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久保議員 鉄監局長から論議を巻き起こすような
お話がございましたので、
提案者としての今までの検討の結果を申し上げますと、なるほど鉄監局長の
お話は一面をとらえておりますが、全体ではないということであります。結局、
公共負担に限界がきているから、だからやるのだ、こういう理論というか、そういう見方で終始されておるようでありますが、限界にきているということは、どこの
鉄道も同様でございまして、いわゆるフランス、イタリアあるいはドイツ、こういう国の実態も日本の実態も、その規模は違うかもしれませんが、模様、情勢は大体同じであります。いわゆる
鉄道が独占性を失ってきたというのは、これは世界各国の傾向であります。これは当然です。
道路あるいは自動車、こういうものの発達に従って、
鉄道の独占性がなくなってしまった。だから独占性の中で今までは
公共負担をやってきた。そのかわり日本の国有
鉄道はいわゆる
国家の直接の
一つの機関としてそういう意味でやってきた。ところが日本の
国鉄は公共
企業体であるし、かたがたいわゆる新興競争機関というものが発達してきて、そこに独占性が失われてきたということがある。だから西洋各国に比べて、これが条件としては何ら違いがない。
それから御
指摘のように、
公共負担は全部が
国家でやっているのじゃない、その
通りです。われわれの
提案したものも全部じゃない。この全部でないというのは、
先ほど御
指摘のありましたように、本
法案の当初予算で必要なのは三百二十億、これは施設も含めて、あるいは踏み切り等の開設問題も含めて三百二十億ですから、これはたとえば
国鉄自体について、
国鉄は中身が二百億くらいですから、そうしますと、あとの三百二十五億はどうするのかというと、これは
運賃法第一条の二項の四つの
原則で総括しよう、というのは、
運賃の
原価を償うものであるという以外のもの、公正妥当あるいは産業の発達に資するあるいは賃金及び物価の安定というところであとの三百何億かは
負担する、こういうことなんです。しかもそれで
公共性の問題ですが、これは世界各国ともわれわれの理論と同様です。というのは、
先ほども申し上げたように、本来の
公共性は否定できない。それ以外の外的条件によるところの
公共負担は、当然
政策から出発しているのだから、それは
負担しろ、そういうことでありますから、鉄監局長の見方は、少し何といいますか、全部ではないだろう、こういうように
考えております。これは
政府の当面の方でありますから、そういうふうに理論づけなければならぬ立場にも置かれると思うのです。ところで、そういう点はそういう点で、理論的におやりになるならば、やはり理論を展開して、ただし
運輸大臣のように、今の
国家財政の中ではめんどうは見られないと率直に言うべきだと思うのです。こうやらなければ混乱してしまう。そこで、政治はある程度妥協であります。妥協でありますから筋は筋として通すが、
現実にはこの程度だということが漸進的にあるのだ。これをやらぬというとむしろ混乱してしまう。鉄監局長は混乱するというがそれこそ混乱すると私は思うのです。
それからもう
一つは、
先ほどお話に出ました
公共負担を解消すべきであるということが、
国鉄経営諮問
委員会とか何とかからたくさん出ている。ところがわれわれ政治をあずかる者としてはいわゆる
公共負担という
政策を解消すべきではなくて、特に池田
内閣が言っている所得倍増のもとはどうするか、いわゆる地域格差をなくする、あるいは業者間格差をなくするということでありますが、当然今持っているところの
公共負担の制度は堅持すべきだと思うのです。たとえば定期の
割引を高く持っていくとか、あるいは農林水産物の
暫定割引をするとか、これは当然だ。当然であるが、これは一
企業体であるところの
国鉄の背負うべきものではない、こういう
考えでございます。ですから
公共負担を解消すべきであるという
国鉄内部におけるところのいろいろな
委員会の答申については、われわれは反対である。
公共負担という制度は残すべきである。地域的な格差をなくするという場合には、農林水産物資のような奥地から出てくるものは、これは当然競争にたえ得られません。今回の
運賃値上げではなるほど
暫定割引が存続しておるようでありますが、実際の
運賃は値上がりしている。ここがいわゆる所得倍増の
政策とは相反するということであります。
それからもう
一つ言及して申し上げますが、
貨物運賃に
一つ例をとれば、
国鉄はいわゆる採算割れしている、
原価割れしているものが、特別等級としてあります。これは
運賃法の第一条第二項によって当然です。これも本来ならば、純粋な理論から言えば外的条件でありますから、いわゆる特別等級の存在は否定されなければならぬ。一
企業体としての
国鉄から言えばこれは否定さるべき性質のものです。ところがこれは
運賃法の
建前からいってこの程度は特別制度として背負うべきである、こういう
考えでございます。だから鉄監局長とはいずれ席をあらためていろいろ
お話を申し上げますが、われわれの理論とはだいぶ違う、
運輸大臣の理論の方が正しい、こういうふうにわれわれは
考えております。