えたことでございまして、一番最近の例でございますし、新しく印象づけられたものですから、例として具体的にあげさせていただきました。  そのような状態にあります現状ですから、公団自身事業内容と切り離して、何かほかの事業形態ができ上がりまして、そしてその組織が運営されたらどうかというような考えをここに持っております。それで、この法案が出されてきましたことは、そういう意味で非常にけっこうかと存じますけれども、ただ、この運営その他の問題を今後御研究いただき、私自身いろいろと勉強させていただきたいと思います。そういうような次第でございます。  言葉が足りませんので、こういうところでお話したことがございませんので、不十分かと思いますけれどもあと質問にお答えさせていただきます。(拍手)
  17. 加藤高藏

  18. 川尻連夫

    川尻参考人 私は、公団住宅の各団地でそれぞれに結成をいたしております自治会が横に連絡をとりまして作りました自治会協議会というものの世話役をいたしておりまする川尻と申します。その協議会立場から、しばらく御説明を申し上げたいと思います。  御承知のように、住宅難解決のために政府住宅公団というものを作られて、相当な政府予算を回され、あるいは民間の低利資金を活用して、大いに住宅問題の解決に尽くしておられるという御趣旨はよくわかるのでございますが、われわれ現在その中に居住しておりまする者といたしましては、現実にその団地の中へ居住いたしてみますと、いろいろな問題があるわけでございます。各団地におきましては、それぞれ自分たち団地の直接の問題をいろいろ協議をいたしまして、それをそれぞれ公団営業所並びに担当の管理主任等相談をいたしまして、その解決に当たってもらう。同時に、御承知のように、団地というのはきわめて新しい日本地域社会であろうと存じます。たとえば、一度に千八百戸とか二千戸とかという戸数ができますと、そこにいろいろな人がどっと入ってくるわけでございます。大学の教授もおるかと思えば、非常に制限ぎりぎりの下級のサラリーマンの方もおられる。お医者さんもおられる。いろいろな種類方々が居住しておられますために、その居住者の中のお互いの生活を快適にしていくために必要な親睦と申しますか、そういうことがやはり非常に大切なものになるわけでございます。その親睦ということと、それぞれの団地居住者共同の利益のための要求を各方面に御折衝するという、二つの目的がわれわれの居住者自治会活動趣旨でございます。  現在、大体関東周辺に七十何団地あると思います。その約半数三十五団地、約二万戸が私ども協議会に参加しておるというのが実情であろうと存じます。毎日曜、私などは、新しい団地自治会を結成するから来てくれという御招請にあずかりまして、ついこの日曜には草加の団地、その前の日曜日には、上野台と申しまして、東上線で入ります上福岡というところにございますが、そこの自治会に呼ばれて参りました。というふうに、今も続々結成されておりますので、まだまだ参加してこられると思いますけれども現状といたしましては、やはりお世話役がおられないで、うまくそういうような自治会ができておらない団地もございます。しかし、われわれは始終そういう各団地におじゃまをいたしておりますので、大体いろいろな団地における居住者方々の御意見というものは承知をいたしておるつもりでございます。従いまして、それらの方々のお考えというものは、私の申し上げることとさして差はないものと御了承願ってけっこうだと思います。  次に、それでは、この自治会公団と現在どういうような関係にあるかということを申し上げてみたいと思います。現在この自治会は月三回、一回は公団の本所、一回は関東支所、一回は東京支所という、三回の定例的な会談をいたしておりまして、本所とは全般的な問題についていろいろ御質問をしたり、御要望をしたりいたしております。各支所に対しましては、各その地域内にあります団地代表者方々においでを願いまして、その団地における問題点を提出していただきまして、それを支所の責任者にいろいろ御要望したり、御説明を求めたりしておるというような状態にございます。  最近の問題といたしましては、私ども一番心配しておりますのは、固定資産税の問題等でお願いをいたしたことがございます。御承知のように、自治省の地方の各地元の自治体に対する通牒と申しますか、そういうようなことで、入居者の家賃に関係いたします地元の固定資産税の軽減ということが、団地ができました当初は行なわれておるわけでありますが、地元の市町村も財政上でそれほど楽でないところもあると見えまして、なかなか応じないところもあるらしい。これらは、このままでいきますと、なかなか居住者にも影響をしてくるのではないかというふうに心配をされるところでございまして、やはり将来、私ども居住者としても大きな問題として考えていかなければならない一つのテーマであろうと思います。  そのほか、最近非常に集団的な犯罪と申しますか、そういうようなものがちょいちょい出て参りまして、御承知のように、都心から離れました郊外に所在しておりますために、どうも警察力と申しますか、そういうようなものが不足しておりまして、団地の付近になかなか完全な、いわゆる交番とか駐在所とかいうものがない団地が一ぱいございます。そういうようなところは、犯罪が行なわれた場合にそれらに対処するような方法もないという状態に置かれておりまして、これらには大きな関心を持たざるを得ない。しかも、犯罪があった場合に、これを警察に連絡いたします電話の設備さえもなかなか現在では不足しておるような状態でございまして、こういうような問題は、ぜひとも一つ、今後団地における居住者生活が安心して営まれるためには考えていただかなければならない問題ではないかというふうに思っております。  こまかい、いろいろな修理とか改善の問題は、それぞれの時期々々に公団に対してお願いをしたり、御要望いたしたりいたしまして、解決をしていただくように努力をいたしておりますが、一番やはり居住者が切実にお願いをしておりながら、なかなか満たされないでおるというのが、サービスの方の部門でございまして、それが今日、この日本住宅公団法の一部を改正する法律案ということで提出されております。私どもはこれを俗に第二会社法案と申しておりますが、この会社で公団の方が考えておられますサービスの部門、すなわち公団事業としては、家を建てられるという方にはどしどし金を回してもよろしいということになっておるようでございますが、実際に入居いたしました者にとっては、そこへ入ってみますと、どうしても何とかしていただかなければならないような切実な問題があるわけでございまして、それらに現在の公団法においては資金を回していただくことができないという現状にあるということを私ども知るに及びまして、ぜひとも一つサービスの方に回せるような資金を何とか獲得していただきたいというふうに考えておったわけでございます。ばく然とサービス部門と申すとおわかりにくいと思いますが、今申し上げましたことでおわかりいただきますように、何といっても、電話がかからぬというようなことでは、入っております者がみな勤め人でございますので、会社を休むという連絡もできない。今夜はおそくなるよという、奥さんに対しての連絡もできない。子供が急病になった、あるいは産けづいたというような状態におきましても、非常に困ることが多いわけでございます。従って、急に郵政省でそういう飛び飛びの郊外の団地に電話を引くことが不可能であるならば、こういう新しくできまする会社などで、集団電話のようなものをぜひとも一日も早く実現してもらいたい。  それから、たくさんの人を入居させるという目的から、今できている住宅公団の建物におきましては、スペースがどうしても足りないものでございますから、結局少しずついろいろなものがふえて参りますので、物置がないのでございます。それで、倉庫をぜひとも作らしてほしいという要望が非常に強いわけでございます。  それから、入居者の方々にだいぶ若い方がふえてこられまして、同時に共かせぎの方などがふえてこられましたので、託児所建設が非常に要望されておるわけであります。  これらのこと等は、何とか一日も早く実現できるようにしてほしいというのが私どもの要望でございますが、それらを実現するような意味合いから作られたと思われます今回のこの法の改正に対しては、私どもはその内容についてはいろいろ意見もございますが、そういうサービスの機関ができるということについては、非常に望ましいことだと考えておるわけでございます。  あまり時間がたちますとあれでございますので、本日かかっておりますこの改正案につきまして、私ども居住者といたしましていろいろ検討いたしてみました結果、「居住者側の希望条件」というものを一応常任委員会においてきめまして、統一意見を作り、それを先日建設委員長のお手元並びに各委員のお手元にたしかお配り願っておると存じます。それを簡単にこの際説明さしていただきたいと存じます。   今国会に提出されている日本住宅公団法一部改正法律案に関して、本協議会常任委員会は検討の結果次の如き統一結論を得、改正に際し条件つき賛成をすることにした。株式会社組織になることは止むを得ないが、あくまでも居住者サービスに専念し、且つ居住者意見を尊重させるため、特に左の三点を条件として強調したい。   (1) その経営に当たり居住者の意志を反映させる目的で、居住者代表(即ち協議会代表)を経営に参加させるか、その他意志疎通機関を常置すること  お手元に差し上げたものは「参加させるか、若しくわ」というふうになっておると思うのでございますが、この条件を委員会に出しましたところ、やはり居住者の協力なくしてこういう経営会社はうまくいくわけがないのだから、それはもう少し意味を強めてもらいたいという条件がございましたので、そこを訂正しておきたいと思います。   (2) 新会社経営者の性格は、居住者へのサービスがその根本主旨であるから営利追及に陥らざるは勿論、団地を快適にすることに強い情熱を抱く民間人を選任する様に努力すること  これは新しくできます会社が、もうけることを目的とした、いわゆる辣腕家のような者に経営させることになってしまっては、結局居住者はまた食いものになるという結果になるので、その運営が非常に大切であると私ども考えているわけでございます。   (3) 新会社を急激に増大させ、日本住宅公団が当然直接担当すべき管理業務まで新会社に移行する様なことは絶対せざること  これは、私ども居住者としてこういう希望条件をつけます際に、こういうサービスというものは当然公団が直接担当すべきではないかという意見が相当にあったわけでございます。しかし、私ども、いろいろ検討いたしてみますと、やはりなかなか現在の公団においてはそこまで手が回らないということが考えられますので、こういう第二会社のようなものができて、そちらで大いにサービスをしていただくということに対して御賛成申し上げるわけでございますが、今度でき上がった新会社が、急激に現在行なわれておる管理部門の仕事をどんどん吸収していって、そしてほとんどの管理がみな第二会社の方に行ってしまうというようなことになると、これはまた居住者にとっては非常に不便なことがたくさん出てくるであろうと思われるからでございます。  詳しいことを申し上げる時間がないので省きますが、私どもとしては、結局この法案に対しては、これがほんとうに居住者のためにプラスになるような会社になってほしいということから、以上の希望条件を申し上げまして、この法案の通過に際しましては、ぜひ一つ適当なる附帯決議、その他をお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、去る三月二日に参議院の建設委員会では、私ども協議会から事務局長の小沢君と渉外部長の可児君が参考人として御意見を述べさしていただきまして、参議院におきましてはやはり附帯決議をつけていただいておるというような状態でございます。  最後に、私ども現在公団に住まっております者が感じますことを一、二申し上げたいと思います。  今現実に行なわれております新しい団地の造成は、土地の入手難というようなことからでございましょう、どうもますます郊外の遠い方にばかり持っていかれるというような傾向がありまして、そのために入居者は都心に通うのに非常に苦労いたしておるというのが現状でございます。なぜもっと政府は、都心部に働く人間の住居を作ることに力を注いでいただけないのだろうかというようなことが痛切に要望されるわけでございます。そういうような観点から申しますと、まだまだ都心にはずいぶん低い家屋もあり、あき地もたくさんあるように私ども考えられるのでございまして、中心部における住宅の増設というものもぜひお考えを願いたいというふうに考えておるわけであります。  なお心配されることは、今公団がお考えになっておられる、また同時に私どもの要望として提出されておる、この第二会社で行なわれるだろうと思われる事業の内容ということだけでは、会社として運営いたしますにはある程度の黒字が出なければならない。ところが、託児所倉庫や集団電話というようなことで、はたして黒字が出てうまく運営されていくだろうか、それらの事業が継続されていくだろうかというようなことが非常に心配される点でございます。そういうような意味から、現在大きな団地でスーパー・マーケットなどは百貨等が経営しておるような状態でございますが、私どもは行く行くは、そういうようなものは直接第二会社等が経営していくというようなことによって、やはり適当に仕事を続けていかれるような運営考えていただかなければいけないのではないか、この点にいささか危惧の念を持っておる、わけであります。  以上、大体申し上げまして御参考に供したいと思います。
  19. 加藤高藏

    加藤委員長 以上で意見開陳は終わりました。     —————————————
  20. 加藤高藏

    加藤委員長 参考人に対する質疑を行ないます。  大沢雄一君。
  21. 大沢雄一

    ○大沢委員 私は、今回の住宅公団法の改正で、従来事実上は行なっておられましたが、いわゆる付帯業務が公団の業務として明定され、従ってこの事業が促進される、あるいはまたいわゆるサービス業務に対する投融資が認められまして、それによって居住者の便利が促進されるということでありまして、私どもとしてはまことに時宜に適した改正であると、この改正そのものには賛意を表するわけであります。  今、小川さん、川尻さんから述べられましたいろいろな点で今後さらに一そうこの利便を増し、快適な新しいコミュニティとしての団地集団が形成されていきますように、政府におきましても一そうその面に力を入れてもらいたいということを希望するのであります。同時になお一つ、両参考人の方は触れなかったのでありまするが、私は団地に居住される方々親睦等につきましての自治協議会その他の御活動は非常に意義あるものと思いまするが、同時に団地の所在する地元の者との関係、また地元市町村への協力、こういうことにつきましてどういうふうに川尻さんなり、あるいはまた公団総裁なりがお考えになっておるか。それらにつきましてのお考えをまず承りまして、なお私の希望する点、お尋ねしたい点について二、三お話を申し上げたいと思っております。
  22. 挾間茂

    挾間参考人 ただいま大沢委員からの御質問につきまして、公団側として考えておることをお答え申し上げます。  住宅公団建設いたしております集団住宅は、大きく分けまして二種類になります。一つは大きな団地——大中小とございますが、大きな集団住宅。それから、既成市街地の改造を目ざす、既成市街地の土地の高度利用のために、俗にげたばき住宅と申しますが、下を店舗にし、上に賃貸住宅を乗っけるという行き方。これは大団地ではございません。やがてはその方向に、一ブロックの市街地の改造にまで進みたいと思いますが、現状におきましては個々住宅であります。  ただいまお尋ねになりましたのはいわゆる団地の集団住宅でございますが、住宅公団といたしましては、一面において団地に居住しておる方々が平和裏に、また親睦の度合いを増し、共通の利便のために、公団あるいは今回作りますサービス会社等の仕事によって幸福な生活を営めるというふうに進めて参りますことを念願いたしております。同時に、団地とその所在の市町村ごとに、その近傍の一般の居住者方々との連絡親睦ということも進めて参りまして、一つの広いコミュニティとしての生活が享楽できるようにして参りたいと思うのでありまして、それはわれわれ公団としても常に念願しておるところでございます。  自治会協議会自治会居住者方々連絡親睦機関でございますが、やがてはその団地生活というものと近傍の一般の町村の居住の方々とが融合、一致して、一つの大きなコミュニティとしての働きを十分に進めていくことができるように進めるべく、公団としても念願し、努力して参りたいと思っております。
  23. 大沢雄一

    ○大沢委員 ただいま挾間総裁から御方針を承ったのでありますが、御方針につきましては私もそうあらなければならない、かように考えるものでございます。新しいコミュニティを現在の既成の市町村の中に短期間のうちに作り上げまして、そして一つの快適な社会を作っていく。もとより、その居住者だけの中の融和、利便の増進ということも、むろんこれは当面大事なことでありまするが、同時に一つ地域社会の中の、ことにいわば外来の方が多いわけでありまして、既成の市町村あるいはその地区の部落、そういう社会との融和、協力ということなしには健全な自治体の発達は望まれないと私は考えるわけであります。現在往々にいたしまして、新しく公団住宅ができた地帯につきまして、地つきの市町村の人々が、いわゆるベッド・タウンの嘆きを非常になさっておるということも否定のできない事実である。私はかように考えるのでありまして、こういう点が解決されて参りませんと、今お話のありました、できるだけ都心部に近いところに公団住宅をさらに増設をしていくというようなことも、実際上は地元の協力を得るに困難ではないかということを、私は実情から憂えまするゆえに、この仕事の健全、円満な発達を念願いたします上からお尋ねするわけであります。  少しく具体的に伺います。私ども、府県市町村において行なっておりまする、たとえば福祉事業に対する共同募金、あるいはまた日本赤十字社のいわゆる社員募集、こういうふうな公共的な事業に対する協力が、それらの当局としてはいつも公団の地区においては得られない。事実、統計その他等を見ましても、他の地つきの地域と比較いたしますと、非常にそれらの率が低いということは否定のできない事実ではないか。もしそうでないとすれば、公団の方なり、あるいは監督官庁の建設省なりの方で、一つお調べを願えればわかると思うのであります。ややともいたしますと、公団居住者はインテリのりっぱな人々が多いのであります。地元に対しまする下水あるいは水道、道路、いろいろな面の要望につきましては、権利の主張につきましては、今の協議会等もある関係かもしれませんが、非常に地元の側からすればいろいろと御要望なされる。しかし、その反面、地元への協力という点については、非常に地元の意に満たないということで、嘆かれておるということを私は実際に見聞きいたしておるわけであります。こういう点につきまして、どういうふうに川尻協議会会長あたりは御指導なさっておられるか。また、どういうお感じを持っておられるか。伺いたいと思います。
  24. 川尻連夫

    川尻参考人 ただいまの大沢委員からの御質問にお答えをいたします。  ただいまの御質問趣旨は、日ごろ私ども団地のお世話役をいたしております者にとっては、やはり悩みの種の一つでございます。実際に申し上げまして、各団地地元の市町村との間が、必ずしもうまくいっておらないというのが現状であろうと存じます。何分先ほども申し上げましたように、新しい団地ができますと、そこに一斉に、ばらばらに住んでおられたいろいろの職業の方が入ってくるというような関係上、中に入っている居住者自体のお互いの親睦と申しますか、横の連絡と申しますか、そういうようなものも半年くらいかかりませんとなかなか融和してこない。大体そういうようなものがある程度の期間を経て、しかも共同の悩みというものが止まれてきましたときに、おれたち自治会を作ろうじゃないかというような自然発生的な希望が出てきて、そうして世話役がそれをとりまとめて自治会ができる、というのが大体の自治会発出のケースであろうと存じます。  そういうような状態でございますので、今度外部の地元の市町村との関連というものがとれるまでに時日がかかるということは、やむを得ない状態であろうと存じますが、私どもは、自治会の結成されました団地におきましては、あなた方も地元の町民であり市民であるのであるから、ぜひ一つ地元連絡をして、地元にもやはりできることは協力していくようにしようじゃないか、それでなければ相互の快適な生活というものはできないんだというようなことを、実はお話し申し上げておるわけでございます。しかし、御承知のように、マスコミなどからは、団地族といって半ばひやかし半分に言われておるような状態でございます。近ごろの若い方は、先ほどお話がありましたように、何よりもやはり御自分の意見、主張ということが先になり、またいわゆるプライバシーの主張というものが非常に強いものでございますから、周囲との協調とか、あるいは地元の市町村に対しての協調とかいうような気持がまだ十分でない状態に置かれておるということは事実であろうと存じます。ですから、私どもは、町村議会の改選とか何かのような場合には、その団地からも適当にそこの村議会なり何なりに議員さんを送るというようなこともいいのではないか。議員さんを送ってみますと、初めて地元の町村がどれほど財政に窮乏しておるかとか、あるいは地元に道路を舗装してくれというようなことを言っても、なかなかやってくれない。それらに対して、居住者はずいぶん不満を持つわけでございますが、地元立場というようなものもある程度わかるというようなことにもなるのではないか。  先ほどお話のございました赤い羽根募金その他は、私ども協議会に参加していただいておる団地におきましては、できるだけ一つ協力して集めてあげるように、また民生委員ども引き受けるように、いわゆる町村の末端行政のお手伝いも、ほかの地域における町会がやっておると同じように、お手伝いをしていくようにしようじゃないかということを申しておりますが、なかなか団地々々の性格によりまして、そこまでいっておらないところもある状態でございます。従いまして、これらにつきましては、自治省が公団なり何なりと御相談を願いまして、そこに入る居住者が、地元の町村とそういうような末端行政の連絡その他について、うまく協力ができるような何らかの方法をお考えいただけたらどうなのか、というふうに常々私は考えておるわけでございます。
  25. 大沢雄一

    ○大沢委員 川尻さんの御意見を伺いまして、自治会協議会会長として非常に穏健妥出な御意見を抱かれておるので、将来につきまして私は明るいような感じもいたすのでございます。どうかそういうお考えで、地元への協力、地元の市町村行政その他との協調という面について、ぜひ一つ一そう、自分たちだけのことでなく、考えを強めていただきたいということを申し上げまして、お願いいたします。  なお、私はこの点につきまして公団総裁にお伺いいたしたいのでありまするが、地元への、公的事業への協力というようなことを、非常に多数の入居者の中から選定されるのでありまするが、何らかそういう面について入居の際御工夫を願えるかどうか。入居条件、入居の条件という言葉が悪ければ、何かそういう面についての御工夫を検討していただくことが私はいいのではないかと思いまするが、そういう面についてどういうようにお考えになっておるか。総裁一つお伺いしたいと思います。
  26. 挾間茂

    挾間参考人 これはなかなかむずかしい問題でございます。御趣旨の点はよくわかりますが、入居の資格条件というものに加えるということは、かなり困難な問題ではないかと思います。各人の気持の問題でございますから、資格条件にするということは、ちょっとむずかしいのではないかと思います。  しかし、先刻お答え申しました通り住宅公団団地が、その地元の市なり町村と全く別個のかけ離れた存在になりがちであるということにつきましては、でき得る限りそれを一つの大きな地域社会の中の有力な存在として、その所在地の市町村の健全な発達に寄与されていくことを公団としては強く希望いたしておるので、そのためには、幸いに団地には自治会ができており、それを総合した自治会協議会もございますので、常にこの自治会協議会公団の管理部門とが連絡提携をいたしまして、住宅居住者のいろいろの希望を聞き、また、こちらとしてもそれに対する対策を立てるということにいたしております。精神的の、今お述べになりましたような点につきましても、十分連絡はとり、協調をするように、公団としても働きかけて参りたいと思っております。この地元公共団体と住宅公団団地とが融合一体となるということにつきまして、強い希望と念願とを持って進んでおるわけであります。何分にも多数の人が、また業種につきましても各種多様な人が入っておりますので、その融合一致ということに非常な努力を要します。さらに進んで、それが地元市町村との融合一致ということにも漸次進めて参りたいと思っておるのであります。ただいまのお尋ねの点につきましては、公団といたしましても十分配慮をいたし、検討を進めて参りたいと考えております。
  27. 大沢雄一

    ○大沢委員 私も入居の条件にするということは、いろいろな点においてなかなか困難な問題があるということは承知しておるわけであります。しかし、従来やはり団地の、あるいは公団住宅のPRをする際におきまして、入居者の利便、そういう面につきましてのPRその他はずいぶん行なわれておりまするが、地元との問題、今指摘したような問題につきましての心がまえといいますか、そういう点についてやはり公団として十分PRする余地がなおあるのではないか。そういう面についてのPRと心がまえとを書きましたものを私まだ見ておらないのでありますが、入ってしまってからよりは、入る前にあたって、十分そういう心がまえを持って、そうして公団住宅にお世話になるという考えがなお一そう必要なのではないか。そうでありませんと、私の現在住んでおります浦和、あるいは埼玉県南部、西部、それらにつきましては、市町村その他の当局から非常に苦情が多いのであります。私どもはむしろある場合においては、お前なんかが非常に力を入れてそういうものを持ってくるので困る、というような非常に無理解な、むしろつるし上げといいますか、そういうふうなことを実際いろいろな機会に受けるような実情でございます。国策に協力する点から、また福祉社会の建設という大所高所から、私ども地元に協力をするようにいつも勧奨して努力しておるのでありまするが、ぜひ一つ公団として、あらかじめそういう点について、入居する前に入居希望者に対するPRという点につきましても考えていただきたい、かように私は希望するものであります。  なお、公団住宅内に入っておりますスーパー・マーケットあるいは診療施設、それらにつきましても、地元の中小の商工業者あるいは医師会、いろいろな点を私ども実際には耳にするのでありますが、ぜひそういう点につきましても地元との協調ということを、公団目的を達成するその大きな目的の範囲内で、できるだけ一つ考えていただきまして、地元の地つきの商工業者その他のものが、公団住宅ができたためにという嘆きを訴えないように経営をされまするように、希望を申し上げる次第であります。  なお、ことに市町村からは、児童の就学の学校の建築その他につきまして、これまたずいぶんいろいろなことを聞きますので、今ここで個々の学校建築その他につきましてのことを詳しく申し上げませんが、できるだけこれらの点について地元の市町村財政なり何なりとの協調がとれまするように、この点につきましても、公団住宅の拡充とともにさらに一つ検討されまして、できるだけ協力をされるようにお願いをいたします。  私の質問はこれで終わります。
  28. 挾間茂

    挾間参考人 ただいまの御注意は大へんごもっともな点でございまして、私といたしましても第一段の問題につきましては全然同感でございます。現にさようなことも私は考えておるわけであります。公団に居住しておる方々に対する公団住宅における住まい力についてのPRということは、これは当然のことでございますが、一般に対する住宅公団性格、使命その他の点につきましてのPRということがぜひ必要なことであるわけであります。そのことは何らか適切な方法をもって進めたい思っております。現に私のところに、ある方面からさような方法をとることについてのアドヴァイスも参っておるようなわけでございます。その点、でき得る限りの方法を尽くしたいと思っております。  なお、地元の市町村との連絡、協力ということにつきまして、またスーパー・マーケットを設ける場合における地元の業者との連絡、提携ということにつきましても、現にそれは配慮しつつ施設についての施策を進めておるわけであります。  また、学校の建設等につきましては、お話通り団地所在の市町村の財政等につきましてはよく検討をいたしまして、たとえば小学校の建設につきましては市町村財政の関係もございますから、あらかじめ公団において建設をいたしまして、それを地元市町村に譲渡する方法をとっております。この場合におきましての公共団体の起債につきましては、公団といたしましても、自治省当局に対してその点についての特別の配慮をお願いするような手段をとって現在まで参っております。御希望の点につきましては、公団といたしましてもできるだけの力か尽くしたいと考えております。
  29. 加藤高藏

    加藤委員長 石川次夫君。
  30. 石川次夫

    ○石川委員 だいぶ審議の時間がおくれておりますので、簡単に質問をいたしたいと思います。従って、公団総裁も丁寧な御答弁をしておられるようですけれども、簡単に結論的な答弁でけっこうであります。  最初に、念のためにお聞きしておきたいと思うのです。新しい会社に投資されるのは、敷金の中の利子を充てるのだという御説明があったのですが、敷金としての金額と利子の金額をお伺いしたいと思います。
  31. 挾間茂

    挾間参考人 利子相当額でございます。御存じの通り、敷金に対しては利息は付さないという契約になっておりますが、しかし、公団としましてこれに利子をつけるとすればこれだけのものであるというので、その相当額の一部分を今回の会社に投資するというわけでございます。三十六年度におきましては、大体利子相当額が八千六百万円くらいになると存じております。そのうちの約二割を今回の会社に投資するという計画でございます。
  32. 石川次夫

    ○石川委員 そうしますと、これはなるほど契約が、利子はつけないという契約になっておるからでございますけれども、どこから資金を持ってきて運用しても同じことのようですけれども居住者の側からいえば、敷金の中の利子相当額を引き当てたという感じでございますから、端的にいえば、自分の方から要求して、おれの方でやるのだと言っても言えそうな性質の金額だと思います。もちろんそうは言わないだろうと思いますが、そういうことを考えて、やはり居住者意見というものは十二分にしんしゃくしなければならないと思うわけです。  それで、どういう形で居住者意見というものを反映させるかということについて、きょうは、川尻さんの方から出ておる要望書によりますと若干変わっておるようですが、経営参加及び意思の疎通機関を常置するというような希望が出ておるわけです。これをどういう形でやるかということにつきましては、まだまだ問題が残っておると思うのです。また、居住者意見だから全面的にこれを住宅公団では聞かなければならないということばかりにもいかない事情もあろうかと思います。ただ問題は、やはりこういう性質の金額でありますから、居住者意見を十二分に反映させるという心がまえで、十分に居住者代表の方と話し合って、いずれにせよ、了解点に達した点で意思を反映させることを具体化させるということだけは、ぜひお約束を願いたい、こう考えるわけです。その点で一つ総裁の御意見を伺いたい。
  33. 挾間茂

    挾間参考人 この会社につきましては、衆議院においてもいろいろ御意見がございまして、監督官庁としての建設省の指導監督のもとに経営をするようにやって参りたいと思っております。川尻協議会会長からの御希望もございますし、参議院の附帯決議もあり、石川さんからの御意見もございますから、この会社の運営につきましては、結局居住者の利便のための会社でございますので、その意思を十分反映して運営して参る方法をとりたいと考慮いたしております。まだ具体的にどのような形で進めるかということにつきましては、法案の御審議も中途でございますので、あまり先走って考えることもどうかと思います。御趣旨の点は十分考慮したいと思います。
  34. 石川次夫

    ○石川委員 ぜひそれは、居住者代表の方の意思を反映させるように、話し合いをつけながら進めてもらいたいということをお願いをいたします。  それから、付属機関、サービス機関の中で、小川先生の方から保育所ということがだいぶ強く主張されております。川尻さんの方からは、順序ですから重要度から言ったのではないかもしれませんが、まず電話、その次に倉庫、それから託児所というような御意見が出ておる。そのほかにも診療所がほしいでしょうし、あるいは売店というものもほしい。規模によっていろいろ考え方が違うかもしれませんけれども、大体どれとどれだけは最低限、団地を形成した場合には必要だというふうにお考えになるのか。そしてまた、その順位はどういうふうになるかという点を、小川先生と川尻さんに御意見があれば、この際、結論だけでけっこうですから、伺わせていただきたい。
  35. 小川信子

    小川参考人 私が保育施設と申しましたのは、いろいろな考えも同時にあっての上でございましたけれども、現在はスーパー・マーケットとか診療所とかいうものが、比較的公団の手によって作られているような状態でございます。保育施設はいろいろと監督官庁の関係もありましょう。いろいろな問題がありますので、作りにくかったという点もあって、あと回しになっていると思いますけれども最初のコミュニティの形成の上でいろいろと問題点がございまして、その住宅団地自身、またはその住宅団地のある周辺の町村との関係ということと一緒に考えますと、保育施設というのが、コミュニティを形成していく上に、ある意味の核になっていくのではないかというような気持が、私どもの研究の立場からあるものですから、私といたしましては割合にそれを上位に置いたわけでございます。と申しますのは、母親であります婦人方が、そこのお宅の御主人よりも一番長時間団地に居住しておるわけでございます。そうしますと、母親というものは比較的自分の子どもを中心としたいわゆる母性本能から発しました、それをもとにいたしまして、そこに集まりましたお母さん方子供を通しての親睦ということがまず考えられるのではないかと思うのでございます。そうしますと、母親の親睦を基礎といたしまして、団地運営、維持、それからいろいろと話し合いとかいうことが発生していく。これはいろいろと調査した結果、お母さん方意見でございますけれども、まずいろいろな生活環境の人が集まりまして、一番最初に話し合うことというのは、子供のことから何か親睦の糸口ができるというようなことを伺っておりましたので、コミュニティ形成の大きな点からも重要度を加えたわけでございます。それで、保育園が一番最初に必要ではないかというような考えが私の中にあったものですから、どうしても一番最初に申し上げたようなわけでございます。
  36. 川尻連夫

    川尻参考人 ただいまの石川議員からの御質問にお答え申し上げます。私が第一に電話の問題を取り上げましたのは、やはり居住者がほとんど勤め人であるということでございます。ほとんど大半の者が東京へ通っておる。ところが、できております団地がほとんど郊外である。今、地元方々の御苦心でだいぶ電話の施設ができつつあるようでございますけれども、何一つ考えましても、やはり現在の日本のように、仕事を多量に進めていかなければならないような社会の現状におきましては、連絡がとれぬというととは、いろいろな意味居住者にとっては非常に大きなマイナスになると思うのでございます。そういうような意味で、私は第一に電話の問題を申し上げたわけでございます。同時に、電話の問題が居住者全般の問題であるということで私は申し上げたわけでございます。  緊急度から申し上げますと、ただいま小川先生からお話のございましたように、お母さんの、ことに共かせぎの方々託児施設に対する要望は非常に強いのでございます。ただ、それは居住者の中の一部分ということでございますね。その点が私ども、どららを先にするかということになると問題だと思うのでございますが、費用の点、あるいは実現する条件、いろいろ勘案をしていただきまして、早くできる方から着手していただきたいというふうに考えております。  もう一つ、全般の者がやはり同様に早く何とかしてほしいと思っておるのが、例の貸倉庫の問題でございます。これは一部の人のように公団当局は考えておられるのじゃないかと思いますけれども、私ども最近方々団地に参りますと、とにかく物置がなくて因るという。今、物置がついておる団地もだいぶできてきておりますけれども、物置のない団地におきましては貸倉庫の要望が非常に強いようでございます。新しくできます会社も、これで了解いたしますと、それほど大きな資本金でございませんし、できたからといって、一度にどれもこれもできるというわけでもなかろうと存じますので、今、石川議員からのお話のように、緊急度の強いもので実現可能なものから一日も早く実現するようにしていただきたいというふうに考えております。
  37. 石川次夫

    ○石川委員 今の御意見は、一つ住宅公団自体としてもよくしんしゃくしてもらいたいと思います。そうなると、今、川尻さんからもお話のありましたように、利子相当額の一部分、この前は千八百万円というようなお話だったのでありますが、千八百万円では、今の緊急度の高いも低いも、とてもまかない切れないのじゃないかという非常な不安を持っておるわけです。この点について、総裁はどうお考えになっておるか。
  38. 挾間茂

    挾間参考人 発足当初におきまして、大きな組織を作るということは、いろいろの点から申しまして困雑な事情もございます。しかし、漸次仕事は拡充して参りたいと思うのであります。先刻申し上げましたように、利子相当額が八千六百万円、これは他の団地等についてのサービスもいたさなければなりませんので、この会社に投資するのは二割程度ということでございまして、千六百万円ということでございます。しかし、この会社の経費につきましては、民間の投資に仰ぐつもりでございますし、また、ある程度の借入金もいたしまして、当初の計画実施して参りたい。漸次仕事は拡充して参る考えでございます。  なお、御希望のありました緊急度の高いものから漸次作って参りたい。託児所のごときは、すでに十九団地から熾烈な要望もございまして、むろん一部の人の使用でございますがゆえに、公団自体としてこれを建設することはむずかしいと思いますので、そういう熾烈な要求のあるものから漸次進めて参りたい。貸倉庫につきましても同様でございます。
  39. 石川次夫

    ○石川委員 時間がたちますので、簡単に最後の質問を申し上げます。  今の電話にしましても、倉庫にしましても、託児所にしましても、団地生活する上に必要欠くべからざる最低限度の要求じゃないかと考えるのですが、それについて、千八百万円何がしの金額では少額過ぎるとだれもが考えるだろうと思うのです。従って、この資金のワクを拡大することについて将来大いに考慮してもらわなければならぬということをお願いしておきます。  最後に、ささいなことですけれども川尻さんの方から要望も出ております第三番目の、住宅公団が担当すべき管理業務が新会社に移管されては困るということが書かれてあるのです。この具体的な問題は一体どういうことなのか、私もちょっと判断ができないものですから、これは住宅公団総裁から伺いたい。新しい会社ができますと、これはなかなか運営が困難だと思います。採算をとるといっても、これはサービス会社という性格を持っておりますから、利益を上げるというわけにもいかぬ。かといって、まかり間違えば相当経営困難になるということで、これは相当情熱を傾けて、手腕、力量がないと運営が困難だという問題が重なって出てくる。で、将来の人選の問題でございますけれども、一部にいわれておりますように、住宅公団から横すべりを機械的にやるのだとか、失業救済的な人事になるのじゃないかというふうな心配をされておる向きもあるわけです。そういうふうな人事では、とても将来この経営を維持していくことは困難ではないか、こう考えるわけです。そういうことが絶対にないようにしてもらいたいということを要望し、またこれについて総裁の御意見があれば、一つ伺いたいと思います。
  40. 川尻連夫

    川尻参考人 ただいまの石川議員の御質問にお答えいたします。この第三の、公団が直接担当すべき管理業務まで新会社に移行するようなことは困るということを私どもが申しております内容は、現実に今、共益費というものを居住者は家賃のほかに公団に毎月一定額を納めております。それによって、たとえば水洗便所の敷設問題であるとか、ごみの処理の問題、日々の厨芥の処理の問題、その他各団地の中についております街灯でございますとか、その団地の中に住んでおるにはとうしても最低に処理していかなければならぬという問題が、共益費というもので処理されておるわけでございます。この共益費の中で処理されておる問題も、ある仕事によっては下請業者にまかされておるような実情も多々あるわけでございます。その他、実際には公団自体がもっと拡充してしっかりやってくれれば、たとえば水洗便所が詰まった場合、すぐにその業者なら業者に連絡してもらってその処樹をしてもらうということになっておりますけれども、それがスムーズにいかない場合もあるというようなことでございまして、むしろほんとうに生活に最低必要なものは、やはり公団が直接管理業務として強力にこれを処置していくということをやっていただくことが、入居者にとっては望ましいと考えておるわけでございます。そういう点で、やはりどうしてもやってもらわなければならぬそういう管理部門を、ぜひとも広げてもらいたい。私どもこの協議会を作りました当初に、そのことを公団に相当お願いいたしまして、管理に対しての予算をだいぶふやしていただいたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  41. 挾間茂

    挾間参考人 この会社の運営につきましての石川さんの御質問でございます。この会社がりっぱに運営されて居住者の利便を充足することができるかどうかという点は、一にかかってその会社の構成にあることと思っております。よく尋ねられることでございますが、先ほど御指摘になりましたように、この会社の人事等が失業救済になるとか、あるいは公団のおば捨て山になるとか、ないしは建設省のなにになるというようなことは全然考えておりません。この仕事の運営に対して情熱を持ちかつ経験の豊富な人を人選いたしまして、この会社の運営に当たるようにいたしたい。それには、今お話のございましたような点は全然考えておりません。
  42. 加藤高藏

  43. 山中日露史

    ○山中(日)委員 時間がありませんので、簡単に公団の方にお尋ねいたします。  今度の法案の改正で一番問題になったのは、私は三つあると思うのです。第一に、なぜ今度のような仕事が公団自体にできないのか、従来もやってきておったじゃないか。託児所とか倉庫とか車庫というようなものは今度初めてでしょうけれども、今までやってきた仕事まで全部新会社でやらせる必要はない。こういう点が一つ問題であります。  百歩を譲って、株式会社でやらせるかあるいは公益法人でやるかという問題があると思います。今までの説明で聞きますと、第二会社は株式会社ということだが、なぜ公益法人ではいけないのか。公団がどうしてもやれない理由と、株式会社でなければならぬ、公益法人ではだめだという理由を、この機会に明確にしていただきたいと思います。
  44. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 公団が従来やって参りました仕事、たとえば診療所を作りますとか、集会所を作りますとか、あるいは交番、あるいは役場の出張所、郵便局、いわば団地居住者全員の方の利便になるような問題、これは公団としても従来やって参りましたし、今後におきましてもこれは公団が引き続いてやって参る、こういう方針でおります。  問題になりましたのは、非常に要望は熾烈でありますが、しかし、必ずしも団地の全員の方の御希望というのではない。しかし、一部の人ではありますが、その希望は非常に熾烈である。たとえば、先ほど来お話の出ております死児所の問題でありますとか、電話施設の問題でありますとか、こういうものは、どうも公団自体がやることはちょっと、資金関係とかいろいろな関係がありまして、できかねますので、これは会社にやってもらったらどうか、こういうふうな構想でおります。  それから、公益法人でやったらどうか、あるいは会社でやったらどうか。この点につきましては、参議院でもずいぶん御議論になったわけでございます。公益法人というのは、形からいいますと確かに公益目的でできている法人ですから、いいんですが、実体問題として動きますと、かえって会社という方が責任の所在もはっきりしますし、収支関係も、もちろんはっきりいたしますので、どうも公益法人よりは会社の方がずっと性格的にはっきりした経営ができ、同時に、割に自由な経営ができるのではないか。こういうような考え方を持っておりますために、会社という格好をとることを御提案申し上げておるわけです。と申しますのは、たとえば資金の導入などに関しましても、会社でございますれば、民間資金もある程度導入できる。あるいは、公益法人になりますと、どうも寄付行為のような格好になりますし、民間借入金等におきましても、やはりおのずから元金の方が小さくなりますので、十分な資金の調達ができないのじゃないだろうか。こういうようなことも重なりまして、会社形態——といって、いたずらに利益を追求するというつもりは毛頭ございませんが、やはり会社形態の方がいいのではないか、かように考えておるわけであります。
  45. 山中日露史

    ○山中(日)委員 第二会社の民間の資金が一千万円ということを聞いておるのですが、この一千万円の民間の出資は、大体どういうところを予定しておるのでしょうか。
  46. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 具体的には、まだ実はどことも話し合いはしてございません。しかし、いろいろサービス会社の方でもって考えられます居住者方々に対する、換気ファンだ、やれ何だという問題がありますが、こういった施設も、御希望によってこれをするといったようなことも考えられますので、やはりそういった方面に関係のある会社といったようなものからも、ある程度の出資は仰げるのじゃないだろうか、かように考えております。
  47. 山中日露史

    ○山中(日)委員 住宅公団の入居者へのサービスが主眼でありますから、当然これは公益性を持っているわけです。株式会社でありますと、当然やはりそれは公社の性格からいって営利を目的とする会社で、利潤追求とまで言っていいかどうかわかりませんけれども、とにかく利益を追求する会社であることは間違いありません。そうすると、入居者へのサービスといったことになって参りますと、ほとんど利益ということを度外視した施設でありますが、こういった公共的な性格を持っておる仕事を営利を目的とする会社でやるということになりますと、それを公共性に合わせるためには、やはり配当とかそういった面についても、ある程度の制約を加えなければならぬとかいった問題が出てこなければならぬと考えます。そういった点は野放しで、ただ従来の株式会社でやっているようなやり方にこれは放任しておく考えなのかどうか。そういう点はどういうふうに考えていますか。
  48. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 資本は民間からも求めますが、少なくとも半ば以上公団の方の出資ということでやって参りたい。従いまして、その株主権等の運営によりまして、ここで御説明申し上げましたような趣旨運営によりまして、いわば営利追及に走るということがないように、むしろ会社全体がもともと入居者の利便のためということでできておりますので、その本来の目的を逸脱しないようにということについては、公団としましては十分配慮して参りたい、かように考えております。
  49. 山中日露史

    ○山中(日)委員 それはただの配慮じゃなしに、会社ができたときには、利益の配当等については、具体的に何かそれを規制するというような考えがあるのですか、ないのですか。
  50. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 定款の上とかあるいは何かで、どういうふうに具体的にやっていくかどうかというところまではまだ検討しておりませんが、しかし、先ほども申しましたように、いわば公団が最大の株主、かついわば会社の全体の意思を左右できる程度の大株主になるという姿の会社にいたしたいと思っておりますので、そういう方面を通じまして、今申しましたようなサービス本位の経営ということを実現して参りたい、かように考えております。
  51. 山中日露史

    ○山中(日)委員 第二会社が収益事業をやるようですが、そうしますと、一定の利益があるわけですが、その場合に、公団も出資しているのですから、公団もやはり利益については、率はどうかわかりませんけれども、ある程度の配当を受けるということになるのですか。
  52. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 普通の株式会社の形態をそのままとって参りますればお説のようなことになるわけでございますが、あるいはこれは民間資金等の関係も結びつきますが、後配株のような問題を公団資金についてつける必要があるかどうかといったようなことも議論になるのじゃないかと思いますが、もう少しこれは今後の検討を待って最後の腹をきめたい、かように考えております。
  53. 山中日露史

    ○山中(日)委員 もし、公団の出資で利益の配当を受けるということになると、私は大へんだと思うのです。大体これは敷金の利息を一部出資するわけですから、いわば入居者の金なんです。家賃の滞納がない場合には、明け渡す場合返さなければならない。敷金の利息は別ですけれども、その敷金から生まれる利息、それを出資して、そしてその出資した会社の利益をまた公団が受け取ることになると、結局入居者の金でもって公団がもうけることになるのでありますから、そういうようなことは私どもは全然すべきではないと考えております。その点は強く要望しておきます。  それから、従来敷金というのはどういうふうに公団では運営をしておりますか、敷金そのものですね。
  54. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 敷金は、一応公団資金計画全体の中に入れまして、そして、いわば公団の手持金という格好になるわけでございます。それで毎年政府の出資を受け、民間から借入金をし、あるいは低利資金を借りる、それでこれだけの金が要るという金が出ます。その中から手持金を差し引く。こういうふうなことでやっておりますので、いわば政府から出資してもらう金、あるいは民間から借りる金が、敷金相当額だけそれだけ少なく済んでいる、こういうふうな格好に相なっています。  なお、付言して申しますと、公団のやり方といたしましては、敷金につきましては、入居者の方には利子をつけないというお約束になっておりますが、一応敷金をお預かりしておりますし、その額も相当の額に上っておりますので、利子というわけではございませんが、いわば利子相当額という考え方で、その敷金総額の大体六%に相当する額を、これは公団の環境整備費というのに回しまして、公団が当初作りました団地に、まだ、たとえば木が足りない、緑が足りない、あるいは舗装が不十分である、こういったようなところの環境整備、そういった方面に従来使っておりました。その中の二割相当額を一応これに入れたい、こういう考え方でございます。  なお、どういうことになるか存じませんが、もしこの公団の出資に対しまして多少とも配当が出てくるとすれば、別にこれは公団自体のものになる、するというつもりよりも、むしろ公団環境整備費に充てるなり、あるいはさらにその出資の方の増加に充てるなり、そういうことにして回して参りますれば、入居者の方の御利益にも、別にそう矛属するようなことなしな運営ができるのじゃないだろうか、かように考えております。
  55. 山中日露史

    ○山中(日)委員 今度の法案では、敷金の利息を出資するということは明確になっておらないのです。ただ、公団の方の説明ではそういうのですが、やはりこれは敷金の利息を出資するということによって、その第二会社が入居者に対するサービスの責任が生じてくると思うのですから、法案の中に、この第二会社に出資する公団の原資が、敷金の利息であるということを明確にする必要があるのじゃないか。そういうふうに考えられるのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  56. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 第二会社の将来の性格とかいろいろな問題がございますので、今のところ、あまりそう限定的なことにしてしまうよりは、あるいは出資とか融資ができるという程度の少しゆるやかな条文の方が、将来のこのサービス会社の発展とにらみ合わせましていいんじゃないだろうか、というふうなつもりでもって、現在のところ、そういうふうに特に敷金の利息相当額に限るというような限定はいたしておりませんが、運営の行き方といたしましては、先ほど来申し上げている通りでございます。
  57. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そういたしますと、将来は敷金の利息でない、公団の他の原資からも出資するという考え方があるわけですか、どうなんでしょうか。
  58. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 現在、具体的にそういう考え方を持っているかということは、まだそこまでいっておりません。ただ、サービス会社の将来の運営というものと結びつきまして、さらに監督官庁といいますか、あるいは予算の方でもって許し得るということになれば、そういうことも考え得る余地があるんじゃないかというふうには考えておりますが、これはもう少しサービス会社の将来の発展、あるいは事業の範囲につきましても、現在一応当初はこう予定しているということ、それがさらにサービス会社そのものが発展して参りました場合におきまして、それをより広げ得るという問題が出てきますれば、またそれが予算上許すならば、そういう問題も起こり得るのじゃないか、かように考えております。
  59. 山中日露史

    ○山中(日)委員 それから、第二会社というのは、これは全国一本の会社になるのですか。それとも、その団地ごとにそういった会社を別々に作るというお考えなんですか。
  60. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 われわれの現在の構想では、どうも全国一本の会社というのは、かえってその地域々々の要請からちょっと遊離してしまうきらいがありはせぬかというので、あまり全国一本の会社はおもしろくないのじゃないだろうかと考えております。と申しまして、団地々々という会社になりますと、これまた小さ過ぎますので、たとえば東京地、凶なら東京地区——これは現在、私の方では主として東京都、千葉県、それから神奈川県、埼玉県、まあ私の方の管轄区域を申し上げさしていただきますと、東京支所、関東支所、二つの支所でやっておりますが、この辺のフロックでもって一つの会社にしたらどうだろうか。さらに大阪地区、これは大阪支所でやっていますが、これをワン・ブロックにして一つの会社にしたらどうか。それから名古屋、あと福岡に、これは数は少なうございますが、それぞれございます。これは独立した会社の方がいいか、あるいは名古津の地区は東京の会社の方へくっつけ、福岡地区は大阪の方の会社へくっつけた方がいいか、あるいは小さくても独立した会社にした方がいいか、これは今後の問題として検討させていただきたい、かように考えております。
  61. 山中日露史

    ○山中(日)委員 それから、ちょっと問題はこまかいのですけれども、今度の第二会社に入居者が委託する仕事の中で、住宅の小修理ということがあるわけです。これがやはり新会社の一つの収入になると思うのです。公団の方で住宅の修理をする場合には、これは家賃の中に当然含まれて計算されていると思うのです。従って、住宅の修理ということは、従来は居住者は金を出さずに、公団自体がやってくれたと思いますが、今度は、小修理はどの程度かわかりませんけれども住宅の修繕ということになって、それを新会社にかりに委託することになれば、取られるわけです。そうすると、その修理の限界、範囲というようなことで、常にこれは居住者と家主との間で問題になると思うのです。家賃を払っているから、当然家主がやるべきじゃないかということで問題になりがちなんですが、そういう点はどういうふうに考えておられますか。
  62. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 その点は、現在でも実は同じ問題があるわけでございます。居住者の方の、たとえば何か子供さんが間違ってガラスをこわしたとか、あるいは、いわば居住者の方の御責任で修繕すべき問題、それから当然公団がやるべき問題と、この二つは現在でもございます。修繕につきましては、現在では、公団がやるべき仕事につきましては、これは公団の方でもってサービス・カーを回す、あるいは特約の修理店をもちまして、そして修理をしております。それから、居住者の御責任で修繕すべき問題につきましては、サービス・カーあるいは特約店で修繕するほか、あるいは居住者の方が御自分でもって適当な方をお頼みして、そして修繕をしておる。公団サービス・カーあるいは特約店でやる場合におきましても、それが居住者の方の御責任である場合におきましては、居住者の方からお金をいただいている。これが現状でございます。  従いまして、そうした小修繕などにつきまして、サービス会社がやりましても、現在の公団が責任を持っておるものは当然公団が負担すべきもので、現在居住者に御負担願っておる分につきましてこのサービス会社がやる分が出てくるのではないだろうか、かように考えております。
  63. 山中日露史

    ○山中(日)委員 川尻さんにお尋ねいたします。あなたの方の希望条件の中に経営参加という言葉を使っておるのです。この経営参加という言葉は最近の言葉で、私どもの聞いておるところでは、まあ労働運動が非常に盛んになって、労働組合が経営者と団体交渉をして、労働協約で経営参加を認めさせる。こういうことで、労働組合が経営者との間の労働協約で経営権をかちとる。また、普通の企業体でありますと、株主になれば当然株主総会で発言をして、経営に参加するのでありますが、あなたのおっしゃる経営参加という形は、一体どういう形でその新会社との間の経営参加をかちとるのですか。その辺の考え方を伺いたいのです。
  64. 川尻連夫

    川尻参考人 「居住者代表(即ち協議会代表)を経営に参加させる」、こういうふうに書いてございますが、私ども考えといたしましては、とにかくこの会社が仕事をほんとうにうまくやっていけるかいけないかということは、やはり、入居者がそれに対して協力するかしないかということでずいぶん違うと私は思うのです。そこで、その会社の運営の仕方をやはりうまくしていただく意味で、だれかを常任監査という形で会社に送り込むというようなことを、常任委員会の諸君などは考えておる。この言葉のあれしております意味は、そういうことでございます。まあ、職員として入っていくとかどうとかいうことは、これは現実に皆様それぞれが仕事を持っておりますので、それらをなげうっても入っていくかどうかということは——大体、自治会の仕事をお世話していらっしゃる方は、どららかというと、そういうパブリックな問題に対して比較的熱意のある方であるということは事実であるわけでございます。そういう意味から、私どもは、公団が第二会社を結成された場合に、いろいろな人を職員として採用されるという実情になると思いますが、その場合に、やはり団地実情なり、あるいは実態なりというものに対して理解を持ち、情熱を持っておる人を採用していただくことが一番いいのであります。そういう場合には、こういうお世話役をしております協議会の人たちの中から職員として採用される、こういうようなこともあるいは考えていただいて一向差しつかえないのじゃないか、というふうに考えておるわけであります。
  65. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうしますと、従来公団自治会協議会が毎月定期にやっている懇談会というものではむろんないのでしょうが、監査役になるとすれば、株主にならなければならないのです。その職員になれば、ただ雇われるということだけになるのです。あなたのおっしゃる経営参加というのは、結局居住者代表の意思がその経営に反映することを念願しておるのだと思いますけれども、その反映させる方法は、それならば結局自治会でもって株を持つとか、何かそういうことで入っていかなければ、経営参加という実績は上がらないのじゃないかと思いますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  66. 川尻連夫

    川尻参考人 ただいまの御質問にございます、それでは株を持って入っていくという意思があるかどうかという点につきましては、現在、私の方の協議会の常任委員会ではまだ具体的に意思をはっきりきめてはおりません。従いまして、そこまでは踏み切れるかどうかということは考えておりませんが、現実問題としては、その運営のやり方について居住者の意思が反映できるような方法というものについて非常に強い要望がある。それをどういう形で実現していくかということについて、一応そういうような方法を考えてみようという程度でございます。
  67. 山中日露史

    ○山中(日)委員 最後に、公団側に要望しておきます。今度の公団法の改正につきましては、私どもは終局的には賛成をする考えでおるのであります。ただ、やはり問題になりますのは、居住者の利便を重点に置いてやっていかなければならぬことでありますから、利潤追求のような、営利本位のような会社が出てきて、サービスを忘れたことがあってはならぬと思う。  同時にまた、人事の問題につきましても、先ほどお話のありましたように、どうも公団とか第二会社というようなことから連想されますことは、何かおば捨て山みたいに、役人の古手が将来の安息の場所を縛るためにそういう機構を作る、つまり人のために機構を作るというような傾向がないわけでもないのでありまして、そういうおそれがないかということが今度の改正法案においても非常に疑問を持たれたのでありますが、そういうことが絶対ないように。  それから、今申し上げましたように、株式会社でありますけれども、その本来の目的はやはり公共性を持っており、サービス事業であるというところに重点を置いて、利潤追求に走ってサービスを怠るというようなことのないように、こういう指導監督というものが必要になってくるのじゃないかというふうに考えておるのでありまして、それらについては、将来具体的にいろいろお考えはお持ちになると思いますけれども、そういう点を十分に御配慮を願いたい。こういうことを特に要望いたして終わります。
  68. 加藤高藏

    加藤委員長 三宅正一君。
  69. 三宅正一

    ○三宅委員 時間がありませんので、ほんの簡単にお伺いいたします。  私は、千七百戸だとか二千戸だとかこういう、昔ならば何千年かかってできまする村作り、町作りのようなものを急激にやられます経過におきましては、いろいろの御苦心や困難があることも明らかだろうと思いまして、まことに敬意を払うわけであります。それだけ、新しい環境作り、新しい集団作りでございますので、少しは、やっておられると思いますけれども、私の感覚では、これは政府の方の問題になるかと存じますが、私の秘書が武蔵野の公団住宅におりまして、まだ電話がない。先ほど川尻参考人からお話がありました通り、何か用があるといっても、電話がない。本来ならば、こういう新しい村作りで、しかも農村などにおきましても、それぞれ納屋を持ったりいろいろいたしまして、大きな住宅によることがこれからいいか悪いかわかりませんし、そういうことの新しいアプライもできることになりますので、私はもう少し各省間の連絡が十分ついておるべきではないかと思うのであります。従いまして、公団住宅ができたら、たとえば郵政省の関係においても電話は必ず一緒にできておる、上下水道の関係も、自治省の関係になりますか、厚生省の関係になりますか、大体においてできておる、託児所もできておる。託児所などをこういう金で作るということでなしに、本来理想的な集団社会を作る上の一つの大きな国の施策といたしまして、一ぺんに一緒にできていくという筋がほんとうではないか。幼稚園などの問題だって、だんだん出てくるでしょうが、私立の幼稚園もできてけっこうだけれども、本来ならば、なるたけ金のかからぬ公立の幼稚圏、これは文部省の企画ですか、託児所ならば厚地省かもしれぬけれども、並行してできているという横の連携と新しい村作り、町作りの感覚でいかなければうそじゃないか。バスの関係にしたって、できたときにはバスが入っているという段取りが、運輸省その他の関係においてできている。こういうことでなければだめじゃないか。ベッド・タウンになってしまわずに、方々にできたら、職場に近いところの住宅交換なども積極的にやるというような横の連携、住宅公団もしくは建設省だけにまかせるのでなしに、横の連携がもう少しできておらないとうそではないか。本来、こういう仕事はこういう会社でやらなくとも、そういう連携ができておりますならば、国の施策として大体においてできていく性質のものではないかと思います。こういう点、私が不勉強で、実際うまくやっているというお話であればけっこうでありますが、もし、できておらなければ、将来もっとそういう姿勢をとってもらいたい。非常に大きな日本の改造運動でありますので、そういう点がどこまでできておるか、将来どういう気がまえでおられるか、その点だけ承っておきたいと思います。
  70. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 三宅委員の今お話のございました点は、われわれも全然同感でございます。従いまして、われわれといたしましても、そうした団地作りをいたします場合におきましては、まずもって下水道、上水道、それから道路、東京周辺でございますと大体私鉄を使っておりますが、その場合に私鉄との間に相当の距離があればそことのバス道路、あるいはバス交通、鉄道の問題、さらに進みまして診療所、付近に病院があるかどうか、あるいは適当な店舗が付近で利用できるかどうか、あるいは学校、この程度までは実は現在までやっております。  ただ、託児所の問題になりますと、いろいろ御批判はございますが、何分、村とかそういうところへぽかっと新しく持って参りますので、その村の財政でもって託児所のようなものをすぐ作ってもらうというところまでは、なかなかいきかねております。将来の問題としましては、そういった方面へさらにわれわれとしても努力して参る必要があろうと思います。また、これはおのずから団地の大きさにもよろうと思います。従いまして、既存の団地等につきましては村当局にお願いしても、実現につきましてはなかなか時日がかかるような様子でございますので、この第二会社によりまして、そうした非常に熾烈な要望を満たしていく必要があると思います。  横の方の連携をもっととるべきである、これは現在でもとっているつもりでございますが、しかし、われわれ自身から見ましても、たとえば電話などにつきましても、お話のようにまだ不十分な点があるので、今後の問題といたしまして、さらにこの辺につきましては十分連絡をとりましてやって参りたい、かように考えます。
  71. 加藤高藏

  72. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 問題は二、三点に集約されてきたように思うのであります。  要点は、この三十二条の二を作って公団が投資または融資をすることの規定を置いていることです。先ほど山中君からも質問がありましたが、融資であれば、金を貸すのでありますから債権者になるわけでありますが、投資となりますと、先ほどから話がありますように、株主になるわけであります。政府委員の御説明によると、三十六年度は公団は千八百万円、民間は一千万円を予想しているようであります。二千八百万の会社のうち、千八百万の株を所有するということになりますと、公団は大株主になります。みずから直接投資するので、ほかの者から投資させるのではないから、公団自身が大株主になる。大株主になれば、会社の機関を握るわけですから、従って、公団それ自身は企業はしないけれども、第二会社を通じて企業に介入するという結果になります。  そこで、公団法の三十一条には、業務としてここにちゃんと制限されて、それ以外の業務を目的としてはできないわけです。ところが、ここで三十二条の二を作って、子会社というものを通じてここに書いてある一つの企業に介入するということになるのですが、この法案を作成するときに、一体会社の業務を逸脱することになるのではないかというような論議は少しもなかったのですか。
  73. 渡邊喜久造

    ○渡邊参考人 建設省の方から御答弁申し上げた方がいいのではないかと思いますが、しかし、一応私の方も多少法案の作成につきまして意見を求められましたので、お答え申し上げたいと思います。  お話のように、公団の業務というものプロパーから見ますと、要するに多少別の事実が入ってくるわけでございます。従いまして、三十二条の二の改正が必要になってくるわけでございます。ただ、投資と申しましても、融資についても同じでございますが、無制限に投資をし、無制限に融資をするというわけではございませんで、居住者の利便になるための、こうした特殊な目的ということを限定いたしまして、そのためにだけ投資、融資をする、こういうことになっておりますので、公団成立の全体の趣旨から見ますと、当初のときはここまでやる必要があるかどうかという点は疑問がございましたが、公団が動き出してみますと、どうしてもやはりこういう点が必要になってくるということで、法律の改正をお願いしているわけでございます。
  74. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これは投資も融資も同じだというけれども、投資は株主になってその事業に介入していくのですから、債権者は株主です。融資は金を貸すだけです。証文をもらって金を貸す。事業には少しもタッチしない。ですから、融資をするということなら、これは事業体が全然別ですからいいですけれども、投資ということなら会社自身です。あるいは総裁が株主になるとか、あるいは部長をやるとか——肩がわりをしてよその者を株主にすることはおそらくできますまい。会社自身が投資するのですから、会社自身が法人として株主になる。そうしますと、この三十一条に限定された業務以外のものを会社自身間接にするということになるのですから、そういう点についての疑義がなかったかどうかということを私はお尋ねしたわけですが、なかったならなかったでよろしい。  私がそう心配するのは、最初のスタートは、公共性のある団地居住者に対するサービスということを目標としてスタートはするけれども、あれだけの大きな団地居住者を背景にして、企業がうんと発展していく可能性があるわけです。たとえば、参議院でお話ししたのは四つくらい、託児所倉庫車庫、集団住宅電話施設というようなことになっておるけれども、これがもっと発展していったならば、いわゆるマーケットのようなもの、あるいは映画館のようなもの、その他の企業形態にだんだんと入り込んでいくという可能性があるわけですから、今はそれでいいかもしれませんけれども、将来公団が投資をして、そうして一般の集団地を背景にして事業に介入していきはしないか。そういう投機的仕事にまで介入していくのではないかという心配があるから私は聞いておるのですが、この点に対するお考えはどうですか。
  75. 稗田治

    ○稗田政府委員 公団が投資をいたします団地居住者の利便に供する施設でございますが、これは政令で定めることになっておるわけでございます。政令の案としましては、現在のところは、託児所倉庫車庫及び集団住宅電話施設という四つに限っておるわけでございます。将来地域社会の成長とともに、またいろいろの利便施設考えられてくるかと思うのでございます。そのときにはまたこの政令の内容というものを再検討しまして、追加をするということがあるわけでございますが、ただいまのところは以上申し上げました四つに限っておるわけでございます。  それから、公団の業務の中に、ただ投資ができるというだけでは、第二会社と申しますか、それを通じて実際の企画に参画するという業務が条文上入っていないじゃないかというような御趣旨かと存じますが、従来の三十一条の四号のところに、「公団が賃貸し、又は譲渡する住宅及び公団が賃貸し、又は譲渡する宅地に建設される住宅居住者の利便に供する施設建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行うこと。」というのが業務の中にあるわけでございます。今回この投資をすることによりまして、この四号がさらに拡張されて実施されるということになるわけでございます。
  76. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 だから私は違うというのです。四号は「施設建設、貸貸その他の管理及び譲渡」をすることであって、投機的な仕事をすることができると書いてないのです。この一条の目的を見ましても、住宅建設に向かって進むということであって、私企業に向かって、これをできるということは書いてないということを私は言っておる。建設であり、管理であり、賃貸であり、土地の造成なんです。住宅建設なんですよ。それを、託児所をやったり、私が言うように、将来は映画館になっておるかもしれないということで、私企業に、まあ投資を目的でやるのですからいいけれども、投資をすればその企業体に入っていかなければならぬというので、これは間接公団目的に反するのではないか。そういう疑点が一つもなくて、ただ、すらすらとやっていったかどうか、ということを私は伺っておる。疑点はあったけれども、こうしてこれはこれでよかろうということであるならば、その配慮を私は買いますけれども、何ら配慮をしないで、公団目的から逸脱するようなところに投資をしていくということはどうか、という疑念を私は持ったから、伺っておるわけです。
  77. 稗田治

    ○稗田政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、疑念はなかったわけでございます。  なお、この公団住宅に住んでいる居住者の利便に供する施設というものにつきましては、政令でも指定することになっておりまして、今御例示にありましたような映画館であるとか、そういった私企業で現在充足されているようなものまでこの会社にさせようということはないわけでございます。なお、この出資の目的が適正に堅持されるために、出資または融資をする場合には、建設大臣の認可を要するということにいたしております。基本的な条件につきましては全部定めて認可をするわけでございまして、建設省におきましては、公団を通じまして、できましたこの別の機関が正常な運営をし、居住者のための利便、サービスとして徹底するように監督していくつもりであります。
  78. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 それでは、この三十二条の二を一つごらん願います。これは「公団の管理に係る住宅の存する団地居住者の利便に供する施設で政令で定めるものの建設若しくは管理」とありますね。これだけが政令で定めるものじゃないですか。よく読んで下さい。ここがあまり回りくどくて、はっきりわからないのですが、「住宅の存する団地居住者の利便に供する施設で政令で定めるものの建設若しくは管理」、ここで切って、それから次は、「又は当該団地の居住環境の維持若しくは改善に関する業務を行なう」として、この方は別に建設大臣が政令で定めるとは書いてないように私は思うわけですが、その点はどうですか。
  79. 稗田治

    ○稗田政府委員 第一の点でございますが、御指摘の通り、お述べになりました施設建設、管理というようなことについての出資の対象としまして政令で定めるわけであります。  なお、先ほど述べましたように、出資の場合に大臣の認可を得るというところで、認可権を通じまして基本的な要件等を定めまして、運営に誤りなからしめるという考え方でございます。
  80. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 その問題は明後日にお尋ねしますが、一点だけ申し上げます。  あなたの言われる政令で定めるものは、「当該団地の居住環境の維持若しくは改善に関する業務を行なう」というようなところには、かかっていないのですよ。そこで私は、どんどんいろいろなものが食い込んできやしないか、第二会社が発展をしていきやしないかということを心配するのは、「管理」「又は」で切ってありますから、これは条文の解釈ですから間違いのないように、明後日でもよろしいから、調べておいてもらいたい。この点を留保して、次会に譲ります。
  81. 三宅正一

    ○三宅委員 私は一点建設省並びに住宅公団総裁に承りたいのであります。  ともかく、焼け野原で、住宅難で、まず家を作らなければだめだということで作ったわけですが、かりに二千戸に近い団地ができましても、家だけできていいというものではない。住宅建設の費用と環境整備関連事業の費用の比率というものは、進んだ資本主義の国においても、社会主義の国においても、おそらくは相当な比率の金を出しておると思います。そうしなければ、社会としてりっぱなものができません。この点についての資料はお持ちになっておるかどうか。おそらくはお調べになっておるだろうと思うのですが、こういう団地を作りました場合に、住宅プロパーで投資いたしましたのが百億であれば、あと環境整備にやっぱり二百億くらいの金を出さなければ、りっぱな社会としては成り立たぬ。日本は貧乏ですから、なかなかそんなに理想的にいくわけはない。不十分なのは、今度第二会社でもって補おうということになっておりますが、こういう点について資料の提出をお願いしたいのが一つ住宅公団でお調べになった資料がありましたら、これも出していただきたい。建設省の方で住宅政策の根本としてお調べになった資料があれば、出していただきたい。  映画館なんかをまたやるのじゃないかというお話がありますが、私は、商業主義で、子供が見ては困るような映画を団地でやられるということよりは、むしろやや公的な性格のものを作ってやることの方がいいと思いますので、弊害さえなければ、相当大きな団地に映画館を第二会社が作るということについて、私自体はけっこうだと思います。さらに進んでは、たとえば自治会ができておりますけれども住宅環境整備利用組合とか、協同組合というようなものが自治体の中にできまして、そして自治体の管理において、ほんとうに子供にもいいような映画を見せる施設を作りたいというときには、やはり資金の融通をしたり援助をするようなことをいたしまして、地域の住民と国とが協力して新しい社会的な秩序を作っていくのだという感覚というものは、非常に必要じゃないかと私は思うのであります。  なお勉強さしていただきまして、それから、見せてもいただきまして、私ども議論をしたいと思うのでありますが、こういう点についてのお調べが今日までどの程度にあったか。それから、どんな理想住宅公団総裁として持っておられるか。今までは家を作ることが中心でしたけれども、今度はほんとうに日本の住居を快適なものに改良したり、不燃性にしたり、あるいは農村なら、ばらばらになっておるのをもう少し共同住宅的に、少なくとも作業場くらいは一本にして、大きな家を持って貧乏するような者をなくすというような一つの夢がないと、住宅政策でも何でもほんとうに進まぬと思うのであります。その点についてだけ承っておきたい。  それから委員長に、一つ資料として要求していただきたいことを申し上げておきます。
  82. 稗田治

    ○稗田政府委員 第一点の、各国が社会的な施策としまして住宅にいろいろの投資をいたしておるわけでございます。その中における居住者の利便に供する施設として、どの程度の割合で資本が投下されておるかというお尋ねでございますが、これらの点につきましてもわれわれ十分調査をいたしたわけでございます。御承知のように、わが国の一般の自治行政と申しますか、それと諸外国の自治行政との間にかなりの懸隔もございます。従いまして、公団住宅団地についてだけ、そういった一般の市民に対する施設を強化しなければならないということは、やはり均衡上多少問題があるわけでございます。しかし、現実の問題としましては、居住者の要望が非常に熾烈なものもございますし、またそれが納得できるわけでございます。そこで、その間隙があるところを、どういうようにして実現しようかということがこの法案考え方だったわけでございます。  なお、一例といたしまして、全般の説明にはなりませんけれども、諸外国におきましても、保険会社が住宅団地の中に集会所等を建設しまして経営しておるという例もございます。公団といたしましては、居住者の利便に供する共同施設としましては、現在のところでは、集会所でございますとか、当然設けなければならないというものにつきましては公団がやっておるわけでございます。今後とも、その施設につきましては拡張していきたい。  ただ、公団だけが居住者の利便に供する施設を全部引き受けなければならないかどうかという問題につきましては、若干疑義もあるわけでございます。そこで、一応現在やっておりますような共同施設につきましては公団がこれを担当し、それ以外の居住者の利便に供する施設というものにつきまして、可及的すみやかに実現できるようにということで、このような案を考えたわけでございます。
  83. 挾間茂

    挾間参考人 ただいまの、非常に高度の理想住宅公団の使命としてお考えいただくことは、大へんありがたいのでございます。ただ、現在住宅公団政府低利資金または民間の資金を導入いたしまして事業をいたしております内容は、住宅建設、宅地の造成並びにそれの管理ということになっておりまして、その他の経費は予算の上で計上することができないわけであります。りっぱな設備をたくさん作って、そして理想的な経営をいたしますためには、結局それらの経費がその住宅に住まっておる人々の家賃にかかってくるわけでございます。現在、情けないことでございますが、今の家賃でもなお高いではないかというお話もあるわけでございます。行く行く国民の所得がずっと増して参りまして、そして、団地にもりっぱな施設ができるというような負担能力が一般の国民にできることになりますれば、漸次設備理想的に進んで参ると思いますが、現在におきましては、遺憾ながら限られた経費でいたしております。従って、一例を申しますと、託児所のごときは、本所の管理部等には団地居住の婦人方から非常な熱望がございますが、ないそでは振れないので、ほんとうに困っておりますが、第二会社を作りまして、公団の経費と負担においてなし得ない、しかし、いわば最小限度のそういう福利厚生施設的なものをこの第二会社の運営でやっていく。こういうわけでございまして、三宅委員からのお話の点については、共鳴はいたしますが、現状においてそこまで参ってない、こういうわけであります。
  84. 三宅正一

    ○三宅委員 私も今の公団に対する金の割り振り、そういうことはわかっておりますから、それは、火急のときに焼け野原の中に住宅を作らなければならぬというときには、バラック建てでもしようがないのですけれども、もうこの段階になりましたらば、国がそんなことをして中途半端なものを作るのではなしに、もっと前進させなければいけない。従って、出す金は、ただいま住宅局長も言われた通り、地方自治体と国との関係はそれぞれ違いますから、どこから出すとか、いろいろの観点があるだろうと思うけれども、関連費と住宅プロパーとどれくらいの比率になっておるか。それは調べると言っておられるのでありますから、今は何もないと言ってよろしいでしょう。それで、イギリスではどうなっておる、どこではどうなっておるということ、あるいは一体資本主義の国と社会主義の国とどう違っておるとか、そういう点を今私は承りたいと思うのです。もし、ここに資料を持ってきておらぬというお話であれば、あとから資料として出していただきたいと思います。それは、われわれが来年度の予算を、大蔵省などを説得いたしまして要求するのに必要なことでありまして、やはり役所だけでできるものではない。やはり建設委員会というものは、大きな日本住宅政策の見地から世論を喚起しなければだめですから、そういう意味で、御協力申し上げたいという見地に立ってお願いしたわけです。  それから、今申しました環境整備協同組合というものを団地が作りまして、もちろん団地住民自分たちの環境をよくするために一定の負担をすることは当然であります。それから、かりに千五百軒の村におきまして、村自体の税金では足らぬで、国がつぎ込んでおる金というものは、多年にわたって大へんな金です。私は、託児所や幼稚園くらいのものを作りますことは、古来から村に国が財政交付金や補助金の形でどれくらい出したかということの累計におきまして、出す根拠は明らかにあると思うのであります。そうしなければ、不良少年を作ったりいろいろして、団地を作ることによって隣の地域と仲が悪くなったらかえって弊害を来たすと思いますので、資本主義プロパーの考え方でなしに、協同社会主義とか、あるいは社会主義国のいい点などを取り入れていかなければだめだと思うのでありまして、そういう点について大まかな資料があったらここで御説明を願いたい。あるけれども、まだここに持っておらないというならば、ほんとうに参考になる資料を住宅公団においても、政府側においても、資料として出していただきたい。私は次年度からの住宅政策の中心というものはそういう点にあると思いますので、その用意で質問をしておるのですから、そういう点についての御答弁をお願いしたいと思います。
  85. 稗田治

    ○稗田政府委員 ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、この次の機会に提出いたします。
  86. 中島巖

    中島(巖)委員 今、三宅委員から話のあったことと私の質問は同じことなんですが、千数百戸の団地というものがある。現在山の中の小さい村なんか、一カ村で三百戸、五百戸というものが幾らでもあるのです。これは非常な大規模なものです。そこで、今の段階では、住宅だけ建てるということではなしに、その他のことも考えてやらなければいけないと思うのです。  これはイギリスのニュー・タウン政策ですが、五十万とか八十万とかいう町をこしらえるわけです。ニュー・タウン政策の中心は、ニュー・タウンの中心にまっ先に道路なり軌道なりを入れまして、その中心に教会であるとか、あるいは百貨店であるとか、郵便局であるとか、学校というものを建てて、それから始めるのです。従いまして、千数百戸にわたるところの団地を造成するについては、一番まっ先にその中心地に郵便局を建てていくとか、マーケットをこしらえる。こういうような計画最初に織り込んでなさねばならぬ、こういうように私は考えるわけなんです。先ほど公団総裁から、予算の措置からいろいろのお話があった。それはごもっともだと思いますけれども、そういうようなことをお考えになったことや研究されたことはあるかどうか。ないとすれば、御所見はどうであるか。これを建設省の方と公団の方と——きょうは公団の首脳部も見えておりますので、時間が非常におそくなりましたけれども、この一点だけを質問いたして、構想を聞かしていただきたい、こう思うわけです。
  87. 挾間茂

    挾間参考人 団地を経営いたします場合に、公団といたしましては、その内部の施設についても、公団としてでき得る限りのことは考慮し、実行しておるわけであります。たとえば道路、上下水道、ガス等はみな設備をいたしまして、道路につきましてはメーン・ルートその他のおもなルートは全部舗装をいたしまして、そこに住まう人はその道路を利用し、また上下水道もございますので、文化的な生活ができる。また、公共施設につきましても、御存じの通り、大きい団地になりますと、大体千戸以上になりますと小学校が必要でございます。大都市でございますれば自分で建てますけれども、町村財政等で困難である場合には、団地の児童の小学校を建設する。大きな団地になりますと、中学校を建設したのもございます。それから、町村役場が遠い場合には、そこに出張所を設けておる。また、警備のために巡査の派出所も設ける。郵便局も設けますし、また、家賃の収納等について必要な場合には、収納日の前後にはそこに銀行から出張いたしましてこれらをするというようなこともいたしますし、また団地の人々の購買を考えますと、その団地の近所に店舗等が十分あるときは別でございますが、ない場合には、そこに店舗を建設いたしまして、それを賃貸する、あるいは分譲する。大きな団地にはスーパー・マーケットも経営するというようなことにいたしまして、公団としては団地の経営には、現在われわれの考え得る、また財政的になし得る最大限度の設備はいたしまして、団地を経営しておるのであります。
  88. 稗田治

    ○稗田政府委員 将来の問題といたしまして、住宅建設する場合に工業と結びつきました新しい都市を建設するというようなことで、現在英国がロンドンのまわりに八つほどの都市をやっておるわけでございますが、そういう方式も今後は考えていかなければならないのではないかというように考えております。  ただ、英国におけるニュー・タウンについて申しますと、人口三万ないし五万程度のニュー・タウンというものを十年近くかかって建設しておる。非常に着実ではございますけれども、ステップ・バイ・ステップで、長い時間をかけて建設しておるわけでございます。従いまして、ロンドンのまわりにおきましても、ニュー・タウンの建設によらないで建てておる住宅団地もたくさんございます。日本の今日の産業の成長の仕方と申しますのは、英国などに比べては非常に飛躍的な、かけ足で成長しておるような状態ではないかと思うのでございます。従いまして、英国のは職業紹介までしまして、ニュー・タウンに人を連れていって、そこで定着をさせるというような方式でやっておりますし、またニュー・タウンに工場を建設しておるわけでございますが、その工場等につきましても、あまり公害の発生しない工場に限定して、新しい町作りをしておるわけでございます。そういった考え方を、将来日本も取り入れていかなければいけないというように考えておりますけれども、今日、日本のように、非常に急激な産業構造の変革にあたりまして、ニュー・タウン形式だけでも無理ではないかというように考えておるわけでございます。  なお、住宅団地建設しました場合に、いろいろの共同施設が必要でございますので、それにつきましては、当然公団が担当して建設していくのが適当であるというものについては、われわれとしましても今後大いに拡充していきたい、かように考えております。
  89. 加藤高藏

    加藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間御苦労さまでございました。いろいろ貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。     —————————————
  90. 加藤高藏

    加藤委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  討論、採決は次会に譲ります。  次会は明後二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会