○磯崎
説明員 ただいまの約五百二十五億の
公共負担につきましては、おのおの非常に歴史的に経過が違っております。
一つずつ申し上げます。
一番大きい定期の
割引につきましては、午前中の肥田先生の御質問にお答えいたしました際に申し上げました
通り、
昭和二十三年の
運賃値上げの前後に当時のインフレの高進に基づきます学生その他の
運賃負担を軽減するという意味で、一般
運賃が値上がりしたにかかわらず、定期だけをある程度据え置きたいという形で、御
承知の
通りの学生については平均八割五分、当時は実はもっと多かったのでございますが、約九割近い
割引、それから通勤者につきましては八割近い
割引というものができたのが
昭和二十三年。もちろんその後逐次それが修正されております。さきの三十二年のときに一部修正いたしまして、現在の
割引率になっております。これが約三百十二億。
それからその次の新聞雑誌の問題、これは遠く明治二十何年かに当時の
文化政策という意味で、広く文化を全国に及ぼすというような意味で、ちょうど第三種郵便物と同じ歴史をたどっております。これは
鉄道の
運賃には珍しく、距離に関係なしに重さだけで
運賃をいただく、ちょうど郵便物と同じ制度でございます。今でも距離に関係なく
運賃を重量だけによっていただいております。これをもしその新聞と雑誌の
輸送しております距離、これは平均距離でございますが、平均距離で一般の小荷物
運賃をいただいたとしますと、その
差額が八十八億、もちろんこれもできましたときから比較いたしますと逐次引き上げて参っております。雑誌の方は昔の五百倍くらいにまで修正して参っております。新聞はまだ二百二、三十倍であります。これは御
承知かと思いますが、昨年の七月でございますか、これも一部一割二分ほど修正いたしました。これはもちろん新聞社あるいは雑誌社に持ってもらっております。一部修正いたして現在に至っております。
それから学生
割引、これは定期でなしに学生の個人旅行の
割引でございます。これは昔は、御
承知と思いますが、学生につきましては二割の
割引であったのでございますが、これも
昭和二十三年七月にやはり
運賃改定をいたしました際に、二割から五割に引き上げたわけであります。その後ずっと五
割引でございましたが、これも一昨年の秋、
運賃制度
調査会の答申が出ましたので、一昨年の十月だったと記憶いたしますが、百キロまでは
割引をしないという制度に改めました。それまでは百キロまでは
割引はいたしませんが、百一キロをこしますと初めの一キロから
割引するという、ちょっとおわかりにくいかと思いますが、そういう
割引制度をとっておりましたものを改めまして、今度は百一キロからスタートして
割引するというふうにいたしました。これが、それまでは約二十八億ございましたのが、その措置によりまして二十二億に減ったわけであります。
それが
旅客関係のおもなものでございますが、あと四億ほど
旅客関係の小さなものがございます。ちょっと
内容がこまかいので恐縮でございますが、項目だけ簡単に申し上げますと、身体障害者
割引、これは
運賃法第五条の二にきまっておりますものと一この
運賃法第五条の二がきまりました際に、この五条の二は身体障害者のうちで介護者、すなわちつき添いを要する者だけについての
規定でございますが、その際に、たしか
国会の厚生
委員会の御決議だったと記憶いたしますが、介護者をつけない者についても距離を限っていいから
割引しようというようなお話がございましたので、これは部内限りの
割引措置をいたしております。すなわち身体障害者につきましては、第五条の二のほかに
国鉄内部の
割引がございますので、合計いたしまして二億四千万、この五条の二は
昭和二十八年か九年の
法律改正でもって入ったのでございます。それからその次に被救護者
割引、これは割に古くからあるものでございまして、
法律による被救護者につきまして
割引しております。これはわずかなもので年間三千五百万円でございます。それから戦没者の遺族
割引でございます。これは終戦後戦没者の遺族が合祀される際に
割引しているものでございます。これが年間約四千三百万円、そのほかに昨日お話の出ました戦傷病者の無賃
輸送、先ほどのは戦没者の遺族の問題でございましたが、今度のは戦傷病者自身の無賃
輸送でございます。これは年間約七千万円程度の実額に上りますが、これは今まではそのうちの二千九百万円だけ
国家から
補償いただいております。今回運輸省の努力によりまして大体ほぼ全額に近い
補償をいただくことになりました。これは予算に計上されております。これは一応全部合わせますと約四億でございます。それで大体
旅客関係全体で四百二十六億でございます。三十五年度はまだできておりませんから、これは三十四年度の実績でございます。
それから
貨物関係につきましては、今、先生がおっしゃいましたように二つございまして、特別等級
割引と
暫定割引とございます。特別等級
割引は約百の品目につきまして
割引いたしておりまして、
割引の
総額が八十億でございます。これは一応
運賃法に定められておりますいわゆる
貨物等級表というものの中に入っている
運賃制度内の問題でございまして、これは歴史的に見ると相当古いものを持っております。大正の初めごろからずっと、いわゆる国有
鉄道として統一された時代からできたものと、一部つけ加わったものとがございますが、何を特別等級に入れるかにつきましては、ごく最近、昨年の
運賃法を改正いたします前に
運賃制度
調査会の専門
委員会といたしまして、この等級表の改正をいたす
委員会を作りました。その
委員会で従来の特別等級の品目を多少減らしまして、現在約百品目で八十億、当時八十四億くらいございましたものを四、五億減らしたわけであります。
それから最後の
暫定割引と申しますのは、これは二部には
昭和二十六年ごろから始まったものもございますが、
一番大きくふえましたのは二十八年の
運賃改正及び三十二年の
運賃改正であります。二十八年には、主として北海道の関係の
割引を四億ほど追加いたしました。さらに
昭和三十二年の
運賃改定の際に、これは主として衆議院の農林水産
委員会、あるいは衆議院の農林水産
委員会等の御要望によりまして、
昭和三十二年の四月一日から一年間に限って約百十の品目、主として農林水産物でございます。もっともそのほかに練炭の原料の無煙粉炭、そういうものも多少ございますが、大体農林水産物でございます。木材が全体の約四分の一くらい、木材、農林水産物等を
中心とする農林水産物の
暫定割引の約二十億でございました。今の形になりましたのは
昭和三十二年の四月一日から一年間ということで実施いたしましたが、その後約六回にわたりまして延期いたしております。当初は
昭和三十三年の三月三十一日までということでやりましたのでございますが、常にその期間満了の前後に
国会、ことに農林水産
委員会におきましてぜひこれを延ばせという強い御要望がございました。その中で正式に
委員会の決議になっておるものもございます。決議も手元に持ち合わせておりますが、そういった決議等によりまして、私どもといたしましてはたしか六回ほど延期をいたしました。延期をいたしました期間は、あるいは三カ月、あるいは半年というふうに延期いたしておりますが、いずれにいたしましてもずっと続いて延期いたしております。それが今度の三月三十一日までで切れるように相なっております。それの措置につきましては、過去も参議院の農林水産
委員会でぜひこれを制度として恒久化しろという強い御要望がございましたが、私どもといたしましてはこの特別等級はともかく
貨物等級制度の中に入っている制度でございますが、これはやむを得ないとしても、
暫定割引制度にするということはこれは絶対困るということで、その席上でも
暫定割引を恒久化するということだけはお断わりいたして参っておりますが、今回
運賃を上げるならば、ぜひこの分は当分の間据え置けという強い御要望がございましたので、三月三十一日でございますから、もう間もなく失効いたしますが、これは延期いたす所存でございます。
以上いろいろ申し上げましたが、これが
貨物関係の約百億の
内容であります。
合計いたしまし五百二十六億になります。大体こういうことでございます。