○
牛場政府委員 今回提出いたしました
文書は、これは
ガットの
規定によりますと、二十八条の一項に基づく
譲許表の
修正または
撤回の
交渉でございまして、
ガット加盟国は、一九五八年、六一年、六四年の三年ごとにその年の初めに
譲許表を
修正することが認められております。しかしながらこの
修正または
撤回する
譲許につきましては、その
譲許の
設定の際の
交渉相手国及びその
品目の第一位の
輸入相手国と
交渉を行なって
合意に達することが必要であります。またその
品目につきまして実質的に
利害関係のある国、つまり第一位でなくても、二位であるとか三位であるとかいうことで、実質的に
利害関係のある国とは協議することが必要となっております。その
交渉または協議の
内容と申しますのは、これは当の
撤回または
修正いたします
譲許に見合うだけの
代償を与えるということになるわけであります。従ってその
譲許を
設定いたしますときの
交渉相手国及び
品目の第一位の
輸入相手国を
相手といたしまして、
合意に達することが必要なわけでありまして、その他の
実質的利害関係のある国につきましては、必ずしも
合意に達しなくてもよい、協議するだけでよいということになっておるわけであります。
しかしこの原則の例外といたしまして、二十八条の三項には、
譲許の
設定の際の原
交渉国及びその
品目の
輸入の第一位の国との間におきまして
合意に達しない場合におきましても、
譲許の
撤回なり
修正をすることができるということになっておりますけれども、その場合には、同じ二十八条の四項によりまして、
先方が
対抗措置をとる、つまり
日本からの
品物に対する
関税を上げるというようなことを行なうことができるようになっております。そういうことを覚悟しなければなりませんので、できるだけ
合意に到達した上でもって
関税の変更を行なうことが望ましいわけであります。
本来でありますれば、この年の初めから、つまり昨年じゅうにこの
交渉を
妥結いたしまして、年の初めから施行するというのが
ガットの規則でありますけれども、今回の
交渉が長引きましたために、その期限が延びまして、本月の十八日にやっとこの
交渉の
段階が済んだということであります。
日本と
アメリカ、
ドイツとの間の
交渉はそれより少し早く
妥結いたしましたが、結局昨年じゅうには
妥結できなかった、そのために
国会に出す提案がおくれました次第でありまして、まことに申しわけなく思っております。