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1961-02-10 第38回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月十日(金曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 加藤 高藏君    理事 木村 守江君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 松澤 雄藏君    理事 石川 次夫君 理事 中島  巖君    理事 山中日露史君       綾部健太郎君    大沢 雄一君       徳安 實藏君    二階堂 進君       丹羽喬四郎君    岡本 隆一君       實川 清之君    日野 吉夫君       三鍋 義三君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  高野  務君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         建 設 技 官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月八日  委員片山哲辞任につき、その補欠として西村  榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策に関する件      ————◇—————
  2. 加藤高藏

    加藤委員長 これより会議を開きます。  建設省関係重要施策に関する件につきまして調査を進めます。  先般、大臣及び各局長より聴取いたしました昭和三十六年度建設省関係予算等説明に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  中島巖君。
  3. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣にお伺いいたしますが、池川内閣予算編成は今回が初めてであります。そこで、池田総理内政面基本政策といたしまして長期経済政策、すなわち所得倍増論を打ち出しまして、所得倍増計画池川内閣経済政策基本方針であるわけでありますが、その中におきまして、施政方針演説におきましても、あらゆる格差解消、特に地域格差解消というようなことが、施政方針演説速記を見ましても六カ所ぐらい出ておるわけであります。そこで、この公共事業を担当しておる建設省施策といたしましては、池田内閣所得倍増計画に伴うところの所得格差解消地域格差解消、こういうものが当然大幅に盛り込まれておるべきだ、こういうように考えるわけであります。  そこで、第一の質問といたしまして、池田内閣所得倍増計画に対するところの建設省の基本的な予算編成の態度、こういうものに対するお考えを伺いたい、かように考えるわけであります。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 お説のように、池田内閣といたしましては、いわゆる所得倍増政策を進めることになりまして、できるだけ所得格差是正についても、業種別または地域別にいろんな施策を講じて努力をしていくという方向に進んでおるわけでございます。これに伴いまして、建設省といたしましては道路あるいは治水関係を含めまして、大いに公共事業の推進に努力をいたしまして、できるだけその方向に順応して参りたいということで、今回の三十六年度予算編成に臨んだ次第でございます。そのような結果、財政の都合やいろいろな関係で、十分とは参りませんが、御承知のような予算編成措置を講じましたような次第であります。私どもといたしましては、その精神に沿って、今後この予算執行に万全を期して参りたい、かように存じておる次第でございます。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 今、大臣答弁されたことは、池田さんも予算委員会なんかで言われておる答弁と同じだ。  それから、公共事業関係、ことに建設省関係において大幅な予算増加になった、これは認めるわけであります。ところが、この十カ年の長期経済政策を立てるについては、結局十カ年後にはどうなるのだというような青写真があってしかるべきでありますけれども、私も、前の特別国会におきまして自民党愛知揆一君、それからわが党の河野密君等と総理との一問一答の内容をお聞きしたり、また速記録でも調べたわけでありますけれども、具体的な政策に非常に欠けておるわけであります。そこで、具体的の政策は何かということになってきますと、建設省予算関係なんかで、第一年度においてそういうような方向が打ち出されてしかるべきだ、こういうように私は考えるのであります。確かに予算は非常な膨張を来たしておりますけれども、その内容において所得格差解消に何ら役立つような予算配分が行なわれておらぬ、こういうように考えるわけであります。  そこで、具体的な問題といたしまして、建設省関係道路予算でありますが、これは事業費千六百何十億というような数字を出しておりますけれども、実際においては一千何一億かの財政投融資なんかを含んでなっておるわけであります。これらの計算方法についても、またあとで局長なんかにもお伺いしてもいいと思うのです。基本的の問題として、しからば、二千何十億かの道路予算を本年度計上したのでありますけれども、この中で具体的に所得格差解消のためにどの点にこれを流しておるか、こういうような点について御説明をお願いしたいと思うわけであります。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 三十六年度予算執行分野をどういうふうにするかということにつきましては、目下事務当局中心になりまして、いろいろな角度から検討中でございます。ただ、道路のみで所得格差是正を期するということも困難でございまして、かような角度から、かねてから建設省構想を持っておりました広域都市建設というようなことも、産業立地条件と見合いまして企画をいたしまして、この点については、まだ初めての構想でございますので、予算額は千二百万円というまことに僅少な金額でございますが、この広域都市建設についての調査費予算化されたわけでございます。わずかではございますが、この調査費を活用いたしまして、そういった構想を進めまして、産業立地条件に合ったところの各地点広域都市を建設する、そして産業分布状態をよくしていくというようなことにつきましては、実は初めて調査費がつきましたような次第で、これから調査をいたしまして、今後の道路整備計画といたしましても、こういう企画ができて参りますのに伴いまして、努めてそれに合致したような道路整備計画を進めていきたい、かような考え方に立っておるわけでございます。とりあえず、三十六年度予算につきましては、まだそういった構想調査がまとまっておりませんから、現状に即しまして、できるだけ各国道あるいは主要地方通等につきまして配分をよくして参りたい、かような考え目下検討を加えておるような次第でございます。
  7. 中島巖

    中島(巖)委員 実は、予算委員会なんかにおける総理大臣答弁、それから施政方針演説、これらの内容を伺ってみますと、所得格差をなくするために、愛知揆一君質問に対しても、くどく言っておるのですが、工場分散政策をとるのだ。工場分散政策に対する具体的な方針としては、固定資産税を免除するのだとか、あるいはその他税制の上において工場がそちらに向くようにするのだ。こういうようなことを総理ば言われておるわけです。総理財政畑の出身の方で、そう言われるのも、もっともだと思いますけれども、それ以上に必要なことは、そういうところへ立地条件を作成するということが一番重要な問題であって、この立地条件の作成はどうしても公共事業費を大幅に取り扱っておるところの建設省なんかで基本的な方針を立てていただかないといけないと考えるわけであります。私はまずもってお断わりしておきますが、別に政府施策をここでもって非難するとか、攻撃するとか、こういう立場ではなしに、非常に建設的な立場でいろいろと大臣に御考慮を願いたい、こういう考えで申し上げておるわけであります。  大胆の耳には大へんお聞き苦しいかもしれませんけれども大臣がたびたびかわられるのですね。従って、腰を落ちつけて池田内閣政策なんぞを予算の面に現わしていくということが今までも非常に少なくて、ただ、在任中事なかれ主義でいけばいいというふうにわれわれとしては見えてしようがないのです。しかし、強力な政策を遂行するのはやはり大尉でなければいかぬわけでありますから、そこで、特に中村建設大臣に申し上げるのです。自民党としても大幅に政策を転換しまして、所得格差解消というような言葉は、今までの政界に、経済界にほとんどなかった言葉であって、これが施政方針の中で五たびも六たびも出てくるということは非常にいい傾向だと思うのです。しかし、問題は、それを実際に政策の上に、予算の七に現わしていくかどうかということが一番の問題なんです。そこで、今の大臣の御答弁は、初年度だからこれというあれもないけれども広域都市計画なんかを始める、こういうことを言っておられる。そこで、私は初年度であってもこれだけの大幅な道路予算が組まれたのであるから、ぜひ踏み切っていただきたいと思う。広域都市計画というようなお話がありましたし、それから、かつて大臣沿岸工業地帯開発促進法ですか、あの法案説明にもこの席で立たれたことがあったように私、記憶しております。それから、これは主として建設省計画周経済企画庁の関係だと思いますけれども、名前はちょっと忘れたのですが、東北開発法案なんか4出まして、あれによって幾多の国策会社を樹立したわけでありますが、これらがほとんどボロ会社になっちゃって、収拾のつかないような状態に現存あることは御承知通りだと思う。そういうように、東北一部分を開発しても、それが有終の美をなさぬ、目的を達せぬという原因はどこにあるかと申しますと、これは交通政策の問題だと思います。たとえば、山形なりあるいは秋田なり一部分にそういうものをこしらえても、山形秋田そのものが中央と直結するような高度な交通政策を立てねばならぬ。たとえば広域都市法を施行するにあたりましても、そういうような施策のない限りはだめだ、こう思うわけです。  一つの例をあげてみますと、私のところに諏訪郡というのがありまして、上諏訪、下諏訪、岡谷の三市になっておりますけれども、ここは東京にわずか四時間くらいで来れるようなところです。諏訪湖の湖面は海抜七百メートル以上あります。従いまして、八百メートル、九百メートルというような高いところに、今カメラだとか写真だとかいう、非常な精密工業の、千数百人もおるような工場が数多くできまして、そしてそこへ農村子弟は通う。それから、海抜約千メートル近くに原村というのがありますけれども、これも工場子弟が通う。それから高原野菜を栽培する、あるいは冬は寒天をやるというようなことで、軒並み百万以上の預金を持っておるというような状態で、現在は長野県下の各地から工員を募集しても、諏訪にはもちろんありますけれども、それでも足りなくて、九州や東北の方で工員を募集しておる。こういうような状態であるわけです。従いまして、これがいわゆる池田さんの言う所得格差あるいは農村人口を削減するという方向の姿だろうと思うのです。それは、ただいま申しましたように、税の上の恩典とかいうことでなくして、交通機関が非常に東京に近い、こういうような関係で、そういう現象を見ておるわけであります。  従って、どうしても交通政策の上から、いわゆる所得地域格差解消、これはどうしても建設省が踏み切らぬとできぬ問題なんです。従いまして、本年度増額されたこの道路予算において、どうしてもこの方面へ踏み切っていただきたいということと、それから五カ年計画はこの地域格差解消の線によって策定すべきである、こういうように私は考えるのでありますが、建設大臣の御意見はいかがでありますか、お伺いしたいと思います。
  8. 中村梅吉

    中村国務大臣 工場地方分散をはかりますのには、いろいろな立地条件があるわけで、ただいま御指摘のように、水資源を非常に必要とする工場は、やはり水資源の豊富なところを立地条件として求める必要があると思います。今、お話のように、固定資産税あるいはその他の優遇措置というものも誘致の一つ条件でありますが、確かにもっと根本的な問題は、交通機関中心である道路及び貨車能力、こういうような鉄道関係というものが中心になってくると思うのであります。従いまして、今後の建設省施策といたしましては、努めて御指摘のような方向に進めていく考え方に立ってやっていきたい、こう思っております。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 くどいようでありますが、この際、中村建設大臣は腹をきめて、そして池田内閣所得倍増計画、すなわち地域格差解消あるいは都市農村所得差解消、これに対しまして、政府の内部において根本的な政策を立てて実行のできるという立場におる人は、膨大な予算を預かるところの建設大臣よりほかにないと私は思うのです。政府の方でこういうような方策を打ち出した以上は、中村建設大臣はここでもう腹をきめて、大幅にその方へ踏み切って、そして池田内閣の大きな公約を実現できるようにすべき立場の方は、あなたよりほかにないと思う。従って、あなたは司法大臣になられたり、大臣にはいつでもなれる方ですから、その大臣になるという以上に、ここで踏み切って、池田内閣基本方針の肉づけをして、総理の言われたような方向に向けられる立場の人は、どうしても建設大臣よりほかに私はないと思う。そういう立場において、建設省にはなかなか優秀な、どっちに向けても優秀な役人の方がたくさんおるのですから、十分腹をきめてやっていただきたいというふうに考えるわけなんです。  そこで、道路整備五カ年計画内容を拝見いたしたのでありますが、五カ年計画において総額二兆一千億にするのには、自民党の諸君もなかなか御苦労願ったと思います。ところが、本年度予算関係を見ましても、一級、二級国道をこうするとか、ああするとか、こういうことでありまして、道路政策らしいものは何もない。これは旧来の道路改良だけのことであって、とにかく政策的なものは含まれておりはせぬ。これは道路政策ではなくて、道路修理と同じことなんです。どこに道路政策らしいものがあるかというと、何にもないと私は思う。ところが、大臣の御説明の中に、先行的な道路政策をやるということを大きく初っぱなに打ち出してあるわけです。先行的な道路政策というものはどういうものだか、大臣御存じだか、御存じであるとすれば、どこに先行的な道路政策が出されておるか、それをお伺いしたいと思います。
  10. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知通り公共事業、ことに道路などにつきましては、どうも今日まで経済成長に並行してくることが、国の発展期でありまして、経済力財政関係等があった結果ではございますが、並行してきていない。経済成長の方が先に行ってしまっておるというような姿に私も感ずるのであります。ここで、公共投資増強を打ち出しました池田内閣のもとにおきまして、何とかこのおくれを取り戻して、先行に進みたいというのが考え方でございます。従いまして、今度の五カ年計画におきましても、結局二兆一千億ということに落ちつきましたが、まだまだこれでは不足なんだと私は思うのであります。ただ、しかしながら、工事能力とか、あるいは用地取得でありますとかいう諸般の関係考えますと、理想は大きく持つべきでありまするけれども、かりに予算措置が幸いできたといたしましても、これを実施するにはいろいろな困難が伴いますから、長期十カ年間の所得倍増計画を進める上において、最初の五カ年計画くらいはこの程度でがまんをしなければならないのじゃないか、かように思っております。この範囲で極力過去のおくれを取り戻し、公共事業先行の姿をとりたいというのが私ども考え方でございまして、先般の御説明の中にも、実はその考え方として織り込んだような次第で、今後極力その方向に向けて進んで参りたいと思っております。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 これは、大臣お読みになったんだが、建設委員会における施政方針演説の中に、「先行的道路投資を行ない、産業経済の基盤を強化し、国民生活の向上に資する必要があります。」こういうお話で、これはもっともだと思う。そこで、先行的道路投資ということはどういうことかという意見は、いろいろあるだろうと思いますが、道路が狭くなったから、交通が非常に激しくなったから、これを拡幅したり、改良したりすることは、これは後進性道路政策でありまして、これは先行的だとは言えぬと私は思う。先行的というのは、道路政策でもってほかの産業なんかを興こす、こういうような立場で行なうところの道路投資先行的な道路投資というのだろう、こういうように私は解釈いたしておるのであります。ところが、この見出しには先行的の道路投資を行なうということが響いてありますけれども、本年度予算内容を見れば、一級国道の拡充だとか改良だとかということだけで、先行的の道路投資を行なっておりはせぬ、こういうように私は考えるわけであります。従って、池田内閣のいわゆる所得倍増計画、さらにその所得倍増計画の骨をなすところの、いわゆる地域格差解消、それから工場地方分散、こういうようなものを含めて、相当なその方面に対する構想投資というものが行なわれてしかるべきじゃないかというように私は期待をいたしておったわけでありますけれども、これが本年度予算面において何ら現われていないことを非常に遺憾とするわけであります。  それで、先行的の道路投資といいますと、いわゆる産業立地条件交通によって作り出すことが、先行性道路政策だと思うのです。そこで、これは非常にむずかしい議論になりますけれども、たとえば、実はここにもありますけれども経済審議会におきまして、国民所得倍増計画というものを、昭和三十五年の十一月一日に発行しております。これなども目を通したわけでありますけれども、この中の倍増計画は、いわゆる東京周辺あるいは中京周辺大阪周辺福岡周辺、この四つの工業地帯中心として所得倍増計画を行なう。いわゆる太平洋工業ベルト地帯とでも申しますか、こういう構想を発表してあるわけなんです。それから、建設省予算そのものを見ましても、この線に沿って行なわれておる、こうとしか考えられないのです。道路政策においてもそうであるし、それから港湾の政策においてもそうであるし、都市計画事業においてもそうである。これでは所得格差解消ではなくして、所得格差がますます激しくなる、私はこう考えるわけなんです。これらの立地条件の備わったところは、ほっといてもできるのです。従って、それらを公益事業でもって適正な施策を行なっていけばいいのであって、やはり政府の重点を置くのはこの先行性道路政策である、こういうように考えるわけなんです。そこで、この経済審議会におけるところの答申案に対しまして、自民党愛知揆一君が、これではますます所得格差が拡大するところの答申案じゃないか、しかも五年間これを中心にしてこういう政策を行なっていけば、ますます所得格差が開く、こういうことを総理質問しましたら、総理は、この答申案なるものはあくまで答申案であって、私も全面的に賛成することはできない、こういうような答弁であったわけでありますけれども建設省としては、これに対してどういうような御方針を今後おとりになるか、これをお伺いいたしたいと思います。
  12. 中村梅吉

    中村国務大臣 考え方としましては、中島さんの御指摘のような方向考え方を置きまして、進めて参りたいつもりでございます。ただ、三十六年度、五カ年計画初年度といたしましては、また脱衣の都市及び重要地点を結んでおります一級国道、二級国道、こういう国道はいずれも重要地点を結んでおるものでありますから、これらの今整備をはかりたい。これは要するに、今の都市状態、大都市状態はもう行き詰まって仕方がない。この行き詰まりを打開する、後進を取り戻すということでございますが、その他の国道関係につきましては、むしろまだそれほどに輻湊していないところでも、やはり各車要地点立地条件をよくするために、これを整備しようということを一つのポイントといたしまして、また、そのほかの地方道等におきましても、できるだけ産業分布状態をよくしていく方向に力づけていきたいという角度で今後の実施をはかりたいと思っております。だんだんとこれが進んで参りまして、また、先ほど申しました公益投資建設に関する調査が整って参りましたら、この調査に結びついた道路政策というものを具体的に盛り込んでいかなきゃならぬと思いますが、そういう調査も完了しておりませんから、その方の調査を三十六年度からようやく着手をする段階でございますので、とりあえず今申し上げたような方向道路整備をはかっていきたい、このように、考えておる次第であります。
  13. 中島巖

    中島(巖)委員 今、大臣から、非常に都市交通が輻湊して、やむを得ず後進性道路投資を行なわなければならぬ、こういうお話があった。これはごもっともだと思うのです。  そこで、お伺いすることは、東京が世界一のマンモス都市になってしまって、どうしても動きがとれぬ。動脈硬化状態になっておるわけであります。これは毎日の新聞をごらんになっても、ラジオをお聞きになっても、至るところで交通地獄の惨状を呈しておる。大阪においてもそういうことが言えると思うのです。ところが、イギリスなどは一九三二年にすでにロンドン工場を設置することを制限したり、人口の入ることを制限して、そうして例のニュータウン政策をとりまして、そうして一九三二年には地方都市計画法を出しており、一九四六年にはニュータウン政策、新都市法を出すとか、工業配置法を出すとかいうように、ロンドン人口の集中するのを極力押えて、四十キロ、五十キロの離れたところに八つの都市計画を立てて、そうして新しく工業地帯を造成する。さらに都市開発公社であるとか工業施設会社であるとかいうような公団を設けて、そうして大幅な政府投資を行なって、ロンドンへ集まるところの工場だとか人口とかを分散した政策をとって、現在この政策が非常に大きな役割を果たしておるという状態なのです。ところが、日本では首都圏整備法その他によって、浦和やその他の周辺人口分散をはかっておりますけれども、これは、何と申しますか、一種のベッド・タウンと申しますか、寝泊まりするだけでありまして、都市中心へどんどん人口は集中するという状態で、この動脈硬化を、今、大臣の言われたような後進性交通政策でなくいたしまして、根本的にこれを解消をはかるような方法を、もうとるべき時期が来ているんじゃなくて、すでに過ぎておると思うのです。こういうことに対して、政府はお考えになったことがあるか。あるいはお考えになったことがあるとすれば、どういうような御意見がかわされたか。これをお伺いいたしたいと思うわけであります。
  14. 中村梅吉

    中村国務大臣 この点につきましては、まことにごもっともなお考えで、私どもも全く同感であります。さきにできました首都圏整備法というのは、東京のマンモス化しております状態是正しようというねらいで制定をされまして、制定以来、東京から離れた地区に衛星都市を建設すべく目下着々進行いたしておる次第であります。まだスタートしましてから二、三年でございますから、十分の具体化ができませんが、これもお話のような方向に実は進んでおるわけであります。同時に、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、首都圏整備法施行後に、東京及び東京周辺既成市街地に対する制限措置を講じまして、工場及び学校等——法律の名前は工業等という「等」で、してあるように思いますが、工業等制限に関する法律というのを作りまして、目下十分とは申せませんが、一応の制限措置を講じて、できるだけそういった人口の集中する要因になる工場学校等を、これ以上東京に集中させないように配慮いたしますと同時に、衛星都市を建設しまして、そちらの方に工場及び人口ともに定着をして、引きつけようという政策を具体的に進めておるようなわけでございます。  そのほかに、先ほど申し上げました建設省構想として考えて、三十六年度ようやく調査に着手することになりました広域都市建設というのも、これは日本全国にまたがっての、要するに首都間整備と似たような方法で、いわゆる地方に産業人口ともに定着をした都市建設をやりたいということが一つのねらいでございます。まだそういうような構想も始まりまして早々でございますから、具体的に成果を上げる段階になっておりませんが、私どもといたしましては、この考え方を強力に進めて参りたいと思っております。
  15. 中島巖

    中島(巖)委員 また話はあとに戻るようですが、池田内閣所得倍増計画、これは私、十分可能な問題だと思うのです。それはどういうことが一番の原因であるかと申しますと、全世界で、日本みたいにこんな勤労意欲の高い、働く国民は私はないと思います。それでいて、賃金はアメリカの十分の一、ヨーロッパの三分の一、四分の一というような、いわゆる低賃金でもってうんと働いて、頭がよくて、手先が器用で、それへもっていって農村が耕作、反別が非常に少なくて、零細農業であって、従って産業予備軍が充満しておるわけでありますから、これが各国と対等の貿易が結ばれるとすれば、おそらく十年間に所得が倍どころじゃない、三倍にもなるだろう、私はこういうように考えておるわけであります。従って、かりにその他の内閣においても、政府施策さえよければ、なお池田さんの所得倍増計画以上に伸びるところの素地は私は十分にあると思うのです。こういうような観点から見て、いわゆる池田さんの所得倍増論、その根底をなすところの地域格差解消、それから動脈硬化になっておるところの都市に対してどんな政策を打つか、これは非常に重大な問題であると私は思うのです。  そこで、たしか特別国会のときだと思いますけれども建設大臣に、道路政策において公債を発行する意思はないかというようなお話をしたら、そういう時期にきておると思いますが、大蔵省やいろいろの関係でできない、こういうようなお話があった。従って、私の考えといたしましては、自民党の諸君も非常にお骨折りを願って、相当膨大な道路投資を行なうということになりましたけれども、今お話がありました通り、これだけの金額では現在の輻湊した通路の改良だけで一ぱいであって、いわゆる先行的の道路投資というものは行なわれないのだ、そういう点もあると思います。しかし、ここらで踏み切って先行的な道路投資をしたり、そしてマンモス東京解消して、工場地方分散をどういうふうにしてするかというようなところにきておると私は思うのです。それから、かりに道路公債を発行いたしましても、これに要するものはセメントであるとか、鋼材であるとか、人力であるとか、こういうもので、内地にあり余っておるのでありますし、それから、これが完成の暁においては、ガソリン税その他の償還資源が十分あるのでありますから、この際さらに思い切って道路投資を行なって、ただいまの後進性道路政策先行的の道路政策、あわせて日本の経済の拡大とにらみ合わせて、さらに飛躍的な交通政策をお立てになるようなお考えが、別に政策として決定したわけではなくても、大臣としておありかどうか、この点をお伺いいたした
  16. 中村梅吉

    中村国務大臣 今お話がありましたように、道路建設ということは一つ産業発展の基盤をなすものでありますから、これがために若干の公債政策等をとって悪いはずはないように個人としては考えております。さような角度に立って予算編成段階でも主張いたしたのでありますが、現存の日本の財政当局の考え方としましては、道路公団や何やらが公団債とによって建設をする、こういう範囲のことはやむを得ないとしても、国がみずから実施をする国の事業に公債政策をとるということは、健全財政を堅持する上から適当でないということで、私どもの希望は実現しなかったわけでございます。しかし、今後ともこれは私ども一そう研究いたしまして、関係方面とも話し合いを進めて参りたいと思います。  同時に、公団の道路整備というものを、できるだけ先行的なものにすべきじゃないかというお考えにつきましては、全く同感でございます。ただ、財政との関係、あるいは経済政策との関係において盛り込まれております五カ年計画のワクというものがすでにきまりました以上は、この範囲内でできるだけその考え方も織り込みつつ配慮して参るよりいたし方ない、かように思っておる次第で、考え方としましては、全く同じ考え方で私ども努力をして参りたいと思います。
  17. 中島巖

    中島(巖)委員 今、公債の話で、健全財政というお言葉があったのですが、健全財政ということはインフレにならないことが健全財政だ、私はこう考えるわけです。従いまして、国の生産力の伸びと、それからその事業そのものが借款になったり、外国から物資を入れたりするということが一番問題だと思いますけれども、そういうような観点から見まして、道路事業はほとんど国内のもので間に合っておりまして、償還資源があるのでありますから、これがためにインフレになるおそれはない。従って、どうしても建設省などが先に立って踏み切って、政府を動かしていただかねばいけない、こういうように考えるわけで、私見を申し添えておくわけであります。  それから、ただいま大臣から道路公団のお話が出たのでありますけれども道路公団に対しましては可検討する時期がきておるのではないかと思うのです。すなわち池田内閣地域格差解消という大方針が立った以上は、この大方針に沿って道路公団の事業を進めていくべきが当然だと私は思う。たとえば、公団法の規定によりまして、道路公団でもっていろいろな事業を策定いたしまして、それで建設大臣がこれに認可する、こういうような規定になっておるわけであります。これらも建設省でもっていろいろな起案をして、そうしてその起案に基づいて道路公団に仕事をさせるようにするのは当然だと思う。従って、今までの道路公団の仕事を見ますれば、ほとんどその八〇%が温泉だとか、何とか山だとかいうような観光道路ばかり。それから伊豆の下田なんか、今大きな事業を進めておりますけれども、あれらは民間の電鉄会社がすでに乗り入れることがきまって、工事に着手している。こういうふうなところを民間と競合して開発するより、やはり国の基本方針であるところの高速国道みたいなものに全力を集中すべきだ、こう考えるわけであります。それについては、いわゆる公団法の一部改正をしまして、これらの計画立案は建設省でやる、こういうことが当然である。私はこういうように思うわけでありますが、大臣のお考えはいかがでありますか、お伺いいたしたいと思います。
  18. 中村梅吉

    中村国務大臣 私は今の公団の制度でも、結局事業の決定をいたしますのには建設大臣の承認を要することになっておりますので、支障がないように思うのであります。十分道路公団とも連携をいたしまして、御趣旨に沿うような運営をさせるようにして参りたいと思います。現在、なるほど観光道路等もやっておりますが、産業道路といいますか、産業の発展に寄与する目的の道路も相当やっておりまして、この比率等につきましては、必要がございましたら事務当局からお答えをさせますが、私の今まで見ておりますところでは、産業に符与する道路投資の方が日本道路公団としてもよほど多いように思うのであります。  ただ、日本は今後観光国としても外貨収入を考えなければならないというような国柄でもございますし、ある程度観光事業の振興ということにも道路公団が寄与するということは、やはりそういう意味から必要の面もございますから、その辺のあんばいは、よろしきを得るように私どもとしては配慮していきたい、こう思っております。
  19. 中島巖

    中島(巖)委員 その点、私と大臣との考えが違うのです。違う根本的の問題は、ことしは名神国道を大幅に工事する関係で、国道予算が相当道路公団の内容もふえております。しかし、今までの実績を見ますれば、観光道路方面の方がずっと率が多いわけです。たしか、ことしは総事業費が四百二十七億、こういう予算であったと思いますけれども、こういうような膨大な予算をつぎ込むには、これは借入金であろうと、財政投融資であろうと、国費である点には変わりないわけです。全額国費でやる事業だから、これは建設省企画して、これとこれの事業をやれと当てつけるのはあたりまえなんです。ところが、大臣の今の御答弁は、それは建設大臣がその事業計画を見て認可するのだからそういう心配はないと思う、こういう御意見でありましたけれども、これは大きな間違いだ。たとえば、民間の鉄道会社だって、バス会社だって、みんな大臣の認可を経てやっておるのです。そういう結果になるのです。いわゆる主体性を建設省で持っておらぬのだから、ただ、出てきたやつを見て、大ざっぱにめくら判を押すだけが落ちなんです。ただ、法律の上で建設大臣が認可するということになっておりますけれども、そういうことなら、全部自己投資でやるところの民間の地方鉄道であろうと、あるいはトラック屋であろうと、バス屋であろうと、路線を持つものは全部運輸大臣の認可を経ておる。従って、建設大臣の認可なんということは、全部自己投資で持っておるところのバス屋やトラック屋や、あるいは地方鉄道と同じ制度なんです。これはどうしても建設省におきまして企画をして、そしてその事業を当てつけて、公団は事業公団にするというのが最も理想的な形である。そうすれば、国策に沿ったところの高速国道みたいなものに対して仕事ができる、このように私は考えるわけです。もう一度御答弁をお願いしたい。
  20. 中村梅吉

    中村国務大臣 道路公団ができましたときの考え方から、大体道路公団は償還可能な道路事業を進めるというような建前になっておりまするし、この点は道路公団という特殊の機関を作ってやります場合に、やはり一つの基本であろうと思うのであります。実際の事業実施につきましては、今申し上げましたように、私どもとしては現在の事業内容の認可制度で支障のないように進めていける、こう考えておるようなわけであります。
  21. 中島巖

    中島(巖)委員 それでは、基本的な問題としまして、公団を設立したところの趣旨というものはどういうところにあるか、お伺いしたいと思います。
  22. 中村梅吉

    中村国務大臣 国の直轄で、あるいは国の面接の事業として施行するのでなしに、公団という一種の別の機構を作りまして、その公団に主体性を持たせて、できるだけ日本の高速道路の発達をはかるということにあったと思うのです。なお、制定の過程等につきましては、必要がありましたら、十分勉強いたしましてお答えすることにいたします。
  23. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣にそんな質問をしても、これはやぼだから、やめることにいたしますけれども、ただいま申し上げましたように、国の方ではこれだけの大幅な道路投資になっても、先行性道路計画に手をつけられぬ状態だ。こういうような状態下におきまして、年間四竹数十億使うところの道路公団の道路事業に対して、しかも全額国費である、こういうような観点から見まして、これは私は今の主張の、建設省で公団なんかの意見を参酌しまして企画して、そして公団に事業をやらせる、こういうことが当然だと思います。  それで、公団の話が出ましたが、公団は、これは有料道路をやる公団ですが、この有料道路の基本的な原則の問題について、根本建設大臣当時から私ずいぶん論争して、いつも平行線を行っております。道路公団の岸総裁なんかも各所でそういうことを言っておるのです。と申しますのは、この有料道路は、いわゆる事業費を完全に償還する、これが基本的な目的であって、従って採算のとれぬところはできぬというのが、この言い分なんです。そこで、大ざっぱに考えまして、この道路というものは、原則としてこれは公共性のあるものだから、国が投資して無料公開の道路であるということが原則なんだ。ところが、国の財政の都合によって、なかなかそこまで手が回らぬから、この有料道路制度というものを施行した、こういうように私は考えるわけなんです。そこで、無料公開の道路、片方は完全に事業費をペイせねばならぬ、という二つの建前が現在日本ではあるわけです。ところが、その道路が、道路そのものでは償還困難であっても、その他の産業立地、経済、いろいろな観点から見て、国として当然交通上以外において非常なプラスになる、こういう道路に対しましては、この事業費のあるいは半ばなり、三分の一なりを一般財源で充てて、あとの半分なりあるいは三分の二なりを借入金なり、あるいは財政投融資かなんかで償還する、こういうような政策もあるべきものだと私は考えるのです。社会主義でなければ自由主義だというような、そういう極端な政策を基本的にとるべきものじゃない、こういうように考えるのでありますけれども、この有料道路に対するところの大臣のお考えを、この際はっきりお伺いいたしたい、こう考えております。
  24. 中村梅吉

    中村国務大臣 道路公団の有料道路も、これは普通の民間企業と違いまして、その企業の利潤というものがすぐに回ってこなければならない性質のものではありませんので、相当長期的に償還可能であるという、道路公団設立当時の精神に合致すればよろしいんじゃないか、私はかように考えております。従いまして、当面は建設費に対する償還が容易にできませんでも、長期にこれを考えて償還可能であれば私は差しつかえないものだ、こういうように考えております。従って、民間企業の利潤とかあるいは償還とかいうものとはよほど性質が異なっておる、こういう角度道路公団の事業は進めるべきものである、かように考えております。
  25. 中島巖

    中島(巖)委員 どうも、大臣の御答弁が私の質問の趣旨とぴったりせぬのですが、私の主張するのは、結論的に申し上げますれば、そういうような償還の可能の道路もいいんだ。それから、いわゆる建設省でやっておるところの、道路の無料公開の原則に従った道路政策もいいんだ。しかし、両方兼ね合わせたような道路政策もここであっていいんじゃないか。たとえば、今度この道路を開発したために利用者には非常に利益が上がるんだが、利用者の数が、目先は少ないんだ。けれども、国全体の経済政策から見れば非常に有利だ、こういうような場合におきましては、いわゆる償還すべき借入金、財政投融資、それから一般会計も相当大幅にぶち込んだところの、そういう政策もとるべきじゃないか、こういうように考えるのであります。率直にその点について御見解を承りたいし、また御研究願える余地があるとすれば、御研究願えるような御答弁をいただきたい、こう思うのであります。
  26. 中村梅吉

    中村国務大臣 状態に応じまして、やはり一般の道路資金であります道路特別会計から道路公団への出資金を増強して、この事業は進めなければならないというような場合も起こり得ると思います。かような点につきましては、今後十分検討していきたいと思います。
  27. 中島巖

    中島(巖)委員 その点につきましては、建設省でも御研究願って、早急に一つ方針を樹立してもらいたいと思います。道路公団は、完全にペイする道路でなければ手をつけぬ、こういう基本的な方針を堅持しておるというのが現在の状態であります。どういうところにそういう法的根拠があるのか、調査室の方でも調べてもらっておるのですが、どうも法的根拠もない。けれども、不文律に基本的な建設省方針になっておる。従って、ここに一つの壁ができておって、その他の事業が壁にぶつかって、ちっとも進めぬ状態にあるのが現在の状態である。従いまして、ぜひ大臣に、それがだめならだめで、やむを得ぬし、また可能なら可能でけっこうなんですから、その点を早急に省内の意見をまとめて、方針を確立していただきたい、こういうことをお願いするわけであります。  それから、道路整備五カ年計画なんですが、この道路整備五カ年計画の大きなワクだけは、一般道路にどうだとか、有料道路にどうだとかいうことは、この間の予算説明でお伺いしたのであります。しかし、これはおそらく前の道路整備緊急措置法におきましても、その内容をかなりこまかくきめて閣議決定をせねばならぬ、こういうことになっております。ところが、この方は三十三年度道路整備五カ年計画におきましては、三十三年度予算だけを決定しただけで、この五カ年計画は、昭和三十四年に至って、この委員会の請求なんかによりまして、やっと五月、一年何カ月かたってから発表したわけです。ところが、ことしはそれらのこまかい項目についてすでにかなり折衝が進んでいる、こういうようなお話を伺っているのですが、その間の事情を、お差しつかえない程度に御説明願いたい。
  28. 中村梅吉

    中村国務大臣 三十六年度予算成立と、もう一つは、前の五カ年計画のときに制定いたしました道路整備緊急措置法の改正案を、今度の新五カ年計画に即応して出したいと思いまして、この改正案を近く提案をいたしますが、御審議を願いまして、この改正法律が成立をいたしましたならば、これと予算の成立とにらみ合わせまして、できるだけ早期に五カ年計画内容を閣議決定に持ち込みたい、かように考えております。目下その準備をいたしている段階でございます。
  29. 中島巖

    中島(巖)委員 それで、私の希望いたしますのは、今までの論議の中においてもおわかりだと思いますけれども道路整備五カ年計画を策定するについては、ただいま申しましたような、いわゆる池田内閣中心政策でもあるべきところの所得倍増計画、このうらはらをなすところの地域格差解消、こういうような問題も含めて、いわゆる先行的な道路政策というようなところに重点を置いてやっていくべきではないか、かように考えるのです。ところが、先ほどからもたびたび申し上げたように、本年度予算を見ますと、言葉の上では先行的な道路政策ということをうたってありますけれども、何らその片鱗が見えておらないわけです。従って、私の希望するのは、この国会の審議なんかを通じましてよく議論のあるところなんかを含まれまして、この道路整備五カ年計画の策定を十分意見を取り入れた策定にするように、今までの建設省予算関係を見まして、この予算関係のような方針でもって策定されたら、どうもわれわれの意思と非常に食い違いがくるのではないか。こういう考えで、国会の意見なんかも十分今通常国会の審議の過程において組み入れて、御決定いただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、大田のお考えはいかがでありますか、お伺いいたします。
  30. 中村梅吉

    中村国務大臣 十分に国会に現われました諸般の情勢を考慮いたしまして、慎重にきめて参りたいと思います。
  31. 中島巖

    中島(巖)委員 あと、木村さんの質問がありますので、私はこれで一時打ち切りまして、またお願いすることにいたします。
  32. 加藤高藏

    加藤委員長 木村守江君。
  33. 木村守江

    ○木村(守)委員 大体、中島委員から御質問がありましたので、重複を避けまして、きわめて簡単に建設省関係の全般にわたりまして御質問を申し上げたいと考えております。  御承知のように、十年後には国民所得を倍以上にするというような、いわゆる所得倍増政策は、池田内閣の一枚看板であります。しこうして、この一枚看板の政策を遂行して参りますために一番の重要な問題、また一番大事な問題は、何と申しましても、所得格差をなくするということであろうと考えております。この問題につきましては、予算委員会等におきまして、相当突っ込んだ議論がなされております。特に農村所得をいかにするか、山村の収入をどうしていくかというような問題がその中心でありまするが、私は端的に申し上げまして、国民の所得格差をなくする、農村あるいは山村の所得格差をなくするというようなことの一番手っとり早い解決策は、道路網の整備であろうと考えるのであります。  そういう点から考えますると、今度の池田内閣政策の一環といたしまして道路政策が大きく打ち出されまして、五カ年二兆一千億の予算を計上されましたことは、まことに御同慶にたえないと考えておりまするが、はたして一体、この予算でもって池田内閣のいわゆる一枚看板として掲げた政策の実現を期することができるかどうかということを考えますと、私どもは一まつのさびしさを感ぜざるを得ないのであります。そういう点から考えまして、現在の日本の道路状態というようなことから考えまして、あるいは端的に申されないかもしれませんけれども、しかも、先ほど中島委員からも言われたように、道路政策というものは一体どういうものか、道路政策というのは既定の道路整備、一体これでいいのか。また道路政策は国土建設的な、国土開発的な点に重点を置くことが、すなわち道路政策ではないかと考えまするが、大臣はいかなるお考えを持っておられますか、お伺いいたします。
  34. 中村梅吉

    中村国務大臣 考え方といたしましては、国土の総合的な開発と高度利用ということを眼目といたしまして、道路政策を進めるべきである、かように私ども考えております。ただ、前期五カ年計画におきましては、財政の都合あるいは経済成長の度合い等とにらみ合いまして、御承知のような規模にきまりました次第でございますが、この前期五カ年計画道路整備の事業執行も、大体御指摘のような考え方を基本として配慮をして、進めて参りたい。同時に、後期五カ年になりますころには、さらに経済成長もいたして参りますし、また国の財政状態も変わってくると思いますから、その段階に至りましては、一そう所得格差是正の線がはっきり出まするように力を入れるべきものである、かように考えております。
  35. 木村守江

    ○木村(守)委員 ただいまの大臣答弁を聞きまして、一つ安心感を持ったのでありますが、何と申しましても、今回組まれました前期五カ年計画の二兆一千億におきましては、どうも既定道路整備、整理というようなことがほとんど全部でありまして、このいわゆる国土建設的な開発的な方面道路費というものが、きわめて僅少であるといわざるを得ないと考えるのでありまして、これはまことにどうも変な質問でありますが、一体どのくらいのパーセントになっておりますか、わかりましたらお知らせ願いたいと思います。
  36. 高野務

    ○高野政府委員 今回の道路整備五カ年計画におきましては、昨年十二月閣議決定されました所得倍増計画の趣旨にかんがみまして、輸送事情に即応して幹線道路整備をはかることといたすわけてございますが、これと同時に、産業の振興上緊急に整備を要する通路の整備をはかり、後進地域の開発促進、地域格差是正のために十分な考慮を払うということを考えているわけでございます。この地域格差是正のためには、幹線道路、特に一級国道、二級国道等の果たす役割が相当大きいものであると考えるわけでございまして、従いまして、この計画におきましても、一級国道につきましては東北、北陸、山陰、四国、南九州等の道路のよくない地域におきまして、この五カ年間に一級国道の内地の投資総額のおよそ半分程度が投資されるものと考えております。五〇%程度が投資されることと思います。また、二級国道におきましても、一級国道整備と相待ちまして、地方的な主要都市を連絡するもの、あるいはわが国の重要な横断幹線等につきまして重点的に整備の促進をはかるわけでございまして、二級国道の内地の投資総額の約五〇%程度がこの格差是正のために投資されることと思います。また、その他の地方通におきましても、産業の振興上、あるいは地域の開発上特に重要な線につきましては、重点的に投資をして参りたいと考えております。以上の結果からいたしまして、一級国道はこの五カ年間に大体全国的な完成を見る予定になっております。また二級国道につきましては、今後十カ年くらいで全国的な完成を見るであろうという考えを持っているわけでありますが、この趣旨に沿いまして、三十六年度予算配分検討中であります。
  37. 木村守江

    ○木村(守)委員 私がかような質問をいたしましたのは、大臣の先ほどの答弁局長答弁等でやや了承できる点があるのですが、何と申しましても、今度立てられました五カ年計画というものが、いわゆる既設道路の修理ということで、追っかけごっこをやっておって、いつまでたっても基本的な考え方計画に基づいた道路政策にはなってこないのじゃないかということを心配するのであります。  端的に、一例を申し上げますと、大臣承知のように、東京都の状態であります。これは幾たびか首都圏整備委員会、首都圏整備審議会等におきまして、東京都の不規則的な拡張、下水道も水道もない、ほんとうに水洗便所もないというようなバラック建の家がどんどん周辺にできて参りまして、東京都はどこがどうだかわからないというような状態になっておりまして、こういうような点につきまして、これは何とか東京都をある規制づけたものにして、東京都のマンモス的なふくれ上がりを是正しなければいけないというようなことを考えておったのは、十年前じゃないと思うのです。もっと前から考えておったのでありますが、実際の仕事ができないというのが現在の状態じゃないかと私は考えております。大臣は、学校等の建築等におきましては、これから建築制限をするというようなこと等をいろいろ考えていると申されますが、御承知のように、毎日毎日東京の都内に建てられているところのあの膨大な不燃化建築、これを見ましても、東京都の人口というものがどんどん広がっていくような格好になっている。一体、新しくああいうような大きなものを建てることについても一つの制限的なものを加えなければ、いわゆる首都圏整備委員会で考えておるような東京都の建設ということはできないのじゃないかというようなことを、私はつくづく考えておるのであります。  こういうような格好と同じように、道路整備五カ年計画あるいは十カ年計画というものにつきましても、追っかけごっこをしているのではなく、日本の国全体というものの中に、日本の道路はどうあらなければならないかというような総合的な計画を作り上げていくべきではないかと考えまするが、これに対しまして御所見をお伺いいたしたいと思います。
  38. 中村梅吉

    中村国務大臣 御説まことにごもっともでございまして、努めて総合的な施策考えまして、東京大阪等の大都市に過度の人口集中を来たさないような施策を活発にやらなければならない、かように考えております。しかし、自由主義のもとにおいて強度の統制ということはできませんし、これらのやり方についてはなかなかむずかしい諸問題が関連しておると思うのであります。しかしながら、東京で申しますと、首都圏整備事業を一そう活発に行ないまして、衛星都市を早く完成する。そして、むしろその混雑をした東京に入ってくるよりは、その衛星都市に工業を興こし、あるいは人口が定着する方が暮らしやすくもあるし、工場も能率的でもあるというような事態を早く作り上げなければならない、かように考えております。これがためには、それに関連をいたしまする道路整備、あるいは鉄道の輸送力の関係、あるいは工業用水の関係等、処理すべき問題がたくさん山積をしておるわけでございまして、これらの問題を逐次解決をいたしまして、これ以上過度の人口集中を来たさないように配慮して参る必要がある、かように考えております。
  39. 木村守江

    ○木村(守)委員 それから、これは非常に私ども心配なんですが、所得格差をなくするというようなことの一環に、生産基盤としての公共事業費の増額をされたことは御承知通りであります。ところが、ややもすれば、これは今までと同じように、その投資都市中心主義に陥る傾向があるのではないかということが心配されるのであります。そのような点から考えまして、何と申しましても、これは今まで通路のなかったところに道路ができますと、地価が上がるのです。地価が上がるということは、その土地が利用価値ができたということです。そうして、利用価値ができて鉱工業の立地条件になったというばかりではなく、いわゆる農地としての地価も上がったことになりまして、農業振興対策、いわゆる農家の所得格差をなくするという点にも非常に大きく関連して参るのであります。そういう点から考えましても、これは都市中心主義に陥るような傾向を是正して参らなければいけないというような考え方を持っておりますが、そういうような点から考えまして、また、先ほどから私が申し上げましたような、いわゆる首都圏整備の問題につきましてもいろいろな計画があります。日本の道路網の問題につきましても、いろいろな計画がありますけれども、これはこういうような計画を一貫いたしまして、これは国土建設的な役割を持っておる建設省には、ほんとうに総合的な計画を立案するような場所がなければならないのじゃないかと私は強く考えておるのであります。御承知のように、今度新しく建政局ですか、できるようでありますが、私ども、建政局を考えた当初におきましては、いわゆる土地収用法というような大きな難題がありまして、これを処理せしめるために考えたのでありましたけれども、いろいろ建設省の負うところの任務の重大性を考えて参りますると、総合計画的な立案をするところの、しかも、企画庁に劣らないような技術陣営によるところの、しっかりした計画を立てるような場所がなければいけないのではないかという考えを持っておりますが、大臣、いかがお考えでありますか。
  40. 中村梅吉

    中村国務大臣 先ほどのお話及びただいまのお話のような重要な点につきましては、近く御審議をお願いすることになると思いますが、建設省考えておりまする建政局の設置を見まして、この建政局の部局の大きな使命の一つとして、そういう問題を処理するように運んでいきたい、かように考えておるわけでございます。ぜひこの実現を見まするように、議員の皆さんにも御協力をいただきたいと思います。
  41. 木村守江

    ○木村(守)委員 今度の建設省予算の中に、失対事業費というのが相当——あるいは特失あるいは臨失等が入っております。この失対事業に対する考え方ですが、これは所管がこちらとは違いまするけれども、実際それを引き受けて仕事をするのはこちらなんです。そういうような点から考えまして、私ども見ておるところによりますと、あるいは炭鉱離職者の問題につきましても、何か工事能力を減退させるようなことには役立つが、工事能力を促進して、りっぱな工事をやるということには役立っていないのではないかというような感じもいたすのでありますが、大臣はどういうお考えを持っておられますか。大臣に聞くのもちょっと変ですが……。
  42. 中村梅吉

    中村国務大臣 木村さんの御質疑のような感じを私ども実は持っておるわけでございますが、これに対しては、失対労務を利用と申しますか、使いまする各機関が今後十分注意して、できるだけ改善をはかるように努めていきたいと思います。聞くところによりますと、東京都あたりでは、失対労務でございましても、これを熟練化す目的の一つ方法を講じられまして、すでに相当数多くの熟練的な労務を養成しているようでございますが、こういうような努力を全国的に試みまして、できるだけ失対労務の工事能力の増強をはかるような考え方一つ進めて参りたいと思っております。現状においては、今お話のような感じを、私ども、同じように実は持っておるわけでございます。
  43. 木村守江

    ○木村(守)委員 これは、ほんとうにちょっと筋違いの質問かもしれませんけれども、実際問題として、東京では、大臣のおっしゃるような状態であるかもしれませんが、現在いなかにおきまする雇用関係というようなものは、非常にこれは改善されて参りまして、ほとんど完全雇用に近い状態になっております。そうして、若い者はほとんど東京に来てしまう。今まじめな仕事場で人を雇えないというのが実態であります。そういう状態のもとにおいて、これはいわゆる失対業者というか、そういう人が依然として一つの職業化して、失対事業者というような格好になっておるというような状態のために、他のまじめな仕事をする人を頼むことができないというような状態、実際そういう状態なんです。そういう点から考えまして、これは将来考慮すべき問題じゃないかと考えておるわけであります。これは大臣質問するわけでありませんが、そういうような考え方を持っておりますので、何かの機会がありましたならば、こういうようなことも御意見を述べて、そうして、ほんとうに工事の進捗をはかっていくべきではないかという考え方を持っておる次第であります。  それから最後に、これまたいろんな固まっていないような話でございますが、広域都市計画の問題でありますが、大体どういう構想を持ってやっていかれる考えでございますか。基幹都市広域都市と、両方が突っ張り合っておりまして、何かけんか両成敗という格好になるおそれもあるのじゃないかと考えておりますので、これは地方の該当地域の人たちが非常に心配しておりますので、御答弁願います。
  44. 中村梅吉

    中村国務大臣 自活省の考えております基幹都市構想というのと、われわれの方で考えておりまする広域都市構想というのとは、非常に関連が深いように思われますので、両省の事務当局に、できるだけ調整をはかり、私ども考えで推進をすることのできまするように、実は調整の努力をさしておるような次第でございます。  広域都市建設構想というのは、もうすでに皆さん御承知通りでございまして、産業立地条件とにらみ合わせまして、地方に産業構造と合ったような都市を建設していきたい。これには一行政区画に、ややともすればとらわれがらなのでありますが、そういうことでなしに、行政区画にかかわらず、数行政区画等にまたがって、一貫した都市建設をやりまして、その地方に定着をした産業を育てるように、また誘致するように進めていきたいというような考え方に立ちまして、幸い建設省のこの構想に対しまして、わずかながら調査費予算措置もできましたので、三十六年度、この基本的な調査を進めていきたいと思っております。
  45. 木村守江

    ○木村(守)委員 別にあらためて質問をいたしたいと思いますが、住宅の問題について、第一種、第二種の公営住宅の単価は——こういうような建物を作っておりますと、あまり長くないうちに改良住宅を作らなくてはならないような状態になってしまうのじゃないか、というような心配を持っておりますが、この問題につきましては、またあとで、大臣でなく、局長にお伺いをいたしたいと思います。  次には、海岸の問題ですが、日本は御承知のように四辺海岸に囲まれております。建設省関係で一番おくれておるのが海洋の問題だ。ことに私はあのチリ地震津波の視察をして参りましたが、そういう感を深くいたしておりますので、この問題につきましては、どう考えても、農林省あるいは運輸省との関連をどうしても一本化していくべきではないか、こういう考え方を持っておりますが、これに対しまして、大臣のお考えをお伺いいたしたい。
  46. 中村梅吉

    中村国務大臣 この問題は非常にむずかしい問題だと思います。私どもも、お話のようなことに進めることが一番いいのじゃないかと思いますが、運輸省との関係考えますと非常にむずかしい問題だと思います。一つ研究課題にさしていただきたいと思います。
  47. 加藤高藏

    加藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散