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1961-06-05 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月五日(月曜日)     午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 久保 三郎君    理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    宇田 國榮君       小沢 辰男君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    木村 俊夫君       藏内 修治君    佐々木義武君       壽原 正一君    鈴木 仙八君       關谷 勝利君    田澤 吉郎君       高橋 英吉君    塚原 俊郎君       細田 吉藏君    前田 義雄君       増田甲子七君    松山千惠子君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       西宮  弘君    肥田 次郎君       安平 鹿一君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君         建 設 技 官         (道路局長)  高野  務君  委員外出席者         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 六月三日  委員佐々木義武辞任につき、その補欠として  首藤新八君が議長指名委員に選任された。 同日  委員首藤新八辞任につき、その補欠として佐  々木義武君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員伊藤郷一君、木村俊夫君、河本敏夫君、高  橋英吉君、塚原俊郎君、増田甲子七君及び山田  彌一辞任につき、その補欠として田澤吉郎君、  亀岡高夫君小沢辰男君、松山千惠子君、前田  義雄君、藏内修治君及び仮谷忠男君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員小沢辰男君、亀岡高夫君仮谷忠男君、藏  内修治君、田澤吉郎君、前田義雄君及び松山千  惠子君辞任につき、その補欠として河本敏夫君、  木村俊夫君、山田彌一君、増田甲子七君、伊藤  郷一君、塚原俊郎君及び高橋英吉君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 六月二日  積雪寒冷特別地域における鉄道軌道の交通の確  保に関する特別措置法案石田宥全君外四十九  名提出衆法第五四号) 同月三日  商船大学の実習における安全衛生管理及び災害  補償制度確立に関する請願鈴木義男紹介)  (第五三八八号)  道路運送法の一部改正に関する請願川村継義  君紹介)(第五四一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月三日  国鉄宮守線敷設促進に関する陳情書  (第一〇七八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  モーターボート競走法の一部を改正する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第一九六号)  踏切道改良促進法案内閣提出第二一一号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 昨年の三十五臨時国会において、公営競技全般についての制度を検討するということで、総理府の中に公営競技調査会設置するということになっておりますが、先般来の質疑の中でお話をお聞きしますというと、この公営競技調査会設置が七月になされたまま本年まで放置されていたようでありますが、この関係はいかなる理由で今日までおくれていたのか、これをお尋ねします。
  4. 水品政雄

    水品政府委員 公営競技調査会設置は七月ではございませんで、昨年の十二月二十八日に設置をされまして、その後の委員お願い等相当時間をとっていましたが、現在まで五回すでに調査会を開催いたしまして、現在においては相当調査状況も進んでおるやに承知をいたしております。
  5. 久保三郎

    久保委員 昨年の十二月に現実には発足したのでありましょうが、政府方針としてきめたのは七月であります。七月から十二月まで何をやったのか、それをお尋ねします。
  6. 水品政雄

    水品政府委員 この法案成立が、今調査をいたしておりますが、相当おくれまして、昨年の十二月二十八日には法案成立いたしましてからほとんど直ちに設置されているような状況でございます。従って方針は前からきまっておりましたけれども、そういう委員会設置するということは実際上できなかったわけでございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 方針はきまっておりながら十二月まで発足できなかったことは、一つのサボタージュではないかと私は思うわけです。もちろん船舶局長は当面のこの調査会の主管をするところではございませんでしょうが、いずれにしてもその責任政府自体にあるわけなんです。しからば十二月に発足しながら今日まで、聞くところによりますれば、三月に第一回の会合が開かれた、こういうふうに言っているわけです。十二月の末に作ったといいながら、三月まで何らの会合もしていないということ、しかもこの法案自体会期末といっては語弊があるが、会期を半ば過ぎてから実は出してきた、あまりにも見通しのない形でやっておりはしないか、こういうふうに考えるわけですが、これに対して運輸大臣はいかに考えておられますか。
  8. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま政府委員から御答弁申し上げましたように、昨年の十二月二十人目に施行になりまして、自来三月に第一回の会合が開かれまして、だんだんと調査を進めておりまするわけでございまして、もう一年延長いたして、その間に十分国会の方々に御審議を願いまして、広く意見を聞いて、この調査会の方のりっぱな成案を得たいと、こういうふうに考えておりますので、もう一年間法律を延長する法律案提出いたしましたようなわけでございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 どうも木暮運輸大臣の御答弁では、私の質問に答えていただけないようでありますが、私が先ほどからお尋ねしておるのは、政府が誠意を持ってやっておるとするならば、この七月に方針をきめたら、おそくも八月には、こういうギャンブル全体に対する批判もある世の中でありますから、これにこたえて調査会を発足させて今日までの審議が遂げられ、当然この法案が切れる九月以前、すなわち八月あるいは九月中に結論を得られる見通しがなくてはならぬはずだと思う。ところが、その見通しもわかりながら、全然その措置をとっていないところがどうも怠慢ではないか、こう思うのであります。いかなる事情があってかようにおくれたのか、その理由を聞きたいのであります。
  10. 水品政雄

    水品政府委員 御指摘のように、方針は昨年の七月以来決定しておりまして、臨時国会特別国会等法案成立をお願いいたしておったのでございますが、実際に成立いたしましたのが昨年の十二月二十八日、それから直ちに人選にかかり、また委員をお願いする場合には委員になられる方の御了解をいただかなければなりませんので、そういうことに案外時間がかかったようでございます。しかし、私ども関係者といたしましては、決して放置しておったのではございませんで、一年間で何とか結論を出そう、そういうお約束もいたしておりますので、でき得るだけ努力はしたのでございますが、結果的にはこのようなことになってだんだんおくれて参ったのでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 努力をしたがおくれたというのでは理由にならぬですね。調査会のメンバーを選考するのに骨を折ったとか了解を得るためとか言うが、いやだと断わる者ははっきりてんからわかっている。そういうものに手間取ることは常識的にも考えられない。実は何も知らぬで置いておいて、まあ来年度の予算要求も始まることだし、関連産業というか、そういうところの助成金も必要だということで、裏を返せば大蔵省との折衝の中で、本来一%足らずの交付金、これは国費をもって支弁するのが当然なんだが、そういう要求はなかなかできにくい、仕方がないというので、十二月二十八日に発足させて、それで三月までに予算折衝や何かで手間取って、とうとう三月に第一回を開けるようになったというのが実情ではないかとわれわれは考えておる。これは運輸大臣にお尋ねしますが、本来こういう競技をやらせておいて、そのテラ銭一%以内くらいをもって、それで名分を立てようとすることが本筋であるかどうか。関連産業には少しばかりの助成金をくれてやる、政府は当然必要なものには予算をつけながら、ところがそれにはつけないでこういうものの交付金を充てておる。こういうものがあるから、これは当然の必要悪として仕方がないのだというような機運がありやしないかと思うのですが、どうですか。
  12. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 モーターボート競走、それから競輪、この両方がただいまいろいろ利用されておるわけでございまして、世の中にはモーターボート競走競輪などについていろいろ非常な御批判があることもよく承知いたしておるのでございますけれども、御承知通りに、これが戦後の日本の諸施設復興、復旧することにも大いに役立って今日まで参りまして、地方団体であるとかあるいはモーターボート競走等につきましては、御承知通り造船海運系中小企業であるとか海難救済仕事であるとかいうことに対しても今まで相当の助力をやって参りました。こういうものは世の中において、どうもけしからぬじゃないかという御意見が一方にはございますけれども、一方では、こういうことによってむだな金を集めて有用に利用してもいいという御議論がございます。ただ、御非難の中にはいろいろ適正妥当な御非難もございますので、調査会を作りまして悪い点を改めていくということ、あるいはまたその調査会において御非難の点が多ければこれをやめていくということにするか、いずれかの決定をするというわけでございますので、慎重に調査会におきましては——今までのモーターボート競走法による事業が、日本復興、復旧に当時必要でありましたことなどを勘案いたしまして、十分に調べていきたいというために調査会を作りましたが、その調査会の発足がおくれましたために、ただいま御指摘のように、もう一年延ばすというのはけしからぬではないかという御意見が出ておるわけでございますけれども一つかすに時をもってして、いろいろの御非難の点なども十分に勘案して調査していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 十九条の交付金は、資料はいただいておりますが、大ざっぱな資料でわかりませんが、大臣がただいま御説明になった海難救済とかその他のことでありますけれども、これはどういう部門に大よそどれくらい——たとえば海難救済にはどの程度金を出しておられ、さらに交付金運用はだれが責任を持ってやっておられるのか。さらに、交付金を受ける場合は、いかなる手続によって受けるようになるのか、どこでその査定をするのか、これをお尋ねしておきたい。これは船舶局長にお尋ねします。
  14. 水品政雄

    水品政府委員 十九条の交付金使用につきましては、運輸省が直接担当いたしておりますのは造船関係事業振興海難防止事業振興関係でございますが、昭和二十九年以来三十五年、これは数字が固まっておりますけれども、実は手元にあるのが見込みとなっておりますので、少し数字が違うかもしれません。いずれ正式な数字を御連絡申し上げますけれども、この使用状況の合計を申し上げます。造船関連事業施設貸付といたしまして八億八千三百万円、これは資本金一億未満の中小企業関係に一口千五百万円以下を、施設に限定して、施設改善のために貸しているのでございます。そのほか、造船関連事業の、たとえば研究とか海外に対する宣伝等関係補助及び委託費といたしまして、三億八千二百万円以上今まで使用いたしております。それから海難防止関係につきましては、九千八百万円余を現在まで使っております。これらの手続につきまして、たとえば貸付につきましては、貸付事務手続方法規程と言っておりますが、これをモーターボート競走会に、運輸大臣の認可したものを作っております、その規程に基づいて事務を進めているのでございますが、実際には毎年運輸省から、どういうような方針で貸し付けるか、たとえば輸出振興国際競争力強化とか、あるいは現在日本として急速に生産をふやさなければならない部門とかというふうに相当こまかい方針をきめまして、これを地方海運局を通じまして関係業界等に事前によく連絡をいたしまして、それによりまして関係業界から全国モーターボート競走会連合会貸付の申請をするのでありますが、一方これは海運局を通じまして運輸省にその写しが参ります。運輸省といたしましては船舶局内に設けられました十九条交付金運用委員会というものにかけまして審議をいたし、そしていろいろな方針に基づくものに貸すようにモーターボート競走会十分連絡をとりつつ貸付をやっております。そのほかの補助委託等についても大体同じようなことをやっておるのでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 それで貸付並びに助成方法はわかりましたが、この貸付金の場合は一つの基金というような形になっていると思うのでありますけれども、この運用責任モーターボート競走会ですか、そういうところでおやりになるのでありますか。
  16. 水品政雄

    水品政府委員 貸付金そのもの施行者である地方団体から全国モーターボート競走会連合会交付をいたしますので、全国モーターボート競走会がすべてその運用に当たっているわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 それではとれは資料要求でありますが、三十四年、三十三年のこの交付金運用についてのいわゆる規定に基づくところの決算報告がございますね。
  18. 水品政雄

    水品政府委員 ございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 これを出してほしいと思います。  それからもう一つは、先ほど御説明があった貸付金あるいは助成金、こういうものは本来の線からいけば当然政府自体が行なうものだと思いますが、これに対してはどういうふうに考えておりますか。
  20. 水品政雄

    水品政府委員 一般会計等によって政府自体が行なうことが一番望ましいと思うのでございますが、この造船関係事業の現在いろいろ対象といたしておりますのはほとんど全部中小企業でございまして、あるいは海難防止についてもほとんど同じことでございますが、従来も運輸省といたしましてはこの面についていろいろ努力して参ったのでございますけれども、こういう部門は、造船部門だけで見ましても技術的にも施設その他の面でも立ちおくれた面でございます。従ってこれを急速に技術の水準を高めるとか、あるいは施設改善をするとか、その他のことにつきましては業者自体にほとんど力がございませんので、相当莫大な経費を要する実情にございます。従って一般会計現状に直ちに十分な手を打つということは実際問題として非常にむずかしいと私ども考えておりますので、もちろん予算要求等で毎年いろいろの対策はやっておるのでございますけれども、このモーターボート競走会の赤字というものがそれらの金額と比較して非常に大きな額でございますので、実情非常に効果を現わしているわけでございますが、一般会計によるのが望ましいと申しましても、実際問題としては非常に膨大な経費を要する現状でございますので、なかなかむずかしいと考えます。
  21. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、調査会を設けてただいま御審議を運んでいるということでありますが、調査会結論が、たとえばかかるギャンブルは一切やめたらいいだろうというような結論が出たとすれば、当然十九条の交付金もなくなる、こういうことでありますか。今の局長お話だというと、そういう事態に相なりました場合にはいわゆる運輸省予算としてなかなかとりにくいということになりますれば、そこにぽかりと穴があくということに相なるのではなかろうかと思う。どだいそういうものの考え方自体に私は問題があると思うのでありまして、このギャンブルをどうするという問題以前の問題として運輸行政の中で中小企業を育成するということは大へん重要な問題であります。その中小企業に対する政策が、いわゆる主体性のない十九条の交付金でまかなっている、あるいはまかなわなければならぬのだということ自体のものの考え方に私は誤りがあると思いますが、運輸大臣いかがでしょう。
  22. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま御指摘のように、国家として造船関係中小企業等育成強化のために十分にあたたかい手を差し伸べるということが本筋であると私は考えます。ただ戦後におきまして御承知通り国家財政でありましたので、そこまで手が回らなかったという実情を顧み、一方におきましては、こういう射幸心によるギャンブルというようなことを言っていいかどうかわかりませんが、こういう一つのことによって莫大な金が集まりましたものですから、この使途を適正に国民経済発展のために使わせるというふうに考えて今日に至ったものと思うのでございます。従いまして調査会においてこういう一切のものをやめるという結論が出てやめることになれば、自然運輸省なり通産省におきましても、中小企業育成保護のための予算を十分にとるべきものであると考える次第でございます。従来射幸心をあおるようなことは道徳、道義の上から見ますと御非難のあることはごもっともでありますが、このいろいろ複雑な人生におきまして、モーターボートとか、あるいは競輪とかいうものがなくても、パチンコとかなんとかいうものはごらんの通り盛んになっておりますようで、射幸心というものは人間の心理の上から見てなかなか抜けがたいものであるようにも考えられますので、従来は、こういうものを認めてそれによって集まりました金を国民経済の有用の方に使おうということで進んでおったようでございます。しかし今御指摘のように、調査会において結論が出まして、それがもしこういうような法律を廃止して一切競輪とかモーターボート競走とかいうものを否定するような結論が出ました場合には、一般会計においてこれら中小企業育成保護強化のためにあたたかい手を差し伸べるということは当然のことであると考えておる次第でございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 何か運輸大臣の御答弁では、一つには、そういうものがなくなれば予算をとるのが当然だというお話でありますが、なくなればとるのではなくて、運輸大臣として運輸行政をやるに必要な予算は当然、この制度があるなしにかかわらずとるのがあたりまえではないかとわれわれは考えている。それからもう一つ、そういうギャンブルで集まった金はせめてこういう方向に有効に使うことがいいのだということは、裏を返せばいわゆる罪滅ぼしということであります。もちろんモーターボート競輪というようなものに比較すれば、なるほどギャンブルという性格は少し薄いということでありますが、やはりギャンブルの範疇に入るわけであります。でありますから、ものの考え方として、たとえば——私は反対でありますが、運輸大臣のお考えのように、パチンコども今あるのだから、ああいう射幸心というか、そういうものは断ち切れないのだ、いわゆる必要悪社会悪というものだという御解釈でありますが、そうだとするならば、これはあなたの御所論からいっても、十九条の交付金という形は反則である。むしろパチンコ税金をとりますから、やはりこういうギャンブル競技税金をとって運輸大臣はそういう問題にノー・タッチ、予算をとることが先であるというふうに区別した方が筋が通るのではなかろうかと思うのであります。ところがあなたの方の行政は、モーターボート競走と直結した運輸行政をしておるところに問題があると私は思う。だから売り上げが少なければその行政は少なくなってくるということであります。多ければ多くなっていく。こういう行政がどこにあるだろうか。いわゆる舟券というのかわかりませんが、そういうものの売り上げによって左右されるような行政運輸行政の中にあっては私は困るだろうと思うのです。だからあなたの御所論からいっても、この十九条の交付金というのは筋が違う、これが一つであります。どう思いますか。
  24. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま私が申し上げましたのは、従来そうであったろうということを申し上げたわけで、なかなか人間社会射幸心を弾圧するということは困難でありますので、こういうものが行なわれておっても、これは社会必要悪というふうに当事者の方も見ておられる仕事でありますから、そういうところから出た金が莫大でありますれば、これを国民経済のために有効適切に使うということが、せめてもの罪滅ぼしだというような考えで今までのようなことをやったと思うのであります。しかし本筋からいえば、それは運輸省中小企業育成強化のための予算をとるということが本筋であることは、論を待たないのでございますけれども、そういうような事実がありました場合には、社会必要悪によって集まりましたものを、国民経済成長発展のために使うということも、政治上必ずしも悪いことではないと私ども考えておったのでございます。しかし、ただいま御審議を願っています法案が通って、一年の後にこれは結論が出るわけでございますが、結論が出ました上で今後慎重に考究をいたしまして対策を講ずべきものであると私ども考えておる次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 必要悪ということも御承認になって、私も必要悪ということは全部否定をいたすものではございません。人間社会でありますから、みな神様のような者の集まりじゃありませんので、あるいはそういう悪もあって緩和するというのが、過渡期においては当然あると思うのです。しかし、そこで言いたいのは、政府自体必要悪を認めること自体に、政治の姿がゆがんできはしないかということであります。必要悪を押えつけることがなかなかむずかしいということは私も承知しています。だけれども、それを助長しなければ、いわゆる行政の中で中小企業がやっていけないのだというふうに直結させることに私は問題があると思うのです。この法案は決してギャンブルがいいか悪いかの法案ではない。今提案されているのは、ギャンブルに伴った売上金が一%交付されるのをどうしようかという問題であります。もちろんその根本はギャンブルの問題にもなります。だから私があなたにお尋ねしているのは、ギャンブルのいいか悪いかは別として、こういうあり方は筋が通らぬ。しかも政府行政の中で、それを財源にしているということは、あまりにも直結していますから、これがかりに税金をとるというなら間接でありますから、とってもいいと思いますが、直接とるということ自体に問題があるということを私は言っているわけなのです。これは今度の調査会においても審議対象になっているのですか。いかがですか。
  26. 水品政雄

    水品政府委員 調査会審議対象は、存廃を含める一切の問題について審議をやることになっております。当然そうした問題が審議されることになると思います。
  27. 久保三郎

    久保委員 それは当然そうだろうと思いますけれども、ただ言いたいのは、今までの局長並びに運輸大臣の御答弁は、どうも政府機関として考えるのじゃなくて、一般社会人として考えておる面が非常に強い。社会悪は認めなければならないでしょう、パチンコも押えつけるわけにはいかないでしょうということは、これは一般社会人の話であります。私は運輸行政に直結したいわゆるギャンブルはどうなるのかということを聞いておるのであります。そういう直結したものを考えること自体に誤りがあるということなんです。たとえば海難救済にいたしましても、財源がほとんどこれから出ておるでしょう。あなたの方に海難防止協会というものがありますね。ああいうところに金を交付するでしょう。この海難防止協会の資金の中でこの交付金の比重はどのくらいになっておりますか。
  28. 水品政雄

    水品政府委員 海難防止協会に対して海難防止関係振興費を交付しておりますが、大体事業費としては、全体の事業の八〇%くらいをこの十九条の交付金に依存しておるわけであります。
  29. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣事業費の八割はこの金でやっておるわけですね。しかも海難救済そのものは協会制度でやる以前に、運輸行政でもってもっとしっかりやらなければならない。しかもそれも全部が運輸行政の中でやり得るというものではない。ある程度関係者の協力というものがなければできないのでありますから、これは当然海難防止協会というか、そういう一つの団体が協力態勢をとるということがよいことだと思います。しかし残念ながら、この協会の事業費の八割がこのモーターボート競技交付金にかかっておるということになりますならば、これは当然問題になってくる。そうしますと、海難救済に対して、運輸行政の中でやるものと協会でやるものと、再検討をしなければならぬ。たとえばこの十九条の交付金というものはもうやめたらいいだろうということに相なりますれば、これは当然八割の事業ができなくなりますから、これを考えれば、先ほどの答弁のように、どうも通常の予算ではとりにくいということで済ましておれるはずはないと思います。だからむしろ十分に運輸行政予算としてとっていくのが当然なんです。ものの考え方を改めてほしいと思いますが、どうですか。
  30. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいままでのやり方というものは、これはやはり戦後における日本の財政がまだ十分正常の状態に立ち直らなかったことに大きな原因があるように思うのであります。そういうことをいろいろ勘案して、調査会において目下いろいろの事情を検討いたしておるわけでございます。それですからこの問題に対してはいろいろの御意見があって、直接にこういうようなことをする団体から金をもらって、国家の当然援助する仕事の金にかえさせるということはいけない。むしろこういう仕事には国家として税金の形のものを取り上げて、そうして一般会計から必要なる予算を出すのがほんとうだという御意見もあると思うのでございまして、そういうことを今調査会でよく研究をいたしておりますわけでございますので、私ども調査会結論をよく見まして検討をいたしたい、こう考えておる次第でございます。政治本筋から申しますならば、ただいまるる御指摘になりましたように、必要なる国民経済の維持あるいは改善あるいは伸長等に関しまする費用というものは国家が負担すべきことは当然であるように考える次第でございますが、ただ、御承知のように戦後の日本の経済が非常に混乱をいたしておりまして、最近は別でございますが、税収入の点等から見ましても、各般の仕事に広く国家が手を回すまでに至らなかったいろいろの苦しい事情などを勘案いたしますと、従来こういう方法をとり来たったこともまたやむを得ざることであると考えるのでございます。こういうことがようやく、日本の財政が、また一般の産業状態も、戦後でなくなりまして、ほんとうの日本の姿になりました今日、十分に検討をしていく必要ありというので調査会ができまして、その調査を慎重にするためにもう一年かすに時をもってして下さいというのがこの法案の趣旨でございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 もう一年とおっしゃいますが、この法律はことしの九月一ぱいまであるわけなんです。順当にいけば十二月には次の通常国会も召集されるわけです。九月一ぱいというか十月から二月程度、その間に臨時国会でもあればその結論をもって左右できると思うのであります。むしろ私はこの法案提出しない方が政府としてはいいのではないか。政府というよりは、運輸大臣としては、先ほど私が申し上げたような大筋からいけば、運輸行政の中で必要な予算はとっていくという態度になれば、少なくともこの法案を出さない方が、いわゆる本筋に戻るだろう、こういうふうに私は考えるのであります。が、いずれにしても大臣が出してきて、しかも、もう戦後ではない、その通りなんです。戦後ではないというのは、財政状況は特にことしは御承知通りなんです。そういう中で少しばかりの、二億あるいは三億足らずの金で、そうして政府がこれに関与していくという態度は、私はもうやめるべきだと思うのです。必要あるものについての処理は、これは別途考えてもいい。私がこの法案自体に対して申し上げたいのは、政府自体がこれに関与して、テラ銭を上げるというようなことは断じてやめたらどうか。運輸省テラ銭を上げるというがごときは断じてやめたらどうか、こういうふうに考えておるわけです。  さらに申し上げたいのは、競輪と違ってギャンブルの性格が薄いと言うが、だんだんそういうふうになってきている。というのは、ここに出て参りました資料を見ましても、一日平均の入場者数並びに一人当たりの購買額というのがございますが、これを見ますと、入場者はだんだん減ってきています。それで一人当たりの購買、いわゆる舟券売り上げというか、これは非常に上がってきている。これはいわゆるギャンブルの傾向が濃厚になってきたということであります。入場者が減って金が上がってきたということでありますから、やはりもうこの辺で裁断を下す時期ではないだろうかと思うのでありますが、この傾向について、今まで通り競輪に比べてモーターボートはまあまあその罪の浅い方であるというふうなお考えをやはりとっているのであるかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  32. 水品政雄

    水品政府委員 競輪と比べてギャンブル性の点でどうかという点は、なかなかむずかしい問題で、実はいろいろの委員会等でも議論されておったことがございますが、お答えがしにくいのでございますけれども、結果的に見ますと、競輪と違いまして、騒擾事件その他いろいろな問題が非常に少ないことは事実でございます。また、入場者の減少というお話がございましたが、これ等も年々いろいろ規制をいたしておるのでございまして、自粛運営等の監督を強化しておるというようなことが、多少人間——大体同じようでございますけれども、あるいはそう急にふえないということに貢献しておるのじゃなかろうかと私ども考えておるのでございます。また、売上金の上がりは、これは大体景気によって相当影響があるようでありまして、これはほかのギャンブルを見ましても、景気の動向と売上金の合計とは相当関係が深いように感じておるのでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 売り上げと景気の関係でありますが、なるほど、景気がよくなればギャンブルはよけいになってくる、景気が悪ければなくなってくる。そうなんです。人数は多くなるかもしれないが、金は少なくなる。金が多いということは、ギャンブル性が強くなってくるというふうに考えていいと思うのですが、どうですか。
  34. 水品政雄

    水品政府委員 まあギャンブル性という定義でございますが、売り上げが多いというのは、一人の買い高が多くなったということですが、しかしその買う一つ舟券それ自体ギャンブル性は、方法等は同じ方法をやっておりますので、先生の御指摘ギャンブル性と、まあ大きな意味で、あるいはそういうふうな見方もできるのかもしれませんけれどもギャンブルそのものの本質は、ずっと前から同じやり方をやっておりますので、変わっておらないわけでございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 局長御所論のようなことも解釈として成り立ちますが、金が多くなるということは、結局それだけよけいにいわゆる山をかけるということなんですね。これはギャンブル性向が強まるということなんです。そうでしょう。ただ単に行って見物のついでということじゃなくなってくるわけなんですね。だから、そういうものを考えれば、これはやはり従来の考えだけでモーターボートをいわゆるその他のギャンブルと比較されることは危険であろう、こういうふうに考えます。まあいずれにしても、このモーターボート競技によって資金をまかなっていくという運輸行政のやり方は、これは自転車もそうでありますが、これは非常に不明朗だし、またそういう筋の通らぬことはやめることが先決だと私は考えます。  でありますから、今後どういうことになるかわかりませんけれども運輸大臣に最後にお尋ねしたいのですが、この調査会は大体いつのころまでに見通しをつけるようにやっておられるのか、この点伺いたいのです。何らの方針もなく、国会にも今法案を出して延長させるから、ゆっくり、来年の通常国会が終わるまでに結論がつけられればいいのだというような態度でおられるのか、あるいは政府としてきっちり大よその結論をつけるめどをつけて、そうしてやっておられるのか、いずれなんです。
  36. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げますが、期間が九月末ということになっておりますので、できるだけこういう問題の慎重な調査によりまして、結論を九月末に出したいということで努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 再三くどいようでありますが、九月末じゃなくて、実は三月に第一回——まあ先ほど私が申し上げたような事情がほんとうでしょう。私はよく知りませんが、そうだろうと思う。三月というのは違うのですか、違うなら答弁して下さい。
  38. 水品政雄

    水品政府委員 設立されましてから直ちに人選をやる、そしてそれぞれの御了解を得るということに案外時間がかかっておりまして、決してほかの理由で遅延したのではございません。でき得るだけ早く、われわれ関係省としても内閣にそういうふうに要望はいたしておりまして、また実際の事務は内閣でやっておられたのでございますが、その後の動きを見ておりましても、決して他意があっておそくしたというようなことは、私ども全然考えておらぬのでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、この法案を出すときめたのは幾日ですか。
  40. 水品政雄

    水品政府委員 今、日にちを調べておりますが、先月の下旬の委員会におきまして、こういう事情を委員会にお諮りし、委員会からそれではとうてい間に合わぬからという書類をいただきまして、私ども出したのでございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 三月に第一回の会合をやらせて、それはおそらく顔合わせでしょう、それから政府の方から諮問するか何かの形をとって、それでおそらく第一回は終わりでしょう。それで、あなたがおっしゃるような手続を踏んだというのは、どうも国会を非常に軽視してはいないか、こういうふうに考えるわけです。国会を軽視していないというならば、見通しがないのだから、どうもこの国会中に結論がつかないということはわかっておるわけです。だから、あらためて書面をもらわぬでもこれはおわかりの通りだと思うのですよ。それともそれまでには大体結論がつくだろう、こういうふうにお考えだったのでしょうか。
  42. 水品政雄

    水品政府委員 議論の出ることは、また常識的に非常にむずかしいということはわかっておりましたけれども事務担当者といたしましては、やはり委員会自身のお考えを一度伺ってからということで、多少そういう面で延びたように承知いたしております。
  43. 久保三郎

    久保委員 事務当局としては委員会の御意見を聞きたかったというが、第一回の委員会のときにお聞きしたらいいじゃないですか。大体もうおわかりだったでしょう。国会は六月八日までということになっています。だからその時期までに間に合わぬことはわかっておられたのでしょう。従って、当然こういうものは早く出して審議をする。会期末になって、上げようか上げまいか、どうしようかという時点にきて審議すること自体、われわれは不本意であります。なるほど案自体は簡単であります。一年延長であります。今さら論議の蒸し返しの必要もないと言われる方もあるかもしれませんが、われわれ自身は、去年のお約束は、少なくとも調査会を作って結論をつけます、ということでありますので、一応、半ば了承した形でおったわけです。ところが、先ほど来の御説明のように、三月が初めての会合——なるほど、どういう点で手間をとられたかわかりません。そういうことでは、少なくとも国会をあまりにも軽んじていはしないか、運輸大臣、いかがでしょう。
  44. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国会を軽視するなんという考えは、私も国会議員を長年やっておりますので、毛頭考えておりませんでございます。いろいろ手続等で御指摘を受けるようなことがございましたならばまことに申しわけない次第でございますが、国会を軽視するというような考えは私どもには毛頭ない次第でございまして、ただいま申し上げましたように、この期限までに、私どもとしても慎重審議の上ぜひ調査会結論を得たいというふうに考えて、これから努力はいたしたいと考えるのでございますけれども、何せいろいろ大ぜいの人の集まる仕事で、しかも非常に広範にわたったことを検討いたしますし、過去においていろいろ日本復興等につきまして交付金等の形において努力して参っております。またそういうことによって今まで筋は違っても利益を得た段階等もありますことなので、かれこれ十分に調査をして結論を出していこうというお考えのもとに、慎重に考究をなすっておることと私ども考えておるのでございますが、なるべく一日も早く結論を出していただきたいという考え方のもとに努力をいたしたいと思っております。
  45. 久保三郎

    久保委員 まあ国会を軽視しておりませんというお言葉ではありましたが、実際は形の上では国会を経視した形とわれわれはとらざるを得ない。去年の約束も七月にしながら、調査会を発足されたというか、そういうものができたのは十二月の末である。第一回の会合が三月というがごときは断じて国会を尊重したという建前ではない。こういうことは幾ら押し問答しても同じでありますのでやめます。少なくとも真剣みが足りないのではなかろうか。それぞれの関係各省とも幾らかのテラ銭が上がるからこれで補足した行政がやれる、そういうものが先ほど来の御答弁の中にも含んでおります。これは全くもって許しがたいことだとわれわれは考えております。少なくとも政治の姿を正すというのは社会悪の問題とは違って、政治の姿をやはり画然と確立せぬばいかぬと思うのであります。あなたの方の運輸行政舟券売り上げの多寡に応じてきまるというがごときは断じてりっぱな行政だとは考えておらない。しかしこの助成金貸付金をやっている中小企業を見殺しにするがごときは、これも断じて許せないのでありますから、これは当然運輸行政責任として確立しなければならぬ。ところが今までのやり方を見れば、中小企業だからこれに金が出なければかわいそうではないかというような一つの論法をもってきておる。これは早くいえば弱いところを逆手にとってやっている仕事であって、断じて政治本筋ではないと私は考える。いずれにいたしましてもこういう法案を出してくること自体にわれわれは不愉快を感ずるわけであります。早急に結論をつけると同時に、これは九月三十日までおるから、少なくとも法案は引っ込めて九月三十日の結論を待ったらどうか。それでどうにも結論がつかぬというときには、あらためて最小限十二月の通常国会の劈頭に出して審議をさらに仰ぐということの方が筋ではないか。われわれの方からすれば、調査会意見一つも聞かない、そうしてさらに期限延長するという法案審議することはどうも納得しがたい。本来ならば去年の約束通り調査会の中間報告でもいいから聞いて、そうしてそうかということでこの法案審議するならばまあまあであります。調査会意見等も全然聞かずに、運輸省当局の意見だけを聞いてこの法案審議せねばならぬということは、どうもわれわれは愉快ではない、こういうふうに考えます。関連の質問もございますから、いずれにしても来年度予算はこの法案関係なく、関係助成なりあるいは補助金の予算はとるべきだ、そういう気がまえは運輸大臣持っておりますか。
  46. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、調査会で慎重審議をやっておりますので、これがどういうふうに結論が出ますかははっきりわかりません。従いまして、運輸省といたしましてはできるだけ御趣旨に沿うように、一般会計において中小企業助成、育成の予算をとることに努力をいたしますが、しかし一体このモーターボート競走法というものがこのまま生きるのか、あるいはまたこれに対して交付金などを出すことを拒絶して一般会計の方へ税収入で負担をかけることになりますのか、それらの問題等もよくにらみ合わせまして、将来の予算等の問題については研究をいたしますが、本筋はどこまでも国家中小企業育成強化に奉仕いたすべきものであるという建前をできるだけ貫徹いたすようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  47. 三池信

  48. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はそれに関連いたしまして、基本的な問題を二、三お尋ねいたしておきたいと思います。  今までの質疑の中で運輸大臣のおっしゃることは、終戦後の急速な経済復興のために、国の経済力というものは疲弊その極にあってできない、何らかのかわり財源をもってどうしてもまず日本の経済を急速に復興させる必要がある、こういうところから、競輪だのあるいはこういうたくさんのギャンブル法がやむを得ないものとして出てきたと思うのです。しかし、この国会を通しまして政府のいわれておりまするのは、すでにもう経済状態は戦前以上に復興して、しかもそれを乗り越えて所得の倍増をとにかく計画するまでに日本の経済というものは成長した、こうみずから認め、みずからその計画をされておるのであります。そうすれば、私はこのようないわゆるギャンブル法として世間から非難を浴びているものは、これは当然早急に廃止をすべきものであると考えるのです。今までにこの競輪、競馬あるいはモーターボート競走など一連の公営競技によって、今申し上げたような功績のあったことは認めますが、しかしその反面どれだけ多くの人が犠牲になり、しかも円満な平和な家庭までがいかに混乱をさせられ、人命までも損傷してきたかということは、これはもう御承知通りだと思うのです。そこで今度は廃止のためのいわゆる調査会なるものができたとおっしゃるのでありますけれども、今までの答弁でどうも私の納得できない点は、その調査会運輸省としてどういう態度でおられますか、ただ調査会がその存廃どちらの結論を出されてもよいという態度でおられるのか、それとも廃止ということを前提にして、そしてつぶさにこれを調べて、そしてその事後の対策を立てるための詳細な調査までもされているのかどうか、これが一点であります。  それから大蔵省にお伺いをいたします。もしこの結論が出て廃止するということになった場合に、税制の面から見ましても、自然増と、今日では相当膨大な予算外収入が見込まれる状態にあるわけであります。従って私は、そういう税の増収等も、公営競技が廃止された場合、予算面あるいは資金面で運用をすれば、これは決して中小企業やその他の産業の育成に支障を来たすようなこととは思われない。従って、それが廃止後の対策というものは、資金面からも十分に今立てておく必要があると思いますが、大蔵省のそれに対する態度はどうであるか。  それから自治省に一つお伺いをいたします。自治省はどうしても主として地方自治体の財政をまかなうということも大きな要素としてとれはきめられたものでありますが、今日の地方財政におきましては、もちろん私どもは非常なアンバランスのあることも認めます。従って、このアンバランスをこの公営競技によってカバーする、そういうような一つの面もあろうかと思いまするけれども、しかし、今申しますように、経済の成長に伴いまして、年々税額は大きな黒字を出しておるのでありまして、従って、自治省においてもこういったもので地方財政の援助を求めなくても、私はもっと政府全体に理解があれば、一向に、この種産業や中小企業振興のためにする資金については、これはもちろん支障はないし、自治体のいわゆる今日の財政にも支障を来たさない措置は取り得ると思うのでありますけれども、これについても自治省は一体どういう考えを持っておられるか。それぞれ各省の明確な御答弁をこの際願っておきたいと思います。
  49. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 この調査会に対しましては、運輸省としては意見を持って出しておらないのでございまして、調査会委員の方々の経験、良識等によって妥当適切なる結論の出ることを待っておる状態でございまして、これを内面指導をするとか、運輸省意見をこうもあってほしいとかいうようなことは出しておらないのでございます。
  50. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいまお話が出ておりました一般の公営競技等、あるいは国営競馬も入るかと思いますが、そういったものを財源とし、あるいは国の一般会計に入れ、あるいは国の一般会計を通さずして直接にいろいろな資金に使っておる、これにはいろいろただいまお話で承っておりましたような議論のあることはもとより当然だと思います。それがいろいろ混乱した時代の産物であるということも事実であろうと思います。そういうことにつきまして、ただいま広くいろいろの方の御意見を聞いておるという段階だと思いますが、本来の筋目といたしましては、いろいろ御議論が一般的に出ておるような方向がおよそ常識的に普通の方はお考えになると思います。ただこれをどう全体として扱って参りますかにつきましては、私どもただいま木暮運輸大臣からもお話がありましたように、一つ十分意見を聞きました上で処理いたしたいと思います。
  51. 松島五郎

    ○松島説明員 競輪等の公営競技は、御指摘通り、地方財政にも今日までかなりの寄与をいたしておりまして、地方財政も非常に改善をされてきたので、あるいはそういうものに依存しないでもいいのではないかという御質問でございましたが、地方財政が改善されたとはいいながら、まだ赤字団体というものが相当残っております。それからまた地方の一般的な行政水準も非常に低いと言われておりまして、今日においても地方財政をさらに充実していく必要が感ぜられておるわけでございます。従いまして、今直ちにこういったものの廃止によってたえていけるかどうかというようなことにつきましては、なお慎重な考慮が必要であろうと考えるのでございますが、私どもといたしましては、こういったものに依存せずに地方財政が運営されるような態勢に一日も早く到達するように努力をして参りたいと考えております。  なおまた、地方財政全体としてはそう大きな問題でないにいたしましても、個々の団体においては収入の上で相当のウエートを占めておる団体もございますので、廃止をするような事態となりますならば、それらの団体に対します手当等もあわせ考えていかなければならないと考えております。従いまして ただいま調査会でいろいろ御検討なされておるようでございますので、それらの結論等も十分拝聴いたしまして善処して参りたいと考えております。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 もちろん調査会結論を待つということは筋かもしれませんが、なるほど自治体にも赤字の団体があり、黒字の団体があります。これは根本的には今日の自治体に対する政府交付金だけをもってしはカバーすることはできないのですよ。とすれば、地方自治体の税収の均衡をはかるための措置も当然にとらなければならぬ。ところがそれを根本的にとっていないということは、これをなおざりにしているといっても過言でない。また私の言うのは、これが廃止なら廃止という結論が出ても、政府に今からその準備がなかったら、二年先、三年先ということになりまして、これが一年延びれば延びるほど、私が先ほど申し上げたように、平和な家庭においても人命すら失うような、一家心中をするような悲劇が絶えないのですよ。そんな状態にあるにもかかわらず、ただ中小企業を育成するとか、地方財政をカバーするとか、そういうようなことを言って延ばしておくべき問題じゃないと思う。従って、そこをもっと明確にし、それだけの準備をして、結論が出ればすぐそれに乗りかえるだけの手順を作っておくべきだと思う。それに、何らそれがないということは一体どういうことなんでしょうか、自治省も運輸省一つ見解をはっきりしてもらいたい。
  53. 水品政雄

    水品政府委員 委員会の期間は九月末日までになっておりますが、聞くところによりますと、委員会もできるだけ早く結論を出したいということになっております。従って、委員会の一応のお考えを聞かなければ準備ということは直ちにむずかしい事情もありますし、一方次の通常国会には法案提出する、もちろんそういう方針ですべてのことが進められておりまして、委員会も九月末日までと相当強行軍のような点もございますけれども、それも延長せずに、通常国会に間に合わぬからということで進めておるような状況でございますので、私どもとしてはでき得るだけ早く御結論をいただいて、それに基づく法案を通常国会に提案し、諸般の準備を進めて、なるべく早く新しい——どういう結果になりますか、そういう態勢に切りかえていきたいと考えております。
  54. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほどお話し申し上げますように、地方財政にとって非常に大きな問題でございますので、委員会の御審議の経過等も十分参照いたしまして、適切なる措置を講じて参りたいと思っております。
  55. 三池信

    ○三池委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  56. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。山口丈太郎君。
  57. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいまのモーターボート競走法につきまして、私は社会党を代表いたしまして反対の討論を行ないたいと思います。  ただいままでの質疑を通じまして明らかになったことは、政府においても、概念的と申しますか観念としては廃止したいということのようでありますが、しかしそのことはまことに消極的であって、実際上積極的にこれを廃止するという意図のうかがえないことはまことに遺憾であります。先ほど来質問にも申し上げましたように、敗戦後日本の経済の壊滅的な打撃を一日も早く復興いたしたいという念願は、これは国民的な念願であります。そのためには、多少の弊害があるといたしましても、大局的な見地に立って日本復興考える場合、やむを得ないものとしてこれが制定せられたものであると伺っておるのであります。従って、こういったいわゆるギャンブルといわれるようなこの種の法律は、他の重要な法律でありましても、最近におきましてはその時期に応じて期限をつけた、いわゆる時限立法というものが成立を見ておるのであります。ひとりこのような、いわゆる世の指弾を買うような法律が無制限の期限をもって存続するということは、今日の社会状態から見まして許されるものじゃないと私は考えるのであります。  次に私は、今日の日本の経済状態を見ますと、全体的に見まして戦前の経済をはるかに上回ったような急速な復興ぶりを示しておることは、政府みずからもお認めになっており、また国民全体としてもこれを認めておるところであると思うのであります。政府はこの国会を通しまして、かりそめにも所得の倍増計画を実施するのだとみずからも認めて、これを計画せられておるのであります。さすれば、この際こういういわゆる世の指弾を買うような公営競技というものは一切廃止して、そして経済の平常状態と並行して社会の安寧を維持するために政府行政をなすべきものだと私は考えるのであります。ところがどういうものか、どうしても積極性がない。また地方においてせっかく廃止の態度をきめましても——私の聞くところによりまずと、この公営競技によるいろいろの機構ができ上がっております。またその機構を通して、廃止するということをきめた自治体に対しても、あるいは自治体の議会に対しても、非常な圧力をかけつつあるとも聞いておるのであります。こうなりますと、私は、一部の人々の利害に変化しつつあるのではないかと言われてもやむを得ないと思うのであります。少なくとも一つのものを建設せんとすれば、他方におきましてはその犠牲を伴うことは、これはあり得ることであります。私も否定はいたしません。しかし、事先ほどからるる申しまするように、平和的な暮らしをやっておる、せっかく安定しておりまする大衆生活の生活者の中にこういうようなものがあるために、一家の平和を乱したり、はなはだしきに至りましては一家心中をなす者までも現われておることは御承知通りだと思うのであります。それならば、私はこういったような人道上の見地からいたしましても当然廃止をなすべきものだと思うのであります。こういうところから見ますと、今まで運輸大臣が御答弁になったこと、あるいは自治省、大蔵省が御答弁になりましたことは、これは私は承認することができないのであります。なぜ今までこの廃止法案を出さないで、ただこの調査会ができたから——何か私たちがこの国会を通していろいろ御質問いたしますと、都合の悪いところはみな審議会があるとか、あるいは調査会があるとかいって、悪くいえばそれを口実に現実の事態を処理することをかわしておられるといっても過言ではございません。これでは私はほんとうに日本の国民が政治、また行政面について信頼を置くかどうかということも疑われるのであります。審議会をお作りになることもけっこう、調査会をお作りになることもけっこうではありまするが、しかし、その機関をあまりにも援用するあまり行政がゆがめられたり、政治がゆがめられたりするような、そういうことであっては私はならないと思うのであります。従って、今船舶局長から御答弁になりましたが、暫定的に一年間の期限を限って延ばし、次の通常国会においては法案提出すると言われる、しかしそれは廃止の法律案であるかどうかということについては言明されていないのではないかと思われる。しかし、少なくとも法案をお出しになる限りにおいては、これは廃止をするということを前提にして言明をされたものと私は思うのであります。従って、その言明通り実行してもらいたい。今日政府がどんな言明をしても、それをすなおにとらないで、そのときの言明はこうであったのだというような、解釈において歪曲されることは許されません。少なくとも私はもっとすなおに、純粋に、言った言葉は言葉通りに国民の受け取れるような処置をしてもらいたい。それでなければ、私はこの政府措置というものを信頼することができないのであります。こういう点につきまして、今後十分に検討をし、検討をするということはただ単にだらだらと日を延ばしているだけが十分の検討ではないのであります。少なくとも真摯な態度をもってすみやかにこれが廃止の法案提出せられることを心から望んで、この法案の延長に対しては反対の討論を終わることにいたします。
  58. 三池信

    ○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  モーターボート競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  59. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  61. 三池信

    ○三池委員長 次に踏切道改良促進法案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山口丈太郎君。
  62. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは、ただいま議題となりました踏切道改良促進法案の内容につきまして、運輸大臣、大蔵省、自治省等、関係各省に対しまして御質問を申し上げたいと存じます。まず第一に、この法律案はこの国会当初から政府の御予定になった法律案であります。ところが、会期百五十日を経過いたしましてもなおお出しにならなかったのであります。そうして会期が延長されたとは申しましても、通常国会の会期がすでに切れてしまってからこの法案をお出しになったのであります。私は政務次官から必ずこの会期中に法案提出をいたしますという明確なお約束を実はちょうだいいたしておったのであります。私が先ほど討論の中でも申しましたように、私は正直者でありますからすなおに受け取って、会期とは通常国会の会期中に審議のできる状態において御提出になるお約束だと受け取っておったのであります。ところが、それを今申しましたように、延長国会に入ってからお出しになったのは、一体どこに法案提出の障害があったのか、まず運輸大臣からその障害があったとすればその障害があった個所をお知らせ願いたい。
  63. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいま大臣にお尋ねでございましたけれども、多少法律案の技術的な問題にも関連いたしますので、私から御答弁申し上げることをお許しいただきたいと存じます。  会期末になりまして法案提出いたしましたことは大へん申しわけないことでございまして、衷心よりおわび申し上げる次第でございます。ただ、この法案の大体の骨組みにつきましてはしばしば当委員会において御論議になりまして、その際に私の方、運輸省のみならず、あるいは自治省あるいは建設省の方もおいでになりましていろいろ御答弁も申し上げておるようなこともございまして、今唐突として新しい法案を御提案申し上げるということとは若干事情は異なるかと存じます。むしろ何とかして早く今国会に間に合うように与野党一致してわれわれを御督促相なったといういきさつもございまして、いろいろ政府部内において意見の不一致もあったのでございますが、それぞれの立場をある程度まで譲り合いまして、ついに政府部内の意見の一致を見ましたので、大へん会期末になりまして恐縮とは存じましたけれども、これもまた反面踏切事故が相当大きな社会問題になっておりますので、これに対処する政府の断固たる決意を表明するということも必要であるかと存じまして、御提案申し上げたような次第でございます。  ただいまお尋ねの、政府部内において、しからばどういう点が不一致であったかということでございますが、これにつきましては、かねて運輸省は踏切の整備につきましては、単に鉄道事業者の社会責任による義務のみならず、道路通行側の通行の用に供せられる道路を管理する道路管理者の協力も、最近の情勢にかんがみまして、ぜひとも必要である、こうすることによって、踏切の改良整備ももっとその整備のスピードが上がるであろうというふうなことから、いろいろ建設省、自治省、大蔵省と折衝しておったのでございますが、目下のところでは、鉄道事業者がまず第一義的には、その企業の社会責任として、当然踏切道の改良の衝に当たるべきである、責任がある。あわせて道路管理者側も、あるいは国もこれに対して助成の道を講じよう、補助の手を差し伸べよう、こういうことに相なったわけでございまして、運輸省といたしましては、この法案を御可決いただければ、従来に増しまして、画期的な整備に踏み切ることができるということで、国民の期待に相当おこたえすることができるのではないか、かように考えております。
  64. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 まず基本として、私はこの法案提出されるまでのいろいろな運輸省の苦心につきましてはよく了承しております。けれども、一体大蔵省、自治省はこの踏切の現在の状態についてどういう認識を持っておられるか。少なくとも、今申し上げましたように、これは与野党ともに、今日の道路交通、踏切の状態、失われていく人命のこの状態を見て、一致してこれを何とか防がなければならない、一つはこういう人道的な立場から、そしてまた政治責任からも、一致して早く出せ、こういって、ぜひともこれを成立させたいと考えておったのであります。ところが運輸省を通じていろいろ聞いてみますると、大蔵省及び自治省はなかなかこの法案について意見の一致を見ない、こういうようなことを承っておったのであります。まことに遺憾千万なことでありますが、大蔵省はこれについてどういうような見解をもって対処しておられたか、自治省はこれについて一体どういうような考えを持っておられたか。おのおの関係各省として重要な位置にあるのですから、お伺いいたしたいと思います。   〔久保委員「定数がない、休憩々々」と呼ぶ〕
  65. 三池信

    ○三池委員長 今すぐ入ります。
  66. 久保三郎

    久保委員 その間休憩。休憩の動議を出します。
  67. 三池信

    ○三池委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  68. 三池信

    ○三池委員長 速記を始めて。
  69. 谷村裕

    ○谷村政府委員 山口委員からただいまどういう点について問題があったか、また大蔵省はこういう問題を基本的に一どう考えておるかという御質問でございましたのでお答え申し上げます。  踏切道の整備改善につきまして、もとよりわれわれとしまして必要なことだと考えます。そして運輸当局の方で立案されました、いろいろ鉄道事業者あるいは道路管理者等において踏切の改善計画を立てて、それを五カ年間にわたって実行していくという基本的な方針については、私どもできるだけすみやかにやっていただきたいと考えておった次第でございます。問題は、その際における費用の分担の問題として、私どもは鉄道事業者が踏切の設備の改善をする際に費用の分担を道路管理者側にさせるのがいいか、みずからの負担においてやるのがいいか、その点について議論があったわけでございます。方向といたしましては、もちろん踏切道の整備を一刻もすみやかにやっていただくことが必要だと考えております。
  70. 松島五郎

    ○松島説明員 踏切道の問題につきましては、ただいま大蔵省からお話のございました通り、私どももその整備については一日も早からんことを願っておるものでございます。問題は、経費の負担をどういうふうにするかという点についていろいろ運輸省とも御相談をいたしておるわけでございまして、その結果ただいま提案されておりますような形となったわけでございます。
  71. 高野務

    ○高野政府委員 踏切道の問題につきましては、私ども運輸省と全く同じ考えでございまして、従来立体交差、踏切除却等につきましては五カ年計画でやっていたのでございます。三十六年度からの五カ年計画にはさらにこの規模を拡大して実施するために目下検討中でございます。また立体交差にはならないが、踏切道をいかに改善するかということにつきましても、熱意を持ちまして目下検討中でございまして、五カ年計画の道路改良、あるいは特殊改良といたしまして実施する覚悟でございます。
  72. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 道路管理の点について御質問いたしますが、現在の道路には国道あり、都道府県道あり、市町村道あり、これはよく御承知通りだと思うのです。しかし根本的にいいますと、道路の管理権の問題なのですが、国道はもう管理権ははっきりしておりますからいいわけでありますけれども、都道府県道、市町村道、こういったような道路についてはやはり建設省の御意見というものが相当重要視されておるという状態にあると思うのです。道路の管理はどういうふうにして今やられておるのか。都道府県道、市町村道について地方において管理権をめぐっていろいろ問題がある。そして踏切などを改良する場合には常にそれがうまく利用されて言いのがれの口実にも使われておるという状態でありますが、これについてどういう工合にお考えになっておりますか。
  73. 高野務

    ○高野政府委員 道路の管理といたしましては、一、二級国道、都道府県道は県知事が行なっております。一級国道のうち、国が直轄で管理いたします指定区間の維持修繕につきましては建設大臣が直轄管理しております。また市町村道につきましては、それぞれ市長、町村長がこれに当たっているわけでございまして、それぞれの責任において建設省が指導しながら管理をいたしておる実態でございます。
  74. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その建設省の指導というのは一体どういうことなのか、それがこの費用の負担その他において実質的には逃げ口上に使われる原因になっておるのじゃないか、私はこういう工合に考えております。それでなければもっとスムーズに踏切道の拡幅工事などはできるはずだと思うのです。ところがそれができない。これは一体どういうことなのか、私はこういう点、建設省から十分聞いておきたいと思います。
  75. 高野務

    ○高野政府委員 道路管理者に対しましては、道路法の七十八条によりましてそれぞれ指導しておるわけでございまして、指導につきましては私どもは「道路の行政又は技術に関して必要な勧告、助言又は援助をする」という程度にとどまっております。しかしながら、国の施策としていたします事業につきましてはそれぞれ補助をいたしまして、さらに予算の上におきましても指導するという建前をとっております。
  76. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その点はわかりました。そこで私は運輸省、大蔵省にお伺いをいたしますが、この法案を見てみますと、まず三条におきましては「三十六年度以降の五箇年間において」と、いわば時限立法のような立法だと思うのです。道路整備五カ年計画はいろいろ立てられておるようでありますけれども、どういう理由でこの五カ年という期限を定められたか、これについて一つ質問いたします。
  77. 岡本悟

    ○岡本政府委員 昭和三十六年度以降五カ年間に、平面交差で申し上げますと約四千六百カ所の必要と思われる踏切道の整備を緊急にやりたい、こういうことで五カ年間ということを一応の目途といたしましてこういう緊急整備をいたしますので、国あるいは地方公共団体におきましても補助の手を差し伸べよう、こういうことに相なった次第でございます。今考えております四千六百カ所程度を緊急整備いたしますと、大体この踏切の事故も大幅に軽減できる、こういう見通しでございます。
  78. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の局長の御答弁では私の質問に対する答弁になっておらぬと思うのです。どういう理由で時限立法にしたのかということなのです。
  79. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この五カ年の間に緊急整備しようという目標期間を設定したのでございまして、ただだらだらと整備しておったのではいつまでたってもそれが促進できない、こういうことから五年間に計画的に必要なる個所の整備をいたそう、この間におきましては、国もまた地方公共団体もこれに対して、そういう計画的に緊急整備するのであるから補助の道を講じましょう、どういうことでございます。
  80. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の答弁だと、これは政令にゆだねてもいいのであって、法律案文に期限をこう明確にする必要はないんじゃないかと思うのですが、どうも私は、今の踏切を整備するのに重点を置き過ぎてこういう結果になったのではないか、こういうように思われるわけですが、これについてどうですか。  それからもう一つは、今四千六百カ所という目標を言われたわけでありますけれども、私の今までに承っておったところによりますと、踏切のうち国鉄は三百四十カ所、私鉄は六十カ所、合計四百カ所を立体交差に指定をする、保安改良分については合計して四千五百カ所、その内訳は国鉄において三千二百カ所、私鉄において一千三百カ所、これをこの五カ年計画においてやる、さように承っておりますが、四千六百カ所というのはちょっと数字が合わないように思うのですけれども、具体的な計画はどういうことになっておりますか。
  81. 岡本悟

    ○岡本政府委員 最初のお尋ねでございますが、五カ年間に限りました理由は、計画的に五カ年の間に必要なる踏切道の改良整備をやろうということで考えたわけでございまして、その間において国、地方公共団体が必要な場合には援助する、こういうところに意味があるのでございます。これは繰り返して申し上げるわけでございますが、ほかに他意はございません。  それから第二点でございますが、これは概算の数字でございますので多少の狂いはあるかと存じますが、これは一応の目標の数字でございまして、これから実際には建設省等と御相談申し上げまして、実際の交通量もある程度調べて指定したい、かように考えております。その指定の結果いかんでは相当数字も変わってくることもあるかと存じます。今までの御答弁で申し上げましたのは概算の数字というふうにおとりいただきたいと存じます。
  82. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 了解しました。そこで第三条の冒頭に書いてあります「運輸大臣及び建設大臣は、」こういうふうにいたしまして、私はこのところを見ると、俗にいわれるなわ張り争いとかなんとかいろいろとうわさをされていた、そのことがここに現われておるのじゃないか。むしろ運輸大臣、建設大臣、この二人がこの三条でこういうように規定されるということになりますと、たとえば建設省はこう思う、運輸省はこう思う、こういった場合には実際に実行できないような状態が起きてくる。そうしていつまでもその工事というものが延びるというような結果になると思うのですが、これは一体どういうわけでこういう工合になったのか、所管について一つはっきりした御答弁を願っておきたいと思います。
  83. 岡本悟

    ○岡本政府委員 従来たとえばある踏切を立体交差にするというふうな場合には、道路法の規定に従いまして、道路管理者と当該鉄道事業者が協議いたしまして、まずとういうところを立体交差にするかということについてお互いに相談いたします。それからその個所がきまりますと、そういう踏切の立体交差の構造をどういうようにするとか、あるいは費用の分担をどういうふうにするとかいうことを相談するわけでありますが、実は立体交差をすべき個所の選定からして鉄道事業者と道路管理者の間にはなかなか意見の一致を見ないということがございまして、そのことが一つは踏切の立体交差化に大きな支障を与えておったとも見ることができる節もあったのでございまして、どういう点をお互いに踏切問題の重要性にかんがみまして、主務大臣が乗り出して話し合って、そして両方の一致したところでもってどしどし指定していけば早いじゃないか、こういうことで、むしろわれわれとしてはこういう仕組みは非常な進歩である、前進であるというふうに解釈いたしておりまして、決して所管争いあるいはなわ張り争いというようなことから出たものではなくて、むしろとかくそういうことのありがちなことを、主務大臣が相談するということにより指定するという方法をとることによって解消したいということから出たのでございます。もちろん踏切の改善は両者に関係いたしておりますから、一方的にこれを措置することのできる筋合いのものではないのでありまして、主務大臣がお互いに正面に乗り出すということは、それだけ解決が早くなるというふうに御解釈いただけば適当ではないかと存じております。
  84. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 話を聞いているとまことしやかに聞えるのですけれども、しかし一番危惧を感じますのは今答弁を求めた点にあるわけなんです。ここに「運輸省令、建設省令で定める基準に従い、」とある。そうするとますますもって私は疑念を抱かざるを得ないのです。たとえば運輸省令で定めたものと建設省令で定めたものとにもし食い違いができるというようなことになったならば、一体これはどうなりますか。
  85. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これは御承知のようにいわゆる共同省令でございまして、運輸省と建設省が相談して省令を制定するわけでございますが、その共同省令は、通常そういった場合には運輸省令、建設省令、こういうふうに呼ぶのでございまして、違ったものが出るわけではないのであります。
  86. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ここでそういう工合におっしゃるが、たとえば一つの踏切の立体交差をやる場合に、同時に建設省は道路を拡幅して改良工事を加えてやろうとする。ところが鉄道業者あるいはまた当事者の方では、それでは経費がかさむので困るという、そうなりますと、運輸省の方ではなるだけ経費を少なくするための主張をされるでしょう。建設省の方はそれにおかまいなしに将来の交通量だけを策定して道路の拡幅をきめる、こういうことが生じてきはしないか。現に、これは建設省においても御承知だと思いますけれども、せっかく道路を広げてきても踏切のところがそのままになっていて混雑をしているという状態なんですね。こういうことになりますとここに利害等もありますし、いろいろの関係において食い違いが立ちどころに出てくる。そうなるとせっかくのこの面も私は非常に遂行が困難になるのじゃないか、こういう工合に考えるわけでありますけれども、これについて建設省の見解をはっきりと聞いておきたい。
  87. 高野務

    ○高野政府委員 この第三条の問題につきましては、私、先ほど御説明いたしましたように、従来は道路管理者が主体になりまして、運輸省、国鉄と相談をしていたのでございます。この法律を御制定いただきますと、この第三条によりまして、建設大臣が直接基準をきめまして運輸大臣と御相談するということになりますので、大へん進歩的であると存じます。また私どもはもちろん道路の交通量に応じまして、道路の幅員を広げて踏切を立体交差化することを念願としておりますが、立体交差ができない場合にもできるだけ構造を改良して参りたいと思います。その場合に道路が原因で幅員を広げる踏切につきましては、道路の側が費用を負担するわけでございますので、鉄道の方に御迷惑をかけることは比較的少ないのではないかと思います。
  88. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 次に私はお尋ねをいたしますが、この法律にいう踏切の整備は現存している踏切に限っておるのですか。少なくともこの五カ年間において必要に迫られて新しい国道、もしくは新しい府県道を設置した場合、その新設される踏切についても適用があるのか、こういった点について一つ明確にしてもらいたい。
  89. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これは第二条にあげておりますように「この法律施行の際現に存するものをいう。」とありますので、この公布の日から施行するということに相なっておりますが、その日に現存するものに限られるわけでございます。しからばそのあとにできたものにはこの法律は適用ないじゃないか、支障があるではないかというお尋ねでございますが、最近できますものは、大体は当初から立体交差で計画されるものが多いのでございまして、われわれがむしろ問題にいたしておりますのは、現在平面交差になっておるものをどういうふうに改良するかということに最重点を置いておりますので、「現に存するもの」ということで十分であろうかというふうに考えております。
  90. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 続いて私は重要な経費の点についてお尋ねをいたします。  この法律ができると根拠ができるわけでありますから、従ってこの法律に基づいて指定をされると、いやおうなしにその指定に従って業者は立体交差なりあるいは構造の改良なりまたは保安設備の改善を行なわなければならないことになります。それは当然でありますけれども、しからばその費用はどうなるかということになりますと、この六条を見ますと、事業者の負担の限度というものが明確ではない。非常によい法律ではあるけれども事業者の負担を明確にしないでおいて、そして命令で指定されてやむなくこれを施行しなければならないということは、事業者の非常な脅威である、こういうようなことまでも言われておるのであります。この法案を理解させるには私はこの点が一番重要なものだと考えます。これについてせっかく御努力を願った運輸省あるいは関係各省が、その工事をそのまま実行することができるかできないかは、この六条及び七条にかかっていると私は思うのですが、この際この「鉄道事業者及び道路管理者が協議して負担するものとする。」というこの費用の負担に対する規定について、一つこれは大蔵省も運輸省も建設省もこの際御答弁を願って、この法案の持っておる不安というものを一掃していただくようにお願いしたいと思います。
  91. 岡本悟

    ○岡本政府委員 仰せの通り確かにこの踏切道の改良が迅速にできるかどうかということは、費用の問題が非常に大きな点であることはその通りでございます。そとで第六条は、その費用の負担につきましての原則をうたっておるわけでございますが、立体交差計画または構造改良計画の実施に要する費用は、両者が協議して負担する、つまり分担の思想がことではっきり現われておるわけでございまして、従来やっておりますような方式を大体踏襲していくことに相なろうかと存じます。つまり日本国有鉄道の場合におきましては、国有斜道が建設省と協定を結んでおりまして、それによって立体交差の場合には、道路管理者は幾ら、鉄道事業者は幾らというふうにきめております。あるいは私鉄の場合におきましては、一つの実績がございまして、ケースに応じましていろいろ違いますけれども、やはりそういった分担の話し合いで大体踏襲されるものというふうに解釈いたしております。  それから第二項の平面交差における保安設備の問題につきましては、ここに掲げてございますように、その実施に要する費用は鉄道事業者が負担するのであるということの原則をはっきりいたしております。つまりこれは原則としては全面的に鉄道事業者が負担すべき筋合いのものであるということをうたっております。つまり鉄道事業者にとりましては、従来は平面交差における保安設備につきましては、みずからの責任でやってきております。でございますからその負担をあえて拡大するということにはならないかと思うのでございまして、むしろ第七条によりまして補助の道が新しくできたわけでございまして、もちろんこの対象事業者は、省令でいろいろしぼることに相なるものと存じますけれども、この補助が新しくできたという限りにおきましては、鉄道事業者に対しましても、非常な激励的な意味における刺激的な要素になるというふうにわれわれは考えておりまして、鉄道事業者といたしましても、こういった国の配慮によって一段とその社会責任のよって来たるところを自覚していただいて、急速に整備に協力していただけるというふうに期待いたしております。
  92. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これについて御答弁を願ったわけでありますけれども、従来の慣習と申しまするか、それによってやる、こういうことでありますが、一つなお一そう不安を感じまするのは、たとえば一カ所の国道をまたいで立体交差にする。そうして片方の方に駅なら駅があると、それも当然上げていかなければならないということになりますと、これは原形のまま上げるのでありますけれども、それは一つの改良ということにも解釈できないことはないわけです。またそこだけ上げても、今度二百メートルか三百メートル向こうには大きな高い土手があって、その土手の上を通っているということになりますと、高架から下がってみぞのようなことになる。そうなれば、これはどうも平面にしなければ運転保安上非常に困難なことになります。そういたしますと、これも付随工事ではあるけれども、これはやはりその踏切を立体交差にするために起きる現象であります。こういう場合に、どういうふうに御処置なさるのか。それも同じように原因者が法に基づいて立体交差にせよと指定をされるのであります。いわばこの法律に基づく原因者です。その原因者が法的な根拠によってそういうことを命じられ、そうしてその付随工事に対して莫大な金を負担しなければならぬということは、業界にとっても負担し切れない問題ではないかというように思うわけです。これについてどういう工合にされるつもりか。それから大蔵省、建設省、自治省としてどういう見解をお持ちになりますか。これは一番不安なところですから、一つ明確に御答弁願っておきたい。
  93. 岡本悟

    ○岡本政府委員 今、大蔵省、建設省にお尋ねでございますけれども、これは運輸省の方からお答えした方が適当であると存じます。  確かに仰せのような場合がございます。つまり当該踏切道路の除去の意味における立体交差をいたします場合に、当然相前後して、たとえば御指摘のように駅を今度新しく高架に沿ったところに移転しなければならぬというふうな問題が出て参ります。そういった実績も存じておりますが、しかしそれは明らかに当該事業者にとりましてもいろんな面で非常に便利になることでございまして、駅舎自体の改築ということによってサービスの改善あるいは勤務条件の改良というふうなことにもなりますし、あるいは従来たくさんありました踏切事故がなくなるということもございまして、そういうような場合にはそういう面も考慮して当該道路管理者といろいろ協議いたしまして、この程度の範囲のものは私の方で、本来踏切道の改良がなくても当然やらなければならぬような改良計画に属するものであるから、私自身の負担においてやりましょうということになる場合もございます。いろいろこまかいことになりますと限界が非常にデリケートでございまして、これは道路管理者とそのつどケース・バイ・ケースで協議してきめておるのが実情でございます。この点は道路管理者側の方にも十分事情を理解していただきまして、無理のないようにいたしておるというふうに私は確信いたしております。決して御心配は要らない、かように存じております。  それから立体交差その他の踏切道の改良というものが、鉄道事業者に相当負担であるということはわれわれも承知いたしておりますが、しかし元来、鉄道事業者というものはそういった企業の社会責任を負っておるわけでございますので、当然自己の負担分ははき出すべきものでございます。もしそれができなければ、もともと利用者の負担に当然転嫁されるのでありまして、利用者から収受するところの運賃というものが適当であるかとうかという問題にもやがてなってくるかと存じます。そういったことは、運輸省におきましても今後総合的な見地からいろいろ考慮すべき問題はあろうかと存じます。
  94. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いろいろ考慮すべき問題はあると言明されるのですから、もちろん私もその点について一番不安を感じているのですけれども、今日、国鉄運賃を値上げいたしましたが、他の私企業あるいは自治体の公企業におきましても国鉄においても、そう無制限に、資金が要るから、それはサービスの向上になるのだからということだけをもって運賃の改定を軽々には行なえない状態に実はきておるのじゃないかと思われるのです。そういうときに、今局長が御答弁になりましたように、今まではそれでよろしゅうございましたけれども法律的な根拠ができた限りにおいては私はどうも不安でならないのです。といいますのは、私はこれは何回も言うのですけれども、大蔵省の今日の態度というものは、何かの根拠ができれば、すべてその根拠に基づいて得たり賢しと経費の支出を渋られる傾向がある。道路の五カ年計画にいたしましても何にいたしましても、揮発油税、ガソリン税が目的税になったといえば、得たり賢しとそれをどんどん増徴して一般会計の負担を軽減しようとなさるのです。そういうことでは、こんな法律の根拠がきまったら私は大へんなことになりはしないかということを実は心配するのです。今の大蔵省の態度は信用できない。大蔵省はこれをどういうふうにお考えですか、大蔵省の見解も私ははっきり聞いておきたいと思います。
  95. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいま鉄監局長からお答え申し上げているような費用負担の区分になっておりまして、立体交差等を行ないますときには、それぞれ道路管理者側と鉄道事業者側とが相談してきめるわけでありますが、その道路側が必要といたします費用につきましては、道路五カ年計画におきまして、国の直接または地方に対する補助の費用としてもちろん組むつもりでございます。それから鉄道事業者それ自身が御自身の問題として御負担にたります踏切保安設備の改良の方の費用につきましては、われわれといたしましては、一定の条件に該当する、ここでは「政令で定める」と書いてありますが、特別の事情があるような事業者には補助考える、これは国も地方も同断でございます。さように考えておるわけでございまして、諸般の、道路計画にいたしましてもあるいはその他の問題にいたしましても、決して先生のおっしゃるようにめちゃくちゃにただこぎったりちびったりしているわけではございません。いろいろ全体を考えましてできるだけお役に立つようにと思ってやっておるわけでございますから何とぞ御了承願います。
  96. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この第六条に関する限りは、各方面から非常な不安を持たれておる。従って、そんな不安はございませんといって説明をしておるのですが、しかしこれは解消していない。そこで、この協議するということは、今言ったように踏切を立体交差にした。そうすると、これは保安設備のあるところであれば、保安設備を撤去していただきますとか、あるいは踏切番のついているところでは踏切番を廃棄することによって利益をこうむることができます。それらを総称して、私は受益者の負担の範囲というものはおのずから明確になると思います。ですからその受益者の負担の範囲内ということを意味するのかどうか、この協議はどうなんですか。
  97. 岡本悟

    ○岡本政府委員 先ほど申し上げましたように、大体従来の例によって負担割合もきめるということに話し合いがついておりますので、ここであらためて鉄道事業者の御負担が増加するということにはならないのでございまして、その点は別に御心配なさる必要はないと存じます。
  98. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 しからば第六条第二項の負担、「鉄道事業者が負担するものとする。」ということは、これは原則だと思うのです。しかし第七条の規定は、それを敷衍して、もしその事業者の負担ができないような場合、あるいはできるにしても、あまりにもその負担が大きいような場合、予算の範囲内で補助することができる、この点について一つ明らかにして下さい。
  99. 岡本悟

    ○岡本政府委員 第七条の「政令で定める地方鉄道業者又は軌道経営者」と申します者は、この五年間に緊急整備いたすのでございますから、地方鉄道事業者または軌道経営者の中には、その負担にたえかねるものもあるであろう。そういう場合には、国あるいは地方公共団体が援助の手を差し伸べよう、こういうことでございまして、通常赤字を出しております欠損鉄道、こういうふうに解釈していただけばよろしいかと存じます。
  100. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは建設省にお伺いをいたしますが、私は今の局長答弁はどうももう一つ納得がいかない。といいますのは、しからば黒字を出しているようなところは一切補助しないのか。これはおのずからその重要な施設については、たといそのときは黒字であったとしましても、非常に大きな負担になって、それが一つ事業の運営上の支障、障害になることも往々にして私はあると思うし、自分の経験から見てもそう思うのです、事業というものは……。そういう場合、どういうようにされるのか。今の局長答弁の程度では、私はどうも納得がいかないのですが、この点について、一つ局長から、もう一度はっきりして下さい。  それから第二番目は、そういう障害が生じておる、こういう場合には、自治省としてはその自治体に対して費用負担の指令をなすことができるのかどうか、あるいはまた建設省としてその費用の負担をなし得ることができるのか、こういう点について一つ答弁を願います。
  101. 岡本悟

    ○岡本政府委員 負担の点において、鉄道事業者に対して非常に圧迫になるのではないか、そういう場合を御心配なさいまして、赤字会社にとどまらず、黒字を出しておるものも、それがそのときにおいては黒字になっておっても、将来圧迫材料になって赤字になる心配はないかということでございますが、保安設備につきましては、御承知のようにそう大した金額にもなりませんし、それがその経営を極端に圧迫するというようなことはないんではないかというふうに考えております。むしろ第六条の立体交差とか構造改良につきまして非常に大きな問題が出てくるかと存じますが、そのことはやはり鉄道事業の経営全般の問題として考えるべきであろうかと存じております。
  102. 松島五郎

    ○松島説明員 地方団体のこの計画実施の上の負担関係でございますが、立体交差等をいたします場合には、先ほど御説明がございましたように、道路管理者と鉄道事業者が一定の割合で負担をするわけでございます。そのうち道路管理者の負担をいたします立体交差等の改良経費につきましては、国道の、先ほどお話のありました指定区間を除きましては都道府県が経費を負担いたします。その場合には、国道でございますならば、国が四分の三の国庫補助地方団体の負担は四分の一ということになるわけでございます。また主要地方道につきましても道路管理者が負担をいたしますが、その場合には、国が三分の二の補助地方団体が三分の一の負担をするわけでございます。そういうふうに、それぞれ負担区分が道路法上定まっておりますので、この協議に伴いましてきまりました道路管理者側の負担分は、今申し上げました道路法上の負担区分に従いまして国と地方団体が負担して参る、こういうことになるわけであります。  それから第七条の関係は、保安設備の費用は、現在は全部鉄道事業者に負担していただいておるわけでございますが、新たに第七条が加わりましたために、先ほど鉄道監督局長からお話もございましたように、一定の事業者に対しましては地方団体補助金を交付することになるわけでございまして、この分につきましても、それぞれ出しました団体につきましては、適切な財政措置が講ぜられるように私どもも配慮して参りたいと考えております。
  103. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは、今局長言われましたけれども、保安設備についてはあまり大きな負担でない、こういう解釈なんですけれども、これは見解の相違では済まされない解釈の相違があると私は思っている。たとえば今まで四メートル五十の狭い道路であったのを、基準道路である六メートル五十に広げた、そして自動車がひんぱんになってきた。そういう場合に、これは保安設備としては、今までは警報機だけでよかったものが、そのために今度は自動遮断機をつけなければならぬ、こういうことになる。明らかにこれは保安設備だと思うのです。またそれではいけないので、今度は踏切番を常置しなければならぬ、こういうことになって参るわけです。そうなりますと、これは費用負担というものは永久に膨大なことになってくるわけです。それについてどういう御見解か、これは解釈をはっきりしていただきたい。
  104. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいま御指摘の事案の場合は、道路側において新しく道路を拡幅するとかあるいは道路を新設する、そのことによって踏切等を作らなければならない場合のことを御指摘のように考えております。その場合にはやはり原因者の負担という原則で処理して参っておるのでありまして、鉄道事業者側が新しく鉄道を敷設いたしまして、そういう踏切ができる、あるいは道路管理者が新しく道路を作りましてそういう踏切ができる場合には、原因者がそれを負担する建前になっております。御指摘のように、今まで非常に狭い道路であったものを道路改良計画に従ってその道幅を拡幅されるという場合に起こってくるところの踏切に要する費用というものは、鉄道事業者の負担でなくて道路側が負担される、こういう建前になるわけであります。
  105. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 いろいろ質問はあるわけで、きわめて重要な質問がまだ二、三あるのですけれども、時間の関係で、休憩という声も非常に多いようでありますから、私一人でやるのはどうかと思いますので、この辺であとまた質問を保留して、一応休憩してからいたしたいと思います。
  106. 三池信

    ○三池委員長 午後二時十分より再開することとし、休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開議
  107. 三池信

    ○三池委員長 午前に引き続き踏切道改良促進法案を議題とし、質疑を続行いたします。  内海清君。
  108. 内海清

    ○内海(清)委員 私は踏切道改良促進法案につきまして若干の質疑をいたしたいと思うのであります。  御承知のように、この踏切道の事故につきましては、従来国民の間でも多くの論議がございまして、一日も早く改良していただきたい、さらにまた最近におきます自動車の非常な増加、それによりまする交通量の激増、さらに列車の運転間数の増加というようなことがますます事故を激増せしめておるのであります。さらにまたそういうことと関連して、踏切におきまする遮断時間の延長というふうなこと、これが交通の上に大きな障害になっていることは御承知通りであります。かような意味合いから、今日まで一日も早くこういうものを制定してもらいたいという国民の熱望があったわけでありまして、今回これが提出されましたが、不幸にしてまことに審議いたしまする時間の少ないことを最も遺憾に思うのであります。しかしこれにつきましては、今日まで運輸省を中心にいたしまして建設省あるいは自治省、大蔵省の間で十分な熱意があったと思いまするけれども、早急に内部調整ができなかったということがこういう事態を招いていると思うのであります。そういうことはこの法案のいわゆる促進法というようなことから考えましても、私どもどうもこの法案の所在というもの、主体性というものがきわめてぼやけているように思うのであります。この問題は今後十分に論議せられまして万全なものにせなければならぬというふうに考えておるのであります。  時間の関係がありまするので、できるだけ重複を避けまして質問いたしたいと思いまするが、結局この法案で最も問題になりまするのは、いわゆる六条、七条、八条である。この費用の負担の問題、あるいは補助、資金の調達の問題ということにしぼられてくると思うのであります。そこで私は端的にお尋ねいたしたいと思いまするが、この特に六条の一項において「協議」は、先ほどの御答弁によりますと従来の慣例によってそれぞれ負担をきめる、こういうことでございます。これは従来の慣習というのが大体どういうふうになっておりまするか、それを一応お伺いいたしたい。
  109. 岡本悟

    ○岡本政府委員 立体交差化の場合には、先ほども申し上げましたように、鉄道事業者が日本国有鉄道であります場合には、道路管理者を代表して建設省、その建設省と日本国有鉄道の間に協定ができておりまして、その協定に従いましてそれぞれの場合に道路管理者と日本国有鉄道が分担し合っておるわけでありまして、ごく大ざっぱに申し上げますと、立体交差の場合には鉄道事業者が三分の一、道路管理者が三分の二という割合でございまして、鉄道の駅の構内で列車の運転回数が非常にひんぱんなところにございましては鉄道事業者が二分の一、道路管理者が二分の一ということに相なっております。それから地方鉄道、私鉄の場合におきましては、それぞれの場合に応じていろいろございますが、中には四分の一というふうなものもございますし、あるいは七分の一というふうな場合もございまして、それぞれの場合に応じて道路管理者と協議してきめておるのが実情でございます。
  110. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、この「協議」ということは、従来の慣習が今後も踏襲されていくものと一応了解するわけであります。この三十六年度において国鉄には踏切道の予算が二百億ほどあるのじゃないかと思いますが、この二百億の予算が立体交差とその他の踏切道においてどういうふうに使われるのか。これは国鉄からでもけっこうでございますけれども、一応伺いたい。
  111. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘になりました二百億というのは五カ年計画の踏切の予算でございます。そのうち百五十億は立体交差、五十億は一般踏切設備改良となっております。三十六年度は初年度でございますので、立体交差の負担については今後いろいろと打ち合わせ、その他がございまして、予算をすぐ消化するわけにはいきませんので、現在では約十一億程度のものを一応立体化として計上しております。ところが踏切は放置できませんので、いわゆる設備改善の方は早急を要しますので、先ほど五十億と申しましたが、五カ年間で五十億に対しまして、とりあえず三十六年度は十八億の予算を配分いたしておる次第であります。
  112. 内海清

    ○内海(清)委員 三十六年度はとりあえず十八億ということでございますが、この十八億によって立体交差その他の踏切道を具体的にどこをどうするということがすでにきまっておりましたら、これはあとでよろしゅうございますから、資料を御提出願います。また、私鉄につきましては三十六年度にどの程度のものをやるというふうなことがわかっておりますれば、一応お知らせいただきたい。
  113. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これも先ほど申し上げましたように、平面交差で申しますと、五カ年間に約四千六百カ所の踏切につきまして保安設備を新設するとか、あるいはそれを改良するという計画を立てておりまして、そのうち私鉄は千三百六十五カ所でございまして、これを五カ年間に割りますと、毎年平均大体二百六十カ所くらいをやるということに相なるわけでございます。もちろん、これも先ほど申し上げましたように、これから建設省と御相談いたしまして具体的な個所を指定いたしますので、数字には相当誤差が出てくるというふうに考えております。
  114. 内海清

    ○内海(清)委員 私鉄につきましても、建設省との協議の上で具体的にきまりましたら、その資料を御提出願いたいと思います。  次に、この六条の二項でございます。保安設備の整備計画につきましては鉄道業者の負担ということになっておるのであります。今日の交通事故の現状から見て、もちろん列車の運転回数が非常にふえたことがこれまた大きな原因でもありまするけれども、最も著しいものは、やはり自動車が非常に増加して交通量が激増したことが大きなウエートを占めておると私は思うのであります。従って私ども考えます場合には、これを鉄道業者のみに負担させることはいかがであるか、やはりこれは道路関係の方においても当然負担すべきものではないか、いわゆる両者負担というのが最も合理的な考え方ではないかと思うのであります。この点につきまして一つお伺いいたしたいと思います。
  115. 岡本悟

    ○岡本政府委員 確かに仰せのような議論も相当主張せられておることは承知いたしております。承知いたしておるところではございませんで、従来当委員会で経過その他についてお尋ねがございました際には運輸省の主張はそういうことでございますということをむしろ申し上げたのでございます。そのときにもお話し申し上げておりますように、もともと鉄道事業者は交通がひんぱんなところには相当の保安施設をなすべしということがそれぞれ国有鉄道建設規程あるいは地方鉄道建設規程では明らかにされておりまして、一応義務に相なっておるわけでございます。そこで危険な動力車を運行して事業を営んでおります鉄道業者としては、その企業の社会責任として相当の保安設備をすることは当然の義務であるというふうにも解釈せられるわけでございまして、その後者の方の解釈からこの第二項の原則をうたったわけでございます。しかし、ごらんのように第七条におきまして、国、地方公共団体がこの保安設備の整備計画の実施に要する経費について介入してきたということはまさに画期的なことでございまして、とりもなおさず踏切事故防止対策というものは、国家的な見地から見まして、あるいは地方公共団体の見地から見ましても、一方は公共の福祉増進、あるいは関係地方公共団体の住民の福祉増進ということからゆるがせにできないという意味合いにおきましてこの補助の条項が入ってきたのでありまして、われわれといたしましてはこの思想的転換におきましてはきわめて重要視すべきことであろうかと考えておるわけであります。
  116. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいまの御説明を聞きますと、従来大体鉄道事業者が負担するような規定になっておることのようでございますが、それは今日のような交通事情のもとにきめられたものではない。なるほどそれがきめられた当時においてはそういうふうな考え方も成り立ったかもしれませんけれども、今日の交通事情を十分承知しておる者から考えれば当然両者負担になるべきではないか、かように考えるのであります。運輸当局のお考えは鉄監局長お話で明らかになりましたが、これらについての建設省あるいは大蔵当局等の御意見がございましたら、どういうふうなお考え方に立っておられるか、今後ともこの方針をやはり堅持していかれるおつもりかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  117. 高野務

    ○高野政府委員 踏切道の保安設備につきましては、ただいま鉄監局長からも御説明通りなんでございますが、ただ私どもといたしまして、道路の新設、改築の場合には、これは原因者負担でございますし、また新しく踏切を作る、あるいは踏切の幅が広くなるというような場合には、保安設備も道路側で負担しているということにしているのでございまして、この法律ができれば、この法律の精神に沿いましてさらに考究して参りたいと思います。
  118. 谷村裕

    ○谷村政府委員 費用負担の問題につきましては、ただいま運輸、建設両当局からお答え申した通りに私ども考えております。
  119. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は、今後におきまして、わが国の交通事情の変化に従って、やはり弾力的に考えられるべきものであると私は考えるのであります。しかし六条の二項でかように規定されておりますから、七条においては「費用の一部を補助することができる。」というふうな表現になっておるのであります。この点はやはり業者としても、あるいはその他の交通の軌道等に携わっておる者といたしましては、いろいろ心配する点がある。保安の点が出てくるのだと思うのであります。これらは一応予算できめられてくると思いますが、その範囲内であって、業者の業態その他によって今後も十分勘案されるべきだと思いますが、それらの点はいかがでございますか。これはできるのだから必ず補助するのか、あるいはたとえば私鉄の場合でいえば、赤字業者には大幅の補助をするが、黒字の業者には補助しないのか、そういうような点についてのお考えはいかがでございますか。
  120. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この七条で「政令で定める地方鉄道業者又は軌道経営者に対し、」と申しておりますのは、これも先ほど山口委員のお尋ねの際に申し上げましたように、地方鉄道業または軌道経営者すべてに対して補助するのではないのでありまして、これはもちろん予算の範囲内でございますが、たとえば赤字で非常に経営が困難であって、従って五年間で緊急整備しようという場合に、当該地方鉄道業者の負担能力にたえない場合があり得るということを想定いたしまして、その場合は国で援助をするのだということでございます。従って、黒字を出しておりますような健全経営の状態にある鉄道業者に対しては補助しないという建前でございます。
  121. 内海清

    ○内海(清)委員 時間があまりないようでありますから、簡単にいたしたいと思います。  次に第八条でありますが、これによりますると、「運輸大臣は、この法律の規定による踏切道の改良について、鉄道事業者が必要とする資金の確保に関する措置を講ずるように努めるものとする。」これは当然なことであると思いますが、これによりまして資金の確保について運輸大臣はいかなる処置を講ぜられるのか。たとえば資金確保について、金利などの面につきましても、運輸大臣において十分なる配慮がされるのかどうか、これらの点について一つお伺いをいたします。
  122. 岡本悟

    ○岡本政府委員 運輸大臣といたしましては、踏切道の改良だけにとどまらず、従来からも私鉄事業に対しましては、その所要の資金の確保につきましては、いろいろ援助いたしておるのでございます。たとえば都市交通の面につきましてそれぞれ莫大な所要資金が要るわけでございますが、特殊のものつきましては開発銀行から資金を融資する道を開くことであるとか、あるいは社債の発行につきましては大蔵省といろいろ御相談申し上げまして、必要な援助の手を差し伸べるとか、いろいろやっておるわけでございます。もちろん今お話のような、極力金利の安い資金を確保してやるという措置も当然講ずべきでございますけれども、開発銀行を除いては、そうはっきりした明瞭な措置は講じてございませんが、気持といたしましてはできるだけのことはいたしておるつもりでございますし、今後もそのようにいたしたいと考えております。
  123. 内海清

    ○内海(清)委員 できるだけの措置はするということでありますが、それでは端的に、開発銀行は一般のあれで申しますと金利は九分ですね。これが運輸大臣の処置によりましてたとえば六分五厘とか、今日他の資金を融通される場合には、政府においてやるという場合には、いろいろそういう例が多いわけであります。そういう処置はできるのですか。
  124. 岡本悟

    ○岡本政府委員 開発銀行の貸出金利につきましては、対象事業によりましていろいろ差があることは御指摘通りでございまして、私鉄事業につきましても、事業の遂行にあたりましては莫大な資金を要することでございますので、できるだけ金利の低い資金を確保してやることが非常に大切なことであることは承知いたしておりますが、開発銀行におきましても、特に資金需要につきましては国の政策にも関することでありまして、そういう見地から総合的にいろいろ勘案されて、私鉄に貸し出しておりますところの資金の金利もきまっておると思います。繰り返して申し上げるようで恐縮でございますが、できるだけのことはやってみたい、かように考えております。
  125. 内海清

    ○内海(清)委員 繰り返すようでありますが、できるだけのことというのは、九分よりも安くなるということですか。
  126. 岡本悟

    ○岡本政府委員 安くなるように努力することをいたしますということを申し上げたわけでございます。
  127. 内海清

    ○内海(清)委員 これは私が承知しております範囲では、そういう対象事業によって特に金利を安くするというような場合は、多くの条文では政府というふうな言葉を使ってあると思います。ここで運輸大臣と特にあげてあるわけでありますが、そこで私も一つ疑義を持ったわけであります。これではっきりある程度の金利が安くできればまことにけっこうでありますけれども、私はその点は実際問題としてむずかしいのではないかというふうに考えておりますが、できるのであるならば、この文案も変えるべきではないかと思うのです。その点いかがですか。
  128. 岡本悟

    ○岡本政府委員 表現が政府ということになっておれば、たとえば大蔵大臣をも含めての政府であるから、非常に表現が強くなるというふうな御趣旨のことかと存じますけれども運輸大臣と表現してありますから非常に弱いということもまた言えないことでございまして、主務大臣としてできるだけの措置を講ずるように努めるものとするということにいたしまして、実際上は最大限の努力をいたしてみたい、かように考えております。もとよりこれは資金の確保についてでございますが、仰せのように資金の確保ということになれば、当然できるだけ低金利の資金を確保してやるのが筋合いでございますので、そういうことにつきましては、できるだけの措置を講じたい、かように考えております。
  129. 内海清

    ○内海(清)委員 資金の確保ということは、業者の側からいえば、結局金利が一番問題になると思う。この点については私はどうもはっきり納得しにくいのでありますが、これにつきましての大蔵省の見解はどうですか。
  130. 谷村裕

    ○谷村政府委員 お尋ねになりました資金の確保について、特に開銀金利を、たとえば特定機械でありますとか、肥料、石炭のような、特別の金利を適用してはどうかということでございますが、私、その所管の方でございませんので、政府委員として責任を持ってお答えするわけに参りません。御了承いただきたいと思います。
  131. 内海清

    ○内海(清)委員 責任者がおられませんので、答弁を得られなかったことをはなはだ遺憾に思いまするが、その点につきましてはあとでまた運輸当局から、はっきりとお知らせいただきたいと思います。  私は重複を避けまして、簡単に質問いたしましたが、要はこの六条以下の、いわゆる費用の分担の問題であり、あるいはまた補助の問題であり、さらには資金の確保に関する問題が、この法案の中心であると思うのです。これにつきましては、私どもはもっと責任の所在を明らかにしたい。真に踏切道の改良を、五カ年間に国民の納得のいくようなものをやるのだ、こういうことのきわめて明確になることを希望いたすのであります。従いまして、今後においてはさらにこの法案が修正されまして、ほんとうに実があがるような法案となりますことを、特に私は要望いたしまして質問を終わります。
  132. 三池信

  133. 久保三郎

    久保委員 二、三お尋ね申し上げたいと思います。  踏切道の改善というか、これのもとになります設置基準、こういうのは、この法案通りましたあとでは、あらためてこれを作り直す考えでいるのかどうか。現在もそれぞれ設置基準というのがあるようでありますが、これはすでに関係各省の間でそういう意向がまとまっているかどうか、これをまず第一にお伺いいたします。
  134. 岡本悟

    ○岡本政府委員 従来、たとえば平面交差の踏切におきまして、この踏切は保安設備をすべきであるというふうなことにつきましては、行政指導をいたしておりまして、運輸省といたしましても、実態調査に基づく一応の基準は作ってございます。しかしこの法案成立いたしましたならば、ごく最近の新しい情勢も加味しまして、建設省と十分御相談申し上げまして、もっとりっぱな設置基準を作りたい、かように考えております。もちろん国有鉄道におきましても独自の基準は作ってございまして、それに従って、こういった踏切から改良していこうというふうな計画のようでございますが、そういう御意向も十分聞きまして、りっぱな妥当なものにしていきたい、かように考えております。
  135. 久保三郎

    久保委員 話の順序が違うのじゃないかというふうに思うのです。法律には、その目的に従っていろいろ性格もございましょうが、この法案は、すでに長い要望の中で今日出てきたわけです。しかしこの法律がなくとも、いわゆる踏切の設置基準あるいは各省同等の協定、こういうもので実際はやってこられたわけです。だから、五カ年の間におよそ立体交差を中心とした踏切改善をして、交通の円滑化あるいは事故防止というようなものをやろうというための法律であるとするならば、今までの設置基準なりあるいは協定というか、そういうものはあらためてこれを練り直して、どういうふうにしたらいいのか、これがまず第一に固まってから初めて、そうするのにはかくかくの法律が必要である、こういう土台に立つべきだとわれわれは考えている。ところが今の御答弁では、今までにあるにはあるが、これは、これからじっくり相談をしてよりよいものを作っていくということで、この法案自体の、いわゆる成立促進をはかっているようでありますが、もちろん、これは早い方がいいでしょう。いいが、この中身は、言うまでもなく今年度を入れて五カ年のうちに整備を促進していくのだということであります。でありますから、これからおもむろに相談して設置基準などをきめる、こういうことでありますが、話が逆だと思いますけれども、いかがでしょう。
  136. 岡本悟

    ○岡本政府委員 話が逆だとおっしゃるのが、どういう意味合いかよく存じませんが、われわれといたしましてはもちろん——今私の答弁申し上げましたことが、何か時間的に非常にのんびりしているような御印象をお与えしたといたしますれば、私の答弁がまずいのでありまして、そういう趣旨では毛頭ございません。もちろん早急にこういう設置基準はきめまして、その基準に従って指定をいたしまして、一日も早く改良の実があがりますようにやっていきたい、かように考えております。もちろん今申し上げましたように、そういう設置基準につきましては、運輸省独自の案あるいは日本国有鉄道独自の案がございますから、そういったものを基準にすれば、もちろん建設省側のお考えも入れなければなりませんから、若干の期日を要しますけれども、実際問題としてはそういうものは早くでき上がる、かように考えて申し上げたような次第でございます。
  137. 久保三郎

    久保委員 話が逆だというのは、こういうことであります。大体設置基準については、大よそこういう程度にして、そしてこの法律に基づいて整備をしていくのだ、こういうのが順序ではなかろうか、こういうことです。  それで鉄監局長にお尋ねしたいのは、たしか昨年の今ごろでありますか、全国に向かって踏切の実態調査をしたわけです。今日に至って、その一部の数字だけはわれわれの手元にもきたが、本来ならば、この実態調査の全貌について当委員会を初め関係各方面に、実態はかくかくである、だから踏切の整備は必要であるということを、PRというか、説明するのが順序であります。ところが実態調査の結果については、最近若干の数字だけが出てきたわけです。これには、実態調査した結果についての運輸省当局の所感は一つも入っておらぬ。でありますから、あらためてこれが出るまで待っておられぬということで、法案成立促進をはかっているのでありましょうから、私がこの席で聞きたいのは、三十四年度の実態調査はいかなる結果を得たのか、その結論からどういうふうにすべきであったと帰結したのか、この点をあらためてお聞きしたいのであります。
  138. 岡本悟

    ○岡本政府委員 資料に差し上げております、全国で四千六百カ所程度は早急に改良すべき必要があるということの、一応の推定の数字が出ましたのは、その実態調査に基づく結果から推定ができたわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、過般行ないました実態調査は、相当の意義を持っているものと考えるのでございます。ただ御指摘のように、そのときの実態調査の結果を克明に当委員会等において御報告申し上げなかったかどうかにつきましては、私、当時責任者でございませんので、よく記憶いたしておりませんが、もしそういうことをしなかったとすれば、それは大へん政府の怠慢でございまして、今からでももしその当時の資料につきまして至急差し出せということならば御提出申し上げてもよろしいかと存じます。
  139. 久保三郎

    久保委員 あなたが鉄監局長になられた時期は私もわかりません。いつのころ鉄監局長に任命されたのかわかりませんが、少なくともこの問題は鉄監局自体でも重要な事項だとわれわれは思っております。当然前任者との間に事務引き継ぎがなさるべき筋合のものである。これを前任者がやるということならば、私が知らなかったとすればそれはどうもまずいというようなことではわれわれとしては納得しがたい。むしろわれわれはこの踏切の実態調査の結果を待っていたのです。ところが去年の六月の御報告は調査しておそらく九月一ぱいになればそのまとまりがつくだろう、ところがまとまりがついたんだが作文は書けないというようなことも仄聞しているわけです。こういうことで必要があれば後刻出しましょうという程度では、どうもわれわれは国会の審議を尊重したようには考えられない。でありますから私がはっきり言うのは、今ただ四千六百の踏切は一応改善すべきであるということに結論づいたというが、その他の踏切はどうなっているのか。四千六百を改善すべきだという根拠は何から出てきたのか、これを説明願いたい。
  140. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これはこの法案の第三条にも書いておりますように、主として御承知のように交通量、踏切事故の発生状況その他の事情が中心になるのでございまして、実態調査で調べましたのは主体は交通量でございます。交通量を、ある程度の交通量以上の踏切道を改良すべきものとした場合に、大体四千六百カ所くらいは早急にやる必要があるというふうな結論に相なった次第でございます。
  141. 久保三郎

    久保委員 それではその四千六百の設置基準は従来ある運輸省設置基準をもって、これをものさしとしてはかった、こういうことでございますか。
  142. 岡本悟

    ○岡本政府委員 さようでございます。
  143. 久保三郎

    久保委員 そこで建設省にお尋ねしたいのでありますが、建設省はこの踏切法案が通るについて、今後の踏切の設置基準というか、こういうものはどこへ基準を置いてやっていかれようとするのか、御所見を承りたい。
  144. 高野務

    ○高野政府委員 建設省といたしましては、従来運輸省、国鉄の設置基準を尊重いたしまして、これに対しまして自動車交通の多い、また鉄道の運転回数の多いものから立体交差をするというような方針でやって参ったのでございますが、今後におきましてはさらに運輸省設置基準につきまして相談いたしまして、立体交差化をはかり、また踏切の改善をはかって参りたいと思います。
  145. 久保三郎

    久保委員 どうも設置基準一つをとりましてもまだ何らのお話し合いもしていないというのは大へん残念だと私は思うわけであります。なるほど法律ができれば法律にあるからそういう省令を作ってやろうという根拠はできるわけでありましょうが、先ほど来申し上げたように、これに対して設置基準を今からというのでは、大体今年度の改良というか、これについては予算の裏づけがどの程度とってあるのか。これは運輸省並びに建設省、自治省はどういうふうになっているのか。
  146. 岡本悟

    ○岡本政府委員 第七条の第一項の「国は、」云々とございますが、これは当然所管から申し上げますと運輸省所管の予算に相なるかと存じます。しかし本年度予算成立予算にはもちろん載っておりませんで、もしかりに補助予算がつくといたしますれば来年度以降でございます。
  147. 高野務

    ○高野政府委員 建設省といたしましては、三十六年度の予算に立体交差関係といたしまして約百六億六千四百万円見込んでおります。これは道路改良に伴うものを含んでおりますので、今後このうち幾らが直接の踏切道の改善に指定されるかということは、運輸省とさらに相談して参りたいと思います。また踏切道の構造改善につきましては、構造改善という予算は三十六年度はございません。ただ道路改良あるいは特殊改良の中で踏切道の構造を改善する予算が含まれておるわけでございます。
  148. 松島五郎

    ○松島説明員 第七条関係の都道府県または市町村が出します踏切保安施設改善に要します経費補助でございますが、これはこの規定にもございますように、それぞれの地方団体予算に計上して出すものでございますので、自治省の予算というようなものはございません。
  149. 久保三郎

    久保委員 この法案が今国会で通過いたしますれば、当然政府責任も免じてくるわけであります。いわゆる今年度から五カ年間のうちにやればいいというのでなくて、三十六年から始まるということがまず前提だ。ところが今お話を聞くと、運輸省予算は全然なし、岡本鉄監局長答弁によれば、来年度予算につけてもらおうと思っておるということでありまして、あなたの方からいうならば、この法案成立促進させる意味はあまりない、こういう消極な立場であります。建設省はただいまの御答弁では、全額ではないがその一部としてそれに含まれておるものもある、こういう御答弁のようであります。全部ではない、道路改良に伴うものとしてはある、でありますから今年度の立体交差は、初めこの構造改善でありますか、どういうものについての見通しというのが今のところはこの法律では少しも促進されておらない。ただ、いうならば、自治省が御答弁ありました通り、自治省自体には予算がないが、この法案が通れば当然国会と違って地方議会はそれぞれ今後も定例議会もあるだろうから、これに基づいて予算をつけることも可能であろう、こういうことに推測できる。でありますから法案を出してくるからには大よそ予算の裏づけというものが必要なんだ。ところが運輸省自体には全然それはない、あるとしても建設省に一部あるだけだ、これではどうも不見識ではなかろうかと思うのでありますが、これはどういうふうに考えられておりますか。
  150. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この踏切の改良計画の実施に要する費用は、ここにも書いてございますように、おおむねそれぞれ道路管理者なり鉄道事業者なりが分担して負担する、あるいは鉄道事業者が負担するということに相なっておりまして、国または地方公共団体は特定の事業者に限りまして補助をすることができるという建前にいたしておるのでございます。従いまして、先ほど私が申し上げましたのは国の予算について申し上げたのでございまして、もちろん鉄道事業者としては、たとえば日本国有鉄道は運賃を改定いたしまして相当の自己資金の増加がございますし、あるいは地方鉄道事業者も従来やはり立体交差あるいは平面交差の改良につきましては、いろいろ経費を出してきておりますので、負担の能力はあるというふうに前提いたしまして考えておるような次第でございます。先ほど建設省の道路局長が申されましたのは、道路管理者の立場からのお話でございまして、それに対応するものといたしましては、鉄道事業者側としては、そういった意味合いにおきまして、負担能力はあるということを申し上げればよいかと存じます。
  151. 久保三郎

    久保委員 それにしても、この第七条の補助は「国は、」とこうなっている。これは当然運輸省予算だろうと思うのであります。建設省は道路管理者の立場からであります。自治省関係もあるとすれば、そういうことですね。だから、おたくの方で予算をつけるとなればなるほどおっしゃる通りであります。ところが、その予算がない。つけてない。来年とろうという、こういう消極さでもってやっていくこと自体に私は問題があると思うのです。運輸大臣、これは今後も予算提出できないというととはございません。だから、国の責任においてこういう法律をやっていこうというのでありますから、当然近い時期においてこれは予算をとるべきだと考えておるのであります。そうでなければ、三十六年度のいわゆる踏切道改善というものの計画は実施できないだろうと思います。いかがでしょうか。とる考えはありますか。
  152. 岡本悟

    ○岡本政府委員 御承知のように、緊急に五カ年間におきまして踏切施設を整備したいと申し上げております個所は、もちろん全国的にまたがっておりますけれども、概して交通量ひんぱんなところでございますので、大都市付近でございます。日本国有鉄道の場合は別といたしまして、地方鉄道業者の場合には、いわゆる大私鉄が多いのでございまして、負担能力におきまして、きわめて貧弱であるということはいえないかと存ずるのでございます。第七条の補助は、しばしば御説明申し上げましたように、「政令で定める地方鉄道業者」と申しますのは、経営のきわめて困難な——五カ年間で緊急整備するということにつきましては、そういう場合には負担能力において非常に同情すべき余地があるというふうな鉄道事業者に限りまして補助をいたすのでございますから、交通ひんぱんなところでございまして、そういう地方鉄道業者はきわめて少ないのではなかろうか。ということになりますと、この第七条の予算措置ができておりませんでも、法案全体の実施をしていく上にはさして支障はないというふうに判断いたしたわけでございます。
  153. 久保三郎

    久保委員 政令で定めるということで、この経営困難ないわゆる鉄道あるいは軌道事業者ということでありますが、この中身の構想はどういうふうに考えておられるのですか。ただ単にばく然と経営困難、経営に赤字があれば補助するということですか。
  154. 岡本悟

    ○岡本政府委員 大体さようでございまして、主として赤字で困っておる、欠損で困っておる、こういうところでございます。
  155. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、欠損のない事業者に対しては補助はしない、こういうことになりますが、その場合、整備計画に対してはこれは強制力は持っていると思うのでありますけれども、強制力は持たせないわけですか。
  156. 岡本悟

    ○岡本政府委員 強制力は持たせるわけでございます。
  157. 久保三郎

    久保委員 そうなった場合、この事業者から問題が出た場合にはいかなる処分をしようとするわけでありますか。強制力を持って指定をしましても、それは経営自体からいってどうも不可能であるというようなことが出た場合、どういう措置をとりますか。
  158. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これも山口委員のお尋ねの際に申し上げましたように、極端に経営が困難でございまして赤字が出ておるような、いわば小私鉄といいますか、そういう表現が適当であるかどうか、なんでございますけれども、そういうところに対しましては、第七条によりまして国で補助するということでございます。そうでないところにつきまして、たとえば立体交差など大規模なものを進めて参りますと経営上相当大きな問題になる場合もあるかと存じますが、そういう場合には、やはり終局的にはその鉄道事業を利用しております利用者の負担に入っていく場合もあり得るのでありまして、そういう場合にはやはり総合的な見地から考えてみたいと思いますけれども、しかし、目下われわれが考えておりますような改善計画の実施に支障が起こるような重大な影響があるという程度までは考えなくていいんじゃないかというふうにも思っております。
  159. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長は物事を大へん簡単に割り切っておられまして、そういうものが出たときには利用者負担というところにも入っていくかわからぬ、いわゆる運賃値上げということに直結して考えておられるようでありますが、これは物事の本質をわきまえないのではなかろうかと思うのです。その前に尽くすべき手段というものがあるわけです。その尽くすべき手段というものをあなたは一つもおっしゃらぬ。これに対してはどうなんです。運賃値上げでまかなうというならば何も問題はありません。
  160. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これも、先ほど申し上げましたように、第六条の第二項が主として問題になるかと思いますけれども、この費用は鉄道事業者が負担するというのは、鉄道事業者が危険な動力車を運行して事業を経営しておるのでございますから、当然危険防止のための措置はその企業の社会責任である、こういうふうなことからこの原則をうたったものでございます。ただし、その企業の社会責任というものの範囲につきましては、いろいろ議論があるかと存じます。この程度のことは当該事業者の企業としての責任であるが、これ以上はあるいは第三者が協力すべきであるとか、あるいは、場合によっては国家が介入してめんどうを見てやるべきとか、いろいろ議論はございますが、政府といたしましては、かような方式で踏切設備の緊急整備を行なうのが妥当である、かように考えて提案したような次第であります。
  161. 久保三郎

    久保委員 あなたの御答弁は大へん常識的な答弁でありまして、それを拡大して参りますと、どうも当該事業者ががえんじないような様子があると整備計画は指定しない、あるいは告示もやらない、こういうことに相なって、この法案提出した趣旨に相反することが現実に出てきはしないか。たとえば、膨大な市街地における立体交差、こういう問題一つ取り上げましても直ちに問題が出てくるわけです。そのときには、従来と同じように、この法律を出しても出さぬでも、ちっともこれは推進にならぬということでありますね。こういうものの結着をどこでつけるかがこの法律でなくちゃならぬと思うのです。あなたの常識的な答弁でありますと、今までとちっとも変わらない。たとえば何々鉄道株式会社が、確かにこれはどこから見ても立体交差にしなければだめだと運輸省なりが考えてもこの事業者自体ががえんじない、そういう計画を持ってこられても困りますという話があれば今まで通り後退せざるを得ないということでありましょう。だから、法に規制力を持たせるというか、これはさまったものを持っていくならば別ですが、きまる以前にもうすでに今日後退がきているのです。これに対してどういうふうになさるのか。強い決意と覚悟を持ってやっておられるのかどうか。そのあとの問題として資金調達のあっせんというか。こういうものも必要だし、あるいは、事と次第によっては国庫からの支出も必要だ、こういう結論が出なくちゃならぬ。ところが、あなたの答弁ではどうも常識的過ぎて、今までと同じで、大してこの法律がききめがあるとは考えられない。ところが、この法律によれば、指定をして変更した場合にも、やはり承認を求めなくてはいかぬというふうになっているわけですね。これはこれでいいのでありますが、その前の段階においてどうなるか、どこから見てもこれはやるべきだ、やろうとしたのだが下相談したところがだめだと言われたらどうするのですか。
  162. 岡本悟

    ○岡本政府委員 どうも何か鉄道事業者と立体交差をすべき場所あるいは踏切道を改良すべき場所をあらかじめ相談して指定するというふうにおとりになっているようでございますが、そういうことは毛頭ございませんで、政府といたしまして、いろんな客観的な資料から判断いたしました適切妥当と思われる基準によりまして指定するわけでございまして、指定いたしました場合には、当然鉄道事業者あるいは道路管理者としては、その構造を改良しあるいは立体交差化する義務が出て参るわけでございます。私どもといたしましては、踏切問題が非常に重大問題化して参りましたので、また当委員会のかねてからの御要望でもございますので、非常に強い決意をもちましてこの踏切道の改良に邁進したい、かようなつもりでおります。もちろん鉄道事業者も負担の増加にはなりますけれども、みずからの企業の社会責任ということもはっきり自覚していただきまして、いま一段と情熱を傾けてこの改良に邁進していただけるものというふうに解しておるわけでございます。   〔細田(吉)委員委員長——委員長」と呼び、その他発言する者あり〕
  163. 三池信

    ○三池委員長 細田君。
  164. 細田吉藏

    ○細田(吉)委員 本法案に対する質疑は、これにて打ち切られんことを望みます。
  165. 三池信

    ○三池委員長 ただいまの細田君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  166. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。本動議は可決されました。     —————————————
  167. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入りますが、討論者もありませんので、直ちに採決に入ります。  踏切道改良促進法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  168. 三池信

    ○三池委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は明六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十三分散会