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關説明員 お答え申し上げます。
ただいまの御質問に非常に的確に適合するというようなものは、完全に
お答えできるかどうかわかりませんですが、今度の新五が年
計画で申しましても、
輸送力の
増強ということと一緒に、
近代化、
合理化と、いうことが入っております。それで大体
輸送の
伸びに対して、これはどうしても
輸送の
需要が
伸びましたら、これに対して対応していかなければならない。ところがその
輸送量がふえるのに対して、どうしても人手がよけい要るということに、従来のままでおりますと、なっていくわけでありますが、これを、なるべく人間をふやさずに、
伸びる
輸送量に伴ってやっていくということでありますと、それを織り込んでおりますために、運賃の問題でも
最小限にとどめて、できるだけ大きく
効果を発揮していこう、これが
一つの大きな柱になっているわけでございます。
鉄道における技術革新というのは、世界各国現在非常に努力いたしておりますが、先ほど
仰せのように、やはり一番大きなものは動力の
近代化、たとえて申しますと、
電化、ディーゼル化というようなことでございますが、
電化とディーゼル化、このものにつきましても、外国では、
電化といえば、
蒸気機関車で引っぱったものを電気
機関車にかえるという
電化が主流をなしていたのでございますが、日本のように国土が狭くて人口の密度が非常に高いところは、むしろこれを電車またはディーゼル動車というような方向で動力を
近代化していく、これは今後の
輸送のスピード・アップと、それからまた非常に頻発運転するというような点から、この方面が進んでおりまして、この電車化、ディーゼル動車化ということが、現在はっきり、
国鉄輸送といたしましては方向をきめて進んでおりまして、これはおそらく世界で一番進んでいることじゃないか、こう
考えております。ただ電車につきましては、これは歴史が割に古いので比較的問題がございませんし、たとえば「
こだま」を作り上げるまでに、湘南電車が登場しましてから約十年の年月を経て初めて「
こだま」ができておりますが、ディーゼル動車の方は、戦前のガソリン・カーでやりまして、これがいわゆる二両とか三両または五両、十両とつないで、これを一人の
乗務員でもって運転するという総括制御の方式がなかなかできなかったために、長年
伸び悩んでいたわけでございますが、これがいわゆるトルク・コンバ一夕という
方法で総括制御、一人の運転手でもって何両でも運転できるという電車の運転と同じような方式ができるようになりまして、これが今度の日本のディーゼル動車が非常に発達してくる基盤になったわけでございます。これによって、昨年の秋に「はつかり」を東北線に運転いたしまして、その結果を見まして、全国の
幹線、亜
幹線を通して、この「はつかり」編成のような長距離を走るディーゼル動車列車というものができるようになりまして、この「
こだま」のような電車列車、または「はつかり」のようなディーゼル動車列車、これが両々相待って全国の
動力近代化、特に
旅客輸送の
近代化が非常に進む基盤ができた。これが何といいましても今後の
国鉄の
輸送量を上げまして
輸送の
需要に沿っていく。
所得倍増によるいろいろな旅行の非常な増大ということに対処していけるんじゃないか。
もう
一つは、
動力近代化によりまして労働の生産性が上がると同時に
作業環境がよくなるという点で非常に
効果があるんじゃないか、こう
考えております。
動力近代化の方は御承知の
通りだと思いますが、そのほかに事務の
近代化とか、または
輸送方式の
近代化とか、こういうことがございます。これは申し上げると長くなりますが、そのほかに最も目新しいものとしましては、いわゆる最近はやりのエレクトロニクス、電子技術の
鉄道業務に対する応用でございます。これの一番目立って最近出ましたのは、いわゆる極超短波、マイクロウエーブの全国の通信網の完成でございます。これによって、現在
国鉄本社から北海道支社、それから西部の支社、この間が全部即時でもって通話ができるようになりまして、このために非常に連絡がしやすくなった。これが先般の伊勢湾台風のときに、
東京と名古屋の通信が、ローカルを飛び越しまして
幹線が非常に通話がよくて連絡がよくできたというようなこともございますが、このSHFが
国鉄の電子技術利用の
近代化の背骨といいますか、神経系統の完成ということになって、これが
一つの大きな特徴じゃないかと思います。
その他、たとえば座席予約とか配車統計とか、または信号保安の電子技術の利用とか、こういう方面については、現在
国鉄は、電子技術の利用ということに対して踏み出しましたまだほんの序の口でございまして、今後いろいろとこういう点でもって、安全な、いい
作業環境で、しかも生産を上げていくという方面に非常に
効果を上げてくるんじゃないか、こういう期待を持って、現在、実は昨年の春から
国鉄の中に電子技術
調査委員会という
委員会で、これは現在の科学技術
会議の議員をしておられます梶井博士を
委員長として、その他五名の外部の第一級の方々に
委員会を構成していただきまして、今後どういうふうに
国鉄の
近代化にエレクトロニクスを取り入れていくかということを目下鋭意研究して、最近御答申をいただくことになっております。こういうような
動力近代化とか、その他の
近代化につきまして、何といいましても
基礎になりますのは研究でございまして、これにつきましては技術研究所を三年がかりで
整備いたしまして、国立の、おそらく世界で一番設備の整った研究所で約八百人の職員が鋭意研究に努力いたしております。まだまだこれだけの研究では足りないかと思いますが、一応技術革新ということを
輸送力増強ともう一本の柱にして、両々相待っていくということで進めている次第でございます。