○山口(丈)
委員 ただいまの
モーターボート競走法につきまして、私は
社会党を代表いたしまして反対の討論を行ないたいと思います。
ただいままでの
質疑を通じまして明らかになったことは、
政府においても、概念的と申しますか観念としては廃止したいということのようでありますが、しかしそのことはまことに消極的であって、実際上積極的にこれを廃止するという意図のうかがえないことはまことに遺憾であります。先ほど来質問にも申し上げましたように、敗戦後
日本の経済の壊滅的な打撃を一日も早く
復興いたしたいという念願は、これは国民的な念願であります。そのためには、多少の弊害があるといたしましても、大局的な見地に立って
日本の
復興を
考える場合、やむを得ないものとしてこれが制定せられたものであると伺っておるのであります。従って、こういったいわゆる
ギャンブルといわれるようなこの種の
法律は、他の重要な
法律でありましても、最近におきましてはその時期に応じて期限をつけた、いわゆる時限立法というものが
成立を見ておるのであります。ひとりこのような、いわゆる世の指弾を買うような
法律が無制限の期限をもって存続するということは、今日の
社会状態から見まして許されるものじゃないと私は
考えるのであります。
次に私は、今日の
日本の経済状態を見ますと、全体的に見まして戦前の経済をはるかに上回ったような急速な
復興ぶりを示しておることは、
政府みずからもお認めになっており、また国民全体としてもこれを認めておるところであると思うのであります。
政府はこの国会を通しまして、かりそめにも所得の倍増計画を実施するのだとみずからも認めて、これを計画せられておるのであります。さすれば、この際こういういわゆる世の指弾を買うような
公営競技というものは一切廃止して、そして経済の平常状態と並行して
社会の安寧を維持するために
政府が
行政をなすべきものだと私は
考えるのであります。ところがどういうものか、どうしても積極性がない。また地方においてせっかく廃止の態度をきめましても
——私の聞くところによりまずと、この
公営競技によるいろいろの機構ができ上がっております。またその機構を通して、廃止するということをきめた自治体に対しても、あるいは自治体の議会に対しても、非常な圧力をかけつつあるとも聞いておるのであります。こうなりますと、私は、一部の人々の利害に変化しつつあるのではないかと言われてもやむを得ないと思うのであります。少なくとも
一つのものを建設せんとすれば、他方におきましてはその犠牲を伴うことは、これはあり得ることであります。私も否定はいたしません。しかし、事先ほどからるる申しまするように、平和的な暮らしをやっておる、せっかく安定しておりまする大衆生活の生活者の中にこういうようなものがあるために、一家の平和を乱したり、はなはだしきに至りましては一家心中をなす者までも現われておることは御
承知の
通りだと思うのであります。それならば、私はこういったような人道上の見地からいたしましても当然廃止をなすべきものだと思うのであります。こういうところから見ますと、今まで
運輸大臣が御
答弁になったこと、あるいは自治省、大蔵省が御
答弁になりましたことは、これは私は承認することができないのであります。なぜ今までこの廃止
法案を出さないで、ただこの
調査会ができたから
——何か私たちがこの国会を通していろいろ御質問いたしますと、都合の悪いところはみな
審議会があるとか、あるいは
調査会があるとかいって、悪くいえばそれを口実に現実の事態を処理することをかわしておられるといっても過言ではございません。これでは私はほんとうに
日本の国民が
政治、また
行政面について信頼を置くかどうかということも疑われるのであります。
審議会をお作りになることもけっこう、
調査会をお作りになることもけっこうではありまするが、しかし、その機関をあまりにも援用するあまり
行政がゆがめられたり、
政治がゆがめられたりするような、そういうことであっては私はならないと思うのであります。従って、今
船舶局長から御
答弁になりましたが、暫定的に一年間の期限を限って延ばし、次の通常国会においては
法案を
提出すると言われる、しかしそれは廃止の
法律案であるかどうかということについては言明されていないのではないかと思われる。しかし、少なくとも
法案をお出しになる限りにおいては、これは廃止をするということを前提にして言明をされたものと私は思うのであります。従って、その言明
通り実行してもらいたい。今日
政府がどんな言明をしても、それをすなおにとらないで、そのときの言明はこうであったのだというような、解釈において歪曲されることは許されません。少なくとも私はもっとすなおに、純粋に、言った言葉は言葉
通りに国民の受け取れるような処置をしてもらいたい。それでなければ、私はこの
政府の
措置というものを信頼することができないのであります。こういう点につきまして、今後十分に検討をし、検討をするということはただ単にだらだらと日を延ばしているだけが十分の検討ではないのであります。少なくとも真摯な態度をもってすみやかにこれが廃止の
法案を
提出せられることを心から望んで、この
法案の延長に対しては反対の討論を終わることにいたします。