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宮本参考人 お答え申し上げます。
まず、第一番目の、
同時性ということにつきまして、ある程度資料を積み重ねておりますので、それに基づいて
お答えをいたします。
長官のおっしゃいましたように、確かに皇居内の
地震観測室と
杉並区における
地震研究所と私のところとの
比較を、どうすれば科学的に評価できるかということがむしろ
前提に立つのであります。すなわち、同じ
器械らしく作ってあるということは認めます。ところが、その技術的な
担当者——やはり
責任を明らかにするために申しますと、
湯村哲男という
地震課の一員が実際
上技術の
担当者となっておるのでありますが、残念ながら、
計算を行なってからでないと科学的な
研究データとはいえないという
立場から、
器械の下に敷く
トタンが円形でなければ
計算が困難である、私
たちがやっておるようなかどばった
長方形または正方形では、少なくとも、簡単には
計算できないというので、今まで一年半の間にはやっておりません。そうして、私は、口で言うのではなく、実際上の
データで申しますと、
井上部長のところでは、
最初長方形でやっておった。そうしますと、
磁石の
方向が非常に
安定性がよかったのでありますが、
円板にすると、数分間くらいの間隔でふらふらと非常に安定を失うのであります。言いかえれば、
計算は便利かもしれないが、
円板にしたがゆえに一番大事な
安定性という
特性を失ってしまうわけであります。しかも、
湯村さんがやっておりますところは、
都内電車からわずかに三百五十メートル、ゆえに、夜中の二、三時間だけは直線で、
あとは
電車のレールから地面への
漏洩電流の
影響ばかり描いている。これでは
現象を認めることは完全に不可能であります。ゆえに、対応させようにも対応できないというのが実情であります。
それから、もう
一つ、
杉並区においては、
井上部長がおられれば証言して下さると思いますが、私が数回しておりますのでよくわかりますが、一時的なるがゆえにというので、
ピンポン台の上に載せてやっておりまして、廊下を歩くと、それによって震動する、わけのわからぬ
変化をいつもやっております。ゆえに、私のところの場合のように、完全に
自然現象だけをつかんでおりませんので、そういう
意味において、全く現段階においては正しい科学的な
比較をすべき
検討も行なっておらないという
状況であります。
もう
一つそれにつけ加えて申し上げますと、場合によれば、
長官は御存じないかもしれませんが、ここに事実を明らかにいたしますと、
湯村哲男さんのなさっている
検討には重大な欠陥がある。たとえば、窓に対して、わずか紙一枚を四角な画びょうでとめている。そのために、強風があると強い風が中に入ってくる。そうして、
器械をささえている台が、
厚味がわずか二分の一センチくらいの
手製の板で、不完全にささえているがゆえにゆれる。これは実に半年後に気がついたと言っておりますが、これでは、
検討ではなくて、ただ単にやっているにすぎない。しかも、これは私が言うのではなくて、
広野課長も完全に認め、これをできるだけ至急に改善しなければならないと
井上部長がはっきりおっしゃった。
長官のさっきおっしゃったことは、遺憾ながら何らの
根拠がないのであります。何らの科学的な
検討をやっておらない。しかも、百数十万円以上の
費用がすでに投下されていると私は聞いております。このような
態度で
長官がはたして
検討をやっているというならば、その
責任たるやきわめて重かつ大であると思うのであります。かつて
昭和二十二年当時に、
石川業六氏が柿岡で
検討をやったときも、単なる
専門家の一見解に基づいて全然不必要な
部分品をつけたために前兆が出なかったのでありますが、そういうことと相
関連を持つものではないかと思います。
第二番目の
問題について
お答え申し上げますが、この
器械は、はたして何台も何台も作れるような簡単な
構造であるのか、あるいはごく特別な
作り方を必要とするのかというような御
質問と思いますので申し上げますと、きわめて簡単であります。私は
手製で作っておるのであります。すなわち、私は、もしも
費用があるならば、相当完全なものを作れると思うのであります。マッチの棒と同じような、長さ三十ミリの
磁石を
アルミ板の薄いものにセメダインでくっつけております。しかも、合計しますと、わずか二万か三万円ででき上がっております。これがきわめて不思議な特殊な
器械であるかのごとく一部の人が言っておられるのは全く言語道断でありまして、私
たちが提案をしておりますものは、きわめて安価に、私が作るならば、いかに高級に作っても十万円はこえないのであります。これは学術的に認められている無
定位磁力計といいまして、一本だけつっておりますと、御承知のように
磁石は南北を示します。ところが、向こうの図にあるがごとく、上下に二十センチの距離を置きまして、極が逆になっております。NS、SNという逆になっております。ゆえに、どの
方向にも安定した位置を保つ。無
定位というのはそういう
意味であります。そういたしますと、
地球磁場の
影響を殺すので微妙な
変化を記録するというふうに、まとめて申しますと、だれでも作れ、どこの
会社でも作れる。ところが、ここにちょっと補足いたしますと、何ゆえに
気象庁は重大な失敗を犯しているか。とれも
長官の案外知らないことじゃないかと思いますが、
井上部長、また、この
湯村氏が、測
器舎という
会社の
営業部の
大橋という人と接触を保って作らせたようでありますが、私が
大橋から聞きますと、
目的を何ら聞いておらなかった。厳密な無
定位を作るというために作ったと言うのでありますが、
金属性の
円筒形を作ったために特別な
電流が流れて、われわれの
目的とする
現象を全く記録しない、あるいはそれに近い
状況であるということが
あとから判明した。約四十万円の
費用を投下しながら、やっと
あとで気がついている。ゆえに、さっき言いましたように、
湯村さんは木の箱を作って、こんこんと小さなくぎで何かの
板切れをくっつけている。数十万円の
費用をむだにして、本人は板で作って
観測している。これでは何十万円の金が何にもならない。これこそが税金の浪費であると私は断言してはばからないものであります。すなわち、何らの
科学的根拠に基づかざる
観測をやっておる。これは
吉松所長も認めて、この前の会合でも、
湯村氏を相当とっちめたのであります。
もう
一つは、〇・三ミリの
鉄板でよいのか、あるいは
鉄板というのではなくて、どうしてもその上に亜鉛メッキした
トタンでなければならないかということに対して、どの程度わかっているかという御
質問だと思いますが、残念にも、私の場合は、やろうやろうと思いながら、白状しなければなりませんが、十分な
費用がないために
鉄板を買うことすらできないのであります。かつて買ったのでありますが、準備が不足のまま数カ月過
ぎますとまっかにさびてしまって使いものにならなくなってしまったので、以後、その
検討ができないという残念な
状況でありまして、その点、申しわけなく思っておる次第でありますが、理論上の
研究をすべく、
東大または
工業大学あるいは東北大学の
先生方に文通あるいは直接お目にかかって、
電磁気学的な基礎的な勉強をしつつある
状況であります。
第三番目、それは、この前
東大で開かれましたところの
地震予知計画研究グループにおけるところの三十五名の
学者のうち、何パーセントくらいがこれに対して
理解を持ち、あるいは違う
立場の人がおるかという
お答えを申し上げます。私の今から申し上げる数値が多少ずれておるかもしれないということをお許し願うならば、私
たちのというか、この
電磁気学的な
方法に対して、少なくとも過去においてこういう
方面をやったと思われる人は、数にいたしますと、三十数名のうち三名と
考えておる。名前は、
吉松隆三郎所長と
湯村哲男、
井上宇胤部長がおられました。その他の方々は、ことごとくといっていいほど、みんな
地震計または
電磁気計、
傾斜計に基づくものであります。そこで、このことに
関連する
お答えを申し上げますと、
和達長官におそらく証明をしていただけると思いますが、驚くべき事実がございます。すなわち、
和達長官が次のようにおっしゃったのであります。
和達長官は、私
たちの
研究に非常に
理解がありますので、特に
質問をしていただきまして、約十数分以上
質問があったと思うのです。これに対しまして、あしたかあさって国会で、
討論があったという程度だけ答えるつもりだとおっしゃったところが、
東京大学の
坪井忠二教授は、
討論があったということを言ってもらっては困る、あたかも私
たちが
興味を持ったかのごとき錯覚にとらわれたら困る、何とかもう少し言い方を変えてもらえないか。それに伴って
宮村助教授も、われわれは
興味を持たないのだと叫んでしまっておる。すなわち、私があえて言うならば、これはあまりにも
地震との
関係がよいために、もしも、これが大々的に
組織観測をするならば、他の分野に相当なやりづらさが生ずるのではないか。一例をちょっとかいつまんで申し上げますと、
水準測量の
計画が、約十五億円の
予定で十年
計画で立てられておりますが、その
実行機関係の長たる
奥田院長は、五年に一回の
水準測量であるがゆえに、残念ながら
地震予知には何ら貢献することができない、ただ、
基礎的知識を提供するにとどまる、こう言ったのであります。その他、土地の伸び縮みを調べる
器械も、ごく特別なものを作る
予定ですが、二年に一回ということを聞きまして、
坪井忠二教授は、これでは何ら
地震予知の
目的に合わないものだとおっしゃっております。
もう
一つは、
地殻変動観測所も、
作り方によっていろいろありますが、穴を堀りますと一千万円、そうしますと、これはとうていたくさん作れないという結論が出まして、暗々裏に、どうしてもこの
方法が将来大きな
比率を占めるのではないかと思いながらも、何とかしてこれを消極的な表現をさせたい、こういうような雰囲気でありまして、非常に残念な
状況でありました。