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小坂国務大臣 これはもらったもので借りたものではない、まず、こういう想定に立っておられるわけでございますが、
政府は
アメリカに対してこれはもらったものであるということを言っておりますことは、実は一度もないのであります。常に、これは
アメリカに適当な時期において適当な
方法で返すものであるという
了解をいたしておるわけでございます。これについて
国会の
答弁で捨ってみますると、例の
阿波丸に対する
請求権を放棄いたしましたときに、当時の
吉田総理大臣兼
外務大臣が、これも衆議院の
予算委員会で申し上げたことでございますが、これに対して参議院の本
会議におきまして、
阿波丸の
請求権放棄に関する
了解事項がございまして、その
報告で、「この
クレジット、或いはいわゆる
ガリオア、
エロア・ファンド、
費用と言いますか、或いは
日本に対する棉花その他の
クレジットというようなものが、恰かも
アメリカ政府から
日本が種々常に無償で以て貰っておるような誤解を与えておりますから、この機会に
了解事項として附加えたのであります。こういう
報告をしておるのであります。」
政府のこの問題に対する
態度は、受けた
ガリオア、
エロア等のものはそのままそれを
債務として負担したものではなくて、時期がくればその
内容を確定し、そして
外交交渉によって確定された
内容というものについて
債務を確定する。従来は
債務と心得て、
債務の額が
幾らであるかということを
外交交渉によって確定して、そして確定された
先方の
債権を、こちらにとりましては
債務でございますが、これを
国会の御了承を得て支払う、こういう
態度で参ったわけでございます。
ただいま御
質問の中に、
国民は当時非常に苦しくて、
やみ値でもってこういうものを買ったという
お話でございましたが、そうではございませんで、この
物資というものは、
やみ値時代に安いものを受けた、こういうことだと思います。私が御
質問を聞き間違っておるなら私の
答弁は無
意味でありますが、そういうことであります。
そこで、これについて
国会で
感謝決議をいたしております。その
感謝決議については、
国民は
ただでもらって
感謝しておるのではなくて、
国民はみな
代金を払って
感謝をしておるわけであります。従ってそれについて
国民の代表である
国会が
ただでもらったんでありがたい、こういう
意味でなした
決議ではない、こう言わざるを得ないと思うのであります。問題は、
政府対
アメリカ政府の
関係でございますが、これは
政府と
アメリカ政府の間においては、時期がくれば払う、
内容についてはあらためて
外交交渉によって確定する、こういう
態度で終始いたしておりますので、それはこの時期においては、時期も適当であるし、払わなければならない、こう
考えております。
それからなおもう一つ、われわれがこれについてどうしても
債務と
考えなければならぬ根拠がやはりあるわけでございます。これは御
承知のように、当時
スキャッピンといって
司令部からの指令がありまして、それに基づいていろいろと
日本政府は行動したわけでございますが、この
スキャッピンというものをいろいろと分類いたしてみますと、そこにはたとえば
支払い条件及び経理の
方法については後日決定する、「タームス
オブ ペイメントアンド アカウンティング ウィルビー ディサイデッド
レイター。」という
言葉が書いてあります。
日本政府はその書いてあることを了承して領収証を出しておるのであります。時期は一九四六年七月二十五日、
スキャッピン一八四四Aというものでございます。今第一類として申し上げましたのは、食糧とかその他
生活必要物資であります。これについて
スキャッピンが出ておるのであります。そのほかにも一九四六年三日二十二日
付スキャッピン八三四、こういうものを見ますと、
米軍の
払い下げ物資、これはある種の
生活必要物資及び廃品、
スクラップ類の売却、こういうものについてでございますが、これは「かかる対
日輸入計画に基づくものの
支払い方法については後日決定する」「メソッド
オブ ペイメント、アズ ア パート
オブ ザプログラム フォア インポーツ インツー ジャパン、 ウイル ビーデターミンド
レイター。」と書いてある。そういうふうに書いてあるものにつきましてはまだいろいろございますが、そういうことをはっきり
先方が書いておりますものを、
日本政府——これは
終戦後いろいろな
政府がございまして、必ずしも自民党ばかりの
政府ではなかったと思うのでありますが、そういう
政府が全部それを了承して、そしてこれをやはり配付しておるのでございます。そこで私は、何もそれがあるから全部が
債務だと言っておるのではない。要するに、そういうものがある以上、
債務と心得なければならぬ、そして心得て、
債務の額は
幾らだ、こういうことをわれわれは
国民の
負担能力、
日本経済の実態、それから当時の
事情、そういうものを勘案して適当な額をきめて支払うということがやはり堂々たる国の
態度でなければならない、こう
考えておる次第でございます。