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1961-03-23 第38回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十三日(木曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 丹羽喬四郎君 理事 三和 精一君    理事 小川 豊明君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    大上  司君       久保田藤麿君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       森本  靖君    山田 長司君  出席政府委員         通商産業政務次         官       始関 伊平君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     井上  猛君         工業技術院長  後藤 以紀君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局振興部         長)      生駒  勇君         通商産業事務官         (公益事業局経         理参事官)   宮本  惇君         通商産業事務官         (工業技術院調         整部長)    堀坂政太郎君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    阿部 久一君         会計検査院事務         官         (第四局長)  宇ノ沢智雄君         参  考  人         (日本貿易振興         会副理事長)  長村 貞一君         参  考  人         (日本貿易振興         会理事)    村田  恒君         参  考  人         (日本貿易振興         会経理部長)  斎藤  勤君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十三年度政府関係機関決算書  昭和三十三年度国有財産増減及び在額総計算  書  昭和三十三年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十三年度物品増減及び現在額総計算書  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書  日本貿易振興会会計に関する件      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和三十三年度決算外三件、及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、本日は、通産省所管について審査を進めます。  まず、通産政務次官より、両年度決算概要について、説明を求めます。始関政務次官
  3. 始関伊平

    始関政府委員 ただいま議題となっております通商産業省所管経費決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について、御説明いたします。  昭和三十三年度歳出予算現額は百二十三億九千九百万円余でありまして、これを歳出予算額百八億三千七百万円余と比較いたしますと、十五億六千二百万円余の増加となっておりますが、これは総理府所管よりの移しかえ額三億九千三百万円余、予備費使用額六億四千三百万円余、前年度よりの繰越額五億二千五百万円余による増加であります。  歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百十二億五千万円余でありまして、翌年度繰り越しました金額は八億二千八百万円余、不用となりました金額は三億二千万円余と相なっております。  以下、三十三年度におけるこの経費執行につきまして、そのおもなる事項大要を御説明いたします。  第一に、貿易振興及び経済協力費でありますが、歳出予算額は十七億三百万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額一億三千九百万円余及び予備費支出額四千百万円余を加えまして、歳出予算現額は十八億八千四百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は十五億七千九百万円余、翌年度繰越額は一億九千四百万円余、不用額は一億一千万円余となっております。  貿易振興施策といたしましては、海外市場の開拓と販路の拡張をはかりますため、海外広報宣伝事業拡充強化市場調査充実及び貿易あっせんのための在外機関整備拡充を行ないますとともに、国際見本市等への参加、輸出品意匠改善輸出検査整備等を積極的に推進いたしましたが、特に貿易振興中核体を確立して輸出振興をはかりますため、別途経済基盤強化資金より二十億円の政府出資を行ないまして、特殊法人日本貿易振興会を三十三年七月に設立いたしました。また、ブラッセルの万国博覧会に参加し、わが国伝統的手工芸品と、近代産業製品展示宣伝を行ないましたほか、中南米十一カ国に巡航見本市船を派遣いたしまして、中南米市場に、日本商品紹介宣伝を行ない、多大の効果を収めたのであります。  第二に、中小企業対策費でありますが、歳出予算額は十一億四千五百万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額九千六百万円余及び予備費支出額五億八千万円を加えまして、歳出予算現額は十八億二千百万円余となっております。これに対しまして支出済み歳出額は、十五億八百万円余、翌年度繰越額は三億一千万円余、不用額は百万円余となっております。  中小企業対策費のおもなる項目支出につきまして、御説明いたします。  まず、中小企業設備近代化等補助金でございますが、この経費は、中小企業振興資金助成法に基づいて、中小企業経営合理化のための設備と、中小企業等協同組合共同施設の設置に必要な資金貸付を行なう地方公共団体に対して補助を行ないますためのものでありますが、三十三年度における支出は七億円となっております。この制度によりまして、中小企業設備近代化のために、総額十四億七千九百万円余の貸付が二千四百企業に対して行なわれ、中小企業合理化近代化に寄与いたしたのであります。また、中小企業等協同組合共同施設につきましても、総額三億四千百万円が三百二十三組合に対しまして貸し付けられ、これにより、品質の向上、コストの引き下げ等組合員事業合理化を促進いたしました。  次に、中小企業団体中央会補助金でございますが、この経費は、中小企業等協同組合法に基づいて設立されました全国中小企業団体中央会、及び四十六の都道府県中小企業団体中央会が行ないます事業補助でありまして、三十三年度におきましては、五千万円の支出を行ないまして、組合事業活発化をはかり、組織による中小企業合理化安定化に多大の効果を上げたのであります。  次に、中小企業診断指導費補助金でありますが、この経費は、地方公共団体の行ないます中小企業診断事業に対しまして交付いたしました補助金であります。三十三年度に九千万円余の支出を行ないまして、工場診断商店診断産地診断等実施し、中小企業経営合理化技術向上等に大きな効果を上げたのであります。  次は、中小繊維工業設備調整補助金であります。この経費は、繊維工業設備臨時措置法に基づいて行なわれます過剰綿スフ及び絹人絹織機処理に要する経費の一部補助でありまして、当初一億二千万円の予算を計上いたしまして処理する計画でございましたが、前年度から引き続きました繊維不況深刻化に伴い、昭和三十三年八月の閣議決定による繊維不況打開のための施策の一環として、過剰織機の繰り上げ処理を行なうこととなりまして、このため、五億八千万円の予備費支出を行ないまして、合計七億円の予算をもちまして広幅換算二万六千台を処理いたしまして、その後の織布業者の立ち直りに貢献したのであります、支出につきましては、処理手続未済が一部ございましたため、支出済み額は、前年度繰越額九千六百万円余を含め、四億八千五百万円となり、三億一千万円余は、翌年度への繰り越しとなっております。  第三に、科学技術振興費関係でありますが、歳出予算額は三十四億六千万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額二億二百万円余、及び総理府所管よりの移しかえ額三億八千二百万円余を加えまして、歳出予算現額は四十億四千五百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は三十八億一千百万円余、翌年度繰越額は二億円余、不用額は三千二百万円余となっております。科学技術振興わが国経済発展のための基本的問題であることにかんがみまして、通商産業省の十一の試験研究所に対しまして、民間試験研究機関では行ないがたい基礎的、総合的な試験研究を行ないますための特別研究費支出いたしましたほか、科学技術の急速な進歩に伴いまして、これら試験研究所設備を整備し、近代化いたしますための経費支出いたしました。   〔委員長退席丹羽(喬)委員長代理着席〕 また、わが国鉱工業技術向上に寄与すると認められる民間応用研究工業化試験を積極的に助成いたしますために、鉱工業技術研究費補助金五億二千三百万円余を、件数にいたしまして百四十一件に対して交付いたしました。  第四に、公共事業関係費でありますが、通商産業省所管公共事業関係費としましては、工業用水道事業費鉱害復旧事業費がございますので、それについて御説明申し上げます。  まず、工業用水道事業費でございますが、この経費は、工業地帯における地下水のくみ上げによる地盤沈下の防止と、工業立地条件改善とを目的として布設されます工業用水道事業費の一部を補助するための経費でありまして、歳出予算額は五億円でありまして、これを前年度よりの繰越額四千万円を加えまして、歳出予算現額は五億四千万円となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は四億三千四百万円余、翌年度への繰越額は一億二百万円余となっております。  三十三年度事業実績といたしましては、北伊勢第一期及び尼崎第一期の繰り越し事業を完成いたしますとともに、大阪市、横浜市、北九州の三カ所の継続事業と、仙塩愛知県営北伊勢第二期、磐城徳山南陽地区の五カ所の新規事業実施いたしました。  次に、鉱害復旧事業費でございますが、この経費は、臨時石炭鉱害復旧法に基づいて行なわれます鉱害復旧費の一部を補助するための経費でございまして、通商産業省所管といたしましては、公用公共用建物家屋復旧費があります。三十三年度におきましては、七千八百万円余の支出を行ないまして、七百四十八戸の家屋と十九件の公用公共用建物を復旧いたしました。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計歳出決算に関する御説明を終わりまして、次に、当省所管の各特別会計決算について御説明申し上げます。  第一にアルコール専売事業特別会計でございます。  この会計は、アルコール専売法に基づいてアルコール製造収納販売等事業企業的に運営するために設けられましたものでありまして、三十三年度収納済み歳入額は三十一億一千八百万円余、支出済み歳出額は二十七億九千七百万円余でありまして、従って歳入歳出を超過すること三億二千万円余であります。また、この会計損益計算上における利益は五億三千万円余でありまして、この利益のうち、一億八百万円余は固有資本増加に充てることとし、残余の四億二千百万円余は一般会計へ納付いたしまして、決算を結了いたしました。  第二に、輸出保険特別会計でございます。  この会計は、輸出保険法に基づいて政府の行なう輸出保険事業経理を明らかにするため、昭和二十五年度に設置されたものでありまして、三十三年度収納済み歳入額は六十億二千五百万円余、支出済み歳出額は五億七千二百万円余であります。  三十三年度における保険引き受け件数は二十万七千件でありまして、前年度の一六%の増加、また保険金額は、千六百七十六億円で、前年度の三七%の増加となっております。  第三に、中小企業信用保険特別会計でございます。  この会計は、中小企業者に対する信用補完制度として昭和二十五年十二月発足したものでありますが、三十三年度において、この会計を発展的に解消して、新たに設立されました中小企業信用保険公庫にその業務を引き継ぐことになりました。従いまして、この会計事業活動期間は、四月から六月までの三カ月間であります。  三十三年度収納済み歳入額は二十四億八千百万円余、支出済み歳出額は五億九百万円余であります。  第四に、特別鉱害復旧特別会計でございます。  この会計は、いわゆる特別鉱害物件を急速かつ計画的に復旧するために、特別鉱害復旧臨時措置法に基づいて昭和二十五年度に設置されたものであります。この復旧事業は、三十二年度をもっておおむね完了いたしましたが、未払金等処理を行なうため、三十三年度まで存置することといたしましたものでありまして、三十三年度収納済み歳入額は九千五百万円余、支出済み歳出額は二千六百万円余であります。  第五に、特定物資納付金処理特別会計でございます。  この会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づいて、国庫に納入される特別輸入利益金受け入れと、これを財政投融資財源に充てるため、産業投資特別会計繰り入れに関する経理を明らかにするため設けられたものでありまして、三十三年度収納済み歳入額は二十五億五千四百万円余、支出済み歳出額は二十四億六千八百万円余でありまして、この支出額のうち、産業投資特別会計への繰り入れ額は二十四億六千五百万円であります。  以上をもちまして、通商産業省所管特別会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  最後に、本決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受けました点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。今回、指摘を受けましたものは、中小企業設備近代化等補助金財源とする府県の貸付金の運営に当を得ないもの七件で、国旗補助金相当額にして四百万円余であります。指摘金額全額を県の特別会計返還を命じ、現在全額収納済となっておりますが、今後はさらに、事前調査及び完了検査等の徹底、貸付事務実施体制充実等につきまして、より一そうの指導監督を行ないまして、かかる事例の絶滅に努力する所存であります。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計及び特別会計決算の御説明を終わりますが、なお、御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  次に、三十四年度における通商産業省所管経費決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算につきまして、御説明いたします。  昭和三十四年度歳出予算現額は百四十二億二千五百万円余でありまして、これを歳出予算額百二十九億六千三百万円余と比較いたしますと十二億六千二百万円余の増加となっておりますが、これは総理府所管よりの移しかえ額三億一千七百万円余、予備費使用額一億一千六百万円余、前年度よりの繰越額八億二千八百万円余による増加であります。  歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百三十二億七千八百万円余でありまして、翌年度繰り越しました金額は七億一千万円余、不用となりました金額は二億三千五百万円余となっております。  三十四年度におけるこの経費執行につきまして、そのおもな事項大要を御説明いたします。  第一に、貿易振興及び経済協力費でありますが、歳出予算額は二十億二千五百万円余でありまして、とれと前年度よりの繰越額一億九千四百万円余、及び予備費支出額七千百万円余を加えまして、歳出予算額は二十二億九千百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は十八億八千三百万円余、翌年度繰越額は三億四千五百万円余、不用となりました額は六千百万円余となっております。  貿易振興につきましては、世界貿易における輸出競争激化の情勢に対処いたしまして、わが国輸出恒常的伸張をはかりますために、日本貿易振興会を初めとする輸出振興機関活動強化充実を行ないまして、市場調査商品宣伝、取引のあっせん等事業を推進いたしましたほか、輸出品意匠向上輸出検査整備等を積極的に促進いたしました。  また、経済協力につきましては、長期の輸出市場の培養と輸入原材料安定的確保をはかりますために、経済協力の前提となります調査事業充実いたしますとともに、わが国技術者海外派遣あっせん海外技術者研修のための受け入れ等各種経済協力事業を推進いたしました。  第二に、中小企業対策費でありますが、歳出予算額は二十一億九千五百万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額三億一千万円余を加えまして、歳出予算現額は二十五億六百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は二十四億一千七百万円余、翌年度繰越額は百万円余、不用額は八千八百万円余となっております。  そのおもな支出につきまして、御説明いたします。  まず、中小企業設備近代化等補助金の三十四年度における支出は、十億九千五百万円となっておりますが、これによりまして、中小企業設備近代化のために、二十五億二千三百万円の貸付が三千五百企業に対して行なわれましたほか、中小企業等協同組合共同施設につきましても、三億八千万円余が三百二十五組合に対して貸し付けられまして、中小企業近代化合理化に大きく効果を上げたのであります。  次に、中小企業団体中央会補助金でございますが、三十四年度におきましては、五千万円の支出を行ないまして、中小企業組織化を推進いたしました。また、中小企業診断指導費補助金を九千三百万円余支出しまして、各種診断事業実施を促進し、中小企業経営合理化技術向上等に寄与いたしました。  次に、中小繊維工業設備調整補助金は、前年度の繰越金三億一千万円余を加えまして、合計十億一千万円余の予算をもちまして、広幅換算二万三千台の過剰綿スフ及び絹人絹織機処理をいたしまして、繊維不況打開に大きな効果を上げたのであります。  次に、中小企業等災害復旧資金利子補給金及び共同施設災害復旧事業費補助金でありますが、これらの経費は、昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けました中小企業者に対しまして、商工組合中央金庫が低利の融資を行なうために必要な利子補給金、及び風水害を受けました事業協同組合等施設復旧事業に対する補助金でありまして、利子補給対象中小企業者数千四百八十八件、復旧事業費補助金交付組合数百十五組合実績となっております。  第三に、科学技術振興費関係でありますが、歳出予算額は三十七億二千八百万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額二億円余、及び総理府所管よりの移しかえ額二億九千八百万円余を加えまして、歳出予算現額は四十二億二千五百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は三十九億八千三百万円余、翌年度への繰越額は一億八千六百万円余、不用額は五千五百万円余となっております。  科学技術振興費関係経費といたしましては、まず、通商産業省所管試験研究機関に対しまして、電子技術オートメーション技術生産加工技術等鉱工業技術開発上、特に緊急重要な項目に関する研究を推進いたしますための特別研究費支出いたしましたほかに、各試験研究機関設備を整備しまして、世界的な技術革新の趨勢に即応するよう努めて参りました。   〔丹羽(喬)委員長代理退席委員長着席〕  また、わが国鉱工業技術向上に寄与すると認められる民間応用研究工業化試験を助成いたしますために、これら試験研究百十件に対しまして、鉱工業技術研究費補助金四億八千四百万円余を交付いたしました。  第四に、公共事業関係費でありますが、通商産業省関係公共事業費としましては、工業用水道事業費鉱害復旧事業費がございますので、その御説明をいたします。  まず、工業用水道事業費でございますが、この経費は、工業用水道事業費の一部を補助するためのものでありまして、歳出予算額は八億四千二百万円余でありまして、これに前年度よりの繰越額一億二百万円余を加えまして、歳出予算現額は九億四千五百万円余となっております。これに対しまして、支出済み歳出額は七億七千九百万円余、翌年度への繰越額は一億六千四百万円余となっております。  三十四年の事業実績といたしましては、横浜北九州仙塩磐城愛知北伊勢及び徳山南陽地区の七カ所の継続事業と、川崎、市原、尼ケ崎、大阪市、大阪府及び松山松前の六カ所の新規事業実施いたしました。  次に、鉱害復旧事業費でございますが、通商産業省所管となっております公用公共用建物家屋復旧費といたしまして、三十四年度に一億一千六百万円余の支出を行ないまして、九百六十八戸の家屋と、二十件の公用公共用建物を復旧いたしました。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計歳出決算に関する御説明を終わりました。  次に、当省所管の各特別会計決算について、御説明申し上げます。  第一に、アルコール専売事業特別会計でございます。  この会計は、アルコール専売法に基づいて、アルコール製造収納販売等事業を運営するために設けられたものでありまして、三十四年度収納済み歳入額は三十五億九千三百万円余、支出済み歳出額は二十六億七千五百万円余であります。  この会計損益計算上の利益は八億六千七百万円余でありますが、このほかに、資産の減少に伴います納付額一億二千二百万円余を加えました九億九千万円余を一般会計に納付いたしました。  第二に、輸出保険特別会計でございますが、この会計は、輸出保険法に基づいて政府の行ないます輸出保険事業経理を明らかにするために設置されたものでありまして、三十四年度収納済み歳入額は六十六億六千百万円余、支出済み歳出額は四億円余であります。三十四年度における保険引き受け件数は二十三万三千件で、保険金額は千七百二十四億円であります。  第三に、特定物資納入金処理特別会計でございますが、この会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づいて、国庫に納入されます特別輸入利益金受け入れ等に関する経理を明らかにするため設けられたものでありまして、三十四年度収納済み歳入額は二十八億六千三百万円余、支出済み歳出額は二十八億二百万円余でありまして、この支出額のうち、産業投資特別会計への繰入額は二十八億円であります。  以上をもちまして、通商産業省所管特別会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  最後に、三十四年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院より不当事項として六件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今回、会計検査院より不当事項として指摘を受けましたものは、貿易振興費鉱工業技術振興費より支出いたしました国庫補助金二件、国庫補助金相当額合計百四十万円と、中小企業設備近代化補助金四件、国庫補助金相当額合計二百四十万円余であります。  指摘金額返還を命じまして、そのうち、四件は全額収納済みであります。今後、この種事案の発生を未然に防止するため、一そう事前、事後の審査、及び関係係官の訓練に努めまして、予算執行の適正を期する所存であります。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わりますが、なお、御質問に応じまして、詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、会計検査院当局より、検査報告概要について、説明を求めます。宇ノ沢第四局長
  5. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 最初に、昭和三十三年度決算検査報告について御説明申し上げます。  通商産業省所管の三十三年度指摘事項といたしましては、検査報告の七十三ページから七十五ページにかけて掲記してございます中小企業設備近代化等補助金財源とする府県の貸付金の運営当を得ないもの七件でございまして、この補助金の目的については先ほど通商産業省の方から御説明があった通りでございまして、本院におきましては、毎年これについて検査をいたして参りましたが、三十三年中におきましては、宮城県外三十二府県におきまする貸付事項二千三百七十九事項金額にいたしまして十五億六千三百七十七万余円のうち、四百八十一事項金額にいたしまして四億九千二百二十三万余円について、貸付の当否及び貸付金の使用状況を調査いたしましたところ、貸付の対象とならない企業者に貸し付けたり、または計画通りの設備を設置していない者に貸し付けたりしているなど、資金の使用が当を得ませんで、ひいては国庫補助金が所期の目的に反して使用されたと認められるというものが、二七四から二八〇までの号でございます。三十三年度は以上でございます。  次に、三十四年度について申し上げます。  三十四年度は、検査報告の七十一ページから七十三ページまでにわたって掲記してございますが、国庫補助金経理当を得ないもの、貿易振興及び経済協力費関係、鉱工業技術振興費関係の補助金、この二件と、それから三十三年度と同じような中小企業設備近代化等補助金財源とする府県の貸付金の運営当を得ないもの四件でございます。  で、二〇二号の件について申し上げますと、本件は、鉱山等で使用いたしまする特殊な電話機械の試作研究に要する経費に対して補助金を交付いたしたのでございますが、検査の結果、本件試作研究に必要欠くことのできない金型等を購入いたしておりませんでしたり、あるいはその他の経費についても指定通りその経費を使用していないという案件でございます。  それから、二〇三号の分は、輸出向けの製品として新たに意匠改善などを取り入れて試作するらん胎漆器の試作に要する経費に対して補助をいたしたものでございますが、これについても、意匠改善などについては、そのやった跡の実績が見られないばかりでなく、その他の機械装置費等についても、指定通りその経費を使用したものとは認められないという案件でございます。  それから、中小企業設備近代化等補助金の分につきましては、先ほど三十三年度について申し上げましたと同じような事態が、四件ございました。  簡単でございますが、以上で説明を終わります。
  6. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま説明を聴取いたしました通産省所管に対する質疑は、今後行なうことといたします。      ————◇—————
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 小川委員より発言を求められておりますので、これをこの際許します。小川豊明君。
  8. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 去る八日の決算委員会の理事会の決定に基づいて、十三日に小川、西村、山田、久保、勝澤の五委員が東海村にある日本原子力研究所の東海研究所、原子力燃料公社及び東海製錬所及び日本原子力発電株式会社東海建設所について現地を調査したわけであります。その報告をしたいと思います。  問題点として一、二点あげますと、この原研の南東に、米軍の爆撃演習場があります。これは今後東海村の発展とにらみ合わせる場合に、かなり危険な存在になるのじゃないか、こういう点。それから東海村はすぐ東京のそばではありますが、非常にへんぴなところで、ここへ若い独身の人がたくさん集まっていますから、そういう点から、厚生、娯楽等の設備というものに対しては十分留意しなければいけないのじゃないか。それからCP5の出力上昇試験は、一万キロワットの保証があるわけですが、一千キロの上昇さえかなり無理がある、こういうふうに考えられるわけです。それから燃料公社については、国産ウランの燃料が割高で、これは国際ウランに比べてきわめて不利ではないか、こういう点が感じられるわけであります。それから原子力発電株式会社は、これは今突貫工事中であって、取り上げて別にこれということもないが、ただ将来の問題として、どうしても火力発電よりは一割方コスト高になるのではないかというような点が、一応視察調査の結果として取り上げられた問題であります。  なお、詳しくはこの報告書にございますから、この報告書でごらん願いたいと思います。
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま小川委員の発言につきましては、非常に綿密な調査があるようでございますから、いずれ機会を得て詳しく御説明も承り、後に理事会でいろいろ御審議を願うことといたします。まことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  10. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、日本貿易振興会会計に関する件について、調査を進めます。  本日も、前回同様、通産省当局及び参考人に対する質疑を行ないます。  本日御出席の参考人は、日本貿易振興会より、副理事長長村貞一君、理事村田恒君、経理部長斎藤勤君の三君でございます。  直ちに質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。木村公平君。
  11. 木村公平

    ○木村(公)委員 この決算委員会の国政審議が、世間から誤解を受けることがあってはなりませんので、この機会に、幸い通産省からも、本日の国政調査の対象になりまする貿易振興会の役員の方も来ておられますので、決算委員会のあり方というようなことについても、御理解を得ておきたいのでございます。  御承知の通り、国会が予算を承認いたしまして、予算が成立したあとにおきましては、これがいかように使われるかということは、ほとんど各官庁に白紙委任状を与えたような状態であったのが、過去の形であったのでございます。ところが、その後、会計検査院等を通じ、あるいは行政管理庁等を通じまして、白紙委任状を渡したような格好にしておくことは国家のためにならないのだ、その間、国費の乱費、不正使用等もだんだん数がふえまして、そのようなことをもしも国会で傍観しておるならば、国費というものは正しく運用されないというところから、にわかに決算委員会に対するウエートが加わり、決算委員会の委員諸君が勉強しかけまして、白紙委任状を渡したのではないのだ、あくまで国会で承認され成立した予算というものは、最も公正妥当に国民の名において使われなければならない、その使われ方の経緯を国政調査の名のもとに、国政調査権に基づいて調査をしようというのが、この委員会の任務でありますることは、私から申し上げるまでもございませんけれども、特に冒頭にこのことを、幾多の誤解があるやに仄聞いたしますので、申し上げておきたいと存じます。  ジェトロの問題でございますが、私どもはいまだ勉強不足でございまして、ジェトロの内部の不正であるとか不当であるとかいうようなことをあげつろうて、そしてあたかも検事廷であるがごとき印象を与えることを特に私は避けつつ、国政調査を進めたいと存ずる次第であります。先般も当決算委員会の調査にあげられましたジェトロのモスクワ見本市及び広告収入などの点について、その理事長でありまする杉氏から、昭和三十六年の三月十八日——日曜日の朝日新聞に談話が発表されておりますが、その談話の中で、私の質疑と関連する面について、監督官庁でありまする通産省の出席官から一つ御説明をいただきたいのでありますが、御承知の通り、貿易振興法が昭和三十三年に衆議院において可決されましたときに、その附帯決議として、先日もこれを読み上げたのでございますが、第一に、本会の役員及び運営審議会の委員には、でき得る限り民間達識者の参画を求め、本会の業務が官僚的運営に陥らざるよう十分留意するということが決議されておることは、御承知の通りでございます。しこうしてこの決議は、いまだ更改をされておりません以上は、十分効力を持っておることも、これまた言うまでもないのであります。しかるに、杉理事長の談話によりますと、理事民間人を登用する問題は、関係官庁と連絡協力を強化するという意味で官僚出身が便利なので、民間人の起用はむずかしいという談話が、天下の朝日新聞に党々と出されておるのであります。そういたしますると、ジェトロの理事長というものは、ジェトロの代表的意見を発表される権限もお持ちであろうし、そのようなお立場であろうと思うのでございますが、ジェトロの代表者の御意見は、衆議院の附帯決議はいかようであろうとも、たとえば民間達識者の参画を求め、本会の業務が官僚的運営に陥らないよう十分留意するとおっしゃいますけれども、そのようなことはできないのだ。しかし、民間人を登用する問題は、関係官庁と連絡協力を強化するという意味で官僚出身者が便利なので、民間達識者の参画起用がむずかしいということに相なるわけでございます。そういたしますと、衆議院の附帯決議というものとジェトロの代表者との考え方が、根本において違うわけでございますが、この点について、一体通産省はどのようにこの決議を考えておられるのであるか。政府は国会の決議をどのように考えておられるのか。もしも国会の決議をもって、半官半民のような、公団的存在であるところのジェトロの代表者の考え方を拘束するものとお考えであるならば、政府は国会のこの決議をまさか失念されておるというわけでもございませんでしょう、現にここで私が読み上げておりますから。この決議通りに考えておらない、決議通りの考え方をとらないところの理事長に対して、どのような処置をされるかということをまず一点伺っておきたいと存ずる次第であります。
  12. 始関伊平

    始関政府委員 ジェトロの役員でございますが、理事長と副理事長政府の任命、残余の理事等は、これは理事長が決定して政府の認可を受ける、こういうような扱いになっております。  ジェトロの役員につきましては、これは大体三つの方面から役員を選び得ると思うのであります。その一つは、貿易商社その他民間の経験者、もう一つは、ジェトロ自体の中に育った人間、もう一つは、官界等で貿易行政等に関与いたしまして相当経験のあるもの、この三つの方面が考えられるわけでございますが、ジェトロの中から育ちました人間は、まだ年限の少ない関係等で、適当な方が今のところまだない、こういうように存じております。民間から人を求め得ますならば、これは大へんけっこうでございますが、一面におきまして、ジェトロが公共的な貿易振興機関といたしまして、どこかの会社のひもつきというような形になるのは困るのでございまして、中立性というような意味からいいますと、必ずしも望ましくないと思われるような面もございますし、そういうようないろいろな事情から、民間から有能達識の人はとりにくいというような事情もあるわけでございまして、ただいま御指摘のように、現在八名中五名は、いわゆる官界出身者になっておる次第でございます。しかしながら、今申し上げましたように、適当な方がおりまして、民間方面から求められますればこれは非常に望ましい次第でございまして、できる限り衆議院の決議の趣旨を尊重しながらやって参りたい、このように存じておる次第でございます。  なお、私、杉理事長のお話につきまして、杉さんの御意向を確めたことはございませんが、おそらく今私が申し上げたのと同じような考え方をしておられると思いますので、その間にそれほどそごはないものと考えておる次第でございます。
  13. 木村公平

    ○木村(公)委員 私は、ただいまの御答弁を了承いたすものでございますけれども、問題は、その考え方の根底をなすイデオロギーの問題でございます。国会の方では、貿易振興会は、お役所との折衝機関じゃないのだ、あくまで貿易に携わっておるところの中小企業というものを育成する、あるいはこれに協力して海外に発展せしめるという親心から、国会がわざわざこの法律を作って、多額の国費を——おそらくジェトロの八割は国費であろうと思うのでありますが、国費を投じまして、そうして中小企業海外発展を心より念願いたしておる。しかるに、杉さんなどの考え方は、そういう決議があるにもかかわらず、関係官庁と連絡、協力を強化するという意味で、官僚出身者が便利だから、やむを得ないのだ、民間達識の士はとる意思がないのだというように、私どもには考えられる。表面的な言葉だけで、片言隻語であるかもしれないけれども、国会の考え方というものは、あくまで中小企業貿易振興のためにこういう法律を作ったのだ。そうしてこういう法律を作って、あとに決議をわざわざ五カ条つけております。五カ条つけて、従来のように、お役人が天下り的に命令貿易をするような格好じゃいけないから、あくまでも業者側に立って苦楽をともにして、そうして海外のむずかしい市場を開こうという意味で、こういう附帯決議を付しておる。ところが、杉さんというのは、大阪会議所の会頭でもありますから、官僚ではございませんが、いつの間にやら考え方が官僚独善風に陥りまして、官庁と協力するのだから、一番便利だから、お役人を使うのが何が悪いかというような、いわば国会に対する挑戦のような態度であります。私は、このような老人を相手にここで議論する気はありませんけれども、老人のことはとにかくとして、あなた方は監督の責任を持っておられる政府の代表でございますから、政府機関であるところの通産省が、監督権を持っておる、その監督権を持っておる通産省の考え方を確立していただかないと、ジェトロの幹部の考え方というものは、なかなか直るものではない。今御説明のように、八人の役員のうちで五人が、いわゆる昔の帝国大学の出身のぱりぱりの官僚である。しかも、前歴を見てみますと、ことごとくお役所に長く勤めておられた方々ばかりで、いわば各種公団に出てきておりますように、姥捨山のような現象がすでにこのジェトロにも出ておる。俸給の点についても、各種公団と同じような考え方、行き方が、慣習的にもすでに出てきておる。すでに動脈が硬化しておるような印象を、われわれは初めから受けざるを得ない。それで、便利主義からそのような本質を失なうことなく、一つ監督官庁でありまするあなた方におきましては、あくまで民間達識の士を獲得するために努力をしていただいて、官僚化を避けるために、一つ一そうの御努力をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  この御要望と同時に、第二に、重大なことのようでございますので、私はお尋ねをいたしておきますが、これも一つ通産省の方から御答弁をいただきたいのでありますが、理事長というものの責任の所在でございます。この間、ここの委員会では、杉さんという方は、俸給の点からいっても五万円だ。一方副理事長は十数万円とっているのだから、事実上のアクセサリーだ。理事長というものはシャッポだということが出ておりましたが、もしそれが事実であるとするならば、シャッポに責任はないかという問題が出てくるわけであります。もしもここに不正があり、不当があった場合に、だれが責任を持つのだ。理事長が責任者だという場合に、いろいろ調べてみると、理事長というのは事実上何もやっていないのだ、ただ飾りにすぎないということになりますと、法律上は責任者でありましても、理事長というものの責任追及はなかなかできない。一方副理事長はどうかというと、副理事長は、実は実権を握っておるけれども、法規上の責任者ではない。そうすると、結局は責任の所在がうやむやになる。そういうことは過去にたくさんの例があるわけです。われわれはたくさんの経験をいたしておる。シャッポとして、アクセサリーとして理事長を置いておるのだというような安易な、イージー・ゴーイングな考え方でもって、こういうジェトロの機構をわれわれは是認するわけにはいかないのでありまして、理事長というものが、法規上の責任者である、ジェトロの責任者であるということが明確である以上は、シャッポでなくて、あくまで責任は理事長そのものが背負うんだ、副理事長ではない、理事長が背負うのだということを、明確にこの機会にあなたからお伺いしておかないと、私どもは責任の所在をつくわけにいかない。そうして事実上シャッポであるその理事長が、このような代表的な発言をしておる。国会が何と決議をされようとも、民間人では間に合わないのだ。結局お役所の連絡ということが、このジェトロの根本問題だというような印象を受けざるを得ない。ジェトロの根本問題は、お役所の連絡の強化ではありません。お役所の連絡ということがジェトロの根本ではない。ジェトロの根本というものは、中小の貿易業者というものの海外市場の開拓でなければならない。中小の貿易業者の育成でなければならぬ。その味方でなければならぬ。それがために、血税が九割も八割もジェトロに投資されておるわけでございます。それが単に役所の連絡機関だというような、そういうばかげたものであるならば、ジェトロなどというものの存在意義は全くないといわざるを得ないのでございますけれども、この点については、通産省側はいかなるお考えを持っていらっしゃるか。理事長に対する責任の所在をつくためにも、理事長というものはどういうものだ、法規上はどうだ、内規の上においてはどういうものだ、シャッポじゃないのだという点を、一つお伺いしておきたいと思うのであります。
  14. 始関伊平

    始関政府委員 ただいま木村先生から御指摘のように、ジェトロは日本の貿易全体、特に中小企業関係の貿易の伸展をはかることを根本的な使命といたしました公共的な機関でございまして、役所との連絡ということは、事業を円滑にやりますための大事な一つの要素ではございますけれども、しかしながら、根本的な問題は、今仰せの通り、貿易振興ということでございまして、その点は全くお話の通りであると存じます。従いまして、そういったような観点からいたしまして、振興会が形式に流れたり、独善に堕したり、あるいは動脈硬化の症状を呈したりすることは、私ども厳にこれを避けなければならないと考えておる次第でございまして、御承知と存じますが、法律の規定によりまして、民間の現役の有力者、有識者を集めまして、十二人の委員をもちまして、ジェトロ運営審議会というものを作っております。民間業界の意向がしょっちゅうジェトロの運営の上に反映されるようにという工夫をいたしておる次第でございます。なおまた、特に中小企業との関係が大事でございますので、国内の主要な地点十一カ所に、これは今年度予算が認められたのでございますが、貿易相談所というものを新設いたしまして、海外の情報などを中小貿易業者に流す。また、貿易業者の希望を聞きながらジェトロの機構を動かしていく、こういういろいろな工夫をいたしておる次第でございまして、御注意の点は、今後も十分に気をつけてやって参りたいと存じます。  それから理事長の問題でございますが、ただいまのお話では、法律上の責任者が理事長であるということは自明の理であるけれども、しかし、はたしてほんとうに杉現理事長理事長としてやっておるのか、こういうお話であったと存じますが、この貿易振興会の理事長には、やはり民間関係業界で相当長い経歴を持ち、徳望もある人が望ましいわけでありまして、そういったような意味からいたしまして、杉理事長はきわめて望ましい方であると存じております。ただ問題は、いろいろな兼業等がございまして、片手間にこの理事長をやっておるということでは困るわけでございますが、先般大阪の商工会議所会頭もおやめになりまして、その他これというほどの兼業と申しますか、ほかの職業もないようでございまして、ただいまでは、これは大阪の方でございますけれども、毎日ジェトロの事務所に出られまして、また、杉さん御自身非常な責任感と熱意とを持って、この仕事に当たっておられるようでございます。従いまして、名実ともにジェトロの責任者は理事長たる杉氏である、このように存じておりますし、また、今後ともそういうふうに指導をして参りたいと存じておる次第でございます。
  15. 木村公平

    ○木村(公)委員 ただいまの政務次官の御答弁によりますと、現在のジェトロの理事長は、名実ともにジェトロの責任者である、決してシャッポではない、現在はほとんど専業として大阪のジェトロの事務所に勤めていらっしゃるというお話でございますが、それはよくわかりましたが、そうしますと、一体ジェトロの本部というのは、大阪ですか、東京ですか。
  16. 始関伊平

    始関政府委員 ジェトロは、その発生と申しますか、歴史的に申しますと、大阪から始まったのでございますが、ただいま、本部は東京でございます。しかしながら、杉さんも月のうち十日ぐらいはこっちに出てこられまして、大阪、東京を通じまして、ほとんど専心その業務に従事しておるというように承知をいたしております。
  17. 木村公平

    ○木村(公)委員 次に、モスクワの日本産業見本市についてちょっとお尋ねいたしたいのでございますが、これまた朝日新聞の三月十九日の紙面に掲載されたものでございますが、十七日の国会決算委員会でのジェトロの運営追及について、長村副理事長から日本貿易振興会のうちの運営審議会の各委員に説明があって、各委員からそれぞれ次のような意見が出た。「一、モスクワ見本市の赤字問題などは、ジェトロが全力を尽くした上での不可抗力といえる。ただし調査が大きな使命であるジェトロとしては、今後こうした赤字を生まないように十分な下調べをする必要があろう。」まことに温情ある御意見なのですが、ところが、その前に、杉理事長あてに、次官名で三十五年十一月八日に振興課から「モスコー日本産業見本市について」の勧告が出ておるわけでございますが、その勧告の中にこういうことが書かれてある。「モスコー見本市は、社会主義国家という特殊な環境の中で開催された最初の見本市であったがため、予知しえなかった諸要素が積みかさなり予算超過の最大の原因となった。事前調査の困難性は、首肯しうるところであるが、調査が一層徹底しておれば実施予算上の見込違いは、相当程度回避できたと考えられるので、今後見本市実施にあたっては、事前調査に十分力を注がれたい。」それからその次に、「予算統制の厳守について」という項におきまして、こういうように勧告いたしております。「貴会の予算統制は、会計規程上その欠陥は認められないが、本見本市は、大規模な事業であったがため、会計規程が必ずしも厳格に守られず、予算統制に混乱を生じ予算超過の一因ともなっているので、今後会計規程の厳守により確実な予算統制を実施されたい。」これは昭和三十五年十一月八日、通産省の次官名において杉理事長あてに出ておるものであります。ところが、この三月十八日のジェトロの運営審議会においては、「モスクワ見本市の赤字問題などは、ジェトロが全力を尽くした上での不可抗力といえる。」として、あっさりといってしまう。それは、ちょうど長村副理事長がここで答弁なさったと同じことなんです。長村さんの意見をそのままここで発表しているわけです。不可抗力だと言い切ってしまっている。「ただし、調査が大きな使命であるジェトロとしては、今後こうした赤字を生まないように十分な下調べをする必要があろう。」いかにもこれはずいぶん失敬な話で、現にこういう勧告を受けておるということを御承知だろうと思うが、運営審議会の諸君が、このような世間をごまかすようなことで、また不可抗力であると言い切る。この不可抗力であったかどうかということについては、議論の余地があるのです。ロシヤで一億の損をしたということは、調査の不備であったと言いながら、一方においては不可抗力だと言う。調査の不備だということを認めながら、不可抗力だと言うことは、論理が首尾一貫しておらない。調査の不備であるということは、不可抗力の要素ではないわけです。調査の不備だということは、過失なんです。しかし、過失を認めながら、片方においては不可抗力だと言って、世間の目をごまかしておる。しかし、調査も多少未熟だったから、今後気をつけなさいよと、簡単に一億円とられてしまった。これは国家の金であるから、一億円くらいのものは微々たるものだから、そんなことはおっしゃるなと、私に言う人もある。しかし、血税であるということはとにかく別として、個人会社であれば、一億円も見本市で損をしたら、おそらく身上じまいであると思う。しかも、何らそれに対する責任はなくて、むしろ何とかの歩みというので、非常にほめておる。自画自賛しておる。損失のことは何も言わないで、モスクワの見本市というのは大成功だ、ますます将来は輝かしいという自画自賛で、これまた国民を瞞着しておるという、その思想、考え方、その根底に眠っておるところのイデオロギーに対して、われわれは反発を感ぜざるを得ないのでありますが、その点に対して、モスクワの日本産業見本市について、一体失敗であったのかどうか。結果においては、あのときにたくさんの人に見てもらったから、今後貿易振興に役立つであろうといえるかもしれませんが、結果論はともかくとして、あの段階において、一億円の損失ということは、どのようなことによってその損失が招来されたのであるか、その責任は感じられるのかどうかということも、伺っておきたいと存ずる次第であります。
  18. 始関伊平

    始関政府委員 ジェトロとしましては、海外で見本市を開催いたしました経験も、今日まですでに相当にあるわけでございますが、モスクワの場合におきましては、従来の経験をもっていたしましては予測できないような要素がございまして、そのためにああいったような非常な赤字を出しましたことは、大へん遺憾であったと存じております。要するに、社会主義国家でございますので、ここにおります長村君が調査に参りましたときに、たとえば労働者一人当たりの単価幾ら、所要人員何人というふうなことを聞いて参ったのでございますが、いざ実際の交渉に入りますと、きまりました労働単価に対しまして、社会保障費その他いろいろなものが労賃に加わって参る。それから一人当たりの能率と申しますか、ノルマと申しますか、そういったようなものも、最初の話とだいぶ違うというような事情がございまして、すでに御承知のように、アメリカが扱いました二つの館の建物を借りたのでございますが、日本側で新たに建てました二つの陳列館を建設することを中心にいたしまして、相当予算が狂って参ったわけであります。そういう意味におきまして、事前調査が不備であった、これは確かでございますが、その不備であったということは、不可抗力であったというような言い方をするのは、あまり適当ではないと存じますけれども、しかし、日本がまだ社会主義国家の実情というものを十分承知しなかったというような点から申しますと、やむを得ない要素があったというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、一億円の赤字を出しましたことは、非常に遺憾でございまして、今後絶対そういうことのないように、いろいろと改善を加えて参りたい、このように存じておる次第であります。  なお、あのモスクワの見本市が成功であったかどうかという点でありますが、赤字を出した点は遺憾でございますけれども、しかし、百万人をこえる入場者もございまして、陳列いたしました品物の八五%が売れ、千五百万ドルの売約がその期間中にできまして、これは見本市開催の影響だけではございませんで、その前に日ソ貿易通商協定ができたことにもよりますけれども、その後、日ソ間の貿易は倍くらいになっておる。いろいろな点から見まして、赤字の点は非常に遺憾でありますけれども、全体としては相当な成果を収めたのではないか、このように存じておるわけであります。
  19. 木村公平

    ○木村(公)委員 予算措置の会計規程が厳格に守られていないという勧告をお受けになった。予算統制に混乱を生じ、予算超過の一因ともなっているので、今後会計規程の厳守によって確実な予算統制を実施されたいということを、あなたの方から、次官名をもって戒告をされているわけです。助言でなく、むしろ私は戒告と考えたいのでございますが、この点についても、一つ今後十分厳格な御監督を得たいと思うのでございます。  次に承りたいのは、これまた例の新聞ですでに発表いたしておるのでございますが、こういう問題はあまり品のいい問題ではないかもしれませんけれども、元ニューヨーク州知事のデューイとそれから駒村両顧問の委嘱費でございます。これが年俸七千二百万円ですか、二十万ドル。月に六百万円、一人三百五十万円の月給を出してお願いしているわけでありますが、貿易振興会法り決議の終わりに、「本会は、輸出に向けうべき商品を生産する中小企業者のために、その輸出意欲を一層旺盛ならしめるよう、国内におけるこれが指導斡旋活動に万全を期すること。」が一番大事だということをいっているのです。もちろん、海外市場開拓ということのために、見本市も行なわなければならぬし、いろいろなことがありますけれども、これが高い、安いというようなことは、見方によってどうとも言える。しかしながら、主たることは、海外市場の獲得と同時に、国内における中小企業者に対しての指導あっせん活動に万全を期さなければならぬ。その事前、経過、この時期において、前のニューヨーク州知事のデューイと、それからいろいろ問題のあるところの駒村、この両顧問に七千二百万円の年俸を出している。一カ月三百五十万円ずつ今なお払っている。これに対して、杉理事長はこういうことを言っておられる。「アメリカのデューイ・ジェトロ顧問の問題については効果があるか、ないかの判定はたしかにむずかしい。事務的な測定ができないからだ。三十六年度予算でも七千四百万円のデューイ、駒村両顧問の委嘱費を計上しているが、たとえば米国の対日輸入制限問題などで両氏が側面的に大きな働きをしてくれていても、これを数字ではかることはむずかしい。」このようなばかげたことを理事長が言えば、これはわいろの成立になると思う。このアメリカが対日輸入制限をするというのは、大きな国策でやることなんですが、これに対してその緩和を求めるというのは、日本側としてはあくまで政府がおやりになるべきだ。これをアメリカの元ニューヨーク州知事、あるいは一貿易商社であるところの駒村さんに、三百五十万円の供応費か、交際費か、何か知らぬがお渡しして、これでもって日本の貿易振興のためにアメリカの要人とやってくれといったようなこと、機密費的なこういうものを堂々と予算面に出して、そうして天下の朝日、毎日に向かって、これは仕方がないのだ、米国の対日輸入制限問題について両氏が側面的に大きな働きをしてくれていても、これを数字ではかることはむずかしい、何百億の値打があるかもしれないし、ないかもしれないと言う。そういうようなことでは、堂々と子供の教育ができませんよ。お金をやって、そうして日本の輸入制限をゆるめていただく。そうすると、国内においても、それと似たことがいろいろある。お役人にお金を渡して、何とか便宜をはかってもらうとか、あるいはジェトロのどなたかに少しお金をやって、海外振興に便宜をはかってもらうというようなことに波及してくるおそれすらもある。輸入制限緩和のために、元のニューヨークの州知事を使う。駒村さんを使う。それがために二十万ドルの金をやっておる。毎月六、七百万円のお金を出しておる。これを理事長が天下に堂々と報告される。これは私、政府の与党、保守党として、こんな恥ずかしいことはない。池田さんも、こんなことほんとに読んだら、顔を赤らめるだろうと思う。日本の国辱ですよ。私どもは、七千万円が高いとか安いとか言うのじゃない。どうせやるなら、もっと大きなことをやったらいい。七千万円くらいで、饗応費か買収費か知りませんが、そのような印象を与える費用なら、もっと大きい方がいい。そういう印象を与えるような費用はいけないというなら、一切組まないで、別の費用で、機密費的な、交際費的なものでお出しになるべきであって、こんなものを出すのは、国辱です。シナでもやらないと私は思う。この点、どうですか。一つ通産省から伺っておきたい。みっともない話だ。
  20. 始関伊平

    始関政府委員 ただいまのデューイ事務所の問題でございますが、杉理事長の発言は必ずしも適切でないかと存じますが、実はこのデューイ氏並びにデューイ事務所を使うということは、元来政府から出たお話でございまして、ただデューイ氏が、政府との契約では困るということで、ジェトロが政府にかわってと申しますか、契約の当事者になった、こういう関係でございます。お話の通り、デューイ事務所に十万ドル、その他駒村氏の事務所に、円で申しまして二千三百万円というものが支払われておるわけでございますが、それは機密費的な性格を持つものではございませんで、デューイ氏自体がジェトロの顧問になり、また弁護士として、日本の貿易の障害の除去のためにいろいろ働いてもらうという事柄が内容でございます。  しからばどういう点で役に立っておるかという問題でございますが、たとえばジェトロということで、日本側を代表する立場で、関税委員会でありますとか、あるいは法廷等でいろいろやってもらうとか、政府機関との折衝等、いろいろなことがあるわけでございます。たとえばパナマ運河会社向けの機関車の入札がございましたが、日本が最低価格で入札したにかかわらず、アメリカ側の業界の反対でこれが怪しくなった、入札の阻止運動をやった、こういったときにも、デューイ事務所が一役買いまして、日本側に有利な結果になった。その他アメリカの電子工業会がトランジスター・ラジオの輸入制限をいろいろやったというような場合にも、OCDMというところに向こうが提訴をしたのでございますが、日本側はこれに反訴いたしまして、これもだいぶ有利に解決した。こういったいろんな実績もあるわけでございますけれども、しかし、デューイ事務所だけの力によってこうなったかどうかという点は、必ずしも明確に断定できない要素があると思うのでございまして、杉さんのお話は、おそらくそういうことをさして言われたのではなかろうかと思う次第でございますが、日本の貿易振興という点から申しますと、輸入制限措置というものに対抗して参らなければなりません。特に現在アメリカでは、労働組合等の介入による輸入制限運動が行なわれておるわけでございまして、これを活用して参ることも、一つの方法として適当なのではなかろうか。実は、ほかの外国でこういう方法をやっておるところもあるようでございまして、これは御承知と思いますが、三十四年に高碕さんが通産大臣であられました当時に、向こうに参りまして、当時日本品に対する排斥運動と申しますか、繊維、洋食器等非常に盛んでございまして、何か新しい手を打たなければいかぬということを考えられ、トルコが同じようにデューイ事務所に頼んでおったようでございまして、それから思いつかれて同じような方法をとられたということであるのでございまして、そういう点を一つ御了承いただきたいと思います。
  21. 木村公平

    ○木村(公)委員 この問題は非常に重大でございまして、意地悪くやるように思われては私も遺憾でございますが、今、トルコがデューイ事務所に頼んで貿易の伸長をはかっているというお話でありましたが、それはあるいは事実でしょう。しかし、私どもの感覚からいきますと、こういうことは、やはり国と国との間でやるべきもので、相手方の個人、たとい前ニューヨーク州知事という肩書きがありましょうとも、今では一シヴィリアンだと思いますが、その一市民に、日本金としては莫大な金だと思うのですが、この金を委託して——今弁護士だとおっしゃたが、弁護料を支払うときがあるとすれば、また別に支払われているわけです。アメリカの弁護士というものは、一括してそういう委嘱料の中に弁護料を含めるということはあり得ません。だから、これはあくまでも委嘱料であって、弁護料というものが必要な場合は、必ず別に払っていると思いますから、それは弁護士ということと混同されては困る。それで議論が混淆するわけです。あくまでこれはデューイという人を利用することによって貿易の伸長をはかる、それが国策だという見地でお出しになっているのでしょう。これを起案されたのは高碕さんであったかどうか知りませんが、このこと自身が、私は十分の研究を要するものがあるのではないか、デューイ氏に十万ドル出すことが国策に合致するかどうかという点、あるいは駒村さんに十万ドル出すことが貿易伸長にほんとうに役立つかどうかという点についても、これは国がなさるべきものだと思いますから、この点について御研究おきを願いたいと存じます。  それから、一人でしゃべっておって恐縮でございますが、一、二の点についてぜひお伺いしておきたいのは、これもジェトロの附帯決議であります。「本会の海外活動については、在外公館との有機的連繋及び在外商社との密接な連絡に遺憾なきを期すること。」という附帯決議が、その二になされておりますが、これに対して、ジェトロの海外駐在員と外務省の領事館あるいはその他の役所の駐在員との関係は、一体どのようになっているか。ジェトロの駐在員が海外の経済調査をしているということになりますと、外務省の駐在員は一体何をしているかということが、またわれわれには疑問になって参りますので、この点を一つ、これは長村副理事長に伺います。
  22. 長村貞一

    ○長村参考人 ジェトロの海外に置いております調査員の調査のやり方と、今お話の在外公館の連絡と申しますか、この点について申し上げます。これはもう相当の数が出ておりまして、いずれの地におきましても、その土地の在外公館、つまり大使館、総領事館、領事館とは、非常に緊密な連絡をとってやっているわけであります。しかし、同じ仕事を両方でやることは意味がございませんし、また避けるべきでございますので、連絡の要点はそういうことを中心にしまして、互いに相補完し得るような仕事をいたしていくつもりであります。具体的に申し上げますならば、私どもの方の調査員のやっておりますのは、主として物を中心といたしましてその動きを見る。もとより一人、二人のわずかの人間が行っておりますから、思いながらも十分なことはいたしかねておりますけれども、まず物を中心としてやる。在外公館の方は、自然制度的な問題でありまするとか、一般的と申しますか、より根本的な問題であるとか、こういう御調査であろうと思っております。私どもの方は、大体そういう考え方で今調査をいたしておるわけでございます。
  23. 木村公平

    ○木村(公)委員 次に、ジェトロの運営審議会の委員の名簿を資料として御提出をいただきたいのと、審議会が開かれた回数と日時、最近開かれたのですが、これは一体どのくらい開かれるものか。それから会議の案件、概要というようなものも資料にしていただきたいのでございますが、ここで資料でなく、ちょっとお伺いいたしておきたいのは、一体ジェトロの運営審議会というものの性格、任務というもの——もちろん第十八条にいろんなことが書かれておりますけれども、具体的にこれまでどういう諮問があって、これについてどのように調査審議したととがあるのかというようなことも、一つ承っておきたいと思うわけでございます。
  24. 長村貞一

    ○長村参考人 運営審議会の委員の顔ぶれは、先般の「ジェトロの歩み」の一番おしまいでございますが、あれにつけてございますので、ごらんいただきたいと思います。先ほど政務次官のお話にありましたように、全部民間の方でございます。座長と申しますか、委員長と申しますか、これは持ち回りでやっております。現在は、三菱レイヨンの賀集会長がやっておられるわけでございます。従来、原則としまして月一回は必ず開くということになっております。総計何回になりますか、ジェトロができましてから今日までの月数、一、二回休んだ月もありますけれども、その月数でございます。かけましたことは、大体今お話になりました法律にありますように、理事長の諮問にこたえまして日本貿易振興会運営の基本的な重要事項審議するわけでございますので、たとえば毎年の事業予算でございますとか、あるいは事業計画でございますとか、あるいはまた具体的な問題といたしましては、それぞれの催しもので特に重要なものもございますから、そういうものをかけまして、御意見を承るというやり方でやっております。非常に活発な御議論をいただいておるわけでございます。
  25. 木村公平

    ○木村(公)委員 続いて、昭和三十三年に、ジェトロに対して経済基盤強化資金という名前で政府が二十億出資しておるわけですが、その目的、運用方法、その収益の扱い方などについてお伺いしたい。  また、先ほど会計検査院からの御報告の中に、経済基盤強化資金の不正があったのかなかったのかというようなことも、別にございませんでしたが、これもちょっと伺っておきたいと思います。  それからついででございますから申し上げますが、あとは資料でよろしゅうございますけれども、三十三年度、三十四年度、三十五年度のジェトロへの委託費、補助金等の交付額を資料として、これは保存をいたしたいと思いますので、一つ提出していただきたいと思います。  以上で、大体私の質疑は本日は終わりますが、ただいまの二十億の経済基盤強化資金の問題について、ちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 長村貞一

    ○長村参考人 今の二十億の資金は、日本貿易振興会法によりまして、ジェトロの資本金として、その二十億が法律上定められております。お金それ自身は、そのまま大蔵省の資金運用部にお預けいたしまして、年六分の利子をちょうだいしております。一億二千万円になるわけでありますが、この一億二千万円という利子の金額が、毎年の私どもの方の管理費と申しますか、それの財源になる、かような状態でございます。
  27. 木村公平

    ○木村(公)委員 これは、会計検査院とは関係なかったですね。さっきの御報告の中では、これと関係なかった……。
  28. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ありません。
  29. 木村公平

    ○木村(公)委員 それでは、私の質問はこれで終わります。
  30. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとただいまの木村公平君の質問に関連して私からお尋ねしておきますが、理事長の杉さんがしぱしば新聞にいろいろなことを発表されておりますが、それは杉さん自身で発表されておるのですか。あるいはスポークスマンみたいなものがあって、副理事長とかあるいはほかの理事でそういう発表をするのですか。それをちょっと聞いておきたいと思います。
  31. 長村貞一

    ○長村参考人 これは全部理事長御自身が、新聞社の方々にお会いになりまして、いろいろお話をされるのでございます。先般の十八日か九日でございましたか、お話も出ましたが、あれもちょうど当日、前から予定しておりました運営審議会を開催しまして、運営審議会を開催しますと、どういうことが問題になりましたかということは、新聞記者の方々にお話しするのが通例でございますので、そのお話をしましたときに、まあ触れてお話しになったので、別にスポークスマンがかわりにやっておるのではございません。
  32. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 続いて、同じような意味で質問しますが、どうも議会に与える影響というものが、何か議会を無視したような、あるいは議会がどうやろうがおれたちはおれたちで勝手にやるんだというような、印象を深からしめるような記事が多いように思えるのですが、この点、副理事長である長村さんは、どんなふうにお考えですか。
  33. 長村貞一

    ○長村参考人 その点につきましては、私ども常時杉理事長の御指示を受けて仕事をしておる者といたしまして、常日ごろから理事長は、議会の御意向なり御意思というものは、何よりもまずこれを尊重しまして仕事をするという態度を伺っておりますので、決してその点につきましては、議会のお考えを無視すると申しますか、お考えに反したことを頭に持ち、またそれを知りつつ仕事に当たるということは万に一つもない。これは、私は正直にそう思っておるわけでございます。
  34. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 なお一つ、この日本貿易振興会としては、アメリカのデューイ事務所にいろいろなことを依頼しておりますが、それと同じようなことを、アメリカ以外のどこかへ、あるいはどういう人かに委託をするというのですか、頼んでおるようなことはございませんか。
  35. 長村貞一

    ○長村参考人 アメリカ以外には、どこにもございませんし、また、その計画も持っておりません。
  36. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 なお尋ねますが、駒村氏と同じ使命を持った方が、ほかにもおりますか。
  37. 長村貞一

    ○長村参考人 ほかにはございません。
  38. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そうすると、駒村氏は、ひとりアメリカだけではなく、ほかにもそういう活動をしていると見ていいですか。
  39. 長村貞一

    ○長村参考人 駒村さんは、今ジェトロの顧問ということで、アメリカに駐在しておられます。そのお仕事は、先ほど政務次官のお話にありました通り、もっぱらデューイさんと一緒に仕事をするということだけでございます。
  40. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 わかりました。  続いて、質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  41. 山田長司

    ○山田(長)委員 実は、本来ならば通産大臣から伺おうと思ったのですが、大臣がほかの委員会に呼ばれておるということですから、大臣でなく、政務次官から伺いたいと思います。  日本貿易振興会事業は、海外市場調査等をやることが事業の重要な目的のようでありますが、今後、東南アジアとか、アフリカとか、あるいは共産圏の諸国とか、次々と貿易振興海外に見るようになることは、これは明らかだと思うのです。そこで、そういう重大なときでありますので、衆議院の附帯決議というものは、当然ジェトロといたしましてもこれを強く守り、日本の中小企業家の輸出意欲を一そう盛んにして、日本の貿易を盛んにするような努力がなさるべき筋合いのものと思うのです。過日と本日の話を伺ってみても、そういう点の意欲は、どうも私たちには少しも感じられないのです。そこでこれらのさしあたっての改善策、こういう点がやはりこの附帯決議に基づいて強く打ち出されなければならないと思うのですけれども、政務次官はどういうふうにお考えになっておられるのですか。
  42. 始関伊平

    始関政府委員 ジェトロの目的といたしますところは、ただいま山田委員の御指摘のように、海外における市場調査、あるいは商品宣伝、見本市の参加というような事柄を通じまして、海外市場を開拓していく。同時に国内の、特に中小企業者貿易への意欲を増す。また、貿易上のいろいろな便宜をはかる、こういう点にございますことは、お話の通りでございます。そういったような観点からいたしまして、ただいま市場調査員、これは長期派遣の市場調査員でございますが、これが二十八カ所、人数にいたしまして三十三人参っております。今度の予算で三十六年度中には三カ所、さらに四人を増して参る。そのほかに委嘱調査員、これは元来向こうにおります方に委嘱いたしまして、調査をいたすわけでございます。委嘱調査員というものを十カ所、十人置いております。それから海外へのPR担当派遣員、これは七カ所、七人でございますが、そういったものを置いております。それからトレード・センター、貿易センターでございますが、これも七カ所、二十六人でございます。こういうふうに今お話のございました東南アジア、アフリカとを含めまして、海外での活動を進めておるわけでございますが、さらに共産圏につきましても、貿易振興に伴いまして、通商関係の緊密化に伴いまして、こういうものを派遣することが望ましかろうと存じております。ジェトロの改善という問題につきまして従来一番問題でございました点は、せっかく外国から情報が参りますけれども、これをうまく中小企業者に流しまして、中小企業者の便宜に資するという点が一番欠けておった次第でございますが、その点は、先ほどから申し上げておりますように、今回の予算で、国内の貿易相談所という形で十八カ所の貿易相談所を国内の各地に設置いたしますので、中小企業者との連絡上には非常によくなる。また、そうすることが貿易振興会の運営というものを一番目的に合うようにやって参るゆえんでもあるというふうに存じておる次第でございます。改善策の一番大きいものといたしましては、国内の中小企業者との連絡を保つための組織という点でございましたが、これは本年度緒につきまして、だんだんこれを広げて参りたい。さらに海外への派遣員その他トレード・センター等、いろいろございますが、これもだんだん地域を広げまして、振興会の事業というものを拡充して参りたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  43. 山田長司

    ○山田(長)委員 せっかくジェトロの設備が内外ともに設けられていても、PRが足りないために国内の利用価値というものが非常に少ないと、私は聞いておるのです。少ないばかりでなく、中小企業家の間では、海外からの通信が非常におくれているというような関係から、情勢が変化した時分に品物を出してしまうというようなことで、実際は意味がないのだ、こういう声があるわけです。せっかく設備を設けたにかかわらず、そういう声が出るようでは、私は実にもったいないと思うのです。一体国の内外でどんなふうな経費の使い方をしておるのか。
  44. 長村貞一

    ○長村参考人 ジェトロの今使っておる経費全体のうちのほとんど大部分のものは、国の外で使っておりますことは、この前申し上げたわけでございますけれども、先ほど来申しております例の海外の駐在員のための経費、それから七カ所の貿易センターのための経費、あるいはまた貿易センターと同じようなものでございますけれども、機械専門のセンターが二カ所ございます。こういった経費ということに相なるわけでございまして、海外で今申し上げましたようないろいろな施設に使っております金領は、お手元に資料として差し上げてありますものでごらんいただきたいと思います。
  45. 山田長司

    ○山田(長)委員 ジェトロの駐在員の場合、各国に入国する場合に、聞くところによると、東南アジアあるいはアメリカの駐在員が、ビザがおりないために、外務省の公務員の旅券を利用して実際は行っておると聞くのですが、そうすると、非常に期間が短いことになって、実際の用を足さないのではないか、こういう声を聞くのですけれども、これらの実情はどんなふうになっているのか。
  46. 長村貞一

    ○長村参考人 このビザの問題は、実はいろいろ国ごとに様子が違いますもので、実際に人を派遣いたしますときに、一つの問題でございます。ところによりますと、滞留期間と申しまするか、これが非常に短いために、書きかえをひんぱんに行なわなければならないという点もあるわけでございます。これはその国々の事情で異なりますので、出ます地域ごとに、実情に即しまして解決していかなければならぬ問題でございますので、現在のところは、ある場合には今の公用旅券の方法を使わしていただく場合もございます。しかし、大部分は、先方の政府と外務省出先を通じまして、よく当会の使命なり性格を御説明しまして、仕事に支障のない期間のビザを大体においてちょうだいしているのが実情でございます。
  47. 山田長司

    ○山田(長)委員 先ほど大村委員からも質問があったのですが、顧問であるデューイの問題です。これは金額的に見て、年額二十万ドルという金であり、日本金にして七千二百万円といいますと、私たちは大へんな金だと思うのです。これは一日で計算すると、二十万円かの金が出ていることになるわけです。これは、さっきも政務次官から御答弁がありましたけれども、委託の目的というものが明確になっていないのじゃないかという気がするのです。  それから第二点は、顧問として委託をしているとすれば、国費が出ている以上は、何かそこに契約があるはずだと思うのです。全然この契約なしに毎年毎年七千二百万円の金を送られるということは、理解ができないのですけれども、顧問としての契約があるならば、この契約内容を明らかにしてもらいたいと思うのです。これは当決算委員会として当然伺っておかなければならないことだと思いますので、契約内容を明らかにしてもらいたい。もし、お持ちになっていなかったならば、これはいずれ契約書をお出し願いたいと思うのです。
  48. 長村貞一

    ○長村参考人 デューイにつきましては、先ほど政務次官からお答え申し上げた通りでございまして、年額十万ドルの金額をリテーナース・フィーと申しますか、顧問料として差し上げておるわけであります。もちろん契約がございまして、御承知のように、デューイは非常に大きな事務所を持っております。二百人近い弁護士を擁しておりまして、大へん大きな事務所を持っておりますが、デューイを通じまして、このデューイ事務所が活躍するということになっております。結局これは顧問、つまり法律顧問なり弁護士としての立場において活動するということになっておるわけでございます。従いまして、合衆国の例の関税委員会でございますとか、あるいは要すれば法廷において活動することもありましょう。関税委員会及び法廷以外の行政府と申しますか、そういうふうなところにもジェトロの代理者として、要すれば出かけて参るということも、契約の内容になっておるわけでございます。
  49. 山田長司

    ○山田(長)委員 法律家として採用したということは、どうも理解ができないのです。そこで推薦したのは、一体だれが推薦したのです。それからこれが適当だという推薦者は、適当な理由を付していると思うのですが、こういう点はどうです。
  50. 始関伊平

    始関政府委員 このデューイ氏をジェトロの顧問にしたらよかろうということを推薦したと申しますか、考えましたのは、高碕、当時の通産大臣でございまして、さっき申し上げましたが、当時繊維品その他いろいろ輸入制限措置がひどうございまして、何か新しい手を打たなければならぬということを考えておりましたところに、たまたまトルコがデューイを頼んでおるということを聞きまして、日本でもそれをやろうか、先方は十五万ドルだが、日本の場合は一つ十万ドルで引き受けようというようなことで、こうなったわけでございます。ただいまの御質問の言葉でいえば、推薦者は当時の通産大臣の高碕達之助氏でございます。
  51. 山田長司

    ○山田(長)委員 この契約書について、委員長、あとで当委員会に契約書の内容を資料としてお出し願いたいと思います。  次に伺いたいのは、先ほども次官からデューイ氏がされたお仕事の内容を一部申されたようでございますけれども、顧問になられてから、そのほか、日本国内にどんな活動報告をされておるのか。私は決して七千二百万円が少ない金額と思わないので、その功績いかんによっては、これはやめてもらえるものかどうか。全く意味のない活動をされておるとするならば、やめてもらった方がいいと思うのです。それから将来も必要な人であるとするならば、これはどんどん活用した方がいいと思うのですが、どうです。
  52. 始関伊平

    始関政府委員 デューイ事務所の活動につきましては、日本側から駒村さんがジェトロの顧問ということで現地に行っておりまして、この駒村事務所とデューイ事務所とがタイ・アップいたしまして、いろいろ活動を展開するという形になっておるわけでございますが、たとえばいろんな意味での情報の分析、判断というようなことも重要でございますが、これにつきましては、駒村さんがときどき帰朝いたしまして、政府あるいは業界等にいろいろと会談、報告を行なっております。それから三十五年の十二月には、パリで大西洋経済会議というものが開催されたのでございますが、この際も情報を相当に厚くキャッチしてくれまして、日本のとるべき措置等について、関係者に意見具申を行なって参っております。それからいわゆるドル防衛でございますが、アメリカの御承知の金の流出問題、これに対するアメリカの対策といったような事柄につきまして、アメリカの経済情勢なりあるいはアメリカの貿易政策の動向につきましても、相当早い時期に情報を寄せておる。さっき申し上げましたパナマ運河の機関車の入札の問題につきましては、一役買ってもらった。それから電子工業界のトランジスター輸入制限、これも訴訟になったわけでございますが、こういう問題こそ、正式な外交機関ではできない、こういうものでないとできない一つの問題だと思いますが、日本側は反訴いたしまして、有利に導いたのでございます。それからさらにただいま、御承知のように、綿製品の自主規制問題といったようないろいろな問題がございますが、現地では、総領事館なり、現地の業界等とも懇談いたしまして、いろいろ対策を講じてもらっておる、こういったようなことでございまして、ただいま御指摘の点は、役に立つものならもっと活用したらよかろうというお話でございまして、まことにごもっともでございます。そういう方針で今後やって参りたいと思っておる次第でございます。
  53. 山田長司

    ○山田(長)委員 私から申し上げるまでもなく、ジェトロの仕事は、海外に日本の製品を売るための、いわば触角機関みたいなものだと思うのです。この触角機関みたいなものが、活動を開始せずにおるとするならば、まことに申しわけない結果になると私は思うし、それから貿易の自由化がもう目の前にくる感じをひしひしと受けるわけです。そういう事態になっておりますときに、輸出業者はこれを唯一のたよりにしている人もおるだろうし、それからまた新聞、雑誌、通信等で仕方がなくジェトロをたよりにして、交際の金を出している人もおると思うのです。こういう人たちのことを考えてみたときに、このジェトロが生きた血をどんどんこれらの業者の人たちにも通わしてやることによって、海外の進出がそれによってできるとするならば、設立の意義があると思うのですが、さっきも同僚委員の木村さんから質問がございましたが、役員の理事長の席に杉さんがすわっておって、聞くところによると、月に十日来ておるということですが、私にはそんなに来て活躍しておるとは思われないのです。私は、全然知らぬで質問しているのじゃないのですが、とても来るどころじゃなくて、これはシャッポだと思うのですよ。これは私は、副理事長の長村さんが会長のいすにすわってもいいと思うのです。形式的に、実はよく政府の外郭団体には、年とった人で社会的に名望を今まで保っている人ならば、これを会長にかつげばいいだろうというようなことでかついで、それで動脈硬化になっておる機構がたくさんある。当決算委員会で扱っている機構の中にも、それがいくつも今までの中にあるわけですけれども、各省で一番多いのは農林省、運輸省ですが、何百という外郭団体がある。まず農林省だけでも、おそらく三百近いでしょう。運輸省またしかりであります。運輸省も二百六、七十の外郭団体がある。通産省もおそらくそれに匹敵する外郭団体があると思うのですが、私は外郭団体ができるのがいいとか悪いとか言っているのではない。ほんとうに仕事をしてくれれば存在意義があると思うのですが、今度の場合だって、杉さんは大阪の商工会議所の会頭をやめたといっても、おそらく月に一ぺん来るか来ないかです。そんな状態に置かれておると私は思うのです。民間人の登用なんかも、ほとんどなされていない。審議会だけは民間人を入れて開かれているようですけれども……。この点は、自由化を前にしては、もっと責任体制を明らかにして、仕事をもりもりやってもらいたいと思うのですよ。さっきも木村委員の質問にありますように、何となしに役人の功成り名遂げた局長クラスの人たちが、全部これに入っている。一人か二人は入っていないが、これまた役人上がりである。このことによってまことにうまく役所との連絡はつくかもしれないけれども、実際の貿易なんというものは、役所との連絡だけのことじゃないと私は思うのです。それは実際民間人の中から登用して、審議会だけはとにかく民間人の——おそらくこれは財界関係者が出ている団体だと思うのですよ。我田引水、だれが自分の仕事場に水を引かないなどということを、審議会のメンバーの中におられる人たちだけが言われないと断言できますか、と言いたいのですよ。それよりも、実際実務に携わっている人たちをどんどん採用して、それで非難などをなからしめるための体制を作ることが必要じゃないかと思うのです。そういう点では、首脳人事の今の状態も必要でありましょうけれども、さらに必要な民間人で貿易に明るい人たちを採用して、急激な世の中の変化に対処してもらいたいと思うのです。そういう点で、私は副理事長にもお願いするが、政府当局にもお願いしたいのですよ。最近の貿易の自由化を前にしては、一つ思い切って日本の中小企業家の生きていく道——これはここで話すべき筋合いのものではないかもしれぬが、関係のあることだから申し上げますが、ことし農林水産委員会に出ている農業基本法などを見ますと、果樹園芸をかなり中心に奨励することになる。ところが、今までの貿易では、ミカンとリンゴが海外に出ただけで、ほかの果樹はほとんど出ていない。しかも果樹園芸は、横浜と神戸の商人に独占されておる。思い切って畜産と果樹の奨励をしても、この横浜と神戸の港の商人が品物の選別をして、業者はよい品物を出しているにかかわらず、選別をされて、半分くらいは年じゅう安値でたたき売りされてしまって、貿易などと言っているが、とても今度の果樹振興などでは及びもつかぬことで、百姓だってこれでは本気になって田畑を果樹園芸のためにつぶすことはなかなかできぬでしょう。しかし、反二千五百円の補助金を出されて、裸麦が作れないという状態になってきますと、いやでもおうでも果樹園芸、あるいは畜産の方向へ日本の農業が持っていかれるということになるのですが、そういう場合においても、この振興会の仕事が活発であれば、これは今のような神戸の商人や横浜貿易商人に独占されて青息吐息、せっかく苦労して作り出した農作物は、横浜の人や神戸の商人に選別されて、そこでまた半減されてしまうというようなことがなく、海外市場にやはり青果物なども進出できると思う。ですから、そういう隘路はたくさんある。しかも、各地の果樹園芸の仕事に携わっている団体等が、今政府の方針でどうやっていいのか、苦労している最中ですよ。こういうときに、民間人に手をどんどん差し伸べて、隘路の開拓に——貿易振興会も通産省も、そういうことで困っている人たちの仕事の隘路の個所を知っている人がいると思うのですが、そういう点でぜひ一つ思い切った内容の刷新をやってもらいたいと思うのです。これは運輸省の人たちが、国鉄一家で運輸の外郭団体というものを固めてしまっていますが、このジェトロの機構を見ますと、通産省でもやはりそれと同じように、外国貿易の仕事だとか、あるいは通産省関係の仕事で外郭団体をこしらえるときに、通産省におられた人が全部横流れして入っているという印象を受けるのです。私は、こういうことをやっておったのじゃ、日本の産業の育成というものはなかなか容易じゃないと思うのです。そういう点で、貿易に関係ある日本のあらゆる部面で人事の刷新をやって、新たな人の登用にお力添え願いたいと思うのです。そういう点について、政務次官と長村副理事長の御意見を伺いたいと思うのです。
  54. 始関伊平

    始関政府委員 貿易の自由化に対処いたしまして、輸出振興がきわめて重要である、それについてはいろいろな隘路もあるという点は、御指摘の通りだと存じます。この場合におきまして、ジェトロがさらにその機能を十二分に発揮いたしますために、人事の刷新その他についての御意見、まことにごもっともだと存じます。いろいろな面につきまして、御趣旨に沿うように今後振興会を指導いたしましてやって参りたいと考えております。
  55. 長村貞一

    ○長村参考人 先ほど来のお話、私は、ほんとうに一々ごもっともなお話だと思っております。私どもといたしましても、当会の運営につきまして、御指示あるいは御注意のありましたような線で、業務の刷新なり、一そうの活発な活動をいたしていきたいと思います。特に先ほど果実の輸出のお話がございましたが、私、非常にいいお話を伺ったと思っております。あの点、われわれとしてももっと気をつけなければならぬ点があると思っております。幸いに今度貿易相談所等もできますので、従来にも増しまして各地方の生産者の方々なんかによく緊密な連絡がとれるようになるのではないかと思うので、一そうの努力をいたしたいと思います。  それから理事長でございますけれども、これは私、副理事長として理事長を助けて仕事をしておりますが、非常に熱心に仕事をしておられる。大阪におられるときも、しょっちゅう電話等で私どもにお指図もいただきました。熱心に活動をしておられますので、申し添えておきたいと思います。
  56. 山田長司

    ○山田(長)委員 一生懸命理事長活動されているというお話でありますが、さっきも木村委員から言われましたけれども、何か新聞発表になられた談話などを見ますと、よけいなことを言うなと言わんばかりのことだと思うのです。せっかく国費を使って作られた団体であるから、この団体が気がつかずにいる個所にも助言をし、さらに必要があれば、国民のためになるものであるとするならば——こんなととは私に言わせれば、外務省の連中がもっと活発にやるべきだと思うのですよ。外務省が本気になって仕事をやったらジェトロの必要はないですよ。海外の大公使館、領事館の人たちは何をしているかと言うのです。外国の大公使館や領事館の人たちの活動状態の話を聞きますと、これは市場調査を活発にやっているという。幸か不幸か、日本の外国に行っている大公使館や領事館の連中が、機構は持っていながら、あまり動いてなかったことによって、ジェトロの存在が生まれた。でき上がってしまったものである以上は、やむを得ない。これは一つ努力してもらいたいと思うのですよ。そこで今果樹の話を申し上げましたが、ことし政府の力の入れ工合は、果樹の中の九品目は特に補助金を出すというのです。今後早いものは三年、四年ないし五年たちますと、ことし力を入れたものはでき始まります。それからすでにできているものもあります。今申し上げたようにミカン、リンゴのようなものを初めといたしまして、そのほか、白桃であるとかあるいはブドウであるとか、さしあたってすぐにでもこれは輸出がきくものです。そういうものについて非常に商社が冷淡なために、政府の今度の肝いりにも、ややもすると、日本じゅうで果樹が盛んになったら、これはどうなるのだろうというふうな意向を持つものすらあるわけです。こういう点で、ジェトロ当局としては、本格的にこれらの処理対策というものを考えてもらわなくてはならぬと思うが、そういう点についても一般の御努力を願いたいと思うのです。  次に伺っておきたいのは、ジェトロに通産省から出向している人があるという話を聞きます。出向課長がある。一体そんな出向課長がちょこっと行ってジェトロの課長を勤めてくるなどということで、両方兼務しなければならぬようなものが中にはあるかもしれぬけれども、そんななまやさしいことでは、私はジェトロの機能を発揮することはできぬと思うのです。ジェトロの方へ出向していって課長をやっている人というのは、一体幾人いるのですか。それから、そんなことでなければ機構がやれないものなのかどうか。
  57. 長村貞一

    ○長村参考人 現在ジェトロには、通産省から出向で三名、課長が見えております。ジェトロ全体の機構といたしましては、現在課の数が二十ばかりございます。もちろん、私どもといたしましては、ジェトロ育ちと申しますか、これの優秀な人をそれぞれ課長その他の要職につけ、また、外部の方もそれぞれお迎えして運営して参りたいと思っております。そのうち、今申しましたようなきわめてわずかな部分につきまして、現在通産省側から出向の形で来ていただいておるわけでございます。これは御承知のように、現在のジェトロの運営経費と申しますものが、相当部分国の予算をちょうだいしておるようなこともございます。また、ジェトロの仕事の内容それ自身も、政府の御指示、御指導を得て運営をするわけでございますので、これらの連絡というような意味から、ごく少数の方々の出向者をジェトロの中に置くということは、かえって現在の段階ではジェトロの仕事を円満に推進させるゆえんであると思います。今申しましたように、全体からいうとこれはごくわずかの数でありますが、現在出向の課長を置いておる次第であります。
  58. 山田長司

    ○山田(長)委員 どうも出向という問題については、何かしら官僚臭をこの機構の中に将来も温存するような印象を受けると思うのです。民間人を将来ジェトロがどんどん採用して、その道その道のエキスパートが入っていくということになれば、これは摩擦を招く大きな原因にもなるのじゃないかという気がするのです。そういう点は、幾ら通産省の人が専門家であるとかいって出向しても、それはまさか手当、給料等はもらってはいないだろうけれども、何かしら、はたから見ますと、不健全な経営のような印象を受けると思うのです。  最後に、もう一つ伺っておきたいのは、数年前バナナの差益金がジェトロに入っているはずです。この差益金の使途はどうなっていますか。
  59. 長村貞一

    ○長村参考人 数年前、お話のようにバナナの差益をジェトロで取りまとめて徴収いたしました。この使途は、一々通産省の御指示によりまして、御指示先にそのままお渡しをしてございます。幾カ所もございますので、今私一々その場所をここに持っておりませんですが、何でしたら、お渡ししました使途の先を取りまとめて資料として差し上げたいと思います。
  60. 山田長司

    ○山田(長)委員 将来ジェトロが伸びていく上におきまして、やはり不明朗な点があってはいけないと思うのです。どうぞ一つ、この資料を委員長において取り計らってお進め願いたいと思います。
  61. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 資料を出して下さい。  続いて質疑の通告がございます。小川豊明君。
  62. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 同僚の委員がほとんど質問をしてくれましたので、それとかち合わないようにしたいと思います。  日本貿易振興会法に衆議院の附帯決議がついているのですが、その附帯決議を見ますと、四項目の中でその骨子になっているのは、やはり民間達識者を入れよということであります。官僚的運営に陥らざるよう十分留意しろということは、民主的にやれということ。それから四の「中小企業者のために、その輸出意欲を一層旺盛ならしめるよう」中小企業者のため、それから民主的に運営しなければならない。民間達識者の参画を求めろ、こういうことが附帯決議として出ているが、今度この本文の方を見ると、これをなし得ないような法律がかなり出ているんですね。そういう点から今かなり問題が出てきていると思うのだが、そこで今お聞きすると、私も、そういう点でジェトロに対してかなりの疑惑、疑問を持っているのです。今あなたの方では、出向を通産省から三名出しておるわけですけれども、これはやはり官僚的にするなというならば、なるべく出向というのは避くべきで、出向しているのだから、行って働いていれば、そのうちにだんだんいすが変わってくるから、早く帰りたいという気持というものは、これは役人の根性として出てくるということから、仕事がなかなかうまくいかなくなるのではないか。三名ですけれども、こういう出向をやめるべきではないか。これは意見になります。  そこで時間もありませんから、ただお聞きしておきたいのは、私は貿易振興会になぜ疑惑を投げているかという点を一つ見ると、ジェトロのおい立ちです。これはもとは、商工会議所や府県庁などで共同運営していた国際見本市協議会、あるいは日本貿易研究協議会、こういうものを解体させて、これを独占的というか何というか、運営するようになったのだが、そこでこういうものができるおい立ちというものに対して私が疑問を持っているのは、ジェトロの設立当時の立役者は、今電源開発にいる岡部邦生という人であったのです。それで事務局長が野見山さんだったのです。この岡部さんは、鉱工品貿易公団の早船事件の責任をとって通産省を退職せざるを得なくてやめた人です。それから野見山さんは、昭電事件で通産省を退職した人です。こういう人たちが、どこへも行き場がなくなってきたから、そこでこういうふうに商工会議所や府県でやっておった国際見本市協議会とか、あるいは貿易研究協議会とかいうものを、通産省に働きかけて解体させて、ここに一本の貿易振興会というものを作ってしまっている。そういうふうな格好をとったところに、かなりの疑惑を持たれる原因がある。そしてここへ行っている人たちは、ほとんど通産省の課長とか課長補佐クラスが出向しているでしょう。出向ではないかもしれぬが、あなたの方で民間から起用したという人は、何人もないでしょう。おそらくこの振興会は、通産省の部課長かもしくは課長補佐等で埋められてしまっていると思うのです。そこに貿易振興会というものが議論になっている、民主的な形で運営しろとこの附帯決議でつけられていながらも、官僚的運営に陥らざるよう十分留意しろといわれながらも、これが官僚的にならざるを得ない原因というものは、ここから出てきておる。ここにまた疑惑の発生する原因が出てくるのです。私もこの問題を取り上げるについて、方々歩いていろいろ調査をしたわけですが、海外宣伝などというものも、二、三億の金は使っておるが、この二、三億というものは、ほとんど会議費に使われているという形が多い。それから貿易相談も、ジェトロの貿易相談より、東京銀行の貿易相談所へ行った方がよほどいい、こう言っているのです。これは私に言う人が、必ずしもジェトロのあれでないからそう言うのかもしれません。それだけを信ずるわけじゃないが、東京銀行の貿易相談所の方がジェトロよりよほど役に立つ。それからさらにさっき問題になったモスクワの国際見本市の赤字の問題、あのときにあなた方の方で行っている役員は、見本市の方はすっぽらかしにして、オリンピックの方へ行っちゃったでしょう。オリンピックの方へ行っていて、それであわてて呼び戻されて帰ってきたという事実もある。そういうところに、出向なり通産省へやがて帰るとか、通産省から出ている人たちばかりでやっているから、こういう問題が起こってくるので、私は補助金は出してもいいけれども、これは質問でなく、意見になりますが、やはり輸出組合の中央連合会のようなものを作って、中心にして、あるいはそういうところがどんどん人を出していった方が、ジェトロの運営としては適当になるのじゃないか、こう思うのです。これは質問でなく、意見になるから、やめます。  そこでただお尋ねしてみたいと思う点が一点あるのは、さっき次官は、日本ではデューイを十万ドルで頼んだ。トルコでは十五万ドルだ、こう言っておるが、トルコより日本の方が安い。安い方がいいことはわかっているけれども、トルコが十五万ドルで、日本は十万ドルで頼めたということでは、トルコが頼んだのと日本で頼んだのとで、委託というか職務というか、権限に違いがあるのかないのか。ないとするならば、日本ではどうして十万ドルで頼んだか。トルコより日本の方が国がいいから十万ドルで頼めたのか。一体その原因はどこにあるのか。さらにちょっと調べてみると、十万ドルというと三千六百万円だが、そのほかに、事件があれば千四百万円を払うということになっておるそうだが、一体デューイという人は、純然たる商業上の、輸出振興のために頼んだのか、法律上の相談をするために頼んだのか、あるいはさっき聞くと、いろいろと日本とアメリカとの政治的な関係があった、そういうものを解決するために頼んだのか、その点がはっきりしないのですが、どっちにしても三千六百万円という巨額の金で契約しながら——トルコよりは安いですよ。トルコは五千万円になるわけですから安いです。しかし、そのほかに千四百万円というと、ちょうどトルコと同じになるのですね。これは、トルコとは十五万ドルであったが、日本では安かったのはどういうわけか。さらにこれに対して千四百万円というものは、何かほかに事件があれば払うということになっているのだが、それは払ってあるのかないのか。この点をお尋ねしたい。
  63. 始関伊平

    始関政府委員 トルコの場合の契約内容は、公表いたしておりませんので、従いまして委託の内容がどういうふうに違うかということはわかりかねる次第でございまして、その点は、ただいま額が十五万ドルだということがわかっているだけでございます。  それから、普通は、日本の弁護士でも同様でございますが、会社などの顧問になっておりますものに対しましては、顧問料を払う。裁判事件でも起こりますれば、そのつど当該事件について払うという扱いになっておるわけでございますが、全部で予算が二十万ドル分、つまり七千二百万円ございますが、そのうちの半分が、今申し上げましたような意味でのデューイ氏に対する顧問料、あとの十万ドル、つまり三千六百万円のうちの、今御指摘の千四百万円というものが、個々の問題について別に委託いたしました場合のために留保いたしておる金でございますが、これは年々で違うと思いますけれども、必ずしも全額払っておるわけではございませんで、今日までにそのうちから四百三十万円ばかり払っておる、こういう実情でございます。なお、その十万ドルのうちの千四百万円を引いた残額、二千万円ちょっとあると思いますが、それは駒村事務所の経費に充てておる、こういう関係になっております。
  64. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは次官、ちょっと違いはしませんか。十万ドルというのは顧問料でしょう。だから、千四百万円というのは、十万ドルの中からの千四百万円じゃないでしょう。十万ドルは顧問料であって、そのほかに、十万ドルの中から千四百万円と言っていますけれども、これはちょっと違いはしませんか。
  65. 始関伊平

    始関政府委員 全部で予算が二十万ドル分留保してあるわけでございまして、十万ドルが二つあるわけでございます。最初の十万ドルは顧問料、あとの十万ドルのうちのある部分が、個々の問題をあらためて依頼いたしました場合の報酬と申しますか、それに利用されておりまして、そのうちのまた一部分が駒村事務所の経費に充てられる、こういう扱いになっております。
  66. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 わかりました。ワクは二十万ドル、そうして顧問料が十万ドル、それから千四百万円は、そのワクの中から事件があったときに何か頼んだ場合に払う。さらに残高があるから、駒村さんを顧問として向こうに出した。それでワクは二十万ドルだ、こういうことになるわけですか。
  67. 始関伊平

    始関政府委員 大体そういうことでございます。ただ、残高があるからというのではございませんで、駒村事務所に払う分をそこに計上してある、こういうことでございます。
  68. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今僕の方も残高があるからというのはちょっと失礼かもしれないが、どうも御答弁を聞いていると、二十万ドルのワクがあるから、そういうことになったのだ。そこで私は、それならこうなる、十万ドルというのは、トルコとの見合いであろう。十万ドルというのは、十万ドルでいいとか悪いとか、これは相手方との交渉でありますから、そうなると思う。しかし、駒村さんの二千三百万円というのも、顧問料ですからね。駒村さんの二千三百万円、それからデューイの三千六百万円、別に千四百万円、やはり二十万ドルがくっついてくるのですよ。だから、そういう点からいうと、使い方というものも、いかにも役所方式の——普通の会社なら、こういう金は使わないわけです。いかにも役所方式に、ワクがあるからそういうふうに使っていこうということになるのであって、ジェトロに対する疑惑の投げられているのも、その経費の使い方にずさんな点があるのじゃないか、要約していけば、そこへいくわけです。  それからこれはこの前も質問したから、私は繰り返す必要もないが、モスクワの見本市の一億円の損害というもの、まああなたの方では、ここには輝かしい成果をおさめたと書いてあるのですが、これはこの前も言ったが、もしわれわれが書いたならば、こうは書けない。いかにずうずうしくともこうは書けないわけなんですが、あなたの方では、輝かしい成果をおさめたと書いているが、それはどっちでもいい。モスクワの見本市が一回失敗したとしても、これは将来共産圏に対する貿易が伸びるための一つの布石として成功したという見方も立つけれども、ともかく現象的には、これは失敗なんです。その失敗の原因は、さっき次官が答弁したように、向こうの労働事情その他に対する調査が完璧でなかったから、そうなった、こう御答弁なすっている。ところが、産業の中で、今労働事情を調査しない産業コストなどというものは、あり得ようはずがない。もし調査するとすれば、これは原料、いわゆる資材や労働賃金というものが、当然調査の対象になるべきはずであるにかかわらず、こういうことを調査疎漏であった。しかも、あなたは行っておられるでしょう。あなたが行っておって、幾らおられたか知らぬが、そういうところを調査せずに、一億の失敗——失敗とは言いません、欠損を生じたということなどの中にも、今の顧問料といい、モスクワの見本市における欠損といい、さらに社団法人か何かであったのを改組されて、振興法に基づいてシェトロができると同時に——ちょっと次官、予算決算を見てごらんなさい。改組されたとたんに、ずんと倍にもはね上がってしまっているわけです。これはそれだけの仕事をしたのだろう、またする見込みだから、はね上がるのも当然だと思うのですが、そういうことを突き合わせてみるときに、ジェトロというものは、二十億ずつも国から金を出してもらって、そのほかに会員から負担金をとる。そうして委託費というものをとって、相当の経費を食う。しかも、ほかのものがやることはできない、名称も使うことができないと法律で律してある。いわゆる独占的な仕事を官僚の古手だけでやってしまうところに問題があると思う。貿易というならば、少なくとも貿易の仕事に命をかけてやっている人たちを入れてこそ、生きてくると思う。さっき次官は、このジェトロはジェトロで育った人をもってこれに充てるか、民間から入れるか、さもなければ役人から行くか、この三つを言われたが、その中で、あなたの方は何をとったかというと、役人の古手というか、若手というかしらぬが、それをとった。ところが、貿易に対して最も理解があり、努力をしており、経験がある人、これは貿易業者です。その貿易業者を入れずに、あなた方役人だけでこういうものを作って、こういう予算を立てていくことは、これはひとりよがりと言わざるを得ない。あなたは、次官になられたのだから、この点に対してもう少し慎重な検討を加えて——縮小しろとは私は言わない。もっと拡大をしてもいい。少なくとも民間の業者に利益されるようなものにすべきである。ことに貿易相談でも、東京銀行の貿易相談所に行った方がジェトロに行くよりいいと私に聞かせてくれる人もあるわけですから、その実質的権威は那辺にありやと言わざるを得なくなるので、こういう点十分に深くお考えを願って、——これはどうしろこうしろではなくて、もっと拡大強化してもいいから、これは貿易振興の実際に合うようにしてほしい。ことにワクが二十万ドルあるから、駒村さんにも二千何百万円払い、アメリカのデューイにも三千六百万円払い、そのほかに千四百万円つけ足してもいいというようなのは、国費の乱費というものですよ。これは問題にしなければならぬ。どうかその点、お気をつけ下さい。時間がありませんから、私はこれでやめます。
  69. 始関伊平

    始関政府委員 ただいまの御意見、十分に拝聴いたしましたのですが、ただ今、二十万ドルのワクがあるからデューイに払うのだ、また駒村氏を送るのだという話がありましたが、そうではないのでございまして、デューイ事務所を法律顧問として使う、また駒村氏をジェトロの顧問として派遣する、そういう目的が最初にきまりまして、そのために必要な経費として二十万ドル相当額の予算が計上された。その点はその通りでございますが、お話の点につきましては、善処いたしたいと存じます。  それからモスクワの問題につきましてお話がございましたが、ここに長村君がおりますが、向こうへ参りまして、一応労働者一人の賃金は幾らだ、大工は幾らだ、その他こういう職種は幾らだとお聞きしましたときに向こうが答えました額と、それからその後実際に支払いました額と違ったということでございまして、それはその意味では失敗であったわけでございます。今後は十分に注意して参りたいと存じます。  それから改組いたしまして経費が倍にはね上がったというお話でございますが、実はジェトロの予算をふやしますにも非常に苦労しておるのでございまして、さっき申し上げました国内の相談所の問題でも、非常ないろいろの経緯を経た後にこの予算が認められたわけでございますから、これは申し上げるまでもございませんが、ばく然と予算が倍になるのではございません。一つ一つの項目につきまして、たとえばトレード・センターを一つどこに置くというようなことにつきまして、あるいは相談所をどこの市に固くといったような一つ一つの問題につきまして、相当な検討を経た後に大蔵省が予算を認めておる、こういう状況でございますので、その点もあわせて御了承いただきたいと存じます。  それから人的構成につきまして、いろいろお話がございました。これは申し上げるまでもございませんが、実は役所の方の都合で人を出しておるということではございませんので、これを受け入れる側の方で人がまだ十分にそろわぬとか、そういうふうな点から人を出しておるということでございますので、いろいろな条件の整い次第、たとえば派遣員を引き揚げるとかいうようなことをいたしまして、給料の点その他で非常な困難な面があると思いますが、できるだけ小川先生のおっしゃる有能達識の士を採用するようにしたい。このような方針で指導して参りたいと存じますので、御了承をいただきたいと存じます。
  70. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は一問で終わりますが、これはあなたの方の役所の都合で人を出したとは、私は毛頭思いません。ところが、ジェトロの方で役所からもらうのが一番都合がいいし、役所も都合がいいから、役所もそれに便乗した。そしてジェトロをあなたの方の機関にしておくような気持があったのではいけないのです。ジェトロが通産省の一つの団体だ、こういう考え方をまず捨てるべきだ。あくまでも貿易振興のために、ことに非常に困難しておる中小企業というのは手足がないのだから、そういうもののために、海外市場調査研究をすることを中心にしていくべきである。大企業は、直接向こうに持っているから、その必要はないのです。だから、今言った東京銀行の相談所の方がいいというようなことが出てくるのです。そういうもののために置かるべしというこの設立の趣旨というのは、私はまことにいいと思う。りっぱだと思う。ただ、その運用について、通産省の団体でもあるかのごとき感じを持たせるような行き方でいったのでは、貿易振興の実はあがらない。ただ役人の捨て場といっては悪いが、役人をそっちに持っていっておる。通産省では、何百人とかかえてくれるところがあるから、喜んでおるでしょう。そうでないようにしてほしいということです。それからあなたの方で、これは一つの言いわけですよ。モスクワの見本市で欠損をした。欠損するということは考えられないのだが、それはいいでしょう。将来のことを考えればいいでしょうが、しかし、労働市場が、行って調べたけれども、向こうで書いて出したものをそのまま受け取るならば、調査する必要がない。書面で出してもらえばいい。そのために行っているのだから、行ってみてこういう点がある、こういう点があるということを調べるのが、調査というのであって、それを調べずに、向こうで書いて出したものをやってみたところが、それ以上違っていて損をしたのだ。手間賃が一億違ったのではないと思う。ほかに違っているところもあるだろうと思うが、そこまでは追及しませんが、そういう点からいって——ことにこれはいやな話だが、行った人たちがオリンピックに行ってしまって、呼び戻されたという話を聞いている。そんなばかな話があるものでしょうか。そんなことは、あってもなくても仕方がない、そんなことをここで議論しなくてもいいですが、その点から、貿易振興会というものを拡大強化することはいいけれども、もっと貿易振興のために実をあげるような実態を作ってもらいたいということを申し上げておるのです。
  71. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 先ほど木村委員、山田委員、続いて小川委員からの共通した意見に対して、的確な答弁のない点を私はここで再び申し上げますが、貿易振興会は、通産省及び各役所からほとんどの人が入っている。そこで貿易の実態というのは、何といっても経験の深い、しかも業者の中にはなかなかエキスパートの人がいるので、そういう人をもっと採用し、そういう人に活躍してもらうべきではないかという議論が、三人の委員から共通した意見で出ているわけですが、これに対して的確な答弁がない。それから政務次官からの答弁も、やっぱりあなたも役人の出だから、おざなりの答弁で、かりに私が中小企業者であるとすれば、まことに不満足な、しかも不誠意な答弁であると私は考えておる。これに対してお二人から、政務次官及び長村副理事長から、今後はどういう方針であるかということを一つ御答弁願いたい。
  72. 始関伊平

    始関政府委員 ジェトロの人的構成につきましての御意見でございますが、政府の方で直接任命をいたしますのは理事長、副理事長だけでございまして、残余の方は、ジェトロの発意に基づいて、役員についてはそれを認可するということでございますが、御趣旨は、民間の有能達識者を極力取り入れるということでございますので、事情の許す限りそういうふうに持って参るように、今後ジェトロ当局を指導して参りたい、このように存じておる次第でございます。
  73. 長村貞一

    ○長村参考人 ただいまのジェトロの職員につきまして、民間から極力とれという御意見は、私は一々ごもっともと思います。今後極力そういうふうに努めるべく努力いたしたいと思います。
  74. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そこで、なかなか今の人手の少ない、しかも貿易に携わるという人は、相当の待遇を与えなければ、ジェトロに入ってくれといっても入らないのだと私は思う。しかし、さっき小川君が言うように、大きな業者は、たとえば三井でも、三菱でも、あるいは丸紅でも、伊藤忠でも、江商でも、日綿実業でも、みんな支店を持って、エキスパートをそろえて、各都市に行っているわけです。そうしてジェトロをほんとうに頼みに思っているのは、中小企業なんです。中小企業を生かすためにジェトロを作ったのだと私は思うのですが、それには貿易振興会が役所式であっては、これは商取引の機関ですから、なかなかいかぬと思うのです。やっぱり商取引には、かゆいところに手の届くようなサービスがなければ、貿易は——貿易ばかりではない。どんな商売でも発展しないのだ。そういう意味で、これは決算委員会としては少し行き過ぎの意見を申し上げるかもしれないが、これは杉さんのような、貿易あるいはこういう事業に対して日本で指折りの人が理事長をやっておられて、杉さんあたりはよくわかっていると思うのですが、相当な待遇をしても、民間人のほんとうに貿易あるいは商売に経験の深い人を——一ぺんにみな入れかえろというわけにいかないが、相当の人間を入れて、そうして中小企業貿易の伸展をはかるようにしていただきたい。たとえば今山田君の言われるように、今度は麦の問題を転換して果樹でやる。これはなまのものもむろんですが、カン詰でも何でも出そうということなんです。そういうときには、ほんとうにジェトロに対して、それこそすがりつきたいような気持でいるのですから、そういうようなところにも一つ商売人上がりの経験者を入れて、ほんとうに気の毒な、そういう麦を転換したというような、たとえば各市町村の農業会でカン詰を作るとか、何をやるというような、そういうところも、一つあたたかい手で引っぱっていくような機構にしてもらわないと、これは私はジェトロの意義をなさないと思う。今政務次官が御答弁になりましたが、理事長と副理事長は大臣が任命するのだ、これはわかり切った話で、そんなことを聞いているのではない。そういうことを私がお尋ねしたのでもなんでもない。通産省は、これに対して監督機関ですから、通産省も、私の申し上げるととがもし間違っていないとしたら、そういう気持で一つ人間の構成をしてもらいたい、こういうことです。
  75. 三和精一

    ○三和委員 おそく参りまして、申しわけありませんが、小川君の質疑の中にも、また、委員長の発言の中にもありましたが、このジェトロの問題は、もう少し掘り下げて根本的に調査してみたい、こう思いますので、当委員会散会後理事会を開いて、田中彰治君あたりに調査してもらいたい。こういうことを提案したいと思います。
  76. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 本日は、この程度にとどめ、直ちに理事会を開きたいと思います。これにて散会いたします。    午後一時十三分散会