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1961-02-06 第38回国会 衆議院 決算委員会国有財産の増減及び現況に関する調査小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月六日(月曜日)    午前十時二十八分開議  出席小委員   小委員長 田中 彰治君       木村 公平君    高橋 英吉君       三和 精一君    小川 豊明君       西村 力弥君    森本  靖君  出席政府委員         法務事務官         (大臣官房経理         部長)     近藤 忠雄君  小委員外出席者         決 算 委 員 正示啓次郎君         決 算 委 員 久保 三郎君         決 算 委 員 山中 吾郎君         参  考  人         (日本燃料株式         会社監査役)  上野  浩君         参  考  人         (久保田鋳器製         作所副社長)  鍵谷  実君         参  考  人         (日本勧業銀行         常務取締役)  土屋  馨君         参  考  人 良島 正浩君         参  考  人         (大阪拘置所総         務部長)    福山 繁雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産増減及び現況に関する件      ————◇—————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより小委員会を開会いたします。  国有財産増減及び現況に関する件について調査を進めます。  大阪拘置所用地交換の問題について、前会に引き続き参考人より意見を聴取いたします。  本日御出席参考人は、上野浩君、鍵谷実君、良島正浩君、福山繁雄君の四名でございます。なお、参考人として出席を求めました平山為健君は病気のため出席できないとの返事がございましたので、御報告いたしておきます。また、日本勧業銀行頭取堀武芳君は所要のためどうしても本日出席できず、かわりに常務取締役土屋馨君が出席されておりますので、同君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には御多用中にもかかわらず御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  それでは、これより調査に入りますが、調査の都合上、前会同様、まず小委員長の私から各参考人にお尋ねし、その後小委員各位から質疑を行なっていただきたいと存じますので、さよう御了承いただきたいと存じます。  なお、参考人に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得て行なっていただくよう、お願いいたしておきます。  第一に、大阪拘置所総務部長福山参考人にお尋ねいたしますが、あなたは大阪拘置所用地交換関係したことがございますか。
  3. 福山繁雄

    福山参考人 ございます。
  4. 田中彰治

    田中委員長 そこでお尋ねいたしますが、拘置所土地交換について、天理教関係者等よりの申し込み及びこれに対するあなたの承諾の事情、その他これに関連して交換した文書などがございますか。
  5. 福山繁雄

    福山参考人 ございます。
  6. 田中彰治

    田中委員長 これについて一つ述べていただきたい。
  7. 福山繁雄

    福山参考人 では答弁をいたします。昭和三十年九月でございました。当時、大阪拘置所北錦つまり天満土地を一万一千坪持っておりましたが、ここに大阪拘置所を建てる予定でありましたけれども、地元の反対に会いまして、なお大阪市会においても反対決議をされ、また衆参両院法務委員が来られまして、これも適当でないということで、建物を建てることができませんでした。ちょうどそのおりでございまして、天理教此花教会信徒総代細見育一という方から総務部長あてに書面が参りまして、都島延原観太郎所有土地がありますので、これを見ていただきたいというような図面と坪数を書いた書類が参りました。大阪拘置所といたしましては、その当時、前述のように拘置所建築に行き悩んでおりましたので、それを本省管区に報告いたしまして、指示を得てこれを調査いたしましたところが、非常にいい候補地ではないかということでございました。だが、このときに、法務省全体の考え方といたしましては、どうも土地交換につきましては、よほどすっきりやらないと、とかく取りざたされるおそれがある。それで、ガラス張りの中で仕事をしなければいけないというのが法務省考え方でございまして、そこで、でき得れば仲介人を入れずして、延原観太郎さんに直接取引ができないだろうか、これに当たってみよという本省の指令がございまして、当時の大阪矯正管区長鈴木英三郎さん、それから大阪拘置所松本貞男及び私は、数度に及びまして延原観太郎さんに会い、右の折衝をいたしましたが、延原観太郎さんはこれに応じませんでした。そこで、やむを得ず、あっせん者であるところの細見育一氏を通ずるもやむを得ないと考えました。細見育一氏を呼びまして折衝を始めることになったのでございます。ところが、細見育一氏個人ではこれはいけない、どうしてもりっぱな、公の肩書きを必要とするというところで、その当時の大阪高等検察庁検事長宮本さん、鈴木管区長松本所長、これらが天理教の木部に参りまして、真柱さんにもお会いして、細見氏の保証の有無を尋ね、その結果、信徒総代細見育一を保証する保証書此花教会会長田辺教一さんから出してもらうことにして、細見育一氏は、天理教此花教会信徒総代細見育一という肩書き交渉を進めることになった次第であります。そこで、なお拘置所側といたしましては、非常な過剰拘禁でございまして、早急にこれを移転しなければならない実情に差し迫っておりましたので、これに対してその交換を非常に急いだのであります。  それで細見育一、田辺教一さん、この両名を鈴木管区長松本所長がお呼びになりまして、そうして少なくとも延原土地を買収し、そこにあるところの建物、器具、機械を完全に撤去する時期、すなわち十一月の末日までには完全にこれを撤去できるやいなやを確かめ、それは十一月十五日までにはこれを撤去することができるという答えを得、なおまた、金の集め先をとやかく申し上げるわけではないが、どういうようにしてその交換、つまり延原土地を買収するところの金策をされますかと尋ねましたところが、その点は御安心下さい、信仰というものはえらいものです。あなた方にはおわかりにならないかもしれぬけれども、信仰のためには五千万、一億出す者はたくさんおりますから、そういう金は右から左に出ますということを申したのでございます。  そこで大阪拘置所長は、本省了解を得まして、そうして二、三項目にわたるいろいろな条件をつけましたところの細見育一の申請書を受理いたしたのでございます。
  8. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと参考人に聞きますが、田辺という人はどんな関係の人ですか。
  9. 福山繁雄

    福山参考人 それは天理教此花教会長の立場でございます。
  10. 田中彰治

    田中委員長 けっこうです。
  11. 福山繁雄

    福山参考人 その申請書は私現在も持参をいたしております。なお、先ほど申し上げました此花教会長細見育一を保証するところの保証書も私持参をいたしております。
  12. 田中彰治

    田中委員長 今あなたは田辺さんが此花教会会長と言われたが、細見さんも教会長なんですか。
  13. 福山繁雄

    福山参考人 細見さんは信徒代表であります。
  14. 田中彰治

    田中委員長 今のは間違っておるのですね。——いいです。
  15. 福山繁雄

    福山参考人 そういうことから始まりまして、大阪物間所長はその申請書に対しまして、右各項の条項を完全に履行することを条件といたしまして、この申請を認めるという保証をいたしたのでございます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 その申請書はございますか。
  17. 福山繁雄

    福山参考人 ございます。
  18. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと見せて下さい。
  19. 木村公平

    木村(公)小委員 ちょっと議事進行ですが、私どもがこの委員会で聞きたいのは、国有財産に重大な損害を与えたということなんだから、それで一体向こうの都島土地時価幾らくらいか……o
  20. 田中彰治

    田中委員長 それはわかりますけれども、そういうようになった事情というものを聞いていかなければ——どういう工合になったか、それにはやはり事情があるだろうから……。  福山参考人あとを続けておっしゃって下さい。
  21. 福山繁雄

    福山参考人 そうしていましたが、細見育一さんはたやすく金ができるように申しておられましたけれども、なかなかにいたしまして金ができてきません。あすは手付金を納める、あさっては納めると言っておりましたが、日にちがたつばかりでございまして、約二カ月を経過するに及んだのでございます。  そこで大阪拘置所といたしましても、建築を急ぐために、また前もって十一月末までには延原土地を購入して、土地をさら地にするというような言葉もありましたし、信徒代表細見は、もう相手にすべきではないではないか、打ち切らなきゃいかぬじゃないかというところの心配がわいてきたのでございます。そう考えていましたときに、細見育一が参りまして、今度はほんとうに確かな力のある、右から左に金ができるところの金主が見つかりました、金主さんが見つかりましたので、どうぞ御安心下さい、これで安心しましたと印して連れてこられましたのが、良島正浩さんでございました。私たちはもちろん、管区長所長も、今までが今まででしたので、また細見育一さんのふれ込みが大きいだけに、この金主さんに非常な期待をかけたのでございます。  金主さんが来られましたのが、たしか三十年十一月の十三日、そのときは大阪刑務所において全国武道大会があり、管区長所長がそこに出席しなければなりませんし、管区長所長金主である良島さんにお会いしてみたいという気持があったので、当日は日曜日でございましたので、私を大阪拘置所に留守番をさせまして、そして良島さんが来られましたならば、大阪刑務所に案内するようにという命を受けたのでございます。十三日に良島さんがお見えになりまして、そうして私は、自動車で良島さんを大阪刑務所に御案内をいたしたのでございます。そこで管区長所長も長鳥さんにお会いして、そしてその当時の気持といたしましては、金主として細見育一さんに役立つであろうというような感じを持ったのであります。その当時の気持を思えば、あすにもあさってにも、もう金は五千万円、一億円、右から左に納める、延原に金を渡すとおっしゃったように私は記憶いたします。ところが一日、二日たち、五日たちましても、一向に延原との取りきめが行なわれたように思えません。ようやく二十一日になりまして、五千万円を延原手付金として渡すと聞いておりましたのを、わずか十分の一の五百万円をお渡しになったということを聞いて、管区長を初め私たちは非常にがっかりいたしたわけでございます。
  22. 田中彰治

    田中委員長 参考人に聞きますが、良島さんと何か書類を取りかわしてありますか。
  23. 福山繁雄

    福山参考人 ありません。
  24. 田中彰治

    田中委員長 書類があったですね。良島君と所長との書類の写しの写真はどうしたかな。良島参考人所長書類を取りかわしたのがあったようだね。それを出して下さい。
  25. 良島正浩

    ○良島参考人 それは今のお話に……。
  26. 田中彰治

    田中委員長 何か書類を取りかわしたのがあったでしょう。
  27. 良島正浩

    ○良島参考人 ありました。
  28. 田中彰治

    田中委員長 それを出して下さい。
  29. 良島正浩

    ○良島参考人 あて名のないのがあります。
  30. 田中彰治

    田中委員長 あなたと所長と取りかわしたのはどれですか。
  31. 良島正浩

    ○良島参考人 これは一対一交換であって、他に異論がないというそれです。
  32. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと来てみなさい、どれですか——こういうのが良島さんのところにいっているのだが、あなたごらんなさい。(福山参考人書類を示す)
  33. 福山繁雄

    福山参考人 福山参考人、申し上げます。この書類をもちまして、この一部につき記憶いたしますことは、細見育一に差し上げた書類ではないかと思います。
  34. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人、どうなの、これ。
  35. 良島正浩

    ○良島参考人 細見育一はその当時行かなかったのです。私だけが行きました。私だけがじかに行って……。
  36. 田中彰治

    田中委員長 細見さんのは別にあるではないですか。
  37. 福山繁雄

    福山参考人 参考人として申し上げます。私の方の所長は、書類の一片といえども、これを他に渡しますときには、すべて本省了解のもとに差し出しております。このことにつきましても……。
  38. 田中彰治

    田中委員長 けれども、これがあるからしようがないな。
  39. 福山繁雄

    福山参考人 ところが、これは金主さんでございまして、交渉相手細見育一さんでございます。それはやったのは細見育一さんで、それは多少字句が違うところがありゃしませんか。
  40. 田中彰治

    田中委員長 細見のと違ったものを、写真をとって、所長の判を押してある。これは偽造かね。
  41. 福山繁雄

    福山参考人 いいえ、偽造とは申しません。
  42. 田中彰治

    田中委員長 おかしいじゃないですか。細見さんの方へ出した書類と文句が違っているじゃないですか、日付が……。
  43. 福山繁雄

    福山参考人 細見さんに出したところの書類と違うとは、どういうことですか。
  44. 田中彰治

    田中委員長 内容が違うじゃないか。——あなたの今の書類を見せて下さい。
  45. 福山繁雄

    福山参考人 はい。
  46. 田中彰治

    田中委員長 これはやはり渡したものと違っているよ。この書類はどこから出ておるのですか。
  47. 福山繁雄

    福山参考人 この書類につきましてはわかりません。
  48. 田中彰治

    田中委員長 しかし、おかしいじゃないか。所長の判を押して、それだけのものがあるのを、日付も君のと一月違っている。おかしいじゃないか。
  49. 福山繁雄

    福山参考人 いいえ、委員長のおっしゃること、ちょっとわかりかねますが、私の方は、このごらんに入れましたところの申請書につきまして、了承を求めたのでございます。これは私の推測でございますが、おそらくこれは土地土地、これだけではどうもわからないから、まだこのほかに金の取引があるんじゃないかという、このほかの取引があるんじゃないかというところの疑いがあって、それは土地土地との交換で、その他の金銭的授受はありませんということをこれは確認する意味のものではないかと思いますが、この書類は、所長本省了解を得まして、そして申請人細見に渡したものである、私はそう記憶いたしております。
  50. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人、これはどうなの。
  51. 良島正浩

    ○良島参考人 それは、十四日でしたか、私が拘置所へ行きましたときに、その細見契約書を示して、武田という大阪の弁護士に会って、武田さんにそれを見てもらいましたら、どうもこの(ハ)というのは、今の天満拘置所の敷地と都島とは値打が違うように思うが、金を払うのではないのか、金を払うのだったら買うたってしようがないな。じゃ、それを確めなければ仕方がないというので確めまして、武田さんは武田さんで、あくまでも一対一交換であって、その間に金銭の何もないということを聞いてきたからといって私に証明書をくれまして、私は私で行きまして、じゃ、そういうことの一つ書きつけをもらいたいというので、私はもらったのです。
  52. 田中彰治

    田中委員長 武田さんが良島さんあてに、それでこれはもらったの。
  53. 良島正浩

    ○良島参考人 私がもらったのです。それから細見拘置所へ行かないのです。
  54. 福山繁雄

    福山参考人 それはいつでございますか。
  55. 田中彰治

    田中委員長 これは十一月二十二日。武道大会あとで、良島さんと会ってからのことです。
  56. 良島正浩

    ○良島参考人 私が手金を入れたあくる日です。
  57. 田中彰治

    田中委員長 書いたものを否定するのはおかしい。
  58. 福山繁雄

    福山参考人 私、否定を申し上げておるのではございませんでして、その書類所長が渡したといたしましても、それは細見あてに渡したものであると信じます。私はそういうように解釈いたします。
  59. 田中彰治

    田中委員長 細見さんはそれから拘置所に行かないと言っている。一月違っている、あなたの話したのと。
  60. 福山繁雄

    福山参考人 しかし、私の方はどこまでも天理教信徒代表細見育一が交渉相手でございまして、良島さんは金主でございます。
  61. 田中彰治

    田中委員長 金主だっていいじゃないか。もし細見拘置所へ行かないと言ったら、この書類はどうなる。
  62. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 福山さん、あなた、自分関係しないことは関係しないとはっきり言われたらよい。知らないことは知らないとはっきり言われたらよい。あなたの推測を聞いているわけではない。推測を聞いたときは、あなたの推測とか想像とかいうものを話していただけばよいので、この書類授受のときに関係しておるのかおらないか、現実に渡したときに立ち会っているかおらないか、もしくはあなたの手で渡したのかどうか、それをはっきり伺いたいのです。見たことがあるのかないのか。それからあなたの手を経て渡したのかどうか。それとも所長がだれかに渡したときに立会しておったかどうか、そういう現実の事実を申し述べて下さい。
  63. 福山繁雄

    福山参考人 申し上げます。所長細見育一に渡す目的をもって渡したと記憶いたしております。
  64. 田中彰治

    田中委員長 たれに渡したのです、細見が行っておらぬのに。
  65. 福山繁雄

    福山参考人 その点は記憶が薄いのでございます。
  66. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 正確に言えば、何年何月何日の何時に、どこの場所で、どういう人が立会のもとにだれからだれへ渡したか、それからまた、その書類を作成する場合には、所長が独断でやったか、だれかに作成さしたのかどうか、そういう事実関係についてあなたに記憶があれば、関係があれば、それをはっきり言ってもらったらよいので、あなたの推測なんかというものは、これは別にお聞きするかもしれないし、聞かなくてもよいかもしれない。あなたにわからないことは、所長まで参考人じゃなしに、正式に証人として出てもらう場合もある。
  67. 福山繁雄

    福山参考人 その点については、私記憶がございません。
  68. 田中彰治

    田中委員長 初めから記憶がないと言えばいい。記憶がないものを記憶があるようなことを言うからいけない。あなたは拘置所で人を戒護する役の幹部でしょう。こういう判があるからいいが、判がなかったら否定するだろう。所長の名前が書いてあって判があるから、否定できないのだろう。それで職務が勤まるのかい。ここをどこだと思っている。国会委員会だよ。  良島参考人に聞きますが、まだ何かこのほかに拘置所書類を取りかわしたものはありませんか。
  69. 良島正浩

    ○良島参考人 私が延原に持っていった五百万円の領収書を示しましたら、拘置所はすぐそれのコピーをとって本省へ持っていってあるはずです。それは私の名あてになっております。
  70. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、どうです。
  71. 福山繁雄

    福山参考人 それはその通りでございます。
  72. 田中彰治

    田中委員長 それでは福山参考人に聞きますが、細見さんと良島さんとこういう契約書を取りかわしてあることを知っておりますか。
  73. 福山繁雄

    福山参考人 それは伺っております。
  74. 田中彰治

    田中委員長 知っておりますか。見ておりますか。
  75. 福山繁雄

    福山参考人 見ました。
  76. 田中彰治

    田中委員長 それじゃ、あなた良島さんを何にも知らないとは言えないじゃないか。細見さんからちゃんと良島にあてて、坪数まで書いて、建物のこれまで書いて、良島さんがこれによって金を作るというこういう契約書ができておるのを知っていて、それで良島さんにこういうものを渡して、それから五百万の受け取りをとってやったとしたら、良島を何も知らないとか、細見しか知らないというわけじゃないじゃないか。初めは細見に頼んだけれども、細見に力がないから、細見にかわって良島と再契約するところまでいったのでしょう。いかなければ、あなたこんなことをやらぬじゃないですか。断わったらいいじゃないか。
  77. 福山繁雄

    福山参考人 そのときの事情を申し上げます。その書類を持って参られまして、自分細見にかわりまして、そして肩書きをかえたい、たくさんな金を動かすことでありますから、細見名義土地を買い、そしてこれをするということは不安でありますからというところの申し出があったのでございます。しかしながら、このことは本省管区長及び所長が連絡をいたしまして、それはどこまでも本管の定めた前の天理教総代細見育一でなければならない、名義変更はいけないということの指示がありまして、管区長並びに所長新大阪ホテルに良島さんを訪れまして、はっきり通告をいたしております。
  78. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人に聞きますが、あと法務省に報告したら、そういう指示があったから、良島参考人をあなたの方が断わったことはわかりますよ。しかし、その前に細見がこの契約書を持って良島さんを連れていったときに、さっきのあなたの話ですと、今度はいい金主を連れてきてくれた、五千万を二、三日うちに払うという話があったから、あなたの方が喜んで、払ってもらえるものだということを待っておったと言うのだから、待っておったのなら、それなら、こういうものを交換するのが当然であるし、あなたの方も本省から指示を受けないときに、もし良島君がそれじゃ五千万円を二、三日うちに払いますと言って、すっと払って五千万受け取りを持ってくれば、あなたの方は何も異議がなくて良島さんにまかせたのでしょう。まかせないで、あなたの方は何も言わぬで、君は第三者でだめなんだ、細見でないからだめなんだと言って、あなたの方が断わっていれば、良島君がわざわざ自分の金を五百万持っていって——五百万ばかりと言うが、五百万といえば国会議員の五年分の月給だ。あなたの方でも相当の月給だろうが、だれがこの暮れ近くに五百万も手金をやりますか。五千万が五百万になろうが百万になろうが、あなたの方は細見では金ができないから、良島君がかわってこれを買い取ってくれるならば、そして交換してくれるならばけっこうだ、早くやってもらいたい、こういう話があった。あったから、良島君はやった。さっきのあなたの話を聞いても、今度はいい金主ができたと非常に喜んで、わざわざ良島君を自動車で迎えに行って、刑務所へ行ってみんなで話し合って、五千万払って下さい、お願いしますということをあなたの方は言っているじゃないか。それで取りかわしたって不思議じゃない。このくらいのものを取りかわさなければ、だれが五千万払いますか。しかも、細見から良島に一切を譲渡して、この通りやってくれという契約書を取りかわした。あなたは見たとおっしゃる。所長も見たとおっしゃっている。そして良島と契約されてあなたが本省の方に報告したら、本省の方では、良島ではいけない、細見でやれ、細見でいけなかったら、当人直接——あなたの言うことは変わっているでしょう。初めは当人直接でなければいかぬと法務省が言ったから、そこで本人に直接話し合いをしたが、だめだったから、それで天理教に頼んだ。天理教でもって、細見という人の身分保証ができるかと言ったら、できるというので、天理教の方へ本省から幹部も行っておれば、あなたも行って、みんなで食事までともにしながら話し合って細見にまかした。その細見が今度は金ができない。おれじゃできないからといって良島に頼むと言ったところが、あなたの方は良島を自動車で迎えに行って刑務所に連れてきて、こういうものをやって、五千万金を払ってくれれば、それでけっこうだと思ったら、十分の一の五百万しか打たなかったから、あなたの方は良島に対する信頼を幾らか変えた。そこへ本省から来たから実はやめたんだ。そこで五百万の手金を取ったから、延原が欲になって、今度は五百万の手金をあなたの方は投げるから、五百万の手金自分のところに入る。手金流しになる。ごたごたになれば良島が直接だから、自分はもうかるのでやった。あなたの方がそれに乗ったということではないですか。これに対して答弁してごらんなさい。
  79. 福山繁雄

    福山参考人 私の方といたしましては、先ほどから繰り返しましたように、良島さんを細見金主として大いに期待しておったことは前述通りでございます。
  80. 田中彰治

    田中委員長 期待しておったと言って、あなたの方は良島君にそのとき、それじゃ延原土地を五千万手金で買って一つ交換できるようにしてくれと依頼されたのでしょう。これを期待しておった。してくれると思っておったら、五百万しか打たなかった。そこへ本省から言われたから、それはだめだと言っただけで、そのときは頼んだのでしょう。頼まれぬものにだれが手金を打ちますか。一万や二万でない、五百万の金です。五百万くらいの金と言われるが、昭和三十年ごろの五百万ですから、今の千五百万につくじゃないでしょうか。だれが五百万出しますか。幾ら良島さんが物好きだって、あなた方が頼みもしないのに、五百万手金を打って、あと四千五百万の責任を負って、それがために非常に苦しんでいる。だれがそれをやりますか。あなたは言ったじゃないか。良島は細見金主だと信じたのでしょう。細見に頼んだのは、細見土地じゃない。あなたが細見にまかしたのは、あなたがおっしゃったように、信心というのはありがたいもので、五千万でも一億でも金の出し手はある、それだから金の心配はないから、細見延原土地を買って、そしてあなたの方は交換してくれると思って細見にまかしたのでしょう。細見土地に対しての信頼感じゃない。細見の金に対する信頼感であなたの方はおまかせになった。ところが、細見の方は金ができないから、そこで良島君を連れていったら、良島君が細見君にかわってこういう契約書を見せた。細見にかわる信頼者だから、あなたの方が信頼したのはあたりまえだし、信頼したから五百万手金を打ったんでしょう。四千五百万あとで持っていく。そうでなければ、だれがそんなことをしますか。
  81. 福山繁雄

    福山参考人 その書類を持ってこられたのは良島さんでございまして、当方からこの書類を要求したものではございません。持ってこられましたから、それをお預かりしただけでございます。
  82. 田中彰治

    田中委員長 預かったときに、土地のことも何にも話をしないで帰したのですか。
  83. 福山繁雄

    福山参考人 そのことにつきまして、大阪拘置所長管区長は、こういう大事なことを法務省に諮らずして独断でやるはずはないと信じます。
  84. 田中彰治

    田中委員長 そんなことをあなたが信じても信じなくてもいいのです。あなたがこの書類を持っていったときに、そんなにあなたがりっぱなことを言われるなら、おれの方は細見でなければだめなのだ。良島なんかに会いたくない。また細見のところに行ったときにも、あなたの方で細見に頼んでだめなら、あきらめて下さい、良島なんかに会う必要はありませんと断わるのがあたりまえでしょう。それなのに、あなたがかたくて所長がかたいなら、細見とは飲んだり食ったりしたのだから、細見はいい、細見以外はだめだ、本省の許可を取れぬから会えぬというのがあたりまえなのに、あなたが今言うのは、細見がその話をしたら、良島にぜひとも会いたいといって、自分自動車刑務所から迎えに行って連れていって、良島と、それでは一つ土地を頼む、細見にかわってやってくれ、いい金主ができた、買い取ってくれ、二、三日うちに五千万入れてくれ、頼むという話ができたから、こういうものができて、五百万打ったのじゃないですか。だれに聞いても——あなたが良島に、いや本省から通知しないからだめなんだ、君に会う必要はない、話は参考に聞こうというのなら、こんなことはしない。あなたの方で、あなたのさっき言った現に五千万は入れてくれる、りっぱな金主ができたというので、信頼していた。ところが十分の一の五百万しか入れない。これはおかしいと思ったが、それでも手金を打ったのを見せられて、それを見て、そのときには良島さんを信頼しておった。そのあとで断わった。これは本省に言われたから、あなたの方で断わったのであって、言うまでもなく信頼しておった。しっかりしなさい。あなたは拘置所の人ですよ。常識にはずれたことを言いなさんな。
  85. 福山繁雄

    福山参考人 私の方は、前回申し上げたように、細見育一の金主の良島さんと、こう考えておりました。なおまた良島さんも、細見さんが拘置所とほんとうにどの程度までの約束であるかということを良島さん自体も確認する意味で、拘置所にお越しになる気持でなかったかと私は思います。
  86. 田中彰治

    田中委員長 それはその通りです。あなたちょっとお考えなさい。五百万も手金を打つのだし、たとい五千万ができぬで五百万手金を打ったにしても、金を出すには拘置所へ確かめに行きますよ。行ったときに、いやそれはだめなんだ、おれの方は細見と全部きめたんだから、細見が金ができないなら必要はない。そんなことを手を出さぬでくれと言えば、だれが五百万出しますか。あなたの方でこんな書類をやったり、細見が金の主だということで会ったのだから、金の主だということは金を出してもらいたいから会ったのでしょう。それでなければ、あなたが何も刑務所から迎えに行ったり、所長たちが会ったり、こんな書類をやったり、五千万打つと言ってあなたは喜んでおったと言っているじゃないですか。あなたは参考人だぞ。証人だったらどうする。公務員は偽証罪で告発されることになる。しっかりしたことを言いなさい。
  87. 福山繁雄

    福山参考人 私の拘置所といたしましては、延原都島土地が非常に高くて、大阪天満土地がそれよりも下回る、そういう場合に都島土地が少し残る。天満土地をみな出して都島土地が多少残るということは、それは困るという考え方は常々いたしておりました。それで土地土地との交換であって、それ以上の金を出して天満土地を提供し、なお法務省から金を添えて、これを出すという気持はなかったことは間違いございません。
  88. 田中彰治

    田中委員長 参考人、あなたにそんなことを聞いているのじゃない。あなたの方は、天満土地とそれから今の都島土地と物々交換したい。そこで延原交渉した。所長もあなたも会ったけれども、だめだった。そこで、あれをだれかに買ってもらって交換しなければ、うまくいかない。そこで細見を頼んだ。そこで細見の身分証明をするのに天理教に行って、幹部もみな行って、御飯を食ったり、飲んだりして、細見ならいいと言って、まかした。まかしたところが、細見が二カ月たっても運んでくれない。そこで、あなたの方も細見をだめだなと疑っておった。そこへ細見が来て、心配してくれるな、りっぱな一億でも五千万でもすぐ金のできる金主を見つけたから、その金主と会ってくれ。そこであなたの方とその金主と会う気になって、あなたが迎えに行って、会ったときに、これをちゃんとあなたが見せて、細見にこういう金を出すのだから契約する。そうして細見に見せて、あなたと話したところが、それではよろしゅうございます、私もそれでは刑務所のために働きましょうというので、五千万の金を右左と出して、そうしてあなたの方に買ってきめてあげましょうと言って、そこで良島が帰ったのだから、今あなたが言う通り、良島が十分の一しか納めない、それだから心配したけれども、今五千万持ってきた、これをやってくれ。あなた方はお願いしますと言ったのだけれども、まだ金を出して見せておらぬが、土地交換するならけっこうだから、やってくれ。しかし、おれの方は金銭は出したくない。土地土地との交換だから心得てくれと言って出した。そこで彼が行って五百万手金を打って、手金領収書もあなたの方がやった。それをあなたの方で本部へ通知したら、良島ではだめだからほかの人という。そこであなたの方で良島に、手金を打ってくれたけれども断わろうじゃないかというので、あなたの方で良島に断わったというのが真相でしょう。真相は真相として認めなさいよ。
  89. 福山繁雄

    福山参考人 その契約書を良島さんが持ってこられましたのは、一番最初お会いしたときではなくて、五百万円を納められた後であると、私は記憶いたしております。
  90. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人、どうなの。この契約書を持っていって拘置所に見せたのは、いつ見せたの。
  91. 良島正浩

    ○良島参考人 契約書は前に提示しました。
  92. 田中彰治

    田中委員長 五百万手金を打つ前に……。
  93. 良島正浩

    ○良島参考人 それを見せると同時に、福山さんは私がいかにも早くから関係したように言われていますけれども、私は、十四日の日に初めてその話を聞いて、天満土地も知らなければ都島土地も知らないし、また二十一日の日には延原に会いに行っただけで、ほんとうは金を払いに行ったわけではないのであります。ちょうど五百万持っていたから、延原がその金をよこせと言うから、ではとりあえず五百万円置いてこよう、そうして八日の日に全部五千万円持ってこよう、そのときに契約しようと言うて帰ってきたので、これは当然のことだと思います。両方の土地も見もしなければ、一応はその前に、わずか一週間の間に調べ上げて、とにかく延原に五百万円持っていって置いてきたのですから、私としては尽くしたつもりでいるわけであります。
  94. 福山繁雄

    福山参考人 良島さんがお越しになりましたのは、十一月十三日であったということははっきりいたしております。その日にお会いしたときに、その細見さんとの取りかわしの書類をお見せ願ったということにつきましては、これは否定いたします。
  95. 田中彰治

    田中委員長 これは、あなたはさっき見たと言ったじゃないか。
  96. 福山繁雄

    福山参考人 見ましたのは、後に見ました。
  97. 田中彰治

    田中委員長 それではあなたに聞きますが、あなたは何のために刑務所自動車で良島さんを迎えに行ったのですか。知らない人でしょう。
  98. 福山繁雄

    福山参考人 これは知らない人でございますが、天理教総代細見育一なる者がぜひ会ってくれ。また私の方といたしましても、金主として一応お会いしたい。もうそのときには、細見育一とは手を切らなければいかんなという心配がありましたやさきに、非常な大きいふれ込みをもちまして良島さんの名前を言ってきて、十三日の日には金を持ってきますからということでございましたから、これは一度どんな方か会ってみようという気持を持って会ってみたのでございまして、もちろん管区長所長も、これは会ってみなければいかぬということでございました。
  99. 田中彰治

    田中委員長 あなた方の誠実なることはわかるのだが、所長からあなた方みんな行って、細見さんの信用に対して天理教保証さして、それじゃ一つ君に頼むといって頼まして、本部も細見ならいいといって承諾したわけだ。その細見を、もしあなたの方で信頼できないなら、細見はだめだからといって本部へ報告して、細見と手を切るなりしないから、私は信頼ができないと言っているのだ。その信頼のできない細見が、良島という何にも知らぬ人をあなたのところに紹介した。信頼できない者が紹介したのだから、そんな君の信頼できない者に紹介されても、当てにできないから断わると言うのが常識なのだ。それをあなたの方は、金主ができたから会ってみたい——それは私がさっき言った通りだ。そのとき良島君が、五千万の金を持っていって、これでとにかく延原土地を買ってやる、交換してやるぞ、手金を入れると言ったら、それはありがとうございますと、あなたの方で礼を言ったわけだ。ところが、金を持ってこなかった、二、三日のうちに必ず手金を五千万入れて交換すると言ったから、あなたの方でこういうものを出し、そうして依頼したに違いない。依頼しないくらいなら、どうして出しますか。また依頼しないものを迎えに行く必要はないじゃないか。細見を本部でもあくまで信頼したというなら別だが、その人の紹介だから会ったということ——細見さんと手を切らなければならぬとあなたは言っている。手を切るというほど信用できない者が紹介した者を、自分刑務所自動車で迎えに行って、しかも部長も行って会っているのだから、おかしいじゃないか。あなたも、相当教養のある、とにかく拘置所の総務部長なんです。その人が五百万の手金——あなたはあんな五百万などと言うが、昭和三十年の五百万というと大きなものだ。しかも、十一月十五日ごろ打っているのだから、暮れに近い金だ。あなたの方で頼みもしないし、依頼もしないのに、だれが五百万の手金を払いますか。そのあと四千なんぼ持っていっているのじゃないですか。常識に合ったことを言いなさい。あなたはこれを知らぬと言って否定したじゃないか。しかも、これを知らぬと言って、あとで見ているじゃないか。五百万の手金を打ったとき、君、手金を打ってくれたけれども、もう要らない、君なんかもう会わないと言えば別だが、手金のコピーを取って、本省へ送っているじゃないか。そうして喜んで、そのときお礼を言っているじゃないか。おかしいじゃないか。
  100. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 事情をよく知らないのだが、本省に許可してもらうか何か、良島さんの関係してから後に、了解してもらうので禀申したというのは、どういうことですか。
  101. 田中彰治

    田中委員長 良島に対するどんなことを言ったのか。
  102. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 どういうふうなことを本省の方へ言っていったのですか。
  103. 福山繁雄

    福山参考人 この交渉相手といたしましては、本省了解を得て、天理教此花教会信徒代表細見育一と交渉するという了解のもとにやっておるのであります。この相手方を変えることにつきましては、所長及び管区長は、本省了解なしには返事ができない筋合いのものでございます。そういう意味合いで本省に連絡し、また、私その後に管区長から聞くところによりますと、その名義を変えるところの意思は毛頭なかったというように聞いておりますが、本省の意向を聞きましたところ、はたしてその通りであったと思います。
  104. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 そうすると、相手方というのは良島さんのことですか。交渉相手細見から良島に変わらすこと、移すことについての了解申請をしてみたのですか、伺いを立ててみたのですか。
  105. 福山繁雄

    福山参考人 こういう申し出が良島さんからありましたということについて報告をし、かつ、その件についてはどうであろうかと聞かれたように私は聞いております。
  106. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 それなら、その申し出の取次をしたことは、あなたの方の言い分を聞いてそのまま受け取るとして、われわれ了解してもいいのだけれども、どういうわけでそんな申し出をするのですか。申し出をする以上は、相当可能性があり、あなた方はやはりそれでも差しつかえないというふうな考え方があるのじゃないですか。ないのに、そういうむだな手続をすることはないでしょう。
  107. 福山繁雄

    福山参考人 その当時の土地の問題につきましては、大体詳細にわたりまして本省と連絡をとっておったのでございます。
  108. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 委員長が言ったように、もし細見以外の者を相手にしないというようなことだったら、何も本省のそういうふうな考え方まで伺う必要はないでしょう。手数をかける必要はないでしょう。結局、おぼれる者はわらをつかむというが、非常に急いでもおったし、非常にうまい話だからというので、良島さんにも頼み、五百万円の手金を打って一応契約が成立した。五百万円が五千万円になったところで、契約が成立したことには間違いないのだから、それを進めたいという気持があったから紹介したのじゃないですか。申し出を取り次いだのじゃないですか。申し出を取り次いだ以上に了解を求められたのじゃないですか。あなたの今の弁解みたいなお話は、われわれでいえば、私は弁護士だけれども、非常に三百代言的な表現だと思うのですがね。われわれ弁護士は常に三百代言みたいに言われるけれども、そういうふうな言い方をしません。もっとはっきりしたほんとうのことを言いますよ。ちょっと言いのがれみたいなことになりはしませんか。問題はよく知らないけれども、迷惑している人があるということになれば、ほんとうのことを言って、真相をぶちまけて、そうして妥当な解決にするという考え方になりませんか。
  109. 福山繁雄

    福山参考人 大阪拘置所といたしましては、良島さんに対しましては、信徒代表であるところの細見育一の金主であるということが頭にこびりついておりまして、一番最初のふれ込みの大きいだけに、ほんとうにこれは期待できるのじゃなかろうかと思って、金主として期待いたしました。
  110. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 では交渉相手にしたのじゃないですか。
  111. 福山繁雄

    福山参考人 ところが期日が迫って……。
  112. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人待ちなさい。初めふれ込みが大きかったし、四、五日のうちにこの五千万円を払って拘置所と取りかえられるようにしてやると言われたから、期待したのでしょう。
  113. 福山繁雄

    福山参考人 期待をいたしました。
  114. 田中彰治

    田中委員長 それで期待をして、そうして依頼もしたのでしょう。そこであなたが伺いを立てたというのはいつですか。良島さんと会ってからですか、会う前ですか。もちろん会ってからでしょう。
  115. 福山繁雄

    福山参考人 先ほどからたびたび申し上げましたように、その伺いは金を五百万円納められた後であったと記憶いたします。
  116. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 先ほどから話を承っていると、単に金主として交渉相手にしたという話にもなりますし、また何か申し出があって、細見の後継者といいますか、権利を譲られた者として、その立場にかわる者として取り扱ってもらうように申し出があって、それを取り次いだというふうにも聞こえるし、また一方いろいろ話してみると、単にそういう話ではなく、金主としてだけの交渉があったにすぎない。そういう申し出、すなわち細見にかわって自分が契約の相手になるんだとか、交渉相手になるんだとかいう申し出があったという話は一つもないのだが、そこはどうなの。非常にいい金主だと喜ぶとともに、また良島の方から、細見の後継者というか、細見のかわりに自分交渉相手になるんだというような申し出があったことは間違いないのでしょう。その申し出を取り次いだということになれば、それを了解したかどうかは別問題として、その話があったんでしょう。金主交渉相手の後継者としての話があったんでしょう。そうじゃなければ、取り次ぐわけはないじゃないか。
  117. 福山繁雄

    福山参考人 その申し出があったことは、先ほど申し上げた通りでございます。
  118. 田中彰治

    田中委員長 取り次いだのも間違いないのでしょう。
  119. 福山繁雄

    福山参考人 申し出があったことについては間違いはございませんが、これを了承するには、本省了解が要ったこともはっきり申し上げます。
  120. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 形を整えるのはそうしなければいけませんが、しかし、実際は、いい人が代理というか、かわってくれた、後継者になってくれた。細見みたいな信用のできないのとは違って、今度の人は十分信用ができる、ことに五百万円という大金まで入れてくれたんだから、これは話がうまくいくというふうに大体信用して、そして取り次ぎしたということになるのじゃないの。
  121. 福山繁雄

    福山参考人 五百万円だけを取り上げますと、それは大金のようでございますが、その当時のふれ込み——きょうにもあすにも五千万円は持ってくる。きょう入れる、あす入れるというようなふれ込みの金額に比しますれば、その五百万円というものは、われわれがっかりさせられたものでございました。
  122. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 がっかりしたくらいなら、何も取り次ぐ必要はないじゃないか。その場で、あなたの話が違うから、あなたは交渉相手にできない、取り次ぐまでもないことだと言って、切らなければいかぬ。それをどうして取り次いだの。取り次いだというふうな言葉はわれわれは了解しませんが、要するに五百万円でも入れて契約が成立したんだから、これはうまくいくというので、あなた方は非常に喜んで、そして了解を求むるべく申請をされた、かように思うのですが、そうでないとしても、ほんとうにがっかりして、これは信用のできない人だということになれば、あなたを信用できないから、言ったことと行なったことと違うから、相手にできないというふうに言わなければいかぬはずじゃないか。本省に取り次ぐまでもなく。本省へ信用できないものを取り次ぐなんということはもってのほかじゃないですか。あなた方責任ある人の立場として、そういうほんとうにがっかりして信用ができなくなっているものだったら、取り次ぐことはできないじゃないか。取り次ぐことは、上司をあやまらすことになりわしないか。上司の方では、五百万というような金でも入れて契約が成立したら、これは大したもんだというふうに信用するのはあたりまえだ。竹内君に聞いたらわかるけれども、それを了解したかどうかは別問題として、そうでないですか。がっかりしたので、今までの話は打ち切る、あなたは相手にしないということになるはずじゃないですか。そうがっかりしておったんじゃないんじゃないの。喜んでおったんじゃないの。
  123. 福山繁雄

    福山参考人 その当時、今申し上げましたように、五千万円のところ五百万円でございましたので、期待はずれで、がっかりいたしました次第でございます。その名義変更の申し出について、これを管区長本省に問い合わせたところ、それはいけないということを言われて、管区長拘置所長が良島さんの宿舎を訪れてはっきり断わったということを聞いております。
  124. 田中彰治

    田中委員長 あなたの方でそれを本省了解を得るときの文句は、こういう文句だったですか。細見という人間は信用できなかった。そこへ良島という人間を連れてきて、これは非常に大金持だと思って信頼したところが、五百万円しか手金を打たない、こういうものでは信頼できないから、これを一つ本省から断わってくれというような申請ですか、どんな申請の内容ですか。
  125. 福山繁雄

    福山参考人 それは管区長が電話をもって本省と連絡されたということでございまして、その電話の内容につきましては、私存じません。
  126. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人にお尋ねしますが、たとえばあなたが、五千万円入れてくれると言ったから、非常に期待して喜んだ。喜んだというのは、入れてもらうということを約束したことは間違いない。そこへ五百万円しか入れないから、がっかりした。がっかりしたら、そこであなたが、君、五千万円二、三日で入れると言ったが、五百万円しか入れないから、そんなものはやめてくれとか、君と話をする必要はないとか言って帰すとかしたわけじゃない。直接交渉したんだから。それを何もしないで、ただ人に五千万円出すと言ったから、頼む頼むといって頼んで、それが五百万しかないので、がっかりして、それを本省へ電話をかけて取り次いだら、本省から断わられた。断わられた理由はわかっている。五百万円の金額で断わられたのじゃない。ほかの理由で断わられた。それは私の方で調査して、ちゃんとわかっている。そこであなた方が行って、初めて拘置所が断わった。それを、よけいなことをしないで電話一本で断わればいいのに、新大阪ホテルまでみんなが行って、まことに気の毒だが、本省からこういうわけだからと言って断わったという。それまで信頼して依頼しておったということは間違いないじゃないか。あなた、言いなさいよ。五千万円入れると思って信頼したら、五百万円で、がっかりした。そこで本省へこれでいいかと聞いたら、良島はやめて直接やれと言われたから断わった。これでいいじゃないですか。どうなんですか。あなたは、本省々々といって本省をそんなに大事にするなら、なぜ本省に相談する前にこんなものを出したか。金主だといって信用できない細見から紹介された人を、みなで自動車で迎えにいって会って、そうしてこんな書類を出して、なぜ依頼したんですか。依頼しないのにやっているんだったら、五百万円の手金を持ってきたときに、よけいなことをするなと突っ返せばいいじゃないか。それをわざわざ大阪まで三人も四人も、所長まで断わりに行くということは、りっぱに依頼したということがわかるじゃないか。本省から断われたので仕方なしに断わったんだと思う。良島は五百万円でだめだから断わってくれと本省へ言うなら別だが、そんなことは言っていませんよ。これだけ入れたがどうかと言ったら、良島を知っている人が本省にいて、良島ならやめた方がいい、直接やれと言われて断わったことはわかっている。どうなんですか。常識でみなに通ることを言いなさい。あなたも拘置所の総務部長じゃないか。五百万円の手金を頼まぬのに入れたら、その手金受け取りを持ってきたときに突っ返すのがあたりまえじゃないか。それをコピーを取って本省へどうかといっている。迎えに行くときは自動車で行っている。そうして今度は延原交換しながら、五百万円の手金に対して何らあなたの方であれしておらない。あなたはこれを返してやるとか言いましたか。
  127. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 大阪まで断わりに行ったということは言っていないが。
  128. 田中彰治

    田中委員長 今証言があった。新大阪ホテルまで行ったと言う。所長はみな連れていったと、言っている。
  129. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 そんなら交渉相手にしておったということは間違いないじゃないか、わざわざ断わりに行ったんだから。
  130. 田中彰治

    田中委員長 間違いだってあるだろうし、行き違いだってある。それを責めているのではない。これが明らかになれば、私の方はそれでいいんですよ。なに良島がどうなろうと、上野がどうの、そんなことはこっちはかまわない。国有財産が守れればそれでいいんだ。これがために法務大臣が迷惑しようと、あなたが迷惑しようと、そんなことはかまわない。そんな情実でやっているのじゃないんだ。  それからもう一つ福山参考人に聞きますが、あなたの考え違いは、おかしいじゃないか、延原土地天満土地交換して、その金額が合わないで延原土地が少なく減らされたり、金でも打たなければならぬということになる、そんな常識の考え方ができますか。当時の天満土地の値打と延原土地の値打と考えてごらんなさい、そういうこと自体が、あなた大きな考え間違いです。ここに銀行の常務の方もおられるが、天満の二万一千坪、あんな刑務所が立っているような、野地のような土地、この一万九千坪と、どっらが高いかということはわかるじゃないですか。ここは一体何だと思っているんだ、君は。そんなことのわからぬ国会議員なんか一人もおらない。どうなんですか。あなたそう思っておったのか。言ってごらんなさい。
  131. 福山繁雄

    福山参考人 天満土地都島土地の評価につきましては、われわれは専門家でございませんので、国の評価機関であるところの財務局にこの評価を依頼いたしましたわけでございます。なおまた参考といたしまして、大阪の安田銀行に評価鑑定を依頼いたしまして、その上で財務局にこの交換を上申したわけでございます。それによりますれば、その当時の評価額は延原の方が総額において八十万円余り多かったことは記憶いたします。
  132. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、これは、今のニュー・エンパイアの土地をわずか五円幾らで貸したりなんかした問題を起こしたことがあるんだから……。たとえば古エンジンでもその通り、財務局にこうやってこうやるんだ、そんなことをあなたに聞いているのではない。それはこっちは専門的に調べます。だれが中に入って評価を合わすようにしたか、高くしたか、そんなことはわかっている。それは調べるからいい。あなたは今専門家でないと言われたが、専門家でないから、評価委員に頼んだ。あなたが先ほどここで言われるのには、向こうの土地が高い。こちらの天満土地は、今の相場でごらんなさい、今の相場は半分あたり、三分の一もない。そういうようなことをあなたがここで麗々しく言われるということは、一体土地の評価というものを、われわれが知らぬと思っておるのか。あなたはそういうことを考えておったの。そのとき、延原の今の拘置所になっておる、それが建っておる土地が高くて、天満の前の土地が安いと思っておったのか、どうなんですか。拘置所を建てさせないという土地だよ。発展していいから拘置所を建てさせない、悪いから拘置所を建てさせる。片一方は拘置所にしてもいいという土地なんだ。どうなんだ、ちょっと立って答弁してごらんなさい。
  133. 福山繁雄

    福山参考人 その当時は評価をやって……。
  134. 田中彰治

    田中委員長 あなたがどう思っていたかだ。評価のことは聞いていない。あなたが実際に、天満土地が高い、延原土地が安いんだと思ったか思わぬかだ。何もそんなものは関係なくて……。
  135. 福山繁雄

    福山参考人 天満土地が高い値段であり、それから都島土地がそれよりも低いということは存じております。総額においてどうということは、これは計算をいたしませんから、後ほどはっきりした線がわかったわけでございます。
  136. 田中彰治

    田中委員長 それはいいです。あなたも、やはり天満土地が高いということはわかっておったんだろう。よく速記に書いておいてくれ。  そこで、どうなんだ。さっきから聞いているのは、細見という人間に頼んで、天理教まで法務省幹部が押しかけていって食ったり飲んだり、土地を見たりこっちを見たりして、細見を信頼した。細見は金ができない、細見と手を切らなければならぬと思っておった。そこへいい金主を見つけてきたといって良島を紹介した。その良島に何らものを依頼したことはない、こういうのか。いや、そういう紹介であったから、細見を信頼しない、その細見が紹介したその者を、あなたの今の言を聞いておると、これはりっぱな金主だ、四、五日うちに五、六千万円の手金を入れて土地交換してくれる、非常に期待を持ったということを、あなたは何回も述べておる。そこで手金を打ったら、五百万だった。えらい少ないじゃないか。期待薄だったけれども、五百万のコピーをとって本省に送った。本省に照会したら、本省から断わられた。断わった理由はこっちはわかっておる。これは良島さんの名誉に関する問題だから、今ここで言わない。言うときになれば申し上げる。断わった理由はわかっておる。土地の問題でもなければ何でもない。ある問題で断わった。そこであなたの方は所長とだれと断わりに行ったの。
  137. 福山繁雄

    福山参考人 それは管区長大阪拘置所長両人でございました。
  138. 田中彰治

    田中委員長 それだけのものを何で断わりに行く。頼みもしないのに新大阪ホテルにわざわざ……。
  139. 福山繁雄

    福山参考人 それは断わりでなくて通告に参ったのでございます。
  140. 田中彰治

    田中委員長 通告も断わりも同じことじゃないか。何を君は言っておるんだ。同じことじゃないか。  そこで断わってからどんなことになったの。今日までのいきさつを福山参考人述べて下さい。良島さんに断わってからどうなったか、いきさつを知っておるはずだから、今日までのいきさつを述べて下さい。
  141. 福山繁雄

    福山参考人 それから本省指示がございまして、十一月の二十七日であったと思います。本日で天理教総代細見等の申請は取りやめよう、この取引は打ち切ることにしようということにきまりまして、細見育一氏には……。
  142. 田中彰治

    田中委員長 それはだれがきめたの。
  143. 福山繁雄

    福山参考人 それは本省指示があったのでございます。
  144. 田中彰治

    田中委員長 指示があって、だれとだれがこっちできめたのです。
  145. 福山繁雄

    福山参考人 それは管区長及び松本拘置所長殿でございました。それで私はその命を受けまして、細見育一氏に対して電話をもちまして打ち切りの通告をいたしました。なお書面をもちまして細見育一の保証人であるところの此花教会田辺教一氏にその旨を書面で通知いたしたのでございます。その通告いたしました翌日と記憶いたしますが、良島さんの代人として細川という方が拘置所に見えましたので、細川さんにその旨を管区長及び所長から通告をされましたのでございます。
  146. 田中彰治

    田中委員長 それから今日までの経過を言って下さい。
  147. 福山繁雄

    福山参考人 その良島さんとの関係につきましては、このこと以来、良島さんにつきましては音信がとだえておりました。私の方はそういうようなわけで、天満のかわりに土地を見つけなければどうにもなりませんから、もうこれは困ったことと案じておりました。本省指示もあり、一つ延原ともう一度交渉してみたらどうかということがありまして、管区長及び大阪拘置所長は、延原観太郎に、たしか十二月の二十日前後でなかったかと思いますが、交渉いたしまして、ようやく直接交渉に応ずるところの内諾を得たのでございます。そこで私の方は、財務同等に評価、鑑定を依頼したり、いろいろいたしまして、そうして年がかわりまして三十一日になりまして財務局に上申をし、それから法務本省に上申をして認可を得て、二月二十八日に延原観太郎交換の契約を取り結んだのでございます。そうしておりましたところが、三月になりまして、これは新聞で拝見しましたことでございますが、良島さんが延原観太郎相手に取りまして、都島土地建物の仮処分の申請事件が持ち上がりまして、本訴を提出するや、そのうち間もなくまたこれを解放申請がありまして、私の方は、同年の七月十一日に、延原大阪拘置所長松本貞男の名前をもちまして移転登記が完了したのでございまして、そして今日に及んでおるのでございます。
  148. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人に伺います。仮処分はどうして取り消したの。
  149. 良島正浩

    ○良島参考人 私はすべての金の準備も整えまして、延原のところに行きましたが、延原が会見をしませんし、それは聞き取るところによると、良島から金を受け取ってもらっては困るということを拘置所から延原に言うておるということを、その会見者から聞きました。とにかくそういうわけで、延原も会おうとはしませんし、二十八日の日限だったものですから、一応は口約束ではあるけれども、二十八日だからと思って、その準備をいたしました。ところが、延原土地だけを買うのでしたら、そんなに二億三千万なんてとんでもないことで、私は一億円でもあんな土地なら買いませんです。そういう土地をただ延原から買うだけではしようがないから、拘置所交換をするというから、二億三千万の金を作ろう、こう言っておりました。
  150. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと参考人に聞きますが、延原土地なら一億でも買わぬ、それを交換するなら二億三千万でも買う、出すということは、今の天満土地の方が高くて将来があると見たのですか。
  151. 良島正浩

    ○良島参考人 ええ。それは比べものになりませんです。
  152. 田中彰治

    田中委員長 もうかるからやった……。
  153. 良島正浩

    ○良島参考人 はあ。それだもんですから、拘置所側の方で白紙に返せと言うて、そうして大体これは自分から進んでお願いしますと言って出た話じゃなしに、金を作ってくれと言って、細見が私に頼んだものですから、私はどっちの土地も知らないし、何が何だか見当がつかなくて、十三日だったでしょう、大阪に行ったのは。
  154. 田中彰治

    田中委員長 拘置所に行ったんだろう。
  155. 良島正浩

    ○良島参考人 ええ。そのあくる日、十四日に両方の土地を比較したり、調べたりして、これなら大丈夫、もうかるだろう、これならやってもいいなという確証をつかむまでに、それは二日や三日は初めての場所ですからかかると思います。それで延原という人に会うたこともありませんから、初めて二十一日に延原という人に会いに行ったわけです。そのときに延原——延原にほんとうはその日に大体どうするという約束をして帰るつもりだった。ここに五百万しか持ってないのだ。私は、それだけでも入れなさいというから、それでは残金は二十八日までに払おうというので、五百万置いて帰ってきたようなわけです。大体だまって一言のあいさつもなくして、人に金を出させて、費用を使わしておいて、それで両方とも黙ってこそこそ会う。そんなことをやるということは道義に反する。それは市井の悪ブローカーもやらないようなやり方だ。そんなことをするんだったら、僕は考えがある、こう言って、実は法務委員会に出すつもりでおりましたけれども、法務委員長がもう少し様子を見た方がいいだろうと言うから、様子を見ておりました。そうしたら、交換の話がじりじり進んでおるようだし、契約もしたようなうわさも聞いたのです。契約が二月にできたということは、今初めて私は聞くのですが、秘密にされておりましたから、知りませんでした。それでどうするようなふうがあったというものですから、そんなことをされたらもうしようがないから、じゃあ延原土地だけでも何とか自分が抑えておいて確保するか何かしなくちゃ、損害が補てんできないというので、仮処分をやったわけでございます。仮処分をやって訴訟でいくつもりでおりましたが、ちょうどここにおられます上野参考人が、しきりに取り下げてやれ、取り下げてくれろと言うし、そうなったら、自分はもうよりどころがないから、それはひどいじゃないですか、僕は初めから金を二億三千万円ふところにあるというようなことは言いやしません。初めからこしらえなくちゃならぬだろう。どうせ金を作るには相当の日にちもかかるし、費用もかかるということを初めから言うておるのですから、そうしてその費用を使ったり、それからここに鍵谷参考人がおられますが、鍵谷さん、あなたも一つ頼む、金を一つ入り用になれば、こういうわけだからお願いしますと頼んでおきましたりするものですから、ある程度の用意はできていたにもかかわらず、今になってから、もうお前なんか要らぬ。なるほど管区長所長新大阪ホテルに見えまして、白紙に返してくれ。どういうわけですか。それは本庁の命令だから。そんなばかなことはない、それだったら僕は、と言うていたのですけれども、何らそれに対する話もないし、当然これは争わなければいけないと思って、それで民事の争いを起こしたわけでございます。それから先は上野氏の関係ですが、それじゃ上野さん、あなたにまかせようというので、私は無条件でそれを取り下げると同時に、私の持っておった一切の書類までお渡しして今日に至った、こういうわけでございます。
  156. 田中彰治

    田中委員長 上野参考人、仮処分を取り消ししたことを正直に申し上げて下さい。
  157. 上野浩

    上野参考人 良島さんが仮処分をしたわけです。そうすると、拘置所でも非常に困ったわけです。それはどうしてかというと、拘置所の問題で非常に悩んでいるし、それができないと、どうすることもできないというふうな状況で困っていたのです。私は、これに関連して二、三回福山さん、また所長さんのところに行っておりましたら、それは何とか円満な解決をして早く交換ができるようなことを何か心配してくれないだろうか、そういう話であります。それから私としてもそんなに争ってみたってしようがないから、話し合いをして、早く交換ができて、みながうまくいく方が一番よいという考えが私もあったものですから、良島さんにどうかあれを取り下げて、それで話し合いをして、円満に処理をしてくれないかと再三お願いしたのですが、良島さんが言うのには、自分としては多大の金も使っている。それから君の言う通りにすると、君のような理屈は自分にはわからないのだ。それはどうしてかというと、取り下げてしまって、法律的にすべて自分の権利を放棄するというふうなことがあったらば、あとで一体そういう損害はだれが補償してくれるかわからないことになってしまう、だから私はどうしてもいやだ、こう言うのですが、拘置所や何かのお考えなど聞いておって、何としても僕が片づけてやらなければどうすることもできないという考え方を起こして、じゃあ、良島さんどうすればよいか。おれは四、五千万の損失金があるから、その半分でもお前が負担して、お前さんの好きなようにやったらどうか、こうおっしゃるものですから、それではそうしましょう。そういうことにしたのです。そのとき私はどういうふうに考えたかというと、法律的なことで争うよりも、道義的にきちんと片をつけてあげれば、やがて道義的に報いがくるだろうという考えをし、それと同時に、私はその金を出す前に、まだ約束する前に拘置所福山さんのところに参りまして、こういうことで金が二千万も要ることになるのだ。だからあとになってどうすることもできないようなことになると良島さんは言うが、どうでしょうかと言って、私は行きました。そうしたら、福山さんの言われるのには、私は役人だから十分なことをして上げることはできないが、あなたのやって下さることに対しては非常に感謝するから、円満に交換ができたならば、自分延原さんのところに連絡をとって上げて、あなたに天満土地が入るように協力して上げましょう。そうですが、私としては拘置所のりっぱな方がそうおっしゃるのですから、これなら非常に安心だ、そう思った。またもう一つは増井さん、高瀬さん、そういう人たちを通じまして……。
  158. 田中彰治

    田中委員長 ちょっと待って下さい。増井さんというのはどんな人ですか。
  159. 上野浩

    上野参考人 増井さんというのは不動産業者です。増井良二さんです。
  160. 田中彰治

    田中委員長 高瀬という人は……。
  161. 上野浩

    上野参考人 この間参考人に出た高瀬昌弘さんであります。その両人に頼みまして、こういうふうに私一人が損するのは困るから、延原さんの方としても、この際円満に片づけたいためなら、千万ぐらい出してくれてもいいはずだから、出してくれるように交渉して下さいと言って話した結果、その返事が両人から来ました。それは延原さんには会えなかったけれども、中村支配人に会って、千万出してくれと言ったら、中村支配人の言うのには、今千万出すということは、とても延原さんの性格として出すような人じゃない。交換がついて、あと天満土地を売るときには、二億三千万を二億二千万にするようなことを主人にちゃんと話しするからと言ったから、間違いないから、上野さん、そういうふうにしておやりなさいということを、増井さんと高瀬さんが言いました。また、そういう交渉のことや何かは、私はつぶさに福山さんに報告をしております。しかるところに、やがて交換ができました。それでそのことをどうしてくれるのだと言ったところが、今交換したばかりだから、すぐあなたに売ると、世の中の物情がうるさくなるということになるから、もう少し時期を待ってくれということで、また一年くらい待ちました。待っておりましたところが、さっぱり何とも言ってきません。それであるとき、私は福山さんのところに重山というのを一緒に連れて参りました。
  162. 田中彰治

    田中委員長 重山というのはどんな人ですか。
  163. 上野浩

    上野参考人 これは私が秘書みたいに連れて歩いている人です。それを一緒に連れていきました。実は私はそれを忘れておったのですが、ゆうべたまたま、重山に会って聞いたので、僕について行ったということがわかったのです。それでそのとき福山さんにお話ししたのは、延原さんの方は何にもなってくれない、私はこのまま損してしまいっぱなしになるのですか、どうか福山さん、約束によって延原さんの方に一つ連絡をとって、会わしてくれるわけにはいかないでしょうかと言ってお願いしたのです。そうしたらば、福山さんのおっしゃるには、ところが上野君、その中村支配人がやめちゃったのだ。中村支配人がいたときには、善良でりっぱな人だから、さっそくあなたを紹介して骨折るようにしてあげたけれども、中村支配人が延原に首になっちゃった。今度延原とやってみると、非常に悪いやつで、約束と違って土台石のところは残しっぱなし、いろいろ言っても応答しない、憤慨して口も聞かない状態になっているのだ。だからほんとにあれだが、中村支配人の場所を教えるから、中村支配人のところに行って話をしなさいという話を聞いて、ずいぶんあっさりだけれども、やはり心配してくれるのかと思って、中村支配人のところに行こうと思ったが、それは果たすことができないのです。
  164. 田中彰治

    田中委員長 どうして行けないのです。
  165. 上野浩

    上野参考人 それは聞いたら、中村支配人はすでに延原の忌諱に触れて首になってしまっているわけです。そんな者のところに行ったってどうすることもできないということから、だからむだをやめたのです。ところが、昨日大阪から新聞を送ってきたのを見て、私は福山さんに対して非常に考え違いをしたというふうに思い、今の証言を聞いてなお一そうその気持が深くなったのです。それはどういうことかというと、その新聞に、おれは二千万のことなど聞いたことも何もないと言ったと善いてあります。今のことも、良島さんに頼んで、五百万損しても、その金を返してやめろというならいいけれども、そんなものは勝手に損しろ、五百万ぽっち何だというふうな、要するに細見が悪ければ、細見のところではっきりやめておいてくれれば、われわれがこんな大きな迷惑をしたり、損したりしなかったというふうに私は思っており、私はきのうの新聞を見るまでの、総務部長さんはりっぱな人である、この人にさえたよっておれば私の問題は片づくのであるという信念を、きのうの新聞を見てくつがえして、非常にきょうは興奮しています。
  166. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、今の上野さんの話について、当時の事情を述べて下さい。
  167. 福山繁雄

    福山参考人 私上野さんを存じましたのは、私のメモから抜粋いたしますと、最初は三十年の十二月十日、つまり良島さんと手を打って間もなくでございます。間もなくおいでになったように記憶します。この上野さんのおいでになったところの手づるは、大阪高等検察庁安西次席検事を通じて所長に面会を求められたのでございます。なおその後もおいでになりましたのは、大阪の地検の検事正を通じてお越しになったのでございまして、私や所長は、上野さんは検事のおえら方に非常に面識のあられる方だ、こう感じておりました。また、余談かもしれませんが、上野さんに対するところの気持考え方につきましては、これは非常に人格円満なりっぱな方だと、現在この席までも私は信じておりまして、りっぱな方だ、りっぱな方だ、こう信じてきておりまして、現在に至るも変わりございません。ただこのおいでになるところの時期をずっと総合いたしますると、この良島さんの関係が打ち切られてすぐにおいでになり、その次にお越しになりましたのは、良島さんが訴訟問題を起こしました前後、必ずこの方が影の形のごとく現われておいでになったのでございまして、前後を通じまして、私の記録によりますれば、九回に及んでおります。そのうちの一つは、お手紙をいただいたこともございます。一番最初にお越しになりましたのは、これは所長に対する面会で、私は……。
  168. 田中彰治

    田中委員長 それはいいが、仮処分のことはどうなるのです。仮処分の取り消しを、こちらも骨を折ったと言っておられるがどうですか。
  169. 福山繁雄

    福山参考人 仮処分につきましては、終始それは延原さんと良島さんの関係でございまして、国といたしましてはどうこう申し上げる筋合いではございません。これが早く解決しなければ、私の方も迷惑することは迷惑しますけれども、この問題に対して、私たちはどうのこうの申し上げる筋合いではございませんということで、終始一貫をいたしておりました。
  170. 田中彰治

    田中委員長 二千万円損するからというような話、あったの。
  171. 福山繁雄

    福山参考人 一つ一つ詳しくは私記憶いたしておりませんけれども、とにかく今申し上げましたように良島さんが一番最初に……。
  172. 田中彰治

    田中委員長 それはいいが、仮処分を取り消すときに、上野君があなたに会って今言ったようなことを言ったの、言わないの。あなたが二千万を損するから、では安くするように話するとか、それから今言ったように何とかしてこれをとるようにしてくれと頼んだの。
  173. 福山繁雄

    福山参考人 そういうようなことは、頼みはいたしません。また、さような記憶は毛頭ございません。
  174. 田中彰治

    田中委員長 上野参考人、おかしいね。あなたの今言ったことは、何にも知らない……。
  175. 上野浩

    上野参考人 今総務部長が聞いたことないと言いますが、私は最初行ったのは十二月の十日ごろですが、ひんぱんに行ったのは良島さんが仮処分をしたときからです。そのとき私は何の当てもないのに——常識的に一つ判断していただきたいと思うのですが、良島さんは、法律的にそんなことをやったらゼロになる、それから私たちの弁護士の田口弁護士も、上野君、そんなことをやったらゼロになる、ゼロになるようなことを君、やって一体何になるんだと言ったときに、私は、何の当てなしに金を出して権利を放棄するようなばかなことをする人があるかどうかということをまず判断していただきたい。私はそのよりどころの一つは、拘置所があんなことでは大へんだ、ぜひあれを何とかしなければ大へんだと言われるから、再三良島さんに交渉し、無条件で取り下げてもらうことをしたのだし、それからそのときそのときその報告をしに行って、困った、困ったと言われるから、それではこうすると言って、そのときそれは安くするとかいうことは言いませんよ。福山さん、決してあなたが安くしてやるとか、高くするとか言ったとは申しません。あなたはそういうふうにしてやって下さい。そうすれば、それが円満に建ったときには延原さんの方にも連絡して、それであと土地があなたの方に入るようにあっせんというか、協力するものですということを、あなたはそのときおっしゃったのですよ。
  176. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人にお尋ねしますが、そういうことを言われないということになると、これは不思議なことになる。この仮処分を取り消すということになると、取り消すために上野氏は良島氏に二千万——千万円現金でやって、あと月賦で払ったことも事実です。一銭にもならぬのに、わざわざ裁判所が良島の所有権の一部を認めて仮処分を許しているのに、五百万手金を打っているそんなものみんな流して、どうして上野さんがそういうことをやるのか。あなたも拘置所におられて多少のことは知っておいでになるのだから、僕は不思議ですね。どうしてそういうことをするのでしょう。
  177. 福山繁雄

    福山参考人 先ほどから私、おいでになった当初の上野さんの大体の要旨だけを申し上げようと思っておった次第でございますが、よろしゅうございますか。一番最初おいでになりました十二月の十日に、自分の来ました目的は、良島君が非常に不手ぎわなことをやったので、御迷惑をかけて済まなかった。私がこのかわりに金主になりましょう。それでそうさせていただけませんかということでございましたが、私の方といたしましては、これにもうこりごりし、本省の方でも非常に慎重な気持になりましたので——その日にお会いになったのは拘置所長、しばらく時間を置きまして管区長にもお会いになられましたが、同様に、当方といたしましては、あなたさんにどうこう申し上げることはできません。あなたが本省に行ってお話しになることはとめるわけにもいきませんが、私の方では勧めもいたしません。これは御承知下さい。かようにして上野さんの申し入れをお断わりをいたしたことを記憶いたしております。それから三月の月になりまして、ひんぱんにお越しになりましたが、大体の要旨が、一つ延原と良島との問題を解決したい、ああいうことじゃいかぬと言うて、法務省さんのお役に立つことであったら、私は労を惜しみませんというようなこと、それから延原さんに会わしてもらえませんかということを、そのつどおっしゃったように思うのでございます。私の方としては、私の部屋から取次は二、三回したことがありますが、常に、先方さんの会う会わぬは先方さんのことでございまして、こちらが会いなさい、会ってやってくれということは、私の方の口として言えませんし、また延原さん自身も、訴訟問題も起きておることでありますし、非常に用心をしておられたようで、その当時はわれわれの言うことなんかは全く——ほとんど電話の取次がなかったように記憶いたしております。なお、上野さんに私敬服をしておりましたことは、いや、こういうことは福山さん事業でございます、しんぼう強くいかなければ、今ここで幾ら金を投じましても、この目的が達成すればまたすぐ取り返しはつきます、というように言われて、事業家とはこういうものであろうかなというて、私非常に感心いたして聞いたような次第でございます。
  178. 田中彰治

    田中委員長 しんぼうして円満にいけば、このくらいのものは取り返すということは、どういう意味のことなのですか。
  179. 福山繁雄

    福山参考人 これはなんとかして天満土地を手に入れたいというお気持のようでございました。
  180. 田中彰治

    田中委員長 それであなたは、その気持を知っていてどうしたの。
  181. 福山繁雄

    福山参考人 私は総務部長といたしまして、人さんにこうしてやれ、ああしてやれというようなことは言われもしませんし、言うた記憶はさらさらございません。
  182. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 今もちょっと当時の新聞を見ると、仮処分をしたことが大へんな問題になっている。われわれ専門家からいえば、仮処分というのがこういうときに一番いいわけで、十を望んでおって百くらい、十倍くらいな要望が達成できるのは仮処分という手だ。これは言うまでもなくわかっているわけですが、それを無条件に取り下げるというのは、よほど何かいい条件があったということになるのじゃないか。九回も上野さんとあなたが会っているということは、やはり脈が切れないとか、何か望みがあるからこそ会っているのじゃないか。仮処分を取り下げた原因をあなたどうお考えになるか。あなたにとって死活問題なんだ。法務省にとっても、あなた方拘置所の管理者にとっても、大へんな問題なんだ。われわれの選挙よりももっと重大問題かもしれないくらいの重大問題について、無条件に取り下げてこられたということについて、心から敬意を表し、感謝しなければならぬ立場であるとわれわれは思うんだが、それはどうして無条件に取り下げたとお思いになりますか。   〔小委員長退席、木村(公)小委員長代理着席〕
  183. 福山繁雄

    福山参考人 私の考えといたしましては、上野さんの真意のほどはわかりませんが、先ほどから申し上げましたように、上野さんは良島と延原との解決をしたいのだということ一点張りと、それから何とかして延原さんに会いたいという気持で来ておられたことは、私聞いております。それに対して私ども法務省側といたしまして、これにとうのこうのと——最初は向こうに電話で上野さんが来て会いたいと言っておられますよと、向こうの係に連絡をとってあげたことはありますが、それ以上立ち入って連絡をとりましたことはございません。
  184. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 ちょっと途中ですが、われわれ常識で判断できない。公務員としてあなたがそういうことを言われるのは、職務怠慢だと思うのですが、今私が言ったように、仮処分になったから、これは大へんな問題になったというふうなことになるのです。新聞さえああいう報道をしているのだから、仲裁は時の氏神で、上野参考人が少しでも仲介に入ってこの問題をまとめようとして話にこられたのなら、あなた方は進んでお頼みして、あなた、良島さんともし懇意だったら、ぜひなだめてくれ、取り下げさしてくれというふうにあなたの方から頼まなければいかぬ公務員の立場でしょう、あなたの利害関係からいっても……。それをそういうふうな巧妙なきっかけができておるにもかかわらず、それを放置して冷淡に取り扱うということは、最も職務に不忠実だということになる。私は、あなたがそういう不忠実な人と思わない。だから、そういうふうなきっかけができたら、ぜひ頼むというふうなニュアンスがあるのです。言葉にどう出されたかわからぬが、しかしそういうような気持はあり、それから甘い言葉をかけてやったのではないですか。そうでなければ、取り下げることもなし、また、そういう機会にあなた方がそういう働きをしなかったら、職務に忠実ではないのです。国家のために忠実ではないのです。そのために月給をもらっているのでしょう。そういうふうなきっかけがあったら、あなた方も熱意をもって積極的にどうぞ頼む、何とかおさめてくれとあなたの方で言わなければいかぬでしょう。
  185. 福山繁雄

    福山参考人 その当時の法務省の一員である私といたしましては、そういうような良島、延原の問題につきまして、国が関与する筋合いのものでないと信じておりました。
  186. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 それではどうなってもいいと思ったのですか。長引いても差しつかえないものだ。この問題であなた方のやり方がよかったか悪かったかは別問題として、ここに問題が起こっているのだ。だから、責任を追及しなければいけないということになってくるのです。悪ブローカーという言葉がさっき上野参考人の言葉から出たのだけれども、悪ブローカー以上じゃないですか。そういうふうに直接交渉するような機会を提供してもらったものを無視して、悪ブローカー的な直接交渉をした場合に、五百万円良島が損をするというようなことに対して、一片の同情もしなかったということは、どうするつもりであったのですか。人間ならば、少しはそういう場合に考えなければいかぬと思う。
  187. 福山繁雄

    福山参考人 一つ申し上げておきます。これは私の記憶によりますれば、良島さんが本訴を提出する前だったと思います。本訴を提出する前に、上野さんが私の方の所長を訪問されまして、所長にいろいろの申し入れをされたと記憶いたします。良島対延原関係を何とかしなければいかぬ、またもしこれの仮処分を取り下げしたなれば、相手方の延原がこれに追い打ちをかけるのではないか、損害賠償で追い打ちをかけるのではないか、それをおそれるというようなことを言われたことを記憶をします。そのときに松本拘置所長は、上野さんに、私たちがそれをどうのこうのと申し上げることはどうしてもできませんということは、はっきり所長が申し上げたことも記憶いたしております。
  188. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 その五百万円はどうするつもりだったのですか。良島へ対しても差しつかえないと思っておったのか。良島と延原の契約が、あなた方拘置所の行動によって妨害されることになるのですよ。買い手がなかったならば、あなたの方で買う気がなかったならば、良島の方は譲る気なんです。それをじゃました。細見、良島の仲介によって適当な土地を見つけ出して、あなた方は行き悩みにあった拘置所の問題について活路を開いたんだから、非常に感謝しなければならぬ立場になっておる。そういうことに対して、そういうものを横取りしたような悪ブローカー以上の悪らつなことをやりながら、良島なり細見なりが五百万円の損、二千万円か四千万円か知らないが——五百万円ははっきりしておるが、それがまるまる損失になっても差しつかえない、同情する余地はない、それに対して何らかの救いの手を伸べてやることを考えなくてもよいというような酷薄むざんな気持を持っておる人とは思わないが、どうなんでしょうか。
  189. 福山繁雄

    福山参考人 その五百万円の件でございますが、法務省といたしましても、これは役人でありますが、人情は持ち合わせていたと思います。私は鈴木管区長及び松本所長の命を受けまして、それは交渉打ち切りをしましたその後でございます。鈴木管区長が私に、福山君、細見が良島に頼んで五百万円を入れておるんだから、あなたが延原さんに話して、延原さんが返してくれればいいがな、何か君、公式でなくてもよい、どちらでもいいが、当たってみてくれぬかという命を受けまして、私、延原観太郎社長に直接お会いしまして——会ったこと数回でございます。そうしてそのときの模様はこうでございました。延原観太郎さんいわく、よくわかりました、しかし、この金を私の方から持っていったり、またどこに来て下さいという筋合いのものじゃございませんよ、先方さんがお越しになりましたならば、私考えましょう、こういうような言葉をいただいたのでございます。ところが、その後間もなく仮処分の申請がありまして、延原さんの態度が硬化したように記憶をしております。
  190. 高橋英吉

    高橋(英)小委員 今の話を聞いて、多少人情味というか、人間味が管理者の皆さんにもあったような気がしますが、われわれの普通の常識からいうと、そういう場合には、延原の方に条件をつけて、良島なり細見の方の解決をしてやってくれ。そうしませんと、われわれの立場も因るし、気の毒だというくらいの積極的なあっせんをしなければならないというようなことが考えられる。ところが、先ほどから話を聞くと、その問題にしましても、また仮処分を取り下げることについても、いろんなチャンスがあるにもかかわらず、非常に自然の人情に反するような陳述があなたにあるわけです。われわれ常識で考えて、そういう場合こそ進んで積極的にこの問題の打開をしなければいかぬというので、熱意をこめて乗り出してやらなければならぬにもかかわらず、そうでないような陳述があるのは、どうも人情の自然に反して、不自然ないろいろなものがあって、何か隠しておられるものがあるというように考えることと、それから、この新聞にもありまするように、はっきりしたことはわからないけれども、この延原法務省との土地交換というものは、延原に非常にもうけさしたというようなことになってきておるというように思います。私は、この問題はあまり詳しく聞かなかったのですけれども、きょうここへ来て初めて聞いたんだが、われわれの直観からいっても、延原が大へんもうけているということになる。その間にどうしてそういうふうに延原に有利な、延原のみをもうけさすような取引が成立したのか、交換が成立したのかということについて疑問を持っているから、その点について、一つ慎重にお考えの上御答弁、御陳述を願いたいと思います。
  191. 福山繁雄

    福山参考人 この土地交換につきましては、非常に慎重を期してやったつもりでございます。先ほども説明申し上げました通り、財務局の評価鑑定、安田信託銀行が評価をしまして、そして所定の手続を踏み、契約締結というところにいったわけでございます。なお五月ごろになりまして、都島反対期成同盟からいろいろと反対——参議院を通じまして調査に来られましたので、そのときも、国の評価といえども、もしものことがあってはいけないし、もし国が間違っておりますれば、これを改めることにはちゅうちょをしないというつもりで、五月ごろも、大阪市内の有名銀行に、大体五カ所であったと思います、勧業銀行、勧業不動産、三菱、三和、住友という会社に評価鑑定をお願いしましたところが、これまた財務局の評価の正当性を裏づけるようなものでありまして、今日に及んでいるわけでございます。
  192. 田中彰治

    田中(彰)小委員 まず参考人にお聞きしますが、あなたはさっき上野さんからいろいろな話があったときに、われわれは役所の者だから、一切そういう問題に対しては関係しない。上野さんは初めからおいでになったから、今までに上野さんという人の人格は信じておる。しかし、われわれは役人だから、土地の問題等に一切触れない、そういうことはわれわれの関係したことじゃない、こうあなたはおっしゃった。そこにあなたのお話しになった速記録もありますが、そういうあなたが、所長に言われて、また良島の五百万というものを何とか返してやってくれぬかと言って数回会われたということは、理由のいかんを問わず、これはどっちに利益になるか知らぬが、そういう問題に対しても、役所が、あなたが関係していられる。さっきあなたは、上野さんの御回答には、中に入って二千万損しようと、三千万損しようと、仮処分を取り下げようと取り下げまいと、そういうものの一切の仲介には、役所は関係すべきものではないと言って断わった。すべきものでないんだということを自信をもって答弁になった。それから今度五百万については、今高橋弁護士にいろいろ言われてみると、あなたは、今度はその問題について関係して五、六回も会っておられる。これは一体どうなんです。都合のいいときは会うし、都合の悪いときは会わない。都合のいいときは正直に言うし、都合の悪いときはうそを言う。だれが聞いても、あなたの答弁は、それは公務員として、拘置所の総務部長の答弁だとは思っていません。まずこれが一点。どうして五百万には関係して、上野さんが今度仮処分されて土地交換できない。各新聞には刑務所土地交換中止かと出ているときに、上野さんが骨折ってどんどん騒いで歩いて、しかも、何千万損しても仮処分をやめましょうと言ってあなたに相談を持ちかけている。その時分には一切それに関係しませんと言っておいて、今度は五百万なんか、場合によれば土地交換したあと関係ない。それでちょっと言われれば、数回も会っていろいろ説得したということを言われている。これは非常に違っている。  それからもう一つ、仮処分をされておって、あれを取り下げしなかったら、土地交換できたかできないか。仮処分がされておったら、あの土地交換はできない。今あなたは土地交換をしたと言って、しゃあしゃあとしておられるけれども、それは上野さんが、どんな約束で、どんな考え方でしたか知れないが、一応良島さんが何千万もかけて仮処分したものを、弁護代からみんな払って、損害を払って、そうして仮処分を取り下げて、あなたの方から出ている書類を全部あなたのところに持っていって返して——不幸にか幸いにか知りませんが、写真がとってあったから、あなたは責められた。写真がなければ、あなたは書類も拒否される。そういうような仮処分の取り下げをしない方がいいのか。しなかったら、あれでもって土地交換できておったのか。本訴が起きたら、三年や五年で解決がつかない。また、仮処分をするには、何ら権限がないのにしない。しかも、この仮処分に安西検事正か、次長検事か、次席検事か知らないが、これに非常に弾圧を加えておる。そうしてこの書類を貸してくれとか、写さしてくれとかいろいろ騒いでいることはわかっている。そういうような状態のときに、仮処分を許したんだ。やはり権利を認めて仮処分というものを許したわけでしょう。その権利を認められて、仮処分を許されて、本訴を出すことになっておるのに、それをどこのばかが何千万も金を損して取り下げるか取り下げないかということは、これはもうだれが考えても常識です。あなたがそこで何と抗弁されても、何かあったから——上野さんは正直に言っておる。あの土地交換されて、交換された土地自分に一千万まけて二億二千万で売ってくれれば、土地でもうかるからあの仕事をしたということを言っておる。良島君も、どうしてそんな土地交換の中に入ったかと言われたら、交換すれば土地でもうかるから、もうけたいからやったということを正直に言っておる。あなたの方は、その仮処分をされておれば交換できない。その仮処分を何千万損して取ってくれたのに、あなたは上野さんに対して何のあれもしない。そうしておいて五百万の手金なんということを口軽く言うが、あなたは口軽く言える人でない。あなたは平気でそれで交換したと思っていられるけれども、われわれは交換を認めない。どうして認めないか。それは、五百万手金を入れて、手金を入れたという書類をあなたのところに持っていって、あなたが良島氏を使って四千万、五千万入れてくれと頼み、そういう書類を出して、それによって良島氏が五百万というものを入れて、自分の権利になっておるわけだ。それで仮処分を許されたわけだ。それを、五百万の解決はついておらない。たとい仮処分を取り下げたとしても、そこにあなたにだまされたとかなんとかいうことなら、また仮処分を許されるわけだ。それを、あなたが黙って、公務員でいながら、そういう因縁のついた土地を、そのまま、五百万の解決をしないで、良島の解決をしないで、上野の解決をしないで、国有地等を交換されたということは、これは法務省の法務大臣といえども許されないことだ。この点をあなたはどう考えているのですか。この点をあなたはどう考えていますか。この点について、私はあなたの御答弁を願いたい。
  193. 福山繁雄

    福山参考人 五百万円のことにつきましては、先ほども申し上げました通りに、国といたしましては、これはそのまま置いておっても差しつかえのないものであったと思います。しかしながら、やはり納められた良島さんは気の毒だ、五百万円は、もし延原さんが返してやってくれればいいがなあ、しかし、これも、その返す返さぬは延原さんのことでありまして、延原さんにそういうような話をしてみたらどうかというところの命を受けまして行ったわけでありまして、その結果はそういうようでございました。延原さんは何とか考えようと言っておりましたところが、仮処分の時点になって態度が硬化した……。
  194. 田中彰治

    田中(彰)小委員 そんなことは聞いていない。何のためにあなたが個人的に交渉に何回も行ったかということです。
  195. 福山繁雄

    福山参考人 命を受けまして行きました。
  196. 田中彰治

    田中(彰)小委員 それでは参考人にお聞きしますが、五百万円という金を、所長にそれだけの親切さがあり、あなた方がそういうことに多少でも考えを持っている、法務省でもそういう考えを持っているなら、五百万円の手金の解決しないうちに、因縁のついた、ここでこんな問題になるような状態のものと、国有地をかえることはおかしいじゃないですか。なぜそのとき五百万円を解決してから、国有地にかえないのですか。そうしたら、こんな問題は起きない。それを黙って、五百万円をほうって、それで直接交渉をしてそしてかえるような人が、今度はそれをやってしまってから、五百万円は数回も行って交渉してやった。それは、仮処分されておれば取りかえられない、そういうような難局に立ったときに、上野さんが二千万円も損して飛んで歩いているときに、あなたなり、所長なり、延原なり、そういう関係者が、甘い膏薬を与えないのに、何のために上野さんが良島に二千万円弁償して、そして仮処分を取り下げて重要な書類をあなたの方にやるか、なぜ上野さんがそんなことをしなければならないか。しかも、あなたが上野さんに会っておらぬということになれば、それは勝手にやったということになるのだけれども、何回も拘置に行ったりあなたと会っているのだから、仮処分の取り消しに何とかしなければならぬと言っているのだから、あなたの方がそれに対して何にも誓わないということはおかしいじゃないか。そんな薄情な、何にも言わないくらいの無情なものならば、なぜ五百万円くらいのものに数回も行くのか。またそれと関係しないくらいにかたいなら、なぜ五百万円という手金を解決して、そうして国有地にかえないのか。あなたの言っていることはおかしいじゃないか。あなたはここでさえ答弁が済めばいいと思っているかもしれないけれども、こんなことではやめませんよ。あらゆる証拠を出して、最後にあなたを証人に呼んでやろう。そしてそれが食い違えば、あなたがどんなものになるか、わかっているだろう。だれでも聞いてごらんなさい。あなたの言うことが筋が通っているか、通っていないか。さっきあなたが言ったときに、仮処分をされているのだから、取りかえたくて因っておるから、それを何とかしなければならぬとあわてておるときに、上野さんがいろいろなことを言っておるが、役人はそんなものに関係しない、あなたがそんなりっぱなことをおっしゃるなら、五百万円をほうっておいて交換してしまったあとから、なぜ五百万円の金のために幾回も行くのか。幾ら公式でなくても、命を受けて行けば公式じゃないか。あなたは、取りかえるその主体性のある人だ、関係のある人じゃないか。そして上野は知らぬと言っている。仮処分はどういう理由で取り下げたのですか。仮処分してあっても交換できたのか、できないのか。どういうわけで上野さんが取り下げたと思っているのか、あなたが答弁してごらんなさい。
  197. 福山繁雄

    福山参考人 仮処分の方をそのままでありますれば、交換はできなかったと信じております。しかし、先ほども申し上げましたように、私の方は国として上野さんに対してどうしてくれ、こうしてくれということは言えないのでございまして、そういうような事情で頼んだというようなことは毛頭ございませんので、御了承願います。
  198. 木村公平

    木村(公)小委員長代理 ちょっと私からお尋ねいたします。上野さんが仮処分を取り消させることが国家のためになるという判断から、良島さんに損害金を支払って仮処分を取り消させた、そうして書類をあなたの方に全部返却した。この二千万円で処分を取り消させたということは知っているのですか、二千万円出したということは。
  199. 福山繁雄

    福山参考人 二千万円という金額のほどは、そういうところは詳細記憶はございませんが、とにかく良島さんとよく話をいたしまして善処するようにということで参りました。おいでになった目的は、常に良島さんと延原との関係を円満に解決する目的でございます。そうしてその暁においては延原さんと交渉をいたしまして、天満土地を入手したいと思っております。これは私は企業でございますから、もし延原さんと話し合いをいたしまして、延原さんが私を御信用にならない、また売らないということであれば仕方がございません。これは商売でございますから、私のは企業でございますから、事のなる、ならぬは仕方がないというようなお話がございまして、私の方はそういうような事情で、それは延原の方と契約を取り結んでおりますし、方針を立てなければならないので、それが何にもなくスムーズに登記のできるような状況になることを私たちは望んでおるわけでございますけれども——それはだれだってお望みになるだろうと思うのです。しかし、国として、われわれとして、これにどうしてくれ、こうしてくれとひもつきのことは、申し上げられよう道理がございませんので、この点御了承願いたい。
  200. 木村公平

    木村(公)小委員長代理 これはもう一ぺんあなたにお尋ねしたいが、重大な問題だと思います。仮処分を取り消させることが焦眉の急であるということは、あなたもお認めになっておることです。それは狭い拘置所を新しい拘置所に移すということが、拘置所の中に入れられておる者のためにもなるし、国のためにもなる。従って、一口も早く新しい転地にあなたの方といたしましては移りたいというのが、拘置所全員のお考えであったようにずっと承っておる。そこで突然仮処分をされたということが妨げになって、移転ができないということになれば、あなた方もさぞかしあわてられたろうと思うし、できればこれをすみやかに取り消して、一日も早く交換したいということを思われるのが常識だと思うのです。そのときにたまたま時の氏神のように現われた、ここにおられる上野さんが、良島さんの仮処分を取り消すためには幾ばくかの金も要る、犠牲も払わなければならないけれども、拘置所のために一はだ脱ぎましょう。——目的は天満土地がほしかったかどうか知りませんが、目先の問題としては、仮処分を取り消すためには、どうしてもある種の犠牲を払わなければならぬけれども、あえて火中のクリを拾うために、上野さんが幾ばくかの金を払ったということは御存じですか。二千万円の金額が明確でなくても、ある犠牲を払ってでも解決するという上野さんの行動に対して、暗黙のうちに承認とかいう意味でなくて、それを知っておられたかどうかという問題です。お答えいただきたい。
  201. 福山繁雄

    福山参考人 お答えいたします。先ほどからるる繰り返しましたように、私たち気持の上では、何にもなくスムーズに刑務所建築できるような状態に、一日も早くなることを望んでおることは、公務員として当然でございます。しかしながら、上野さんと良島さんのどういう取引というようなところまで、私たち知る由もございません。   〔木村(公)委員長代理退席、小委員長着席〕
  202. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 これはこのままいってもなかなか進まないと思う。従って、福山参考人は、この事件をもっと究明し、進行するために証人に切りかえてもらわなければならぬだろう、こういう点も出てくる。きょう参考人は朝から来ておるわけだから、食事をさせないでやるのはいけない。従って、一旦ここで休憩して、お互いに食事をし、今私の提案した問題も、小委員の方々と御協議願うことにしたいと思いますから、暫時休憩を望みます。
  203. 田中彰治

    田中委員長 それでは、食事の時間も参りましたから、暫時休憩して、一時半からまた開会いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後一時四十六分開議
  204. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引き続き調査を進めます。  法務省の近藤経理部長がまだおいでになりませんから、勧銀の常務取締役土屋参考人にお尋ねいたします。  土屋参考人にお尋ねいたしますが、あなたの銀行から大阪延原観太郎に対して資金の貸付がずっと古くからございますが、お貸し付けになったのはいつごろでしょうか。
  205. 土屋馨

    土屋参考人 お答え申し上げます。私どもの方では、昭和十五年の十二月三十日から貸し出しをいたしまして、二十二年の二月まで貸し出しをいたしておりますが、合計いたしまして二十五口の六千万余ございます。
  206. 田中彰治

    田中委員長 この貸付状況ですが、元金がいつごろから返済になりました。
  207. 土屋馨

    土屋参考人 委員長のお話でございますが、延原観太郎さんは個人でございますが、私どもの方で先ほど申しましたように二十五口を、戦後はわずかでございますが、戦前にずっと大部分の貸し出しをいたしております。戦時中は延原観太郎氏が海軍の管理工場といたしまして、私どもの方も融資いたしまして、その途中におきまして指定金融機関となりまして、命令融資を受けて融資いたしたようなわけでございまして、総額六千二百万余円になっておりますが、一口に申しますと、その後その整理にもっぱら努めまして、私どもの方の金融機関といたしましては、いわゆる元金と利息に分かれるのでありますが、元金につきましては全額回収いたしまして……。
  208. 田中彰治

    田中委員長 お貸しになってから回収までにだいぶ手間がかかっておりますが、最後の金融を打ち切りになったのはいつですか。
  209. 土屋馨

    土屋参考人 金融が打ち切りになりましたのは、昭和二十二年二月二十六日が最後の貸付になっております。
  210. 田中彰治

    田中委員長 元金をお取りになるまでだいぶほってあったそうですが、どのくらいほってありました。
  211. 土屋馨

    土屋参考人 ほってあったわけでございませんで……。
  212. 田中彰治

    田中委員長 それは向こうで払わなかったんでしょうが。
  213. 土屋馨

    土屋参考人 私どもの方は概括的に申し上げますと、その後ずっと回収にもっぱら努めまして、それで今日まで……。
  214. 田中彰治

    田中委員長 それはわかっておりますが、元金が入らないでおった年限はどのくらいありました。元利が入らないことがあったでしょう。
  215. 土屋馨

    土屋参考人 三十五年まではぼつぼつ入っておりましたが……。
  216. 田中彰治

    田中委員長 一銭も入らないときがあったでしょう。その期間はどのくらいですか。
  217. 土屋馨

    土屋参考人 三十五年までの間の七、八年、約十年近くでございますね。
  218. 田中彰治

    田中委員長 一銭も入らなかったのでしょう、十年近く。
  219. 土屋馨

    土屋参考人 入っておりません。入りましても、ごくわずかなものが入りまして、それは私どもの方の金融慣例で申しますと、仮受けいたしまして、端数でございますから、そういうものは……。
  220. 田中彰治

    田中委員長 入らなかったのは、約十年近く入らなかったのでしょう。
  221. 土屋馨

    土屋参考人 いや、五年くらいでございます。
  222. 田中彰治

    田中委員長 そうすると、五年間一銭も入らなかったのですか。
  223. 土屋馨

    土屋参考人 はい。
  224. 田中彰治

    田中委員長 それじゃ、こうしましょう。あなたの方のは、数字的なものだから、資料で出して下さい。
  225. 土屋馨

    土屋参考人 それでは委員長のお話のように入金状況を……。
  226. 田中彰治

    田中委員長 入金状況を出す前に、貸し出しをいつから始めて、いつ貸し出しを打ち切って、その打ち切ったとき損金が幾らあって、それから何年間金が入らぬでおって、それで今日まで元金が、今あなたは返したと言うのだから、元金がどれだけ入って、利息が幾らで、今だいぶ残っているのでしょう、その残っているのは幾ら残っている、これをあなたの方から数字的に出して下さい。出してからあなたに来てもらいましょう。その方がいい。
  227. 三和精一

    ○三和小委員 そうしますと、十五年から取引しまして、三十年までかかって元金はほとんど返済したと言われたわけですね。
  228. 土屋馨

    土屋参考人 二十五年から少しずつ入っております。
  229. 三和精一

    ○三和小委員 現在は、元金はどうですか。
  230. 土屋馨

    土屋参考人 元金はなしです。
  231. 三和精一

    ○三和小委員 利息は。
  232. 土屋馨

    土屋参考人 利息は約六千万円。
  233. 三和精一

    ○三和小委員 では、あなたの方の銀行は、利息を取り立てないで、元金を先に取り立てるわけですね。
  234. 土屋馨

    土屋参考人 はい。
  235. 三和精一

    ○三和小委員 延滞料等はどうしましたか。
  236. 土屋馨

    土屋参考人 延滞料の方も、利息を計算いたしまして、そしてその抵当権をある時期に設定いたしまして……。
  237. 三和精一

    ○三和小委員 事後ですね。
  238. 土屋馨

    土屋参考人 そうです。
  239. 三和精一

    ○三和小委員 そうして延滞料も取らず、金利も取らず、元金だけ回収したわけですね。
  240. 土屋馨

    土屋参考人 当初においては、さようでございます。
  241. 三和精一

    ○三和小委員 しかし、十五年当時は、勧銀の組織体というものは、いわゆる現在の勧銀と違って国の資金がだいぶ入っておった。その当時いわゆる血税もだいぶ入っておったわけですが……。今までの点はあとでデータを出してもらいましよう。
  242. 木村公平

    木村(公)小委員 ちょっと私お尋ねしたいのですが、との延原観太郎に貸金ができた初めは、十五年ですね。それから二十二年の二月二十六日に打ち切った。そうして延原作所が何か軍需工場をやっておって、海軍の管理工場であって、命令融資ということになったのは、いつごろからですか。
  243. 土屋馨

    土屋参考人 命令融資になりましたのは、戦時中でございます。
  244. 木村公平

    木村(公)小委員 命令融資ということを先ほどおっしゃったのですが、命令融資を受けた日時はおわかりですか。
  245. 土屋馨

    土屋参考人 ただいまちょっと正確には記憶いたしておりません。
  246. 木村公平

    木村(公)小委員 命令融資前は、勧銀の独自の判断でお貸しになっているわけですね。
  247. 土屋馨

    土屋参考人 さようでございます。
  248. 木村公平

    木村(公)小委員 そのときは担保物件はありましたか、なかったのですか。
  249. 土屋馨

    土屋参考人 ございます。
  250. 木村公平

    木村(公)小委員 それにもかかわらず、五年間元金の回収ができなかったというのは、どういうことですか。
  251. 土屋馨

    土屋参考人 命令融資になりますと、命令融資の指令によりまして、担保の点は問題ではなしに融資の命令を受けるわけです。それに切りかえました時期については、先ほどお話のように、後ほど正確な時日を提出させていただきます。
  252. 木村公平

    木村(公)小委員 そこで、後ほど十分伺いますが、もう一、二点伺いたいのですが、命令融資前に担保物件は取っておられたかどうか。
  253. 土屋馨

    土屋参考人 取っております。
  254. 木村公平

    木村(公)小委員 それはそこに資料がございますか。
  255. 土屋馨

    土屋参考人 ございます。
  256. 木村公平

    木村(公)小委員 それから命令融資を受けて後は、担保は要らないということでございますね。
  257. 土屋馨

    土屋参考人 要らないと申しますよりも、命令融資の際には……。
  258. 木村公平

    木村(公)小委員 管理工場になって、それから貸付が行なわれたのですが、管理工場の時代においても担保物件は必要ですか。
  259. 土屋馨

    土屋参考人 これは命令融資以前でございますと、私どもの独自の判断でいたします。
  260. 木村公平

    木村(公)小委員 管理工場であった場合にも、あなたの方の独自の御判断でお貸し付けになったわけですね。
  261. 土屋馨

    土屋参考人 さようでございます。
  262. 木村公平

    木村(公)小委員 それからもう一言だけ伺っておきたいと思いますが、担保物件というものが設定されて、そのままの状態で三十五年までほとんど未払いだったのですか。
  263. 土屋馨

    土屋参考人 ただいま木村委員からお話のように、その後におきましては、命令融資によりますものは、担保物件の有無にかかわりませず、融資をいたしております。
  264. 木村公平

    木村(公)小委員 私の伺いたいのは、担保物件は、命令融資前にすでに設定したのだ。それから命令融資を受けてから引き続き担保物件の有無にかかわらず金を貸した。貸したけれども、終戦になって二十二年の二月何日かに貸金は打ち切り、取引は打ち切られた。それからじんぜんと担保物件があるにもかかわらず、回収がおくれて、ついにあなたの御記憶では、回収がややできたと思われるのは、三十五年以降である。それ以前はほんの少し回収ができたけれども、事実上は未払い状態、回収不能の状態であった。三十五年以降において初めて勧銀に幾らか入ってきた。そうして今日ようやく元金だけは返させたというお話ですが、これは延滞利息とかいろいろの関係が出て参りますので、三十五年までほとんど未払い状態だったというのならば、あなたの方で独自の判断で担保物件を取った分だけでも御処分があるとかなんとか、回収の方法として何かありそうなものだ。その点について、うちにお帰りになって、いろいろ御研究の結果の答弁では、われわれはどうしても満足できないのですから、今の未熟なままの答弁が伺いたいのです。
  265. 土屋馨

    土屋参考人 御答弁申し上げますが、若干数字になりますので恐縮でございますが、正確に申し上げますと、二十六年に九十万、三十年に八百五十万、端数は切り捨てますけれども、三十二年に六万、三十四年は入っておりません。三十五年に三千五百万入っております。合計数としましては、先ほど申しましたように、三十五年のものを除きますと——ちょっと訂正させていただきますが、二十一年から二十五年までの間に約五百万入っております。
  266. 木村公平

    木村(公)小委員 そうすると、合計どのくらいになりますか。六千万になりますか。
  267. 田中彰治

    田中委員長 初めからやって下さい。
  268. 土屋馨

    土屋参考人 二十一年から二十五年までの五年間に五百万、それから二十六年に九十万、三十年に八百五十万、三十二年に六万、三十三年に一千二百万、三十四年はゼロであります。三十五年が三千五百八十万、ちょっと端数がついておりますけれども……。
  269. 田中彰治

    田中委員長 それだけですね。
  270. 土屋馨

    土屋参考人 それだけでございます。
  271. 木村公平

    木村(公)小委員 元金が六千万以上になっているんじゃないですか。
  272. 土屋馨

    土屋参考人 はい。元金は全額回収いたしまして、私どもといたしまして現在残っておりますのは、利息分だけであります。
  273. 田中彰治

    田中委員長 利息と延滞利息……。
  274. 木村公平

    木村(公)小委員 最初の貸付の条件はどんなですか。
  275. 田中彰治

    田中委員長 それは一つ全部資料で出して下さい。貸すときの条件、担保、それから今入っている担保、それから延滞利子が幾ら、何が幾らと出して下さい。それによってあなたの方から来てもらって説明してもらいます。
  276. 土屋馨

    土屋参考人 はい。
  277. 田中彰治

    田中委員長 何か質疑ありませんか。
  278. 三和精一

    ○三和小委員 もう一度伺いますが、普通の銀行の営業の方式とおたくは違いますね。というのは、今伺いますと、長年の間に元金だけを吸い上げた。六千が何がし、それから金利及び延滞金、これはどうしておられるのですか。普通ならば最初金利を取り、延滞料を取って、元金はあと回しにするわけですが、そこがちょっとふに落ちない。
  279. 土屋馨

    土屋参考人 御答弁申し上げますが、これは今御指摘のようでございますが、特別な理由があるわけではございませんで、私どもの方といたしましては、やはり何と申しますか、銀行の資産の健全性と申しますか、元金の方を先に充当いたしまして、そして利息の方はあと回しにいたす。これが私どもの方で、ことに不動産担保で処理いたしておりますような関係から申しますと、これを私どもの方といたしましては常道といたしておったようなわけであります。
  280. 三和精一

    ○三和小委員 わかりました。
  281. 森本靖

    ○森本小委員 この問題は、この問題以外に、勧業銀行が一体どういう貸し出しのやり方をやっておるかということについても、これは私は問題になると思うのです。勧銀の金は、御承知の通りかなり政府関係の資金も入っておるわけですから、そういうことから考えてみると、今の答弁をちらっと横から聞いておっても、妙に貸付のやり方がでたらめな格好になっておるわけですが、一体最初に貸し出したときの担保物件、それから貸し出しの条件、そういうようなものについてはどうなっておるのですか。ちょっと簡単に言ってもらいたい。
  282. 土屋馨

    土屋参考人 ただいま御質問の点でございますが、それにつきましては、私も資料を全部整えまして申し上げた方が正確かと存じますので、そのようにさせていただきますでございますが、いかがですか。
  283. 森本靖

    ○森本小委員 それはそういうことでけっこうであります。そういうふうに内容がきちっとしなければならないと思いますが、これは私はこの事件以外の問題としても、銀行としての貸し出しの方法、それからいわゆる回収の方法、そのものについても非常にこれは問題があると思いますので、特にそういう貸し出した日、それから条件、その貸し出しの内容、金利及び延滞料、そういうようなものについて一つ明確な資料を早急にお出し願いたい。場合によっては、この問題以外に決算委員会の本委員会において——あなたの銀行の実際の経理の内容そのものについて、われわれとしては不可解に感ずる点が非常に多いわけですから、その資料を一つ早急に委員長にお願いしたい。
  284. 田中彰治

    田中委員長 森本小委員に申し上げますが、一応この問題の資料を出してもらって、その上で検討いたします。
  285. 木村公平

    木村(公)小委員 もう一つお尋ねいたしたいのですが、今、国家資本はどのくらい入っているのですか。
  286. 田中彰治

    田中委員長 木村委員に申し上げます。  勧銀は明治三十年に資本金一千万円で創立されて、勧業債券による長期資金によって業務を開始した特殊銀行でありました。それが二十五年四月一日普通銀行に転換して、同時に債券発行法により勧業債券を発行して長期金融業を行なった。昭和二十七年十二月、長期信用銀行法の施行に伴い、新規の債券を発行して、完全にこれで預金のみを資金源とする銀行に変わり、この債券も昭和三十年十二月全部償還して、現在では普通銀行となっております。  そこで現在、預金部資金から借入金残高が三千二百万円でありましたが、昭和三十年には大蔵大臣は勧業株を六百八十万株所有していたが、現在はわずか六百八十七株にすぎない。しかしながら、日銀からは約三百億の融資を受けている。それから日本長期銀行は勧銀の株を百七十万株所有して、勧銀にとっては大株主であるから、勧銀と国庫との関係は深い。  これによって調べることができます。  それじゃお帰り下さってけっこうです。あと資料を出して下さい。資料を出してからお呼びしてお尋ねいたします。  そこで、大阪拘置所の問題に関して法務省の近藤経理部長にちょっとお尋ねしたいのですが、実は大阪拘置所の問題できょう大阪拘置所の総務部長福山さんに出頭してもらったのです。さっきここにもっと議員がおられたが——ところでお聞きすると、福山さんの御答弁は、公務員としてはもちろん、人間を戒護する拘置所の総務部長として実に常識のはずれた御答弁をされる。まず第一に、私どもの方で、そこにおられる良島参考人は何で関係したのかと聞いた質問に対しては、こうおっしゃっているのです。あの土地延原観太郎のものであったが、面接交換しようと思って刑務所長及び総務部僕たちが行かれて話したけれども、これはお話にならない、延原は応じない。そこで第三者を入れて話したいというので、天理教関係する細見育一という人に頼んだ。この人は大阪市生野区南生野町二丁目二十四番地天理教此花大教会営繕渉外部信徒総代です。この方と会って話したら、この方がそれじゃ話してやろう。そこで法務省からも人が行き、拘置所の人たちも行って天満土地も見、また拘置所交換した土地も見ていただいて、そうして天理教に行きまして、いろいろな人から細見さんの身元に対する信用等を聞いて、そこでこれならというので、お互いに食事までともにして語り合って、この細見という人がこれをやることになった。この契約は、細見さんが金を作って、そして延原土地を買って天満土地と取りかえてくれるということになった。そこで金があるかと聞いたら、信仰というものはありがたいものだ、金の五千万や一億はいつでもできる、そう言ったもんだから安心してまかしたが、一カ月たっても二カ月たっても、どうもそれが進まない。そこで細見というのは当てにならぬから、これは断わろうかしらんといっておるときに、たまたま細見さんが拘置所に来られて、そして今度は安心してくれ、今までいろいろ長くなったが、資金のできる大きな資本家を探した。その資本家というのはだれかというと、そこにいる良島参考人だ。そこで一つ良島参考人と会ってもらいたいと言うと、こちらも会いたいというので良島参考人と会うようにした。そのときは刑務所の武道の会があったけれども、一応会いたいからというので、わざわざ良島参考人拘置所自動車で迎えに行って参考人と会った。そのときに、こちらがあとでその書類を見たと言うのだが、もちろん見せたでしょう。良島参考人と会って書類を見せて紹介して、良島参考人が、よし、それじゃ四、五日うちに——良島参考人は近いうちにと言ったのだが、近いうちに五百万だけ手金を入れてその土地を買い取って、そして交換するように努力すると言った。そこで今の福山務部長も、いい金主を世話してくれたと、そのときは非常にうれしがった、たよりになったと言っておられる。そこでそのときに良島参考人も、自分が何百万という手金を打つのですから、刑務所から、よしそれなら交換してやろうとか、こうだとかいう話し合いがなければ、そういうものを打つこともしなければ、君に頼まないし、手金を五百万円も打ったり奔走もしない。こういうような書類参考人にやった。これは初め細見にやった書類とは違う。判を押して写真をとられている。これを二回ばかり突きつけてもなかなかうんと言わない。最後にこれを認めた。良島参考人が、それじゃ一つ自分もその土地を二億三千万円で買って交換すれば、天満の方がもうかるからやろうというので、自分がその土地を見たりなんかして、二、三日かかって、そこで延原に会った。会ったところが、延原が、今お前金を持っているか、五百万持ってきた、それじゃそれを置いていけ、あとの四千五百万円は十月の幾日までに持ってくる、それじゃよかろうというので、手金五百万円を打って受け取りを取った。そして良島参考人がその前に何回も行ったろうが、その手金を総務部長がおる前でそれを所長なんかにも見せた。それのコピーをとられて、そして本省に聞いた。そうすると、本省から、良島さんはいろいろな問題もある人だから、そういう人に頼んではいけない、直接にやれ、さもなければ、ほかの何かでやれというような命令がきたことは事実です。この命令は、竹内さんにあとでよく聞きますが、私の方も調査して知っております。そういう命令がきたので、今度は拘置所長と管区長と二人が良島参考人がいるところにわざわざ行って、まあいろいろお世話になったけれども、あれを白紙に返してもらいたい、おかしいじゃないか、いや本省からの命令だというので断わった、こういうことなんです。ところが、それについて、ここでは何回も頼んで、いい金主ができたということは言っているけれども、自分の方から頼んだということははっきり言わないわけです。頼まぬものがそういうことをするわけがない。頼まぬものにこういうものが出るか。それじゃこれを見たかと言うと、これは見たと言う。良島参考人は、細見さんと一緒に行ったときにこれを見せたという。ところが、こちらはその後にこれを見た。これはその後に見てもけっこうだが、こういうものを見ておられて、そうして依頼されたからやったわけなんです。依頼されたところに、白紙にしろと言われたから断わりに行った。これは常識上聞いても、紹介して迎えに行くくらいだから、頼んだことがここによく現われている。それがはっきりしないことと、もう一つ、今度は本省からそう言われたものだから、こっちに断わって、そうして五百万の手金を打った。それでコピーを見せている。それをそのまま自分たちが頼んだそういう関係を処理しないで、国有地とそういう因縁の土地と取りかえたというのです。これが一つ問題です。  それからもう一つは、今度は仮処分されたわけですね。良島の方でも、この仮処分には——これはあとで調へますが、安西検事あたりが相当に裁判所のいろいろな仮処分の書類を見せろとか、写さしてくれとか、どういう電話をかけているということはわかっている。これはあとでいいとしまして、仮処分を許したということは、あなたも御存じの通り、幾らか良島の所有権を認めなければ、片方は相手拘置所ですから、延原ですから、そう簡単に許しっこないのです。その仮処分を許さして本訴まで持っていく手続を良島がした。それを今度は上野参考人が、今聞いたのですが、上野さんが、それじゃいけないというので、法務省の人からも頼まれたのでしょう。そこでいろいろ努力し、上野参考人の話を聞くと、とにかくこの仮処分を下げてくれと言ったが、良島が下げない。しかし下げないなら交換できぬじゃないか、困る。もちろん困っている。困って文句を言った。そこでこの人が所長に会ったり、管区長に会ったり、こちらに会ったりしたことは九回もあって、わかっている。そこで今度はそれじゃ何のために君は下げたか、これは刑務所のためにもなるし、とにかく延原があの土地を買えば、自分も将来もうかる、よかろうということをここで言っているのです。良島も、どうしてそんなことをやったか、それはもうかるからやったと言っている。言わぬのはこちらだけです。そこで下げるのには、二千万こっちにとられているのです。こちらから二千万いっているわけです。その二千万の金を要求したときに、上野が、自分もそんなに損できないから、自分千万延原千万、半分ずつ損をしようじゃないかという話をしたときに、上野さんに言わせると、総務部長に話したところが、あんた今そんなことをしなくたって、あの土地延原交換になれば、あの土地は二億三千万円だから、千万もうけて、二億二千万円であなたにあの土地をやれるように努力してやろう、信じなさいと言われた。それから、そのときに関係しているブローカーが二人いるのです。そのブローカーが、延原の仲間と知り合いになって、それは主人によく伝えて、必ずそういう工合にさせる、希望に沿うように努力いたしますから、一つよろしく頼むということだったから、二千万損して、弁護士も反対した、良島も反対したやつを全部取り下げた。それはあなたも、弁護代もかかれば、本訴を起こしたのだから、いろいろな経費もかかっています。それを損してやったということは、ブローカーの二人の言を信じたからだ。信じないならば、何のために二千万も損してそんなことをやるかという話をこちらにする。私は役人だから一切そういうことを言わない、そういうことに関係すべきものではない、だから私はそういうことはいたしません、でたらめだとこっちはおっしゃる。こっちは何のためにあなたに何回も会って、そうして自分の秘書も連れているのだから、秘書も知っている。それに聞いている。秘書ですから、証明の可能性があるかどうか。あなたは実際に関係しないのだ、こう言っていられて、今度はそれじゃ五百万の手金を打ったことを知っていて、それを解決しないでどうして直接にパクったのだ、その五百万については気の毒に思わぬかといってほかの委員が質問すると、それは気の毒に思ったが、所長が私に命令して、公式でなくても五百万を何とか良島に返してやらぬかという話に数回行ったというのです。初めはそういうふうに仮処分されて今交換できないで困っているときに、一つも頼まない、何も関係しないと言っていながら、今度は交換することになったあとの五百万だから、その五百万をほっておいたのに、やってくれないかと言って関係している。そういう点は役人は関係しないと言いながらそういうふうにしているということが一つ。今度はここに証人を出しますけれども、そういうものが一つ非常に食い違ったものがある。もう一つ、もし正しいことを言われるならば、自分たち手金を打った五百万を知っていられるでしょう。五百万を解決して取りかえるのがあたりまえです。解決して取りかえてない。それから、私はこの間大阪へ三日間行ってきたのです。当時天満土地都島土地を比べますと、これは価格では問題にならない。それは今度行っても問題になりません。今でも問題になりません。あなたがお考えになっても、問題にならない。それをあなたが知って、それでも、この方の発言によると、都島土地の方が高いと思った。坪は安いけれども、八千坪よけいだから高いと思って、あべこべに金でもやらなければならぬと思った、こういう非常な常識をはずれた答弁をされている。ところが、向こうの土地の一万九千坪の評価価格とこの評価価格を、鑑定とかいろいろなことをやっています。やっていますけれども、一つこの中の不正を出しますから、あなたもよくあれして下さい。不正があったり圧迫があったり、権力者からこれをこういうようにしてくれという依頼があったのならば、この問題はこれは重大問題です。どんなに私が土地を見ても、土地がきちっとそろばん玉に合うようなことはないと思う。私の土地とあなたの土地とがあって、同じ坪数であっても、建物が違うとか、日当たり状態が違うとか何とかで、こんな大きな何億というものを取りかえるのに、同じ価格でぴしゃっと出るということは常識上考えられない。どっちか上か、どっちか下なんです。ところが、今になってみると、取りかえた土地の方は二十億、少なくとも十五億はします。私の方も鑑定してきた。片一方の土地は三億もしておりません。そういう点で、今答弁の非常な食い違いがここに出てきている。だから、今度は証人に出すことになって、食い違いになると私の方は告発しなければならぬ。こういう問題が非常に重大なわけです。そこであなたに来ていただいたんですが、だれが考えても、非常に違った食い違いが出ているのです。まさか私は、あなたを何の恨みもないのに殺したために私が死刑になるというようなばかなことはしませんよ。何かそこにあるからやるのであって、仮処分をせっかくやって、仮処分になって本訴まで起こすことになったのに、何の条件もなく取り下げて二千万やるということは、これは常識では考えられない。また、上野氏に聞くと、それは私が義侠心を持ってやったと言わない。そういうことはいいことである。それをやれば自分ももうかる。もうかるとは何だというと、この総務部長に聞いたら、そういうことも言うし、ブローカー二人に——これも呼んで聞きますが——聞いたら、そんなことを言うから、もうかると思ってやったというのですが、だれが聞いても常識に合ったことを、この方が非常に強硬にあれされる。だから、速記録を送りますが、非常な食い違いが出ています。この方の言われたことについても……。それだから、私の方は証人に呼び出しますから、書証をみな出しますから、あなたの方もよくこういう問題についてお取り調べになって、よくお考えになって、とこで少なくとも刑務所の総務部長が、ほかの証人と対決して、そしてここから偽証罪だとか何とかという問題を出したりしないように……。決算委員会としてはこの土地をこの人にやるとか、あの人にやるとかいうような考えは持っておりません。私は、あの土地はそういう不正な価格——あの古エンジンみたいなものです。鑑定したけれども、これだけに鑑定しろと言われて、機械は知らぬけれども鑑定したと言っているのだ。しかし、あれは買った値段が今の現価価格とすればそれだけの値段があるものだからいいけれども、今の延原刑務所の建っている土地はそんな資格はありません。十億なんかしておりません。片一方は十億以上している。これは例のない違ったものが出ておるのです。だから、あの土地をやはり国家にお返しになってその土地をやられるということを、これはよく調べて下さい。そして国家があの天満土地を売って、延原土地をお買いになるならばよい。しかし、それは大蔵省の土地だから、法務省は売れないだろう。一たん雑地にして返す。そうすると、予算でそれだけとらなければならぬから、交換した方がいいというのでやられたのでしょうが、非常に違ったものの交換になっているわけです。評価委員がどう言おうが、何がどう言おうが、違ったものは違っているし、いいものはいいのです。法務省が、これを交換して拘置所が因っておるのですから、価格が合うようにしてくれと言えば、合うようにしましょう。しかし、どんなものを考えても、一万九千坪の土地ですよ。とんでもない離れたものを、一万一千坪の土地の評価とぴたっと合ったということは、常識上考えられない。この方は、合ったと言うこと自体が、細工があったということを言われると思う。こういうことを調べてみますと、非常に矛盾したものがある。  それからまた、今、弁護士になってやめていらっしゃいますけれども、安西検事さんのいろいろな問題も出ています。今、二号の家なんか写真とっています。今そういう問題が、職権にあるときに起こっている。そのときに裁判官も介入された。民事の仮処分をしたものをよこせとか何とか言われて、怒ってけんかしたという事実も出ています。そうなると、人を取り締まる法務省そのものが、そういうことをやったことになる。  しかも、延原なんか、今ああいうように勧銀か何かから金を借りて、利息も何も払っておらない。そのほかに、とにかく軍事工場をやっていましたから、自分の持っておるものを売っただけではない。よそから窃盗したものを……。そういうことがテープ・レコーダーにとってあります。あなたの前でかけてもいい。今度かけます。延原に頼まれて売った人が、テープ・レコーダーにしゃべっています。それを今度かけます。ただ一つ申し上げると、電話でとったのもあるし、話してとったのもある。だから電話なんかどういう工合に法律に関係するかということを、今いろいろ調べている。私、この方に質問してもしようがないから、一つあなたの方で御相談されて、もう少し、だれが委員会で聞いても、あれが公務員の答弁、あれが拘置所の総務部長の答弁、あれが法務省の答弁だということにしてもらわぬと……。  その当時の経理部長は竹内さん、これは私は問題だと思う。また、良島さんが断わられたものも、あれは前科者だから、あれと取引するなと言う。そんな法律や憲法は、どこに行ってもありませんよ。刑務所におっても、その人が国会に出ようが何に出ようが、それは許されたことなんです。それを、そういう五百万も手金を打ったものを、前科者の汚名を着せて五百万を投げさしてかまわない。因縁のあの土地を、国有地とそろばん違うけれども、合わしてとりかえたというところに大きな問題がある。この点をあなた方は帰られて、一つよく調べて——刑務所まで入れられる人だから、起訴までされる人だから、お調べになるとよくわかると思います。速記録を送ります。あなたにも、あとで質問がありましょうけれども、私があなたに来ていただいたのはそれなんです。きょう刑事部長が来たら、私はその前科者の点を責めてやろうと思った。前科者だろうが何だろうが、りっぱに土地を持っておるものを取りかえて、前科者の汚名を着せて、五百万損させられて、それをほうり投げられるということは、これは私は国家の問題として許せない。それを刑事局長がそう言ったなら、やめてもらわなければならない。そういう幹部がおったら、やめてもらわなければならぬ。国家に謝罪しなければならぬ。それを一つあなたはよく心得て帰っていただきたい。  木村君。
  287. 木村公平

    木村(公)小委員 ただいまの参考人、局長さんどなたですか。
  288. 田中彰治

    田中委員長 近藤経理部長、政府委員です。
  289. 木村公平

    木村(公)小委員 私どもは国有財産増減及び現況に関する調査をしておるわけでございます。それについて、国有地であります地番等は不明でございますが、天満刑務所の建設予定地が、付近の反対あるいは法務委員会等の疑問もありまして、そこで刑務所を建てるということはよろしくないという結論になったと見えまして、かわり地を物色された。そのかわり地が都島というところにあったのだそうです。それが一万九千坪。都島というところの地形は、いわゆる大阪市内から見て郊外地で、地価も安いところなんです。そこの一万九千坪の私有地と、天満の国有地の一万一千坪というものか一対一でずるがえになった。そうすると、われわれは天満の一万一千坪の土地というものは、おそらく——われわれは土地の値段のことはわかりませんけれども、常識で考えて非常に高いものだ。一説には、当時でもすでに十億くらいの価値があったのじゃないかという風説すらもあるぐらい高価なものです。ところが、都島の工場の跡地であるといわれるところの現在の拘置所土地は、その当時一億円でもいやだというような参考人からの話もあるほどの、土地の価値の少ないものなんです。その一億円でもいやだといわれるほどの安い土地と、十億円でも安過ぎやしないかと言われるところの高い国有地とが、いつの間にやら、評価をされた結果ではありましょうけれども、一対一でずるがえになってしまって、そうして今日に及んだ。このことは、われわれから見れば国有財産に大きな損害を与えたことではないか。もしも、その間において評価の不正でもありとすれば重大問題でありますが、結論的に言えば、常識上考えても、どうしても天満都島はとても土地の値段が違うということは、われわれしろうとでもわかる。まして、この委員会は、国有財産増減調査する委員会でございますので、関心が深いわけであります。  一番重大な点をお聞きいたしたいのは、その点の御調査をお願いして、だれが評価されたか知らぬけれども、おそらく常識でもってすれば、そうして、ここに来ておられる参考人の中では、天満土地がやがて自分の方の所有になるならば妙味がある、もうかるから、一つこの中に入ろうといったようなことをこの席で言われた方もある。そうしてみると、その人たちはおそらく土地の専門家でありましょうけれども、土地の専門家から見ても、天満土地は高くて都島土地は非常に価値の低いものである。それを評価員に評価させたからとはいえ、ずるがえして、そうしてそのほかに派生的ないろんな個人の損害が出ておる。しかも、その損害の原因と見るべきものは、おもに拘置所長あるいはそれに関連しておる幾多の公務員諸君の甘言とがあるいは不用意な言葉に乗ぜられて、そうして国家を信用し、公務員を信用して、あるときは五百万円出された人もあれば、あるいは二千万円出された人もある。目的は、天満土地がほしかったから出したという、あまりよい目的でないにしろ、いずれにしろ不用意な言葉あるいは公務員としてとるべからざるような言動をもとにして、五百万円が出されたり、二千万円出されたりしたというような、不測な損害も民間人に及ぼしておる。そして、一番ここで重視すべきは、日本じゅうの注視の的になろうと思いますが、天満土地都島土地が同価値であるといったような評価をなさるその思想、そのごまかしに対して、われわれは承服することができません。だれが評価をされようが、形式上は日本銀行に評価をさした、あるいはどこどこの不動産が評価したからおれたちは信用したというような、表面的なことでわれわれは満足できない。そういう形式的な、帳じりの合った、表面的なことでは満足できないのであって、そうなると、評価の方法にまで立ち入らなければならなくなる。そうして、近隣の土地の値段まで調べ上げなければならぬということにまでなりますので、その点に重点を置いて御調査いただいて、この次には明快な答弁をいただきたいと存ずるわけです。
  290. 田中彰治

    田中委員長 経理部長さん、養う一つ抜き差しならぬのは、鑑定人に鑑定さした、銀行に鑑定さした、それはいいですよ。しかし、鑑定人に鑑定さす前に、この土地とこの土地交換しようじゃないかという交換文書がある。三十年の十一月二十二日にこれを交換することにきめた。そして契約書を取りかわした。鑑定は今度は十二月にやっている。鑑定する前に、所長のあれで向こうの土地とこっちの土地を何もなく交換しようじゃないかという文書がある。十二月の問題です。そういうことをきめておいて、それから交換に出したから、どうしても一対一で合うようにしなければならぬから、ぴしゃっと合った。これは合わなければうそですよ。ですから、合わぬのならほんとうだ。こういうものが出ている。交換する前に契約された。これとこれを交換することをきめて、鑑定はあと回し、そうしてあとで合わしただけです。これは所長にも、ここにおる経理部長にも重大な問題です。これにちゃんと書いてある。所長名義で、鑑定をする前に、もうちゃんと、こうやってやろうじゃないかという契約書も全部できておる。それから鑑定されたのです。これは写真もあるし、本書もある。所長の判ですから、間違いありません。これはよくごらん下さればわかる。だから、木村委員、もうそんな鑑定とか何かする前に交換文書を取りかわした。一対一交換しよう。それならば承諾したと承諾書を書いた。それから交換しちゃって、その交換書を十一月二十二日にきめて、鑑定は十月に鑑定した。それだから、もう問題にならない。それだから、どうしても合わすようにしなければならぬ。日本じゅうのどんなものだって——都島の一万九千坪と天満の一万一千坪を交換して、ぴったり合うということはできない。同じライターだって、同じ店で買ったって、交換するには、お前のところのは傷がついているとか、お前のところのは幾らかよくつくとか、それが合うということ自体おかしい。合うということは、ごまかしたことであって、合わなかったらいいのだ。合ったということが、いいかげんにしたということです。向こうでも言っている。どうしても合わせろといって、法務省からも次長検事からも申し渡されたから、仕方なく役所で今度合わしたという、鑑定人の中からきょうも手紙が来ているから、重大な問題ですよ。そんなに簡単なことじゃない。総務部長が来てもだめだ。良島が信用あろうがなかろうが、上野が信用あろうがなかろうが、こっちはそんなこと考えておらない。だから、向こうに鑑定した土地の代金を払えばいいじゃないか。延原土地をやる必要はないじゃないか。また上野だって良島だって、あんな土地をとるとかなんとか、これは決算委員会にきて問題にならない。決算委員会はそんなもの仲介しない。小川さん、鑑定する前にきめちゃって、契約書を取りかわしているのだから……。  他に近藤さんに質問ありませんか——それじゃ部長さん、ありがとうございました。今度は小委員会で調べまして、これを本委員会にかけて証人の喚問をしますから、そのときにここで問題の起きないようによくあなたの方も整理しておいて下さい。所が所ですから、工合の悪いものができ上がったらいかぬ。それじゃ、お帰り下さってけっこうです。ありがとうございました。  鍵谷実さん、おいでですか。  鍵谷参考人に聞きますが、あなたが、昭和三十一年二月二十二日に証明書というのが出ておりますね。これをちょっと読ませますから、この通りであるかないかを……。    証明書   良島正浩氏と延原観太郎氏間の後  記表示不動産の売買契約には最初よ  り小生の関係する処であるが、右両  氏間の右売買契約は昭和三十年十一  月下旬成立し、売買代金弐億参千万  円也で良島氏は同日金五百万円也を  延原氏に交付し、第二回支払代金四  千五百万円也、支払期日を同年十一  月二十八日と定められた処、良島氏  は此の日抜き差しならぬ急用が出来  た為小生に其の支払期日延期交渉方  依頼し来りし故、小生は右同日延原  氏支配人中村氏に面接し、右依頼の  要旨を告げ且つ万一の場合に備へ  小生にも心積りあれば受取られ度き  旨をも申入れた処、中村支配人は最  終的には明確なる拒否の意志表示も  なく社長に伝達する旨申されたので  常識上承認されるものと考へた。其  の後、右会社にも支払請求を致され  なかった。其処で小生は良島氏の依  頼で同年十二月十日頃右支払の為代  金を持参延原氏を訪問せし処、折悪  く不在の為右支払は不可能になった  が、然し右両人間の前記物件売買契  約は今尚存続有効のもので良島氏は  右支払の為、延原氏を訪れるが、延  原氏は何故か面接を拒否しつつある  こと相違なきに依り茲に右各事実を  証明する。   昭和三十一年二月二十二日    兵庫県川西市寺畑字釜割谷二ノ    一            鍵谷  実    売買契約した不動産の表示  (一) 延原観太郎氏所有延原作所      都島工場  (二) 場所 大阪都島区善源寺町      友淵町所在  (三) 土地 一九、一七六件坪七合      二勺  (四) 工場建物 七、七三二坪一合      二勺  以上です。
  291. 田中彰治

    田中委員長 これは鍵谷参考人、相違ありませんか。
  292. 鍵谷実

    鍵谷参考人 相違ありません。
  293. 田中彰治

    田中委員長 そこで、鍵谷参考人にちょっとお尋ねするのだが、あの売買契約には期日が入っていない。あとの残金をいつまで持ってこないから無効にするとか、あれをいつまで持ってくるか、いわゆる期日が入っていないということは御存じですか。
  294. 鍵谷実

    鍵谷参考人 存じております。
  295. 田中彰治

    田中委員長 そこで、普通常識上あなたが中村支配人にお会いになったときに、もし中村支配人の態度が、主人に相談すればこれは延期を承諾されるものだとお思いになったのか、これはむずかしいなとお思いになったのか。そこのところ、ここに書いてありますけれども、そのときの心理を一つよく述べていただきたいと思います。
  296. 鍵谷実

    鍵谷参考人 当時の雰囲気を説明せいと言ったって、これは無理な話です。だから、書類を百パーセント信じていただくよりしようがありませんです。
  297. 田中彰治

    田中委員長 よくわかりました。そこで、あなたにちょっと常識上、いろいろなそういう商売をやっていらっしゃるからお聞きするのですが、もし手金を流してこの売買契約を否認するならば、内容証明とか、あるいは手紙一本とか、あるいは何かで断わってくるものと思いますが、そういうことは、常識上どうお考えになりますか。
  298. 鍵谷実

    鍵谷参考人 当然、否認するものならば、書類なり口頭なりによって返事があるはずだと思います。特に鍵谷は、良島さんが大阪に参りまして延原さんに会おうとするけれども、どうしても会えない。それで私に紹介してくれというので、私の事業所が当時福岡にありましたので、福岡の事業所から延原さんの中村支配人に電話いたしまして、そうしてさっそく会おうということになって、この話が成立した。紹介の責任上、私にも一応あいさつがあるのが当然だと思いますが、何のあいさつもありません。
  299. 田中彰治

    田中委員長 そこで、鍵谷参考人、この売買契約は土地交換されるまで、やっぱり継続しておったものとお考えになりますか。もう切れたものとお考えになっておりますか。
  300. 鍵谷実

    鍵谷参考人 鍵谷は、継続しておるものと書類に書いた通り信じております。
  301. 田中彰治

    田中委員長 ありがとうございました。  そこで、福山参考人に聞くんですが、あなたはこの売買契約というものは、一体あなた方交換されるときに、もう切れて何にも関係のないものと思いましたか。五百万入っておったのだから、これがあとでどうなろうとも、幾らか良島さんに権利があるものとお考えになりましたか。そこを、正直のところをあなたから言ってもらいたい。
  302. 福山繁雄

    福山参考人 国と延原観太郎さんと契約することは差しつかえないと、こう信じておりました。
  303. 田中彰治

    田中委員長 差しつかえないということは、どうなんですか。良島さんの権利が放棄されたものとお考えになったのか。あっても、あとで解決できるから差しつかえないと思われたんですか。
  304. 福山繁雄

    福山参考人 良島さんとの関係はないものと考えておりました。
  305. 田中彰治

    田中委員長 五百万はどうなっておるんですか。手金はあなた知っていなさるんでしょう。
  306. 福山繁雄

    福山参考人 その点につきましては、私、少しわかりません。
  307. 田中彰治

    田中委員長 しかし、おかしいじゃないですか。五百万の手金がどうなったかわからないで、関係ないと思うということが——五百万の手金が流れたとか、それが訴訟になってペケになったとか、いろいろなければわからないじゃないですか。五百万をとったことはあなたは知っておるのだから、五百万を彼が流してとったとか、どういう内容証明をやってとったとか、そういう解決の模様をあなたお聞きになったはずでしょう。あなたはそれをお聞きにならぬとするならば、この契約が流れてあるものだとか、ないものだとかいうことは、関係あるとかないとかいうことは、あなたがお知りにならないはずじゃないですか。
  308. 福山繁雄

    福山参考人 前回も申し上げましたように、私の方は天理教の信徒総代である細見育一を相手として進めておりまして、先日のような事情によりましてこの交渉を打ち切りいたしましたわけでございますが、この関係については、私はもうすっきりしたもの、打ち切られたもの、こう信じておりました。
  309. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、あなたにお聞きしますが、あなたが五百万円手金を入れたことを、コピーに打って本省に報告して、その手金を入れたのは、あなたの方で自動車で呼びに行った良島さんが入れている。細見さんは手は切れているのです。それで、あなたはそれを知っていて、その手金を返したこともあなたは何も知らないで、手金が流れたことを知らないで、関係ないと言われるのはおかしいじゃないですか。
  310. 福山繁雄

    福山参考人 私、五百万円を延原さんが受け取ったことを承知しておりますことは前回申し上げた通りでございますが、延原さんの言によりまして、その五百万円は手付金ではありません…。
  311. 田中彰治

    田中委員長 何だね、それは。
  312. 福山繁雄

    福山参考人 その五百万円を、これはその当時延原さんが言ったことの記憶でございますので、御了承願いたいのございますが、その金は五百万円と来たる二十八日ごろ持ってくる残金四千五百万円と合わせて初めて手付金千万円として受け取り、契約を取りかわすのだ、こういうように承っておりました。
  313. 田中彰治

    田中委員長 その五百万円は受け取らなかったのか。
  314. 福山繁雄

    福山参考人 いえ、五百万円は受け取ったことは…。
  315. 田中彰治

    田中委員長 五百万円受け取って、四千五百万円持ってきて、そうしてどうするというの…。
  316. 福山繁雄

    福山参考人 四千五百万円を持って参りまして、そうして先に内渡しをしたところの五百万円と四千五百万円、合わせて五千万円にして手付金として受け取る。そうして、そこで契約をするのだ。それで四千五百万円が今言った金額に、四千五百万円と五百万円が一緒になるまでは手付金は受け取ったことにはならないと…。
  317. 田中彰治

    田中委員長 あなたはこれをコピーをとって本省に報告しているじゃないですか。これは何だ。君は何だい。見せないとわからないのか。それを君は見ているじゃないですか。本省へコピーしているじゃないか。手付金と書いてあるじゃないか。延原の判を押して、印紙を張って…。そんなことで拘置所が勤まるかい。うそばかり言って、いいかげんにしなさい。君、それをコピーをとって、本省へ報告しているじゃないですか。どうなんだい。違うのか。延原の字で書いてあるが、どっちなんだ、どっちを信用するんだ。
  318. 福山繁雄

    福山参考人 その通りでございます。
  319. 田中彰治

    田中委員長 何を言ってるんだ。委員会をいいかげんに思うな。何を言っているんだ。君のようなものがおるから、こんな問題が起きるのだ。恥ずかしくないか。君はさっき何と言ったか。手付金を取ったというコピーをして本省へ送ったと言っておるではないか。
  320. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 ここに、  一金五百万円也    但 西京都信用金庫振出し同金    庫宛小切手壱通(銀行渡)   右金額は土地売買契約の手附金の   前渡金として正に領収仕候也            延原観太郎    良島正浩殿こういうのが出ているのですが、これはあなたの方で当然知っているはずなんです。知らなかったのですか。知っているとすると、今の答弁は全くうそを言っていることになる。どういうことになるのですか。
  321. 福山繁雄

    福山参考人 五百万円を延原に支払われたということは、私、前回からしばしば申し上げております。その領収証も私の方にお見せになりまして承知をいたしておるのでございまして、これもさきに申し上げたと思うのでございます。これが手付金になるか、手付金にならないかが問題だろうと思いまして、手付金の前渡金と書いてありますことで、私、前渡金というような気持を考えて御答弁を申し上げておるわけでございます。
  322. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 あなたはこれを御承知なさっておることは、今の答弁ではっきりした。従って、これは前渡金であろうと、手付金であることはあなた自身が承知しているのです。さっきの知らなかったということの答弁と全くちぐはぐになってきておるから……。  もう一つは、午前中あなたはこの五百万円を何とか解決してやりたいといって五回も六回も延原交渉した、と答弁したと私は聞いている。そうすると、あなたは十分にそのことだけは承知していたはずなんです。午後になって、それは知らなかったということは、あなた、総務部長としてここで偽った答弁はいけないと思う。その点は正直に答弁してもらいたい。
  323. 木村公平

    木村(公)小委員 そこで、大事なことですが、もしもこれが手付金であるということを確認されますと、あの契約というものは、われわれとしては、鍵谷さんの参考証言と一緒に、成立したと思わざるを得ないのです。つまり、良島さんと延原さんとの間に売買契約が成立したものと思わざるを得ない。そうすると、成立した後において、あなたがそれを承知の上でおやりになったかどうか、過失で、御承知なくて、法規に暗いからおやりになったかどうか、善意、悪意の問題が残りますが、それはしばらく別にしまして、成立したものをもしも交換されたとするならば、今なお残る問題です。そうすると、おそらく真の契約権者であるところの良島さんは、返還請求をするということになる。そうすると、拘置所を建ててもその拘置所土地はまだ国のものになっておらぬということになる。これは大へんなことになってくるわけです。そこで、善意に解釈すれば、あなたが、このことは知っておったけれども、延原さんが適当に解決してくれるからよかろうというようなつもりでおやりになったということになるかもしれぬが、しかし、いやしくもこういうものを御存じの上で、手付金の前渡金とは書いておるし、もう一つは四千五百万円とこの五百万円と合わせて一本、五千万円そろって初めて手付金と認めるというようなことを延原はあるいは言うたのかもしれない。常識のある者なら、これを見れば、五百万円といえども、手付金として少ないとか多いとかいうことは、判断は法律の上においてはどちらでもつく。五百万円は手付金の価値がないとは言い切れないことですから、私は、これを承知の上で、それを無視して、今度はあらためて国の公務員として取引をなさったということに対して、あなたの重大な過失があると思う。その点の御感想はどうですか。
  324. 福山繁雄

    福山参考人 延原大阪拘置所の契約を取りかわすにつきましては、今申されました五百万円のことにつきましては、契約する上において差しつかえないものだ、差しつかえのある性質のものじゃないという判断を上司がなされまして、私、それをやったと思うのでございます。
  325. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 あなたが判断したのではなくて、あなたの上司が判断した。上司はどなたですか。
  326. 福山繁雄

    福山参考人 私の直接の上司は大阪拘置所長松本貞男であります。それを監督する鈴木管区長本省ということになります。
  327. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そうすると、あなたはこの手付金五百万円をとっておるのはちゃんと知っておった。それでも差しつかえないという判断をして契約を進めたのは、上司である拘置所長、管区長、この三人がそういう指示をあなたにしたわけですか。
  328. 福山繁雄

    福山参考人 その通りでございます。
  329. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 鍵谷さんにお尋ねしますが、鍵谷さんは良島さんともこの事件を通じて御関係になったわけですか、その前から良島さんとは御親交があったのですか。  いま一点は、延原に対して紹介の労をとったということがありますが、延原という人ともあなたは以前から御関係はあったわけですか。その点を御説明願いたい。
  330. 鍵谷実

    鍵谷参考人 その当時は、良島さんは存じておりません。ただ、良島さんの部下として働いておった者が私と十数年来の友人でありましたために、その者から、良島さんが延原がなかなか会ってくれないで困っておるから、鍵谷さん、あなたも知っておるなら紹介してくれぬかという話がありましたから、紹介しました。延原さんとは、戦時中に数回会いまして、じっこんというほどではありませんけれども、大阪でお互いに事業をやっております関係上、面識ある以前から知り合うておりましたし、そこに戦時中に数回面識を持ちましたので、ある程度心やすくなっておったのであります。
  331. 木村公平

    木村(公)小委員 良島参考人にちょっとお尋ねするのですが、五百万円を延原邸に持参されたときの心境ですが、手金のつもりでお持ちになったのですか。それとも、向こうに行かれて、いつでありましたかお話があったように、倉庫の中に案内されて、鉄のカーテンか何か締められて、その場の空気が異常な空気だった。ひょっとするとおれは殺されるかもしれない。相手は六尺豊かの大男である。そういう恐怖心もあって、思わずふところにあった五百万円を出したというような一節もあったように伺いますが、そのときの御心境はいかがですか。
  332. 良島正浩

    ○良島参考人 初めは、今言う通りなかなか会えませんでして、延原という男はどういう男だろうということを鍵谷さんに聞いたりしまして、結局一ぺん会うてみよう。ところが、あの五百万円は、別に延原にやるために私が持っていった五百万円ではなくて、ほかで入り用があって、ふところにちょうど持っておった。その日に、一ぺんあの土地の問題で延原には、とにかくあなたの土地を売るということよりも、交換したらいいじゃないか。拘置所とあなたの土地交換をしてあげなさい。とにかく僕もほんとうはこういうことをやりたくないのだから、ぜひそうしてあげて下さい。そうしたら、いや、もう自分交換は絶対にしないのだ。自分としては金がほしいだけで、土地は幾らでも持っているから、交換はしないのだ。話はこれきりにしたい。そうですが。ときに、契約すると言うて、金は持ってきたか。いや、僕はそういうつもりで来たのじゃないから、五百万しか持ってない。あとの金はせめて一週間くらい待ってもらわなくてはならない。残金の二億三千万円の金は、それも友達にあっちこっち電話をしてみて、ある程度プランを立ててみなくてはしようがない。五百万しか持ってきていない。それじゃ、それだけでも手金として置いていけ、こう言う。それは、倉庫といっても変な倉庫でして、自分建物の裏の方に回っていきまして、もうとても暗いところなんです。実地検証していただけばわかると思いますが、物置ですよ。人を入れてから、鉄のドアをがちゃんと締めて、そうしてテーブルが一脚ありまして、そこへ全然すわらない。突っ立っておって話をする男で、ほんとうなら、きょうはこのまま帰ろう、こう思ったのだけれども、どうせ買うんだから、そう言うので、それじゃ置いていこうかという気持になりまして、おまけに五時から晩の九時まで待たされたわけです。寒くはなるし、おなかはすいてくるし、いやいや、どうせ持ってきたのだからというので、五百万円渡してきたのです。
  333. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人にちょっと伺いますが、あなたは手付金のつもりで渡したのか、内金のつもりで渡したのか。
  334. 良島正浩

    ○良島参考人 内金のつもりで渡しました。
  335. 田中彰治

    田中委員長 それなら、応接間であれば、たとい五百万円でも内金でなく……。
  336. 良島正浩

    ○良島参考人 それだったら、お互いに契約して……。せめて、ちゃんとしたいすでもテーブルでもあるところならともかく、倉の中でやっているのですから……。
  337. 木村公平

    木村(公)小委員 今でもありますか。
  338. 良島正浩

    ○良島参考人 今でもあるはずです。
  339. 木村公平

    木村(公)小委員 今は拘置所になったのでしょう。
  340. 良島正浩

    ○良島参考人 いいえ。本社は別にあります。本社の裏の方に建っている骨の材料倉庫だと思います。えらい鉄のドアがありまして、窓なんてないのですよ。
  341. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 この前のお尋ねした良島さんの話の中に、安西検事正という人が登場してくるのですが……。
  342. 田中彰治

    田中委員長 検事正ですか、検事長ですか。
  343. 良島正浩

    ○良島参考人 高検の次席検事です。
  344. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 あなたは仮処分をするのに大阪ではだめだというので、神戸へ行って許可をとって仮処分をした。そのとき、大阪ではだめだというのはどういうわけでだめなんだと言ったらば、それは延原とこの安西次席検事は深い関係がある。その中であなたはこういうことを言っている。この次席検事ですか、これは延原にめかけまで世話をしてもらっておるのだと答えております。そこで、私の方から、そうすれば風説なのか、あなた、どこからそういうことを聞き込んでそういうことを答弁なさるのかと言ったらば、それは拘置所福山務部長から聞いたと言って、そうして、めかけのうちは淡路町にあるはずだ、こういうことを言っておりますが、ここに福山務部長がおられるが、福山務部長からそういうことを聞いたのですか。
  345. 良島正浩

    ○良島参考人 総務部長からは、そこまで詳しいことは聞かないのです。ただ、安西さんとそれから延原とどうして知り合いであるかということは、つまり安西さんと延原とが親しいということは総務部長からも聞いております、こういうお話をしたのです。
  346. 木村公平

    木村(公)小委員 具体的に家を建てたの、めかけを持ったのという話は、総務部長から……。
  347. 良島正浩

    ○良島参考人 それは大阪で、どっちかといえば仄聞したにすぎないのです。
  348. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 あのときはうしろに女学生がたくさん来ていたから、私は聞くことを控えておって、女学生が帰ってから聞いた。これを読んでみます。「小川(豊)小委員 さっき女学生がたくさんいたからお聞きしなかったのだが、良島さんの発言の中に、こういうことがあるのです。大阪の高検の安西次席検事は、延原からめかけを世話をしてもらったということを聞いているので、そういうところへ持ち込んでもだめだろうと思って尼崎へ持っていった。こう言うが、これは綱紀の紊乱ということになる。この安西次席検事がそういうことがあったというのは、あなたうわさで聞いたのか、何かしっかりした人から聞いたのか、その点はどうなんですか。あなたがそう信じ込んでそこへ持っていかなかったというのは、何か根拠があるのですか。」  これに対して、「田中委員長 その点について、安西検事と延原との関係、それからいろいろな件について、あなたが知っている範囲のことをここで言ってごらんなさい。」  そこで良島参考人は、「最初安西さんという人が延原とそんな深い関係があるということを聞いたのは、刑務所福山という総務部長から聞いたのです。安西次席さんのところへ行かなくちゃだめですよ、向こうさえいけば延原はどうにでもなります、こういうことを福山さんがはっきり言うておりました。」  こういうことなんで、めかけを世話したまで福山さんが言ったとは言っておりませんが……。
  349. 良島正浩

    ○良島参考人 それは、前の方はそう聞きました。めかけを世話した、淡路町にうちがあるということは、大阪の弁護士から私、聞いたのですが、それはこの間も申し上げました通りに、だれから聞いて、どこの何番地にあるということをはっきり調べて申し上げますと、こう言うております。
  350. 田中彰治

    田中委員長 総務部長からどんなことを聞いたのですか。
  351. 良島正浩

    ○良島参考人 つまり、安西さんと延原とが非常に親しい、延原をある程度抑えて話をするのには、安西さんに頼むのが一番いいということは、それは福山さんが言っておりました。
  352. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そこで、重大になってくるのは、めかけさんのことはいいが、福山務部長はそういうことまで良島さんに指示しておるのだね。していながら、あなたはきょうはここでは、良島さんは金主の一人として登場してきた人で、私は何の関係もないのだ、こういうふうに言っておるが、あなたはそうじゃないですか。こういうことまで良島さんに、むしろこの事件を早く成功するようにいろいろな指示を与えているのじゃないですか。この点どうなんです。
  353. 福山繁雄

    福山参考人 申し上げます。前回も申し上げましたように、良島さんが三十年の十一月十三日においでになって、大阪刑務所に案内する自動車の中で、多少の雑談をいたしましたことは、これは認めます。そのときに安西さんとそれから延原さんの関係をあまりにも深く知っておるように私が話したと今説明されましたが、さような説明をするほど、私、安西さんにつきましては存じておりません。ただ安西さんが延原さんを知っておるらしいという程度のことは申し上げたかもわかりませんが、現在それは記憶にはございません。
  354. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そうじゃないのですよ。私の言いたいのは、そういうことまで深入りしていながら、ここではあなたは金主の一人として登場してきたのであって、私の対象は細見であって、良島ではないんだということをさっきから言っている。ところがあなた自身は、良島さんに対して、そうやったらよくなるだろう、こうやったらよくなるだろうということを指示して協力しているじゃないですか。だから、この問題に対して、あなた自身がかなり良島さんというものの存在を認め、その登場を認めて、そして指示を与えているということは、午前中の答弁と全く食い違ってきているのじゃないか、そういうことを聞いているのです。
  355. 木村公平

    木村(公)小委員 それと関連して、ついでに……。この間良島参考人のお話の中に、自分は当時新大阪ホテルに宿泊をしておって、支払いも大したことはないけれども、四百五、六十万は使った記憶だというお話がありましたが、四百五、六十万宿料をお払いになるところを見れば、たぶん福山務部長あたりとも晩飯くらいお食べになったことがあるのじゃございませんか。もしあったとすれば、何度くらいお食べになったのか、あるいは松本拘置所所長だとか鈴木管区長とか、今も出て参りました高検の検事長といったような一連の、この問題で少しでも疑惑を受けておる方たち新大阪ホテルにおいて食事等をなさった御記憶はございませんか。
  356. 良島正浩

    ○良島参考人 それはございません。
  357. 木村公平

    木村(公)小委員 四百五、六十万を何日でお使いになったのですか。
  358. 良島正浩

    ○良島参考人 その当時、私、大阪で事務所を持っておりまして、事務所に四、五人おりまして、私の不動産を処分をしてもらったり、担保に入れたりする連中が盛んに出入りしておりまして、それでつまりその金策をするために相当人が出入りはしておりましたが、それは私の不在中に飲んだり食ったりもたくさんされておりましたけれども、私一人でじっとうちで使ったわけではありませんけれども、とにかく日にちはずっと約三カ月ぐらい、東京へ来ていても部屋を借りっぱなしだったと思います。その間には、明石に土地がありまして、それを測量させたり、京都の家を担保に入れる運動をさせたり、それから何しろ大金を作らなくちゃならぬですから、不動産を処分しなければならないから、そのために相当に人が出入りしまして、自分も使うのは使ったのですが、約四百四、五十万使ったと思います。それでそういう人たちと会食は一ぺんもございませんでした。
  359. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人にお尋ねしますが、あなたは一体拘置所長とか管区長とか、ここにおられる福山参考人と何回くらいお会いになったのですか。
  360. 良島正浩

    ○良島参考人 福山さんとは三、四回でしょうか。それから管区長と三回くらい、所長と三回くらいあります。
  361. 木村公平

    木村(公)小委員 場所はどこですか。
  362. 良島正浩

    ○良島参考人 場所は最初は大阪拘置所と、それから堺の刑務所と、それから大阪管区というのでお目にかかりました。そのほかにも法務省の人で菅沼とかいう人も見えておりました。名刺をちょっと忘れてきたのですが、二人くらいおられたのを覚えております。
  363. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、三、四回お会いになりましたか。
  364. 福山繁雄

    福山参考人 正確な記憶はございませんが、三回までは覚えております。
  365. 上野浩

    上野参考人 一つだけ直しておいていただきたいところがあるのですが、先ほど福山務部長が、私が来たときに松本所長のところに紹介状を持ってきた、その紹介状が安西次席検事であったという証言をされておられましたが、私は安西さんは全然知らない人でありまして。一番最初拘置所所長に紹介していただいたのは、そのときの大阪の地検の検事正である松本検事正で、私はその方に松本所長に紹介してもらったんです。それだけちょっと直してもらいます。
  366. 田中彰治

    田中委員長 安西氏は知らぬ……。
  367. 上野浩

    上野参考人 ずっとあとになって会ったことはあります。しかし、初め私は全然知らなかった。
  368. 田中彰治

    田中委員長 それはどんなことで、いつごろ会った……。
  369. 上野浩

    上野参考人 拘置所のいろいろな問題を話していくうちに、安西さんがその問題に関係があるというので説明しに行ったことがあります。
  370. 田中彰治

    田中委員長 だれからそんなことを聞いたの、関係があると……。
  371. 上野浩

    上野参考人 だれだったか忘れましたが……。
  372. 田中彰治

    田中委員長 刑務所の者かね、拘置所の者かね、それともほかの第三者かね。
  373. 上野浩

    上野参考人 そういうことははっきりしておりません。
  374. 田中彰治

    田中委員長 しかし、おかしいじゃありませんか。安西さんが関係しておると、どういう関係をしておる……o
  375. 上野浩

    上野参考人 拘置所の問題が高検の方でやっておるというふうなことを聞いたわけなんです。それで高検でやっておって安西次席検事がそれを担当しておるというふうに、私はだれに聞いたか忘れましたが、一ぺん安西さんのところにあいさつに行ったことがあります。
  376. 田中彰治

    田中委員長 どんなあいさつ……。
  377. 上野浩

    上野参考人 私はこういうことをしようと思っておるのですがというあいさつを……。
  378. 田中彰治

    田中委員長 安西さんはどう言ったですか。
  379. 上野浩

    上野参考人 別に何とも言わなかったです。
  380. 田中彰治

    田中委員長 何とも言わない、返事をしない……。
  381. 上野浩

    上野参考人 返事はしたのですが、そうですかというような程度のことで、別に大したことではなかったのです。
  382. 田中彰治

    田中委員長 よろしい。
  383. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 上野さんにお尋ねしたいのですが、あなたは良島さんのこの事件を途中で引き受けて——良島さんには金を渡しただろうが、引き受けて、仮処分したものも解除してしまっておる。それから訴訟も起こしたのもそれを取り下げておるのですが、実によけいなおせっかいをして、良島さんにも迷惑をかけ、あなた自身も結果としては損をしているのですが、そのときも、そういう道義的なことでいったならば解決がうまくいくだろうと思ってやったと言われるのですが、私どもにはその点がどうもまだ納得いかないのは、延原という人は、あなた方はその前に数次の交渉は本人としていらしたかどうか知らないが、おそらくうわさその他でどういう人だかということはおわかりになっていたと思う。そういう人を相手取ってやっているにもかかわらず、それを解除してしまって、自分の権利を放棄してしまって今日になっているのですが、それが単にあなたは道義の上からだけそうしたのか、そうやったならば解決がスムーズにいくだろうという、何かそこにもっと根拠があっておやりになったのではないかと思われるのですが、あなたはただそういう道義上そうやったら必ず応じられるだろうと言っておられるが、あなたほどの人がそう簡単に人を信ずるはずはないと思うのですを与えているのじゃないですか。この点どうなんです。
  384. 福山繁雄

    福山参考人 申し上げます。前回も申し上げましたように、良島さんが三十年の十一月十三日においでになって、大阪刑務所に案内する自動車の中で、多少の雑談をいたしましたことは、これは認めます。そのときに安西さんとそれから延原さんの関係をあまりにも深く知っておるように私が話したと今説明されましたが、さような説明をするほど、私、安西さんにつきましては存じておりません。ただ安西さんが延原さんを知っておるらしいという程度のことは申し上げたかもわかりませんが、現在それは記憶にはございません。
  385. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そうじゃないのですよ。私の言いたいのは、そういうことまで深入りしていながら、ここではあなたは金主の一人として登場してきたのであって、私の対象は細見であって、良島ではないんだということをさっきから言っている。ところがあなた自身は、良島さんに対して、そうやったらよくなるだろう、こうやったらよくなるだろうということを指示して協力しているじゃないですか。だから、この問題に対して、あなた自身がかなり良島さんというものの存在を認め、その登場を認めて、そして指示を与えているということは、午前中の答弁と全く食い違ってきているのじゃないか、そういうことを聞いているのです。
  386. 木村公平

    木村(公)小委員 それと関連して、ついでに……。この間良島参考人のお話の中に、自分は当時新大阪ホテルに宿泊をしておって、支払いも大したことはないけれども、四百五、六十万は使った記憶だというお話がありましたが、四百五、六十万宿料をお払いになるところを見れば、たぶん福山務部長あたりとも晩飯くらいお食べになったことがあるのじゃございませんか。もしあったとすれば、何度くらいお食べになったのか、あるいは松本拘置所所長だとか鈴木管区長とか、今も出て参りました高検の検事長といったような一連の、この問題で少しでも疑惑を受けておる方たち新大阪ホテルにおいて食事等をなさった御記憶はございませんか。
  387. 良島正浩

    ○良島参考人 それはございません。
  388. 木村公平

    木村(公)小委員 四百五、六十万を何日でお使いになったのですか。
  389. 良島正浩

    ○良島参考人 その当時、私、大阪で事務所を持っておりまして、事務所に四、五人おりまして、私の不動産を処分をしてもらったり、担保に入れたりする連中が盛んに出入りしておりまして、それでつまりその金策をするために相当人が出入りはしておりましたが、それは私の不在中に飲んだり食ったりもたくさんされておりましたけれども、私一人でじっとうちで使ったわけではありませんけれども、とにかく日にちはずっと約三カ月ぐらい、東京へ来ていても部屋を借りっぱなしだったと思います。その間には、明石に土地がありまして、それを測量させたり、京都の家を担保に入れる運動をさせたり、それから何しろ大金を作らなくちゃならぬですから、不動産を処分しなければならないから、そのために相当に人が出入りしまして、自分も使うのは使ったのですが、約四百四、五十万使ったと思います。それでそういう人たちと会食は一ぺんもございませんでした。
  390. 田中彰治

    田中委員長 良島参考人にお尋ねしますが、あなたは一体拘置所長とか管区長とか、ここにおられる福山参考人と何回くらいお会いになったのですか。
  391. 良島正浩

    ○良島参考人 福山さんとは三、四回でしょうか。それから管区長と三回くらい、所長と三回くらいあります。
  392. 木村公平

    木村(公)小委員 場所はどこですか。
  393. 良島正浩

    ○良島参考人 場所は最初は大阪拘置所と、それから堺の刑務所と、それから大阪管区というのでお目にかかりました。そのほかにも法務省の人で菅沼とかいう人も見えておりました。名刺をちょっと忘れてきたのですが、二人くらいおられたのを覚えております。
  394. 田中彰治

    田中委員長 福山参考人、三、四回お会いになりましたか。
  395. 福山繁雄

    福山参考人 正確な記憶はございませんが、三回までは覚えております。
  396. 上野浩

    上野参考人 一つだけ直しておいていただきたいところがあるのですが、先ほど福山務部長が、私が来たときに松本所長のところに紹介状を持ってきた、その紹介状が安西次席検事であったという証言をされておられましたが、私は安西さんは全然知らない人でありまして。一番最初拘置所所長に紹介していただいたのは、そのときの大阪の地検の検事正である松本検事正で、私はその方に松本所長に紹介してもらったんです。それだけちょっと直してもらいます。
  397. 田中彰治

    田中委員長 安西氏は知らぬ……。
  398. 上野浩

    上野参考人 ずっとあとになって会ったことはあります。しかし、初め私は全然知らなかった。
  399. 田中彰治

    田中委員長 それはどんなことで、いつごろ会った……。
  400. 上野浩

    上野参考人 拘置所のいろいろな問題を話していくうちに、安西さんがその問題に関係があるというので説明しに行ったことがあります。
  401. 田中彰治

    田中委員長 だれからそんなことを聞いたの、関係があると……。
  402. 上野浩

    上野参考人 だれだったか忘れましたが……。
  403. 田中彰治

    田中委員長 刑務所の者かね、拘置所の者かね、それともほかの第三者かね。
  404. 上野浩

    上野参考人 そういうことははっきりしておりません。
  405. 田中彰治

    田中委員長 しかし、おかしいじゃありませんか。安西さんが関係しておると、どういう関係をしておる……o
  406. 上野浩

    上野参考人 拘置所の問題が高検の方でやっておるというふうなことを聞いたわけなんです。それで高検でやっておって安西次席検事がそれを担当しておるというふうに、私はだれに聞いたか忘れましたが、一ぺん安西さんのところにあいさつに行ったことがあります。
  407. 田中彰治

    田中委員長 どんなあいさつ……。
  408. 上野浩

    上野参考人 私はこういうことをしようと思っておるのですがというあいさつを……。
  409. 田中彰治

    田中委員長 安西さんはどう言ったですか。
  410. 上野浩

    上野参考人 別に何とも言わなかったです。
  411. 田中彰治

    田中委員長 何とも言わない、返事をしない……。
  412. 上野浩

    上野参考人 返事はしたのですが、そうですかというような程度のことで、別に大したことではなかったのです。
  413. 田中彰治

    田中委員長 よろしい。
  414. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 上野さんにお尋ねしたいのですが、あなたは良島さんのこの事件を途中で引き受けて——良島さんには金を渡しただろうが、引き受けて、仮処分したものも解除してしまっておる。それから訴訟も起こしたのもそれを取り下げておるのですが、実によけいなおせっかいをして、良島さんにも迷惑をかけ、あなた自身も結果としては損をしているのですが、そのときも、そういう道義的なことでいったならば解決がうまくいくだろうと思ってやったと言われるのですが、私どもにはその点がどうもまだ納得いかないのは、延原という人は、あなた方はその前に数次の交渉は本人としていらしたかどうか知らないが、おそらくうわさその他でどういう人だかということはおわかりになっていたと思う。そういう人を相手取ってやっているにもかかわらず、それを解除してしまって、自分の権利を放棄してしまって今日になっているのですが、それが単にあなたは道義の上からだけそうしたのか、そうやったならば解決がスムーズにいくだろうという、何かそこにもっと根拠があっておやりになったのではないかと思われるのですが、あなたはただそういう道義上そうやったら必ず応じられるだろうと言っておられるが、あなたほどの人がそう簡単に人を信ずるはずはないと思うのですが、どうなんですか、そこのところは。どうも不明確です。せっかく苦労して仮処分の認可をとって差し押えしたその権利を、むざむざと放棄してしまって今日になるというその点を、もう少し説明してくれませんか。
  415. 上野浩

    上野参考人 過日も申しましたが、仮処分で争っておれば、いつまで待っても、この問題は解決つかない。解決つかなければ、なかなか効果が現われてこない。そうすれば、拘置所でも非常に困る。また、拘置所の方やなにかもできるだけ早くあそこに建てなければ困ると言っておる。そういうときに、この前申しましたように、福山さんの話うらから、私は、そういうことをして上げれば非常に喜ばれるだろうし、また、当然福山さんの言われるように、いつかは延原さんの方へ連絡して、そして私の方へその土地をよこして下さるだろう。それからまた、そういうふうにして上げれば、やはり延原さんだって仮処分されていれば非常に困ることであるし、また、第一そんなことをお互いにやっていけば、弁護士さんの費用ばかりよけいかかってしまう。そんな愚かしいことをするよりも、そういうふうにして皆さんが喜ぶように解決すれば、ひいては私に当然そういういい報いがきて、私は、天満のその土地が自動的に入ってきて、私ももうけさしていただくことができる、こういうふうに深く信じた。これは、福山務部長さんのきのうの新聞を見るまでは、私はかたくそういうふうに信じて、きっと私の気持をよくわかってくれているんだというふうに私は思い過ごしておったんです。
  416. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そうすると、それは福山さんはりっぱな人だから——役所の人でもあるし、りっぱな人だから、そうやったら今あなたが考えているようにやってくれるだろう、努力してくれるだろうとあなたが思っただけで、福山さんからは何にもそういうことに対して話はしてないわけですね。
  417. 上野浩

    上野参考人 そんなことでは、私はやりません。福山さんに僕は、この仮処分をどうしても下げるには、何かの手を打たなければしようがないぞ。そこで、ここで金が二千万かかる。そんな犠牲払っちゃって、あとで何にもならなくなっちゃったら大へんなことになる。ただし、それを損したからといって、その損を福山さんに弁償して下さいというのではありません。しかしながら、どうしても交換しなきゃあなたも大へんだ、早く作らなきゃしようがないんだと言っているならば、そういうふうにしたらば私のために骨折ってくれるだろうということで、福山さんは、それがうまくいったときは、自分延原さんの方へ話して、そして円満にそういうふうになるように考えられるということをおっしゃったから、私としてもこれなら大丈夫だということでやったのです。
  418. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 今お聞きの通り上野さんは言っているんですが、福山さん、上野さんの答弁に対して肯定されますか。どうです。
  419. 福山繁雄

    福山参考人 ただいま説明を聞きましたが、私はこれは取り下げをしていただいたりいろいろすることは、私の方といたしましては、うれしいことには違いございません。しかし、それにつながりのあるような、また延原さんの、人の品物を自分——私がさようなことをできようはずもありません。また、延原さんという人柄から見ましても、われわれの言うことを聞き入れるような方でございませんのでございまして、従って、さような、私が取り次ぎしてやるというようなことは申し上げた覚えがございません。
  420. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 上野さん、今おっしゃる通り、あなたそういうことを聞いた、こう言っていますけれども、そう言われたと言っていますけれども、福山さんは、そういうことは言えるはずもなし、言った覚えはないということです。どうなんです。
  421. 上野浩

    上野参考人 もし福山さんが私に対して一つもそんなことを言ったこともない、また、そんな気持もなかったというのであるなら、私が延原さんに会わしてくれということは、その土地の仮処分を解除する前後だとか、解除したあとなんぞに私は頼んだ覚えは一つもないです。私が言ったのは一年ばかり、何というんですか、今拘置所と取りかえたばかりだ、そこでもって売りかえをすると、非常に疑惑の目で見られるから、もうしばらく猶予期間を——期間をあけてくれということを増井さんや高瀬さんという中に入った人が言ってきたから、それまで私は黙ってきたわけです。ところが、一年たっても何とも言わないから、初めて私は拘置所へ二回か三回行きまして、一つ紹介して下さい、何とか一つ考えていただくわけにいかぬでしょうかと私はお願いしたわけでありまして、もし福山さんが私に、何にもそんな気持もなきゃ、言ったこともない、何もないなら、そんなこと知らぬと言われるはずだと私は思うのです。そのときに、先ほども申しましたように、実は、自分としてもそういうことになったらば何とかよくなるようにしたいと考えておった。ところが、その延原のところの中村支配人がやめてしまってから、もう今度直接延原観太郎と会うことになったならば、延原はうそばかり言って、たとえてみれば、下の方へ大きな基礎を置いたり、それを取り壊して渡すと言ったり、こうするとか、いろいろなことを言っても、約束は何にもかなえさしてくれない。これがもし民間の取りかえっこであったならば、買った人は破産するくらい大へんなことになったでしょう。ただ、自分のところは拘置所だから、ただの人やなんかでもってやったからよかったようなものだけれども、というようなことまで言ったあげく、それじゃ中村支配人がこういうところにいるから、中村支配人はりっぱな人だから、あなた会って頼みなさいと言ったのです。もし縁もなければ、今の福山さんの言葉を借りて言うならば、延原さんと国家とが契約した契約違反をしているので、拘置所だから人を使って、多額なただの金を使ってやれると言われるかもしれないけれども、ほかの人だったならば、当然損害賠償なんか起こさなければならない重大なことです。そういうことを私に言われるということは、いかに福山さん自体が延原さんにてこずり、また、僕に対してかわいそうだと思っていても、どうすることもできなかったという点で、僕は福山さんを責める気持は今までなかったのです。今まで一生懸命やってくれたけれども、延原のやつが悪いというふうに自分は思っておった。ところが、きのうの新聞を見て、やはり福山さんも同じような気持だったのか、裏切られたというふうに思ったのです。
  422. 福山繁雄

    福山参考人 一言申し上げておきます。良島さんがあの都島延原土地につきまして仮処分をし、その後に本訴を提起したのでございますが、本訴を提起する前日に上野さんが私の方にお越しになりまして、そうして私の方の松本所長にお会いになり、いろいろと自分の来た目的を話しておられたわけでございまして、そのとき所長から上野さんに、あなたのことにつきましてわれわれどうのこうの申し上げることはできませんと、はっきり私を立会させて言っておりますので、その点は一つ松本所長にお聞き願いたいと思います。
  423. 上野浩

    上野参考人 ますます卑怯です。あなたは松本所長のことで逃げようとしますが、私は松本所長に一回しか会っておりません。それはどんなことを話したか、私は一回きりで大した記憶はありませんが、私は、このことについてはあなたと何回も話し合って言い、また本書を返してくれというようなこともあって、良島さんに幾ら催促しても返してくれないで弱っている。それだから困っているのだけれども、自分はよいですよと言ってすぐお返しした。私は松本所長が大将であってやっているならば、あなたにお返ししないで、松本所長に返したはずです。私はあなたと何回も何回も話をして、あなたが私の一等の味方になって下さる人だという自信のもとにあらゆる処置をあなたにしたのでありまして、たった一回しか会わない松本所長のどんな話か記憶にないようなことをとって、二対一かなにかでもって逃げられるということは、卑怯だと思います。
  424. 田中彰治

    田中委員長 上野参考人に聞きますが、あなたはほんとうにこの福山参考人と約束して、お前こうやってくれれば、この土地交換になれば、あなたのところに売れるように努力するということを聞いたの……。
  425. 上野浩

    上野参考人 そこは私は物事を非常に明確に約束したり何かするのが大体きらいというか、変なたちで、大ざっぱに話し合って、それでもって事を足してきた。これが私の最大の欠点です。そこにそういう多少の誤解が生じたと思うのですが、僕の感じからいえば、福山氏は十二分にやってくれるという確信を私は持っておったので、今の委員長が聞かれたように、福山氏は絶対責任を持ってやってやると言ったかどうかということになると、私は、そこのところは非常にむずかしいと思うのです。しかしながら、要するに今さっき福山さんがたびたび言われるように、私はそんなことは絶対にやりません、そんなことの中に入ることは絶対にやりませんというはっきりしたことを言った記憶は、私は一つもありません。はっきり言われていれば、私ははっきり印象に残って、そのときどういうふうに考えるか、処理したと信じます。
  426. 田中彰治

    田中委員長 そこで、上野参考人、あなたの言うことがあいまいなんだ。そこで、あなたははっきり、人の土地だから、交換したら必ずあなたに二億三千万のうち千万円負けて渡すようにしますとは言わないけれども、それに対して努力するということは言ったのですか。
  427. 上野浩

    上野参考人 努力するということは言いました。しかしながら、私はそれができないから、福山さんを責めるとか、そんなことはしない……。
  428. 田中彰治

    田中委員長 努力すると言ったのですか。
  429. 上野浩

    上野参考人 言いました。
  430. 田中彰治

    田中委員長 それをあなたは信じたのですか。
  431. 上野浩

    上野参考人 信じました。
  432. 田中彰治

    田中委員長 それだから二千万円損してやると……。  それから福山参考人にちょっと聞きますが、あなたはさっき、延原というやつはそんなことに応じるやつじゃない、なかなかのしろものだとおっしゃったが、それは実際その交換をする当時も、なかなか延原というのは一筋なわではいかないものだということを、あなたは考えておられましたか。りっぱな紳士と考えておられましたか。
  433. 福山繁雄

    福山参考人 なかなかがっちり屋であるというような印象を受けておりました。
  434. 田中彰治

    田中委員長 がっちり屋だが、どういうように、かたいがっちり屋なのか。つまりいいかげんなことでもやりかねないがっちり屋なのかどうか。(「悪党かどうか」と呼ぶ者あり)悪党までいかぬでも、正直なことを言って下さい。
  435. 福山繁雄

    福山参考人 とにかく私の方の交換が終わりますにつきましては、非常に……。
  436. 田中彰治

    田中委員長 いや交換をする前、その交換する話のちょっと前ころに、やはり何回も交渉されておるが、がっちり屋と思われたか、人のいい人と思われたか。
  437. 福山繁雄

    福山参考人 人のいいとは思いません。
  438. 田中彰治

    田中委員長 やはり相当のものだと思ったのですか。
  439. 福山繁雄

    福山参考人 ええ、しっかりした、なかなか抜かりのない方だ、こう信じておりました。
  440. 田中彰治

    田中委員長 それで聞くのですが、それだけのことを考えておられたなら、五百万円の手金を解決しないのに、あなたの方で土地交換をされて、後に何か問題が起こるということをお考えにならなかったことは、あなたの今までやってこられた注意にも似合わない。そこだけ抜けているのだな。
  441. 福山繁雄

    福山参考人 あくまでも、それは先ほども申し上げましたように、役所、国としてでなくて、個人的立場に立ちましても、五百万円がそのままになれば気の毒だという気持で、できれば返してもらったらいいという上司のお情けから、私を使いに走らしたわけでございまして、先方さんも、前回申し上げた通り、そのような、返してやるような気持があったようにも私感じられました。
  442. 田中彰治

    田中委員長 それではあなたにお聞きするが、手金を返してやるということなら、手金流れと思っておらなかったのだな。手金はもらっておったけれども、こっちできめたから、返してくれというなら、返してやってもいいというだけで、手金流れと思ったら、手金流れで取ったのだから関係はないはずだ。それはどうなんです。あなたも正直におっしゃいよ。かえってあなたがそうもじればもじるほど窮地に陥るのはあなたなんだから。みなわかっておるのだから。
  443. 福山繁雄

    福山参考人 私正直に申し上げておるつもりでございます。何回も申し上げた通りでございまして……。
  444. 田中彰治

    田中委員長 手付金なら流したのだから——期日までに流したはずだが、それを返そうというような気持でいたというのだったら、手付金のまだ契約が生きておったということなんですか、どうなんです。あなたは、もうそんなことはないよ、内容証明をやって、流してあるよ、期日におくれておるじゃないか、と言うはずじゃないか。五百万円なら返してもいいということを言ったということは、どうなんだね、おかしいじゃないか。どういうつもりでそんなことを言ったのですか。
  445. 福山繁雄

    福山参考人 それはすべて人情的に考えたのではないかと思うのでございますが……。
  446. 田中彰治

    田中委員長 しかし、延原という人は、どこから見ても人情的なことは一つもない。職工を首切ったことも、税金のことも、物を売ったことも、あなたとの交渉においても、あなたは、延原は相当な者だということを言っているのだから、人情的なことはないじゃないか。それが人情的に五百万円返すというのはおかしいじゃないか。とったらいいじゃないか。どうなんです。正直に言いなさい。
  447. 福山繁雄

    福山参考人 委員長、私は正直に申し上げておるつもりでございますが……。
  448. 田中彰治

    田中委員長 五百万円返そうとしたときの感じはどうだったか。延原という人は人情があって返そうとしたと思ったか。これはやはり手付金でとったのか。
  449. 福山繁雄

    福山参考人 重ねて申し上げますが、前回も申し上げた通りでございまして、こちらから返す筋合いのものではない、来たら考慮する、こういうように表現をしておられましたことを前回申し上げましたが、その通りでございまして、それを聞きましたときには、その点につきましては、かたいがっちり屋であるけれども、わかるところはわかるというような印象でございました。
  450. 田中彰治

    田中委員長 西村君。
  451. 西村力弥

    ○西村(力)小委員 福山さんにお聞きしますが、大阪の財務局の鑑定のほかに、安田とか三和とか、そういう銀行の鑑定も依頼したとありますが、その鑑定書は出ておるのでしょうね。
  452. 福山繁雄

    福山参考人 全部出ております。
  453. 西村力弥

    ○西村(力)小委員 第二点は、最初数次にわたって延原氏と直接売買の交渉をやったが、拒否せられた。そのときに使いに行った人はどなたか。それがこういうどさくさのあったあと管区長所長が行ったら、今度は直接売買に応じた、こういうことになっておりますが、相当の男である延原氏が、そういうふうに態度が変わった、これはどういうことだろうかと思うのです。延原氏とすれば、それほど苦しいならば、それでは私が直接に売買の交渉に応じよう、そうして法務省の立場に協力しよう、こういう工合に出る男だと私は考えられる。何かそこにはやはり相当延原氏の心境に変化を来たす事由があるに違いない、こういうような推測を持つのです。これは私の推測ですがね。それで、その件についておえら方、所長管区長二人来たから、では顔を立ててというような工合にもわれわれですと考えますけれども、なかなかそうばかりもいかない事情があるのじゃなかろうか、こういう工合に考えられるのです。その間の経緯はどういう工合でございますか、福山さん。
  454. 福山繁雄

    福山参考人 延原さんが十二月の中ごろになりまして直接取引に応じていただくようになったその心境につきましては、私はわかりません。
  455. 西村力弥

    ○西村(力)小委員 けっこうです。
  456. 田中彰治

    田中委員長 西村委員、鑑定人の書類は出ていますが、鑑定人を頼む前に、もう交換する約束をして、書類を取りかわしてしまった、一対一で……。鑑定というものはあとでしたもので、鑑定する前にもう取りかえるという契約書を取りかわしておる。
  457. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 この問題はきょう済むはずのものでもないししますから、それに今週は木、金に委員会があるわけですから、この問題は来週の月曜日あたりに移して、きょうはこれで散会することにしていただきたいと思います。同時に、先ほど私が申し上げた、これはこの次も福山さん、並びに拘置所長ですか、こういう方に出てもらうようになるだろうと思うが、これは参考人ではらちがあかない。そこで、きょうは委員の数も少なくなりましたが、午前中に私が動議を出して、採択されていると思うのですが、これは証人として出頭を求めることが適当ではないか、こう思うわけです。
  458. 田中彰治

    田中委員長 小川委員の申される旨承知いたしましたが、一応委員会とも相談して、そうして承認を求めて、厳重に審議するようにいたします。  それでは、参考人に対する質疑はこの程度にとどめます。  参考人には、長時間にわたり、大へん御苦労さまでございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会