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上野参考人 その前にちょっと一言言いたいのですが、先ほど、
延原さんが直接やるのとそれからやらないのとはどういう違いがあるのかという
お話が出ておったのですが、私が聞いたところによりますと、
最初は、
延原さんは金がほしいから
土地と
土地との
交換はいやだと言っておったが、それを今度は
あとで
交換することに応じたのは、要するに天満の
土地は非常に売りいいということが一つ。もう一つは、あの
契約が成立すると、
細見育一に三千万円のコミッションを払うということがあった。だから、売りやすいということと、三千万円が助かるということと、良島さんの五百万の金がもうかるということ、それから
高瀬さんたちにコミッションを払うことも要らなくなるという、相当大きな利益があるから、やがて
気持が変わったのだというふうに私は
細見やなんかから聞いておりますから御参考までに言っておきたい。
それから今の御質問の話でございますが、私としては、その当時、
拘置所または法務省がどうしても
拘置所を建てなければ困るのだ。それで
拘置所を建てるためには、国家としては争いごとを生じているものと国家の
土地を
交換したりなんかするということは、絶対できない。だから、ああいう仮処分がついている限りにはおいては、いつまでいっても
交換することができない。
交換することができなければ、もう長い間あちこち探して、いい
候補地も何にもない、あそこしかないのだから、そうなってくると、大へんなことになるし、困るのだ。だから、ぜひ何とか心配してくれぬかといって、この前もるる言いましたように、福山君やなにかから話があったわけなんです。それで私は良島さんに、どっちから見たって、仮処分しておいたってしょうがないじゃないか、何とか解いてあげてやるわけにいかぬか。そうすると、良島さんの言うには、
自分としては四、五千万の金をすでにつぎ込んでいるのだ。君の言うように、道義的だとかちょうちんだなどと言ったって、そんなものはどうせ通用しないのだ。要するに、日本には法律があって、法律以外にはどうすることもできない。だから、仮処分を解いてしまえば、もうよりどころも何もなくなっちゃって、ただとられてしまうのだ。だからおれはいやだというから、そんなことはない。要するに法律があったって何があったって、いいことをすればいいことがきっとあるはずなんだから、絶対
自分の
考えに賛成してくれということから始まって、君がそれほど自信があるなら、二千万私によこしなさい。そうすれば、あなたにすべての交渉なり、法律的な処置なり、何なりまかすからと言われたので、それで、私はそのとき
拘置所長の福山さんにそのわけを話して、
あとの始末のつくようにし、また
高瀬さん、それから増井さんを通して、ここで二千万払うんだけれども、僕一人でこれを負担するのは不当であるから、
拘置所の
交換ができた場合には、千万だけは
延原さんの方に負担してもらいたいということをはっきり言ってくれということで、そういうふうに話してもらった。そうなると、私の道義的な
考えからいっても、要するに相手が
拘置所の話であり、また
高瀬さんやなんかが
延原さんのところに行って、僕に売る気がなければ、負ける話も何の話もないはずであってそれなら断わると言えばそれまでの話であるけれども、ちゃんと
交換ができたときに負けてくれという話をしたことに対して話が通じたというようなことを私は信じて、そのときは、そういうふうにやることが一番どこからいってもいいんだというふうに信じて、私はやったんです。ところが、今にして
考えてみると、
拘置所の方もああでもないこうでもないと言って、いいかげんなことを言っておるし、それから
延原さんにしても、売る
意思があったのかなかったのかわからないというふうなことで、私から見ると、非常にだまされた
気持になっておるわけです。それで、私自体がだまされてたくさんの金を損したということは、
自分自体の不徳のいたすところだから仕方がないにしましても、良島君にしたって、二千万だけで全部損が取り返せたわけではなくて、その他、またそれがうまく片づいたら、二千万円なり三千万円なり私はもちろん上げようという
考えをしておったのがだめになったりしたので、良島さんなり弁護士なりが、そんなことをしてはいけないということをあえてしたということは、私はほんとうに申しわけない。