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1961-05-31 第38回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十一日(水曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 山口 好一君    理事 菅野和太郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 中村 幸八君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君       赤澤 正道君    有田 喜一君       稻葉  修君    佐々木義武君       塚原 俊郎君    西村 英一君       細田 吉藏君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  菊池 正士君         参  考  人         (日本原子力産         業会議理事) 一本松たまき君         参  考  人         (毎日新聞社科         学部記者)   河合  武君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力開発利用  長期計画に関する問題)      ————◇—————
  2. 山口好一

    山口委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  この際、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお科学技術振興対策に関する件について審査いたしたい旨議長に申し出たいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山口好一

    山口委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 山口好一

    山口委員長 次に、閉会中の委員派遣、に関する件についてお諮りいたします。  先ほど議長に申し出ることにいたしました案件につきまして、院議による付託があり、実地調査の必要がある場合には委員派遣を行なうことといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山口好一

    山口委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、派遣委員の人数、氏名、派遣地、期間並びに承認申請手続などにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山口好一

    山口委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 山口好一

    山口委員長 次に、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、原子力開発利用長期計画に関する問題について、日本原子力研究所理事長菊池正士君、日本原子力産業会議理事一本松たまき君、毎日新聞社科学部記者河合武君、以上三名の方々より本日意見を聴取することとし、地震予知などに関する問題について、東京都立雪谷高等学校教諭宮本貞夫君を参考人と決定し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口好一

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、出頭日時など、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山口好一

    山口委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  10. 山口好一

    山口委員長 それでは、理事会の申し合わせにより、これより委員会休憩し、委員打ち合わせ会にて参考人方々の御意見を承り、その記録を本日の委員会議録参照として掲載いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山口好一

    山口委員長 御異議なければ、さよう取りはからいます。  これにて暫時休憩し、委員打ち合わせ会に移ります。    午後一時四十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————   〔参照昭和三十六年五月三十一日(水曜日)  科学技術振興対策特別委員打合会    午後一時四十七分開議
  12. 山口好一

    山口委員長 これより、都合により正規の委員会としないで、委員打ち合わせ会を開会することといたします。  これより原子力開発利用長期計画に関する問題について、ただいま日本原子力研究所理事長菊池正士君、日本原子力産業会議理事一本松たまき君、毎日新聞社科学部記者河合武君に御出席を願っておりますので、その御意見を承りたいと存じます。  菊池さん、一本松さん、河合さんには、御多忙中のところ、わざわざ御出席をいただきまして、ありがとうございます。  これより原子力開発利用長期計画に関する問題について、皆さんから忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。御意見は、菊池さん、一本松さん、河合さんの順序で伺うことといたします。菊池正士君。
  13. 菊池正士

    菊池参考人 原子力開発長期計画につきまして、私見を述べさせていただきます。  この原子力開発長期計画は、本年初めに原子力委員会から出されましたが、日本のような国でこういう計画を立てるということは非常にむずかしい問題だろうと存じます。発電計画にいたしましても、発電を実施するところは政府自体ではありませんわけで、産業界でやるようなことになっておりますが、その計画を立てるということは、なかなかむずかしいことであろうと思います。従って、原子力委員会等においてこの計画を出されるについては、いろいろな御苦心があったことと存じます。それで、ここにもあげてありますこういったいろいろな個々の数字について、こまかく、これが可能であるとか、ないとかいうことはなかなかむずかしいことであります。まあ、大体こういうことを目標官民一体となって事を進めようという一つ目標として、ここに掲げられたというふうに私は了解いたします。発電計画など、たとえば、十年間に百万キロというような数字が出ておりますが、これも必ずしもそう簡単に百万キロが達成されることとは思いません。ですから、そういった問題は別としまして、私は、この長期計画などで、多少、今まで触れられていない点について、ぜひ考えていただきたいと存じますのは、この発電計画を進めますについても、将来のそれの土地の問題でございます。この問題は非常にむずかしい問題でございますけれども、今後日本原子力計画を進めていく上には、原子力施設とそれに伴う周辺土地の問題をどうするかという問題が非常に大きな問題としてここにあると思います。これは、もちろん、こういった施設が何か事故を起こすという可能性は非常に少ないことは明らかでありますけれども、やはり万が一のことは考えて、土地というものは慎重に選ばなければならない。しかし、日本のように人口が稠密であります場合には、非常にこれがむずかしい問題になって参ります。現に、原子力研究所なども、その周辺に毎日々々人口がふえて参ります。現在のような場合ならばまだいいのでございますが、これからだんだんあのまわりにもいろいろできてくるとなれば、こういうことも、やはりわれわれとしましては非常な心配の種であります。この土地計画をどうされるかということ、これはよほど慎重にされる必要がございますけれども、やはりはっきりした計画を立てないと、必ず将来行き詰まってしまうということを強く感じます。これが長期計画にぜひ何かの形で取り入れられなければならぬ問題だと思います。  それから、この長期計画には、さらに研究開発の方の問題がございますが、これは、むしろ私の直接担当している問題でございます。これは原子力委員会長期計画書にも非常に詳しく出ております。しかし、あまり日限のことがそれほど厳密に出ておりませんで、延ばしても縮めても、どうにでもなるようになっておりますが、しかし、この計画を適当な順序で進めて参ります上に、それに要する経費というものは非常に大きなものになるということであります。これは、われわれこの場で大へん宣伝的なことを申して恐縮でございますけれども、日本原子力研究所予算というようなものも最近だんだん固まってしまいまして、大体年間五十億くらいのところにとまってきてしまったような格好でございます。しかし、本来の原子力研究というのは、今やっとここでスタートしたところでありまして、今後どんどんまだ拡大の情勢にあるということでございます。従って、この予算などもこれからますますふえていくものである、そういう点を、今後の問題として十分に考慮していただきたいということでございます。それに伴って、日本原子力研究所としては、例の民間出資の問題と政府出資の問題をどういうふうにしていくかというふうな問題もございます。  それから、もう一つ申し上げたいと思いますのは、先般来から問題になっております原子力事業従業員災害補償の問題でございます。それも、これから原子力の問題を進めていく上には、やはり考えなければならない大切な一つの問題であろうと存じます。このことは、原子力研究所ではさっそく問題になっておりまして、現在、研究所の中の委員会でいろいろと検討しておりまして、その結論も出ておりますが、その委員会結論としては、一応、従業員補償の問題としては、労災法だけにたよることなしに、それの範囲外に出た一つの立法をやっていただきたいという結論が出ております。これに対して、われわれとしては、まだそれを取り上げてどこどこへ働きかけるという態度は決定しておりませんが、私個人といたしましては、その趣旨は十分に了解いたしますので、いずれ、そういうことを近い将来にしかるべきところにお願いに出ようと思っております。  長期計画自体のこまかい点は別としまして、今申しましたような、土地の問題をどうするかということと、それから、今後研究方面相当費用が膨張していくであろうということ、それからまた、従業員補償問題等も考えていただきたい。そういういろいろな問題が長期計画に付随して起きてくるということを、一つ十分に御考慮願いたい、そういうことを申し上げる次第でございます。  以上であります。
  14. 山口好一

  15. 一本松たまき

    一本松参考人 ただいま菊池先生のおっしゃいましたように、長期計画というものは、非常にむずかしいものといいますか、私も電力関係を長くやっておりまして、電力の方では、長期計画というのはしばしば立てておったわけでありますが、どうもこれは合わない場合の方がむしろ多い。それはなぜかと申しますと、大体長期計画を立てることそれ自身が、そのときの情勢を反映して立てるということが常識であります。その立てるときが、非常にブーム的なときであるとか、あるいはそうでないとき、そういうようなことによって非常に違うのでありまして、電力の場合は、電力開発計画というものはいつも著しく違ったもの、これは、むしろ、ある意味では当然ということに考えられますとともに、長期計画そのもの意味と申しますか、少々違ったから長期計画はだめであった、そういうようなものでないということも、はっきり言えることだと思うのであります。ことに、原子力の場合には、これが初めてのものでありまして、いろいろな面におきまして未知な分野が多い、そういうことのために、長期計画というものは非常にむずかしくなっておると思うのであります。  日本原子力産業というものが、当国会において昭和二十九年に初めて予算案を計上され、その翌年にジュネーブ会議がありまして、原子力というものは相当はっきり世の中にわかってきた。その翌年の三十一年に石川ミッション英国へ行ったとか、あるいはスエズの動乱があった、こういうような時代は、一つ原子力のブーム的な時代でありまして、これを反映しました第一回の原子力長期計画といいますと、これは三十二年に立案されたわけであります。これが、昨年、これを改定するという議が起こったわけであります。これはむしろ当然のように思うのであります。その間に、石油の問題とか、あるいはスエズ運河のその後の終息、あるいは石炭に対しての考え方の違い、火力発電コストが案外安くどんどんできるというような情勢が起こりまして、相当大きくこれが変わる要因があった。そこへ世界原子力スローダウンというような形で世の中に取りざたされまして、今回の長期計画というものが生まれたと思うのであります。この間、わずかの時間でありましたけれども、産業界といたしましては、相当この長期計画に基づいていろいろなことが行なわれたと思うのであります。原子力発電会社もできましたし、また、原子力産業各界におきましても、いろいろな施設なり、会社なり、いろいろな状態が整備されて参りまして、その間に使いました民間の金が二百億円ということからも考えまして、第一回の長期計画は、極端に言いますと、一応その使命を果たしたというような感じすらするのであります。この間に原子力というものがだんだんわかってきた。不明の部分が相当明らかになってきた。たとえば、その間のむずかしい問題は、原子力技術の問題、安全の問題、それに関する燃料の問題、いろいろな問題があったわけです。それらを最後に締めくくる意味での経済の問題、こういうものが相当この間にわかって参りました。もちろん、百パーセントわかったというようなものではございません。ある程度わかってきた、そして、発電の面について申し上げますと、原子力発電コストという問題に、真剣にといいますか、もののよくかわった状態において取り組む時代になってきた。そして、昨年初めから、産業界等におきまして、こういう状態のもとに将来の原子力を一ぺん考えてみようじゃないか、これがただいまの長期計画のもとになったと思うのであります。この長期計画は、御承知の通りに、今のところは発電中心になりますので、勢い発電中心のような話になるのでございますが、発電の面においては、十年のうちに、さっき申しました経済の点において十分この問題を解決することができる。言いかえますならば、火力発電に比べて、原子力発電所というものが十分ペイするところまでくる、同じコストまで下がってくる、もちろんこれは仮定であります。十年先のことでありますから、仮定に違いありませんけれども、その仮定を出します道程におきまして、世界各国事情、現に東海村でやっております私たちの仕事を通じての経験、多くの会社原子力事業会社のようなグループを作りまして研究しました結果、さらに、英国のヒントンさんの資料とか、アメリカのAECなとの資料、直接その担当者と会っていろいろ打ち割った話をした結果、そういうようなものを総合しまして、十年後に経済的に引き合う原子力発電所ができるという結論を生み出すことができたと思うのでありますが、これが今の長期計画の根本になっておると思うのであります。その他のエネルギーの様子をよく考えまして、十年後から次の十年、つまり、今から二十年後における状態を考えまして、この間の二十年計画というのが今度の長期計画の対象でありますが、その後期十年の間に、火力の三分の一程度のものを原子力でやるということを——これはわれわれが事業をやっておる事業の勘と申しますか、あるいは、もちろん、それは原子力負荷率を高くするというようなことを加味した技術的な面も相当取り入れておりますけれども、そういうようなものを考えると、三分の一程度のものを原子力に置きかえるといたしまして、約七百万キロワットか八百万キロワットくらいをそのとき作るというような構想を作りました。その構想に合うために、前期十年間をいかにするか、原子力というような新しい産業にありましては、二十年計画を立てますときには、あとの十年の方がもっとやさしいといいますか、見通しについて、いろいろな作業の結果を出しますのにむしろやさしいということでありますが、しかし、具体的の問題に非常に関係の深い最初の十年間というものにつきましては、われわれも非常に腐心をいたしました。あとの十年に七百万キロワット、八百万キロワットを作るということのために、そういうことは一ぺんにできるものではありませんので、その準備ということも非常に大きなファクターであります。それから、その間に、われわれが電気事業という事業を通じて耐えられるであろうという経済的な面、その考慮も十分に要るわけであります。そういうものを考えまして、その最初の十年間に百万キロワットという数字が出ました。これはごく大ざっぱな話でありまして、これを出します過程のこまかいことは、しばしばお聞きになったことかと思いまして、ここでは私は申し上げませんけれども、とにかく、そういう考えで、今度の長期計画というものは、将来のエネルギーに対しての電力業者の責任を果たすために、どうしてもこれだけのことはやらなければならぬ、また、やってそれは最も適当なものである、こういう結論で今やっておるわけであります。発電の面は大体そういうようなことであります。  船につきましては、私、直接あまりよくわかりませんのですが、産業界といたしましては、船に対しましても一応の計画を立てております。これはいろんな意見もあるわけでございまして、最初の十年とか八年とかの間にどうしても一つは作らなければいかぬ、あるいは二十年の間に数隻は作って、このくらいのものは作らないと、将来の海運に対して日本がやっていけない、そういうことを十分審議しまして、船につきましての長期計画を立てたわけであります。  その他、燃料、さっきお話がありました研究開発というものを具体的に一応長期計画的に策定いたしましたものが、産業会議が昨年の十月に発表いたしました原子力産業開発に関する長期計画というものでございまして、その後、政府の方におかれましてもお取り上げ願って、御検討願った結果、今度の長期計画は生まれたと思うのであります。  産業界といたしましては、あくまでも、原子力を今完成したものとしてもちろん考えておるわけではありませんが、われわれの原子力発電所を建設する実際の経験、人員の養成、材料、機器というようなものの開発をする、あるいはこれに関連した全般的な原子力機器原子力発電所を製造する技術、そういうものを開発するために、われわれのなさなければならぬ義務をこの長期計画の中に盛り込んだということであると思うのであります。  詳細につきましては、またお話を申し上げることにいたしまして、一応これで終わらしていただきたいと思います。
  16. 山口好一

    山口委員長 次に、河合武君。
  17. 河合武

    河合参考人 今、菊池先生一本松さんが、それぞれ御自分の立場を中心にしてお話になりましたが、私は、もう少し大きく、全般的な問題をお話したいと思います。特に、この長期計画というものは、大へん長い作文でございまして、原子力に関するあらゆることが含まれているといっていいものだと思いますので、少し広げてお話をしたいと思います。  今、一本松さんは、なぜ昔の原子力計画を変えなければならなかったかという理由を幾つかあげられたのでありますが、それは、ほとんど原子力発電に対する見方世界的に変わってきたということを理由にされていたと思います。そうして、大体世界的に見て、原子力開発の原状からいえば、当然そう考えなければならない状況であったと思うのであります。ところが、この長期計画で、なぜこの改定をしなければならなかったかということをあげている三つの条件というのは、技術情報が豊富になって、長期的な見通しが具体的、広範囲に言えるようになったということ、それから、核燃料供給力が非常にふえて、輸入政策というものが必要になったということ、それから、実用化のための克服すべき技術的問題の複雑さが明らかになったこと、特に、高速増殖炉技術的困難がはっきりしてきた。もう一つ四つ目に、外貨収支改善と、石油世界的供給力の著しい伸びと価格の低下で、エネルギー需要の大部分がまかたえることになったということの四つをあげているのであります。  ところが、この長期計画と相前後して、原子力委員会が発表いたしました昨年度の原子力年報というものでは、最近の原子力情勢というものを分析いたしまして、この一年はスローダウンの年であったとして、英国スローダウンの実情、欧州の計画延び等をあげております。そして、さらに、エネルギーに対する考え方が、石油の非常に大きな供給力の増大によって変わってきたということをあげ、それと同時に、火力重油専焼が非常に盛んになって、燃料単価が安くなった、それは原子力の規模を大きくしても、建設単価飛躍的低下は今すぐは期待できない、そういう経済的な問題と、もう一つ安全性技術というものが案外にむずかしくて、そう簡単にはいかないし、安全性を確保するということになればコストにもはね返る、そういう理由をあげているのであります。そして、一本松さんが卒直にお話しになると、すぐその問題が出てくるように、ほんとうのところ、原子力計画を変えなければならなかったのは、やはりエネルギー事情と、原子力開発が当初に予定したほど安くはならなかったという現実に基づいているはずなのであります。  そういう面から見ますると、この長期計画でいっております改定理由、あるいはその背景という言い方は、かなり苦しい言い方になっておるのじゃないか。中曽根さんが一昨年の末から昨年にかけまして、原子力計画を変えなければならないとおっしゃったときには、そういう点を非常に率直におっしゃったと覚えております。そして、その理由によってこの改定が行なわれたのでありますけれども、でき上がった計画改定によると、その点はかなりぼけている。逆にいえば、スローダウンという言葉をなるべく使いたくなかったというような面があるのじゃないか。そういう意味では、むしろ、今度の国会で、池田長官が、原子力は神代であると言ったあの率直な言い方の方が、原子力の現状というものをはっきり表わしているのじゃないか。そういう意味で、この長期計画ほんとう意味で反省をして作られているかというところに、いささか欠けるのではないかというふうにまず感じるのであります。  それから、この計画順序に従いまして、まず、日本でも世界でも一番問題になっている原子力発電開発という点でありますけれども、この長期計画の中の開発意義というところにおきましては、前の三十二年に長期計画を作りましたときには、エネルギー需要の問題というものを非常にこまかく検討されまして、経済企画庁その他とも一緒に作業をして、それを長期計画の前提として、かなり詳しく載せているのでありますけれども、今度の長期計画においては、その点を非常に軽く言っているのではないか。かつては、エネルギー需要からの絶対的な要請ということと、外貨収支改善という、その二つの大義名分をもって原子力発電を急げ、原子力発電をやれという言い方ができたのでありますけれども、現実に、石油情勢その他から考えまして、今その大義名分がうせてきたときに、やはり原子力発電意義という点でも、非常に苦しい言い方をせざるを得なかったという感じがするのであります。この開発意義というところで、この計画の中でどう申しているかと申しますと、電力需用の急速な伸びに対応するためには、必要なエネルギー源海外資源に依存せざるを得ないという傾向はますます強くなるので、外貨収支の見地からのみでなく、エネルギー源確保安定化の面からも、より安価なエネルギー源開発及びその多様化をはかることが必要である、このために原子力発電に期待するのは意義がある、という言い方をしておるのであります。そのほかには、国産化率を高めると外貨収支の面でも有利となるという点、高度の技術を必要とする原子力であるから、技術開発を進めれば産業構造高度化に役立つ、その三つをあげておるのであります。しかし、こうしたエネルギー面からの原子力必然性、こういう見方というのは、今ではいささか違ってきているのではないか。全般的な貿易の自由化その他という傾向と同時に、石油供給力の増大ということは、そんなに簡単なものではないし、むしろ、今までよりは、エネルギー資源を海外にたよっても安心しておれるような情勢が、昔よりは生まれてきているのではないか。この点につきまして、この委員会と同様のアメリカ議会の原子力合同委員会が、昨年マッキニーという、かつてアメリカのIAEAの代表になっておりました人に依頼をいたしまして、国際的な原子力政策の、再検討というテーマで、非常に膨大なレポートが出ておりますが、その中で、マッキニーは、ある国々は、原子力発電が輸入エネルギーを減らしてくれるか、あるいは必要なエネルギーの供給源をより分散させる——つまり、計画でいう多様化という言葉でしょうが——機会を提供してくれると考えた、これは数年前のいわば古典的な戦略思想であって、ある国やある地域に、彼らの支配の及ばない要因からの独立性を増す代償として、高エネルギーコストを受け入れさせる動機となるものである、という言い方までしておりますし、OEECのロビンソン報告でも、その点については、もう現在の石油状況その他から見て、エネルギー・ギャップというような言葉はなくなったのだ、現在どの国が、どのエネルギー資源を、どの時期に、どのくらい使うかということは、コストを基準にしてきめるべきだ、という言い方をしているほどなのであります。そういう意味で、この原子力発電がなぜ必要かということ——私も、決して長期的に原子力発電が必要でないということを言おうとしているのではありませんが、その点について、エネルギー上の必要と緊急必要性というものはうせているということは、もう世界の常識だと言って間違いないのではないかと思うのであります。  ところで、もう少し具体的に入りますと、今度の長期計画では、先ほど一本松さんがおっしゃいましたように、後期十年に約六百五十万から八百万キロワットの原子力発電を作る、そのために、前期十年間に百万キロワットの原子力発電を建設するという計画になっております。ところが、この計画の基本的な考え方を述べている前段においては、原子力開発利用世界的に見て経済的に引き合うという時期は十年先以上おくれることになるから、前期十年を開発段階とし、後期十年は発展段階とするのだ、そういう言い方をしているのであります。そういう言い方からいたしますと、最初の十年というのは、研究開発に力を入れるということになり、従って、この長期計画でも、第三部の研究開発計画というのが中心であるということをしばしば当局も言っておるのであります。その将来の二十年先までに八百万キロワットをやるかどうかという問題、あるいは十年先にコストが合うかどうかという問題についても、まだ問題はあると思います。先ほど一本松さんの言われたように、アメリカのAEC担当者としては、十年先に確かに経済的に引き合うだろうという見方をしております。しかし、従来からアメリカの原子力委員会に、ある批判の立場をとっていた民主党系の勢力の考え方というのは、そう原子力委員会の、言い分をそのままのんではいないという面もあります。しかし、十年先あるいは二十年先にコストが合わないという逆な言い方もないわけで、それは前提としておいても、僕はおかしくないと思います。しかし、そこで問題になるのは、将来六百万ないし八百万をやるために、前期十年間に、なぜ百万キロワットもの発電をしなければならないかという点であります。この計画によれば、大体五基の原子力発電所によって百万キロワットの発電をするということを言っているのであります。そして、しかも、その型式としては、実用性のある程度明確になっているもののうちから選ぶべきで、ガス冷却型と軽水冷却型とがおもなる対象となると思われる、そういう言い方をしております。そうなりますと、同じ型の発電炉を同じようなねらいで五基作っていくということが、コストが合わないということがはっきりしている現在、それだけ必要であるかどうかという問題は、もう少し検討しなければならないのではないかと思うのであります。しかも、一方、最近の電力需用伸びによって、電力会社の方はかなり資金面で苦しくなっておる。火力よりももっと資本費のかかる原子力発電、しかも、それはコストに合わないということがかなりはっきりしている原子力発電を、しかも、同じような種類のものを五つも並べる必要があるだろうかという疑問は、当然出てくるところだと思います。  さて、その次に、もう一つ問題なのは、前の計画におきましては、コールダーホールという型の原子炉を日本に入れて、それを国産化していく。なぜコールダーホールを選んだかというのは、国産化がほかに比べて非常にやさしい、天然ウランを使っているというような理由から、コールダーホールを取りしげたのであります。そして、それを前期十年間の主となるものとし、それに将来は軽水型が入ってくる、こういう考え方だったのであります。アメリカの原子力発電は、確かに幾つか軽水型の発電所が動き始めました。しかし、そのコストは、現実に、当時予想していたコストよりは確かに上がっているのであります。そして、そのコストが、これからすぐ安くなるという見通しはそれほどあるわけではない。しかも、前の計画では、そういう将来を見越しまして、原研に動力試験炉として軽水炉を入れて、その建設実績及び運転実績を見た上で検討するという言い方をしておりました。そして、その計画に基づいて、原研では現在軽水炉の動力試験炉を発注したところであります。そして、まだ動いてもいないという段階であります。そういう段階で、直ちに二号炉に大型軽水炉を入れるべきであるかどうかということになれば、もし入れるとなれば、JPDRがかつてねらっていたものでなくならなければならない、少し変わったねらいを持たなければならないということになるのであります。そういう意味で申しますと、前の計画よりも軽水炉の動力ということはスローダウンしたのではなくて、世界的なスローダウンという傾向に逆行して、むしろスピード・アップされたという形にもなるわけであります。  もう一つ、先ほど申しました、コールダーホールを入れるということは、日本原子力発電の国産化ということがねらいであったというところで第一号炉が入ったのであります。そして、次々に国産化率を高めるというのが、わが国の国策であるというふうに考えておった。ところが、今度の計画では、コールダーホールについては、何と申しますか、非常に気の毒なくらい、ほんの少ししか書いていないのであります。全く影の薄い存在になってしまったという感じがするのであります。確かに、実際にコールダーホールを導入する過程を通じてわかりましたことは、安全性というような問題も、最初に言われていたのとはかなり違った様相を示している面もあります。それから、また、コストの面もかなり高くなっております。そして、安全にして経済性があるから導入するという言葉は、確かに言葉としては残っておりますし、そういう言い方もできるかもしれませんが、現実には、経済性のある発電炉であるということにはならないという状況であります。しかし、それにしても、もしそうであるならば、なぜ今度の計画でコールダーホールをそんなに影を薄くしなければならなかったかという理由をはっきりするのが当然ではないかと思うのであります。そういう点で、この長期計画は、せっかくコールダーホールのパイオニアとしておやりになった原子力発電会社を、非常に気の毒な目にあわせるような計画であるというふうにさえ感じるのであります。  そうしまして、この発電部分についての原子力委員会長期計画の書き方というのは、すべて期待するというような言い方でありまして、政府がやるという言い方一つも書いてないのであります。そして、これは、結局、電力界を含めた産業界、おもに電力界でしょうが、それがこれだけのことを開発するというのなら、それではどうぞおやりなさいという態度だといえるのであります。そういう点では、わが国の原子力政策を企画し、審議し、決定する機関としてある原子力委員会としては責任回避ではないか。逆に言えば、もし、絶対必要と思っているならばそう書くべきであって、それを、そう書かないということは、原子力委員会として、その発電計画が必要であるというふうには言い切れない何ものかがあるのだろうというふうにさえとれるのであります。また、資金の面から申しましても、五基百万キロと申しますが、約千五百億あるいは二千億近い金額になると思います。ところが、この長期計画研究開発で、十年間に要する資金は千八百億から二千億円かかるというのであります。その場合に、十年先に水力、火力とすれすれのコストをねらう原子力発電所、しかも、同じような型のものを、そして、それがどれだけわが国の技術を高めるのに役立つかという点において、研究開発にそれだけの金を投資するのがはたしていいか、ただそういう炉を建設するのがいいかという点、そういう問題も、原子力委員会としては判断しなければならなかったのじゃないか。そういう意味で、原子力委員会はみずからの判断をこの発電の問題についてはしていない。しかも、炉の型式についても、そういう判断をしていないというふうにさえ見られるのであります。  それに関係いたしまして、技術導入の考え方というのは、従来は、国産化ということを中心にしておりましたのですが、今度の計画によりますと、かなり大幅に技術導入をするという考え方が入っております。これは、確かに、全般的な自由化というような傾向から、そういう考え方が現われるのも当然という見方もあるかもしれません。しかし、前に申しました原子力年報という方では、むしろ、原子力世界的なスローダウンの傾向によって、日本としては原子力発電についてじみちな研究開発を行なう時間的余裕ができたという分析をしているのであります。とすれば、ここであわてて技術導入ということだけに走るということが、はたしていいのかどうかという問題も考えなければならない点ではないかと思います。その点では、年報の方が、計画というものに左右されなかったために非常に正直であるといえるのではないかと思います。そして、また、そういう技術導入の仕方をやった場合に、技術導入というものを一方の柱とした場合、一方では、独創的な研究をやっていこうという二本の柱でいくんだと申しますけれども、はたして、今度は独創的な研究というものが日本で実際に実用化として受け入れられるような体制があるかという点も問題があるのではないかと思います。たとえば、今までのわが国の研究の中で、黒鉛に使いました委託研究費、補助金というものを合わせますと、約九千万円にも上がっているのであります。ところが、コールダーホールに入れます黒鉛が、最初英国製のものであったときには、なるほど理解はつくのでありますけれども、それをフランス製に変えるというときに、日本製という話がどの程度出たのか、私は詳しいことはよく存じませんけれども、そういう点で、私が伺ったのでは、日本では照射実験という点が足りない点と、量産をした場合に、品質の管理がよくないという言い方をしているのでありますが、実際に、現在ではフランスの照射実験のデータというのはそれほど詳しくはわかっていない、また、時間的にも余裕があるとすれば、もう少し意欲的に、実際に日本のものを使うという方向があっていいのではないかと思うのであります。そういう現実を考えますときに、はたして日本で独創的な研究をやって、それを産業界がそのまま受け入れてくれるだろうかという点は、疑問といわざるを得ません。火力発電の場合のボイラーの場合でも、あるスケールのものを導入して、やっと国産ができようとしたときには、すぐ次のもう一つ大きな型が入ってくるということになって、いつまでも日本の国産技術というものは、よほど大量の需要が出てこない限り、日本では使われないという現実があるのであります。また、そういう点から申しまして、現在日本では五つのグループが産業界にあります。これはメーカーのグループであります。しかし、それが最近では六つないし七つになるという傾向がある。ところが、現在、この計画において十年間で百万キロワットの発電炉をもし作ると、そのまま認めたとしても、五基だとすれば、一グルーブ一基の原子力発電という需要になるわけでして、メーカーとして、それだけでもって商売が成り立つのかどうかということさえ疑問に思います。その点では、英国が将来のスローダウンを見越して、グルーブを三つに縮小したというような例もあるのでありまして、原子力委員会としては、そういう産業政策という面をもう少し考えてみなければいけない。確かに電力界にはあまり影響はないところですが、メーカーが、要するに日本原子力産業のにない手になるのだとすれば、そのメーカーの意見というものをかなり重要視して、また、それをどういうふうに持っていくかということを考えなければならないのではないかと思うのです。その点では、こういう委員会で、国会長期計画のことをお聞きになるときに、原研と電力界だけの意見をお聞きになるのではなくて、メーカーあるいは将来の研究開発のにない手を作る苗しろとなる大学、その他学界の意見をお聞きになるということをなさらないのは片手落ちじゃないかというふうにさえ思うのであります。  あと研究開発の問題でございます。これは菊池先生の原研が中心になるところでございますが、今度の研究開発計画というものは、従来なかったものを作ったというので、当局としても非常に意気込んでいたところであると思います。確かに、非常に広範囲にわたってあらゆる原子力の問題が含まれているということはいえるのでありますけれども、先ほど菊池先生がおっしゃったように、時間的なファクターがないということも含めまして、計画というのではなくて、むしろ、現在の原子力開発の方向としてやらなければならない研究はどれだけあるのだという羅列をした、いわば白書というような感じがするのであります。これは現在の原子力予算のとり方が非常にむずかしいという現状から考えまして、あらゆる研究テーマをこの計画に並べておかないと、計画になかったからといって大蔵省に切られるという、原子力局の苦しい立場をある程度現わしているのかと思いますけれども、総花予算というものがいかにむだであるかということは、先生方が一番御存じのところで、先日もガンの研究の話でそういう話が出ましたけれども、実際に、そういう点では、この研究計画というのは、まさに総花の計画であるという感じがするのであります。ただ、原子力当局として、今度の計画でここが一番自慢の種だというのが、プロジェクト研究という二つの柱であります。一つは、半均質炉という原研独創のものを育てるというのと、もう一つは、プルトニウムの研究をする、こういう二つのプロジェクトを組んでおるわけです。ところが、現実にこの中でうたっております計画の炉の型式だけでお話をいたしましても、発電炉では、天燃ウランを使いましたコールダーホール・タイプと、濃縮ウランを使ったウォーター・タイプ、また、増殖炉としては、半均質炉と、水均質炉と、高速増殖炉と、もう一つ、その前の研究段階として国産化するのは、重水の国産一号炉というふうに、あらゆる原子炉が並んでおるという現状。原子炉といえば、むしろやらない原子炉を探した方が早いというふうな感じがあるわけです。こういう現在の段階で、将来のほんとうに安い原子力発電を目ざすのにどの型がいいかという判定をするのは、確かにむずかしいことであります。そのために、かなり広がった研究をしなければならないということもわかります。しかし、現在、このように大きな型式の炉をやって、並行路線で進んでおるという国は、アメリカ、ソ連というような国力のある国でありまして、その他の国は、小さな実験炉は幾つかあるにしても、ある路線をきめて進んでおるということを確かなのでありまして、そういう点で、原子力委員会がその路線をきめるということこそ、長期計画のポイントではなかったかと思うのであります。また、そういう点から見ました場合に、この半均質炉とプルトニウムの研究という二つのプロジェクト研究は、同じ路線に乗っておるものとは考えられないのであります。半均質炉というのはトリウムを使ってリサイクルする方式でありまして、プルトニウムの研究の路線とは全く別の系列だと思うのであります。そういう点で、この二つのプロジェクトをどういうふうに結んでいくかという点は、かなり今後も考えなければならない問題だと思います。また、総花的な計画を羅列したために、私ども、外から見ておりまして一つ心配なのは、一体、原研というのは何を研究するところなのだという焦点がぼけてしまう。もちろん、菊池先生を前に置いてこういうことを申し上げるのは失礼ですけれども、若い研究者の中には、「原研よどこへ行く」ということをみんなで話し合っている人たちがたくさんいるのでありまして、そういう点も、どうもこの計画では、むしろ、あらゆる産業界その他の要請をすべて背負い込んで、原研が動きがとれなくなるということを奨励しておるかに見えるのであります。もし、このプロジェクト研究というものをほんとうにやるのだとすれば、日本でプロジェクトを進めるとするならば、安全性の問題こそ、プロジェクト研究としてやるべき問題ではなかったのでしょうか。今までは、安全という問題は、ことごとに、問題が出てきてから手を打つという研究の仕方でありましたけれども、それではだめなのでありまして、特に原子力というものは、放射能というハンディキャップを背負っておるとすれば、そういう点では、安全性研究を一生懸命やるということが一番重要だと思うのであります。科学研究で、あらゆる国の科学研究目標というものを少し調べてみますと、大ていの国は、第一に国防をあげ、第二に国民の保健ということを科学研究の重要な二つの柱としておるのであります。わが国では、憲法によって軍備がないということになれば、保健ということが、国の責任としてやるべき研究の一番重要な問題だと思うのであります。その点で、今まで原子力委員会のとってきた安全問題に対する態度というのは、きわめておろそかであったといわざるを得ないと思います。たとえば、災害対策というような問題にしても、もし、これを本気にやる気になって国が予算を出すならば、気象の問題その他もかなり実験ができるはずであるのに、そういう問題は原子力発電会社におまかせしているというような態勢ではいけないのではないかと思います。  そして、さらに、この計画で一番気がかりになるのは、原研の役割、燃料公社の役割ということはかなりよく書かれているといえますが、原子力関係で、ただ一つの国立研究所である放射線医学総合研究所が一体どういう役割をするのかという点に、きわめて不親切な書き方しかしていないという感じもするのであります。そして、わざわざ国立にした点から見ても、国としては、放医研にもう少し安全問題の解明をする研究をさせるべきではないか、放医研を中心としたプロジェクトを作るということが必要じゃないかと思うのであります。その点、もう一つ問題なのは、この安全問題が重要ではないかと私が当局者にいろいろお話をしましたところ、当局側の意見の中には、安心問題はわが国ではタブーなのであって、そういうものを表に出しては、かえって原子力が進まなくなるのだという考え方が横行していたことであります。その点は、最近はいささか変わってきたかと思いますけれども、むしろ、研究を大いに進めているからこそ信用してくれというのが、安全性を国民にPRする唯一の道でありまして、ただ何もしないで、あるいはこそこそとやっていて安全だというのでは、国民は信頼してくれないのではないか、そういう点は長期計画を進めるためにも非常に重要な点ではないかと思うのであります。  今まで申し上げたようないろいろな問題点がこの長期計画にはたくさんあるのでありますが、最後に、特に国会などでお考えになっていただくことが一番よいと思うのは、国際協力という問題であります。国際協力という項目は、この計画にも何度か出ておるのでありますが、これは単なる情報交換を激しくするというふうな、非常に抽象的な言い方しかしておりません。しかし、現実に、世界的にも、たとえば、先ほど申し上げたマッキニーのレポートによれば、今や、世界じゅうに原子力施設と人員はそろい切れないほどそろい過ぎている、問題は、何を目標にするかである、その点で国際協力が必要であって、アメリカは今までのやり方ではいけないという反省をしております。それは国際的な二国間の協力ということではなくて、もっと大きな、たとえば、国際原子力機関のような機関を通じて国際協力を大いに進めていくというねらいを持つべきだと思うのであります。特に日本の国際原子力機関に対する寄与は、ウランを三トン輸入しただけで、かなり世界的な好評を博したという実績を持っております。その点から見ましても、今後、たとえば、半均質炉を精力的に開発するならば、それをねらうなり、あるいは材料試験炉を作るというようなことを考えているならば、それをねらうなりして、もっと国際協力の体制を日本で実を結ばせて、たとえば、ドラゴン計画とかハルデン計画というような計画と同格なものを日本で作っていくというふうな、国際協力の仕方を考えるべきではないか、その道は、軍縮を達成するための一つのブレーキにもなっている国際原子力機関の成長を日本から促すという一つのいい方向になるのではないか、そういうことも考えるのであります。  私がこの長期計画で申し上げたいことは大体それだけなのでございますが、最後に、一言念を押して申し上げたいことは、この長期計画の中で、きわめて不明確になっている問題というのは、結局、原子力委員会ほんとう意味で政策をみずから決定できなかったということが残されているからであります。その点では、原子力委員会が諮問機関であり、また、それと同時に、決定のできる重要な機関であるという、非常にむずかしい性格になっているという点が一つあるのだと思います。そういう面も、今後この委員会中心になって、原子力委員会というものは一体どうしたらいいのだという点も検討していただかなければ、日本原子力がすっきりした形で国民の協力を得て進む形にはならないのではないかというふうに感じるのであります。私としては、原子力発電を決してディスターブしようとしていろいろ批判をしているのではありませんので、原子力を育てたいからこそいろいろ申し上げるのでありますが、できることならば、ふしぎな国にならないようにお願いしたいと思うのであります。長々しく恐縮でございました。
  18. 山口好一

    山口委員長 以上で菊池さん、一本松さん、河合さんからの御意見の発表は一応終わりました。  御質疑はございませんか。——齋藤君。
  19. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私は、過去二カ年半、国会における原子力問題の戦列を離れておったために、その間、国会中心として日本原子力問題がどういう態勢のもとに進展を続けてきたかはよく知らないのであります。また、二年半の間あまり勉強もいたしませんでしたので、原子力問題についてはすでに時代おくれの頭しか持っておらない、そう自分では考えているのであります。  原子力予算昭和二十九年に初めて国会を通過いたしましてから八年になるわけであります。この間に、外観的には、予想以上に日本原子力体制というものは整った、こう私は見ておるのでありますが、ただいまいろいろお話を承りますと、特に河合さんの十カ年計画に対する御批判を承りますと、外観はきわめて成長率がいいけれども、内容はあまりこれに伴っておらないような感じもいたすのであります。しかし、私といたしましては、これは誤った感覚かどうか知りませんが、いやしくも、原子力というものは世界的に長足な発展段階をたどりつつある、あるいは一見スローダウンのような形をたどりつつあるにかかわらず、人類社会に根本的な革命をもたらすものであることには、原子力界に身を置いておられる方はいささかも疑いを持っておらないと私は思うのであります。それでありますから、非常な勢いをもって進んでおるときも、あるいはスローダウンのように見えているときも、原子力界すべてをあげて、新しい原子力の利用の方法を見つけるべく努力をしているのであって、これが矢つぎばやに見つけれるような態勢になっているときに非常な進歩があるように見え、大きな難局にぶつかって、なかなか新しい方法が見つからないというときにスローダウンしているような形に見える。しかし、私は、そういう理論は知りませんが、大局から見ればやはり進歩している。人間の頭脳的にいろいろな方面から考察を加えられ、研究段階が積み重ねられて、そうして進歩していると私は思う。でありますから、この十年計画というものを読んでも、よく私にはわかりません。もうすでに、日本原子力体制というものは国会のおせっかいを離れて、自前でどんどん進んでいく態勢にあるのじゃないか、こう実は考えて、あまり原子力問題なんかに頭を突っ込んでいると、また落選するというジンクスもありますので、この辺で、われわれもあまり原子力問題には手を触れないでもいいんじゃないか、そう思っておったのでありますが、お話を承ってみると、いろいろな点において、まだなかなかそういうイージー・コーイング的な国会のかまえというものは許されないような面もあると思うのであります。  それで、私伺うのでありますが、今のお話のように、コールダーホール型を国家の意思をもって買う、そして、原発ができて、今の原発体制がある。とにかく三百数十億円の金をかけて、あれだけのコールダーホール型発電所をやるのでありますから、これは原子力発電の第一号実用炉として、キロワット・アワーが高くつこうが安くつこうが、最善の努力を払って完璧を期して、そのコールダーホールを作り上げるというのが原発の務めですね。それが高くついたとか、安くついたとかいうのは、これは原発の力以外の作用でありますから、それは私は問題外だと思う。だから、原発としては、そのコールダーホール型をりっぱに作り上げるということに専念される、私は、それでいいと思うのです。ただ、私は、今お話を承っております間にちょっと疑問に思いましたのは、その日本の、たとえてみますならば、原子力発電ですね、原子力発電というものの焦点を一体何に合わせようと考えておるのか。主として原子力委員会ですが、そこに私は原子力研究所、その他学界、実業界、総力をあげて結集すべきところの課題があるのじゃないかと思うのです。それをどういう形で、どういう型の原子力発電というものを日本は終局の目標としてその達成を期しているか、増殖炉をやるのか、あるいは核融合反応に焦点を合わせるのか、あるいは半均質炉をもってまず第一段階におけるところの日本原子力長期計画に終止符を打とうとしておるのか、そういうことを決定するために、原子力研究所及び原子燃料公社ないしはその他学界、あらゆる産業界のグループを動員して、ある目標をきめるために、原子力委員会というものは今総力をあげて研究を進めておられるのか、そういうことが今ちょっと疑問に思ったのであります。幸い、兼重原子力委員が御出席になっておられますので、現在、原子力委員会というものは日本原子力体制を押し進めていくのに、一体どういう感覚で、何を目標にしてやられんとしておるのか、これは読めばいいのかもしれませんが、これだけ読むのは頭のない私には一月くらいかかるかもしれませんので、一つそれを御説明願えると大へん幸いだと思います。
  20. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 私は、先ほど連絡を受けてこの席に参りましたので、きょうは参考人方々のおっしゃることを聞いておりまして、いろいろ私どものやりますことの今後の参考にすることが一番大事な任務だと思って、ここに出て参ったのであります。  ただいま非常に重要な、また、むずかしい問題をまとめてお答えをしなければならぬ、私にとっては困難なことだと思います。もちろん、日本原子力開発原子力基本法に基づいて進められなければならぬことは申すまでもないことであります。日本原子力委員会の大事な任務の一つは、それを十分に果たすことだと考えております。それで、ここに出ております長期計画という言葉がいろいろの意味にとれますために、これは計画ではないではないかという批判を受けるような表現がこの中にはたくさんございます。そういう限りから申しますと、日本原子力委員会あるいは日本原子力関係の体制は、あまり長いものを計画という形で作るのには十分の体制ではないと思います。それでは、そういう計画を作るのに、かりに十分な体制というものがあったとしたときに、そういうものを作っていくのがいいかどうかというのは、これまた問題があると思いますが、私のようなものは、現在の体制にはなかなかいいところがある、こう考えております。そこで、現在の体制でねらいをつけるといたしますと、日本エネルギー需用の関係から、いずれは原子力に相当たよらなければならぬという時代がくることは、これはどなたにも御異存のないところであります。ただ、そういうところにいくやり方についての御意見はいろいろだと思いますが、そういうことをおそく始めた国、また、経済力あるいは資源の状況、いろいろそういうものを考えたときに、最も効果のある方法で、ある時間がたった後に、そのときの一番いい状況に達するようなことであると考えております。従って、一面、研究にも力を入れる必要があると思いながら、すでに外国で開発されたものは、ある程度技術輸入あるいは情報交換という形で取り入れることも考えなければならぬことでありますから、そういうようなことをここに書き上げますと、結局、何をテーマに考えておるかわからないという批判も出てくるのかと思いますが、日本のような国の置かれた状況からすれば、そういう形で進むということは、何も原子力に限ったことではありませんで、今日りっぱな産業としてある面では世界の先頭に立っておるようなものでも、同じようなやり方をしてきたのだと思います。従って、原子力だけがそれと非常に違った方法で成功しなければならぬということはないと思うわけであります。ただ、この前の計画では、エネルギー源として利用する、特に、それを陸上の発電用として利用するということに非常に大きなウエートがあったようにとれるのであります。当時といえども、それだけではなかったと思いますが、書かれたものの表に現われたものを見ますと、ややそういう印象を与えるふうであったかと思うのでありますが、今度は、そのほかの放射線の利用ということも非常に大事なことであるということを言っております。従って、エネルギーとして利用するだけではなく、放射線の利用ということにも力を入れて、これが日本産業全体に大きな貢献をするであろうということを予想して、そういうことにも力を入れるべきであると言っております。こういうふうに範囲を広げたことが、目標をはっきりしなくしたという印象を与えるのかとも思いますが、私は、原子力の利用のような非常に範囲の広いものは、あまり十分な知識と経験のないうちにこれを狭くしぼるということは、神様のようなえらい人でもおるのでない限り、間違ったときには取り返しのつかないことになると思いますから、現在こういうやり方をするのが非常に悪い、また、原子力委員会として責任を果たせないことであるとは考えておりません。直接のお答えになったかどうかわかりませんけれども、一応これでお許しを願いたいと思います。
  21. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 長期計画では、前期十年間に百万キロワット、後期十年間に八百万キロワットないし七百万キロワットの原子力発電所を作るという、そういうふうな構想長期計画をお立てになっておられる。それは、まず、日本がとにかく第一号炉としてコールダーホールをやった、それから、第二号炉はPWRをやるか、BWRをやるか、これはアメリカで今やっているが、最近は、PWRが非常に稼動率がいいから、あれを今度買ってこようじゃないか、そういうふうに、世界でやって、そして世界実用化までに持ち込んでいった炉を、日本が今度技術導入をして、十年間に百万キロワット作ろうというのですか、それとも、最初の一基、二基目から三基日あたりまではやらないとしても、四基、五基あたりは国産炉でぜひともやらなければならない、とすれば、その国産炉の焦点は、一体どういうものに合わせて研究を進められておるのですか。これはどういう考えで十年間に百万キロワットという構想が出ているのですか。どなたでもけっこうですから一つ……。
  22. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 今のお話で、十年間に百万キロワットということは、十年間に百万キロワットという原子力発電所を建設するということに意味があるのではなくて、十年後あたりに商業ベースの採算がとれるという見込みのもとに考えましたときに、それからあと十年の間に予想される日本電力、需用、それのある割合を原子力で負担しようと考えたときには、この程度のものを前期十年の間に、あるものは輸入するかもしれませんけれども、また、国産もできるようなふうに態勢を整えておくことが必要なわけであります。従って、そういうふうなことをするためにも、あるいはまた、現在予想される資金に対する経済力というようなことを考えて、可能であろうというふうに考えられる範囲のものを百万キロと予想したわけでありますから、先ほどお話のありましたように、一、二、三号炉あたりを輸入して、そのあとは国産というようなことも、おそらく方針としては考えるべきだと思われるわけであります。それで、二号炉は、今大体アメリカで開発されたものになりそうだということは予想されておるようでございます。それにきまったということは私聞いておりませんけれども、それは予想されておるようでございます。私の印象が間違っていなければ、これは原電が作られます当時から、ほぼそのようなことは考えられておったようでありまして、あの当時、二番目のものも、今の一号炉と同じようなものにするということがきまっておったのを、その後の何か情勢変化で変わったというふうには私は感じなかったのであります。ただ、しかし、先ほど河合さんから御指摘ありましたように、前のときには、コールダーホール改良型、あるいはそれのさらに改善されたものが将来の半分くらいになるだろうというようなことが書いてございますから、その限りでは、そちらの方の色が薄くなったということはあろうかと思います。従って、それからあとがどういう形になるかというのは、やはりそのときそのときまでのわれわれの経験、あるいは外国での進歩の状況などによってきめられるのだと思っております。では、それまでに日本で独自に開発をした新しいものを、前期の十年の終わりよりも前に完成をして、それで日本の実用的な発電炉にすることが考えてあるかという御質問であれば、私は、それは考えてないと思います。そういうふうなことを今からねらってやることは得策ではないという前提のもとに、この十年間の予定が考えられていると思うのであります。
  23. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 菊池先生にお尋ねいたします。これはお尋ねになるかならないかわかりませんが、問題を原子力発電にしぼって考えてみますと、とにかく、発電コストというものは、今非常に石油、天然ガスの利用という面が大きく切り開かれてきており、電力料金のコストダウンがどんどん行なわれておる。一方、また、地熱を利用すれば一キロワット・アワー一円三十銭ぐらいでできるのじゃないか、こういうふうに、だんだん電力コストダウンが叫ばれておるときに、この原子力発電というものを大局から見れば、それよりももっとコストダウンができるという学理的な立証と申しますか、それがなければならないと思います。私は、これはできるのじゃないかと思います。たとえば、増殖炉の問題はどこまでコストダウンができるか知りませんが、とにかく、太陽のエネルギー原子力という点から自由自在に使えるプラズマ、いわゆる核融合反応の世界を見れば、パペチュアル・モーションとまではいかないまでも、無限動力に近いほんとうコストダウン、あるかないかわからないような安いエネルギーというものが原子力世界から生まれてきていいのじゃないかと思います。また、生まれてこなければ、こんなに大騒ぎして原子力をやる必要はない。ですから、そういう究極の目標日本でつかむという研究体制は、今世界でやっておるところのあらゆる炉の形を日本で大なり小なり作り上げて、そうして、それをマスターしていかなければ、いわゆる原子力発電の究極の目標に向かって足を進めることができないという研究でありますか。それとも、そうじゃなくて、プラズマならプラズマを目標として、究極の目標はここにあるのだ、だから、これでもって全力を傾注してプラズマ現象の核融合反応の世界一つつかもうという研究体制でやればそれに到達できるというのですか、どうなのですか。どういうふうな研究体制でもって究極の目標に近づくのが一番賢明なのですか。
  24. 菊池正士

    菊池参考人 むずかしい御質問でございますが、われわれも一応そういうことをいろいろ考え、現在やっておりますが、われわれは、現在、大体方法を幾つかに区別して考えております。  一つは、近い将来と申しましても、十年とかそこらの年月を限って、その間は、すでに現在相当開発されておる形の発電方式しか商業ベースとしては考えられない、商業用の発電所としては、そういうものが当然初期の段階としては使われていくことになる、その時期は、必ずしもコストが今急にどうなるとか、石油、石炭がなくなるからとうなるとか、差し迫ったものだとは思っておりません。しかし、必ず近い将来、これは二十年先というより、もう少し百年も先を見れば、石炭、石油が欠乏して、どうしても新しい形の資源が必要になるから、そういう意味で、原子力というものがいやがおうでも登場してくるということは当然に明らかなことだと思います。ただ、問題は、どこで石炭、石油コスト原子力コストとがクロスするかという問題でありますが、これは、私にはあまりはっきりしたことはわかりません。ただ、当面の問題として、今、外国でほとんど完成に近い炉の形がいろいろございます。さしあたり、日本としては、当分の間、そういうものが作られる最初の数差はおそらく輸入になります。しかし、それの国産化ということはもちろん考えられますし、当面、大体見当のついておる技術をこちらに導入して、それを消化していこうという研究目標一つあります。それがわれわれの一つ目標でございます。それは具体的にはいろいろな問題となって現われまして、現在でも、一本松さんの方の発電会社と協力していろいろな研究をしているのであります。  それから、第二段階としては、現在の発電の蒸気の温度を今より画期的に上げるということ、これはもちろん発電コストを安くするための一つの方策でございます。そういう意味の炉がそれに続いて出てくることが予想されます。今われわれのやっている半均質炉もそれに通ずる一つの方法であります。これは外国でもまだあまり進んでおりません。まだ研究段階で、どういうところに最終のものがいくかということは、まだはっきりしておりませんが、そういうものは日本でもぜひ研究する必要があるというのでやっているのが、いわゆる半均質炉でございます。  それから、それよりさらに先を見ますと、当然増殖炉が問題になります。それは、天然資源としてウランの二三五だけを燃やしているのでは石油、石炭と同じくらいの先しかない、どうしても増殖炉で、あとのトリウムやウランを工夫しなければいけない。工夫しなければいけないということは、これは至上命令的にわかっていることであります。ただ、それをどういうふうにしてやるかということは、現存、外国でもいろいろ試みられておりますけれども、研究段階としては、まだ初期の段階にあります。ですから、われわれとしても、そういうところも目標にして、増殖炉というものを、もう一つの、その次の次にくる段階として今研究をやっている。これはまだ外国でもそれほど進んでいるわけではありませんし、日本が今からやるということは決しておそいとも思っていません。  それから、もう一つ、全く別の核融合の問題がございますが、これは増殖炉よりも、さらにむずかしい問題として残ってくると私は思います。それを、そういう何段階かの問題として、最初は、現存もうほとんどコンベンショナルに近いものになっているものを導入して、それを消化して国産化していくという技術研究、それから、次には、それをさらに高温の炉で発電せしめるという研究、それから増殖炉という研究、それから核融合、これははっきりした段階的な仕事だと思います。そのそれぞれの仕事に現在われわれは向かっておりますけれども、これは決して仕事がダイヴァージしてしまっている形だとは私は思いませんです。それぞれ適当な重点を置いて、あるものはゆっくりでもいいけれども、ずっと先を見てやっていくというような形でこの四つの段階を取り上げていくのが、今の原子力研究所では当然取り上げるべき問題だ、こういうふうに思っております。
  25. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 あまり長くなりますからやめますが、今のお話ですね。現在のコールダーホールの第一基目から、今度はPWRからBWRに進む、それから、日本の半均質炉が遊んでくるからそれをやる、その次には増殖炉をやる、それから、核融合反応が、いわゆる最終段階、ほんとう原子力の威力を出す段階になる、そういうふうに考えますと、この十カ年間に百万キロやるとか、あとの二十カ年間に八百万キロをやるとか、非常に不安定感が出てくるわけですね。今の石油とか天然ガス、あるいは地熱を利用しての発電計画はどんどん安く行なわれるのに、一体、いつでもコスト高だ、コスト高だという研究段階において、こいつをやるのだ、あいつをやるのだといって、いかに原子力がかわいいといったって、世の中には原子力マニアだけはおらないのですから、やっぱり安いものがいいということで、そんなものはもっと研究が進んで、安くなってからやった方がいいという、そこなんです。長期計画では、十年間に百万キロ、二十年間に八百万キロやるのだというけれども、そのときに、一体どういう点に焦点を合わせて、国力を全部それに傾倒していけば、今のいわゆる重油によるところの火力発電コスト原子力によって割ることができるのだ、一体どこへその目標を立られたのだということです。それをきめ、原子力問題の進展をはかることが原子力委員会の大きな眼目であり、原子力委員会がそういう眼目を立てたら、その眼目に向かって原子力研究所が総力を結集してその問題に取り組んでいくということがなければ、意味をなさないのじゃないか、幾ら長期計画を立ててもだめなんじゃないかと思います。それはどうでしょうか。どなたでもけっこうです。
  26. 一本松たまき

    一本松参考人 長期計画という問題は、さっき申しましたように、非常にむずかしい問題であります。今御指摘の点は、まさに、そのポイントを突いておると思うのでありますが、この基本的な考え方は、石油を専焼する発電所と原子力発も所が、十年後に大体コスト的に同じになってくるであろう、こういうのが一つの非常に大きな前提になっております。この前提というものは、さっきも申しましたが、今われわれの集め得る情報、また、われわれの今まで経験しましたこと等もすべて総合勘案しました結果、十年後という数字が出て参ったのであります。これは世界各国数字を見ましても、大体そういうふうな数字になっておりますのと、日本原子力に対しまして——御承知のようにエネルギーの高い地域である。これは重油を入れることによって相当情勢は変わって参りますけれども、水力、火力、石炭をたく、そういうようなものをひっくるめて考えましたときに、日本というものが輸入エネルギーでもってやっていかなくちゃならぬという面も一緒にあわせて考えまして、十年後に原子力発電所を作っていく姿は、大体間違いなくそこへいくであろうという考えを一つ持ったことであります。これに対しまして、まあ、そういう事態がほんとうに参りましたならば、これは一銭でも安ければ、電力会社なり原子力発電会社といたしましても、安い方をやるということで、どんどん安い方に移るというふうな性格を持つのでありますけれども、原子力というものは、何といっても将来の発展が大きく期待されますから、まあ、そこに若い産業であるというようなことも加味して、一応三分の一というような、非常に常識的な数字で考えまして、七百万キロ、八百万キロという数字を出している。このことにつきましては、大体今の結論——十年後にコストが安くなるという問題そのものには問題がありましょうけれども、これを是認すれば、大体そのくらいがいいところじゃないかと御理解いただけるのじゃないかと思うのでございますが、問題は、むしろ——これはしばしば御指摘になったのでありますが、十年間で五基百万キロないし六基百万キロを作る、そんな必要があるのかというところに、むしろ当面の問題があるように思うのであります。これの背景は、さっきも御指摘になったように、世界原子力スローダウンのときに、何も急いで五基も同じものを作らぬでもいいじゃないか、こういう考え方があるわけであります。これは、産業界、あるいはもっと端的に言いますと原子力界と申しますか、そこらでこういう問題を十分考えましたときの考え方は、英国においてスローダウンと申しましても、英国スローダウンなるものは、長期計画スローダウンとかいうものに対しての、それを批判される人の認識の問題じゃないか、五基程度やって、それが非常に耐えられないほど大きな負担であるかどうか、あるいは五基が三基であったら非常にいいとか、そういうものではないのだ、むしろ、非常に大局的な考え方から、原子力発電を十年後に確立するためにはこのくらい必要で、それが三菱になるか四基になるか五基になるかわからぬけれども、それくらいのことは、これはわれわれとしてはのみ得る範囲内じゃないかというふうな、少しここに事業をやる人の大局的感覚というものが入っているように思う。これを如実に示しておるのが英国原子力政策そのものだと思います。これは御承知のように、コールダーホールを作りましたのは一九五六年でございますから、もう相当たっておりますが、そのとき、コールダーホールは同じ炉を四つ一カ所に並べております。それからさらに二年ほどしまして、チャペルクロス発電所というのを作りました。これも同じものを四基並べておりまして、これは日本でちょっと考えられないような問題じゃないかと思います。四基作ったら、次は倍くらいの容量のものを二基にしてやるとか、あるいはもっと違った型のものを作るとかいうようなことを考えやすいのでありますが、英国では同じものを八基作った。これは、しかし、プルトニウムを作るのがその大きな目的でありますために、必ずしも当たらないかもしれませんが、その次の電力をおもにするブラッドウェルを初めハンターストン、ヒンクレーポイント、コールダーホールの改良型といっていいような原子力発電所を七つも作っておる。しかも、毎年一つずつ作っていく、その合計を考えますと、大体英国は一九五六年から七年の間にかけてだと思いますが、ちょうどスエズの事件のあった直後に計画を大改定いたしまして、八年間に五百万キロワットを完成するということを大きく申しましたが、それの線にほほ近いものを黙ってどんどんやっております。スローダウンということは、むしろ新聞とか雑誌等に出ますけれども、AEAの人たりに会って——私は毎年行って会って話を聞いておりますが、決してスローダウンということを申しておりません。ただ、火力とかいろいろな事情計画を一年延ばすとか、二年延ばしたということはあるけれども、これは原子力スローダウンしたものではない。原子力政策というものは少しも変わっていない。また、私たち産業人の感覚としましても、五百万キロという大きな計画を一年、二年延ばしたからといって、それがスローダウンという範疇に必ずしも入るものではない。そういうことか円、そういう原子力の進め方をしている英国状態を考えてみまして、日本の十年間に五基というものをどんな型でやるかということは、まだきめておりませんけれども 五基作るということについて、これは同じ型のものを二台作るのはむだじゃないかという考え方は、原子力に関する限りは、まだ実情を認識されない議論だと思うのであります。また、コールダーホールに限定して考えてみましても、最初のものを英国から入れまして三百六十億かかったというのを、みな英国から入れたというようにお考えになるかもしれませんが、入れたのは非常にわずかで、契約金は二百億円になっておりますが、そのうち、百億は日本の下請業者がやるのでありまして、実質は百億だけのものを入れてコールダーホールを作っておる。かりにコールダーホールの二号炉を作るとするならば、国産の部分ははるかにふえると思うのであります。国内技術とつながるところが少ないというようなお考えもあるかもしれませんが、それはやはり実際を御存じない意見であって、二号炉をかりにやるとすれば、日本の国にコールダーホールを植え付ける仕事としては一段の飛躍をするものと考えます。また、英国のコールダーホール型はどうも影が薄くなったということのお話もありましたが、私たちは、さような考えを持っておりません。  それから、十年間の五基の問題につきまして、二号炉の問題のお話がありましたが、これは、アメリカの軽水型を入れるということに一応原子力発電会社としては決定いたしまして、その準備にかかるという段階にあります。しかし、これは先ほどお話がありました、原研に一万キロの試験炉を入れられる、これはBWRを入れるということの仕事はどんどん進んでおります。これの結果を見ずにそれをやるのじゃ、せっかくやった意義がないじゃないか、こういうふうなお考えもあると伺ったのであります。しかし、これはやはり原子力をやる気になってほんとうにその仕事をやり、それを建設しおおせて発電して、その結果を次の炉に利用するということになれば、それは百点かもしれませんが、しかし、その途中であるからといいまして、たとえば、もう二年すると原子力発電所は一万キロのやつができるわけでありますが、その過程における経験そのものは、次に大型の炉を入れるという場合に非常な参考になる。たとえば、燃料の問題にいたしましても、この一万キロで経験されたことは、今度大きな炉のときにそのまま利用する、重要な部分は二号炉の非常な役に立つと申しますか、それが経験となって二号炉が注文されるという形が出てくる。そして、五基のうちで二基だけはさまった、三基はどうなるかということは、これはやはりここ数年しまして、その間にコールダーホールの仕事も今よりさらに進みますし、次のアメリカの軽水炉の状態もさらに進む、そういう段階においてこれを実施するところ——電力会社になりますか、原子力発電会社になりますか、そういうところにおいて十分そういう実績、経験を取り入れて三号、四号を注文するという形になって、この十年間百万キロというものはほぼ実現されるのではないか、こういうのがわれわれの相談した気持なんであります。ですから、今すぐこの場で五基をどういう割合できめるというようなことまではきめておりませんけれども、見通しにおいては、その程度やれば、次の十年後の大きな飛躍に対して十分な用意ができる、こういう考え方から、最初の十年の百万キロを作っていきたいと思っておるわけであります。多少の違いは、長期計画ですから必ずあると思いますけれども、今の基本的な考え方にそう大きく間違いはないと考える次第であります。
  27. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 原子力長期計画は何べん変更があってもいいのです。この通りやらなければならぬととはないわけですから……。ただ、長期計画を遂行していくところのめどがはっきり立っておらないで長期計画は進められないのではないかということを私は心配しておるわけです。その百万キロ作って、電力コストを高くして、その高い電力料金のしわ寄せが一般産業界にきたなんという、ばかな話はないと思うのです。ですから、十年間に、今お話のように、現在の重油等の電力コストを割る見込みがある、それはこういう方法でやっていけば、現在の重油を原料とする電力料金よりは安くいくのだというはっきりした見通しがあれば、私はそれで大いに安心なんです。それを、一体国産でやるのか、あるいは外国の技術導入でやるのか、半均質炉を完成するのはもう三年かかる、三年かかれば電力料金のコストは今の重油より安くいくから、これでとにかく十年間に百万キロやってみせる、こういうはっきりした長期計画なら、私は大賛成なんです。今度国会が終われば、また三十七年度の予算編成に取りかからなければならぬし、長期計画を遂行する意味におけるところの予算編成は一体どうなるというときに、これは十年間たつと、はっきり電力料が安くなるのだ、だから、百万キロやってもやれるのだ、そして、第二号炉はそういう立場で原電にやらせるとか、あるいは九電力のどこかにやらせる、原子力発電に関しては、今までの九電力のエリアを除いて一番有効なところに、どこか力のある発電会社でもいいからやらせるとか、いろいろな考え方があると思う。それから、とにかく東京に人口が非常に集まり過ぎて困るから、これをどこかに分散しなければならぬ、百万都市をどこかに建設するというようなときには、やはりコールダーホールの今の東海村ですか、東海村を中心として、そこに三十万都市の建設というものができるのじゃないか。だから、結局こういう長期計画、百万キロワットの建設というものは、三十万、五十万の都市建設というものが大きなファクターとなって、そうして原子力発電というものを中心とした新時代の工業立地条件というものが整うのじゃないかと私は思う。ですから、私たちは、単に理論的に、あるいはまた技術的に、十年間に百万キロできるとか、それから八百万キロできるとか、ほんとうに今の重油よりも安く、十年間に百万キロ、あるいは二十年間に八百万キロできるということになったら、これを中心として新都市の建設をやっていくという、いわゆる政治構想が私は生まれてくると思う。今、いろいろな新都市建設構想が出ておりますけれども、こういう原子炉の適地に十万、二十万、三十万の新しい都市の建設をやるなどという構想は、まだ出てきておらない。そういうのが、こういう原子力の十カ年あるいは二十カ年の長期計画に関連した問題ではないか、私はそれまで考えているわけなんです。それで、斯道の大家である一本松先生が十年大丈夫狂いはないと言われれば、私は、一応それを信頼して質問はやめますが、河合さんにも一つ申し上げたい。  大体あなたの考えと僕の考えとあまりによく似ておるので、八百長質問になりますから、時間の節約上、またあとでゆっくり一つお話を承りますが、もう一つだけ原子力委員会にお聞きをしておきたいのは、何といっても原子力というものは、将来何千年かあるいは何万年か人類社会を支配する運命にあるわけですね。これは私は間違いないと思う。そういう大きな人類社会を支配するところの大問題に取り組むのに、もちろん現在のような日本の体制では私は不足だと思っておる。だから、これをいかにもっと充実した形に持っていくかということが、これから直面するところの大きな問題じゃないかと思う。ですから、この原子力問題に取り組むところの人間というものは、特殊な階層といっては語弊がありますけれども、小さいときから原子力に専念する人材の養成というものをはかっていかなければ、これはとても追っつかないと思う。だから、ストローズ米前原子力委員長に、私は、日本に対してほんとうの親善の意味を表するならば、三名のエキスパートを日本に派遣してくれと言ったら、とんでもない、三名日本からもらいたいくらいだといって、私の要求を撃退したことがあったのでありますが、日本のどこに一体原子力のエキスパートがおるか、こういうことです。これは私は非常に大きな問題だと思う。原子力が世間に台頭してくるというと、おれも原子力、おれも原子力と、肩で風を切って歩く人はおるけれども、一体ほんとう原子力というものがわかって、徹底的にこれに透徹したところの施策を持っておる人間が、一体日本に何人おるかということを私はしょっちゅう考えている。これは三十や四十になってから、才能が固まった人間が飛び込んでいっても、私はなかなかいいアイデアは生まれてこないと思う。やはり大きな発明をする者は、二十代とか三十代とか、その大きな発明の芽ばえというものは十代くらいに芽ばえておる。それから十年間一生懸命努力を重ねて、二十代ないしは三十代において大発明を完成するというのが、人類におけるところの常道だと私は聞いておるのでありますが、そういう原子力界の大きな働きをするところの人材は、ぜひとも原子力委員会の総意において原子力学校でも建てて、そうして、学資なくして、家庭の環境の理由によって上の学校に進み得ないような秀才をなるべく国費でもって勉強さして、生涯原子力を担当して、原子力によって日本の繁栄を一つおれがつちかってやるのだというくらいの、情熱を傾けた仕事をやれる青年を育成していく以外に、私は日本原子力体制というものを世界の水準に近づけることはできないのじゃないかと思っておる。一体そういう御計画をお持ちであるかどうか、この際一つ承っておきたい。
  28. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 こういう原子力にかかわらず、新しいことを開発していくために人間が一番大事であるということは、皆さんがお感じになっておりますのと同様に、私どももわかっておるつもりでございます。ただ、それをどういうふうに養成していくのがいいかということは、やはりいろいろあると思いますが、先ほどおっしゃったように、日本がこれから世界にすぐれた新しい考えを出すというようなことをするためには、原子力のために、小さいときから人を養成するというような狭い考えではなくて、日本の科学全体を上げるために、もっとそれに金をつぎ込むことが必要だと思います。たとえば、核融合の問題を一つとりましても、核融合の専門家というものが今養成できるものかどうか私はよく知りませんが、もっと基礎的な学問をやる人を大勢作り、また、それを優遇して、安心して勉強ができるというような環境を作ることが非常に大事だと思います。これはひとり原子力委員会だけの仕事でできることではないことでありまして、幸い、この科学技術振興対策特別委員会もあることでございますから、日本全体のそういうものを上げるために、もっとお力を貸していただきたい。もちろん、私どもは、原子力という狭い範囲についてはできるだけ検討いたしまして案を作りたいと思っておりますが、きょう現在、こういう案でいくのがよろしいということは、私は申せるだけの用意がございませんことをまことに残念に存じます。非常にむずかしいことだけはよくわかります。大事なことであることも承知いたしております。
  29. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私の申し上げたいのは、私も自分の子供を一人原子力世界に入れようと思って、わざわざ難儀して、ある大学の工学部に入れてある。子供は、原子力なんかやったって飯が食えるかと言うのです。全く飯を食えないだろうと思うのです。原子力をやったって、どこも原子力で採用して飯を食わせるというようなところはなかなかないらしいのですね。それよりも、もっともうかる仕事をやる方が、今の若い人間というものは割り切っているから、原子力をやって飯を食えるか、みな若い連中はそんなことを考えている。だから、なかなか原子力に専念して入っていく人は少ないでしょう、私は、少ないと思っている。東大で今原子力の先生をやっておったって、聴講生は一体何人おりますか。おそらく、そんなむずかしい、しちめんどうくさい講義なんか聞かなくて、もっとたやすぐわかるようなことで、金もうけのできる方にどんどん行ってしまうわけですね。ですから、私は、科学技術全体の水準を上げるといったって、原子力が科学技術のトップ・レベルなんです。あるいはエレクトロニクスもあるかもしれないし、また、高分子化学もあるかもしれない。しかし、とにかく原子力というものは近代の科学技術のトップ・レベルなんですから、このトップ・レベルを押し上げていけば、いやでもおうでも全体の科学技術のレベルというものは上がらざるを得ない。科学技術のレベル、科学技術のレベルといったって、原子力のレベルが上がって、ほかの科学技術がそのままで停滞して、原子力だけがどんどん伸びていくということはできないと私は思う。これはものの考え方の相違でありましょうけれども、たとえば、富士山のてっぺんに上がってしまえば全部が見えるように、科学技術のトップ・レベルの原子力というものに専念していけば、全部のほかの科学技術というものは上がらざるを得ないのじゃないかと思う。そこに私は原子力の重大性というものがあると思っておるのです。ですから、そういうトップ・レベルに取り組んでいって、全体の科学技術の水準を上げていく人材の養成というものは、やはり原子力委員会中心となってそういう構想を練って、政府にこれを要求し、そうして国会がこれを承認して予算をつけて、学校の経営をやるという段取りでなければいけないのじゃないか。とにかく、原子力委員会は、条文を読むと、原子力に関する限りにおいては全部原子力委員会の御相談を経なければきまらないことになっておる。それが、そんな狭い視野に立ってやるとおっしゃるが、狭い視野どころじゃない。原子力問題といったら、人類社会のすみずみにまで及んでおるところの問題だと私は考える。これに取っ組むととろの青年というのは、特に別途の方法を講じて養成するにあらざれば、現在のごとき教育制度においては、とうてい世界の水準に日本原子力を近づけるわけにいかないのじゃないかということを私は御質問申し上げているわけであります。まあ、ニュアンスが違えばどうもいたし方ありませんが、希望として、もし、そういうことが可能でございましたならば、この問題に取り組む若き世代の情熱をかき立てられるような組織でもって、一つ原子力専門の学校でも作っていただいて、これに秀才を集める、そうして、原子力から日本の科学技術のレベルを世界の水準まで引き上げていって、国家の繁栄を招来するというふうに御勘考をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  30. 山口好一

    山口委員長 ただいまの質問は、総理大臣あるいは文部大臣もあとで呼んで、一つ念を押したらどうかと思っております。  他に御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめます。  菊池さん、一本松さん、河合さんには、御多忙中にもかかわらず、しかも、長時間にわたり貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員長より厚くお礼を申し上げます。  これにて打ち合わせ会を終了いたします。    午後三時四十三分散会