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1961-03-17 第38回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十七日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 有田 喜一君 理事 尾関 義一君    理事 川野 芳滿君 理事 高橋清一郎君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    浦野 幸男君       壽原 正一君    鈴木 仙八君       關谷 勝利君    高橋 英吉君       塚原 俊郎君    細田 吉藏君       山田 彌一君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    西宮  弘君       肥田 次郎君    安平 鹿一君       吉村 吉雄君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木暮武太夫君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      新井  裕君         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         運輸政務次官  福家 俊一君         運輸事務官         (大臣官房長) 辻  章男君         運輸事務官        (鉄道監督局長) 岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  廣瀬 眞一君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         議     員 安平 鹿一君         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         農 林 技 官         (林野庁指導部         治山課長)   若江 則忠君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  学君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十七日  委員浦野幸男君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として原健三郎君及び吉村吉雄君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員原健三郎辞任につき、その補欠として浦  野幸男君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第七六号)  鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担  等に関する法律案安平鹿一君外六名提出、衆  法第一二号)  日本国有鉄道経営静岡由比町における地  すべり対策)に関する件      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  昨十六日本委員会に付託されました鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担等に関する法律案安平鹿一君外六名提出)を議題とし、審査を行ないます。
  3. 三池信

    三池委員長 まず提出者より提案理由説明を聴取いたします。安平鹿一君。
  4. 安平鹿一

    安平委員 ただいま議題となりました鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担等に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  先般、政府国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案国会に上程し、現在本委員会に付託されまして審議中でございます。この政府提出法律案は、池田内閣国民所得倍増計画に合わせて輸送力増強をはかる国鉄新五カ年計画の財源を、運賃値上げによってまかなおうとするものでございます。運賃値上げの影響は、一連の公共料金値上げを初め、諸物価、諸料金の値上がりとなりまして、国民生活に重大な圧迫を加えて参ることは明らかであります。池田内閣は、その第一次組閣以来、物価の安定、国民生活の安定、国民所得倍増等国民に約束して参りました。しかるに、その公約にもかかわらず、初年度四百八十六億円にも達する運賃値上げを行ない、大衆負担を増加せしめようとしているのであります。運賃法を改正して、運賃値上げを認め、大衆負担を転嫁するということは、明白に公約に違反していると言わなければなりません。しかも、運賃値上げ理由は、経常費の赤字によるものではなくて、国鉄新五カ年計画達成のための資金九千七百五十億円を調達するものであるとされております。設備投資新線建設等の新たな資産を獲得する資金大衆負担によって捻出するということは、国家権力による大衆収奪の現われであります。このような理由運賃値上げをはかることは、国民が全く承服し得ないところであります。事実、国民の大多数は今回の運賃値上げ案に対しまして、深い憤りをもって反対しておるのであります。  一方また、国鉄当局の立案にかかる新五カ年計画案自体が、再検討さるべき多くの問題を含んでいるのであります。むろん、日本国有鉄道がその本来の性質上、輸送力増強という社会的な使命をになっていることは、これまた当然でありまして、しかも、国鉄経営現状は必ずしもこの使命を達成するに十分とは言い得ないものがあるのであります。しかし、これを直ちに運賃値上げという安易な方法によることは、国鉄公共性から見て、不当であろうと思うのであります。  かかる観点から、国鉄及びその他の鉄道経営あり方について、根本的に再検討するの必要があると考える次第であります。現在、国鉄及びその他の鉄道経営に関し、その経営上の最大の支障は、産業政策文化政策社会政策等、国の政策上の要請によって、採算を割ってまで行なわれている大幅な運賃割引であります。すなわち、通勤定期旅客運賃学生定期旅客運賃、その他の諸割引運賃及び農林水産物貨物特定割引運賃等原価を割った特定貨物料金があり、国鉄経営に一そうの重圧を加えているのであります。これらの大幅な公共上の負担を行なっている日本国有鉄道、各地方鉄道及び軌道に対して、国がその負担分補償する、つまり公共負担について国庫負担を行ない、鉄道軌道等の高度な公共性を維持しつつ、事業としましてもまたその経営の健全な発展をはかる必要があると思うのであります。  以上が、この法律案提案する前提であり、第一条に規定してありますこの法案の目的であります。  次いで、この法律内容について若干の御説明を申し上げます。  まず、この法律でいう公共負担の範囲でありますが、第二条において規定しましたように、国有鉄道運賃法第五条の二に規定してある身体傷害者割引割引相当額及び日本国有鉄道地方鉄道軌道が行なっている通勤定期旅客運賃学生定期旅客運賃で、普通定期旅客運賃よりも低く定めている運賃割引額のうち、普通定期旅客運賃との差額普通定期旅客運賃の定めがなくて、通勤定期旅客運賃及び学生定期旅客運賃割引を行なっている鉄道軌道については、普通旅客運賃の額の百分の五十に相当する額よりも低く定めている場合の差額。さらに政令で定めている旅客または貨物運賃割引額等であります。この政令による旅客貨物割引運賃は、産業政策文化政策社会政策上の要請に沿うものであり、この制定または改廃については、運輸大臣諮問機関としてこの法律によって設定する鉄道等公共負担審議会に諮問して決定することとしてある次第であります。  以上の公共負担を国は日本国有鉄道及びそれぞれの鉄道軌道負担するものでありますが、その手続については、第四条以下に規定してあるわけであります。  その概要を申し上げますと、まず公共負担を行なった鉄道軌道は、当該年度決算完結後、国が負担すべき金額運輸大臣請求し、請求を受けた運輸大臣は、鉄道等公共負担審議会に諮問しまして、請求の日から三カ月以内に国庫負担額を決定し、請求者たる日本国有鉄道及び地方鉄道軌道に通知しなければならないことに規定しているわけであります。なお、これら手続の詳細については運輸省令で定めることといたした次第であります。  さらにこの法律国庫負担分のほかに国の補助規定を設けた次第であります。  その一は、踏切道に対してであります。最近踏切道事故が頻発し、これに対して抜本的な踏切道法案提出がおくれていることはきわめて遺憾なことでありますが、この法律案においては、現に使用されている鉄道軌道等と交差する踏切道に対し、遮断装置及び警報装置等を含めてその維持管理費の二分の一に相当する額を国が補助すべきことを規定した次第であります。  補助の二は、たとえば伊勢湾台風のごとき大規模な異常災害が発生して、鉄道軌道等施設災害を受けた場合は、政令で定める当該施設の復旧に要する費用の四分の三に相当する金額を国庫補助することと規定したわけであります。  次に、前に述べました鉄道等公共負担審議会でありますが、この法律に定めてある公共負担負担金額補助が適正公正に行なわれるために運輸大臣諮問機関として設置し、学識経験者のうちから運輸大臣が任命した非常勤の五人の委員で構成するものといたしたのであります。  委員の任期は三年でありますが、その任務の重要性から見て、その任命は衆参両院の同意を得て行なうべきものとした次第であります。  その他、審議会運営について必要な若干の規定を設けてありまするが、これらのほか、審議会の組織、議事運営等についての必要な事項は省令で定めることといたしたのであります。  さらに、この法律施行を確保するため、運輸大臣は、それぞれの関係当事者に、その業務に関する必要な報告を求めることができることとし、必要ある場合は立ち入り検査、または帳簿類検査を行なうことができることとし、この報告を拒み、または虚偽の報告をした者、または検査を拒み、妨げ、忌避した者には所要の罰則を設けた次第であります。  なお、この法律施行は公布の日から施行し、公共負担については、その性格上、昭和三十五年四月一日から適用することと定めたのであります。  以上がこの法律案概要でありますが、この法律案による必要経費昭和三十六年度において概算三百二十億円と見込んでいる次第であります。  以上、簡単に御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられんことをお願い申し上げる次第でございます。  さらに、久保三郎君をして補足説明を行なわしめることにしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。(拍手)
  5. 三池信

    三池委員長 次に、本案について、提出者久保三郎君より補足説明を聴取いたします。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保委員 ただいま提案説明がありました鉄道軌道等事業における公共負担国庫負担等に関する法律案について、若干の補足説明を申し上げます。  まず、本法案提出した背景というか、その事情について申し上げねばならぬと思います。  御承知通り国鉄を初め、鉄道軌道企業経営の現況は、従来その固有性格といわれておりました陸運における独占的立場が、急速な自動車等新興輸送機関発達のために、これが失われつつあります。しかも、それらとの競争をしいられる立場にあって、従来負担し得られたところの公共負担が、この独占性の喪失のために、企業内で消化することが困難になって参ったわけであります。よって、当然のことながら経営の悪化を招来し、輸送力増強輸送方式改善等を推進し、輸送需要を充足することに支障を来たしつつあります。一方、先に述べた通り新興輸送機関の急速な進出によって、国内輸送構造変化しつつあり、鉄道等の比重は相対的に軽くなるものの、輸送の絶対量は減退せず、所得倍増計画においても、貨物輸送量年率五・九%、旅客を、国鉄五・五%、民鉄五・一%の伸びとしておるし、現実にも増加の傾向にあることは否定できない事実であります。  第二として、鉄道軌道等は、すでに他の輸送機関と異なり、公共負担をしているということであります。公共負担には大よそ大別して二つあると思います。一つは、いわゆる本法案対象であるところの産業政策文化政策社会政策として、国家要請にこたえて負担するものであります。もう一つの別ないわゆる公共負担は、鉄道軌道なるがゆえに負担をせねばならぬもの、すなわち、運賃を公示する義務、ダイヤによる列車の運行義務、あるいは運送の義務、さらには企業休止の規制等々であります。これら企業固有のものは当然その企業負担すべきものであると同時に、それ以外の負担、すなわち、企業外からの支配、干渉によるところの負担、いわゆる公共負担企業が当然として負うべきものではなく、その要請をする国家自体において補償すべきものと考えるのであります。すでに御承知通り西ドイツ連邦鉄道初め諸外国では、この公共負担国家補償にすべきものとして実施されつつある現状であります。これら諸外国もわが国と同様の事情によって鉄道等企業が悪化して参ったからであって、何ら異なった条件にはない模様であります。  第三には、この公共負担国家補償受益者負担、すなわち、運賃でまかなうべきかの点であります。御承知通り国有鉄道運賃法に見るごとく、運賃決定原則として、原価を償うこと、公正妥当なものであること、産業発達に資すること、賃金及び物価の安定に寄与することの四原則規定されており、ここでいう原価総体原価を意味するものであるとしても、その他の原則公共負担分をも加味しての原価中心主義とすることは妥当ではないと考えます。この通勤通学定期割引貨物暫定割引、あるいは戦傷病者割引、被救護者割引等文教政策産業政策社会政策として国家がその必要に基づいて実行するものであって、輸送用役配分の必要や、企業政策上から出たものではないのでありますから、企業自体責任として考えるべきものではありません。よって、これを原価の中に含め、運賃として個々の鉄道利用者負担さすべきものではなく、政策実行責任者である国家がこれを負担すべき性格のものと考えるわけであります。  次に第四として、鉄道等は他の輸送機関に比べ、その固定施設等について国家的助成の点について差別があるということであります。自動車等国内新興輸送機関固定施設は言うまでもなく道路、港湾、空港でありますが、これらはいずれも国または地方公共団体公共投資としてその大半が整備拡充されつつあるのであります。これら固定施設は、鉄道のそれもいわゆる懐妊期間が長くて、直ちに経済効果を発揮し得ないわけであります。しかるに鉄道等のそれは、すべて企業自体がこれを支弁せねばならぬというハンデキャップがついております。また租税の面においても、鉄道施設には納付金として固定資産税に見合うものが賦課されておるが、道路その他の輸送機関のそれには当然のこととはいいながらかかるものがないのであって、このような格差をそのままにしておいて、なおかつ国家政策の一端をになわせ、競争させるということは公正なあり方でないと考えるし、ひいては輸送構造変化が進むにしても、絶対量としては増加しつつある国民輸送需要を充足させ、交通体系を確立させることには相ならぬと考えるのであります。  第五として、特に国鉄公共企業体としての性格を明確にすべしということであります。国鉄国内輸送独占的支配が不可能となった今日、公共性独立採算、いわゆる企業性が調和し得ない、この二律背反的な矛盾が拡大しつつあることは前に述べた通りであります。このことは長い間国会においては本委員会中心に論議されつつあり、特に今回の新五カ年計画資金調達のための運賃値上げが表面に出てからは、世論を代表する報道機関及びこれまでの正式機関における意見、さらに今日までの与野党の本委員会においての審議の過程においても論議されつつあったところでありまして、表現の相違はあるものの、この相反する性格の調和をいずこに求めるかが問題であります。その大半国家的要請に基づく公共負担国家補償に求むべきものであるとの主張であります。これが今回の世論の特徴であると見なければなりません。もっともこの主張はすでに御承知通り国鉄諮問委員会国鉄運賃制度調査会国鉄監査委員会等より、公式な見解としてそれぞれの向きに意見具申がなされております。このことは世論がかかる国家的政策を是認し、あるいは強く要求しているものであり、相反するこの二つの性格を拡大することなく、ここに結着点を見つけ、国鉄安定経営とその機能発揮を強く望んでいると見るべきでありましょう。もともと公共企業体に移行した動機は、御承知通り労働関係からであり、国家が直接運営していた内容を、歴史も経緯も一切顧慮することなく引き継がされ、さらに独算制という性格を付加され、戦争で荒廃した不良資産を相続し、輸送構造変化が激化するそのさなかに押し出されたものであって、今こそこれが清算期にあると考えねばならぬと思うのであります。そのためには本法案のみによって万全を期し得られないのであります。さればもう一つ申し上げたいのは、この法案以外にいわゆる新線建設方針であります。この新線建設についてはいろいろな意見が今日出ておるが、少なくとも国家的見地から、他の交通機関に置きかえ得られないところの新線建設は、言うまでもなく国家的責任において、その建設資金はすべて国家において支弁すべきである。公共企業体そのもののゆがんだ性格の中の国鉄責任、ひいては利用者大衆の背中に負わせるものではないと考える。これがいわゆる池田内閣所得倍増論が妥当としてみても、かくすることが政府の当然の責任ではないだろうかと考えます。よって、われわれは今日とりあえず、その国鉄企業をゆがめておるところの、その中心的なものである、この公共負担を解決するべく本法案提出したわけであります。  さらにただいま申し上げたところの考えを基礎にいたしますれば、昭和三十六年度を中心といたします新しい五カ年計画による国鉄のいわゆる三十六年度予算には次のように組みかえらるべきものと考えております。  概要を申し上げます。まず第一に損益勘定においては、収入のうち運輸収入運賃値上げ分四百八十六億はこれを削ります。よって収入見積り総額四千四十七億円となり、さらに一般会計より先ほど申し上げました通り本案対象になる、いわゆる三十五年度決算に見合うところの、この負担分として約二百二十億——もちろんこの中には、今まで過去二十七年から三十五年まで新線建設に投下したところの資金、これに見合うところの利子補給も入っております。これが二百二十億であります。さらに支出においては大体政府原案と同様といたします。よって差引資本勘定繰り入れば八百三十八億となるわけであります。  さらに資本勘定及び工事勘定について申し上げます。収入の部面においてはただいま申し上げた通り損益勘定からの繰り入れ八百三十八億円と、新線建設費政府出資切りかえ及び三十六年度建設費として百二十五億、これは大体昭和二十七年から三十五年まで四百九十億あるいは五百億程度の新線建設資金を要しております。これはすべて先ほど申し述べた大体五年で均等出資に肩がわりするという思想に基づきまして、今年度、三十六年度百億の切りかえ、この百億が入っておるわけであります。さらに資金運用部よりの融資として九十五億円を増額し、総額は二千七十一億円になります。この資金運用部よりの融資九十五億円は過渡的な措置としてこれを是認した次第であります。  さらに支出でございますが、新線建設については先ほど申し上げた通り問題が多いのでありますから、本年度政府原案は七十五億でありますが、これは継続分だけまず第一に置いて、約二十五億をこれに計上し、五十億は保留の立場にしております。よってこの新線建設費継続のみとして二十五億円を計上する。今後の問題については、先ほど申し上げたような方針に基づいてこれを処理するという立場であります。従ってこの場合にはたとえば新線建設予定線路におきましても、いわゆる鉄道以外の輸送機関に代行し得られるものは、今日の実情からして、あるいは高速道路にする、あるいはその他のものに置きかえるという方策も当然とらるべきでありましょう。そのことは基本方針がコンクリートされるに従ってやっていくということであります。さらに新五カ年計画の柱となっておりますところの東海道新幹線あるいは工事改良、こういったものは政府原案通りに一応いたしておる次第であります。  ただここでつけ加えて申し上げたいのは、今年度のいわゆる公共投資その他の建設投資を見ますれば、少なくとも改良費新幹線建設費等を含めたところの工事には、なかなか容易でないものがあるし、よって所要人員の面あるいはその償還能力から見ても、これはある程度の節約をしなければならぬであろうというのであります。  以上が大体われわれの考えからきたところの一つ帰結点であります。これは参考のために申し上げて一応の補足説明を終わりたいと思います。      ————◇—————
  7. 三池信

    三池委員長 次に国鉄経営に関する件について調査を行ないます。  この際発言を求めておられますので、これを許します。山口丈太郎君。
  8. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、去る十四日早朝に発見されました静岡由比町に起きております地すべりにつきまして、緊急に質問を申し上げたいと思うのであります。  まず私は、ただいま審議中の運賃法改正によって、国鉄当局はもちろんのこと、運輸省関係においてもそれぞれ多忙であることはこれをよく了承いたします。しかしながら今まさに日本交通の一番の大動脈である東海道線が、地すべりのためにその運行を停止するかいなかというような重大な段階にあるとき、それを知りつつ本委員会にも何ら報告されていないということはまことに遺憾に思うのであります。今までからいろいろと事故が発生いたしました場合には、国会開会中にはすみやかに当委員会にその経緯報告し、その対策についてもつぶさに報告をされたはずであります。しかるに今回は、口を開けば運賃値上げ、とるものをとるために夢中になって、肝心の奉仕すべき点は忘れているといっても私は過言でないと思うのであります。これは一体どういうことなのかと私は非常に憤慨にたえないところでありますが、今まで国鉄のとられましたこの地すべりに対します諸施策について、詳細に当委員会に御報告を願いたいと思うのであります。
  9. 滝山養

    滝山説明員 御報告申し上げます。  ただいま御指摘になりました東海道線地すべりが今起きております地点は、東京起点約百五十八キロ、ちょうど由比と興津の中間でございまして、左側に駿河湾を望み、線路の右約七百メートルの距離に三百メートルくらいの丘陵がある地帯でございまして、ちょうど東海道の国道がこの地点でもって国鉄の上を乗り越しております。  この地点の山が三月六日ごろから崩壊を始めたわけでございます。現在のところ崩壊が起きましたのは、線路から約六百メートルくらい離れた地点に、幅二百メートル、奥行き百メートル、深さ三メートルという約十万立米の泥が崩壊をしたわけでありますが、急な斜面から崩壊しまして、あと海岸線まで五度ないし十度の非常に緩慢な斜面に沿いましてこの泥が動き始めたわけでございます。最初崩壊したときにはそれほど問題ではなかったのでございますが、泥が移動いたしましたので、国鉄では直ちに縦横に観測網を張って一時間ごとに泥の移動を測定しております。  現在までの状況を申し上げますと、二つの沢がございますが、片方の沢に沿いましては線路から百十メートルの距離まで崩壊した泥が迫ってきております。もう一点の方は二百四十メートルの地点まで迫っております。現在のところ十六日に雨が降りましたので少し速度が速くなりましたが、今度また落ちつきまして、接近している方は一時間約三センチの速度、離れております方は三十センチの速度で泥が徐々に動いてきているわけでございます。そこで今申し上げましたような観測網を整備いたしますとともに、警戒員を十七日以来現地に配置いたしまして、列車は四十キロの速度でもって徐行しております。今申し上げましたようにまだ百メートルございまして、現在の速度では三十日あるいはそれ以上かかる勘定になりますけれども、万一のことがあってはいけませんので、昼夜警戒すると同時に、もしも土砂が線路に入った場合には直ちに列車を停止する設備もいたしまして、自動信号機を赤にして列車をとめる措置もいたしております。このように警戒を厳にいたしまして、今直ちにくるとは思いませんけれども、今後起きることに備えるとともに、一方土砂が線路に入りましたときに備えまして、土砂を取りのける応急復旧の機材を今いろいろと準備しております。泥を積み出しますのにパワー・ショベルが要りますし、またベルト・コンベアも要りますので、国鉄もそういう直営の工事事務所も持っておりますけれども、他の請負関係も動員できる態勢を今準備しております。また一方、万一不通になったときには、迂回輸送ということも今検討いたしておりまして、バス連絡その他のいろいろな手配を今検討中であります。しかし今申し上げましたように、現在の進行速度、現在の距離では、すぐ今日ただいま汽車がどうこうということはないんじゃないか。勾配も非常にゆるうございますし、だんだんと速度が今鈍ってきておりますので、うまくいけばそのまま落ちつくのではないかと考えております。しかしこの場所には国道が通っておりますし、人家が密集しておりますので、地元といたしましては住民の方は避難されまして、警戒その他万全の措置を今とっておるようでございますけれども、以上申し上げましたようなわけで、観測網、警戒網、徐行その他の措置を現在とっておりますので、すぐ御迷惑するというようなことがはっきりしておらなかったので、今まで御報告が延びたようなわけであります。
  10. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま報告を受けたわけでありますけれども、今まで報告されなかったのは、今直ちに危害がないから、その成り行きを見てから報告するというようなお話でありますが、それでは事が起きてから当委員会報告するということであって、何ら防災のために努力をしておるという感じをわれわれ持つわけには参らない。事のあったときに申しわけのいわゆる報告をやる、こういうような不誠意なことでは、防災という観点から見て、私は国鉄の処置を疑わざるを得ないのであります。私はこの地区の地形をはっきり調査しておりませんからはっきりわかりませんが、平生から見ても、急坂な山にいろいろな作物を耕作するというような土地柄であって、こういったところは常時これを調査して、その地柄に対処する方策を十分に立てておく必要がある。しかし今言われますように、事があったらそのつど方策をとってこれを防ごうとするがごときことは、私はまことにもって不手ぎわなやり方だと思うのでありますが、しかしこれは国鉄の直接の敷地ではないので、従って、治山治水面からそれを担当いたしております農林省あるいは建設省等の関係があろうと思うのであります。平素からこれらの地区——ただ単にこの地区だけではございませんので、関西におきましても、御承知通り紀伊半島の南端方面においては、常に地すべりの脅威を受けておるわけであります。こういったいわゆる地すべり地帯に対して、どういうような措置を平素においてとっておるか。私はこの際これを明らかにしたいと思いますから、一つ報告を願いたいと思います。
  11. 滝山養

    滝山説明員 この地点につきましては、先ほど説明のときにちょっと補足いたしたかったのでありますが、過去におきましても表面が相当割れておりまして、建設省、農林省におきましても、沢に沿って治水、治山のいろいろな施策をしております。ダムを作るということもやっておられます。国鉄でも豪雨のときに川に流れて線路支障を起こしたことがございますので、線路を守るための堰堤は線路に沿って作っているのでございますが、従来は多少雨のときに流れる程度でございまして、今回のように大量の泥がいわゆる地すべりの形をもって来たというのは初めてでございます。しかしこういう場所につきましては、全国的にただ単に鉄道事故が起きることではなくて、懸念いたしますところはいろいろと平素から十分地質も調査対策も立てておりまして、この場所もすでに先般ボーリングもしまして、下には固い岩があって、その上に風化した泥岩が横たわっておる。従ってそれが流れてくる程度であるという判定は比較的早くついたわけであります。それで今申し上げましたように六百メートルも離れておりまして、間に国道もあり、長年明治あるいはそれよりも古くからの住宅も密集しているようなところでございますので、昔からこれは移動はなかったのではないか。そういうようなことで調査しておったわけでございますが、移動の程度が一つの判断になりますので、十七日以来観測網を設定して、綿密な観測をしておる。それが先ほど申し上げましたような進行状態であるということを今確認しておるわけであります。全国的に地すべりの個所は大体わかっておりますので、こういった場所につきましては常時線路に被害がないように長年にわたっていろいろな警戒網は設置いたしまして対策をとっております。この場所についてはこのような崩壊が起きたのは初めてでございますので、実はそういう措置としては今回初めてやったわけであります。
  12. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 農林省から治山課長が見えておるようでありますからお尋ねいたしますが、もしこれが東海道線などとまることになりますれば大混乱を来たすことは火を見るよりも明らかであります。この最重要な地点においてこのような地すべりを起こすということは、特に公共施設を背景に持っておる地帯等においては治山に必要な措置を平素から私はとっておく必要があると思うのであります。治山課は、この地点のみに限らず全国各地に地すべりの危険のある地帯が多いのでありますが、平素からそれに対してどういう具体的な対策を講じておられるのか、一つお聞かせを願いたいと思います。
  13. 若江則忠

    ○若江説明員 ただいま問題となっております由比町の地すべりを含めまして、仰せのように全国に地すべりの区域があるわけです。昭和三十三年の三月の末日に地すべり等防止法という法律ができまして、その法律に基づきまして建設省、林野庁、農地局という三者でそれぞれの地域を分担しながら防止復旧事業をやっていくということになっております。林野庁が担当しております個所数は大体千四百カ所ございまして、面積にいたしまして約四万ヘクタールでございます。その中にこの由比町の地すべりの地域が含まれておるわけであります。この地域は昭和三十四年の一月に農林省告示をもちまして約十八ヘクタールを地すべり防止区域に指定いたしまして法律に定められました防止工事及び必要な措置を講じてきたのであります。それより以前に、昭和二十三年にアイオン台風によりまして、同地域から相当の土砂が国道並びに鉄道に流出いたしまして、鉄道が数時間とまったというふうな事態がありましたので、昭和二十三年度から農林省の直轄事業をもちまして、昭和三十年度まで約八カ年にわたりまして、約一億余の防止事業費を投入してきたわけであります。従いまして、この事業は、同地域の地層が若い第三紀層に属しまして、特に泥岩と礫岩の互層をなしております。この泥岩が地下水の浸入によりまして逐次くずれながらすべるというようなことに、地質構造的に地すべりの欠陥を地下に含めておりますので、降雨があるたびごとに動くというわけではございませんけれども、地下の層が、泥岩が破壊されていく。たまたまそこにかなりの降雨がある場合には往々にして地すべりが発生するわけであります。そういうような観点から地すべり防止事業にいたしましても、地下水を無害に排水していく方法をとりまして、重ねまして渓流には侵食を防止するための礫暗渠を配置いたしたのであります。それから三十一年に根幹的な工事が大体終わりましたので、これを県営事業に移管いたしまして、三十一年から三十五年までの五カ年間に約一千数百万円の工事費をさらに投入いたしまして、補完的な工事を実施してきているわけであります。その間、今申し上げました三十四年に防止区域の指定を行なっているような実情にあるわけでございます。この地域以外の防止区域につきましては同じような措置を講じておったわけでありますが、たまたま今月の十四日の早朝から同地域の上部の急傾斜地の崩壊地がかなりの面積にわたりまして崩落いたしまして、その重圧が下部のミカン畑に及ぼしながら、それが今申し上げましたように地下が非常に軟弱であるという欠点等がありまして、逐次下流の起伏の少ない方向に押し出していくというような実情にあるわけでございます。
  14. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私もこの沿岸の砂防のための堰堤なども作られておることは承知をいたしておるわけでありますが、報道によりますと、この土砂が堰堤に当たった場合には堰堤はその用をなさないだろうといわれておるのでありますけれども、一体この堰堤の圧力に対する耐久力はどういう計算から割り出してやっておられるのか、聞いておきたいと思います。
  15. 若江則忠

    ○若江説明員 渓流におきます堰堤の構造設計にあたりましては、大体土石流が背後からくるであろうと想定されるわけでありますが、一応堰堤の設計につきましては背後に水がたまるというふうな想定をしなくて、完全に堰堤の高さまで水が満杯したときの水圧に耐え得る、それに対して若干の安全度をここに持ってくるというふうな設計にいたしておるわけでありますが、今申し上げましたように、当地域のように地下の部分から動いていくというふうな場合につきましては、いわゆる地震圧的な圧力が地下に起こる。さらにその上に土圧がかぶる、水の圧力がかぶるというふうになってきますので、計算上以外の力がここにかぶさってくるという場合もございますので、一応水が満杯した場合の圧力に対応する強度を持ちました堰堤も、それのつけ根の部分がくずれる、あるいは下部の部分が地下からくずれる場合には崩落のやむなきに至る場合も往々にあるわけであります。同地域につきましての堰堤の被害状況は、調査の結果を待ちませんと具体的に申し上げられませんが、想定いたしますとそういう状況ではなかっただろうかと考えるわけでございます。
  16. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 国鉄にお伺いをいたしますが、農林省の治山課におきましては、今お聞きの通りいろいろ対策を講ぜられているようでありますけれども、私は鉄道防御の立場からいって、これは単なる一時的な治山面だけを考慮して農林省にまかしておくとか、そういった問題ではなかろうと思うのであります。鉄道自体の持つ安全性を確保するための見地からいたしますと、治山の見地からだけではなく施設を施す必要があると思うのでありますが、しかしそれが一方建設省や農林省の治山課でそれをやる、一方国鉄国鉄でやるというような、いわゆる二重投資的な性格でおのおのがそれをやっているというのでは、私は万全な防災措置を講ずることはできないと思うのでありますが、一体これらの防災施設を施すにあたって国鉄はどういう連絡をし、どういう進言をしてこういうことを行なわせておるのか、一つ承りたいと思います。
  17. 滝山養

    滝山説明員 この地点につきましては、先ほど農林省からもお話がありましたように、アイオン台風のときにあふれ出て、その土砂で線路がいためられましたので、国鉄側がある程度川にダムを作り、それからまた線路に土砂が流れ出ないような擁壁を作ったわけでありますが、その後農林省の方で基本的な砂防工事をお進めになっておりますので、一応はそれで今回のようなことが起きないのじゃないかという考え方に立ったわけであります。しかし今日その想定が変わって基本的に動き出した現実に直面いたしましたので、ただいま専門家を現地に派遣いたしまして、さらに恒久的にどういう施策をしたらいいか、またやる場合にも、もちろん鉄道だけでありませんで、農林省の方と密接な打ち合わせをしながら、恒久対策をこれから至急に立てたいと考えております。全国的に同じようなそれぞれの現地において関係の面と連絡をしながらこういう防災の措置は考えております。
  18. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私が一番おそれますのは、一時これが停止をいたしましても、一度豪雨に見舞われればたちまち動き出すことが明らかだと思うのです。現在も昨日の雨によってまたぞろ動き出しておる、こういう実情でございます。このために東海道線が長い間運行を停止しなければならないというようなことは、これは非常な不安をかもし出す結果になる。それぞれ手配はされておるようでありますけれども、もしこの地点において運行不能に陥るようなことがあった場合、一体東海道線の連絡輸送をどのようにする手配を進められておるのか、私はこれを承っておきたいと思います。
  19. 滝山養

    滝山説明員 阻害された場合の手配というものは、やはり阻害の程度によって判断しなければならぬと思うのであります。阻害の程度によって不通時期がどれくらいになるか、あるいは土砂を取りのけるのにどれくらいの時間がかかるかという見通しの上に立って措置がとられなければならぬと思いますので、先ほどもちょっと触れましたが、短期間の場合には、場合によっては通過貨物は中央線なりその他の線を回るという措置もとらなければならぬと思います。また旅客についてはバス連絡というようなことも行なわなければならぬと思って、今関係の向きにおいて至急対策を検討しておるわけであります。
  20. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はもちろん土砂くずれの規模のいかんということが運行日数を左右することは承知いたしますけれども、しかし少なくともこれが一昼夜以上にわたるような場合においては、これは二昼夜にわたるのも三昼夜にわたるのも同じことでありますが、むしろその災害を受けた直後の混乱をどうするかということが、この対策に万全であったかどうかということを決する重要なことだと思う。でありますから、これは運転においてもあるいはまたこの施設下においてもそれぞれの対策を立てて、その災害があった瞬間の臨機の措置というものに手抜かりがあっては大混乱を来たすおそれがある、このように考えますから私は尋ねておるのであります。これについて緊急対策としてどういうことを考えておるか。これはきわめて重要でありますから、その具体的な方策を一つ示していただきたいと思います。
  21. 滝山養

    滝山説明員 この問題につきましては、私どもは今、国会説明に来ておりますけれども、施設局、営業局、それから運転局において局長の会合を持って今対策そのものを作成中でございますので、どういった内容であるかということを今ここで具体的にお示しできませんけれども、先ほど申しましたようにいろいろな角度から検討しておる最中でございます。
  22. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今の答弁ははなはだ遺憾だと思うのです。国鉄はいつも事件が起きてからそのとき勝負でものを決しようとしておる。だからお役所仕事だといつも非難を受ける。すでにこれは災害を起こしますぞということを予告しておるのと同じことなんです。そういう事故が起きたときに手早くそれを処理する何らの具体策も立ててない、協議中だというような手ぬるいことでは、あの多数の乗客を混乱なく処理することはできぬと思うのです。そんな手ぬるいことでは処理できないと私は思うが、一体どういう指令を出し、そしてどういうことを平素防災のためにやっておるのか。総裁もお見えになっておるが、私はもっと責任のある答弁を願いたいと思います。
  23. 十河信二

    ○十河説明員 ごもっともなお尋ねだと思いますが、先刻来申し上げますように、事態の推移を今警戒網を張って厳重に監視しておる状態であります。今のところはそう急速に心配なことが起こるような様子もないということで、しかしながら万全な策を講じておかなければならぬ。といって先刻来申し上げますように、現地にそれぞれ係官を派して、土砂くずれのあった場合に急速にこれを除去することのできるように機械や人を動員しておくとか、あるいはさらにひどいときには他のルートを通って輸送をするというような計画を今実情と照らし合わせて検討をしておるところであります。今具体的にこういうふうにきめておるということを申し上げかねますので、被害を最小限度に食いとめるべく最善の努力をいたしておるところであります。
  24. 三池信

    三池委員長 山口君に申し上げますが、本問題については関連質問者の通告もありますから、一つ簡潔にお願いいたします。
  25. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、今聞いても全くのれんに腕押しというか、確たる対策というものがいまだ立っておらぬといっても過言ではないと思いますから、そういうことではならぬ。私もこういう事故があった場合の現場を担当しておってよく体験しておるところでありますが、もし最悪の事態が招来した場合には、運行を停止した最先端にある旅客輸送措置等については、早急にこの事態に対応できるように処置せられるよう希望を申し上げまして、関連質問があるようでありますから、委員長、関連質問をお許し願います。
  26. 三池信

  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ただいま質問をされております静岡県庵原郡の由比町寺尾地域内における地すべりの問題につきましては、十五日の建設委員会におきまして建設大臣並びに農林当局からその詳細を聞き、対策を聞きました。しかし内容が運輸省にわたるものでありますので、この際運輸大臣代理として来ておられる政務次官に一言要望を申し上げておきたいと思います。  御承知のようにこの地すべり地域は、昭和十六年に大きな地すべりがあって六名が死亡し、先ほどの御説明のように二十三年にも大きな地すべりでまた東海道線が不通になった地点であります。場所そのものは農林省の林野庁の所管でありますけれども、この地くずれによって起こる障害は特に国鉄幹線をとめ、なお国道をとめることになるわけでありまして、もしこういう事態になるとするならば、東海道交通というものは遮断されて大へん重要な段階に入るわけであります。  これに対して十五日現地に参りましたところ、林野庁におきましても、あるいはまた建設省におきましても、運輸省の出先機関におきましても、いつぶなる事態にも対応できるような緊密な連絡のもとに対策がなされておりました。ことに迂回による自動車交通あるいは船による海上輸送等も考慮されているようであります。従いまして今一番不安なのは、雨が降ったら鉄道線路まで百メートルまできておるのがどれだけ近づいてくるか、こういうことでありまして、いつどうなるかという不安の中でみな立ちのきをされて根本的な対策を望んでおるわけであります。これにつきましては十五日の建設委員会におきましても建設大臣にお願いをいたしまして、特に根本的なものを考えたときに、この地域住民の引っ越し等も相当考慮しなければならぬだろう、特にあそこには変電区もあるわけでありまして、大へん重要な国鉄施設を持っておるわけであります。農林省も今日まで地すべり地域として一億の金を投じ、それから県の補助事業として先ほど御説明の千何百万円の工事をやってきたわけでありますけれども、しかし今考えてみれば、やはり基本的に日本地すべりに対する科学技術がまだまだ不十分である、だから根本的な防護施設ができずに、それを乗り越えて今度のような問題が起きたということになるわけであります。従いまして、これによって発生する問題はただ単に担当の農林省というだけでなくて、国鉄、建設省にも及ぼす影響が多いわけであります。ですからたとえば引っ越しの方は建設省だ、地すべりの撤去の方は農林省だ、しかし被害があったら国鉄も何億という莫大な損害をこうむるわけでありますから、一つこれらの問題は総合的に考慮されて善処をしていただきたいと思うわけであります。建設大臣にもよくお願いいたしておきましたけれども、どうかこの問題はただ単に農林省当局にまかせておくことでなくて、農林大臣、建設大臣、運輸大臣あるいは国鉄総裁等々が総合的に相談をして、直接自分のところには関係がない問題であっても、全般的な中でこれらを解決するようにぜひ閣議等の中で善処をお願いいたしたいと思うわけであります。これについての政務次官の心がまえを一つお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  28. 福家俊一

    ○福家政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまの勝澤委員からの要望はごもっともでございます。国鉄といたしましては万全の処置を講じておりますけれども、なお御指摘にございましたような農林、建設、運輸関係当局とも十二分に合議いたしまして、何分にも日本交通動脈である東海道の要路に当たる由比の近辺でございますから、国民にも非常な不安を与えておると思います。すみやかに御期待に沿うよう関係当局と打ち合わせて、閣議なりあらゆる機関においてその不安を除けるよう努力することをお誓いいたします。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 質問を終わります。      ————◇—————
  30. 三池信

    三池委員長 次に国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  肥田次郎君。
  31. 肥田次郎

    ○肥田委員 昨日に続いて質問を行ないたいと思います。  私は政府交通輸送に対する基本的政策、この問題についてはただいま次官がお見えになっておりますが、大臣はまだお見えになっておらないようでございますので、これは一つ順序をひっくり返しましてあとで御質問を申し上げたいと思います。  そこで具体的な問題について質問をいたします。その前に昨日いろいろと質問をされた中で、言葉の行き違いだとかいうようなことでいろいろとあったようでございます。私らがよく聞く話の中に、新しい法を作ると、その法に対する違反者は多くの場合その第一号は法を作った人がその違反者であった、こういう例がたくさんあります。きのうの話も実は法ではありませんが、PRに力を入れて、そのPRに力を入れたために出版物であとと先と現在とでいろいろ問題が起こった。これはありがちのこととして私どもは聞いておきたいと思います。しかし要は、そういう問題が論議される際に、正しい、まじめな姿勢であるということが肝心だと思います。私たちはいつも国民に奉仕するというこの気持で、常に正しい姿勢をもって論議をしていく、少々の前後の食い違いという問題よりも、今後いかに正しく改めていくか、これが大切だと思いますので、一つ答弁の責任をわれわれは過去にさかのぼって追及するのではなしに、これからの答弁に対して責任をもった心がまえといいますか、そういう気持で一つ答弁をしていただきたいと思うのであります。  そこで、今度政府の方で提案をしております問題の中で一番重点的になるのは、やはり運賃値上げのこの性格であります。私はその前にどうしても聞いておかなければならぬことは、第一次五カ年計画というものが四年でこれが打ち切りになりました。ですから政府の今度出しておるところのいわゆる新五カ年計画と称するものは、われわれの感覚ではこれは第二次五カ年計画である、不幸にして第一次五カ年計画というものが完成されないままに途中で打ち切って、そうしてこれを第二次五カ年計画という、その名前ではいろいろと都合の悪い面もあるだろう、こういうことから新五カ年計画だという呼称が使われておるのではないか、私たちはこういう疑問と不安を持つのであります。それは政府の方で発表しておる資料の中にその数字というものは現われております。ですからその関係について私たちは非常に不安を持っておるので質問をいたしたいと思います。これは政府の出した資料ですからあまりこまごましくは申し上げませんけれども、しかし、なぜ六七%しか金が使えなかったのか、予定の工事がなぜ、四カ年で八〇%進んでおらなければならないのに、これが六七%で終わってしまったのか、こういう点について本質的な質問をしたいのであります。しかしそういいましても、私たちは抽象的な答えを求めておるのではないのです。それはその政策の中に現われておるという印象を受けるからであります。たとえばここで出ておりますところの、政府が三十二年の運賃値上げのときに約束した数字というものは、実は電車にいたしますとこれが二千九百五十両の電車を作る、こういうことで取りかかっております。ところが四年たった後にたった千三百七十六両しか電車はふやしておらない。それで四七%、半分に満たない計画が実施されただけであります。ところがそういう数字の半面では、実は非常に高い。パーセンテージの出ておるものもあります。それは新線建設には八四%、それから取りかえ及び諸改良に対しては一一二%、こういうふうな数字は一体なぜ起こってきたのか、この点に対してまず答えていただきたいと思います。
  32. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 全体の現在の五カ年計画資金の総ワクというものが当初の計画と変わって参りました事情につきましては、昨日も御説明を申し上げた次第でございますが、これは一方で収入が減り、一方で経費がふえた、その不足になった資金のうちの一部は借入金を増額するということでつじつまを合わせようとしたのでありますけれども、借入金にもおのずから限度がございまして、結局自己資金が当初の計画よりも大きく不足してきたということが全体に影響したわけでございますが、ただいまそのうちで、特に取りかえ及び諸改良あるいは新線建設というものが他の項目に比べて進捗率が非常に高くなっておりますのは、実は昭和三十二年度に発足いたしました現在の五カ年計画の最重点の一つは、当時非常に、戦中戦後に老朽、荒廃いたしました各種施設の中にいつ不測の事故の原因にならないとも限らないような危険な状態に陥った橋梁でありますとか、隧道でありますとか、いろいろなものがございましたので、まず何よりも安全の確保ということを第一番にやらなければならないことでございましたので、その面に勢力をまず集中いたしまして、とにかく危険な状態だけは早く何とかしなければならないということで、そこに力を入れました結果、取りかえ及び諸改良の進行状況が他の諸項目に比べて著しく進められたというようなわけであったのでございます。  それから新線建設につきましては、当初五カ年間に三百五十億ほどの新線建設をやる計画であったわけでございますが、これに対する予算の裏づけにつきましてはいろいろ鉄道建設審議会等の御審議もいただいておりましたので、他の項目に比較いたしますと、比較的資金投入の率が高くなったというようなわけでございまして、全体としての資金の不足のしわ寄せと申しますか、影響は、これは昨日、またその前にも申し上げました、ように、遺憾ながら幹線輸送力増強でありますとか、幹線の電化でございますとか、あるいはディーゼル化でありますとかというような、主として近代化あるいは輸送力増強というような面の工事の実行をあとの方へずらせるというようなことにやむを得ずなりまして、その結果各項目別に見ますというと、ある部分は非常に進んだところもございますが、また片一方ではおくれたところが出てきたというような次第でございます。
  33. 肥田次郎

    ○肥田委員 私がもう一つ念を入れて聞きたいのは、御承知のように昨日の質問の中にもありましたね、乗っておる乗客が床につくとかつかないとか、新聞が読めるとか読めぬとか、雑誌が読めるとか読めぬとか、こういう話がありました。その混雑というものは今も変わっていないわけです。特にそういう都内国電の混雑があるにもかかわらず、なぜ四十六、七%の車両しか準備できないのか。これは何かほかに理由があるのですか。資金が足りないということも、これは一つ理由にはなると思います。しかし現実にああいう問題が公然と論議をされるような状態になって、しかもなおかつ車両の増強ができない。何をおいても老朽の取りかえ、手直し、改良と同じように車両というものはふやさなければいけない性格のものではないか、こういう気が私たちはするのです。どういう理由によってそういう問題が見のがされて、そうして片一方に一〇〇%以上のものをつぎ込んだかということについて御説明願います。
  34. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、何と申しましても輸送の安全確保ということは最重点に考えなければなりませんでしたので、老朽荒廃施設の取りかえ、改良というようなものに重点を置いて資金をつぎ込んだために、その他の項目につきましては実行が、計画がずれていくというようになったわけでございまして、そのために電車の増備その他がだいぶ計画よりおくれましたことの最大の原因は、やはり資金が足りなくなったということでございます。しかし同時に線路輸送力にも限度の問題がございまして、たとえば東京付近の通勤区間というようなところにおきまして、相当数の電車の増備はいたして参りましたが、これに並行いたしまして、やはり線路輸送力そのものをもう少しふやして、いわゆる線路容量というものを拡大して参りませんと、車だけふやしましてもどうにもならないというような事情もあったわけでございます。それで今度の新五カ年計画では、車両の増備も大いに力を入れますが、また、ただいま申し上げました線路容量の増大ということにも力を入れたいと考えておるようなわけでございます。
  35. 肥田次郎

    ○肥田委員 お答えを聞いておるだけでは、言葉の上では私は納得しておられる人もあるかと思います。しかし、私らのように四十年鉄道の飯を食ってくると、どうも、ただ言葉の上だけでは納得できない面があります。たとえば、実際にもうこのままほうっておいてはいけない。いけないからここには特に重点的に手を入れたんだというふうなはっきりしたものがわれわれにはどうも見つからない。そういうものよりもやはり車両を増車して、当面の国電なら国電の輸送をもっと増強すべきではないか、こういう意見があります。しかしこれはまあこのくらいにいたします。  そこで、これはまたあとでもう一ぺん質問をいたしますが、一つ運賃値上げの直接問題について、私お聞きいたしたいと思います。今度運賃値上げをされるについて、運輸審議会あたりでそれぞれ諮問をされた結果だということになっておりますけれども 実はこれにはいろいろと問題があります。御承知のように運賃値上げをするということ、この声がわかったとたんに物の値段が上がりましたということは、これはもう隠れのない事実であります。週刊雑誌でももう三割上がっておる。三十円の雑誌がみんな四十円になった。至るところで物が上がっておる。この関係とそれから運賃値上げとの関係についてずっと今日までの答弁を聞いておりますと、これは何ら影響がないような答弁をされております。いわゆるとるに足らぬものだ、こういうふうな表現を用いられて答弁をされております。しかしここで問題になるのは、皆さんも御承知のように国鉄運賃法というのがあります。この国鉄運賃法は「公正妥当なものであること。」、それから「原価を償うものであること。」、「産業発達に資すること。」、「賃金及び物価の安定に寄与すること。」、この運賃の四原則というものがあります。私たちは、これを運輸審議会あるいは当局において一体どう解釈をしておるのかという、この本質的な問題を一つ説明をしてもらいたいと思うのであります。  公正妥当な運賃であるというこの問題は、とりもなおさず不当な運賃であってはならないということであります。ですからたとえばこの運賃をきめるのに、どういう形で運賃をきめる論議をされたのか、私は、これについては必ず詳細な総合的な立場に立ってするところの資料があるだろうと思います。その資料に基づいて国鉄運賃というものはかくあるべきだという結論が出されておらなければならぬと思います。しかもそれは運輸審議会あたりでどのような論議をされて、どのような運輸審議会の答申があったのかということについても、これは一つ資料で示してもらいたいと思います。  それから原価を償うものであるというこのことについて、私たちは非常な問題点を持っております。たとえば今日国鉄運賃値上げをしようという、この値上げの姿を見てみますると、今どうしても必要だという運賃値上げなのかどうか、こういう解釈については多分に疑問があります。この建設計画の中にもあるように、運賃値上げをすることによって車両をふやし、新線を作る、こういうことがこの中に考えられておる。いわゆる国鉄輸送力増強するために運賃を上げるんだ、こう言われておる。そうするとこれは先の問題だ。運賃を今値上げをしておいて、そうしてこれから先のレールを買ったり、新線路を敷いたり、車両を作ったりする金をこれからとろうという運賃の先取りをやるわけなんです。これが原価を償うという運賃値上げの項に該当するものかどうか、こういうものについても一つ説明を聞きたいと思います。  産業発達に資するというこの原則については、実はいろいろと意見があるだろうと思いますから、これは一つどういう意見を持っておるのかということを聞いた上で、私の意見をつけ加えたいと思います。いずれにいたしましても原価を償うということは、これはもう明らかにもうけちゃならぬ、いわゆる原価を補う程度という、この解釈をわれわれははずれてはいけないと思っておるので、そういう点について間違っているかどうかということを聞きます。  それから物価の安定ということにつきましては、さっきも言いましたように現実に物価が上がってきている。こういう独占物価公共価格というものが上がるからそれによってネコもしゃくしも物の値段をつり上げてこようという便乗者がふえてくるわけです。だからこれは明らかに物価の安定というものを破壊している、脅威を与えている。こういう事実が国鉄運賃値上げするこの四原則に違反しないものかどうか、これを私ははっきり聞いておきたいと思うのであります。私たちはこれを聞かなければ、今度の運賃値上げというものはいろいろな立場でわれわれとしてどうしても賛成ができない。これを解明していただくことが今度の運賃を決定する大きな理由になるだろうと私は思っております。まずこれに対する質問をいたします。
  36. 岡本悟

    ○岡本政府委員 運賃の決定につきましては、もちろん仰せのように国有鉄道運賃法の第一条にございます四原則に従いましてきめるべきであろうことは当然でございます。そこで四原則のうち原価を償う、これは最も大事なことではないかと思います。もちろんこの原価という考え方は、個々の線区別の原価であるとか、あるいは個々の貨物についての原価ということではなくて、われわれとしましては総合原価であるというふうに解釈しております。つまり全体としてペイしておればいい、こういう考えであります。そこで先般来申し上げておりますように原価には一体何があるか。普通言われておりますのが経営費でございます。それから利子及び債務取扱諸費というものがあがっております。それから減価償却、こういったものにつけ加えまして、これもしばしば申し上げておりますように、運輸大臣諮問機関として設けました国有鉄道経営調査会におきましては、たとえば踏み切りの保安施設であるとか、あるいは列車運行の保安度を向上するための信号設備の改善であるとか、あるいは取りかえ諸改良であるとか、そういったものはやはり運輸保全費として原価に算入すべきである、また多額の借金をいたしておりますこれを返済するための、いわば減債基金、こういったものを原価に算入すべきであるということでございまして、こういう原価を償うものであるというふうにわれわれは解釈いたしているのでございます。もちろん公正妥当なものでなければなりませんし、この原価を償う運賃というものの具体的なきめ方にあたりましては、極力産業発達に資するように、つまり負担力の少ないものはそれに応じましてなるべく低位に押える。もちろん反面原価主義という基本的な思想もございますけれども、従来の運賃のきめ方はやはり負担力に従いまして定めているものでございます。また賃金及び物価の安定に寄与するということを申しておりますが、これはなるほど仰せのように、運賃値上げをいたしますと物価あるいは家計に多少の影響があるということは否定できないと存じます。しかしこの法律の四原則の趣旨とするところは、家計あるいは物価の安定に寄与するようなきめ方につきまして、特に社会政策的なものも多分に取り入れてやれということをいっているものと解釈いたしておりまして、御承知のようにある程度の公共性といった観点を加味しまして具体的にはきめているような次第でございます。
  37. 肥田次郎

    ○肥田委員 今お答えを聞いておりますと、私はこれはあまり問題点をぼかし過ぎておられると思います。私が聞いているのは、運賃をきめる原則については明示されているのですから、曲がりなりにもそれに合わしたような資料はあるだろうと思います。その資料をあとで見せていただきます。しかし現実に起こっておる問題として、物価の安定に寄与するというこの原則があるのにかかわらず、上がるということをもう見越して、ほかのものがどんどん影響を受けて上がってきておるじゃないか。これは物価の安定に寄与するということ、物価を安定させなければいけない義務づけに対する責任がどうなるのだということを具体的に聞いているわけです。一号、二号、四号は同じです。三号については、私はいろいろと議論があるだろうと思いますけれども、私たちは産業発達に寄与するというこの言葉というものは実は非常に意味があると思います。私たちは私たちなりにこれを受け取っています。それは言うまでもなく、国鉄というこのものを舞台にして、これが大衆収奪の足場にされちゃいけないという考え方をわれわれは持っておる。ですから妥当な運賃ということをよく言いますけれども、私たちは妥当な運賃をきめようというのにいささかも反対するものじゃない。ただ国鉄というものを足場にして、それを収奪をしようという勢力がどこかにあるとするならば、これは賛成するわけにいかない。こういう原則をわれわれは実は持っておるのです。ですから、三号についての問題はともかくといたしまして、一号、二号、四号については、もっと具体的にそういう影響があるのかないのかという答弁を私はしていただきたい思います。
  38. 岡本悟

    ○岡本政府委員 公正妥当なものであるということにつきましては、これは文字通り解釈すべきものであろうかと存じます。それから第二の原価を償うものであるということにつきましては、しばしばお答え申しておる通りでございまして、繰り返して申し上げるのも大へん恐縮かと思います。第四原則の賃金及び物価の安定に寄与するということにつきましては、先ほど申し上げましたように、たとえば旅客運賃につきましては社会政策的な意味を加味いたしまして、極力賃金にも大した影響のないようなきめ方をすべきであるということを申しておるように解釈いたしております。また物価の安定に寄与するということも、問題はやはり負担力でございますので、負担力の範囲内に極力おさめるようにいろいろ配慮すべきであるということを申しておるものと解釈いたしております。
  39. 肥田次郎

    ○肥田委員 二号の「原価を償うものであること。」ということの質問に対してはたびたび答えているというふうに言われましたが、これは私は答えになっていないと思うんです。そうでしょう。私が言っておるのは、何年か先を見越してとる運賃原価を償うものである、こういう解釈を持っておられるのかどうか。先取り運賃ですよ。先取り運賃がいわゆる原価を償うという解釈をしておられるのか。これは私は大きな誤りだと思っております。
  40. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これもいろいろな機会に申し上げたと存じますが、今回の運賃値上げは普通一般に工事所要資金の調達ということを申しておりますが、その中で当然ペイするものにつきましては借入金によってまかなう、こういう考え方でございます。つまり、普通の企業でございますと、これは申し上げるまでもなくその企業が生産し販売するものが採算に乗っておれば、設備拡張に要する資金というものは借入金なり増資なりによってまかなうべきものであることは申し上げるまでもないのでございます。そこでそういうペイするものは借入金によってまかなう。今回も御承知のように約一千億の借入金をもってこれに充てておるのでございますし、東海道新幹線のごときは世界銀行からの借款も一部それに充てるというふうな考え方であることは御承知通りでございます。そこで、あとの千二百億円に上るペイしない、採算に乗らない経費がございますが、これは半分は減価償却の引当金でまかなえる。半分は自己資金、つまり利用者の負担等による運賃収入によってまかなえる、こう考えておるのでございまして、われわれといたしましては、先取りという考え方ではやっておらないのでございます。
  41. 肥田次郎

    ○肥田委員 三十一年ごろからの民間の私鉄の運賃値上げ一つの傾向を私は聞いてもらいたいと思います。御承知のように、あの運賃値上げ理由は、国鉄の今の理由と少しも変わっておらない。お客さんがふえた、どうしても困るから車両をふやさなければいけない、レールが古くなったからこのレールを取りかえなければいけない、まくら木が古くなったからまくら木をかえなければいけない、ですから今の運賃ではどうにもやっていけない、運賃を上げたい、こういう理由であります。これが先取り運賃じゃないのですか。御承知のように、車両を買う金、レールを取りかえる金、まくら木をかえる金、これのために運賃を上げるという理由をつけておるのです。これが先取り運賃じゃないのですか。金をまず集めておいてそれから車両を買おう、レールを取りかえよう、まくら木を取りかえよう、こう言うのです。ですから、これは運賃というよりは、資産になるべき性質のものを先に運賃で取り上げておいて、その資産をふやそうという、この論理が私は正しくないと思っておる。
  42. 岡本悟

    ○岡本政府委員 私鉄の運賃改定の場合に、これは御承知のように現在の運賃原価的に見てペイするかどうかということを判断いたしまして、採算に乗らないようであればある程度の改定はやっておるわけでございます。この運賃というものが採算に乗りておれば、設備拡張に要する資金というものは、私鉄の場合におきましては借入金なり自己資金の増大、つまり増資というふうな格好になりますが、そういうことでまかなっておるのでございまして、先取りではないのでございます。
  43. 肥田次郎

    ○肥田委員 それじゃ一つ具体的に私は説明を願いたいと思います。先取りであるかないかというこの論議はさておいて、では、上げた運賃というものは一体何に使われるのか。現実に今国鉄報告を見てもこれは赤字だという、これは私たちは承知しません。技術的な数字の細工はあっても、現実に国鉄が黒字だという事実はわれわれはとっくに承知をしています。にもかかわらずここで運賃を上げる、運賃を上げたその金は何に使うかといえば、これは新しいいろんな計画のために使われるのだ、それだけではいけないけれども、政府から金を借りてくるのだ、借りた利子も払うのだ、こういうことでしょう。総合的に見て、今言った上げられた運賃がその方面に使用されるというこの事実はどこにでもある。この区別ができますか。運賃値上げした分は一切新線建設だとかその他には使っておりません、これは補修費だけでございますという区分ができますか。
  44. 岡本悟

    ○岡本政府委員 もちろん金には色がついているわけではございません。従いまして運賃値上げの分が建設とかそういった資産増になる方に向けられないということは絶対に言えませんけれども、観念的には、われわれが申しておりますのは、この運賃値上げによる増収分は自己資金の増加をはかろうとするものでございまして、先ほど来申し上げておりますように、ペイしない取りかえ、あるいは諸改良につきましては、これは利子のかからない自己資金をもって充当すべきであるという考え方に立っておるわけでございます。
  45. 肥田次郎

    ○肥田委員 くどいようですけれども、国鉄が出しておる資料の中で、どう区別したらわれわれはそれでもっともだということになるのですか。どういうふうにお聞きすれば、たとえば運賃値上げ分がこれからの国鉄の五カ年計画の中でどういうふうに使われていくのかという、その区別をはっきりしてもらえば了承できると思います。なるほど運賃値上げした分はこの方に使っているのだな、そうでない金は別に新たに純粋に政府の方から借り入れたり、利子の補給をしてもらったりして、新線建設だとか、とにかく新しい目標に対する資金としてこれは全部借り入れでやっておる、こういう区別ができるなら私たちは一応これは認めます。いわゆる原価を償うものというこの運賃の条件。
  46. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 数字を申し上げます前に、ただいま先生のおっしゃいました問題は、やはり運賃論の本質に触れる問題でございますから、私どもの考え方をもう一ぺん申し上げさせていただきたいと思います。  この点につきましては、実は御引用になりました国鉄運賃法第一条を現段階においていかに解釈すべきかということは非常に問題でございますが、四原則がございまして、おのおのの見方によりましては多少性格の違ったものを羅列してあるような感じもございますので、これらをいかに解釈すべきかということにつきましては、私どもだけではなかなかいい知恵も出ませんし、また公正な見解もできないという意味におきますして、昨日西宮先生が御引用になりました、昭和三十一年の鉄道経営調査会並びに昭和三十二年から昭和三十四年までやりました鉄道運賃制度調査会等におきまして、これは学識経験者、学者等にお集まり願いまして、相当長時間この運賃問題について議論していただきました。  その点の結果だけを簡単に申し上げすと、四原則につきましては、経営調査会におきましては、「四つの原則を定めている。国鉄を独立の企業考え独立採算原則とするものとの立場からは「原価を償うこと」が中心原則であり、この原則を重点において、他の三原則を勘案すべきものと考える。」こういうようにいっております。  また運賃制度調査会におきましては、原価を償う。原価を償うということは、運賃は総括原価を償うことを要請されておるが、それは当然であってそのことは独立採算制の建前からも当然のことである。さらに具体的な運送種別ごとの運賃も極力原価を償うように要請すべきであると解釈すべきであるというように、経営調査会よりもさらに原価主義を貫くべきであるという強い主張をしております。この点は必ずしも一致しておりませんが、どちらかと申しますと、あとの方の調査会の方が強い原価主義の線を出しております。その、あとの調査会は、先ほど先生が御引用になりましたその他の三原則については、こういうように申しておられます。「運賃法が制定された当時と現在とにおいては、社会経済情勢にも、輸送情勢にも大きな変化をきたしているので、この表現を修正することが望ましいと考えられている。」というふうにいわれまして、運賃法の修正ということも考えたいが、一応「運賃の決定に当っては原価を償うことを基本とし、」というふうにいっておられます。基本として「この範囲内において他の三原則については、これを現状に即応するよう解釈し、その趣旨を適宜加味していく」こういう一種妥協的な態度をとられておりますが、いずれにいたしましても、前の調査会とあとの調査会におきましては、もちろん顔ぶれも相当違ってはおりますが、いってあることは、大体において原価主義でいくべきであるという、この四原則の中で第二の原価主義の原則を相当強く強調されておりますし、また昨日申し上げましたように、他の交通機関発達が非常に驚異的である、しかも他の交通機関はほとんど原価主義をとっているというこの二つの点に徴しまして、時間の経過とともに原価主義が強く打ち出されておるという結果になっております。  はたしてしからば原価ということは何かという先ほどの先生のお話でございましたが、これは先ほど鉄監局長が説明されましたように、標準的な経営費とか、利子とか、減価償却費とか、それから税金、あるいは災害引当金、退職手当、これは当然常識的に原価に入って参ります。それから減債基金についても、一定の基準をもって原価に入れるべきだ。さらに、一番最後の問題は、先ほど先生の御指摘になった問題であり、しかもこれが運賃の問題としては一番問題になると思うのでございますが、結局鉄道のように純粋な公共事業をしなければならないで、しかも利子のつく金でやれない仕事をしなければ、ならないというような企業体については、しかもそういった工事をどうしてもしなければならないというその金の出道につきましては、この調査会は多少表現は違っておりますが、三十一年の調査会では、取りかえ、補充、これは先ほど先生のおっしゃいました一種の減価償却でありますが、取りかえ、補充及び採算を度外視しても実施しなければならない新設、改良は原価に見込むべきだ。こういう結論を三十一年の調査会では出しておるわけであります。それから三十四年の調査会におきましては、多少字句が違っておりますが、「通勤輸送対策のように採算を度外視しても実施しなければならない施設の新設及び改良のための費用は」 「現実にはこれを原価として考慮することもやむを得ない。」ということをいっておるわけであります。もちろんこの二つの調査会は、いわゆる法律で認められた正式な法的機関とは考えておらないのでございますが、学識経験の高い方々の集まった会議でもって、公共企業体として、どうしても採算に合わない仕事をしなければならないということにつきましては、しかもそれを利子がつく金でやったのではとてもだめだということになりますと、結局それは現在の運賃に含ませる以外にしょうがないのではないか。その運賃原価である、運賃法第一条の原価の中にはそれが入っているのだというふうに考えなければいけないという結論に一応達しております。もちろん、繰り返して申し上げますが、これは法律にようてきめられました法定機関ではございませんが、一応運賃問題を国内で論議された権威のあるものとして、私どもは考えております。  その次に、それでは一体今度上げた分の運賃で何をするのか、極端に言えば、東海道の新幹線にそれが回るのではないか、あるいは新線建設に回るのではないか、こういう先生の御疑問でございます。もちろん今回の運賃値上げの前提として、私が申し上げましたように、運賃制度調査会なり経営調査会の結論を前提として今回の運賃値上げをお願いしております以上、この値上げによって出ました金は、まず第一に減価償却の不足分があれば減価償却の不足分に充当されるのは当然でございます。さらにそのあとにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、採算を度外視してもやらなければならない工事に充当されるべきものだと考えます。もちろん鉄監局長が言われましたように、金にしるしはついておりませんが、計数的にと申しますか、観念的にと申しますか、この出て参りました四百八十六億の金は、現在の運賃で自己資金として出て参ります約六百億の金と合わせまして、千百億ちょっとオーバーしたものを、主としてと申しますよりも、借金の返還は一応別といたしまして、まず何と申しても減価償却に充当する、いわゆる取りかえに充当せざるを得ないわけであります。従いまして、先ほど先生がおっしゃいました私鉄の問題につきましては、私は十分承知いたしておりませんが、たとえばまくら木を取りかえるという問題は当然現在の運賃で、先ほど私が申し上げました運賃理論によらないでも、運賃でやることは明らかであります。また線路の取りかえにいたしましても、取りかえという名のつく以上は減価償却でございますから、運賃でやるべきものでございます。そのほかに、たとえば先ほどから先生におしかりを受けました通勤輸送の問題でございます。通勤輸送の今のような混雑を緩和するために、車両をふやす、あるいは線路をふやす、これは非常に長い目で見ますればあるいは利益を生ずるかとも思いますが、十年、二十年の短期間においては、これは利益を生ずる工事ではございません。それからたとえば踏み切りの立体交差、これも昨日いろいろお話がございましたが、踏み切りの立体交差につきましても、立体交差にすることによって、もちろん踏み切り警手の人件費等はございますにいたしましても、直接の利益は出てこない。これによって社会一般の交通が安全になるという社会公共的投資であると考えます。その他、たとえば都市計画に関連いたしまして、いろいろな工事がございます。こういう工事につきましても、鉄道プロパーとしては必ずしもやらなくてもいいけれども、やはり都市計画上どうしてもやらなければならない、こういう工事でございます。これらを全部合わせますと、先ほど申し上げましたように、単年度にいたしますと、年間減価償却と合わせまして約一千億くらいの金が要るのではないか。従いまして、今回運賃値上げでもっていただけます四百八十六億の金は、個々の金は別といたしまして、全体の資金計画から見ますれば、これは先ほど両調査会の結論で申し上げました、採算を度外視しても実施しなければならない工事資金に充当したいということは明白になっておるわけでございます。
  47. 肥田次郎

    ○肥田委員 四の答えをまだはっきり具体的に聞いていないのですが、これを一つ聞かしてもらいたいと思います。それから、いわゆる運審だとか、あるいは運賃審議会だとかいうものについての権威を主張されます。私らも、それは権威あるものだと思います。しかし、失礼な言い分なら取り消しますが、この審議会は、総理大臣が任命をしたり、大臣が委嘱したりするのでしょう。これはいわゆる学識経験者ということになっておるけれども、この人たちがほんとうにどういう形で意思表示をしておるかということになると、これには問題がありますよ。ですから、これは、私はこのあと問題がもう一つありますから、それと一緒にして質問をいたします。もう一つ、この四について具体的に答えて下さい。影響があるのか、ないのか……。
  48. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 第四号の「賃金及び物価の安定に寄与すること。」という条文につきましては、これは、この法律が立案されました昭和二十三年は、ちょうど困難な時期でございまして、非常にインフレが高進いたしました。ことに定期運賃について非常に問題が多かった時期でございます。昨日からお話の出ております、現在の定期運賃割引が非常にきつい——先ほどここで拝聴いたしておりました社会党の公共負担法案の中にも触れられております通り、定期運賃割引率が非常に高い、これは事実でございます。この高い定期割引ができましたのは二十三年のことでございます。すなわち、そのころには、やはり運賃を極力低く押えて、そうして賃金の安定に寄与しよう、物価の安定に寄与しようという建前で作られたものというふうに私どもは考えております。その後経済情勢も変わって参りましたし、やはりその四つのウエートにつきましては、おのおのその時期々々によってウエートが違ってくるということで、もちろん国鉄運賃が賃金物価の安定に寄与しないでいいということは言っておりませんが、現在の段階におきまして、賃金及び物価の安定に対する国鉄運賃のウエートが当時と比較いたしまして非常に低くなっているということは、私どもの立場からだけは申せると思います。もちろん、これは国鉄という非常に小さい立場から申し上げていることでございますので、政府全体あるいは当委員会の御審議によって御論議されるできことであって、私のようなものが小さい視野から申し上げるべきこととは思いませんが、ただ、今までの過去の実績その他から見ますと、賃金にも物価にも影響ない、影響なかったということを申し上げていることが一つと、それからもう一つは、流通経済の過程における運賃のウエートというものが戦前に比較いたしますとまだ低いということを申し上げたいと思います。戦前、これは貨物運賃でございますが、鉄道で送ります貨物が全体で約四千五百品目くらいございます。これらの品目を全部価格に換算いたしました際の総価格における鉄道運賃のウェートというのは四・一%でございます。現在、まだその割合までになっておりませんが、今後、今回運賃を上げましても、大体戦前と同じ程度ということになっております。ただ、ここで一つ申し上げておきたいことは、戦前と現在とでは、トラックの発達その他の関係上、私どもの方で輸送する貨物の距離が非常に違ってきております。すなわち、戦前は、貨物の一トン当たりの平均輸送キロは約百八十キロでございました。しかし戦後は、現在では二百八十キロで、ちょうど百キロふえております。これはもちろん近距離貨物がトラックにとられたということでございますが、結局百キロ輸送キロがふえればそれに相当するといいますか一それに正比例するということでもございませんが、それに相当する運賃がふえるのは、これは当然だと思います。そういう見方からしますれば、昭和十一年ごろ、戦前の物価の安定しておった際の運賃のウエートと比較いたしますと、それまでに至っていないということ。これは私どもの非常に小さい見解でございまして、こういう問題は企画庁その他からお話しになるのが至当と存じますが、私どもだけの調査から申しますればそういう結果が現われております。かと申しまして、もちろんこの四号を無視してよいということを申し上げているのではありませんが、計数的に見ますと、私どもだけの立場から申しますと、運賃のウエートというものは非常に低くなっている。たとえば荷作り費と運賃というようなものを一つとってみましても、ほとんど運賃の倍の荷作り費がかかっている。流通経済の過程における運賃というものは、よく検討してみると割合低いということを申し上げると同時に、戦前の運賃の占める割合に比較いたしまして百キロ輸送キロが延びてもまだ戦前と比較いたしまして大きくなっていない。これらは計数をもって申し上げる機会がありましたらいつでも申し上げますが、一応鉄道側から見ました調査だけを申し上げておきます。
  49. 肥田次郎

    ○肥田委員 やはり物価安定という問題、この文章がじゃまになるならじゃまにならぬように措置を講ずべきだろうと思います。この文章をそのままにしておいて、物価の安定という国民生活の基本問題に影響するかしないかということの論議をはずしては、この運賃値上げ理由について私どもはどうしても納得できない。ですから、無視するわけではないけれども、無用の長物であるわけではないがという言葉が口の端に出るくらいなら、もっとはっきりした態度をとるべきだろうと思います。それから、戦前とよく比較されますが、これはやめられたがよいですよ。戦前とものを比較してきめていくというような状態ではありません。戦前が今ものをきめるコンスタントかどうかという本質的な問題を抜きにして、戦前だ戦前だと都合のよいときには戦前を引っぱり出してくる。その都合々々によって都合の悪いときにはおきながら、よいときには戦前を引っぱり出す。こういう論法では運賃の問題はきめられないと思います。戦前の運賃と今やっととんとんになったと言われますが、とんとんという率の状態が国民生活全体のものに徹底されているかということになると、そうではない。賃金にしたって、退職金にしたって、生活環境にしたって、戦前に比べるといろいろな矛盾がたくさんある。運賃だけが戦前からして低いからと上げるようにされることは一方的な理屈だと思います。そこで、これは言っても答弁は無理だと思いますが、原価を償うものであるということ、このことについて、その次にこの国鉄の二円七十五銭という運賃コストについて伺いたいと思います。  原価を償うものであるかないかという論議をいつまで続けても結論が出ませんので、運賃コストはどういう計算によってどういう内容を持たして幾らになっているかということをお伺いしたいのであります。これらについて省の方で出されている資料によって計算すると、電車の場合キロ当たりの経費は六十五円八十七銭になります。今度三百キロまでが二円七十五銭ですから、これがそのまま使われたとすれば二十五人で採算がとれるということになる、定期の旅客を例にしても、百人乗ればりっぱに採算がとれる。そうするとモハで百六十人、サハで百六十八人か何ぼ、これだけの収容を持っている車両が二倍から三倍のお客を運んでいる、都内の国電、こういう場合には一体どういうことになるのですか。私は今言われたように小さいことを言っているわけではない。東京の人が新聞を読める読めないはさておきましょう。足が電車の床につくかつかないというふうな乗り方をしておって、払っておる運賃が全国の国鉄を維持するために回されているということはよいとしましょう。しかし、それにしても百人で採算がとれるのに三百人も四百人も乗せているのはあまりにひどいじゃないですか。こういうことから原価計算というものはそういうものもしんしゃくしたところの運賃というものが立てられなければならぬと思う。私は運賃というものは理届だけではないと思います。これは政策だから、そういうものを無視して、一方的に東京都の中心に集まっておる人たちが非常に大きな犠牲を払いながら、その他の地域の穴埋めをしておる、この形が悪いと言うのじゃない。それにしてもそれにはそれらしくもっと東京の扱い方があるのじゃないか、二千九百五十両の車両を買うのが四十七、八%でとまっておるという、こういう仕打ちをやっておるのでは、いつまでもそういう仕打ちが続けられるのじゃないかという心配があります。ですから運賃のいわゆる原価計算書、これを私たちは資料によって納得していきたいと思いますから、これに対する詳細な資料を一つ提出をしてもらいたいと思います。
  50. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま御引用になりました数字は、あるいは私の方で出しましたものかどうか、ちょっと私今つまびらかにいたしませんが、もちろん、今、先生がおっしゃいましたように、国鉄におきましても、あるいはほかの企業におきましてもそうかと存じますが、やはりもうかるところともうからないところがあることは、これはやむを得ないことだと思います。現在私どもの運賃は、運賃法に明らかな通り全国画一的な運賃主義をとっております。これは今おっしゃいましたように、東京でも北海道でも同じ運賃でございます。これは国鉄運賃一つの特色でありまして、もちろんごく最近二、三の例外はございましたが、原則といたしましては全国画一運賃であるということが、国鉄の非常に大きな建前でございます。もちろんこれがいつまで維持できるかどうかは別といたしましても、現段階におきましては全国画一運賃でございますので、私の方では線区別に原価計算をいたしております。すなわち東海道線ではどうだ、あるいは山手線ではどうだ、逆に北海道の函館線ではどうだというように、全部線区別に原価計算を行なっております。従いまして輸送の密度もおのずから違っておるわけであります。東海道線輸送の密度、それから北海道の輸送の密度はおのずから違っております。従いましてコストにつきましては、東京のコストと北海道のコストは非常に差がございます。場合によりましては、東京の電車区間はコストが一番安いところでありますが、それに比べまして北海道では三倍以上のコストがかかっております。こういったコストの差というものにかかわらず運賃というものを一本にしておくことが、国鉄が全国を経営している一つの大きな理由だというふうにいわれておりますが、そういう面からみまして、しかしそのままでほうっておくわけにもいきませんので、私どもは全国的に、どの線はどういう収支になっており、どの線の原価はどうだという、線区別の原価を詳しく出しておるわけであります。これがよく赤字線とか黒字線とかいわれますあれでございますが、その基礎といたしましては、私の方といたしましては各線区別に直接費と間接費とを全部計算いたしまして、それを輸送量に勘案するというやり方でございます。これがいわゆる先ほど先生のお話になりました、総括原価で総括的な収入をまかなうという建前になって参りますと、旅客が現在の運賃では二円四十銭になり、貨物では運賃の別表に示すような賃率になっておる、こういうことでありまして、もちろん場所別、線区別にとおっしゃいますれば、原価を上回る運賃をいただいておるところもございます。たとえば貨物について申し上げますれば、一級から五級までの貨物は、明らかに原価を上回る運賃をいただいております。そのかわり六級から以下の国民生活必需物資は、原価を下回る運賃をいただいております。従って原価を上回る部分があるのは当然でありまして、それがなければ原価を下回る部分の運賃がないわけであります。そういう建前から申しまして、線区別に申しましても、また貨物は等級別に申しましても、原価運賃との関係は全部一様ではございません。線区別に、また貨物の等級別に違っておるわけであります。この点は詳細に数字をごらん下されば御了解願えると思いますが、今、先生のおっしゃいました東京の近郊の数字は、私ちょっとつまびらかにいたしません。私もここに数字を持っておりますが、はたして合いますかどうか別といたしましても、線区別の詳しい原価計算なり何なりにつきましてはいつでも資料を提出いたしますし、また世界の鉄道を見ましても、日本鉄道は割合に線区別の原価計算をよくやっている方ではないかというふうにも思っております。その詳細な数字はいつでもお目にかけます。
  51. 肥田次郎

    ○肥田委員 資料を出していただきます。それから運審の答申書というものも一緒に見せていただきたい、これだけお願いしておきます。  そこで、まだほかにもっと聞きたいこともありますけれども、運賃内容に触れてきたので、もう一つ聞いておきたいと思います。  国鉄運賃値上げされると、それに従って、これはいろいろな関係から、貨物運賃はそのまま民間に適用されされますね。方針はそうですね。たとえば——仮定ですよ、われわれは四月一日に運賃が上がるとは思っておりませんが、仮定としてもしそうなれば、はたして四月はいつにしても、そのまま実施ということになるのですか。
  52. 岡本悟

    ○岡本政府委員 当然に適用になるわけではございません。それはやはり一つ一つ運輸大臣の認可をとっていただかなければ、改定はできないわけであります。
  53. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると技術的にどうするかということは御承知ですか。たとえば国鉄貨物運賃がきまりますね、そうすると連帯の私鉄線が流れ込んだ場合には、どこで精算するのですが。一本でいくでしょう。
  54. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これは御承知のように先生が御指摘なさる点は、従来先回の私鉄の大手筋の運賃改定の場合には、もちろん時期がずれたわけでありますけれども、それまでは大体国鉄が上がりますと、それと歩調をそろえて私鉄が上がっておったわけであります。しかしその場合も所要手続は踏んで運賃改定の認可をいたしておるのであります。しかし昭和三十二年に国有鉄道運賃改正をいたしました際に大手筋の運賃の改定は行なわれなかったのであります。そこでそれと同じような現象がまた今回起こってくる、こういうことになろうかと存じます。
  55. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると国鉄の上がった貨物運賃をそのまま私鉄に横流しして上がっていくものじゃないですね。たとえば同じ処置がとられるにしても、それは法に従ったところの処置をとるということですね。  次に、今度の運賃値上げの重要な面を占めておる一つのものとして国鉄輸送の隘路ということが言われております。この輸送の隘路というものは、外形的に見るとなるほど輸送の隘路のように見えます。しかしこれをもっと区分をしてみると、ほんとうに輸送の隘路なのかどうかという疑問を私たちは早くから持っているわけであります。たとえば国鉄輸送に重複輸送はないか、交錯輸送はない為という点が——これは国鉄の資料にも出ておるし、それから国鉄関係に対して非常にうんちくの深い人々からもあちらこちらでそういう意見が出ております。ですからそういう点一つ説明を願いたいと思います。具体的に言うと北海道の品物を本土に持ち込んで、本土からまた北海道に持ち込んでいく。これが実は同じ米であったというようなことがあります。こういうことが出てくる原因は一体何なのか、これを一つ説明していただきたいと思います。  要は、輸送の隘路という問題を解決する以前に、先日も大臣が本会議国鉄にはいろいろと長いしきたりがあってという答弁をされておりましたが、私は全くそうだろうと思います。そのしきたりのために、同じことを九十年間も繰り返す愚は避けた方がいいと思う。そうしなければ本質的に国鉄輸送の隘路を解決しようと思ってもできるものではないと思う。一つ御答弁を願いたいと思います。
  56. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 今の御指摘は重複輸送を主にした輸送隘路の問題でございますが、確かに御指摘の通り重複輸送は相当ございまして、私どもの方でも相当詳しい調査を過去においていたしたことがございます。ことに戦時中はいろいろな意味で重複輸送ということをずいぶんやかましく申しましたが現在における重複輸送には主として二つの問題がございます。  一つは、今、先生が御指摘になりました米を中心といたします政府の統制物資でございます。これは今おっしゃいましたように、北海道に米を送りあるいは北海道から米がくる、この方はごくまれなケースでございまして、たとえば北海道が非常に豊作であった年は北海道から米を入れることもございますし、逆に凶作のときには内地の米を入れることもございますが、米につきましては運輸省、農林省と毎月々々厳重な輸送会議をやりまして、私の方から米の重複輸送は絶対にないようにと強い申し入れをいたしております。これは結果から申しまして、米麦につきましてはほとんどといってよいほど重複輸送はございません。  やはり自由主義経済でございますせいか、たとえば工業製品、セメント等、木材、鮮魚等に重複輸送がございます。ことに極端な鮮魚の例を申し上げますと、北海道の鮮魚が大阪にいき、下関の鮮魚が東京にくる。東海道線の上り下りを鮮魚が動いているという形がずいぶんございます。これらについて相当詳細に実は調べてみたのでございます。そういたしますと、ただばく然たる自由主義経済のために物の動きが重複しているということもございますが、それよりも最近魚に対する好みが変わってきている。たとえば昔は東北のイワシを関西の人はほとんど食わなかった。ところが最近は塩釜から大阪までイワシが輸送されているというような例もございまして、単に乱雑な自由主義経済というよりも、やはり多少経済が楽になったせいか、いろいろな嗜好によって物の動きが変わってきているという例が魚にございます。  また、同じ木材と申しましても紀州の木材が会津にいっている例もございますし、東北地方、ことに青森県のリンゴの箱材になります板はほとんど関西地方からいっております。表面上はそのように木材が東北から東京に流れ、あるいは同じルートを逆に関西から東北に流れていくのはおかしいじゃないかというようなことも、調べてみますと片方は青森県に参りますリンゴの箱材であったというようなことがございまして、ただ私の方でとっております品目を抽象的に見ただけでは、必ずしも交錯輸送といえない面も相当あったわけでございます。そうでないもの、たとえばセメントなどにつきましては、私の方からセメント協会あるいは通産省に交錯輸送のないようにいろいろ申しておりますが、セメントにつきましても色の違ったセメントあるいは素質の違ったセメントがある。ダムに使うセメント、道路に使うセメント、いろいろ用途によって違いますので、私の方から見ますと先生のおっしゃったように交錯輸送といってやめてもらいたいものがあったのでございますが、一々荷主に当たって聞いてみますと、おのおのにつきましてはもっともな理由がありましてやむを得ないというような点もございます。たとえば木炭について申し上げますと、同じ関東地方でも東京の木炭は岩手県から参ります。しかし横浜の木炭は全部島根県から参っております。そういう今までの商取引の慣習などもございまして、必ずしも交錯輸送をしているからといって、すぐそれがいけないということにはなかなかなりません。しかしながら先ほども旧しました政府の統制的物資につきましては、極力先生のおっしゃいましたように、交錯輸送のないように、よほど米麦の事情等が逼迫して緊急輸送等の場合はいたし方ございませんが、そうでない限り、輸送力の逼迫の現状に加えて交錯輸送のないように極力注意いたしてやっております。
  57. 肥田次郎

    ○肥田委員 交錯輸送があるという事実をお認めのようですが、ぜひこういう悪弊を一掃してもらうように努力していただかなければ、いつまでたっても輸送の隘路は解決しないと思うのです。もう一つ、隘路と言われる理由の中に、上げる、上げないは別として、貨物運賃に対するつり合いの問題があると思うのです。もちろん国策的な物資について国鉄がそういう面での赤字を承知の上で輸送責任を負わされているという事実はわかっています。ところが国鉄運賃が安ければほかに輸送する機関があっても国鉄輸送に殺到するのは当然なんです。ですから私たちは、本質的に物を分類していって、これが真に日本の経済発展のために役立つ物資なのかどうか、これは極端な表現をすると一部の人々だけをもうけさせるための物資なのかどうか、こういう区分をした値段がつけられてしかるべきだと思っている。そうして純粋な公共物資といわれるようなもの、資源だといわれるようなものの輸送についての負担をやるというならば国鉄はいうところの公共負担と称される部面ではるかに整理ができると思います。これをやらないと、国鉄のいわゆる貨物輸送の隘路というものは解決できないと思う。それから悪いくせは国鉄自身が、おれのところは何十億の輸送をする、これを所得倍増計画に従ってさらに何十億にふやすのだという表現をされております。私はこれが誤りだと思う。国鉄輸送増強するというのはかけ声であって、当面しておるところの輸送の隘路を打開するというのが本質的任務なんです。その任務と目的を一緒にしていろいろな計画が立てられるというところに問題がある。国鉄貨物のことを問題にしましたけれども、もっとほかにも問題がある。それはあとにしますけれども、これを考えなくては、いつまでたっても隘路は解決できないだろうということを特に申し上げておきたいと思います。重複輸送、交錯輸送という点はもう認めておられるので、特にこの点についてはこれを解消する処置を講じられてしかるべきだと考えます。それではもう一つ具体的な問題を聞いておきたいと思います。これは総合的な私の質問の中に入って、そうしてその質問の締めくくりの一部分なのですが、国鉄が今考えておられるところの鉄道輸送増強とそれからバスというものに対して、基本的な考え方はどういうふうに持っておられるのですか。国鉄は今自動車は大体二千両くらいある。その二千両の中にはバスもトラックもあります。そうして若干の観光もあります。そういうものは将来の国鉄輸送計画の中でどういうようにお考えになっておりますか。これはもう少しポイントを申し上げておくと、表現の上ではサービスだ、出血路線だ、こういう表現が使われております。つまり国鉄はバスを出しておるけれども、これはほんとうの出血サービスだというふうな表現がされております。それにもかかわらず、新たに国鉄がバス路線の申請をされております。私ら想像しても、先ほどのお話ではないけれども、新線を作ってもなかなか十年やそこらで黒字になるとは思えない、こういうふうなことが予想される地域に、あえて新免の申請をされておるというような事実もあります。それから観光バスの新免もあります。昨日の質問の中には国鉄の観光バスに乗ろうと思ってもいつも間に合ったことがないじゃないか、あるいはもっとふやせという御意向のようですが、もうかる、もうからぬは別にして安ければそれは国鉄のバスに殺到します。ですから幾らふやしてもこれが安かったのでは今言った不満は解決できない。こういう問題があるので、国鉄バス、観光バスに対しては基本的にどういう考え方を持っておられるのか、一つ開いておきたいと思います。
  58. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄バスにつきましては、私申し上げますことは必ずしも運輸省の意見と一致いたさないかもしれませんが、その点は御了承願いたいと思います。国鉄といたしましては、ただいま先生がおっしゃいました通り、現在国鉄バスは自動車全体から見ますと相当大きな赤字を出しております。たとえば三十四年度におきましては十三億くらいの赤字を出しております。その赤字を出しております原因は、国鉄バスの一番初めからできました原因から申し上げますと、御承知通り鉄道の先行あるいは代行あるいは短絡といった国有鉄道と関連する路線だけだということに限られておりますので、どうしても山の中の路線あるいは将来鉄道が敷かれるところのショートカットの路線、いずれにいたしましても非常に沿線の人口の少ない、また沿線物資の少ないところに国鉄バスが主として運行されていることは事実でございます。従いまして、私どもといたしましてはこの国鉄バスの将来を一体どうすべきかということは非常に大事な問題でありますと同時に、やはりいろいろお話がございました鉄道と一般バスとの問題、すなわちバスに近距離のお客さんがどんどん鉄道から行ってしまうという問題と関連いたしまして、私どもといたしましては国鉄バスについては、相当今後は方向を変えまして、拡張と申しますか、バス事業としても鉄道を十分カバ一できるような、鉄道の防衛ができるようなバス事業に進めて参りたいと思っております。ただこれは国鉄だけの考え方でございます。各私鉄がほとんどバス事業を持ちまして、自分の私鉄を防衛しながらしかもバスの運営を盛んにさせているということが許されているにかかわらず、国鉄につきましては、国鉄バスは大都市に入ってはいかぬ、あるいはいなかだけをやっていればいいというお話ばかりでは非常に困るので、私どもといたしましては数年前に関門のトンネルができましたときには、やっと民間と相並びまして山口−博多の間に直通の長距離バスを運行することのお許しを得たわけであります。また今後できます名神国道等につきましても十分私どもとしましては、はたして国鉄バスをやらしていただくことがいいかどうかということにつきましても検討して参りたいと思っております。最近新聞にも出ましたように、非常に長距離バスの申請が一般民間会社から出ております。たとえば東京−長野、東京−仙台というふうにバスがふえている。しかもそれらの問題を考えますと、国鉄バスは今までのようにただ山間僻地にだけ行っていればいいという時代ではなくなるというふうにも考えられますし、また一方民間の乗合自動車の側からの御意見を承りますれば、国鉄が大都市に出てきてくれては困る、国家資本でもって民間事業を圧迫されては困るというようなことも強い声として上がっていることも存じておりますので、これらは最終的には運輸省で御調整をおとりになることと考えますが、国鉄といたしましては今後自動車というものの近代的な輸送手段の使命考えますと、今までのような考え方ではなしに、少なくとも今までの赤字が自動車事業で出ないように、私鉄のように自動車事業でうんと黒字を出して、国鉄の赤をカバ一するまではいかなくても、少なくとも自動車事業の赤だけはなくすような路線をやらしていただきたいということを強く希望いたしております。しかしながら先ほどおっしゃいましたようにいろいろ反対もございますので、これらは最終的には運輸省で御調整をおとりになるというふうに考えております。
  59. 肥田次郎

    ○肥田委員 バスというものは今でも国鉄の防衛的役割を果たそうというお考えなんですか。たとえば地域的に一時そういう時代はあったのです。これはあとで申し上げますけれども、路線を確保するために権利だけとっておくという時代がありました。それからとにかく駅まで乗客を運んでくるという目的で、赤字を承知で、バスを走らす時代もありました。そういう時代はやはりバスは鉄道の防衛的役割を果たしておったと思うわけです。ところが今日の国鉄に、特にバスが防衛的役割を果たさなければならぬような条件が新しくありますか。私は時代が変わってきているということを前提にして言っているのですよ。国鉄がそうじゃない、バスは赤字路線だ、出血路線だ、バスはバスとして必要だからやるのだというならば、私たちは納得ができる。そうじゃなしに二十年、三十年、戦前と同じようにバスをもって国鉄企業を防衛させるような量見なら、国鉄は国策会社、国有鉄道ではなしに、やはり日本鉄道です。
  60. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私が防衛と申しましたのは、多少言葉の使い方が適正でなかったかと存じますが、その点は修正いたしますが、現在国鉄バスの使命は御承知通り鉄道の先行、代行、短絡というふうに考え、そのほかに最近出て参りました鉄道と自動車との共同輸送がございます。これらのほかに先ほど先生が御例示になりました観光バスなどにつきましては、鉄道輸送力の不足を観光バスで補うことも一つの方法でございますし、また必ずしも鉄道と私鉄との連絡がうまくいかない、たとえば駅へ列車が着く直前にバスが出てしまう。そうして駅まで行ったけれども、駅から先の乗りものに乗るには一時間も待たねばならぬというケースがときどきございます。そうしたことのために国鉄バスと鉄道のきっちりとした結合輸送をする、そしてお客様をドア・ツー・ドアまでいかないまでも、たとえば観光旅行などについては駅でおっぽり出しにしない。現在の鉄道輸送は駅から先は知りませんという輸送をしておりますので、だんだん鉄道の近距離のお客さんが減ってくるわけであります。それらにつきましては駅からさらに観光地までお客さんを運ぶという鉄道とバスとの——最近の言葉で結合輸送といっておりますが、そういった方面などはぜひこれからやっていかなくてはいけないわけです。それとは別に先ほど申しました関門トンネルのバスでもって御認可願いましたような中、長距離バスというようなものにつきましては、全然別な立場から、あるいは名神道路あるいは東海道幹線道路というようなものができましたときに、国鉄がどういう工合にバスをやるかということにつきましてはいろいろ大きな問題があります。それにつきましてはわれわれとして検討中でございます。
  61. 肥田次郎

    ○肥田委員 私が申し上げたいのは、もう防衛というようなけちな量見、それから国鉄の客を民間に取られるというようなけちな量見じゃなしに、真に輸送の目的を達するというこの限界を越えては私は問題がむずかしくなると思う。観光もけっこうですが、観光の中に国鉄料金を含めてどう計算していくかとかいうような新しい問題も起こってきます。そのつり合いは必ずとらなければならぬのですから。そうすると不必要なサービスのために今度は国鉄料金というよりも国鉄の経費が食われていくというようなことになってくると、これは一般の企業と同じような形態になってしまう。また運賃値上げのときにたたかれるもとになります。だからそういうけちな量見ではなしに、ほんとうに国鉄という一つの大きな任務があるのですから、その任務の範囲内においてものを考えるという立場をとられるべきだと思います。  それから一つ総裁にお伺いしたいのです。実は私たちが今度非常に重大な問題だと思っていますのは、大臣もお答えでしたが、新線は作る、いわゆる弾丸鉄道は作る、作るけれども、それには人員は三百名くらいしかふやさない、あとは今国鉄の持っている人員で肩がわりしていくのだ、こういう答弁が本会議でありました。私たちはこれは将来非常に大きな問題を生じてくるだろうと思う。そこで当面問題になるのは、一つ政策の中で五カ年計画をやろうというわけです。国鉄がこれからスピード・アップをする、新線建設もする、新線はほとんどいわゆる立体交差になるだろうと思いますけれども、しかし現実に今四万三千くらいの踏み切りがあります。この中であれやこれやまぜて踏み切りに警報笛あるいは番人のついておるものを含めるとやっと五千五百くらい、この程度のもので、あとは結局極端に言うと四万三千カ所の踏み切りをぷうぷう笛を鳴らしながら走らなければならぬような状態に今置かれております。その間に例のダンプカーという無法者がおりますから、幾らしゃれた電車を走らせてみても、スピードを上げようとしてみてもなかなか思うようにいかない、こういう状態があるのです。そこで踏み切りと道路との交差という問題に対する対策が運輸省でも当然考えられるだろうと思いますが、その前にお聞きしておきたいのは、現実に私がいろいろと聞いてみますと、国鉄には今施設という関係がある。そしてその施設の関係の中で特に線路を担当しているところの保線工手、こういう人の中で、人員が千五百五十名くらい定員から不足しておるという事実があります。そうして今度は踏み切りの状態を見てみると、有番踏み切りで例をとってみると、駅の近くは駅員が交代に踏み切りに入って勤務をしておる。ところが中間にあるのは保線区でやらしておる。保線区でやらしておるから千五百五十人足らない、不足しておる、この千五百五十人不足しておる人員の中から、踏み切りを操作するための人をその中へまた割っていかなければならぬ、長い聞こういう状態が起きております。この問題は私は大へん重大な問題だと思うのです。ですから、これはもうありきたりのお答えじゃなしに、ダンプカーと衝突すれば、総裁も御承知のように何千万円かの損害が起きるのです。幾らしゃれた電車を走らせても、あのあばれものに当たられると非常なけがをします。負けはこちらです。そういうそろばん勘定からいっても、ああいうものに当たると得はいかないのですから、人をふやした方が私は有利じゃないかと思う。だからすみやかに足りない千五百五十人の人を補足して、そして踏み切りの面も、遮断機をつけながら人がおらないという踏み切りというのはあるべきはずのものではないのです。いつでも無番踏み切り、遮断機をつけながら遮断機がおりない、そんなばかなことはない。だからこれを補充するお考えはどうですか。これは補充してもらわなければならぬという立場一つお答えをいただきたいと思います。
  62. 十河信二

    ○十河説明員 今お話のように、欠員のあるところは漸次補充して参りたいと思っておりますが、踏み切り等その他できるだけ機械化をいたしまして、その方面でも補充をいたしたい、そう考えます。一番万全の方法は、お話にありましたように立体交差にすることです。これは非常な金がかかりますから、さしあたり五カ年計画では約三百カ所を立体交差にいたしまして、その他は最も交通の繁激なところに人を置く、あるいは機械化するというふうなことをして、交通の安全をでき得る限り確保いたしたい、こう考えております。漸次そういうふうにいたしたいと思っております。
  63. 肥田次郎

    ○肥田委員 どうも今のお答えでは私は不安心なんです。といいますのは、できるだけ補充をしたいと思うというお答えが一つ。それから反面では、今度は機械化していこうというお考えがあるようです。機械化はけっこうだと思います。ところが機械化の間はどうするんですか。今の施設に人が足りない、保線工手は足りない、足りない中から踏み切りの方に人を回しておる、そしてそれはさておいて機械化の方法をとられる、そういうことになると、えてしてそれは、まあしばらく待っていなさい、これは機械化してどうせ人は要らなくなるのだから、だからこの人は補充しなくてもいいじゃないか、こういうことで現場では行なわれがちなのであります。ですから、当面あるものは完全な人員を整えるべきだというのが私たちの考え方です。これが国鉄が安全にスピードを上げて、そして乗客は安心して目的地に予定通り到着できるということになる前提なんです。ですから、私はこれは当然すみやかに解決をしていかなければならぬ問題だと思っております。ですから機械化という問題とは別にして、機械化のために今ある施設がいいかげんになされておるのをそのままにしようというのではなしに、不足な人員はすみやかに補って、そうして逐次機械化していくというなら、これはそのときそのときによって合理化の一つの方法として当局と組合と御相談になる場合があるだろうと思います。これは実際どうなんでしょう、千五百五十人の不足というものは、何とかしようという範囲でまだそのまま置いておかれますか。
  64. 中村卓

    ○中村説明員 私からかわってお答え申し上げます。詳しい数字ははっきり覚えておりませんけれども、若干の欠員があるということは予想されます。これにつきましては先生も御承知だと思いますが、私の方では昔から、特に保線関係はいわゆる臨時職員というものを使ってその穴埋めをある程度やってきたわけであります。今踏み切り関係につきましては総裁から申されましたように、自動化、機械化を考えておりますし、軌道関係におきましても、相当多額の改良費をつぎ込みまして、軌道強化と申しましてまくら木をコンクリートにするとか、道床を厚くするとか、そういう保守の手間の省けるような方法を考えております。なおマルティプル・タイタンパーというような機械を使いまして、できるだけ人の増加を防ぐというようなことも考えております。今度の五カ年計画でもそういうようなことを予定し、それによって作業を合理化して人の不足を補う。先ほどちょっとお触れになりました三百人の増員というのは、昭和三十六年度におきまして、東海道新幹線の計画において三百人の増員が予算の中に盛り込まれております。
  65. 肥田次郎

    ○肥田委員 御答弁を聞いておると、実はいよいよ私たちの考え方と遠ざかっていくのです。私たちの言っておるのは旅客を安全に輸送するためには、保線工手というものの不足があってはいかぬじゃないかということを言っておる。これが実際に線路を守っておるのですが、それが不足がある。それで不足の中から踏切警手という仕事をさせておる。そうすると、どういうことになるのですか。踏切警手は交代なしで、二十四時間勤務で、一昼夜交代をしておるところがある。便所に行くのも、列車のすき間を見て立ち小便をやっておる。飯もがしゃがしゃとそこらで準備をして食べておる。こういう状況で勤務しておる。これは民間にはよくあります。それがためにあまり過労で居眠りをしておって、電車と自動車を衝突さした。これは西武鉄道のようなところにありました。こういう問題が起こったときの責任は、その踏切警手がどうだこうだとかいう責任だけでは済まない。そういう問題があるから、いわゆる保線工手の不足はすみやかに補うべきである。それから踏切警手の足りないところはいつでも満配の形で、いつも安全な状態にしておくということが今の場合に一番必要ではないか。列車のスピードを百キロを百五十キロに上げたとしても、この問題がなければだめです。四万三千の踏み切りを一々笛を鳴らして警戒しながら走っておって、スピードが上がりますか。これは一番大切な問題ではないか。わずかの人間で済むことです。ですから、これはどうするかという返事を聞いておきたいと思います。
  66. 中村卓

    ○中村説明員 いわゆる第一種踏み切りと申しまして、踏切警手を賢くべき踏み切りにおきまして、しかも相当交通度が多い、列車の密度が高いところでは、二人あるいは三人くらい常時手ぶらがあるように配置しております。従いまして、踏切警手につきましては人手が足りなくて仕事が非常にオーバー労働と申しますか、そういうことはまずないと思います。ただそのしわ寄せが線路工手の方にある程度いっておるのではないかという問題になると思うのでございますけれども、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、一応どうしても人手の足りないところはとりあえず臨時雇用員というもので補充してやっておるわけであります。  なお全体の方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、作業の機械化とか、軌道工事を近代化していくとか、そういう方向でできるだけ労働を減らすように考えております。
  67. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、踏み切りの方には全部義務的に人を配置しなさい、そして保線区で足りないところは何とかそれでやっていけ、こういうやり方ですか。
  68. 中村卓

    ○中村説明員 原則的な考え方はさようでございます。
  69. 肥田次郎

    ○肥田委員 それで完全に線路保守ができると思われますか。具体的にいえば、そういうようなやり方で人がそれだけ労働過重になって余分に働くという姿が出てくる。それが労務管理の正しい姿勢だと思っておられますか。
  70. 中村卓

    ○中村説明員 先ほど申し上げましたように、不足の場合はある程度臨時職員というようなもので埋めていく考えでございますので、一応その点はそうひどいと申しますか、頭数からいってそう問題はないのではないかというふうに考えております。
  71. 肥田次郎

    ○肥田委員 千五百五十人程度のものだったらこれは問題がないだろう、こういうことですか。問題があった場合にはどうするのですか。先般も民間の鉄道なんかで、保守が不十分で犬くぎが抜けておって脱線したというような事故もありましたね。これは保守の責任は同時にありますけれども、監督の責任もある。監督の責任もあるということは、一切の責任という問題が起こってくる。国鉄の場合に、最近どこにどうという問題は取り上げませんけれども、そういう問題が起こったとしたら、われわれとしてはその責任の追及はどこへやったらいいですか。
  72. 中村卓

    ○中村説明員 そういう事故の場合には、具体的なケースに従ってそれぞれ原因を探究し、責任を追及しなければいけないと思います。従来、先ほど申し上げましたように、線路関係から特に臨時職員というものを伝統的に相当長い期間使っておりまして、それを今一気に職員化するということはなかなか問題があると思います。これにつきましては、臨時職員全般の問題といたしましては、ある程度職員化していこうということで組合の方とも話をつけておるわけでございまして、逐次職員化していく方向にもございますけれども、全体といたしましては、ある程度臨時職員で補っていくという方向をとらざるを得ないというように考えております。
  73. 肥田次郎

    ○肥田委員 総裁の方では、そういう問題があるならば何とかしてすみやかに解決をしていこう、こういうふうにおっしゃっておる。ところがあなたの方はわざわざ答弁に立っていただいて、私は理事だからもっと具体的な答弁をいただけると思ったら、千五百五十人くらいは不足してもあたりまえだ、そういう答弁だ、そういうふうにしかとれないですね。
  74. 中村卓

    ○中村説明員 私の申し上げ方が悪かったかもしれませんが、総裁はできるだけ欠員を補充していきたいとおっしゃったけれども、その前提として、先ほどもちょっと私は申し上げましたけれども、一ぺんに全部職員化することはむずかしいので、穴埋めは臨時職員ということでやっていきたいというように申し上げたつもりであります。ちょっと申し上げ方が悪かったかもしれませんが……。
  75. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、総裁と同じような考え方であるととっていいわけですね。千五百五十人足りないものは何とか補充しなければならないというお考えを持っておられる、そしていわゆる完全なる輸送というものの基盤を作るという、この思想には間違いありませんね。
  76. 中村卓

    ○中村説明員 考え方としてはけっこうでございますが、ただ千五百五十という数字は、もう少しチェックしませんと、実は私詳しく存じておりませんから、数字的な問題としてはちょっと保留さしていただきたいと思います。
  77. 肥田次郎

    ○肥田委員 数字はともかくとして、考え方としてはそういうことでよろしいですね。これは将来話し合いの材料になりますよ。  それでは、時間を有効に使うためにさらに質問を続けます。これは一々申し上げますけれども、実は昨日、それから一昨日も同じであったかと思いますけれども、赤字路線に対する考え方というものについての答弁がなされておりました。この赤字路線という問題、非採算路線という問題をどういうふうに本質的に扱うかということは別にして、赤字路線であってもこれは絶対にめくるべきじゃないと思う、こういう答弁が大臣からありました。これはそういうふうにずばりと解釈しておってよろしいですか、局長。
  78. 岡本悟

    ○岡本政府委員 極端な例を除きましてはということを私は申し上げたつもりでございます。もちろん赤字路線につきましては、経営の合理化に寄与させるという見地からこれを廃止すべきだという意見があることは承知いたしておりますけれども、地方の国民生活に対しては重大な関係を持っておりますので、慎重に扱いたい、かように申し上げたのでございます。
  79. 肥田次郎

    ○肥田委員 赤字路線というのは国鉄のような場合には当然あるのがあたりまえで、極端か極端でないかという標準をどこに置くかは別にして、このめくるべきではないと考えるという大臣の答弁に対して私は実は反対なんです。やはり新しい立場でものを見る場合に、鉄道がバスにかわってさしつかえないところもあります。私はこういう前提でなければ筋が通らぬと思っております。そこでしかしそうではなしにめくらぬという原則の上に立ってお伺いしたいのですが、めくらぬということとそれから現実にほうりっぱなしになってある路線というものとの対策は一体どういう区別をされておるのですか。  具体的に申し上げますと、これは昨年の暮れでしたか、実は週刊雑誌に出ておりました。あれは私ちょっとうっかりしておったのでこの場所がぴったりかどうかわかりませんけれども、私の持っておる資料にも岩国と日原間の九七・四キロという線路の問題です。この中で水害にあって線路が流れ、鉄橋も流れた、そこでぶち切られたままで、ディーゼル・カ−があるのにそのディーゼル・カーが物ほしになっているというような状態に置かれているところがあるのです。これは赤字路線がどうこうは別にして、これはいつまでもそのままほうっておくのですか。
  80. 岡本悟

    ○岡本政府委員 ただいま御指摘の路線は岩国と日原を結びます岩目線という線路のことだと思いますが、これは昨年国鉄新線建設予定線に該当しておりまして、昨年の十一月でございましたか、途中の河山というところまで開業いたしたのでございまして、その間自来営業をやっておるわけでございます。お示しのようなことはないと存じますが、これは国鉄バス路線についてでございましょうか。そこのところがはっきりいたしませんが……。
  81. 肥田次郎

    ○肥田委員 いや、鉄道が現実に不適のままになってほうってあるのじゃないですか。
  82. 岡本悟

    ○岡本政府委員 そういうことはないと思います。
  83. 肥田次郎

    ○肥田委員 そういうのがあることは事実なんです。そういうのもほうっておくのですかということなんです。私の言っているのは、鉄橋が半分くずれたまま——それはあとで資料を出します。
  84. 岡本悟

    ○岡本政府委員 それは越美南線のことだと存じます。先般の水害で相当打撃を受けまして、これは国鉄において鋭意復旧に努めております。決してほったらかしておるというわけではございません。
  85. 肥田次郎

    ○肥田委員 あれは復旧にかかっておられるのですか。
  86. 岡本悟

    ○岡本政府委員 そうでございます。
  87. 肥田次郎

    ○肥田委員 それでは、今度は次官もおいでになりましたので、これは総合的な問題として各方面からお考えをいただく、それから同時にそれに基づく将来の国鉄経営というものに対して運輸省と国有鉄道当局との考え方について一つはっきり聞かしておいていただきたいと思います。  それは言うまでもなく私が今まで質問をいたしましたことに関連をいたします。これをかた苦しく申し上げますと、日本において飛行機というものはとうていわが国の実情としては交通輸送強化の対象には無理だ、こういうことが今度のこの中にも書かれております。そういうことが結論づけられて、そして国鉄輸送強化というものが考えられておる、いわゆる政府交通輸送政策というものはやはり国鉄一本だ、こういうふうな印象をわれわれは受けるのであります。しかし現実に日本だけではなしにその他の国の輸送対策というものを見てみる場合には、どうもこういう考えではあまりに量見が狭過ぎるのではないかということを私は考えております。ですからまず鉄道が過去においても今日においても人と物とを大量にすみやかに安全に輸送するというこの使命を果たすには一番適当な機関だということは間違いありません。しかし現実に起きてくる問題として、バスの進出があります。このバスの進出というものを考えないで国鉄輸送計画というものを立てるということになると、これは片寄ったものになるのではないか、私はこういう考え方を持っています。今東海道の新幹線ができます。新幹線ができるけれども、同時に弾丸道路というものが今度道路公団で必ず作られます。そうすると国鉄輸送というものと相待って、必ずその弾丸道路輸送の大きな役目を果たすことになる。そうするとそれとこれとがまたスピードの競争をすることにもなる。そういうような競争の繰り返しをやるような状態が起こっても、それは五カ年計画の間に、あるいは五カ年を少々過ぎたとしても計画をまた変更しなければならぬような状態というものは起こらないという確信を持っておられるかどうか、これが問題点の一つであります。いわゆる国鉄の新五カ年計画の中に含まれておる重要な部面であるところの新幹線というものは、そのときになってどうもこれでは計画が不十分でありましたというような実情が今後五年という進歩のはなはだしい期間において必ず起こってくるような気がいたします。やらなければ別ですよ。資本を投じないでそれを押えておけば別だけれども、そういうことを考慮に入れないで私は国鉄輸送政策というものは立てられないような気がいたします。ですから根本的な交通政策を立てる上には、私は現在あるところの運輸審議会とか、あるいは鉄道建設審議会とか、こういうふうな学識経験者という人がおられるのだから、この人たちの頭脳をいわばもっと適当に生かして、そうして総合的な日本交通政策というものを検討する必要があるのじゃないか、これは従来の九十年の国鉄という立場に立ってではなしに、これからの日本という立場に立ったところの交通対策というものを検討せられなければ問題はなかなか解決されるものではないというような気がいたします。ですから私はまず前提にしておるのは、この新五カ年計画といえども、いわゆる第二次五カ年計画は第一次五カ年計画と同じように必ず暗礁に乗り上げる、こういう気がいたします。そこで本質的な問題として私はこういうように考えております。道路ができる、弾丸道路ができると、今度はそれに対する自動車がスピード・アップしてくる。観光バスが必ず走ります。制限を加えようとしても、交通課長がおられるけれども、なかなかそういう制限を加えられるものではないと思っておる。そうすると観光バス、それから国鉄、それから問題にはならないといっているところの飛行機、この三者競争という姿ができてくる。ですからこの三者競争という中で、では弾丸列車はどうか、どういう姿をたどるかということになってくると、いくらスピードを上げてみてもとうてい飛行機にかなうものではない。そういたしますと国鉄輸送というものは安全を唯一の条件にしたところの輸送機関というこの限定をまず考えておかなければ、いたずらにスピード・アップをして飛行機の分もお客さんをこっちが取るんだ、こういうふうな形ではなかなか交通政策の本質的なものはきわめられないという気がするのであります。それからバスの問題であります。バスの問題については先ほどもちょっと申し上げましたように、今までのようなバスが鉄道の防衛をしておるという時代は過ぎて、今日ではもう一軍七十人以上の大型バスが十台、十五台というふうに列を作って、そしてどんな長距離輸送にでも応じられるような体制を持ってきておる。ですからこの問題を無視して輸送計画というものは立てられない。ですから、国鉄が、今、輸送の隘路、輸送の隘路だと言っておるけれども、アメリカなんかでも現に起きておるように、飛行機とバスとのこの挾撃によって、鉄道はもう二〇%からめくっておる、こういう事実がアメリカにもう二、三年前に出ております。日本でも早晩こういう事実がこないということは保証できないと思う。これも交通政策のうちで検討すべき重要な問題だと考えます。ですから、これは、繰り返しになりますけれども、先ほど言ったように、バスのためにお客が食われるとか食われないとか、こういうことではなしに、本質的な国鉄のねらいというものは、これは言うところの、国鉄の輻湊しておるところの交通混雑を緩和するという、この任務というものを度外視して交通政策を立てるということは誤りである、こういうふうに私は考えております。  それからもう一つ重要な問題は、先ほども言いましたように、これは都心における交通機関との関係であります。東京都内の国電は、年間二百三十億くらいな収入が上がっておる。そうして経費を引いて百億くらいもうかるという数字が、やはり私らの資料では出てきております。こういうこと。さらに都市交通の関係。ですから、今後の交通政策というものの基本になるべき条件というものは、国鉄はもちろんのこと、それからバス、それから都市交通というこの機関の関係、こういうものを一括総合したところの、もっと具体的に言うと、国鉄と私鉄と都市交通、こういう機関を総合したところのいわゆる企業セクトというものを一切抜きにして、一体日本の将来の交通問題はどうすれば解決できるだろうか、この大方針の検討という問題を、今しておく必要があるのじゃないか、それを今やっておかなければ、私は、国鉄の五カ年計画というものが、必ずまた五年後には今日と同じ状態で、同じことをお互いに言ったり聞いたりしなければならぬ状態がくるような気がいたします。ですから私は、特にそういう問題も当局において検討される用意があるかどうかということを、ここで聞いておきたいのであります。  それからもう一つ、私はいろんな矛盾の中で、これはもう決定的な矛盾だという印象を受けておる問題に内航輸送問題が一つあります。最近では、本委員会においても、いろいろと港湾対策だとか船舶対策だとか議案が出されております。この問題は、これからさらに充実をしていくだろうと思いますけれども、しかし現実に今国鉄が持っておるところの運賃価格、運賃コストですね、これと、それから船舶代もっておるところの無統制な運賃、こういうものとの関係が調節されない限り、国鉄が幾ら貨物輸送しても国鉄国鉄へと流れてくるのは間違いない。それから一方では、幾ら船をふやしてみても、船の方に貨物はいかなくなってくる。それは国鉄運賃が船より安いからです。そういう関係を無視して立てるところの交通政策というものは成り立たない。だから、いわゆる内航問題も一緒にして根本的な日本交通政策輸送政策、こういうものを検討していく必要があるのではないか、こういうことを私は考えておるのであります。従って五カ年計画の前にこういう問題を考えていただいておるかどうかということが、私の質問の要旨であります。  私が特に運輸大臣をわずらわしましたのは、運輸大臣は、私は今日までいろいろとお話を聞いておっても、非常にまじめな答弁をしていただいておりますから、私は将来必ず運輸大臣のこの答弁というものは生きていくだろうと考える。ここに大ぜいの人々がおられますけれども、人がかわり時代が変わっても政策というものは必ず生きていくものでありますから、一つそういう立場運輸大臣交通基本政策という問題をお聞きしたいと思います。
  88. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 内閣委員会の方がありましたのでおくれて参りました関係で、あるいは御答弁漏れがあるかもしれませんが、一応お答えをいたします。  ただいま御指摘のように、都市の交通というものは、これからますます重大なことになると思います。東京都におきましては年々三十万くらいずつ増加しているというようなことになりますと、この都市交通輸送難の緩和ということは今後大きな問題でございますが、しかし率直に申しまして、超過大人口を東京が持つようなことになりますと、国鉄や私鉄やあるいは地下鉄等のやる仕事というものにはおのずから限度があると私は思うのでございます。そこでこれは国として総合的に何とかして、これ以上東京には過大な人口を集中しないようにするような、人口の分散の政策と相待ってやりませんければ、多く集まれば集まるほど、それをさばいていけるかというと、国鉄、私鉄あるいは地下鉄等の能力の限度が私はあるだろうと思のでございまして、これは皆様方もお考えを願っておることとは思いまするが、一方では、ただいま申し上げましたような超過大な人口が東京に集まるということを何とか防ぐことを国策としてやる必要があると思うのでございます。しかしながら、現在における東京の過大なる人口を目標として考えますると、国鉄が一日に運ぶものが六百余万、あるいは私鉄、地下鉄等を合わせますると一千万の旅客を一日に輸送をしなければならぬ。しかもラッシュ・アワーにその二分の一なり三分の一が集まるというような事態を考えてみますると、今にしてこういう問題と取り組んでやっておきませんければこれはすぐ行き詰まってしまうということは御指摘の通りでございます。運輸省といたしましては、昭和三十年に都市交通審議会を作りまして、これに諮問をしていろいろ答申を得ております。たとえば地下鉄は、東京は百六キロも昭和五十年までには作らなければならぬとか、いろいろ答申がありまするが、今日見ますると、この答申をもってしても、私どもはまだ不足である、もっと促進しなければならぬというふうに考えまして、あらためてまた都市交通審議会の方に御審議を願ってことしの夏ごろには新しい答申があることを実は期待をいたしておるような状態であるのでございます。ただいま御指摘のように、国鉄のみでなく、私鉄あるいは地下鉄、あるいは路面電車などのいろいろの御意見がございまして、今すぐ路面電車を撤廃しろという御議論もかなりございますし、諸外国の例を見ましても、路面電車というものは、いずれは撤廃されるべき運命にございましょうけれども、今の東京の都電が一日百六十万ないし百七十万の人を運んでおることを考えてみると、これはほかの変わった地下鉄その他の機関ができることに応じて、ここで働いておる人たちの配置転換等ともにらみ合わせて、これを逐次廃止していくということより道はなかろうと思うのでございます。国鉄といたしましては、今度の五カ年計画におきましても、前の五カ年計画以上に東京の周辺あるいは大阪を中心とするもの等に投資を十分にいたしまして、車両の増強であるとかあるいは線を増すとかいうことをやっていきたいと思いますが、前に申し上げました通り、東京におきましては中央線がいつも問題になるのでございますけれども、中央線としては御承知通り二分間隔で十両編成の電車を運転しておるというような、これはちょっと世界にも例のないということを聞くような働きを今いたしておるのでありまして、これをことしの夏からは中野から三鷹まで複々線にいたす等のことはいたしまするが、先ほど申し上げましたような、人口をある程度で分散するような政策をとりまして、これ以上東京に集まらぬような方策を講じませんと、現在の交通機関輸送難を十分緩和することに果たし得る役目というものはある限度がきておるというようなことを考えております。しかしながらわれわれはこういう考えのもとに全力を注いで御期待に沿うように働くつもりでございます。  詳しいことは鉄監局長から申し上げることをお許し願いたいと思います。
  89. 岡本悟

    ○岡本政府委員 大臣は途中から入って参りましたので、前半のお尋ねの点につきましては私から御答弁申し上げます。  国鉄の新五カ年計画におきまして、総合的な交通政策の観点から特に将来の輸送分野の変化について十分考慮に入れて考えたかどうかというお尋ねでございますが、実は国鉄の新五カ年計画はすでに御説明申し上げておりますように、所得倍増計画に対応する計画として作り上げたものでございまして、その前提になっております所得倍増計画におきまして交通問題をどういうふうに扱っておるかと申しますと、これはもう政府が発表いたしておりますからごらんになればおわかりのことと存じますが、その中で交通体系委員会という経済審議会の一小委員会を作りまして、昨年の初めから検討して参っております。これはもちろん運輸省も国鉄も参画いたしまして、ずっとデータを集めて検討して参ったわけでございます。この交通体系委員会の見方におきまして特に著しい点は、ここ十年のうちには輸送分野に相当著しい構造的な変化があると見ておるわけでございます。従いまして先生御指摘のような、たとえば絶対量としましては国鉄輸送量は伸びるであろうけれども、相対的にはその分野は低くなる、特に航空機あるいは乗用車において伸び率が非常にはなはだしいだろう、こういうふうな見通しを立てております。もっと具体的な数字で御説明申し上げますと、目標年次であります昭和四十五年度の旅客輸送量は五千八一二億人キロでございます。そのうち国鉄は二千三十九億人キロ、パーセンテージにして申し上げますと、四〇・一%でございます。これが昭和三十三年度におきましては、国内の旅客輸送量は二千百九億人キロでございます。国鉄は一千六十二億人キロ、パーセンテージにいたしますと五〇・四%でございます。絶対量としてはふえるであろうけれども、その相対的な分野はやはり自動車とかそういった新しい交通機関にその分野を逐次譲るであろう、こういう見通しを立てておるわけでございます。特に航空機につきましてはこれは絶対量としては少ないのでございますが、目標年次昭和四十五年と比較いたしてみますと、昭和三十三年に対しまして実に二十五倍になる、上こういったふうな見方をいたしております。実に年率三〇%。バスのごときはちょうど三倍になる。国鉄はまあ二一倍足らず、こういうふうな見方をしておるわけでございます。そういう総合的な判断に立ちまして、将来の輸送構造変化というものを見通して、作り上げました。それで一般経済成長の伸び率は七・二%であるにかかわらず、国鉄輸送量の伸び率は旅客が五・五%、貨物が五・〇%、こういうふうに国鉄の受け持つべき分野を、交通体系委員会では想定いたしたわけであります。これを大体受けまして、国鉄の新五カ年計画ができ上がっておるわけであります。
  90. 肥田次郎

    ○肥田委員 私がお伺いしたい点は、実は飛躍し過ぎるけれども、気持としていいますと、今のようなそういう検討をされておると、当然陸上輸送の中ではバス、トラック、それから航空、それからさらに内航関係の汽船、こういったものについての総合対策というものが考えられると思います。これをさらに一歩進めて徹底的にやろうとすれば、これらはそれぞれの分野で、いわゆる自由競争とい形で置いておくのではなしに、私は極端な統制をしろとは言わないけれども、これらを掌握して輸送統制をやる、こういう考え方の上に立たなければ、今せっかくはじき出されておるところの、これから先のいろいろの計数というものが、またそのときになって狂うであろうという気もいたします。ですから私が希望するのは、そういうこともこの際やっていただく必要があろうということが一つあります。  それから大臣お見えになったので、もう一つ大臣にお聞きしておきたいと思います。先ほどいろいろ国鉄運営の問題についてお伺いをいたしました。それは踏み切りの問題であります。保線工手が千五百五十人ほど、私らの知るところでは不足しておって、その不足しておる人員の中から踏切警手に振り向けられておる者があります。そうすると形式上では合っても、実質的にはこれだけが不足しておるという事実には間違いありません。ですから最近の傾向を見てみると、踏み切りのために、専用道路の持ち主であるところの列車というものが非常に苦労しておる。今までは踏み切りから人命を守るという声がありましたけれども、今では逆になって、踏り切りでいかにして列車を守るか、こういう現象が強くなって参りました。ですから今度運輸省の方で鉄道とそれから道路との交差に関する法案が出されるだろうと思います。もし予想通りいかないなら、これらについては早急に——五年待つのでなしに、すみやかにこれらを解決する対策というものが立てられなければならぬ。それが国鉄の五カ年計画の中に織り込まれておらない限りは、幾らスピードを上げようと思っても、四万三千の踏み切りを絶えず笛を鳴らしていかなければ列車が走れないのではないか。その反面では踏み切りから列車を守れ、交通事故から列車を守れということになりかねない。そういうことに対して大臣のお考えをお聞きしたいのであります。問題は、踏み切り整備の問題や保安整備の問題が、五カ年計画と並行して必ず考えられておるかどうか。具体的な問題として、先ほども言った、保線工手が千五百五十人も不足しておる。その不足しておる中から、これが踏切番に回されておるという問題を解決する考え方、こういうものについて積極的な施策をお願いしたい。これは交通輸送安全の上から、特に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  91. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 先ほど鉄監局長からも詳細御答弁があって、御了解を願ったところと思いますが、御趣旨のほどはよく国鉄をして十分に善処させたいと考えます。                踏み切りの問題は、これは非常に大きな問題でございまして、私どもから考えると、踏み切りの事故というもののおそらく七、八十%は、そこを通る車やなんかが注意すれば避けられる問題ではなかろうかと思いますけれども、しかしそういうことばかり言ってはおられません。車が非常にふえたり、また列車の方も速力が速くなったりいたしましたのですから、これは非常に重要な問題だと思いますが、無人踏み切りなどであまり用のないところは閉鎖して、少し回すようなことを考えたらどうだろうかということを常識的には考えます。踏み切りが都市の中では多過ぎるのじゃないかと思うのです。私は中野におりますけれども、東中野の近所の小さな踏み切りなんかなくしてもいいんじゃないか。少し回りさえずれば、大きなちゃんと格上げされた踏み切りがある。こういうのは、国鉄とかあるいは警察だの運輸省で相談して、踏み切りの数を全国的にもう少し減らしてみたらどうだろうかということを、夜寝ながら考えておるのです。これはしろうとの考えだが、そういうことも役に立つのではないかと思うのです。踏み切りの問題については、すでにたびたび発言のありましたように、道路の関係の建設省と運輸省の間で話し合いを進めまして、立法化をし、今後議会に提案をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。今度の五カ年計画におきましても、踏み切りの格上げということには相当の金を使って、そして踏み切りからくる不安を除去することに国鉄でも全力を注ぎたい考えでおるようでございますから、この方針で踏み切りの問題は進めさせます。また今お話のようなことにつきましては、国鉄をして十分善処させたい、こう考えておる次第でございます。
  92. 肥田次郎

    ○肥田委員 いろいろと長い間質問をいたしまして、私の意に沿わない答弁がたくさんありました。しかしこれは答弁でありますからやむを得ないと思います。  そこで、先ほどお願いをしたところの賃金コストの計算の資料、それから運審の結論の資料、こういうものを出していただきたいことを重ねてお願いをいたします。  以上をもって私の質問を終わります。
  93. 三池信

    三池委員長 勝澤芳雄君。
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄運賃値上げという問題は、単にそれだけでなくして、私鉄の運賃値上げあるいは国民生活に直接響く問題でありまして、また一般物価に与える影響というものを無視できないわけであります。従いまして総合的な物価政策全般の立場から、再検討されるべきでありまして、国鉄並びに運輸省当局も、十分な検討をなされたと存じます。しかしながら、やはり今もなおかつ国民国鉄運賃値上げをめぐって、また池田内閣所得倍増計画によって、値上がりムードの中で、生活の中にあえいでおるわけでありまして、そういうときに、国鉄運賃を大幅に値上げするわけでありますから、どうか一つこの委員会を通じまして、運賃値上げする理由というものを明確に国民に示し、そしてまたわれわれ野党が、この国鉄運賃値上げにいかなる立場で反対しておるかということ——きょうも公共負担法律案提案されたわけでありますから、一つそういう立場政府の方も十分な御答弁を賜わりたい。これは大臣と国鉄総裁の方にお願いをいたしておきたいと存じます。  そこで、今回の運賃値上げと前回の三十二年四月のときの運賃値上げ理由というものはだいぶ形が変わっておるように思うわけであります。それについて一つどういうふうにお考えになっておられますか。
  95. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 今回の運賃の改定の理由、毎々申し上げた通りでございして、私は三十二年の四月のときは、その運賃の改定に携わらなかったものですから、詳細のことは鉄監局長から話させまして、どういう違いがありますか、あなたの方で一つ御発見を願いたいと思います。
  96. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現行の五カ年計画のおもな目標は、これもしばしばお話し申し上げておりますように、戦争中並びに戦後長年にわたりまして酷使された国鉄輸送カに大きな穴が出て参りました。つまり施設が非常に老朽化して参ったわけでございます。従いまして安全輸送を建前とする国鉄の生死の問題にもなってくるような重大な問題になって参りましたので、早急にこの老廃した施設の取りかえをやって安全を期さなければならない、こういう見地から主として資金導入が行なわれたわけであります。今回は運賃値上げを一部財源としてお願いしておりますところの新五カ年計画は、これもしばしば申し上げておりますように、所得倍増計画に見合うところの輸送力の整備拡充が主体でございまして、特に非常に詰まって参りました輸送力の打開方法として主要幹線の複線化をはかっていく、こういうことが一番大きな主眼点であろうかと存じます。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 前回の運賃値上げは特にこの老朽施設という問題について行なわれたようでありまして、今回の運賃値上げは、今の御説明のように、やはり新しい輸送力増強という立場考えられているようでありますが、こういう立場から考えられるならば、本来道路とかあるいは港湾と、これと同じように公共投資でやるべきである、私はこういうように考えるわけでありまして、また国鉄、運輸省当局もこのように考え運賃値上げをすべきかどうかということを予算折衝の段階においてはやられたようでありますが、一つこの点についてのお考えを承りたいと思います。
  98. 岡本悟

    ○岡本政府委員 御意見としてはいろいろあるかと存じます。公共負担として、いわゆる公共事業費的な扱いをしてその整備拡充をはかるという行き方もございましょう。しかし政府といたしましてはやはり明治以来、日本国有鉄道経営というものは利用者に負担を願う運賃収入と、それから借入金、こういった二本立でずっとやって参っております。今回もやはり一方で借入金の増額をいたしますと同時に、また利用者にも若干の負担増をお願いする、こういう立て方が一番妥当であろう。結局、一般会計負担すると申しましても、これは国民の税金によることになるわけでございまして、そういうやり方をすべきではあるまい。ただし公共性の非常に高いものにつきましてはごく少額あるいは一部でありますけれども、しばしばこれも申し上げました通りに、戦傷病者の無賃乗車に対する国の補助、あるいは新線建設に対する利子相当分に対応するところの補助金の交付、こういった若干の公共負担がある、こういうことでございます。この点政府考え方をもう少し明確にするために申し上げておきますが、欧州において国の政策による公共負担鉄道が背負っておりますところの公共負担を、政府一般会計において補助しているという例はもちろんございます。しかし建前としては、一般国民負担する税金によって補給するというのじゃなくて、やはり利用者に負担していただくというのが本筋ではないか、かように考えております。しからば、なぜ欧州においてはそういうことになったかと申しますと、他の対抗輸送機関が非常に発達いたしまして、利用者に負担願うという運賃はそれ以上上げられない。そこで鉄道財政の窮乏を救うためには、やはり公共負担というものを国で見てやる必要がある、こういうことであろうと存じます。従いまして、わが国におきましても、当方の大臣もたびたび申し上げておりますように、いつか将来利用者に御負担を願う限界が参りまして、この高度の公共性を国有鉄道負担させるためには、財政健全化からいいまして、負担することはできない、こういうことになるかもしれません。その場合にはやはり公共負担という問題が再び大きな政策の問題として起きてくるであろう、こういうことも考える次第でございます。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は今の答弁は大へん重要な問題だと思うのです。基本的に運輸省の考え方が間違っていると私は思う。これは交通投資のあり方というものについて不明確だと思う。あなたのところでも局は違いましても港をやっているわけです。ですから交通輸送の建前から考えたならば、一体その港あるいは道路とかあるいは飛行場、こういうものとそれから国鉄というものを考えた場合の交通投資のあり方というのは、この際検討すべき段階にきていると思うのです。しかもなお、今まだ明治以来、運賃収入と借入金でやっているというものの考え方が今日の行き詰まりになっておると思うのです。なおかつ、あなたは大へんごまかしを言っているわけで、税金で負担するのか、利用者負担なのか、こういう言い方を今までずっと運輸省なり国鉄は言ってきたわけです。私はほんとうに利用者が正しく負担しているならいいと思う。しかし毎朝の学生の定期にしても、普通定期にしても、乗っているお客の人たちは定員を超過して、押し屋というようなアルバイトまで使ってぎゅうぎゅう詰められて、そうしてその人たちが利用者の公平な負担の中で行なわれているのならいいのです。しかしそうではないのです。そうしますと、私の申しますように交通投資というあり方について根本的に考えるべきところにきているのであって、皆さんが作った国鉄諮問委員会でもこの点が指摘をされているわけでありますが、この点どうお考えになっておりますか。
  100. 岡本悟

    ○岡本政府委員 そういう御意見があることは十分承知いたしておるのでございます。もちろん運輸省が所管いたしております港湾にいたしましても、あるいは空港にいたしましても、国の公共事業費でもって支弁いたしまして、必要な施設を整備増強しておることは、これは間違いでございません。これと同様な観点に立って、国鉄輸送力増強についても考えるべきだというお説でございますが、沿革的に申しまして、国鉄輸送力の整備増強は国が直営しておりました時代から利用者に御負担願う、あるいは借入金ということによってやって参ったのでございまして、主としてこれは歴史的、沿革的な事由によるというふうに考えております。しかし外国でもよく鉄道と他の運送機関との公平なる競争という観点から鉄道負担しておりますところの、特に線路施設道路運送機関との比較におきまして、道路運送機関はその道路を国の経費によってまかなってもらっておりますが、それと同様な意味合いにおいて線路施設関係の経費は国が持つべきだ、そこで初めて公平なる競争ができるのではないかという議論がありますことも、私、承知いたしておりますが、しかし今までそういう観点に立って、特に線路施設費に対しまして、一般会計から持ってきたというようなことはなかったように存じております。ただ最近、私が申し上げましたように、特に欧州諸国におきましては、鉄道財政の窮迫化からそういう観点に一部立って補助理由をそういうところに求めておるものもあるように聞いております。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は大臣にもう少しはっきりさせてもらいたいと思うのですが、国の経営という立場から、歴史的な流れの中で今日運賃収入なり借入金なりでやられているというお答えなんです。しかし御承知のように国鉄公共企業体というものになって、公共性企業性を強くしいられて今日まできたわけであります。そうして都合のいいときは公共を言い、都合が悪くなれば独立採算を言ってきているというのが今日の状態だと思うのであります。  そこで私は国鉄運営について一体政府の基本的な考え方はどうなのか、それを今日明確にすべきときにきておると思います。一体公共企業体とは何か、国鉄公共性とは何か、あるいは企業性とは何か、この問題を一つ明確にしていただきたいと思います。
  102. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。国鉄公共企業体として戦後出発をいたしまして、その企業体の能率を上げるために独立採算制を経営の上ではとっておるわけでございます。先ほど局長からも御答弁を申し上げております通りに、公共企業体というものが公共の福祉を増進するために輸送をやっております関係上、この仕事は公共性の高いものでありますから、そこでいろいろ公共企業体として公共福祉の増進という見地から公共負担をやっておるのでございます。一方では企業体として経理、経営の上から見ると、そういうそろばんに合わない仕事をやっておるということは矛盾をしたことでございますが、国鉄といたしましては、その公共企業体とか日本における国有鉄道の地位にかんがみまして、できる限り公共企業体としての公共負担をやって、公共の福祉を増進することに、あるいは国民の生活を安定させることや、産業の振興などに、努力をいたしてきているわけでございまして、私どももただいま申し上げました通り国鉄ができる力があります限りは、公共企業体として公共負担をやるべきものであると考えております。それがだんだんと負担の圧迫がはなはだしくなるものにつきましては、おいおいと新線建設利子補給金をやるとか、今もお話ございましたような、無賃乗車に対しては国家がその補償をするとかいうようなことに踏み切り始めたのでございまして、現在の状態におきましては、先ほどお話のように、公共負担になっておる五百数十億のものについて、政府が税金を中心とする一般会計負担によってやるということはいかがなものであろうかいうふうに現在は考えておる次第でございます。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公共性企業性という問題は、いつも問題になっておりますし、今の大臣の話でも私はさっぱりわからない。たとえば、最近枕崎線という線ができたり、各地に新線ができましたが、その新線の中で大体一つの車に五人か六人しか乗ってない線路があるわけですね。東京の方はぎっちり詰まっている。一体公共負担とは、山の中を走る汽車の一つの車に五、六人乗っている分を、東京でぎゅうぎゅう詰められている人が負担するのが公共負担なんですか。その点を、一体公共性とは何かという点をもう少し具体的に私は話していただきたいと思う。抽象的でなくですね。そしてなおかつ、民間における私鉄とか、飛行機とかいうものと国鉄公共性とはどう違うのか。
  104. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいま御指摘になりました枕崎線というのですが、私は行って参りませんから御指摘のようなことはよく知りませんけれども、そういうようなところでもやはり国鉄としては、従来から御承知通り新線建設審議会等が、これは国全体の資源開発の上から見て必要であるとか、地方の産業を振興するのに必要であるとか、あるいは現在は採算に引き合わなくても将来は引き合うような方向にいくであろうとか、いろいろのことを考えて広く国民全体の希望に合うように線を敷くことと、もう一つは、交通網の整備とか、あるいは交通脈絡の関係等から考えてみて、鉄道網全体から見て、国の経済の上から見てやらなければならないということを現在やっておるわけでございます。審議会には各方面の方が出て、冷静公平に妥当な線を建議するなり、あるいは答申するなりして、それを取り上げて、国鉄が建設に着工しておるというのが実情でございます。  東京の近所が非常に混雑して押し合いへし合いをやっておるのはどうかという先ほど来のお話でありますが、こういう状態があるから一つそういうところを緩和しようということで、今度五カ年計画をやるわけでございます。それをかまわぬでおきたいと思えば、こういう計画には着手しないわけでありまして、現在の混雑を何とか緩和するにはどうしたらいいか。それにはやはり借入金とか、あるいは利用者の方にも、この程度ならば今の国民の生活の上から見て負担ができるのじゃないかというところを最小限度負担してもらって、そういう線をふやしたり、その他の施設を拡充いたしまして、少しでも輸送を緩和したいということに今度踏み切ったわけでございます。東京では込んでおるのに、いなかの方で五、六人しか車に乗らないようなところをやるのが公共性か、というような極端な事例をおあげいただきますと、答弁に困るのでございますが、国鉄であります以上は、東京の近所のそろばんの合うところばかり力を入れて、そうして同じ日本国民の地方の線を敷かないというのも、これもずいぶんおかしなことじゃないかと私は思います。やはり東京の近所、大阪の近所でもうけておるところの金があれば、それをもって国全体として必要なところの線はもうからなくともやるのが、営利会社ではない国有鉄道としての従来における使命でもあるし、今後の使命だと思います。ただ問題は、その割合といいますか、プロポーションの問題があるので、最近のように飛行機とかバスとかトラックというものが勢いを得てきて、そうして国鉄が昔のような独占的な事業でない時代になって参りますと、私が今言うたようなこともなかなか通らない時代がくるのじゃないか。そういうようなことを勘案して、将来は公共負担で圧迫しておるようなものについては、国がだんだんとそのような方向に検討してやるのがいいのじゃないか、こういうふうに考えます。しかし今言ったように、東京は混雑しておって、いなかの方の新線は非常にすいておるがというふうな割り切り方でなく、東京の方でもうけさしてやった国鉄の黒字でもって、汽車の汽笛も聞かずに死んでしまうような、いなかの方で汽車にあこがれておる者に汽車をしいてやるというようなことが、私はお互いにいいんじゃなかろうかというふうに考えるわけであります。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣のお考えと私の考え方というのはだいぶ違うのです。それから運輸省の考え方と国鉄考え方も私は違うと思うのです。それは国鉄企業をやっているから違うのです。大臣の方は政治家だから違う。そこで、企業性というものの努力をさせないようにさせないようにしているから、国鉄企業というものはますます貧弱になってくる。今の大臣の考え方も、そうなったら国が考えてくれるだろう、こう国鉄を担当している大臣が言っているわけですから、これはもう大へんなことだと思うのです。  そこで大臣、一体国有鉄道というものは、総裁以下企業家だとあなたは思われておるか、企業家ではない、あれは管理者だ、こういうふうに考えておられますか、その点どうでしょうか。
  106. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 国有鉄道というものは、申すまでもなく公共企業体でございます。企業というものは何ぞやと言えば、企業というものはそろばんに合うように経営することが企業であります。公共とは何ぞやと言えば、これは公共の福祉を増進するようにやることが公共だ。それで公共企業体というのは、いつも言う通り、今の公共負担独立採算制でそろばんに合わせるという矛盾したものを背負っているところに、日本鉄道のむずかしいところがあるのです。それですから、これは管理者として思うかとか企業者として思うかとかいうような御質問ございますが、一方では独立採算制の経理、経営の上から見れば、採算に引き合うようにやらなくちゃならぬ企業家であるとともに、また公共の福祉を増進していくことを建前としておる国有鉄道公共という見地から言えば、これはまたその見地から働いてもらわなければならぬ。これは両方矛盾したところがある点にむずかしいところがあるのであります。それで私どもも実は鉄道のことは、ただ長い間国会議員として乗っていただけで、あまり鉄道のことは知らなかったのですが、鉄道のことをほんとうに運輸大臣として真剣に調べてみればみるほど、これはなかなかむずかしいものであって、ただ公共負担をいつまでも押しつけられていては、この経営、経理、企業採算の上から見れば、なかなかこれはやれない。また採算の上から見てやれないならば、その黒字が出てきませんから、公共的の任務を果たすことができない。あちらを立てればこちらが立たずというようなことで、 (笑声)これは笑いごとじゃない。鉄道をやっている人は非常にむずかしいと思うのです。それですから、国鉄の方にあなたが今度国鉄はどう考えるかとお聞きになれば、希望を言います。ぜひ公共負担のわれわれの圧迫になっているものは、政府が金を出してもらいたいとか、あるいはわれわれの仕事を理解して、固定資産税を八十億もとることをやめたらどうだとかいう御希望がいろいろありますけれども、現在のいろいろな財政の事情やなんか勘案いたしますると、にわかにこういうことはできないことは私どもにもわかります。なるほど鉄道経営というものが両方の板ばさみになって苦しんでおる、よく指導監督する運輸省としては今後も研究をいたしまして、皆様の御審議に当たりまする御発言の趣旨をよく検討いたしまして、この前に御答弁申し上げたように国鉄公共使命を達成しながら、一方では経営、経理の上において心配のないような行き方にはどうしたらよかろうかということを一つ検討していきたい。それには運輸委員会の皆様方のこの御審議の間における御意見というものの趣旨を十分体してやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国鉄経営が大へんむずかしい経営だということは大臣もよくおわかりになっているようであります。  総裁にお尋ねしたいのですが、一体国鉄総裁というのはどのくらいの権限を持たれておるのですか。
  108. 十河信二

    ○十河説明員 皆さんのお作りになった法律規定されておるだけの権限があります。
  109. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁の権限というのは、私も、かつて加賀山さんが総裁のときにたくさんの人たちが首切られて、ちょうどその陳情に行ったときに、加賀山さんがこう言われたことを思い出すのです。国鉄総裁の権限というのは職員の首を切るだけなんだ、これが唯一の私の権限だから、これだけは一つ国鉄の労働者はとってくれるな、こう言われた。まさに私はその通りだと思うのです。われわれが作った法律通りで総裁の権限だというわけですから、私の考えもそう間違ってはいないと思います。結局これは公共企業体というものが宙ぶらりんになっている。そして何とかよくしようよくしようと思っておっても、なかなかよくならないというところに問題があると思うのです。総裁も就任以来、レールをまくらに国鉄と討ち死にする、こう言われておるわけですから、この問題はやっぱり欲のないあなたでなければできないと思うのです。やはり政治に向かって、企業をどうして国民の利益を守りながらやっていくかということからいけば今一番重大なときにきていると思うのです。総裁も一つ大いに健康に留意されてがんばっていただきたいと思います。  そこで私は、この輸送の分野における国鉄輸送と他の輸送がどうあるべきかという点につきまして、同僚委員もいろいろと論議をされておりましたが、この運賃の問題をちょっと見てみますと、東京−大阪間の今度の一等の鉄道運賃と航空料金というものは、だいぶ接近をしてきておるわけであります。むしろ最近では、もうおそい国鉄、サービスの悪い国鉄に乗るよりも、サービスのいい飛行機へ、なおかつ東京−羽田が今度は高速道路ができる、こういうふうに転換をされてくるわけです。これは今度の改訂の運賃と航空料金の比較というものが一つの問題になると思う。あるいはまたバスの運賃が大へん問題になっているようであります。たとえば今度の値上げでキロ二円七十五銭でしたね、そうしますと、名神高速度道路ができれば二円八十銭くらいでいく、こういわれておるわけであります。ですから、東京−名古屋が今度道路ができた場合においては、国鉄運賃というものは、もうこれ以上バスとの競合の上で値上げすることは不可能だ、そういうふうになるわけでありますが、この辺の運賃の調整についてはどういうふうにお考えになられておりますか。
  110. 岡本悟

    ○岡本政府委員 この運賃は御承知のようになるべく安い方がいいわけでございまして、バス運賃にいたしましても、道路が非常によくなりましてコスト・ダウンできればもちろん安くなっていく傾向はあると思います。ただ人件費であるとかその他ほかの資材の値上がり等によりまして、必ずしも道路の整備だけではコスト・ダウンできない場合もあるかと存じますが、それにしましても鉄道運賃と自動車の運賃が接近していくということは事実であろうかと存じております。そこで欧州各国の例あたりを見ましても、どんどん道路運送機関の方が伸びて参りまして、従って鉄道輸送量が相対的に減退して、ひいては鉄道財政にも影響を与える、こういうことになっておるのでございますけれども、先ほど申し上げましたような見地で鉄道運送の輸送力に見合う輸送量を確保するために、特にそういった政策的な運賃をとるということは、運賃政策からいってあるいは交通政策全般からいって必ずしも妥当ではない、こう考えるのでございます。もちろん各種輸送機関はそれぞれ、昨日も申し上げましたように莫大な固定投資をもって作られたものでございますので、国家経済的、国民経済的に見ますれば、急速にその投資効果が減殺されていくという事態はなるべくいろんな政策によって回避していくべきであろうと思うのでございまして、特に徐々に新しい交通機関に移していくという手を打つのが交通政策の建前であろうかと存じますけれども、これも限度があることでございまして、なかなかむずかしい問題とは存じます。  それから航空運賃との問題でございますが、これにつきましても、むしろ私から御答弁申し上げますのは適当ではないと存じますけれども、でき得れば輸送機関輸送分野の適正なる配分という見地から、長距離のきわめて高速の輸送分野は航空機に持たせ、中距離の大量の旅客輸送については国鉄にその輸送分野を持たせる、こういうふうなことで運賃政策も考慮すべきであろうかと存じますが、ただいまのところでは運賃改定を行ないましても、大体そんなところに落ちついておるのじゃないかというふうに判断いたしております。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ただいまはそうなっておるけれども、現実には今度の運賃値上げによって東京−大阪間飛行機との問題というのが具体的な問題になっていると思うのです。それから道路の問題にいたしましても、キロ当たり二円七十五銭ですけれども準急、急行を入れればキロ当たり三円二十銭程度だ、こういわれる。高速道路は、名神高速でもキロ当たり二円八十銭になるといっているわけですから、結局東京−大阪間夢の特急なんてできても、実際には今国鉄が予想している一キロ当たりの運賃では、東京−大阪間、この国道ができた場合においては、もう道路のバスの方が運賃が安い、こういう結果が生まれてくるように私は思うのです。その点どうなんでしょうか。もしあれでしたら一つ国鉄の方からお答え願いたいと思います。
  112. 兼松学

    ○兼松説明員 現在の計算では、そういうこともあり得るかと思いますが、世界的に見ましても、むしろバスの方が道路がいい場合には鉄道より安い例が多々ございますので、別に特殊の道路でバスの方が特に安いという場合が考えられましても異例とは存ぜられませんが、その方は政府政策的な規制と相待ちまして、適正に配分されるものと考えております。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかしこれは重大な問題だと思うのです。具体的に今も兼松常務理事承知をされている状態なんです。ですから一体東京−大阪間の今度の新幹線はキロ当たり幾らにしようと考えられておるのですか。
  114. 兼松学

    ○兼松説明員 今の運賃を基礎にいたしまして、それに急行料金を入れたもので、定期をないものとして計算いたしております。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると東海道新幹線ができたときに、同じように国道ができておれば、もう東京−大阪間というものは汽車に乗るよりもバスに乗る方が安くて便利だということになるわけです。ですからやはり道路の問題と行政の問題とそれから今度の新幹線の問題というものは、有無相通じて交通政策の中でやると言ったって、お客や荷主は安い方に行くのはあたりまえなんです。こういうところからも、私はこの東海道の新幹線という問題は、今からやはり相当考慮して、そうして先ほどから国の施策がそのときになれば公共的な負担をどうこうするんだろう、こう言われますけれども、なかなかそうはなりません。ですから一つこの問題につきましては、これはもう部分的な問題じゃないわけです。国の大動脈の問題でありますし、また国鉄としてはこれがドル箱に当たっているわけでありますから、一つ十分な御検討を賜わりたいと思うのです。  次に、国鉄は今度の運賃の改正にあたりまして、特に遊休施設の売却とかあるいは購入物資の単価の引き下げ、あるいは構内、ガード下の広告料の値上げ、あるいは国鉄スワローズ球団に対する援助費七百万円の打ち切り等等、六項目といわれる合理化案というものを出したということを私は聞いております。一体その合理化案というものはどういうものであるか、そしてその合理化案ではこれらの資金というものはどのように見積もられておるかという点について、お答え願いたいと存じます。
  116. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねの問題でございますが、今度の新五カ年計画遂行のための所要資金の相当部分を運賃改定でお願いしたいと思っておりますけれども、同時にあらゆる部面において経営の合理化をはかりまして、いわゆる雑収入の増加あるいは遊休資産、遊休資材の売却等によりますところの資産充当の財源というようなものについても、できる限りその確保をはかりたいと考えまして、ただいまお尋ねもございましたように大体次のような項目について、来年度三十六年度の予算に財源の一部として計上をいたしておるようなわけでございます。  一つは土地建物、高架下等の使用料金であり、また構内営業料金及び広告料金、これらのものにつきましては、従来数次にわたりまして改定を行なって、その収入昭和二十八年度に比べますと、三十五年度では約三倍半ほどに達しておるのでございますけれども、今後さらに引き続きこれらの各種料金の引き上げを行なうことにいたしまして、ただいまこれらの土地建物の使用料とか構内営業料金の改定について、それぞれの関係の向きに対して通告をいたしておるようなわけでございます。  それから次に、これは増収というよりか、むしろ出る分を減らすという性格でございますけれども、日本交通交社の乗車券類の代売手数料率あるいは後払い運賃の納期というようなことにつきまして、これも機会あるごとに代売手数料の場合には料率を引き下げ、あるいは納期の短縮をはかるということをやって参ったのでございますけれども、今回さらにその料率の引き下げ及び後払い運賃の納期の短縮をはかることにいたしております。  それから次に、今日国鉄の遊休固定資産というものは、帳簿価格で約五十億円ということになっておりますが、さらに実態の把握に努めまして、売却可能なものについてはできるだけすみやかに積極的処分するという方針で、三十六年度の予算にも資産充当十七億というような額が計上いたしてございます。それから遊休資材につきましても積極的に売却を進めることはもちろんでございます。  それから資材の購入等につきましては、その公正を期するとともに、単価の切り下げということに一そう努力をいたすつもりでおります。  なお最後に、額としては微々たるものでございますけれども、ただいまお話がございました国鉄スワローズという球団がございますが、この球団は元来国鉄とは全然別個の会社で運営されておるのでございますが、これに対して後援会というものがございます。この後援会に対する会費として年間七百万円ほど今ま支出しておりましたのですが、それもこの際やめるということにいたしたわけでございます。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の御説明の各項目ごとの総計というものは、この経費の節減というものは、総額三十億だといわれておりますが、各項目ごとにいうとどういうことになるのですか、それをちょっとお知らせ願いたい。
  118. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 概算で申し上げますが、まず管財関係で、土地建物の使用料は一億二千万、それから高架下の使用料金等で千九百万、それから構内営業料金で一億六千四百万、広告料金で一億九千七百万、合計それが五億になります。それから交通公社に対する代売手数料は、これはただいまも申し上げましたように、出す分がそれだけ減るということでございますが、大体一億八千万、それから遊休固定資産並びに遊休資材の売却で十一億、その他いろいろこまかいもので二億、合計いたしまして、十九億八千万、ほぼ二十億程度の雑収の増加を合理化措置によって期待しておるのでございます。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、大体二十億というものを今度の運賃法改正に伴うところの経費節減という形で今考えられておる、こういうことなんですね。
  120. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 さようでございます。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は今度は国鉄経営中心の問題といたしまして、国鉄の諮問委員会が去る三十五年の九月八日に、国鉄経営の改善方法に関する意見書を出されました。この意見書の第一の項目を見ますと、公共負担というものが、定期あるいは学生あるいは新聞雑誌あるいは貨物の特別取り扱い等、合わせて年間五百二十五億といわれておるようであります。この問題につきましては、大臣も、また国鉄自体も、相当何らかの方法によってこれらの問題を解消しようということで努力をされてきたようでありますが、一つこの項目ごとに従って、この割引を行なった経過と、そしてそれについてのどういうような意見書に基づいた努力をしてきたかということを御説明願いたいと思うのです。
  122. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 諮問委員会からは昨年の九月に、ただいま御質問にございましたような意見書をちょうだいいたしました。新五カ年計画というものを策定いたしました際にも、この諮問委員会の御意見というものは、有力な参考にさせていただいたような次第でございまして、これは昨日も別の先生の御質問の際に申し上げましたが、この諮問委員会で指摘を受けました公共負担の問題でありますとか、あるいは非採算路線の問題でありますとか、あるいは運賃制度全般にわたっての根本的な検討の問題とか、それらの事柄につきましては、今回の運賃改定案を政府御当局に御決定いただきます前段階において、これらの諮問委員会によって指摘されましたような考え方についてもいろいろと御検討をいただきました結果、たとえば建設線の問題につきましては、そのための借入金に対する利子補給というような措置もお取り上げいただいたようなわけでございます。ただ全体として従来たびたび政府御当局の御答弁にもありましたように、今度の新五カ年計画を実行いたしますための必要な自己資金確保の方法としては、ただいま御審議いただいておりますような案で、運賃の改定をお願いすることが妥当であろうというような結論になりましたので、その御結論に従いまして三十六年度の予算もお願いをいたしたような次第でございます。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 副総裁、私の質問はこういうことなんです。公共負担を五百二十五億されている。そして定期なり、学生なりの特別扱い、新聞雑誌あるいは貨物の特別等級割引暫定割引、こういうものは公共負担だから国の方でめんどうを見るか、さもなければこれは手直しをしなければならぬのじゃないだろうか、こういうことがいわれているんですね。ですからそれをどのように努力をされてきたかということをお尋ねしているわけです。そして各項目ごとに歴史があると思うのです。たとえば貨物暫定割引なんというのはいつから実施をされたか、そしていつ延期されて、どうなって、どうなさったかというようなことを出していただきたいと思います。
  124. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの約五百二十五億の公共負担につきましては、おのおの非常に歴史的に経過が違っております。一つずつ申し上げます。  一番大きい定期の割引につきましては、午前中の肥田先生の御質問にお答えいたしました際に申し上げました通り昭和二十三年の運賃値上げの前後に当時のインフレの高進に基づきます学生その他の運賃負担を軽減するという意味で、一般運賃が値上がりしたにかかわらず、定期だけをある程度据え置きたいという形で、御承知通りの学生については平均八割五分、当時は実はもっと多かったのでございますが、約九割近い割引、それから通勤者につきましては八割近い割引というものができたのが昭和二十三年。もちろんその後逐次それが修正されております。さきの三十二年のときに一部修正いたしまして、現在の割引率になっております。これが約三百十二億。  それからその次の新聞雑誌の問題、これは遠く明治二十何年かに当時の文化政策という意味で、広く文化を全国に及ぼすというような意味で、ちょうど第三種郵便物と同じ歴史をたどっております。これは鉄道運賃には珍しく、距離に関係なしに重さだけで運賃をいただく、ちょうど郵便物と同じ制度でございます。今でも距離に関係なく運賃を重量だけによっていただいております。これをもしその新聞と雑誌の輸送しております距離、これは平均距離でございますが、平均距離で一般の小荷物運賃をいただいたとしますと、その差額が八十八億、もちろんこれもできましたときから比較いたしますと逐次引き上げて参っております。雑誌の方は昔の五百倍くらいにまで修正して参っております。新聞はまだ二百二、三十倍であります。これは御承知かと思いますが、昨年の七月でございますか、これも一部一割二分ほど修正いたしました。これはもちろん新聞社あるいは雑誌社に持ってもらっております。一部修正いたして現在に至っております。  それから学生割引、これは定期でなしに学生の個人旅行の割引でございます。これは昔は、御承知と思いますが、学生につきましては二割の割引であったのでございますが、これも昭和二十三年七月にやはり運賃改定をいたしました際に、二割から五割に引き上げたわけであります。その後ずっと五割引でございましたが、これも一昨年の秋、運賃制度調査会の答申が出ましたので、一昨年の十月だったと記憶いたしますが、百キロまでは割引をしないという制度に改めました。それまでは百キロまでは割引はいたしませんが、百一キロをこしますと初めの一キロから割引するという、ちょっとおわかりにくいかと思いますが、そういう割引制度をとっておりましたものを改めまして、今度は百一キロからスタートして割引するというふうにいたしました。これが、それまでは約二十八億ございましたのが、その措置によりまして二十二億に減ったわけであります。  それが旅客関係のおもなものでございますが、あと四億ほど旅客関係の小さなものがございます。ちょっと内容がこまかいので恐縮でございますが、項目だけ簡単に申し上げますと、身体障害者割引、これは運賃法第五条の二にきまっておりますものと一この運賃法第五条の二がきまりました際に、この五条の二は身体障害者のうちで介護者、すなわちつき添いを要する者だけについての規定でございますが、その際に、たしか国会の厚生委員会の御決議だったと記憶いたしますが、介護者をつけない者についても距離を限っていいから割引しようというようなお話がございましたので、これは部内限りの割引措置をいたしております。すなわち身体障害者につきましては、第五条の二のほかに国鉄内部の割引がございますので、合計いたしまして二億四千万、この五条の二は昭和二十八年か九年の法律改正でもって入ったのでございます。それからその次に被救護者割引、これは割に古くからあるものでございまして、法律による被救護者につきまして割引しております。これはわずかなもので年間三千五百万円でございます。それから戦没者の遺族割引でございます。これは終戦後戦没者の遺族が合祀される際に割引しているものでございます。これが年間約四千三百万円、そのほかに昨日お話の出ました戦傷病者の無賃輸送、先ほどのは戦没者の遺族の問題でございましたが、今度のは戦傷病者自身の無賃輸送でございます。これは年間約七千万円程度の実額に上りますが、これは今まではそのうちの二千九百万円だけ国家から補償いただいております。今回運輸省の努力によりまして大体ほぼ全額に近い補償をいただくことになりました。これは予算に計上されております。これは一応全部合わせますと約四億でございます。それで大体旅客関係全体で四百二十六億でございます。三十五年度はまだできておりませんから、これは三十四年度の実績でございます。  それから貨物関係につきましては、今、先生がおっしゃいましたように二つございまして、特別等級割引暫定割引とございます。特別等級割引は約百の品目につきまして割引いたしておりまして、割引総額が八十億でございます。これは一応運賃法に定められておりますいわゆる貨物等級表というものの中に入っている運賃制度内の問題でございまして、これは歴史的に見ると相当古いものを持っております。大正の初めごろからずっと、いわゆる国有鉄道として統一された時代からできたものと、一部つけ加わったものとがございますが、何を特別等級に入れるかにつきましては、ごく最近、昨年の運賃法を改正いたします前に運賃制度調査会の専門委員会といたしまして、この等級表の改正をいたす委員会を作りました。その委員会で従来の特別等級の品目を多少減らしまして、現在約百品目で八十億、当時八十四億くらいございましたものを四、五億減らしたわけであります。  それから最後の暫定割引と申しますのは、これは二部には昭和二十六年ごろから始まったものもございますが、  一番大きくふえましたのは二十八年の運賃改正及び三十二年の運賃改正であります。二十八年には、主として北海道の関係の割引を四億ほど追加いたしました。さらに昭和三十二年の運賃改定の際に、これは主として衆議院の農林水産委員会、あるいは衆議院の農林水産委員会等の御要望によりまして、昭和三十二年の四月一日から一年間に限って約百十の品目、主として農林水産物でございます。もっともそのほかに練炭の原料の無煙粉炭、そういうものも多少ございますが、大体農林水産物でございます。木材が全体の約四分の一くらい、木材、農林水産物等を中心とする農林水産物の暫定割引の約二十億でございました。今の形になりましたのは昭和三十二年の四月一日から一年間ということで実施いたしましたが、その後約六回にわたりまして延期いたしております。当初は昭和三十三年の三月三十一日までということでやりましたのでございますが、常にその期間満了の前後に国会、ことに農林水産委員会におきましてぜひこれを延ばせという強い御要望がございました。その中で正式に委員会の決議になっておるものもございます。決議も手元に持ち合わせておりますが、そういった決議等によりまして、私どもといたしましてはたしか六回ほど延期をいたしました。延期をいたしました期間は、あるいは三カ月、あるいは半年というふうに延期いたしておりますが、いずれにいたしましてもずっと続いて延期いたしております。それが今度の三月三十一日までで切れるように相なっております。それの措置につきましては、過去も参議院の農林水産委員会でぜひこれを制度として恒久化しろという強い御要望がございましたが、私どもといたしましてはこの特別等級はともかく貨物等級制度の中に入っている制度でございますが、これはやむを得ないとしても、暫定割引制度にするということはこれは絶対困るということで、その席上でも暫定割引を恒久化するということだけはお断わりいたして参っておりますが、今回運賃を上げるならば、ぜひこの分は当分の間据え置けという強い御要望がございましたので、三月三十一日でございますから、もう間もなく失効いたしますが、これは延期いたす所存でございます。  以上いろいろ申し上げましたが、これが貨物関係の約百億の内容であります。  合計いたしまし五百二十六億になります。大体こういうことでございます。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 詳細に説明がありましたが、その公共負担の問題は、今度の運賃値上げの中で、この諮問委員会で指摘されたように、どのように努力されたのでありますか。運賃値上げになってもこの公共負担というものは今のままでなおかつふえていく、こういうことになるのですか。
  126. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 今回の運賃改定におきましてこの公共負担の問題をどう取り扱うかということは、御指摘のございました諮問委員会の答申書と申しますか、勧告の第一に掲げられた問題でございます。私どもといたしましては、考え方としてはある程度公共負担の是正もいたすべきだ。是正と申しますのは、一応利用者にある程度負担してもらうということも考えました。ところがそれだけでは非常に急激な変化を及ぼす。ことにたとえば貨物関係につきまして、もしこの百億を一挙に利用者に負担していただくというようなことを考えますと、米麦等の運賃は現在より約五割上がるというようなことにも相なります。ほかの方面にもいろいろ影響が強いというふうにも考えられましたので、今回はこれらの問題は、一応公共負担と申しますか、これの運賃制度の是正ということは触れない、一律のベース・アップということを考えたわけでございます。ただ定期運賃が一番大きな問題でございますが、定期運賃につきましてはある程度割引率の是正もいたしたいというふうに考えましたけれども、その割引率の是正と運賃のベース・アップとが両方重なりますと、当初新聞等に出ましたように四割程度の値上がりになる。これでは利用者にとって非常に負担が大きいというような御意見もございまして、御審議願っているような一律のアップに一応なったわけでありますが、貨物運賃等におきましては、遠距離逓減の一部修正をするとか、あるいは最短距離を一部修正するとか、そういった多少の運賃制度の不合理の手直しはさせていただいておるというのが今度の内容であります。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、三十四年度が公共負担の実績として五百二十五億と書かれておりますが、これと大差ない公共負担というものを今度の運賃改定によっても背負っておる、こういうことでございますね。
  128. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 さようでございます。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この公共負担になるべきものというのは、一体これはどこでだれが権限があってきめているものなんですか。
  130. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 これは先ほど申し上げましたように、まず法律できまっているものがございます。それから運輸省から補償をいただいておるものもございます。これは予算できまっておると申じますか、予算上の措置のきまっておるものがございます。あとは形式的に申しますと主として国鉄総裁の権限によって実施いたしておるわけでございます。それから定期運賃のように、法律には五割まで割り引けというふうに書いてございますが、五割以上になりますれば法律問題になりますが、五割以下のと申しますか、逆にいえば五割以上の割引につきましては、これはやはり国鉄総裁が運輸大臣の認可を受けてやっておる。また新聞雑誌につきましても、運賃法によりまして運輸大臣の認可を受けて割引運賃をきめているというふうになっておりますので、いろいろ事柄によりまして、法律事項、大臣の認可事項、あるいは国鉄総裁の権限事項がございますし、また貨物につきましても、法律国鉄総裁は貨物等級表を作れというふうにきまっておりますが、この作ります際には、実際には国会におきまして、今度のように一律アップでない、等級表自体の内容をいじりますときには相当各委員会で等級表の内容についての実質的な御審議が行なわれることがございます。それから暫定割引につきましても形式的には国鉄総裁の権限でやっておりますが、実質的には国会の御決議によって延期その他の措置をいたしておるわけでございます。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 このような大幅な運賃値上げに対して、諮問委員会でりっぱな権威ある勧告を出されておるにかかわらず、行政的には運輸省なり国鉄総裁の権限のある事項でさえ行なわれておらずに、運賃値上げにばかに熱中をしておるそのやり方についてどうしても納得できない。先ほども大臣にも申し上げましたが、ここにもやはり安易な、本質的な企業努力というものに根本的なメスを入れずに、そうしてそのしわ寄せを、運賃値上げ大衆に向けていくという大きな問題があると私は思う。ここでも一つ、総裁、またレールをまくらに国鉄を再建しなければならぬ問題が私はあると思う。これも重大な問題だと思う。片一方ではこういう公共負担を何とか考えなければならぬと言われていながら、それに対しての何らの努力もされずに運賃値上げだけにまっしぐらにやっていくということでは私は国民が納得できないと思う。公共負担がこれだけある、これについてはこういうふうにやった、国も国の政策の上から見てこうやったのだ、だからこの分だけは運賃値上げだ、こういうことになるならば、国民だってある程度納得をするでしょう。しかし、今度の運賃値上げはまさにこれはごまかしの運賃値上げの問題だと思うのです。  そこで一つ運賃の中で大へん問題になっておる石炭の運賃値上げの問題をお聞きしたいと思うのですが、石炭局長も来られておるようですが、石炭の運賃はどういうふうになっておられますか。
  132. 今井博

    ○今井(博)政府委員 石炭の運賃につきましては、現在の等級表で六級の扱いを受けております。今度の値上がりの案によりますと、トン当たりで、正確に申しますと、全石炭をとりますと五十一円、それから貨車に積む石炭だけをとりますと六十二円程度、数字に多少一、二円の差はありますが、大体その程度の値上がりと考えております。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この石炭合理化審議会でトン千二百円引き下げなければ石炭企業はつぶれてしまう、こういうような答申をされているようでありますが、通産省としてもこの石炭の運賃値上げの問題につきましては相当な交渉をされたと聞いておりますけれども、その後の経過とこの合理化計画というものとの関連を一つお尋ねしたいと思います。
  134. 今井博

    ○今井(博)政府委員 御指摘になりましたように、石炭鉱業は昨年度から千二百円を三十八年度までに引き下げるという目標のもとに現在合理化計画を遂行している、こういう状況でございまして、この千二百円引き下げということは油と対抗するということから始めましたが、現在の石炭原価からいたしますと約二割ないし三割程度の引き下げでございまして、石炭鉱業としては歴史始まって以来の大きな合理化計画でございます。これは政府といたしましても、いろいろな助成をいたしまして、その計画の遂行に当たっておりまして、現在のところは一応曲がりなりにその計画に従って進行いたしておりますけれども、何分合理化をやりますのは時間がかかりまして、実は今度の運賃値上げについてはわれわれとしても非常に苦慮いたしております。しかし運賃値上げは、これはまた国鉄企業体から考えましてやむを得ない処置であろうとわれわれも考えております。しかしわれわれといたしましては、合理化に実は時間がかかりますので、三十八年度までの合理化計画の完遂を見るまでの間は何とか暫定的に特別の措置がとってもらえぬだろうかということを現在お願いしておるところでございまして、まだお約束はいたしておりませんが、われわれとしましては、もちろんこの運賃値上げは究極においては合理化によって吸収すべきものとは思いますけれども、先ほど申しましたように、運賃はすぐ上がりますが、合理化は時間がかかるという問題について苦慮しておる、こういうことでございます。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この割引制度をとるとその割引料金が三十億だといわれておりますが、国鉄はどう考えられておりますか。
  136. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 石炭の運賃につきましては、今石炭局長からお話しになったような実情で、私の方で計算いたしましてもトン当たり六十円くらいの影響がございます。もちろんこれは北海道炭と九州炭とで違いまして、九州炭は非常に足が短いためにトン当たり四十四円、北海道炭はトン当たり七十四円、常磐炭が九十二円、山口炭が六十七円、一応場所によって運賃負担は違っております。従いまして、トン当たり六十円と申しますのは全国平均の運賃でございまして、今一番問題になっております石炭合理化の対象としての九州炭としては四十四円というふうに私どもは考えております。この問題につきましては通産省からも公式、非公式に数回にわたりましていろいろお話も承っております。一方、先ほど御説明いたしました第二次五カ年計画の中には、やはり今後石炭の輸送のために相当金を使わなくちゃならぬ、ことに北海道炭の輸送につきましては相当な投資をしなければならない部分もございます。例を申し上げてみますれば、大体今いろいろ問題になっておるのは、建設線につきましても石炭のために建設する線が相当ございます。もっとも建設線は一応借金でありますけれども、一応五カ年計画内容といたしましては、石炭のために作ることを要請されておる建設線が、白糠線、油須原線、名羽線等がございまして、すでに工事に着工いたしております。それから改良工事といたしまして現在約五十億くらいのものがあり、これには北海道の石炭輸送の合理化、あるいはこの付近の京葉の工事地帯への注入、あるいは室蘭石炭積み込み設備等のほかに、貨車の取りかえ増備がございます。そのほかにまた室蘭線とか常磐線のレールを強くする、そうして輸送の能率を上げるといったような問題などを含めますと、やはり百五、六十億は石炭輸送のために今後金をつぎ込まなければならぬという工事も見込まれております。と同時に、今石炭局長が申されましたが、石炭はけさほど申し上げました全体の貨物運賃の中の基準の運賃であります。六級というものは全体の十級の中の基準運賃、石炭運賃によって私の方は収支とんとん——石炭運賃より高いものは高いものでもうけ、石炭運賃より安いものはそこで損をしておる、この収支のバランスを償う貨物運賃の中の基準の運賃でございます。従いまして、もしこの石炭運賃等につきまして特別な措置等をとるということになりますと、これがどの物資についても同じような問題が違った理由から出てくるというふうに考えるのでありまして、とても貨物運賃全体における増収の確保ができなくなるというふうに考えられます。従いまして私どもといたしましては、運輸省を通じまして通産省に対しましてはこの問題は何とか石炭のサイドでもって吸収していただきたいというふうに申し上げておりまして、現在石炭運賃は三十億でも二十億でもいじるというようなことをいたしますれば、やはり予算にそれだけ影響するし、問題は石炭だけに限らなくなるというような見地から、この問題は私の方といたしましては閣議等の席上においても非常に困難であるということを申し上げております。
  137. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題は閣議でも大へん問題になっておるようでありますが、運輸大臣としてこの石炭問題は特別割引制をとるのですか、とらないのですか。
  138. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいま国鉄の方からお答えを申し上げましたような事情でございますし、今度の運賃改正は各品目につき一律に基礎運賃を上げておりますものですから、石炭だけを取り上げてどうこうということは考え及ばない次第でございまして、できるならば石炭の方においても運賃の改定の分だけ何とか経営の合理化の方で吸収していただきたいということを今日は望んでおるような次第でございます。
  139. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、大臣としては特別割引制は困る、こういうふうにお考えになっておるということですね。
  140. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいままでのところはそう考えておる次第でございます。
  141. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、石炭局長にお尋ねしたいのですが、一体トン千二百円の引き下げというものは、この計画に基づいて昭和三十八年に可能なのですかどうですか。
  142. 今井博

    ○今井(博)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現在のところは千二百円引き下げという基本の線に従って、一応曲がりなりにも順調に来ております。この合理化計画は相当大きな計画でありまして、これは相当時間がかかるわけでございますけれども、運賃の値上がりというものをそのまま、現在のままで吸収するということは私は困難である、こう考えております。
  143. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、通産省としては石炭に対しては輸送補助金というようなものでカバ一しようというようなことについてはどうお考えになられておりますか。
  144. 今井博

    ○今井(博)政府委員 その点については研究はございますが、具体的にそれを取り上げて検討したということは現在まだございません。
  145. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、これも大へんな問題だと思うのです。運賃値上げを片一方でしておきながら、また負担をするということも、結論的にはまたそれがどこかにはね返ってくるということであるわけであります。また石炭業界としても、斜陽産業だといわれる石炭企業がつぶれるかどうかという重大な段階に立っているわけであります。これはやはり池田内閣所得倍増計画というものの矛盾点がここに出てきていると思う。たとえば肥料の硫安工業合理化の問題を見てみましても、硫安がトン四十ドルに下げようといっているのに下がらなかった。なぜ下がらなかったといえば、電気料金が下がらなかったから下がらなかったんだと言っているわけです。電気料金をだれが上げたかといえば、政府がやっているわけです。ですから、総合的な計画でなく行き当たりばったりでやっているところにこういう問題点が起きてくると思う。閣議の中でも、この問題は今後の国鉄あり方をきめる明確なものになるわけでありますし、片方で運賃値上げをしながら、公共負担というものはこれだけ莫大なものが何も整理もできない状態の中にあるわけですから、石炭に対する大臣のお考えをもう一度お伺いしておきたいと思う。
  146. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 ただいま申し上げたことに尽きておるのでありますが、今回の運賃の改定は各品目につきまして一律に改定をいたしたものであり、先ほど国鉄の側から御説明申し上げましたような事情がありますので、運輸省といたしましても現在のところ石炭だけをどうこうしようという考えは持っておらない次第でございます。
  147. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは私は、今度はこの意見書の第二項で指摘されておる新線建設についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まずその前提として、現在の国鉄の線区の営業係数別の大体の状態はどういうふうになっておるのか、営業係数では一〇〇以下がどれくらいの路線で何%で、それ以上はどうなっておるのかという点を一つお示し願いたいと思います。
  148. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現在の国鉄線路約二万キロのうちで、いわゆる黒字線区、採算のとれている線区となっておりますのは十九線区で、四千二百三十キロがこれに当っております。あとの残余の線区はいわゆる赤字線区であるわけでありますが、そのうちの約半分に近い七千七百五十九キロ、全営業キロの三八%に当たりますものは、直接費はまかなえるけれども、総原価はまかなえない。それから両方を除いた残りの八千四百十三キロ、全営業線の中の四一%は直接費もまかなえないというような線区でございます。それで営業係数を申し上げますと、営業係数一〇〇以下、つまり黒字線区はただいま申し上げました十九線区、それから一〇一から一五〇の間が七十四線区、営業キロ数にいたしまして八千百九十一キロ、一五一から二〇〇までの間が六十三線ありまして、四千八百五十キロでございます。二〇一から二五〇の間が三十六線でございまして、キロ数が千九百六十七キロでございます。   〔委員長退席、川野委員長代理着席〕 二五一から三〇〇までの間の営業係数の線区が十七線でありまして、キロ数は六〇九・九キロになっております。三〇一以上の営業係数の線区は十五線でありまして、このキロ数は五五二・八キロということになっております。以上は三十四年度の実績による数字でございます。
  149. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一般的に赤字路線に対しては、どういうふうなお考えでこの問題を解決しようとお考えになっておりますか。
  150. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一般的にいわゆる採算のとれない線区につきましては、昭和二十八年以降線区別の経営改善施策というものを推進して参りまして、要員の面におきましても車両の面におきましても、また施設の面におきましても、運用の合理化によって経費の削減をはかってきたのでございますが、さらに線区別を経営単位とする組織を、まず二十九年九月に木原、久留里線の運輸区というものを作り、また三十一年の十月には仙石線の管理所というものを作るなど、次第に全国的にいわゆる採算のとれない線区に対して、小単位の経営単位の経営単位というものを作って参りまして、現在管理所でありますとかあるいは管理長というようなものを置いたところもございますし、運輸区という姿にしたものもございますが、合計八十一カ所、延べ営業キロ約五千三十四キロというものに対して小単位の、いわゆる独立採算的な経営単位を設けまして、経費の削減と収入の増加ということに努力いたしまして、少しでも、いわゆる赤字を減少させるということのために努力を続けておるような次第でございます。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一般的な赤字路線につきましては、いろいろ考えられておるようでありますが、片方最近問題になっております新線というものは、どんどんまたできているようでありますけれども、一体この新線建設というものはどういう形で、どんな経過をたどって作られるのですか。
  152. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 新線建設の毎年度の大体のワクというものは、予算を決定されます際に大よそのワクをおきめ願うわけであります。三十六年度の予算の場合には七十五億というようなワクがきまっておるわけでございますが、その中でどういうふうにして新線建設をやっていくかということは、よく御存じと思いまするが、鉄道敷設法に定められました予定線の中から逐次取り上げていくことになっております。それでそれを取り上げます順序、どこをどういうふうに取り上げていくかというようなことにつきましては、鉄道建設審議会等でいろいろ御審議をいただきました線に沿うて具体的な路線を決定していくという手続になっております。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、新線というのは、一応政治路線、政治路線とはいわれておりますけれども、先ほどの公共負担と同じように、形式的には国鉄総裁が、この線を作ってくれ、こういうことを運輸大臣に申請をして、許可されて作る、こういうことになるわけですね。
  154. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 敷設法の規定によりますると、国鉄総裁が、国鉄が新線を敷設したいと思います場合に、運輸大臣にその認可を申請いたします。そういたしますと、運輸御当局は、その認可されるに際して鉄道建設審議会に諮問された上で御許可になる。こういうことに法律手続はなっております。しかし建設審議会は、単にそういう諮問に答えられるという姿でのみ発動されるのではなくて、問題によりましては、積極的に建議をなさることもできる、こういう両方の方法が定められておりまして、ある場合には、建設審議会で御決定になりましたことを政府に対して御建議になる。それが国鉄の方へ政府から通達をされる、こういう場合もあるわけでございます。
  155. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近の建設は、今言いましたように、やはり依然として国鉄総裁の方から申請をしてなされておるのですか。それとも運輸大臣の方からこれを作れと、こう押しつけられておるのですか。
  156. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 新線の建設を決定いたします際には、最近のものも総裁から運輸大臣に対して許可の申請をするという手続で決定をしていただいております。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、国鉄総裁は、片方では一般的な赤字路線をいろいろと考えながら、片方では赤字路線を作ってくれという申請をしておるわけで、まことにけしからぬ存在だと思うのです。このごろ各行政機関の中でも、やはり経営が困るということで、なかなか免許の申請や認可事項についても、一月や二月かからずに、一年なり二年なり、あるいは四、五年かかるということを聞いておりますが、国鉄総裁は自分が一人で判を押すのをやめれば、それで国鉄経営が立ち直るにかかわらず、どういうわけでその赤字路線を作る申請を出されておるのですか。総裁、一つそのお考えをお聞きしたいのですが……。
  158. 十河信二

    ○十河説明員 新線の中にはいろいろありまして、必ずしも赤字でずっと通すというものだけではなく、何年か後には黒字になるだろうということで申請をするものもあるわけであります。しかしながらその建設をした後、運営をする実績の上にどうも思うように収入が上がらない、どうも貨物が出てこないというものもあります。また初めはよさそうであったが、他の交通機関が非常に発達したために、収入が上がらないで、ひどい赤字になるというものもあります。そこで私は建設審議会にもお願いいたしまして、そういう他の交通機関、たとえば自動車輸送の方が有利である、便利であるという場合には、自動車輸送によることにして、新線を建設しないようにしようというふうなことも意見を申し上げまして、このごろはだんだんそういうことに、自動車と鉄道と比較をして、自動車の方の有利なものは自動車による、しかしこの線は赤字が出ても、輸送の全体の系絡上どうしても必要であるというふうなものは、これはどうも赤字が出てもやむを得ない建設をしなければならぬというものも出てくるのであります。しかし最近自動車が非常に発達して参りましたので、今後の建設は自動車によってもらって、鉄道を建設しない、いわゆる鉄道は斜陽産業というふうにもいわれておるのでありますが、そういうふうなものがだんだん多く・なってくることと考えるのであります。今後はそういうふうに新線は鉄道’を建設しないで自動車によった方がいいというものがだんだん多くなってくることと考えております。
  159. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁、私はこう思うのです。総裁が決意さえすれば、何か変な政治路線というものはできないと私は思うのです。別に政治路線を作らなかったからといって、それで総裁が首になったとしても、総裁は後世に名を連ねると私は思うのです。今抽象的に、総裁も、先ほど大臣も、今は赤字でも将来必要ならばと、こういうことを言われました。しかし最近できている線を一つ一つ取り上げてみても、それはただ言葉の上だけであって、みなもう作ったときから、何年たって黒字になるか見通しがないというものばかりだと思うのです。従って、これはあとでも大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、今度の運賃値上げを契機に、この新線の問題はどうするのかということを明確にして、やはりこれも先ほどの公共負担と同じように指摘されている事項でありますから、明確にして、そして国民運賃値上げに対する理解に資すべきだと私は思うのです。ですから、あとで具体的に各線別に私は問題点を取り上げてみたいと思うわけでありますので、ぜひ一つ総裁も十分な御決意でこの問題を取り扱っていただきたいと思うのです。  そこで今度は、昭和二十七年から新線が開業されたように聞いておりますが、三十五年末まで、あるいはまた時期的にはまだそこまでいっていなければ、二十七年から最近までの新線建設費総額はどういうふうに使われておるか、そして資金の調達はどういうようになされておるかという点について御説明願いたいと思います。
  160. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 昭和二十七年度から三十四年度までにいわゆる新線建設に投資されました額のトータルは、三百九十五億六千五百万ということになっております。それでこれの資金は借入金によって支弁をしたということになっております。
  161. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、昭和二十七年から三百九十五億六千五百万円新線建設に投入して、これは借入金になっている、結局この利子を払っているということになるわけですね。
  162. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 さようでございます。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に私はこの新線建設の状況についてお尋ねをしたいのでありますが、開業線の営業キロと、部分的な開業もあるでありましようし、あるいは継続工事中のものもあるでありましょうし、あるいは新規着工のものもあるでありましょう。こういうものについて一つ説明願いたいと思います。
  164. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいままでに開業いたしました線は十九線、延長にいたしまして四百十二・六キロでございます。そのうちの一線はいわゆる白棚線、自動車線でございます。それから現在工事継続いたしております着工中の線路は二十五線、延長にいたしまして千百二・五キロ、それから今後着工することになっておりますものが十一線、六百十四・七キロ、そういうふうになっております。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤委員 継続線の大体完成見込みといいますか、これはどういうことになるのですか。
  166. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま申し上げました継続線二十五線、千百三キロを完成いたしますために必要な予算の総額は、大体八百五十二億というふうな額でございますので、これは今後の予算の状況にもよるわけでございますが、七十五億という三十六年度の予算とほぼ同じ規模でずっと継続して参るようにいたしますと、八百五十二億でございますから、それだけでも十数年かかるということになると思います。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の問題の経過を少し中断いたしまして、経済企画庁の大來総合計画局長が農林水産委員会に行かれるようでありますから、その分について質問を続けたいと思いますが、最近伝えられるところによりますと、電源開発で使いました只見線を国鉄で引き取れというような問題が今通産省、運輸省の中で出て、企画庁で今調整されておるというように伺いますけれども、その経過はどうなっておりますか。
  168. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 実は只見線の問題は総合計画局でございませんで、総合開発局が所管して処理いたしておりますので、私、内容承知いたしておりません。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではこの質問は担当局長が参りましてから続けさせていただくことにいたしまして、大來さん、どうも済みませんでした。  もとへ戻りまして、今私が質問している新線関係のまとめた資料がありますか。今あったら見せてもらいたいのです。——この間、私は、横浜の港へ参りましたときに、横浜の商工会議所その他から陳情を受けたのですが、これは根岸線というのですか、大船へ抜けるもの、今横浜港の実情からいってなかなか困る。しかし国鉄の今の計画では、いつになって建設されるかわからぬ、こういうようなことを言われたのですが、この継続工事というもの、あるいは新規着工、こういうものはやはり総花的にやられていくと、ばらばらの予算の中で経済効果が上がらない投資がされておるのですが、重点的な投資がされておるのですか、その点と、今の線は一体どうなっているかということをお尋ねいたします。
  170. 滝山養

    滝山説明員 今御指摘の横浜の根岸線という線でございますが、桜木町から磯子付近の埋立工事を今市の方でやっておられまして、これの工事の完成と一致させて、磯子まで開通さそうということで、工事を進めたのでございますが、用地買収その他、途中に非常に困難なところがございまして、少し工事がおくれておりますので、当初のお約束が三十七年度末に埋立工事が建設される、それに間に合わせるようにやるということで、今やっておりますが、二、三カ月ないし半年程度予定よりもおくれておりますけれども、今後審議会にお諮りいたしまして、重点的にこういったものは完成させるようにしていきたいというプランを今用意しております。なお工事促進に対しましても、地元の全面的な協力をお願いいたしまして、この年度でできることになっております。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 重点的にやっておるのか、総花的にやっておるのか。
  172. 滝山養

    滝山説明員 これは今のような経済効果につきまして、内容を御審議願いまして、私どもとしては重点的にやっていきたい、こう考えております。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤委員 新線の新開業された線路の中には、経営をして、初めから営業係数が相当大きな数字であるし、経常費の中の損失が見られているものがあるようでありますが、この昭和二十七年以降新開業線における損失額はどうなっておりますか。
  174. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 これは二十七年度から三十三年度までの経営成績になっておりますが、その数字を営業係数の平均で申し上げますと、二二五というような営業係数になっております損失の総額は、ただいまの同じ期間に対する総額が十億六千四百三十六万八千円の損失額になっております。
  175. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはどうなんですか。三十六億三千八百九十二万二千円という数を聞いておりますが、これは違いますか。国鉄監査報告書の三十四年度版に出ているようですが……。
  176. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点今至急に調べます。  私どもの手元にございますのは、今副総裁から申し上げました十億六千四百万円、これは昭和三十四年度の実績でございます。ちょっと副総裁の申し上げ方が間違っておりましたが、三十四年度の実績です。二十七年度から三十三年度までに開業いたしました路線の昭和三十四年度における損失でございます。ただ、これは利子の見方がございまして、問題はやはり利子が非常に大きなウエートになりますので、この利子を全国車両キロで分割いたしますと、十億になりますが、純粋にその建設区間だけにその利子を負担さすという方法で参りますと、今の十億の赤字は二十二億六千万円になります。これは計算の仕方でございますが、利子の負担のさせ方で部内的に工事費をその区間だけで負担するということにいたしますれば、二十二億の赤字になります。それから利子を全国の車両キロで分割いたしますと、十億の赤字になる、こういうことでございます。今の三十六億という数字は、今至急に調べてみます。
  177. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、昭和二十七年から新線建設に三百九十五億六千五百円を投入をし、なおかつこれから八百五十二億を投入をし、なおその上今日まで開業された路線の中で、数字は違いますけれども、相当大きな毎年の経常赤字が出ておるわけでありまして、そういたしますと、これから開業される路線というものが、かりに開業されたときには、一体この新線全体についてどのくらいの投資が行なわれ、そうして経常的な赤字というものができるのかという点について大まかな数字がおわかりになりますか。
  178. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その前に先ほどの数字を申し上げます。御指摘の、お手元にございます先生の三十六億という数字は、ただいま私が申し上げました二十二億というほかに、未開業部分に対する投資額が約百八十三億でございます。この百八十三億に対する年間六分五厘の利子を十二億加算いたしましたものが約三十五億になるわけでございます。
  179. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大へん資料がむずかしいと思いますので、ぜひ一つ私はこういうものを作っていただきたいと思うのです。昭和二十七年から今日までの新線の赤字白書といいますか、こういうものを詳細に作っていただいて、いかに国鉄が赤字を作るために努力をしてきたかということを、ぜひこの委員会の中に出していただきたいと思う。そうしてその原因、その責任、そうしてそれがほんとうに必要であったのかなかったのかという点について、私は十分な質問を続けていきたいと存じます。  そこで、私はとりあえず次の路線ごとにその状況についてお聞きしたいのですが、北海道に根北線という線ができているようでありますけれども、この路線の必要性、営業係数、将来の見通しというような点についてお尋ねをいたします。
  180. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 各線別の将来の見通しは、今ちょっとあれしておりますから、三十四年度の経営実績について、先に申し上げさせていただきます。根北線の営業係数は五七三でございます。
  181. 滝山養

    滝山説明員 今、磯崎常務から説明申しましたが、根北線の一部開通をいたしまして、今後建設される予定のものは標津から斜里まででございますが、横断部分につきまして五十七キロ、この部分は今後原木、硫化鉱、その他水産物が出るということで、産業交通系路ということで取り上げられておるわけでございますけれども、将来の営業実績につきましては、最近道路もできましたので、輸送数量を再検討してやっていきたい、こういうことで厳密な営業係数は出せませんが、成績はあまりよくないじゃないかということを、今懸念しております。現在、数字を再検討中でございますので、はっきりした収支は今ちょっとお示しできないと思います。
  182. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この路線もやはり、その建設を計画したときから今日までの実態を考えてみると、問題点としてあがってきておるわけであります。営業係数は五七三というのはまことに大へんなことだと思います。従って、やはりこれは道路との関係もあるわけでありますから、一つ十分検討すべき段階にきていると国鉄側でも考えておりますので、これはこのくらいにしておきます。  今度は、奈良県にある阪本線というのが問題になっているようでありますが、この内容を見てみますと、昭和十五年に工事になって、戦争で一たん中止をし、三十二年から工事を再開して、昨春五条から途中のところまで十一・七キロの路盤ができ上がった。ところが、電源開発のおかげで、同線に沿ってりっぱな道路が完成し、民営の奈良交通バスが一日に十往復以上、阪本の奥まで入っておる。今さらレールを敷いてもせいぜい二両連結のディーゼルが一日六往復程度で、赤字は年々三千万円になる見込みだ、これは国鉄から出てきた数字じゃないかと思うのですが、かようになっております。一体この阪本線はどうなっておりますか。
  183. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 五新線といわれておるものの一部であろうと思いますが、その線につきましては、今の赤字があるとかなんとかいうことはその通りであるかどうかわかりませんけれども、とにかく線路の路盤は大体工事が完了いたしております。これからそこへレールを敷設するかどうかという問題がございますが、国鉄としては、ここはもし許されますならば、自動車の専用道にさせていただいて、大体白棚線と同じような形で経営をすることがよいのではなかろうかというふうに思てっおります。それで地元の方々とも意見を交換しておるのでございますけれども、地元の方々の間の御意見がただいまのところでは分かれておりまして、自動車で早くやってもらいたいという御意見の方々と、やはり鉄道線路を敷いてもらいたいという御意見の方々と両方ありまして、地元の意見もまだ統一されていないというようなことで、今後この線の工事をどう進めるかということにつきましては、鉄道建設審議会等の御意見もよく拝聴いたしまして、できるだけ早くきめさせていただきたいというふうに思っております。
  184. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その次に、前にも問題になったかと思うのですが、岩目線というのは一体どういう目的で、現在はどうなっておりますか。
  185. 滝山養

    滝山説明員 岩目線は河山鉱山から硫化鉱が出ますので、これの輸送と、そのすぐ奥に広瀬というところがありますが、そこまでを第一段階といたしまして、それから将来の予定線としては、山口線の日原に通ずるようになっておりますが、今回着工すると伝えられておりますのは広瀬まででございます。河山までを第一段階といたしまして先般開通したのでありますが、ただいま広瀬に向かっては工事を準備しておるわけでございます。
  186. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは横に道路があるのじゃないですか。
  187. 滝山養

    滝山説明員 並行いたしまして道路がございますが、今申し上げましたような資源輸送ということと、広瀬という地方の中心都市を結ぶということで同線が開通されております。
  188. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどの副総裁の説明でも、線路をやめて道路にするかというな検討がなされておる。そういう場合における道路というのはやっぱり建設省が作らずに国鉄道路を作るのですか。
  189. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の申し上げましたのは、白棚線と同じような形式で、国鉄の専用自動車道のようにして国鉄のバスを動かすことにしたらいかがでございましょうかというふうに申し上げましたが、それに対して賛成です、そういうようにしてもらいたいという御意見も地元の方に相当ございましたので、今後さらに建設審議会等でもよく御検討をいただいた上で、国鉄としてはできればそういうところで運営させていただいたらどうか、こういうふうに思うのであります。
  190. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は鹿児島県の指宿線の問題についてお尋ねしたいのですが、これもやっぱり並行して国鉄バスが走っておるにかかわらず、十七キロの線路を開通させ、年間六千五百万円の欠損を出しておるというようなことでありますが、ここはどうなっておるのでしょうか。
  191. 滝山養

    滝山説明員 今御指摘の枕崎線でございますが、山川と枕崎を結ぶ途中の西穎娃というところまで十九キロ、昨年三月に開通したのでありますが、それから先も路盤がもうできております。実は先ほど副総裁からも御説明申し上げましたように、今後の建設線のあり方につきまして、いろいろと輸送方式を検討しております。この線につきましても、予定通り軌道を敷く方がいいか、あるいは路盤を舗装して国営自動車を走らせた方がいいか、一つ検討いたす予定でございます。  ちょっと補足させていただきますと、自動車道路につきまして、白棚線の場合には路盤を戦争中撤去したものをもう一ぺん復元するかわりに路盤を舗装して自動車専用道路にしたわけでございます。  それから五条の先ほどの阪本線につきましては、建設の目的でやったのでありますが、途中でその路盤を舗装して自動車専用道路にしたらどうかということでございますけれども、そのほか実は先ほど副総裁が落としましたが、新規調査線というのがあります。その中でいろいろ条件もついており、また着工を命じられたものでございますけれども、その中で建設審議会におきまして宮守線と井原線につきましては、最初から鉄道建設がいいか、自動車専用道路によるのがいいかというようなことで、幅広く自動車と鉄道とを検討してみろという御下命がございまして、今両方の比較を検討中でございます。そういうような意味におきまして、新たに国鉄が専用道路を作ることも一つの案として検討中でございます。
  192. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは次に、越美北線の問題についてお尋ねしたいのですが、この線に並行して三つのバス路線がある。福井−越前大野間でバスが一日に多い日で五十往復、少ない日で二十五往復、越前大野−勝原間で国鉄バスを含めて二つの、バス路線が多いときは一日十五往復、少ないときでも十往復を走っておる、こう言われておるわけでございます。ここにある当時の新聞によりますと、国鉄本社の営業局の話として、今度の越美北線もさっきの岩目線と同じく建設審議会のメンバーの政治家の力で作られなければならなくなったものだが、赤字を承知で作ったことについては国鉄としても責任を感じている。しかし着工した二十七年ごろは赤字線の問題も今ほど真剣に考えられなかったときでございまして、鉄道のかわりに国鉄バスを走らせるのだということも考えられなかった。また一たん工事にかかるとやめるわけにもいかない。今後は赤字がはっきりしている新線についてはバスを走らせるなどの便法を積極的に講じたい、こう言われておるわけであります。で、営業係数を聞いてみますと、六四一とまことに最高のようでありますが、一体、こういう路線というのは、これもまたどういう必要があってどういう関係で作られたのですか。   〔川野委員長代理退席、委員長着席〕
  193. 滝山養

    滝山説明員 この路線は、戦争中にすでに着工いたしまして、森林資源もございますから、奥地開発ということで着工して、戦争中に中止しておったのでございますが、相当の路盤が戦争中にでき上がっておりまして、戦後再び建設審議会に取り上げられまして、それがようやく昨年の暮れに開通になったわけでございますけれども、国鉄といたしましては、この線路開始にあたっては閑散線区の合理化もございますので、極力運転方式を簡素化いたしまして経費のかからないという措置をとる。また建設審議会の御答申によりまして、特別運賃を設定さしていただきまして、ほかの交通機関ともいろいろ勘案しながらディーゼル・カーの営業というもので貨物の方は原則として扱わないという最も簡素な姿で開業したわけでございます。しかし、こういったものを今後どうするかというような問題につきましてはいろいろと建設審議会でも取り上げられておりますので、今後につきましては輸送方式を、先ほどの自動車のようなものともあわせ検討しながら御審議を願って決定していきたい、こう思っておるわけでございます。
  194. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これができ上がってから今、国鉄としてはどう考えておられますか。
  195. 滝山養

    滝山説明員 でき上がってからは、これは開業する手段としてはいろいろ検討した結果、一番合理的な手であろうと思いますけれども、しかし、今総合的にどうかというような問題については、いろいろ御批判があるかと思います。実は今後奥地の開発、ダムの建設もございまして、相当の貨物輸送要請もあるやに聞いておりますので、もう少し時間をかしていただきませんと正しい評価はできないのではないかと思っております。
  196. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると今営業係数六四一で、年間一億八千四百万円の赤字になると言われておりますが、将来奥地の開発が続けば、今後具体的に黒字になるなり、あるいは営業係数がもう少し上がるということは、いつはっきりするのですか。
  197. 滝山養

    滝山説明員 九頭龍川上流のダムの場合につきましては、電源開発を中部電力でやるという問題が最近まではっきりしないで、ダムの位置もきまっていないような実情でありまして、的確な数字が出ておりませんので、どの程度の数字になるかということは、まだわれわれとしてははっきりつかんでおりません。
  198. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、私が先ほど読み上げたように、これはだれが作ったのですか。やはりこれもほんとうに必要があって作ったのでしょうけれども、やはりここに談話として出ておるように、あまり国鉄としては希望してはいなかったけれども作らされた、こういうふうに思うのですけれども、そうなんでしょうね。
  199. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄としては着手いたします際にはいろんな角度から検討いたしまして、森林資源もあるし、鉱山もありますし、将来は次第に営業状況も好転いたしますでしょうし、その地方の産業開発という意味において理由があるということから、この建設工事の認可を申請いたしたのでございます。
  200. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まあ着工した当時の状態からは、その見通しが相当むずかしかったからこういう線もできただろうと思うのですけれども、しかし、やはり今の段階においてはこれは間違っておったということを国鉄がはっきりする方が国民に対していいと思うのです。最近出てくる路線というものはみな政治路線だといわれております。極端な話をしますと、路線の名前を国鉄でつけた名前で呼ぶより、上に何とかという政治家の名前をつけて呼んだ方が線路の名前がぴったりくるというのが住民の気持のようです。これは私は大へんけしからぬことだと思うのです。こんなところは公共性とか企業性とかで論争すべき問題ではないと思うのです。道路があり、バスが通っておるようなところにできておるわけです。  次に、篠山線の記事を見たのですが、これもまた大へんな線です。列車が一往復して一般乗客はたった十七人、売り上げが六百五十円也。ある日の国鉄篠山線である。篠山線は模範的な赤字線で一年ほど前から廃止候補ナンバー・ワンになっておるというようなことがルポとしてなされておるわけです。これもまた大へんなことだと思うのですが、一体国鉄はどういうふうにお考えになっておられますか。
  201. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その篠山線はいわゆる新線ではないのでございますが、確かに代表的な赤字線区でもあり、付近には自動車の便もあるということでございますので、今後こういう線区の経営形態をどうするかということにつきましては、目下慎重に検討を加えておる次第でございます。
  202. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこでは、新線を含めて各線別にいろいろ取り上げてきたわけでありますけれども、表面的に国鉄当局から答弁されておるのは、そうはっきりとほんとうのことはなかなか言えないと思う。しかし、国民の目から見たらどうもおかしいということはみないわれておるわけです。そうして国全体から見たらこれはむだな投資だということがいわれるわけであります。従ってこういう問題については、先ほど副総裁から言われたように、運賃値上げにあたっていろいろな遊休施設の払い下げとか、たった七百万のスワローズの金まで吐き出して国鉄を立て直そうとしているわけでありますから、それから見たらこの新線というものあるいは極端なる赤字線というものは、実に重大な問題だと思うのです。この点につきましては、先ほども要望しておきましたように一つ赤字の白書というものをこの際、国鉄もあまり好まないかもしれませんけれども、ぜひ二十七年以降の状態、それから今後の問題、そして毎年出てくる赤字というものはどれだけあるのか、それがいかに国鉄経営というものを阻害をしているか、もしそれが今日なかったならば、昭和二十七年からそれに対する取り扱いがよかったならば、私は今日の運賃値上げなんていうことも起きなかったであろうということも考えられるわけでありますから、一つ検討されて、この法案が具体的に——われわれもこの公共負担あるいは赤字線その他の問題も出しておるわけでありますから、なるべくその審議のめたにも早急に出していただきたいと思います。  そこで次に只見線の問題についてお伺いしたいのですが、赤字線に悩む国鉄が今度は通産省、経済企画庁から超赤字線を押しつけられようとしているということで、電源開発会社がダム建設に使った会津川口と只見間のこの通称只見線といわれている路線について、通産省、経済企画庁と運輸省の間で買え買わないという押し問答がされておるということを聞いておりますが、一体この経過はどういうふうになっておりますか、企画庁の方からお答え願いたいと思います。
  203. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。今御質問の只見線の問題でございますが、これは田子倉ダムの建設に伴いましてダムの建設用資材を輸送するために道路を作ってやるか、あるいは鉄道を——ここは予定路線になっておるようでございますが、鉄道を建設するかという問題が議論になったようでございます。あの地帯は特に雪が多いというわけで、道路よりも鉄道の方がいいのじゃないかという議論もございましたけれども、また地元の方で道路を作る場合におきまては協力しがたい、ぜひ鉄道を敷設して、それまで建設用資材を輸送してくれというような議論が当時あったそうでございます。そういう関係でいろいろ電源開発株式会社に、あるいは関係各省と協議をやって参ったわけでございますが、昭和三十一年一月三十一日の閣議におきまして、「一、電源開発株式会社は、田子倉ダムの建設相資材を輸送するため、国鉄会津川口駅より田子倉に至る鉄道を専用鉄道として敷設するものとする。」ということが一つと、それから「二、上記鉄道は本年」というのは三十一年のことでありますが、「一月着工し十八カ月の工期をもって完成するものとし、その建設工事日本国有鉄道に委託するものとする。」三、といたしまして「上記鉄道のうち、会津川口−只見間は田子倉ダムの完成後、専用を廃し、日本国有鉄道の営業路線に編入するよう措置するものとする。」という三十一年の一月三十一日の閣議了解に基づきまして、現場といたしましては、この鉄道国鉄に委託して敷設したということになっております。その工事も終わりまして、田子倉ダムの工事は三十五年の六月に完成したわけでございますが、現在も一部残工事の資材輸送のために同線は使っておりますけれども、この閣議了解の線に従いまして、同線の国鉄営業線への編入につきまして、電源会社と国有鉄道との間で、いろいろ意見の未調整なままに現在に至っておるわけでございます。関係各省といたしましては、通産省、運輸省といろいろ交渉をやって参っているわけでございますけれども、現在のところまでまとまっておりません。経済企画庁といたしましても、この両省の間に入りまして、目下いろいろ三省間の話し合いを進めておるというような現状でございます。
  204. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、これは三十一年の一月三十一日の閣議で了解をされておるので、企画庁としては、この線に沿って通産省から運輸省、国鉄の方に買い取らせるように、今あっせんをしている、こういうことなんですね。
  205. 曾田忠

    ○曾田政府委員 閣議の線で、国有鉄道の営業線に編入するということは、閣議了解になっているわけでございまして、問題はその価格をどうするかという点につきまして、いろいろ御相談をしているわけでございます。
  206. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、国鉄にお尋ねをしたいのですが、三十一年の一月三十一日の閣議の了解事項を国鉄は承認をいたしておるのですか。
  207. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 そういう閣議の了解事項があるということは承知いたしております。それに「営業路線に編入するよう措置するものとする。」と書いてあることも承知いたしておりますけれども、これを営業路線に編入して使えるようにいたしますのには、いろいろ計算の仕方もありますが、四億ないし七億ぐらいさらに金をつぎ込まなければ、営業路線としてはまだ使いものにならない、そういう状態でありますので、しばしば電源開発の方からも申し入れ等もございましたけれども、国鉄としてはお引き受けいたしかねますということで、お断わりを申し上げておるのでございます。
  208. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の副総裁のお話でも、約七億ぐらいかかる、こういうことが言われておるわけでありまして、もし開業したとするならば、年に一億五千万の赤字になると、こう言われておりますが、大体そんなふうになるのですか。
  209. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一億五千万という数字は、ちょっと自信がございませんけれども、相当巨額の赤字になるであろうということを想像されます。
  210. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは将来黒字になる可能性があるのですか。
  211. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 はっきりしたことは申し上げかねますが、むずかしいだろうと思います。
  212. 勝澤芳雄

    勝澤委員 このそばに只見線と並んで、道路があって、バスが毎日七往復もしておる、こういうことであります。そこでまたこれも道路が並んでいるところにバスが七往復も入って、そうしてこの付近の住民の人口の状態を見てみても大したことはなくて、ちょうど岩目線のおサル列車よりなお悪い、こういうようなこともいわれているようでございまして、まことにこれも大へんだろうと思います。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、これも当時大臣が直接この閣議に入っていなかったわけですけれども、せっかく運賃値上げをして、新しい計画を立てられておるときに、七億もするような膨大な買いものをされ、なおその上に年一億五千万円も赤字が出るだろうというようなものを、運輸大臣としてどういうふうにされる考えでありますか。
  213. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 経緯は、ただいま御説明申し上げました通りで御了解下すったことと思うのでございます。私もこの話を聞きまして、実は大へんなものだというふうに驚き、かつ気持が進まないものですから、それで交渉も今日まで進まずにいるわけでございます。国鉄に押しつけるというようなことを私は好まないのです。しかしその閣議の決定とか了解とかというものがありまして、国としてそういう鉄道の営業線に編入するように措置するというようなことを、三十一年の一月三十一日と今申しましたが、そういうことを決定しているとすると、どうもあとでいろいろ事情が変わったからとかなんとかいう理屈はつきますけれども、一応は閣議の線でやはり何とか心配しなければならぬことではないかというふうに私も考えてはいるのですけれども、しかしどうもそれを引き受ければ四億も七億も鉄道の営業線とするのに金がかかるなんということになりますと、ただでもらっても国鉄はいやだということになるのだろうと思いますから、運輸大臣としてもそういうことをにわかに賛意を表して国鉄に引き受けさせるということには、なかなか気が進まないのです。いずれ気長によく相談をして、こういう問題は適当に処理するよりほかには仕方がない。今企画庁が間へ入りまして、何とか話し合いの道はないかというようなことであっせんをいたしておるというのが実は実情でございまして、事務当局の方もいろいろ話し合いなどをいたしておる次第でございますが、今私が申し上げたのは私の気持を申し上げたわけでございます。しかしながら実際問題として閣議のそういう了解で、これを営業路線に編入するように措置するというようなことになっておりますと、これは大体の方向というものはそういうふうに向いておるような気もいたしますので、これはよく研究してみたいものであるというふうに考えて、気持はあなた方が御議論になったように、あまり運輸大臣は気が進まないものですから話し合いが進まぬというのが実情でございます。ただいま事務当局でいろいろ話し合いを進めておるというところでございますから、まだいずれとも金額その他のことは決定はいたしません。
  214. 勝澤芳雄

    勝澤委員 企画庁にお尋ねしたいのですが、総合開発の立場からいって、明瞭にこれはばかばかしいものだということがおわかりになろうと思うのです。そうするならば幾ら閣議があるとなかろうと、これはこの際閣議できめたことを局長の方から何か言うのも言えぬでしょうけれども、大臣が都合が悪くて来れなかったのですから、これはあなたに聞かなければならぬと思うのです。これはやはりそう何でもかんでもきめてしまうということは無理なことだと思うのです。日本経済に二月十八日に出ているあなたのお話によりますと、真偽はよくわかりませんけれども、「三十一年の閣議での了解もあり、国鉄の方では受けざるをえないわけだ。また地元との約束もあり鉄道をはがしてスクラップにするわけにいかない。一日も早くこの問題は解決したい。」こういうふうに話されておるようですけれども、やはりこれは運輸大臣も気が向かぬ、こう言っておるわけでありますから、経済企画庁の方でも一つ気の向かないようにされて——これはやはり道路があるわけです、電源開発も終わって別に用はないわけですから、何らか別の角度で私は検討すべきだと思うのですけれども、そこら辺の問題についてはどうですか、お答えできたら一つしていただきたい。
  215. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。ただいまの新聞記事の問題でございますが、これは新聞には藤巻という名前で出ておりまして私ではございません。おそらく前局長がいろいろタッチしておりましたものですから、そういうことがあったかと思います。その点は御了承いただきたいと思います。  お尋ねの只見線の問題でございますが、電源開発の電力料金の問題というものも、われわれといたしましてはある程度考慮していかなければならぬという立場にあるわけでございます。この点は国鉄のいわゆる赤字線の問題と同様に、電源開発の電力料金の上がりをどの程度に押えるかという、二つの問題で慎重に調整しなければならぬというふうに考えております。
  216. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題では、電源開発の代弁者ではないでしょうけれども、通産省がいないとのれんに腕押しになりますから、次の機会に通産省によくお聞きすることにいたします。これは大臣もあまり気が向かないようですから、気の向かないことは健康上よくありませんから、なるべくやらぬ方がいいと思います。  そこで総合的に、私はこの国鉄に対する諮問委員会意見書についての第二番目の新線建設、それと一般的な赤字路線、こういう問題についていろいろと詳細に聞いてきたわけでありまして、私が篠山線の話を言っておりましたら、大臣も局長と何となく話をされておりましたから、そんな線があるだろうかと聞かれておったのだろうと思いますけれでも、そういうようなものなんです。そこで私は、この新線建設というもののあり方は、やはりよほど総合的な問題を考えながらやっていかなければならないものだと思うのです。そうしてちょうど今これがどうすべきかという時期にきておると思うのです。これは今着工している路線あるいは調査している線も総合的なもんだと思うのです。まさか国鉄道路公団ではないわけですから、そこはバスにするから、鉄道道路をしいて鉄道の専用バスを通すというのも考えもんだと思う。このごろではもう国道まで道路公団がやっているわけでありますし、橋まで道路公団がやっているわけですから、採算がとれぬものは、別に国鉄が無理をして、これは新線建設の予定路線だから道路を作らんならぬということはないと思います。ですから、総合的な立場考えるべきときにきている。従って、やはりこの問題も指摘されている問題ですから、この赤字線を今後どういうふうにするかという点について、一つ大臣の、政府のお考えを伺いたいと思います。
  217. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 先ほど来繰り返し申し上げております通りに、私は日本国有鉄道という公共的な使命を持っております立場の上から見まして、新線の赤字の出るようなところでも、それが日本経済の発展のためになり、地方の要望にかない、また鉄道網の円滑なる運営の上から見て必要であるというのならば、こういうことをやるという今までのやり方というものをそのまま続けていくべきだと思います。問題は、そういうことによって生ずる赤字を国鉄だけに背負わしておいていいかという問題だけが残るように思うのでございますが、この点に関しましては、新線建設のいわゆる鉄道建設審議会ですか、この方の答申とかあるいは建議とかいうものは、幾たびか出ておるのでございますが、これに盛られておる意見、すなわち、新線建設をやることによって、公共企業体である独立採算制を維持しなければならぬ国鉄に対して赤字を負担せしめることはかわいそうだから、新線建設に要する費用は国家一つ出してやれとか、あるいはまた、よそから借り入れをするならば、新線建設の利子を政府が補給してやれということをおっしゃっているのでございまして、この意見は、私は、国鉄側から見てもきわめて妥当なる意見だと思うのでございます。こういうことがきまりさえすれば、国鉄新線建設をあえて今後は——今までのは別ですよ。今後はおそれなくやるようになるだろうと思います。  また、新線建設路線の一々についてもいろいろ御意見がございましたけれども、これはいろいろ国会議員の方方、その中には社会党を代表するお方もみんな入っていて、この審議会でもって、この線をやれ、あの線をやれということを御決定下すったものであるから、運輸省としても国鉄としても、この審議会意見を尊重するのがいいのではなかろうかというふうに私は考えるわけでございまして、これはいろいろの方面から、その審議会の学識経験のある有能な先生方が考えて、この線あの線ということをきめたことでございますから、これを尊重するのは運輸省や国鉄としては当然だろうと思います。ただ問題は、その線から生ずる国鉄に対する赤字負担というものを、どう解消してやるかというところにあるのだと私は思います。それで、繰り返して申し上げましたように、この審議会の方がたびたび政府に答申をいたしておるのでございまして、これはもうまことに正しい妥当な答申、建議であるということを、その建議を読みまして考えておるわけでございまして、私どもも大蔵省に対しましては、こういう建議があるから、新線建設をやらせる以上は、今後はこういう方針でやるべきじゃないかということを交渉、折衝をいたしたのでございます。ただ、その中の一つとして、三十六年度の予算に、金額は少ないのですが、三億八百二十五万円というものを新線建設利子補給ということで一つ踏切ってくれた。なかなか新線建設の金を国家でどのくらい補充するかというところまでは参りませんが、借入金による新線建設に対して利子補給だけは踏み切ってくれたというのは、金額は小なりといえども、一つの新しい方針を打ち出したものとして喜んでおりますわけでございますが、しかしこれをもって満足をいたしておるわけではございません。こういうことによる国鉄に対する赤字というものが何とか解消するような方途を講じてやりたいものであるということを私は考えております。ただいま国鉄側からも、どうしても鉄道でなければならぬような場所は一キロ一億円もするような鉄道でやるが、そうでない、ほかの交通機関、バスなどによって間に合うようなものは、地方の方々の御了解を得てそういうものに振りかえたいと思うというのは、まことに苦しい気持だろうと思って、私どももその方針には賛成をいたしておりますわけでございます。これもまた審議会においても、皆様の方の代表者の出ている審議会の建議や答申でも、やはり今私が申し上げましたような意味の、鉄道ばかりに限らず、ほかのものででも代替したらどうだろうというような御意見も出ておることは御承知通りでございまして、あの審議会意見は私はきわめて適切妥当なものとして、ああいうことを具体化するように今後も努めて、国鉄の新線による赤字の累増というものをなるべく阻止いたすように配慮いたしたいと考えておる次第でございます。
  218. 三池信

    三池委員長 勝澤君まだ質問が…・
  219. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ええ、あります。
  220. 三池信

    三池委員長 本会議の予鈴ももう鳴ったようですから、それでは本会議散会後本委員会を再開することとして、休憩いたします。    午後五時八分休憩      ————◇—————    午後八時九分開議
  221. 三池信

    三池委員長 それでは再開いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  222. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は今までにこの経営改善に対する意見書の第一の公共負担の問題と、それから新線建設の問題について話を進めてきたわけでありますが、第三に運賃制度の問題で国鉄の独占的な企業というものが失われてきつつあるというような状態から、これらに対して何らか考慮すべきであるという答申がなされております。そこで、特に最近における国鉄の人員構成の問題を含めながら、今度の運賃改正の中で、このちょうちん型といわれておる人員の問題について、今度の運賃の問題、あるいは経営全体の問題、こういう立場から、一体どのように考慮されているかという点について、御説明を賜わりたいと思うわけでございます。
  223. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま国鉄の人員構成特に年令別の人員構成について、いわゆる中年の人が非常に多い、ちょうちん型になっておる、その問題についてどういうふうな考えでおるかというお尋ねであったと思うのでございますが、この点につきましては、現在の国鉄職員の中ではちょうど三十才から三十四才くらいの間の人の人数が一番多くなっております。平均年令は三十六才ぐらいでございます。そこが非常に大きくなっております。これは将来相当人件費の上において負担になってくることは明らかでございますので、このちょうちん型の不自然な姿というものは、何らかの方法によって解決をしていかなければならないと思っております。それで実は要員対策委員会というようなものも作りまして、そこから御答申をいただいておるのでございますが、ただこれを実行いたしますのには、やはりただいまの状況といたしまして労働組合等と団体交渉その他を必要といたしますので、この問題の処理につきましては要員対策委員会の答申を尊重しつつ、これが実行については組合側の理解を求めるように今後努力をいたして参りたい。今度の新五カ年計画の中におきましては、大体現在の人員をそのままかかえていくつもりでございます。実は要員対策委員会の答申も、この中ぶくれの人員の具体的な処置の問題については、四十年ごろまでに考えればよろしいであろうというような答申でもございますので、ただいま申し上げたような線で検討して参りたい、かように存じております。
  224. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一体この原因というのはどういうことで起きてきたのですか。
  225. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一番大きな原因は、何と申しましても昭和二十四年度に例の定員法による整理というのがございまして、あのときに、当時六十万ほどおりました従業員のうち一挙に十万人の人減らしをいたしました。その十万人を減らします際に、先任権というようなものを基準にいたしまして、就職年次の短い人から先にやめてもらうというような処置をいたしましたので、当時年令の若い人が一ぺんにやめたわけであります。そういった関係で、あと人員をふくらさないために新規採用を押えて参りましたので、ただいまのような不自然な年令別構成になったわけでございます。
  226. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局経営のやり方の問題がこういう結果を及ぼしてきたと思うのですが、最近国鉄の予算も相当膨張はしてきておるわけですけれども、そうしてなおかつ人員というものが窮屈になり、能率の向上のために労働強化というものが行なわれているようであるわけでありまして、やはりこの問題は仕事に見合った増員の要求は当然していかなければならないと同時に、今の問題というのは私の総合的な角度から検討しなければならぬと思うのです。副総裁は、まだだいぶ時期があるからと言っているのですけれども、これはやはり今から考えなければいかぬと思うのです。そのためにはやはり運輸省の考え方なり、あるいはまた全体的な各大臣の考え方というものを相当変えていかなければ、国鉄の根本的な改変というのは困難だということがおわかりになったと思うのです。  そこで私は経営の多角化に対する考え方を、これは大臣にお尋ねしたいのですが、この前の予算の分科会におきましても少し聞いたのですけれども、最近各所において有力な意見として、国鉄に対してもっと業務以外の部門への投資はゆるめるべきであるというような意見が出されておるわけであります。従いまして、これはたとえばこの前私は一つの例に引いたのですが、新宿の民衆駅、国鉄がデパートか何かいろいろやればあそこはもうかるけれども、国鉄は用地を貸して、そうしてもうけの方は一つ民間の方で十分もうけてくれ、こういうようなことになるわけであります。あるいは省営バスの団体貸切というようなものもいろいろ問題になっているようでありますが、やはり公共性から、かつての独占的な事業から変わりつつあるわけでありますから、これに合わした形でもう少し弾力ある経営に私はさしていかなきゃいかぬと思うのです。民営圧迫という問題もそれはあろうと思うのです。しかし別に変えていけば、民営圧迫よりもやはり公共企業体企業性そのものが一つの問題にもなろうと思うわけでありまして、そういう関係からやはりこの人員のちょうちん型の問題を考えながら、経営の多角化というものもこの際もうそろそろろ考えに入れて、そしてある程度民営とも圧迫というよりも競争する、こういう立場から業務以外の部門の投資というものもそろそろ考えるときにきているのじゃないだろうかと思うのですけれども、これらの問題について一つ大臣のお考えを承りたいと思います。
  227. 木暮武太夫

    ○木暮国務大臣 従来は、国鉄がほかのことに投資することや何かに対しては、世論はこれを否とするものがすこぶる多かったのでございますが、近ごろは今お話しのような御意見も出てくるようになったのでございます。つまり国鉄が従来のような独占的の、日本における唯一の輸送機関であるという地位をだんだんと失いまして、新しい、バス、トラック等の交通機関と競争するような事態が起こりましたので、国鉄も何か多角的の経営に乗り出したらどうだという意見が出たのでございますが、このことは国鉄法律に定められた営業目的を逸脱いたしません範囲におきまして、また世論等の動向をよく見きわめまして検討していかなきゃならぬ問題だと思いますが、しかし今日の国鉄の置かれている地位から見まして、多角経営的な経営に乗り出してはどうだという御意見は、重大な関心を持って拝聴して今後検討すべき問題だと考える次第でございます。
  228. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣も多角経営については、一歩前進をした考え方を了解されたようであります。  次に地下鉄公団の出資金というのは、これはどういうのですか、よくわからないのですが。
  229. 岡本悟

    ○岡本政府委員 現在、仰せのように日本国有鉄道並びに東京都は帝都高速度交通営団法に基づきまして営団に出資することができることに相なっております。この出資が認められておりますゆえんのものは、考えてみますのに、元来、地下鉄といったような都市交通機関につきましては、国鉄も重大な関心を持ちまして、むしろ、力があればみずから当然こういう方面にも乗り出すべきではあるけれども、昭和十六年に陸上交通事業調整法によりまして別途に営団という公法人を作りまして、この地下鉄の建設に専念させる、こういうことに相なりましたので、国鉄としては、身がわりにその使命を遂行してくれる立場にある公法人に対しまして出資の形で援助しよう、こういうことであろうかと存じております。
  230. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この地下鉄公団というのは、国鉄という立場から見た場合は、これは何といいますか競争路線、こういうふうに考えられるのですが、そういう見方は間違っておりますか。
  231. 岡本悟

    ○岡本政府委員 今日におきましては、むしろ、都市交通機関の充実強化を一日も早く推進していかなければならぬ情勢にあることは御承知通りでございまして、むしろ、国鉄が申しておりますのは増大する都市交通需要に対しまして国鉄のみでは背負い切れぬ、私鉄なりあるいは地下鉄なりでできるだけ援助してもらいたい、こういうことを熱烈に希望しておるのでございます。そこで、運輸省といたしましては、すでに御承知のように、たとえば新しく建設します地下鉄につきましては、郊外私鉄と直通運転をはかるというふうなことによりまして、郊外から都心へ直通の運転でもってこれる、こういうふうな便利なことにいたしまして、少しでも国鉄輸送に協力させる、こういう体制に持っていきつつあるわけであります。一例をあげてみますと、現在東京都が建設しております押上と品川を結びます第一号路線におきましては、これは押上方面からは京成電鉄、品川方面からは京浜電鉄が乗り入れまして、いわば京成方面におきましては総武線の補助的な役割、京浜方面におきましては京浜線の補助的な役割、こういうことになろうかと考えております。
  232. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この公団というのは、よくわからないのですが、内容政府の全額出資の公団なんでしょうか。
  233. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これは先ほど申し上げましたように帝都高速度交通営団法という法律によって設立されました公法人でございます。この資本金は日本国有鉄道並びに東京都の出資によってできておる法人でございます。
  234. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも私は国鉄が自分のところの輸送も満足にできないのに人の会社へその出資をしているというのがよくわからない。よく聞いてみると、国鉄の古手がこの役員になるから持参金付で毎年仕送りをしているのだ、こういうことらしいのですけれども、そこがどうも理論的にすっきりしないと思うのですけれども、もう少しすっきりと、国鉄が本来やるべきであって、やる力がないということは、ほかにないからといって、そのために国鉄がさいてまで、よその会社に出資をするということはどうもいかがかと思うのです。
  235. 岡本悟

    ○岡本政府委員 これは、もともとできました当時は、地下鉄の建設ということは、東京都の都市交通につきまして将来大きな役割を持つということが予見されたものでございますので、東京都の都市交通責任を持ちますところの日本国有鉄道、それから東京都、それから私鉄、こういったものが全部出資をしてこの法人を作り上げたものでございます。現在、国鉄と東京都のみに出資が限定されておりますのは、戦後占領軍の命令によりまして私鉄の出資や公法人に対する出資はまかりならぬということで、これは切り捨てたわけでございます。従いまして、現在は二者のみの出資という格好になっておりますが、もともと都市交通に当然責任を持つべき機関というものが全部出資をして作る、そうしてみんなのかわりとして、一つの共同体がこの出資によって関係交通機関の代行をしておるというふうな格好ででき上がったものでございます。
  236. 勝澤芳雄

    勝澤委員 午前中の質問の中でも、私は鉄監局長の説明の中に、やはり明治以来の国鉄というものの考え方というものが公共企業体になってもまだ貫かれいてるように思うのです。今の公団の出資金の問題についても、これは国有鉄道の場合においてはそれはいいでしょう、国が全部やっているのですから。しかし、公共企業体としての国鉄が出資をするということについては、私はどうも理解に苦しむのです。政府がやるならこれは当然なことだと思うのです。ですから、ここにも国鉄は、極端に言うならば、こんなに余裕があるのか、余裕があるのだったらもう少し、中央線があんなに困っているのだから、何かその方面に使ったらどうだ、こういうように思うのです。これは国鉄として国がやるべき仕事をまだそのままの流れの中で押しつけられているとしか考えられないのですが、どうですか局長。まあ公共企業体になったのですから、そういう点から再検討すべき時期にこれもきておると思うのですが、その点どうですか。
  237. 岡本悟

    ○岡本政府委員 考え方といたしましては、国が出資するということもあり得ると思います。現在のところでは、先ほど申し上げましたように、関係交通機関が相集まりまして、お互いに出資し合って公法人に自分の果たすべき使命の一端をになわしておる、こういうことになっておるわけでございます。それで、現在は、先ほど申し上げましたようないきさつで、ただ国鉄と東京都のみの出資になりましたけれども、やはりそういう趣旨からいいますと、関係私鉄の出資も私は復活すべきではないか、こういうように考えておるのでございます。国鉄は、今度、中央線の増強につきましては、すでに御承知のように帝都高速度交通営団が建設することに相なっておりますところの五号路線、つまり中野から大手町を経まして東陽町方面に参ります路線でございますが、この路線に三鷹から線路を増設いたしまして、中野でこの地下鉄に乗り入れるという希望を表明いたしております。これを第二中央線にしたい、こういう考え方でございます。なお、すでに御案内のように、帝都高速度交通営団がただいま建設を急いでおります四号路線、これは新宿から中野へ延びまして、さらに荻窪に参りますが、これもまた中央線の補助的な役割を持つものというふうに考えておる次第でございます。
  238. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、この出資は、配当はあるのですか。どれくらい国鉄収入となって入っておるのですか。
  239. 岡本悟

    ○岡本政府委員 配当はいたしてもいいわけでございますが、現在のところいたしておりません。
  240. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも私は、ここでも少し国鉄経営という立場から考えて、運賃値上げをしなければならない、新線建設について利子補給まで要求しているということから考えると、どうも理屈が合わないように思うのです。しかし、局長はどうも少し意見を異にしているようでありますけれども、これは一つ十分御検討を願いたいと思うのであります。  それから次に、今度は国鉄のサービスの問題についてちょっとお伺いしたいのですが、国鉄の列車内あるいはホーム等における車内販売とか、構内営業、こういうものの業者の監督はどういうように行なわれておるのでありましようか。
  241. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 駅の構内におけるあるいは列車内における販売につきましては、販売品目あるいは販売価格等を厳重に監督いたしております。
  242. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は、最近鉄道弘済会というところに勤めている職員が、いかに安い賃金で、なおまた悪い労働条件で働かされているかということが雑誌の中でも書かれておるのを見ました。労働基準法違反の疑いのある事項が多いではないだろうか、あるいは東京近郊におけるところの売店なんかを見ておっても、朝から立ち詰めて売っておって、弁当を食べる時間もない、そうして便所に行く時間もないというような状態であるようでありまして、こういう点についても、やはり鉄道の構内にあるといいますか、やはり弁当を買う、あるいは汽車の中で買う、こういうこと自体においても、やはりそれが鉄道自体でやっていないにもかかわらず、それがサービスとしては鉄道のサービスと見られるわけでありますから、十分そういう点はお考えをいただきたいと思う。  この問題につきましては別の機会にもう少し十分お聞きしたいと思いますが、それで、なおついでですけれども、このごろ汽車へ乗っておるとよくわかるのですが、弁当は四人も五人も売っている、お茶は一人も売っていないという状態があるわけです。汽車の中で弁当を売りにくる、その次に何を売りにくるかといえば、コーヒーを売りにくる、そうして終わった時分になってからお茶を売りにくる。確かに営業政策としてはけっこうだと思うんですけれども、やはり公共的な立場のサービス機関としては、十分これは監督すべきじゃないだろうかと思うのです。これは私も日常ときどきあうことですから、こういう点についてもぜひお考えを願いたいと思うのです。  その次に私は、最近新聞によりますと、一体急行とは何だろうかということで投書が載っておりました。見た方もあろうと思うのですけれども、ここに載っておる内容を申しますと、大阪から宇野までは、急行瀬戸のほかに準急鷲羽が第一から第三まで三本走っておる。それで大阪−宇野間の所要時間は、瀬戸が三時間三十四分で、準急鷲羽は三本とも三時間十五分である。のろい方が料金が高くて、速い方が料金が安い。一体急行料金というものと準急料金というものと特急料金というものは、これはやはり速さによって料金がついておるのではないだろうかということが疑問だという投書がありました。またもう一つ具体的に、大阪から高知に行くのに、急行の瀬戸と土讃線の準急南風で乗り継いでいくと、高知まで九時間三分かかる、準急鷲羽と準急土佐で乗り継いでいくと八時間二十一分である、これも安い方が早く着くわけです。ですからやはりこれは料金の制度の問題といいますか、ダイヤの関係といいますか、こういう点も問題があると思うのですが、一体この料金の準急、急行、特急という考え方というものは、やはり速いものによって料金がつけられると思うのですが、こういう点はどうなんでしょうか。
  243. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまお尋ねの特急料金、準急料金、急行料金につきましては、実は御承知通り、最近はディーゼルの動車が入りましたために、ディーゼル動車の方が蒸気機関車牽引、電気機関車牽引よりも速度が速いということになってきております。しかしながら、今のお尋ねの料金の差は、速度だけでなしに、やはりそれ以外にある程度の車の設備ももちろんそれに入るわけでございます。それから速度につきましては、今たとえば瀬戸のような夜行時間帯になりますと、むしろ発着の駅の関係上、夜行時間は少しおそい方がいいというようなこともございまして、昼間の急行、昼間の準急と、夜の急行とは必ずしも時間帯においては、急行の方が速いということにはいたしておらない、ダイヤ構成上の問題もございます。しかし、いずれにいたしましても、最近できました準急が非常に速いということのために、急行よりも速くて安いというようなこともございますので、今後徐々に急行列車は寝台を除いてディーゼルに取りかえて参りますので、そういう矛盾がなくなってくると思いますが、ちょうど今動力転換の過渡期でありまして、若干そのいう矛盾も起こっておりますが、ことしの秋には大部分そういうことも解消いたすつもりでおります。
  244. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に座席の問題でありますけれども、よく駅で乗るときに特急の座席がない、寝台の座席がない、あるいは指定券がない、中に入ってみると、あいているわけです。国鉄はもうける気がないのかと実は思うときがときどき私はあるのです。これはやはりこういう傾向の問題といいますか、そういう問題で相当ロスがあるのではないだろうかと思うのです。このごろでは相当近代的な電子計算機といかいろいろあるわけですから、やはり名古屋を出たら次にとまる静岡の場合にはもうどこがあいているということがわかって、そして希望者はどんどん乗れる、こういうようにしなければならぬと思うのですけれども、どうもまだ依然として古いやり方というものが出ているのではないかというふうに思うのですけれども、一つこういう問題についても、ある程度の改革といいますか、相当一つ実情を知っていただいて御検討を願いたいと思うのです。
  245. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては、私どもの方も大へん商売下手で、よくそういうおしかりを受けます。ただ最近できるだけ電子計算機その他を使っておりますので、たとえば現在特急は全部電子計算機のドラムに入れておりますので、そういうむだがなくなっております。ただいろいろ調べてみますと、やはり相当会社その他で事前に買い占めておられる、お客さんが買い占めておられる、乗っても乗らなくても買い占めておるという実情が相当ございますので、これらは御指摘の通り乗ってみたらすいていたということもありますが、その他まだ電子計算機に入れておらないものにつきましては、ただいまお話のような点がございます。今後十分注意いたしていきたいと思っております。
  246. 三池信

    三池委員長 次会は来たる二十日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十七分散会