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久保委員 私の
質問に答えておられません。私が申し上げたいのは、今日の世論というのは、
国鉄経営の
あり方をこの辺ではっきりしろというのが大ざっぱに言って世論だと思うのです。それはとりもなおさず
公共企業体としての性格にいずれか決着をつけろ、それがいわゆる
公共負担の問題であり、新
線建設の問題なんです。だからそういうものを引っ込めて安易な形で今日いくとするならば、
線路をまくらに討ち死にしても
鉄道を守ると言った十河総裁の立場としては、残念ながら私は是認できないのである。あなたに課せられた
使命というのは、今日世論になって、もうこの辺で決着をつけなければいかぬぞというような世論なんだから、その世論にこたえるのが総裁としての任務ではなかろうか。なるほど当面目の前の
隘路打開の問題もあるでしょう。しかしイージー・ゴーイングな立場でいって、先般の
運賃値上げの結果はどうなったか。第一次五カ年
計画はどうなったか。これは私は時間がありませんからくどく申し上げません。
計画は当初からくずれてしまった。こういうことを
考えると、あなたに課せられた
使命というものは私はそれだと思う。私は別に
答弁を求めませんが、十分に戒心していただきたいと思うのです。
それでは
運輸大臣、あなたに続いて
お尋ねしますが、少なくとも前広に、もっと早くから
運賃改定はこうするのだという案を、腹案なり何なりを発表して、
国民の世論をしさいに聞けば、あるいは各閣僚の意見を聞けば、今ごろ石炭はどうする、あるいはマンガンはどうするのだ、硫化鉱をどうするのだ、あるいは
農林水産物はどうするのだというようなことで、これは
あとで御相談に応じますとか、調整の任務を、私が任務でありますからやりますというようなことは出るはずがない。
政府部内においてさえ問題がある。ましてや
国民の間に今日問題が出てくるのはあたりまえなんです。こういうやり方はいわゆる民主政治の名に反するということです。だからどうしてもこれはやらなければならぬというならば、なぜもっと早くからPRしなかったか。今ごろになって第二次五カ年
計画がどうしても資金手当ができないからこうだ、これが不届きだというのです。
それからもう
一つ続いて
お尋ねしますが、これは
経済企画庁長官と
運輸大臣、あなたにお伺いします。
所得倍増計画では、まず何といっても
政府の責任は社会資本の充実だといっている。その
通りでしょう。社会資本の充実で、その中で取り上げられたのは、
交通関係では何かというと、御案内の
通り道路の問題です。四兆九千億、さらに
港湾は五千三百億、
国鉄は二兆一千億、前期五カ年が、
道路が二兆一千億、
港湾が二千五百億、
国鉄が一兆円という、これは一応はその
通りだと思うのです。ところが
道路や
港湾は行政
投資の範囲に入れるというのです。従来もそうです。ところが同じ社会資本の充実として、しかも
経済の
中枢の
国鉄、
交通の
中心の
国鉄、これの社会資本充実には、あなたの方ではたった三億を三十六年度の
予算で組んだということです。しかも先般
お尋ねがあっての
お答えでは、この
道路、
港湾は、御案内の
通り、
政府はちゃんと五カ年
計画という責任を持っている。ところがこの
国鉄の五カ年
計画にはそういう裏打ちが
一つもありません。しかも第二次五カ年
計画の資金
計画は、先般ここで
答弁された
国鉄当局の発表によれば、総額一兆一千八百億だ。しかもそのうちの約六千億という大半のものは借入金、
あとの五千何百億かはいわゆる
企業収入からまかなっていく。
企業収入というのは運輸収入である。運輸収入というのは、これは過去においても経験の
通り、
交通の需要というものはいわゆる規律できない他動的なものです。一兆億の
所得倍増計画のように順調に伸びるかとうかという問題を
考えれば、これは実際伸びるかどうかもわからぬのですよ。
経済企画庁長官も
お話しの
通り、池田総理も言う
通り、
所得倍増とは、十年間にそういうふうにしていきたいものだという
一つの願望なんだ。しかも
経済は
自由主義で貫いていく。そうだとすれば、この五カ年
計画の裏打ちの半分の運輸収入によってまかなうところの資本というか、これは不確実であるということをまず
考えなければいかぬ。さらに借入金の六千億に近い金が裏打ちはない、
政府が保証していない。だとすれば、同じ
交通機関の
道路と
港湾はなるほど順調にこれは
整備する。ところがけさほど
お尋ねしたように、
国内におけるところの陸運のいわゆる総合的な
交通体系の新しい姿を作り出す基本の中の
一つには、
原価主義を
中心にした
運賃をやっていく、これは
自由主義経済であるからやむを得ないのだ、こういうことをあなたはおっしゃる。だとすれば、片方は固定施設、しかもこれは懐妊期間が長いのは同様であります。
国鉄が一番長いかもしれません。ところが一番懐妊期間が長いものが、不安定な
運賃収入と、何ら裏づけのない借入金を目当てに始まろうというのだが、さてこれがいけるかどうか。しかも
自由競争でありますから、バス、トラックあるいは内航船、それと
国鉄、この
競争がどういう結果になるか。あなたのいうととろの
自由主義ということでいくならば、だめになるものはだめになっていけという思想でありますから、結局固定施設が一番かかる
交通というもの、その中でも
鉄道が一番固定施設がかかる。でありますから、当然これは片方は
政府の金で基礎ができていく、片方は不安定な
二つの要素でできている。これはかないっこありません。そうなった場合に、はたして
国内の総合
交通体系ができるであろうかどうか。さらに税金の問題があります。なるほど税金でまかなう部分とまかなえない部分がある。ところが
国鉄は国から資本を預かっている。だからそういう固定施設くらいは自分の金でやるということでありましょう。そういう思想でありましょう。ところが、同じベ−スに立たないで、
あとは
一つ競争しろというところに問題があるし、国から預かった財産から得たいわゆる利潤というものは分配の必要はないのでありますから、これは
輸送のサービスの向上、あるいはそれ以上にもうかれば
運賃の低減、こういうことでもっていくのが正しい
あり方なんだ。だから私は申し上げたい。こういうことではたして総合的な
交通体系が
確立できるのかどうか。さらにこういうことでこの上に
公共負担、国家の
政策、こういうものを背負い込ませておいて、しかもその転嫁をして
運賃収入に求める。借入金の利息もその返還も、もとをただせばこれは全部
運賃だ。結局利用するものに国家の
政策としてやっていく、こういうことはわれわれは理解し得ないのだが、これについてどうでしょう。