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小坂国務大臣 これは
日本の歴史的な
移住政策にさかのぼらなければならないと思いますけれども、結局
日本の
移住政策というものが
世界の
各国に対して出おくれておったということが一つの大きな問題でございましょう。大体
アメリカ合衆国も
建国の初めは
移住によって作られた国でございますから、その当時参りました種族の
関係者というものはどうしても入りよいわけであります。
日本はそういうことに
関係なかったということが根本的な問題ではないかと思います。その後において、
アメリカも
建国以来の
モンロー主義というものがだんだん揚棄されまして、いよいよ国際的なものの
考え方になった。しかし、
日本のその間における
政策というものが、先ほど
戸叶さんもおっしゃったように、その当時は
軍国主義的であり、はなはだ
民族融和的でなかったという点もございましょう。要するに
日本人そのものに対する
理解の不足ということも大きな問題ではないかと思います。最近の問題といたしましては、
アメリカにおいても
日本人というものについての
理解が非常に深まりまして、御
承知の季節的な
派米労務者という問題も取り上げられまして、これは
各国で一律になってきておるわけであります。しかしやはり何といいましても
言語によるところの不自由さというものはなかなかおおいがたいものもあろうかと思うのです。たとえば
イタリアあたりから入ってくる者は、どうしても
日本語から
英語というより
イタリア語から
英語という方が若干楽な点もあるのではないかと思います。そういう点、
言語の障害というようなものもございます。しかしやはり何といっても
日米間の
相互理解というものがより深くより広くなるということが必要であろうかと思います。御
承知のように最近のギャラップ・ポールなどを見しまても、九月に行なわれましたものは、まことに
日本人に対しての気持というものは、例の
安保騒動の結果もあるかもしれませんと思いますが、とにかく全体の五六%は
日本人は信用ならぬというのが出ておるのであります。そんなような点もございますので、われわれは非常に注意深く
アメリカ国内における
日本に対する世論というものも
考えていかなければならない。総合的な
移住はなぜ伸びないかという点についてはいろいろな問題がございますが、根本的には
民族と
民族の
理解をもっと深くしていくということが必要だと思います。