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菊池参考人 私、まだ御
質問がございませんが、一言いたしたいと思います。
契約の当時、私はいませんでしたが、その後いろいろやって参りまして、その後のやり方につきましても、われわれはいろいろまずかった点があったと思います。たとえば、仕事のおくれその他も、われわれの方のやり方で、もっとおくれないようにすることもできたのではないかと思います。ただ、先ほどの
お話を伺っていて、はなはだ心外に私として思いますのは、
藤岡さんも、現在の
CP5がどういう状態でやっているかということは、あまり御存じない。現在の
CP5は、決して悪い炉ではございません。非常にいい炉でございます。この点は強調しておきたいと思います。ただ、今問題になっておりますのは、フュエルであります。フュエルの問題というのは、今
世界じゅうで一番むずかしい問題でありまして、燃やさないフュエルを持ってきて、これがどこまで燃えるかということを事前に
判断するということは、非常にむずかしい問題であります。そこで、いろいろな問題が起こったのでありますけれ
ども、これをフュエルができたときに、
AMFが非常にロー・パワー、低
出力しか許さなかった
いきさつがありまして、この
いきさつは、
AMFの非常にロー・パワー、低
出力を主張する、
原因を、われわれ非常に追及いたしましたのですが、私は、これは決して
技術的な
判断でないと思いましたので——当時
日本の新聞その他で、これはわれわれにも誤りがございましたけれ
ども、
AMFに対する非常な窓口が放たれたわけでございます。これは実際国際慣習的に見て、あれだけの悪口を言われたということは、
AMFとしては耐えられるところじゃなかったと思いますが、それはわれわれ自身も、事に触れてちょっと新聞社の方にも困ったとかなんとか言ったことに端を発しておるのでありまして、われわれも
責任を感じますけれ
ども、あのときに言われた悪口の大
部分は、私は、
日本として取り消すべきものだと思っております。あれは国際的な不信行為だと、私は感じております。そういうことがありましたもので、
AMFとしては、ここで
燃料を入れてやった場合に、何か起ったら、これはもう大へんだ。自分の方の——その当時、
AMFは
日本でほかの商売もいろいろしておりまして、副社長なんかも私のところに参りまして、どこに商売をしにいっても、お前はあの
AMFかと聞かれるということで、非常に困っていたわけであります。それでここでまた何か起こされて非常に困るからということで、低
出力に
向こうは主張したわけです。われわれは、どこまでも追及して、その低
出力の
理由を
技術的に追及したのですけれ
ども、ついにわれわれの満足するものは得られなかったわけであります。
AMFは、
燃料を作るのではなくて、M&Cが
燃料を作って、
AMFがインスペクトしてリコメンデーションを与える、そういう形になっております。しかし、それがわれわれはどうしてものみ込めなかったものですから、こちらからわざわざ人をやりまして、その事情をすっかり調べまして、大体は
AMFああ言っているけれ
ども、これは決して
技術的な根拠ではない。もっと何かいろいろ根拠を含めてああ言っているんだと
判断をしましたので、そのとき神原氏が
アメリカに行って、すっかり調べて、一度帰ってきてもらいまして、こちらですっかり検討した結果、この
燃料なら、われわれとしては三千キロなら安全にいける。一万キロまでだって、やってみる価値は十分にある。そういう考えを持っておりました。ただ、われわれとしては、それまで上げる
段階で、フュエルの
一つ二つ、あるいは三つでも四つでも、被覆が破れて、回っている冷却系に放射能物質が多小は出る。出るにしてもごくわずかだけれ
ども、多小は出ることはあろだろう。そういうことは覚悟しなければ、フュエルの
研究なんかできるものではない。だから、われわれはそういうことを覚悟してやる。それが実際に従事している
研究員にも何にもあぶないことはないんだから、私はそれをやろうと思いまして、
AMFが非常な低
出力の運転を勧めておりましたのですけれ
ども、私
どもはそれを引き取って、それで
AMFの言うことにはかまわず、われわれはそれを上げていこう、そうい決心で引き取ることを
原子力局の方にも依頼したわけであります。それ以来、あれでもって
出力上昇の実験をとめられるようなことなら、もう私は
原子力の
研究なんかやるのはいやだとまで腹をきめております。それで、もちろん
出力上昇をやる前に、低
出力の運転の
期間がどうしても必要でございます。ですから、その
期間が二月十五日まで、ちょうどそのときにギャランティも切れることになります。これはそれまで
AMFの
技術者もおりますから、
AMFの人がそうまで言っているところで、その面前で
出力上昇をして、そして何か問題を起こしたらつまらぬからということで、二月十五日までは遠慮いたしました。二月十五日に
AMFの
技術者が帰りました
あとで、準備をして、その
出力上昇をやったわけです。千キロまでは、何の問題もなしに上がっております。今その
期間に、アルゴンヌのスチブンスという
CP5の
専門家が来ております。その人の見解を聞きましても、この炉で一万キロ出せないことはないと断言しております。現在の
燃料でも、やってみる価値は十分あると言っております。もちろん、中途で
一つ二つ、それは
燃料の被覆が破れるというようなことは起こるかもしれません。起こっても、何も危険はないのであります。それをおそれていたら、今後の
原子力の
研究なんかできないと思っております。あの炉が悪いということが非常に言われますけれ
ども、私は、今のところ、あの炉はちっとも悪いとは思っておりません。ただ、
燃料に非常に問題がある。この
燃料の問題は、
世界的な問題で、どういう
燃料がいいとか、悪いとかということを
判断するということになると、非常にむずかしい問題になる。その問題にからんで、これは非常に残念な
いきさつでございますけれ
ども、これはもちろんわれわれにも罪がありますが、世間を全く妙なふうにお騒がせしてしまったという感じを非常に深くするのであります。もう小しそっとしておいたら、
AMFもああいうことは言わなかったであろうし、そうなれば、
出力もあの
燃料ができたときに順調にすっと出せたのじゃないか、そういう感じさえ、私はしております。もちろん、
契約その他の点でもっと十分な
契約ができていれば、いろいろ今のような問題はなかったのじゃないかということは、一ぱいあります。しかし、
AMFも、
保証期間を延ばすことを承知しまして、そしてその
期間に、現に炉の中の相当の
部分について無償で改造もやっておりますし、決して世間で伝えられているほど、
AMFの実績が悪いわけではございません。われわれとして、もちろん、こまかい点でいろいろ言いたいことはございますけれ
ども、それはどこの
会社でやったって、文句のないようなことはないだろうと思います。先ほどからの
お話を伺っておりますと、何か非常に悪いものを買ったということの前提ですべての話が進んでいるように思いますけれ
ども、私は、今決してそういうふうに思っておりません。