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1961-06-01 第38回国会 衆議院 決算委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月一日(木曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    大上  司君       久保田藤麿君    薩摩 雄次君       正示啓次郎君    鈴木 正吾君       藤井 勝志君    赤松  勇君       森本  靖君    山田 長司君       横路 節雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  大久保武雄君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     磯江 重泰君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      大村 筆雄君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         農林事務官         (大臣官房経理         課長)     日比野健兒君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      向井 政文君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  大島 隆夫君         大蔵事務官         (国税庁税部         法人税課長)  松井 静郎君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         徴収課長)   河村 尚平君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部調査課長) 渡部  信君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         日本専売公社副         総裁      石田 吉男君         日本開発銀行総         裁       太田利三郎君         日本開発銀行理         事       安永 一雄君         日本開発銀行総         務部長     植田 一夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 六月一日  委員山口喜久一郎君及び赤松勇辞任につき、  その補欠として正示啓次郎君及び横路節雄君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員示啓次郎君及び横路節雄辞任につき、  その補欠として山口喜久一郎君及び赤松男君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算  昭和三十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和在十三年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、大蔵省所管決算及び大蔵省関係政府関係機関決算について、審査を進めます。  まず、大蔵大臣より、各決算概要について説明を求めます。水田大蔵大臣
  3. 水田三喜男

    水田国務大臣 昭和三十三年度及び昭和三十四年度大蔵省所管決算及び大蔵省関係政府関係機関決算概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知いただきたいと存じます。何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員各位のお手元に配付いたしております。昭和三十三年度及び昭和三十四年度大蔵省所管決算及び大蔵省関係政府関係機関決算の説明書は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————   〔参照〕   昭和三十三年度及び昭和三十四年度   大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関収入支出決算に関する説明  昭和三十三年度及び昭和三十四年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計歳入決算について申し述べます。三十三年度の歳入決算額は一兆三千八百六十五億三千八百万円余でありまして、歳入予算額に比較いたしますと、千二百七億六千五百万円余の増加となっており、また三一四年度は一兆五千百九十億九千七百万円余でありまして、歳入予算額に比較いたしますと、八百九億三百万円余の増加となっております。  以下、各部について簡単に申し上げます。  第一に、租税及び印紙収入の決算額は、三十三年度は一兆三億七千四百万円余で、予算額に比し三千三百万円余の増加、三十四年度は一兆一千七百六十八億四千八百万円余で、予算額に比し三百二十九億二千万円余の増加となっております。  三十三年度は、経済界の不況により、法人税において所得が予定より減少したことのほか、砂糖消費税において課税数量が予定より少なかったこと、印紙収入において現金納付による印紙収入が予定より少なかったこと等により、二百四十一億四千二百万円余の減少があったにもかかわらず、他面、申告所得税において配当、不動産等資産所得が予定より増加したこと、揮発油税及び物品税において課税数量及び価額が予定より増加したこと、並びに関税において原糖等の有税品目の輸入が予定より増加したこと等により、二百四十一億七千六百万円余の増加がありましたので、差し引き若干の増加を見たものであります。  また、三十四年度においては、経済界の好況を反映して、法人税及び申告所得税において企業所得が増加したほか、申告所得税における配当、不動産等資産所得が予定より増加したこと、酒税、砂糖消費税揮発油税及び物品税において、堅調な消費需要を反映し、課税数量及び価額が予定より増加したこと、並びに関税において、機械類、金属等の有税品目の輸入が予定より増加したこと等が、収入増加のおもな理由であります。  第二に、専売納付金について申し上げますと、日本専売公社納付金の決算額は、三十三年度は千二百五十九億八千二百万円余で、予算額に比し六十二億三千二百万円余の増加、三十四年度は千二百五十一億四千百万円余で、予算額に比し二十八億八千九百万円余の増加となっております。  両年度とも増加の理由は、たばこ販売促進の結果、販売数量が増加したほか、上級品への消費移行があったため、たばこ事業の純利益が増加したことによるものであります。  第三に、官業益金及び官業収入でありますが、印刷局特別会計受入金の決算額は、三十三年度は六億九千二百万円余で、予算額に比し二億二千八百万円余の増加、三十四年度は八億八千六百万円余で、予算額に比し三億三百万円余の増加となっております。増加の理由は、三十三年度において、前年度からの未納付益金を受け入れたことのほか、両年度とも、損益計算上の利益が予定より多かったためであります。  第四に、政府資産整理収入の決算額は、三十三年度は百億六千二百万円余で、予算額に比し千三百万円余の減少、三十四年度は百五十二億三千七百万円余で、予算額に比し十六億八千八百万円余の増加となっております。  これは、三十三年度においては、工作物、機械等の国有財産の売払収入は予定より増加しましたが、一方道路整備特別会計の新設に伴い、道路整備事業により納付された地方債証券を同会計に引き継いだこと等による減少があったためであり、また、三十四年度においては、土地、建物、機械等の国有財産売払収入が予定より増加したほか、道路整備特別会計に引継いだ地方債証券一般会計に移管されたこと等により、その収入が予定より多かったためであります。  第五に、雑収入でありますが、その決算額は、三十荘年度は三百七十二億四千四百万円余で、予算額に比し二十二億七千九百万円余の増加、三十四年度は五再五十七億六千六百万円余で、予算額に比し十三億九千三百万円余の増加となっております。  雑収入の増加のおもなものは、国有財産貸付収入共有船舶利用収入利子収入金融機関調整勘定利益返還金等の収入の増加であります。  第六に、以上申し上げましたほか、三十四年度におきましては、経済基盤強化資金受け入れがありますが、その決算額は二百三十億三千三百万円余で、予算額通りであります。この収入は、三十三年度に設けられた経済基盤強化資金を全額使用するため、一般会計の財源に受け入れたものであります。  第七に、前年度剰余金受け入れにつきましては、その決算額は、三十三年度は二千百三十一億八千二百万円余で、予算額に比し千百二十億五百万円余の増加、三十四年度は千二百一十一億八千四百万円余で、予算額に比し四百十七億七百万円余の増加となって、おります。  両年度とも、前年度剰余金受け入れが予算額を著しく上回っておりますのは、予算計上の際は、例年の方式として、前年度剰余金受け入れの予算額は、前々年度の決算によって生じた純剰余金のうち、前年度歳入予算に未計上の金額相当額を一応計上するにとどめているのに対して、決算上においては、前年度に生じた剰余金が全額含まれてくることとなるためであります。  次に、一般会計歳出決算について御説明いたします。  昭和三十三年度の歳出予算現額は、千九百四十四億六千七百万円余でありまして、これに対し支出済み歳出額は千九百億一千万円余、翌年度へ繰り越した額は三十六億三百万円余でありまして、差引不用額は、八億五千三百万円余となっております。  また、三十四年度におきましては、歳出予算現額千六百八十八億四百万円余、支出済み歳出額千六百五十三億三千九百万円余、翌年度繰越額二十六億三千六百万円余、差引不用額八億三千八百万円余となっております。  以下、両年度につきまして、大蔵省所管の経費のうち、国債費、政府出資金その他おもなものにつきまして、支出の概要を申し述べます。  まず第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計繰り入れるため、三十三年度六百六十五億八千八百万円余、三十四年度五百四十二億四千六百万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計負担に属する国債の償還及び利払い財源、並びにそれらの事務取扱費に充てるためのものであります。このうち、国債償還財源につきましては、昭和二十八年度から昭和三十四年度まで各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律に基づきまして、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定を適用せず、財政法第六条の規定による前々年度決算上の剰余金の二分の一相当額を繰り入れたものでありまして、その金額は、三十三年度四百三十六億三千万円余、三十四年度三百二十億一千七百万円余となっており、また、国債利子支払い財源として繰り入れた金額は、三十三年度二百二十八億二千二百万円余、三十四年度二百十億五千八百万円余となっております。  次に、以上の国債費に関連して、一般会計負担に属する国債の状況について申し上げます。  三十三年度初めの未償還現在額は、内国債約、一千九百五十七億円、外貨債は、邦貨換算額にして約八百七億円でありましたが、内国債につきましては、三十三年度中に遺族及び引揚者に対する国庫債券の交付、並びに満期到来国債の借りかえ発行等により、約四百五十一億円が増加した一方、遺族及び引揚者国庫債券年賦償還、並びに満期到来国債の償還によって、約四百六十億円が減少いたしましたので、三十三年度末現在額は、約三千九百四十八億円となっております。また、三十四年度においては、国際通貨基金及び国際復興開発鉄行に対する通貨代用国庫債券による出資により約七百九億円、遺族及び引揚者に対する国庫債券の交付並びに満期到来国債の借りかえ発行等により約百八十七億円、計約八百九十六億円が増加した一方、遺族及び引揚者国庫債券年賦償還並びに満期到来国債の償還等により、約二百九十九億円が減少いたしましたので、三十四年度末現在額は、約四千五百四十五億円となっております。  外貨債につきましては、三十三年度中に約四十六億円、三十四年度中に約五十二億円を償還いたしましたので、三十四年度末現在額は、約七百九億円となっております。  なお、国債利子の内訳は、内国債利子につきましては、三十三年度及び三十四年度とも、それぞれ約百二十億円、外貨債利子につきましては、三十三年度は約百八億円、三十四年度は約九十億円となっております。  以上の結果、この経費において、岡年度とも、国債利子の支払いが予定に達しなかったこと等により、三十三年度六億一千二百万円余、三十四年度六億四千六百万円余が不用となりました。  この不用額が、当初申し述べました大蔵省所管一般会計歳出不用額のおもなものとなっております。  第二に、政府出資金及び経済基盤強化資金につきましては、政府出資金の項から、理化学研究所に対する国の出資金として、三十三年度一億三千万円、三十四年度五億円、中小企業信用保険公庫に対する信用保証協会への貸付資金に充てるための出資金として、三十三年度二十億円、農林漁業金融公庫に対する造林事業融資資金に充てるための出資金として、三十四年度七億円を、それぞれ支出いたしました。  これらの国の出資を受けました機関ごとに、この出資によって行なわれた事業の概要について申し述べますと、理化学研究所におきましては、科学技術の振興に関する基礎及び応用研究、並びに新技術の開発事業を実施するほか、研究設備の近代化、研究成果の普及及び製品の試作等を行なって参りました。  中小企業信用保険公庫におきましては、三十三年度のこの出資金のほか、旧中小企業信用保険特別会計から承継した融資基金十億円と合わせ、三十億円をもって全国の五十二信用保証協会へ貸付を行ない、その保証機能を拡充することにより中小企業金融の円滑化に貢献しており、三十三年度末におけるこれらに対する貸付残高は、二十九億九千万円余となっております。  また、三十四年度におきましては、同公庫に対し、産業投資特別会計から二十億円が出資されました結果、同年度末における貸付残高は、四十九億九千万円となっております。  農林漁業金融公庫におきましては、この出資金により造林事業に対する、長期低利の融資を行なっておりますが、三十四年度中に小規模造林に三百五十五件、三億五千三百万円余、公有林造林に四百十八件、六億二千二百万円余の貸付決定が行なわれております。  以上の政府出資金のほか、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律に基づく支出といたしまして、三十三年度に次のような資金の繰り入れ及び出資が行なわれました。すなわち、経済基盤強化資金への繰り入れ二百二十一億三千万円のほか、特別の法人の基金に充てるための出資といたしまして、日本輸出入銀行に対し、東南アジア開発協力基金として五十億円、中小企業信用保険公庫に対し、保険事業の準備基金として六十五億円、日本貿易振興会に対し、その事業運営基金として二十億円、農林漁業金融公庫に対し、非補助小団地等土地改良助成基金として六十五億円、日本労働協会に対し、その事業運営基金として十五億円、計二百十五億円であります。  以上は、いずれも予算現額の全額を支出したものでありまして、このうち、経済基盤強化資金につきましては、その運用収入と合わせて全額を三十四年度においてこれを使用するため、一般会計の財源に受け入れられたことは、さきに述べた通りであります。  また、五法人に設けられた基金につきましては、それぞれその所定の目的に従って運用されておりますが、その状況につきましては、別に提出してあります「決算の説明」によって御承知いただきたいと思います。  なお、付言いたしますと、日本輸出入銀行に置かれました東南アジア開発協力基金は、三十二年度、三十四年度とも使用されることなく、その運用収入と合わせて全領を三十五年度に海外経済協力基金に移されることとなったのであります。  第三に、防衛支出金につきましては、大蔵省所管の経費といたしまして、日米安全保障条約に基づく行政協定第二十五条第二項(b)による在日合衆国甲交付金、及び日米相互防衛援助協定第七条に基づく合衆国軍事援助顧問団経費として、三十三年度百九十億八千七百万円余、三十四年度百十五億七千二百万円余を支出いたしました。その内訳は、在日合衆国軍交付金として、三十三年度百八十六億円、三十四年度百十一億円、合衆国軍事援助顧問団経費として、三十三年度四億八千七百万円余、三十四年度四億七千二百万円余であります。  なお、在日合衆国軍交付金の使途につきましては、日米間に合意された資金経理手続に従いまして、アメリカ合衆国政府から報告されておりまして、労務費、輸送通信費用役作業費等に支払われており、その大部分は労務費であります。  また、軍事援助顧問団経費につきましては、軍事援助顧問団交付金のほか、日本住宅公団に交付する顧問団員の住宅管理費でありまして、軍事援助顧問団交付金の使途につきましては、日米間に合意された経理手続に従いまして、軍事援助顧問団から報告されておりまして、事務費、労務費、住宅費、移動訓練隊費等に支払われております。  以上の支出済み額のほか、防衛支出金につきましては、アメリカ合衆国軍との交渉に不測の日数を要したこと等により、三十三年度三十三億七千四百万円余、三十四年度二十四億六千六百万円余が、年度内に支出未済となっておりますが、この金額は、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会の議決を経、これに基づいて、それぞれ翌年度へ繰り越しいたしました。この繰越金額が、当初申し述べました大蔵省所管一般会計歳出繰越額の大部分を占めております。  第四に、賠償等特殊債務処理費につきましては、賠償等特殊債務処理特別会計法に基づく旧連合国に対する賠償の支払い、その他外国に対する特殊債務の処理に充てるための財源をこの会計へ繰り入れるため、三十三年度二百六十一億九千三百万円、三十四年度三百二十三億四千万円を支出いたしております。においては、この繰り入れ財源をもって三十三年度において、ビルマ、フィリピン及びインドネシアの三カ国に対する賠償費二百二十三億一千八百万円余、及びその他の特殊債務処理費二十七億七千万円余の支払いが行なわれ、三十四年度においては、これら三カ国に対する賠償費二百十億四百万円余のほか、ラオス及びカンボジアの両国に対する経済協力費五億六百万円余、及びその他の特殊債務処理費二十四億二百万円余の支払いが行なわれました。  第五に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行出資諸費につきましては、三十四年度において、わが国の国際通貨基金に対する出資額二億五千万ドルが五億ドルに、国際復興開発銀行に対する出資額二億五千万ドルが六億六千六百万ドルに、それぞれ増額されましたので、これに伴う出資払い込みに必要な経費として、同年度に、国際通貨基金に対する出資二百三十四億五千七百万円余、国際復興開発銀行に対する出資十六億一千六百万円余を支出いたしました。  なお、これら両機関に対しましては、以上の現金出資のほかに、通貨代用国庫債券をもって、国際通貨基金へ六百六十五億九千九百万円余、国際復興開発銀行へ四十三億五千九百万円余を出資いたしましたが、以上の追加出資によりまして、わが国は、他の加盟国とともに、両機関が世界経済の発展のために、ますます適切な役割を演ずることができるよう、その資金的基礎の充実に貢献した次第であります。  第六に、産業投資特別会計への繰り入れでありますが、三十四年度におきまして、同特別会計への繰り入れとして、五十億円を支出いたしました。この金額は、三十四年度の同特別会計産業投資支出の財源の一部に充てるためのものでありますが、同会計におきましては、その経常的財源等と合わせまして、電源開発株式会社源か十三機関に対し、総額三百八十七億円を出資いたしまして、これら機関の事業の進展に寄与した次第であります。  第七に、公務員宿舎施設費につきましては、国家公務員のための国設宿舎を設置するための経費として、三十三年度十三億二千九百万円余、三十四年度十六億八千万円余を支出いたしました。公務員宿舎につきましては、その不足の状況にかんがみ、逐年その増設をはかっているのでありますが、以上の支出によりまして、三十三年度に三千二百十五戸、三十四年度に三千八十七戸を新たに設置いたしました。  この結果、三十四年度末における公務員宿舎施設費による設置戸数累計は二万八千六百六十二戸となりましたが、これによりましても、なお、公務員の必要とする戸数に対しまして、その充足率は約五二上二%にとどまっている状況であります。  なお、公務員宿舎施設費につきましては、敷地の選定その他工事の関係から、支出が翌年度に繰り越されるものがありましたので、以上の支出のほか、三十四年度末で四百七十五戸分、一億四千万円余が支出未済で繰り越しとなっております。  以下、申し述べましたおもな経費のほか、法令等の規定により義務的に支出を必要とする経費といたしまして、旧令共済組合等年金交付経費として、国家公務員共済組合連合会等補助及交付金の項から、三十三年度十七億二千七百万円余、三十四年度十七億八千八百万円余、日本国有鉄道日本電信電話公社及び資金運用部特別会計国庫預託金に対する利子として、国庫受入預託金利子の項から、三十三年度六億一千四百万円余、三十四年度十二億八千五百万円余、内国税の過誤納金の払い戻し及び青色申告制度に基づく還付金に対する加算金として、租税還付加算金の項から、三十三年度九億二千万円、三十四年度十二億一、千百万円を支出いたしました。  その他、大蔵省所管の一般行政を処理する等のための経費といたしまして、大蔵本省において、三十三年度十二億七千四百万円余、三十四年度十五億円余、財務局において、三十三年度二十六億四千万円余、三十四年度二十七億八千八百万円余、税関において、三十三年度二十一億五千八百万円余、三十四年度二十三億八千百万円余、国税庁において、いわゆる徴税費として、三一三年度二百十億八千万円余、三十四年度二百二十八億四千二百万円余、これらの合計、三十三年度二百七十一億五千四百万円余、三十四年度二百九十五億一千百万円余を支出いたしましたが、この経費のおもなものは、人件費及び事務費でありまして、人件費の占める割合は、両年度とも約七四%であります。  なお、徴税費について、その支出額を国税庁において取り扱った租税及び印紙収入収納済み額と比較いたしますと、徴税費コストは、三十三年度二・一九%、三十四年度二・〇七%となっております。  次に、各特別会計の決算につきまして、それぞれの会計の事業実績等を主として簡単に御説明いたします。  まず第一に、造幣局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である補助貨幣の製造について申し述べますと、三十三年度において、百円銀貨幣外四種の補助貨幣を五億一千六百五十万枚、額面金額にして九十九億七千六百五十万円、三十四年度において、四億九千八百十万枚、額面金額にして群五億百万円を製造し、その全額を補助貨幣として発行いたしました。この結果、三十四年度末における補助貨幣の発行高は、五百八十五億五千五百万円余となっております。  第二に、印刷局特別会計につきましては、この会計の主たる事業である日本銀行券の製造について申し述べますと、三十三年度において、一万円券外四種の日本銀行券を七億五千九百五十万枚、額面金額にして三千八百五十五億円、三十四年度において、七億七千万枚、額面金額にして五千九百五十億円を製造いたしまして、その全量を日本銀行に引き渡しております。  なお、経済の成長及び経済活動の拡大に伴いまして、通貨の流通高が逐年著しく増加しておりますので、日本銀行券と補助貨幣の製造につきましては、相互に調整をはかりながらこれに対処いたして参りました。  第三に、資金運用部特別会計につきましては、その資金運用及び資金調達の実績について申し述べます。三十三年度の資金の新規運用額は、約二千六百八億円でありまして、この運用額は、当初の計画に対しまして約百七十一億円の増加となっております。運用の内訳は、特別会計へ貸付約九十七億円、政府関係機関へ貸付約千二百九十二億円、その他への貸付及び地方債の引き受け等に約千二百十九億円となっており、この原資は、郵便貯金、厚生保険その他預託金の増加額約千七百三億円、及び既運用資金の回収等約九百五億円であります。  三十四年度におきましては、新規運用額は約三千百八十五億円でありまして、当初の計画に対しまして、約二百五十七億円の増加となっております。その運用の内訳は、特別会計へ貸付約百六十九億円、政府関係機関へ貸付千七百四十七億円、その他への貸付及び地方債の引き受け等に約千二百六十九億円となっており、この原資は、郵便貯金、厚生保険その他預託金の増加額約二千二百四十四億円、及び既運用資金の回収等約九百四十一億円であります。  なお、両年度とも運用が当初計画より増加いたしましたが、この追加運用の内容につきましては、特に、中小企業への年末金融対策及び災害復旧対策等につきまして意を用いた次第であります。  第四に、国債整理基金特別会計につきましては、収納済み歳入額は、三十三年度四千二百五十二億九千二百万円余、三十四年度四千四百四十億六百万円余、支出済み歳出額は、三十三年度三千八百七十五億一千八百万円余、三十四年度三千九百十八億四千三百万円余であります。  収納済み歳入額のおもなものは、一般会計及び特別会計からの国債、借入金及び短期証券の償還並びに利子等の支払い基金の受け入れとして、三十三年度三千八百五十六億六千四百万円余、三十四年度三千九百三十五億三千万円余、満期到来内国債のうち、一部を借りかえ償還するための公債発行収入として、三十三年度二百十億五千三百万円余、三十四年度九十八億七千五百万円余、前年度以前における国債の既償還未払い及び利払い期到来分の利子未払い等による前年度剰余金の受け入れとして、三十三年度百七十四億九千五百万円余、三十四年度三百七十七億七千三百万円余であります。  支出済み歳出額のおもなものは、国債借入金及び短期証券の償還として、三十三年度三千四百一億四千九百万円余、三十四年度三千三百四十二億五千三百万円余、国債及び借入金の利子並びに短期証券割引差額として、三十三年度四百六十九億二千百万円余、三十四年度五百七十三億八千八百万円余となっております。  なお、以上の支出済み歳出額を収納済み歳入額から差し引いた残額は、国債の既償還未払い及び利払い期到来分の利子未払い等によるものでありまして、それぞれ翌年度へ繰り越しております。  第五に、貴金属特別会計について申しますと、金管理法に基づきまして、新産金の百分の五を政府が買い上げることになっておりますので、一、一十三年度及び三十四年度とも、それぞれ四百二十三キログラム余、金額にして一億七千百万円余の金地金をこの会計において買い上げており、これに要する資金は、この会計保有の銀地金を売却して調達いたしております。  このほか、銀地金売却による収入の大部分は、両年度の一般会計繰り入れられています。  なお、この会計が保有している金地金は、三十四年度末現在二十一トン七百六十二キログラム余となっております。  第六に、外国為替資金特別会計につきましては、収納済み歳入額は、三十三年度二十五億八千四百万円余、三十四年度百十七億七千四百万円余、支出済み歳出額は、三十三年度七十六億八千七百万円余、三十四年度百二十億九百万円余であります。  収納済み歳入額のおもなものは、保有外貨資産の運用収入として、三十三年度七十一億三千二百万円余、三十四年度百十二億三千百万円余であります。  支出済み歳出額のおもなものは、外国為替資金補足のため発行した融通証券の割引料を国債整理基金特別会計繰り入れたものであって、三十三年度七十二億八千五百万円余、三十四年度百十九億二千二百万円余となっております。  なお、収納済み歳入額から支出済み歳出額を差し引きますと、三十三年度一億二百万円余、三十四年度二億三千四百万円余の不足を生じました。この不足金は、外国為替資金特別会計法第十四条の規定により、積立金から補足することにいたしました。  また、国際収支について申し上げますと、この両年度を通じ、引き続き好調に推移し、三十三年度に五億四千六百万ドル、三十四年度に三億四千八百万ドル、それぞれ受け取り超過となっております。  第七に、産業投資特別会計につきましては、三十三年度に電源開発株式会社外五社、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫及び日本住宅公団に対し二百六十七億円を出資いたしましたほか、電源開発株式会社に対し約百六億五千万円を貸し付けましたが、これは当初の計画に対して約十一億五千万円の減少となっております。減少いたしました理由は、電源開発株式会社に対する出資において、同社の資金繰り上、十億円を翌年度へ繰り越したこと、及び同社に対する貸付見合い財源として発行した外貨債発行収入が、予定より約一億五千万円減少したためであります。  三十四年度には、電源開発株式会社外五社、日本輸出入銀行外四政府関係機関、及びその他日本住宅公団等の三機関に対し三百八十七億円を出資いたしましたが、これは計画に対して五億円の減少となっております。減少いたしました理由は、日本海外移住振興株式会社に対する出資が、同社の資金繰り上、五億円を翌年度へ繰り越したためであります。  以上の結果、この会計における三十四年度末現在の出資額は四千三百十三億円余、優先株式の引受額は九億円余、貸付額は七百四十五億円余となっております。  第八に、経済援助資金特別会計につきましては、わが国の工業力強化のための資金として、三十三年度に航空機関係へ七億三千万円、電子機器関係へ一億円、計八億三千万円、三十四年度に航空機関係へ四億円、電子機器関係へ三億四千万円を融資するため、これを日本開発銀行へ貸し付けたほか、三十四年度には、日本航空機製造株式会社へ三億円を出資いたしました。  その結果、三十四年度末現在におけるこの会計からの投融資残高は、日本開発銀行への貸付額約二十九億七千万円、日本航空機製造株式会社への出資金三億円となっております。  なお、これら投融資のためのこの会計の原資は、農産物の購入に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づき、日本国に贈与された資金をこの会計が受け入れたもので、その贈与受入額は、約三十三億九千万円であります。  第九に、余剰農産物資金融通特別会計につきましては、電源、農地の開発、森林漁港等の振興及び生産性の向上のため、三十三年度に、電源開発株式会社、愛知用水公団、森林開発公団及び日本生産性本部等へ十三億七千九百万円、三十四年度に地方公共団体へ二億四千百八十万円を貸し付けました。その結果、三十四年度末現在におけるこの会計の貸付残高は、約三百八十五億円となっております。  なお、この会計の原資として、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れた資金は、約三百七十八億円であります。  第十に、賠償等特殊債務処理特別会計につきましては、一般会計歳出の部において概要を申し述べましたので、説明を省略させていただきます。  第十一に、国有財産特殊整理資金特別会計につきましては、三十三年度に近畿地方建設局外四符署の庁舎等の売り払い等によりまして、約二億五百万円余の収入がありましたが、この年度においては、資金を効率的に使用するため、全額翌年度に繰り越しをいたしました。三十四年度の収入額は、前記繰越額と、北海道財務局分室外四官署の庁舎等の売り払い収入等と合わせ三億二千八百万円余となりましたが、同年度において、予算の定めるところにより二億五千百万円余を一般会計繰り入れましたので、差引七千六百万円余の資金残額は、三十五年度に繰り越すことといたしました。  以上が、各特別会計事業実績等の概要でございます。各会計の決算上の計数につきましては、さきに提出いたしました両年度の決算書及び「決算の説明」によって、御承知いただきたいと存じます。  最後に、大蔵省関係の各政府関係機関の決算につきまして、それぞれの機関の事業実績等を主として、簡単に御説明いたします。  まず第一に、国民金融公庫につきましては、三十三年度において、資金運用部特別会計からの借入金二百五億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金五十億円のほか、貸付回収金等の自己資金をもって、件数にして約五十九万二千件、金額にして約八百九十三億円の貸付を行ないました。  三十四年度におきましては、資金運用部特別会計からの借入金二戸四十二億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金九十億円、並びに貸付回収金等により、件数にして約五十八万三千件、金額にして約一三十九億円の貸付を行ないました。この貸付金額を、当初の予定に比較いたしますと、三十三年度約四十八億円、三十四年度約百二十九億円の増加となっております。増加いたしましたおもな理由は、中小企業者に対する年末金融及び災害復旧融資のため年度中に政府資金の追加が行なわれたこと、並びに貸付回収金等が予定より増加したことによるものでありまして、特に三十四年においては、伊勢湾台風災害復旧融資としての増加が大きかったことによるものであります。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約百二十二万七千件、金額にして約千六十八億円となっております。  第二に、住宅金融公庫につきましては、三十三年度において、産業投資特別会計からの出資金二十五億円、資金運用部特別会計からの借入金百四十一億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百七億円、並びに貸付回収金等の自己資金をもって、住宅建設及び宅地造成のための貸付を行ないましたが、当年度中の貸付契約の実績は、住宅、約九万六千戸、金額にして三百六十九億円、宅地、約十四万九千坪、金額にして四億円となっております。  三十四年度におきましては、産業投資特別会計からの出資金四十五億円、資金運用部特別会計からの借入金百七十一億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百四十億円、並びに貸付回収金等をもって、住宅、約九万二千戸、金額にして約四百三十一億円、及び宅地、約四十三万坪、金額にして約十一億円の貸付契約を行ないました。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、口数にして約四十八万八千口、金額にして約千八百十億円でありまして、この公庫創設以来の住宅貸付の総契約戸数は、約七十万四千戸となっております。  第三に、農林漁業金融公庫につきましては、三十三年度において、産業投資特別会計からの出資金八十億円、資金運用部特別会計からの借入金約三十五億円、簡易生命保険及郵便年金特別会計等からの指入金約八十億円、並びに貸付回収金等の自己資金をもって農林漁業者に対する貸付を行ないましたが、当年度中に貸付決定を行なったものは、件数にして約九万九千件、金額にして約三百七十億円となっております。  なお、この年度には、別に一般会計から非補助小団地等土地改良事業助成基金として六十五億の出資を受け入れましたことは、さきに一般会計政府出資金の項において述べた通りであります。  三十四年度におきましては、一般会計からの出資金七億円、及び産業投資特別会計からの出資金七十億円、資金運用部特別会計からの借入金百十五億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百四十億円、並びに貸付回収金等をもって貸付を行ないましたが、当年度の貸付決定実績は、件数にして約十二万六千件、金額にして約四百六十四億円となっております。  この貸付決定額を当初の予定に比較いたしますと、約三十二億円を増加しております。これは伊勢湾台風災害対策として、融資資金の増加が行なわれたことによるものであります。  なお、この年度一般会計よりの出資金七億円は、造林事業融資資金に充てるために出資されたものであります。  これらの結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約三十五万九千件、金額にして約千七百四十七億円となっております。  第四に、中小企業金融公庫につきましては、三十三年度において、資金運用部特別会計からの借入金二断四十五億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金五十億円、並びに貸付回収金等の自己資金をもって中小企業者に対する貸付を行ないましたが、当年度中の貸付実績は、件数にして約二万八千件、金額にして約六百二十七億円となっております。  三十四年度におきましては、資金運用部特別会計からの借入金二百五十八億円、及び簡易生命保険及郵便年金特別会計からの借入金百億円、並びに貸付回収金等により、件数にして約三万件、金額にして約七百二十二億円の貸付を行ないました。  この貸付額は、当初の予定に比較しますと、三十三年度において約五十七億円、三十四年度において約七十七億円の増加となっております。この増加いたしましたおもな理由は、中小企業者に対する年末金融、及び災害復旧融資のため年度中に政府資金の追加が行なわれたためであります。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして約八万二千件、金額にして約千三百二十億円となっております。  第五に、北海道東北開発公庫につきましては、三十三年度において、資金運用部特別会計からの借入金七十五億円、及び北海道東北開発債券の発行による収入金約三十四億円のほか、貸付回収金等の自己資金をもって、北海道及び東北地方の産業の振興開発に寄与する事業に対し、約百四十一億円の投融資を行ないました。  三十四年度におきましては、資金運用部特別会計からの借入金六十億円、及び債券の発行による収入金五十九億円のほか、貸付回収金等により、百四十三億円の投融資を行ないました。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして四百十六件、金頭にして約四百十八億円、出資残高は、件数にして八件、金額にして三億円となっております。  第六に、公営企業金融公庫につきましては、三十三年度において、産業投資特別会計からの出資金五億円、公営企業債券の発行による収入金七十九億円、及び貸付回収金等により、地方公共団体の公営企業に対し、件数にして四百七十六件、金額にして約八十四億円の貸付を行ないました。  三十四年度におきましては、産業投資特別会計からの出資金五億円、債券の発行による収入金約九十九億円、及び貸付回収金等により、件数にして五百一千四件、金額にして約百七億円の貸付を行ないました。  なお、この年度には、貸付回収金の増加資金をもって、地方公共団体の既発行債の借りかえを予定外に行なった等のため、貸付実績は、当初の予定に比較いたしますと、約三億円の増加となっております。  この結果、この公庫における三十四年度末の貸付残高は、件数にして千三百三十六件、金額にして約二曹六十二億円となっております。  第七に、中小企業信用保険公庫につきましては、三十三年度において、一般会計から二十億円の出資のほか、別に、経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律に基づき、六十五億円の出資を受けましたが、さきに申し述べました通り、前者は、この公庫の信用保証協会に対する貸付資金に充てられ、後者は、この公庫の保険事業の準備基金に充てられたのであります。この年度における同公庫の業務実績は、保険業務におきましては、件数にして約二十一万四千件、金額にして約五百六十九億円の保険の引き受けを行ない、また、貸付業務におきましては、出資金のほか、貸付回収金等をも合わせて、信用保証協会に対し、約二十一億円の貸付を行ないました。  三十四年度におきましては、産業投資特別会計から二十億円の出資を受けましたが、この年度における業務実績は、保険業務におきましては、件数にして約二十九万四千件、金額にして約九百十四億円の保険の引き受けを行ない、また貸付業務におきましては、信用保証協会に対し、約三十一億円の貸付を行ないました。  なお、両年度とも、保険引き受け実績は、当初の予定に比較いたしますと、かなり下回っておりますが、そのおもな理由は、包括保証保険におきまして保険の利用が見込みより少なかったためであります。  これらの結果、この公庫の三十四年度末の付保残高は、件数にして約二十一万七千件、金額にして約七百八十億円となっており、また、貸付残高は、件数にして二百五十三件、金額にして約五十億円となっております。  第八に、日本開発銀行につきましては、三十三年度において、資金運用部特別会計からの借入金三百四十五億円、及び貸付回収金等の自己資金により、約六百三十一億円の貸付を行ないました。その内訳は、電力二百五十億円、海運約百八十八億円、その他一般産業約百九十三億円となっております。  なお、この年度には、産業投資特別会計から十億円の資金を受け入れていますが、これは、この銀行が、三十二年度において日本合成ゴム株式会社に出資したものを、法律に基づき、産業投資特別会計の同会社に対する直接出資に肩がわりされたために受け入れた金額であります。  三十四年度におきましては、資金運用部特別会計からの借入金四百五十億円、及び貸付回収金等により、約六百八十億円の貸付を行ないました。その内訳は、電力約二百五十億円、海運約百七十九億円、その他一般産業約二百五十一億円となっております。  このほか、この銀行が、いわゆる世銀借款の窓口として受け入れた外貨を貸し付けたものは、三十三年度において約二百六十七億円、三十四年度において約二百七十四億円となっております。  これらの結果、この銀行の三十四年度末の貸付残高は、件数にして二千百二十九件、金額にして約五千五十六億となっており、その内訳は、電力約二千六百五十四億円、海運約千六百二十九億円、その他約七百七十三億円となっております。  このほか、外貨貸付金は、件数にして十九件、金額にして約七百七十一億円となっております。  なお、この銀行がその利益を国庫に納付した金額は、三十三年度及び三十四年度とも、いずれも約百二十五億円に上り一産業投資特別会計の主要な財源となっております。  第九に、日本輸出入銀行につきましては、三十三年度において、資金運用部特別会計からの借入金三十五億円のほか、貸付回収金等の自己資金をもって約四百七十一億円の貸付を行ないました。その内訳は、輸出金融約四百十三億円、輸入金融約三億円、投資金融約五十四億円となっております。  三十四年度におきましては、投資特別会計からの出資金六十億円、資金運用部特別会計からの借入金二百二十億円、及び貸付回収金等により、約六百四十八億円の貸付を行ないました。その内訳は、輸出金融約五百七十億円、輸入金融約十三億円、投資金融約六十五億円となっております。  両年度とも、輸出振興の見地から、延べ払い輸出の増大、海外投資の積極化に対処し得るよう計画を立てていたものでありますが、この貸付額を当初の予定に比較いたしますと、三十三年度において約二百五十九億円、三十四年度において約百五十二億円の減少となっております。そのおもな理由は、船舶輸出が不振であったこと、及びインドに対する円借款等のいわゆる大口案件の実行のずれがかなりあったこと等によるものであります。  この結果、この銀行の三十四年度末の貸付残高は、件数にして四百十件、金額にして約九百四十三億円となっております。その内訳は、輸出金融約七百五十八億円、輸入金融約十八億円、投資金融約百六十七億円となっております。  なお、三十三年度において、この銀行は、別に、東南アジア開発協力基金として五十億円の出資を受けましたが、これにつきましては、さきに一般会計政府出資金について述べた通りであります。  以上が、各政府関係機関の事業実績等の概要でございます。各機関の決算の計数につきましては、さきに提出いたしました両年度の決算書及び「決算の説明」によって、御承知いただきたいと存じます。  これをもちまして、昭和三十三年度及び昭和三十四年度における大蔵省所管の決算の概要説明を終わります。  なお、会計検査院から、三十三年度不当事項一件、不正事項一件、是正事項百六十一件、三十四年度不当事項四件、是正事項百二十一件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  これにつきましては、今後一そう不正行為の防止対策を講ずるとともに、事務の合理化をはかり、経理の改善に努力を傾注いたしたい所存であります。  何とぞ御審議のほど、お願いいたします。   昭和三十三年度日本専売公社決算の説明  ただいま議題となりました日本専売公社の昭和三一十三年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、収入支出決算について御説明申し上げます。  昭和三十三年度における収入済み額は二千六百五十九億円余、支出済み額は千四百九十億円余でありまして、収入が支出を超過すること千百六十九億円余であります。  また、昭和三十三年度の総収益二千六百六十一億円余から、総損失千四百一億円余を控除した事業益金は、千二百五十九億円余でありまして、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定により控除すべき固定資産及び無形資産の増加額がないので、専売納付金は千二百五十九億円余でありますが、これは、その予定額千百六十七億円余と比べますと、九十二億円余の増加となっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたします。  まず、収入の部におきましては、収入済み額は二千六百五十九億円余でありますが、これは、収入予算額二千六百二十一億円余に対して、三十八億円余の増加となっております。なお、この増加は、たばこ事業収入におき接して、製造たばこ売払代が予定以上に達した等のため、九十六億円余を増加したこと等によるものでありまして、塩事業におきましては、塩の売渡高が予定に達しなかった等のため五十三億円余を減少し、ショウノウ事業におきましては、ショウノウの売渡高が予定に達しなかった等のため、四億円余を減少しております。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額は、支出予算額千五百三十五億円余に、前年度繰越額十六億円余、予算総則第五条の規定による使用額八億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定による使用額三億円余を加えた一五百六十二億円余でありますが、支出済み額は、千四百九十億円余でありますので、差引七十三億円余の差額を生じました。この差額のうち、翌年度に繰り越した額は、四十四億円余、不用となった額は、二十九億円余であります。  なお、昭和三十三年度において、日本専売公社法第三十六条第二項の規定により予備費を使用した額は、たばこ消費税支払いのため九億円余、固定資産取得のため二億円余、合計十二億円であります。  また、昭和三十三年度において、予算総則第五条の規定により使用した額は、たばこ消費税支払いのため八億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定により使用した額は、業績賞与支払いのため三億円余であります。  次に、債務に関する計算について御説明申し上げます。  日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基づく昭和三十三年度の債務負掛行為の限度額は、塩事業費において四十億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基づく昭和三十三年度の債務負担行為の限度額は、一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  また、日本専売公社法第四十三条の十四の規定に基づく昭和三十三年度の短期借入金の最高限度額は、八百五十億円でありますが、実際に借り入れた額は、五百八十億円であり、これは昭和三十三年度内に償還し、翌年度に繰り越した債務額はありません。  なお、昭和三十三年度の日本専売公社の決算につきまして、会計検査院から、不当事項として指摘を受けたものはありません。  以上が、昭和三十三年度の日本専売公社の決算の概要であります。  何とぞ御審議のほど、お願い申し上げます。   昭和三十四年度日本専売公社決算の説明  ただいま議題となりました日本専売公社の昭和三十四年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十四年度の事業概況を御説明申し上げますと、  一、たばこ事業におきましては、葉たばこの購入は、数量十三万四千四百六十九トン余、金額三百九十六億円余でありまして、予定に比べますと、内地産葉たばこの台風・雷害等による減収等のため、数量で三千四百二トン余、金額で三億円余減少しております。   たばこの製造数量は千百九十八億本余で、予定に比べますと、六十四億本余増加しておりまして、その販売数量は千百七十八億本余、金額二千五百九十八億円余で、予定に比べ、数量で五十一億本余、金額で百四十八億円余増加しております。  二、塩事業におきましては、塩の購入数量は、国内塩百十二万トン余、輸入塩二百五万トン余(うちソーダ用塩百九十二万トン余)、計三百十七万トン余、金額百九十七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では二十万トン余増加しておりますが、金額では、輸入価格が予定より低下したこと等により、三億円余減少しております。   塩の販売数量は三口十二万トン余(うちソーダ用塩二百八万トン余)、金額二百十七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では十四万トン余増加しておりますが、金額では、ソーダ用塩の売渡価格が輸入価格の低下に伴って予定より安くなったこと等により、十七億円余減少しております。   なお、昭和三十四年度におきましては、塩事業の合理化をはかるため、塩業整備臨時措置法に基づいて、塩業整理を実施しております。  三、ショウノウ事業におきましては、ショウノウの購入数量は、三千三百七十四トン余、金額六億円余でありまして、予定に比べますと、七十四トン余、一千万円余増加しております。また、その販売数量は、三千四戸十トン余、金額七億円余でありまして、予定に比べますと、数量では七十五トン余増加しておりますが、金額では、輸出用特別価格で売渡した数量が多かったため、九百万円余の減少となっております。  以下、決算の内容を数字を上げて御説明申し上げます。  まず、収入支出決算について御説明申し上げます。  昭和三十四年度における収入済み額は二千八百四十四億円余、支出済み額は千六百二十一億円余でありまして、収入が支出を超過すること、千二百二十三億円余であります。  また、昭和三十四年度の総収益二千八百四十六億円余から、総損失千五百九十三億円余を控除した純利益は、千二百五十二億円余でありまして、日本専売公社法第四十三条の十三第二項の規定により積み立てる固定資産及び無形資産の増加額一億円余を控除して算出した専売納付金は、千二百五十一億円余でありますが、これは、その予定額、千百九十七億円余と比べますと、五十二億円余の増加とたっております。  以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたします。  まず、収入の部におきましては、収入済み額は、二千八百四十四億円余でありますが、これは、収入予算額二千七百十五億円余に対して、百二十八億円余の増加となっております。なお、この増加は、たばこ事業収入におきまして、製造たばこ売払代が予定以上に達したこと等のため、百四十七億円余を増加した反面、塩事業におきましては、塩の売渡高が予定に達しなかったこと等のため、十八億円余を減少し、ショウノウ事業におきましては、ショウノウの売渡高が予定に達しなかったこと等のため、二千万円余を減少したことによるものであります。  一方、支出の部におきましては、支出予算現額は、支出予算額千五百八十億円余に、前年度繰越額四十四億円余、予算総則第五条の規定による使用額二十九億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定による使用額二億円余を加えた千六百五十七億円余でありますが、支出済み額は、千六百二十一億円余でありますので、差引三十五億円余の差額を生じました。この差額のうち、翌年度に繰り越した額は三十五億円余、不用となった額は三千万円余であります。  なお、昭和三十四年度において、日本専売公社法第三十六条第二項の規定により予備費を使用した額は、給与支払いのため二億円余、塩業整理交付金支払いのため九億円余、固定資産取得のため一億円余、合計十三億円、日本専売公社法第四十三条の二の規定により予算を流用した経費の額は、塩業整理交付金の所要が増加したため、たばこ事業費及び塩事業費から、塩業整理交付金に流用した額二十三億円余、超過勤務手当及び期末手当の所要が増加したため、扶養手当から、超過勤務手当に流用した額千万円余、期末手当に流用した額九百万円余、合計二十三億円余であります。  また、昭和三十四年度において、予算総則第五条の規定により使用した額は、給与支払いのため八千万円余、たばこ消費税支払いのため二十八億円余、合計二十九億円余、日本専売公社法第四十三条の二十二第二項の規定により使用した額は、業績賞与支払いのため二億円余であります。  次に、債務に関する計算について御説明申し上げます。  日本専売公社法第三十五条第一項の規定に基づく昭和三十四年度の債務負担行為の限度額は、塩事業費において三十五億円、塩業整理交付金において八十七億円、合計百三十二億円でありますが、実際に負担した債務額は、塩事業費において十八億円余、塩業整理交付金において七十二億円余、合計九十億円余であります。  次に、日本専売公社法第三十五条第二項の規定に基づく昭和三十四年度の債務負担行為の限度額は、一億円でありますが、実際に負担した債務額はありません。  また、日本専売公社法第四十三条の十四第二項の規定に基づく昭和三十四年度の短期借入金の最高限度額は、九百六十億円でありますが、実際に借り入れた額は、六百八十億円であり、これは昭和三十四年度内に償還し、翌年度に繰り越した債務額はありません。  なお、昭和三十四年度の日本専売公社の決算につきまして、会計検査院から、不当事項として指摘を受けたものが一件ありましたことは、はなはだ遺憾でありますが、この種事故の根絶につきましては、将来十分注意いたす所存であります。  以上が、昭和三十四年度の日本専売公社の決算の概要であります。  何とぞ御審議のほど、お願い申し上げます。
  5. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、会計検査院当局より、各決算の検査の概要について説明を求めます。秋山第一局長
  6. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 昭和三十三、三十四、晦年度大蔵省関係決算検査の結果を申し上げます。  最初に、国有財産関係について。昭和三十三年度におきましては、工作物の売り払いの予定価格の積算が適当でないと思われるものが一件、三十四年度におきまして、工作物を契約もなく部外者に搬出処分されておるものが一件、それから売り渡し価格が低価と認められるものが三件ございました。  それから租税につきましては、三十三年度におきまして、現金を領得して国に損害を与えたものが二事項、それから租税の徴収不足が、三十荘年度におきまして四億五千三百余万円、一二十四年度におきまして三億一千六百万円ほど指摘いたしました。  なお、租税の徴収工合は、両年度とも九七%でございます。  以上のほか、特に御説明申し上げることはございません。
  7. 平松誠一

    ○平松会計検査院説明員 まず、日本専売公社関係についてでございますが、三十三年度につきましては、特に補足して報告する事項はございません。  三十四年度につきましては、個別事項は、不正行為一件でございます。これは米子支局で、三十三年八月から三十四年九月までの間に、関係職員により、白塩、一万六千七百四十六キログラム売り渡し価格が二十一万七千余万円のものを領得されたものでございます。  なお、両年度とも、事業概要と損益の状況について記述してございますが、特に説明する事項はございません。  次に、日本開発銀行その他政府関係機関につきましては、三十三、三十四年度とも、検査の結果、特に不当と認めて報告する事項はございませんでした。  それぞれの政府関係機関につきまして、業務の概要を記述してございますが、これにつきましては、特に補足して説明する事項はございません。  以上でございます。
  8. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 初めに、大蔵省所管について質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  9. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 きょう、私は主計局、国税庁、銀行局、理財局、管財局等を呼んで、それぞれ質問をしたい予定でしたが、国税庁の方では、何か非常にやむを得ない用件があって長官が出られない、こういうことで、これは了解いたしたわけであります。私のお聞きしようとすることは、国税庁の長官の答弁でなくても差しつかえないことなんです。どなたか、できれば大臣その他、どなたでもけっこうです。  そこでまずお尋ねいたしたい点は、国税庁法人に対する問題です。資本金一千万円未満のところ、これは税務署の所管になっている。資本金一千万円以上のものは、国税局の調査課所管とされております。ここで昭和三十二年度以降の一千万円未満と一千万円以上の法人の申告に対するいわゆる調査税額というものをパーセンテージで見ますと、昭和三十二年には、申告税額に対する処理面での調査税額は、いわゆる一千万未満のものを扱っている税務署は三九%で、調査課扱いが七%、昭和三十三年は、税務署が四〇%、調査課が六%、昭和三十四年は、税務署が二七%、調査課は四%、これから見ると、いわば資本金一千万未満の中小企業に対しては、これは個人企業的な、同族会社的なもので、従って、経理制度が整っていないというようなことから、調査税額というものが大きかったわけであります。ところが、昭和三十五年の四月に特別調査官制度というものが発足したわけでありまして、国税同等の指摘は、大法人を調査したところが、調査税額は四%が一三%になった。これを見ると、大企業、大法人についても、調査すれば調査税額が相当増加するということが、この点で判明したわけです。今まで中小企業のみを対象にし、専念してきた。そうして大法人を放置した感が、この数字でみると、出てくるわけであります。そこでこの点から、もっと調査官制度というものを増強すべきではないかということを考えるわけであります。それで特別調査官が、東京でいうと八幡、富士、日通、日本鋼管、日立、東芝、大阪は、丸善石油、住友金属、松下電機等の中から六社を調査した結果は、さっき申し上げたような一三%になったのだ、こういうことです。これは提出された資料の末尾に示されております。そこでお聞きしたいのは、この調査した資料に示されている六社というのは、一体どこの社をやられたのか、この十社か十二社あげられておりますそのうち、六社でこういうふうになったというと、大企業といえども、調査官を派遣していくと、こういう調査税額が非常に増大されるという結果が出てきているわけであります。これら調査した中の六社というのは、一体どこかということがお尋ねの第二点。  それから、資本金が一千万未満の法人は、申告数では、中小が六十一万六千八百六十五、一千万以上の資本金が二万二千五百六十八、この申告数で見ると、三十対一ということになるわけです。非常に中小企業が多い。ところが、これを今度金額の方で見ていきますと、中小企業の一千億円に対して大企業は一一千億、そうすると、この点では三対一という結果になってくるわけで、従って、中小企業よりもむしろ大企業にもっと調査関係の重点を注いでいくと、税収においても相当の成果があげられてくるのではないか。そればかりでなく、税の公正という大きな眼目からいっても、調査官制度というものはもっと増強すべきではないか、こういうふうに考えられるわけです。そこで、法人増加というところを見ますと、三十五年の六月には、法人数が五百九万四千八百十三で、毎年三万くらいずつ増加しているということです。そこで、東京だけでも法人数が二十万、ところが税務署の法人係員というものの定員が千七百七十三名で、今実在員は千六百六十四名で、約百名不足しています。それから見ると、法人係一人の受け持ちというのは、約平均百件ということになります。その上、年三万ずつ増加していくわけですから、この点で、法人係というものが非常に足らないじゃないか。一方、法人係の全国的な配置状況というものを資料で見てみますと、配置状況というのは、非常によろしくないと思うのです。金沢が十四人に対して、東京は六十二人、人の数ではこうですけれども、これを徴収額で見ると、東京の麹町の一税務署と金沢の全体が同額であるというような点から見て、金沢の十四人に対して東京がわずかに六十三人であるということは、配置が非常によろしくない。従って、これは配置をもっと適切にするか、それとも人員をふやすか、どちらかをする必要がある。そうでないと、手抜かりができてくる。あるいは労働過重になる。こういう点を法人税の方を見て感じたのですが、これに対して、大臣でなくても、どなたでもけっこうですから、御見解を承りたい。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういう事情がございますので、たとえば本年度は、他の係から法人税係に組みかえた人員も、六百人ございます。法人の数がふえるに従って、法人税の係員をふやすということと、今御指摘になりました特別調査官も、本年は増員するということをやっております。そして特に規模の大きい法人を、特別調査官によって調査するということをやっておりますが、そのうち、どこの社をやったかという具体的な、六社というものの名前は存じておりませんので、当局からお答えいたします。
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員各位に申し上げますが、大蔵大臣は、他の委員会の都合がありまして、十一時半までということになっておりますので、大蔵大臣に質問のある方々は、どうか大臣に先に御質問願いたいと思います。
  12. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の六社は、あとでお聞きします。  そこで、そういう点から、今度ふやすということも御答弁になりましたが、ふやす計画を見ると、六十名か六十二名ふえるというように考えられるわけですが、これは一挙にそうはいくまいと思う。その点では、私は、もっと特別調査官を増員すべきじゃないか、こういうことを考えるわけです。時間が短いので、大蔵大臣に対してほかの方もあるといけませんから、当局の答弁はあとにしてもらいます。  次に、これは私はもう四、五年取り組んでいる問題だが、大蔵省として一つもらちがあかない。税の徴収というものは、慎重にやるのは当然だと思う。しかしながら、一面あくまでも公正でなければならぬこともまた当然であって、そうでないと、税に対する国民の信頼感というものが失われていく。これは大へんだと思う。そういう点から、滞納とか、脱税とか、こういうものに対して厳しく臨むことも当然であるが、国がもし誤ったことをした場合に対する善後措置というものは、あくまでも敏速であり、適正でなければならぬ、こう私が申すのは当然だと思うわけです。そういう点で、昭和、一、十四年中の徴収関係訟訴事件の処理状況を見ますと、国が被告で敗訴になったものは、九件であります。それから国が原告で敗訴になったものは、十件であります。この処理状況の内容を見てみると、国が原告になった事件中で和解したものは二十二件、これはほとんど全部といってもいいくらいです。ところが、国が被告で和解というものは一件もないわけです。これは一体どういう事情なのか。これは大臣の答弁でなく、長官が答弁になるべき筋合いだと思います。  そこで私は事例をあげますと、これは私が国会に出てきて、大蔵委員のときに、大蔵委員会で、こういう大蔵省の手落ちがあるということを指摘し、そして当時の国税庁長官等も、すみやかに解決しなければならないということを答弁されております。その後、私は農林、建設委員会などを回ってここへ来たのですが、その間にこれは解決したかと思ったら、まだ解決していない事件ですが、四国の伊与三島に高石準一という人があって、この人が、国から滞納で差し押えを受けたわけです。高松税務局なんです。ところがこの高松税務局は、この高石という人の工場と競争関係にある三島工業と伊予銀行と一緒になって、公売期日の到来以前にこれを公売してしまった。そしてこれを三鳥工業という工場が落札したわけです。そういう点で、一審は高石君が負けた。ところが、二審では高石君が勝った。そこで、そういうことになったのだから、国は、これに対して再訴訟まで持ち込まずに解決してやったらどうなんだ、こう言いましたところが、当時の国税庁長官は、それはそうしたいと思うけれども、まだ最高裁というものがあるので、それを経ずに補償、賠償等をすることはまずいから、最高裁でやらせてもらいたい、こういうことで最高裁に国が持ち込んだ。そうしたら、最高裁においても国が敗訴になっているのです。最高裁で敗訴になったら、もうほかへ持っていくところはないのだから、解決だけは早くしなければならない、そうなってきて、国税庁の徴収部長、徴収課長とも私の部屋まで来て、今度は何とかしてもらいたい、こういうことであったから、私は、高石君に、君の要求を引っ込めろ、そうでないと国の立場もないのだろうからと、ここまで言ったが、私はそれ以上深入りすることはないので、私としては、あくまでも公正な解決をしてもらえばいいので、私的なことはしたくない。そういう事件があり、それで今の官房長官の大平さんは、四国の高松の出身ですけれども、ここへもお願いをして、大平さんのところへ持ち込んで、大平さん、これを解決してやったらどうだと言ったら、大上平さんが、承知した、こう言って、私のいる前で大蔵省の国税庁の方へ電話をかけた。どういう電話のやりとりであったか、私にはわかりませんが、最後の言葉だけは、私はよく覚えている。大卒さんが、日本国政府というものはそんな冷たいものかね、こういう電話をしていました。そういうわけで、今度は昭和三十四年の十一月六日のこの決算委員会の速記録を見ていただくといいのですが、そのときに、政務次官であった奥村さんは、私の質問に対して答弁をしています。どういう答弁をしているかというと、「ただいまの小川委員の御趣旨、全くごもっともに存じます。従いまして、政府の今まで作った、案にこだわらずに、何とか国のあたたかい気持で、取り返しのつかぬことではありますが、できるだけ御本人を納得させるような案を作りまして、近いうちに御本人にもお知らせし、また次会の決算委員会にも結果の御報告をいたすようにいたしたいと思いますから、しばらくおまかせを願いたいと思います。」こういう答弁をなすっているわけです。そこで、私も大蔵次官がそこまで言うのに、それをどうだ、こうだと言うべきでない。それなら、あなたの方で解決するのがいいでしょう、こういうことになった。これ三十四年です。ところが、今日になっても、これは聞いたら、まだ解決していないそうです。奥村さんとその後会ったら、おれはもう決算委員会に出られないと言う。何だと言ったら、次回の決算委員会には結果の報告をいたしますと言っているのだから、その結果の報告がつかないから、私は出られない、こう言っていたわけです。出られないということを弁解するのでなく、解決するようにしたらどうか、こう言いましたところが、君、大蔵省というところ、国税庁というところは、やはり官僚の組織で、おれは政務次官だけれども、外のわれわれが、こうすべきでないか、そうすべきでないかと言っても、これはなかなか君、いかないんだよ。これは私との私語ですけれども、そういうことであったのです。これに類するような事件がまだありますが、時間の関係があるから、これを一つ一つはあげません。ただ、一つの例として、私が最も深く入っておった高石君の事件を申し上げたわけですけれども、こういうふうに、この事件はもうすでに十何年か前に競売しているのです。そして、その土地建物一切はごく安い価格で競落されてしまって、そうして、それが誤ったということ、最高裁で国が負けても、それをいまだに補償しないから、本人はほとんど零落せざるを得ない状態になってきているわけです。そして高石君のその土地、建物、工場は、そっくり国が返さなければならぬわけです。建前として。ところが、これはできないでしょう。競落をした人は、適法に競落しているのです。そこで、私は大蔵省も困るだろうと思って、大平さんに、あなたの出身地の事件だから、あなたのところで解決してやったらどうか、こう言ったが、今もって解決してない。こういう状態では、国の徴税というものに対して不信感を持たざるを得ないわけです。私は、峻厳に臨むこともやむを得ないと思っている。しかりと思う。しかし、国が誤ってやったことに対しては、これは誤ったということがはっきりした以上は、すみやかに解決をする。することによって税に対する信頼感というものが高められるわけであって、やったことは、ほうりっぱなしに十年もうっちゃっておいて、差し押えや競売だけはどんどこ、どんどこやっていく。そうして自分の方が原像であったものだけ和解をして、相手方が原告であったものに対しては、相手方が飯も食えないような状態になったとき解決するというような考え方があったならば、税、に対する信頼感というものは失墜してしまうのであります。これについて、今いるわけではありませんが、かつての奥村政務次官が、とても官僚の諸君と話しても解決つくのに骨が折れると、私にこぼしたことがある。従って、事務的な点でもはや解決がつかないとするなら、これは政治的な解決をする以外にないと思う。私がやらなくとも、大平さんに頼めば、高石君の要求が不当だというなら、大蔵省がどこまでも認められるかということに対して、大平さんが努力したならば、高石君にも譲歩させることができると思う。この解決は、先ほど私が読み上げたように、次の決算委員会に結果を御報告しますと、三十四年に言っておいて、今もって解決しない。きょうここで大蔵大臣にこれをお尋ねする前に、高石君という人はどこにいるかと知人に頼んで探してもらったをかけて、あの問題は解決しましたか、ときのう聞きましたならば、まだ解決するどころではありませんが、私が参ってしまいます。という電話であった。従って、この問題に対して、すみやかに督励して解決しますとかなんとかいう、そういう抽象的な言葉でなく、十年間も善良な納税者が、国のあやまちによって自分の財産を取り上げられて、そうして今路頭に迷っているという状態であるならば、これを救済することこそが、税の信頼という点からいって最も大切な点だと思いますので、この解決に対するお考えを具体的にお聞きしたいと思います。
  13. 水田三喜男

    水田国務大臣 高石君のことは、私も、国税庁から報告を受けて承知しております。私の報告を受けている範囲では、明らかにこれは国が悪かったことだ、従って、賠償すべきだということで出発しておるのですが、先方の賠償額の要求が五億円、こちらの役所側の大体査定による賠償しかるべきという金額との食い違いが非常に多いので、なかなかこれは歩み寄りができないので、訴訟で、判決できめてもらうよりほかないというのが実情だそうでございますが、それではひまもかかるし、お互いが困るので、なるたけ和解、話し合いでいこうということを申し出て、先方もそれでいきましょうという、大体承知するところまできた。ですから、これは折り合いがついて解決する問題だと考えておりますが、今それが少しおくれているのは、向こうが証拠の調査を再要求してきましたか、何か向こう側のそういう要求があったために、その調査がおくれているのだ。特にこちらが延ばしているのではないので、この問題が済めば早急に解決するというのが、大体国税庁の見方でございますが、詳しいことは国税庁から申し上げます。
  14. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ほかの質問もありますが、大臣のおられる時間が制約されておりますから、ほかの点は省きます。この点で、今の大臣の答弁、高石君が国に要求したのは少しく過大であることは、私も認めます。ですから、高石君に対して、大平さんと一緒に、あなたの要求は少し大き過ぎるではないか、このことは僕らも言いました。言いましたが、国が最高裁で破れる以前には、こんな金額でなくて幾らも話がついたのです。けれども、そのときには、国の方では、最高裁をやらなければまずい、こういうので最高裁に持ち込んで、そして最高裁で負けたならば、今度は逆に私の方へも来て、解決に協力してもらえないかというから、私自身があまり出るべきではないと思った。だから、今の大平官房長官に、自分の選挙区のことだから、あなたの方で解決してやってもらいたいといって、大平さんは交渉しておる。そのときも、大平さんと二人で、本人に対して、あなたの要求を引っ込むべきだ。それはまかせますと言ったのですが、大蔵省の方の国税庁の腹というものは、一つも私どもにはわからない。それで出てきた金額というものが、全く常識はずれの、土地、建物その他の財産を時価で見積もったものからいうと、百分の一くらいの金額で、これで解決したい。これは十年も十五年も前の問題ですから、十五年前の評価でいくと、そういう金額になるかもしれません。あなたの方は、絶対これのほかはいけないのか。いや、話し合いによってはもう少しくらいはふやす措置も、講じれば講じられる。もう役所がそういう態度ではいけない。役所としては、善意をもって、支払いできる金額はこれだ、法的に見ても、どの面から見てもこれだというならわかるけれども、それが交渉によってちっとはどうだというふうになっていくと、これは取引みたいなものだ。だから、私はこの問題から手を引いていったわけですけれども、こういうのは、あと申し上げると、茨城県にも一件あります。東京にも一件あります。みんな訴訟になっておる。さっき言ったように、国が被告で敗訴になったものは、九件あるわけです。ところが、これは一つも解決していないのです。ですから、どうかこの点を、いろいろ困難もあるでしょうが、早く解決することを、大臣からここで一応国税庁当局に話してもらいたいと思うわけです。私の大臣に対する質問は、これで終わります。
  15. 水田三喜男

    水田国務大臣 承知しました。
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて質疑の通告があります。これを許します。山田長司君。
  17. 山田長司

    ○山田(長)委員 時間の関係等があるそうでありますから、大臣だけに数点お伺いしたいと思います。  一つは、戦争中に供出された接収貴金属のダイヤモンドの処理の問題であります。当時、私は行政監察委員になっておりまして、日銀の地下室などにも、二度ばかりダイヤの処理について調査に行ったことがあるのですが、このダイヤモンド及び金、プラチナ等について、昨日大蔵省から出された資料と私が数年前にもらった資料とでは、貴金属の数量においてだいぶ差ができてきているのであります。これはどういうことであるのか。これはあとで係の者に伺いますが、これが決算書にも、付属書類にも、国有財産関係の報告書にも、全然出ていないのです。きのう、初めて報告書をとってみてわかったのですけれども、この貴金属の処理は、大蔵当局としてどういう処理の仕方をしようというお考えがあるのか。数量の差とかその他はあとで聞きますけれども、この点の所見を大臣に伺っておきたい。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 接収貴金属の処理に関する法律が施行されましたので、それによって返還請求書の受付を始めまして、そして審査をし、審議会の議を経て、返還すべきものは逐次返還するという形で、ただいまままで約半分の処理を了しているという状況でございますが、最初のときの資料の数字ときのう差し上げたという数字の食い違いとか、そういう問題は、事務当局から御説明申し上げます。
  19. 山田長司

    ○山田(長)委員 処理をする審議会のできたことも承知はしているのでありますが、この審議会のダイヤの査定について、とかく世間で疑義が言いふらされているのであります。はたしてどういう形で査定をされておるのか。実際しろうとにはダイヤの鑑定というのはわかぬものですから、とにかく問題が残っておると思うのです。ダイヤの処理は、相当な金額になっておるわけであって、七百億から八百億という金額になっておるわけですから、大へんなものだと思うのですが、ダイヤなどは、どういう処理の仕方をしようと思っておるのですか。
  20. 山下武利

    ○山下政府委員 ダイヤモンドにつきまして、ただいまお尋ねがありましたことでありますが、現在政府として保管いたしております数軍は、十六万一千カラット余りでございまして、これは、当初から変更はございません。ダイヤモンドは、御承知のように、接収されましてから非常に混和されたりいたしました関係で、認定並びに返還ということは、非常に困難な事情にあるわけであります。現在までに、認定も、返還も、まだ一切いたしておりません。これの処理は、まだ相当先のことになるであろうというふうに考えております。
  21. 山田長司

    ○山田(長)委員 戦後十数年の歳月が経過し、法律が通ったから、これが返還をされるということは、やむを得ないといえばやむを得ないことであるけれども、この問題については、当時の行政監察特別委員会で、満場一致で社会福祉事業等のためにもこれは使用するべきであるということの決議を付して、当時の大蔵委員会に書類の回送が行なわれているだけなのであります。それがこの数量の比較等を見まして、ほかの白金とかあるいはそのほかの観賞用の装飾品に匹敵するような金銀製品等について、どんな形で返されたのか。これは審査委員会で返したといっても、貧しい人たちが出したなべやかまというものは、何一つ返らなかったわけであります。金持が出した大判、小判とか、あるいはそういう種類に属する金の宝船というふうなものは、みんな細大漏らさず返しているのじゃないかと思うのですけれども、一体名簿が明確のもとにそれが返されているとするならば、私は、決算委員会に書類の提出をしてもらいたいと思うのです。聞くところによると、今あるダイヤモンドは、アメリカ商社の人たちが、去年大阪までこれが取引のために来て  東京へ来ることは至難であるから、大阪だけで、一応日銀地下室にあるダイヤの数量、価額等を打診しておられるというような話です。この真偽のほどは、週刊読売等で見たことでございますから、多少疑義を感ずるのでありますけれども、いずれにいたしましても、このダイヤの処理という問題については、明らかにしなければならぬものだと思うのです。数量その他は、当時と今日とにおいて差がないのですけれども、ほかの品物はことごとく差が出ておる。大蔵大臣も、この処理については、やはり明らかになる立場に立たれて、どう処理するのだということを打ち出されておかなければ、日銀の地下室に保管しておくこと自体に私は不安を感じているくらいです。こういう点について、どうい4ふうにお考えになっておられるか、所見を明確にしておいていただきたいと思います。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、当時この法律のできるときの論議も承知しておりますが、結局返すべきものは返す、そうして返すべきでないというものは、国の財産として接収するという方針のもとに、どういうものは返すべきものの中に入るか、どういうものは返すべきじゃないかというようなことについては、当時相当いろいろな厳重な審査が行なわれておりますので、現在その基準によって審査して、証拠書類も整っておって事態が明瞭であるというものだけが、順次この審議会の認定を受けて返還されているものと思っておりますが、今後も、やはりそういうふうにして明瞭なものは返還する、それ以外は、国の財産として今後これをどういうふうに処理するかということは、国が考えていけばいい。まず、民間に返還請求の来ているものを審査して、片づけてしまうのが先だというふうに考えております。
  23. 山田長司

    ○山田(長)委員 ダイヤの問題についての御所見が全然ないんですけれども、ダイヤの問題というものは、やはり大臣として方針を打ち出して、どう処置するかということでなければならぬと私は思うんですが、どうですか。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 ダイヤについては、まだ現在全然処理しておらぬようでございます。今後これをどうするかということについても、方針は一応きめたいと思いますが、きのうまで、この問題の扱い方について、まだ省内で私自身取り扱ったことがございませんので、今後方針をきめることにしたいと思います。
  25. 山田長司

    ○山田(長)委員 審議会の人たちがどういう立場で不明確な供出品を返還されるのか、私はわかりませんけれども、かなり不明確なものも、私は返還されているんじゃないかと思うんです。聞くところによると、大判、小判などを供出した人などは、これが返還のためにかなり猛運動を陰でやっていた。その人たちに対しては、もう一応返されているのだと思うのですが、だれにどんなものを返したのか。これは、一応決算委員会に書類を提出願いたいと思うんです。  それから次に、大蔵省の国有財産の不当な処理の問題については、枚挙にいとまのないほどあるのでありますが、この決算報告書の中に出ている三点の問題について、実は資料が手に入ったので、大蔵大臣に伺いたいと思います。  それは国有地でなくて、もう国有地が普通財産になってしまっているという問題について、これを大蔵省に取り上げておかないで、そのままにほうって行政財産にしてあるというような感じがするんです。決算の報告書の中にも、その指摘事項があるんですが、一つの点は、大蔵省の本省の中に、いろいろな団体が巣を食っている。その一つに大手町の土地の問題がある。それから渋谷の社団法人東京乗馬倶楽部、実は昨日私、その場所を現場まで行って見たのですが、それは神宮の裏です。東京でいったならば、これはすばらしい場所で、坪何十万とするような場所だと思うんですが、これが無償で貸し与えられている。それからさらに杉並にあります東京農村工業指導所、これが財団法人の日本農業研究所というところに貸し与えられている。しかも、貸し与えられているばかりでなくて、家賃まで農林省で支払っている。こういうばかばかしい状態で国有地を使われている問題が、三十三年に会計検査院で指摘されているのでありますが、それをいまだに大蔵当局で取り上げないのです。大臣は、こういう会計検査院の指摘があったような国有地について、早く取り上げて大蔵当局のものにすべきだと思うのですけれども、こういう場合、私は、おそらく何らかの指示が、大臣にもあるものだと思うのですけれども、こういう国有地の問題についての御処置をどう考えておられますか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 会計検査院から指摘されたことは、たいてい予算の策定のときなど特に気をつけて、いろいろ善処しておりますが、国有財産にもそういう指摘があったとすれば、当然解決すべき問題ですし、ある程度処理されているのではないかと思っております。これはあとからお答えいたしますが、私、今ひとりその問題だけではなくて、御承知のように、国有財産の管理については、戦後のどさくさ時代を通りましたために、いろいろ不明確になっている問題が多うございますので、第一回年次計画で、何万件という土地家屋の件数の実態調査をやり、それからさらに今年度からまた第二次の計画的な調査をやって、その調査の済んだのを逐次処分するというふうに、この管理もだいぶ正確になって、適正な管理が進んでいるときでございますが、そういう問題が今非常に多いと思いますので、その点は、今後適正管理を十分にやっていきたいと思っております。まだ十分でないことは事実でございます。
  27. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 大蔵大臣の時間が少ないから・今の問題はあとで答弁を聞くことにいたします。
  28. 山田長司

    ○山田(長)委員 私はかつて、次のような問題について、農林委員会に専売公社の総裁を呼んで質問をしたことがあるのですが、どうも不明確だし、監督当局の大蔵省として、かくのごとき事態を許しておいていいものかどうかというので、私はあらためて伺うのであります。それは岡山県の邑久町の塩海の四千三百九十六番地にある錦海塩業組合、この塩を作っている組合に対して、昭和三十一年に赤字で十億のところへ、昭和三十二年に十一億三千六百万、三十三年に十五億八千六百万、三十四年に孔十一億、こういうふうに急激に増している国の出資です。これは全然無担保であります。こういう激増する出資を、しかも赤字のところに国がしている。まだ、これは場合によると、将来も貸し得る危険が私はあると思う。少なくとも監督の衝にあります大蔵当局及び大臣の所見として、こんな赤字のところへ、塊は専売制度になっているからといっても、専売公社が次々に金を農林中金に出させておったのでは、地方のたばこ耕作者がたばこの値段を高く買ってもらいたいと思っているときに、よけいな方で、こういう赤字になる事態というものを発生しておったのでは、農民のたばこでもなんでも高く買えないと思うのです。こういう一度ならず二度、三度と続いている問題については、当然何か手を打って、次々と金の出資をしないような方法はないものか、こう思うのです。この点、どうお考えになりますか。私は、背後にだれか強力な政治的な圧力でも加える者がいて、こういう出資の仕方をして、いるのではないかという危惧の念を持つわけなんですけれども、これじゃあまりに無計画じゃないですか。
  29. 水田三喜男

    水田国務大臣 今ここに専売局がおりませんが、大蔵省から勧めてやったというのではなくて、これは業界が、農林中金と交渉して借りた金融の件ではないかと思います。私の方が直接融資に関与した問題ではないということでございます。
  30. 山田長司

    ○山田(長)委員 じかに大蔵当局が関与してなくても、やはり農林中金というものの監督の衝に当たっておる者が、大蔵省にいるわけです。その人に対して、やはり二回、三回と続いてこういう無理な金が中金から出ている場合には、大蔵省の監督者が、当然これについて何らかの手が中金に対して打たれるべき筋合いのものだと、私は思うのです。そういうことは、大蔵当局はやらぬのですか。
  31. 水田三喜男

    水田国務大臣 従来の処理に対する監督のいきさつというようなものは、すぐに調査してお答えいたします。
  32. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣に対する質問は、これで終わります。
  33. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて質疑の通告があります。勝澤芳雄君。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は簡単にお尋ねしたいのですが、大蔵省は、予算を盛るときにいろいろと各省ごとの内容について十分検討されていると思うのですが、やはり私どもが三十三、三十四年度決算を見た場合、三十三年度で相当不用額がある、繰り越しがあるというのにかかわらず、時期的に間に合わないのでしょうけれども、また三十四年度に同じような繰り越しがあるというような例が、二、三あるわけであります。そういう点から考えますと、決算においていろいろ指摘された事項なり、あるいは会計検査院の指摘事項というものについては、十分予算を盛るときに御検討されていると思うのです。そういう点についてのお考えを、まずお聞きしたいと思います。
  35. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもう十分気をつけておりまして、私は、今年度予算だけしか関係しませんが、特に今年度予算編成のときにおいても、従来会計検査院から指摘された問題、それに類似する問題の査定というものは、特に、一般査定と違って、そういう問題のある点ということをはっきりして、厳重な査定をやっているというようなことで、これは一応指摘されっぱなしで何もしていないのじゃないかということでございますが、特にされたものについては、今までやっておるつもりでございます。毎年やはり同じようなものがあるということになりますと、その指摘の問題、種類が、また違ってきているのではないかと思います。そういう問題については、特にやっておりますし、また、大蔵省では、予算事務を担当する者、各市町村の地方団体を指導する立場にある者の講習というようなものも強化して指導に当たるというふうに、この決算の結果は、非常に気をつけてやっておるつもりでございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は、外郭団体といいますか、補助団体といいますか、この点についてのお考えを賜わりたいのです。先般文部省の決算をいろいろ調べて参りまして、文部大臣も、いや私もよく知らないが、千何百外郭団体があるというような話をしておりました。ただ一つ取り上げました文教協会のやり方について、取り締まりが不十分で、審議がまだ残っておるようでありますけれども、そのほか、外務省、通産省、あるいは運輸省、各省にわたっていろいろの外郭団体があるようです。外郭団体のあることもけっこうですけれども、それが外務省から補助金が出ている、農林省あるいは通産省から委託費が出ているという形で、二重にも三重にもなっておる個所があるわけです。たとえば一つの例をあげますと、アジア協会が、外務省の所管で補助金が出ている。今度は文部省の所管で委託費が出ているということで、一つの例ですけれども、各省にまたがっている例がたくさんあるわけであります。従って、これらの問題については、やはり外務省が利用するからといって外務省だけが出して、農林省から金をもらわないから農業省のものはやらないということではなくて、やはり何か総合的なこういうものは考えられないだろうか。そうすれば、もう少し補助金なんかも、毎年々々ふえなくても、十分整理されて、もっと効率的な利用というものができるのじゃないだろうかというふうに考えるわけであります。そこで外郭団体について、あるいは補助団体という言い方がいいかと思いますけれども、その考え方と、それからそういう補助金とか、委託費というものが、ばらばらに出ている。一つの省で出ていることが、各省にまたがっている、こういう問題についての大臣のお考えを賜わりたいと思うわけであります。
  37. 水田三喜男

    水田国務大臣 この外郭団体は、大体仕事の内容によって、やはり事実上は各省別の外郭団体というような性格になっておりますために、国として外郭団体を統合的に活用するというようなことでしたら、また外郭団体の機構とか、性格も違ってくると思います。今一応、たとえば農林行政の推進とか、あるいは農村の動向というような、この団体に補助の必要があるとかいうようなときには、大体農林省予算による補助というようなことに事実上なりますので、各省別に、その仕事と関連のある団体というのが、実際の姿でございますので、そういう団体を活用するために国全体がということは、私もそういうことができればけっこうだと思いますが、その省のその仕事に関係して活用できる範囲というような機構にも、性格が事実上なっておりますから、やはり今のようなやり方で、予算のときには、この問題は査定で相当厳重にこの性格を審査し、活動能力を見てきめておりますが、もし外郭団体の必要を認めて活用するとするなら、今のようなやり方でやるよりほか、実際的にはしようがないじゃないかと、私は思います。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次の問題として質問いたしますのは、公社や公庫や公団の問題であります。今大臣も言われましたように、外務省からも補助金を出している、農林省からも出している、通産省からも出している。理由を調べてみると、結局そこに人事面がそうなっているわけです。外務省からも人が行って、通産省からも人が行って、ほかからも行っている。だから、出先の子供に親元は仕送りをしなければならぬ、こういうしかけになっているわけです。公社や公団、公庫に入れない人たちが、今度は外郭団体をやっている。結局人事面がそうなっておるから、一本にしよう、一本にしようとしても、それは確かにできないと思うのです。ですから、今度はこれを給与に当てはめて見ると、よくわかると思うのです。局長をやっておるとき、十万円か十二万円もらっておった。そして外郭団体に入ると、十万円か十二万円くらいだ。しかし、公社、公団、公庫のグループに入ると、これが五、六万も上がって二十万くらいもらっている。そして監督すべき監督官庁の役人の方が、給与が低いわけです。政治家もまた同じです。これでは、幾らやろうと思ってもできないわけです。片方は膨大な機構を持つ圧力団体になって、そして給与は役人よりも、また政治家よりも高い給料をとっておって、交際費から食糧費まで持って、政治を動かしておるのです。外郭団体と公社、公団、公庫によって日本の政治が動かされていると言っても、私は過言ではないと思います。  そこで、たとえば給与の問題を見てみますと、国鉄の総裁は、二十五万の給料をもらっております。その次は、電電公社が二十四万の給料、その次が専売公社は二十三万。二十五万、二十四万、二十三万と序列がついている。国鉄、電電公社、専売公社と、こう序列がついている。今度はほかのところへ行ったら、でたらめですよ。一番極端な例が、専売公社の副総裁をやった人が北海道東北開発公庫へ行くと、総裁になって二十六万円もらっている。ですから、電電公社の総裁が二十四万円で、電電公社の副総裁をやった人が北海道東北開発公庫へ行ったら、二十六万円もらっているわけです。中を見たら、次官から局長をやった人たちが、大体二十六万円もらっている。これにつきましては、この前、道路公団だと思うのですけれども、建設大臣と道路公団の総裁の月給と比べて、どっちが監督官庁ですかという話をしたことがある。そして外郭団体があって、みなそれが、今大臣の言われたように、補助金をくれなければ動けないようになっている。ですから、これは、いつまでたっても、人事と給与の面をもう少し検討しなければ、国の行政が動けないのは、当然なことだと思うのです。ですから、優秀な人というか、運のいい人は、役人をやって今度は政治家になる。地盤のない人が、お前は遠慮せよということで、公社や公団か公庫に入っている。それに入れないのが、今度は外郭団体に入ってくる。これはやはりどこかでこの悪循環を断ち切らなければいかぬと思う。一番下級の官僚はどうなるかというと、二万五千円の月給をもらっておっても、五十五才で定年でやめたら、一万円か一万五千円で健康保持のために勤めをやっているくらいです。しかも、大臣よくお考えいただきたいのは、四年間の任期で、総裁は退職金を八百十三万円ももらっている。あなたは大臣を四年間やって、八百十三万円の退職金をもらうことがありますか。解散なら、それで終わりじゃありませんか。副総裁あるいは理事クラスはどうかというと、四年間で五百十二万ですよ。それが二期やったら、一千万から一千六百万の退職金をもらう。これはあまりにもひどいと思う。これを大蔵省が査定しているのですよ。いろいろ聞いてみますと、公社、公団、公庫が、自主的にやっているのじゃない。みなお宅の大蔵省に相談してやっている。これでは、大蔵官僚が日本の政治を牛耳っていると言われてもやむを得ないことだと思う。これはやはりどこかで断ち切って、もっと本来の姿に返さなければいかぬと、私は思います。ですから、先ほど小川先生も言いましたように、政務次官が幾ら言っても、政務次官の力よりも、局長課長の力の方が強い。これでは、私は何ともならぬと思う。結局これは、今の第一の官僚から外郭団体に入った第二の官僚が一緒くたになって、日本の政治というものは動かされて、政治家はその上に踊らされておるということです。今度の水資源の問題でも、同じことです。これはみな人事の問題なんです。ですから、それを何とか根本的に直すためには、ここで大蔵大臣は重大な決意をして  外郭団体の問題や、公社、公庫、公団は、それは必要ですから、ふやすこともけっこうでございますけれども、やはりふやすについては、ある程度の方針を持って、そしてそれがどうしてもその人でなければならぬという事業なら、私はけっこうだと思います。しかし、この間、公営企業金融公庫というものを呼んでみましたが、三十人の団体で二十五万円の月給の総裁です。何をやっておるかといえば、自治省、大蔵省のきめたことを判こを押しているだけです。これはその辺で一万か二万円もらっている課長でも、課長補佐でもできるわけです。そういうものを、わざわざ高給を出してやっていく。この際、官僚機構の根本的な検討をして、人事とそれから給与と、全体的な問題をやるべきだと思うのですが、その点についての大臣の御見解を賜わりたいと思います。
  39. 水田三喜男

    水田国務大臣 公共的性格の事業を能率的に遂行するためには、国家機関の外にそういう機構を作っていろいろ仕事をしているのですが、これは本来なら、行政機関が行政機関としてやっていけるというものである限りはそれでやっていくし、これが、国家機関が直接やるのじゃなくて、同様な仕事はみな民間でやっている類似的な事業で、しかも公共性があるために、政府の機関として、別にそういう運用をする方が能率的だというものに限って、今のようなやり方をやっているのでございます。しかし、これはできるだけなくしたい。政治を複雑にすることは事実でございますし、どうしてもこれでなければ目的の遂行はできないという場合に限定すべきだということで、今年度予算編成のときのお話を申しますと、それは大へんな公団、特殊法人その他の要求でございましたが、原則として今年度はそういうものを作らないと言って、雇用促進事業団とか、こういう特殊なものは一、二認めたという程度で、水資源の問題も、当初の法案にはございませんで、今出ている問題でございますが、ほとんど全部を認めなくて、ごく少数に限定したというのが実際でございますが、私は、できるだけこういう公団というようなものは、作りたくないという方針で臨みたいと思います。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の問題は、大蔵大臣が努力されていることもよくわかりますし、また何とかしなければならぬということもお考えになっていることは、よくわかります。私は、これは大蔵大臣だけに言っている−わけじゃないのでありまして、各大臣が出てくるたびに、その管理、監督の問題をよく申し上げておりますので、また総理が見えられたときによく申し上げておきますから、これは一つ閣議の中で十分検討されて、やはり根本的なあり方というものについて検討していただきたいと思うわけであります。  以上で私の質問を終わります。
  41. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 大蔵大臣、実はまだ二人あるので、気の毒ですがもう少し……。  そこで、今の勝澤君の質問は、今の政治機構において非常に適切な、しかも大臣も答弁がまことに困難な状況を見たのですが、これは大へんなことだと私は思うのです。給料の点は別にいたしまして、機構上も——斬新な頭を持った水田大蔵大臣ですから、ぜひ一つ政府全体の責任として、何とか大改革をしてもらいたい。これは与野党を通じてこういう声を持っておると思いますらか、どうぞこの点は、陳情ではありませんが、一つお考えをいただきたい。  続いて小川豊明君。
  42. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 さっき一点お聞きするのを忘れて、しまって……。先般われわれ予備費を承認したわけですが、予備費を見るときに、予備費というのは、私が申し上げるまでもなく、やむを得ざる事態に対して予算が不足と生じた場合に支出さるべきである、そういうふうに規定されております。そして予備費を支出する場合に、国会の開会中にはこれを国会に、それから承認を得ずして予備費を使った場合でも、次の常会には承認を得るようにする、こういうふうに規定されているわけです。  そこで、私、先般承認してしまった予備費のことを今聞いて、ちょっとおかしいのですけれども、今度、この中旬には池田総理がアメリカへ行かれるわけですが、これはすでに二月も三月も前からわかっているわけです。こういうのは、おそらくまた予備費で支出されてしまうのではないかと思う。というのは、この前の岸総理のアメリカへ行かれたのも、これは予備費で出しております。一国の総理大臣が国をあけるわけですから、非常に重要な任務を帯びて行かれるわけで、従って、それは行く数カ月前から、大体行く目的というものははっきりし、従って、そのスタッフもきまっているわけです。従って、今度の池田総理の訪米の費用というものは、当然予算の中に盛られなければならないと思う。予算に要求されなければならないものだと思う。これをまた予備費でやってしまう。予算に出ていませんから、予備費でまかなわれるのじゃないか。これは予備費の使い方として、私は、遺憾な点じゃないかと思うわけです。  もう一つ私の言いたいのは、予備費という費目があるから、何か予備費に便乗してしまって、みな予備費でまかなっていくということになったら、これは大へんです。使ってしまったものはあとで承認せざるを得ないから、何でも承認していくわけだ。そういう点からいって、予備費に便乗していろんなものをやってしまうということは、非常にいけない。そういう点から予備費を見たわけですが、安保と三池の場合の費用が、予備費でまかなわれておるのです。安保の問題といい、三池の問題といい、これは不測の事態です。予見し得ざる事情であった、これはわかります。予備費を支出をするのはいい。ところが、この予備費で自動車を百七十七台購入しているのです。これは一体予備費的なものか。百七十七台も自動車を買うならば、当然予算を要求して、国会の審議を経て買うべきである。これを予備費で便乗して買ってしまっているわけです。そういう点で、私予備費の使用についてお尋ねしたいのは、今あげたのも、池田総理のアメリカ行きといい、岸前総理のアメリカに行ったときの費用、これはみんな——池田総理のは、まだ出てきていませんからわかりませんが、岸総理のは予備費でまかなわれた。それから安保や三池のは、これは予備費でまかなわれるのはいいけれども、予備費だ、予備費だと言って新しい車を百七十七台も買い込んでしまって、これも予備費だということでは、予備費の乱用と言わざるを得なくなるのじゃないか。予備費に対しては、もう少し限定した、予備費らしい、法律規則に沿った使い方をされるべきじゃないか、こう思うわけですが、御所見を承りたい。
  43. 水田三喜男

    水田国務大臣 予備費は、当然当初予見しなかったもので、諸種の不足に対処するために支出すべきものでありまして、できるだけこれは厳重にやっておるつもりでございますが、従来の予備費は、もっぱら災害対策とかいうような意味で予備費をとっておったものでございますが、最近はそうじゃなくて、たとえば小児マヒの流行とかいうようなものがございますし、先般の鉱害発生というようなものがございまして、そういうものに予備費の支出を最近相当いたしておりますが、予備費の原則を曲げた支出は、今していないつもりでございます。
  44. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 予備費の原則を曲げた支出をしていないつもりだという答弁ですが、私が一例をあげたのは、安保のときも予見しない事件、三池も予測し得ない事件だと思う。しかし、新しい単を百七十七台も買ったということは、予備費支出の原則を曲げないとは言えないんじゃないですか。
  45. 水田三喜男

    水田国務大臣 これだけの大きい事件が起こったということについては、当時夜食代とか、そのほか、いろいろ付随して警備にかかる費用が多かった、これははっきりしております。こういうものの経費がなかったために、予備費で出すと同時に、やはり警備するためのトラックとかいったものがなくては、ああいう事態に対する警備にならないために、一部そういう自動車を買ったというようなこともございますが、これはやはりあの当時は、必要な費用だったと私ども考えおります。
  46. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、このことを聞いたのです。聞いたらば、損傷したから、こう言うのです。損傷したのならば、予備費でなくて修理費です。ところが、新しく車を百七十七台買ってしまったのは、これはそのときに買ったのじゃない。その後に買っているのでしょう。私の言うのは、その一つ二つの例を言っているのじゃないのです。予備費というものを使う場合に、そういうふうに幅が広く使えるようにしておくと、予備費が乱用される。それにおんぶして、便乗されて使う傾向が顕著になってくるから、予備費の使用に対しては、もっと厳密なる態度をとるべきではないかということを言っているのです。それを大臣は、少し百七十七台だけにこだわって、あれはやむを得ないから買った。あなたがそういう態度ならば、今度は予備費があるのだから、みんな予備費でやれ、こういうことになってしまう。そういうことを防ぐのはあなたの立場だから、私が議論するのも、国会でもああいうことを言っておるんだから、予備費に対してはもう少し厳格にしなければならないという答弁を、あなたはできると思うから言うのです。
  47. 水田三喜男

    水田国務大臣 確かにその通りで、現に毎日予備費でやってくれというのが、国会関係でもほとんど連日でございますが、これを出さないでがんばっているのが私でございまして、相当厳重に予備費の使用はやっておるつもりでございます。
  48. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、質疑の通告がありますので、これを許します。大上司君。
  49. 大上司

    ○大上委員 時間がないそうでございますから、三点にしぼって、まず大蔵大臣にお尋ねしますが、よく予算編成のときに、いろいろ難航して、これを大蔵省からとってきてやったという言葉を聞くのです。そこで、その言葉がいい悪いは別問題として、いわゆる継続事業で、初年度百億である。ところが、次年度また同じような継続で百億が出てくる。ところが、この事業がやりおおせなくて、繰越金が残っておるというようなことを聞きます。たとえば道路公団において、相当の事業が遂行してなくて継続事業になっているような場合には、どういう腹をきめて査定をなさるのか。もう一つの例は、同じような例ですが、いわゆる中小企業金融公庫に対して政府が財政投融資をする、あるいは資金を見ていく場合に、直接貸しでやらしていくということで、大蔵省は初年度から認めておる。ところが、その機構が、代理店その他の都合で全然なかった。従って、六十億円近くというものをよう消化しなかったというようなことも聞き及んでおります。または開発銀行等において、政府へ提出したいろいろな面で、金利あるいは貸付金の回収等によって予算面をある程度オーバーした、こういうふうなことが年々繰り返されているように聞くのですが、こういう問題は、予算編成のときに特に慎重に扱っておられると思うのだが、こういうことが、事実あったのか、なかったのか。あるとすれば、将来大臣としてどういう方針でこういう事案に対処なさるか。そしてこれから生まれる国損をどうして埋めていくか。これが第一点。  第二点は、ただいま小川委員からもいろいろ話が出ておりましたが、国税の徴収面について一つお尋ねしますが、今度の三十三年度あるいは三十四年度の検査報告書を見ておりますと、租税関係において非常に批難事項が多いようです。これは特に各省にぬきんでて多いのです。どこに原因があるかというと、いわゆる法の扱い方がむずかしい点は了承いたしますが、一つは徴税費が非常に安いのではないか。聞き及ぶところによりますと、確かな資料を持っておりませんが、百円当たりについて二円または三円くらいと聞き及んでおりますが、今日の諸条件から見まして、十分に調査費をやれば、あるいは徴税費を考えてやるならば、今のような訴訟事件も起こってこないだろうし、法の執行者も十分勉強ができると思うのですが、この国の歳入の大黒柱である租税の徴収について、大臣は、将来さらに徴税費というものを考えておられるかどうか。この二点について御質問します。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 最初の問題ですが、そういう問題は各部門にございます。道路公団の例をあげますれば、昨年金が残ったということは、土地の買収が進まなかったというのが原因でございますので、事業量の査定とかそのほかが間違ったのではなくて、そういう問題でつかえたために繰越金ができた。では、ことしはその問題が解決するかどうかという点については、十分の見込みを立てて、ことしも引き続き解決をしないということでしたら、予算から落としますし、去年話がほとんど進んでおるので、ことしは順調に全部いくということでしたら、これは去年の分もことしで解決するものとして予算査定をやるというふうに、実情に応じて全部査定でやっているつもりでございます。  それから徴税費の問題は、ただいま徴税費は、全体として高いか低いか、ちょっと私には申し上げられませんが、いずれにしろ、現在の徴税機構は膨大な機構でございますが、なおかつ、さっき小川委員から言われましたように、年々法人というものはふえていきますので、部内のやりくりで法人の係をどんどん増員しておるところです。しかし、これが今の情勢でいきますと、なおかつ人員が定りないという事態にならぬとも限りませんし、全体としてこのところ徴税費が適当であるかどうか、そう簡単に結論は出ないと思います。
  51. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどの小川委員の質問に関連してですが、この前、岸総理が安保調印に行く場合の予備費の審査をやったときに、確かにあのときには事前に補正予算を組んだ。しかし、そういう目がないために、新しい目を必要とする場合には予備費支出も認められるのだ、最後はそういう話であったのです。それで、これは一つの私の考えですが、このごろ年々、総理は外国といろいろ具体的な関係のある場合もありまするし、そうでなく、外国との親交を深めるというようなことで、ずいぶん回られるのですね。やはり外国旅費の中に、特別費的な目を起こしておいた方が、一番めんどうでなくて済むのじゃないかという考えを持つのですが、大蔵省としてはどう考えるか、お考えがあれば伺いたいと思います。  もう一つは、きょうの問題と関係ありませんけれども、この前大臣は、国鉄の余裕金の扱い方の問題で、この委員会である言明をなさったわけですが、あの言明は、他の公社の場合にも、当然一連の問題として考えられるのだ、こういう工合に受け取ってよろしいか、国鉄は赤字であるから、国鉄だけを便宜的に考えるというのか、他の電電公社あるいは専売公社すべてについて同じような立場で処理するというのか、この際、一つ明確にしていただきたい。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 あとの問題でございますが、専売は少し違いますが、電電は同じように考えられると思います。  それから予備費の総理の旅費の問題でございますが、ことしの予算で困ったことは、総理は外へ出られるかと言ったら、自分はあまり出ない方針だということでございましたので、総理府関係のそういうものは、去年より削減されておるということで、当初予算においては、私は総理の外遊を予想しておりませんでした。しかし、これは一国の総理として、堂々たる目的を持って出かけられるのでございますから、予定していなかったことであるとすれば、むしろこれを当初予定しな・かった総理府の予算の中から考えるよりも、私自身は、こういう費用は、りっぱに、それこそ予備費で出してもいいのではないかと思っております。これはまだきまったわけではございません。将来こういうものに備える予算費目を置くことも必要だと思いますが、今年度予算には、この考慮がしてございませんでした。
  53. 西村力弥

    ○西村(力)委員 目を起こすことによって、総理は、不確定であっても、出る意思があるかどうかということも、一つ問題として考えながら、国会の予算の審議でも、あるいは政策一般の審議でも、できるようになります。やはり目を起こしていけば、前年度支出はこれだけだが、ことしはこの予算はゼロと出れば、ああ出ることはないんだな、こういう工合に私どもははっきり見れるわけなのです。そういう言いがかりで、目がないからやむを得ず予備費支出だという言いわけが立たないようにするためにも、はっきりしておかなければいかぬのじゃないかと思うのです。これは私見でありますから、この程度で終わります。
  54. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 よろしゅうございますか。大蔵大臣は、十一時半までというお約束でございましたが、時間も経過しておるので、大蔵大臣の退席を許します。  続いて、質疑の通告があります。これを許します。横路節雄君。
  55. 横路節雄

    横路委員 最初に、大蔵省の管財局長にお尋ねしますが、昭和二十八年の八月十二日の法律第二百号、財団法人日本遺族会に対する国有財産の無償貸付に関する法律であります。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  この問題についてお尋ねをしたいと思うわけでありますが、私どものところに国有財産無償貸付契約書というのがございまして、関東財務局の契約第五百二十八号の写しもあるわけですが、これを読んでみますと、第四条に「貸付期間は昭和三十二年五月二十八日から昭和三十三年三月三十一日までとする。」こうなっているわけです。今日引き続いて無償貸付をしているわけですが、これは同じくこの契約書の第十六条のところで、本契約を更新しようとする場合は貸付期間満了二カ月前までに書面をもって申請しなければならぬ、写しはこうなっておるわけです。貸付契約書の第四条に、三十二年五月二十八日から三十三年三月三十一日までだ、こうなっているんですが、その後引き続いて無償貸付が行なわれているのは、同じようにこの契約書の十六条に基づいて、二カ月前になると届出をする、そうすると、自動的にいく、こういうことになっているのか。それとも、その後何かまた改正でもして、何年間か引き続いて貸すということになっているのか。その点はどうなっているんでしょうか。
  56. 山下武利

    ○山下政府委員 横路委員のお説の通りでございまして、契約書の十六条に基づきまして、本契約を継続しようとする場合には、貸付期間満了二カ月前までに書面をもって申請をするということになっております。現実の問題といたしまして、ただいまお話のありました契約期間が、三十四年三月三十一日に満了いたしましたので、その日をもちまして新しい貸付の契約を締結いたしました。三十四年四月一日から三十九年三月三十一日まで五カ年間の貸付期間ということに現在はなっております。
  57. 横路節雄

    横路委員 それでは満了したあと、三十九年まで五カ年間の貸付契約書を渡したわけですが、現在は、管財局の方で評価した場合に、建物、それから土地の時価は幾らですか。
  58. 山下武利

    ○山下政府委員 三十四年度に評価をいたしましたのが最近の資料となっておりますが、それによりますと、土地が約四億八千八百万円、建物が三億六千三百万円でございます。
  59. 横路節雄

    横路委員 この契約書によりますと、関東財務局の契約書の第十三条の二の項に、日本遺族会、乙は本貸付期間中に建物及び工作物の時価の一%以上、三百九十五万四千円以上の工事費をもって貸付物件の維持保全のための補修工事を行なわなければならぬ、こうなっているわけです。これはそのときにはそうしたのでしょうが、三十四年以降の五年間の契約をした場合において、その後の補修維持費というものについては、一体この日本遺族会の方では、どれだけの補修費を財務局の方に出しているのか。それとも自分で直しているのか。新しい契約では、どうなっていますか。
  60. 山下武利

    ○山下政府委員 契約によりますと、建物の評価額の一%相当額を一年に維持補修費として充てるということでございます。現在の契約では、一年ごとではありませんが、五カ年間に五%というものを維持補修の費用として充てるという契約になっているわけでございます。具体的に申し上げますと、大体五年間に二千九百万円というものを維持補修費に充てるという約束になっているわけでございます。
  61. 横路節雄

    横路委員 それは関東財務局に納めるわけですか。それとも、自分で五年間に二千九百万円の金をもって維持補修をやるというのですか。その点はどうですか。
  62. 山下武利

    ○山下政府委員 これは国庫に納めるわけではございませんで、自分でそれだけの支出をいたしまして、その報告を役所の方にするということになっております。
  63. 横路節雄

    横路委員 そうすると、直接金を納めるのではなしに、自分の方でそれだけの維持補修をしたという、何と申しますか、領収書を出して承認を受けるわけですね。それでは一つ大へん恐縮ですが、関東財務局の無償貸付契約書を決算委員会に出していただくようお願いいたします。  それから次に、この問題につきまして、厚生省の社会局長にお尋ねいたします。この無償貸付に関する法律で、三十五年の四月二十八日の国有財産の増減及び現況に関する調査小委員会で、ちょうどここにおられる山田委員からの質問に答えて、当時の高田社会局長が答弁をされている。会館でいろいろ事業しているが、あれは遺族会の直営の形になっているというのですが、実際そうなんですか。たとえば貸付衣装であるとか、美容であるとか、理容であるとか、その点はどうなっておりますか。あなた直接でなくて、前の局長が、それは遺族会で直営の形になっておりますと言っている。これは会議録があるのですが、今もそうなっておりますか。
  64. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいまも直営の形になっております。
  65. 横路節雄

    横路委員 直営の形になっていると言うが、実際はそうではないのでしょう。その点はどうですか。
  66. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 実は私、詳しいことは存じておりませんが、その直営になっていると申しますのも、大体ああいうところの仕事のうちの、特に中心になるものは文字通り直営でやっている。それからなかなか手間がかかるという付帯的なものにつきましては、これを他の業者に委託するという場合が、相当多いわけです。しかし、そういう場合におきましては、えてしてその労務管理というような面からしてなかなかうまくいかない、運営管理の面からしてうまくいかない、こういう面からいた−まして、そういう毛のを一応そこの嘱託なり職員として、そちらの指揮統制のもとにやっていく、そういうことが必要である。そういう形において直営をやっている。こういうふうに了承しております。
  67. 横路節雄

    横路委員 社会局長は、実情を御存じですか。たとえば本年度予算、三十六年四月一日から三十七年三月三十一日までの予算は、写真室の売り上げだけで千六百万ある。それから貸衣装室については、千五百三十四万ある、こういうことになっているのですが、これが一体遺族会で直営しているのか、それとも委託をしているのか、その委託の場合には、どういうような委託の形式をとっているのか、そういうことについて、社会局長、お調べになったことがございますか。
  68. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは、私の今承知しているところを率直に申し上げます。業者との間に、収入などについては、職員として一応働いてもらう、それからその会館の運営、統制、そういうものには全部服従してもらう、こういうふうになっております。ただ、売り上げの利益につきましては、幾らかの率でもってその利益を向こうにも与える、こういうふうな形をとっているのではないかと思っております。大体そういうことだろうと思います。
  69. 横路節雄

    横路委員 幾らかの利益というのですが、その幾らかの利益というのが、大した利益なんです。ここに「見積損益計算書」というのがございまして、そこに去年も本委員会で問題になりました「貸方」「借方」、こうなっているのですが、ここになるほど委託という形で写真屋さんを入れている。九段会館の方でどれだけの収益をいただいているかというと、社会局長御存じでしょうか。写真は四割いただいている。これは少しばかりの利益ではないわけです。写真室の売り上げが、ことし千六百万、そうすると、四割いただきますと、約六百四十万もらうというわけです。それから貸衣装については、新宿に大里屋という株式会社がございます。これが委託という形で入っているけれども、初め三割二分、九段会館の方に来ておった。それがどういう理由か、あとであなたの方でお調べになっていただくとわかりますが、七分については別途に割戻しがあった。それがいろいろ内部で問題になりまして、今日では、貸衣装については三割八分、九段会館に入っている。美容については四割、理容については三割、入っているわけです。今あなたは委託だ、そこにいる職員は九段会館の職員ということにしているというのだが、事実その通りのようです。一体どうなっているかといえば、貸衣装あるいは写真屋、それぞれ一人月一万円ということになっている。これが現状なんですよ。このことについては、社会局長、御存じですか。四割ですよ。そこで営業させて四割をもらう。一人だけは、なるほど職員として月一万円を払っておる。しかし、千六百万の売り上げがあって、四割もらうのですから、六百四十万もらうわけです。これは国有財産管財局長が直接の監督の責任ではなくて、厚生省の社会局長のあなたの方が監督の責任があるので、その点私はお尋ねしているわけですが、そういう実態については御存じですか。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 大体今お話のようなことを、私概略承知いたしております。それで先ほど申し上げましたように、私どもの現在承知しているところでありますが、大体こういう種の事業におきまして、衣装とか、美容、写真というものにつきましては、それを文字通りの直営ということは、いろいろな点でなかなか差しさわりもある、めんどうくさい点もあるというようなことから、往々外部の一つの企業者等に委託経営みたいなものをしてやっておるということを、私ども聞いておるわけであります。これはそういう形を幾分取り入れてやっておるわけでありますが、その場合に、利益金といいますか、売り上げの利益の配分の場合について、これはそういう人たちにも幾分かやるということは、当然のことだと思います。その利益の配分率がどうであるかという点は、確かに注意しなければならぬ点でございまするが、九段会館自身は、遺族会のための無償貸付という法律に基づく経営でございまして、これをことさら変な運用をしているはずはないものでありまして、おそらくただいまお話のような配分率というものも、実を言うと、調べてみなければなりませんけれども、世間では、大体そういう場合においては、その程度のものがあるんじゃないかというふうに私は思っておるわけであります。もし御不審の点がありましたら、私ども調べてみたいと思います。
  71. 横路節雄

    横路委員 今の問題、私どもも、日本遺族会が、そうもいう収益によって、あるいは遺家族の青少年に対する育英資金とか、そういう面に使われるということは、大賛成なんです。ただ、こういう費用の問題の中で、いろいろと問題が出ているわけです。たとえば、今貸衣装の問題ですが、最初は三三%であって、それが九段会館に来て、七%についてはやみくもというとおかしいけれども、それはどこからどういうようになったのか、とにかく正式に九段会館の収益の中に入らないでいた。そういう問題が、三年間にわたって、約百五十万近く出て、そういうものをめぐって、職員の中で責任者が、自発的にというか、処罰というのではなしにやめざるを得なくなった、こういう問題があって、今日三八%だというのです。なお、この経理を見ると、ささいなことのようですけれども、せっかくのこれだけ膨大な国有財産を無償貸付しておるのですから、遊興飲食税が大体月百万くらいあるのではないか。年で千二百万くらいの遊興飲食税を払っているわけであります。ですから、けさちょっと自治省の方にも電話をしてみたのですが、都道府県で——ここは東京都ですが、遊興飲食税の支払いのいいところに対しては、百分の一・五割り戻しをする。これはあまりいいやり方ではないと思うのです。きょうは管財局で、主税局ではありませんし、またこれは地方府県税の方ですが、実際の経理を見ていると、その割り戻しになる百分の一・五については、これまた経理面に載っていないわけです。お調べになってごらんなさい。そこでそういう問題をめぐって、一体だれがその中に立ってそういう経理をやったのかということで、今年の二月か三月かにその責任者が責任をとってやめているというか、やめさせられているというか、こういう問題も、この中にあるわけです。そういう意味で、実際に先ほど申し上げているように、これだけ膨大な、しかも、初めは一年間の時限立法であったそれが、とにかく五年間に延びたわけですから、こういう経理の面については、直接あなたの方が責任の当局ですから、そういう点については、一つよく調査して、あやまちのないようにしていただきたい、こう思うわけです。この点は御存じないでしょう。
  72. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 そういう割り戻しというものが公にあるものならば、それは当然経理の面に載っておるべきはずでございます。御指摘がございましたから、さっそく取り調べてみたいと思います。
  73. 横路節雄

    横路委員 それから社会局長にお尋ねしたいのですが、この三十五年の四月からことしの三月三十一日までの九段会館の「見積損益計算書」によると、こういうふうになっているわけです。営業外費用として、支払い利息は六百十二万円、育英資金の寄付が六百万円、それから当期見積り利益として四百七十二万円。この六百万円については、育英資金特別会計に入れてあるわけです。これは九段会館に国有財産を無償貸付するという場合において、これを育英資金の中に入れるという、そういう規定になっているわけです。ところが、この支払い利息というのは、私どもここで見てみますと、支払い利息は各支部よりの借入金利息年七分を計上した、こうなっているわけです。ところが、ことしの「見積損益計算書」というのを見ますと、どうなっているかというと、今度は支払い利息の割引料というのは七百五十九万二千円で、支払い利息は支部借入金の年九分を計上した、こうなっているわけです。これはたしか九段会館が日本遺族会で使用するということになった場合に、各県の遺族会から寄付を仰いだ。まあ借り入れをした。たしか八千七百−五十万ぐらい借り入れをした、こういうことになっておるようですが、この支払い利息は、去年は七分、ことしは九分となっているのですが、それは各県の遺族会に返してあるのですか。それとも、その金は、各県の遺族会に借り入れの利子として返すということにして、日本遺族会の方の一般会計の中に入れてあるのかどうか。この点はどうなんですか。
  74. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 御指摘のように、九段会館の運営にあたりましては、資金の一部に充てるため、さらに全国の遺族の人たちに、自分たちの仕事であるという連帯の意識を持ってもらうというような含みもございまして、各支部から各遺族の方々、それぞれから頭幾らということで出していただいた金が約八千八百万ほどあった。それが借り入れの形になっております。従いまして、それには当然元金の償還のほかに、それぞれの支払いの利息というものを支払わねばならぬ。これは御指摘の通りでございまして、それがこの決算面、予算面に出ておるわけでございます。これは九段会館といたしましては、遺族会の一般会計からこちらが借りたような格好になりますので、そちらの方にこれをお払いする、こういうことになるわけであります。
  75. 横路節雄

    横路委員 そうですか。実は私は、これは各県から八千七百万円ばかりの借り入れをしたので、それを各県の遺族会に利子として返しているのかと思ったら、今のお話ですと、一般会計に入れているというのは——それは違ったのですか。
  76. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ちょっと訂正いたします。各県の遺族会の方にお返しする、こういうことでございます。
  77. 横路節雄

    横路委員 そうすると、それは各県の遺族会の方に返しているわけですね。
  78. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 払っているわけです。
  79. 横路節雄

    横路委員 そうすると、去年は七分、ことしは九分、こういうわけですが、九段会館としては収益が上がっているから、従って、毎年利率を高めて返していく、こういうわけですね。  それから「財団法人日本遺族一般会計昭和三十六年度歳入歳出予算に関する件」という中で、これをちょっと私見てみましたら、国会対策費、前年度予算額が四百四十六万円、本年度は百三十五万円にした、こういうふうになっておるわけです。これは日本遺族会の仕事ですから、軍人恩給その他のことでしょうが、どうですか、社会局長、ちょっと私もこの予算書を拝見して、これが昭和三十五年度予算書の中にあるわけです。四百四十六万の国会対策費というのは、これはどうもちょっと何かふに落ちないようなことしは「予算全体を勘案して、百三十五万円を計上した」、こうあって、何かわれわれが国会で審議しているのに、わざわざ、国の財産を無償で貸与して、そこで上がった収益からいろいろ仕事をやっていらっしゃるのに、何だかこれだけの国会対策費を計上してあるというのも、どうもふに落ちないように思いますので、その点これはどうなっているのか、お聞きしたい。
  80. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 遺族会の方では、遺族の方々の福祉、更生をはかるというためには、いろいろ希望があるわけでありまして、その希望を実現するためには、やはり今日の時代については、いろいろ全国から人が出てきて陳情したりするような費用のかかるのは、これはやむを得ないことであります。しかし、なるべくならばそういう費用は少ないに越したことはないと思いますので、これは今後もさらに注意して参りたいと思います。なお、つけ加えて申し上げますが、そういう費用は、申し上げるまでもなく、各府県の方の分担金でこれをまかなっておるわけでありまして、九段会館の方からは全然そういうのは出していないことを申し添えておきます。
  81. 横路節雄

    横路委員 それからこれは規定が改正になったのかどうか知りませんが、常務理事会及び各種委員会の委員等の費用弁償に関する規程並びに諸規程というのがあって、今度何ですか、室ということになったのですが、この常勤理事というのは、これは普通の営業団体、営利会社ではないわけですから、当然そこにいる常勤の人というのは、日本遺族会のために専心してやろうというので、まあ話によりますと、常勤しておるのですが、この点は、いろいろ私たちもこういう規程を読んでみると、実際の費用弁償ということですか、宿泊とか旅費とかということがありますけれども、しかし、こういう人々に対して、常務理事室というのですか、常務理事ですか、四名で隔月ごとに二名ずつ交代で、月のうち十五日常勤しているというので、これは七万五千円を払っていますね。これは七万五千円を払っているのは、旅費、あるいは宿泊料、あるいは日当、打ち切り旅費という形かもしれませんが、十五日常勤で七万五千円払ってある。これはどうもちょっと私ども、日本遺族会という性格からいって、しかも、そとにいる人々はほんとうに身を粉にして働くという意味で、しかも、それは常務理事ですのに、こういう規程を見ると、そうなっていないわけです。私は、あとで九段会館の経理の内容についてももう少しお尋ねしますが、どうもそういう点もう少し遺族全般の——たとえば育英資金の六百万というのは、うんと九段会館の経理状態がよくなれば、八百万円でも一千万円でも入れたらいい。何も六百万にとどめておかなくてもいいわけです。こういう点、どうも私どもふに落ちない点があるわけです。この点は、その規程その他について、社会局長の方で何かお調べになったことがありますか。
  82. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 まあこういう九段会館という一つの施設を運営して参りますためには、いろいろ理事者の方でも常に監督、運営に苦労せねばならぬわけであります。そのためには、常勤の理事というものが、従来は半月交代で出張ってきて、その運営なんかが適正にいっているかどうかということを見ております。それはそれとして一つの行き方であろうと存じますが、ただいま聞きましたところによりますと、今年度から、それはそういうことでなしに、月に一回常務理事が集まって、それでもって処理する、どういう方式に改めたようです。それからできるだけ冗費を省いて、たとえば御指摘のあったような育英資金なんかをふやすということに心がけるべきじゃないかというお話、まことにごもっともと存じております。現に三十五年度の剰余も、当初約六百万と見積もっておったのでありますが、締めてみまして、もう少し無理がききそうでございますので、八百万円にふやしておる、こういうような実情でございますことを御了承願いたいと思います。
  83. 横路節雄

    横路委員 社会局長にお尋ねします。お持ちだろうと思うのですが、この三十六年度の九段会館——これは特別会計になっておりますが、見積もりの損益計算書、この中に、営業外費用として、先ほど指摘をしました支払い利息割引料七百五十九万二千円、これは各県の遺族会に返す。退職給与引当金百万円、これは積んでいくわけです。寄付金が二百七十七万というのは、これは一般会計に入れるわけですか、どういう意味でしょう。それから見積もりの純利益一千百万円を組んでいる一わけですね。これらの内容はどうなっておりますか。
  84. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 これは、御指摘の通り、一応見積もりそのものでございます。二百七十七万は、これは先ほど来お話しの育英等のための指定寄付の見積もりが、一応掲げてあるのであります。もちろん、これは先ほど申しましたように、六百万ないし八百万という額になりますが、見積もり純利益の方の千百万というところは、この辺が予定でございまするので、その辺のところで操作をいたす、こういう様子であります。
  85. 横路節雄

    横路委員 社会局長の方に私からお尋ねをして、時間もお昼を過ぎておりますから、終わりにしようと思います。  それは、こういうことなんです。私もあんまりここで具体的に人の名前をあげてということは差し控えて参りたいと思いますが、とにかくこの内容を見ていると、年間の売り上げというのが、営業その他ここで三億二千百八十万円、こうなっているわけです。しかし、三億二千というけれども、実際には三億五千も四億もいくのではないだろうか。そういう場合に、ここで上がった収益が、育英資金なりあるいは日本遺族会のいろいろな事業に振り向けられるということはけっこうなんですが、この収益というのを見ると、大体どれくらいになっているかというと、二千万足らずになっているわけです。先ほどからお話があったように、社会局長も御存じのように、これはただで貸しているわけです。先ほど私は管財局長にお尋ねをしようと思いながら、次の質問に移ったのですが、ここでちょっと管財局長にお聞きしますが、これは建物としては三億八千万、土地を入れて約八億くらいですね。こういう場合、もしも時価で国有財産として普通の使用料を取るとすれば、一体幾ら取るのですか。たとえば、あなたの方で国有財産として、普通建物について使用料を取っている。あるいは住宅については家賃を取っている。こういう場合には、管財局長、大体どれくらい取るものですか、これだけの土地、建物であるならば、一年間の使用料は……。
  86. 山下武利

    ○山下政府委員 現在の貸付の基準で申し上げますと、土地については時価の百分の四、建物につきましては百分の七というのを一応基準にいたしております。その基準で計算いたしますと、九段会館の現在の見積額に対しまするところの貸付料は、一年で四千四百九十八万九千円ということになっております。
  87. 横路節雄

    横路委員 そうすると、社会局長、今あなたそこでお聞きのように、これだけの土地、建物について——大蔵省は、普通国有財産について家賃、賃貸料を取っておる。今言われたように、普通であれば、概算四千五百万は取らなければならぬ。そうすれば、これだけの仕事をしている以上は、最低その土地、建物の賃貸料だけは払わなければならぬ。そうすれば、四千五百万は上がってこなければならぬのに、これは土地、建物をただで借りていて、三十六年の収益が二千万ちょっとしか予定していない。二千百万程度しか予定していないということは、私は、これは経理ずさんだと思う。経理ずさんだからこそ、社会局長御存じでしょう、ことしの二月にも相当大幅に、いわゆる退職、整理等の問題がある。私は、何もその全部が全部これらに関係しているとは言わないけれども、先ほどの遊興飲食税の問題だって、百分の一・五割り戻しがあるのに、帳簿には載っていない。載っていないから、載せなかった者は責任をとらされる。さっき言ったように、貸衣装についても、三三%は九段会館、七%はどこかに回っておる。それが三年なら三年の累積で約百五十万くらいになっておる。そこでお前の責任ではないか、こうなってくる。今の管財局長の答弁で明らかなように、これだけの建物を使用して、ともかくとんとんにいったとしても、四千五百万の賃貸料を払うだけの金は出てこなければならぬ。それを全然払わないでおいて、それで二千百万程度しかこの利益が上がってこないということは、私は、どうもこの中の経理というものが——商売が下手ではないですよ。商売は上手だと思うのです。写真屋から四〇%も取り、美容の方からも、何%か取っている。こんな商売ないですよ。どこにこんな商売ありますか。だから、私は、この経理内容については、そういう意味で、せっかく国がこれだけの高額な国有財産を無償で貸付をしているのに、それがどうも正しく運用されてない。こういう点については、あなたの方でお調べになったことがありますか。たとえば写真屋は四〇%だとか、貸衣装は三八%だとかなんとか、こういうことはお調べになったことがありますか。その中の、名義的にはなるほどそこで雇っておることにしておるけれども、それは名義だけで、一人一万円。一人だけだ。こういうような詳細な経理内容については、お調べになったことございますか。
  88. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 普通に貸したならば四千何百万円のものであるから、それをただで貸しておるから、当然運営の上においてもその程度の利益が上がってしかるべきだ、それが上がってないじゃないかという御指摘でございます。  これは、九段会館の運営が、申し上げるまでもなく、御承知の通り遺族の人たちの便宜をはかるということのために、普通の場合よりも非常に安くしております。またかりにあいておる場合においては一般人も利用させますけれども、やはりその面につきましても、一般の市価よりも少し安目にしておる。かような点からいたしまして、利益そのものは、普通のいわゆる企業体が銀行から金を借りてそれを運営していくというような場合に比べまして、利益率が低く出てくることは、私はやはりやむを得ないことであろうと存ずるのでありまして、遺族の利用がそれによって高まり、福祉の増進に役立つならば、私はそれもいたし方ないと思います。ただ御指摘のように、多数の職員の中に、たまたま間違いを起こす者が出たということは、はなはだ遺憾でありますが、そうようなことのためにそれがむだになるということについては、まさに御指摘の通り、私ども十分注意せねばならぬことだと思います。御指摘の点は、素直に私承りまして、今後の改善ということにさらに努力いたしたいと思います。
  89. 横路節雄

    横路委員 それでは社会局長、大へん恐縮ですが、九段会館は特別会計になっておりますが、これは三十五年度の分が出ていないので、出してもらいたい。それから三十六年度予算案についても、出してもらいたい。これは特別会計、それから財団法人日本遺族会の一般会計の方、これも三十六年度予算案、三十五年度決算ができておれば、それを出してもらいたい。それから管財局の方には、先ほどお話ししました契約書ですね。これは前の契約書しかございませんから、一つこの契約書も全部出してもらいたい、こう思います。
  90. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま横路君からの資料の提出のことがございましたが、よろしゅうございますか。
  91. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 はい。
  92. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いつ出せますか。
  93. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 至急に出せると思います。
  94. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 至急と言ったって、至急にもいろいろなことがあるので、そんなに無理しなくてもいいから、いつまでにという日を切って出してもらいたい。いつまでにできますか。
  95. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 明後日でよろしゅうございますか。
  96. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 土曜日ですね。それではそれまでに出して下さい。
  97. 横路節雄

    横路委員 それからもう一つ、きょうは国会の委員会の審議の過程の中ですから、そういういろいろな九段会館の中の不正行為といいますか、そういうものについては、特に名前をあげたり何なりはしませんでしたけれども、この点は、一つ監督官庁である社会局の方でよくお調べの上——この決算委員会には会計検査その他、不法行為その他については調べがあるわけです。先ほど私が指摘しましたのはほんの一部ですから、厚生省の社会局として、そういう行為についても、明確になっている点は、明確になっているものとして、ここにあわせて御報告願うようにしていただきたい。
  98. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連して。ただいまの横路委員の資料提出要求に関連して、資料提出をお願いしたい。それは、郷友会とかあるいは傷痍軍人の団体とか、そういうものが、四谷の旧士官学校の横に会館を建てる予定で、各府県の傷痍軍人の人たちが、恩給をもらったときに、すでにもう全部金を出しているのです。しかも、その傷痍軍人の出している新聞には、予定地として写真まで入れて、その場所を指示しているわけです。もう金が集められており、だいぶ長くたっている。各府県別にその金を集められておりますが、どんなふうにその前後の事情はなっているか。それから各府県別にどんな拠出がなされているか。私の方にも資料がございますけれども、厚生省当局で一応資料を集めて出していただきたい。  同時に、市ケ谷の士官学校の横の土地、あそこに大きな会館を建てることで動きがあったようですが、その結論はどうなったのですか。それはすぐにもわかると思うので、そこのところをお聞きしたい。
  99. 山下武利

    ○山下政府委員 ただいまお尋ねの市ケ谷の国有地に関しまして、以前にいろいろな団体から、会館を建てたいので払い下げてほしいという申請がございましたが、その後、いろいろ部内でも調整をいたしました結果、役所側といたしましては、あそこの土地は公用または公共用のものに使うということで、一応会館としては払い下げをしないということで、今決定をいたしております。
  100. 山田長司

    ○山田(長)委員 そういう地帯になっているにかかわらず、各府県でみな金を集めております。それから集められている金額等も、新聞に全部出ております。この資料は私持っておりますけれども、さらにその後の状態は、どんな集め方をしているのか。もし今の土地について、会館を建てない、許可をしないということになれば、これは傷痍軍人の団体としては、どういうふうな処置の仕方をするのか。みな傷疾者から集められている金でありますから、このことの処置を明らかにしてもらわなければならないわけであります。
  101. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 ただいまのお話し、実は私は承知しておりませんので、傷痍軍人会の関係であろうと思いますが、調べまして御報告申し上げます。
  102. 山田長司

    ○山田(長)委員 わかったら、資料を出していただけますか。
  103. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 わかりました。
  104. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、一時三十分より再開いたし、大蔵省所管について質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十一分開議
  105. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  大蔵省所管についての質疑を続行いたしますが、この際、午前中の会議において、山田委員の質疑に対し保留されていた点につき、答弁を求めます。山下管財局長。——山下管財局長がまだ来ていないので、日本専売公社監理官谷川政府委員が、先ほどの山田君の質問に対して答弁をいたします。谷川君。
  106. 谷川宏

    ○谷川政府委員 お答え申し上げます。  午前中、山田委員からお尋ねの錦海塩業組合に対します農林漁業金融公庫融資の問題でございますが、農林漁業金融公庫の業務方法書及び融資要綱によりますと、公庫が塩業組合に対しまして貸付をいたす場合におきましては、原則として理事の全員または一部を連帯保証人として立てさせるという規定になっております。さらに塩田施設等が完成いたしました場合におきましては、貸付対象施設を原則として担保に供するという定めになっておりますので、錦海塩業組合が設立いたしましたときにおきましては、保証人を立てまして、そして施設が完成した後において、なるべく早くその施設自体を担保に提供するという約束のもとに、事が運んで参っておるような次第でございまして、ただ、現在まで施設自体を担保に提供しておりませんことにつきましては、はなはだ遺憾でございますが、いろいろ事情があるようでございますので、  この施設が完成し次第、塩業設備は完成しておるのでございますが、塩田自体の、いろいろな海岸との関係、その他問題があるようでございますので、そういう問題を至急解決いたしまして、融資対象になりました施設自体を担保に提供するよう、公社の方でも業者に話を進めるということでございますので、さように御了承いただきたいと思います。
  107. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて山下管財局長、山田君の御質問にお答え願います。山下君。
  108. 山下武利

    ○山下政府委員 先ほど山田委員から行政財産を不法に使っておる例があるのではないかということについてのお尋ねが、具体的な事例について二、三ございましたので、それに対してお答えを申し上げます。  行政財産の使用につきましては、大蔵省といたしましては、十分にその総括大臣としての責任から、その適正な処理をしていきたいということで、各省にそういうふうにお願いしてやっておる次第でございます。  最初に、大蔵省の本省の中にいろいろと不法に他人へ貸しておるところはないかというようなお尋ねでございましたけれども、本件につきましては、さようなことはございませんで、行政財藤の使用のことでございますから、行政目的に反しない程度におきまして、たとえば公務員の福祉、厚生のためとか、あるいは行政上の広報活動のためであるとかいうようなことの目的のために、一部正当な対価をもって貸しておるという事例はございますけれども、決して不当にだれにでも貸しておるというふうな例はないのでございます。  それから第二の御指摘の点で、農林省が社団法人東京乗馬倶楽部に代々木山谷町の土地及び建物を貸しておる、こういう事例の御指摘がございました。本件につきましては、会計検査院からも御指摘があったのでございますが、実は本件の建物は、農林省の所管財産でございまして、土地の方は普通財産の所管であったのでございますが、これは軍からの引き継ぎが急いで行なわれましたために、大蔵省といたしましては、実はこれが普通財産であるということを相当の期間気づかずにおりました。そのために、使用料等も微収していなかったのでございます。農林省の方も、戦争前からずっと東京乗馬倶楽部に貸しておったというふうないきさつがございまして、土地、建物ともにこれが使用料を徴収しないままに最近まできておったのであります。それが御指摘になったということでございます。本件につきましては、農林省とも御相談をいたしまして、新法施行の日から、つまり二十三年七月一日から三十六年三月三十一日までの使用料を、農林省の方で行政財産の使用料といたしまして適正に徴収をいたしまして、伺いますところによりますと、昨年の十二月に全額を収納されております。そこで、今後の処理でございますが、土地、建物につきましては、いずれ農林省から大蔵省の方に引き継ぎまして、これを適正に処分をいたしたい、かように考えておるところでございます。  それから第三の御指摘の、東京都杉並区にあります東京農村工業指導所の口座となっておりますところを財団法人日本農業研究所に貸しておるという件でございますが、本件につきまして調べましたところが、私の方の関係の普通財産は、全然ございません。全部が農林省の行政財産でございまして、これも農林省とお話し合いをいたしまして、適正な対価を算定いたしまして、これが納まりました暁には、普通財産にお引き継ぎを願う、かようなことで、今農林省と話をしておるところでございます。
  109. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 山田君に申し上げますが、先ほどの御質問に対して答弁をするために、農林省の日比野経理課長が来ておりますが、これはただいま山下管財局長の答弁でよろしゅうございますか。
  110. 山田長司

    ○山田(長)委員 いや、だめです。
  111. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 では日比野農林省経理課長
  112. 日比野健兒

    ○日比野政府委員 乗馬倶楽部の点につきましては、山下局長から御説明通りに、借料につきましては、去年の十二月までに、過去の分とことしの三月までの分は徴収しております。ことしの四月以降につきましては、ことしの三月に国有財産の評価がございますので、それに基づいて算定し直しますので、今幾ら上げるかということを、検査院等の内々の御意向も聞きまして、きめようとしておるところでございます。きまれば、徴収になるわけでございます。  それからこの処分の問題でございますが、局長からお触れになりませんでしたけれども、私もどの了解しておりますのは、あの土地の二千坪が国有地でございますが、そのうち、五百坪が高速道路にかかるという話でございます。それで大蔵省からの非公式の話で、その道路敷地にかかる中に、宿舎  国設公務員宿舎でございますが、この道路のために公務員宿舎がつぶされるところが約千坪ありますので、その代替地としてあの土地を使えないだろうかという内々のお話がございまして、私の方といたしましては、それにつきまして、乗馬倶楽部の方には、その千坪を代替地に使うという内約は、お話はつけてございます。従って、あと残りますのは、土地につきましては、二千坪のうち五百坪ということになりますが、これについては、関東財務局の方に評価を実はお願いしておりまして、評価がきまりますと、乗馬倶楽部でそれを買うか、あるいは資力の関係で買収が不可能ならば、それを返すかということの検討を始めるわけでございますが、今農林省といたしましては、関東財務局の評価を待っている事情でございます。従って、乗馬倶楽部につきましては、その方が進みますれば、大体問題はすっきりするというふうに考えております。  それから下席井戸の日本農業研究所でございますが、これは昭和十三年に農村工業指導所を農林省で作ったのでございますが、そのときに、土地は民有地を農林省で借り上げておったわけでございます。それが昭和十七年に官制の改正で廃止になりまして、その建物があきましたので、形式的には、今の食糧研究所の前身でございます米穀利用研究所に引き継いだのでございますけれども、現実問題として、米穀利用研究所は別に本社がありましたので、そこがあいておりましたので、今の農研の前身といいますか、当時の東亜農業研究所というものにその建物の貸しまして、それ以後ずっと引き続きその建物を貸しておったわけでございます。それでいろいろ経緯はありますが、検査院の御指摘のように、昭和二十三年新国有財産法が施行になりました以後、無償という方法はないわけでございますので、有償で処理すべきところ、農林省の手落ちと申しますか、処理を的確にやらなかった結果、無償のままきておりました。しかし、検査院の御指摘がございましたので、その後、先方と折衝いたしまして、借料につきましては、金額がきまっておりますが、ただ問題は、日本農研がその土地につきまして、民有の土地を全部日本農研が買いまして、土地は現在日本農研の所有になっておるわけであります。従って、日本農研の方は、できればその建物を返すから撤去していただきたいという内々のお話がございまして、その問題につきまして、関東財務局の方とお話を進めておりまして、その点が片づきますれば、措料は明確にきまっておりますので、すぐ納めることになっております。ただ、その土地処理の問題が若干ペンディングになっておりますので、それにつきまして明確な処理をいたしたい、このように考えております。  以上でございます。
  113. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 山田長司君。
  114. 山田長司

    ○山田(長)委員 最初に、公社の方にお伺いいたします。このことによって公社の方は済ませますから、どうぞ一つよろしくお願いいたします。  ただいま設備ができたならば抵当に入れて解決をつけるというお話のようでありますが、御承知のように、政府の資金が、堤防の決壊したということのときだけでも、十億かの金が出ておるわけであります。それでよくわかりませんけれども、いろいろなものを総合いたしますと、これは新たに土地の造成をなさったものと思われますが、そういう土地に対して抵当権の設定をするということについては、保存登記をされてしかる後に抵当権の設定をすることになると思うわけでありますけれども、少なくとも土地はすでに造成されておると思うのです。そういうところに、これは無担保で莫大な金が出ておるわけです。無担保で出ておる金の額が二十億七千五百万円、それが十八年の上長期にわたって貸し付けられておる。こんな形で、ほうっておかれるような印象になるのです。これは少なくとも土地の造成がなされておるのですから、全部の設備ができなくても、保存登記をしたあと、抵当に入れておくくらいのことはやってしかるべきものと、われわれは思うわけです。そういう点から、放置されておる点が、ちょっと理解できないわけです。これが一つ。  それからもう一つは、専売公社で、金を貸すのに、農林中金にここへどういうふうに貸せと指示をするものと思われますが、この調査は、本来ならば農林中金がやるべき筋のものと思われますけれども、これは農林中金としても、公社の方から、同じ政府の機関の指示をされたのでは、やはり農林中金としても調査をするのにもしにくい点があるのではないかと思うのです。そういう点、やはり金を貸せと指示をする場合に、公社としては、全然調査はせずにそういう指示を与えるものなんですか。この二点を伺いたい。
  115. 谷川宏

    ○谷川政府委員 詳しくは後ほど公社の副総裁から答弁していただくようにいたしますが、お尋ねの二点のうち、最初の問題につきましては、まことにごもっともなことでございますので、なるべく早く施設及び土地を担保に提供するという手続をとらせるようにしたいと思います。ただ、その間に、先ほども申し上げましたように、複雑な事情があります。たとえば、土地の造成をやりました関係上、地番の設定が——これもほかのいろいろな役所の関係もあるのでございますが、地番の設定がなかなかできませんで、まだ番地がつかない。地番の設定ができませんと、登記所で受け付けていただけないわけでございます。これも努力が足らないとおっしゃれば、その通りでございますが、できるだけ早く関係方面とも折衝し、錦海塩業組合をしてつけさせまして、なるべく早く担保を提供させたい。ただ、先ほども申し上げましたように、法律的に申し上げますと、お言葉を返すようで大へん申しわけないわけでございますが、農林漁業金融公庫の業務方法書によりますと、保証人及び担保、またはこれらのいずれか一方をとるというふうになっておりまして、最初は、保証人だけでも法律的にはよろしい。その後土地及び建物が担保に提供し得るような状態になったならば、なるべく早くこれを担保に提供するという事情にあることを申し上げておきます。  それから第二の問題につきましては、会社は別に指図をする立場にございませんし、また事実上そういうことをやっていないと承知しております。ただ、塩専売法によりまして、塩業者が塩の聖業をやる場合には、許可の申請をいたします。従いまして、公社といたしましては、その塩業者に対しましていろいろな指図をするとともに、関係公庫あるいは役所に対しましてあっせんの労をとることが当然でございますが、融資を受ける塩業者にかわりまして、融資機関に対して融資をしてほしいということを強く申すということは、やっていないことになっております。具体的の場合におきましても、地方専売局長が意見書をつけておりますが、これは、農林漁業金融公庫融資をする場合の参考の資料としてとっていただくという意味においてつけているように承知しております。
  116. 石田吉男

    ○石田説明員 ただいま監理官からお話しになりましたことと同じなのでございますが、専売公社は、塩業者に対する融資の問題につきましては、農林漁業金融公庫に対してはあっせんをいたしておりますが、農林中金の問題に対しては、別にあっせんとか、そういうことをいたしておりません。従いまして、農林中央金庫が塩業者に金を貸します場合は、大体自分のところで全部いろいろなことをやって、自分の判断で貸しております。それから農林漁業金融公庫の方に対しまして公社があっせんすると申しますのは、塩業政策上、個々の組合なり会社なりが、はたして融資の対象として適当なものであるかどうかというふうな面からも、公社の意見を申し述べまして、それがたとえば一つの企業体として健全な内容を持つものであるかどうか、あるいは担保その他適当なものがあるかどうか、そういうふうな調査は、一切金融機関の方でいたします。私の方は、そういう調査はいたしません。これは金を貸します方の御自分の方の責任において、その調査をやっていただくというふうにしております。従いまして、公社の方から農林漁業金融公庫の方に脂水をするとか、そういうことはございませんで、この塩業者が、貸付の対象として塩業政策上、個々の組合なり会社なりが、はたして融資の対象として適当なものであるかどうかというふうな面におきまして、私ども意見を申し述べる格好でございます。従いまして、貸付の条件その他は、それぞれの金融機関が御自分の御判断においておきめになることでございまして、公社の方から、たとえば年限をどうしてくれとか、金利をどうしてくれとか、担保条件をどうしてくれとか、そういうことは、一切申しておらないわけでございます。
  117. 山田長司

    ○山田(長)委員 そういう形であるべきなのが至当なんでありますが、実際に岡山県に起こっている事例というのは、金額が二十億の以外に、あと何十億という金が出ているわけです。こういう点が、私は、公社も口を聞いた責任上、やはり公庫にだけまかしておくべき数字でなくて、しかも、それが何年にもわたっておるだけに、そういう結論は、公社の紹介した責任においても、やはり金融公庫に助力をすべき筋合いじゃないかということが考えられるわけです。そういう点も全然なされておらないような印象を私はうかがうわけなんですけれども、そういう点はどうなんです。
  118. 石田吉男

    ○石田説明員 私どもの方で、今正確な資料ではございませんが、錦海塩業の借入金は、大体三十億円足らずではないかと思っております。そのうち、農林漁業金融公庫からの借入れが十一億円、それから約八億円くらい農林中金から借りてるかと存じますが、その他の残は、ただいまお話のありましたように、市中銀行でありますが、従いまして、錦海塩業としますと、市中銀行のどこから借りるかというふうな場合には、それぞれ自分でそれぞれの金融機関と折衝して借り受けるわけでございますが、そういう場合には、金融機関としますと、やはり公社が許可をしてやっておる事業でありますので、地方局——専売公社の地方局でございますが、そういうところの意向は、これから先塩業の見通しはどうであるかというふうなことは聞くだろうと思います。そういう場合には、それぞれ地方局が意見を申し上げております。それからなお、その他の金融機関から、もしいろいろ公社においても、こういう点を監督してくれとか、あるいは、たとえば今回先年までやりました塩業整備のときにおきましては、いろいろな御要望もあったわけであります。そういうふうに、金融機関の方からいろいろ御要望があれば、これは当然また公社の監督下にある事業でございますし、十分それぞれ私どもでできます範囲におきましては、できるだけのことはいたしたい、かように考えております。
  119. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと山田君の質問と答弁が多少食い違っているのじゃないですか。何というのですか、金を塩を作っているところへ貸して、そいつは農林中央金庫から貸しているのだ。けれども、それはだんだんその額が多くなっているので、その限度を、専売公社としてもそういうことを監督すべきじゃないかという意味じゃないですか。それに対しての答弁です。
  120. 石田吉男

    ○石田説明員 わかりました。塩業者ができるだけ健全な事業をやるべきであることは当然でありまして、これは単に金融機関に対する関係においてだけでなく、この塩業行政全般の問題としても、私ども非常に関心を持っているところであります。御承知と思いますが、先年まで貴重な金を使いまして、国費を使いまして塩業の整備をやりましたのは、塩業全体の健全化をはかるという意味においてやっております。どういうことかと申しますと、結局日本で作っております塩の値段というのは、非常に高いのでございまして、その生産費をできるだけ下げていくということが、塩業政策の大きな根本方針の一つになっております。そういう意味合いにおきまして、先般の長い間の御検討を受けて、塩業審議会の今後の塩業政策をどう持っていくかということについての御答申をいただきました。その中の重要な柱として、やはり生産費の低減をはかっていく。それには企業としてしっかりしたものにやっていかなければならない。簡単に申しますと、そういう趣旨のことが骨になっております。そういう意味合いにおきまして、単に金融機関に対する関係ということよりも、日本の塩業政策全体としまして、塩業が健全であり、企業として健全な合理化をはかっていくということについては、公社としまして、一番関心を持っているのであります。そういう意味合いで、塩の生産をやっております企業全体についての監督は、私ども十分いたしているつもりでございます。
  121. 山田長司

    ○山田(長)委員 十分にいたしているならば、今のようにストックがたくさんでき上がって、できたストックを道路に使おうなんという案を立てる必要はないと思うんだ。案が全然立たないから、道路に使用しようというような案まで出てくると思うのです。一体道路に使用してみた結果、塩の状態はどうなんです。実績は……。
  122. 石田吉男

    ○石田説明員 先ほど私が申し上げましたのは、個々の事業について十分監督しろというお話でございましたので、その趣旨で申し上げたのでありますが、ただいまのお話は、日本の塩の生産が全体として余るのではないかというお話になったわけであります。そういう点につきまして、過去において、大体百三十万トンくらいの能力がありましたが、これは整備の法律の趣旨に従いまして、自己の企業判断に基づいて、自分のところはやめたいという者については、それぞれ廃業に伴う交付金を出すという法律措置に基づいて、三十五年度まででその措置を完了したわけであります。従いまして、現在できております塩は約九十万トンでありますが、約十万トンくらいの差はございますけれども、国内需要にほぼ合致しているということで、それをもとにしまして、今後の塩業政策をどう持っていくかということについて、先ほど申し上げました塩業審議会の答申をいただいたわけであります。  道路の使用は、これは余ったからということもありますけれども、それよりも外国、特にアメリカあたりにおきましては、普通の道路に塩を使用して、非常に効果を上げております。私どもの方でも、いろいろな試験をやっておりますが、まだ試験中で、正確な結果の判定ということは明確には出ないのでありますが、それぞれの目的で試験的に使ってみたいという試みは、ある程度の効果を上げておるようであります。そういうふうに塩の需要がふえるということは、けっこうなことでございますが、先般行ないました塩業整備におきまして、非常に余って困るというふうな状態は、ほぼ解消しつつあるわけであります。
  123. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 あなたは、山田君の質問に対して非常に能弁に答弁しているが、質問の焦点に当てはまっておらないように思うのです。もう少し質問の趣旨に当てはまった——錦海塩業組合が貸しがふえていって、そして成績も悪いじゃないか、その監督をどうしてやっているのだ、十分やってますという御答弁だが、十分やっていたら、そんな欠損は出ないのじゃないかということなんです。その上に、塩が余るから道路にまで使うというようなことまでしているじゃないか、こういう質問なので、十分監督していたら、そんなに欠損が出たり、そんなにどんどん金を借りなくちゃならないということにならないのじゃないか、こういう質問のように私は思うのですが、もう一ぺん、一つ核心に触れた御答弁を願わないと困ると思うのです。
  124. 石田吉男

    ○石田説明員 錦海塩業の赤字といわれますが、これはまだ全部完成しておりません。従いまして、事業の途中においては、一方において部分的に塩を生産しながら、金を借りて仕事をしていくということでありますので、先ほど申し上げました塩業整備の際にも、錦海塩業は、将来はたして赤字を出さないかあるいは黒字の企業として成立し得るかどうかということを、このときには塩業整備審議会という特別の審議会がございまして、そこで御検討いただきまして、私どもも、もちろん検討いたしましたが、フル稼働に入った場合には十分ペイする、そういう見込みをつけまして、それによって残存企業として残り得るということで残ったわけであります。従いまして、今後設備が完成いたしまして、フル稼働になれば、黒字になっていくというふうな見通しのもとに操業しているわけでございます。
  125. 山田長司

    ○山田(長)委員 完成したあとにどうするのだということも必要でし、一うけれども、問題は、この組合をあなた方は推薦しているわけなんだ。推薦ということは、普通の場合で言いますと、これはやはり保証をしていることになるんです。普通社会通念上から言いますれば、金を貸してやってくれといって、調べるのはお前の方で調べろ、こういうことだけじゃなくて、これはやはり何といったって公社にも責任があるんですよ。おまけに、どんな決壊個所があったか知らぬけれども、水害による決壊個所なども、十億からの金が出ているわけです。一億という金が決壊個所の修理に妥当だったのか、私にはわからぬけれども、こういう問題があるだけに、やはり監督の衝に当たる公社としては、金融公庫にだけまかしておくのじゃなくて、やはり万全を期さなくちゃいかぬというのが、私のあなた方に申し上げたいことなんです。国民の血税であります以上、やはりこの点について、少なくとも——副総裁もさっきお聞きになったと思うのですけれども、大体自治体が土地の造成をやったものを認めれば、保存する登記はできるのじゃないかと私は思うのです。個人の保証でやって、それが長年ほってあるというようなことでは、もしその個人が死にました場合に、取りそこなう危険さえあると思うのです。大へんな金額になるのですから、やはり大急ぎで抵当権の設定をしておく筋合いのものじゃないかと思うのです。その点どらですか。
  126. 石田吉男

    ○石田説明員 堤防の決壊と申しますのをちょっと御説明申し上げますと、あそこは錦海湾という湾がございます。その湾で水のあるところを両方からずっと堤防を作りまして、一ぺん堤防を作ったあとで、中の水をかい出して干拓するようなことをしております。それでこの堤防が一ぺんにできましたところが、台風がありまして、そのためにこの堤防が陥没したわけであります。それを修理するために、私の承知しているところでは、約一億円なにがしの金をよけいかけたというふうに承知しておりますが、十億というような金ではなかったはずでございます。  なお、御趣旨ごもっともであります。私の方からも、御答申にありましたことを十分公雄にも伝えますし、また、錦海塩業の方にも、そういう措置を急ぐように伝えたいと思います。
  127. 山田長司

    ○山田(長)委員 私が申し上げた十億というのに相違があるかどうかわかりませんけれども、このことも一つつけ加えて資料として御提出願いたいと思います。  公社のことは、これで終わります。
  128. 大上司

    ○大上委員 関連して。ただいま山田委員からそれぞれ発言がありましたが、ただいまの副総裁の言葉、奇怪千万だと思います。その理由は、塩業者それ自体を非常に冷淡に扱っておるのじゃないか。われわれ関心を持っておる −関心ところの騒ぎじゃない。国家の大事な金を再建整備に百十何億円も使っておいて、しかも、その結果、先月二十五日における塩業審議会の答申案を見せてもらいましたが、これを読んでみますと、私の受けた感覚は——これは専門でないからわかりませんけれども、やはりもう一回再建整備をやらなければならないような方向が出ております。そうなりますと、国民の大事な税金を百十四億円、これは一体何をなさったか。それを、答弁の底を流れているものは、あまりに冷淡過ぎる。何のための副総裁であるかといわざるを得ないのであります。その点を第一問として伺います。  その次は、ただいま錦海塩業の問題が出ておりましたが、これらを見ておりますと、やはり非常に苦しい塩業者に、各自資本を出資させた金と違いますか。株を持っておりますよ。私も一組合員でありますからよくわかるのですが、そんななけなしの金を、しかも、政府から金を百億も出してやらなければならぬところから、強制的に出資させた会社じゃありませんか。しかもそれを、ただいま山田君のお話のように十億もあったかどうかわかりませんが、これは簡単な問題じゃないと思います。そこで、この錦海塩業に対して、将来どういうふうに持っていかれるのか。配当をどういうふうに考えておられるのかということをお尋ねいたします。  第三点に、さいぜん申しました再建整備促進法に基づいた出資金で、たとえば私の最も近い西浜塩業組合というものがありますが、これはその当時のケースから見たら、当然、完全にこの会社は整理というか、それに類するだろうと私は思っておったのですが、たまたま専売公社の古手技術屋というのか、これを社長に出して、そのまま復活さしておる。しかも、株式組織を変えておる。こういうようなことは、だれが考えても、いわゆる私の言わんとするところは、収納価格——普通の売買であれば、これはある程度口銭を取ってやればいいのですが、塩業者の価格は、あなた方が勝手に塩の価格をおきめになるのじゃありませんか。しかも、同じようなケースでやって、やりそこなったら、専売公社の古手を持ってきて改組して、こんなものを経営するとしても、そんな会社はおそらく空中分解するだろうと思います。一体どのような腹がまえで、どのような方針て、将来塩業政策を—— 監理官の話は要りませんが、副総裁、あなたはもう一ぺんその点を御回答願いたいと思います。
  129. 石田吉男

    ○石田説明員 最初の答申にありました企業の荷編成の問題でございますが、これは答申の中にもいろいろこまかに書いてございます。従来多額の国費を使って整備をやった。国費を使うようなことではいかぬので、そういう問題が今後起こった場合には、企業の中で片づけるという趣旨のことでございます。従いまして、これは答申全体の扱いの問題でございますが、答申の内容がかなり抽象的でございます。またそれを具体化する場合には、いろいろむずかしい問題も起こって参ります。今後あの答申をもとにして具体策を練った上で、また塩業審議会等にお諮りをして、具体的な方策をきめて参りたいというふうに考えております。  それから錦海塩業組合の配当の問題でございますが、これは御承知の合理化計画書を出していただきまして、それを審査するときに、やはりある程度の配当ができるようなことでなければ、健全な企業とはならないのではないかというふうな観点から、それを整備審議会委員の各位がいろいろ御検討になりまして、大体こういう計画ならある程度の配当はできるであろうというふうな見解で、合理化計画書が認められたというふうに承知しております。  それから収納価格の問題でございますが、これは生産者、それから消費者、それから中立的な立場にある学識経験者、そういう方々が構成しております収納価格の審議会がございます。そこにおきまして、公社の出しましたいろいろな生産費その他の資料を検討して、毎年きめることになっております。  将来の塩業政策をどう思っているかということにつきましては、再編成のときにちょっと触れましたが、今回出されました答申を中心にして、今後具体的な検討をして参りたい、かように思っております。
  130. 山田長司

    ○山田(長)委員 おそらく副総裁は知っているのだろうと思うのですが、専売公社の監事をしていた阿部正二という人が、専務理事に入っている。そんな関係で、やはり事態が容易ならぬところにきているにもかかわらず、なかなかそういうことで遠慮しているのじゃないかという気がするのです。そういう点は、あなた方にないとは私は言わせないつもりですよ。そんなばかばかしい、長い間監督の衝にあるあなた方が、これが答申が出ても出なくても、もっと積極的にやらなければならぬ。この点はどうなんですか。
  131. 石田吉男

    ○石田説明員 三十四年度、三十五年度にわたりまして行なった塩業の整備は、これはいろいろな一つの前提を捲きまして、その前提に基づいて、各塩業者が、自分のところの塩業は将来こういう前提のもとで立っていくであろうかどうかという判断をいたしまして、自己の判断に基づいて、自分のところは残るとか、あるいは廃止をして交付金をもらうとか、こういう決定をしたわけでございます。その際に錦海塩業におきましては、自分のところで、こういう計画でやれば十分立っていくんだということで、その事業合理化計画書というものを各残りたいというところからとっておりますが、それを財界の人たち、あるいは会計の専門家、そういうような方々の整備審議会にかけまして、そこでその合理化計画というものが適正であると認められたものは、そのまま残ることを認める、そうでないものにつきましては、自分で残りたいといっても、それはこういう第三者の目から見た場合には、無理ですよ、おやめになったらどうですかということをお勧めいたしまして、これは強制的に、あなたのところはやめなさいというふうにはやらない方針でその整備を行なったものでございます。そういうことで、第三者の目から見ても、こういう計画でやっていけるということで残ったものの一つが、錦海塩業でございます。ただ単に公社が、そういう人的関係からこれは残した方がいいとか、そういう目で見ておりませんので、厳正な第一、一者、特に企業診断の専門家というふうな方たが集まりまして、一つ一つの企業について非常にこまかい検討をされております。従って、この中には、残った企業の中でも、第三者の目から見た場合には、おやめになった方がいいという勧奨もしましたけれども、いや、ぜひ残りたいということで残っておるものも多少ございますが、大部分のものは、そういうような厳重な審査の結果残っておるので、決して公社との特別の関係とか、そういう意味合いで残っておるものではございません。従って、その意味において、先ほども申し上げましたように錦海塩業というのは、やはり一つの健全な企業として発展し得る計画、あるいは計画書に従って仕事が行なわれておるというように理解をするわけであります。
  132. 大上司

    ○大上委員 ただいまの答弁、なかなか了解せないんだ。たとえば収納価格は、学識経験者その他等によっておきめになるというが、これは法律の建前上、意見は聞くけれども、きめるのは公社がおきめになる。これは全く言いのがれもはなはだしい。  もう一つは、さいぜん申しました再建整備費の百十四億の配分にしても、公社の小林塩脳部長が行ったって、一体何ができるか。皆さん方のしりぬぐいをほかに転嫁するという、全くずるい公社のやり方にほかならないと思う。従って、この収納価格にしても、あるいは再建本部の運営にしても、私、一応さいぜん申しました塩業審議会のメンバーを見ておりますと、どの審議会にも入っておる有名人ばかりです。中に一人、二人は専門家がおるようでありますが、これとても、たとえば東京都民銀行の頭取の工藤さんが、あちらにもこちらにも行けるものじゃない。こういうメンバーでは、私はほんとうに国民の声というものは通じてないと思います。  従って、最後にこれ、は資料要求でお願いしたいのですが、さすれば、いわゆる審議会の出席審議委員は何名であって、何日間会議なさって、どんな審議会の方法か、これは資料でお願いします。前段は御回答願いたいと思います。
  133. 石田吉男

    ○石田説明員 収納価格審議会は、もちろん総裁の諮問機関でございまして、法律論的といいますか、形式論的といいますか、そういうものからいいますと、塩の収納価格は公社の総裁がきめることになっております。しかし、実際の運営といたしましては、この種の審議会に出産者の代表がかなり多く入っておりまして、なかなか生産者の方々は引き下げに賛成されない、消費者の方は引き下げを主張されるというふうなことで、いつももめますが、結果においては、大体そこで行なわれました意見を総合しまして、中立委員が両方の意見を参酌して、最後にまとまった意見をお出しになります。そういうものをベースにして公社の総裁が最終的には決定しておりまして、いつも公社が提出しました原案よりはある程度のものは甘くなっておりまして、大体において収納価格審議会の意見を尊重しながら決定しておるというふうな実情でございます。  なお、後段において御要求のありました資料は、書面で提出いたしますが、私ども見ておりますけれども、この審議会は、非常に熱心でございます。今回も、審議会としては約十八回くらい、それからその下にまた専門部会というものを置かれまして、特別なメンバーでいろいろな御検討をいただいておりますが、これも大体二十回というふうな、非常に御熱心な御討議を一いただいておることだけを申し添えておきます。
  134. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと副総裁に申し上げますが、そうすると、いわゆる製塩事業をやっておるのは、この審議会がすべての指導方針を立てて、その通りにやる。専売公社としては指導し、あるいは監督し、なおその商売人に対して、親心といいましょうか、育ててやるような指導はしないんですか。しろうとだからわかりませんが。
  135. 石田吉男

    ○石田説明員 こまかく申し上げますと長くなるのですが、塩については、なかなか大問題なものでございますから、総裁の諮問機関というふうな審議会を、いろいろな面で作っております。従って、いろいろな名前が出てきて非常にまぎらわしいのだと思いますが、ただいまお話しのような問題は、塩の政策に関する一番根本問題を審議していただくという意味において、先ほど来申し上げております塩業審議会というのがございまして、そこで根本的なものの考え方というもの」を審議していただいております。そのものの考え方を大体もとにしまして、具体的な事業に適用する、あるいはその方法というものを、私どもは公社として決定して、やっていくということであります。
  136. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 その審議会できめた通りですか。それであと、いわゆる経営とかなんとかいうような指導やなんかは、専売公社では全然しないのですか。
  137. 石田吉男

    ○石田説明員 たとえば……。
  138. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 たとえばではなく、そういう指導はするのですか、しないのですか、どっちなんです。どうもあなたの答弁は、非常に能弁だが、まことに冷ややかな、冷血動物のような答弁のように私は聞こえるのですがね。どうなんですか。
  139. 石田吉男

    ○石田説明員 よくわかっていただこうと思いまして——塩の問題は非常にむずかしい問題でございますので、いろいろな事情おもおわかりいただきたいと思って、大幅のことからいろいろ申し上げておるのでございますが、指導はしているのかいないのか、こう端的にお尋ね下されば、それは指導はしている、こういうことを申し上げるわけですが、しからばその中身はどうなんだということになりますと、今たとえばと申し上げましてしかられましたけれども、たとえば塩業審議会では、企業の健全化をはかれというふうな抽象的な御答申をいただくわけでございます。それに基づいてまして、塩業者をどういうふうに指導していくかというふうなことは、たとえば塩業組合の組織というものは、いろいろ問題がある。そういうものは、もっと企業的に動けるような組織にすべきであるというふうな抽象的な考え方から、たとえば株式会社にした方がもっと能率が上がるのではないかというふうな、そういう具体的な問題になりますと、今度は私どもの考えでそういう指導をしていくということを申し上げたいと思ったわけでございます。
  140. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 あなたの御説明や御答弁を承ると、何か一審議会があって、審議会がやる方針で、ちっとも業者を育成するとか、これを発展するように導くとかいう、ような問題、あるいは経営の困難だというようなことについては、その審議会でやっているんで、全然それには専売公社としては責任はないのだ、総裁も、副総裁も、そういう責任はないんだというような説明にどうしても受け取れて、そして責任をのがれているような答弁にしか聞こえないのですが、そういうことと承ってよろしいのでしょうか。
  141. 石田吉男

    ○石田説明員 塩についての仕事は、公社が責任を持っているわけであります。それから先ほど来申し上げますように、塩業者が非常に苦境に立っているということも、事実でございます。そこへもってきて新しい技術革新というふうなものが行たわれつつある、あるいは貿易や為替の自由化というものがだんだん入って参りまして、国際的にやはり日本の塩業というものを強固にして、そういうものと太刀打ちできるようにしなければならぬ。それをそういうふうにして、現在の塩業を生かしていくにはどうしたらいいかということが、私ども塩業政策の根本問題だと考えておるわけでございます。そういう根本問題につきまして、いろいろ民間の方々の御意見も伺って御答申をいただいたわけでありますが、その趣旨はまただいま申し上げましたように、日本にあります塩業というものをできるだけ堅実なものにしていって、将来発展し得る木曽のできるようなものにしたいということが、公社の考えでございます。従いまして、そういう公社の考えを具体化して、実際にやっていくには、どういう目標でやったらいいか、あるいはどういう措置をとっていったらいいかというふうなことを、いろいろその審議会の御意見を伺って、それを具体化して、日本の塩業が確実な発展をして参るようにしていきたいというのが、私どもの考えでございます。
  142. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 西村力弥君。
  143. 西村力弥

    ○西村(力)委員 専売局では、葉たばこの鑑定の異議申し立てに要する費用は、予算にはどのくらい見積もっておるか。それの実際の支出額というのは、どういう工合になっておるか。
  144. 石田吉男

    ○石田説明員 ただいまのお話は、おそらく葉たばこの再鑑定という制度のことだろうと思いますが、これにつきましては、別に予算措置はいたしておりませんが、もしそういうことが事実上起これば、現在の費用でまかなうこと、一向差しつかえございません。
  145. 西村力弥

    ○西村(力)委員 予算として見積もっていないが、異議申し立ての再鑑定という制度それ自体はあるのです。ところが、実際には、そういう工合に再鑑定を依頼する件数というのは、年にどのくらいあるか。
  146. 石田吉男

    ○石田説明員 今まで実績はございません。
  147. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう制度を設けて、実際に一件もないということは、まあこれは異議申し立てをするようなことは全然ないのだ、こういうことだと思うのですが、それはしかし、現実にはそういうことにはならないのであって、異議申し立てしても、どうもならぬ、あるいは自分の費用負担で、むしろ、マイナスになる、あるいはまた専売局の鑑定人諸君ににらまれて、自後損をする、こういうようなことから来ておるのだろうと思うのですが、異議申し立てが全然一件もないということ、せっかくそういう制度があって、それが活用されていないという理由は、どこから来ておるか。これは専売局自体、相当の反省をしなければならないと思うのだが、予ての点はどうですか。
  148. 石田吉男

    ○石田説明員 ときには二、三の鑑定について、いろいろ耕作舌側の不満というような話を聞くこともありますが、そういう場合には、それぞれの代表者とお話し合いをしたりいたしまして、結局公社の鑑定の方がよかったというような結果になっております。別に私ども再鑑定を拒否しておるわけでもございませんし、事実また再鑑定をしてもらいたいというお申し出も、ほとんど耳にいたしたこともございません。御承知のように、葉たばこの鑑定というのは、肉眼鑑定でございまして、いろいろ作柄の良否その他によって、厳正を期しておりますけれども、立場が違いますと、多少の問題は起こることもございますので、そういうことで問題が起こった場合でも、ある程度話し合いで解決がついておるというようなことから、博鑑定ということがあまり行なわれないのではないかと思います。
  149. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう強弁をなさるけれども、現実には、あなた方の耳に入っているかもしれませんけれども、再鑑定を願い出れば、費用は全部自分の負担となる。それからまた肉眼鑑定というようなこと、またいろいろな専売局のたばこ耕作者に対する今までのあり方などから、言い出したらむしろ損だ。こういうことからきているのだということは、政府関係機関としてもう十分に承知して、その打開策、それを排除する策というものは、当然とらなければならないと思うのです。ところが、今のように、それは実際にないから異議はないものだろうと、ただ軽くあしらっておる。こういうようなことは、あまりほめた答弁ではないと思います。ですから、何らかの打開策を考えるには、私としては、再鑑定を願い出る場合には、やはり専売局自体の負担で民主的な機関を別個に持って、その機関が当たる。こういう方法をとったらどうか。再鑑定を願い出る者に対しては、従来、その前に鑑定をやった専売局の職員と同僚である諸君と、そういう機構の中にある諸君が件鑑定をやっても、それはどうにもならぬのであって、別個の機構を持ったらどうか、こういうことを考えておるが、それと同時に、政務次官にちょっと……。専売局の答弁のすべては、あなたのところに不満を述べておるのだ、私はそう聞いておる。それは私たちに対するああいう投げやりな答弁というものは、これは政府、ことに大蔵省に対する不満の意思表示であって、それがああいう形で答弁されているのだ、こう思うのです。それは一生懸命働いたって、専売益金でめちゃくちゃに取り上げられるのだから、どうにもならない、勝手にしろ、こういう責任は政府にあるのだ、こういう意思表示、直接そういう言葉は言えないものだから、われわれに対するああいう投げやりの答弁になっている。こう聞かなければいけませんよ。あなた、そのくらいの眼がなければだめだ。質問はちょっと変になりましたけれども……
  150. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待って下さい。先ほど来、日本専売公社副総裁の御答弁、まことに、私、どうも本委員、長といたしまして、不満足きわまるものでございます。よって暫時休憩し、理事会を開きますから、別室の委員長控室へ御参集願います。代議士の方は全員一つ……。  暫時休憩いたします。    午後二時四十一分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  151. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、大久保政務次官より発言を求められております。これを許します。大久保政務次官。
  152. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 本日の専売公社関係の塩、たばこ等の審議にあたりまして、委員会の御質問に対し、石田副総裁が答弁に当たっておりましたが、十分委員の皆さんの御満足をいただける御答弁ができませんでしたことは、まことに残念であり、また申しわけないと存じております。  専売公社関係事業は、きわめて重要でもございますので、また今後十分誠意を持って御答弁申し上げたいと考えております。どうか審議を引き続き御継続をいただきますように、お願いを申し上げる次第であります。
  153. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際自由民主党を代表して、大上司君より発言を求められておりますので、この際、これを許します。大上司君。
  154. 大上司

    ○大上委員 さいぜんよりの本委員会における専売公社副総裁の答弁については、ただいま大久保大蔵政務次官より御発言がありましたように、いわゆる委員会としては、非常に苦しいと言いますか、次の質問を続行するに非常に苦境に立つような御答弁であり、しかも、これはわれわれ個人の質問でなく、国民の選良として、八千万同胞をうしろに控えての質問なのでございます。ところが、たまたま政務次官も認められたごとく、どうも了解に苦しみます。なお、一例を申し上げて恐縮ですが、私の質問においても、西浜の塩業組合の問題を取り上げたが、全然御答弁がなかったというような事例も出ております。  そこで、私といたしましては、これを慎重審議するには、あなたの御答弁によってなお時日を要する。資料等もわれわれがちょうだいし、なお調査の上で答弁を願わないと、今のようなことでは、審議を続行するに非常に苦しい立場でございます。本委員会は、与野党は全然ございません。特に既往の事実に基づいて審議をする当委員会ですから、イデオロギーその他は全然ございません。そのような建前から、どうすればわれわれ国民に約束したことを実施していくことができるか、その裏づけの当委員会でありますから、この際われわれも資料をとり、あるいはあなたの答弁ではわれわれは了解できないというような建前から、本日の専売公社に対する審議は中止せられることを、特に意見として申し述べます。
  155. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際、なお日本社会党を代表されまして、西村力弥君より発言を求められておりますので、この際、これを許します。西村力弥君。
  156. 西村力弥

    ○西村(力)委員 専売公社の決算審査にあたりましては、一つは、私としては、国があまりにも専売益金としてよけいに取り過ぎる、こういう点から、専売公社の関係諸君はいろいろな考え方を持っておるだろう。しかし、そういうことだからというて、その実際の仕事を維持しておるたばこ耕作農民、あるいは塩業者、そういう人々の立場というものは無視されてはならない。大体、国がそういう国民を犠牲にしてもうけているということはけしからぬ。こういう気持でおるのです。たばこ耕作者の現状というものは、私から申し上げるまでもなく、全く低い。最高に見積もっても、二百円そこそこの日当にしか当たらない。そういう収納価格でやむを得ず納めているという状況なんです。それをいいことにして、現在の収納価格では、これ以上増反を望み得ない、そういう場合には、外国たばこを買って間に合わせるのだと、しゃあしゃあと専売公社は自分たちの方針として打ち出している。基本的に国民を犠牲にして国の事業がもうけるなんということは、これはもうまことにけしからぬ。そういうことで本審査に臨んだのでありますが、いろいろ苦しい事情があるだろうけれども、そういうことが、この席における答弁で、全くわれわれの審議に非協力的な発言という工合に出てきておるわけなんでありまして、こういうところから、私たちとしては、本日これ以上専売公社の審査を続行するということは、打ち切ってもらわなければならない。これが第一。  第二番目には、これから後、石田副総裁の当委員会に出席を一することは、こちらから求めないし、専売公社という包括的な出席要求があったとしても、出席というものをお断わりしなければならない、こういう考え方をわれわれは持っております。委員長におかれまして、しかるべく取り計らう、ようにお願いいたします。
  157. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 各党の御意見がありましたが、なお先刻の理事会における決定の御報告をいたします。  本日の専売公社石田副総裁の各委員に対する答弁は、不誠意きわまるものであり、これにより、全国の製塩業者及び葉たばこ耕作者に対する公社の指導、監督も、冷酷きわまるものであると想像される。よって、当委員会は、公社の反省を強く促し、本日の公社の決算審査は、これにて打ち切りといたします。  以上でありますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 満場御異議ないものと認めます。  公社関係の退席を求めます。   〔専売公社関係説明員退席〕
  159. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 引き続きまして、専売公社以外の事項について審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  160. 山田長司

    ○山田(長)委員 先ほど管財当局からの御答弁で、昨年の十二月までの代金を収納されたというお話でございますが、最初に伺いたいことは、明治神宮裏の東京乗馬倶楽部、このことについて伺いたいと思うのです。あの土地の最近の地価というものは、大体坪二十万か二十五万ぐらいになっているように、実はあの周囲の人から伺っているわけなんです。その土地が、全部で二千坪、馬場に使用されているわけです。それからさらに建物があるわけです。事務所あるいは馬小屋等があるわけですが、聞くところによると、この馬の頭数は十五頭しかおらない。全くのレクリエーション・クラブである。会員が日に三百円、会員以外の人が五百円という会費のよう、でありますが、このレクリエーション・クラブみたいな存在で、しかも、これが表面は一時使用になっておって、毎年々々契約しなければならぬことになっているようでありますが、実際には、もう昭和十三年以来使用されておった。一対昨年十二月の収納というのは、幾らの金を収納されたのか。この金額をまず最初に伺っておきたいと思います。
  161. 日比野健兒

    ○日比野政府委員 昭和二十三年七月一日の新国有財産法施行以来、三十六年三月、ことしの三月三十一日までの使用料といたしまして、八十七万六千七百二十一円収納いたしております。
  162. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうすると、三十三年に検査院が指摘した当時には、四十五万円は使用料として払うべきものだという形の指摘がなされておるのでありますが、ただいま言われる八十七万円といいますと、これは昨年の十二月までといわれても、ちょっと金に不足があるのではないですか。
  163. 日比野健兒

    ○日比野政府委員 三十三年の決算検査報告書に上がっております数字は、建物、工作物だけにつきまして、当時農林省といたしまして急いで試算した数字でございまして、実はその後いろいろ検討の結果、土地につきましても、法律的には当時の雑種財産、今で申しますれば普通財産、でございますけれども、その経緯を若干申し上げますと、昭和十三年当時は、乗馬倶楽部は、若松町にありました当時の陸軍経理学校の隣接地にありまして、その経理学校の敷地拡張の要請がありまして、その代替地といたしまして当時の陸軍次官から農林次官に対しまして代々木練兵場の一部二千坪を一時使用させるということと、移転費用といたしまして、当時の金で三万円つけまして、一時使用の許可を認めていただいた経緯がございます。それを受けまして、農林省といたしましては、当時馬政局長官から当時の乗馬倶楽部に一時使用、しかも無償貸与の許可を与えておるのが、当時の事情でございます。そういう経緯を考えまして、この借料を計算しますときに、さしあたり、過去の問題ではあるしということで、行政財産の観念で借料を計算しようということになりまして、土地についても一緒に取るということで、ただいま申し上げました八十何万なにがしは、土地、建物、工作物全部含めた金額になっております。
  164. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、これはずいぶん安い金額になっていると思うという点が一つ、それから二十三年から新たに有償と決定したのですが、二十三年の有償として決定したときの金額というのは、当局は幾らとしてこれは決定したのです。
  165. 日比野健兒

    ○日比野政府委員 若干説明が足らぬと思いますので、もう少し詳しく申し上げますと、国有財産の借料をきめますときには、台帳価額が基準にあるわけでございます。従って、台帳価額をもとにしまして、その千分の二とか千分の三、あるいは建物につきましては、千分の六というふうにきめますが、そのもとになります台帳価額が、実は三十一年に初めて改定になったのでございます。また五年ごとにやるということになっておりまして、先ほどもちょっと触れましたが、ことしの三月三十一白現在で第二回の改定が行なわれたわけでありますが、そういう経緯を見ますと、一例をあげて申し上げますとおわかりになっていただけると思いますが、三十一年の評価額までは、土地二千坪につきまして、台帳価額は十九万八千円だったわけでございます。それを改定後の価額といたしましては、二千坪で千六百万円、こういうふうに大幅に改定になっておるのでございます。これは私の方の直接の所管と申しますか、基準につきまして大蔵省の方でおきめになるわけでございますが、要するに、全国の国有財産の評価というのを個別的に処理するのが不可能でございますので、一応の基準をもちまして改定いたしますので、こういう大きな幅に変わるところもできるように考えております。従って、こういうふうに大幅に改定になったのを、一律に借料を計算しますと、非常に借料が高くなります。これは民間ベースに立って考えます場合に、そうそう従来の借料を九十倍も上げるわけにいかぬじゃないかという点を考慮いたしまして、実は関東財務局の方で、普通財産の貸与につきまして逓増方式を事実上適用されておるような実情等を考慮いたしまして、私の方でも一種の逓増方式をとっております。そのままの方式ではございませんけれども、農林省の方できめた方式でございますが、逓増方式を考えまして借料を計算いたしましたので、その原則で計算いたしますと、先ほど申し上げました八十何万円何がしになるのでございます。この逓増方式と申しますのは、三十一年は価額改定がありましたけれども、三十五年にその価額改定のそのままとった借料に直すということで、三十一年から三十四年の間はならして上げていくという方式をとっております。
  166. 山田長司

    ○山田(長)委員 普通財産なら、当然時価で取ってしかるべきだと思うのですが、どうして普通財産となっているのに、時価の取り方をしなかったのですか。
  167. 日比野健兒

    ○日比野政府委員 その点、若干御指摘のように疑義があると思いますけれども、私の方といたしましては、当時の陸軍次官から農林次官に対するところの、古い話でありますけれども、そういう公文のやりとり等を勘案しまして、これは行政財産として扱った方が実情に合うんじゃないかということで、行政財産と観念した借料を計算いたしたのであります。それと、もう一つ私の方にありますのは、放置したのは農林省の手落ちでありますけれども、過去にさかのぼってそうむやみに高い金を取るということも、現実問題として非常にむずかしいというふうにも考えられますので、双方勘案いたしまして、そういう行政財産と観念して、こういうふうに処置したわけであります。
  168. 山田長司

    ○山田(長)委員 その点、会計検査院がやはり指摘をしておるわけなんです。そういう点で会計検査院当局が指摘されておりますのは、やはり普通財産とすべきもののような指摘の仕方をしておるのですが、会計検査院当局は、どういうふうなおつもりでこれは指摘しておられるのですか。
  169. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 この問題は、実は農林省所管の第四局の方で提案した問題でございます。それで、ここに載っておりますのは、これは農林省の行政財産である建物、工作物でございまして、その土地だけが普通財産ということになっております。普通財産は、軍の財産を終戦後大蔵省で引き継がれまして、軍時代の使用承認のままで農林省にお貸しをしておったということになっておりまして、性質は、土地は普通財産、建物の方は農林省の方の行政財産ということでございます。
  170. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと山田君、先ほど来長時間にわたって日本開発銀行の総裁及び理事の方、総務部長の方等がお待ちでございまして、非常にお気の毒だと思いますので、もし許せるなら、開発銀行の方の質問を先にしていただいたらどうかと思うのですが、お諮りいたします。
  171. 山田長司

    ○山田(長)委員 それでもけっこうです。
  172. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 では、続いて日本開発銀行関係につい質疑を行ないます。山田長司君。
  173. 山田長司

    ○山田(長)委員 過日、開発銀行当局に資料の提出をお願いしておったのでありまして、その資料の提出をいただいてはおるんですけれども、私の意図する資料が出たとは申されないわけでございます。  そこでちょっと伺いたいのでありますが、五億以上の融資をされておりまする会社というのが大体九十四社、総金額が四千八億になっておるよう、であります。ところが、この金額の少ないところの貸し出しというのは、この資料に出ていないのですけれども、提出されておりまするほかの書類によって知ることができるのですけれども、それによりますと、九割近い金というものが九十四社に貸されておって、一割に近い金額が一千社に貸し与えられておるのじゃないかと思うのです。この一千社の、開銀から見ますと、比較的僅少の額の貸し出しを受けておる会社の中にも、それ相当重要なお仕事をされておるところがあることは事実だと思いますけれども、この点、電力に重点を置き、さらに海運関係に次の段階において重点が置かれており、さらに海運の次には炭鉱に力が入れられており、その次に鉄鋼、一石油化学というふうな工合になっておるようでありますが、将来のこの開発のお仕事で、あなたの方のお出しになったもので「今後の課題」というところを見ますると、東北、北海道等については、その土地における国の関係の銀行等の融資を受けておる関係もあるのでありましょうが、まだその地域には力を入れられておらないようでありますけれども、地域的発展の均衡をはかるために、当然これらの地域にも開発銀行としては臨んでいく筋合いのものだと思うのでありますが、こういう場合における北海道及び東北地方の開塔関係の銀行等との接触面は、いかような方法に主ってなされるのであるか、総裁の御所見を承りたいと思うのです。
  174. 太田利三郎

    ○太田説明員 北海道東北開発公庫は、政府で指定されておりまする特殊の業種だけに融資しておりますので、たとえば電力、石炭、それから観光施設というようなものは、全国的視野に立ちまして、開発銀行が、北海道、東北につきましても融資をいたしておるわけでございます。それで、三一四年度から、九州、四国を対象といたしまして、いわゆる地方開発融資というのをいたしました。それはそういったもの以外のいろいろな産業につきまして、東北北海道開発公庫がやっておりますような業種につきまして、開発銀行は受け持って融資をする、こういう道が開けたわけでございます。三十六年度からは、北陸と中国地方もこの対象に加わりました。また。北海道、東北以外の四地方、つまり九州、四国、中国、北陸以外の地方でも、後進性の強い地域に対しましては、開発銀行として融資をしてもよろしい、こういうことになっておりますので、今後は、そういう地域に対する開発融資が相当活発になってくるのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  175. 山田長司

    ○山田(長)委員 当決算委員会で過日問題になった造船関係融資につきまして、返済期日になりますと、それを延ばしてやって、返済期日を新たに作るというふうな形で延滞金を取らなかった事例がございますが、こういう点、造船関係の返済状況というものは、最近いかようになっておりますか、伺いたいと思います。
  176. 太田利三郎

    ○太田説明員 ちょっと資料で御説明申し上げます。  御指摘のように、海運事業は、好況、不況の波が非常に荒くございまして、長い目で見てやりませんと、むずかしい状態になっております。ことに日本の海運業はそういう傾向が強いものでございますから、数年前から非常に不況が強くなりましたので、それを予定期日通りに返済させるということが、実際上困難でありました。それで今御指摘のように、内入れ猶予ということをいいたしまして、六カ月間は猶予してやる、そしてだんだんとそれから取っていくというふうな措置をいたしております。それで、その金額が、本年の三月末現在におきまして、二百七十二億円となっております。
  177. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、最近の造船界というものの返済状況というのは、どんなふうに好転しておりますか。
  178. 太田利三郎

    ○太田説明員 昭和三十年度から申しますと、三十年度の回収額が五十八億、三十一年度が百十四億と、多くなっております。三十二年度が六十八億、三十三年度が二十五億、三十四年度が四十八億となっております。
  179. 山田長司

    ○山田(長)委員 電力とか、石炭とか、あるいは造船関係とかいう重点産業の部門は、一応旧来の形とそう変化のない開発銀行の努力がなされていることがわかるので、ありますが、オリンピックを前にいたしまして、たとえばホテルの問題とか、あるいは道路の問題とか、あるいは港湾施設とか、飛行場の整備とか、こういう面には、新たな観点から開発銀行は融資の道を講じておるものかおらないものか、参考に伺いたいと思います。
  180. 太田利三郎

    ○太田説明員 ホテルにつきましては、国際観光ホテルというものに対しまして前から融資して、おりまして、東京のみならず、いわゆるリゾートにおきまして、外人が現在来ておる、あるいは将来来る可能性の強い地域につきましては、運輸省と相談いたしまして、かなりの融資をいたしております。また、今後これを続けてやりたいと思っております。それから道路につきましては、これは主として道路公団の方でおやりでございますので、われわれといたしましてはあまりいたしておりませんけれども、今後国際観光施設と考えられるものがありましたならば、これは考えてもいいのではなかろうか、こういうふうに思っております。それから港湾施設でございますが、これは観光用の港湾施設でなしに、製鉄会社、あるいは製油会社が港湾施設を利用いたすというような場合には、ある程度の融資を今までもしております。今後も、大した金額ではございませんが、ある程度の融資はできるのではなかろうか、こういうように思います。
  181. 山田長司

    ○山田(長)委員 このいただいた報告書によりますと、帝国ホテルだけしか出ていないので、あなたの方の開発銀行の仕事は、こうした面にも大きな役割をするのではないかということがわかったのですが、観光ホテル等にも融資なさるということでありますけれども、いずれにしましても、五億以上の金額の中に入っておらないのですから、金額としても、これはそれ以下のものと思われるわけです。そこでさっき私が申し上げました、比較的少ない金額と目される一千社の会社の下からの資料——どのくらいから開発銀行としては貸しておるのか、この少ない金額からの資料を次会に御提出願いたいと思います。
  182. 太田利三郎

    ○太田説明員 五億円未満のものでございますが、これは先ほどちょっと御指摘がございましたように、会社数で千五十三社になっております。融資残高が六百十二億円となっております。業種別に内訳を申し上げますと、電力が七社で十三億九千五百万円、海運が四十四社で九十億七千八百万円、石炭が九十八社で六十億六千百万円、鉄鋼が十六社で二十三億六千二百万円、石油化学が一社で一億円、硫安尿素が十一社で二十六億四千万円、一般機械が七十九社で二十四億四千八百万円、それから特定機械、これは機械振興法に基づきまする指定機械でありまして、これを特定機械と申しておりまするが、これが二百九十社で八十三億九千九百万円、それから国際観光施設、これは帝国ホテル以外のものでございますが、これが三十二社、これはホテルだけというわけではございませんで、ほかの施設も多少入っておりますが、三十二社で四十八億三千二百万円、それから産業関連施設、これは港湾施設とか、埠頭、倉庫といったようなものでありますが、これが五十二社で五十一億二千万円、その他が四百社ございまして、これが百七十五億一千八百万円、これはいろいろなものがございまして、農林水爆、たとえば真珠の養殖でございますとか、あるいは木材を利用する工場といったような農林水産、それから運輸陸運、それから石炭以外のマイニング、都市ガス、離島航路、建設業君、それからこまかいものでは、復金時代に出しました震災の復興融資というようなものがいろいろございしまして、これか四百社の百七十五億になっておるわけであります。それから援助資金によりまして防衛産業に出一して一おりますものが、二十三で十二億九千二百万円、こういう内訳になっております。
  183. 山田長司

    ○山田(長)委員 援助資金というのは、川崎航空機工業のほか十三社といいますと、この類似のものと思われるのでありますが、どういうところに出ておるものでありますか。
  184. 太田利三郎

    ○太田説明員 これは三十年度から毎年度出しておりまして、一三十六年度までで三十六件になっておりますが、会社名を申し上げますると、川崎航空機工業業五件、新三菱重工業二件、旭大隈工業、東洋精機、高野精密工業、日本製鋼所、東洋化工、畠田理化工業、富士通信機製造、東北金属工業、東京電気化単工業、大阪金属工業、新明和興業二件、富士重工業、石川島重工業、興亜電工、多摩電気工業、帝国通信工業、大洋電機、北陸電気工業、それからこれは小さいのですが、村田製作所並びに村田技術研究所、指月電機製作所、日本ケミカルコンデンサー、関西二井製作所、東洋通信機、金石舎研究所、梱包英工舎、こういったような会社に対して出しております。
  185. 山田長司

    ○山田(長)委員 援助資金といいますと、これは名実ともに援助を与えて、返済をさせないものなんですか。
  186. 太田利三郎

    ○太田説明員 これはわれわれの方は、経済援助資金特別会計から資金借りまして、それから政府の御推薦になっておりまするこういった会社に融資をしておるのでございますが、むろんこれは返済をさせるわけでございます。全部それぞれ期限もありますし、普通の融資のように融資をしておるわけでございます。
  187. 山田長司

    ○山田(長)委員 十年の開発銀行の歴史を報告書等で見ますると、かなり各方面に貸付の実績を見ることができるわけであります。参考までに伺っておきますが、今までに比較的、開発銀行から借りて、あなたの方に迷惑をかけている個所も中にあると思うのです。それから、電力だとか、造船とかいう毛のも、その中に含めて御報告願いたいと思うのですが、迷惑がかかっていないところ、こういうところもあるはずだと思うのです。それと、もう一つ伺って最後にしますが、十年のこの足跡から見まして、将来開発銀行はさらに大飛躍をする形だと思いますが、これからの新規の産業というものを見て、どういう方面に力を入れて大いに銀行の使命を果たしていこうと総裁はお考えになっておられるか、この機会に抱負を伺っておきたいと思います。
  188. 太田利三郎

    ○太田説明員 迷惑という意味でございますが、実際に損失になりまして償却いたしましたものも、実は相当ございます。これは主として復興金融公庫時代に貸し出しをいたしまして、これを引き継いだものでございまして、その後石炭産業は非常に悪くなって、山も荒廃してしまいまして、どうにもならなくなったというのが、最も多いケースのように私記憶しておりますので、今御指摘のお話は、業種としましては、小さい石炭産業が一番多かった、こういうふうに思っております。それから、やはり復金時代に福井の震災のあとで融資をいたしましたもの、それから復金時代に海外から引き揚げてきた人たちに対しまして融資をいたしまして、これがどうしてもその後よくならないで、結局返らなかった、こういうものがちょいちょいございまして、これが今まで償却いたしましたおもな対象だと記憶しております。それからいわゆる欠損ではございませんが、延滞というか、内入れ期日通りに入ってこないというものも、むろんございます。これは業種的には先ほど申し上げましたが、いわゆる内入れ猶予をしておりまする海運業が、それに一番該当いたします。それからそれに次いで石炭にやはりそういうものがございまして、この二業種が期日通りに返らなかった業種——むろん全部ではございませんで、ある会社でございますが、それに当てはまるかと存じます。  それから今後のわれわれの銀行の使命の問題でございますけれども、まあ電力とかそういったものがだんだん力ができまして、自己調達に力ができても参ったものでございますから、開発銀行としましても、それほど援助いたしませんでも何とかやっていける、こういうふうになって参りましたので、ただいまは、日本としてかなりおくれておりまするいわゆる機械工業、ことに中小の機械工業が非常におくれておりますので、これがよくなりませんと、全体のバランスのとれました重工業というものが発展いたしませんので、これに今後相当の重点を置くべきじゃなかろうかと思っております。それからもう一つは、地方の格差というか、所得の格兼補、工業投資の出遅いというものが、先進地域とそうでないところと非常にはなはだしい状態でございますので、今後、開発銀行として、この地域格差の是正のための融資をして参りたいと思います。日本全体といたしましては、なお化学工業、ことに石油化学工業というものが、今後非常に重要な産業となって参ると思います。ある程度開銀といたしまして御援助はいたすつもりでおりますけれども、大体力のある会社が多いものでございますから、大きな金額をこれにさくということはしなくてもいいんじゃないか、こういうふうに思って、おる次第でございます。
  189. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま総裁の御答弁の中で、石油化学についてのお話があったのですが、最近の国内事情を見ましても、自動車の激増、油を使用する仕事の激増、こういったものから勘案いたしまして、これが外国資本によりほとんどのど笛を押えられているような形で、石油のルートというものが持たれているのじゃないかと思うのです。そこで、これらについても、おそらく石油産業の従事者というものは、もっと安い、あるいは欧米資本によらないものを計画しているものも、あるんじゃないかと思うのです。こういうものなどについて、開銀当局に、日本の産業育成のために、そうした石油資源の確保を目ざしての大きな事業計画の相談等があるものか、ないものか。あるとするならば、私は、これはぜひ一つ差しつかえない範囲で伺っておきたい。なぜかと言うと、今のように外国資本によって石油の入ってくるルートを全部持たれておって、日本の人たちが文化的生活をしていくならば、これは一朝何かの事態のときに、どうすることもできないようなことになりはせぬかという危惧があるわけなんです。そういう点、何らかの形で、支障がなければ、ここで外国資本によらざる一つの石油資源開発の大きな御計一画等で、開銀当局に御相談があるものか、ないものか、伺っておきたいと思います。
  190. 太田利三郎

    ○太田説明員 石油につきましては、石油精製事業でございますが、大きな資本を持っておりまして、実は開発銀行へ今ほとんどやって参らないのであります。自己資本も持っておりますし、それから市中銀行がこれに対しまして比較的融資を楽にしてくれる、こういう事情にあります。われわれが相談を受けておりますのは、ごく一部の港湾施設をしたいから何とかしてくれという程度のものでございまして、今御質問にお答えできるような相談を、われわれとしては受けておりません。それからわれわれは資金が少ない関係もございますので、われわれの方に持ってきます前に、実は通産省で大体の交通整理といいますか、荒ごなしをいたしまして、われわれの方に持って参りますので、今のお話のような計画につきまして、実はわれわれ十分にお話しできる立場にないことを遺憾に思います。
  191. 山田長司

    ○山田(長)委員 これで質問を終わりますが、最後に、五億以上の融資をされておるところはこれで大体わかったのですけれども、開銀が貸した会社で金額の少ないところから四、五十社、資料にして出していただきたいと思います。
  192. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 西村力弥君。
  193. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちょっとお尋ねしますが、地方開発貸付が、二年間でどのくらいになっておりますか。  それから個々の貸付対象の業者自体は言えないでしょうけれども、各県別に、それをAならA、BならBとしまして、その業種が何であるかということを、示して、貸付額を資料として出してもらいたいと思うのです。私としてそういうことをお聞きするのは、低開発地域の開発ということが盛んに言われておりますが、自然の成り行きにまかせておきますと、表日本側だけが重くなってしまって一、日本という船が転覆するという危険性を持つと、私は見ておるのです。私は、低開発地域出身の議員ですから言うのですが、国家的な大所高所に立って言いましても、そういう危険性は排除しなければならぬというわけで、一応開発貸付という業務の創設せられたことに対しては敬意を表しますが、こういう点は、熱意を持って一つこれから拡大発展していただかなければならぬじゃないか、こういう希望を申し上げて、資料をお願いしたいと思います。
  194. 太田利三郎

    ○太田説明員 数字だけ申し上げますが、三十四年度に約三十五億円九州と四国に対して融資しております。それから三十五年度に七十億円いたしております。三十六年度は、中国、北陸が加わりまして、今百七十億円の予定融資をいたしたいと思っております。  それから業種でございますが、これは後ほど詳しく資料にして提出いたします。
  195. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 本日はこの程度にとどめ、明日は、午後一時上り大蔵省関係決算の審査、並びに国有財産の増減及び現況に関する件について、調査を進めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会