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1961-04-06 第38回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月六日(木曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 丹羽喬四郎君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       薩摩 雄次君    鈴木 正吾君       藤井 勝志君    久保 三郎君       山田 長司君    山中 吾郎君  出席政府委員         調達庁次長   眞子 傳次君         科学技術政務次         官       松本 一郎君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  菊池 正士君         参  考  人         (前日本原子力         研究所理事長) 駒形 作次君         参  考  人         (前日本原子力         研究所理事  嵯峨根遼吉君         長)         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月五日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として東  海林稔君が議長指名委員に選任された。 同日  委員東海林稔辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員森本靖辞任につき、その補欠として東海  林稔君が議長指名委員に選任された。 同日  委員東海林稔辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本原子力研究所会計に関する件  (CP−5型原子炉購入の問題)      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 これより会議を開きます。  日本原子力研究所会計に関する件、特にCP5型原子炉購入の問題について、調査を進めます。  本日も、前回に引き続き、参考人より実情を聴取いたします。  御出席参考人は、菊池正士君、駒形作次君、嵯峨根遼吉君の三名でございます。  なお、本日は、原子力委員会石川一郎君にも御出席を願っております。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、きのうに引き続きまして、CP5型の炉の購入をめぐっての問題についての質問を続けたいと存じますが、きのうの質問の中で、少し不明確になった点が一つ出てきたわけであります。CP5型の出力の問題で、一万キロというのを一つ条件として出されて、この炉の設計が進められてきたようでありますけれども、きのうの質問の中で、藤岡参考人から、一万キロというのは原子力委員会でもきめたことはなかった、こういうようなことが番われておりますし、その問題については、どうも明確になっていないわけであります。このCP5型の炉についての、希望といいますか、条件といいますか、こういうものは、どういう形で、どこできめられて、そして財団法人日本原子力研究所に、どういう形でおろされて、諮問され、選定が進められたか、この点を少し明確にしていただきたいと思います。石川さんかあるいは駒形参考人の方で、お答え願いたいと思うのです。
  4. 石川一郎

    石川説明員 CP5を一番初めに買うことを、買ったらいいだろうときめたのは、原子力委員会のできる前でございまして、それは、原子力平和利用準備調査会というのができまして、これはたしか二十九年だと思います。それで、その下部機構に、その当時の日本の最も原子力にたんのうの方をお集まり願いまして、どういうふうな炉を入れるかということを御研究を願ったのであります。その第一は、ただいま動いておりますウォーター・ボイラー、その次にCP5、その次には国産炉、なお、スイミング・プールを大阪方面の学校の共同研究刑として置いたらいいだろうという結論が、すでに一年余りの御研究によりまして、きまっておったのでございます。それで、原子力研究所ができましたのが、三十一年の一月でございます。そのときに、これから炉をあつらえたりなんかするのに、新しく研究しても、同じ方々に御研究願わなければいけないだろうから、その方々にお願いする、こういうことになったのでございます。  なお、この一万キロの問題につきましては、一万キロのCP5ができるか、できないかということは、その時分にはまだはっきりわかっておりませんでしたから、原子力研究所ができましたので、その方面で御研究を願いまして、もしできればそういうものを作ったらいいだろうというお話がありましたものですから、それは大へんけっこうだ。しかしできないかもしれない。そのときの世界の進み方がまだ非常に幼稚でございましたものですから、そういう意味で、約一万キロということに対しては、われわれは考えを持っておりましたけれども決定をするだけのまだ自信がなかったのでございます。それで、結局原子力研究所におかれまして、方々から見積もりをおとりになりまして、そうして五千キロあるいは一万キロというふうな条件ができるか、できないかということを、見積もりをとっておきめになったものでございます。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、この設計出力を一万キロにした点について疑問があるわけです。それは、四社がみな見積もりを出してきたわけでありまして、その中で、五千キロワットしか保証できないといっておる会社が多かったわけです。特に有名なGEは、五千キロワットでさえ、オークリッジの国立研究所燃料テストを経た後でなければ、最終保証は与えられないと回答がされておった。二〇%の濃縮ウランで一万キロ出すということは、技術的に問題があったということが、当時いわれておる。また、嵯峨根さんの当時の意見だといわれておるのですけれども、どうも一万キロがむずかしいんじゃないだろうかということが盛んに検討されたということがいわれておるのですけれども、一万キロできるのはAMFだけだったのですから、その辺のことについて、もう少し解明を、駒形さんがいいと思いますが、していただきたいと思うのです。
  6. 駒形作次

    駒形参考人 今お話のありましたように、一万キロというのは、初めに選択をいたしますときの条件ではなかったわけであります。それで、四社がそれぞれ自分考えで申し出て参りましたのが、その書類にも書いてありますように、ほかの三社は五千キロ、AMFは一万キロというふうな工合に出て参ったわけでございます。今もお話がありますように、原研が買うときにおきましても、その二〇%の濃縮ウランで一万キロという炉を動かすことにつきましては、非常に心配をいたしまして、その点は、極力AMF技術者に、こまかく聞いておったわけでございます。向こうの話は、当時アメリカのアルゴンヌ・ナショナル・ラボラトリーにおきまして、この二〇%の濃縮ウランを使って出力を上げた状態においてどうなるかという研究をやっておりました。その話も、AMFを通しまして聞いたわけでございます。その際の話によりますと、アルゴンヌのナショナル・ラボラトリーのその実験につきましては、最終的の結果が出たというところにまではいっていないように伺っております。しかしながら、その実験というものは、相当進んでおりまして、それを技術的に判断して、それだけのものに使えるといった見解のもとに、向こうがこの一万キロというのをギャランティして参った。それが、大体今の御質問に対するお答えになるんじゃないかと思っております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、一万キロの問題も不明確ですけれども、次の問題に進みたいと思うのです。
  8. 西村力弥

    西村(力)委員 ちょっと関連して。一つは、きのうの供述によりますと、そもそも二号炉としては、国産のをやろうという計画があった。それをCP5型の購入に切りかえた。こういうお話がございました。ところが、この前の私の質問に対する札局長答弁では、そういう計画はございませんと、はっきりあなたは断言しておる。私たちは、学術会議の意向に沿うて日本知識を動員し、積み上げていく。そういう原子力開発ということを好んでおり、そういう方向を望んでおるのです。それがCP5型の購入というふうに切りかえになった。そういう事情というものは、やはり重視をしなければならぬと思っておるのです。局長、どうです。こういう不確かな答弁をあなたはやっておる。関係者からは、きのうはっきりそれをくつがえす供述が行なわれておる。この点どうです。
  9. 杠文吉

    杠政府委員 まことに私の調査不行き届きでございまして、私は、当時関係しておりませんでしたので、いろいろ関係者等にお聞きしましたり、また資料についていろいろ調べましたところ、その資料においては、ただいまのお話のようなことを私は調査いたしかねたわけであります。そこで、おそらくはそういうことはなかろうということから、資料にないものでございますから、不確かなことをお答えしてもなんだろうと思いまして、そういうことはございませんということを申し上げたわけでございますが、私も、昨日事の真相を参考人の方からお聞きしまして、そういうこともあったのかということを感じておるわけでございまして、その点、まことに調査不行き届きであったことをおわびいたします。
  10. 西村力弥

    西村(力)委員 調査不十分であったということを局長は認められた。また事実関係者ではない、こういう点から了承できないわけではないのですが、そういうことを発言される基礎には何があるか。こういう問題は、原研原子力委員会というところに責任がある。監督官庁はその責任の地位から相当遠のいているのだ。こういう心境基礎にあるのだろうと私は思う。そういうことは適当でないと思うのです。この問題をやっておる間に感じたことは、普通の議会の答弁のごとく、ああだ、こうだと言いのがれをすればそれで済むがごとき心境であることを、私は遺憾に思う。私たちがこの問題を取り上げているのは、きのう申し上げましたように、ただ単に責任追及とかなんとかではなくて、日本原子力開発を少しでも前進させようという、そういう善意に基づいて私たちはやっておるつもりなんです。それを普通の言いのがれ答弁のごとくやっておるその心境というものを、私は、はっきり強く指摘しなければならぬと思う。だから、こういう不確かなことでも、ございませんと言えば、それでしろうとの委員連中は往生するだろうという気になるとすれば、それはまことに困ったことである。十分協力的な立場でやってもらわなければ困る。私たち善意が生かされるようにしていただきたいと思う。自分たち善意といっては、おかしな気もするけれども。だから、その国産炉日本技術知識を積み上げていくという開発方式を捨てて、手っとり早い購入に切りかえたという、そこのところの分かれ目というものを、相当はっきりと皆さん方にえぐり出していただきたいと思うのです。簡単に言えば、三十一年でしたか、いつでしたか、アメリカの方で、CP5の購入に対しては三十五万ドルの補助金を出す、こういうことをいわれた。三十五万ドルは大へんありがたいということになりますが、これは考えようによっては、原子力市場確保ということを、アメリカがそういう手をもってやってきたのだ。それにうまうま乗っておるのだ、こう私たちは見ざるを得ないわけです。そういうことから、三十五万ドルというのが目の前にちらついて切りかえたのだ、そういう私たちの単純な疑問というか、それに対して、これを一つ解明していただきたいと思うのです。当時の方は——閣議決定原子力委員会が発足してからだろうと思うのですが、その前の責任者はどなたか。石川さんでもあれじゃなかろうかと思うのですが、その間の消息を一つはっきりえぐり出していただきたいと思う。
  11. 石川一郎

    石川説明員 CP5を日本で作るということにつきましては、私は不賛成でありました。それはCP5というのは、世界的にもまだあまりよけいできておりません、非常にむずかしい炉のように伺っておりますので、どうも日本の力でのみやるということは不適当である、こう考えております。その次の国産炉につきましても、これは多少よけいなことになりますけれども、これに対する意見を私は述べました。これは日本で作りなさい。しかし、あまり大きな——初め技術昔の間には、四万キロという大きなものを作ろうというような希望もあったのですけれども、それは危険じゃないか。やはり一万キロくらいにした方がよかろうということは申し上げたので、日本のそのときの工業能力、あるいは知識が少なかったし、CP5は非常にむずかしいものだから、私はよくわかりませんが、これはやはりどうしても経験のあるところがら買わなければならぬ。私は、こういう意見でございました。こういうふうに前から大体きまっておったものですから、それで、それに賛成いたしまして、閣議決定をしていただくようなことになったのでございます。
  12. 西村力弥

    西村(力)委員 国産炉計画を捨てて、購入という方向に切りかえた。その経緯はどうか。それを私はお聞きしておるわけなんです。石川さん自体の賛成、反対という御意見もあるでしょうが、最終的には、国産炉計画を捨てて買うということにきまった。そこのところの経緯をお聞きしたいということです。
  13. 石川一郎

    石川説明員 私、そう記憶がありませんが、CP5を国産炉で作らなければならぬという議論がひどくあったという記憶はございません。CP5は国産炉でやろうという意見が、あまり強くあったと思っておりませんので……。
  14. 西村力弥

    西村(力)委員 二号炉は、CP5ということはさまっておったのです。しかし、二番目は、重水を利用するものにして、とにかく国産炉を作ってみようという計画があった、こういう供述がきのうどなたかからあったのです。それではその方にお聞きしてもいいです。そういう国産炉計画したのをやめて、そうしてアメリカから買う、こうきめたいきさつはどうか。きのう御答弁なさった方はどなたでしたか。
  15. 駒形作次

    駒形参考人 昨日藤岡さんがお話しになったのじゃないかと、私は記憶していたしておりますけれども、この間の事情を私が記憶いたしておりまするところを申し述べたいと思います。  藤岡さんが団長で、原子力平和利用調査団というものを組織いたしまして、全員十四名であったと記憶いたしておりますけれども、二十九年の十二月か三十年の十二月か、ともかく冬の寒いときでございまして、もうふるえ上がって方々見たのでございます。十二月の末、クリスマスの日に出発をさせられまして、二月の終わりだと思っておりますが、帰って参りましたように記憶いたしております。そのときに、各国を見ての調査団としての考え方と申しますか、そういうものは、大体研究用の炉を持っておりますところでは、数百から千キロワットくらいのものを作ってやっておったのでございます。たとえば、それはノルウェーでありますとか、あるいはフランスでも、まだそんな程度のものでございました。ところが、それを持たない国の計画というものは、これは実行に移されたものもありますが、移されないものが多いのでありますけれども、初めてやるときに、一万キロくらいのものをみな設計をいたして、そういうものを作ることを望んでみな考えておったのでございます。それは結局、数百キロワットあるいは千キロワットくらいのものをあとを追っていくのではなくて、あとからスタートしましたもののところでは、次のステップを自分でもって広げていきたいという趣旨であったと、調査団のみんなの者は了解したところでございますが、そういうことで帰って参りましてから、私ども一万キロくらいの程度国産炉というものを考えて作っていく方がいいのじゃないかというふうに考えたのでございます。そのことを昨日は藤岡先生お話しになったのでございます。  なお、そのときのことを思い出しますと、石川委員は、そんな大きなものはなかなか慎重にやらなければならぬ、そういう御意見をくれぐれもおっしゃったことを記憶いたしております。国産炉の方は、そういうような工合に積み上げて参ります方式で、設計から何から、国内学術振興会にそういう委員会ができまして、非常にたくさんの研究者方々メーカー方々がそれに協力されまして、国産炉計画というものがどんどん進んで参ったのであります。四万キロといったような話も、出て参ったことは出て参ったのでありますけれども、一万キロということで、国産炉はやるということになったのであります。その国産炉の積み上げていく研究研究で一方でやっておって、CP5の話はそれとは違うのでありまして、ウオーター・ボイラーの五十キロのものが、当時はまだできておりませんでした。その五十キロよりも多いもので、研究を促進する上にやはりこれは一つ必要であろうというので、それが、今問題になっておりますところのCP5の炉であります。従いまして、国産かをやるというのが切りかわってCP5というものになったというのではございませんで、国産炉国産炉でそういうふうな工合にして、この次のJRRの三というものでございますけれども、一万キロで現に着々建設が進行いたしておりますような状況でございます。今の御質問のお答えとしては、以上のようなものであります。
  16. 西村力弥

    西村(力)委員 まだ実ははっきりしないところがありますけれども、三号炉国産炉でやろうという計画があった。しかし、別にCP5というものがあって、それが時期的に先行されたということで了解したいと思うのですが、その点はそれとして、一万キロの出力の問題が、勝灘委員から問題にされておりますけれども、それを購入することを決定して、応札者を求めた場合の一体条件というものを、こちらからどういう工具に提示して、いかなる方法公告なら公告をして、向こう業者の応募を促したか、こういう点について、一万キロの出力はこちらから求めなかったというが、そうするならば、どれとどれがほしい、CP5型であって、それはどれをほしいのだ、こういうことをはっきり示したろうと思うのですが、それはどういうことをどういう方法でなさったのですか。
  17. 駒形作次

    駒形参考人 CP5の仕様書をこちらで作って、こういう仕様でもって向こうから出してこいという言い方では、実はなかったのでございます。はなはだ恐縮でございますけれども、当時、まだそういうことをやる能力を私ども持っておりませんでした。今の国産炉のようなものでございますと、仕様書から作っていけるわけでありますけれどもCP5というものは、ともかく向こうででき上がった形のものでございますから、5型というタイプがきまれば、大体の性格はきまるわけでございます。それで、今申しますように、おそらく数千キロくらいのものを希望する、燃料は二〇%の濃縮ウラン、これは日米双務協定できまっておりますから、CP5というふうになれば、もう重水を使うということもきまっておるのでございますし、その点はそれぞれのメーカーまかせというような形になるのでありますけれども、当時といたしましては、そういう形で向こうから申し入れを受けまして、それを相互に比較研究をしてきていたというのが、当時の実情でございます。
  18. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、そういう方法をとらなくても、ウの目タカの目ですから、みんなわっと関係業者は飛びついてきた、こういうことになるんでしょうね。普通ですと、こういう条件のものをほしいんだ。周知の方法、何か手だてをとってやり、その条件を見て、じゃおれがやろうかといって応募してくる、こうなるんでしょうが、こういう限定されている仕事ですから、CP5型を買うんだときめたとたんに、関係業者が売らんかなということでみんなわっときた、こういうことになるんだろうと思うんです。そこで、そういう工合条件は一切示さなくとも、このCP5型を買って何をやるのか。材料試験をやるのだ、こういう目標を持ってやる。そのときに最も決定的に必要な要素というものは、何であるか。出力であるか、それとも中性子の問題であるか、専門技術的に見まして、この炉を購入してやろうとする目的を達成するために、その炉の性能の中で、何が一番決定的なものであるか。何を一番望んでおられるか。その点は、私のしろうと考えですと、中性子ということが一番中心じゃないか。十の十四乗という、これだけのものが出ないといかぬ。それにプラスして、出力が大きければ短時間で済む。大きければ多々ますます弁ずることになる、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、そこはどうでしょうか。
  19. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 昨日も申しましたように、何を一等重要にとるかという議論は、財団法人原子力研究所の時代にされておりまして、私は、十分な歴史的経過を存じておりません、しかし、現在から考えましても、当時の議論を横で聞いておった記憶から考えましても、中性子束というのは、非常に重要な問題であります。しかし、それにまた加えて、試験ホールといいますか、ビーム・ホールとわれわれは呼んでおりますが、試験のできる個所がどのくらい大きいものがあるか、幾つあるか、使いやすいが、そういういろいろな条件がやはりくっついております。そうして中性子束が高いところの、できるだけ容積の大きいもの、そうでないと、急激に中性子束が変わったのでは、仕事にならない。実は反省すべき点として、非常に多々あるときのう申し上げた一つの点は、注文が多過ぎまして、実際の研究に使う穴の大きさ、その他をいれるのに非常に苦労をした。そうして原子力研究所判断でこれをやめるということに対して、非常な抵抗を受けたというような点が、反省すべき問題でありますけれども、そういうような点について、必ずしも原子力研究所が初っぱなから自分責任できめたというふうには、私は了解しておりません。しかし、今の御質問のように、何が一等重要かといいますと、中性子束とか、中性子束の高いところの面積が広い、あるいは試験ができるだけやりやすいというような問題が、おもな問題だと私は了解いたします。当時もそういうふうに考えて、判断をいたしました。
  20. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは、CP5型ということで、あと条件はあるような、ないような形で応札をさせたようでありますけれども、このAMF選定をした根拠といいますか、これがいい、こういうことをきめた条件というか、これはどういうものなんですか。
  21. 駒形作次

    駒形参考人 昨日安川理事長からもお話がありましたように、AMFにきめました理由は、やはり値段が安かったということ、予算の中に入ったということが一つ。それから、ともかく国産化の第一歩として、国内でできるものは国内でもってやらせるということが、この場合は可能であった。そういうことが、一つの次の理由でございます。ただ向こうから持ってきたものを据え付けるというのではなくて、国内メーカーがこれに協力いたしまして、国内でできるものは、国内材料を使って、そうしてこれをまとめ上げるというシステムでございます。それからともかく出力も大きい。先ほどもお話がありました材料試験の炉として考えたのではないのでありますが、これぐらいの大きさになると、材料試験というものも一部はできる、やろう、こういうふうに考えたわけでありますが、ともかくも出力が大きくて、それに対してギャランティもあったということが、一つでございます。きのうもお話がありましたように、そのほか、信用というようなものも調べ、やはり炉としては信用のおけるものでもございましたし、技術レベルということになりますと、きのうもお話し申し上げてありますように、ともかくほかの社と比べて、大体同じレベルというふうに、私ども考えていいのではないかと思います。きのうもいろいろお話がありましたけれども、この社は、コントロール関係というものが非常に得意でございまして、コントロールのメカニズムというのは、相当ほかの会社にもこの社のものが使われている。ただし、きのうもお話がありましたように、ACFの方は、当時MITでCP5を実際に建設中でございました。しかし、それはまだでき上がったわけではございませんし、当時はまだ動くに至っておりませんで、ACFがMITのCP5型の炉を引き受けて仕事にかかっておった、そういう状況でございましたので、そういうことをいろいろ考えてみまして、技術レベルというのは、そう格段の差があるというふうな工合にももちろん考えられない。そういう技術レベル信用といったようなものを、一応ずっと並べて比較対照した、そういうふうに考えております。
  22. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の聞いているのは、決定的にAMFにきめたことを聞いているのです。信用がどちらがいいかということは、この資料に出されておりますように、資本から売り上げを見ても、AMFとACFを比べれば、ACFの方がいいのにきまっているわけです。ですから、原研技術首脳部は、ACFの方がいいと言われておったし、また、藤岡参考人も、電報でわざわざACFにすべきだ、こう言っているわけですから、そんな信用度とか技術というものは、一般的にAMFの方がいいんだという言い方は、ごまかしなんです。だから、はっきりとどことどこが具体的にAMFの方がよかったんだという比較を聞いているわけですから、もっとはっきりしたことを言っていただきたいと思う。安かったのだ、が下請だったのだ、それから一万キロだった、これらの三つだ。これがとにかくきめた一番のファクターだと言われればいいと思う。そうじゃなくて、技術がどうだとか、信用がどうだとか、ほかの会社は信用がないようですが、私は、比較を開いているわけではない。その点四つとも、信用のある会社ですから、技術もある会社ですから、幾らAMFがいいんだといっても、それはきのうの議論の中で明確になっているわけですから、それ以外にAMFにきめた根拠は何だということを、もう少しはっきりしてもらいたいと思います。
  23. 駒形作次

    駒形参考人 ちょっと私の言葉が悪かったと思っておりますが、そういうのではなくて、きのうで御了解得たというようなことまで触れましておっしゃいましたけれども、今お話がありましたように、またきのう安川さんからもお話がありましたように、大体その三つの点ということを申し上げていいと思います。
  24. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それで三つの点で、出力が大きいという問題は、これは技術的にも、それから日本の当時の科学の能力からいっても、一万キロというのは、ただ単なる気休めの保証書であったということは、明確になったと思うのです。一万キロというものは、決定的なものでなかった、こう害われておるわけですから、出力の問題は問題にならないと思うのです。  その次に、それでは入札の価格というのをもう一回——資料が出されておりますけれども、どうも数字が合いませんから、どういうふうになっておるか。この四社の応札価格というのを、もう一回はっきりしていただきたいと思います。
  25. 駒形作次

    駒形参考人 お手元の資料の三ページのところに、入札価格が出ております。この数字は、ACFが百六十八万一千ドル、AMFが百六十万八千ドル
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 実際にはAMFは幾らで入札されたのですか。何か年報によると、百五十万ドルと書かれておるわけですが、百六十万八千ドルですか、どうなんですか。
  27. 駒形作次

    駒形参考人 ここに出ております入札価格百六十万ドルというのがほんとうだと、私は思っております。ただし、その三分の一が円払いとなっております。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 結局でき上がって、いろいろあちらこちらで追加注文して、結局これで納まらずに、幾らになったんですか。
  29. 菊池正士

    菊池参考人 その資料は、今ここに持ち合わせがありませんが、そこにあったら、ちょっと持ってきて……。
  30. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大体幾らになっているのですか。言って下さい。
  31. 杠文吉

    杠政府委員 私が手元に資料を持ち合わせておりますから、私からお答えさしていただきたいと思います。先ほど駒形委員からお手元に差し上げてある資料による見積り合わせでも、百六十万八千ドルということで、最低でございます。ところが、実際には値引をしたと思います。私は、当時契約者でございませんからわかりませんが、資料によりますと、値引をしたと思いますから、研究所の年報に書いてある、約百五十万ドルと思います。と申しますのは、その内訳が出ておりますのが、AMF社のドル払いが九十八万四千五百九十五ドル、三菱の下請が五十一万四百五ドル、これを合計しますと、この契約金額になりまして、それの約——約ということを研究所の年報に書いてございますが、約百五十万ドル、だから、おそらくは百六十万ドルの見積り合わせでございましたら、値引が成立しているのではないかと、私は思います。
  32. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それを聞いているのではないのです。その百五十万ドルが、結論的に幾らになったのですか、こう聞いているのです。入札のときには百六十万ドルでできたのだけれども、実際にでき上がったら、このほかの三社に比べても匹敵するように、とにかく予算がふくらんだじゃありませんか。そのことを言っているわけです。
  33. 菊池正士

    菊池参考人 その後、設計変更その他で追加した分のことと思いますが、これは非常にこまかいものがたくさんございまして、今ここに私残念ながらはっきりする資料を持っておりませんが、しかし、ほかのもので一番大きなのが、耐震のための付加をしたものが一番大きいかと思います。その資料は今そこにございますが、それほどそれが大きなものになっているとは思っておりません。
  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは原子力研究所の方はおわかりだと思いますが、CP5型というのは、今問題になって、今皆さんが言っているのは、安いということと、三菱が下請だということと、一万キロだというこの三つの条件AMFにきめた。この三つが完全に遂行されたかどうかということは、重大な問題だと思います。安かったかどうか。安くなかったと、きのう藤岡参考人は言っているじゃありませんか。一万キロといっても、これは疑問だと言われているじゃありませんか。こういうことから考えて、一体国の膨大な血税がどのように使われたか。せめて原子力研究所は、これは国民の汗と血の税金なんですから、それがどう有効的に使われたか、明確に今日までしてないということがおかしいと思うのですよ。百六十万ドルの入札がどういういきさつで百五十万ドルになったのか、そうしてでき上がりが幾らになったのか、この経過というものを国民に明確にすべきだと思う。
  35. 菊池正士

    菊池参考人 これは、会計検査もいたしまして、明確になっております。ただ、私今ここに資料を持ち合わせておりませんが、それが見積もり価格に対して非常にオーバーになっておるとは、私思っておりません。今ここに資料がございませんが、さっそくこまかい数字を出します。耐震のための設計の変更による部分が四万二千ドル、これに追加になっております。その他、期限が延びましたために、外国人の技師の滞在費などが多少追加になっております。そういう点は、いろいろとございます。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、いろいろという話は聞きにくいわけです。入札したときの価格に比較して、AMFにしたためにどれだけになったのだということを明確にしてもらいたいのです。会計検査院が検査したから問題ないというふうに私たちは何もこの問題を扱っているのではないわけです。そういう枝葉末節なことを言っているわけではないのです。もっと大きな角度から、一体これだけの投資をして、これが正確にいったかということを言っているわけですから、その耐震ということだけでなくて、全般的にどうなったかということを聞いているわけです。
  37. 菊池正士

    菊池参考人 その全般のこまかい数字を、私今ここに資料を持っておりませんけれども、それが予算価格を大幅に上回っておるということは、絶対にないと思っております。こまかい数字につきましては、後ほどはっきりしたものをお出しするようにいたします。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大幅だ、小幅だといっても、実際はできなかったことですから、できなかったことについての批判といいますか、反省というものは、私は十分にすべきだと思うのです。それから耐震の問題も同じことです。これは初めからわかっていることですから、それを突き詰めていけばまた時間がよけいに延びますから、耐震の問題については、あと設計を変更したというようなことでは、問題は明確になっていないと私は思うのです。それは結論的に突き詰めていけば、今駒形参考人も言われたように、当時の日本には能力がなかった。CP5を注文しましたが、それ以外の仕様については、何も日本には能力がなかったのです。これは私事実だったと思うのです。この事実の上に、そのことが設計されたと思うのです。ですから、私たちはそれでいいと思うのです。当時の状態からいって、それはそれで仕方がなかったと思う。しかし、今日振り返ってみてどうだという反省をしなければ、いつまでたってもくさいものにふたをした上で積み上がっていくわけですから、この間も大臣が言われたように、原子力行政は神代の時代だ、これでは私は務まらないと思うのです。  そこで、AMFのもう一つの問題の、三菱との問題ですけれども、三菱とAMFというものは、一体いつから下請関係に入ったのですか。
  39. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 私の記憶では、いつからと的確に申し上げられるほどのはっきりした年月を覚えておりません。しかし、われわれがAMFと交渉する際に、各社に勧誘したことは、国産化の一助として、日本の下請を使うことができるかということを聞きました。それに対して、AMFは三菱とやる用意がある。まだやっていないという返事がありました。従って、私の了解では、それから先のこまかい日時はわかりませんが、われわれがAMFにきめたというときに、初めて三菱と関係ができたというふうに了解しております。
  40. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、CP5型を作るために三菱が下請契約を結んだ、こういうことなんですね。
  41. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 私は、そう了解しております。実験CP5原子炉の技術の下請になるための契約をしたと了解しております。
  42. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 CP5型を作るための条件というものは、そういうものが条件になっておったということになるのですか、駒形参考人
  43. 駒形作次

    駒形参考人 今の問題につきましては、国産化に資するような工合にしたいというのが、こちらの条件でございまして、三菱と結ぶということは、ただそれは三菱と結んだというふうに私は考えております。三菱は、もともとウエスティングハウスと協力の関係にある会社でございますから、動力炉関係はそっち、研究川の炉の関係はどこかウエスティングハウス以外のところもやっておるということで、そういう結果になったのではないかと思っております。
  44. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 AMF以外でも、日本のある業者と下請関係を結んでもいいという会社が、当時出てきたというふうに伝えておりますけれども、それはなかったんですか。
  45. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 私の記憶では、私自身がACF及びGEに勧誘したと思っております。条件をそろえるということをわれわれとして努力したために、しかも、そういうようなことを原子力局並びに原子力委員会にも相談した結果、それはよかろうというような御賛成もありましたので、そうやった記憶がございます。しかし、AMFだけが日本の下請を使う用意があるという返事を受けたと記憶しております。
  46. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、はかの会社はなかったということなんですね。
  47. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 その当時、CP5については、この入札についてはやらないということでありました。
  48. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、CP5型をきめたときの応札条件といいますか、その点が、先ほどは日本能力がないときめながら、だんだんと条件が出てきたのですけれども、その条件というものは、一体個人的に担当しておった人が、条件を一万キロときめてみたり、日本業者を使えと言ってみたりしたのですか。それは、具体的にどこの会議できめてやったんですか。
  49. 駒形作次

    駒形参考人 はなはだ恐縮でございますけれども、ちょっと今の御質問に、どういうなことにお答えしたらいいのか……。
  50. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 出力が高い、一万キロがいいということは、どこの機関でもきめていないわけですね。原子力委員会でもきめていないし、何もきめていないわけです。それからもう一つは、国内業者を使えというのも、何もどこでもきめていない。だから、それは一万キロというものが——CP5型というものについての仕様日本で書いたものではないと、先ほど御答弁があったのですから、またそのようなものを作る能力がなかったとあなたが答弁されたんですから、そうすると、今度は、国内業者を使わなければならないと、今嵯峨根参考人が各業者に言ったという、この国内業者を使わなければならぬというのは、だれがどの機関できめたのですか。それから一万キロだというのは、どこの機関が条件としてきめたのですか。こういうことをお伺いしているわけです。
  51. 駒形作次

    駒形参考人 そういう条件として考えるということをどこできめたということになりますと、それはやはり原研理事会で話をいたした。そうお答え申し上げます。   〔委員長退席、小川(豊)委員長代理着席〕
  52. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 原研の幾日の理事会できめたのですか。
  53. 駒形作次

    駒形参考人 九月三日の理事会でAMF決定したというように、資料にも出ております。今ここで何月何日だということにつきましては、私どうもはっきり何月何日ということをお答え申し上げられないのでありますけれども、ここにもありますような工合になっておると思います。
  54. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 CP5型設置に関して審議した議事録というのを、私は正式に要求したわけです。それで、私のところに正式に、このCP5型設置に関しての議事録が出ているのですけれど、残念ながら、原子力研究所CP5型を審議した議事録というのはないのです。ここに出ているのは、研究所年報の写しをとってきただけなんです。そうすると、CP5型は、原子力研究所では、理事会の議事録は今日までなし、こういうことになるのです。AMFをきめたときも、正式には議事録はないのです。それで、理事会できめた、こう言うのです。AMFをきめた九月三日の理事会の前に、今嵯峨根参考人が言われているように、日本業者を下請にした方がよろしいということで、それに勧めた。一万キロというのを四つの会社に言っておるわけですから、それは、だれがどこできめたのか、こう聞いておるわけです。どうなんでしょうか。
  55. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 私の記憶では、こういう特に初めての契約であるために、仕様書が非常にはっきりしてなかったということは確実であります。従って、こういうことがあった方がいいという希望条件が、幾つかついてきていた次第でございます。それについて、こういうことがある、これをどの程度重要視するかというようなことを、理事会のときに話し合いをしたという記憶を持っております。それが当時の原研理事会の語録として残す習慣として、非常に重要な、しかも決定したものだけ残すという習慣があったために、残念なから落ちていたのじゃないかと思います。非常に遺憾だと思いますが、それがこれほど重要なものであるかということの認識が不足していたことは、確かに反省すべきものと思います。しかし、そういう幾つかの要求の因子についての話し合いについて、原研ではこういうふうに考えて審議を進めているということは、随時原子力委員会もしくは原子力局にも報告をし、しかも、その監督の立場にある方々から御賛同を得てやったことでございます。そういう意味で、あまりにも明白であるという意味からも、議事録から落ちていたのかとも思います。契約の過程として、入札前にもちろんこういう条件が満たされるかという話し合いを幾つかいたしまして、先ほども言いましたように、中性子束がここまであって、しかも使いやすいということがどこまであるかというような話し合いは、こういう数字が出る前に話し合ったことであります。そういうときの過程を、先ほど私が申し上げたわけであります。
  56. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今の経過の中で、原子力委員会とそれから原子力局は、具体的にいつどういう報告があって、どういうふうに指示を与えたのでしょうか。
  57. 杠文吉

    杠政府委員 お答え申し上げますが、残念ながら、私は当時の関係者でございませんでしたので、責任をのがれるわけではございませんが、資料によって調介するよりほかございませんが、そのようなことの資料を、残念ながらいまだ発見しておりません。どういうような連絡のことがあったということは、議事録によっては発見いたしておりません。
  58. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 原子力委員会はどうですか。
  59. 石川一郎

    石川説明員 一般的なことなんでありますけれども、外国から物を買うときに、できるだけ円払いをする方がいい。もちろん、非常にドルが不足の時分でございましたので、そういう考えを持っておりました。いつ御相談があったか忘れておりますが、それはいいだろうということは申しました。要するに、円払いをできるだけ多くすることはけっこうだ、こういうことは確かに申したと思っております。いつということは、これは常識であって、今度のたとえばコールダーホールに対しましても、われわれは、円払いができるだけ多い方がいい、こういう考えを持っております。
  60. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 CP5型をめぐっての購入は、聞けば聞くほどわからないのです。初代の安川理事長にきのう聞いたのですが、これは、私が六月になったときには、もう大体大詰めにきてきまりかけておったのです、ですから、財団法人原子力研究所の時代からです、こう言われておったわけです。それで、そのAMFにきめたファクターの一番大きなものは何かといえば、この三つです。この三つのものをきめたところが、実はどこも不明確なんです。結局一番大きなファクターというものは、AMFが三菱にくっついたからやったんだ、結論的に今考えてみますと、これが一番大きなファクターにしか上がってこないのです。ですから、その点を私は明確にしようとすればするほど、原子力委員会理事会でも、議事録がない、原局でもよくわからない、こういうことであっては、これほど膨大な二号炉ですから、原子力研究所としては一番大きな仕事なんですから、また、原子力研究所理事会としても、これが一番大きな仕事なんですから、この決定までの間に、こんな不明確なまま出されてきたということは、私は大へん残念だと思うのです。そして仕様書はどうかといえば、日本には能力がなかったという。能力がなかったようなあいまいな仕様書の中で出てきたものが、何かに近づけるための条件というものが、だんだんできているわけです。これでは、私は大へんなことだと思います。
  61. 西村力弥

    西村(力)委員 お尋ねしますが、閣議でCP5型の原子炉を原研に設置する、こういう工合決定があったあと、応募者をつのられたわけですが、その応札の締め切り期限をいつにしましたか。
  62. 杠文吉

    杠政府委員 私は、ただいまのことにお答えするわけではございませんが、勝澤先生から、ただいま原子力委員会における議事録もないということをおっしゃいましたようにたしか拝承したのですが、ただいま資料としてお手元に差し上げてあります第四十二回臨事委員会議事録、昭和三十一年九月四日、火曜日、これにございます。
  63. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは原子力委員会ですよ。私の言っているのは、原子力研究所の議事録です。
  64. 杠文吉

    杠政府委員 先ほど私、原子力委員会と聞き間違えましたので……。
  65. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 原子力研究所CP5型の議事録が、一枚もないということを言っているのです。
  66. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 さっきの西村君の質問に対して、だれが答えるのですか。
  67. 西村力弥

    西村(力)委員 これは答弁がないのですが、それを募集した主体者というか、それは一体どこなんですか。原研ですか、局ですか。それはもちろん原研じゃないですかね。こういうものを作るから、希望者は応じてこいという工合にしたのは、原研だろうと思うので、原研に御答弁願わなければならぬことになりますが、締め切り期日をいつに設定したか。
  68. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 私が適当かどうか存じません。というのは、私は六月二十五日に拝命になりましたので、仕様に近いような要求を出したのは、財団法人原子力研究所のときでございました。その後において、一体いつ締め切りにするかという問題は、話し合いが済んでからというような話がありまして、当時の日記をつけてもおりませんし、はっきりした日時の記憶を私は今持っておりませんが、内部で議論をした結果、何日にしようという話し合いをした記憶を持っております。何月何日であったというのは、調べればどこかに記録が残っていると思います。はなはだ不明快な答弁で恐縮ですが、私の記憶はその程度しか今残っておりません。
  69. 西村力弥

    西村(力)委員 こういう入札を求める場合は、締め切り期日というものは明確でなければならぬ。それから条件というものも明確でなければならぬでしょうが、その条件というのは、こっちで仕様書を作る能力がなかったので、向こうの出方を見てそれを設定する、こういうような立場だったようですが、これは残念ではあるけれども、当時としてはやむを得ないかとも思われるのですが、ただ締め切り期日や何かを明確にしないままに入札に移すというようなことは、私たちとしてはどうも理解できないのですが、それは記録をお調べになればおわかりですか。
  70. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 こういうような点については、すでにして契約の担当の方に移っておりますので、私の了解では、原研の経理の担当者でわかると思います。入札をあけるということは相当大事なことでありますので、何月何日にあけたかということは、はっきりそちらに出ておるはずだと思います。
  71. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、どうもはっきりしないのですが、各社が応じてきた月日、三十一年のどの社が一番先に何日に応じてきて、AMFがおくれてあとで来たということはみなわかっておるが、AMFはいつごろ申し出てきたか、こういう点はおわかりになるでしょうか。
  72. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 はなはだあいまいな記憶しか持っておりませんが、まだ原研が始まって規定その他を一生懸命やっておった時期でございますので、七月中だと了解しております。
  73. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、われわれの常識からいうと、九月には原研ではAMFと契約するということをきめて、それを原子力局長にこうきめたから認めてもらいたい、こういう申請書を出しておるわけで、九月の初めだということになると、締め切りは、七月に申し込んだとすれば、七月末だとか、区切れのいいところだから、七月末というようなことになっているのではないかと思うのです。そうしますと、七月末から九月七日に決定するまでの一カ月の間に、いずれに決定するかということの諸調査が行なわれたということになるわけです。このAMF選定する調査期間というのは、一カ月間だけだということなんですね。九月七日に原研決定して、それを原子力局長あてに出しておる。だから一カ月だ、こういうところが、私としては非常に疎漏ではないかと思う。一カ月の調査で、的確な判定というものは見出し得るかどうか。しかも、こちら側としては仕様書も書けないような状態にあって、そうして能力が不十分であるこちらの側が、一カ月間にどの社がいい、こう断定するにはあまりに短期間ではないか、こう私たちは思う。ところで、AMF信用度をどう調査したかときのう聞きましたところが、銀行に頼んで、経理、経営の状況、資産の状況、こういうものを調べた。そうしたならば、よかったということでありますが、それは大群なことでしょう。けれども、もっと大事なのは、技術の水準ではなかろうかと私は思う。それについては、いろいろ原子炉のCP5型の経験はないけれども、原子炉に対する経験は豊富だ、こういうことであるが、その豊富だという工合にこちらで判定をした公式な調査資料というものはありますか。ただそれとなく問い合わせたところがよかったというだけで、どこかの機関に頼んで文書で出してもらったという資料がありますかどうか。
  74. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 質問に対する原研側の答弁は、非常に不明確で、もう少し明確に答弁できる人はおりませんか。
  75. 駒形作次

    駒形参考人 この資料の……(「資料が不明確だから聞いているのだよ」と呼ぶ者あり)AMFで原子炉は、この契約当時におきまして相当数やっておりました。
  76. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうことをただ耳にはさんだ程度ではおかしいと思う。だれか責任ある人がそういうことを証明した、こういうことがなければ、僕はいかぬと思う。相当多数——十基ほどやったという。最初杠局長は二十基やったという。それは今やったんで、その当時は十基だ、こういう工合答弁を直しておるのですが、十基というのは、一体どことどこをやった。それを責任あるものに依頼して、あるいは責任ある原研の当事者がじかに向こうに行って調査した。それの報告書はこれだ、こういうところがあるかないかと、私はお聞きするのです。私の調査では、当時はAMFは原子炉を二基しかまだ経験がなかった。それを、相当あった、十基程度あった、こういうことでは、これが信憑性を持つんだという工合に私は考えられない。そういう公式の調査のデーター、そういうものは、どういう方法でとられて、その報告はどういう形で、公式にというか、具体的に出されておるか。そこのところを一つ明確にしてもらいたい。技術水準の調査はどうしてなされたか、そういう工合に私の質問を切りかえてもよろしいですがね。
  77. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 当時としてやりました技術水準の調査、及びでき上がる原子炉についての予想の判断というようなものは、原子力研究所技術者と、それからAMF設計担当者との話し合いを何回か繰り返した上で、これは筋が通っている、これはほかのものに対して怪しい——怪しいというよりも、少し劣っているというような判断をされまして、私も横で聞いていたわけでありますが、そういう点で、最後のころには、AMFとACFとの比較ということになったわけであります。ACFも、きのう藤岡委員の言われましたように、ACFの技術者は、非常にはっきり設計について説明をされました。AMFについては、必ずしも設計がはっきりしないことがあって、余分な時間をとりました。それは当然のことでありまして、CP5について、すでに設計をして作っている会社のものと、これからCP5自体を——原子炉としての経験はありながら、CP5として初めてである。従って、CP5の研究炉を使うという利便という点の議論について不明確なところがあったので、私の記憶では、その点については、ACFの方が点がよかったということを記憶しております。しかし、今御質問のあるように、世界の権威者にこれを聞きにいくという手段は、当時とりませんでした。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 AMFから来ておるセールスマンというのは、何という方ですか。その人の前歴は、どういうことですか。
  79. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 前歴については、はっきり覚えておりませんが、セールスマンは、ブーテールという人が来ております。技師としては、フォルツァという人が来ておりました。フォア・ネームは、今はっきり記憶しておりません。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 ミスター・ブーテールは、時計屋が商売だ。それが神代時代の原子炉のセールスマンに変わってきたわけでありますが、そういうセールスマン、あるいはAMFから来ておる技術者についてのみ技術信用度を調査するというようなことは、向こうは売らんかなの立場でしょうから、それを全面的に信用するというようなことは、これはちょっとおかしいじゃないか。AMFは、私たちがちょっと見ますると、他社は五千キロワットしかできないのだ、こう言っておるのにかかわらず、一万キロワット、こういう工合に未経験の分野を売り込んできておるわけです。これはめくらヘビにおじずというようなAMFの態度じゃないか。おくればせながらばんといいところを出してきて、そして割り込もうとしたわけですがね。そういうような状況で入札に応じてきたAMF社の信用度、技術水準の問題を、向こうの会社の技師からのみこれを聞いて、それをうのみに信用するということは、いささか問題があるのではないかと思うのです。そういうことですから、どうもはっきり経験があるということについては、一体どこどこに何基やって、その成果はどうなんだというようなところまで突っ込んだ炉の調査が行なわれないんじゃないか、そういうことが行なわれないままに進められたんじゃないか、こういうことを私は感ぜざるを得ないのです。  そうしてもう一つは、原子力局にあなたの方で出された申請書を見ますと、ACFよりもAMFには原子力関係技術者が相当多数おるんだということも書かれております。そういうことも、やはり技術者の言と、セールスマンのミスター・ブーテールの言を信じて、そういう工合にされたのか、そこは調査なさったのか。それも結局そういう関係者の言うことを信じたということに相なると思うのですが、それはどうでしょう。
  81. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 今の御質問について御答弁いたします。  当時において、必ずしも今の御質問のように、全面的にブーテールの言うことを信用し、フォルツァの言うことを全部信用し、というほどの態度はとりませんでした。同様にACFに対しても、それほどの態度はとりませんでした。従って、たとえば一つの例としては、出力がほんとうに出るのかというように、相当にこちらは食いついたということもありました。全面的に信用したわけではありませんが、結果において、それを信用したという形になっておるということは承認いたします。で、ACFについて、それでははたしてどれだけのことがACFで今までやられていたかということになりますと、ACFには、確かにアルゴンヌの経験者が何人か行きました。しかし、それはある一部を受け持った人が行ったのでありまして、全部の人が行っていないことは知っておりました。しかも、ACFがAMFに比較してたくさんの炉を今まで作った経験があって、できた炉がどれだけのことがあるかということを努力して調査いたしましたが、これはございませんでした。建設中のものがある。従って、一つあったのは、ACFに行った技術者が、アルゴンヌにおいて作った経験がある。しかし、アルゴンヌにおいて作ったCP5そのままではないということは、同じような条件だと私たちは認めたわけであります。従って、ある面においてはACFの方がすぐれておる。ある面においてはAMFの方がすぐれておる。総体として、技術の面ではACFの方が少し上らしい。しかし、昨日も繰り返しましたように、ほかの条件とも全部勘案してみますと、どうもAMFの方が少し上だというふうに原研判断いたしまして、こういう基準の判断でというので、先ほども申しましたように、原子力委員会及び局に報告をして、もちろん、正式な会議で正式に決定というのではございませんが、報告をして、その考え方がよかろうというところで決定したのでございます。
  82. 松本一郎

    ○松本政府委員 昨日といい、本日といい、勝澤委員さんなり、西村委員さんなり、また自民党の木村公平先生なり、るる御質問でしたCP5の問題については、先般の当決算委員会において、私もお答え申し上げました。そのとき、疑惑のままで事を遷延することは、国民に対して申しわけない。また国会の威信にも関するし、こと原子力に関する限りは、将来非常に重要な産業であるだけに、この際できるだけ調査研究、究明いたしましょうというお約束をいたしました手前、実は昨日からお答えをと思いましたが、きのうといい、きょうといい、原研参考人方々を中心に御質疑が行なわれておりますので、私は御遠慮申しておりましたけれども、依然としてAMFと契約のことについては、まだ疑惑が残されておるように思いますので、私の調べましたことを一応御報告して、御了解をいただきたいと存じます。  もっとも、特殊法人である原研の経理の内容を、政府側の自分があまり立ち入ることはどうかと思いますけれども、こと監督官庁として、こうなれば相当突っ込んで調べさせたということも、当然のことでございます。三十一年の九月三日、契約を締結するということを決議した原研理事会の議事録というものを調べましたが、この議事録には、三十一年度の原研の事業予算を決議することになって、いわゆる実行予算は決議になっております。その中に、CP5を購入する予算が決議になっております。また当然金額も書き入れてあります。しかしながら、AMFと契約を締結するということは明記されておりませんので、この点、勝灘委員が議事録にないではないかということになった、これはごもっともと思います。しかし、その前に、ちょうど一週間ほど前ですが、八月二十七日の理事会において決議になっておりますことが、いろいろあります。その中に「CP5炉契約に関する件」という議題のもとに、AMF社炉の仕様見積もりも聞き終わったので、原子力局とも相談の上、いよいよ契約相手方の最終決定も近い旨の報告がなされ、なるべく早く成契——いわゆる契約を成立させることに努力することとしたということが議事録に明記されております。記録製作は大久保という係が作って、認印も押してあります。ゆえに、私の想像ではありますけれども、八月二十七日の理事会において、AMFCP5の契約をするという意思は一応ここで固まったのではないか。従って、一週間後の九月三日の理事会においては、いろいろ出張旅費その他人件費の予算の決議もありますが、そのとき、この予算の中にCP5を購入するという決議がありますので、AMFとは書いてないけれども、大体AMF考えて九月三日の理事会で決議がされたのだというふうに一応考えられる。これが原子力委員会なり、また科学技術庁の原子力局に報告となって現われております。従って、これが年報になって出ておるのじゃないかと思われます。他の会社との関係がどうであったとか、あるいはどういう点でAMFをいいと選んだのかというようなことは、昨日来いろいろ御審議願った通りでありまして、今申し上げましたような点が、大体私どもが調べ上げたところであります。  それからいま一つは、AMFとの契約は、さっきの九十八万ドル何がしですが、三菱との契約は五十一万四百五ドル、これは契約書の第八条に書かれておりまして、三菱グループとはもう支払いも大かた完了しておるはずですが、まだ仕事がおくれたために未払いの点もややあるようです。   〔小川(豊)委員長代理退席、委員長着席〕  それから実際でき上がりと予算面において食い違いがきたということも一応調べてみましたが、結局三菱に対する支払いは五十一万四百五ドル、いわゆる一億八千三百七十四万五千八百円という、この契約金は支払ってあります。しかし、これは予算通りです。超過もありませんし、余剰もございません。予算だけ支払って、一応でき上がり。それからアメリカAMFとの関係は、これは九十八万四千五百九十五ドル、これに対してどうなったかというと、これは先ほど菊池理事長のお話のごとく、地震関係設計変更追加というものが四万二千三百四十五ドル、これが追加になった。それからスーパー・バイザー、これが工事がおくれたために四万四千四百三十七ドル追加になっておる。それから技術者も派遣してくれというので、この追加分というものが一万五千四百十七ドル、これらを総計いたしますと、百四十九万五千ドルでAMFと三菱グループと契約になったものが、結局総決算は百五十九万七千百九十九ドルということになりまして、予算からほぼ十万ドルの超過ということになるわけであります。それらが工事が遷延したということじゃなかろうか、こう考えておりますので、なお御疑問の点もございましょうけれども、一応こういうことで、予定より大へんおくれたということは残念しごくでありますが、ともかく原研とされても、今後ともこういう問題になることはよもあるまいと思いますけれども、すべての御事業の遂行に一つ国民に納得のいくように——「不思議な国の原子力」というような書籍も出ておりますが、ああいうことのないように、一つ原研も御努力願いたい、こういうことを心から思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  83. 西村力弥

    西村(力)委員 科学技術庁の方に対しては、後日またやらなければならぬと思いますが、参考人に来ていただいておりますので、こちらを重点として、もう少し私の関連質問を許していただきたいと思います。  技術水準の信用度の調査というものは、第三者的な立場において何ら求めなかった、行なわなかったということに結論がなかったわけなんですが、それではお尋ねしますが、当事原研理事もしくは監事、そういう役員に、こういう仕事に携っている財閥関係から出ている人々が、どれだけおりますか。
  84. 駒形作次

    駒形参考人 当時の理事者というのは、理事長安川、副理事駒形理事が今泉、木村、久布白、杉本、嵯峨根、監事が岡野、柴沼であります。財界というか、産業界ということでありますが、安川さんは、安川電機の関係なんかはすっかりなくして、専任していられたと思います。それから監事の岡野さんは、前の三菱重工の社長をしていられたのでありますけれども、清算の方の仕事をやっていられたという関係の方であります。あとは大学からおいでになったり、理化学研究所からこられた方、なお役所から参った者、そういった者でございます。
  85. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、財界に直接的な関係を深く持っておる人は、岡野監事だけだという今の御答弁でありますが、その監事という役割は、理事ではないのだから、職責上は直接の責任も関与する権限もないでしょうが、私たちは、そういう点について、わずかの期間でAMFにきめられたというようなことに対する疑問がある。監事という重職に三菱重工業の清算人の岡野保次郎氏がおることと関連づけられて考えられてならないのです。そういう点は何ら関係はない、こういう工合皆さん方はお考えになっていらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 駒形作次

    駒形参考人 岡野さんという方は、非常な人格者でありますし、今のCP5のみの問題ではなくして、全般的に、三菱など眼中に置かない方であると申し上げていいと思います。実際にいろいろな問題に対しましてそういうことが一切なかったということは、これは私、申し上げることができると思います。
  87. 西村力弥

    西村(力)委員 ことしの新年号の中央公論を見ますと、これには岡野氏が原研の中におったのではとてもかなわないという競争社のため息が出されたということが書いてありますけれども、そういうことばかりじゃなく、先ほど申しましたように、おくれて締め切りすれすれにきたのが、一カ月の間において十分なる信用調査もなされないままにAMFにきめられていったという経過を考えますと、疑問というものが残るわけです。しかし、これは今駒形さんのおっしゃった確信があるという言葉を、私は信じて参りたいと思うのです。それは何も確証があるわけじゃなく、私の感じだけを申し上げて、この点に関する関連質問を終わりたいと思います。
  88. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 実は、この原子炉の問題はきょうで一応終わりたいということで、われわれもそのつもりで進めてきたわけですけれども、今聞いておると、この問題に対するAMF決定の根拠として、一としては、当時の入札価格が安かった。二に、一万キロの容量に沿い得るものはAMFのみである。三には、国内メーカーの手で据付ができるということ。それから信用がこのAMF社はあるということ。技術もすぐれておるということが、今の答弁の中から出てきたのですが、これらに対して、そういう根拠があるかどうか、その点の答弁はきわめて不明確なんです。これでは、きょうあげるというわけにいきません。しかしながら、参考人はそれぞれ忙しいからだであり、きょうは用があるから午前中でという話を前もって聞いておりました。従って、この問題はもう一日あとで日をとるということにして、その日時の決定等は委員長から理事会に諮ってきめてもらうということにして、あとは米軍の爆撃演習場の問題と、さらに原子炉の問題で、調達庁からせっかく来てもらっているので、これに対して久保委員から質問があるそうですからきょうは、あと久保委員質問で終わっていただいて、参考人は、それぞれ忙しいそうですからこれでお帰り願ったらどうかと思います。
  89. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ただいま小川委員から議事進行について御発言がありましたが、久保君に申し上げますが、まだ参考人にいてもらう必要はありますか。
  90. 久保三郎

    久保委員 お願いします。
  91. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 それではちょっと私から申し上げますが、参考人方々は、午前中というような約束をいたしました。しかし、もう何分か一つおいでをいただくことにいたします。久保三郎君。
  92. 久保三郎

    久保委員 それでは、大へん参考人の方に申しわけありませんが、一、二お尋ねをいたします。  まず第一に、嵯峨根参考人にお尋ねいたします。先ほどの御答弁の中で、CP5の材料試験の点について言及されました。これもできたらやろうというお考えであったように述べられておりますが、そうでございましょうか。
  93. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 当時の考え方としては、イギリスに一万キロで材料試験を目的としている炉が建設中でございました。現在から見ますと、イギリスには、一万キロの材料試験炉は三つございます。そのほか、デンマークとかオーストラリアにも、一万キロで材料試験炉が動いておりますが、そういうような見越しがありました。CP5も、十の十四乗出れば、不満足ではありますが、最初のうちは、やれるという期待が持てるというのが、われわれ技術者側の意見でございます。こういうことでよろしゅうございますか。
  94. 久保三郎

    久保委員 先ほどのお話とただいまのお話と、少し違いますが、要約して申し上げれば、できたらやろう、こういうお話のように聞いておるわけでありますが、大体途中で中央孔の設計変更、あるいは燃料棒の問題、こういうことは、あとからの設計変更というか、支障が出てきたわけですね。そうしますと、重水の問題も、七・五トンから九トンにふえていく、こういうことになりまして、できたらやろうということでなくて、当初の設計材料試験もやるというので導入されたと、われわれは考えざるを得ないわけであります。これは途中から燃料棒の問題、こういうことでできなくなったのが現実ではないだろうか、こういうふうに私は考えるのですが、いかがでしょう。
  95. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 その点については、まだ現在確定しておりません。昨日も菊池参考人からお話がありましたように、炉本体といたしましては、適当なる燃料を入れれば、一万キロ出る見込みが十分ある——私自身が了解しておりますのは、熱出力一万キロをとるだけの施設をしてあって、その予備試験が済んでいる。しかも、もう一つ核的にも十分上がり得るという見越しがついたと報告を聞いておりますので、現在まだ一万キロに上がるという確証はないのでございますが、一万キロ上がる可能性は十分にあると、私は了解しております。従って、現在やれる、やれないという返答をするには早過ぎるというふうに了解いたします。従って、一万キロ出る場合には、イギリス並みの材料試験炉に使えることになる。それには燃料という問題がもう一つはっきり入ってくるということを申し上げて、これで御回答になったと思います。
  96. 久保三郎

    久保委員 そういう回答で、一万キロ出れば材料試験もできるという御見解のようでありますが、われわれは専門家ではございませんからよくわかりませんが、ものの理屈からいって、今のような状態でいけば、燃料棒が当初の見込みからいけば倍になる。あるいは中央孔も、これは設計変更している。結局重水の量は多くなっているわけです。実験する場合に、当然重水を抜かなければ、その余裕ができないということにもなりはしませんか。そうした場合には、おそらく実験するだけの余裕が出てこない、いわゆる余剰の能力というのは、このCP5は持たないのではなかろうかという疑いもあります。この点はどうなんです。
  97. 菊池正士

    菊池参考人 一万キロになった場合の余剰反応度の問題だと思いますが、これは現在いろいろな推定をやるような十分な資料をとりつつありまして、そうして現在のところ、余剰反応度は相当持っております。さらに現在、その実験孔を入れます材料試験炉のループの設計も進めておりますし、材料試験と申しましても、これは程度が非常にございまして、今の炉でいろいろな種類の材料試験ができるということの確信は、十分持っております。それから材料試験をする方法につきましても、この数年間非常に進歩いたしまして、これらの設計された当初、数年前に考えられたことよりも、もっとずっと能率のいい試験方法もわかって参りました。現在、あの炉がこれから当然一万キロに達すると私は確信しておりますが、その暁には、あの炉は、材料試験用として十分使えると確信しております。
  98. 久保三郎

    久保委員 では、その問題はまたあとお話しましょう。  先に急ぎますが、今度の四号炉の問題でございます。これは原子力委員会にお尋ねするのですが、その前に、この四号炉に関連して、ちょうど嵯峨根参考人は原電の役員でもございますので、お尋ねしたい。原電として二号炉をこの二月にきめられたというふうに聞いておりますが、この二号炉の導入についてきめられておりますか。
  99. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 間違っていたらもう一ぺん質問をし画していただきますが、私なりに了解しました御質問の趣旨としては、原子力発電会社で二号炉を導入しようということが決定したかというように伺いましたが、私の了解しております現在の状態は、二号炉を導入するつもりで調査をしてみてよろしい。調査の結果、非常によければ導入するし、そのときには、あらためてもう一ぺん取締役会ではっきりお諮りして入れます、というふうに了解しております。
  100. 久保三郎

    久保委員 原子力委員会にお尋ねしますが、原子力委員会では、発電二号炉の建設は、軽水冷却型が適当である、こういうふうに指摘されておりますが、これに変更はございませんか。
  101. 石川一郎

    石川説明員 第二号炉につきましては、今嵯峨根さんからお話しのように、もう少し外国の事情をよく調べまして——これは一年か一年半かかると思いますが、それから御決定なすったらいいだろう。それから長期計画にも、二号炉は大体濃縮ウランを使う方の炉を入れたらよかろう、こんなふうになっております。まだそれがいいか悪いか、安いかどうか、経済上の問題もわかりませんので、もう少し調べてでなければ、詳しいことは申し上げかねます。
  102. 久保三郎

    久保委員 これはあなたの方の原子力開発長期計画でございますが、これは先ほど申し上げたように、二号炉を軽水冷却型が適当であるということで、もちろんそのためには調査団の派遣も必要である、こういうことを書いております。それに関連して、この四竹炉の問題でありますが、四号炉も同様、軽水冷却型である。本来ならば、四号炉の建設費、そして実験の結果に基づいて導入するということが、最初の計画ではなかったかと思う。これはどうなんですか。
  103. 嵯峨根遼吉

    嵯峨根参考人 動力試験——JPDRにつきましては、本来ならば、契約に近い準備は、つい昨年の九月——約二年少し前に準備はできておりましたが、これは軽水炉自体の中に、いつまでたってもなかなか解けない問題が残っている。それは主として燃料関係だったのですが、そのほかにもございます。従って、動力試験炉を入れるのが適当であるということで、それを導入し始めました。ところが、そのときもわかっておりましたが、大きな炉をやっていくには、小さな炉と違うこともたくさんありますが、小さな炉からの経験がいつも非常に役に立つ。しかし、小さな炉について全部のことがわかったところで、大きな炉がうまくいくとは限りません。そこで、もっとほかの勉強が必要になる。そこで、御趣旨のように、本来ならば軽水型の炉が、小さな動力試験炉が全部できて、いろいろな経験を経て、その経験に基づいてさらに勉強した上で大きな軽水炉をやるというのが、一番の趣旨だと存じます。しかし、産業界の要請は、必ずしもそうのんびりしておられません。イギリスもやった以上は、軽水炉もやったらどうか。軽水炉にも非常にいいところがある。しかし、最終的に覚悟がつくまで十分な調査がついておりませんので、現在やっておりますが、動力試験炉ができ上がるまで待たなくてはいけないという理由は、われわれははっきりそう考えておりません。実際問題としては、軽水炉は、もう昨年の九月から始まって、約三年近所でできますので、先ほど言った大きな動力炉の二号炉というものが本格的に契約になる時期には、ある程度相当な技術的解釈が成り立っていくということを期待しておるわけであります。しかし、発電会社として、何月何日にこれを導入するなんということを覚悟をしておりません。従って、十分に調査した上で、確信がつけば、もちろん取締役会で決定の上で、そちらの方へ動くということもあり得る。また、覚悟がつかなければ、もう少し待ってからやるということも、十分あることを私は了解しております。趣旨としては、御質問のように、全部済んでやるというのが一番いいとは思いますけれども、必ずしもそれが絶対満足しなければならない条件とは思っておりません。しかも、動力試験炉自体は、たとい実際の大きな動力炉が動き出しましても、燃料その他において非常に役に立ついろいろな経験をそこから得るという意味で、二つどうしてもあっていいものであります。よく、ある学者から、動力試験炉の意味がなくなるじゃないかという発言もありますけれども、それは十分に討論すれば、わかることと私は了解しております。
  104. 久保三郎

    久保委員 産業界としてはそういうものを待っていられない場合もあるということで、この原研のJPDRが完成して、試験の結果を見てからというわけにはいかない。これはそうかもしれません。そうなると、原子力委員会並びに原研として、嵯峨根参考人の後段のお話もあるけれども、当初の計画からいうと、だいぶ模様が違ってきています。これはある人の言うことでありますが、六十五ページに「軽水冷却炉の研究開発については動特性、核過熱等の研究にJPDRを最大限に活用する。」こう書いておりますが、この書いたいきさつについておもしろいことを言っておられる方があります。これは何とか理由をつけなければ困るじゃないか。だから、これには核過熱等の研究を入れればいいじゃないかということで入れたといういきさつを漏らす人もおります。われわれとしては、しろうとでありますから、御説明をそのまま受け取るほかはございませんが、どうもこういう点も不明朗である、こういうふうに思うわけです。いずれにしても、原子力の平和利用は今さら言うまでもございませんが、民主的に、自主的に、そしてこれは公開性を持っていなければならぬということは、今申し上げる必要はないのであります。ところが、CP5の契約、あるいはその建設、これだけとっても、これまで審議しても、なかなか国会そのものでもよくわからぬ。どうも幾多の疑惑が出てくるということがあるわけです。  そこで、私は時間もございませんから申し上げるのでありますが、このコールダーホールの導入の問題にからんで、その当時の原子力委員会の一応の結論としては、あの周辺にあるところのいわゆる米軍の射爆場の問題が、一つ大きな問題になっております。この条件は、言うまでもなく、これが運転開始されるまでには、これはどこかへ移動してもらう、こういうのがまず前提になっておると思うんです。これについては、科学技術庁、あるいは原子力委員会、あるいは原研、そういう方々は、今日までどういうふうに考えておられるのですか。御案内の通り、原子力研究所に隣接した米軍の射撃演習場のいろんな事故は、今まで国会でも何べんか取り上げられた。ところが、最近までその演習を継続しておる。今ちょっとの同これは中断しておりますが、これはどういう関係かわかりません。少なくとも、危険性の問題からいっても、まずこの問題にめどをつけなければ、これからそう長い期間じゃないうちに発電炉が動き出すということでありますので、これに対する大よその見通しがなければ、大へんなことだと思います。そればかりじゃありません。もう一つは、原研あるいは原電、こういうものを含めて、あの周辺地区に今まで予定されたものは、六基か七基ある。こういうものを持っていって、ああいうところで、はたして立地条件としてそれだけの収容が可能であるか、こういうものも検討されておるかどうかわからぬ。地元の人間としては、万が一の場合を予想せざるを得ないのです。だから、まず第一に、科学技術庁並びに原子力委員会、あるいは原研にお尋ねしたいが、原研を含めた隣にあるところの米軍の射撃演習場の問題については、今いかなる見通しを持ってやっておられるか。これを一つ伺います。
  105. 杠文吉

    杠政府委員 確かに御質問の通り、あそこに米軍の射爆場があるということは、望ましい状況ではございません。原子力局といたしましても、でき得るならば、射爆場は他の方へ移動してもらうという考えを持っております。つい先日でございますが、三月二十二日と二十四日に誤投下があっております。二十二日の誤投下は、原研の本館から約三キロ離れておりまして、これが一番近いところであります。二十四日には、逆に原研と射爆場とは、反対側の方に誤投下されております。そこで私の方の長官からも、直ちに外務省及び調達庁を通じまして、在日米軍司令部の方へ抗議を申し込み、原因の徹底的究明ということ、それから射爆場の使用中止について申し入れしましたところが、バーンズ司令官から、原因は徹底的に究明する、また、当分の間使用は中止いたします、というような回答がございました。また、聞くところによりますと、茨城県の知事の岩上さんが四月末に渡米なさって、向こう原子力施設をいろいろごらんになるそうですが、そのついでをもちまして、米軍司令部にも、射爆場の返還、及び国務省に対しても、同様のことをお願いされるそうでございます。われわれも、これは非常にいいことじゃないかと思いまして、歓迎しているところでございます。何しろ、原子力研究所ができる以前に射爆場はすでに米軍が使用しておりまして、原子力研究所はそのあとであそこにできまして、ただいまも御質問がございましたコールダーホール型は、その後に設置されることになったのであります。コールダーホールの安全審査におきましては、現在の射爆状況等につきましては十分に検討されまして、差しつかえはないという結論は出ております。出ておりますが、先ほども申し上げますように、誤投下という問題は、必ずしも射爆場との距離ということだけではございませんので、今後とも原子力局あるいは科学技術庁においても、十分に米軍の方に注意を促して、誤投下のないように、そしてできれば返還をしてもらいたいというふうな態度で臨んでいきたいと思います。
  106. 久保三郎

    久保委員 あなたの立場から言えば、できれば返還してもらいたいと言うごときは——あなたは原子力の行政を全体としておあずかりになっている局長さんでしょう。そうだとすれば、できればという態度では、原子力の開発なり発展というものはできないのじゃないですか——というよりは、むずかしいんじゃないですか。むしろ、あなたの立場は、もっと積極的でなくちゃならぬはずだと思うのですが、どうですか。
  107. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 ちょっと久保君に申し上げます。十二時までという参考人方々希望ですが、参考人はお帰りになってよろしゅうございますか。そうしてあとに原子力局長と調達庁の真子次長が来ておりますから。——それでは参考人各位には御多忙中のところ、長時間にわたり、本委員会調査に御協力をいただき、まことにありがとうございました。委員長より厚くお礼を申し上げます。御苦労様でございました。
  108. 杠文吉

    杠政府委員 できればと申しましたのは、非常に消極的ではないかというおしかりでございますが、確かに、積極的に返還について努力したいという気持は一ぱいでございます。私たちの所管に関する限りにおいては、今後とも積極的に、返還なりあるいはその移動について働きかけたいと思っております。
  109. 久保三郎

    久保委員 大体、ああいうところに爆撃演習場がある姿のままで動力炉の大きいのを入れてきたりすること自体に問題があったと、私は思っているわけです。これは、将来何とかなるだろうという期待が半分あってやってきたのではないかと思う。そうだとすれば、事志とだいぶ違ってきているわけですね。原子力の発電なりあるいは研究なりをあの姿のままでやろうとしても、あれ以上一個もふやさぬということであっても、危険だということはおわかりだと思う。もう少し詰めた話をなぜしないのだ。単に抗議を申し入れたというだけでなくて、もっと上の段階で話をすべき時期だと思う。それから、もう一つ、あなたが言うのには、あそこに爆撃演習場があっても、これは差しつかえないのだという結論を出した。その結論の根拠は、今まで明確でない。ただ心配ないのだという地元説得の一つ方法だけであって、理論的な根拠は何も示されてない。それならば、原子力局か科学技術庁かわかりませんが、損害評価の報告書を公表しておりますか。これ自身も、公表がはっきりしてないじゃないですか。これはどうです。
  110. 杠文吉

    杠政府委員 御指摘の通りに公表はしておりません。目下局内において検討中でございます。
  111. 久保三郎

    久保委員 一番大事な災害評価の報告書が検討中であるにもかかわらず、すでに原電の建設は始めてきている。射爆場はそのままで一つも前進はしないということは、大へんなことだと思うのです。検討を終えてから、それじゃあそこに建設を始めましょうというのなら、話はわかる。検討中のものをそのままにしておいて建設を始めること自体に、問題がある、科学技術政務次官、いかがですか。
  112. 松本一郎

    ○松本政府委員 射爆場の問題は、最近のごとく東海村の原子力研究が進みますと、非常に重大な問題だ、こう私どももかねがね考えております。従って、当議会におきましても、予算委員会あるいは科学技術特別委員会、また衆議院のみならず、参議院におきましても、しばしば御質問がありまして、そのつど長官が御答弁に当たっております。本日も、こういう問題の御質問があれば、ここに長官がまかり出てお答えいたすのが本義でございますが、科学技術特別委員会が別室で開かれておりますので、かわってお答え申し上げますが、先般来私も現地を視察いたしました。また、岩上知事にも会いました。また、土地の方々の御意見も伺って、しろうとではございますが、距離的に見て非常に危険だという感じは、多分に持っております。従って、なるべく早く射爆場を返還してもらうとか、どこか他の適当な所にかわってもらうとか、あるいは取りやめてもらうとか、いずれかしないと、コールダーホールも動き出すということになれば、万々一ということもなきにしもあらずだから、ことに地元の御不安はひとしおであろうと思います。でありますから、この問題は、技術の問題もさることながら、多分に政治性を持つ問題でございますので、池田長官、外務大臣あるいは防衛庁長官、また総理にも、このことについては強く訴えております。しかし、事アメリカとの関係でございますので、こちらの思うようにそう急に参るということは、うまくいけばできるし、都合によるとややおくれる。これがなるべく早くという言葉になりますので、安保条約との関係もあるし、世界情勢の見通しもあります。そのうちに世界が大軍縮時代にでもなってくれば、おってくれといったっておりやせぬので、これは本来非常に広範な、複雑な問題と関連を持ちますが、しかし、そうかといって、漫然と日をむなしゅうするわけにもいきませんので、何とかせねばということで、この三月から、東海村の上だけは誤爆があってはどうもならぬからということで、標識を作ることにいたしました。これが三月末から標識ができまして、夜昼なしにあの上へは落ちないことになるだろうと思うのです。しかし、万一ということがありますから、先般池田長官は、三月の二回の誤爆について、米空軍の方へ強く注意を喚起して、今後絶対にそういうことのないように一つ御注意を願いたいという意見を申し述べて参りました。当分やめるというのですが、半分が長くやめてくれればそれに越したことはないし、また始めるかもわからぬが、しかし、標識がありますから、東海村の上だけは落とさないだろうと思います。しかし、万一ということも考えて、ともかくできるだけ早く取りやめてもらう、返還してもらうということにしたいものだ、こう考えます。まあ見通しとしては、私も直接外務大臣や、また防衛庁長官や、あるいは調達庁長官と相談したり、米軍と相談したわけではございませんが、長官から聞くところによりますと、そう長くは使わないと思うということを言っております。これはアメリカのケネディ大統領の政策にも関連を持つでしょうし、幸い池田総理も、この六月にアメリカに行かれますから、事はこまかいようであっても、茨城県にとっては重大な問題であります。いずれにしても、十分アメリカに話をするということにしてもらいたい、こう思っておりますので、これは一つ皆さんの御協力をいただかぬと——党派の問題ではございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
  113. 久保三郎

    久保委員 政務次官のお話は、高座でも伺っているようで、茨城県の人に聞かせれば、これは大へんしかられるのじゃなかろうかと思います。というのは、標識を立てておるから、まあ大丈夫だろうと思うが、万々一あるかもわからないとか、あるいはそのうちに軍縮になれば、いてくれと言ってもいなくなるということですが、そういうことを私はお尋ねしておるのではなくて、原子力の行政をあずかる政務次官として、やはりもう少しはっきりした態度をお示し願いたい。私が御質問しているのは、災害評価報告書がなぜ公表されないのか。検討中とは、いかなる検討をしておるのか。検討が終わっておらぬのに、それで炉の建設が始まるというようなことでは、これは大へんなことだと思います。これは茨城県ばかりじゃありませんよ。災害評価報告書がどう出るかわかりませんが、この報告書いかんにかかわる実態は、どうかということです。そうしますと、この国会に住んでおる人間だって、安閑としておられない問題が出てくる。これは、いわゆる原子力平和利用の原則に反するということなんです。こんなことはもうおやめなさい。  時間もありませんから、射爆場一つに集中します。調達庁からもおいでになっているからお尋ねしますが、この射爆場については、正式な日米合同委員会というか、その小委員会といいますか、そういうところに、最近は話を持ち出した事例がございますか。
  114. 眞子傳次

    ○眞子政府委員 御指摘の、先月二十二日及び二十四日の再度にわたりまして、水戸射爆場周辺で誤投下事件がありましたのに対して、このことは、これまでにお話しになった通り、まことに遺憾な出来事でありますので、従来から、この種の事故に対して厳重抗議し、注意を喚起し、またその事故の起こらないようにいろいろ工夫されてきておるところでありますが、今回の両日にわたる事故につきましても、合同委員会を通じて厳重に抗議をし、重ねて絶対にこういうことを起こさぬように考えてもらいたい、手段を講じてもらいたいということを話をいたしまして、米側は、その事故の原因を目下検討いたし、結論に近くなっておるように思います。米側は、一時演習を中止して、その検討をいたしておった次第でありますが、本日合同委員会がありまして、長官がそちらへ出席しておりますが、この問題がその議題の一つになろうかと存じております。
  115. 久保三郎

    久保委員 これは本日、日米合同委員会へ持ち込んでどうこうということで、やっているそうでありますから、その結論はどう出るか。調査の結果、あと継続してもよろしいという結論が出るかもしれないが、出たら、大へんなことだと思う。これは本来ならば、大臣が閣議の席に持ち出すべきです。この問題は、単に東海村の問題ではないのでありまして、日本原子力をどうするかの問題なんです。それと射爆場の問題です。だから、なるほど皆さんの方のお立場になれば、日米安全保障条約というものは大へん大事なもののようでありますから、それに基づくところの施設提供ということになりましょうが、日本国には、さらにもう一つ、あなたの方の立場に立っても、原子力の開発というものは大きな命題です。その命題に対して支障がありとすれば、やはりこの辺で——それは向こう関係もあるかもしれませんが、これは一つ取っ払ってほしいということを強力に、トップ・レベルの段階において交渉すべきであって、調達庁長官と三軍の司令官と会って、そうしてやるようなものではないと私は思う。一地方の問題じゃなくて、日本全体の問題です。でありますから、近い機会に閣議に持ち出されますか、どうなんですか。また、池田総理も、国会が終わればアメリカへ行くそうであります。先ほどのお話のように、これは小さい問題であるかというと、小さい問題じゃない。なるほど東海村自体の問題なら、小さい問題ですが、日本全体の問題です。だから、これは小さい問題じゃないから、総理がケネディと会談するなら、その際これを一つの題目にするなりなんなりして、交渉をおやりになるよう勧める気持はございますか。
  116. 松本一郎

    ○松本政府委員 お説ごもっともです。私も、久保委員と同意見を持っております。従って、先般来実地を拝見し、また議会における御意見等も——私の選挙区ではなくても、決して事の重大性を軽視しておるのではございません。私が長官であるかあるいは外務大臣であれば、あすにでも返還してもらいたいという気がやまやまいたしております。しかしながら、池田長官も非常に熱心に言われております。従って、閣議の席上でも、また、かりに公開されなくても、交渉は、他の閣僚あるいは総理とされていることと私は思います。また、幸い総理が六月から向こうへ行かれますので、必ずこの問題は、総理大臣御自身がアメリカ首脳部と交渉すれば、存外早く、年内くらには片づくのじゃないか、私はこう思います。私がなるべく早くと言った意味は、そういう意味で、決して無責任なことを申しておるのではありません。長官もそうですが、私も池田総理に会って、先般来の御意思と現地を視察した状況を——誤爆はないとは言うものの、ないとは限らぬのです。現に三月二十二日、四日にあったのですから……。これからはもうやらぬとは言うけれども、飛ばせば、ないとは言えぬ。標識を立てれば安全かと思いますが、しかし、標識くらいで安心しているわけにはいかぬ。ですから、ぜひ返してもらいたい。先般来ちょっと内容を聞いたら、他に適当な場所があるか、こういうお話ですけれども、そんなものはない。海の上でやったらどうかと、こちらが言うたくらいです。こういうことになれば、もう党派の問題じゃございません。日本人の感情は一つですから、そういう意味で長官にも伝え、また総理にも伝えますから、どうか一つよろしく御了承願いたい、こう思います。
  117. 久保三郎

    久保委員 政務次官のお話を聞いておると、非常に春風駘蘯でありまして、きょうのような陽気のようで、あまり緊迫感もないように感ぜられる血がある。しかし、大体おわかりの通り、茨城県ばかりでなく、四国の方まで被害は参りますから、その点はやはり十分肝に銘じていただきたい。冗談はさておいて、少なくとも近い機会に、池田長官が閣議でもってその発言をするかどうか。あなたはそれを御相談なさるかどうか。最後に一言言ってもらえばいいのです。
  118. 松本一郎

    ○松本政府委員 お説よくわかりました。ともかく、このことは長官とも相談をいたし、池田総理も、ぜひそのお気持でアメリカで交渉する、こういうことにしたいと思います。幸い、アメリカまで持っていかずとも、日米の合同委員会で協議ができればよろしいが、しかし、事はひょっとするとこちらでは片づかぬかと、私どもこう思いますから、幸いな機会ですから、池田総理にこのことは間違いなく申しますから、よろしく御了承願います。
  119. 久保三郎

    久保委員 最後に、原子力局に資料要求をしておきます。  災害評価報告書を出してほしい。それからもう一つは、敷地基準というか、局長がおっしゃった射爆場があってもコールダーホールを入れて差しつかえないという科学的な根拠、そういうものがあるなら、公表してほしい。それから、逆転層の実験の結果を出してほしい。それからもう一つは、原電の設置許可申請書。それから第七小委員会の報告書。これだけさしあたり資料として出してほしいのですが、いかがでしょう。
  120. 杠文吉

    杠政府委員 第一のいわゆるハザード・リポート、災害評価書につきましては、目下検討中でございますから、なるべく早く検討を終えまして、差し上げたいと思っております。それから、あとのものは直ちに差し上げたいと思います。
  121. 久保三郎

    久保委員 検討中であるものを出してほしい。
  122. 杠文吉

    杠政府委員 なるべく早く取りまとめまして、差し上げます。
  123. 久保三郎

    久保委員 それは、検討中のものを出してほしいというのですよ。取りまとめじゃない。取りまとめは必要ないでしょう。御検討いただいているものを、私は出してほしいのです。
  124. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長 久保君に申し上げます。ただいまの久保君の要求は、まことにごもっともだと思いますが、今の研究中のものを出せというのは、なかなかむずかしいことでございます。そこで、委員長が取り計らいをいたしたいと思いますが、さよう御承知を願いたいと思います。  委員諸君に申し上げます。議題になっております日本原子力研究所会計に関する件に関しまして、今後の調査方針は、後刻理事会において御相談いたすことにいたします。  明日は、通産省所管決算について、審査を進めます。  本日は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時三分散会