○山田(長)委員 私から申し上げるまでもなく、ジェトロの仕事は、
海外に日本の製品を売るための、いわば触角
機関みたいなものだと思うのです。この触角
機関みたいなものが、
活動を開始せずにおるとするならば、まことに申しわけない結果になると私は思うし、それから
貿易の自由化がもう目の前にくる感じをひしひしと受けるわけです。そういう事態になっておりますときに、
輸出業者はこれを唯一のたよりにしている人もおるだろうし、それからまた新聞、雑誌、通信等で仕方がなくジェトロをたよりにして、交際の金を出している人もおると思うのです。こういう人たちのことを考えてみたときに、このジェトロが生きた血をどんどんこれらの業者の人たちにも通わしてやることによって、
海外の進出がそれによってできるとするならば、設立の意義があると思うのですが、さっきも同僚委員の木村さんから
質問がございましたが、役員の
理事長の席に杉さんがすわっておって、聞くところによると、月に十日来ておるということですが、私にはそんなに来て活躍しておるとは思われないのです。私は、全然知らぬで
質問しているのじゃないのですが、とても来るどころじゃなくて、これはシャッポだと思うのですよ。これは私は、副
理事長の長村さんが会長のいすにすわってもいいと思うのです。形式的に、実はよく
政府の外郭団体には、年とった人で社会的に名望を今まで保っている人ならば、これを会長にかつげばいいだろうというようなことでかついで、それで動脈硬化になっておる機構がたくさんある。当
決算委員会で扱っている機構の中にも、それがいくつも今までの中にあるわけですけれども、各省で一番多いのは農林省、運輸省ですが、何百という外郭団体がある。まず農林省だけでも、おそらく三百近いでしょう。運輸省またしかりであります。運輸省も二百六、七十の外郭団体がある。通産省もおそらくそれに匹敵する外郭団体があると思うのですが、私は外郭団体ができるのがいいとか悪いとか言っているのではない。ほんとうに仕事をしてくれれば存在意義があると思うのですが、今度の場合だって、杉さんは
大阪の商工
会議所の会頭をやめたといっても、おそらく月に一ぺん来るか来ないかです。そんな状態に置かれておると私は思うのです。
民間人の登用なんかも、ほとんどなされていない。
審議会だけは
民間人を入れて開かれているようですけれども……。この点は、自由化を前にしては、もっと責任体制を明らかにして、仕事をもりもりやってもらいたいと思うのですよ。さっきも木村委員の
質問にありますように、何となしに役人の功成り名遂げた
局長クラスの人たちが、全部これに入っている。一人か二人は入っていないが、これまた役人上がりである。このことによってまことにうまく役所との連絡はつくかもしれないけれども、実際の
貿易なんというものは、役所との連絡だけのことじゃないと私は思うのです。それは実際
民間人の中から登用して、
審議会だけはとにかく
民間人の——おそらくこれは財界関係者が出ている団体だと思うのですよ。我田引水、だれが自分の仕事場に水を引かないなどということを、
審議会のメンバーの中におられる人たちだけが言われないと断言できますか、と言いたいのですよ。それよりも、実際実務に携わっている人たちをどんどん採用して、それで非難などをなからしめるための体制を作ることが必要じゃないかと思うのです。そういう点では、首脳人事の今の状態も必要でありましょうけれども、さらに必要な
民間人で
貿易に明るい人たちを採用して、急激な世の中の変化に対処してもらいたいと思うのです。そういう点で、私は副
理事長にもお願いするが、
政府当局にもお願いしたいのですよ。最近の
貿易の自由化を前にしては、一つ思い切って日本の
中小企業家の生きていく道——これはここで話すべき筋合いのものではないかもしれぬが、関係のあることだから申し上げますが、ことし農林水産委員会に出ている農業基本法などを見ますと、果樹園芸をかなり中心に奨励することになる。ところが、今までの
貿易では、ミカンとリンゴが
海外に出ただけで、ほかの果樹はほとんど出ていない。しかも果樹園芸は、
横浜と神戸の商人に独占されておる。思い切って畜産と果樹の奨励をしても、この
横浜と神戸の港の商人が品物の選別をして、業者はよい品物を出しているにかかわらず、選別をされて、半分くらいは年じゅう安値でたたき売りされてしまって、
貿易などと言っているが、とても今度の果樹
振興などでは及びもつかぬことで、百姓だってこれでは本気になって田畑を果樹園芸のためにつぶすことはなかなかできぬでしょう。しかし、反二千五百円の
補助金を出されて、裸麦が作れないという状態になってきますと、いやでもおうでも果樹園芸、あるいは畜産の方向へ日本の農業が持っていかれるということになるのですが、そういう場合においても、この
振興会の仕事が活発であれば、これは今のような神戸の商人や
横浜の
貿易商人に独占されて青息吐息、せっかく苦労して作り出した農作物は、
横浜の人や神戸の商人に選別されて、そこでまた半減されてしまうというようなことがなく、
海外の
市場にやはり青果物なども進出できると思う。ですから、そういう隘路はたくさんある。しかも、各地の果樹園芸の仕事に携わっている団体等が、今
政府の方針でどうやっていいのか、苦労している最中ですよ。こういうときに、
民間人に手をどんどん差し伸べて、隘路の開拓に——
貿易振興会も通産省も、そういうことで困っている人たちの仕事の隘路の個所を知っている人がいると思うのですが、そういう点でぜひ一つ思い切った内容の刷新をやってもらいたいと思うのです。これは運輸省の人たちが、国鉄一家で運輸の外郭団体というものを固めてしまっていますが、このジェトロの機構を見ますと、通産省でもやはりそれと同じように、外国
貿易の仕事だとか、あるいは通産省関係の仕事で外郭団体をこしらえるときに、通産省におられた人が全部横流れして入っているという印象を受けるのです。私は、こういうことをやっておったのじゃ、日本の産業の育成というものはなかなか容易じゃないと思うのです。そういう点で、
貿易に関係ある日本のあらゆる部面で人事の刷新をやって、新たな人の登用にお力添え願いたいと思うのです。そういう点について、政務次官と長村副
理事長の御意見を伺いたいと思うのです。