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1961-03-24 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十四日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 生田 宏一君    理事 尾関 義一君 理事 川野 芳滿君    理事 高橋清一郎君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    浦野 幸男君       亀岡 高夫君    木村 俊夫君       河本 敏夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    鈴木 仙八君       關谷 勝利君    高橋 英吉君       塚原 俊郎君    細田 吉藏君       前田 義雄君    増田甲子七君       山田 彌一君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    兒玉 末男君       多賀谷真稔君    西宮  弘君       肥田 次郎君    安平 鹿一君       横山 利秋君    吉村 吉雄君       内海  清君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 木暮武太夫君         国 務 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  大來佐武郎君         農林政務次官  井原 岸高君         農林事務官        (農林経済局長) 坂村 吉正君         通商産業事務官         (鉱山局長)  伊藤 繁樹君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豐君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  學君         日本国有鉄道常         務理事     關  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月二十四日  委員浦野幸男君、高橋英吉君、西宮弘君及び安  平鹿一君辞任につき、その補欠として前田義雄  君、亀岡高夫君横山利秋君及び多賀谷真稔君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第七六号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 政府答弁者として、私、運輸大臣ほか通産大臣経済企画庁長官農林大臣においでいただくことを通告してありますが、農林大臣は、何か出てこられないので、政務次官でけっこうでありますが、おおよそ何時ごろお出ましいただけるのですか。
  4. 三池信

    三池委員長 今御要求のありました企画庁長官農林大臣は、あと五、六分で見えます。通産大臣は、今、できるだけ早く来るからという連絡がありました。
  5. 久保三郎

    久保委員 それでは運輸大臣お尋ねをしたいのでありますが、所得倍増計画交通体系という問題であります。  所得倍増という経済高度成長を実現するというか、そのためには、いろいろ施策もありましょうが、高度成長をはかるという反面は、これは御案内の通り、二重構造を是正する、そのためには所得格差をなくする、あるいは地域格差をなくする、こういうことだと思うのであります。そういうことも含めての経済成長ということだと思うのです。  そこでお尋ねしたいのは、経済成長に伴うところの交通体系の新しい姿というのは、どういうふうに考えられておるのか。特に国内的な交通政策というものは、池田内閣においてはどういうふうに考えておるか。たとえは、この所得倍増計画という閣議決定というか、政府決定方針、いわゆる池田内閣所得倍増に見合うところの新しい交通体系であるかどうか。これを念のためにお尋ねします。
  6. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げますが、最近におきまする国内における日本経済成長に伴いまして、輸送需要が非常にふえて参りました。ことに今御質問池田内閣所得倍増構想と関連いたしまして、最も大事な国鉄輸送力隘路となるおそれさえあるように考えられるのでございまして、まず、所得倍増輸送整備増強ということから始まらなければならぬのでございまして、それはすでにたびたび申し上げましたように、五カ年計画におきまして、主要幹線複線化であるとか、あるいは近代化合理化、あるいは通勤輸送の混雑を緩和いたしますとか、あるいは老朽施設の取りかえをやるとか、あるいは近ごろ問題になっておりまする踏み切りの改善とかいうようなことによりまして、大切な国鉄輸送力整備強化していくということ、これが経済成長の根幹であるというふうに考えまして、今度の新しい五カ年計画を進めておるわけでございます。
  7. 久保三郎

    久保委員 私の質問が悪かったせいかもわかりません。私は、国鉄のことだけを聞いておるのでなくて、所得倍増計画に伴うところの総合的な池田内閣交通政策あり方というのは、どういうふうにおきめになっておられるのか、こういうことなのです。
  8. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま御説明申し上げました国鉄もその一部でございまするが、道路の新しい計画であるとか、あるいは運輸省関係といたしましては、港湾整備を緊急に五カ年間において二千五百億の投資をいたしてやるとかいうような、総合的にこれらのものを整備強化いたしませんと、隘路となるおそれがあると考えて、鉄道その他の輸送機関道路港湾等増強拡充整備に力を尽くしたい、こう考えておる次第でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 もっとその問題についてお尋ねしたいのでありますが、政府決定されました国民所得倍増計画というものにありますところの総合的な交通体系確立というのか、池田内閣方針政策であるかどうか。お持ちになっていないようでありますが、この書物の二十五ページに書いてある一ないし四番までのことが、これなのかどうか。これをお聞きしたい。
  10. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま申し上げましたように、所得倍増計画では、今後十カ年に必要な輸送力増強のために投資をいたすわけでございますが、道路は四兆九千億円、港湾は五千三百億円、初めの五カ年間で二千五百億円と見込んだのでございます。鉄道は十カ年間においては二兆一千億円と推計されておるのでございまして、こういうような投資額を十分に使いまして、これらの港湾であるとか、道路であるとか、あるいは国鉄その他の輸送機関というものを整備していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。国鉄の問題につきましては、再三申し上げましたから、煩を省きまして、お許しを願いたいと思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 私が質問していることにお答えがいただけないので、むだな時間がたくさんかかります。私は、書物の問題まで出しているのでありますから、これに対してお答えをいただきたい、こういうふうに思うのです。もう一ぺん申し上げます。「国民所得倍増計画」というのが、閣議決定された池田内閣経済政策の全体だというふうに理解しているわけです。そこでお尋ねしたいのは、総合的な交通体系確立するということが一つ眼目だ。その中でも、新しい総合的な交通体系を作り出すのが、いわゆる池田内閣使命であるというふうにも考えられる。そこで、この中に(1)から(4)までの項目があがっているわけです。時間を節約するために私から申し上げますが、そのうらで特に三番目には「交通企業自立採算制を尊重し、原価主義によって決定された適正運賃原則とすべきであり、これにより各交通機関分野適正化を図るとともに、企業経営基盤を強化すべきである。」こう書いております。そこで、これが池田内閣基本方針一つであるとするならば、次に、これに関連してお伺いしたいのは、いわゆる国内交通が、御承知のようにすべての経済中枢である、これは是認される。だとするならば、まず第一に要求されるのは、この書物でもいわゆる方針としていわれておるごとく、まず第一にその隘路を打開するというのが前提でしょう。これがまず一つ眼目。と同時に、前段お伺いしたように、所得倍増計画というのは、いわゆる地域差、あるいは業種間の格差というものをなくすということになりますれば、いわゆる交通経済中枢であるということと、その倍増計画の裏づけである格差をなくす、特に地域業種間の格差をなくすということがありますならば、その二つからいくならば、この(3)の項目にあがっていることでは、残念ながらこの二つは相反することではないか。というのは、いわゆる輸送隘路を打開することと同時に、経済を、今申し上げた格差をなくすということに重点を置いて成長させるというならば、今日、交通の問題でさらにもう一つ大きな柱がなければならぬ。それは言うまでもなく、地域格差業種間格差とふうものをなくするためには、輸送用、いわゆる輸送力の適正なる配分というものが必要だと思う。この適正な配分を度外視しての総合的な交通体系はあり得ない。総合的な、いわゆる輸送用配分というものをねらうならば、この三番にいうところの原価主義重点を置いたところのものでは、残念ながらこれは達成できないではなかろうかと思う。昨日の連合審査においても、いろいろお話がありました。あるいはその前のこの委員会においてもありましたが、ある公述人のごときは、この三番の原則が正しいと言う。なるほど、見ようによっては、学説をしては正しいかもしれない。しかし、日本経済と現実からいけば、これは正しくない。というのは、結局自由競争をやっていけば、これは交通学の第一歩からいたしまして、いわゆる並行的な競争をやれば、過当競争が出てくる。過当競争あとはどうなる。独占、こういう結果がまた再び繰り返される。その過当競争の問題は、これはいろいろ解釈はありますから別としても、少なくとも適正な輸送分野の配置はできないだろう。というのは、企業方式、いわゆる原価中心主義でいけば、山間僻地においては、これは交通力をつけることはだれも好まない。もうかるところにはつける、採算の合わぬところにはやらぬという結果が出はしませんか。だから、私のお伺いしたいのは、この池田内閣の総合的な交通体系の中の、特に三番というものと、所得倍増計画というものは、おそらく相反するのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  12. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えを申し上げますが、ただいまの自由経済のもとにおきましては、第三で申しておりますように、それぞれのサービスと運賃を考慮して需要者が任意に選択、利用し得る状態に置かるべきであるということ、これは自由主義経済原則であると考えるのでございます。今は統制経済でございませんから、あるいはこれは鉄道によるべし、これは船によるべし、これは飛行機によるべし、あるいは自動車によるべしというような配分を強制的にいたすということは、これはきわめて困難であることは、よくおわかり下さると思うのでございます。しかしながら、その範囲におきまして、できるだけ地域格差をなくし、地方産業振興をはかるというために、ここに港湾の例を申し上げますならば、港湾も、世間では重点的に特定の重要港湾中心とした外国貿易に主力を置くべしという御議論は一部にはございますけれども、今回、政府方針といたしましては、外国貿易重要港湾整備いたしますとともに、地方産業振興いたしまして、地域的の格差をなくす方針のもとに、全国にわたりまして、三百数十の小さな港湾整備拡充するということになりましたことなども、いわゆる地域格差をなくして、所得倍増構想に沿っていくようにやろう、こういう考えでやっておるわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 自由経済のもとではということで、そうしますと、大臣、なんですか、自由経済のもとでは適正な配分ができないだろうというのが、私のお尋ねの要点なんです。これはできるということか、できないということか、時間の節約上、一つどちらでありましょう。
  14. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま申し上げましたような、計画的な統制経済でない限りは、その配分をやるということは困難であるというふうに、私どもは考えております。
  15. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、結局業種間における、あるいは産業間におけるところの格差、あるいは地域格差、こういうものは交通政策からは除去されない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  16. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 統制経済的な強制力は持ちませんけれども、予算投資する方向等によりまして、なるべく地域的、業種間の格差をなくすように努めておりますことは、今港湾の問題で申し上げて、御了解願えたのではなかろうかと思いますし、あるいはまた、国鉄などにおきましては、新しい線路建設することによりまして、地方産業振興いたしまして、格差をなくすことにも努力をいたしておるわけでございまして、原則といたしましては、計画統制経済でありませんものですから、強制するということはできないことは論を待ちませんけれども、その間にありまして、二重投資を防ぐ方法をとりますとか、あるいは財政融資をやりますあんばい政府でいたしますとか、いうようなふうにやりまして、できるだけ御指摘になりましたような地域的、業種間の格差のなくなりますように、現在はやっておりますわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 私は、頭が悪いせいか、どうもあなたの答弁では、山ともつかず、川ともつかず、はっきりしないのでありますが、自由主義経済に徹底しての御所論だと思うのです。そうだとすれば、適正配分はできないと私は考えております。そこで、井原政務次官おいででありますから、お尋ねしたい。きのうの連合審査でも問題になりましたように、今日の農業というものは、大きな転換期にきているということはもう大へんなことです。そこで今後、いろいろ農業基本法をもとにしてこれから展開するわけでしょうが、しかし、そこへいっても、輸送のネック、輸送という問題の片をつけなければ、単に農林水産物をどんどん増産、あるいはその他のいろいろな方策をとりましても、これは地域における格差、あるいは農業者とその他の格差、こういうものは解決できないと思うのですね。そういうことと、今運輸大臣が御答弁された結果では、どうもそれはうまくいかない、こういうことなんですが、これはどうなんですか。
  18. 井原岸高

    井原政府委員 御説の通りでございまして、現在農業が曲がりかどにきて、他産業との格差が非常に大きくなりつつありますので、御承知のように、基本法の制定を急いでおるわけでございます。そういう中でございますから、農産物資に対します運賃値上がりにつきましては、確かにお説のように困るわけでございますけれども、さりとて、現在の国内のあらゆる産業や、また地域格差等の諸条件を見て参りますると、われわれが考えておるだけでもいけない。やはり輸送力増強が、ひいては地域格差にも大きな影響があり、また、同じ農業でございましても、都市周辺と僻辺の地にありますものとの間の交通輸送の面が非常に不円滑のために、せっかくできておる生鮮な野菜、果物が、都市につく時間がかかって困るという現状から考えまして、最小限度、やむを得ず農林省としてはこの案に賛成いたしておるわけでございますが、しかしながら、昨日も申し上げましたように、さしあたってすぐに——具体的にいろいろなこともありますが、影響がありますものを緩和いたしますためには、この法律案通りました後においても、一応運輸当局と折衝いたしまして、運営の面できわめて暫定的な——総体的な予算のなにはできないにいたしましても、そういうことはお願いしよう、話し合いをしようというつもりで、こちらで作業を進めておるような状況でございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣、大へんしつこいようでありますが、あなたの御所論でいけば、自由主義に徹底してのお話のようでありますから、そうだとすれば、過当競争が出て、経営基盤の微弱なものはどんどんつぶれていって、最後は強いものが残るという場所もある。その反面、採算に合わない、あまりそろばん勘定に合わぬところには、輸送力はだんだんなくなってくるということもあるし、つけないということも出てくると思うのでありますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  20. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 先ほども申し上げました通り、ただいまの世の中では、極端な強制力を使うわけには参りませんけれども、いろいろの投資方向決定することなどによりまして、今の地域格差業種格差をなくすような政策を行なっておることは、御存じの通りでございます。今、もうかるところへは交通機関は行くが、もうからないところへは行かないで、それは放任しておいていいという考えかという御質問でございますが、すでにたびたび論議になりましたように、公共企業体であります、たとえば日本国鉄といたしましては、一方の黒字をもちまして、利益のないところの線路を敷いたり、現在あります赤字線を継続していくというようなことも、やはり公共福祉を増進するという大きな公共的な立場からこれをやっておるわけでございまして、割り切って、もうからないところへは交通機関は行かないんだというようなことのないように、政策あんばいをいたしていくということよりほかには、今やりようはないと考えておるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 政策でやっていくと言うのですが、その政策原価中心主義でやれということなんでありますね。そうしますと、いわゆる企業性重点的に、いわゆる原価主義運賃でということになりますれば、適正配分と、今政策でおやりになるということは、この方程式はイコールにならないですね。政策あんばいすると言うが、その政策原価中心主義でいくんじゃないですか。これは少し無理ではないかと私は思う。
  22. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今御指摘鉄道運賃決定にあたりましても、原価主義だけにこだわってやっておるわけではございませんで、産業振興であるとか、国民生活の安定でありますとかいうような、原価主義だけでなく、ほかに三つの原則をかみ合わせまして、国鉄運賃の改定などをいたしておりますことは、御承知通りでございまして、必ずしも原価主義一本でやっておるというわけではないのでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 原価主義でおやりになっていないと言うが、きのうの連合審査でも問題がたくさん出ておりますが、その中でも農林関係物資あるいは鉱工業の物資、こういうものについて、いろいろお話があったわけです。これは非常に大きな問題です。所得倍増計画というのは、簡単に言えば、国民所得を十年間に倍にするということでありましょう。しかし、倍増計画の方は、早く言えばまだ緒につかない。ところが、この国鉄中心にしたものは、その倍増計画マイナス面に今出発しようとしておる。この矛盾を政策の中で調和することが、政府の役目ではないでしょうか。ところが、相反した考え方なんですね。これをどっちを先にやるか、これはわからぬ。  そこで、私は時間の節約上先に飛ばしますが、具体的にお尋ねしたいのは、前の委員会でも、運輸大臣は、いわゆる赤字線あるいは新線建設というようなものについては、これは国鉄として、あるいは国として、観念的に、理論的にすっぱり割り切ってやるべきじゃない。そういうものはやめろとか、あるいは何かに置きかえろというようなことは、やるべきじゃない、こういう御答弁をなさっておる。鉄監局長もその通り答弁になっていると思うのでありますが、それに間違いはございませんか。
  24. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 私の言葉が足らないために、あるいは誤解を招かれたかもしれませんが、私が申し上げましたのは、国鉄あり方、また、国鉄公共福祉を増進するために公共企業体としての仕事をやっておるのでございます。この企業としての経営を能率化するために、独立採算制というものが起こっておるのであるが、この独立採算制ということのゆえをもって公共性を阻害するということはできないから、そろばんが合わない線路でも引き続きやっていくこともあるし、また、その新しい線が、交通の円滑をはかるためとか、地方産業振興するためとか、国土開発資源開発に必要ならば、採算に引き合わなくても、これは国鉄としてやるべきものである、こういうことを申したわけでございまして、現在八割までは現に黒字でない今日の国鉄におきまして、独立採算制を言い立てて赤字線はやらないのだということになると、日本輸送というものは一大障害を受けることはおわかり下さると思いますから、今の公共企業体としての高度の公共性によりまして、赤字線なりといえども、国鉄としては新しくもやるし、従来のものもそのまま運営していくということが、当然のことであるという考えでおるのでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 ところで政府の御決定になった所得倍増計画によりますれば、これは御承知のように、こういうふうに書いておられます。念のために一応読み上げます。国鉄のことでありますが、投資拡充のことで、こういうふうに書いております。その前に「総合的な交通体系確立」ということで、その中で「ローカル線については例外をのぞいて今後の建設を中止し、現在の線路国民経済的に非合理なものは撤去するなど、」云々、こう書いてあります。そうしますと、今の御答弁とちょっとニュアンスが違う。さらに、投資配分の方に参りまして「大規模投資を行う前提として国鉄内部機構徹底的合理化運賃体系原価主義確立地方の非採算線不要線の撤廃ないし自動車による代行輸送への転換、」云々と書いてあります。これは先ほどの御答弁とはだいぶ違うと思うのでありますが、これはどうなんです。
  26. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 もちろん、例を国鉄にとりますれば、企業でございますから、合理化をやり、あるいは原価主義を尊重する、独立採算制を尊重するということは、当然でございますが、そういうことのために、国鉄の持っておりまする高度の公共性までも抹殺してしまうわけのものではないというふうに私は考えておるわけでございまして、その間の調節をとりながら、国鉄なら国鉄使命を達成すべきものと考えておる次第でございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 経済企画庁長官、これはどういうふうに解釈しますか。
  28. 迫水久常

    迫水国務大臣 所得倍増計画というのは、十年間の長期にわたる一つ方向を示したものでございますので、これは具体的な実施運営につきましては、ただいま運輸大臣がお述べになりました通り、そのときの実情に徴しまして、また、合理化々々々といって、合理化一点張りで、地方の人の考え方なんかを無視して、いきなり鉄道をやめるというようなことは、もちろんできる相談ではありませんので、方向はこういう方向にいくという、その方向については、運輸大臣とちっとも違いはないと思っております。従って、ただいま運輸大臣が御答弁になりましたので、私の方はそれでけっこうだと思います。
  29. 久保三郎

    久保委員 そうしますと この倍増計画は、そういう意味にとるのですか。運輸大臣がお述べになったような意味に。いわゆる非採算線区あるいは新線建設の問題は、そういうように理解していいということですか。
  30. 迫水久常

    迫水国務大臣 要するに、所得倍増計画は、さしあたっての輸送需要の急増、だんだんにふえていくのに対する輸送隘路の解決をはかりながら、窮極において、近代的、合理的な交通体系を立てよう、そのためにはこういう方向でいくべきだという一つの道しるべを出しておるのでありまして、道しるべについていく方向であることは、今運輸大臣もお述べになりました。従って、具体的に、ローカル線を撤去するその時期、方法等につきましては、それぞれその場、そのときそのときの事態に応じてやっていくべきだと思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 ところで国鉄は、たとえば赤字線の問題など、あなたが考えているようなことよりもっと進んだ考え方をしているのではなかろうかと思います。  そのほかに、これは一つ農林政務次官にもあわせてお伺いしたいのですが、たとえば、貨物の集約という問題が最近出てきております。これはいろいろ理由にはございますが、少なくとも結論として簡単に申し上げますと、貨物の取り扱い駅を整理しよう、こういうことなんです。これに対しては、経済企画庁長官あるいは農林政務次官は、どうお考えですか。
  32. 迫水久常

    迫水国務大臣 それは物資輸送隘路を打開し、かつ、窮極において近代的、合理的な交通体系を是正するために、方向に合っているものでしたら、私はけっこうだと思います。
  33. 井原岸高

    井原政府委員 農林当局といたしましては、私の郷里のことを例にとって恐縮なんでありますが、果樹の最盛期等につきましては、その時期に限って特別配車を受けるというような、それぞれ地元々々の農協等を通じまして、そういうような約束をいたしておりますが、そういうような個所でない個所につきましても、できる限り、今後の運用の面で、そういう時期を見計らって影響のないようなふうに進めたい、かように考えております。
  34. 久保三郎

    久保委員 農林政務次官影響はないように進めるということは、それはやらないということと私は思うのです。それは、あなたも御専門でおわかりの通りです。この集約をされれば、なるほど、大口荷主は自分で自家用車を持っておられるから、集約するところの駅までは何とでも都合はつく。あるいは採算割れもしなくても済むかもしれぬ。今でもやっておる面がある。たとえば、今貨物の輸送が非常に逼迫しておるというときには、中間駅ではなかなか配車を受けられない。少し大きな駅までトラックで積んでいくということならば、配車を受けやすい、こういうことをやっておるわけです。ところが、農協を中心とした農民、あるいは中小企業というようなものは、そういうことには相ならぬ。結局、そこの駅まではトラック輸送に依存しなければならぬ。これは新たな負担ということになるのです。きのうも連合審査会で、特に農林の問題等が問題になりました。こういう問題を考えると、今経済企画庁長官が言われているようなことでは、特に農林省担当のあなたに対しては、地元のことで一つだけ例を上げられたが、そういうふうにうまく参りますか。よろしゅうございますか。
  35. 井原岸高

    井原政府委員 農林当局の考えといたしましては、集約駅の配車の問題につきましても、やはり相当検討をいたしておるわけでございますが、お説のようなことがありまする反面に、長距離輸送につきましては、四国等から東京へ、たとえば柑橘、穀類にいたしましても、現在でありますと、長いときには一週間ないし十日かかるというような状況でございます。それが、特に単線の国鉄地域あたりでは、やむを得ない事情のようでございますので、それを四日ないし三日間くらいに繰り上げますためには、若干輸送面の経費がかかることはございますけれども、むしろ、短期間に目的地に着く方が、生鮮度が高いものをはかせられるというようなことも考え合わせまして、協力をしなければいけないということを考えておるわけであります。しかし、なおかつ多量の場合には、先ほど申し上げましたように、最盛期には必ずその駅に貨車を特別に着けて、輸送ができるというような配慮をいたしておるわけであります。
  36. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、念のために政務次官お尋ねしておきたいのは、貨物の集約方針ということについては、今の農林政策からいってあまり問題にはならぬ、問題になっても少しである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。時間節約上簡単に……。
  37. 井原岸高

    井原政府委員 お答えいたします。  さっき申し上げましたように、問題にならないというわけでもございませんけれども、大きな立場から見ますれば、やむを得ないことである、むしろ、そうすることがいいのだというふうに考えられる面もございますので、協力いたしておるような次第であります。
  38. 久保三郎

    久保委員 輸送の速度は速くなるかもわからない。しかし、先ほど申し上げた農民や何かに対する負担の増というものが、運賃面だけではなくて、いわゆる地場トラックにかわる負担というものがあるわけです。こういうものはあまりお考えにならないで、ただ輸送の問題だけでいいのですか。
  39. 井原岸高

    井原政府委員 農協の出荷体制を強化いたしまして、そういう部面につきましても、また、できる限り運賃その他で安くいける方法も研究いたしまして、何とか農業経営の将来について、運賃値上げのために大きな影響のないように努力していきたい、かように考えて、との案に賛成しておるわけであります。
  40. 久保三郎

    久保委員 賛成だというならばまた何をか言わんでありますが、ただ、ここで申し上げたいのは、最近農業の転換期において、いろいろ施策をおやりになっているが、そういう面から問題が一つ出やしないかといことでありますが、これは時間の関係上先へ参りますから、一応念を押しておきます。  それで、きのうの連合審査で中途半端になっておりますが、いわゆる公共負担の問題であります。あるいは運賃値上げに対するところの金属鉱業の問題、あるいは農林水産物の問題、これで先ほど農林政務次官は、本法案が通過してから、運営面で一つ適当に折衝してやっていこう、こういうことを言われた。経済企画庁長官は、きのうも、調整の役目は僕の方だから、それはこれが通過してからやろう、こういう御答弁でした。そこで運輸大臣お尋ねしたいのでありますが、きのうのあなたの御答弁でも、結論として、話があれば相談に乗るというのが、要約した御見解だと思うのですが、そうでございますね。そうだとすれば、この国鉄運賃値上げというものは、中身はまだこれから変更があり得るということですね。
  41. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 農林物資につきましては、私どもの方としては、できるだけこれを優遇しようという考え方のもとに、運賃体系の中においても、特別に低い方の等級をつけております上に、さらに、従来あります暫定割引をそのまま当分据え置くということにいたしておるわけで、これをもって私どもの方はがまんを願いたいというふうに、昨日も申し上げたわけでございます。しかしながら、皆様方の御協賛を得てこれが法律になり、実際施行された場合、関係の閣僚から話し合いがございますれば、たとえば農林物資などにつきましては、増収の分がございますから、その増収分のワクの中で、話し合いに応じて御相談することもできるわけでございます。これは将来のことで、昨日も、この場ですぐ決定しろというお話がございましたが、この場で決定するわけには参らないと御答弁申し上げたわけで、将来実施をしてみた上で、関係閣僚から話し合いがございますれば、話し合いに応じて相談をしてみたい、こういうことでございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 大臣、あなたのおっしゃることを端的に言いますれば、この運賃改定を閣議決定して法案を提出する前提は、きのう御答弁になったこととも少し違う。これは全部閣議で了解して、賛成してもらって提案した。賛成したものが、あとから御答弁のようなことになると、これは問題だと思うのです。  それからもう一つは、国鉄の第二次五カ年計画にはこれこれの金が要る。そこで全体として賃率を一二%上げて、貨物は一五%引き上げる。きのうの御答弁では一五・八%ということに変わって参りましたが、これは前言を訂正するということでありましょう。そういう提案をされている中で、今度はその基礎をくずすところのお話し合いを進めるということになると、これはどうも話が違う。先ほどの農林政務次官お話も、あなたのお話とやはり違う。きのうの連合審査では、この結論が出ないまま質疑打ち切りになったのでありますから、ここではっきり政府の統一見解を、いかなるものか一つ出していただきたいと思う。もちろん、これは運輸大臣としてのお立場もありましょうが、国務大臣として一つ答弁いただきたい。
  43. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 昨日申し上げた通りでございまして、各省では、御希望とかあるいは要求とかいうものはいろいろありましたけれども、煮詰まった話が、閣議で決定いたしまして、四百八十六億円を運賃改定によって増収いたしまして、今回の五カ年計画の一部の自己資金とするということで出発することに相なったわけでございます。そこで、昨日もお話がございましたように、これを実施してみた上で、あるいは鉱石の問題でありますとか、農林水産物の問題であるとかいうようなものに、いろいろまた御希望が出てきて、私どもに話がございますれば、それに応じますということを申し上げたわけでございまして、私の方としては、ただいま申し上げましたように、その話し合いの中で——もちろん、私どもの責任でこれだけの金がなければ仕事はできぬと申し上げたわけでございますから、そのワクの中において相談、調整ができるものがありますかどうかということは、実際に検討してみなければわからないのでございます。また、お申し出に対して全部賛成をするかどうかということも、今わかりません。いわゆる話し合いに乗って相談する、こういうことをきのうも申し上げたわけでございますので、どうぞ御了承を願います。
  44. 久保三郎

    久保委員 そうすると、旅客運賃の問題についても、同様に考えてよろしゅうございますか。
  45. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 旅客運賃の問題については、そういう話が今ございません。昨日お聞きの通り、問題はあなた方の方からお話が出たのでございますが、農林水産物資の問題と鉱石の問題ですか、その二つだけの問題でございます。私どもの方としては、ただいま申し上げましたように、これだけの金をもととして仕事をやるということをいたしたのですから、いろいろたくさんの問題が出てくることは好まないわけてございます。なるべく少ない方がけっこうでございます。少ない問題についても、話し合いをしたいといえば、話し合いに応じて相談したい、こう考えておるわけでございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、貨物等級の変更もあり得るということでありますね。そうでしょうね。それからもう一つ、旅客運賃についても、あなたはここで初めて聞いたと言うのですが、たとえば電車環状線の擬制キロ撤廃、その上に運賃を引き上げるということになりますと、これは大へんなことだというのが、今日の世間の一つの問題になっておるわけです。そうなれば、それは不合理じゃないかという問題が、やはり直ちに出てくると思う。これに対してもお話し合いを進めていくということでありますか。いかがでしょう。
  47. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま結論を、運賃の改定があり得るとかなんとかということは、私は申し上げないのでございます。話し合いがあれば応ずる。今あなたもおっしゃったように、国務大臣として話し合いに応じよというようなお話でございましたから、そういう話があって応ずる。元来、これはきのうも申し上げましたように、鉱石の問題については、通産行政の問題でございます。また、農林水産物の負担の問題については、これは農林行政の問題でございますから、どういう話し合いになりますかというその結果は申し上げられませんけれども、話し合いが始まれば、それに応じて相談をしていく、こういうわけでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 大臣、あなたのお話では、やはり今後変更することがあり得るということにとらざるを得ないんですね。だから、貨物運賃だけでなくて、旅客運賃についても、なるべく増収分でまかなえるといえば、たとえば、一つの例としてあげた電車環状線のいわゆる擬制キロ撤廃は、もとに戻して擬制キロにする、短縮キロにする、こういうことも出てくるわけですね。そうでしょう。きのうの御答弁は、最初は、一切そういうようなのは受け付けません、こういう御答弁から、ただいまのようなお話になったわけですから、どちらがほんとうなのか。私が申し上げたいのは、話し合いに応ずるということは、応ずれば、その中に、全部でなくても、一部は要請にこたえる、そうなったらどうなんですか。
  49. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今の、話し合いがあれば応ずるということで、きのうは皆さん方御満足下すったことと私思っておりますが、それでいいのではありませんでしょうか。それで、別に運賃の改定がさらにあるとかなんとかという結論を、私は申し上げているわけではございません。話し合いをお受けいたしまして、政府としてどういう方法を講ずるかということは、これはまた別の問題でございますが、今申し上げました通り、私どもの方は、この運賃改定によって鉄道輸送力整備増強の資金の一部をまかなうということに出発しておりますので、その点は、はっきりと私は申し上げておきたいと思います。
  50. 久保三郎

    久保委員 あなたは、改定に応ずるということではない、そういうことを言っておるわけでないというのでありますが、結局、話し合いに応ずるということはなるほどそうかということになりますれば、これはそれを是正するということでありましょうね。そうだとすれば、この運賃改定の基礎がくずれてきやしないかと私は思うのです。なるほど、増収分の中でやるんだといえば、四百八十六億ですか、これだけが増収分ということで初年度見ているわけですが、それ以上にもうかれば、いろんな問題からいって、その分だけは引こう、こういうことでありますか。増収分の範囲内でまかなえるものは一つやっていこう、こういうことですね。そうすれば、運賃改定というのは、四百八十六億とかなんとかいう額にこだわったものではないのですね。貨物運賃を一五・八%上げる、旅客運賃を一四・六%上げるということが、今度の改定の基本でしょう。だから、その結果として、初年度、三十六年度のそろばんをはじけば、今のところ四百何億、五百億近く出るということであります。これさえまかなえば、あとはどうでもいいのだということではないでしょう。どうなんです。主として増収の額を対象にして運賃改定を持ってきたのか、それとも法案に出されてきた。パーセンテージを主にしてあの提案をされたのか、どっちですか。
  51. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今、私がいろいろ申し上げた中で、増収分と申し上げましたのは、これは不用意の言葉でございますから、取り消しておきますから、お許しを願います。  そこで話し合いに応ずるということは、閣僚の一人として、この問題についてお話が出まするならば、お話し合いに応じて相談をするということをきのうも申し上げたわけでございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これは企画庁長官お尋ねするわけでありますが、ただいま運輸大臣は、増収分ということはお取り消しになりました。私がいうところの法案の提案の趣旨通り考えでいるということに相なるわけであります。そうなりますと、お話し合いに応ずるということは、話は応ずるが、中身は変えませんよ、こういうことだと思うのですが、これはどうです。
  53. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は、その間の情勢をよく存じませんけれども、調整をすることができない限界は、もちろんあると思います。法律に触れてくるとかなんとかいうことは、調整という範囲外だと思いますけれども、御議決を受けました法律に触れない限界で、そういうものが多分あるんじゃないかと思いますけれども、たとえば、国鉄総裁の権限の中でできるような問題の限界内、すなわち、法律に触れない間でもって、何らかそこに、農林当局あるいは通産当局の要求を幾分なりとも運輸当局考えてもらえる筋があるんじゃないか、こういうように実は考えておりますものですから、両省間で話し合いが始まれば、必要なる場合にはうちで調整もいたしましょうということを申し上げたのでありまして、相談に応ずるということが、直ちに運賃改定の基礎に影響を及ぼすことになるのだろうということではなくて話し合いがあり得るのだろう、こう私は思っております。
  54. 久保三郎

    久保委員 運賃改定に触れないで、ということでありますが、たとえば、農林物資にしても、あるいは金属鉱業の鉱石の問題にしても、それを何とかしようという場合には、これは等級表を修正するとかいうことが当然出てくると思うのです。等級表は運賃法によってきまっておりますから、それ以外というと、今日やっているような暫定割引のような形でやる。ところが、これは国鉄自体が形式上は好んでやっておる。今言われたのは、何といっても国鉄に自主性を与えよう。こういって国鉄に自主性を与えるというのに、今度は、政府は監督権を乱用して、今長官がおっしゃるようなことをやっていいものだろうか。筋として、運輸大臣どうでしょうか。あなたは、そういう監督権を乱用して、国鉄の自主性をさらに干渉することで了解されているのですか。
  55. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 繰り返し同じ答弁を申し上げるようでまことに恐縮でございますが、きのう申し上げました通り、話し合いがありますれば相談をするということで、これは将来のことでございますから、これがどういうふうなことになるかということは、私にもわかりませんし、話し合いに応ずるということだけで一つ御了承を願いたいと思います。
  56. 久保三郎

    久保委員 大臣、私が御質問申し上げておることは、企画庁長官お話のように考えますれば、当然等級表の問題になってくるだろう。あるいはそれをはずすということになりますれば、今の農林水産物に対する暫定割引のような形でやらせる以外にないだろう、こういうふうに私は考える。そうだとすれば、これは国鉄の自主性を侵すものである、こういうふうにも考えるのですよ。あなたの監督権の乱用です。こう運賃をきめる、こういうふうにやれ、こういうことが、国鉄運営に対して今大きな問題になっておる。これでいいかどうか、そういうことをお尋ねしておる。相談に応ずるという話ではないのです。
  57. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今申し上げました通り、話し合いに応ずることは応ずるというので、将来どういうふうのことをどうというようなことは、今考えてもおりませんですから、どうぞ御了承願いたいと思います。また、将来のことですから、通産省側でもよく考えてみて、これは自分の方の通産行政でもってやり得るということになれば、あるいは話をし始めないこともあり得るのじゃないかと私どもは思いますし、まだ将来のことですからわかりません。それで、相手のある仕事ですから、話し合いがあった場合には応ずるということだけを相談をするということで、それがどんな形に結論づけられるかというようなことは、今直ちに、考えてもおりませんし、申し上げることは不適当である、こういうふうに考えます。
  58. 久保三郎

    久保委員 農林政務次官、私は人づてに聞いているのでありますが、あなたの方では、公式な国会のどっかの席なり、あるいは公式な席でなくても、運賃改定を閣議決定する場合には、条件付の賛成をしたという話が出ていますが、その条件付とは、いかなる範囲のものでありますか。
  59. 井原岸高

    井原政府委員 条件付で了承したということは、大臣から承っておりません。ただし、昨日来から申し上げますように、農林当局としましては、この問題はこれといたしましても、実際の運営面で、この面には、きわめて短期間、暫定的なものとして、運賃体系をくずさない範囲内においてやれるような面もあるのじゃないか。そういう部面を検討して、今後交渉しようという予定でございます。今までの作業を進めております。
  60. 久保三郎

    久保委員 それは、閣議でそういう発言をなさって、運輸大臣も、その他の閣僚も、全部御了解済みなのでありましょうか。それはどうなのでしょうか。
  61. 井原岸高

    井原政府委員 大臣から聞いておりますのは、閣議ではそういう条件をつけて賛成したというようなことは聞いておりません。
  62. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、何ら他を拘束するというか、そういう条件はないわけですね。ただ、法律が通過してから、運営面で一つ何とか相談していこうというお考えですね。
  63. 井原岸高

    井原政府委員 お答えいたします。  たとえば、これは当然といえば当然でしょうが、自然大災害があった場合等には、特別な……(「そんなことはない」と呼び、その他発言する者あり)いや、たとえばの話でございます。そういう場合もあり得るように、特にごく短期間の間、これだけの運賃についての割引をしてやる方が、そのために非常に農業経営の面にプラスするのだというような部面が、私はあり得ると思うのでございます。たとえば、過去に、私は聞いておるのでありますが、ちょうど肥料年度の最盛期の中で運賃を改定したことがございますが、その後においていろいろ当局と話し合いの間に、ごくわずかでございますが、そのわずかの部分の輸送分については、据え置きを短期間だけやったということも聞いております。従って、そういうこともでき得るのじゃないか——これは運輸当局とは別でございますが、われわれは、そういう希望を持っておるわけでございます。
  64. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸大臣お尋ねしたいのは、国鉄公共性とはどんなものだろうか、いかなるものを公共性というのかということ。  それから委員長に申し上げますが、椎名通産大臣はいつお見えになりますか。
  65. 三池信

    三池委員長 参議院の本会議に今出席中で、ここへ了解を求めに来られたときは、もう十分くらいで出てこられるということでした。
  66. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国鉄公共性とはどういうものであるかという御質問でございます。国鉄公共性とは、日本国有鉄道公共福祉を増進することを目途として運営をすることから出る問題でございます。たとえて申しまするならば、通学、通勤者に対して、御承知通りの非常に大きな割引をいたしておりますこととか、あるいはまた、採算に引き合わなくても、地方産業の開発とか、国土開発とか、地方民の利益のためとかいうようなことで新線を建設いたしますことであるとか、あるいはまた、戦傷病者を無賃で運ぶというようなことも、公共性一つの現われであるかと考える次第でございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、所得倍増計画の中で指摘されている独立採算制をもととして原価主義運賃をやれ、こういうこととは、どういうことに相なりますか。
  68. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま企画庁長官から御説明になりましたことで、私にはよくわかっておるのでございますが、そういう企業方向、目安というものを示したものだ、こういうお話がございましたが、それでいいのだろうと私は思います。
  69. 迫水久常

    迫水国務大臣 所得倍増計画の中で、運賃の問題について「運賃体系については原価主義確立し、」その次に「また公共性を維持する範囲で」とちゃんと断わってあるんです。その「範囲で企業的機動性を与える等、経済の実態に即応する有効な施策を確立する必要がある。」国鉄公共性というものとそれから原価主義というものとは、ちょうど両々相待つ問題でございます。
  70. 久保三郎

    久保委員 所得倍増計画の中で、長官は要約されたものの前の方をお読みになっておられますが、いろいろ書いてありまして、たとえば、この書物の七十六ページには「運賃体系原価主義確立」というものが、大きな眼目になっております。今度のいわゆる運賃値上げも、一つには原価主義に近づけるというのがねらいだと思う。そうだとすれば、今のあなたのおっしゃることと少し違うんじゃありませんか。運輸大臣の言うところの、採算がとれなくても運営するんだ、あるいは傷疾者は無賃で輸送するんだというようなことを言っておられますが、それと原価主義ではちょっと違うんじゃないですか。
  71. 迫水久常

    迫水国務大臣 今ごらんになっておりますのは、所得倍増計画ができるもとになりました、経済審議会において審議しました過程における小委員会の資料であると思います。閣議決定を経ました所得倍増計画そのものには、ただいま申し上げました通り、「また公共性を維持する範囲で」と、こうちゃんと書いてあります。つまり原価主義に徹底せよ。公共性も何も無視して徹底せよとは書いてないので、両々相待っていく、こういうことをここに書いております。
  72. 久保三郎

    久保委員 それでは先ほど冒頭にお尋ねしました、この書物の二十五ページの「総合的な交通体系確立」の三番目には、先ほど読んだ通りに書いてある。「交通企業自立採算制を尊重し、原価主義によって決定された適正運賃原則とすべきであり、」こう書いてある。その原則と、運輸大臣お話しの点では、これは相矛盾するんですね。いかがですか。
  73. 迫水久常

    迫水国務大臣 この「総合的な交通体系確立」というのは、国鉄ばかりでなくて、トラックの輸送もあるし、それからいろいろなものが、交通体系全体の問題がここに書いてございまして、従って、運賃の問題は、原価主義というものを尊重するという根本方針なんです。それでその次の鉄道輸送については、国鉄のところの分には、特に「公共性を維持する範囲で」と書いてあるわけでありまして、そういうふうにお読みを願いたいと思います。
  74. 久保三郎

    久保委員 あなたがお読みになっておるのは、私が持っている書物の二十六ページの下段の方だと思うんです。これは「鉄道輸送については漸次その比重は縮少するが、」云々それであなたがおっしゃる通り、その次の段で「現在これをはばむ種々の経営規制があるが、そのうちとくに非合理的な運賃体系については原価主義確立し、また公共性云々、こう書いてあるんですね。だから、これは国鉄に限っておらない。私が言っているのも、その体系の中は、国鉄を含めた一般の交通です。国鉄も例外であり得ないでしょう。
  75. 迫水久常

    迫水国務大臣 各種の運輸機関のうち、最も公共性の強いのは国鉄でありますから、従って、ここには鉄道輸送とあって、国鉄とは書いてありませんけれども、「公共性を維持する範囲」ということの主たるねらいは、国鉄考えてもいいんじゃないかと私は思います。
  76. 久保三郎

    久保委員 国鉄をねらっても、大半がそうだとすればいいでしょう。その点は別に固執しませんが、ただ、そこでお尋ねしたいのは、公共性とは、先ほど運輸大臣がおっしゃった通りのものそのものずばりで、具体的には、非採算線区運営しなければならぬ、あるいは傷疾者はただで輸送する、こういうことは国鉄の固有の公共性なんだ。いわゆるこの倍増計画で言っているところの公共性というのは、それを意味するのかどうかということです。
  77. 迫水久常

    迫水国務大臣 とっさの御質問ですから、あるいはほかにあるかもしれませんけれども、私は、ただいまおっしゃいましたように、国鉄公共性というものの内容は、運輸大臣お答えになったことで間違いはないと思っております。
  78. 久保三郎

    久保委員 公共性とは、いわゆる政府の施策に出るもので、運輸大臣が具体的の例を述べられたのは、政府政策であります。そうですね。傷痍者はただで、あるいは半額で輸送するとか、非採算線区でもそのままやっていく、あるいは先ほどもお話しになりました新しい線路で、もうからぬでも、国の経済発展上当然ここへ線路を敷けというようなこと、これは国の政策ですね。国の政策のそういうものを実行することが、国鉄使命一つなんですか、いかがですか。
  79. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 繰り返し申し上げます通り国鉄は、公共企業体として発足しておりまして、きわめて高度の公共性を持っておりますので、今の国の要請によって、公共福祉を増進することを目途としていろいろのことをやっている。これは公共性の具現化とでも申しましょうか、それが具体的に出たものだと思うのでございます。
  80. 久保三郎

    久保委員 国鉄公共性とあなたはおっしゃいましたが、これは国鉄公共性でも何でもない。実際はだれが負担するか、負担の責任はだれか。いわゆる赤字線でもやれ、これは当然国鉄運営しますけれども、傷痍者に対して運賃割引をしろ、貨物の特別等級も、原価を割って経済の発展のためにやれ、それがあなたの言う国鉄公共性だというのだが、それじゃ、この政策実行の運営だけはなるほど国鉄当局がやるが、その土台となるものはだれが背負っているか。この公共性政策の末端における責任は、だれが負っているのか。これは言うまでもありません。毎日汽車に乗る人、荷物を送る人が負担しているわけですね。これは政府の責任で処理していない。国鉄の責任で処理しているわけでもない。早く言えば、運賃の内部において、旅客、荷主の相互扶助的な立場からこれをやっている。そうでしょう。こういうことが公共性と言えるのかどうか。これが国鉄公共性なのか。いわゆる最後におけるところの責任のあり個所が、くどいようだが、旅客と荷重がこの政策をしょっているということです。これで公共性と言えるか。他に責任を転嫁しておいて、こうやれと言う。相互扶助的なものを国鉄運賃の中でやっておいて、とれが公共性だろうか。いかがですか。
  81. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 たとえば赤字線などの建設というものは、従来国鉄が借入金でやっているわけです。そこで今度は借入金の利息を政府が三十六年度予算から三億八百七十五万円負担するということになっている。これなどは政府が負担しているわけでございます。それからまた今の戦傷病者の無賃輸送なども予算におきまして三十六年度は六千数百万円を政府は出しておる。そういうものもあります。
  82. 久保三郎

    久保委員 いや、私の質問に答えて下さい。委員長並びに与党の諸君は一刻も早くこの質疑を終了したいという気持がけさの理事会でも見えておるわけですが、そのものずばりでお答えいただきたい。運賃の中で公共負担というものをしょっているということだ。それは国鉄でもなく、政府でもなく、利用するところの国民大衆がしょっている。旅客、貨物を比較してもそういうことになっているでしょう。これが公共性なのです。
  83. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 しかし、荷主の方でも旅客の方でも、国鉄が与えるサービスに対して適当な対価を支払っているのが運賃でございますから、形は見えないけれども、旅客の方も荷主の方も経済的の利益を得て、その国鉄が与える適切な給付に対して対価を払っているのが料金ですから、料金を支払うということは、同時に自分毛経済的の利益を得ておる。そういうわけだと私は思うので、それですから、国鉄の方からいえば、自分たちが適当なサービス、給付を荷主と旅客に与えて、それに対して適当な対価を受け取って、その対価の中でもって自分は公共性の仕事をやっている、こういうことになるわけであります。これがもし営利性の企業であるならば、それを全部配当に回していくとかなんとかいうことをやるわけですけれども、それですから、荷主と旅客が負担することにおいて公共性のことをおやりになるという、理屈をつければそういう理屈もつくかもしれぬけれども、しかし一方では、荷主や旅客の方はただ国鉄に金を出しているわけではないので、自分たちが長い間汽車に乗って腰をかけたり、景色を見たり、あるいは荷物を送ったり、そういう国鉄が与えまするところの給付に対して適正な対価を払っているわけですし、それでいいんじゃないかと私は思います。
  84. 久保三郎

    久保委員 あなたの御所見はどうも私には納得しがたい。というのは、適正な給付に対して適正な運賃をお払いになるということである。いわゆる原価というものがございますね。輸送に対しての原価、その上に利益といいますか、利潤というか、これは株式会社ならばいわゆる株式配当ということでありますが、国鉄はそれは違う。株主配当はないのですから。株主はいわゆる毎日利用されている旅客、荷主の大衆ですから、これに還元するのが国鉄のいわゆる原価主義から出たところのあなたが言う適正な運賃と適正なサービス。だから利潤か出ますれば、当然毎日利用するところの旅客、荷主へのサービスの増強にこれを提供する、これが一つの利潤の分配である。さらにもう一つはそういう必要がないというならば、運賃をさらに安くするというのがサービスなのです。これは利潤の還元です。でありますから、その中の要素の中にはあなたがおっしゃるところのような公共性は含まれるべきではないというのが私の考えなのです。しかも相互扶助的なもので国家の政策を末端でやる。こんな中途半端なことはありません。しかも今日まで国鉄経営がうまくいかないという反面には——これは国鉄当局にお尋ねしたい。あなたらがここ一、二年以上も主張してきたものは、経営の苦しいのはいろいろあるが、大きい問題が二つある。まず第一に公共負担が五百二十五億に、さらに新線建設がある。新線建設がなされた昭和二十七年以来今日まで五百億近くの資本を投下した。ところがこれが赤字になって年々二十五億の赤字が出ている。こういうもので今日の国鉄経営がまずくなっているのだ。だから国家の政策としてしいられたこの二つ政策については、国家の責任において解決すべきではないかというのが世論であり、国鉄当局の主張でありますが、今一言半句もこの問題を出していない。卑怯千万だと思う。十河総裁がおられるが、あなたが一番国鉄を愛されると言っているが、国鉄を愛する者の立場になればそうだろう。国鉄を愛するということはいわゆる国民を愛することだ。ところが国家の政策を末端に押しつけたものをそのまま今日運賃値上げができそうだからというのでこれは引っ込めている。私ははっきり申し上げたい。公共負担と新線建設というか、こういうものはなるほど国家の政策である。新線建設も必要だろう。ただ単に観念的に何でももうからぬ線区はもうかるようにすればいいということではない。鉄道でなくてならぬものは鉄道を敷くべきだ、バスでいいものはバスをしくべきだ、こういう点は多少あるにしても、やはり経済開発——池田内閣のいうところの地域格差をなくすとか、あるいは業種間の格差をなくすということは当然やるべきである。さらに農林水産物に対するいわゆる暫定割引という制度もそういうことからいうと当然国家の政策としてやるべきである。これはどこまでも一般の旅客、荷主に負担させておくのではなく、政府の責任でやるべきではないかと私は思う。
  85. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今のお話は、公共負担は国家の負担でやるべしというような御意見でございますが、そういう意見もあるのでございまして、この委員会でも公共負担は国家の負担でやる方がよろしいという意見も一部にはありますけれども、私どもといたしますと現在の国鉄がいわゆる公共企業というものになっておりまして、沿革を御存じのように、今の国有鉄道が国の直営事業のときでも国民一般の税金を中心といたしまする一般会計からは金を出さなかったという沿革はございます。これはあなたと違う意見で、あなたのような御意見もあることを申し上げておるのですが、私どもはそう考えております。そこで私どもは直接税、間接税等一般の税収入を中心とする一般会計からそういう公共企業体のやる仕事を全部負担して出すことはどうかというふうに考えておって、むしろ汽車に乗ったり荷物を運んだりして利用する人が一部運賃として負担しておって、これを運営するということも適当なんだという考え。従来も、明治時代から建主改従という論がございましたが、建設の方は借入金でやる、あるいは老朽した施設を取りかえ、改良するようなことは自己資本でやるというようなやり方をとってきておったのでございます。しかしながら、国鉄というものが今までのような日本輸送界における独占の王者たる地位をだんだんすべり出しまして、新しい輸送機関であるトラックだとかあるいは自動車というようなものと競争するようになってきたから、昔とはだいぶ事情が変わってきておる。そこで政府は今度は新線建設の借入金の利子を三十六年度から補給するとか、あるいは先ほど申し上げましたような戦傷病者の無賃輸送の負担を政府が肩がわりしてやるとかいうようなことに踏み出してくるようになってきたと思うのでございます。国鉄自身の経営、経理の上から見れば、政府から補助して全部公共負担をやってもらうということはきわめていいことでありますけれども、従来の沿革等にもかんがみ、また一がいに国民の税収入をもととする一般会計からこれをやるということはいかがなものであるかという議論も成り立つだろうと思いますので、今回は借入金と、それから一部は鉄道を利用する方の運賃負担によって自己資金を捻出するということでやりましたわけでございますが、ごく小部分ではございますけれども、今の公共負担に対して政府も負担するということを近ごろ踏み切って参りましたというふうに私どもは考えております。
  86. 久保三郎

    久保委員 大臣、失礼でありますが、あなたの御所論は相反するものを二つ持っておりますね。前段はいわゆる適正な運賃で適正な給付を受けるのだから、それでよろしいのじゃないでしょうか、こういうお話です。後段では、今度政府としても三億——これはまあほんとの気持だけの問題でしょうが、三億の新線建設の利子補給をする、これが公共負担だということで踏み切りました。そうすると、政府でも最近そろそろ公共負担は政府の責任であるということに気がつかれて、この同時提案になりました利子補給ということに相なったわけなんでしょうか。そこで明確にしていただきたいのは、国の責任として感ぜられたから、今度の新線建設に対する利子補給をするのかどうか。
  87. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国の責任と感じたという言い方がいいか、あるいは国鉄の経理を健全にすることを援助するというふうな気持からと申しますか、どちらか言い方がございましょうと思いますけれども、いずれにしても現実に政府が補助金を出しておるということを申し上げたのであります。
  88. 久保三郎

    久保委員 いや、あなたのお話では、今度の利子補給をするというのは、政府もそういう公共負担というものに踏み切って出すということに相なったわけである、こういう御説明がありました。私はそうとったわけです。だから、あなたの御所論の、現実には多額な負担ができないということもそれはわかりますよ。たとえば国鉄運賃の五百二十五億というのを公共負担で直ちに負担しろ、それは無理です。だれが何と言っても無理だ。だから、無理なことを言っているわけじゃないけれども、少なくとも方針として、ものの考え方として、やはり公共負担というものは国の責任であるべきだ、だから、さしあたりスズメの涙ほどだが三億ほど出すことに踏み切ったというふうに理解してよろしいかどうか。
  89. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国の責任と申しますよりは、ただいま申し上げましたように、国鉄日本輸送界の王者という地位からだんだん落ちてきまして、独占的の性格がなくなってきたので、国鉄としてもこれだけの公共負担をすることに対しては政府として補助するのが至当であるという考えで踏み切ったものと考えるのでございます。
  90. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、やはり公共負担というものは政府がやらなければならぬということに踏み切ったという御所論であります。私も実際はその通りだと思います。だから三億の額の問題はいずれにしても、そういう御方針に切りかえたということだと思うのであります。ただそこで、先ほどあなたから、今までは国からあまり金を出したためしがないのだというお話がありましたが、これは問題が違うと思う。たとえば一つ申し上げたいのは、戦時中から昭和二十二年までに逆に国に吸い取られているのですね。今まで金を出しているためしがないというのはあなたのおっしゃる通りです。今度三億出したのですね。どうしてそういうことになったのか。これは御案内の通り、昭和二十四年にいわゆる公共企業体に切りかえになりましたね。その以前の問題もありますが、そこで国鉄の性格が大きく変わってきた。変わってきたものに対して国家は何ら責任を持たなかったというところに、今日の国鉄経営難というか、問題が出てきたわけですね。これに対する反省が、今度のやっと三億かということなんです。あなたの御所論ではそうじゃないように見えますが、どうなんでしょう。
  91. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ちょっと御質問の要点を簡潔に……。
  92. 久保三郎

    久保委員 結局、今までめんどうを見なかったということはその通り。そして二十四年に国鉄企業体として性格が変わってきた、さらにあなたが御指摘になりますように、今日いわゆる国鉄の独占性というものが失われてきた、独立採算制の建前からいって独占性がなくなってきた、そういうことで公共負担は、いわゆる鉄道省の時代と違うから問題が出てきた、ああいうやり方ではだめなんだ、そこで今度は政府も三億の利子補給をするのだというふうに踏み切ったと理解してよろしいか、こういうことです。
  93. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今いろいろお話がございましたことも原因でございましょうが、一方では国鉄経営の上から見まして、国鉄運賃がほかの物価に比較して非常に低位に置かれたというようなことも見合わせて、今回国家としての補助金を出すように相なった次第だと思うのでございますが……。
  94. 久保三郎

    久保委員 どうもあなたのお話と私の質問があまり合わないので、これは時間を食って困ったと思うのであります。  そこでお尋ねしたいのは五カ年計画でありますが、前の五カ年計画では老朽施設の取りかえが重点であった。それで計画から見て一一二%やってきた、国鉄はこう言っておりますが、ほんとうにそうだろうかという疑問を私は持っているわけなんです。現実に、一一二%やってきたのでこれはあまり問題ない、だから今度第二次五カ年計画はその他の部面に重点を置くということでございましょうか、どうなんです。
  95. 十河信二

    ○十河説明員 資金の面で一一二%使いまして、大体当初予期しておった老朽施設の取りかえばほぼ完了して、輸送の安全度を確保することができておる、こう考えます。しかし輸送の安全を侵すいろいろな老朽は年々あります。地すべりとかいろいろ新しいととが起こって参りますから、そういう面にはまた今後も多大の経費を必要とする事態が起こってくると思います。
  96. 久保三郎

    久保委員 総裁、老朽取りかえの実績をお示しいただきたいと思うのでありますが、私の手元にあるもので、非常に簡単なものでありますが、取りかえの実績は、なるほど金額では計画の一一二%になっております。しかし金額で老朽取りかえなどははかれません。実際に老朽施設の一一二%が取りかえられたといっても、非常に取りかえ過ぎたくらいに取りかえているということではないですね。たとえば橋梁の橋げたが、資金面では八〇%できている。計画の八〇%金をつぎ込んだ。ところが実際は四六%の取りかえしかできていない。それからピア、これは資金手当はなるほど一〇八%、ところが実際は五三%しか取りかえができていない。さらにトンネルは、資金面では六〇%であります。ところが実際は四七%というのだが、これはほんとうか。
  97. 十河信二

    ○十河説明員 各部門別の実際の成績は、担当者からお答えいたします。
  98. 關四郎

    ○關説明員 お答え申し上げます。詳細については今手元にございませんが、もともとこれは五カ年計画の四カ年分でございますから、八〇%で計画通りということでございますが、たとえばただいまお話のございました橋げたでございますけれども、これはいわゆる実耐率という、腐蝕の度合いによる率をもって考えております。従来この実耐率は、記憶に間違いがあるかもしれませんが、大体実耐率七五%以下のものを緊急取りかえとしてあげる、こういうことにいたしておりましたが、これがその後の精査の結果、腐蝕が当初よりももっと進んでいるものがあった。同時にまたもう一つは、実耐率の程度をもうちょっときびしくしてやりましたので、前の緊急取りかえより以上に入ってきておるというのが実情でございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 後刻資料をお示し下さい。しかも、ここで御指摘したいのは、この監査委員会の報告でも指摘されておりますが、それは三十四年度の監査委員会の報告ですけれども、これにも、いわゆる取りかえ及び改良費千五百八十七億、なるほどおっしゃる通り計画の一一二%やっているが、実際は改良の割合が多くて、取りかえの方は、年々三%ないし六%減少しつつある。これは一つには、国鉄のいわゆる営利主義に基づくものである。その淵源は、言うまでもなく公共負担の問題である。いわゆる改良に重点を置かざるを得なくなってきた。その改良に重点を置くということは、いわゆる幹線重点なんです。ですからローカル線におけるところのトンネルは、滝のように水が漏っているものがある。こういうものをいつ取りかえる。この計画によればだんだん縮小してくる。これが、今後さらに取りかえが減ってきて——と言っては語弊がありますが、より重点を幹線輸送ということに置いてきている。なるほど幹線輸送増強も必要だろう。しかしながら、国鉄公共性というものを運輸大臣が言うておるならば、公共性は均霑されなければならない。この矛盾をどこで解決するか。しかも、監査委員会指摘はどうであるか。なるほど千五百八十七億、計画の一一二%やったが、改良が重点になって、改良の割合が多く、取りかえがだんだん少なくなってきている。こういうことで、国鉄の第二次五カ年計画がこのままの方針でいかれるというならば、これはとんでもないことだと思う。もちろん運賃値上げの意味はありません。
  100. 關四郎

    ○關説明員 ただいまのお話でございますが、監査委員会で三十四年度に出した報告では、この実耐率も程度を、ただいまちょっと数字の記憶はございませんが、たしか五%か上げて、そうしてやりました結果、もっとやるべきものがふえたというようなことがございますので、こういう点で監査委員会の報告は、三十二年度の第一次五カ年計画が出発したときから見ますと、相対的に取りかえの必要性のあるものがふえている、こう考えております。ただ新五カ年計画におきましては、この点も考慮いたしまして、第一次五カ年計画では、年間平均取りかえ、諸改良というものが三百九十五億でありましたものを、約五百億に増額いたしまして、この点も監査委員会の線に沿うように心がけておる次第でございます。
  101. 久保三郎

    久保委員 通産大臣は……。
  102. 三池信

    三池委員長 今迎えにいっておりますから。
  103. 久保三郎

    久保委員 それでは申し上げますが、今の御説でありますと、第二次五カ年計画では、改良並びに取りかえというのは大体千三百億くらいですか。これは念のためにお尋ねいたします。
  104. 關四郎

    ○關説明員 お答えいたします。新五カ年計画では取りかえ及び諸改良が、三十六年度から四十年度までの五カ年間に二千四百九十五億でございまして、年平均四百九十九億、こういうことになっております。
  105. 久保三郎

    久保委員 施設の取りかえというのは、計画の土台が違えば、数字ですから幾らでも取りかえというものは上がりますよ。ただ私が指摘したいのは実態なんです。実際がどうなのかということです。これはおくれておることは事実です。それで今度おくれていることをそのままにしておいて運賃値上げをして、さらにまた前進しようという、こういうことが、一般大衆は理解し得ないのです。納得し得ない面が出てくる。毎日危険な線路あるいは橋梁、トンネル、こういうものを通るお客と、デラックス版の列車に乗るお客と、これは不公平だと思うのです。せめて安全輸送を確保するならば、取りかえが重点でなくちゃならない。取りかえば計画じゃない。実際なんです。実際に一一二%、いわゆる近代化を含めてこんなに持っていったということなら了解できますが、私が先ほど指摘した通り、実際の半分もいっていない。こういうことについて、十河総裁はどうお考えでしょうか。
  106. 十河信二

    ○十河説明員 それゆえに新五カ年計画では、先ほど御説明申し上げましたように金額を増しておりまして、実際に十分いき得るように計画いたしておる次第であります。
  107. 久保三郎

    久保委員 私の聞きたいのは、第二次五カ年計画に対してこの問題をどう反省されているかということですよ。ただ、そうだから今度は重点的にやりますというだけでは話は足りません。
  108. 十河信二

    ○十河説明員 近代化も多少おくれておりまして、半分程度しかできていないのであります。これは当初第一次五カ年計画決定いたしました際に、規模が少し少な過ぎた、実際はもっとよけいやるべきだったが、少な過ぎたこと。それともう一つは、金額を削減せられまして、それで計画と金額とが少しズレがあったということで今日のおくれを来たした次第であります。それともう一つは、資金が御承知のように不十分だったということであります。
  109. 久保三郎

    久保委員 それでは続いて先へ参りましょう。  踏み切りの問題でありますが、先般の御説明でも、大体二百億で三百カ所ほど立体交差にしていくというので、そのために踏み切り改善があるでありましょうが、これはそれに間違いありませんか。
  110. 十河信二

    ○十河説明員 間違いありません。
  111. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸大臣お尋ねします。聞くところによりますれば、政府道路と踏み切りの交差に関する法律、いわゆる立体交差に関する法律というか、踏み切りに関する法律、こういうものを用意されているということでありますが、これはどういう進行状況でありますか。
  112. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま御指摘通り、踏み切りの問題は、非常にやかましくなっておりますので、運輸省といたしましては、建設省と、これは道路の方の関係者でございますが、緊密な連絡をとって事務的な折衝をいたしまして、両方で話し合いをつけて、今度の国会に踏切等改善促進法案というような、名前は変わるかもしれないが、大体そういうような名前の法案を出して、そうして踏み切りの危機を克服いたしたいと考えておる次第でございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この踏み切り問題だけとりますれば、これは踏み切りの改善も運賃値上げの一つの理由になっております。でありますから、当然、政府は、踏み切り法案というか、今お述べになりました法案を運賃値上げと同時に提案されなければ、審議が正しく進められないと思うのですが、いかがでしょう。
  114. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この踏み切りの改善につきましては、立体交差化にいたしましても、あるいは上平面交差の保安設備の改善にいたしましても、従来国有鉄道といたしましても、あるいは私鉄にいたしましても、それぞれ年々相当の投資をいたしまして改善してきておるわけでございます。従いまして、この運賃改正法案によります増収による踏み切りの改善ということと、直接にこの法案とは結びつきはないと存じます。この法案の目的は、従来やってきておったところをもっと促進しようということでございまして、国有鉄道は、すでにその法案の意思を体しまして、来年度以降、新五カ年計画におきまして、この踏み切りの改善については積極的に乗り出すということでございますので、その目的には十分沿うておる、こういうふうに解釈をいたしております。
  115. 久保三郎

    久保委員 鉄監局長、あなたのおっしゃること、そうかもしれませんが、われわれ審議する立場からはそうは理解できません。法案の趣旨を体してというのです。直接関係はない。直接関係なければ運賃の値上げには関係ないということですね。第二次五カ年計画を遂行する資金調達のために運賃値上げをする。その第二次五カ年計画には踏み切りの問題も入っているわけですね、今、総裁が答弁になったように。しかも法案がどう出てくるかわからぬ。負担区分の問題がどうなるのか、あるいは立体交差ばかりではなくて、今ある平面交差の踏み切りの維持管理の問題はどうなるか、あるいはこれに対する防音装置はどうなる、こういうものの所管の問題や、これの費用の問題が出てくる。費用の問題は直ちにこの運賃の値上げに関係してくるわけです。あるいは第二次五カ年計画に関係し、第二次五カ年計画に関係すればそれが運賃の問題に関係してくるのです。直接関係があるのです。
  116. 岡本悟

    ○岡本政府委員 新法案の内容でございますけれども、目下われわれが考えておりますのは、負担区分につきましては、国有鉄道の場合は建設省との間に協定がございまして、その協定による負担底分を大体踏襲しようということでございますので、経費面において双方の負担する度合いはそう大して変わりはないと存じます。平面交差につきまして、保安設備の改善に道路側におきましてもそれ相応の負担をしてもらいたい、こういうことになりまして、話がつきますれば、道路側がむしろ負担増になって参りますから、それは鉄道側にはプラスになるわけでございます。そういうことから申しますともちろん鉄道側に関係ございますが、この法案のねらいは、むしろ立体交差すべき個所、あるいは平面交差でありましても改善すべき個所につきまして、主務大臣が指定いたしましてその改善を義務づけるというところに主眼点があるわけでございますので、負担区分については従来とさして変わりはない、かように考えております。
  117. 久保三郎

    久保委員 負担区分については大した変わりはない、こういうことでありますが、法案が出てこないうちは、変わっているかいないのか、われわれお話だけではどうもわかりかねます。今、運賃値上げが先行するのではなくて、いわゆる踏み切りの問題をどうしてくれるのかというのが世論です。だから、政治的な判断からいっても踏み切り法案が先行するのが当然ではないか。こういうことで法律もきめ、その裏づけにこれだけの金が要る、だから運賃値上げが必要だというなら理解ができる。踏み切りの改善についてはいまだ何ら明確な線が出てきておらぬ。あなたの答弁だけではなるほどそうかもしれないという点が明確に出てきておらぬ。そうして今度は運賃値上げだけははっきりやるという逆な政治はありません。本来ならば、本日でも踏み切り法案を提案するのが当然であると思う。踏み切りだけでなく、ほかにもあります。だけれども、世論の大きな問題は踏み切りである。この土台をコンクリートしないで、いわゆる運賃の値上げで投網をかけるようなやり方は世論にマッチした政治じゃないと私は思うのですが、どうでしょう。
  118. 岡本悟

    ○岡本政府委員 もともと踏み切り保安設備にいたしましても、あるいは平面交差を立体交差にいたしまして事故を防止するということにいたしましても、やはり鉄道事業者といたしましては、今われわれが用意いたしております踏み切り法案の有無にかかわらずいずれも当然やるべき義務だというふうに考えております。それをさらに積極的に新五カ年計画において取り上げようというのが国鉄考え方でございますので、その財源として運賃増収分の一部を充てるとか、あるいは借入金の一部を充てるということは当然であろうかと存じます。
  119. 久保三郎

    久保委員 借入金を充てるのは当然だろうとかというお話じゃないのですよ。だから私が言っているのは、先ほども申し上げたように踏み切りの問題は大きな問題になっておる。ダンプカーの問題一つをとっても、警視庁はすでにそういう対策をとっています。本来ならばこういう法案を先に出して審議を進めながら、そのためにはこれだけ必要だということでしょう。逆じゃないかということを私は言っているのですよ。それはいいでしょう。とにかく私は逆だと思う。だからそういう政治をやられためじゃかなわぬと思う。  それから通産大臣おいでになりましたからお尋ねしたいのですが、これはまず第一に国鉄お尋ねしましょう。今度の運賃値上げについて石炭界においてもなかなか問題がある。これは今までの質問でも出ております。今後千二百円価格を下げるのには、ここで運賃値上げをされたんでは計画が狂ってどうにもならぬというのが、石炭界の一つの話であります。これはきのうの連合審査の中でも出ましたが、こういう問題は、通産大臣運賃面で今後解決していくという考えを持っておられるかどうか、千二百円という計画通りに低下させるということを考えられるか。
  120. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 千二百円の引き下げにつきましては、すでに過去三十四、三十五、二カ年の努力によりまして大体四百五十円見当引き下げに成功しておるものとわれわれは見ております。あと七百五十円、これは三十六、三十七、三十八、三年間の努力によってこの引き下げに成功したい、こう考えておるわけであります。そこで今回の運賃値上げによりまして、大体貨車乗り平均が六十三円程度トン当たり上がっておる、こういうことになるのでございますが、本来ならばこれは合理化によって吸収していくべきなのが当然でございますが、今申し上げたようにすでに千二百円の荷物をしょって今せっかく進んでおる、こういう関係でございまして、これをまたさらに合理化によって吸収するということは、これは一度ではなかなかむずかしい。運賃は一ぺんに上がるが、合理化はだんだん実行してとこへ吸収していかなければならぬ。すでに荷物をしょっておる、こういう関係でございますから、これを一緒にしょってしまえというわけにはなかなか参りにくいのでございます。そんなような状況で、この問題については当局としては大いに苦慮しておるところであります。
  121. 久保三郎

    久保委員 通産大臣は苦慮されておるそうでありますが、運輸大臣、きのうのお話では、先ほどのお話でも、お話があれば相談に応ずるということでありますが、これは大きな問題ですね。政府としては石炭合理化の問題もあるし、国鉄国鉄で第二次五カ年計画の遂行ということもあって、これはどういうふうに国務大臣として消化するお考えですか。
  122. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 通産大臣としては、行政庁長官として通産行政に非常な御関心を持っていろいろ御心配になっておられることは、まことに拝察に余りあることと存じます。それですからいろいろお扱いになる石炭、鉱石等につきましても御希望だとか、いろいろ御意見などもあることと存じますので、きのうもお話申し上げました通り、話が出ますれば閣僚の一人として、あたたかい気持で話し合いに応じて相談をしていきたい、こう考えておりますわけでございます。これは将来のことでございまして、今、通産大臣も大いに苦慮しておるというので、必ずしも運賃の話になるか、あるいは合理化の話になるか、将来のことは実はまだわかりませんですから、お話がございますれば一つよく御相談をいたしたい、話し合いによって相談をいたしたい、こういうふうに考えておりますわけでございます。
  123. 久保三郎

    久保委員 通産大臣は御説明の中で、合理化は徐々に段階に応じてやっていくのだ、運賃はぱっと一挙に上がるので大へん苦慮されておる。運輸大臣は、苦慮されておることはよくお察しするが、将来のことでお話をしたい。だいぶ食い違いがございますね。これは、どういうふうに処置されるか、あとでまたお尋ねします。  そこで国鉄お尋ねしたいのだが、最近石炭業界は報復手段として、運賃値上げをそのままやってしまうならば、運賃値上げをやるならば、いわゆる国鉄の購入炭については、運賃分だけぶっかけてくる。こういうのです。今、国鉄は、たとえば三十六年度は大体燃料計画で石炭は何トン使うか。価格はどの程度に見積もっておるか。
  124. 關四郎

    ○關説明員 お答え申し上げます。大体三十六年度の石炭の消費計画は約四百八十万トンでございまして、この値段につきましては三十五年度の値段を参考にいたしまして、今後折衝していくということでございまして、まだ値段はきまっておりません。
  125. 久保三郎

    久保委員 値段はきまっておらぬというのですが、運賃値上げ分をお返しするということなのです。こういうことになりましたらばどういうふうになりますか。値段はきまっておらないが、予算をはじく場合にはおよそその見当をつけてはじいておるのでしょう。
  126. 關四郎

    ○關説明員 大体三十五年度は、これは国鉄の石炭はカロリーがいろいろなものがございますので、カロリー当たりでもって大体五十八銭くらいに契約いたしております。ただいまのところ、運賃値上げした場合には石炭の価格を上げるということは、正式にはまだこちらには申し込まれておりません。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連して。
  128. 三池信

    三池委員長 多賀谷君に申し上げます。予定の通告者もありますし、申し出も二十分間ということでありますから、あらかじめ御承知の上で質疑を願います。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の問題に関連して、まず通産大臣にお聞きしたいのですが、千二百円炭価引き下げは山元送炭炭価ですか、それとも揚地炭価ですか。
  130. 關四郎

    ○關説明員 揚地でございます。
  131. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、流通部門で少なくとも合理化をしなければならぬ、こういうことになるわけですが、流通部門での合理化で、千二百円のうちどのくらい節約ができる、こうお考えですか。
  132. 今井博

    ○今井(博)政府委員 場所によって違ってきますが、全国平均いたしまして、流通経理の面ではトン当たり百五十円ということを予定いたしております。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 少なくとも北海道では二百十円、九州では百円の合理化による引き下げが要請をされておる。そういたしますと、そのうち間接費が一四・七%、直接費が八五・三%ですから、直接費の八五・三%というのはほとんど運賃ですね。そうしますと百円あるいは二百十円の値下げを要請されておる中で八五%が運賃ということになれば、今度の運賃値上げによってその合理化ができないではありませんか。これは一体どうお考えでしょうか。
  134. 今井博

    ○今井(博)政府委員 流通面だけの数字から申しますと、今まで考えておりました流通面の合理化特に輸送の一そうの合理化につきましては非常に苦しくなる、こういうことは言えます。
  135. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 少なくとも千二百円炭価の引き下げのうちの流通部門の合理化というのは不可能になったわけですね。それは逆に上がるから不可能になったわけでしょう。大臣、最近御存じのように炭鉱の災害を見舞われたわけですが、大臣は炭鉱の災害は合理化とは関係ない、こうおっしゃっておる。しかし現実は合理化の結果が災害を頻発しておるわけですね。この事実は否定なさらないでしょう。どうですか。
  136. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 合理化というのは、実際生産の面において冗費を節約してコストを引き下げるということでございまして、合理化に羅臼して保安面まで食い込んで人を減らしたりあるいは施設をすべきものをしないというようなことは、これはほんとうの合理化ではないのです。だから合理化に名をかりてそういうことをやるというのはけしからぬことでございますが、しかし合理化とは関係ないことでございます。
  137. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣のおっしゃる合理化とは関係ないかもしれませんが、現実に千二百円引き下げのための合理化では、坑内の石炭を直接掘る直接夫はふやしておりますね。それは間接夫が減っておるわけです。この間接夫が減ったということが上清炭鉱また大辻の災害を誘発しておる。それはたとえばコンプレッサーの番人がポンプを二カ所受け持ちを持っておる。それが一時間半もかからなければ巡回ができない。こういう状態です。ですからコンプレッサーで火事が起きても一時間半後でないと発見ができないというところに、今日の悲劇の一つの原因があったと思うのですが、この事実はお認めになるでしょう。
  138. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 五十馬力のコンプレッサーの部屋と百馬力の部屋との間に、私は入ってみませんけれども、五十メートルしか離れておらない。それで、それは前から一人で受け持っておって今回の合理化によって人減らしにして半分にしたという形跡はございません。  それから今度の上清炭鉱のコンプレッサーからなぜ火を吹いたかということについては、厳密な検討を加えておりますが、どうもロードをかけ過ぎておる、そのために被覆線内で線が過熱して、それから発火したものらしいというような話でございました。この点は答弁になりますかどうですか、御参考までに。
  139. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は災害の具体的な事実についてそうくどく質問しませんが、五十馬力のモーターと百馬力のモーターの話は、なるほど五十メートルくらいしか離れていない。しかしそのときにコンプレッサー室の係員はほかのところへ行って発見をしなかったのですね。それから大辻炭礦の場合には、ポンプを二つ持っているのですが、一時間半もかかるのですよ。大臣、せっかく調査に行かれたのですから、そのくらいお聞きになって帰るのが当然でしょう。ポンプ室を二つも持っているのですから一時間半もかかるのですよ。ですから、この面がやはり間接夫が節約されたというところにきておる。また最近運賃だけでなくて、炭鉱の資材の値上げがあるのでしょう。石炭局長、どうですか。
  140. 今井博

    ○今井(博)政府委員 最近の資材の値上がりは坑木関係が一番大きなことで、坑木関係が年間平均いたしましてトン当たり十四、五円というふに一応想定いたしております。
  141. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 電力は。
  142. 今井博

    ○今井(博)政府委員 電力は、今回の九州電力の値上げによりまして一〇・五%ないしは一〇・七%、その間で大体きまるのじゃないかと思います。九州炭にいたしまして現在がトン当たり約三百円弱でございますが、約三十円程度、全国平均にしまして、それが半分としますと十五円程度、この程度の値上がりになると予想いたしております。これは個々の契約によりましてだいぶ変化いたしましょうけれども、あまり値上がりになるようなものについては、特に少し頭を押えるとかなんとかいうことで、もう少しその影響を緩和したいと思って努力いたしております。
  143. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず坑木の値上げがどういうふうに保安に響いておるかというと、今まで松の木を使っておったのを雑木を使うようになる、これで今後落盤が非常に多くなるというおそれが出てきた。現実に大辻炭礦でもそのことが指摘された。従来は松の木を使っておったけれども、坑木が高くなったから雑木を使うようになったということを指摘されておるわけですね。それから港湾荷役が通運料金の五%値上げでまたこれが上がる。ですから今の二百円ダウンという基礎数字が非常に変わってきておるという。ここにまた国鉄運賃の値上げが起こっておる。一体国鉄では三十五年度の予算、三十六年度の予算の石炭購入単価を幾らと見られたか、もう一度、これはトン当たりでお聞かせ願いたい。
  144. 關四郎

    ○關説明員 トン当たりで申し上げますと、カロリーが大体七千から五千三百くらいまでございますので、大体の平均単価で申しますと四千二、三百円という程度だと思います。
  145. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が調べたところによると、大体三十五年の予算は四千八百二十七円、三十六年度予算は四千六百円でしょう。
  146. 關四郎

    ○關説明員 それは運転用石炭の平均でございまして、事業用炭——運転用のほかに暖房とかその他雑用炭を入れますと、今のお答え申しましたような値段。四千八百二十七円は運転用炭のトン当たりの値段でございます。
  147. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうしますと、動力費のうらに石炭費とありますね、二百六十七億。これは炭価は幾らですか。
  148. 關四郎

    ○關説明員 それが四千八百二十七円であります。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十六年度も四千八百二十七円ですか。
  150. 關四郎

    ○關説明員 三十六年度については、おおむね二百三十円程度の減額をして予算を組んでございます。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国鉄運賃を上げるというのに、石炭の購入が二百三十円低目に予算を組んでいるわけですか。
  152. 關四郎

    ○關説明員 石炭の値段が五カ年間に千二百円引きになりますので、現在までに大体四百五十円引いておりますから、残りが大体七百五十円引けるわけでございます。それですから、これを三年に割りますと大体二百五十円、これに対して運賃の方も考慮いたしまして二百三十円、こういうふうに見たのでございます。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 坑木の値上げがまた運賃の値上げと一緒になって、さらに坑木代は上がってくるわけですね。坑木というのはかなり輸送するのですから、坑木代は輸送費がさらに上がりますから、逆に上がってくる。そうしてみずからも運賃の値上げをしておる。それなのに、千二百円のダウンの前提でその話し合いがなされておる、これはおかしくありませんか。運輸大臣どうですか。
  154. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいま経理関係のことで国鉄の方から申し上げましたことで御了承願いたいと思いますが、またさらに詳細のことを申し上げる必要があれば、国鉄から申し上げます。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は事実関係を聞いておるのじゃないのです。ただ、あなたは国務大臣として、少なくとも千二百円下げるということに対して——閣議決定なされたときに、それはなるほどあなたはいられなかったかもしれないけれども、責任があるわけですね。ところが一方においては値上げをして、千二百円のダウンの基礎をくずしておる。くずしておきながら、みずからは千二百円を要請しておる。これはおかしくないかと聞いておるのです。
  156. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国鉄運賃改定は、たびたび繰り返し申し上げますように、輸送増強整備のために国鉄自身の捻出する資金の一部といたしまして、利用者の負担をこの程度お願いしようという最小限度決定いたしまして、決定の間におきましては、事務的折衝等におきましていろいろ通産省の立場、農林省の立場からの御希望、御意見等もございましたけれども、結局煮詰まったところは、こういう所得倍増構想の目的を達成するための隘路となるおそれのある輸送を強化するためには、この程度の運賃改定はやむなしということを閣議で決定して、現在皆さん方に御審議願っておるわけでございます。それで購入炭価について是正の必要があるということが起こりますようならば、国鉄においても当然その措置は必要であるというふうにも考えられるわけであります。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は国鉄の気持はわかるわけです。国鉄は商取引をやるのですから、安く買おう、この気持は私は否定しません。しかし国務大臣として、運輸大臣としてはおかしくないか、こう聞いておる。あなたの方は千二百円下げるということを要請をしておる。しかし運賃の値上げは行なって、さらに基礎をくずしておきながら、千二百円をあくまでも強行しようとしておる。おかしくはないか、こう言っておるのです。とれだけをお答え願いたい。
  158. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答えをいたしますが、国鉄の方の購入炭価について是正の必要が起こりますれば、国鉄の方においても当然その措置が必要ではないか、こう考えるということを今お答えをしたわけであります。
  159. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも監督の地位にある運輸大臣国鉄の言う通りなら、あなた、要りませんよ。やめた方がいい。国鉄の言う通りなら、あなたは要りませんよ。私は国鉄が言っているのは——国鉄自体としては安く石炭を買おうというのは当然です。ですから、そのことは私は責める気持はないのだけれども、大臣としては、その政策はおかしいじゃないか、こう聞いているのですがね、そのことはどうお考えですか。
  160. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 ちょっと補足説明さしていただきたいのでございますが、国鉄の契約いたしております炭価は、山元炭価で契約いたしておりますので、途中のコストは、別に炭価を引き下げて契約をする。従来もそうなっておりますし、三十六年度の予算の計算の基礎もそういうことになっております。
  161. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その通りです。あなたのおっしゃる通り、山元炭価の契約ですね。しかし、千二百円というのは山元炭価ではないのですよ。揚地の炭価で千二百円が要請されておるのですよ。いいですか。千二百円というのは揚地の炭価で要請されているのですから、なお山元炭価は窮屈になるじゃないですか。それはできないということになるのでしょう。ですから、私は国鉄当局の購入価格についてとやかく言うのじゃない。しかし、国の政策上おかしいだろう、こう言っておるわけです。
  162. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 先ほど来私がたびたび、今度の運賃改定の目的を申し上げましたことで、おわかり願えると思うのでございますが、それはもちろん通産行政の合理化ということもきわめて大切なものでございまして、このことがあるいは多少影響するというようなこともあるかもしれませんが、それは通産省としてできるだけ合理化にお努めを願いたいという私の方は希望を持っておるとともに、先ほど来申し上げます通りに、話がありますれば、一つ相談に応じていろいろ話し合いをしたい、協力をしたい、こういう考えを持っておるわけでございます。
  163. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは私はどこか矛盾があるという話をしておるのですよ。矛盾をお認めになりませんか。この矛盾を政策上どう解決するかというのが次の段階ですね。この矛盾があるでしょう。
  164. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 これは通産省の行政の方の仕事で、合理化の問題でございます。われわれしろうとでわかりませんが、御専門の通産省の方から見ればいろいろ措置がありまして、運賃合理化によって、あるいは企業の努力、工夫、創意によって吸収できるじゃないかとも考えられたわけでございます。しかしながら、これを運用した今後におきまして、いろいろ通産省側の御希望があって話がありますれば、私はこの話に応じて将来協力いたしたいということを先日来御答弁を申し上げておるわけでございます。
  165. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 通産大臣を待つまでもなく、私が聞いておるわけです。これは矛盾しておるかどうかということを聞いておるわけですよ。これをお答え願いたいと思うのです。あなたは国務大臣ですよ。単なる行政の庁の大臣だけじゃない。国務大臣ですよ。
  166. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今までお話し申し上げたことで御了解を願いたいと思いますが、今申し上げました通り運賃の改定をいたすにあたりましては、今の響くということは考えましたけれども、そういうことが合理化のいろいろな措置によりまして吸収していただけるのではないかというふうに私どもは考え運賃の改定をやりましたわけで、初めから大きな矛盾があるということには考えておりません。しかしながら、将来運用の上におきまして、いろいろ通産省側からの御希望で話があれば御協力するように話し合いをしたい、こう考えておるわけであります。
  167. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が聞いておりますのは——今の時点で私は質問しておる。そうして今国鉄合理化をしなければならぬ、石炭も合理化しなければならぬ。そうすると端的に石炭の購入費一つをとってみても、そこに両方の政策の矛盾点が出てきておるわけですね。しわが……。このしわをお認めになりますか、こう聞いておるのです。
  168. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 それですから、そういうしわを、今の合理化というものはいろいろの措置があるのですから、企業経営の中へ吸収できるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。初めから矛盾があるから運賃改定が直ちに矛盾するものだというふうに考えていたわけではないのでございます。それですから、今後において運用の上でいろいろお話し合いがあれば協力いたしたいという態度でおるということを昨日来申し上げておるようなわけでございます。
  169. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が先ほど来保安のお話をいたしましたのは、今早急にこれ以上この炭価の値下げを山元において求めるならば、これは災害が続発しますよ、こういうことを今お話を申し上げたわけであります。その上に立って質問をしておるのです。ですからこの面で何らか解決をしなければならぬという段階にきておる。とのことを一つ経済企画庁長官、お認めになりますか。
  170. 迫水久常

    迫水国務大臣 ちょっと御質問意味を私よく把握いたしませんが、もう一回お願いします。
  171. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は千二百円の炭価のダウンということは、これは閣議決定で要請をされておる。そうしてその線に沿うて国鉄国鉄の立場からの合理化もあるから、なるべく石炭を安く購入しようということで予算を組まれておる。ところが千二百円の前提であるその運賃がすでにくずれておる。千二百円のうち、北海道では二百十円、九州では百円の流通部門の経費の節減を予定しておる。その大部分は運賃である。そうすると、少なくとも流通過程における合理化というものは不可能になってきたわけですね。それなのに千二百円のダウンを予定して、そして今後三年間に分断をして二百三十円くらいの引き下げの予算が組まれておる、こういうわけですね。そこでそれは矛盾しやしないか、こう言っておるのです。
  172. 迫水久常

    迫水国務大臣 今回の運賃の値上げが流通部面におけるコストのダウンの障害になるのだという話は通産省から聞いております。そこで、今の御質問国鉄予算の組み方、予算炭価のきめ方がおかしいと思うか思わないかということをお聞きになっていらっしゃるのだろうと思います。つまり千二百円のコスト・ダウンが当然できるということを前提とした購入炭価をきめているようであるが、それはおかしくないか、こういうことをお聞きになっていらっしゃるのだろうと思います。そこで、これは千二百円のコスト・ダウンができないということをきめ込んでしまう、それならそれは確かにおかしいかもしれませんが、通産当局は、運賃の値上げがあった場合に、さらに千一二百円のコスト・ダウンをする場合にはどうすればいいのか、場合によっては運賃の方にももうちょっと考えていただかなければならないしというようなことで、これから考えていくのだと思います。その線において通産省と運輸省との間で話が始まれば、私の当然の職責として調整の役も買って出なければならぬかと思っておりますが、さしあたりのところ千二百円というコスト・ダウンというものを一応前提として今進行しておるのでありますから、一がいに国鉄の炭価のきめ方がおかしいじゃないか、矛盾するじゃないかということは言えないのじゃないか。これから先千二百円のコスト・ダウンというものがどうしてもできない、それを今度は改定する段取りになってから初めてその問題は一つ出てくる。その場合には予算の足りない問題とかなんとかいう問題は起こってくるかもしれませんけれども、今日の段階において国鉄がそういう計算をしたということは、私は必ずしも不合理じゃないのじゃないかと思います。これは経済企画庁長官答弁をする範囲じゃなくて、昔、私は大蔵省におりましたから、大蔵省の予算の査定のときは大体その時点において一つ原則できまっておったということを思い起こしますと、国鉄予算のきめ方というものは間違えておる、こういうことは一がいに言えないのじゃなかろうか。ちょっと企画庁長官答弁の範囲外で申しわけありません。
  173. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は国鉄当局が予算を要求するということは、間違いない、いいと思う。それは当然です。しかしそこに矛盾が出てきておるのですから、その現実の矛盾点を解決する政策が必要じゃないか、こういうことを聞いておるのです。そこで矛盾があるということを運輸大臣は認められるか、こう言うけれども、なかなか的確な答弁がないから時間がかかったわけです。このしわというものはどこかで救済してやらなければいかぬ。政策的、政治的にどうしても運賃値上げの問題を解決してやらなければならぬ。国鉄だけが高く石炭を買うなんということは、これは政策のらち外だ。そこで問題はむしろ運賃の問題で全体的に見てやらなければならない問題が起こっておるのじゃないか、こう言うのです。これはどのようにお考えですか。
  174. 迫水久常

    迫水国務大臣 そこで通産省がこれから千二百円の合理化の方法を具体的にどうするかということを考えるのだと思います。そうして運賃から出てくるところのしわというものをどう調整するのか。運輸大臣は、先ほどからしきりに、これは通産省所管の方の何らかの考慮でもって吸収してもらいたいということを言っておられるのですけれども、はたしてそういうことができるかできないかはわかりません。もしどうしても運賃の方にも考えてもらわなければならぬということになれば、おそらく通産省は運輸省に御相談になる。両方ともなかなか話し合いがつかなければ経済企画庁がその間に入って調整する、こういう段取りになると思っております。
  175. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私はこの運賃値上げの法律が通過した後に話し合うということは国会を軽視したものだと思うのです。そういった政策的な問題は、農作物にしても、あるいは硫化鉱その他のメタルの鉱石にいたしましても、あるいは石炭にしても、すでにこういう法案を出す以上は、今国の大きな柱になっておる問題をはっきり閣議で意思統一をして国会に出されるのが当然至当である。少なくともこの法案が通過した後に話し合うなんということは言語道断だと思うのです。一般的な値上げムードとか、あるいは通勤者とか通学者とか庶民に与える影響というもののほかに、貨物としてはこういった問題が大きな焦点になっておるのですから、少なくとも今の時点においてはっきりした解決をして答弁されるのが至当じゃないですか。この法案はまさに衆議院を通過せんとしておるのです。いまだにきまっていないというような不見識なことがありますか。
  176. 迫水久常

    迫水国務大臣 私はこういう問題が一切調整されてきまってから法律を出すのが確かにいいと思いますけれども、しかし率直に申しまして、石炭の合理化に対する影響という問題が出て参りましたのはずっとあとのことでございまして、従ってこの問題は国会で御審議を受けるこの法律案の範囲の中で、いわゆる法律の限界の範囲内で調整のできる問題であるから、法律が通ったあとで相談しよう。私はこれは言い過ぎかもしれませんけれども、この問題は場合によっては、財政の方の大蔵大臣にも相談に乗ってもらわなければならぬ問題ではなかろうかと実は思っておるのであります。そういうようなことでございますので、そういう調整ができてからでなければ法律案は審議すべきじゃないという御議論にはちょっと賛成しかねます。
  177. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 少なくともこの国有鉄道運賃法の改正のいろいろな困難なる諸点が解決を見て、政府としては意思決定をして臨むべきですよ。それができないとしても、われわれ長い間審議してきたのですから、この質問が本会議でもなされているのですから、衆議院の審議が最終段階にきたときぐらいはもうちゃんとした意思決定をしなければ、一体法律が通過をした後に話し合うなんということがありますか。問題点が一つも解決しないで、われわれに法律を通過させるわけですか。どうですか、運輸大臣
  178. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 昨日も連合審査会の席上でお答えを申し上げたように記憶しておるのですが、今回の運賃改定にあたりましては、全品目について一律に改定をいたしましたことは御存じの通りでございます。従いまして、いろいろ御希望のある、石炭はどうである、農林水産物はどうだという一つ一つのことを考えますると、運賃改定の今度の方針、基礎というものを根底からくずしますので、今度改定案を作りますときには、そういうものを考えなかったわけでございます。ただいま申し上げましたように、この合理化の問題は、通産行政として合理化にいろいろの措置があるのではないかというようなことも私どもとして考えられまするが、通産大臣として私に対していろいろお話し合いが始まりますれば、応じまして協力をいたしたい。それには、通産省側としてはこの問題について大いにお骨折り下すっておるようでございますから、今ここ富ですぐ結論を出してどうこうということは不適当で、この案を皆さん方の御賛成を得て実施をいたしましてから話し合いが始まるのがいいのではなかろうか、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  179. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今、日本経済で一番困っておる、解決のむずかしい問題は、農村の問題と石炭の問題と海運の問題ですよ。これが日本経済の大きな困難な柱ですよ。ですから、農作物の問題、石炭の問題、この困難な、今、日本の政治の課題になっておる問題が解決せぬで、黙って衆議院を通過さして下さい、こんなことができますか、われわれは審議できませんよ。はっきりして下さい。あなたは応ずると言っておるでしょう。法律案が通過した後に応ずるという態度でなくて、との問題は審議中にちゃんと解決してもらいたい。どうですか。委員長はこういう大きな問題をそのままにして、さらに議事を進行するのですか。
  180. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 先ほども……。   〔「委員長」と呼び、その他発言する者あり〕
  181. 三池信

    三池委員長 大臣答弁しておられますから……。
  182. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 先ほども企画庁長官から申し上げたことですでに御納得を願っておることじゃないかと思うのでありますが、この考え方については、今のようなお考えのこともあると思います。しかし一方、さっき企画庁長官が言われたような考えもあるわけで、人おのおの考えがございますから、私どもはただいま申し上げたような考えでこれを進めたい、こう考えておる次第でございます。   〔「人おのおの違うというようなことでいいのか」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕
  183. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず通産大臣お尋ねいたしますが、通産大臣は本会議でのわが党の質問に対して、鉄道運賃の改正による運賃値上げ分まで生産面において合理化によって吸収することはきわめて困難な状況である、こうおっしゃっておる。これは間違いありませんか。
  184. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今でもその通り考えております。
  185. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 運輸大臣お尋ねしますが、私たちは法律が通過をした後に話し合ってもらうのでは意味がないのです。私たちは今わが国における大きな経済中心問題について運賃の面からいろいろ掘り下げておるわけです。ですからこの問題をはっきり政府として御答弁にならないと、私たちは法律が通過をした後の課題としては残しておくわけにいかない。そこで少なくとも衆議院の審議中にこの問題は政府の統一見解を明らかにしてもらいたい。これに対する御答弁をお願いします。
  186. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 同じことをお答えするようでまことに恐縮でございますが、将来この問題について話があれば応じて協力をいたしたいということを先ほど来お答えしておるのでございます。
  187. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣通産大臣からお話がないとこれについてお話しにならないのですか。われわれが質問をしたのについては答弁なさらないのですか。われわれが質問していることについてどうして答弁できないのですか。大臣が相談をしなければできないのですか。なぜそういうことをお考えですか。国会を軽視しておるじゃないですか。
  188. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 国会軽視などという考えは、私も国会議員ですから毛頭持っておるわけではございません。それですからきのうからこういう問題に対しての御質問がありましたときに、今申し上げたような御答弁をしているわけで、先ほど企画庁長官も同じような趣旨の御答弁があったわけですから、これは政府考え方は一致いたしておるものと考えております。
  189. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 昭和三十六年の二月九日に、通産省の企業局長から運輸省の鉄道監督局長にあてて鉄道貨物運賃の値上げについて申し入れがなされております。さらに二月二十八日、本院の本会議において質問をされておるでしょう。もうすでに一カ月以上になるですよ。いまだにその話し合いが行なわれていないというのはどういうわけですか、通産大臣
  190. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 企業局長からまだ報告を受けておりませんが、大体においてこの問題については申し入れをしておるかもしれません。しかし問題は法律がまだ通過しておりませんから、この段階においてはただ予備交渉の程度だろうと思います。
  191. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 通産大臣がかねがねおっしゃっておるでしょう。今の日本経済成長度が非常に高くて心配する産業がない、通産省管内では石炭とメタル・マインの一部だとおっしゃる。その重大な重病人の問題をいまだに局長が申し入れをしたかどうかよくわからないという。さらに二月二十八日に本会議質問をしている、それに対して答弁があったのですから、早急に私はきょうの休憩時にでも緊急閣僚会議でも開いてやってもらいたいと思う。このままでは審議できませんよ。   〔「休憩々々」と呼び、その他発言する者、離席する者あり〕
  192. 三池信

    三池委員長 この際申し上げます。二十分から本会議だそうでありますから、これにて暫時休憩をし、本会議の終了後再開をすることといたします。    午後二時六分休憩      ————◇—————    午後六時三十八分開議
  193. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。   〔委員長退席、川野委員長代理着席〕   〔川野委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 三池信

    三池委員長 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。
  195. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 石炭運賃割引の問題について、先ほど休憩がございましたが、その間にあるいは運輸大臣通産大臣、また企画庁長官より、この問題は大蔵大臣とも相談をしなければならない問題がある、こうおっしゃっておられましたが、これらの大臣が御相談になった結果を運輸大臣からお知らせ願いたい。
  196. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 石炭の合理化の問題は、申すまでもなくあくまでも通産省の主管でございますので、本問題につきましては通産大臣から御説明申し上げることが適当だと考えております。
  197. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今回の国鉄運賃値上げに対しまして、新たに石炭に課せられる負担につきましては、できる限り合理化によってこれを吸収したいと思うのでございます。従いまして、この問題につきましては困難ではありますけれども、なるべく早く考究してその見通しをつけたいと考えます。ただ、全部これを合理化によって吸収できないかもしれない。そういう場合におきましては、政府部内においてしかるべく協議をして問題の打開に努めたいと考えます。
  198. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 通産大臣は二月二十八日のわが党委員質問に対して「運賃値上げ分まで生産面において合理化によって吸収するということは、きわめて困難な状況になる」こうおっしゃっておるし、また本日もこのことを御確認になった。今の答弁は、私はいささか違うと考える。この点は、私は少なくともこの法案の審議中に解決されるべき問題であると思う。というのは、国有鉄道運賃法を法律としてなぜ国会にかけるか。公社でしておりますから、本来ならばこの一般会計からどのくらい財政投融資をし、あるいは一般会計から支出するかということを審議をして、運賃の問題は法律事項でなくてもけっこうなんです。ところがなぜ法律事項にしておるかというならば、これは第一には、公正妥当な料金であるかどうかということ、第二には、産業の発達に資するかどうかということ、第三には、賃金及び物価の安定に寄与するかどうか、第四番目には、これは企業でありますから、原価を償うものであるかどうか、こういうことであって、われわれが審議する対象としては当然公正妥当であるか、他の産業にどういう影響があるか、あるいは賃金、物価にどういう影響があるかということを審議しなければならない。その最も影響のある農産物あるいはメタル・マイン、あるいは石炭の運賃の問題が解決せずして、これを法律が通過をした後に話し合うということではわれわれは承服できない。そこで私はすみやかに一つ企画庁長官運輸大臣あるいは通産大臣、さらには大蔵大臣を交えてこの問題をはっきり答弁されることを要望して、私はここに質問を留保して一応終わりたいと思います。
  199. 三池信

  200. 久保三郎

    久保委員 ただいままで石炭に対する問題が中心になっており、あるいは農林水産物資の問題も出ておりましたが、私が一つお尋ねしたいのは、今日の国鉄輸送の大半を占むるものといってはなんでありますが、一番多く輸送するものは石炭であります。二番目が木材、その次がセメント、石灰石、砂利及び砂、肥料、鉄鋼、鋼材、その次に硫化鉱、こういうものが大体上位から八位までです。  そこで経済企画庁長官お尋ねしたいのでありますが、高度成長をこれからやっていくのだというのが政府の御方針であります。ところが、基礎物資のしかも大半が国鉄運賃の値上げによって、ただいままで問題になっております。これではたして完全にいくのかどうか、石炭一つだけでなくして、そういうふうに上位八位までが基礎物資である。これに対してどうお考えですか。
  201. 迫水久常

    迫水国務大臣 物価に対するはね返りに関しての御質問だと思いますけれども、私はそれは大体産業の生産性の向上によって吸収されまして、物価には影響をしないと考えております。
  202. 久保三郎

    久保委員 物価に影響しないと考えておるというのでありますから、これはわれわれの見解とは違う、これは平行線でありますので、こんなことをいつまで言っておっても仕方がないのですが、それに対する裏づけを聞きたいのです。どうして物価に影響しないのか、あるいは今までの運輸委員会でも、運輸大臣は過去の例をとられてそんなものは問題なかったと言っておられるのですが、問題があるかないかは、これは過去の例だけではとり得ないと思うのです。だから一応の見通しとしてどういうことなのか、世間はやはりこれに対して大きな疑問を持っております。これについて、もう少し明快に了解されるようにお答えを願いたい。
  203. 迫水久常

    迫水国務大臣 要するに生産性は日本産業におきましては逐次向上いたしつつございますので、生産性の向上によってコストが下がって参りますので、結局その運賃の部分はそれに吸収される、こう考えております。
  204. 久保三郎

    久保委員 運賃合理化によってその中に吸収されるというものも多少はありましょう。全然ないとは言えない。ただし硫化鉱というようなもの一つとりましても、昨日も話が出ておりました通り価格の大半を占めるものがそういうものである。値段の大半が運賃である。こういうものは合理化によって吸収されるところがない。しかも金属鉱山の、たとえばマンガン鉱山一つをとりましても、あまり大きな鉱山はございません。中小企業の部類です。これに対してはどういうふうに考えておられますか。
  205. 迫水久常

    迫水国務大臣 結局マンガンを使ったり、硫化鉱を使ったりする方が——要するにこれは原材料ですから、そちらの方の生産性の向上によりまして運賃は逐次吸収されていく部分が多いと思っております。ですから中小鉱山それ自身が運賃の値上がりを全部かぶるのだというものの考え方は必ずしも当たらないのではないかと思います。
  206. 久保三郎

    久保委員 あなたの経済理論ではそうかもしれませんけれども、私は理論を越えた現実からいけば——実際に現実はとうといのです。その現実からいけば、御案内の通り中小企業にみんなしわ寄せがくるわけです。まず第一に資本構成からいっても、中小資本と大資本、これは御案内の通りです。なるほど大企業の中では吸収される部分もあるでしょう。だが、中小企業は、残念ながら吸収でき得ない立場に今日ある。それが二重構造といわれるものです。さらにこれに拍車をかけるような基礎物資、こういうものが運賃値上がりすることは大へん問題がある。そこで私はこれを続けるつもりはございませんが、まず第一に十河総裁と運輸大臣お尋ねしたい。問題の一番重点は、たとえばいわゆる鉱石等を中心とした運賃の値上がり問題、農林水産物資の運賃の値上がりの問題、この運賃値上げが従来の例に比較して前広に今日まで国民大衆に理解されるようになったかどうか。私の知る範囲では、突如としてこの運賃値上げが出てきた。しかも一律。こういうところに今日問題がありまして、多賀谷委員が今まで質問している通り、それに対してお答えがありましたが、これから運賃法が通って将来においてやろうという。ところがその場合に、各大臣とも言葉の中にはいろいろ相違がある。相違があること自体にやはり唐突として運賃値上げが決定をしてくる。少なくともこれは各階層にとっては重大なことなんです。だから十分に理解せしめ、その意見をよく聴取して、そうしてその後運賃値上げはどうあるべきかということで、コンクリートして国会に提出すべきではなかったか。ところが、先ほど申し上げたように、急転直下のごとくこれが出てきた。十河総裁にお尋ねしたいのは、さらに先ほども申し上げましたが、従来国鉄経営の問題の難点は何かといえば、五百二十五億に上るところの公共負担である、いわゆる運賃の割引である、あるいは新線建設の問題であり、赤字線区の問題である、こういうことを世の中に訴えてきた。事実その通りでしょう。しかし一挙にしてこれが運賃値上げに転嫁されてきたというところに国民大衆は理解し得ないものがある。国鉄の真意についてなぜ前広にしなかったか。運輸大臣と十河総裁からお答えを願います。
  207. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今回の国鉄運賃の改正がどういう影響を及ぼすかという問題を考える場合に、一体その品物が総生産高の中でどのくらいの部分が国鉄によって運ばれるかというようなことも考えてみる必要があるように思います。たとえば総生産の分量の中のごく少ない部分が国鉄輸送に待つというような品物で、その際に国鉄運賃の改定がありましたならば、おそらくその品物の価格の中に占むる今度の国鉄運賃の改定の値上がりはきわめて微細で、ほとんど影響がないように常識上考えられるのでございますから、これは全生産量が国鉄によって全部輸送されて、しかも国鉄運賃の改定がありましたということならば、そういう過程であるらば、その価格の中に占める今回の国鉄運賃改定の割合というものは非常に大きいかもしれません。御承知通り、現在はいろいろの貨物を調べてみましても、その品物の全生産量のある部分が国鉄によって輸送されるということを考えて参りますと、その品物の価格の中に占むる今回の運賃改定の割合というものは、おのずからそう大きなものではないというふうに私どもに考えられるものが相当多いのではないか、こういうふうに考えておる次第でございまして、詳細は国鉄当局から品物についてあるいは御説明ができると思いますから、御聴取をお願いしたいと思います。
  208. 十河信二

    ○十河説明員 ただいま大臣からお話がありました通りでありまして、われわれといたしましては、運賃を値上げしていただくということを決定せられましたのは、十二月の初めか中ごろであったかと思います。それからは一生懸命にあらゆる機会に国民の御理解を得るように努力いたしまして、新聞等の論説などを見ましても、努力が報いられて皆さんの御理解をある程度は得られたように私どもは考えております。
  209. 久保三郎

    久保委員 委員長にお願いしますが、運輸大臣は私の質問に答えられていない。私がお尋ねしているのは、運賃値上げを急転直下のごとくやってこられたのはどうしたことか。だから今日運賃法が出てきてから、政府部内においてもいろいろ問題があって、運賃法だけ通して、あとで何とかしましょうというようなことを今言っておられるので、多賀谷委員質問を保留された。これにお答えにならない。また十河総裁も運輸大臣と同じような答弁をされている。私があなたに聞きたい重点は、従来国鉄の制約となっておるのは公共負担である、あるいは新線建設だ。これが必要なことはわかっておる。これはしかし国家の政策だから、よろしく国家においてめんどうを見てもらう方がいいのではないか。国鉄独立採算制である。その中でこれを強要されることは、とてもじゃないが経営はうまくいかない。こういうことを強調されて参った。それに先ほどの御説明ではちっともお答えにならぬ。去年の十二月ごろからそろそろ話が出て、新聞や何かの報道機関の御協力も得て御理解がいったというのだが、それは国鉄の見ようだが、なるほど運賃値上げは唐突に出てきて、今までの主張はどうしたんだろうか。しかも新聞論調を見ましても、御承知通り公共負担や新線建設の問題がやはり大きな問題になっておる。だからあなたにお尋ねをしたいのは、こういうふうに急転して転嫁したということは、どういう理屈なのか、これをお尋ねしている。それにお答えいただきたい。
  210. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 大へん失礼をいたしましたが、今の御質問は、突如としてこの運賃改定を出してけしからぬというふうな御質問でございますけれども、私どもの方といたしましては、非常に慎重に審議をいたしまして、運輸審議会におきましても、十分これを審議して、適切妥当なものだという答申がございましたので、案を具して御審議を願っておる、かようなわけでございまして、軽率にこれを出したというようなことはございません。慎重に審議し、運輸審議会の答申を待って、皆様方の御審議をお願い申し上げておるという慎重な手続を経ておるわけでございます。
  211. 十河信二

    ○十河説明員 国鉄としては最も急を要することは輸送力増強であります。輸送力の不足で国民に御迷惑をかけ、経済の発展を阻害いたしておりますから、どうしてもこれは急を要するということで、大蔵省へ概算要求をいたしましたときは、とりあえず私どもは全部借金によってやるということで概算要求をいたしたのであります。数日前から大臣その他よりたびたび御答弁もありましたように、それでは大へんな利息を負担することになって、国鉄の財政はとても持たないということで、一部分は政府の方の、ごくわずかでありますが、利子の補給というふうなことでやっていただきますし、一部分は借金を増加する、一部分は利用者に負担していただく、こういうことに総合的に全体を見てきめられて、それで今日までやって参ったのであります。そういうふうにきまってからはわれわれは一生懸命にPRをして、国民の御理解を得るように懸命の努力をいたしておるのであります。
  212. 久保三郎

    久保委員 私の質問に答えておられません。私が申し上げたいのは、今日の世論というのは、国鉄経営あり方をこの辺ではっきりしろというのが大ざっぱに言って世論だと思うのです。それはとりもなおさず公共企業体としての性格にいずれか決着をつけろ、それがいわゆる公共負担の問題であり、新線建設の問題なんです。だからそういうものを引っ込めて安易な形で今日いくとするならば、線路をまくらに討ち死にしても鉄道を守ると言った十河総裁の立場としては、残念ながら私は是認できないのである。あなたに課せられた使命というのは、今日世論になって、もうこの辺で決着をつけなければいかぬぞというような世論なんだから、その世論にこたえるのが総裁としての任務ではなかろうか。なるほど当面目の前の隘路打開の問題もあるでしょう。しかしイージー・ゴーイングな立場でいって、先般の運賃値上げの結果はどうなったか。第一次五カ年計画はどうなったか。これは私は時間がありませんからくどく申し上げません。計画は当初からくずれてしまった。こういうことを考えると、あなたに課せられた使命というものは私はそれだと思う。私は別に答弁を求めませんが、十分に戒心していただきたいと思うのです。  それでは運輸大臣、あなたに続いてお尋ねしますが、少なくとも前広に、もっと早くから運賃改定はこうするのだという案を、腹案なり何なりを発表して、国民の世論をしさいに聞けば、あるいは各閣僚の意見を聞けば、今ごろ石炭はどうする、あるいはマンガンはどうするのだ、硫化鉱をどうするのだ、あるいは農林水産物はどうするのだというようなことで、これはあとで御相談に応じますとか、調整の任務を、私が任務でありますからやりますというようなことは出るはずがない。政府部内においてさえ問題がある。ましてや国民の間に今日問題が出てくるのはあたりまえなんです。こういうやり方はいわゆる民主政治の名に反するということです。だからどうしてもこれはやらなければならぬというならば、なぜもっと早くからPRしなかったか。今ごろになって第二次五カ年計画がどうしても資金手当ができないからこうだ、これが不届きだというのです。  それからもう一つ続いてお尋ねしますが、これは経済企画庁長官運輸大臣、あなたにお伺いします。所得倍増計画では、まず何といっても政府の責任は社会資本の充実だといっている。その通りでしょう。社会資本の充実で、その中で取り上げられたのは、交通関係では何かというと、御案内の通り道路の問題です。四兆九千億、さらに港湾は五千三百億、国鉄は二兆一千億、前期五カ年が、道路が二兆一千億、港湾が二千五百億、国鉄が一兆円という、これは一応はその通りだと思うのです。ところが道路港湾は行政投資の範囲に入れるというのです。従来もそうです。ところが同じ社会資本の充実として、しかも経済中枢国鉄交通中心国鉄、これの社会資本充実には、あなたの方ではたった三億を三十六年度の予算で組んだということです。しかも先般お尋ねがあってのお答えでは、この道路港湾は、御案内の通り政府はちゃんと五カ年計画という責任を持っている。ところがこの国鉄の五カ年計画にはそういう裏打ちが一つもありません。しかも第二次五カ年計画の資金計画は、先般ここで答弁された国鉄当局の発表によれば、総額一兆一千八百億だ。しかもそのうちの約六千億という大半のものは借入金、あとの五千何百億かはいわゆる企業収入からまかなっていく。企業収入というのは運輸収入である。運輸収入というのは、これは過去においても経験の通り交通の需要というものはいわゆる規律できない他動的なものです。一兆億の所得倍増計画のように順調に伸びるかとうかという問題を考えれば、これは実際伸びるかどうかもわからぬのですよ。経済企画庁長官お話しの通り、池田総理も言う通り所得倍増とは、十年間にそういうふうにしていきたいものだという一つの願望なんだ。しかも経済自由主義で貫いていく。そうだとすれば、この五カ年計画の裏打ちの半分の運輸収入によってまかなうところの資本というか、これは不確実であるということをまず考えなければいかぬ。さらに借入金の六千億に近い金が裏打ちはない、政府が保証していない。だとすれば、同じ交通機関道路港湾はなるほど順調にこれは整備する。ところがけさほどお尋ねしたように、国内におけるところの陸運のいわゆる総合的な交通体系の新しい姿を作り出す基本の中の一つには、原価主義中心にした運賃をやっていく、これは自由主義経済であるからやむを得ないのだ、こういうことをあなたはおっしゃる。だとすれば、片方は固定施設、しかもこれは懐妊期間が長いのは同様であります。国鉄が一番長いかもしれません。ところが一番懐妊期間が長いものが、不安定な運賃収入と、何ら裏づけのない借入金を目当てに始まろうというのだが、さてこれがいけるかどうか。しかも自由競争でありますから、バス、トラックあるいは内航船、それと国鉄、この競争がどういう結果になるか。あなたのいうととろの自由主義ということでいくならば、だめになるものはだめになっていけという思想でありますから、結局固定施設が一番かかる交通というもの、その中でも鉄道が一番固定施設がかかる。でありますから、当然これは片方は政府の金で基礎ができていく、片方は不安定な二つの要素でできている。これはかないっこありません。そうなった場合に、はたして国内の総合交通体系ができるであろうかどうか。さらに税金の問題があります。なるほど税金でまかなう部分とまかなえない部分がある。ところが国鉄は国から資本を預かっている。だからそういう固定施設くらいは自分の金でやるということでありましょう。そういう思想でありましょう。ところが、同じベ−スに立たないで、あと一つ競争しろというところに問題があるし、国から預かった財産から得たいわゆる利潤というものは分配の必要はないのでありますから、これは輸送のサービスの向上、あるいはそれ以上にもうかれば運賃の低減、こういうことでもっていくのが正しいあり方なんだ。だから私は申し上げたい。こういうことではたして総合的な交通体系確立できるのかどうか。さらにこういうことでこの上に公共負担、国家の政策、こういうものを背負い込ませておいて、しかもその転嫁をして運賃収入に求める。借入金の利息もその返還も、もとをただせばこれは全部運賃だ。結局利用するものに国家の政策としてやっていく、こういうことはわれわれは理解し得ないのだが、これについてどうでしょう。
  213. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 なるほど今御説示のように、道路とか港湾の方は公共事業費でやるのに対して借入金というようなことで国鉄の方の五カ年計画をある部分でやることは不安ではないかというお説でありますが、借入金と申しましても、御承知通り公共的な資金とほぼ同じような性質を有しまする政府財政融資というものが相当の額あるわけでございますから、私は心配ないというふうに確信をいたすわけでございます。現に三十六年度におきましては三十五年度に比較いたしまして事業分量と見合いまして、外部からの借入金というものを百数十億ふやしておるような次第でございます。また一部の国鉄の捻出いたしまする自己資金としての利用者の負担、これがどうなるかわからぬというのですけれども、私ども従来の経済成長ぶりの趨向等をにらみ合わせますると、この国鉄の五カ年計画をまかなうのに間違いがないというふうにこれまた信ずるわけでございます。一方今御指摘になりましたような、政府の一般会計から負担いたしまする、国鉄の赤字として圧迫になる公共負担となりまするものに対しても、あるいは財政の都合で今後は、たとえば戦傷病者の無賃輸送というものに対して毛、さらに政府が負担をいたすということもまたあり得ますし、三十六年度からは、御承知通りに一番今まで問題でございました、幾度か鉄道建設審議会から建議がございましたごとくに、赤字累増の一つの基幹となりまする新線建設の利子補給も政府がいたすということに相なっておるのでございまして、かれこれこういうものを考え合わせますると、ただいま計画いたしておりまする五カ年計画の資金調達におきましては心配するようなことはなく、一方の道路あるいは港湾等公共事業費によってやるものと、ともどもに仕事を成長させていくことができるものであるという見通しを今日はいたして誇るわけてございます。
  214. 久保三郎

    久保委員 大へん失礼でありますが、木暮運輸大臣もこれから五年も続いてその席におられるとはだれも考えておらないのであります。池田内閣もそうでありましょうが、いずれにしても片方は一応政府の確定五カ年計画として出て参っておる。ところが一国鉄の五カ年計画でやっていくこと自体には問題があります。だからあなたが大へんうまいこと答弁されておりましても、資金の裏づけも財政投融資で十分やるから心配はないのだといっても、心配しない方が無理だと思います。心配するのが当然です。だから私はいわゆる公共投資を行政投資の中に全部含めろというような極端なことは言いません。しかしほんとうにこの内閣が本気で総合的な交通体系整備するのだというならば、せめてこの前期五カ年と国鉄の第二次五カ年計画にはやはり道路港湾と同じようなコンクリートされたものを提案すべきではないかというのです。もちろんあなたはそうだとはお答えにならないのでありますから、そういう答弁を聞いていても仕方がありません。先に参りましょう。  そこで、次に第二次五カ年計画の中で二、三関連してお伺いしたいのであります。先般も御答弁をなさっているようでありますが、あまり利潤を生まない施設の取りかえとか、あるいは線増とか、そういうものは大体運賃値上げでまかなうのだ、こういう御説明がありました。これはものの考えようであるかもしれませんけれども、少なくともこれはサービスの提供によって運賃と申せるわけですね。提供しないサービスでは常識として運賃のとりようがないと思うのです。鉄道運賃の中にいわれる原価というものにはいろいろな解釈もあります。これは学説でありまして、学問としてはいろいろな学問があります。ところが今まで答弁なさっている、あんまりもうけのないところは今度は運賃値上げでいくのだ、だからこの運賃値上げは妥当だということでありましょうが、懐妊期間が長くて、たとえば線増して輸送力をつけて輸送を緩和するということの期間は長い。始まらぬうちから運賃はとっていこうという、これはいわゆる庶民の感情としてはなかなか理解し得ない。だから、もちろん、そういうことでやっていくというのならば、少なくとも百歩譲っても、その施設が増強されてから初めて運賃値上げということで、なるほど借入金なり、その利子を払っていくのは当然です。ところがまだサービスの提供が始まらぬうちに、これを運賃でやっていく。これに対して矛盾はないのですか、いかがです。
  215. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 御承知通り都市に人口が集中いたしますので、東京などのような超過大な人口の都市ができて、ここにおきまする旅客輸送というものが非常に混雑をいたして、一日も早くこれを輸送増強によって解決しなければならぬことはどなたも反対のないところでございます。そこで運賃を値上げいたしましたものをもって、あるいは複線にするとか、あるいは電化をするというようなことでこういう問題を解決していきたいというのが、今度の運賃値上げの一つのねらいでございます。繰り返し申し上げますように、運賃改定によりましてできた資金でこういうふうな輸送力増強するとか、あるいは輸送機関を電化するとかいうことによって、利用者に対してサービスでもって還元するということなら、利用者もこの程度の負担には応じてくれるのではないか。いつまでも運賃が同じで、相変わらず複線もできなければ近代化もできず、輸送の緩和もはかれないというようなことは、おそらく利用者の賛成しがたいところであろうとも私どもは考えるようなわけでございまして、その意味で今度の運賃改定ということに踏み切ったようなわけでございます。借入金で先へ仕事をやって、サービスが向上してから運賃を上げてもよろしいではないかというお話のようでございますけれども、私どもの考えといたしましては、現在の国鉄運賃というものがほかの物価に比較いたしまして長い間低位にあるということも考え合わせまして、この際利用者の方にこの程度の負担をしていただいて、そうして輸送力整備増強して、サービスの形で利用者に還元していくということはやってもよろしいのだというふうにごがまんが願えるものであるという——これは見方の違いでございますが——考え方で今回の運賃の改定に踏み切ったわけであるのでございます。
  216. 久保三郎

    久保委員 あなたはやはり物価の問題にからんで国鉄運賃が安いとか高いとかいう話をされておりますが、そこで国鉄に関連してお伺いします。旅客運賃と貨物運賃のいわゆる原価というのはどういうふうになっているか、お伺いします。
  217. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 旅客輸送全体、貨物輸送全体を見ますと、前々御指摘通り、旅客輸送の方は黒字で、貨物輸送は赤字でございます。
  218. 久保三郎

    久保委員 旅客はパーセンテージをお示しになりませんが、これは係数として大体九十五、六だと思うのです。しかもその中で定期にしてもこれは原価以上に運賃がかかっていると思うのです。旅客運賃を上げる基礎というのは、庶民の感情では、国鉄がこの運賃収入では原価を償い得ないから上げるのだと考えておる。ところが今御発表の通り旅客運賃では、これは得をとっている、利潤を生んでいるということです。そこえなお運賃値上げをすることに対して、これは理解し得ないのが当然でございます。しかも物価とおっしゃいますが、物価にはいろいろございます。しかしその物価の問題は論争いたしませんけれども、国鉄運賃をきめる基礎は他の物価との比較できめるのでしょうか。よく言われるようでありますが、これも一つの学説でありますが、運賃決定運賃法によりますれば四つの原則がある、その中でも中心原価主義だとこうよく言われている。私はこれだけにはあまり承服はいたしません。たとえばこれが原価主義だとすれば、原価を償い得てなおかつ余るのならば、これは当然値上げの対象でなく値下げの対象です。そこに問題があります。これに対してどういうふうに国民に理解させたらよろしいのか、御説明をいただきたい。
  219. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 ただいまお話しのように国鉄運賃決定の方法は、原価主義であるとか、あるいは賃金、物価の点から見るとか、産業振興の点から見るとか、公正妥当であることを検討するとかいうような、四つの原則があるようでございます。そういうことで運賃をきめるのでございますが、今私が申し上げましたのは、今まで国鉄運賃あり方が、戦後ほかの物価の非常に上がったものに比べますと、きわめて低位にあると言ったのも、この際この程度の手直しをしても国民の皆さんからおしかりを受けないのではないかという意味で私は申し上げたわけでございまして、ほかの物価と比較して低いから、これはほかの物価と同じところまで上げようというような運賃改定の考え方ではもちろんないのでございまして、運賃改定はただいま申し上げましたような原価を償うものであるとか、公正妥当なものであるとか、あるいは物価、賃金を安定せしめるものであるとか、産業振興せしめるものであるとかというような四つの原則を総合的にかみ合わせまして、必ずしもその中の一つにのみ重点を置かずに決定いたしていくべきものであると私どもは考えて、今回の運賃改定もまたしかりと、こう考えておりますわけでございます。
  220. 久保三郎

    久保委員 あなたがおっしゃることも一つの理屈でありますが、この程度はがまんできるという思想は、負担力主義ということですね。この人にこの程度もらっても差しつかえはないのだ、負担ができる——ところがこの池田内閣の立てている所得倍増計画の大方針でも、国鉄が今までいろいろな機会に言っていることも、原価主義に近づけるのだ、こういうことなんですね。これは一つの矛盾ですよ。なるほどおっしゃる通りなんです。運賃決定というのは、なるほど原価に基づいてということもありましょう。さらにもう一つは、あなたのおっしゃる通り、公正妥当でなければならぬ。ところが公正妥当であるかどうか、これはもうかっているやつをまた値上げするということは公正妥当であるかどうか、こういうこともあるわけです。これについてはあなたは公正妥当だと思いますか、旅客運賃の値上げは。
  221. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 お答え申し上げますが、今回の運賃改定は公正妥当なものであって、この程度のものは適正妥当なものであると考えておるわけでございます。
  222. 久保三郎

    久保委員 あなたのお考えでは、妥当というところはあなたの主観でありますが、公正というのは、あなたの主観だけでは公正になりませんな。公正ではないと思うのです。あなたは原価主義を否定されたんだが、少なくとも原価主義を否定されても、公正妥当ではないだろう。もうかっているやつを値上げする必要はないじゃないか、あたりまえの話なんです。こうなってくるでしょう。これをお尋ねしているのです。いずれにしても、あなたのお立場とこちらの考えは違うようであります。私はそういう点についてあなたの御説明では理解し得ない一人です。
  223. 木暮武太夫

  224. 久保三郎

    久保委員 いいですよ。たくさんありますので、私も急ぎますから。  それからもう一つ、続いて五カ年計画に関連して国鉄にお聞きしたいのですが、これは貴重な運賃収入でありますから、投資効果を上げるように当然使わなければならぬ。ところが建設仮勘定は三十四年度末で五百七十三億に上っている。これは大へんな金である。これだけ運賃が寝ている、運賃でとった金が寝ている。これに対しては十河総裁はいかにお考えですか。
  225. 十河信二

    ○十河説明員 御承知のように国鉄の施設は、非常に長い期間を要する工事をしなければならぬのであります。従って今御指摘のように建設におきましては、特に寝る期間が多いのでありまして、これをできるだけ少なくするということは、われわれ懸命に努力いたしておりますが、今お話のように相当程度の、収益を生むに至らない改良前の寝ておる投資があるのは、これはある程度やむを得ないじゃないかと考えておる次第であります。
  226. 久保三郎

    久保委員 ある程度寝ているのはやむを得ないということ、これはあります。ところがあまりにも多いということを指摘されておるのです。もう一つはチェックの仕方が緩慢であるということです。これは指摘されていますね。こういうことを考えないで運賃値上げに持っていこうというところに、もう一つやはり理解し得ないところがあるわけです。私はもうあなたにその答弁を求めても仕方がありません。  さらにこの五カ年計画で、今までもそうでありますが、列車のスピード・アップをしたり、優等列車を増発するということが一つ眼目になっておりますが、そうでしょうか。
  227. 十河信二

    ○十河説明員 その通りでありまして、列車のスピード・アップをするのは、投下した資本をできるだけ回転を上げて、有効に使おうということであります。また、池田内閣は、地方的の格差をできるだけ少なくするということが大方針になっておりますので、われわれもその格差を少なくするように、地方中心地と中心地をできるだけ早く結びつけるようにしたいということを念願いたしておるから、そういうふうにやっておる次第であります。
  228. 三池信

    三池委員長 久保委員に申し上げますが、質疑の通告者もたくさんありますので、簡潔にお願いいたします。
  229. 久保三郎

    久保委員 簡潔にしておるのです。私は、もっと繰り返し同じような質問をいたさなければ、ほんとうのお話ができないのですが、委員長初め与党の諸君が急いでおるから、みな中途半端で切っておるのです、私の考えだけを申し上げて。しばらくその努力を買ってお許しを願います。  それで、優等列車を増発するということは、なるほど総裁ただいま御答弁通りでありましょう。ところが、ここで別な面で隠された運賃値上げの問題がある。それは優等列車をたくさん走らせれば、当然その中に入るところのローカル列車はおそくなるのです。そうでしょう。これは同じスピードじゃございませんから、先に出てもあとつかえるから、途中の駅で待避しておる。そうなるというと、必然的に、お金をたくさん出して、準急なり急行なり特急にお乗り下さいということで、これは運賃値上げの上にさらにこの運賃が上がっていく。せめてそういうことを、ほんとうにこのスピードを上げる、そうして利便を提供するというならば、この準急料だけはむしろ廃止したらどうか。たとえば、私は水戸であります。水戸から上野までは、準急は一時間四十分であります。ところが、みな朝準急なり急行がどんどん入って参ります。その合間を縫って、いわゆるローカル列車は上野に入るわけでありますから、当然二時間半で入るものが二時間五十分かかる。二十分もよけいかかる。さらに優等列車を増発すれば、御案内の通りローカル列車はさらにおそくなる。そうなりますと、何とか汽車賃を工面して、優等列車に乗ろうということで、今日では優等列車が込んでいるという現象です。これは別な面でいえば、いわゆる運賃値上げの変形であります。いわゆる形を変えたものであります。この救済策というか、これに対するいわゆる対策はどうお考えですか。
  230. 十河信二

    ○十河説明員 私は、国民国鉄をおあずかりしておるという立場から、国民多数の方の御希望はでき得る限り実現したい。優等列車を増発してくれという御希望はうんときておるのであります。各県知事、各市長から、その地方の県民なり市民を代表して、優等列車をもっと増発してくれという御要望が非常に強いのであります。私はその御要望に従ってやっております。
  231. 久保三郎

    久保委員 それは優等列車というか、早く着く汽車を出してくれということでありまして、それに準急料を払ったり、急行料を払っていくことを実際は好んでおりません。総裁は雲の上の方でありますから、庶民の心の中はおわかりにならぬと思うのでありますが、まあ仕方がない、そう時間がかかるのでは、準急料を払っても仕方がないから、せめて準急でも出してもらおうというのが、今日あなたが聞いている話なんです。私が言いたいのは、声が出ないこのローカル列車の方はどうするかということです。ローカル列車、いわゆる準急料金が払い得ない階級は、どうしたらいいだろうかということも考えてほしいということです。これは時間がありませんから別に答弁は求めません。いずれにしてもこれは問題です。形を変えた運賃値上げをだんだんやっていくということであります。  それからもう一つは、同じ二等車でも、ローカル列車の車両と準急の車両がだいぶ違うということも、これは納得しがたい一つの面であります。もちろん一気にはできないでしょうが、少なくともスピードの面とか、あるいはそうむやみやたらに準急料金をとるばかりが能ではない。この辺で物事は考えようがありはしないかということであります。  次に、運賃の問題でありますが、この運賃値上げの基礎はなぜ貨物が一五・八%で旅客が一四・六%なのか。この積算というか結論の出てきたゆえんは何でありましょうか。
  232. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 旅客と貨物の分担の割合でございますが、総額四百八十六億の金が要るということを前提といたしまして、それを客貨に分割いたします際に、たとえば戦前との客貨の運賃の上がり方の違い、あるいは原価上の問題、あるいは今後の投資の客貨の配分の問題等いろいろ考えました末、貨物につきましては二百八億、旅客につきましては二百七十八億というふうに分割いたしました。
  233. 久保三郎

    久保委員 なぜそういうふうに分割されたか、その理由をお示しいただきたい。
  234. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま申し上げました三つのことを総合的に勘案いたしまして、たとえば今後の投資につきまして見ますと、先生のごらんになったように、今度の五カ年計画は大体旅客、貨物半々というような見方であります。また今までの倍率から申し上げますと、貨物につきましては、戦前に比較いたしますと一九0幾つで、旅客運賃より相当上がっております。そのために貨物の倍率を押えるという意向もございます。逆に先ほど私が申し上げました通り、貨物の方は相当赤であるというようなことも考えまして、たとえば四百八十六億を半々にするということも考えられますが、多少旅客収入が現在多うございますので、大体現在の客貨の収入に按分いたしまして今の金額ができたわけであります。
  235. 久保三郎

    久保委員 どうもそのやり方については私もなかなか納得できないのでありますが、とにかく四百八十六億を頭に置いて、この割り振りだけで持ってきたということは、どうも安易な運賃値上げじゃないだろうか、こういうように思うのです。むしろ今日国鉄は、今までの主張あるいは世間からの要求というか意見、こういうものからいけば、国鉄運賃体系確立というものがまず先決ではなかろうかと思う。運賃体系をそのままにしておいて、四百八十六億のいわゆる割り振りだけできめていくということに一つは問題があると思うのです。運賃体系確立というのは大体この程度でよろしいのか。どうなんでしょうか。
  236. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま先生のおっしゃいました運賃体系確立につきましては、御承知通り、昨年当委員会の御承認を得まして、一部貨物運賃につきましても是正をお認め願いましたし、また旅客運賃につきましてもお認め願ったわけでありますが、今回さらに是正を加えますと、非常に一部のものの影響が強くなりますので、今回はその是正を行ないませんで、一律に行なったわけでございます。しかしながら、これによってただいま先生の御質問のように、運賃制度の是正が終わったかと申しますと、私どもといたしましては、今後の自動車の発達あるいは飛行機、船舶の発達等々考えまして、必ずしもこれで終わったというふうには考えておりません。
  237. 三池信

    三池委員長 久保君まだ質問がたくさん残っておりますか。
  238. 久保三郎

    久保委員 ございます。  今度の運賃値上げのやり方はどうも唐突にやらざるを得なくて、それで四百八十六億の資金捻出ということに重点があって、あまり実態に融れておらない。そこにやはり先ほどの問題が出てくると思うのです。そこで、特にその中でも指摘したいのは、収益中心主義でやっているのではなかろうか、こう考える。たとえば、旅客運賃の三百キロまでは大体一四・六だが、三百キロ以上は一二・五%の値上げだ、こう言っておる。ところが、国鉄の旅客のいわゆる大半というものは、三百キロ以内がほとんどなんです。そこで一つ大幅な値上げをやっていく、こういうことは、もちろん遠距離逓減法というか、こういう問題もありましょうが、これも一つは問題の点だと思うのです。これはどういうふうに理解されておりますか。
  239. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、実は昨年の国会で御承認願いました運賃制度の改正によりまして遠距離逓減を是正いたしましたので、遠距離運賃が去年から多少近距離運賃より上がっておりますので、今回は遠距離の力を少しでも軽くするという意味で遠距離を下げたことが一つ。大へん技術的なことで恐縮でございますが、近距離運賃の半分が遠距離運賃といたしておりましたところ、二円七十五銭という端数がつきました。との端数を半分にすることができませんので、結局一円三十五銭から一円四十銭ということになりましたので、一円三十五銭にいたしたわけであります。
  240. 久保三郎

    久保委員 さらに、貨物の遠距離逓減を修正するということで、五百キロから八百キロの間を修正されているわけですが、これはどういう理屈なんでしょうか。
  241. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 貨物の輸送原価から見まして、基準等級に対しまして二百七十キロからずっと赤字になっております。従いまして、二百七十キロから少しずつ修正いたしまして、五百キロから八百キロの区間が一番修正率がひどいわけであります。しかしながら、千五百キロになりますとまたもとの一五%に戻しておりますので、結局中間の非常に原価割れのはなはだしいところにつきまして修正をいたしたわけでございます。
  242. 久保三郎

    久保委員 実はこの地帯が一番鉄道分野だと思うのであります。最近のトラックの発達、こういうことになりますと、大体三百キロあるいは五百キロ近くまでがトラックと競合する部門、それ以上が国鉄の早く言えば独占地帯、この独占地帯を、今のような御理論はあるかもしれませんが、値上げするということは、収益中心でいったのではなかろうかという疑問を私は持っております。それはいわゆる運賃体系をくずすものである。先ほどの前提は、四百八十六億を割り振るのに一四・六の一五・八とした。ところが片方では、今の御理論からいけば、いわゆる原価割れしているから、そこを修正をしたのだ、これは運賃体系の修正だということできておりますが、実際は、旅客運賃の三百キロ以下の問題、貨物運賃の遠距離逓減の修正というのは、どうもわれわれは収益中心でやっておられるのではなかろうかと思う。これは四百八十六億をどうにかまかなおうという一つの工作であって、真実の運賃体系の修正や理論ではない、理論を越えたものである。理論以前のものである。これではますます国鉄運賃体系というものは残念ながらくずれ去って合理的になりません。合理的な運賃体系を作ることが、いわゆる経済成長の土台になる国鉄企業を健全にする。ところが運賃値上げの現実の姿と、その政府の大方針とはここで矛盾しておる。この矛盾をこのままにしていけば、先ほどのように、ここにおられる閣僚の中で意見が違うようなことがだんだん出てくる。こうなったときに、国鉄の第二次五カ年計画はスムーズにはいかない要因がここにもある。さらにほかの陸運輸送機関、特に新興輸送機関の今日の発達に伴って、これはその面からもくずれてくる。こういうことで、今日の運賃値上げというものはあまりにもイージー・ゴーイングの道をたどっておる。これでは十河総裁にしても、線路をまくらに討ち死にする覚悟であると言うがいずこにその気概ありや、こういうように言いたい。せめて運賃体系確立をやってきて、これかこうだというならば理解もしよう。ところが矛盾だらけです。矛盾だらけでやることが今日大きな問題になっておる。だから、たとえば電車環状線の定期の運賃にしても擬制キロを撤廃してやっていく、こういうこと自体もこれは問題です。それで定期はもうからぬもうからぬといっておるが、もうかっておるのです。もうかっておるのに運賃値上げをされてはたまらぬ。もうかるはずです。足が地につかない、床につかない、これはもうかっておるからです。こういうことを解決しなければ、実はこの運賃値上げは国民大衆に理解されないということでありまして、私が先ほどから運賃の問題で申し上げておるのは、いわゆるそういう理解をさせるような仕組みにはなっていないのだから、総裁や運輸大臣がそれぞれの向きでPRして御理解をいただいたというが、ちっとも理論と実際が合っていないということでありますから、理解のしようがないということであります。運輸大臣、こういう問題についてあなたはとういうお考えですか。私が先ほどから申し上げたように収益中心主義でいっておるわけです。運賃体系確立するということはどうもさっぱり前進していない、こういうことでありますが、これはどういうふうに考えますか。
  243. 木暮武太夫

    木暮国務大臣 今回の運賃改定につきましては、前からいろいろ申し上げております通りでございまして、いろいろ考えはございましょうが、私どもの今度運賃改定に踏み切りました考え方というものは、以前から申し上げておる通りでございまして、なるべく、運賃決定する場合に、一つの柱でありまする原価に近づけていくということは、原則として必要であるというふうに考えておりますが、それとともに、今の産業振興であるとか、いろいろのほかの柱もあるので、総括的に、原価主義とでも申しましょうか、そういうようないわゆる原価に近づけていきたいというような考えでおるわけでございます。
  244. 壽原正一

  245. 三池信

  246. 壽原正一

    壽原委員 ……   〔「委員長不信任々々々」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  247. 三池信

    三池委員長 ただいま壽原君から……(「不信任が出ているよ、委員長じゃないよ」と呼び、その他発言する者、離席する者多し)ただいま壽原君から議事終局の動議が出ましたが、なお勝澤君外……(聴取不能)から、委員会委員長に対して不信任の動議が出されました。不信任の動議はこれが優先いたしますから、私は本席を、理事川野芳滿君に譲ります。   〔委員長退席、川野委員長代理着席〕
  248. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 私が暫時……   〔「理事会を開きなさい」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
  249. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 着席して下さい。——着席して下さい。   〔「理事会を開け」と呼び、その他発言する者多し〕
  250. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 それでは暫時、私が委員長の職を汚させていただきます。  委員会開会のまま理事会を開きます。理事の方はここに集まって下さい。   〔「委員会開会のまま理事会なんてできるか」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  251. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 これより会議を続行します。  先刻壽原君から質疑終局の動議が、また勝澤君から委員長不信任の動議が、それぞれ提出されております。  この際、規則、先例により議事を進めます。  不信任動議提出者の出席がありませんので、この際その出席を求むることといたします。しばらくお待ち下さい。委員部から正式に連絡を願います。——提出者の出席がございません。従いまして趣旨説明は、放棄されたものと認めます。  これよりまず、勝澤芳雄君提出の委員長不信任動議について、議事を進めます。  この際討論の申し出もありませんから採決いたします。  勝澤君提出の委員長不信任の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔起立者なし〕
  252. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 起立者ありません。よって、本動議は否決されました。
  253. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 この際三池委員長の復席を求めます。(拍手)   〔川野委員長代理退席、委員長着席〕
  254. 三池信

    三池委員長 次に壽原君提出の質疑終局の動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  255. 三池信

    三池委員長 起立総員。よって、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案質疑は終局いたしました。  明二十五日は午前九時三十分より理事会、午前十時より委員会を開会いたすことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後十時五十六分散会