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1961-04-21 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月二十一日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 山口丈太郎君       佐々木義武君    壽原 正一君       鈴木 仙八君    高橋 英吉君       濱地 文平君    細田 吉藏君       勝澤 芳雄君    西宮  弘君       肥田 次郎君    安平 鹿一君       井堀 繁雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官         (海運局次長) 若狹 得治君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  石井  健君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豐君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  山田 明吉君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 四月二十一日  委員壽原正一君及び内海清辞任につき、その  補欠として濱地文平君及び井堀繁雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員濱地文平君及び井堀繁雄辞任につき、そ  の補欠として壽原正一君及び内海清君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十日  国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書  (第七一三号)  伊勢湾港の総合運営に関する陳情書  (第七六一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補  給臨時措置法案内閣提出第六四号)  日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案内閣  提出第一〇三号)  陸運伊豆急行電鉄トンネル建設工事落盤事  故)に関する件      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案議題とし、審査を行ないます。  本案につきましては前会まで質疑を行なって参りましたが、ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたします。     —————————————
  3. 三池信

    三池委員長 これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 三池信

    三池委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 三池信

    三池委員長 次に、去る十六日に発生しました伊豆急行電鉄建設工事に伴う落盤事故について調査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  8. 久保三郎

    久保委員 十六日に発生しました伊豆急行電鉄工事に関しての落盤事故でありますが、その後の調査も済んだことと思いますので、一応その事故概要について鉄監局長から御答弁いただきたい、こういうように思います。
  9. 石井健

    石井説明員 伊豆急行東町トンネル落盤事故につきまして、今までわかっております概要について御報告申し上げます。  発生しましたのが十六日の午後の二時半でございます。正確な時間はわかりません。場所は、伊豆急行鉄道建設中でございますが、これの大体まん中ごろの東町トンネル建設現場でございまして、崩壊しました地点——この東町トンネルは、延長三百十八メートルでございますが、このトンネル伊東側入口から百七十二メートルの地点でございまして、大体延べ十三・五メートル程度が崩壊いたしまして、その際、作業しておりました十三名の人たちが生き埋めになったという事故でございます。そして、ほかに作業しておりましたもう一人の人が、入口近くにいたために軽傷を負っただけで脱出しております。この東町トンネルは、伊東の方から百七十二メートル、コンクリート巻き完成しまして——厚さ四十五ないし五十センチのコンクリート巻きでございますが、これが百七十二メートルだけ完成しまして、この先の方、七・五メートルの間を引き続きコンクリート巻きの準備をしておりました際に、今申し上げましたような準備していた七・五メートルを含んで、十三・五メートルの支保工落盤によって破壊された、こういう状況でございます。  原因につきましては、現場にあります崩壊した土砂の排除が完了しまして、そしてその破壊状況を詳しく調べてみないと正確なことは申し上げかねると思いますが、大体想像されますところによりますと、事故のありました前日の十五日に百ミリ程度豪雨がございまして、これによりまして——あそこの土質は大きな転石のまじった粘土質土質でございますが、この豪雨のために粘土質導坑が破れまして、大きな転石のうちの一つ支保工へ落ちた。その落ちた衝撃によって引き続いてどおっと落ちたというのが原因じゃないかと現在のところ考えられております。また、この落盤は、二二・五メートルという短い区間の中に十三人の人が埋まったということから判断いたしまして、ほとんど一瞬にして起こって、逃げる余地がなかったではないかというようなことが想像されるわけであります。それで、工事施行者である西松建設におきましては、直ちに救出作業に当たったのでございますが、埋没して生きている人もおることでございますし、生きている人をとにかく助けなければいかぬ。そのために、転石をハッパをかけて爆破するなどということは危険でございますからできませんし、また、急に崩壊しました土砂とか転石とか坑木、こういうものを急に引き出すとさらに引き続いて落盤が起こるというような危険もございますので、大きな石は一々手でのみを使って割るというような方法、また、坑木は狭い中に手を突っ込んでのこぎりで削り取っていくという方法をやりまして、さらにワクを組んで一メートルくらいの狭いところへ入っていって作業をするというような方法をとらざるを得なかったものでございますから、掘進が意のごとくはかばかしくはかどらなかった、こういうことになっております。なお、十六日の午後二時半ごろ事故が起こったのでございますが、十七日の夕刻、六時四十五分でございますが、このころ下田側から一名救出いたしまして、十九日の十八時三十分、最後の人は遺体として収容しまして、現在十三名全部の救出あるいは死体収容を終わっております。なお、生きたまま救出できましたのは四名でございますが、そのうち二人が救出後病院で死亡したということになっておりまして、現在生きている人は二人、この人は経過がよいというふうに伺っております。  大体以上が概要でございます。
  10. 久保三郎

    久保委員 この工事というか、伊豆急行の全線については非常にトンネルの部分が多いということも言われておるわけであります。しかも、この地帯の土質が軟弱というか脆弱というか、これは熱海のトンネルも前にそういうことを言われておりましたが、それよりもひどい土質じゃなかろうかというふうに推測される。そこで、先般の十六日の事故以外に、最近において三人やはり別地点落盤事故で死亡しているということでありますが、どうもこの工事自体時間的に無理がありはしないか、こういうことなんであります。認可にあたり、あるいはその後の監督にあたって、この突貫工事というか、そういうものに無理があったではなかろうかと思うのでありますが、そういう見方はどうなんであるか。  それからもう一つは、どだいこのトンネル設計あるいは施工、そういう面についての監督はどういうふうにされておるわけでありますか、その点を……。
  11. 石井健

    石井説明員 伊豆急行鉄道株式会社は免許いたしましたのが昭和三十四年の二月でございまして、工事に着手いたしましたのが三十五年の一月に着手しております。そして工事施行認可にあたって工事竣工期限として当方で指定いたしましたのは、三十六年、今年の十二月二十三日ということで工事施行認可しております。ただいまのお話で無理な工期じゃないかというようなお話がございましたが、この点につきましては、どこの鉄道もそうでございますけれども、工期最後に支配するのは、その中で一番大きな隧道あるいは一番大きな橋梁というものが工期最後を支配するのでございますが、この鉄道につきましては、区間が一番長いトンネル谷津第二トンネルと申すのがございまして、これは二千七百九十六メートルのトンネルでございます。そうしましてこのトンネルを開通させるのに大体二十カ月の工期が要るものと判断しておりますが、これは今年の九月の末に完成を予定しておりまして、現在のところ順調に進捗しておるとわれわれは見ております。四月三日現在の進捗状況は、この谷津第二トンネルが六六%完成しておりますから、予定通り九月末には完成できるものというふうに思っております。この一番大きい隧道が結局基本になりまして、あとのすべての工事は、ほかの多くのトンネル工事も含めまして九月末までに完成すればいいということになるのでございますが、事故がありました東町トンネルは昨年の八月に着手いたしまして、十一月に導坑を貫通させております。そして本年の一月からコンクリート巻きを始めたのでございますが、工事施行者である西松建設ではこの隧道完成を五月末と予定していたのでございまして、この点では最後の大きい隧道が九月末に完成するということから考えまして、十分な余裕を持っていたはずだと思っております。一方伊豆急行の方では、結局やはり谷津第二トンネル完成に合わせればいいのだという考え方で、今申し上げました東町トンネルは八月中に完成すれば、今のところ少しぐらいおくれてもいいというふうに考えていた、こういうふうな状況になっております。  それから建設工事中にどういうような監督をしているかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもが工事施行認可ということをいたしますが、工事施行認可につきましては設計のでき上がったものが運行に耐え得るかどうか、その点で設計認可するのでございまして、そのでき上がる過程でどういう工事方法をとるというふうなことは私どもタッチしておりません。なお建設をやります鉄道会社の方でございますが、鉄道会社現場工事事務所を置きまして、請負業者連絡をとりながらやっておりますが、その鉄道業者工事事務所というものは、結局用地の確保から始まりまして、同じように工事請負業者の作りますものが、でき上がった姿が認可を受けたもの通りになるかどうかについて監督といいますか、連絡をとるのでございまして、直接工事方法についてきめ、また人夫を集める、そういうことをするのは建設会社の方がやっている、こういうような状況になっております。
  12. 久保三郎

    久保委員 そうしますと監督局としては工事期間等についてあまり重点を置かないで、結局でき上がったものについて検査をして、これが運行に耐え得られるかどうかというだけが監督重点である、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  13. 石井健

    石井説明員 そうでございます。
  14. 久保三郎

    久保委員 そうしますとこれはあなたの方にお尋ねしても話がわからぬことでありますが、工事認可にあたってはその工事設計なり工法なり、こういうものについてはノー・タッチだというわけでありますね。そうだとするならばどこがこれは監督するのですか。
  15. 石井健

    石井説明員 設計については見ております。設計についてはたとえばトンネルの断面はどうなければならぬ。それからレールについては広軌であるとか、動力は電気であるとか、そういうでき上がったものの姿を認可しておるのでございまして、その途中にどういう工事方法をとるか、たとえばどういう支保工を組むかというようなことは、結局建設に当たる請負業者がきめることでありまして、おそらく鉄道会社側工事事務所もそこまではタッチしていないのではないか、こう思います。
  16. 久保三郎

    久保委員 そうしますとそういう工事方法、いわゆる工法等監督というか、そういうものは別なところでやる、だから運輸省としては全然関係ないということでありますが、その点はまた別の機会にその方面をお呼びしてお尋ねしましょう。ただ問題は工事期間等についてはそれでは検討されているのでありますか。
  17. 石井健

    石井説明員 工事完成期間につきましては検討の上、先ほど申し上げましたように工事施行認可にあたって工事竣工は今年の十二月二十三日ということで条件を付しております。
  18. 久保三郎

    久保委員 その工期はその工事をやるについて無理はない、でき得るということの御判断をなさって認可しておるわけですね。
  19. 石井健

    石井説明員 そうでございます。
  20. 久保三郎

    久保委員 そうだとすればその期間の割り出しの基礎になるいわゆる設計、あるいは施工方法、こういうものを当然頭に置かなければ、その工事完了期間というか、これは出てこないではなかろうかと思いますが、これはどうなんですか。
  21. 石井健

    石井説明員 その点につきましては、構造物の種類とかその他につきまして技術的に見まして、工事進度等を考えております。
  22. 久保三郎

    久保委員 そうしますと認可の中身は当然施工方法にも検討を加えらるべきだと思うのですが、いかがですか。
  23. 岡本悟

    岡本政府委員 工事につきましては、やり方というものは、大体鉄道建設でございますからきまっておるわけでございます。トンネルの掘り方にいたしましても今新しく始まった工事ではございませんし、鉄道の歴史も一世紀になんなんとするわけでございますので、トンネル工事の仕方というようなものには一応きまったルールがあると思うのでございます。そういうことでございますので、工事の具体的な内容についてまで運輸省が全部を監督しておるわけではございません。ただいま民鉄部長から申し上げましたように、鉄道会社自体としましても、そういうこまかい工事までいろいろ監督しているわけではないと思います。結局請負会社の技術に信頼している、こういうことになるかと存じます。
  24. 久保三郎

    久保委員 大体鉄道トンネル工事経験は非常に長いので、常識としてそういうのはわかるのだという主張のようでありますが、これは業者選定いかんによっては、昔ながらの掘り方もあるだろうし、最新式の掘り方も御案内の通りある。西松建設だから最新式の掘り方でやっているとは限らない。そこで私は監督局の方に資料を要求したいのでありますが、いかなる施工方法をとられたか、今日とっているのか、これを一つ出していただきたい。いずれそのものを拝見してからこの問題については申し上げたいと思います。
  25. 岡本悟

    岡本政府委員 仰せ資料はなるべく早くお出しいたすようにいたします。  そういう具体的な工事方法まで監督はしていないと申しましたけれども、事人命に関する重大な問題でございますので、運輸省といたしましても、事故が起こりまして直ちに関係官を本省並びに名古屋陸運局から派遣いたしまして、詳細実情調査いたしたのでございます。従いまして今後こういった類似の事故が起こりませんように、場合によっては関係方面へ注意を喚起したい、かようにも考えております。
  26. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長にお尋ねしますが、業者監督というか、その鉄道工事監督を担当すべき行政官庁建設省ですか、厚生省ですか、労働省ですか。
  27. 岡本悟

    岡本政府委員 工事をやる請負業者監督建設省だと思いますが、労働問題につきましては当然労働省が担当いたしておることと思います。
  28. 久保三郎

    久保委員 炭鉱災害のごとき問題が出るというと大へん騒ぎが大きくなるのですが、トンネル事故などにはあまり関心を持たぬという傾向がある。そこで今後の事態が非常に問題だと私は思うのです。長い経験を持ったトンネル工事でいまだに犠牲者が出るということは、工事自体に私は問題があると思う。そういうものを度外視して、たとえば去年の一月から始めてことしの十二月までかかって工事ができるという、よろしいと判こを押す、こういうようなことではちょっとどうかと思うのです。だから認可をされる場合には当然工事方法にも検討を加えられるべきだと思うのです。常識としてそのくらいあればできるだろうと簡単に認可されるべきことではないだろうと思う。もちろん監督というか、そういう責任のありかは運輸省でないといえばそれでいいかもしれません。しかし事は鉄道のことであります。単にトンネル工事ではなくて、それは当然完成後におけるところの安全の問題にも関係して参ります。でありますから、その辺の土質の問題も当然深く研究され検討されて認可されなければいかぬだろうと私は思うのです。いずれにしても、これはどういう施工やり方をやっておられるか、それについては調査の結果を報告いただいてから先に進みたいと思いますが、もう少し関心を持ってもらいたい。  それからそういう事故があった場合に、監督官庁として運輸省はその業者なり鉄道会社なりに警告を発することはしないのですか。どうでしょう。
  29. 岡本悟

    岡本政府委員 先ほど申し上げました通りでございまして、今調査の結果をまとめまして、原因についていろいろ考究中でございますので、その原因がはっきりいたしましたら関係会社なりあるいは工事会社には警告を発したい、かように考えております。
  30. 久保三郎

    久保委員 そこで、この三月でしたかに、別な地点でやはり三人死亡しておる事故があるのです。これについては調査されて今のような措置をとりましたか。
  31. 岡本悟

    岡本政府委員 そういう措置は遺憾ながらとっておりません。
  32. 久保三郎

    久保委員 原因は何であったかは調査されましたか。
  33. 岡本悟

    岡本政府委員 これは調査いたしております。お尋ねの件は、永昌寺トンネル落盤事故だと思います。三十六年三月二十八日に発生したものでございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 これもやはり西松建設工事担当者ですか。
  35. 岡本悟

    岡本政府委員 野村工業でございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 それもおわかりにならないだろうと思うから、トンネル工事施行方法とあわせて調査してほしいと思う。  それからもう一つお尋ねいたしますが、今あげられた業者、それから西松建設というものは、トンネル工事については長い経験を持っているのですか。
  37. 岡本悟

    岡本政府委員 いずれも経験相当持っておるように聞いております。
  38. 久保三郎

    久保委員 それでは現場というか、その業者トンネル工事に長い経験だあるという裏づけを一つ出していただきたいと思うのです。というのは、いわゆる設計を担当する責任者、あるいは施工現場におられる担当者、そういうものが幾つトンネルを掘ったか、こういうものもあわせて調べてほしい。  以上でこの問題はあとにします。委員長に申し上げておきますが、次会はこの調査報告が出次第、本委員会で続行したいと思うので、関係建設省あるいは労働省の人の当委員会への御出席を要求していただきたいと思います。      ————◇—————
  39. 三池信

    三池委員長 次に日本国有鉄道新線建設補助特別措置法案議題とし、審査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  40. 久保三郎

    久保委員 まず第一に鉄監局長にお尋ねします。本法案提出の理由は、先ごろ提案説明で述べられましたが、これに至った、いわゆる国鉄経営新線建設費利子補給とはいかなる観念から御提案になったのか。これを一つ
  41. 岡本悟

    岡本政府委員 かねてお答えいたしたことがあるかと存じますが、この新線建設補助特別措置法案は、御承知のように鉄道新線建設国鉄経営にとりまして、経営相当圧迫になっておることは事実でございますので、利子相当額を補給いたしまして、若干でもその経営の圧力を緩和していきたい、こういう意図からこの法案提案したような次第でございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 経営を圧迫しているというのは、経営自体から見れば新線建設というものがいわゆるマイナスの要素であるようにとれるわけであります。むしろ建設利子補給をする以前にマイナス面を抑えるというのが眼目のようにとれますが、これはいかがでしょう。
  43. 岡本悟

    岡本政府委員 この点につきましては、大臣からもしばしば申し上げておりますように、新線建設は産業の開発であるとかあるいは文化の向上であるとか、そういった面から考えまして、特に後進地域にとっては非常に大きな強い要求でございます。今国会におきましても後進地域開発の問題、いわゆる地域格差の是正の問題は一つの大きな政治問題としていろいろな角度から論ぜられておることは申し上げるまでもございませんけれども、そういうことから申しましても新線建設はある程度進めていく必要はある。こういう判断からこの問題を取り上げておるわけでございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、国策としてという面から新線建設は取り上げるべきである、こういう御趣旨のようでありますが、そうでございましょうか。
  45. 岡本悟

    岡本政府委員 さようでございます。具体的には御承知のように鉄道建設審議会にいろいろ御相談を申し上げまして、その御意見を拝聴して、おおむねその線に沿って国策としての鉄道新線建設を進めておるような次第でございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 国策であるという観点からするならば、一方国鉄は、国策遂行責任のあり個所が政府であって、これを行なうのが国鉄というふうにとって、その部面の負担をしようというのが今回の提案趣旨でございましょうか。
  47. 岡本悟

    岡本政府委員 形式的には鉄道新線建設は、国有鉄道運輸大臣に申請いたしまして、運輸大臣がこれを許可いたしますれば、新線建設に着手することができる、こういうことになっておるわけでございます。これは御承知通りでございますが、しかし先ほど申し上げましたような観点から、政府国策上の見地からこれに関係いたしまして、運輸大臣諮問機関として鉄道建設審議会を設置いたしまして、その意見を尊重いたしまして事実上国有鉄道にはいろいろな指示をしておる。こういう格好になっておると存じます。そこで仰せ通り国策の線に沿って鉄道新線建設をやっておる。そのために経営相当の赤字も出て一つ圧迫材料になっております。幾分でもそれを緩和してやりたいというのが本法案趣旨でございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 そこでお尋ねしたいのは、形式上は国鉄から申請があるものについて建設認可していくということでありますが、実質的にはそうじゃない。実質的には国策として新線建設は必要なんだということに相なりますれば、もうこの段階ではいわゆる鉄道建設審議会というか、敷設法というか、そういうものを実際に合わせたように改正すべき段階だと思うがいかがでしょう。
  49. 岡本悟

    岡本政府委員 もちろんわれわれといたしましても改正の必要がないということは考えておりません。しかしこの新線建設につきましては地方のいまだ鉄道に恵まれない国民にとりましては重大な関心を持っておる問題でございまして、すでに数十年来鉄道新線建設を待望しておるというようなところが相当多うございます。従いましてある程度期待権と申しますか、そういうものは当然そこにできておるわけでございまして、そういうことから申し上げますと、それを軽々しく改定いたしましたりあるいは再検討することはどうかというふうにも考えておりますので、ある程度国民一般の世論がそういうふうになりまして、もう新しい運輸機関による方がはるかに国民経済にとりましてもあるいは地方民にとりましてもいいんだ。ここらで従来の新線建設の予定線は一応御破算にして、新しい角度から考えてみたらどうかというふうなことになりますれば、政府としても取り上げてしかるべきものと思いますが、目下の段階ではまだまだそういうふうな時期に至っていない、こういうふうに判断いたしております。
  50. 久保三郎

    久保委員 二つあると思うのでありまして、お答えはいわゆる別表というか、そういうものについてのみお答えがあったようでありますが、別表についていわゆる世論がそういうふうな傾向になればとおっしゃいますが、一最近の世論の傾向は圧倒的にこの問題については批判的であります。先般も国分線でありますか開通しましたが、たまたまテレビを見ておりますと、またまた赤字路線という、こういうことでありますので、あなたは世論をお聞きになっておると思うのですが、世論というのは非常にきびしい批判が出ているということですね。だから別表についても再検討すべきだとわれわれは考えております。いまだに再検討の時期でないようなお話であります。どうも世論からだいぶ遠い雲の上のお話である。検討するということはやめろということではない。これはやはり考えてもらいたい。  もう一つは、それ以前に今のように形式上国鉄から申請がありまして、それに認可を与えていく方法は実際的ではないだろうと思う。だから別表の問題は別としても、少なくともそのやり方、そういう法的な形式はこの際改めるべきだ。いわゆる国策として必要な新線政府が決定し、運輸大臣国鉄に命令するという形式が実際的なんですね。そうだとするならばそういう法体系は改めていくのが正しいのではないか、そうしてそれに合わせて新線利子補給というか、これまた当然出てくるわけですね。私はそう思いますが、いかがでしょう。
  51. 岡本悟

    岡本政府委員 お前は世論に従って判断したいと言っているが、その世論はきわめて新線建設につきましては批判的である、そういうことに目をつむっているのか、こういうお尋ねでございますけれども、むしろ今の批判的な世論というものは中央の交通機関にすこぶる恵まれた地方に住んでおりますいわゆる識者の意見が多いのでございまして、世論の中にもやはり交通機関に恵まれない地方の国民の世論は全く逆でございまして、一日も早く新しい鉄道建設を待望しておる、こういうのが実態であろうかと思います。むしろ批判的であるのは雲の上の議論であって雲の下の世論というものは鉄道新線建設を待望しておるのが実態ではないかと考えるのでございます。  それから第二の問題でございますが、この問題につきましては御承知のように、日本国有鉄道というものは公共性のきわめて高い企業体でございまして、いわゆる政府の代行機関あるいは関係機関でございます。従いまして形式的にはいろいろ御議論もあると思いますけれども、当然政府国策的な意図を体して仕事を進めるのが至当であろう、かように考えます。もちろん検討はいたしてみたいと思いますけれども、そういう手続にさしてこだわる必要はないと考えております。
  52. 久保三郎

    久保委員 雲の上の議論がだいぶん逆なような話をしておりましたけれども、私は交通機関のないところに交通機関を置かぬでもいいというようなことで、そういう機械的な論法を言っているわけではない。今まであなたも御承知のように、他に交通機関が十分ありながらいわゆる汽車に対するノスタルジア一つだけでやっていくというような問題があるわけであります。これに目をおおってはやはりあなたも雲の上の議論じゃないですか。これはやはり率直にお答えいただきたいと思う。それは政府という立場はおありでしょう。私は新線建設を全部やめろという論者ではありません。この間も開通した、去年の今ごろも開通したのもありますが、国鉄のバスもあるいは私鉄のバスも通っていて、汽車の走っているところはたんぼの中をずっと通っている。停車場は一つの市に三つも四つも無街地に作っている。何のために作っているか。さらに停車場から町の中心地まで二キロも三キロもある町の中をそういうバスが走っておる。最近できたのもそうだ。しかもそこに走らせるものは何かというと、御案内の通りあまり貨物はございません、旅客もない。一日に四往復程度がぜいぜいなんです。こういうことがはたして国策かどうかという非難がある。地域格差を解消するために十分交通機関に恵まれないところに配置するのが国策でありますから、当然でございます。ただ問題はそういうお互いの立場に固執していろいろな議論をすることではなくて、真剣に検討する時期だと私は思う。これはあなたとだいぶ論法が違いますので、いずれ機会をあらためますが、そういう考え方をしていること自体に私は官僚主義があると思う。あたなの意見はあなたの意見、僕の意見は僕の意見だという態度自身に私は不満を持っています。すべてはあなたの責任ですよ。  それからもう一つは、形式上にあまりこだわる必要はないと言うが、国鉄は独立採算制を今日しいている。そこにいろいろな問題が出てくるのです。だから、それに合ったような形にすることが、今日国鉄運営を健全にすることだ。ところが実質的に合っていれば形はどうであってもいいのだ——法案がかかっているのが三億何がし、やっとこれが芽を吹いてきた。これは世論にこたえたものじゃないですか。そうだとすれば、この辺でその形態も改めて、すっきりした形に切りかえる時期ではないかというのが私の論法です。別に答弁は要らぬでしょう、あなたの方と違うようでありますから。  次に、先般もほかの委員から話が出ましたが、只見線の問題であります。これはあらためてまた機会を作ってもらいますが、鉄監局長にお尋ねいたしますけれども、あなたの論法からいけば、地元の要望というか世論というのは、只見線を国鉄に移管してくれという要望がたくさんある。これはどういうふうに解釈しますか。
  53. 岡本悟

    岡本政府委員 なるべく地方民の希望はできるだけ取り入れるというのが運輸省としてのとるべき道じゃないかというふうに考えます。
  54. 久保三郎

    久保委員 なるべく希望に沿うと言うが、この只見線については、先般運輸大臣はこれはどうもいただけないという話をしています。鉄監局長はいかがですか。
  55. 岡本悟

    岡本政府委員 すでに三十一年の閣議了解で、国有鉄道の営業線に編入するよう措置するものとするという了解がございまして、この線に沿って関係当局の間で事務的な話し合いを進めておることはしばしば申し上げました通りでございますが、私の方の大臣がお答え申し上げましたのは、要するに只見線は営業線にいたしますためにも相当の経費を要しますし、また営業を開始いたしましても相当な赤字が予想されるので、相なるべくならば国有鉄道に対して無償で譲渡をしてもらいたいのだ、そういうことの意味合いで御答弁を申し上げておるように私は考えております。
  56. 久保三郎

    久保委員 議事録をきょう持ってきておりませんから、この問題はあとで調べて、あなたの御意見運輸大臣の御意見が一致しておればよろしいし、一致してなければまた後日お尋ねしましょう。いずれにしてもこれは問題のあるところで、あなたの世論のとり方と国鉄経営の問題とはだいぶ違うようです。これはあとでもう一回お尋ねしましょう。  そこで国鉄にお尋ねしたいのですが、新幹線の建設について先般特に世界銀行からの借款問題についての中間報告がございました。あのときの御答弁でも、兼松常務理事は大体八千万ドルということできまってあとは判を押すだけになっておるということでありますので、この際世界銀行よりの借款の約定というかそういうものについて御発表いただきたい。
  57. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 世界銀行の借款の調印が多分来月早々に行なわれるはずでございまして、そのために近く総裁がアメリカに行くことになっておるわけであります。その契約の諸条件につきましては、大体こまかいこともきまっておるのでございますけれども、実は今日ただいまここにその御質問を予期しておりませんでしたので持参してきておりませんから、あらためて後ほど御説明を申し上げるということにさしていただきたいと思います。
  58. 久保三郎

    久保委員 経理局長もおいでになっていますから、副総裁はお持ちにならぬでもおわかりになっているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。この利率は幾ら、償還期間はどう、約定手数料は幾ら、こういうようなことを、おわかりになる範囲でお答えをいただきたいと思うのですが、今申し上げた点はいかがでしょう。
  59. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 ただいまのお尋ねでございますが、実は形式的なことを申し上げるようでありますが、この利率それから約定手数料、いずれも政府認可の必要なことでございまして、その認可を得てからでないと国鉄から申し上げるのはちょっと問題があると思います。ただこの利率につきましては、調印当日のニューヨークにおける市場の利率によってきまることになっております。従いまして調印当日の利率が、ただいまの現状とそれほど違うということはないかと思いますけれども、その日になりませんと明確なことはまだ申し上げかねるわけでございます。ただ今年の一月十六日に調印されましたビルマの国鉄との借款契約では五分四厘三毛でございましたので、おおむねこの程度になるのではないかと推定されるわけでございます。それから約定手数料でございますが、これは道路公団の例によりますと〇・七五%でございますので、国鉄の場合も大体同じにきまるのではないかと思います。政府の御認可を得た上でこれは確定することになるわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、その他の条件というか、こういうものもすべて発表はできかねるということでございましょうか。
  61. 山田明吉

    ○山田説明員 お答えいたします。世銀の借款につきましては、これは通常の銀行の貸し借りと同じように大体型がきまっておりまして、従って国鉄だけに特にゆるやかであるとかきびしいというようなことは今までの交渉経過でもございませんでしたので、大体今まで公表されております政府関係機関といたしましては道路公団の例もございますし、形式的にはこれは政府認可を得て初めて借款が成立するわけでございますが、必要がございましたならば、ただいま資料がございませんけれども、そのパターンを取りそろえて提出させていただいてもけっこうかと思います。
  62. 久保三郎

    久保委員 それではここで御説明ができにくいということでありましょうから、私もしいてできにくいものをここでお尋ねしてもどうにもならぬと思う。そこで今経理局長のおっしゃるようにしていただきたいと思います。同時にビルマに対する世銀のなにがあるそうですからそれも一つサンプルとして出していただきたい、こういうふうに思います。
  63. 山田明吉

    ○山田説明員 ビルマとの契約の約款がもし手に入りましたならば御要望通り出せると思いますけれども、全文は向こうから取り寄せなければならぬと思いますので、その点わかる範囲で出させていただきたいと思います。
  64. 久保三郎

    久保委員 それは取り寄せることならよろしゅうございます。道路公団だけでよろしゅうございます。私はそれを手元に持っておりませんから……。  ただここで一、二点お尋ねしたいのは、これはお答えができるかどうかちょっとわかりかねますが、約定というか条件の中に、工事設計施工、請負、監督、こういう面について別に何らの条件もないだろうかということであります。
  65. 山田明吉

    ○山田説明員 これも詳しい内容は現在手元にございませんので概略を申し上げますが、道路公団の例とほとんど同じ借款ができると考えております。
  66. 久保三郎

    久保委員 そうしますとコンサルタントというか、技術鶴間というようなものは別に派遣されませんね。
  67. 山田明吉

    ○山田説明員 ただいままでの交渉の経過の中におきましては、その点は特に向こうからの要望はございませんでした。
  68. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つ、特約というのはございますか。いわゆる道路公団と違うというか、同じようなものも入っているかもしれませんが、いわゆる特約、そういう条項はございますか。
  69. 山田明吉

    ○山田説明員 特約と申しますと道路公団の例で私ども承知しております。たとえば取りつけ道路をどうするとかいうようなことかと思いますが、そういう種類のものはございません。
  70. 久保三郎

    久保委員 こういうのはどうでしょう。これは一般的なことだと思うのでございますが、借入人は絶えずその運営を健全、有能といいますか、かつビジネスライクに成功しなければならぬというような条項があるわけです。そういう条項は入っておりますか。
  71. 山田明吉

    ○山田説明員 これは具体的な文言は私ちょっと記憶がございませんけれども、通常の日本国内の銀行の貸し借りでも当然規定されるような憲法的な条文があったように記憶いたしております。
  72. 久保三郎

    久保委員 それから運営について、国鉄業務の運営についてやはり世銀に同意を求めなくてはならないような条項などはございませんか。
  73. 山田明吉

    ○山田説明員 特にそのために従来の国鉄の運営が覊束を受けるというような条文はなかったように記憶しております。
  74. 久保三郎

    久保委員 それではそのサンプルというか、それと一緒に出していただいて検討させていただきたい、こういうように思います。よってこれはまた必要があれば次会ということにいたしたいと思います。  そこでまた再び鉄監局長にお尋ねするわけでありますが、利子補給というのはその新線が黒字になれば停止ということでありますね。そうなるとその線がというのは、その線のいわゆる営業係数が一〇〇以上になればという意味でございましょうか。
  75. 岡本悟

    岡本政府委員 こまかい点につきましてはいずれ大蔵省とよく協議いたしまして、どういう場合に利益が生じたものと見るか、これから相談して決定いたしたい、かように考えております。
  76. 久保三郎

    久保委員 それはちょっとふに落ちないですね。今から相談するというのは利益が出たらという、その当該線の利益が出たら、こういうことになっておりますね。当該線というのはいわゆる直接費の場合もございましょうが、あるいは総体、いわゆる管理費まで入れての計算もございましょう。二つですが、このくらいのところは話があってないのですか。
  77. 岡本悟

    岡本政府委員 国有鉄道の方で当委員会その他でしばしば新しく建設されました線路の営業係数はどういうふうになっておるかというふうなことをお尋ねになります際に、営業係数がたとえば三〇〇であるとか四〇〇であるとかいろいろ申し上げておりますが、つまり国有鉄道が独自にきめましたそういう営業成績の判定方法というものをそのまま取り入れまして、当該線路が赤字であるか、あるいは利益を生ずるものであるか、この判断の基準とするかどうかということにつきまして大蔵省と打ち合わせをしたい、かように考えておるのでございまして、おおむねそういうふうになろうかと存じております。
  78. 久保三郎

    久保委員 おおむねそういうふうになるだろうというのは、予算を組んだときには、もっともこれは当分の問いずれも利益など出るはずはないでしょうから心配ないので、そういうことは話はしなかったということにとっていいですか。
  79. 岡本悟

    岡本政府委員 率直に申し上げますとその通りでございまして、いずれの路線につきましても利益が生ずるということはまず考えられませんので、ここ年度内にそういう話を固めれば一向事務的には支障はない、かように判断いたしたわけでございます。
  80. 久保三郎

    久保委員 それから償還は十五年以内にという、この十五年と切った理由は何でしょう。
  81. 岡本悟

    岡本政府委員 別に理論的な根拠はございませんが、やはりある程度は長い目で見ませんといけないということでございますけれども、そうかといってそう長い間縛るわけにも参りませんので、十五年くらいがちょうどいいのではないかというふうに判断いたしたわけでございます。
  82. 久保三郎

    久保委員 そこだけいやにいいかげんなところがはっきりしていて、これは理屈でありますから実際には必要はないでしょうが、先ほど申し上げたように、利益というのは何だということになると一番大事だと思うのですけれども、そういうところはどうもぼやけて、ものの考え方がちょっと変ではないか、こう思うのですが、これは別に大した真剣な話にはならないということでございましょうか。
  83. 岡本悟

    岡本政府委員 正直に申し上げまして、そうシリアスな問題になることはないというふうに考えております。
  84. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、当分の間そんなことはあまりきっちりきめないで、このままやっていくということでございましょうか。
  85. 岡本悟

    岡本政府委員 当分の間ほったらかしてもいいという意味合いで申し上げたわけではございませんで、やはり事務的にはきちんとなるべく早くきめておきたい、かように考えております。
  86. 久保三郎

    久保委員 それからことしの予算の積算基礎は何ですか、どういう基礎ですか。
  87. 岡本悟

    岡本政府委員 前年度の建設費、つまり予算的には九十五億でございますが、この九十五億に対しまして年六分五厘を乗じまして、その半分を算出いたした次第でございます。
  88. 久保三郎

    久保委員 半分という理由は何ですか。
  89. 岡本悟

    岡本政府委員 三十五年度におきましては、その建設費の借り入れば、年度初めに行ないますものもございますし、あるいは年度の半ばで行ないますものもございますし、あるいは年度末になって借り入れるというものもございましょうから、平均いたしまして初年度におきましては二分の一を見る、こういう考え方が妥当ではないかということから、さように算出いたした次第でございます。
  90. 久保三郎

    久保委員 これは、監督局というか運輸省としては、こういう制度は将来発展させるという御意図でおられるのでしょうか。  それからもう一つは、九十五億、いわゆる三十五年度からの問題として考えて提案されておるわけですが、三十五年度から考えるということ自体に踏み切ったというか、これは最初からそういうふうに考えて政府部内で交渉になっていたのかどうなのか、その辺の事情をお聞かせ願いたい。
  91. 岡本悟

    岡本政府委員 この制度はなるべくなら存続し、もしくは、もっと理想的に申し上げますと、新線建設に要する建設費は全部政府出資としたい、かような考え方も持っております。  それから昭和一二十五年度以降の新線建設費に対する補助として当初から考えたのかどうかというお尋ねでございますが、実は御意見の中には、過去にさかのぼって、昭和二十七年度以降に建設いたしました所要資金の利子を全部カバーすべきである、こういうこともあるように承知いたしておりましたけれども、国の財政事情その他を勘案いたしまして、とりあえず昭和三十五年度以降五カ年間というふうに限ったわけでございます。
  92. 久保三郎

    久保委員 そういう過去にさかのぼっての要求は出さなかったかということです。
  93. 岡本悟

    岡本政府委員 出しませんでした。
  94. 久保三郎

    久保委員 この問題は一つの公共負担というようにとっていいかと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  95. 岡本悟

    岡本政府委員 一つの公共負担を国庫で負担するという考え方の現われであると考えております。
  96. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、従来あなたが当委員会でおっしゃった思想というか考えともちょっと違うようでありますが、これは矛盾はないのでしょうか、いかがでしょう。
  97. 岡本悟

    岡本政府委員 私が従来申し上げておりますのは、鉄道事業の経営に要するいろいろな経費は、原則としては利用者が負担すべきである。もちろん、借入金もありますけれども、その借入金の利息の支払いであるとかあるいは元本の償還も利用者が負担する、運賃収入から支弁していくべき筋合いのものである、かように申し上げたのでございます。ただ最近におきまして、たとえば、しばしば申し上げております戦傷病者の無賃乗車に対する国庫の補助であるとか、あるいはこういった新線建設に対する補助というふうな考え方が一部現われてきた、こういうことを申し上げておるのでございまして、別に矛盾しておるようには考えておりません。
  98. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、あなたもわれわれの考えとあまり隔たりはないということでありましょうか、現在わが党から提案されております公共負担法——中身の問題は別として、趣旨としてはあなたも御了承いただけているのでしょうか、いかがです。
  99. 岡本悟

    岡本政府委員 もちろんよく存じ上げております。従いまして、部分的ではございますけれども、一部では政府もそういう考え方を肯定しておる、こういうことになろうかと考えます。
  100. 久保三郎

    久保委員 よろしゅうございます。
  101. 三池信

    三池委員長 次会は来たる二十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午前十一時四十六分散会