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岡委員 問題は、直接技術
開発事業団の仕事には今のところなり得ない、しかし、国が大幅に出資したり、国が予算を受け持っておる
研究所は、大学の
研究所と性質が違うと思うのです。これはやはりある目的をちゃんと設定して、その目標の上に
研究というものを積み上げていくという態勢でなければ、私は国立
研究機関というものの意味がないと思う。大学においては、
研究室では、もっと自由な雰囲気の中で豊かな
研究をやってもらいたい。しかし、国立
研究機関というものの性格は、そうであってはならないと思う。ただ外国でこういう分野にいろいろ次次と成果が出ておるというので、そういう方向にだけ目をとらわれないで、国立
研究機関は、国の必要とする技術というものがどこにあるか、どの方向にあるかという、やはり国土に即した
研究テーマを取り上げる。理化学
研究所がかりにそれをやる、あるいは地質
調査所でやる、その他の
研究機関が共同してやる、そうしてやったものがある程度まで実用的な
可能性が出てきたときに、技術
開発事業団がそれを今度技術
開発に取り上げていくという一貫性がなければならぬと思う。そういう点、たとえば鉱工業技術
研究組合法ができるとすれば、
日本の鉄鋼業者がやればいいのじゃないか。皆それぞれ
研究所を持っているのだから、やはり指導して、ラテライトなり砂鉄の
研究をさせたらいい。それに対して、やはり国としては資金的に優先的な処遇、税制上の優先的な処遇なりを考えて、そうして仕向けていくという、そういう大きな、太い筋金が通っておらない。ただ業者が持ってきた適当なテーマを取り上げるというような放任主義じゃなくて、もう少し、おくれた技術的な空白を取り返そうとするのなら、新しい強力な角度からやっていかなければならぬ。
それからもう
一つ、これも技術
開発事業団と直接には関連はありませんが、将来の運営上相当問題点だと思うのは、先ほど
お話しいたしましたポリプロピレン、これはミラノのモンティカティニ社へ
日本の四社がミラノ参りをやって、そうして住友、三井、三菱等がどうやら技術導入をやることになった。大体あの頭金は三百万ドルですか、十億余りでしたか、ところが、これは非常に高いものだといわれておる。実に高いものを買ったものだ。ところが、さらにそれを全部モンティカティニ社が取るのかというと、そうじゃない。なぜかというと、これはドイツの化学産業グループの方に分けておる。六割くらい分けておる。モンティカティニ社のポリプロピレンの特許申請というのは、非常に広範な、万国特許のような形でとっておるのだが、技術的な基礎においてはドイツの化学産業グループが非常に協力しているわけです。だからそれが実施される、他国へ技術を売るというような場合、対価の支払いを受けたら、それをどういうふうに分配するという契約があるわけです。ヨーロッパでは、ドイツとイタリアとがポリプロピレンについては技術提携をやっておる。そういう意味の国際提携をやっておる。これは
日本に直接
関係はないかもしれませんが、東南アジアとの経済協力といえば、何といっても
日本の高い技術が非常に大きな問題点となってくるわけなんだが、向こうだって引き上げてやらなければならないというような立場から、
日本の技術に関する最高政策というか、そういう国際的な協力体制というものを今後
考慮に入れておかなければならない。この問題は、この
委員会の直接の問題でありませんから、また別の機会に申し上げる機会があったら申し上げたいと思いますけれども、そういう点、非常に重要な技術の
開発については、できるだけ国全体の大局的な規模において、ひいてはアジア全体の
開発という点から、大企業にだけ偏重しないで、中小企業にもその恩恵が普及し得るような、そういう運営をぜひやってもらわなければならない。それには
開発事業団、それから今度の協同
研究組合法にしても、それは、なるほど鉱工業技術
研究組合は、これは新しいテーマをこれから取り上げていくのだけれども、やはりやることは同じことになると思うのであります。一方では新技術
開発事業団、一方では鉱工業技術
研究組合というようなことになると、いわば同じことをしようという方向において同じ機関があることになる。科学技術行政というものは、科学の現在の姿から見ても総合化すべきである、一元化すべきである。大臣も、この間の
予算委員会において、これは断じてやりたいと言っておられた。そのときに、新しい科学技術、新しい分野というものを、各省でてんでに——いろいろ必要な措置ではあるが、無限に出されてくると、そのことがほんとうに能率的な
日本の科学技術の振興になるかというと、非常に疑問があると思うのです。こういう点について、十分に皆さんも気をつけてやっていただきたいと思います。私は、これで質問をやめますが、
あとで田中君が少し質問があると言っておられますから、そういう機会をぜひ
委員長においてお取り計らい願いたいと思います。